JP3765291B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に減速制動を与える渦電流式減速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石を用いたドラム構造の渦電流式減速装置としては、特開平1−298948号(特願昭63−127696号)公報記載のものが知られている。
【0003】
図11及び図12に示すように、この渦電流式減速装置90は、車両の駆動軸(図示せず)と一体に回転するドラム状のロータ91と、ロータ91に減速制動力を与えるべくロータ91の内周に沿って配置されるステータ(磁力源)92とを備えて構成されている。
【0004】
ステータ92は、周方向に所定の間隔を隔てて整列された複数の永久磁石93を有し回動自在に設けられた磁石環94と、磁石環94とロータ91の間に介設され磁石環94が相対的に回動されることで永久磁石93からの磁気をロータ91に切換自在に伝えるスイッチ部95と、磁石環94を回動させるアクチュエータ(図示せず)とを有する。
【0005】
磁石環94は、ヨーク96の外周に沿って複数の永久磁石93を磁極を径方向に向け、かつ、その極性を交互に反転させるように整列して形成されている。スイッチ部95は、弧状に形成された磁性部材からなるポールピース97と非磁性部材98とを周方向に交互に連結して形成されている。
【0006】
図11に示すように、渦電流式減速装置90は、磁石環94を回動させ、永久磁石93とポールピース97の周方向の位置を合わせることで永久磁石93とロータ91との間にN極とS極とを結ぶ磁気回路99を形成し、ロータ91に渦電流を発生させて駆動軸を減速制動するようになっている。
【0007】
そして、図12に示すように、永久磁石93が隣り合うポールピース97間に跨るように磁石環94を回動させることで、永久磁石93の磁気がポールピース97によって遮蔽される短絡回路100を形成し、駆動軸の減速制動を解除するようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、永久磁石93をヨーク96の外周に並べるだけの構造では永久磁石93の設置スペースが小さく、制動力を大きく向上させることができなかった。
【0009】
また、上述のように永久磁石93の磁気をポールピース97によって遮蔽した場合であっても、磁気がポールピース97からロータ91に洩れ、ひきずりトルクが発生してしまうという課題があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、制動力を大きく向上させることができ、ひきずりトルクの発生を防ぐことができる渦電流式減速装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、回転軸に取り付けられたロータと、このロータに対向させて配置され、周方向に所定のピッチを隔てて且つ上記ロータに向く磁極を交互に反転させて整列された複数の永久磁石及びこれら永久磁石の磁極のうち上記ロータの反対側に向く磁極同士を連結する磁性部材を有する磁石環と、この磁石環と上記ロータとの間に配置され、周方向に所定のピッチを隔てて且つ周方向に向き合う磁極が同極に設定された複数の永久磁石およびこれら永久磁石を保持する磁性部材を有する磁性環とを備え、上記磁石環及び磁性環の少なくとも一方を回動自在としたものである。
【0012】
磁石環及び磁性環の少なくとも一方を回動させ、磁性環の周方向に同極を向かい合わせて隣り合う永久磁石間に、磁石環の永久磁石のうち上記極と同極である面を上記ロータに向けるものを等間隔に挟む位相にすることにより、磁性環及び磁石環の永久磁石から発せられる磁気をそれぞれロータに伝えることができ、回転軸を高い磁束密度で強力に減速制動できる。
【0013】
他方、磁性環の周方向に同極を向かい合わせて隣り合う永久磁石間に、磁石環の永久磁石のうち異極を上記ロータに向けるものを等間隔に挟む位相にすることにより、磁石環と磁性環の永久磁石を相互に磁気短絡させることができ、ロータへの磁気洩れを防いでひきずりトルクの発生を防ぐことができる。
【0014】
また、上記磁石環及び磁性環の少なくとも一方を回動させるアクチュエータであって、互いの相対位置を、周方向に同極を向かい合わせて隣り合う磁性環の永久磁石間にこの極と同極である面が上記ロータ側に向かう磁石環の永久磁石を挟む制動位置と、この制動位置から周方向に1/2ピッチを超え、かつ1ピッチに満たない所定の回動幅だけ上記磁石環と上記磁性環とがずれた非制動位置とのいずれかに設定するアクチュエータを備えるとよい。
【0015】
磁性環の永久磁石を磁石環の永久磁石より小さく磁力の弱いものにでき、磁性環の径方向の厚さを薄く設定できる。
【0016】
上記非制動位置は、上記制動位置から周方向に略2/3ピッチずれた位置に設定されることが好ましい。
【0017】
上記磁性環は、弧状に形成された複数の磁性ブロックと、これら磁性ブロックの周方向の端部同士を永久磁石を保持しつつ連結する連結具とを備えて構成されるとよい。
【0018】
また、上記磁性環の磁性部材は、環状に形成され、上記永久磁石を埋め込んで固定するための埋込穴を有するものであってもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の好適実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0020】
図3は本実施形態に係る渦電流式減速装置をロータの径方向外側から見た側断面図である。図1はロータに磁気を及ぼして減速制動している渦電流式減速装置を駆動軸の軸端側から見た正面断面図である。
【0021】
図3に示すように、渦電流式減速装置1は、車両の駆動軸等の動力伝達系の回転軸2に取り付けられたドラム状のロータ3と、ロータ3の内周に沿って配置され変速機等の固定系(図示せず)に取り付けられたステータ(磁力源)4とを有し、ステータ4からロータ3へ磁気を供給することでロータ3に渦電流を生じさせて回転軸2を減速制動し、磁気をステータ4内に遮蔽することで減速制動を解除するようになっている。
【0022】
ステータ4は、固定系に支持され中空環状に形成されたケーシング5と、ケーシング5の内部にブッシュ6を介して同軸回り回動自在に収容され複数の永久磁石7を有する磁石環8と、磁石環8とロータ3との間に位置するようにケーシング5の外周部に一体的に設けられ複数の永久磁石9を有する磁性環10と、磁石環8を回動させるアクチュエータ(流体シリンダ等)11とを備えて構成されている。
【0023】
図1に示すように、磁石環8は、ブッシュ6の外周側に係合され磁性体(電磁鋼板の積層体や鉄のブロック材等)からなる支持リング12と、支持リング12の外周に周方向に所定のピッチ(間隔)を隔てて取り付けられロータ3に対向して配置される複数の永久磁石7とからなる。
【0024】
具体的には、永久磁石7はそれぞれ磁極を径方向に向け、かつ、交互に反転させて周方向に整列されている。すなわち、各永久磁石7は、径方向の外側端と内側端にそれぞれ磁極を有し、周方向に隣接する磁極同士が互いに逆極性となるように配置されている。
【0025】
また、周方向に隣り合う永久磁石7同士の間にはそれぞれ空間13が形成されており、永久磁石7から発せられる磁気を短絡させないようになっている。
【0026】
磁性環10は、磁性体(例えば、軟磁性材:鉄のブロック材、積層電磁鋼板等)からなる環状の磁性部材14の内部に、周方向に所定のピッチ(間隔)を隔てて複数の永久磁石9を埋設して構成されており、磁性部材14にてポールピースを形成するようになっている。永久磁石9は、特にロータ3側の面を覆われて保持されるように埋設されている。
【0027】
磁性環10の永久磁石9は、磁石環8の永久磁石7と同数となるように設定されており、それぞれ磁石環8の永久磁石7と一対一に対応するようになっている。そして磁石環8を回動させることにより、互いに対応する永久磁石7,9同士の相対位相を一括して変えられるようになっている。
【0028】
また、磁性環10の永久磁石9は、それぞれ磁石環8の永久磁石7と同じ強さの磁気を発するように設定されており、それぞれ周方向に向き合う磁極が同極となるように配置されている。
【0029】
磁性部材14は、各永久磁石9の間にロータ3側(径方向外方)に突起する凸部15を有し、減速制動時に磁性環10と磁石環8から発せられる磁気をロータ3側に効率よく伝えるようになっている。また、磁性部材14のロータ3側を覆う被覆部16は、十分薄く形成されてロータ3から離間されている。
【0030】
そして、アクチュエータ11は、磁石環8を回動させ、磁性環10の周方向に同極を向かい合わせて隣り合う永久磁石9間に、磁石環8の永久磁石7のうち上記極と同極である面(磁極)を径方向外方(ロータ3側)へ向けるものを等間隔に挟む位相(制動位置)と、異極を径方向外方へ向けるものを等間隔に挟む位相(非制動位置)とのいずれかに設定できるように形成されている。
【0031】
次に作用を述べる。
【0032】
渦電流式減速装置1の減速制動をオンするときには、図3に示すアクチュエータ11で磁石環8を回動させ、図1に示すように磁性環10の周方向に同極を向かい合わせて隣り合う永久磁石9間に、磁石環8の永久磁石7のうち上記極と同極である面を径方向外方へ向けるものを等間隔に挟む位相にする。
【0033】
磁性環10及び磁石環8の永久磁石7,9から発せられる磁気は互いに反発しながら磁性環10の凸部15を通じてロータ3へ伝わり、それぞれステータ4とロータ3とを接続する磁気回路17,18を構成する。ロータ3には渦電流が発生し、回転軸2が減速制動される。
【0034】
このとき、磁石環8と磁性環10の永久磁石7,9から発せられるそれぞれの磁気がロータ3に伝わるため、ロータ3に伝わる磁気密度は上述の従来型渦電流式減速装置と比べて格段に高く、強い制動力を得られる。
【0035】
他方、減速制動をオフするときには、図2に示すように磁石環8を回動させ、磁性環10の周方向に同極を向かい合わせて隣り合う永久磁石9間に、磁石環8の永久磁石7のうち異極を径方向外方へ向けるものを等間隔に挟む位相にする。すると、磁石環8の永久磁石7と磁性環10の永久磁石9とは相互に磁気短絡され、遮蔽磁気回路19が構成される。
【0036】
略同じ強さの永久磁石7,9同士が相互に磁気短絡されることから、ロータ3への磁気洩れはなく、ひきずりトルクの発生を防ぐことができる。また特に、磁性環10の被覆部16はロータ3から十分離間されているため、永久磁石9から洩れた微弱な磁気もロータ3へ伝わることなく被覆部16を通じて磁気短絡される。
【0037】
このように、回転軸2に取り付けられたロータ3と、ロータ3に対向させて配置され、周方向に所定のピッチを隔てて且つロータ3に向く(径方向に向く)磁極を交互に反転させて整列された複数の永久磁石7及びこれら永久磁石7の磁極のうちロータ3の反対側(径方向内側)に向く磁極同士を磁気的に連結する磁性部材14を有する磁石環8と、磁石環8とロータ3との間に配置され、周方向に所定のピッチを隔てて且つ周方向に向き合う磁極が同極に設定された複数の永久磁石9およびこれら永久磁石9をロータ3側を覆って保持する磁性部材14を有する磁性環10とを備え、磁石環8及び磁性環10の少なくとも一方を回動自在として渦電流式減速装置1を構成したため、制動力を大きく(単位周長当たり約2倍)向上させることができると共に、ひきずりトルクの発生を防ぐことができる。
【0038】
なお、磁石環8は各永久磁石7間に空間13を形成するものとしたがこれに限るものではなく、永久磁石7間にオーステナイト系ステンレス等の非磁性体(図示せず)を設けて磁気的に隔絶してもよい。
【0039】
また、アクチュエータ11で磁石環8を回動するものとしたが、磁石環8の代わりに磁性環10を回動するものとしてもよく、磁石環8と磁性環10の両方を回動するようにしてもよい。
【0040】
そして、ステータ4はロータ3の内周に沿って配置するものとしたがこれに限るものではなく、ロータに沿っていれば図9に示すようにロータ20の外周側にステータ21を沿わせてもよい。
【0041】
また、図10に示すようにロータ22の軸側にステータ23を沿わせてもよい。この場合、上述の実施の形態と同様に磁石環24の永久磁石25をロータ22に対向させ、磁石環24とロータ22の間に磁性環26を配置する。磁石環24の永久磁石25は、磁極を軸方向に向かせるとよい。
【0042】
次に磁性環10の径方向の厚さを十分に厚くとれない場合の他の実施の形態について述べる。上述の磁性環10とアクチュエータ11の構成について変更を加えたものであり、それ以外の構成については、サイズを若干調整されている以外は同様であるため、同符号を付し説明を省略する。
【0043】
図4は、ロータ3に磁気を及ぼして減速制動している渦電流式減速装置40を回転軸2の軸端側から見た正面断面図である。
【0044】
図4に示すように、磁性環41は、上述の磁性部材14よりも径方向に肉薄に形成した磁性部材42の内部に、上述の永久磁石9よりも径方向に肉薄の永久磁石43を同様の配置で埋設して構成されている。
【0045】
磁性部材42は上述のものと同様にロータ3側に突起する凸部44を有し、被覆部45を十分薄く形成されている。
【0046】
また、磁性環41の永久磁石43は、上述のものより小さくなっているためそれぞれ磁石環8の永久磁石7より磁力が弱くなっている。
【0047】
アクチュエータ(図示せず)は、磁石環8を回動させ、磁性環41の周方向に同極を向かい合わせて隣り合う永久磁石43間に、磁石環8の永久磁石7のうち上記極と同極である面をロータ3側へ向ける永久磁石7を等間隔に挟む位相(制動位置)と、この位相から周方向に略2/3ピッチずれた位相(非制動位置)とのいずれかに設定するように形成されている。
【0048】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0049】
渦電流式減速装置40の減速制動をオンするときには、アクチュエータで磁石環8を回動させ、図4に示すように磁性環41の周方向に同極を向かい合わせて隣り合う永久磁石43間に、磁石環8の永久磁石7のうち上記極と同極である面を径方向外方(ロータ3側)へ向けるものを等間隔に挟む位相にする。
【0050】
磁性環41及び磁石環8の永久磁石43,7から発せられる磁気は互いに反発しながら磁性環41の凸部44を通じてロータ3へ伝わり、それぞれステータ46とロータ3とを接続する磁気回路47,48を構成する。ロータ3には渦電流が発生し、回転軸2が減速制動される。
【0051】
他方、渦電流式減速装置40の減速制動をオフするときには、図5に示すように磁石環8を回動させ、制動位置から周方向に略2/3ピッチずれた位相にする。すると、磁石環8の永久磁石7と磁性環41の永久磁石43とが相互に磁気短絡されて磁石環8の永久磁石7と磁性環41の永久磁石43との間に第1の遮蔽磁気回路49が構成されると共に、磁石環8の永久磁石7と磁性環41の磁性部材42との間に第2の遮蔽磁気回路50が構成される。
【0052】
磁石環8の永久磁石7から発せられる磁気のうち、磁性環41の永久磁石43と磁気短絡されないものについては磁性環41の磁性部材42との間に第2遮蔽磁気回路50を構成して磁気短絡されることから、ロータ3へ磁気が洩れることはなく、引きずりトルクの発生を防ぐことができる。
【0053】
また、磁石環8の永久磁石7は、非制動位置に設定されたときに磁性環41の永久磁石43の位置から周方向にはみ出すように周方向に十分長く形成されているため、磁気飽和され難い磁性部材42の厚い部分(永久磁石43がない部分)に第2遮蔽磁気回路50を構成することができる。
【0054】
このように、磁石環8を回動させ、磁性環41の周方向に同極を向かい合わせて隣り合う永久磁石43間に、磁石環8の永久磁石7のうち上記極と同極である面がロータ3側に向かう永久磁石7を等間隔に挟む位相(制動位置)と、この位相から周方向に略2/3ピッチ磁石環8と磁性環41とがずれた位相(非制動位置)とのいずれかに設定するアクチュエータを備えたため、磁性環41の永久磁石43を磁石環8の永久磁石7より磁力の弱いものに設定してもひきずりトルクの発生を防ぐことができ、制動力を大きく向上させることができる。
【0055】
なお、磁性環41の永久磁石43の周囲が磁気的に飽和され易いことを考慮すると非制動位置は制動位置から周方向に略2/3ピッチずれた位相にすることが好ましいが、必ずしもこれに限るものではない。制動位置から周方向に1/2ピッチを超え、かつ1ピッチに満たない所定の回動幅だけずれた位相(非制動位置)であれば、第2遮蔽磁気回路50を構成でき、引きずりトルクの発生を防ぐことができる。
【0056】
また、磁性環41は、環状の磁性部材42の内部に複数の永久磁石43を埋設して構成するものとしたが、これに限るものではない。
【0057】
例えば、図6に示すように、弧状に形成された複数のポールピースたる磁性ブロック60と、これら磁性ブロック60の周方向の端部同士を永久磁石43を保持しつつ連結する連結具61とを備えて構成してもよい。
【0058】
具体的には、磁性ブロック60は、磁性体(例えば、軟磁性材:鉄、積層電磁鋼板等)をブロック状に形成したものでよい。連結具61は、磁性ブロック60の周方向の端部のうち外周側同士を構造的に連結するための外周連結材62と、当該端部の内周側同士を構造的に連結するための内周連結材63とを備えて構成され、内周連結材63と外周連結材62の間に永久磁石43を挟んで保持乃至固定するとよい。
【0059】
外周連結材62と内周連結材63は、板状、ネット状又は周方向に長い棒状等、磁性ブロック60同士を連結でき、かつ、永久磁石43を固定できる形状であればよく、ボルトやネジ等の止め金具64を用いて磁性ブロック60に取り付けるとよい。
【0060】
外周連結材62と内周連結材63は、アルミ、ステンレス等の非磁性材料で形成することが好ましいが、磁性材(例えば軟磁性体:電磁鋼板等)で形成してもよい。
【0061】
磁性ブロック60の軸方向(前後方向)に向く端面には、ステータ4のケーシング5に固定するためのボルト穴65を適宜形成するとよい。
【0062】
また、図7に示すように、磁性環70の磁性部材71は、環状に形成され、永久磁石72を埋め込んで固定するための埋込穴73を有するものとしてもよい。この場合、埋込穴73は、磁性部材71の径方向内側に形成するとよく、磁性部材71の内周面74に形成される開口75から奥(径方向外方)に向けてテーパ状に拡げるように形成するとよい。永久磁石72が磁性部材71から抜け落ちるのを容易に防ぐことができる。
【0063】
またさらに、図8に示すように、埋込穴80は、磁性部材81の内周面82に形成される開口83から奥(径方向外方)に向けて段状に拡げるように形成してもよく、要するに埋込穴の開口が窄まっていればよい。
【0064】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、次のような優れた効果を奏する。
(1)制動力を大きく向上させることができる。
(2)ひきずりトルクの発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適実施の形態を示す制動オン状態の渦電流式減速装置の正面断面図である。
【図2】制動オフ状態の図1に係る渦電流式減速装置の正面断面図である。
【図3】渦電流式減速装置の側断面図である。
【図4】他の実施の形態を示す制動オン状態の渦電流式減速装置の正面断面図である。
【図5】制動オフ状態の図4に係る渦電流式減速装置の正面断面図である。
【図6】渦電流式減速装置の磁性環の変形例を示す正面断面図である。
【図7】渦電流式減速装置の磁性環の変形例を示す正面断面図である。
【図8】渦電流式減速装置の磁性環の変形例を示す正面断面図である。
【図9】渦電流式減速装置の変形例を示す側断面図である。
【図10】渦電流式減速装置の変形例を示す側断面図である。
【図11】従来の渦電流式減速装置の制動オン状態の正面断面図である。
【図12】従来の渦電流式減速装置の制動オフ状態の正面断面図である。
【符号の説明】
1 渦電流式減速装置
2 回転軸
3 ロータ
7 永久磁石
8 磁石環
9 永久磁石
10 磁性環
14 磁性部材
60 磁性ブロック
61 連結具
70 磁性環
71 磁性部材
72 永久磁石
73 埋込穴

Claims (5)

  1. 回転軸に取り付けられたロータと、該ロータに対向させて配置され、周方向に所定のピッチを隔てて且つ上記ロータに向く磁極を交互に反転させて整列された複数の永久磁石及びこれら永久磁石の磁極のうち上記ロータの反対側に向く磁極同士を連結する磁性部材を有する磁石環と、該磁石環と上記ロータとの間に配置され、周方向に所定のピッチを隔てて且つ周方向に向き合う磁極が同極に設定された複数の永久磁石およびこれら永久磁石を保持する磁性部材を有する磁性環とを備え、上記磁石環及び磁性環の少なくとも一方を回動自在としたことを特徴とする渦電流式減速装置。
  2. 上記磁石環及び磁性環の少なくとも一方を回動させるアクチュエータであって、互いの相対位置を、周方向に同極を向かい合わせて隣り合う磁性環の永久磁石間にこの極と同極である面が上記ロータ側に向かう磁石環の永久磁石を挟む制動位置と、この制動位置から周方向に1/2ピッチを超え、かつ1ピッチに満たない所定の回動幅だけ上記磁石環と上記磁性環とがずれた非制動位置とのいずれかに設定するアクチュエータを備えた請求項1記載の渦電流式減速装置。
  3. 上記非制動位置は、上記制動位置から周方向に略2/3ピッチずれた位置に設定される請求項2記載の渦電流式減速装置。
  4. 上記磁性環は、弧状に形成された複数の磁性ブロックと、これら磁性ブロックの周方向の端部同士を永久磁石を保持しつつ連結する連結具とを備えて構成される請求項1〜3いずれかに記載の渦電流式減速装置。
  5. 上記磁性環の磁性部材は、環状に形成され、上記永久磁石を埋め込んで固定するための埋込穴を有する請求項1〜3いずれかに記載の渦電流式減速装置。
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