JP4251031B2 - 電子写真用定着部品、電子写真用定着エンドレスベルト、及び加熱ロール・ベルト型定着装置 - Google Patents

電子写真用定着部品、電子写真用定着エンドレスベルト、及び加熱ロール・ベルト型定着装置 Download PDF

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Description

本発明は、定着ベルトや定着ロール(加圧ベルトや加圧ロールを含む)等の電子写真用定着部品、電子写真用定着エンドレスベルト(定着ベルト(加圧ベルト))、及び、粉末トナー像を形成した支持体に、熱と圧力を同時に作用させて、トナー像を融着させる加熱ロール・ベルト型定着装置に関する。
従来、電子写真プロセスを利用した複写機等においては、記録シート上に形成された未定着トナー像を定着して永久画像にする必要があり、その定着法として溶剤定着法、圧力定着法、および加熱定着法が知られている。溶剤定着法は、溶剤蒸気が発散し、臭気や衛生上の問題が多いという欠点を有している。一方、圧力定着法についても、他の定着法と比べて定着性が悪いという欠点を有している。いずれも広くは実用化されていないのが現状である。それゆえ、未定着トナー像の定着には、一般に加熱によってトナーを溶融させ、記録シート(記録材)上に融着させる加熱定着法が広く採用されている。
従来、加熱定着法に用いる加熱定着装置としては、円筒状芯金の内部にヒーターランプを備え、その外周面に耐熱性離型層を形成した加熱ロールと、この加熱ロール(定着ロール)に対し圧接配置され、円筒状芯金の外周面に耐熱弾性体層を形成した加圧ロールとで構成されており、これら両ロール間に、1〜15kg/cm2、好ましくは3〜10kg/cm2の圧力を印加し、未定着トナー像の形成された普通紙等の支持体を挿通させて定着を行う加熱定着ロール方式のものが知られている。この方式に使用される加熱ロール型定着装置は、他の加熱定着法である熱風定着方式やオーブン定着方式のものと比べて、熱効率が高い為、低電力で、高速性に優れ、しかも、紙詰まりによる火災の危険性も少ないこと等から、現在最も広く利用されている。
近年、この様な加熱ロール型定着装置において定着速度の高速化要求があり、これを満足するには、定着速度に応じてニップ領域の幅、即ちニップ幅を大きくする必要がある。ニップ幅を大きくする為の方法としては、ロール間の荷重を大きくする方法、定着ロールの弾性層の層厚を厚くする方法、または定着ロールと加圧ロールのロール径を大きくする方法等がある。しかしながら、これらの方法で対応できる定着速度には限界があり、それ以上の高速定着領域においては、加熱ロール・ベルト型定着装置が開発されている。
上記の加熱ロール・ベルト型定着装置に用いる加圧ベルトは、主に大きく2つに類別される。すなわち、1)エンドレスベルト状のベースフィルムの上に、プライマーを介してシリコーンゴムやフッ素ゴム等を薄く被覆したシリコーンゴム被覆ベルト、またはフッ素ゴム被覆ベルトと、2)エンドレスベルト状の焼成したベースフィルムの上にプライマーと呼ばれる接着剤を塗布した後、またはエンドレスベルト状の未焼成ベースフィルムの上にテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(以下「PFA」という)やポリテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」という)等のフッ素樹脂をコーティングしたフッ素樹脂被覆ベルトと、に分けられる。
これらのベルトのうち、シリコーンゴム被覆ベルトは、その材料内部にフリーオイルと呼ばれるシリコーンオイルが含まれ、これらが離型性に対し、多大な影響を持ち、フリーオイルの多いもの程、高離型性を示す。しかしながら、一方でフリーオイルの存在は、ゴム強度の低下や、またフリーオイルが放出されることにより、ベルト外形が変化するという問題を有している。
一方、フッ素ゴムは、非常に丈夫で耐摩耗性が高く、また弾性を有しているので高画質適性において優れている。しかしながら、フッ素ゴムは、それ自体が離型剤オイルとして通常使用されるポリジメチルシロキサンオイル(シリコーンオイル)を撥く性質を有するので、トナー像との間にオイルの離型層が形成されにくい。そのためフッ素ゴムとポリジメチルシロキサンオイル(シリコーンオイル)との組み合わせでは、カラートナーの様な低融点、高発色トナーに対して離型性が悪く、使用することができない。この点を改善するものとして、ポリジメチルシロキサンオイルの一部をメルカプト基:−SH2またはアミノ基:−NH2で置換した変性シリコーンオイルを使用することが提案されている。この場合、上記のメルカプト基またはアミノ基の官能基が、フッ素ゴムの中に含まれる金属酸化物(MgO,PbO等)や二重結合と反応し、シリコーンオイルの分子レベルの膜がベルト表面に形成され、これが離型層となってベルト表面を高離型性表面に改質する。
しかしながら、この高離型表面改質性を有するシリコーンオイルは、同時に複写シートや、両面コピー時の給紙ロール表面をも高離型化してしまう為、得られる複写シートに文房具テープ類を付着させることができなかったり、給紙ロールにより円滑に給紙が行われなかったりするという問題点を有している。そのために、使用する変性シリコーンオイルの量を減らしたり、または、変性シリコーンオイルを殆ど使用しないことが検討されているが、この様な場合、ベルト表面にフッ素ゴムが持つゴム特有の粘着性が現れ、定着時にコピー用紙表面と、フッ素ゴム被覆表面と、が粘着して、定着後にコピー用紙がフッ素ゴム表面から剥離できないという問題が発生する場合がある。この問題は、前記コピー用紙が、特にその表面がコート剤により処理された表面平滑性が高いコート紙である場合により顕著になる。
上記問題の発生を防止するために、使用する変性シリコーンオイルの量を減らしたり、または、変性シリコーンオイルを殆ど使用しない定着条件においても、コピー用紙に対する高い離型性及び粘着性の低い表面を有するベルトが求められている。このような定着ベルト等の定着部品は定着時に変性シリコーンオイルの寄与が少なく場合においても、トナーと定着部品との間の付着力の小さいことや、コピー用紙と定着部品表面との間の粘着力が小さいことが要求される。
このような要求を実現するために、定着部品表面に設けるフッ素ゴム材料やフッ素樹脂材料の表面エネルギーや粘着性をより小さくする試みがなされている。この試みとして、例えば、定着部材の表面層に、フッ素ゴム100質量部あたり低分子量四フッ化エチレン樹脂微粒子を3〜50質量部配合した材料を用いる提案がされた(例えば、特許文献1参照。)。
前記記載の技術により、コート紙のようなコピー用紙に対する定着部品表面の剥離性は改善することができる。しかし、前記公報に記載の技術について本発明者ら更に鋭意検討した結果、定着時にコート紙がニップ域で加圧加熱されることにより用紙の伸びが発生する場合や、高密度トナー印字時にあばら状などの画像ずれ模様が発生する場合があることが判ってきた。
一方、近年のオフィス用複写機の性能向上に伴い、より高品位の画像を有する記録物が容易に印刷できるようになってきた。このため、印刷業者や製本業者を介さず、オフィス等で手軽に印刷される記録物が、そのまま、見栄えの求められるパンフレットやプレゼンテーション用の資料等として利用される機会が増えてきている。従って、高品位の画質を有する記録物に対してはより高品質が求められるようになりつつある。
従って、上記の用紙の伸びや、あばら状の画像ずれ模様は、従来として認識されていなかったものの、近年、記録物の見栄えを悪くする問題として取り上げられ、その改善が求められている。
この用紙の伸び等の発生は、すでに用紙上に印字されたトナー画像の伸びや、さらに、両面印字時に用紙の表裏面に形成された画像の位置がずれるという問題を引き起こす。
用紙の伸びが顕著となる原因としては、加熱ロール・ベルト方式の定着装置において、特に加熱ロールと加圧ベルトとの接触部分(ニップ域)が広くなったために、用紙表面の特定の点が該ニップを通過するのに要する時間(ニップ時間)が長くなる場合が挙げられる。また、もうひとつの原因としては、加圧ベルトを押圧し、該押圧部の形状パッド状である加圧部材を配置した場合が挙げられる。
このような用紙伸びなどを改善するため、より高い表面低粘着性が要求される。フッ素ゴムの粘着性があるため、フッ素ゴムにフッ素樹脂微粒子を添加により表面低粘着性が良い傾向にあるが、用紙の伸び等を抑制するレベルまで至らなかった。また、その添加量が過剰になると本来、フッ素ゴムの持っているゴム強度等の物理的特性、伸びやゴム弾性が低下することにより、トナー像を均一に定着することができなくなる。
そのため、高い表面低粘着性を有するフッ素樹脂の検討が必要になってきた。また、耐熱性及び可撓性の観点から、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)を取り上げられ、加圧ベルト表面を、PFAからなる表面とすることで用紙伸び、あばら状の画像ずれが大きく改善された。
しかし、PFAからなる表面とすることで用紙伸び、あばら状の画像ずれが大きく改善に伴い、用紙に両面印字した場合に、2回目に用紙の片方の面に印字した際に、1回目に用紙のもう片方の面に既に印字された画像に微小な梨地状のグロスムラ(微小グロスムラ)が発生しやすくなる。また、定着後に、用紙を加熱ロールから剥離するために設けられる剥離爪が、用紙と接触することにより、用紙表面に摩耗跡が発生したり、OHP用紙を用いて印刷した場合に、画像透過状態のむらが発生する。
前記梨地状のグロスムラ(微小グロスムラ)は、以下のようなメカニズムで発生するものと考えられる。加圧ベルトが、対向配置された加熱ロールから離型剤オイルとして使用される変性シリコーンオイルを受け取っている。しかし、表面離型性の高いPFAが、変性シリコーンオイルをはじき、加圧ベルト上には、均一なオイル膜を得られず、島状オイル滴になっている。また、加圧ベルトの耐摩耗性及び加工性のため、一定の膜厚を得るために、大粒径が含まれるPFAを使用している。この大粒径PFAが高温での焼成する際に、溶けにくく、かつ溶融粘度が高いため、完全に平らにならず、うねり(鈍角凸)のあるPFA表面になっている。
そのゆえ、両面印字時には、用紙の片方の面(第1印字面)を印字した後に、用紙のもう片方の面(第2印字面)を印字した際に、第1印字面が、加圧ベルト表面と接触することになる。この際、第1印字面のトナーが、加圧ベルト表面のオイルを一部受け取り、また、第1印字面のトナーが加圧ベルト表面に圧力もかけられる。島状オイル滴が載っている加圧ベルト表面のオイルむらによるトナーの剥離むらと、PFAのうねりのレプリカが、梨地状グロスムラ(微小グロスムラ)が発生するものと推定される。また、前記剥離爪摩耗跡は、PFA単体では耐剥離爪摩耗不足が原因と推定される。
前記OHP用紙の画像透過むらが発生する原因は、前記加圧ベルト表面のPFAのうねり(鈍角凸)があり、かつPFA表面が硬いため、OHP用紙表面の凹凸や、OHP用紙表面に形成されたトナー像の凹凸に、加圧ベルト表面が従来のフッ素ゴムのように十分に追従できなくなり、PFAのうねりによるOHP用紙上のトナーへの圧力のむらであると推定される。
以上述べてきたように、フッ素ゴムにフッ素樹脂微粒子を配合した材料からなる加圧ベルトは、低粘着性が足りないため、今後対応要求される用紙の伸び、あばら状画質ずれの発生の抑制することができなかった。一方、フッ素樹脂からなる加圧ベルトは、用紙の伸び、あばら状画質ずれを改善することできたが、オイルへの親和性が欠けていることと表面うねりの原因で、両面印字時の微小梨地状グロスムラ、OHP用紙の画像透過むらなどの画質問題が発生した。
即ち、フッ素ゴムにフッ素樹脂微粒子を配合した材料またはフッ素樹脂のみからなる加圧ベルトの材料は、用紙の伸び、あばら状画質ずれの抑制と高品位の画質(両面印字時の微小梨地状グロスムラ、OHP用紙の画像透過むら、剥離爪摩耗跡の改善)を同時に満足得ることができなかった。
このように、用紙の伸びなどの改善と高品位の画質を同時に満足するには、トナーへの高離型性、耐久性、用紙への低粘着性、オイルへの親和性、オイルへの保持性(マイクロ凹のある表面形状)、うねり、鋭角な突起のない表面形状など特性を同時に有する加圧ベルトや、加圧ロールなどの定着部品が求められている。
特開2001−60050号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、トナーへの高離型性、耐久性を持ちながら、用紙への低粘着性、オイルへの親和性、表面形状(うねり、鋭角な突起のないかつマイクロ凹のある表面形状)を改善し、記録物の用紙の伸び、あばら状画質ずれの抑制と高品位の画質(両面印字時の微小梨地状グロスムラ、OHP用紙の画像透過むら、画像の白抜け、剥離爪摩耗跡の改善)を満足させることができる電子写真用定着部品、電子写真用定着エンドレスベルト及び加熱ロール・ベルト型定着装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明より達成される。すなわち、
(1) 少なくとも外周面に設けられる表面層が、金属酸化物、ケイ酸塩鉱物、カーボンブラック、窒素化合物、及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填剤粒子を配合したテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)からなり、
前記共重合体(PFA)が、粒径の異なる2種以上の共重合体(PFA)粒子から形成されてなり、
前記共重合体(PFA)粒子が、平均粒径1μm以下の共重合体(PFA)粒子と平均粒径3μm以上30μm以下の共重合体(PFA)粒子とを含み、
前記平均粒径1μm以下の共重合体(PFA)粒子100質量部に対し、前記平均粒径3μm以上30μm以下の共重合体(PFA)粒子が5質量部以上70質量部以下、配合されてなることを特徴とする電子写真用定着部品。
(2) 前記無機充填剤粒子が、BaSO4、ゼオライト、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化銅、酸化鉄、酸化ジルコニウム、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化チタン、及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)に記載の電子写真用定着部品。
(3) 前記無機充填剤粒子が、BaSO4、ゼオライト、マイカ、BN、SnO 、SbドープSnO 、及びカーボンブラックからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)に記載の電子写真用定着部品。
(4) 前記無機充填剤粒子が、少なくともBaSO を含むことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
(5) 前記表面層が、前記共重合体(PFA)の100質量に対し、前記無機充填剤粒子が1質量部以上30質量部以下配合されてなることを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
(6) 前記無機充填剤粒子の平均粒径が、0.1μm以上15μm以下であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
(7) 前記無機充填剤粒子の平均粒径が、0.1μm以上10μm以下であり、
粒径が15μm以上の前記無機充填剤粒子が、該無機充填剤粒子のうち25質量%以下であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
(8) 前記無機充填剤粒子の平均粒径が、0.1μm以上10μm以下であり、
粒径が15μm以上の前記無機充填剤粒子が、該無機充填剤粒子のうち5質量%以下であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
(9) 前記表面層が、前記共重合体(PFA)の100質量部に対し、導電性微粒子を1質量部以上10質量部以下、配合されてなることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
(10) 前記平均粒径3μm以上30μm以下の共重合体(PFA)粒子が平均粒径3μm以上15μm以下の共重合体(PFA)粒子であり、
前記平均粒径1μm以下の共重合体(PFA)粒子100質量部に対し、前記平均粒径3μm以上15μm以下の共重合体(PFA)粒子が5質量部以上30質量部以下、配合されてなることを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
(11)前記平均粒径1μm以下の前記共重合体(PFA)粒子の380℃での溶融粘度が、3.5×104Pa・s以下の範囲にあり、
前記平均粒径3μm以上30μm以下の前記共重合体(PFA)粒子の380℃での溶融粘度が、1.5×104Pa・s以下の範囲にあることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
(12) 前記粒径の異なる2種以上の共重合体(PFA)粒子のいれも、380℃での溶融粘度が、1.5×104Pa・s以下の範囲にあることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
(13) 前記表面層は、後加工処理が施されることを特徴とする前記(1)〜(12)のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
(14) 前記表面層は、後加工処理が施された後、さらに前記共重合体(PFA)粒子が溶融する温度で熱処理が施されることを特徴とする前記(1)〜(12)のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
(15) 前記表面層の表面グロスが、15以上60以下の範囲にあることを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
(16) 前記表面層のアミン変性シリコーンオイルに対する接触角が、170℃において37度以下であることを特徴とする前記(1)〜(15)のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
17) 高分子樹脂、金属、セラミックス、及びガラス繊維からなる群より選択される少なくとも1種の複合化材料を用いて形成される耐熱層を基材とする電子写真用定着エンドレスベルトであって、該電子写真用定着エンドレスベルトが前記(1)〜(16)のいずれかに記載の電子写真用定着部品であることを特徴とする電子写真用定着エンドレスベルト。
18) 加熱ロールと、前記加熱ロールに圧接する加圧ベルトと、を含む一対の定着ユニットを有し、前記加熱ロールと前記加圧ベルトとにより形成されるニップ域に未定着トナー像を保持する記録材を通過させ、熱および圧力によって定着を行なう加熱ロール・ベルト型定着装置において、
前記加圧ベルトが、前記(1)〜(16)のいずれかに記載の電子写真用定着部品であることを特徴とする加熱ロール・ベルト型定着装置。
(19) 前記定着ユニットに離型剤オイルを塗布する離型塗布装置を含むことを特徴とする(18)に記載の加熱ロール・ベルト型定着装置。
本発明によれば、トナーへの高離型性、耐久性を持ちながら、用紙への低粘着性、オイルへの親和性、表面形状(うねり、鋭角な突起のないかつマイクロ凹のある表面形状)を改善し、トナーへの高離型性、耐久性を持ちながら、記録物の用紙の伸び、あばら状画質ずれの抑制と高品位の画質(両面印字時の微小梨地状グロスムラ、OHP用紙の画像透過むら、画像の白抜け、剥離爪摩耗跡の改善)をすべて満足させることができる電子写真用定着部品、電子写真用定着エンドレスベルト及び加熱ロール・ベルト型定着装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
本発明の電子写真用定着部品は、金属酸化物微粒子、または、ケイ酸塩鉱物、カーボンブラック、窒化珪素、窒素化合物、及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填剤粒子、より好ましくは前記群のうち、BaSO4、ゼオライト、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化銅、酸化鉄、酸化ジルコニウム、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化チタン及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填剤粒子、更により好ましくは、BaSO4、ゼオライト、及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種の充填剤粒子を配合したテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)からなるフッ素樹脂を含んでなる表面層を有する。
本発明の電子写真用定着部品は、表面層の構成材料として、低粘着性(摩擦係数の低下)、高離型性、耐熱性、可撓性に優れるPFAを使用し(なお、フッ素樹脂が低粘着性、高離型性を持っており、フッ素樹脂の中、PFAが特に定着部品として必要となる可撓性、耐熱性に優れる。)、このPFAに特定の充填剤粒子を配合することで、オイル親和性、耐摩耗性を向上させ、トナーへの高離型性、耐久性を持ちながら、用紙への低粘着性、オイルへの親和性を顕著に改善される。さらに、表面層の表面形状に関しては、粒径の異なる2種PFAの粒径、配合比、溶融粘度を制御することで、PFAによるうねりを改善し、充填剤の粒径及び粒度分布の制御することで、充填剤による鋭角な突起を改善し、かつマイクロ凹のある表面を形成される。PFAと充填剤の材料を制御することによって、PFAのうねり、充填剤の鋭角な突起のないかつマイクロ凹のある表面形状を得られる。また、PFAと充填剤の材料面の制御範囲を若干広げる場合、表面層にPFAのうねりと充填剤の鋭角な突起が発生しても、後加工で補うことでもうねり、突起のないかつマイクロ凹のある表面形状を作り出せる。上記のことによって、本発明では、表面形状(うねり、鋭角な突起のないかつマイクロ凹のある表面形状)を改善し、トナーへの高離型性、耐久性を持ちながら、記録物の用紙の伸び、あばら状画質ずれの抑制と高品位の画質(両面印字時の微小梨地状グロスムラ、OHP用紙の画像透過むら、画像の白抜け、剥離爪摩耗跡の改善)をすべて満足させることができる。
これは、表面層の構成材料として、PFAのみを使用すると、PFAの高離型性でオイルをはじく問題があるが、PFAに上記特定の充填剤粒子を配合させることで、耐磨耗性の向上や、PFA材料自体のオイル親和性を上げると同時に、表面層の粗さが増えることにより、オイルを保持できるような表面形状(マイクロ凹)が実現され、より一層オイルの親和性が向上されるためだと考えられる。
本発明の電子写真用定着部品おいて、表面層は、耐久性(膜厚確保)に優れた表面を得るため、粒径の異なる2種のPFA粒子から形成されることが好ましい。うねりのない、平滑な表面層を形成する観点からは、溶融粘度の低く及び/又は融けやすい小粒径PFA粒子を使用することがよいが、小粒径PFA粒子のみを使い、1回の製膜工程で20μm以上の厚みの塗膜(表面層)を形成しようとすると、クラックを生じるという問題がある。表面層(PFA膜)の厚みが小さいすぎると、長期の使用により摩耗して耐久性が損なわれることがある。このため、粒径の異なる2種のPFA粒子を使うことにより、1回の製膜工程で表面層(PFA膜)の膜厚は粒径の異なる2種PFAの粒径、配合比により約60μm程度まで確保でき、低コスト化が実現可能である。
小粒径粒子側のPFA粒子(PFA微粒子)の平均粒径は1μm以下であることが好ましい。大粒径粒子側のPFA粒子(PFA粉末)の平均粒径は3μm以上30μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以上15μm以下、さらに好ましくは6μm以上10μm以下である。また、表面層は、この平均粒径1μm以下の小粒径粒子よりなるPFA微粒子100質量部当たり、平均粒径3μm以上30μm以下のPFA粉末を5質量部以上70質量部以下配合することがよく、好ましくは5質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは10質量部以上20質量部以下である。さらに表面層のうねりをより改善する観点から、表面層は、この平均粒径1μm以下の小粒径粒子よりなるPFA微粒子100質量部当たり、平均粒径3μm以上15μm以下のPFA粉末を5質量部以上30質量部以下配合することが好ましく、より好ましくは10質量部以上20質量部以下である。
ここで、配合するPFA粉末の平均粒径が3μmより小さく、配合するPFA粉末の量が小粒径PFA微粒子100質量部当たり、5質量部より少ない場合、表面層(PFA膜)にクラックが生じやすくなる。一方、PFA粉末の平均粒径が15μmより大きく、30質量部より多い場合、焼成の時に粒径の大きいPFAが完全に融けられず、表面層(PFA膜)表面に融けきれない大粒径PFAによるうねり(鈍角凸)を生じることがある。但し、うねりを削る手段のある後加工を有する場合には、平均粒径3μm以上30μm以下のPFA粉末を5質量部以上70質量部以下配合してもよい。
また、これらの粒径の異なる2種のPFA粒は、小粒径粒子側のPFA粒子(PFA微粒子)は、380℃での溶融粘度が35×104ポイズ(3.5×104Pa・s)以下の範囲にあり、大粒径粒子側のPFA粒子(PFA粉末)が15×104ポイズ(1.5×104Pa・s)以下の範囲にあることが好ましい。さらに表面層のうねりをより改善する観点から、粒径の異なる2種のPFA粒子は、共に380℃での溶融粘度が15×104ポイズ(1.5×104Pa・s)以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは10×104ポイズ(1.0×104Pa・s)以下、最も好ましくは5×104ポイズ(0.5×104Pa・s)以下である。このPFAの380℃での溶融粘度が15×104ポイズ以上に超えると、融けたPFAが広がられず、表面層(PFA膜)表面にうねりが発生することがある。
本発明の電子写真用定着部品おいて、表面層は、通常、PFA塗布液としてディスパージョンタイプPFAを使用して形成される。液状分散媒体としては、通常、水を用いるが、所望により有機溶媒を用いてもよく、あるいは、塗布後の乾燥を容易にするために、水とアルコール等の有機溶媒との混合物を用いることもできる。PFA粒子を液状媒体中に分散させるために、界面活性剤を使用することが好ましい。界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、ノニオン系界面活性剤が特に好ましい。界面活性剤の使用量は特に限定されないが、通常は、これらのPFA粒子を液状媒体中に均一に分散し得る量比で用いられる。また、膜厚の制御および塗布を容易にするため、増粘剤を使用することもできる。増粘剤の使用量は特に限定されない。塗布を容易にするために塗布方法によって調整することができる。2種異なる粒径のPFA塗料を調製する手順は、特に限定されないが、界面活性剤を混合した液状媒体に小粒径PFA粒子を分散させた分散液に、大粒径PFA粉末を混合する方法が好ましい。
本発明の電子写真用定着部品おいて、表面層(PFA膜)に配合される充填剤粒子は、金属酸化物微粒子、または、ケイ酸塩鉱物、カーボンブラック、窒素化合物、及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填剤粒子である。その中でも、より好ましくは前記群のうち、BaSO4、ゼオライト、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化銅、酸化鉄、酸化ジルコニウム、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化チタン及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填剤粒子、更により好ましくは、BaSO4、ゼオライト、及びマイカからなる群より選ばれる。さらにより好ましくは、BaSO4、あるいはゼオライトであり、より好ましいのはBaSO4である。充填剤粒子の配合割合は適宜設定することができるが、好ましくはPFA100質量部当たり1質量部以上30質量部以下、より好ましくは1質量部以上20質量部以下の範囲に設定される。充填剤粒子の配合割合が、1質量部より低くなると、PFAのもつ高離型性により、トナーや用紙の離型には非常に優れるものの、剥離爪等の接触物に対する耐摩耗性が劣る為、表面に傷等が発生しやすく、変性シリコーンオイルなどに対しするオイル親和性が乏しくなる為、両面印刷時の微小グロスむらが発生しやすくなる。また、30質量部より多くなると、均一な分散状態が得られ難く、膜厚むらになるだけでなく、PFAのもつ高離型性が低下し、トナーオフセットが発生しやすくなり、また、表面層(PFA膜)の粗さや、グロスなどの表面性が低下し、加圧ベルト(定着ベルト)の場合、表面層(PFA膜)の粗さ、グロスなどの表面性低下により画像のグロス低下、画像あれなどが発生することがある。
充填剤粒子の平均粒径は、0.1μm以上15μm以下でありであることが好ましく、より好ましくは1μm以上10μm以下であり、更に好ましくは2μm以上8μm以下である。その平均粒径が1μm以上10μm以下であり、15μm以上の粒子が25質量%以下の範囲にあることが好ましい。特に、表面層に鋭角な突起をより改善する観点から、充填剤粒子は、その平均粒径が1μm以上10μm以下であり、15μm以上の粒子が5質量%以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは15μm以上の粒子は3質量%以下の範囲にあることである。充填剤粒子の平均粒径が、0.1μmより小さくなると、粉末の表面積が大きくなり、充填剤粒子をPFAへ添加、分散することが困難になることがある。また、粗さが少ないため、一定な粗さのある表面形状(マイクロ凹)の形成及び表面層(PFA膜)のうねりへの埋まり効果が少なくなることがある。10μmより大きくなると、充填剤粒子を添加したPFAからなる表面層が粗くなりすぎるという問題が発生することがある。また、充填剤粒子中、15μm以上の粒子は5質量%の範囲を超えると、大粒径の充填剤粒子がとげのような鋭角な突起になりやすく、この鋭角な突起が画像(両面印字時)に突き刺さり、白抜け状の画像ディフェクトが発生することがある。但し、鋭角な突起を削る手段のある後加工を有する場合には、充填剤粒子は、その平均粒径が0.1μm以上10μm以下であり、15μm以上の粒子が25質量%以下の範囲にあってもよい。
また、充填剤粒子として、導電性粒子を用いることもできる。定着部品として、電子写真装置の各種条件によって導電性の付与が要求される場合が有り、この場合に、PFAに充填剤粒子として導電性粒子を配合することができる。導電性粒子としては、上記特定の充填剤粒子のほかの種の粒子も用いることができる。充填剤粒子として、導電性粒子を用いる場合、導電性付与の目的やPFAの離型性維持の観点と導電性粒子の分散の問題から、PFA100質量部当たり、1質量部以上10質量部以下が好適である。
本発明の電子写真用定着部品においては、上述のようにPFAに特定の充填剤粒子を配合させることや、また、材料種や配合量などを適宜選択すること或いは後加工を施すことで、表面層における各種特性値を制御することが可能となる。好適な各種特性値について述べる。
本発明の電子写真用定着部品において、表面層は、その十点平均表面粗さ(Rz)が0.5μm以上15μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1μm以上10μm以下、さらに好ましくは2μm以上8μm以下である。この表面粗さが0.5μmより小さくなると、表面層における粗さによるオイルの保持性が低下する傾向にあり、15μmより大きくなると、表面層表面のグロスが低下し、両面印刷時の定着画像グロスが低下し、また、表面の荒れが画像に表れるという問題が発生することがある。
本発明の電子写真用定着部品において、表面層は、その表面グロスが15以上60以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、20以上50以下の範囲である。表面グロスが15より小さいと、両面印刷時の定着画像グロスが低下しやすくなり、また、光沢のあるコート紙等では、用紙のグロスより画像のグロスが低下し、出力物の品位を落としてしまうことがある。一方、表面グロスが60より大きくなると、表面が平滑になることから、変性シリコーンオイルなどのオイルを物理的に保持する能力が低下し、梨地むらが発生しやすくなると共に、その画像グロスも高くなることから目立ちやすくなることがある。
本発明の電子写真用定着部品において、表面層は、そのアミン変性シリコーンオイルに対する接触角が、170℃で37度以下であることが好ましく、より好ましくは35度以下である。電子写真用定着部品は、通常、オイル(離型剤)として変性シリコーンオイルが使用され、且つ加熱状態で使用されることから、上記条件での接触角が上記範囲とすることで、両面印刷時の梨地むらなどが減少させることができる。
本発明の電子写真用定着部品において、表面層は、そのろ波中心線うねりがカットオフ0.25mm条件で0.9μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.7μm以下である。表面層の表面にうねり模様(高さ数μm、ピッチが0.5mm〜数mmの緩い凹凸)が発生すると、OHPの透過むらや、使用が進んだときにコート紙での両面印刷時微小グロスむらに繋がるため、ろ波中心線うねりを上記範囲とすることで、OHPの透過むらや、使用が進んだときにコート紙での両面印刷時微小グロスむらを防止することができる。
本発明の電子写真用定着部品において、表面層は、そのコート紙に対する表面摩擦係数が0.45以下であることが好ましく、より好ましくは0.35以下である。このコート紙に対する表面摩擦係数を上記範囲とすることで、用紙(特にコート紙)の伸びが大きくなることが防止することができる。
本発明の電子写真用定着部品においては、特に、表面層が、そのろ波中心線うねり0.9以下(カットオフ0.25mm条件)であり、十点平均表面粗さ(Rz)0.5μm以上15μm以下の範囲であり、且つコート紙に対する表面摩擦係数0.45以下であることを同時に満たすことで、用紙伸び、あばら状の画像ずれと梨地状微小グロスむら、画像の白抜け、OHPの透過むら、剥離爪の摩耗跡等の抑制の両立が可能となる。
本発明の電子写真用定着部品において、表面層は、材料種や配合量などにより、若干ではあるが、うねり模様(高さ数μm、ピッチが0.5mm〜数mmの緩い凹凸)や局所突起(鋭角な突起)などの発生する場合もあるが、後加工処理を施すことで、このうねり模様(高さ数μm、ピッチが0.5mm〜数mmの緩い凹凸)や局所突起などの発生することを抑制させ、上記表面層の各種物性値を制御させることもできる。後加工処理としては、ベルト研削法、ボール研磨法、ブラスト研磨法、ブラシ研磨法、バフ研磨法などの従来公知の処理方法が挙げられる。
また、後加工処理を施すと、研磨によるDefect(具体的には、加工傷や異物付着等)が発生する場合がある。このため、後加工処理を施した後、さらにPFA(フッ素樹脂)が溶融する温度以上の熱処理を施することが好適である。この熱処理により、Defectが消え、より効果的に上記表面層の各種物性を制御させることができる。
本発明の電子写真用定着部品は、ロール状部材であってもよいし、ベルト状部材であってよく、これらの部材の表面層として、上記特定の充填剤を配合したPFAよりなる表面層が外周面に設けられてなる。
(電子写真用定着エンドレスベルト)
本発明の電子写真用定着エンドレスベルトは、ベルト状の上記本発明の電子写真用定着部品である。本発明の電子写真用定着エンドレスベルトは、一般的に、エンドレスベルト状のベース基材外周面に、直接、もしくは中間層(例えば耐熱弾性層など)を介して、上記特定の充填剤を配合したPFAよりなる表面層が設けられる。具体的には、例えば、ベース基材の外周面に、表面層を形成する前処理としてエンドレスベルト状の焼成した基材表面(或いは中間層)にプライマーと呼ばれる接着剤を塗布した後、またはエンドレスベルト状の未焼成基材の上に上記特定の充填剤を配合したPFAよりなる表面層が形成されてなる。
ベース基材としては、このエンドレスベルトを張架する支持ロールや圧力ロールを巻回するのに適した強度を有するものであればよく、例えば、高分子フィルム、金属フィルム、セラミックスフィルム、ガラス繊維フィルムあるいはこれらいずれか2種以上を複合して得られた複合化フィルムを使用することができる。上記の高分子フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリカーボネイト類、ポリイミド類、ポリフッ化ビニルやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー類、ナイロン等のポリアミド類、ポリスチレンやポリアクリル類、ポリエチレンやポリプロピレン類、ポリ酢酸セルロース類等のセルロース変性物類、ポリサルホン類、ポリキシリレン類、ポリアセタール類等のシート状あるいはクロス状成形物等を挙げることができ、更には汎用高分子シートにフッ素系、シリコーン系、架橋性ポリマー等の耐熱樹脂層を積層して得られた高分子複合化物を挙げることができる。これらの中でも、ベース基材は、特にエンドレスベルト状の耐熱性樹脂からなることが好適である。
また、このような高分子フィルムは、金属、セラミックス等で形成される耐熱層と複合化してもよく、また、内部に粒状、針状、繊維状等のカーボンブラック、グラファイト、アルミナ、シリコーン、カーバイト、ボロンナイトライド等の熱伝導性向上剤を添加したり、必要に応じて内部もしくは表面に導電化剤、帯電防止剤、剥離剤、補強剤等の添加剤を添加、もしくは適用してもよい。更に、上記の高分子フィルムの他に、例えばコンデンサー紙、グラシン紙等の紙類や、セラミックス系フィルムや、ガラス繊維でクロス状に成形したガラス繊維フィルムや、ステンレスフィルムや、ニッケルフィルム等の金属フィルムが使用できる。
(加熱ロール・ベルト型定着装置)
本発明の加熱ロール・ベルト型定着装置は、加熱ロールと、前記加熱ロールに圧接する加圧ベルトと、を含む一対の定着ユニットを有し、前記加熱ロールと前記加圧ベルトとにより形成されるニップ域に未定着トナー像を保持する記録材を通過させ、熱および圧力によって定着を行なう装置であり、この加圧ベルトとして、上記本発明の電子写真用定着エンドレスベルトを備える。
以下、本発明の加熱ロール・ベルト型定着装置を図面を参照しつつ説明するが、これに限定されるわけではない。図1は、本発明の加熱ロール・ベルト型定着装置の一実施の形態を示す概略的構成図である。図2は、本発明の加熱ロール・ベルト型定着装置の他の一実施の形態を示す概略的構成図である。
図1に示す加熱ロール・ベルト型定着装置は、定着ユニットとして、定着ロール1および加圧ベルト2が対向して設けられ、加圧ベルト2として、上記特定の充填剤を配合したPFAよりなる表面層2cが外周面に設けられてなる上記本発明の電子写真用定着エンドレスベルトを備える。加圧ベルト2はその周内部に配置された加圧パッド12(加圧部材)と加圧ロール11(加圧部材)により加熱ロール1に押圧され、圧接してニップが形成されている。加圧パッド12(加圧部材)は加圧ベルト2との当接部(加圧部)の形状がパッド状であり、更に、該当接部ないしその近傍がゴム状の弾性部を含むものであってもよい。
なお、本発明において、「当接部の形状がパッド状」とは、加圧パッド12が、加圧ベルト2に対して当接する部分の形状が、加熱ロール1と、加圧ロール11と及び2本の支持ロールにより張架された加圧ベルト2の内周面との間にほぼ隙間無く密着するような形状をいう。
また、「当接部ないしその近傍」という場合の近傍とは、加圧パッド12の前記当接部に対し、弾性部により弾性を付与し得る程度の部分を差し、一概には言えないものの、好ましくは、前記当接部及び当接部から垂直方向に10mm迄の範囲の加圧パッド12をいう。
更に、「該当接部ないしその近傍がゴム状の弾性部を含む」とは、当接部ないしその近傍の少なくと一部が弾性を有する材料からなることをいう。
ゴム状弾性部は、シリコーンゴムやフッソゴム等に代表される耐熱性ゴムをいう。
加圧パッド12は、記録材の進行方向に沿って、異なる硬度の複数の加圧部を有してしてもよい。この場合、例えば、片方がゴム状弾性部材からなる加圧部と、もう片方が金属等の硬い圧力付与部材からなる加圧部と、で構成される場合が多く好適である。また、加圧パッド12は、異なる硬度の複数の加圧部で構成される場合、ニップ領域の圧力は記録材突入側より記録材排出側が高くなるほうが、記録材(特に薄い記録材)の剥離性が向上され好適である。例えば、加圧パッド12における記録材突入側の加圧部をゴム状弾性部材から構成させ、記録材排出側の加圧部を金属等の硬い圧力付与部材から構成させることで、好適に、ニップ領域の圧力を記録材突入側より記録材排出側が高くなるようにさせることができる。
加圧パッド12と加圧ベルト2内面との摺動性を向上させる為に、耐熱性樹脂やフッ素樹脂で構成されたシートを摺動シート介して、加圧パッド12を配置してもよい。
加圧ロール1は、内部にヒーターランプ1dを有する金属製の中空芯金属コア1aに耐熱性弾性体層1bおよび耐熱剥離層1cが順次形成されて構成されている。これらの金属コア1aや、耐熱性弾性体層1bおよび耐熱剥離層1cは、従来公知の材料により構成することができる。
加圧ベルト2は、2本の支持ロール10と1本の加圧ロール11とにより張架されており、支持ロール10は内部にヒーターランプ2dを有する。4は、普通紙等の記録材3上に形成された未定着トナー像である。
定着ロール1の周辺には、離型剤オイルを塗布するための離型剤塗布装置5、ロール表面をクリーニングするためのクリーニング装置6、定着ロール1を表面から加熱するための外部加熱装置7、定着後の用紙を剥離するための剥離爪8、定着ロール1表面の温度を制御するための温度センサー9が設けられている。
図1に示す定着装置では、未定着トナー像4を表面に保持する記録材3が、矢印A方向に、不図示の搬送手段及び加圧ベルト2により搬送されて、矢印B方向に回転駆動される加熱ロール1と、加圧ベルト2とが圧接し形成されたニップ領域に挿通される。この際、記録材3の未定着トナー像4が形成された面と、加熱ロール1の表面とが、向き合うように記録材3が挿通される。このニップ領域を記録材3が通過した際に、熱及び圧力が記録材3に加えられることにより、未定着トナー像4が、記録材3に定着される。定着後の記録材はニップ領域を通過後、剥離爪8により加熱ロール1から剥離され、ベルト型定着装置から排出される。このようにして定着処理が成される。
図2に示す定着装置は、より一層の小型化、省エネ化、と高速化の両立を狙った装置であり、ベルトを張架する為の支持ロールや加圧ローラをもたず、ベルト走行ガイド23に沿ってガイドされ、加熱ロール20からの駆動力を受けることで加圧ベルト21を従動させており、このようなベルト型定着装置は、支持ロールや加圧ロールをもつタイプ(図1に示す定着装置)と区別する為、フリーベルト型定着装置と呼ばれる。図2に示す定着装置は、定着ユニットとして、定着ユニットとして、定着ロール20および加圧ベルト21が対向して設けられ、加圧ベルト21として、上記特定の充填剤を配合したPFAよりなる表面層21cが設けられてなる上記本発明の電子写真用定着エンドレスベルトを備える。加圧ベルト21はその周内部に配置された加圧パッド22(加圧部材)により加熱ロール20に押圧され、圧接してニップが形成されつつ、上述のように、ベルト走行ガイド23に沿ってガイドされ、加熱ロール20からの駆動力を受けることで加圧ベルト21を従動される。
加圧パッド22(加圧部材)は、記録材の進行方向に沿って、異なる硬度の2つの加圧部22a、22bを有する。加圧パッド12における記録材突入側の加圧部22aをゴム状弾性部材から構成させ、記録材排出側の加圧部22bを金属等の硬い圧力付与部材から構成させ、ニップ領域の圧力を記録材突入側より記録材排出側が高くさせている。この構成により、上述のように記録材(特に薄い記録材)の剥離性が向上される。加圧部22a、22bは、ホルダ22cにより支持され、テフロン(R)を含むガラス繊維シートやフッ素樹脂シートなどの低摩擦層22dを介して加圧ベルト21内周面から加熱ロール20を押圧している。
加熱ロール20は、内部にヒーターランプ24を有する金属製の中空芯金属コア20aに耐熱性弾性体層20bおよび耐熱剥離層20cが順次形成されて構成されている。これらの金属コア20aや、耐熱性弾性体層20bおよび耐熱剥離層1cは、従来公知の材料により構成することができる。
加熱ロール20の周辺には、定着後の用紙を剥離するための剥離ブレード28、ロール表面の温度を制御するための温度センサー25が設けられている。
図2に示す定着装置では、図1に示す定着装置と同様に、未定着トナー像27を表面に保持する記録材26が、矢印A方向に、不図示の搬送手段により搬送されて、矢印B方向に回転駆動される加熱ロール20と、加圧ベルト21とが圧接し形成されたニップ領域に挿通される。この際、記録材26の未定着トナー像27が形成された面と、加熱ロール20の表面とが、向き合うように記録材26が挿通される。このニップ領域を記録材26が通過した際に、熱及び圧力が記録材26に加えられることにより、未定着トナー像27が、記録材26に定着される。定着後の記録材はニップ領域を通過後、剥離爪28により加熱ロール20から剥離され、ベルト型定着装置から排出される。このようにして定着処理が成される。
本発明の加熱ロール・ベルト型定着装置において、加熱ロールと加圧ベルトとにより形成されるニップ域に、未定着トナー像を保持する記録材が通過する時間(ニップ時間)は、0.030秒以上でることが望ましい。このニップ時間が0.030秒より小さい場合、良好な定着性と、紙しわやカールの発生防止との両立が困難になる為、その分定着温度を上げる必要があり、エネルギーの浪費、部品の耐久性低下、装置の温昇を招き、好ましくない。なお、NIP時間の上限は特に限定されるものではないが、定着処理能力と装置・部材の大きさの兼ね合いから、0.5秒以下が好ましい。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
[実施例1、2、3、4、5、6および比較例1、2]
表1に示す各PFA組成物をポリイミドシートサンプル上に30μm(但し、比較例2のフッ素ゴム組成物はポリイミドシートサンプル上に180μm)の厚みにコーティングし、実施例1、2、3、4、5、6および比較例1は380℃で40分、比較例2は230℃で3時間焼き付けを行いシート状のサンプルを作製した。得られたシート状サンプルの表面について、材料特性評価として、コピー紙に対する摩擦係数、純水、オイルの接触角、表面粗さ、うねり、表面グロスを測定した。また、表1に示す各材料を使用し、ポリイミドシートサンプル上と同様の条件でエンドレスポリイミドベルト上にコーティングし、システム特性(定着時物性)評価として、用紙の伸び、あばら状画質ずれ、OHP画像透過むら、画像の白抜け、剥離爪摩耗跡を評価した。各評価方法を下記に示す。また、評価結果を表2に示す。
Figure 0004251031
なお、表1におけるPFAとして、実施例1、2、3、4、5においては、低溶融粘度(3.0×104〜5.0×104ポイズ;0.3×104〜0.5×104Pa・s:380℃)の平均粒径0.2μmPFAと低溶融粘度(3.0×104〜5.0×104ポイズ;0.3×104〜0.5×104Pa・s:380℃)の平均粒径8μmPFA粉末の混合品溶融粘度、粒径調整タイプ(三井・デュポンフロロケミカル社製)、実施例6、比較例1においては、高溶融粘度(27.0×104〜29.0×104ポイズ;2.7×104〜2.9×104Pa・s:380℃)の平均粒径0.2μmPFAと低溶融粘度(3.0×104〜5.0×104ポイズ;0.3×104〜0.5×104Pa・s:380℃)の平均粒径18μmPFA粉末の混合タイプ710CL(三井・デュポンフロロケミカル社製)を用いた。なお、表1中の粒径の異なる2種のPFAの配合比はPFA粉末質量部/100質量部の小粒径PFAの比から100質量部PFA中のPFA粉末質量部/小粒径PFA質量部の比に換算した。また、充填剤として、実施例1では、硫酸バリウム(堺化学社製:BMH−60:平均粒径5μm、15μm以上の大粒子が2質量%以下である)、実施例2では、ゼオライトトヨビルダー(東ソー社製)を用いた。実施例3では、硫酸バリウム(堺化学社製:BMH−60:平均粒径5μm、15μm以上の大粒子が2質量%以下である)とマイカイリオジン111(日本メルク社製)を用いた。実施例4では、窒化ホウ素SP−2(電気化学社製)を用いた。実施例5では、酸化スズ(SbドープSnO2)の水分散体SN−100D(石原産業社製)を用いた。実施例6では、簸性硫酸バリウム(堺化学社製:BA:平均粒径8μm、15μm以上の大粒子が17質量%である)を使用した。一方、比較例2のフッ素ゴム組成物は、フッ素ゴムポリオール加硫タイプG−702(ダイキン社製)95質量部に対して、ゴム用配合剤酸化マグネシウム(協和化学社製)を5質量部配合したものを用い、PTFE粒子として、ルブロンL−5F(ダイキン社製)を配合した。
−実施例及び比較例における物性評価方法−
(1) 表面摩擦係数測定
新東科学(株)製表面摩擦係数測定機 HEIDONを使用し、コピー用紙(Color Xpression Gloss Coated Text 120gsm:ゼロックスコーポレーション製両面コート紙)とサンプルを面接触させ、コピー用紙を可動、サンプルを固定し、荷重150g、移動スピード5mm/secの条件で測定した。
(2) 表面接触角測定(純水、オイルの接触角)
純水の接触角:協和界面科学(株)製表面接触角測定機を使用し、サンプル表面にイオン交換水の水滴を滴下し、その水滴とサンプル表面との接触角を側面より測定した。
オイルの接触角:協和界面科学(株)製表面接触角測定機を使用し、サンプルをフューザーオイル(富士ゼロックス社製)に2時間浸漬した後、サンプル表面のフューザーオイルをアセトンでふき取り、170℃で(設定温度:180℃、温度の実測値:170℃)サンプル表面にフューザーオイルのオイル滴を滴下し、そのオイル滴とサンプル表面との接触角を側面より測定した。
(3) 表面粗さ(十点平均粗さRz)測定
東京精密(株)製表面粗さ測定機を使用し、サンプル表面に測定子を荷重0.07gで接触させ、トラバーススピード0.03mm/secで2.5mm移動させて測定した。測定倍率は水平方向×50,垂直方向×5000に設定して、十点平均粗さ(Rz)を求めた。
(4) 表面うねり評価
サンプル表面の鈍角凸量(うねり)を目で観察し、次の2段階でうねりの状態を評価した。
○:うねりが殆ど観察されない。
△:うねりが実用上問題ないレベルではあるが若干観察される。
×:うねりが目視で観察できる。
(5) 表面グロス測定
Gardner(株)製マイクログロスメーターを使用し、サンプル表面にマイクログロスメーターを密着させ、入射/反射角:75°/75°の条件で測定した。
(6) 用紙伸びの評価
紙送り方向と用紙の長手方向とが平行になるように定着処理後の両面コート紙(Color Xpression Gloss Coated Text 120gsm:ゼロックスコーポレーション製両面コート紙)の、紙送り方向(長手方向)の用紙の伸び量を測定する。この用紙の伸び量が2mm以上である場合を、実用上問題となるレベルであると判断する。
○:用紙の伸び量<2mm。
×:用紙の伸び量≧2mm。
(7) あばら状画質ずれの評価
A3サイズのOK TOPコート紙(王子製紙製、坪量127.9g/m2)の片面に、ハ−フトーン単色黒(50%濃度)画像を印字し、目視により印字面にあばら模様が発生しているかどうかを確認する。
○:あばら模様が殆ど観察されない。
×:あばら模様が目視で観察できる。
(8) 微小梨地状グロスむらの評価
ベタ黒画像が形成された定着処理後のコート紙を、十分に明るい室内にて、画像より約30cm離れたところから目視を行い、比較見本サンプルとの比較によりグロスむらの発生有無及び発生の程度を確認する。
○:グロスむらが殆ど観察されない。
△:一目でグロスむらが観察されないが、画像が形成された面を光源に反射させることによりグロスむらの観察ができるレベル。
×:一目でグロスむらが観察できるレベル。
(9) OHP画像透過むらの評価
シアン、マゼンタ及びイエローの各色毎に20mm×20mmのベタ画像を各々形成したOHP用紙(V556)をOHP機にてスクリーンに投影し、この投影像を3m離れて目視することにより、画像透過むらの有無を評価する。
○:画像透過むらが殆ど観察されない。
△:画像透過むらが実用上問題ないレベルであるが若干観察される。
×:画像透過むらが目視で観察できる。
(10) 画像の白抜けの評価
ベタ黒画像が形成された定着処理後のコート紙を、十分に明るい室内にて、画像より約30cm離れたところから目視を行い、画像の白抜けの発生有無を評価する。
○:画像の白抜けが殆ど観察されない。
△:画像の白抜けが実用上問題ないレベルであるが若干観察される。
×:画像の白抜けが目視で観察できる。
(11) 剥離爪摩耗跡の評価
A3サイズのJ紙(富士ゼロックス社製)を、両面印字(印字画像は単色黒70%濃度)し、目視にて印字面を観察することにより、印字画像に摩耗跡の発生有無を評価する。
○:摩耗跡が殆ど観察されない。
×:摩耗跡が目視で観察できる。
Figure 0004251031
これらの結果から、実施例1、2、3、4、5、6および比較例1の場合には、比較例2と比較して、PFAを使用することによって、材料特性値の表面の摩擦係数(対コピー紙)が小さくなり、表面粘着性が低くなり、表面粘着性が著しく改善されていることが判る。材料の特性をシステム特性評価に反映すると、用紙伸び、あばら状画像ずれの抑制ができることが判る。
実施例1、2、3、4、5、6の場合には、比較例1と比較して、充填剤を添加することによって、オイルの接触角が低下する傾向にあり、表面粗さRz(マイクロ凹)が増加する傾向にある。オイルの接触角が低下することによって、材料自身のオイルへの親和性が改善され、更に、表面粗さRz(マイクロ凹)が増加することによって、オイルへの保持性が改善され、両方の効果によってオイルの親和性が著しく改善されていることが判る。材料の特性をシステム特性評価に反映すると、微小梨地状グロスむらの改善ができることが判る。
実施例1、2、3、4、5の場合、実施例6、比較例1と比較して、PFA中の添加大径粉末の粒径を小さくすること及び添加量を減らすことと、低溶融粘度微粒径品を使用すること及び低溶融粘度小粒径品質量%を増やすことによって、うねりが殆ど観察されないレベルになり、うねりが著しく改善されていることが判る。材料の特性をシステム特性評価に反映すると、OHP画像透過むらの抑制ができることが判る。また、実施例6に関しては、オイルの接触角が低下することによって、材料自身のオイルへの親和性が改善されたことによって、微小梨地状グロスむらが良い傾向にある一方で、PFAの大粒径粉末の配合と高溶融粘度のPFA微粒子が配合されていることによりPFAのうねりが若干残っているため、PFAのうねりによるレプリカが原因で、微小梨地状グロスむらの改善は若干劣るが実用上問題ないレベルでることが判る。比較例1に関しては、PFAの耐摩耗性が足りないため、剥離爪摩耗跡が発生した。
実施例1、2、3、4、5の場合、システム特性の画像白抜けが若干観察される実施例6と比較して、充填剤粒子の粒度分布として15μm以上の粒子を5質量%以下にすることによって、システム特性の画像白抜けが殆ど観察されないレベルになり、表面層に大粒径充填剤による鋭角な突起が著しく改善されることが判る。
実施例6は、硫酸バリウム粒子(平均粒径8μm品)に粒径の大きいもの(15μm以上の粗大粒子が10%以上入っている)が含まれている為、若干であるが、表面に局所的な突起(鋭角な突起)が若干発生しており、実用上問題ないレベルではあるが、システム特性の画像白抜けが若干発生することが判る。
実施例1、2、3、4、5、6特に実施例1、2、3、4、5の場合、PFAに特定の充填剤粒子を配合させ、また、2種異なる粒径のPFA粒径、配合量、溶融粘度及び充填剤の粒径、粒径分布を制御することによる材料面の制御で、各特性を満たすことができることが判る。
これらの結果、実施例のPFAの組成物からなる表面層を有する定着用部品では、トナーへの高離型性、耐久性を持ちながら、用紙への低粘着性、オイルへの親和性、表面形状(うねり、鋭角な突起のないかつマイクロ凹のある表面形状)を改善しうることを示している。
[実施例1−1〜6−1、比較例1−1〜2−1]
上記したPFA組成物及びフッ素ゴム組成物の特性を基にこれらのPFAの組成物を用いた電子写真用定着エンドレスベルトを作製し、図1に示す定着装置と同様の構成の実機による効果を調べた。
なお、あらかじめ定着装置を取り外した画像形成装置(富士ゼロックス社製 Color Docutech 60)を用いて、未定着画像がその表面に形成されたコート紙及びOHP用紙を準備し、このコート紙及びOHP用紙を用いて前記定着装置により定着処理を行った。
(実施例1−1)
加熱ロール1として金属製の中空の芯金コア1aに高熱伝導性のシリコーンゴムよりなる耐熱性弾性層1b(ゴム硬度33°)を3mmの厚さに形成した下地ロールの上に、フッ素ゴムポリオール加硫タイプG−702(ダイキン社製)95質量部に対して、ゴム用配合剤酸化マグネシウム(協和化学社製)を5質量部配合したものを30μmの厚みにコーティングし、230℃で3時間焼き付けを行い、離型層1cを形成したものを用いた。
加圧ベルト2として、ポリイミド製エンドレスベルト状のベース基材上に、実施例1のPFA組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行い、表面層2cを形成したものを用いた。
これらの定着ユニットは、それぞれ内部に800W、250Wのハロゲンランプ1d,2dが設けられており、加熱ロール1、加圧ロール11の表面温度をそれぞれ170℃、120℃、定着スピードを220mm/sec、ニップ幅を10mmに設定した。離型剤塗布装置5から加熱ロール1表面に供給する離型剤オイルとして、富士ゼロックス社製カラーフューザーオイルを加熱ロール1表面に1.5μl/A4サイズの量になる様に供給した。トナーとして富士ゼロックス社製レスオイル用カラートナー(シアン色:CT200010)を使用し、前記コート紙(コピー紙)として、11inch×17inchのゼロックス・コーポレーション社製両面グロスコート紙(Color Xpression Gloss Coated Text 120gsm)、前記OHP用紙として、A4サイズの富士ゼロックス社製OHP用紙(V556)を用いた。富士ゼロックス社製コート紙とOHP用紙上に形成された未定着トナー像を、加熱ロール1と加圧ベルト2によって形成されるニップ域に導入して通過させ、熱および圧力によって定着させ、それぞれ20000枚の定着テストを行った。なお、コート紙及びOHP用紙上に形成された未定着トナー像のトナー密度は1.5mg/cm2であった。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。コート紙における用紙の伸びは発生しなかった。
また、画質劣化の原因である両面印字時の微小グロスムラや高密度画像印字時のあばら状画像ずれ、OHP用紙での画像むら、画像の白抜けは認められず、高品位の画像を得ることができた。さらに、この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
(実施例2−1)
実施例1−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記実施例2のPFA組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行った以外は、全く同様の構成の加熱ロール・ベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例1−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。コート紙における用紙の伸びは発生しなかった。
また、画質劣化の原因である両面印字時の微小グロスムラや高密度画像印字時のあばら状画像ずれ、OHP用紙での画像むら、画像の白抜けは認められず、高品位の画像を得ることができた。さらに、この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
(実施例3−1)
実施例1−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記実施例3のPFA組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行った以外は、全く同様の構成の加熱ロール・ベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例1−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。コート紙における用紙の伸びは発生しなかった。
また、画質劣化の原因である両面印字時の微小グロスムラや高密度画像印字時のあばら状画像ずれ、OHP用紙での画像むら、画像の白抜けは認められず、高品位の画像を得ることができた。さらに、この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
(実施例4−1)
実施例1−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記実施例4のPFA組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行った以外は、全く同様の構成の加熱ロール・ベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例1−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。コート紙における用紙の伸びは発生しなかった。
また、画質劣化の原因である両面印字時の微小グロスムラや高密度画像印字時のあばら状画像ずれ、OHP用紙での画像むら、画像の白抜けは認められず、高品位の画像を得ることができた。さらに、この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
実施例1−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記実施例5のPFA組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行った以外は、全く同様の構成の加熱ロール・ベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例1−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。コート紙における用紙の伸びは発生しなかった。
また、画質劣化の原因である両面印字時の微小グロスムラや高密度画像印字時のあばら状画像ずれ、OHP用紙での画像むら、画像の白抜けは認められず、高品位の画像を得ることができた。さらに、この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
実施例1−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記実施例6のPFA組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行った以外は、全く同様の構成の加熱ロール・ベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例1−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良、用紙の伸び、高密度画像印字時のあばら状画像ずれは発生しなかったが、
一方、実用上問題ないレベルで若干であるが、画質劣化の原因である両面印字時の微小グロスムラが発生し、OHP用紙での画像むらも認められた。また、同様に、充填剤中の大粒径充填剤(15μm以上の粒子)の鋭角な突起による画像白抜けが若干発生した。このため、通常の品質の場合、特に問題ないレベルであるが、高品位の画像を得るには若干劣っていた。
(比較例1−1)
実施例1−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記比較例1のPFA組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行った以外は、全く同様の構成の加熱ロール・ベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例1−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良、用紙の伸び、高密度画像印字時のあばら状画像ずれは発生しなかったが、
一方、画質劣化の原因である両面印字時の微小グロスムラが発生し、さらに、OHP用紙での画像むらも認められた。このため、高品位の画像を得るには不十分であった。
さらに、この定着テスト後の加圧ベルト2の表面は、剥離爪接触部に摩耗が発生すると共に、コート紙を用いて得られた記録物の画像にも摩耗跡が発生した。
(比較例2−1)
実施例1−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記比較例2のフッ素ゴム組成物を180μmの厚みにコーティングし、230℃で3時間焼き付けを行った以外は、全く同様の構成の加熱ロール・ベルト型定着装置を作製した。 この装置を用いて、実施例1−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良、両面印字時の微小グロスムラ、OHP用紙での画像むらは発生しなかったが、一方、用紙の伸びが発生し、さらに、高密度画像印字時のあばら状画像ずれが発生した。
[実施例7〜11、比較例3〜4]
表3に示す実施例7〜11と表4に示す比較例3の組成のフッ素樹脂組成物を、80μmの膜厚の熱硬化性ポリイミドシート上に、30μmの厚みにDIPコーティングし、380℃で40分焼き付けを行った。また、表4に示す比較例4のフッ素ゴム組成物は、80μmの膜厚の熱硬化性ポリイミドベルトサンプル上に180μmの厚みにコーティングし、230℃で3時間、焼き付けを行った。
実施例7〜11は、上記焼き付け後、研磨ペーパーによる研磨を4往復行った(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム30micシリコンカーバイド砥粒タイプ)。
比較例4も、上記焼き付け後、研磨ペーパーによる研磨を2往復行った(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム9micシリコンカーバイド砥粒タイプ)。
これらの得られたシート状サンプルの表面について、材料特性評価として、コピー紙に対する摩擦係数、純水、オイルの接触角、表面粗さ、うねり、表面グロスを測定した。また、表3、4に示す材料を使用し、ポリイミドシートサンプル上と同様の条件でエンドレスポリイミドベルト上にコーティングし、システム特性(定着時物性)評価として、用紙の伸び、あばら状画質ずれ、OHP画像透過むら、画像の白抜け、剥離爪摩耗跡を評価した。評価方法を下記に示す。結果を表5、表6に示す。
Figure 0004251031
Figure 0004251031
なお、表3及び表4におけるPFAとして、実施例7〜9と比較例3においては、高溶融粘度(27.0×104〜29.0×104ポイズ;2.7×104〜2.9×104Pa・s:380℃)の平均粒径0.2μmPFAと低溶融粘度(3.0×104v5.0×104ポイズ;0.3×104〜0.5×104Pa・s:380℃)の平均粒径18μmPFA粉末の混合タイプ710CL(三井・デュポンフロロケミカル社製)、実施例10、11においては、高溶融粘度(27.0×104〜29.0×104ポイズ;2.7×104v2.9×104Pa・s:380℃)の平均粒径0.2μmPFAと低溶融粘度(3.0×104〜5.0×104ポイズ;0.3×104〜0.5×104Pa・s:380℃)の平均粒径8μmPFA粉末の混合品配合比、粒径調整タイプ(三井・デュポンフロロケミカル社製)を用いた。なお、表3、4中の粒径の異なる2種のPFAの配合比はPFA粉末質量部/100質量部の小粒径PFAの比から100質量部PFA中のPFA粉末質量部/小粒径PFA質量部の比に換算した。また、充填剤として、実施例7、10、11では、簸性硫酸バリウム(堺化学社製:BA:平均粒径8μm、15μm以上の大粒子が17質量%である)を用いた。実施例8では、ゼオライトトヨビルダー(東ソー社製)を用いた。実施例9では、硫酸バリウム(堺化学社製:BMH−60:平均粒径5μm、15μm以上の大粒子が2質量%以下である)とマイカイリオジン111(日本メルク社製)を用いた。
一方、比較例4フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴムポリオール加硫タイプG−702(ダイキン社製)95質量部に対して、ゴム用配合剤酸化マグネシウム(協和化学社製)を5質量部配合したものを用い、PTFE粒子として、ルブロンL−5F(ダイキン社製)を配合した。
−実施例及び比較例における物性測定方法−
(1) 表面摩擦係数測定
新東科学(株)製表面摩擦係数測定機 HEIDONを使用し、コピー用紙(Color Xpression Gloss Coated Text 120gsm:ゼロックスコーポレーション製両面コート紙)とサンプルを面接触させ、コピー用紙を可動、サンプルを固定し、荷重150g、移動スピード5mm/secの条件で測定した。
○: 摩擦係数≦0.45
×: 摩擦係数>0.45
(2) 表面接触角測定(純水、オイルの接触角、)
純水の接触角:協和界面科学(株)製表面接触角測定機を使用し、サンプル表面にイオン交換水の水滴を滴下し、その水滴とサンプル表面との接触角を側面より測定した。
オイルの接触角:協和界面科学(株)製表面接触角測定機を使用し、サンプルをフューザーオイル(富士ゼロックス社製)に2時間浸漬した後、サンプル表面のフューザーオイルをアセトンでふき取り、180℃で(設定温度:180℃、温度の実測値:170℃)サンプル表面にフューザーオイルのオイル滴を滴下し、そのオイル滴とサンプル表面との接触角を側面より測定した。
(3) 表面粗さ測定
東京精密(株)製表面粗さ測定機(型番1400A)を使用し、サンプル表面に測定子を荷重0.07gで接触させ、トラバーススピード0.03mm/secで、4.0mm移動させて測定した。測定倍率は水平方向×50,垂直方向×5000に設定して、十点平均粗さ(Rz)を求めた。
(4) ろ波中心線うねりWa測定
東京精密(株)製表面粗さ測定機(型番1400A)を使用し、サンプル表面に測定子を荷重0.07gで接触させ、トラバーススピード0.3mm/secで、8mm移動させて測定した(JIS94に準拠)。測定倍率は水平方向×20,垂直方向×2000に設定した。
○: Wa≦0.9mm (うねりが殆ど観察されない。)
×: Wa>0.9mm (うねりが目で観察できる。)
(5) 表面グロス測定
Gardner(株)製マイクログロスメーターを使用し、サンプル表面にマイクログロスメーターを密着させ、入射/反射角:75°/75°の条件で測定した。
(6) 用紙伸びの評価
紙送り方向と用紙の長手方向とが平行になるように定着処理後の両面コート紙(Color Xpression Gloss Coated Text 120gsm:ゼロックスコーポレーション製両面コート紙)の、紙送り方向(長手方向)の用紙の伸び量を測定する。この用紙の伸び量が2mm以上である場合を、実用上問題となるレベルであると判断する。
○:用紙の伸び量<2mm。
×:用紙の伸び量≧2mm。
(7) あばら状画質ずれの評価
A3サイズのOK TOPコート紙(王子製紙製、坪量127.9g/m2)の片面に、ハ−フトーン単色黒(50%濃度)画像を印字し、目視により印字面にあばら模様が発生しているかどうかを確認する。
○:あばら模様が殆ど観察されない。
×:あばら模様が目視で観察できる。
(8) 微小梨地状グロスむらの評価
ベタ黒画像が形成された定着処理後のコート紙を、十分に明るい室内にて、画像より約30cm離れたところから目視を行い、比較見本サンプルとの比較によりグロスむらの発生有無及び発生の程度を確認する。
○:グロスむらが殆ど観察されない。
△:一目でグロスむらが観察されないが、画像が形成された面を光源に反射させることによりグロスむらの観察ができるレベル。
×:一目でグロスむらが観察できるレベル。
(9) OHP画像透過むらの評価
シアン、マゼンタ及びイエローの各色毎に20mm×20mmのベタ画像を各々形成したOHP用紙(V556)をOHP機にてスクリーンに投影し、この投影像を3m離れて目視することにより、画像透過むらの有無を評価する。
○:画像透過むらが殆ど観察されない。
△:画像透過むらが実用上問題ないレベルであるが若干観察される。
×:画像透過むらが目視で観察できる。
(10) 画像の白抜けの評価
ベタ黒画像が形成された定着処理後のコート紙を、十分に明るい室内にて、画像より約30cm離れたところから目視を行い、画像の白抜けの発生有無を評価する。
○:画像の白抜けが殆ど観察されない。
△:画像の白抜けが実用上問題ないレベルであるが若干観察される。
×:画像の白抜けが目視で観察できる。
(11) 剥離爪摩耗跡の評価
A3サイズのJ紙(富士ゼロックス社製)を、両面印字(印字画像は単色黒70%濃度)し、目視にて印字面を観察することにより、印字画像に摩耗跡の発生有無を評価する。
○:摩耗跡が殆ど観察されない。
×:摩耗跡が目視で観察できる。
Figure 0004251031
Figure 0004251031
これらの結果から、実施例7〜11および比較例3の場合には、比較例4と比較して、PFAを使用することによって、表面の摩擦係数(対コピー紙)が低下し、表面粘着性が低くなり、表面粘着性が著しく改善されていることが判る。材料特性をシステム特性評価に反映すると、用紙伸び、あばら状画像ずれの抑制ができることが判る。
実施例7〜11の場合には、比較例3と比較して、充填剤を添加することによって、オイルの接触角が低下する傾向にあり、オイルの接触角が低下することによって、材料自身のオイルへの親和性が改善されていることが判る。
実施例7〜11及び比較例3の場合、高溶融粘度の小粒径PFA粒子を使い、またPFAの粉末が40質量部以上配合され、実施例7〜9及び比較例3の場合、さらに大粒径のPFA粉末(18μm)も配合されている為、表面層材料にうねりが若干発生している。また、実施例7、10、11の場合、添加されている硫酸バリウム粒子(平均粒径8μm品)に粒径の大きいもの(15μm以上の粗大粒子が10%以上入っている)が含まれている為、表面に局所的な突起(鋭角な突起)が若干発生している。実施例7〜11は後加工の研磨によって、後加工されていない比較例3に比べ、うねり(Wa)が小さくなり、うねりが顕著に改善されていることが判る。特に、実施例7は、上述の実施例6と同じフッ素樹脂組成物を用いているが、後加工を施すことで、うねり(Wa)が小さくなり、うねりが顕著に改善されていることが判る。材料特性をシステム特性評価に反映すると、OHP画像透過むらの抑制ができることが判る。また、実施例7、10、11のシステム特性の画像白抜けもが後加工の研磨によって殆ど観察されないレベルになり、後加工されていない上述の実施例6に比べ、局所的な突起(鋭角な突起)が顕著に改善されていることが判る。
実施例7は、上述の実施例6に比べ、研磨紙による研磨を4回することで、局所的な突起を無くすと共に、研磨により表面のうねりも削られ、うねり(Wa)も小さくなっていることが判る。実施例10、11は添加するPFA粉末の粒径が18μmを8μmにすることで、うねりが更に改善できる。また、実施例10は実施例11よりPFA粉末(8μm)の添加量が少ないため、うねりWaが若干小さくなっていることが判る。
研磨紙の砥粒をコントロールすること(30mic砥粒)で一定な粗さのある表面(マイクロ凹)を作り出すことによって、実施例7〜11は比較例3に比べ、一定な粗さを有し、オイルへの保持性を有する表面形状になっていることが判る。また、実施例7〜11の水の接触角が110°以上であり、トナーへの高離型性を有することが判る。
比較例4に関しては、PFAの耐摩耗性が足りないため、剥離爪摩耗跡が発生した。
これらの結果、実施例のPFAの組成物からなる表面層を有する定着用部品では、トナーへの高離型性、耐久性を持ちながら、用紙への低粘着性、オイルへの親和性、表面形状(うねり、鋭角な突起のないかつマイクロ凹のある表面形状)を改善しうることを示している。
[実施例7−1〜11−1、比較例3−1〜4−1]
上記したPFA組成物の特性を基にこれらのPFAの組成物を用いた電子写真用エンドレスベルトを作製し、図1に示す定着装置と同様の構成の実機による効果を調べた。
なお、あらかじめ定着装置を取り外した画像形成装置(富士ゼロックス社製 Color Docutech 60)を用いて、未定着画像がその表面に形成されたコート紙及びOHP用紙を準備し、このコート紙及びOHP用紙を用いて前記定着装置により定着処理を行った。
(実施例7−1)
加熱ロール1として金属製の中空の芯金コア1aに高熱伝導性のシリコーンゴムよりなる耐熱性弾性層1b(ゴム硬度33°)を3mmの厚さに形成した下地ロールの上に、フッ素ゴムポリオール加硫タイプG−702(ダイキン社製)95質量部に対して、ゴム用配合剤酸化マグネシウム(協和化学社製)を5質量部配合したものを30μmの厚みにコーティングし、230℃で3時間焼き付けを行い、離型層1cを形成したものを用いた。
加圧ベルト2として、ポリイミド製エンドレスベルト状のベース基材上に、実施例7のPFA組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行い、その後、研磨ペーパーによる研磨(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム30micシリコンカーバイド砥粒タイプ)を4往復行い、表面層2cを形成したものを用いた。
これらの定着ユニットは、それぞれ内部に800W、250Wのハロゲンランプ1d,2dが設けられており、加熱ロール1、加圧ロール11の表面温度をそれぞれ170℃、120℃、定着スピードを220mm/sec、ニップ幅を10mmに設定した。また、離型剤塗布装置5から加熱ロール1表面に供給する離型剤オイルとして、富士ゼロックス社製カラーフューザーオイルを定着ロール表面に1.5μl/A4サイズの量になる様に供給した。トナーとして富士ゼロックス社製レスオイル用カラートナー(シアン色:CT200010)を使用し、前記コート紙(コピー紙)として、11inch×17inchのゼロックス・コーポレーション社製両面グロスコート紙(Color Xpression Gloss Coated Text 120gsm)、前記OHP用紙として、A4サイズの富士ゼロックス社製OHP用紙(V556)を用いた。富士ゼロックス社製コート紙とOHP用紙上に形成された未定着トナー像を、加熱ロール1と加圧ベルト2によって形成されるニップ域に導入して通過させ、熱および圧力によって定着させ、それぞれ20000枚の定着テストを行った。なお、コート紙及びOHP用紙上に形成された未定着トナー像のトナー密度は1.5mg/cm2であった。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。コート紙においても用紙の伸びは発生しなかった。
また、画質劣化の原因である両面印字時の微小グロスムラや高密度画像印字時のあばら状画像ずれ、OHP用紙での画像むら、画像の白抜けは認められず、高品位の画像を得ることができた。さらに、この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
(実施例8−1)
実施例7−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記実施例8のPFA組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行い、その後、研磨ペーパーによる研磨(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム30micシリコンカーバイド砥粒タイプ)を4往復行った以外は、全く同様の構成の加熱ロール・ベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例7−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。コート紙における用紙の伸びは発生しなかった。
また、画質劣化の原因である両面印字時の微小グロスムラや高密度画像印字時のあばら状画像ずれ、OHP用紙での画像むら、画像の白抜けは認められず、高品位の画像を得ることができた。さらに、この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
(実施例9−1)
実施例7−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記実施例9のPFA組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行い、その後、研磨ペーパーによる研磨(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム30micシリコンカーバイド砥粒タイプ)を4往復行った以外は、全く同様の構成の加熱ロール・ベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例7−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。コート紙における用紙の伸びは発生しなかった。
また、画質劣化の原因である両面印字時の微小グロスムラや高密度画像印字時のあばら状画像ずれ、OHP用紙での画像むら、画像の白抜けは認められず、高品位の画像を得ることができた。さらに、この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
(実施例10−1)
実施例7−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記実施例10のPFA組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行い、その後、研磨ペーパーによる研磨(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム30micシリコンカーバイド砥粒タイプ)を4往復行った以外は、全く同様の構成の加熱ロール・ベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例7−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。コート紙における用紙の伸びは発生しなかった。
また、画質劣化の原因である両面印字時の微小グロスムラや高密度画像印字時のあばら状画像ずれ、OHP用紙での画像むら、画像の白抜けは認められず、高品位の画像を得ることができた。さらに、この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
(実施例11−1)
実施例7−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記実施例11のPFA組成物を30μmの厚みにコーティングし、その後、研磨ペーパーによる研磨(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム30micシリコンカーバイド砥粒タイプ)を4往復行った以外は、全く同様の構成の加熱ロール・ベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例7−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。コート紙における用紙の伸びは発生しなかった。
また、画質劣化の原因である両面印字時の微小グロスムラや高密度画像印字時のあばら状画像ずれ、OHP用紙での画像むら、画像の白抜けは認められず、高品位の画像を得ることができた。さらに、この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
(比較例3−1)
実施例7−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記比較例3のPFA組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行った以外は、全く同様の構成の加熱ロール・ベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例7−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良、用紙の伸び、高密度画像印字時のあばら状画像ずれは発生しなかったが、高画質性に悪影響を及ぼす両面印刷時のベルト側画像微小グロスムラ、OHP画像透過むらが許容できないレベルで発生した。また、定着テスト後で加圧ベルトに剥離爪による摩耗跡が発生し、両面印刷時のベルト側画像に摩耗跡が発生した。
(比較例4−1)
実施例7−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記比較例4のフッ素ゴム組成物を180μmの厚みにコーティングし、230℃で3時間焼き付けを行い、その後研磨ペーパーによる研磨(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム9micシリコンカーバイド砥粒タイプ)を2往復行った以外は、全く同様の構成の加熱ロール・ベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例7−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良、両面印字時の微小グロスムラ、OHP用紙での画像むらは発生しなかったが、前述のコート紙に対する用紙伸びは大きくなり、実用上問題となる大きさであった。また、両面印字時のベルト側画像の微小グロスむらは発生しなかったが、高密度画像印字時のあばら状画像ずれが発生した。
[実施例12〜16、比較例5〜6]
表7に示す実施例12〜16と表8に示す比較例5の組成のフッ素樹脂組成物を、80μmの膜厚の熱硬化性ポリイミドベルト上に、30μmの厚みにDIPコーティングし、380℃で40分焼き付けを行った。また、表8に示す比較例6のフッ素ゴム組成物は、80μmの膜厚の熱硬化性ポリイミドベルトサンプル上に180μmの厚みにコーティングし、230℃で3時間、焼き付けを行った。
実施例12、13は、上記焼き付け後、研磨ペーパーによる研磨をそれぞれ、4往復行い、実施例14、15、16は、上記焼き付け後、研磨ペーパーによる研磨をそれぞれ、1往復、4往復、3往復行った(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム30micシリコンカーバイド砥粒タイプ)。更に実施例16は研磨の後、再度380℃40分の焼き付けを行った。
比較例6も、上記焼き付け後、研磨ペーパーによる研磨を2往復行った(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム 9micシリコンカーバイド砥粒タイプ)。
これらの得られたベルト状サンプルの表面について、材料特性として、摩擦係数(コピー紙に対する)、表面粗さ、表面ろ波うねり、表面グロス、170℃でのアミン変性シリコーンオイルに対する接触角を測定した。システム特性(定着時物性)評価として、用紙の伸び、あばら状画質ずれ、OHP画像透過むら、画像の白抜け、剥離爪摩耗跡を評価した。評価方法を下記に示す。結果を表9、10に示す。
Figure 0004251031
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なお、表7及び表8における、実施例12、13には、低溶融粘度(3.0×104〜5.0×104ポイズ;0.3×104〜0.5×104Pa・s:380℃)の平均粒径0.2μmのPFAを水系溶媒中に分散させたPFAディスパージョンに、低溶融粘度(3.0×104〜5.0×104ポイズ;0.3×104〜0.5×104Pa・s:380℃)の平均粒径8μmのPFA粉末を混合した(PFA粉末/PFA微粒子=15/85)フッ素樹脂溶液(三井・デュポンフロロケミカル社製)を用い、実施例14〜16と比較例5には、高溶融粘度(27.0×104〜29.0×104ポイズ;2.7×104〜2.9×104Pa・s:380℃)の平均粒径0.2μmPFAと低溶融粘度(3.0×104〜5.0×104ポイズ;0.3×104〜0.5×104Pa・s:380℃)の平均粒径18μmPFA粉末の混合タイプ710CL(三井・デュポンフロロケミカル社製)を用いた。なお、表7、8中の粒径の異なる2種のPFAの配合比はPFA粉末質量部/100質量部の小粒径PFAの比から100質量部PFA中のPFA粉末質量部/小粒径PFA質量部の比に換算した。
充填剤として、実施例12、13は、硫酸バリウム(堺化学社製:BMH−60:平均粒径5μm、15μm以上の大粒子が2質量%以下である)を用い、実施例14〜16では、硫酸バリウム(堺化学社製:BA:平均粒径8μm、15μm以上の大粒子が17質量%である)を用い、実施例13では、カーボンブラック(ここでは、PFAとカーボンブラックの混合液(三井デュポンフロロケミカル社製))を用いた。
また、比較例6では、ポリオール加硫系フッソゴム(ダイキン社製G−702)95質量部に対して、ゴム配合材(酸化マグネシウム、協和化学工業社製)を5質量部配合し、更にフッ素樹脂微粒子(PTFE粒子)として、ルブロンL−5F(ダイキン工業社製)を配合したものを用いた。
−実施例及び比較例における物性測定方法−
(1) 表面摩擦係数測定
新東科学(株)製表面摩擦係数測定機 HEIDONを使用し、コピー用紙(Color Xpression Gloss Coated Text 120gsm:ゼロックスコーポレーション製両面コート紙)とサンプルを面接触させ、コピー用紙を可動、サンプルを固定し、荷重150g、移動スピード5mm/secの条件で測定し、その際の静摩擦係数を代表値とした。
(2) 表面粗さ(十点平均粗さRz)測定東京精密(株)製表面粗さ測定機(型番1400A)を使用し、サンプル表面に測定子を荷重0.07gで接触、トラバーススピード0.03mm/secで4mm移動させて測定した(JIS94に準拠)。測定倍率は水平方向×50,垂直方向×5000に設定した。
(3) ろ波中心線うねりWa測定
東京精密(株)製表面粗さ測定機(型番1400A)を使用し、サンプル表面に測定子を荷重0.07gで接触させ、トラバーススピード0.3mm/secで8mm移動させて測定した(JIS94に準拠)。測定倍率は水平方向×20,垂直方向×2000に設定した。
(4) 表面グロス測定
Gardner(株)製マイクログロスメーターを使用し、サンプル表面にマイクログロスメーターを密着させ、入射/反射角:75°/75°の条件で測定した。
(5) 表面接触角測定(170℃、アミン変性シリコーンオイル)
協和界面科学(株)製表面接触角測定機を使用し、170℃に加熱されたサンプル表面にアミン変性シリコーンオイル(富士ゼロックス社製カラーフューザーオイル:W418)を滴下し、その液滴とサンプル表面との接触角を側面より測定した。
(6) 用紙伸びの評価
紙送り方向と用紙の長手方向とが平行になるように定着処理後の両面コート紙(Color Xpression Gloss Coated Text 120gsm:ゼロックスコーポレーション製両面コート紙)の、紙送り方向(長手方向)の用紙の伸び量を測定する。この用紙の伸び量が2mm以上である場合を、実用上問題となるレベルであると判断する。
○:用紙の伸び量<2mm。
×:用紙の伸び量≧2mm。
(7) あばら状画質ずれの評価
A3サイズのOK TOPコート紙(王子製紙製、坪量127.9g/m2)の片面に、ハ−フトーン単色黒(50%濃度)画像を印字し、目視により印字面にあばら模様が発生しているかどうかを確認する。
○:あばら模様が殆ど観察されない。
×:あばら模様が目視で観察できる。
(8) 微小梨地状グロスむらの評価
ベタ黒画像が形成された定着処理後のコート紙を、十分に明るい室内にて、画像より約30cm離れたところから目視を行い、比較見本サンプルとの比較によりグロスむらの発生有無及び発生の程度を確認する。
○:グロスむらが殆ど観察されない。
△:一目でグロスむらが観察されないが、画像が形成された面を光源に反射させ
ることによりグロスむらの観察ができるレベル。
×:一目でグロスむらが観察できるレベル。
(9) OHP画像透過むらの評価
シアン、マゼンタ及びイエローの各色毎に20mm×20mmのベタ画像を各々形成したOHP用紙(V556)をOHP機にてスクリーンに投影し、この投影像を3m離れて目視することにより、画像透過むらの有無を評価する。
○:画像透過むらが殆ど観察されない。
△:画像透過むらが実用上問題ないレベルであるが若干観察される。
×:画像透過むらが目視で観察できる。
(10) 画像の白抜けの評価
ベタ黒画像が形成された定着処理後のコート紙を、十分に明るい室内にて、画像より約30cm離れたところから目視を行い、画像の白抜けの発生有無を評価する。
○:画像の白抜けが殆ど観察されない。
△:画像の白抜けが実用上問題ないレベルであるが若干観察される。
×:画像の白抜けが目視で観察できる。
(11) 剥離爪摩耗跡の評価
A3サイズのJ紙(富士ゼロックス社製)を、両面印字(印字画像は単色黒70%濃度)し、目視にて印字面を観察することにより、印字画像に摩耗跡の発生有無を評価する。
○:摩耗跡が殆ど観察されない。
×:摩耗跡が目視で観察できる。
Figure 0004251031
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これらの結果より、比較例6とその他を比べると、比較例6はコート紙に対する摩擦係数が非常に高く、用紙との密着性が高いことが判る。
実施例14、15、16は、上述の実施例6と同じPFA組成物を用いているが、後加工の有無が違いである。実施例14は研磨紙による研磨を1回することで、局所的な突起を無くし、表面粗さが小さくなると共に、研磨により表面のうねりも削られて改善され、ろ波中心線うねりWaが小さくなっていることが判る。実施例15は、実施例14に比べ、研磨回数を増やす事で、表面うねり成分がより削られ、ろ波中心線うねりWaが更に小さくなっていることが判る。また、実施例16は、研磨紙による研磨を3回することで、表面うねりと局所的な突起を無くし、更に再焼成することで、焼成による一定粗さを有する表面(マイクロ凹)が形成していることが判る。
比較例5は、充填剤粒子が配合されていない為、オイルに対する接触角が高く、オイルに対する親和性が他に比べて劣り、フッ素樹脂のみの均一な表面である為、表面の凹凸が小さく、表面粗さが小さく、表面グロスも高いことが判る。
実施例12は、上述の実施例6と比較して、PFAディスパージョン中の添加PFA粉末の粒径を小さくすることと、PFA微粒子の溶融粘度を低くすることと配合量を増やすことで、材料塗布表面のままでろ波中心線うねりが改善され、添加されている硫酸バリウム粒子の粒径及び粒度分布を小さくすることで、表面突起も改善することができる。
実施例13は、充填剤粒子として導電性粒子のカーボンを追加しても、実施例12と同様の物性が得られることを示している。また、実施例12、13の材料に関しては、材料の制御だけでも各要求特性を満たすことができるし、後加工を施すことでも各要求特性を満たすことができる。
これらの結果、実施例12〜16の充填剤粒子を配合してたPFA組成物からなる表面層を有する加圧ベルトでは、トナーとの高離型性や耐久性を保ちながら、表面非粘着性、オイルとの親和性、表面形状(うねり、突起が小さく、微小な粗さをもつ表面形状)を改善しうることを示している。
[実施例12−1〜16−1、比較例5−1〜6−1]
上記したPFA組成物の特性を基にこれらのPFAの組成物を用いた電子写真用エンドレスベルトを作製し、図1に示す定着装置と同様の構成の実機による効果を調べた。
なお、あらかじめ定着装置を取り外した画像形成装置(富士ゼロックス社製 Color Docutech 60)を用いて、未定着画像がその表面に形成されたコート紙及びOHP用紙を準備し、このコート紙及びOHP用紙を用いて前記定着装置により定着処理を行った。
(実施例12−1)
加熱ロール1として、直径62mmの金属製の中空の芯金コア1aに、高熱伝導性のシリコーンゴムよりなる耐熱性弾性層1b(ゴム硬度33°)を1.5mmの厚さに形成した下地ロールの上に、ポリオール系加硫タイプフッ素ゴム(ダイキン工業社製:G−702)95質量部に対して、ゴム用配合材として酸化マグネシウム(協和化学社製)を5質量部配合したのゴム組成物を30μmの厚みにコーティングし、230℃で3時間焼き付けを行い、離型層1cを形成したものを用いた。
加圧ベルト2として、長さ340mm、周長213.3mmの熱硬化性ポリイミド製エンドレスベルト状のベース基材上に、実施例12のフッ素樹脂組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行い、その後、研磨ペーパーによる研磨(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム 30micシリコンカーバイド砥粒タイプ)を4往復行い、離型層2cを形成したものを用いた。
これらの定着ユニットは、それぞれ内部に800W、250Wのハロゲンランプ1d,2dが設けられており、加熱ロール1、支持ロール10の表面温度をそれぞれ170℃、120℃、定着スピードを264mm/sec、加圧パッド12でのニップ幅を10mm、加圧ロール11でのニップ幅を4mmに設定した。また、離型剤塗布装置5から供給される離型剤オイルとして、富士ゼロックス社製カラーフューザーオイル(型番:W418)を定着ロール表面に1.5μl/A4サイズの量になる様に供給した。
また、定着処理に用いた記録材3としては、あらかじめ未定着トナー像が片面に形成されたコート紙及びOHP用紙を用いた。トナーとして富士ゼロックス社製レスオイル用カラートナー(シアン色:CT200010)を使用し、前記コート紙として、11inch×17inchのゼロックス・コーポレーション社製両面グロスコート紙(Color Xpression Gloss Coated Text 120gsm)、前記OHP用紙として、A4サイズの富士ゼロックス社製OHP用紙(V556)を用いた。なお、前記コート紙及びOHP用紙上に形成された未定着トナー像を、加熱ロール1と加圧ベルト2によって形成されるニップ域に導入して通過させ、熱および圧力によって定着させ、その定着状態と用紙の伸び量を評価した。なお、未定着トナー像のトナー密度は0.9mg/cm2であった。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。用紙伸びについては、ゼロックスコーポレーション製の11×17inchサイズのコート紙(Color Xpression Gloss Coated Text 120gsm:ゼロックスコーポレーション製両面コート紙)において、用紙長手方向で最大1.0mmとなった。また、高画質性に悪影響を及ぼす高密度画像印字時のあばら状画像ずれやOHPでの画像むらやエッジ部黒ずみは認められず、両面印刷時のベルト側画像の微小グロスムラも問題無いレベルにあり、高画質適性を有していた。さらに、この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
(実施例13−1)
加熱ロール1として、直径62mmの金属製の中空の芯金コア1aに、高熱伝導性のシリコーンゴムよりなる耐熱性弾性層体1b(ゴム硬度33°)を1.5mmの厚さに形成した下地ロールの上に、ポリオール系加硫タイプフッ素ゴム(ダイキン工業社製:G−702)95質量部に対して、ゴム用配合材として酸化マグネシウム(協和化学社製)を5質量部配合したのゴム組成物を30μmの厚みにコーティングし、230℃で3時間焼き付けを行い、離型層1cを形成したものを用いた。
加圧ベルト2として、長さ340mm、周長213.3mmの熱硬化性ポリイミド製エンドレスベルト状のベース基材上に、実施例13のフッ素樹脂組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行い、その後、研磨ペーパーによる研磨(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム 30micシリコンカーバイド砥粒タイプ)を4往復行った以外は、全く同様の構成のベルト型定着装置を作製した。
この装置を用いて、実施例12−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。用紙伸びについてはゼロックスコーポレーション製の11×17inchサイズのコート紙(Color Xpression Gloss Coated Text 120gsm:ゼロックスコーポレーション製両面コート紙)において、用紙長手方向で最大0.9mmとなった。また、高画質性に悪影響を及ぼす高密度画像印字時のあばら状画像ずれやOHPでの画像透過むらやエッジ部黒ずみは認められず、両面印刷時のベルト側画像微小グロスムラも問題無いレベルにあり、高画質適性を有していた。さらに、この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
(実施例14−1)
加熱ロール1として、直径62mmの金属製の中空の芯金コア1aに、高熱伝導性のシリコーンゴムよりなる耐熱性弾性層体1b(ゴム硬度33°)を1.5mmの厚さに形成した下地ロールの上に、ポリオール系加硫タイプフッ素ゴム(ダイキン工業社製:G−702)95質量部に対して、ゴム用配合材として酸化マグネシウム(協和化学社製)を5質量部配合したのゴム組成物を30μmの厚みにコーティングし、230℃で3時間焼き付けを行い、離型層1cを形成したものを用いた。
加圧ベルト2として、長さ340mm、周長213.3mmの熱硬化性ポリイミド製エンドレスベルト状のベース基材上に、実施例14のフッ素樹脂組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行い、その後、研磨ペーパーによる研磨(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム 30micシリコンカーバイド砥粒タイプ)を1往復行った以外は、全く同様の構成のベルト型定着装置を作製した。
この装置を用いて、実施例12−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。用紙伸びについては、前述のコート紙において、最大1.0mmとなった。また、高画質性に悪影響を及ぼす高密度画像印字時のあばら状画像ずれやOHPでの画像透過むらやエッジ部黒ずみは認められず、両面印刷時のベルト側画像微小グロスムラも問題無いレベルにあり、高画質適性を有していた。さらに、この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
(実施例15−1)
加熱ロール1として、直径62mmの金属製の中空の芯金コア1aに、高熱伝導性のシリコーンゴムよりなる耐熱性弾性層体1b(ゴム硬度33°)を1.5mmの厚さに形成した下地ロールの上に、ポリオール系加硫タイプフッ素ゴム(ダイキン工業社製:G−702)95質量部に対して、ゴム用配合材として酸化マグネシウム(協和化学社製)を5質量部配合したのゴム組成物を30μmの厚みにコーティングし、230℃で3時間焼き付けを行い、離型層1cを形成したものを用いた。
加圧ベルト2として、長さ340mm、周長213.3mmの熱硬化性ポリイミド製エンドレスベルト状のベース基材上に、実施例15のフッ素樹脂組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行い、その後、研磨ペーパーによる研磨(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム 30micシリコンカーバイド砥粒タイプ)を4往復行った以外は、全く同様の構成のベルト型定着装置を作製した。
この装置を用いて、実施例12−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。用紙伸びについては、前述のコート紙において、最大0.9mmとなった。また、高画質性に悪影響を及ぼす両面印刷時のベルト側画像微小グロスムラは、若干発生するものの、許容範囲内であり、高密度画像印字時のあばら状画像ずれやOHPでの画像エッジ部黒ずみについては未発生であり、OHP用紙での画像透過むらも若干発生するものの許容レベルであり、高画質適性を有していた。この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
(実施例16−1)
加熱ロール1として、直径62mmの金属製の中空の芯金コア1aに、高熱伝導性のシリコーンゴムよりなる耐熱性弾性層1b(ゴム硬度33°)を1.5mmの厚さに形成した下地ロールの上に、ポリオール系加硫タイプフッ素ゴム(ダイキン工業社製:G−702)95質量部に対して、ゴム用配合材として酸化マグネシウム(協和化学社製)を5質量部配合したのゴム組成物を30μmの厚みにコーティングし、230℃で3時間焼き付けを行い、離型層1cを形成したものを用いた。
加圧ベルト2として、長さ340mm、周長213.3mmの熱硬化性ポリイミド製エンドレスベルト状のベース基材上に、実施例16のフッ素樹脂組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃で40分焼き付けを行い、その後、研磨ペーパーによる研磨(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム 30micシリコンカーバイド砥粒タイプ)を3往復行った後、再度380℃で40分焼き付けを行った以外は、全く同様の構成のベルト型定着装置を作製した。
この装置を用いて、実施例12−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。用紙伸びについては、前述のコート紙において、最大1.0mmとなった。また、高画質性に悪影響を及ぼす高密度画像印字時のあばら状画像ずれやOHPでの画像透過むらやエッジ部黒ずみは認められず、両面印刷時のベルト側画像微小グロスムラも問題無いレベルにあり、高画質適性を有していた。さらに、この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
(比較例5−1)
実施例12−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記比較例5のフッ素樹脂組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃40分焼き付けを行った以外は、全く同様の構成のベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例12−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、前述のコート紙に対する用紙伸びは1.0mmとなったが、高画質性に悪影響を及ぼす両面印刷時のベルト側画像微小グロスムラが許容できないレベルで発生した。また、定着テスト後で加圧ベルトに剥離爪による摩耗跡が発生し、両面印刷時のベルト側画像に摩耗跡が発生した。
(比較例6−1)
実施例12−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記比較例6のゴム組成物を180μmの厚みにコーティングし、230℃で3時間焼き付けを行い、その後研磨ペーパーによる研磨(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3M製インペリアルラッピングフィルム 9micシリコンカーバイド砥粒タイプ)を2往復行った以外は、全く同様の構成のベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例12−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかったが、前述のコート紙に対する用紙伸びは3.0mmとなり、実用上問題となる大きさであった。また、両面印字時のベルト側画像の微小グロスむらは発生しなかったが、高密度画像印字時のあばら状画像ずれが発生した。
[参考:実施例6−2]
実施例12−1における加圧ベルト2における表面層2cを、前記実施例6のフッ素樹脂組成物を30μmの厚みにコーティングし、380℃40分焼き付けを行った以外は、全く同様の構成のベルト型定着装置を作製した。この装置を用いて、実施例12−1と同様の条件で未定着像の定着テストを行い、同様に評価した。
その結果、20000枚のコピー定着テスト中、ベルト表面からの用紙剥離不良トラブルは1度も発生しなかった。コート紙に対する用紙伸びは1.0mmとなり、ベルト表面の微小突起による両面画像印字時の画像傷が若干発生したが許容範囲内であった。また、高画質性に悪影響を及ぼす両面印刷時のベルト側画像微小グロスムラは、初期では許容レベルであり、20000枚後では若干レベルが低下したものの、高密度画像印字時のあばら状画像ずれやOHPでの画像エッジ部黒ずみについては未発生であった。OHP用紙での画像透過むらにいたっては若干発生したものの、許容範囲内であり、通常の画質適性を有していた。この定着テスト後でも加圧ベルトに剥離爪による摩耗は認められなかった。
これら実施例及び比較例から、特定の充填剤粒子を配合したPFAからなる表面層を有するエンドレスベルトは、トナーへの高離型性、耐久性を持ちながら、用紙への低粘着性、オイルへの親和性、表面形状(うねり、鋭角な突起のないかつマイクロ凹のある表面形状)を改善し、トナーへの高離型性、耐久性を持ちながら、記録物の用紙の伸び、あばら状画質ずれの抑制と高品位の画質(両面印字時の微小梨地状グロスムラ、OHP用紙の画像透過むら、画像の白抜け、剥離爪摩耗跡の改善)をすべて満足させることができることが判る。また、各材料を適宜選択することや、粗面化処理などの後加工処理を行なうと、エンドレスベルトの表面諸特性がより最適なものとなり、用紙伸び、あばら状画質ずれと梨地状微小グロスむら、OHPの透過むら、画像の白抜け、剥離爪摩耗跡等の抑制の両立が可能となることも判る。
本発明の加熱ロール・ベルト型定着装置の一実施の形態を示す概略的構成図である。 本発明の加熱ロール・ベルト型定着装置の他の一実施の形態を示す概略的構成図である。
符号の説明
1 定着ロール
1a 中空ロール
1b 弾性層
1c 離型層
1d ヒーターランプ(加熱源)
2 加圧ベルト(エンドレスベルト)
2d ヒーターランプ(加熱源)
3 記録材(記録シート)
4 未定着トナー
5 オイル供給装置
6 クリーニング装置
7 外部加熱装置
8 剥離爪
9 温度センサー
10 支持ロール
11 加圧ロール
12 加圧パッド

Claims (19)

  1. 少なくとも外周面に設けられる表面層が、金属酸化物、ケイ酸塩鉱物、カーボンブラック、窒素化合物、及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填剤粒子を配合したテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)からなり、
    前記共重合体(PFA)が、粒径の異なる2種以上の共重合体(PFA)粒子から形成されてなり、
    前記共重合体(PFA)粒子が、平均粒径1μm以下の共重合体(PFA)粒子と平均粒径3μm以上30μm以下の共重合体(PFA)粒子とを含み、
    前記平均粒径1μm以下の共重合体(PFA)粒子100質量部に対し、前記平均粒径3μm以上30μm以下の共重合体(PFA)粒子が5質量部以上70質量部以下、配合されてなることを特徴とする電子写真用定着部品。
  2. 前記無機充填剤粒子が、BaSO4、ゼオライト、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化銅、酸化鉄、酸化ジルコニウム、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化チタン、及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用定着部品。
  3. 前記無機充填剤粒子が、BaSO4、ゼオライト、マイカ、BN、SnO、SbドープSnO、及びカーボンブラックからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用定着部品。
  4. 前記無機充填剤粒子が、少なくともBaSOを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真用定着部品。
  5. 前記表面層が、前記共重合体(PFA)の100質量に対し、前記無機充填剤粒子が1質量部以上30質量部以下配合されてなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
  6. 前記無機充填剤粒子の平均粒径が、0.1μm以上15μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
  7. 前記無機充填剤粒子の平均粒径が、0.1μm以上10μm以下であり、
    粒径が15μm以上の前記無機充填剤粒子が、該無機充填剤粒子のうち25質量%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
  8. 前記無機充填剤粒子の平均粒径が、0.1μm以上10μm以下であり、
    粒径が15μm以上の前記無機充填剤粒子が、該無機充填剤粒子のうち5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
  9. 前記表面層が、前記共重合体(PFA)の100質量部に対し、導電性微粒子を1質量部以上10質量部以下、配合されてなることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
  10. 前記平均粒径3μm以上30μm以下の共重合体(PFA)粒子が平均粒径3μm以上15μm以下の共重合体(PFA)粒子であり、
    前記平均粒径1μm以下の共重合体(PFA)粒子100質量部に対し、前記平均粒径3μm以上15μm以下の共重合体(PFA)粒子が5質量部以上30質量部以下、配合されてなることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
  11. 前記平均粒径1μm以下の前記共重合体(PFA)粒子の380℃での溶融粘度が、3.5×104Pa・s以下の範囲にあり、
    前記平均粒径3μm以上30μm以下の前記共重合体(PFA)粒子の380℃での溶融粘度が、1.5×104Pa・s以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
  12. 前記粒径の異なる2種以上の共重合体(PFA)粒子のいれも、380℃での溶融粘度が、1.5×104Pa・s以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
  13. 前記表面層は、後加工処理が施されることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
  14. 前記表面層は、後加工処理が施された後、さらに前記共重合体(PFA)粒子が溶融する温度で熱処理が施されることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
  15. 前記表面層の表面グロスが、15以上60以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
  16. 前記表面層のアミン変性シリコーンオイルに対する接触角が、170℃において37度以下であることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれかに記載の電子写真用定着部品。
  17. 高分子樹脂、金属、セラミックス、及びガラス繊維からなる群より選択される少なくとも1種の複合化材料を用いて形成される耐熱層を基材とする電子写真用定着エンドレスベルトであって、該電子写真用定着エンドレスベルトが請求項1〜請求項16のいずれかに記載の電子写真用定着部品であることを特徴とする電子写真用定着エンドレスベルト。
  18. 加熱ロールと、前記加熱ロールに圧接する加圧ベルトと、を含む一対の定着ユニットを有し、前記加熱ロールと前記加圧ベルトとにより形成されるニップ域に未定着トナー像を保持する記録材を通過させ、熱および圧力によって定着を行なう加熱ロール・ベルト型定着装置において、
    前記加圧ベルトが、請求項1〜請求項16のいずれかに記載の電子写真用定着部品であることを特徴とする加熱ロール・ベルト型定着装置。
  19. 前記定着ユニットに離型剤オイルを塗布する離型塗布装置を含むことを特徴とする請求項18に記載の加熱ロール・ベルト型定着装置。
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