JPH0686534A

JPH0686534A - 渦電流式減速装置

Info

Publication number: JPH0686534A
Application number: JP33964692A
Authority: JP
Inventors: Tomoyuki Kubomiya; 知之久保宮; Toru Kuwabara; 徹桑原
Original assignee: Isuzu Motors Ltd
Current assignee: Isuzu Motors Ltd
Priority date: 1992-02-14
Filing date: 1992-11-26
Publication date: 1994-03-25
Anticipated expiration: 2016-10-09
Also published as: JP3216666B2

Abstract

(57)【要約】【目的】制動時の制動能力を損わないで、非制動時に
磁石から強磁性板の相互の隙間を経て制動ドラムへ洩れ
る磁界を弱め、引きずりトルクを解消する。【構成】回転軸１に結合した制動ドラム７の内部に、
非磁性体からなる断面箱形の案内筒１０を配設する。案
内筒１０の外周壁に周方向等間隔に多数の強磁性板１５
を結合する。案内筒１０の内空部に回動可能に支持した
磁石支持筒１４に、各強磁性板１５に１つずつ対応して
強磁性板１５に対する極性が周方向に交互に異なるよう
に磁石２４を結合する。各磁石２４の外面の周方向両端
側に、強磁性板１５へ突出接近する強磁性体からなる磁
極材３４を重合せ結合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は主として大型車両の摩擦
ブレーキを補助する渦電流式減速装置、特に制動ドラム
の内部に配設した非磁性体からなる断面箱形の案内筒の
外周壁に、周方向等間隔に多数の強磁性板を結合し、案
内筒の内部に配設した磁石支持筒の正逆回動により、制
動と非制動の切換えを行う、渦電流式減速装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】特開平1-298948号公報に開示される渦電
流式減速装置では、制動ドラムの内部に非磁性体からな
る断面箱形の案内筒を配設し、案内筒の外周壁に周方向
等間隔に多数の強磁性板を結合し、案内筒の内空部に回
動可能に支持した磁石支持筒に、各強磁性板に対向する
永久磁石（以下単に磁石という）を結合し、磁石支持筒
の位相を強磁性板の半配列ピツチだけ変えることによ
り、制動と非制動の切換えを行う。

【０００３】図１１に示すように、上述の渦電流式減速
装置では、磁石支持筒１４の磁石２４Ｆは、強磁性板１
５と同じ配列ピツチｐで、強磁性板１５に対する極性が
周方向に交互に異なるように並設されている。非制動
時、強磁性板１５に対し磁石２４Ｆを半配列ピツチだけ
ずらすと、強磁性板１５は相隣接する異なる極性の磁石
２４Ｆに跨がり、鎖線で示す短絡的磁気回路２７を形成
する。しかし、磁石２４Ｆは相隣接する強磁性板１５の
相互の隙間ｔを経て制動ドラム７へ磁界を及ぼし、破線
で示す磁気回路２７ａを形成する恐れがある。回転する
制動ドラム７は洩れ磁界を横切る時引きずりトルクを受
ける。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上述の
問題に鑑み、制動時の制動能力を損わないで、非制動時
磁石から強磁性板の相互の隙間を経て制動ドラムへ洩れ
る磁界を効果的に抑え、引きずりトルクを抑制する、渦
電流式減速装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の構成は回転軸に結合した制動ドラムの内部
に非磁性体からなる断面箱形の案内筒を配設し、案内筒
の外周壁に周方向等間隔に多数の強磁性板を結合し、案
内筒の内空部に回動可能に支持した磁石支持筒に、各強
磁性板に１つずつ対応して強磁性板に対する極性が周方
向に交互に異なるように永久磁石を結合し、各永久磁石
の外周面の周方向両端側に強磁性板へ突出接近する強磁
性体からなる磁極材を重合せ結合したものである。

【０００６】

【作用】制動時、各強磁性板は磁石支持筒の各磁石に全
面的に重なる。各磁石の磁界は強磁性板を透過して制動
ドラムの内周面に垂直に作用する。回転する制動ドラム
が周方向に交互に逆向きの磁界を横切る時、制動ドラム
に渦電流が流れ、制動ドラムは制動トルクを受ける。

【０００７】非制動時、磁石支持筒を強磁性板の半配列
ピツチ分だけ回動すると、強磁性板は相隣接する極性が
異なる２つの磁石に跨がり、強磁性板と磁石支持筒との
間に短絡的磁気回路を形成する。この時、各磁石の周方
向両端部から突出する磁極材が相隣接する強磁性板へ接
近し、各磁石の周方向中央部分と強磁性板のない案内筒
の外周壁との間に空隙が形成される。したがつて、各磁
石の周方向中央部分が外周壁を経て制動ドラムへ及ぼす
洩れ磁界は非常に弱くなり、制動ドラムは引きずりトル
クを受けない。

【０００８】

【実施例】図１は本発明による渦電流式減速装置の側面
断面図、図２は同正面断面図である。本発明による渦電
流式減速装置は、例えば車両用変速機の出力回転軸１に
結合される導体からなる制動ドラム７と、制動ドラム７
の内部に配設される非磁性体からなる不動の案内筒１０
と、案内筒１０の内空部に回動可能に支持した磁石支持
筒１４とを備えている。制動ドラム７はボス５のフラン
ジ部５ａを、駐車ブレーキの制動ドラム３の端壁部と一
緒に、回転軸１にスプライン嵌合固定した取付フランジ
２に重ね合され、かつ複数のボルト４とナツトにより締
結される。ボス５から放射状に延びる多数のスポーク６
に、冷却フイン８を備えた制動ドラム７の一端が結合さ
れる。

【０００９】断面箱形の案内筒１０は例えば断面Ｃ字形
をなす筒体に環状の蓋板１１を結合して構成される。案
内筒１０は適当な手段により例えば変速機の歯車箱に固
定される。案内筒１０の外周壁１０ａの開口に、多数の
強磁性板（ポールピース）１５が周方向等間隔（図１１
に示す配列ピツチｐを参照）に結合される。しかし、好
ましくは、強磁性板１５は案内筒１０の成形時鋳ぐるま
れる。磁石支持筒１４は案内筒１０の内空部、詳しくは
内周壁１０ｂに軸受１２により回動可能に支持される。

【００１０】案内筒１０の左端壁に、好ましくは３つの
流体圧アクチユエータ２０が周方向等間隔に結合され
る。流体圧アクチユエータ２０はシリンダ１８にピスト
ン１７を嵌装してなり、ピストン１７から外部へ突出す
るロツドは、磁石支持筒１４から案内筒１０の左端壁の
円弧状のスリツト１８ａを経て突出する腕１６に連結さ
れる。

【００１１】図２に示すように、本発明によれば、磁石
支持筒１４は各強磁性板１５に１つずつ対応する磁石２
４を、強磁性板１５との間に十分な径方向間隔を存して
結合される。磁石支持筒１４は磁性体からなり、各強磁
性板１５に対向する磁石２４は、極性が周方向に交互に
異なるように配設される。各磁石２４の外面の周方向両
端側に、１対の強磁性体からなる磁極材３４が重合せ結
合され、かつ強磁性板１５の内面へ接近される。各磁石
２４の周方向中央部分と強磁性板１５ないし案内筒１０
の外周壁１０ａとの間に空隙２１が形成される。各磁極
材３４の軸方向長さは磁石２４のそれと同寸である。図
示の実施例では、各磁石２４に結合された１対の磁極材
３４の相対向する側面３４ａは、楔状の傾斜面とされて
いるが、磁石支持筒１４の中心軸線へ向う面にしてもよ
い。

【００１２】磁石２４は厚さが均一なほぼ長方形の板で
あり、磁石支持筒１４の外周面に密着するように円弧状
に湾曲されている。強力な磁界を得るために、磁石２４
はNd-Fe-B 、希土類などの混合粉末を成形して焼結され
るが、形状が単純で厚さが均一なので、熱や機械的強度
に問題がない。磁極材３４は接着剤により磁石２４へ結
合されるか、磁石２４と一緒に径方向のボルトにより磁
石支持筒１４へ結合される。

【００１３】次に、本発明による渦電流式減速装置の作
動について説明する。図３に示すように、制動時、各磁
石２４は各強磁性板１５に全面的に対向し、磁極材３４
と強磁性板１５を経て制動ドラム７に磁界を及ぼす。回
転する制動ドラム７が磁界を横切る時、制動ドラム７に
渦電流が流れ、制動ドラム７は制動トルクを受ける。こ
の時、磁石２４から磁極材３４、強磁性板１５、制動ド
ラム７、隣りの強磁性板１５、隣りの磁極材３４、隣り
の磁石２４、磁石支持筒１４へと磁気回路２９が生じ
る。磁極材３４は磁石２４と強磁性板１５との間の透磁
率を高める。磁石２４の周方向中央部分と強磁性板１５
との間に空隙２１が存在するが、制動時の制動能力には
殆ど影響しない。

【００１４】図２に示すように、非制動時、流体圧アク
チユエータ２０により磁石支持筒１４を強磁性板１５の
半配列ピツチ分だけ回動すると、極性が異なる２つの磁
石２４が各強磁性板１５に対向する。各強磁性板１５と
磁石支持筒１４との間に短絡的磁気回路２７が生じ、磁
石２４は磁界を制動ドラム７に及ぼさない。

【００１５】非制動時、各磁石２４の周方向中央部分
は、相隣接する強磁性板１５の間の案内筒１０の外周壁
１０ａに対向する。磁石２４の周方向中央部分と制動ド
ラム７の内周面との間に空隙２１が存在することから、
磁石２４から案内筒１０の外周壁１０ａを経て制動ドラ
ム７へ洩れる磁界は極めて弱く、制動ドラム７は引きず
りトルクを殆ど受けない。

【００１６】図４に示す実施例では、磁極材３４は周方
向中央部分に、軸方向（磁石支持筒１４の中心軸線方
向）の深い切欠溝３４ｂを設けられ、各磁石２４の外周
面の全面に重合せ結合される。磁極材３４の周方向両端
部は強磁性板１５へ接近し、周方向中央部分は切欠溝３
４ｂにより薄くされている。磁極材３４の周方向中央部
分と磁石支持筒１４の外周壁１０ａとの間の空隙２１
は、磁石２４から制動ドラム７へ洩れる磁界を弱める。
この実施例では、磁極材３４が一体化され、磁石２４へ
の結合が簡単になる。

【００１７】図５に示す実施例では、磁石支持筒１４に
対する磁石２４と磁極材３４の平面的な重合せ結合を得
るために、磁石支持筒１４の外周面を断面正多角形に形
成し、平坦な各外周面に厚い板状（換言すれば直方体）
の磁石２４を重合せ結合し、磁石２４の外面４１の周方
向両端側に１対の磁極材３４を重合せ結合したものであ
る。各磁極材３４の表面は断面円弧状とされ、強磁性板
１５へ接近する。磁極材３４は図４に示すような切欠溝
を設けたものを、磁石２４の外面４１に平面的に重合せ
結合してもよい。

【００１８】図６に示す実施例では、強磁性板１５に対
向する磁石２４Ｂの外面４１の周方向中央部分に切欠溝
４１ａを設け、切欠溝４１ａを除く外面４１に鉄（フエ
ライト）などの比較的薄い強磁性層４３を備える。強磁
性層４３は磁石２４Ｂと一体に成形した後に、焼結され
る。

【００１９】図７に示す実施例のように、磁石２４Ｂの
外面４１に強磁性層としての鉄（フエライト）板４４を
重ね合せ、ボルト４７により結合するか、接着剤により
結合してもよい。鉄板４４は磁石材に比べて機械加工に
優れているので、強磁性板１５と鉄板４４との間の隙間
をできるだけ狭く、かつ磁石支持筒１４の円滑な回動が
得られるように、鉄板４４の表面４８を円筒面に高精度
に加工でき、コストを低減できる。強磁性層を磁石２４
Ｂの外面４１に設けることにより、磁石２４Ｂの切欠溝
４１ａの深さｄを強磁性層の厚さ分だけ浅くしても、ほ
ぼ同様の作用・効果が得られ、材料費を節約できる。

【００２０】図８に示す実施例では、磁石２４Ｃの外面
４１を平坦にし、平坦な外面４１に鉄板４５を重ね合せ
て結合し、鉄板４５の表面４８を円筒面に機械的に仕上
げる。図５の実施例と同様に、磁石２４Ｃの内面４２を
も平坦にすれば、磁石は切欠溝を有する直方体状にな
り、磁石の成形が容易になる。また、磁石支持筒１４の
多角形をなす外面に、磁石の平坦な内面を重ね合せ結合
すれば、磁石支持筒１４の組立も容易になる。

【００２１】図９，１０に示す実施例では、磁石２４Ｄ
の外面４１の代りに、磁石２４Ｄの両端面の周方向中央
部分に切欠溝４１ｂを設け、切欠溝４１ｂにより狭めら
れた部分を除く磁石２４Ｄの外面４１に、強磁性層とし
てのほぼ長方形の鉄板４６を結合する。磁石２４Ｄと鉄
板４６は全体として円弧状に湾曲されるが、図８の実施
例と同様に、磁石２４Ｄを直方体状に成形した後に、磁
石２４Ｄの外面４１に１対の鉄板４６を結合し、該鉄板
４６の表面４９を円筒面に加工してもよい。

【００２２】上述の各実施例では、磁石支持筒１４を流
体圧アクチユエータにより強磁性板１５の半配列ピツチ
分だけ正逆回動しているが、電動機により回動してもよ
く、また磁石支持筒１４を固定し、代りに案内筒１０を
回動してもよい。

【００２３】

【発明の効果】本発明は上述のように、回転軸に結合し
た制動ドラムの内部に非磁性体からなる断面箱形の案内
筒を配設し、案内筒の外周壁に周方向等間隔に多数の強
磁性板を結合し、案内筒の内空部に回動可能に支持した
磁石支持筒に、各強磁性板に１つずつ対応して強磁性板
に対する極性が周方向に交互に異なるように磁石を結合
し、各磁石の外周面の周方向両端側に強磁性板へ突出接
近する強磁性体からなる磁極材を重合せ結合したもので
あり、非制動時、相隣接する１対の磁石の一端側の各磁
極材は、共通の強磁性板に対向接近するので、各磁石は
磁石支持筒と強磁性板との間に短絡的磁気回路を形成
し、制動ドラムに磁界を及ぼさない。

【００２４】特に、各磁石の周方向中央部分は案内筒の
相隣接する強磁性板の間の外周壁に対向するが、両者の
間の空隙が広くなつていることから、各磁石の周方向中
央部分から相隣接する強磁性板の間を経て制動ドラムへ
洩れる磁界の強さは極めて弱く、制動ドラムに及ぼす引
きずりトルクは無視できるものとなり、動力の損失を抑
止できる。

【００２５】各磁石はほぼ均一な厚さを有するので、成
形が容易であり、磁石自体の強度や磁石支持筒との結合
強度が損われない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係る渦電流式減速装置の
側面断面図である。

【図２】同減速装置における非制動時の強磁性板と磁石
支持筒との関係を示す部分的正面断面図である。

【図３】同減速装置における制動時の強磁性板と磁石支
持筒との関係を示す部分的正面断面図である。

【図４】本発明の第２実施例に係る渦電流式減速装置の
正面断面図である。

【図５】本発明の第３実施例に係る渦電流式減速装置の
正面断面図である。

【図６】本発明の第４実施例に係る渦電流式減速装置の
磁石の正面断面図である。

【図７】本発明の第５実施例に係る渦電流式減速装置の
磁石の正面断面図である。

【図８】本発明の第６実施例に係る渦電流式減速装置の
磁石の正面断面図である。

【図９】本発明の第７実施例に係る渦電流式減速装置の
磁石の正面断面図である。

【図１０】同平面図である。

【図１１】従来の渦電流式減速装置の側面断面図であ
る。

【符号の説明】

１：回転軸７：制動ドラム１０：案内筒１４：磁
石支持筒１５：強磁性板２４，２４Ｂ〜２４Ｄ：磁
石３４：磁極材３４ｂ，４１ａ，４１ｂ：切欠溝
４３：強磁性層４４〜４６：鉄板

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】回転軸に結合した制動ドラムの内部に非磁
性体からなる断面箱形の案内筒を配設し、案内筒の外周
壁に周方向等間隔に多数の強磁性板を結合し、案内筒の
内空部に回動可能に支持した磁石支持筒に、各強磁性板
に１つずつ対応して強磁性板に対する極性が周方向に交
互に異なるように永久磁石を結合し、各永久磁石の外周
面の周方向両端側に強磁性板へ突出接近する強磁性体か
らなる磁極材を重合せ結合したことを特徴とする、渦電
流式減速装置。
【請求項２】各強磁性板に対向する永久磁石の外面の周
方向中央部分に軸方向の切欠溝を設け、該切欠溝を除く
外面に鉄などの強磁性板を結合した、請求項１に記載の
渦電流式減速装置。
【請求項３】回転軸に結合した制動ドラムの内部に非磁
性体からなる断面箱形の案内筒を配設し、案内筒の外周
壁に周方向等間隔に多数の強磁性板を結合し、案内筒の
内空部に回動可能に支持した磁石支持筒に、各強磁性板
に１つずつ対応して強磁性板に対する極性が周方向に交
互に異なるように永久磁石を結合し、永久磁石の両端面
の周方向中央部分に切欠溝を設け、切欠溝により狭めら
れた部分を除く永久磁石の外面に強磁性層を備えたこと
を特徴とする、渦電流式減速装置。