JP4003562B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動軸等の回転体に減速制動を与える渦電流式減速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石を用いたドラム構造の渦電流式減速装置としては、特開2000−236655号(特願平11−38318号)公報記載のものが知られている。
【0003】
図20に示すように、この渦電流式減速装置70は、車両の駆動軸(図示せず)と一体に回転するドラム状のロータ71と、ロータ71に減速制動力を与えるべくロータ71の内周に沿って配置されるステータ(磁力源)72とで構成されている。
【0004】
ステータ72は、周方向に所定の間隔を隔てて整列された複数の永久磁石73を有し回動自在に設けられた磁石環74と、磁石環74とロータ71との間に介設され磁石環74が相対的に回動されることで永久磁石73からの磁気をロータ71に切換自在に伝える磁性環75と、磁石環74を回動させるアクチュエータ(図示せず)とからなる。磁石環74は、ヨーク76の外周に複数の永久磁石73を、磁極を径方向に向け、かつ、その極性を交互に反転させつつ周方向に並べるように設けて構成されている。磁性環75は、中空環状に形成され磁石環74を囲繞するケーシング(図示せず)の外周部を構成しており、磁性材からなる。磁性環75は、磁石環74及びロータ71間を磁気的に接続するための複数のポールピース部77と、これらポールピース部77間に、ポールピース部77間の磁気洩れを抑えるべく径方向の厚さを薄く形成された薄肉部78とからなる。薄肉部78は、薄く形成されることで磁気飽和され易くなっており、ポールピース部77間の磁気洩れを少しでも少なくするようになっている。
【0005】
この渦電流式減速装置70は、磁性環75を単一の材料で形成できるため、簡単で安価に製造できるという長所があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、薄肉部78を薄くしすぎると、磁性環75の剛性(強度)が不足してしまい、磁気洩れの抑制と磁性環75の剛性向上とはトレードオフ関係にあり、どちらかを妥協せざるを得ないという課題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、磁性環を十分な強度に形成でき、かつ、薄肉部からの磁気洩れを十分抑制できる渦電流式減速装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、回転自在なロータと、該ロータに対向して配置され、周方向に所定のピッチを隔てて整列された複数の永久磁石を有する磁石環と、該磁石環と上記ロータとの間に配置され上記磁石環との周方向の相対位相が変わることで上記磁石環とロータとの間を磁気的に接続又は切断する磁性環とを備え、該磁性環が、周方向に所定のピッチで径方向の厚さを薄くするように形成された薄肉部を有する渦電流式減速装置において、上記薄肉部内には、磁気を隔絶するための空孔が形成され、上記薄肉部は、上記磁性環の本体部に着脱可能に設けられ上記空孔の外郭を形成するカバーを備えたものである。
【0009】
磁性環を十分な強度に形成でき、かつ、薄肉部を介しての磁気洩れを十分に抑制できる。
【0012】
上記磁性環は、磁性材からなる薄板を複数枚重ね合わせて形成するとよい。軸方向の長さが異なる複数タイプの磁性環を容易かつ安価に製作できる。
【0013】
そして、上記薄板は軸方向に重ね合わされ、上記空孔は軸方向に延びるように形成されるとよい。磁性環をプレス可能によって容易かつ安価に製作できる。
【0014】
また、上記空孔内に非磁性部材を設けてもよい。
【0015】
上記空孔内の径方向外側又は内側に永久磁石を設けてもよい。薄肉部を介しての磁気洩れをさらに良好に抑制できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の好適実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0019】
図3は本実施形態の前提となる参考形態に係る渦電流式減速装置をロータの軸に沿って径方向に切断した断面図である。図1はロータに磁気を及ぼして減速制動している渦電流式減速装置を駆動軸の軸端側から見た正面断面図である。
【0020】
図3に示すように、渦電流式減速装置1は、車両の駆動軸等の動力伝達系の回転軸2に取り付けられ回転軸2と一体に回転するドラム状のロータ3と、ロータ3の内周に沿うように配置され変速機等の固定系(図示せず)に取り付けられたステータ(磁力源)4とを有し、ステータ4からロータ3へ磁気を供給することでロータ3に渦電流を生じさせて回転軸2を減速制動し、磁気をステータ4内に遮蔽することで減速制動を解除するようになっている。
【0021】
ステータ4は、固定系に支持され中空環状に形成されたケーシング5と、ケーシング5の内部にブッシュ6及びスラストワッシャ6aを介して同軸回り回動自在に収容され複数の永久磁石7を有する磁石環8と、磁石環8とロータ3との間に位置するようにケーシング5の外周部に形成された磁性環10と、磁石環8を回動させるアクチュエータ(流体シリンダ等)11とを備えて構成されている。
【0022】
図1に示すように、磁石環8は、ブッシュ6の外周側に係合され磁性体(電磁鋼板の積層体や鉄のブロック材等)からなる支持リング(ヨーク)12と、支持リング12の外周に周方向に所定の等ピッチ(等間隔)に取り付けられロータ3に対向して配置される複数の永久磁石7とからなる。
【0023】
具体的には、永久磁石7はそれぞれ磁極(N極またはS極)を径方向に向け、かつ、交互に向きを反転させて周方向に整列されている。すなわち、各永久磁石7は、径方向の外側端と内側端にそれぞれ磁極を有し、周方向に隣り合う磁極同士が互いに逆極性となるように配置されている。
【0024】
また、周方向に隣り合う永久磁石7同士の間には、それぞれ軸方向に永久磁石7と同じ長さに形成されると共に周方向に永久磁石7より短く形成された非磁性材からなる固定金具13がネジ13a等を介して設けられており、それぞれの永久磁石7を磁気的に隔絶しつつ支持リング12に固定するようになっている。
【0025】
磁性環10は、磁石環8との周方向の相対位相が変わることで磁石環8とロータ3との間を磁気的に接続又は切断するものである。図3及び図4に示すように、磁性環10は、磁性材(軟磁性材)からなる薄板(電磁鋼板等)10aを軸方向に複数枚重ね合わせて形成されている。それぞれの薄板10aは、後述するポールピース部14を軸方向に貫通するボルト15とナット15aとによりケーシング5の本体部5aに固定されている。プレス性や成形性が良い軟磁性材からなる薄板10aを軸方向に積層して円筒形の磁性環10を形成するため、磁性環10を容易に製作できる。磁性環10は、周方向に所定のピッチ(等間隔)で径方向の厚さを薄くするように形成された薄肉部9を有し、薄肉部9間に形成されるポールピース部14同士を構造的に連結するようになっている。すなわち、薄肉部9は磁性環10に一体に形成されている。
【0026】
図1に示すように、ポールピース部14は、磁石環8とロータ3とを磁気的に効率よく接続するように径方向に厚く形成されており、内周側が磁石環8に近接されると共に外周側がロータ3に近接している。ポールピース部14は、それぞれ内周側の周長を永久磁石7の外周側の周長と等しくするように形成されており、永久磁石7の外周側を完全に覆えるようになっている。また、ポールピース部14は、永久磁石7と同数となるように設定されており、それぞれ永久磁石7と一対一に対応するようになっている。互いに対応する永久磁石7とポールピース部14は、それぞれの相対位相を同じくしており、磁石環8を回動させることにより、互いの相対位相を一括して変えられるようになっている。ポールピース部14は、周方向の両端近傍に後述する薄肉部9に接続すべく外径を漸減させる斜面16をそれぞれ有する。
【0027】
薄肉部9は、ロータ3との間に空間16aを形成するようにポールピース部14より外形寸法を小さく形成されている。薄肉部9は、それぞれ内周側の周長を、磁石環8の周方向に隣り合う永久磁石7同士の外周側の間隔と略等しくするように形成されており、ポールピース部14が永久磁石7の外周側を完全に覆ったときに永久磁石7間に収まるようになっている。そして、薄肉部9は、径方向の厚さが少なくともポールピース部14の半分程度はある十分な厚肉に形成されると共に、内部に磁気を隔絶するための空孔(空洞)17を形成されている。
【0028】
空孔17は、薄肉部9の径方向の中間位置に軸方向に延びるように形成されている。空孔17は、薄肉部9を軸方向に貫通しており、断面矩形状に形成されている。そして空孔17は、薄肉部9の外周側と内周側にポールピース部14同士を構造的に連結する薄板状の連結部18,19を形成するようになっている。連結部18,19はそれぞれ十分薄く形成されているため、ごく微量の磁気で容易に磁気飽和される。また、連結部18,19は、周方向に隣り合うポールピース部14同士を同心円弧状に二重に連結するため、ポールピース部14間にブリッジを構成して磁性環10を十分な強度に形成できる。
【0029】
磁性環10は、空孔17を予めプレス(打ち抜き)加工された薄板10aを積層して製作する。
【0030】
次に本参考形態の作用を述べる。
【0031】
渦電流式減速装置1の減速制動をオンするときには、図3に示すアクチュエータ11で磁石環8を回動させ、図1に示すようにそれぞれの永久磁石7の外周側がポールピース部14によって完全に覆われるように永久磁石7とポールピース部14との相対位相を決める。
【0032】
永久磁石7から発せられる磁気は、ポールピース部14を通じてロータ3へ伝わり、周方向に隣接する他のポールピース部14と、このポールピース部14に径方向に重なり合う永久磁石7と、支持リング12とを経て磁気発生源である永久磁石7に戻る。すなわち、ステータ4とロータ3との間に跨る磁気回路20が構成される。これによりロータ3には渦電流が発生し、回転軸2が減速制動される。
【0033】
このとき、薄肉部9には空孔17が形成されているため、薄肉部9の空孔17からの磁気漏れはなく、隣り合うポールピース部14間の磁気洩れを十分抑制できる。また、周方向に隣り合うポールピース部14は互いに連結部18,19を介して接続されるため連結部18,19を介して洩れる磁気は若干あるが、連結部18,19はそれぞれ径方向に十分薄いことから容易に磁気飽和され、制動力に影響するほどの磁気漏れは発生しない。
【0034】
他方、減速制動をオフするときには、図2に示すように、上述の相対位相から磁石環8を永久磁石7の半ピッチ分回動させ、隣り合う永久磁石7間にそれぞれポールピース部14が跨るように永久磁石7とポールピース部14との相対位相を決める。
【0035】
すると、隣り合う永久磁石7同士は、ポールピース部14と支持リング12とを介して磁気短絡され、遮蔽磁気回路21が構成される。永久磁石7から発せられた磁気はロータ3に伝わることはなく、減速制動はオフされる。
【0036】
このように、薄肉部9に空孔17を形成したため、磁性環10を十分な強度に形成でき、かつ、薄肉部9からの磁気洩れを十分に抑制できる。
【0037】
そしてさらに、薄肉部9は磁性環10に一体に形成されるものとし、空孔17は薄肉部9の径方向中間位置に形成されるものとしたため、磁性環10を単一の材料で簡便に形成できる。
【0038】
磁性環10は、磁性材からなる薄板10aを複数枚重ね合わせて形成されるため、プレス加工等により容易に製作できる。
【0039】
特に磁性環10は、薄板10aを重ね合わせる方向(軸方向)と同じ方向に延びる空孔17を有するものとしたため、空孔17を予めプレス(打ち抜き)加工された薄板10aを積層して容易に製作できる。一般にプレス加工で板厚方向に貫通する孔を形成することは容易である。
【0040】
また、磁性環10は、薄板10aを軸方向に積層して構成するため、同じ薄板10aを複数枚用意するだけでよく、安価に製作できる。そして、薄板10aの積層枚数を変えるだけで軸方向の寸法が異なる複数種類の磁性環(図示せず)を作ることができ、薄板10aを汎用的に利用でき、製造コストを低減できる。例えば、制動の性能を向上させるために永久磁石7を軸方向に長くする場合、薄板10aの積層枚数を増やすだけで磁性環10を軸方向に長くし、永久磁石(図示せず)のサイズに対応させることができる。
【0041】
そして、それぞれの薄板10aの径方向中間位置に空孔17を形成するため、空孔17の周囲に作用する外力をそれぞれの薄板10aで受けることができ、磁性環10を十分強固なものにできる。すなわち、それぞれの薄板10aに形成される空孔17の周囲にブリッジを構成することで、薄肉部9の径方向の総断面積を上述した従来の薄肉部78の断面積より小さくしつつ薄肉部9の強度を高めることができる。
【0042】
なお、磁性環10の外周面と内周面にそれぞれ防水剤(シール剤)を充填するとよい。
【0043】
また、それぞれの薄板10aに防水剤(シール剤)を塗布したのち積層して磁性環(図示せず)を構成してもよい。この場合、薄板10aの外周部付近又は全面に防水剤を塗布するとよい。
【0045】
そして、図5に示すように、それぞれの薄板25の外周側の同じ位相に溝26を形成し、この溝26に溶接を施して薄板25同士を一体化してもよい。
【0046】
また、図4に示すように空孔17は断面矩形状としたが、これに限るものではなく他の断面形状であってもよい。
【0047】
例えば図5に示すように断面台形状の空孔27であってもよい。この場合、空孔27は、径方向内側から外側へ向けて空間を広げるように形成されるとよい。またさらに、図6に示すように断面円形の空孔28であってもよく、図7及び図8に示すように空孔28,29を複数並行に形成してもよい。この場合、空孔28,29同士は、図7に示すように径方向に並ぶものであってもよく、図8に示すように周方向に並ぶものであってもよい。
【0048】
そして、図9に示すように、空孔17内に非磁性部材(アルミ、ステンレス、樹脂等)30を完全に充填するように設けてもよく、図10に示すように空孔17内の一部に非磁性部材31を設けてもよい。
【0049】
また、実施の形態とは無関係の参考例としては、図11に示すように、磁性環32を径方向に均等な厚さに形成し、磁性環32に磁気を隔絶するための空孔17を周方向に所定のピッチを隔てて複数形成しても構わない。
【0050】
そして、図12に示すように、薄肉部33は、ポールピース部34と同じ外径に形成されると共にポールピース部34より大きな内径に形成されるものとしてもよい。図13に示すように、薄肉部35は、ポールピース部36よりも外径が小さく、かつ、ポールピース部36よりも内径が大きく形成されるものとしてもよい。
【0051】
また、図4に示すように、磁性環10は、薄板10aを積層して構成したがこれに限るものではなく、帯状の電磁鋼板(図示せず)を円筒状にロールして構成してもよい。この場合、薄肉部9を形成するための凹凸(図示せず)と空孔17とについては、プレス加工等により形成するとよく、ロール前に形成してもよく、ロール後に形成してもよい。そして、凹凸と空孔17のいずれか一方のみをロール前に形成し、他方をロール後に形成するようにしてもよい。
【0052】
また、磁性環10は、磁性材からなるブロック材(図示せず)をロール鍛造して環状(筒状)に成形したのち、これに薄肉部9を成形するための凹凸(図示せず)と、空孔17とを加工して製作してもよく、磁性環10の軸方向の長さと同じ厚さを有する平板(図示せず)を円筒状にプレス(中抜き)して製作してもよい。この場合、プレス時に上述の凹凸や空孔17も同時に形成するとよい。
【0053】
また、図14に示すように、磁石環37,38を軸方向に2列(複数列)並べた形式の渦電流式減速装置39に対しても磁性環40の構成を上述と同様にできることはもちろんである。この場合、磁石環37,38が軸方向に並ぶ長さの分だけ磁性環40の軸方向の長さも必要となるが、磁性環40は薄板10aを軸方向に積層して構成するものであるため、積層する薄板10aの枚数を増やすだけで対応できる。
【0054】
次に、上述の薄肉部9の構成について変更を加えた他の参考形態について述べる。
【0055】
上述と同様の構成については、図中に同符号を付し説明を省略する。
【0056】
図15は、ロータ3に磁気を及ぼして減速制動している渦電流式減速装置50を回転軸2の軸端側から見た正面断面図である。図16は、図15の要部拡大図である。
【0057】
図15及び図16に示すように、薄肉部51は、ロータ3との間に空間を形成するように外径寸法をポールピース部14より小さく形成されている。薄肉部51は、それぞれ内周側の周長を、周方向に隣り合う永久磁石7同士の外周側の間隔と略等しくするように形成されており、ポールピース部14が永久磁石7の外周側を完全に覆ったときに永久磁石7間に収まるようになっている。
【0058】
そして、薄肉部51は、径方向の厚さが少なくともポールピース部14の半分程度はある十分な厚肉に形成されると共に、中央に軸方向に延びる空孔52を形成されている。
【0059】
空孔52は、薄肉部51を軸方向に貫通するように形成されており、空孔52内の径方向内側には磁気洩れ防止用の第2永久磁石53が設けられている。具体的には、第2永久磁石53は、薄肉部51からほとんど磁気を漏らさない程度に磁力の弱いものであり、磁極を周方向に向け、かつ、周方向に向き合う磁極同士がそれぞれ同極となるように空孔52内に設けられている。
【0060】
次に本参考形態の作用を述べる。
【0061】
図15及び図16に示すように、ロータ3の減速制動をオンするときには、永久磁石7の外周がポールピース部14によって完全に覆われ、かつ、それぞれのポールピース部14へ向けられる永久磁石7及び第2永久磁石53の磁極が全て同じ極性となるように永久磁石7とポールピース部14との相対位相を決める。
【0062】
すると、周方向に隣り合う永久磁石7同士と、これら永久磁石7の外周側を覆うそれぞれのポールピース部14と、ロータ3と、支持リング12との間に磁気回路54が構成され、ロータ3に渦電流が発生して減速制動がオンとなる。このとき、薄肉部51は第2永久磁石53を磁気短絡させている。
【0063】
第2永久磁石53の径方向外方(空孔52の径方向外側)は空洞となっており、空孔52の径方向外側と内側とに隣接して形成される磁路55,56は十分薄いため、この磁路55,56を流れる第2永久磁石53による磁束の密度は非常に高く、飽和状態となっている。このため、薄肉部51は永久磁石7から発せられた磁気を通すことはなく、ポールピース部14間の磁気洩れを良好に抑制できる。
【0064】
また、図17に示すように、ロータ3の減速制動をオフするときには、隣り合う永久磁石7間にそれぞれポールピース部14が跨るように永久磁石7とポールピース部14との相対位相を決める。
【0065】
すると、周方向に隣り合う永久磁石7同士は、これら永久磁石7間に跨るポールピース部14と支持リング12とを介して磁気短絡され、遮蔽磁気回路57が構成されて減速制動がオフとなる。このとき、遮蔽磁気回路57で磁気短絡されなかった微弱な磁気は、第2永久磁石53に吸収されて破線で示す磁束線58を形成する。このため、ロータ3への磁気洩れを良好に防ぐことができる。
【0066】
なお、第2永久磁石53は、空孔52内の径方向内側に設けられるものとしたがこれに限るものではない。空孔52内の径方向外側に第2永久磁石53を設け、空孔52の径方向内側に空洞(図示せず)を形成するようにしてもよい。そして、製造コストは高くなるが、空孔52内に孔全体を埋めるような大きな第2永久磁石(図示せず)を設けてもよい。空孔52内に第2永久磁石53と非磁性部材とを設けてもよい。
【0067】
図18は、本実施形態に係る渦電流式減速装置の磁性環の正面断面図である。図18に示すように、薄肉部64は、薄肉部本体部66の外周側に形成され軸方向に延びる溝60と、溝60内に収容された第2永久磁石61と、第2永久磁石61ごと溝60の外周側を覆う非磁性材からなるカバー62とを備えたものである。すなわち、溝60がカバー62に覆われることで、薄肉部64を軸方向に貫通する空孔67を構成し、空孔67内に第2永久磁石61を設けるものである。カバー62は、ネジ65等で薄肉部本体部66に着脱可能に設けられる。
【0068】
また、図15及び図16に示す第2永久磁石53は、磁極(N極とS極)を周方向に向けるものとしたが、図19に示すように、第2永久磁石63は、磁極を径方向に向け、かつ、交互に向きを反転させて周方向に整列(上述の永久磁石7と同様の配置)されるものとしてもよい。この場合、減速制動をオフするときは、第2永久磁石63と永久磁石7とが互いに同極を向かい合わせるように第2永久磁石63と永久磁石7との相対位相を決定するとよい。
【0069】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、次のような優れた効果を奏する。
(1)磁性環を十分な強度に形成でき、かつ、薄肉部からの磁気洩れを十分抑制できる。
(2)軸方向の寸法が異なる磁性環を安価に製作できる。
(3)磁気漏れを良好に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好適実施の形態の前提となる参考形態を示す制動オン状態の渦電流式減速装置の正面断面図である。
【図2】 制動オフ状態の図1に係る渦電流式減速装置の正面断面図である。
【図3】 図1に係る渦電流式減速装置の側面断面図である。
【図4】 図1に係る渦電流式減速装置の磁性環の斜視図である。
【図5】 渦電流式減速装置の磁性環の変形参考例を示す斜視図である。
【図6】 渦電流式減速装置の磁性環の変形参考例を示す斜視図である。
【図7】 渦電流式減速装置の磁性環の変形参考例を示す斜視図である。
【図8】 渦電流式減速装置の磁性環の変形参考例を示す斜視図である。
【図9】 渦電流式減速装置の磁性環の変形参考例を示す斜視図である。
【図10】 渦電流式減速装置の磁性環の変形参考例を示す斜視図である。
【図11】 渦電流式減速装置の磁性環の変形参考例を示す斜視図である。
【図12】 渦電流式減速装置の磁性環の変形参考例を示す正面断面図である。
【図13】 渦電流式減速装置の磁性環の変形参考例を示す正面断面図である。
【図14】 渦電流式減速装置の磁性環の変形参考例を示す側面断面図である。
【図15】 他の参考形態を示す制動オン状態の渦電流式減速装置の正面断面図である。
【図16】 図15の要部拡大図である。
【図17】 制動オフ状態の図15に係る渦電流式減速装置の正面断面図である。
【図18】 本発明の好適実施の形態を示す渦電流式減速装置の磁性環の正面断面図である。
【図19】 渦電流式減速装置の磁性環の変形参考例を示す正面断面図である。
【図20】 従来の渦電流式減速装置の正面断面図である。
【符号の説明】
1 渦電流式減速装置
3 ロータ
7 永久磁石
8 磁石環
9 薄肉部
10 磁性環
10a 薄板
17 空孔
30 非磁性部材
31 非磁性部材
51 薄肉部
52 空孔
53 第2永久磁石(永久磁石)
62 カバー
64 薄肉部
66 薄肉部本体部
67 空孔
Claims (5)
- 回転自在なロータと、該ロータに対向して配置され、周方向に所定のピッチを隔てて整列された複数の永久磁石を有する磁石環と、該磁石環と上記ロータとの間に配置され上記磁石環との周方向の相対位相が変わることで上記磁石環とロータとの間を磁気的に接続又は切断する磁性環とを備え、該磁性環が、周方向に所定のピッチで径方向の厚さを薄くするように形成された薄肉部を有する渦電流式減速装置において、上記薄肉部内には、磁気を隔絶するための空孔が形成され、上記薄肉部は、上記磁性環の本体部に着脱可能に設けられ上記空孔の外郭を形成するカバーを備えたことを特徴とする渦電流式減速装置。
- 上記磁性環は、磁性材からなる薄板を複数枚重ね合わせて形成された請求項1記載の渦電流式減速装置。
- 上記薄板は軸方向に重ね合わされ、上記空孔は軸方向に延びるように形成された請求項2記載の渦電流式減速装置。
- 上記空孔内に非磁性部材を設けた請求項1〜3いずれかに記載の渦電流式減速装置。
- 上記空孔内の径方向外側又は内側に永久磁石を設けた請求項1〜4いずれかに記載の渦電流式減速装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002199717A JP4003562B2 (ja) | 2002-07-09 | 2002-07-09 | 渦電流式減速装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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