JP4048778B2 - ポールピースの製造方法及びそのポールピースを用いた永久磁石式渦電流減速装置 - Google Patents
ポールピースの製造方法及びそのポールピースを用いた永久磁石式渦電流減速装置 Download PDFInfo
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Description
本発明は、ポールピースの製造方法及びそのポールピースを用いた永久磁石式渦電流減速装置に関するものである。
【従来の技術】
大型車両の摩擦ブレーキを補助する渦電流減速装置は、磁石支持筒の周面に設けられた磁石(永久磁石)群を回動させながら、非制動(制動オフ)と制動(制動オン)との切り換えを行うものであり、ドラム型のものとディスク型のものが挙げられる(特願昭63−127696号および特願昭63−127695号参照)。
ドラム型の永久磁石式渦電流減速装置は、図27に示すように、回転軸271に結合した制動ドラム283と、制動ドラム283の内部に配置され、車体などの非回転部分に固定される非磁性体からなる案内筒(ドラム部材)284と、案内筒284の内空部に配置される可動の磁石支持筒281と、磁石支持筒281の外周面に周方向等間隔に固定配置される多数個の磁石(永久磁石)282と、案内筒284における各永久磁石282と対向する位置に鋳包まれる強磁性板(ポールピース)285とを備えている。また、ディスク型の永久磁石式渦電流減速装置は、図31に示すように、回転軸301に結合した制動円板313,313と、制動円板313,313に対向して配置されると共に車体などの非回転部分に固定され、断面長方形の内空部を有する非磁性体からなる案内筒(ディスク部材)314と、案内筒314の内空部に配置される可動の磁石支持環311と、磁石支持環311の内周部に周方向等間隔に固定配置される多数個の磁石(永久磁石)312と、案内筒314における各永久磁石312と対向する位置に鋳包まれる強磁性板(ポールピース)315とを備えている。
これらの渦電流減速装置270,310の内、渦電流減速装置270においては、制動オンの時、図28に示すように、各永久磁石282(図28中では282a)のN極がドラム部材284の各強磁性板285a〜285d(以下、各ポールピース285と示す(図28中では285b))の部分に位置することで、永久磁石282aとそれに隣接する永久磁石との間に磁気回路M1,M1が形成される。ある永久磁石282のN極から出た磁界が、ロータ283と磁石支持筒281との間に配設されるドラム部材284の各ポールピース285を経てロータ283へと達し、回転するロータ283がこの磁界を横切る時、渦電流に基づく制動力が生じる。
また、制動オフの時、図29に示すように、各永久磁石282(図29中では282a)のN極がドラム部材284の各ポールピース285(図29中では285b,285c)間の非磁性板286(図29中では286b)の部分に位置することで、永久磁石282aとそれに隣接する永久磁石との間に磁気回路M2,M2が形成され、永久磁石282aのN極からの磁束がロータ283に漏れないようになっている。
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般的には各ポールピース285は強磁性材の低炭素鋼で構成され、これらのポールピース285を非磁性材のアルミで鋳包んでいる。この際、バラバラに分離した状態の各ポールピース285をアルミで鋳包むため、各ポールピース285の位置精度の確保、即ちドラム部材284における各ポールピース285間の周方向間隔を等間隔に調整することは困難である。
ここで、ドラム部材284の各ポールピース285間の周方向間隔が等間隔でない場合、具体的には、図30に示すように、ポールピース285b,285cの間隔aとポールピース285c,285dの間隔bとがa>bの場合、制動オフ時において、ポールピース285cにおけるN極とS極との磁気バランスが崩れて、ドラム部材284外側のロータ283へ漏れる磁束の量が増大し、ポールピース285b,285c間の非磁性板286b及びロータ283を通る磁気回路M3が形成される。磁気回路M3が形成された状態でロータ283が回転すると、制動オフ時において引きずりトルクが発生し、燃費の悪化を招くという問題があった。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、各強磁性板の周方向間隔が等間隔なポールピースの製造方法及びそのポールピースを用いた永久磁石式渦電流減速装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明に係るポールピースの製造方法は、回転軸に結合した制動ドラムを有する渦電流減速装置に用いられるポールピースの製造方法において、強磁性材からなるリング部材の外周面又は内周面に長手方向に沿って周方向等間隔に溝部を形成して周方向に本体部と連結部を交互に形成し、このリング部材を非磁性材で鋳包んで鋳包み体を形成し、その鋳包み体の外周面及び内周面を切削すると共に上記連結部を除去することにより、周方向交互に強磁性体と非磁性体とを形成するもの、及び回転軸に結合した制動円板を有する渦電流減速装置に用いられるポールピースの製造方法において、強磁性材からなるリング状の円板部材の一方の端面に径方向に沿って周方向等間隔に溝部を形成して周方向に本体部と連結部を交互に形成し、この円板部材を非磁性材で鋳包んで鋳包み体を形成し、その鋳包み体の軸方向の両端面を切削すると共に上記連結部を除去することにより、周方向交互に強磁性体と非磁性体とを形成するものである。
また、本発明に係るポールピースの製造方法は、回転軸に結合した制動ドラムを有する渦電流減速装置に用いられるポールピースの製造方法において、強磁性材からなる矩形体をリング部材の外周面又は内周面に周方向等間隔に固定し、このリング部材を非磁性材で鋳包んで鋳包み体を形成し、その鋳包み体の外周面及び内周面を切削すると共に上記リング部材を除去することにより、周方向交互に強磁性体と非磁性体とを形成するもの、及び回転軸に結合した制動円板を有する渦電流減速装置に用いられるポールピースの製造方法において、強磁性材からなる矩形体をリング状の円板部材の一方の端面に周方向等間隔に固定し、この円板部材を非磁性材で鋳包んで鋳包み体を形成し、その鋳包み体の軸方向の両端面を切削すると共に上記円板部材を除去することにより、周方向交互に強磁性体と非磁性体とを形成するものである。
また、上記リング部材又は円板部材を、強磁性材の薄板材を積層して形成してもよい。
また、上記強磁性材が、低炭素鋼材又は鋳鋼材であってもよい。
以上の構成によれば、強磁性体の周方向間隔が等間隔なポールピースが得られる。
一方、本発明に係る永久磁石式渦電流減速装置は、前述した本発明に係るポールピースを用いて形成したものである。
以上の構成によれば、制動オフ時において引きずりトルクが発生することがない永久磁石式渦電流減速装置が得られる。
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基いて説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係るポールピースに用いる鋳包み体の横断面図を図1に、図1の2−2線断面図を図2に、図1における鋳包み体の第1変形例を図11に、図1における鋳包み体の第2変形例を図12に、図1における鋳包み体の第3変形例を図13に、図1における鋳包み体の第4変形例を図14に示す。尚、図11〜図14において、図1,図2と同様の部材には同じ符号を付している。
図1に示すように、鋳包み体15に鋳包まれるポールピース粗材11は、強磁性材からなるリング部材であり、その周方向に矩形状の本体部12と連結部13を交互に備えている。ここでいうポールピース粗材11は非磁性材による鋳包みを行う前のものを示しており、後述する強磁性体91が従来でいうポールピースを示している。
また、図2に示すように、ポールピース粗材11の各本体部12における軸方向の少なくとも一方の端面(図2中では両端面16a,16b)は、後述する強磁性体91が径方向内方又は外方(図2中では上方又は下方)へ脱落する(抜ける)のを防ぐために、く字状の傾斜面となっている。同様の理由で、図11に示すように、ポールピース粗材111の各本体部12における周方向の少なくとも一方の端面(図11中では両端面116a,116b)を、く字状の傾斜面に形成してよい。
さらに、図12に示すように、ポールピース粗材121の各本体部12における周方向の少なくとも一方の端面(図12中では両端面126a,126b)を、周方向に傾斜させて形成してもよい。また、図13,図14に示すように、ポールピース粗材131,141の各本体部12間に強磁性材からなる突起部132,142を配置してもよい。この突起部132,142は、ポールピース粗材131,141と一体又は別体のいずれであってもよい。
ポールピース粗材11を構成する強磁性材としては、電気抵抗の少ない低炭素鋼材や、コスト低減を図ることが可能な鋳鋼材が挙げられる。
ポールピース粗材11の製造方法としては、以下に示す方法が挙げられる。
(1) 強磁性材で形成したリング部材の外周面又は内周面に長手方向に沿って周方向等間隔に溝部を切削形成し、本体部12と連結部13とを一体に形成する。
(2) 目的とするポールピース粗材と略同形状のリング部材を鋳鋼で形成し、適宜、連結部13の寸法精度向上のための切削加工を施し、本体部12と連結部13とを一体に形成する。
(3) 強磁性材で形成したリング部材の外周面にロール鍛造を施して、その外周面に長手方向に沿って周方向等間隔に溝部を形成し、更に溝部の仕上げ加工として切削加工を施し、本体部12と連結部13とを一体に形成する。
(4) 加工用薄鋼板(薄板材;例えば、電磁鋼板、一般用リムド鋼板(SPCC)等)を積層プレスして、本体部12と連結部13とを一体に形成する。この場合、ポールピース粗材11における軸方向断面が同一となるように積層される。電磁鋼板でポールピース粗材を形成した場合、各鋼板間のシール性を確保すべく、各鋼板間及び/又はポールピース粗材の外周部に耐熱性のシール剤や含浸剤を含浸させるのが好ましい。
次に、第1の実施の形態の作用を説明する。
図1の鋳包み体に切削加工を施してなるドラム部材の横断面図を図9に、図9の部分斜視図を図10に示す。
得られたポールピース粗材11を、非磁性材、例えばAl又はAl合金(以下、アルミと示す)14で鋳包んでリング状の鋳包み体15を作製し、その鋳包み体15の外周面及び内周面に切削加工を施し、深さD1,D2の位置まで切削する(図1、図2参照)。これによって、連結部13によって連結された各本体部12が分離され、図9、図10に示すように、周方向交互に強磁性体91と非磁性体92とを備えた本実施の形態に係るポールピースであるドラム部材(案内筒)90が得られる。
ここで、切削加工の際、ポールピース粗材11における各本体部12の形状を適宜変更することで、ポールピースの切削代を可能な限り少なくすることができる。鋳包み体に鋳包まれるポールピース粗材の部分斜視図を図3に、図3におけるポールピース粗材の変形例を示す部分斜視図を図3〜図8に示す。尚、図1及び図2と同様の部材には同じ符号を付している。
具体的には、図3に示すように、ポールピース粗材11における連結部13は最内面(図中では最下面)の軸方向両端に平行リング部13a,13bとして形成され、本体部12の最外面(図中では最上面)の突出部22は、軸方向一端に形成され、周方向に平行な直線状を呈している。
また、図4に示すように、ポールピース粗材41における連結部13は最内面(図中では最下面)の軸方向全長に亘ってリング部13cとして形成され、本体部12の最外面(図中では最上面)の突出部42は、軸方向一端に形成され、周方向に平行な直線状を呈していてもよい。
また、図5に示すように、ポールピース粗材51における連結部13は最内面(図中では最下面)の軸方向両端に平行リング部13a,13bとして形成され、本体部12の最外面(図中では最上面)の突出部52a,52bは、軸方向両端に形成され、周方向に平行な直線状を呈していてもよい。
また、図6に示すように、ポールピース粗材61における連結部13は最内面(図中では最下面)の軸方向両端に平行リング部13a,13bとして形成され、本体部12の最外面(図中では最上面)の突出部62はT字状を呈していてもよい。
また、図7に示すように、ポールピース粗材71における連結部13は最内面(図中では最下面)の軸方向全長に亘ってリング部13cとして形成され、本体部12の最外面(図中では最上面)の突出部72はT字状を呈していてもよい。
また、図8に示すように、ポールピース粗材81における連結部13は最外面(図中では最上面)の軸方向両端に平行リング部13a,13bとして形成され、本体部12の最内面(図中では最下面)の突出部82a,82bは、軸方向両端に形成され、周方向に平行な直線状を呈していてもよい。即ち、図8のポールピース粗材81は、図5のポールピース粗材51の上下の構造が逆になったものである。
即ち、各ポールピース粗材11、41〜81における連結部13の形状・数、連結部13の形成位置(最内面及び最外面の両方に形成してもよい)、最外面又は最内面の突出部22、42、52a,52b、62、72、82a,82bの形状は任意であり、これらの連結部及び突出部と、本体部12の最内面及び最外面の一部(表層部)とが、切削代となる。
本実施の形態に用いるポールピース粗材11によれば、各本体部12が連結部13により一体に繋がっており、この状態のまま鋳包みを行うため、鋳包み時における各本体部12の位置精度の確保が容易であると共に、鋳包み作業性も良好である。その結果、各強磁性体91間の周方向間隔を調整することなく、各強磁性体91間の周方向間隔が等間隔なドラム部材90を得ることができる。
また、このドラム部材90を、例えば、図27に示した渦電流減速装置270の案内筒284として適用した場合、ドラム部材90における各強磁性体91間の周方向間隔が等間隔であるため、制動オフ時に、ドラム部材90の周方向の一部において、各強磁性体91間の非磁性体92を通ってロータへ漏れる磁束の量が多くなるということはない。よって、制動オフ時において引きずりトルクが発生するということはなく、燃費の向上を図ることができる。このドラム部材90が適用可能な渦電流減速装置としては、慣用のドラム型の渦電流減速装置であれば特に限定するものではない。
さらに、ポールピース粗材11の各本体部12における軸方向の端面16a,16b及び/又はポールピース粗材111の各本体部12における周方向の両端面116a,116bをく字状の傾斜面に形成しているため(図2、図11参照)、ドラム部材90における各強磁性体91の脱落(抜け)を防ぐことができる。
また、ポールピース粗材121の各本体部12における周方向の両端面126a,126bを周方向に傾斜させて形成することで(図12参照)、また、ポールピース粗材131,141の各本体部12間に強磁性材からなる突起部132,142を配置することで(図13、図14参照)、各強磁性体91間の非磁性体92を通ってロータへ漏れる磁束の量を更に抑えることができる。
次に、本発明の他の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係るポールピースに用いるポールピース粗材の部分斜視図を図15に、図15のポールピース粗材を用いた鋳包み体の部分斜視図を図16に、図16の鋳包み体に切削加工を施してなるディスク部材の部分斜視図を図17に示す。
図15に示すように、ポールピース粗材151は、強磁性材からなるリング状の円板部材であり、その周方向に矩形状の本体部152と連結部153とを交互に備えている。
また、後述する強磁性体171が軸方向(図15中では上下方向)へ脱落する(抜ける)のを防ぐために、ポールピース粗材151の各本体部152における周方向の端面(図15中の左右の端面)156a,156bを、く字状に傾斜させて形成してもよい。また、同様の理由で、ポールピース粗材151の各本体部152における径方向の端面157a,157bを、く字状に傾斜させて形成してもよい。
さらに、ポールピース粗材151の各本体部152における周方向の少なくとも一方の端面(図15中の端面156a,156b)を、周方向に傾斜させて形成してもよい。また、ポールピース粗材151の各本体部152間に強磁性材からなる突起部(図示せず)を配置してもよい。この突起部は、ポールピース粗材151と一体又は別体のいずれであってもよい。
ポールピース粗材151の製造方法としては、前実施の形態に用いるポールピース粗材11と同様の製造方法が適用可能である。
得られたポールピース粗材151を、図16に示すように、非磁性材、例えばアルミ154で鋳包んでリング状の鋳包み体155を作製し、その鋳包み体155の軸方向の両端面に切削加工を施し、深さD1,D2の位置まで切削する。これによって、連結部153によって連結された各本体部152が分離され、図17に示すように、周方向交互に強磁性体171と非磁性体172とを備えた本実施の形態に係るポールピースであるディスク部材170が得られる。
本実施の形態に用いるポールピース粗材151においても、前実施の形態に用いるポールピース粗材11と同様の作用効果が得られる。
また、このディスク部材170を、例えば、図31に示した渦電流減速装置310の案内筒314として適用した場合、ディスク部材170における各強磁性体171間の周方向間隔が等間隔であるため、制動オフ時に、ディスク部材170の周方向の一部において、各強磁性体171間の非磁性体172を通ってロータへ漏れる磁束の量が多くなるということはない。よって、制動オフ時において引きずりトルクが発生するということはなく、燃費の向上を図ることができる。このディスク部材170が適用可能な渦電流減速装置としては、慣用のディスク型の渦電流減速装置であれば特に限定するものではない。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係るポールピースに用いるポールピース粗材の横断面図を図18に、図18の19方向矢視平面図を図19に、図19におけるリング部材の変形例を図20に示す。
図18、図19に示すように、ポールピース粗材181は、強磁性材からなる多数個の矩形体182を、強磁性材又は非磁性材からなるリング部材183の外周面(又は内周面)に溶接又はカシメ等により周方向等間隔に仮止め(固定)したものであり、矩形体(本体部)182とリング部材(連結部)183とが仮止め部184により仮止めされた別体のものである。
矩形体182は、鋳鋼により、又は加工用薄鋼板(電磁鋼板など)を積層プレスすることにより形成される。
ポールピース粗材181におけるリング部材183の形状(本数)は特に限定するものではなく、図19に示した幅の広い1本のリング部材183の他に、図20に示すように幅の狭い2本以上(図20中では2本)のリング部材203a,203bを用いてポールピース粗材201を形成してもよい。これらの複数本のリング部材は、周方向の一部においてそれぞれが連結していてもよい。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係るポールピースに用いるポールピース粗材の横断面図を図21に、図21の22方向矢視図を図22(a)に、図22(a)の22b−22b線断面図を図22(b)に、図22(b)における仮止めリング部材とリング部材との仮止め状態の変形例を図23に示す。
図21、図22に示すように、ポールピース粗材211は、強磁性材からなる多数個の矩形体212を、強磁性材又は非磁性材からなるリング部材213の外周面(又は内周面)に仮止め(固定)された仮止めリング部材215a,215bに周方向等間隔に圧入(固定)したものであり、矩形体(本体部)212とリング部材(連結部)213とが仮止めリング部材215a,215bを介して仮止めされた別体のものである。
仮止めリング部材215a,215bは、溶接又はカシメ等による仮止め部214により、リング部材213の外周面(又は内周面)に仮止め(固定)されており、これらの仮止めリング部材215a,215bが、各矩形体212の圧入側面(図22(b)では下面)に形成された溝222,222に圧入される。ここで、仮止めリング部材215a,215bは、その全体を矩形体212の溝222,222に圧入する(図22(b)参照)他に、図23に示すように、仮止めリング部材215a,215bの一部をリング部材213の外周面(図23では上面)に形成された溝233,233に圧入すると共に、残部を各矩形体212の圧入側面(図23では下面)に形成された溝232,232に圧入するようにしてもよい。この場合、仮止めリング部材215a,215bとリング部材213とを仮止めするための仮止め部は必要としなくなる。
仮止めリング部材215a,215bの構成材は、強磁性材又は非磁性材(例えばステンレス鋼など)のいずれであってもよい。ここで、仮止めリング部材215a,215bを非磁性材で形成した場合、各本体部212の溝222,222(又は232,232)内に圧入された仮止めリング部材215a,215bは、後述するドラム部材製造の際の切削時に全て切削しなくてもよい。
また、仮止めリング部材215a,215b及び溝222,222,232,232,233,233の断面形状は、図22(b)、図23に示した円形状の他に、楕円形状、矩形形状、多角形形状などが挙げられ、特に限定するものではない。
これらの第3及び第4の実施の形態に用いるポールピース粗材181,201,211,231を、第1の実施の形態に用いるポールピース粗材11と同様に、非磁性材、例えばアルミで鋳包んでリング状の鋳包み体を作製し、それらの鋳包み体の外周面及び内周面に切削加工を施すことで、ドラム部材(案内筒)が得られる。
また、第3及び第4の実施の形態に用いるポールピース粗材181,201,211,231においても、第1の実施の形態に用いるポールピース粗材11の構成(本体部の形状、突起部の有無など)が全て適用可能である。
第3及び第4の実施の形態に用いるポールピース粗材181,201,211,231においても、第1の実施の形態に用いるポールピース粗材11と同様の作用効果が得られる。また、第3及び第4の実施の形態によれば、従来のポールピースを本発明に適用することができ、即ちポールピース粗材181,201,211,231の製造に既存の設備を適用することができるため、従来のポールピースと比較して製造コストが大幅に上昇することはない。
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態に係るポールピースに用いるポールピース粗材の部分斜視図を図24に、図24における円板部材の変形例を図25に示す。
図24に示すように、ポールピース粗材241は、強磁性材からなる多数個の矩形体242を、強磁性材又は非磁性材からなるリング状の円板部材243の一方の端面(図24中では上面)に周方向等間隔に仮止め(固定)したものであり、矩形体(本体部)242と円板部材(連結部)243とが仮止め部244により仮止めされた別体のものである。
矩形体242は、鋳鋼により、又は加工用薄鋼板を積層プレスすることにより形成される。
ポールピース粗材241における円板部材243の形状(本数)は特に限定するものではなく、図24に示した幅の広い1枚の円板部材243の他に、図25に示すように幅が狭く、かつ、径の異なる2本以上(図25中では2本)のリング部材253a,253bを用いてポールピース粗材251を形成してもよい。これらの複数枚の円板部材は、周方向の一部においてそれぞれが連結していてもよい。
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態に係るポールピースに用いるポールピース粗材の部分斜視図を図26に示す。
図26に示すように、ポールピース粗材261は、強磁性材からなる多数個の矩形体262を、強磁性材又は非磁性材からなるリング状の円板部材263の一方の端面(図26中では上面)に仮止め(固定)された径の異なる仮止めリング部材265a,265bに、周方向等間隔に圧入(固定)したものであり、矩形体(本体部)262と円板部材(連結部)263とが仮止めリング部材265a,265bを介して仮止めされた別体のものである。仮止めリング部材265aは円板部材263の内周側に、仮止めリング部材265bは円板部材263の外周側に仮止め(固定)される。
仮止めリング部材265a,265bは、溶接又はカシメ等による仮止め部264により、円板部材263の上面に仮止め(固定)されており、これらの仮止めリング部材265a,265bが、各矩形体262の圧入側面(図26では下面)に形成された溝268,268に圧入される。ここで、仮止めリング部材265a,265bは、その全体を矩形体262の溝268,268に圧入する他に、仮止めリング部材265a,265bの一部を円板部材263の上面に形成された溝269,269に圧入すると共に、残部を各矩形体262の圧入側面に形成された溝268,268に圧入するようにしてもよい。この場合、仮止めリング部材265a,265bと円板部材263とを仮止めするための仮止め部は必要としなくなる。
仮止めリング部材215a,215bの構成材は、強磁性材又は非磁性材(例えばステンレス鋼など)のいずれであってもよい。ここで、仮止めリング部材215a,215bを非磁性材で形成した場合、各本体部212の溝222,222(又は232,232)内に圧入された仮止めリング部材215a,215bは、後述するディスク部材製造の際の切削時に全て切削しなくてもよい。
また、仮止めリング部材265a,265b及び溝268,268,269,269の断面形状は、図26に示した円形状の他に、楕円形状、矩形形状、多角形形状などが挙げられ、特に限定するものではない。
第5及び第6の実施の形態に用いるポールピース粗材241,251,261を、第2の実施の形態に用いるポールピース粗材151と同様に、非磁性材、例えばアルミで鋳包んでリング状の鋳包み体を作製し、それらの鋳包み体の外周面及び内周面に切削加工を施すことで、ディスク部材(案内筒)が得られる。
また、第5及び第6の実施の形態に用いるポールピース粗材241,251,261においても、第2の実施の形態に用いるポールピース粗材151の構成(本体部の形状、突起部の有無など)が全て適用可能である。
第5及び第6の実施の形態に用いるポールピース粗材241,251,261においても、第2の実施の形態に用いるポールピース粗材151と同様の作用効果が得られる。また、第5及び第6の実施の形態によれば、従来のポールピースを本発明に適用することができ、即ちポールピース粗材241,251,261の製造に既存の設備を適用することができるため、従来のポールピースと比較して製造コストが大幅に上昇することはない。
以上、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。
(1) 本体部又は矩形体(強磁性体)の周方向間隔が等間隔なポールピースが得られる。
(2) 制動オフ時において引きずりトルクが発生することがない永久磁石式渦電流減速装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態に係るポールピースに用いる鋳包み体の横断面図である。
【図2】 図1の2−2線断面図である。
【図3】 鋳包み体に鋳包まれるポールピース粗材の部分斜視図である。
【図4】 図3におけるポールピース粗材の第1変形例を示す部分斜視図である。
【図5】 図3におけるポールピース粗材の第2変形例を示す部分斜視図である。
【図6】 図3におけるポールピース粗材の第3変形例を示す部分斜視図である。
【図7】 図3におけるポールピース粗材の第4変形例を示す部分斜視図である。
【図8】 図3におけるポールピース粗材の第5変形例を示す部分斜視図である。
【図9】 図1の鋳包み体に切削加工を施してなるドラム部材の横断面図である。
【図10】 図9の部分斜視図である。
【図11】 図1における鋳包み体の第1変形例を示す横断面図である。
【図12】 図1における鋳包み体の第2変形例を示す横断面図である。
【図13】 図1における鋳包み体の第3変形例を示す横断面図である。
【図14】 図1における鋳包み体の第4変形例を示す横断面図である。
【図15】 第2の実施の形態に係るポールピースに用いるポールピース粗材の部分斜視図である。
【図16】 図15のポールピース粗材を用いた鋳包み体の部分斜視図である。
【図17】 図16の鋳包み体に切削加工を施してなるディスク部材の部分斜視図である。
【図18】 第3の実施の形態に係るポールピースに用いるポールピース粗材の横断面図である。
【図19】 図18の19方向矢視平面図である。
【図20】 図19におけるリング部材の変形例を示す平面図である。
【図21】 第4の実施の形態に係るポールピースに用いるポールピース粗材の横断面図である。
【図22】 図22(a)は図21の22方向矢視図、図22(b)は図22(a)の22b−22b線断面図である。
【図23】 図22(b)における仮止めリング部材とリング部材との仮止め状態の変形例を示す横断面図である。
【図24】 第5の実施の形態に係るポールピースに用いるポールピース粗材の部分斜視図である。
【図25】 図24における円板部材の変形例を示す部分斜視図である。
【図26】 第6の実施の形態に係るポールピースに用いるポールピース粗材の部分斜視図である。
【図27】 ドラム型の永久磁石式渦電流減速装置の側面断面図である。
【図28】 図27の永久磁石式渦電流減速装置における制動オン時の28−28線断面図である。
【図29】 図27の永久磁石式渦電流減速装置における制動オフ時の29−29線断面図である。
【図30】 図29におけるポールピースの周方向間隔が等間隔でない場合の横断面図である。
【図31】 ディスク型の永久磁石式渦電流減速装置の側面断面図である。
【符号の説明】
11,41〜81,111〜151,181,201,211,231〜261 ポールピース粗材
12,152 本体部
13,153 連結部
90 ドラム部材
170 ディスク部材
182,212,242,262 矩形体
183,203a,203b,213 リング部材
243,253a,253b,263 円板部材
Claims (8)
- 回転軸に結合した制動ドラムを有する渦電流減速装置に用いられるポールピースの製造方法において、強磁性材からなるリング部材の外周面又は内周面に長手方向に沿って周方向等間隔に溝部を形成して周方向に本体部と連結部を交互に形成し、このリング部材を非磁性材で鋳包んで鋳包み体を形成し、その鋳包み体の外周面及び内周面を切削すると共に上記連結部を除去することにより、周方向交互に強磁性体と非磁性体とを形成することを特徴とするポールピースの製造方法。
- 回転軸に結合した制動円板を有する渦電流減速装置に用いられるポールピースの製造方法において、強磁性材からなるリング状の円板部材の一方の端面に径方向に沿って周方向等間隔に溝部を形成して周方向に本体部と連結部を交互に形成し、この円板部材を非磁性材で鋳包んで鋳包み体を形成し、その鋳包み体の軸方向の両端面を切削すると共に上記連結部を除去することにより、周方向交互に強磁性体と非磁性体とを形成することを特徴とするポールピースの製造方法。
- 回転軸に結合した制動ドラムを有する渦電流減速装置に用いられるポールピースの製造方法において、強磁性材からなる矩形体をリング部材の外周面又は内周面に周方向等間隔に固定し、このリング部材を非磁性材で鋳包んで鋳包み体を形成し、その鋳包み体の外周面及び内周面を切削すると共に上記リング部材を除去することにより、周方向交互に強磁性体と非磁性体とを形成することを特徴とするポールピースの製造方法。
- 回転軸に結合した制動円板を有する渦電流減速装置に用いられるポールピースの製造方法において、強磁性材からなる矩形体をリング状の円板部材の一方の端面に周方向等間隔に固定し、この円板部材を非磁性材で鋳包んで鋳包み体を形成し、その鋳包み体の軸方向の両端面を切削すると共に上記円板部材を除去することにより、周方向交互に強磁性体と非磁性体とを形成することを特徴とするポールピースの製造方法。
- 上記リング部材を、強磁性材の薄板材を積層して形成した請求項1記載のポールピースの製造方法。
- 上記円板部材を、強磁性材の薄板材を積層して形成した請求項2記載のポールピースの製造方法。
- 上記強磁性材が、低炭素鋼材又は鋳鋼材である請求項1から6いずれかに記載のポールピースの製造方法。
- 請求項1から7いずれかに記載のポールピースを用いて形成したことを特徴とする永久磁石式渦電流減速装置。
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