JP2007014055A - 渦電流式減速装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 渦電流式減速装置の制動性能を向上させる。
【解決手段】 回転軸に結合した制動ドラム1の内方にリング状の磁性体部材3を回転不能に配置し、磁性体部材3にその周方向に所定間隔を隔てて複数の電磁石4を配置し、磁性体部材3の電磁石4間に周方向に磁極面を有する永久磁石6を埋設した渦電流式減速装置において、永久磁石6を、電磁石4同士の中間部に対して周方向にずらして、且つ、電磁石4の周方向両側部にそれぞれ近接させて埋設する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両の摩擦ブレーキを補助する渦電流式減速装置に係り、特に、電磁石と永久磁石とを併用した渦電流式減速装置に関する。
例えば図7に示すように、電磁石と永久磁石とを併用した渦電流式減速装置は、回転軸(図示せず)に結合された制動ドラム21と、制動ドラム21の内方に配置された不動の磁性体部材22とを備えている。
磁性体部材22はリング状(環状)に形成されており、この磁性体部材22にはその周方向に所定間隔を隔てて周方向に磁極を有する複数の電磁石23が配置されている。磁性体部材22の電磁石23同士の中間部には、周方向に磁極面を有する永久磁石24が埋設されている。各永久磁石24は、隣接する電磁石23に対して同極で対向するように設定される。
制動時、電磁石23に通電すると、永久磁石24の磁束により電磁石23内方の磁性体部材22内が反磁界の状態となり、その反磁界の磁束に反発して電磁石23の磁束が制動ドラム21へと流れる。これにより、電磁石23、磁性体部材22及び制動ドラム21を循環する磁気回路Wが形成される。制動ドラム21と磁性体部材22との相対回転によって制動ドラム21に渦電流が生起される。
一方非制動時、電磁石23への通電を解除すると、各永久磁石24が磁性体部材22内で磁気回路により接続されるので、永久磁石24の磁界は制動ドラム21には及ばない。
このような電磁石と永久磁石とを併用した渦電流式減速装置は、特許文献1〜3等にも記載されている。
特開2002−101637号公報 特開2002−101640号公報 特開2002−345233号公報
ところで図7で示した渦電流式減速装置では、永久磁石24を電磁石23同士の中間部に配置していたため、電磁石23と永久磁石24との距離が長く、特に永久磁石24同士の距離が長かった。そのため、制動時に永久磁石24の磁束がポールピース25内に入る量が少なくなり、上記の反磁界を強くできなかった。加えて電磁石23と永久磁石24との間の磁性体部材22の表面積が大きいため、磁気洩れLも起き、渦電流式減速装置の制動性能を向上させる余地があった。
そこで、本発明の目的は、渦電流式減速装置の制動性能を向上させることにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転軸に結合した制動ドラムの内方にリング状の磁性体部材を回転不能に配置し、該磁性体部材にその周方向に所定間隔を隔てて複数の電磁石を配置し、上記磁性体部材の上記電磁石間に周方向に磁極面を有する永久磁石を埋設した渦電流式減速装置において、上記永久磁石を、上記電磁石同士の中間部に対して周方向にずらして、且つ、上記電磁石の周方向両側部にそれぞれ近接させて埋設したことを特徴とする渦電流式減速装置である。
請求項2の発明は、回転軸に結合した制動ドラムの内方にリング状の磁性体部材を回転不能に配置し、該磁性体部材にその周方向に所定間隔を隔てて複数の電磁石を配置し、上記磁性体部材の上記電磁石間に周方向に磁極面を有する永久磁石をそれぞれ埋設した渦電流式減速装置において、上記各永久磁石を、上記磁性体部材の周方向に分割し、これら分割した永久磁石を、上記電磁石同士の中間部に対して周方向にずらして、且つ、上記電磁石の周方向両側部にそれぞれ近接させて埋設したことを特徴とする渦電流式減速装置である。
請求項3の発明は、上記磁性体部材は、上記電磁石の周方向両側に設けられ上記制動ドラムの内周面に対向する磁極部と、該磁極部における上記電磁石とは反対側の側部の隣りに設けられ上記永久磁石が埋設される埋設部と、該埋設部の隣りに設けられ上記埋設部よりも断面積が大きく形成された接続部とを有する請求項1又は2記載の渦電流式減速装置である。
本発明によれば、渦電流式減速装置の制動性能を向上させることができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の一実施形態に係る渦電流式減速装置の制動時を示す正面断面図である。図2は、図1の実施形態に係る渦電流式減速装置の非制動時を示す正面断面図である。
図1に示すように、図示しない回転軸(例えば変速機の出力軸)には、渦電流が生起される制動ドラム1が結合されている。制動ドラム1は、導電体且つ磁性体(強磁性体、軟磁性体等、以下同じ)の材料(例えば低炭素鋼、ステンレス鋼、鋳鉄等、以下同じ)からなり、回転軸と同心的な円筒状に形成されている。制動ドラム1の外周面には、渦電流によって生じた発熱を放熱するための放熱フィン2が設けられている。
制動ドラム1の内方には、図示しない固定側(例えば変速機のケーシング)に結合された不動(回転不能)の磁性体部材3が配置されている。磁性体部材3は、導電体且つ磁性体の材料からなるブロック体或いは電磁鋼板の積層体であり、リング状(環状)に形成されている。
磁性体部材3には、周方向に所定間隔を隔てて複数の電磁石4が配置されている。本実施形態では、電磁石4は磁性体部材3に電磁コイル5を巻装してなる。電磁コイル5は磁性体部材3にその周方向軸廻りに電線を巻回してなり、電磁コイル5の周方向両側部に磁極が形成される。本実施形態では、全ての電磁石4で磁極の向きが周方向に同一となっており、周方向に隣接する電磁石4同士が異極で対向するようになっている。
磁性体部材3の電磁石4(電磁コイル5)間には、制動時に電磁石4の磁力を補助するための永久磁石6が埋設されている。本実施形態では、永久磁石6は、電磁石4(電磁コイル5)同士の中間部に対して周方向にずらして、且つ、各電磁石4(電磁コイル5)の周方向両側部にそれぞれ近接させて埋設されている。詳しくは本実施形態では、永久磁石6は、後述する各磁極部7における電磁石4(電磁コイル5)とは反対側の側部の隣りに配置される。
本実施形態では、永久磁石6の周方向の両端面に磁極面が形成され、各永久磁石6は周方向に隣接する電磁石4に対して同極で対向するようになっている。
ここで永久磁石6は、電磁石4の磁力を補助するのに必要な所定の磁力を有する永久磁石を周方向に複数に分割したものである。本実施形態では、図7で示した渦電流式減速装置に用いた永久磁石24を二分割して、その分割したものを本実施形態の永久磁石6として用いている。
磁性体部材3は、電磁石4(電磁コイル5)の周方向両側に設けられ、制動ドラム1の内周面に対向する磁極部7と、磁極部7における電磁石4(電磁コイル5)とは反対側の側部の隣りに設けられ、永久磁石6が埋設される埋設部8と、埋設部8の隣りに設けられ、埋設部8よりも断面積が大きく形成された接続部9とを有している。本実施形態では、磁性体部材3の各電磁石4(電磁コイル5)間には、周方向中央の接続部9と、周方向両側の二つの埋設部8とが設けられる。磁性体部材3の各埋設部8には中空部が設けられており、その中空部内に永久磁石6が挿入される。
ここで、埋設部8及び接続部9と、制動ドラム1との間隔は、磁極部7と制動ドラム1との間隔より大きく設定するものとする。このようにすることにより、埋設部8及び接続部9と、制動ドラム1との間で、非制動時に永久磁石6により磁気洩れとなる磁気回路が形成されることはない。
次に、本実施形態の作用を説明する。
回転軸を減速制動するとき(制動時)は、電磁コイル5(電磁石4)を通電する。すると、電磁コイル5は磁性体部材3にその周方向軸廻りに電線を巻回して形成されているので、電磁コイル5内方の磁性体部材3が磁化されて、電磁コイル5(電磁石4)の両側部がそれぞれN極、S極となる。その際、各永久磁石6は周方向に隣接する電磁石4に対して同極で対向するようになっているため、永久磁石6の磁束によって電磁コイル5(電磁石4)内方の磁性体部材3内が反磁界の状態となる。
その結果、電磁石4の磁束が反磁界の磁束に反発して磁極部7を通じて制動ドラム1へと流れ、図1に示すように、電磁石4、磁極部7及び制動ドラム1を循環する、電磁石4の磁束に基づく磁気回路W1が形成される。また同様に、永久磁石6の磁束も電磁石4の磁束に反発して磁極部7を通じて制動ドラム1へと流れ、永久磁石6、磁極部7及び制動ドラム1を循環する、永久磁石6の磁束に基づく磁気回路W2が形成される。制動ドラム1と磁性体部材3(電磁石4、永久磁石6)との相対回転によって制動ドラム1に渦電流が生起され、回転軸が減速制動される。
ここで本実施形態では、永久磁石6を、電磁コイル5(電磁石4)同士の中間部に対して周方向にずらして、且つ、電磁コイル5(電磁石4)の周方向両側部にそれぞれ近接させて配置している。このようにすることで、電磁石4と永久磁石6との距離が短くなると共に、永久磁石6同士の距離も短くなり、永久磁石6の磁束が電磁コイル5内方の磁性体部材3内に流れ易くなって反磁界が強くなる。加えて永久磁石6同士の距離が短いため、電磁石4と永久磁石6との間の磁性体部材3の表面積が小さくなり、磁気洩れLも抑制されて、渦電流式減速装置の制動性能が向上する。
また本実施形態では、周方向に隣接する永久磁石6間に、埋設部8に比べ断面積の大きい接続部9を設けることで、永久磁石6同士の間の磁気抵抗が小さくなって磁気洩れが少なくなり、永久磁石6の磁束が電磁コイル5内方の磁性体部材3内に入る量を増やせる。
一方、回転軸の減速制動を解除するとき(非制動時)には、電磁コイル5(電磁石4)の通電を解除する。すると、図2に示すように、各永久磁石6によって磁性体部材3内で磁気回路W3が形成される。この磁気回路W3は制動ドラム1には及ばないので、回転軸の減速制動が解除される。
また本実施形態では、電磁石4と永久磁石6との距離を短くすることで、永久磁石6同士の距離も短くなるため、非制動時にも永久磁石6の磁束が電磁コイル5内方の磁性体部材3内に流れ易くなり、非制動時に永久磁石6により磁気洩れとなる磁気回路が形成されにくくなる。
さらに本実施形態では、所定の磁力を有する永久磁石を周方向に二分割し、これら分割した永久磁石6を、電磁コイル5(電磁石4)同士の中間部に対して周方向にずらして、且つ、電磁コイル5(電磁石4)の周方向両側部にそれぞれ近接させて配置するようにしている。このようにすることで、電磁石間の永久磁石の数量が増えても永久磁石全体の重量を増大させずに所定の磁力を得ることが出来るため、装置全体の重量は増大しない。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
例えば、渦電流式減速装置を組立てる際に永久磁石6の磁極面の向きを間違えないようにするため、図3〜図6に示すように、永久磁石6の形状を周方向に対して非対称としても良い。例えば、図3に示す永久磁石11では、一方の磁極面(図3中の右側)がテーパ面状に形成され、他方の磁極面(図3中の左側)が平面状に形成される。また、図4に示す永久磁石12では、一方の磁極面(図4中の右側)が曲面状に形成され、他方の磁極面(図4中の左側)が平面状に形成される。また、図5に示す永久磁石13では、一方の磁極面(図5中の右側)が凸面状に形成され、他方の磁極面(図5中の左側)が平面状に形成される。さらに、図6に示す永久磁石14では、一方の磁極面(図6中の右側)が凹面状に形成され、他方の磁極面(図6中の左側)が平面状に形成される。
本発明の一実施形態に係る渦電流式減速装置の制動時を示す正面断面図である。 図1の実施形態に係る渦電流式減速装置の非制動時を示す正面断面図である。 永久磁石の変形例を示す渦電流式減速装置の正面断面図である。 永久磁石の変形例を示す渦電流式減速装置の正面断面図である。 永久磁石の変形例を示す渦電流式減速装置の正面断面図である。 永久磁石の変形例を示す渦電流式減速装置の正面断面図である。 従来の渦電流式減速装置の正面断面図である。
符号の説明
1 制動ドラム
3 磁性体部材
4 電磁石
6、11、12、13、14 永久磁石
7 磁極部
8 埋設部
9 接続部

Claims (3)

  1. 回転軸に結合した制動ドラムの内方にリング状の磁性体部材を回転不能に配置し、該磁性体部材にその周方向に所定間隔を隔てて複数の電磁石を配置し、上記磁性体部材の上記電磁石間に周方向に磁極面を有する永久磁石を埋設した渦電流式減速装置において、
    上記永久磁石を、上記電磁石同士の中間部に対して周方向にずらして、且つ、上記電磁石の周方向両側部にそれぞれ近接させて埋設したことを特徴とする渦電流式減速装置。
  2. 回転軸に結合した制動ドラムの内方にリング状の磁性体部材を回転不能に配置し、該磁性体部材にその周方向に所定間隔を隔てて複数の電磁石を配置し、上記磁性体部材の上記電磁石間に周方向に磁極面を有する永久磁石をそれぞれ埋設した渦電流式減速装置において、
    上記各永久磁石を、上記磁性体部材の周方向に分割し、これら分割した永久磁石を、上記電磁石同士の中間部に対して周方向にずらして、且つ、上記電磁石の周方向両側部にそれぞれ近接させて埋設したことを特徴とする渦電流式減速装置。
  3. 上記磁性体部材は、上記電磁石の周方向両側に設けられ上記制動ドラムの内周面に対向する磁極部と、該磁極部における上記電磁石とは反対側の側部の隣りに設けられ上記永久磁石が埋設される埋設部と、該埋設部の隣りに設けられ上記埋設部よりも断面積が大きく形成された接続部とを有する請求項1又は2記載の渦電流式減速装置。
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