JP2005143261A - 渦電流式減速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電磁石を低コストで製造すると共に、渦電流式減速装置の制動性能を向上させる。
【解決手段】 回転軸1に取り付けられた制動ドラム6と、固定側に制動ドラム6に対向させて取り付けられ且つ回転軸1の軸方向に所定間隔を隔てて配置された一対の磁性体からなる環状の電磁石支持板9と、これら電磁石支持板9間に周方向に所定間隔を隔てて取り付けられた複数の電磁石10とを備え、電磁石10は、回転軸1の軸方向に延びて形成された鉄心11と、鉄心11に巻装した電磁コイル12とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両の摩擦ブレーキを補助する渦電流式減速装置に係り、特に、電磁石を用いた渦電流式減速装置に関する。
渦電流式減速装置として、回転軸に取り付けられた制動ドラムと、制動ドラムに対向させて固定側に取り付けられた電磁石とを備えたものが知られている。このような渦電流式減速装置においては、電磁石に通電することで制動ドラムに渦電流を生起して回転軸を減速制動し、通電を切ることで減速制動を解除する。このような渦電流式減速装置は、特許文献1等にも記載されている。
図7に示すように、この種の渦電流式減速装置は、回転軸(図示せず)に取り付けられた制動ドラム21と、固定側(図示せず)に取り付けられた磁性体の材料からなる電磁石支持環22と、電磁石支持環22の外周面に、制動ドラム21に対向させて取り付けられ、且つ、回転軸の周方向に所定間隔を隔てて設けられた複数の電磁石23とを備えている。各電磁石23は、電磁石支持環22の径方向の外方に突出して設けられた鉄心24と、鉄心24に巻装した電磁コイル25とを備えている。
減速制動時には、電磁石23(電磁コイル25)を通電する。すると、電磁コイル25が巻装された鉄心24の両端面が磁化される。これにより、鉄心24と、制動ドラム21と、鉄心24と、電磁石支持環22とを循環する磁束回路W0が形成される。このとき、電磁石23と制動ドラム21との相対回転によって、制動ドラム21の内周面に渦電流が生起され、回転軸が減速制動される。
ところで、図7に示す渦電流式減速装置においては、鉄心24の電磁石支持環22への取付面を、電磁石支持環22の外周面の形状(R形状)に合わせて、R形状に加工していた。このようにすると、電磁石23の製造コストが高くなるという問題点があった。
また、周方向に隣接する電磁石23間には、電磁石支持環22が、介在させて設けられている。このようにすると、磁気回路W0が電磁石支持環22を周方向に横断することで、磁束回路W0が長くなって抵抗が大きくなるため磁力が低下してしまい、渦電流式減速装置の制動性能が低下してしまうという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、電磁石を低コストで製造すると共に、制動性能を向上することができる渦電流式減速装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、第一の発明は、回転軸に取り付けられた制動ドラムと、固定側に上記制動ドラムに対向させて取り付けられ且つ上記回転軸の軸方向に所定間隔を隔てて配置された一対の磁性体からなる環状の電磁石支持板と、これら電磁石支持板間に周方向に所定間隔を隔てて取り付けられた複数の電磁石とを備え、上記電磁石は、上記回転軸の軸方向に延びて形成された鉄心と、該鉄心に巻装した電磁コイルとを備えたことを特徴とする渦電流式減速装置である。
第二の発明は、固定側に取り付けられた制動ドラムと、回転軸に上記制動ドラムに対向させて取り付けられ且つ上記回転軸の軸方向に所定間隔を隔てて配置された一対の磁性体からなる環状の電磁石支持板と、これら電磁石支持板間に周方向に所定間隔を隔てて取り付けられた複数の電磁石とを備え、上記電磁石は、上記回転軸の軸方向に延びて形成された鉄心と、該鉄心に巻装した電磁コイルとを備えたことを特徴とする渦電流式減速装置である。
ここで、上記電磁石支持板の外周端部に、上記制動ドラムに対向させて設けられ且つ軸方向に延びて形成された誘導極部材を設けても良い。
また、上記電磁石支持板の外周面及び/又は上記誘導極部材の外周面に、周方向に所定間隔を隔てて複数の溝を設け、各溝で区画された複数の磁極片を形成しても良い。
本発明によれば、電磁石を低コストで製造すると共に、渦電流式減速装置の制動性能を向上することができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1は、一実施の形態に係る渦電流式減速装置の側面断面図である。図2は、図1の実施の形態に係る電磁石及び電磁石支持板の斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態の回転軸1は、変速機のアウトプットシャフトであり、その端部には、アウトプットフランジ2が回転不能に被嵌され、ナット3によって固定されている。アウトプットフランジ2には、制動ロータ4が回転不能に取り付けられていると共に、図示しないプロペラシャフトが連結されるプロペラフランジ5が取り付けられている。
制動ロータ4は、渦電流が生起される制動ドラム6を備えている。この制動ドラム6は、導電体且つ磁性体(強磁性体、軟磁性体等、以下同じ)の材料(例えば、低炭素鋼、低炭素合金鋼、鋳鉄等、以下同じ)からなり、回転軸1と同芯的な環状に形成されている。制動ドラム6の外周面には、渦電流による発熱を放熱するための放熱フィン7が設けられている。
制動ドラム6の内方には、図示しない固定側(例えば、変速機のカバー等)に取り付けられたブラケット8が配置されている。このブラケット8には、一対の電磁石支持板9が回転軸1の軸方向に所定間隔を隔てて取り付けられ、且つ、その外周面が制動ドラム6の内周面に対向させて配置されている。詳しくは、一方の電磁石支持板9は、ブラケット8に取り付けられており、他方の電磁石支持板9は、後述する電磁石10を介して、一方の電磁石支持板9に取り付けられている。これら電磁石支持板9は、磁性体(強磁性体又は軟磁性体)の材料からなり、回転軸1と同芯的な環状に形成されている。
ここで、ブラケット8は、固定側への磁束漏れを防止するため、非磁性体の材料(例えば、アルミ等の低透磁率材料)からなる。なお、固定側(変速機のカバー等)が、非磁性体の材料からなる場合、ブラケット8は、磁性体の材料からなっても良く、また、電磁石支持板9と一体的に成形されていても良い。
図1及び図2に示すように、一対の電磁石支持板9の軸方向の間には、周方向に所定間隔を隔てて複数(図例では、八個)の電磁石10が取り付けられている。各電磁石10は、回転軸1の軸方向に延びて形成された鉄心11と、鉄心11に巻装した電磁コイル12とを備えている。鉄心11の軸方向の両端面は、図示しないボルトにより各電磁石支持板9の側面にそれぞれ取り付けられている。つまり、電磁石10は、一対の電磁石支持板9に軸方向の両側から挟み込むように支持されている。
各電磁コイル12の電線の巻付方向は、全て同一となるように設定されている。各電磁コイル12の外周面には、防水のためのシール部材(図示せず)が巻き付けられている。
次に、本実施の形態の作用について説明する。
減速制動時においては、電磁石10(電磁コイル12)を通電する。すると、鉄心11には、電磁コイル12が巻装されているので、鉄心11の軸方向の両端面、及びその両端面に取り付けられた電磁石支持板9がそれぞれN極、S極となる。このとき、電磁コイル12の電線の巻付方向が全て同一なので、一方の電磁石支持板9の外周面がN極となると共に、他方の電磁石支持板9の外周面がS極となる。
その結果、図1に示すように、鉄心11と、電磁石支持板9と、制動ドラム6と、電磁石支持板9とを循環する磁束回路W1が形成される。これにより、電磁石10と制動ドラム6との相対回転によって、制動ドラム6の内周面に渦電流が生起され、回転軸1が減速制動される。また、電磁石10の通電を切れば、減速制動が解除される。
本実施の形態の電磁石10の鉄心11は、電磁石支持板9の側面に取り付けられている。そのため、鉄心11の電磁石支持板9への取付面(軸方向の両端面)は、平面に加工されていれば良く、従来におけるようなR形状に加工する必要はない。このようにすることで、電磁石10(鉄心11)を、図7に示す渦電流式減速装置に比べて低コストで製造することができる。
また、本実施の形態では、減速制動時において、磁束回路W1は、電磁石支持板9を周方向に横断して形成されることはない。つまり、磁束が電磁石支持板9から制動ドラム6に直接流れることになり、図7に示す渦電流式減速装置における、電磁石支持環22を周方向に横断する磁束回路を省略できる。このようにすることにより、電磁石10と制動ドラム6との間に形成される磁束回路W1は、図7に示す渦電流式減速装置に比べて短くなり、制動ドラム6に作用する磁力が大きくなる。そのため、制動ドラム6に生起される渦電流が大きくなり、渦電流式減速装置の制動性能を向上させることができる。
また、渦電流式減速装置の制動性能を従来と同程度に調整する場合は、電磁石10(電磁コイル12)に流す電流値を小さくするか、電磁コイル12の電線の巻数を減らすことで、電磁石10の低コスト化を図ることができる。
ここで、鉄心11(電磁石10)は、軸方向の長さを、可能な限り短くして、外径を可能な限り大きくしておくと良い。このようにすると、電磁石10と制動ドラム6との間で形成される磁束回路が短くなる。これにより、制動ドラム6に生起される渦電流が大きくなり、渦電流式減速装置の制動性能がより向上する。
次に、他の実施の形態について説明する。
図3(a)は、他の実施の形態に係る渦電流式減速装置の部分側面断面図である。図3(b)は、図3(a)の実施の形態に係る電磁石支持板の展開平面図である。
この実施の形態は、電磁石支持板の外周面に磁極片を設けた点が図1の実施の形態と異なり、その他は同様となっている。よって、図1と同一部材には、同一符号を付して説明を省略し、相違点のみを説明する。
図3(a)及び図3(b)に示すように、各電磁石支持板9の外周面には、周方向に所定間隔を隔てて複数の溝9aと、各溝9aで区画された複数の磁極片9bとが形成されている。溝9aの底面は、電磁石支持板9の外周面に対して平行に形成されている。減速制動時においては、一方の電磁石支持板9の磁極片9bが全てN極に磁化されると共に、他方の電磁石支持板9の磁極片9bが全てS極に磁化される。
この実施の形態によれば、電磁石支持板9の各溝9aが、電磁石10と制動ドラム6との間の磁気を断続的に遮断して、磁極変化(強弱)を起こさせる。これにより、渦電流が電磁石10内に発生し易くなり、制動力を高めることができる。そのため、渦電流式減速装置の制動性能を更に向上させることができる。
次に、更に他の実施の形態について説明する。
図4(a)は、他の実施の形態に係る渦電流式減速装置の部分側面断面図である。図4(b)は、図4(a)の実施の形態に係る電磁石支持板及び誘導極部材の展開平面図である。
この実施の形態は、電磁石支持板の外周端面に誘導極部材を設けた点が図1の実施の形態と異なり、その他は同様となっている。よって、図1と同一部材には、同一符号を付して説明を省略し、相違点のみを説明する。
図4(a)及び図4(b)に示すように、各電磁石支持板9の外周端部には、軸方向に延びて形成された誘導極部材13がそれぞれ取り付けられ、且つ、その外周面が制動ドラム6の内周面に対向させて配置されている。この誘導極部材13は、磁性体の材料からなり、回転軸1と同芯的な円筒状に形成されている。軸方向に隣接する誘導極部材13間で、磁束回路を形成することがないように、誘導極部材13間の距離は、制動ドラム6と誘導極部材13との距離より大きくすることが好ましい。誘導極部材13の電磁石支持板9への取付は、ボルトによって固定されても良く、溶接によって固定されても良い。また、電磁石支持板9と誘導極部材13とを一体的に成形しても良い。
電磁石支持板9及び誘導極部材13の外周面には、周方向に所定間隔を隔てて複数の溝9a、13aと、各溝9a、13aで区画された複数の磁極片9b、13bとが形成されている。溝9a、13aの底面は、電磁石支持板9の外周面及び誘導極部材13の外周面に対して平行に形成されている。減速制動時においては、一方の電磁石支持板9の磁極片9b、及び一方の誘導極部材13の磁極片13bが全てN極に磁化されると共に、他方の電磁石支持板9の磁極片9b、及び他方の誘導極部材13の磁極片13bが全てS極に磁化される。
この実施の形態によれば、電磁石支持板9の各溝9a、及び誘導極部材13の各溝13aが、電磁石10と制動ドラム6との間の磁気を断続的に遮断して、磁極変化(強弱)を起こさせる。これにより、渦電流が電磁石10内に発生し易くなり、制動力を高めることができる。また、誘導極部材13を制動ドラム6の内周面に対向させて設けているので、制動ドラム6に対向する電磁石10の磁極面積が、図1の実施の形態に比べて大きくなる。そのため、渦電流式減速装置の制動性能を更に向上させることができる。
ここで、図5に示すように、電磁石支持板9の溝9a及び誘導極部材13の溝13aの底面を、電磁石支持板9の外周面及び誘導極部材13の外周面に対して斜めに形成しても良く、図示はしないが、R形状により形成しても良い。
また、図6(a)及び図6(b)に示すように、図4に示す誘導極部材13を、周方向に所定間隔を隔てて複数の磁極片14aが設けられた櫛状誘導極部材14としても良い。この場合、各櫛状誘導極部材14の磁極片14aは、周方向及び軸方向に互いに接することなく設けられる。図例では、櫛状誘導極部材14の磁極片14aは、曲線により形成されているが、直線で形成されていても良い。
なお、上述の実施の形態においては、回転軸に制動ドラムを取り付け、固定側に電磁石を取り付けるとしたが、図1の実施の形態とは逆に、固定側に制動ドラムを取り付け、回転軸に電磁石を取り付けても良い。このとき、図4〜図6と同様に、電磁石支持板の外周端部に誘導極部材を設けても良く、図3〜図5と同様に、電磁石支持板の外周面及び誘導極部材の外周面に磁極片を設けても良い。
1 回転軸
6 制動ドラム
9 電磁石支持板
9a 溝
9b 磁極片
10 電磁石
11 鉄心
12 電磁コイル
13 誘導極部材
13a 溝
13b 磁極片
6 制動ドラム
9 電磁石支持板
9a 溝
9b 磁極片
10 電磁石
11 鉄心
12 電磁コイル
13 誘導極部材
13a 溝
13b 磁極片
Claims (4)
- 回転軸に取り付けられた制動ドラムと、固定側に上記制動ドラムに対向させて取り付けられ且つ上記回転軸の軸方向に所定間隔を隔てて配置された一対の磁性体からなる環状の電磁石支持板と、これら電磁石支持板間に周方向に所定間隔を隔てて取り付けられた複数の電磁石とを備え、上記電磁石は、上記回転軸の軸方向に延びて形成された鉄心と、該鉄心に巻装した電磁コイルとを備えたことを特徴とする渦電流式減速装置。
- 固定側に取り付けられた制動ドラムと、回転軸に上記制動ドラムに対向させて取り付けられ且つ上記回転軸の軸方向に所定間隔を隔てて配置された一対の磁性体からなる環状の電磁石支持板と、これら電磁石支持板間に周方向に所定間隔を隔てて取り付けられた複数の電磁石とを備え、上記電磁石は、上記回転軸の軸方向に延びて形成された鉄心と、該鉄心に巻装した電磁コイルとを備えたことを特徴とする渦電流式減速装置。
- 上記電磁石支持板の外周端部に、上記制動ドラムに対向させて設けられ且つ軸方向に延びて形成された誘導極部材を設けた請求項1又は2記載の渦電流式減速装置。
- 上記電磁石支持板の外周面及び/又は上記誘導極部材の外周面に、周方向に所定間隔を隔てて複数の溝を設け、各溝で区画された複数の磁極片を形成した請求項1から3いずれか記載の渦電流式減速装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003379955A JP2005143261A (ja) | 2003-11-10 | 2003-11-10 | 渦電流式減速装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003379955A JP2005143261A (ja) | 2003-11-10 | 2003-11-10 | 渦電流式減速装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005143261A true JP2005143261A (ja) | 2005-06-02 |
Family
ID=34689840
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003379955A Pending JP2005143261A (ja) | 2003-11-10 | 2003-11-10 | 渦電流式減速装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005143261A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107866131A (zh) * | 2017-10-30 | 2018-04-03 | 肇庆鼎湖檀树电子科技有限公司 | 废气处理设备 |
CN109873549A (zh) * | 2018-07-13 | 2019-06-11 | 熵零技术逻辑工程院集团股份有限公司 | 一种电磁变速装置 |
-
2003
- 2003-11-10 JP JP2003379955A patent/JP2005143261A/ja active Pending
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