JP4994675B2 - 定着方法及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真に於ける静電荷像を定着するための定着方法に関する。さらに詳しくは、直接または間接電子写真現像方式を用いた複写機に使用される定着装置で使用される定着部材およびトナーを用いた定着方法、画像形成装置に関する。
近年、環境問題が重要となり、複写機やプリンタ装置等の画像形成装置も省エネルギー化が進んでいる。この画像形成装置の省エネルギー化を考えるに当たって無視できないのは、トナーを記録媒体に定着する定着装置の省電力である。画像形成装置の待機時における定着装置の消費電力の低減としては、待機時には加熱ローラの温度を定着温度よりやや低い一定の温度に保つことにより、使用時に直ちに使用可能温度まで立ち上げ、使用者が定着ローラの昇温を待つことがないようにしている。この場合、定着装置を使用していないときにもある程度の電力を供給して余分なエネルギーを消費していた。
この待機時の消費エネルギーを削減してより省電力化を図ることが望まれ、未使用時には電力供給をゼロにすることが求められてきている。しかしながら待機時にエネルギー消費をゼロにすると、加熱ローラは鉄やアルミなどの金属ローラを主に使用しており熱容量が大きいため、約180℃前後の使用可能温度にまで昇温するには数分から十数分など長い加熱時間が必要であり、使用者の使い勝手が悪化してしまう。加熱ローラの昇温時間を短くするためには、単位時間の投入エネルギーすなわち定格電力を大きくすると良い。実際に、プリント速度の速い高速機には電源電圧を200Vにして対応している装置も多い。しかし、日本国内の一般的なオフィスでは、商用電源は100V15Aであり、200Vに対応させるには設置場所の電源関連に特別な工事を施す必要があり一般的な解決法とはいえない。このため、加熱ローラを短時間で昇温させようとしても、最大投入エネルギーが電源により決まってしまっていた。
また、従来から、転写材上のトナー像に定着部材としての定着ベルトや定着ローラを圧接させて転写材上にトナー像を定着させる定着装置が知られている。例えば、ベルト曲率の小さい定着ローラと加熱ローラに張架されて、加熱ローラによって加熱されながら無端移動する定着ベルトを備え、転写材上のトナー像に定着ベルトを圧接させて、転写材上のトナー像を加熱定着している定着装置がある(例えば、特許文献1参照)。この定着ベルトは、一般的にポリイミド等の耐熱性樹脂や金属の基体、耐熱性を有するゴム、エラストマーからなる弾性層、フッ素樹脂からなる離型層(最外層)の3層構造となっている。上記フッ素樹脂からなる離型層は、押し出し成形によって形成されたフッ素樹脂チューブを上記弾性層に被覆した後、フッ素樹脂を加熱溶融(以下、焼成)して形成している。また、弾性層にフッ素樹脂粒子をスプレーなどで塗布した後、フッ素樹脂を焼成して離型層を形成している。このように、離型層をフッ素樹脂で形成することで、離型性、耐熱性に優れた定着ベルトとすることができる。特に離型性に対しては効果が大きくトナーのホットオフセット、紙の巻き付きに対しては有効に効果を発揮する。しかしながら、上記フッ素樹脂は、屈曲性に乏しいため、ベルト曲率の小さい定着ローラと加熱ローラに張架されて長時間使用すると、離型層にクラックが生じてしまい、十分なベルト耐久性を得ることができなかった。
一方定着においては、電子写真方式において加熱ローラによる圧着加熱方式は、トナーに対し離型性を有する熱ローラの表面と被定着シートのトナー像面を加圧下で接触させながら被定着シートを通過せしめることによりトナー像の定着を行なうものである。この方法は熱ローラの表面と被定着シート上のトナー像とが加圧下で接触するため、トナー像を被定着シート上に融着させる際の熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を行なうことができる。
昨今の定着においては、一般的には、低速定着の場合より溶融粘度の低いトナーを用い、加熱ローラの表面温度を下げ定着圧力を下げることにより、高温オフセットや巻きつきオフセットを防止しつつ、トナー像を定着している。しかし、このような溶融粘度の低いトナーを低速定着に用いると、高温でオフセット現象が発生しやすい。また耐熱温度が低くトナーの保管においてブロッキングを発生させる。いわゆる低温定着性改良はトナーブロッキングとオフセット性、紙巻き付きは完全なトレードオフの関係にあり昨今の更なる低温定着性を向上させるにはトナーだけでの改良は困難な状況にある。
一方、定着機構としては、いくつかの検討が試みられている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、この様な定着機構単独の検討・提案では、上述と同様の事由により、上記課題の根本的な解決にはなり得ない。
より低温定着化を進めるためトナーとして、トナーの流動性改良、低温定着性改良、ホットオフセット性改良を目的に、トナーバインダーとしてウレタン変性されたポリエステルの伸長反応物からなる実用球形度が0.90乃至1.00の乾式トナーが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、小粒径トナーとした場合の粉体流動性、転写性に優れるとともに、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れた乾式トナーが開示されている(例えば、特許文献3参照)。これら公知のトナーの製造方法は、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを水系媒体中でアミンと重付加反応させる高分子量化工程を含むものである。
しかしながら、前記のような工法により得られるトナーの場合、顔料やワックスの分散が悪く、顔料はトナー中に不均一に分散しているために、このトナーにより得られた画像は、透明性が低く、彩度(鮮やかさ)に劣るという問題点を有するものであった。特に、オイルレス定着においては離型材であるワックスの分散コントロールがなくオイルレス定着トナーとしての設計ができていないので十分な離型幅がとれない問題がある。また、前記トナーを用いてOHPシート上にカラー画像を形成した場合、ワックスの分散粒径が大きいのでその画像は暗い画像となる欠点を生じていた。
また、高画質、低温定着、クリーニング性など電子写真方式の改良のために、流動性改良、低温定着性改良、ホットオフセット性改良を目的にトナーバインダーとしてウレタン変性されたポリエステル(A)の伸長反応からなる実用球形度が0.90乃至1.00の乾式トナーが開示されている(例えば、特許文献4参照)。また、小粒径トナーとした場合の粉体流動性、転写性に優れるとともに、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れた乾式トナー、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れ、かつ熱ロールへのオイル塗布を必要としない乾式トナーが開示されている。
また、有機微粒子を使用した水中造粒が開示されている(例えば、特許文献5、6参照)有機微粒子は乳化微粒子の分布を制御し粒子の粒径分布を小さくするのは大きな効果を発揮するが、この有機微粒子はトナー粒子の表面に固着固定化し表面を完全に被覆するため定着時粒子内部からやわらかいバインダーが表面に出にくく低温定着阻害となる。それらの開示されている特許文献では、被覆率の制御がされているが実際には完全に被覆されているので定着阻害になっている。それらの開示された公報のいずれも熱分解ガスクロマトグラフィーにより定量されているので表面被覆率とは異なった結果となってしまったためと推察される。有機微粒子の量を少なくすると乳化中の粒径分布が広くなりシャープ分布のトナーは望めなくなる。この有機微粒子を取り除く研究も進められたが、例えば、アルカリで洗浄すると逆に表面に薄く皮膜化する。また超音波振動など機械的な脱利方法でも大きな効果はない。一方有機微粒子の組成的な検討、分子量分布を変える検討もされたが乳化性との関係でトレードオフの関係となっている。したがって、それらの特許文献で紹介されている手段であると低温定着性と乳化性、耐熱保存性、ホットオオフセット性とのバランスでは改良効果が望めない。
一方更なる省エネルギー化を進めるためにはバインダー樹脂の低軟化化、紙への親和性向上を図るためポリエステルレジンでの改良、低分子量化、低Tg化、などが有効と考えられるがホットオフセット性低下、紙への巻き付き、耐熱保存性低下が発生するので低温定着性向上の課題は大きい。
また、トナー中の樹脂微粒子含有量を少なくして低温定着性を達成する技術が開示されている(例えば、特許文献7参照)。
特開2002−268436号公報 特開平11−133665号公報 特開平11−149180号公報 特開2000−292981号公報 特開2003−202701号公報 特開2003−280269号公報 特開2003−140381号公報 Japan Harhcopy‘94(1994.6.23〜24 主催 電子写真学会)に於ける発表「オンデマンド定着技術の検討」(A−11)
したがって、本発明は上述に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、省エネルギー化における消費電力を少なくするために、より離型性のすぐれた定着部材と、省エネルギータイプのトナーとを使用することにより、優れた低温定着性とホットオフセット性への対応および耐熱保存性の優れた定着方法を提供する。
また、本発明の別の目的は、高精細、低温定着性、広い離型性、保存性を同時に満足させる高いレベルでのトナーを使用することで、鮮鋭性の良好な可視画像を長期にわたり形成することができる定着方法を提供する。
さらにまた、その定着方法を用いた画像形成装置を提供する。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、さらなる省エネルギー化のための低温定着性を向上させる手段としてトナー粒子を液中で化学反応をさせることにより粒子を形成する方法において、液中に樹脂微粒子を存在させることによって、非常に精度よく、トナーの粒径分布をシャープにそろえることができることが分かっている。これらの樹脂微粒子は最終的にトナー化した場合、トナー粒子の表面に完全に被覆している。低温定着を満足し、耐オフセット性が良好なトナーを得るためには、トナー表面上の樹脂微粒子が乳化と定着のトレードオフを満足し、樹脂微粒子が溶剤に対しても一部溶解や膨潤することなくトナー粒子表面に局部的に付着し定着を阻害しないことが重要であり、そのためには架橋性樹脂微粒子を用いて乳化することを見出し、そのトナー粒子のバインダー成分に低軟化バインダ−を用い徹底的に低温定着性を追求した。また、架橋性樹脂微粒子を用いなくとも母体粒子に付着した樹脂微粒子が被膜を形成せず、トナー粒子内部のバインダー樹脂が定着時すばやく染み出し低温定着性を発揮するトナー粒子表面構造を見出した。また、トナーを低軟化にするためトナー品質のトレードオフの関係にある耐熱保存性、ホットオフセット性の低下に対し、耐熱保存性については最外層がフッ素系樹脂からなる定着部材において、該フッ素樹脂はMFRが互いに異なる複数種類のフッ素樹脂からなる定着部材を使用する定着方法にすることで本発明を完成するに至った。また、付着固定化した有機微粒子の皮膜状態については、電子顕微鏡で表面付着状態が観察でき、その被覆率は画像解析装置ルーゼックスで定量化が可能となり被覆率を制御可能になったことからさらなる低温定着化を進めることができる。
すなわち、本発明の次の構成によって、上述した課題を解決することができるものである。
(1)溶融粘度メルトフローレート(MFR)が互いに異なる複数種類のフッ素樹脂からなる最外層を設ける定着部材と、少なくとも結着樹脂、着色剤および樹脂微粒子からなるトナーとを使用する定着方法であって、該トナーの粒子表面上には樹脂微粒子が固着しており、固着している樹脂微粒子は粒子形状をなして、画像解析装置ルーゼックスで測定される固着樹脂微粒子の表面面積率(被覆率)から求められる母体トナー粒子表面の露出表面面積率(露出割合)が10乃至70%の範囲であるトナーを使用することを特徴する定着方法。
(2)上記母体トナーのトナー粒子に含有されるバインダー樹脂の重量平均分子量(MW)が3000乃至6000であるトナーを使用することを特徴する上記(1)に記載の定着方法。
(3)上記固着樹脂微粒子が架橋性樹脂微粒子であるトナーを使用することを特徴する上記(1)または(2)に記載の定着方法。
(4)上記樹脂微粒子の平均粒径が5乃至200nmであることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか一に記載の定着方法。
(5)上記トナー粒子の平均円形度が、0.930乃至0.960であるトナーを使用することを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載の定着方法。
(6)上記結着樹脂の主成分がポリエステル樹脂であるトナーを使用することを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれか一に記載の定着方法。
(7)上記トナー中のバインダーが、変性ポリエステル系樹脂と共に、未変性ポリエステル系樹脂を含有し、該変性ポリエステル系樹脂と該未変性ポリエステル系樹脂との重量比が5/95乃至50/50であるトナー使用することを特徴とする上記(1)乃至(6)のいずれか一に記載の定着方法。
(8)上記トナーに使用されるポリエステル樹脂の酸価が、1乃至30mgKOH/gであるトナーを使用することを特徴とする上記(1)乃至(7)のいずれか一に記載の定着方法。
(9)上記トナー中のバインダーのガラス転移点(Tg)が、30乃至50℃であるトナーを使用することを特徴とする上記(1)乃至(8)のいずれか一に記載の定着方法。
(10)上記トナーは、有機溶媒中に活性水素と反応可能な変性ポリエステル系樹脂からなるトナーバインダー成分を含むトナー組成分を溶解又は分散させて形成した溶解物又は分散物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中で架橋剤及び/又は伸長剤と反応させ、得られた分散物から溶媒を除去し、かつトナー表面に付着した該樹脂微粒子を洗浄・脱離して得られることを特徴とする上記(1)乃至(9)のいずれか一に記載の定着方法。
(11)上記定着部材のフッ素樹脂は、372℃、5kgf荷重におけるMFRが7(g/10min)以上のフッ素樹脂と372℃、5kgf荷重におけるMFRが3(g/10min)以下のフッ素樹脂とからなることを特徴とする上記(1)乃至(10)のいずれか一に記載の定着方法。
(12)上記定着部材のフッ素樹脂は、互いに異なる複数種類のフッ素樹脂からなることを特徴とする上記(11)に記載の定着方法。
(13)上記定着部材のフッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)であることを特徴とする上記(11)または(12)に記載の定着方法。
(14)少なくとも、定着ローラと、加熱手段を内蔵する加熱ローラと、該加熱ローラと定着ローラとによって回転可能に設けた定着ベルトと、該定着ベルトを介して該定着ローラに接するように設けた加圧ローラとを備え、該加熱ローラで加熱された定着ベルトと加圧ローラとの間に転写紙を通過させて該転写紙上の未定着トナーを該定着ベルトの熱で軟化させつつ該加圧ローラで加圧して該転写紙上に定着させる定着装置であって、該定着装置は、上記(1)乃至(13)のいずれか一に記載の定着方法を使用することを特徴とする定着装置。
(15)少なくとも、像担持体と、該像担持体上にトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、該像担持体上のトナー画像を転写材に転写する転写手段と、該転写材上のトナー画像を定着する定着手段とを備えた画像形成装置であって、上記(1)乃至(13)のいずれか一に記載の定着方法を使用することを特徴とする画像形成装置。
本発明によると、より離型性のすぐれた定着部材と省エネルギータイプのトナーを使用することによって、優れた低温定着とホットオフセット性への対応と、耐熱保存性が優れ、省エネルギー化における消費電力が少ない、優れた定着方法及び画像形成装置を提供できる。また、高精細、低温定着性、広い離型性、保存性を同時に満足させる高いレベルでのトナーを使用することで、さらに、鮮鋭性の良好な可視画像を長期にわたり形成することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正して他の実施態様をなすことは容易であり、これらの変更・修正は、この特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明の定着方法の特徴としては、溶融粘度メルトフローレート(以下、MFRという)が互いに異なる複数種類のフッ素樹脂からなる最外層を設ける定着部材を使用し、さらに、少なくとも結着樹脂、着色剤および樹脂微粒子からなるトナーを使用する。当該定着方法において、トナーの粒子表面上には樹脂微粒子が固着しており、固着している樹脂微粒子は粒子形状をなしていて画像解析装置ルーゼックスで測定される固着樹脂微粒子の表面面積率(被覆率)から求められる母体トナー粒子表面の露出表面面積率(露出割合)が10乃至70%の範囲であるトナーを使用することを特徴とする。
まず、本発明のトナーについて説明する。
(トナー粒子表面に付着固定化した樹脂微粒子)
トナーの粒径分布を極めて精度よく制御する方法として、トナーバインダー成分を含むトナー組成分を溶解又は分散させて形成した溶解物又は分散物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中で架橋剤及び/又は伸長剤と反応させ、得られた分散液から溶媒を除去する方法があげられる。このときトナー粒子表面に付着固定化した樹脂微粒子の存在有無がトナーの定着性、ホットオフセット性、保存性に対する影響が大きい。また、樹脂微粒子は乳化の際、重要な乳化、凝集作用を示すため付着状態、付着量が乳化しやすさと定着、ホットオフセット性、保存性のトレードオフの関係になる。従来は樹脂微粒子が表面に付着固定化し最終的には表面皮膜は避けられなかった。しかし、研究者はその改良策を見つけた。
製法において、溶剤に溶解、分散する中で樹脂微粒子が不溶な架橋性樹脂微粒子を用い、その付着状態が局所的に付着させることで樹脂微粒子が皮膜化せず局所的に固定化することによるトナー粒子の内部バインダーが定着時すばやく染み出し低温定着が可能となる。このときの架橋性樹脂微粒子の付着状態はFE−SEMでトナー粒子を撮影し画像解析装置ルーゼックスで架橋性樹脂微粒子は面積率で算出可能となる。表面付着率から求められるトナー粒子の表面露出面積率は粒子の表面積に対し10〜70%であり、好ましくは50〜90%である。局所に付着している樹脂微粒子の状態が定量的になることによりトナー粒子の露出率が制御可能となりしいては定着、ホットオフセット性の制御が可能となった。
また、乳化時の乳化粒径とトナー粒子の粒径差が少なくした乳化方法をとり、かつトナー母体粒子のバインダー樹脂を低粘度化することにより上記架橋樹脂粒子と同じ性能が発現することが見つけられた。
従来は乳化の安定化を考えてトナー粒子成分と溶剤は好適には30乃至50%で乳化させることにより乳化安定と定着性能、保存性能のバランスがとられていた。しかしながら、より定着性能をあげるため樹脂微粒子の被膜を少なく、そしてトナー母体粒子のバインダー成分をよりすばやく染み出させるために樹脂微粒子付着を少なくした乳化方法を検討した結果、バインダー樹脂の分子量を6000以下にすることで乳化時の固形分を55%以上での乳化が可能となる。ただし、乳化時の固形分が75%以上では乳化安定性がなくなる。また、分子量が3000以下の場合は保存性が低下することと樹脂としてもろくなってしまうので、トナーとしては品質問題を発生しやすい。高固形分で乳化することで乳化粒子は溶剤が少なくトナー粒子全表面積が小さくなることにより樹脂微粒子の付着率が大幅に低下した結果が得られる。この時の母体粒子の表面露出面積率はトナー粒子の表面積に対し10%乃至70%まで変化させることが可能である。低温定着性と保存性及び乳化性に離型性を考え合わせると、母体粒子の露出率は10乃至50%が好適である。固形分をあげることで大幅に樹脂微粒子の付着率をさげることが可能になったのはトナー粒子の全表面積割合が減ったことばかりでなく、樹脂微粒子の溶剤への膨潤、濡れなど溶剤量が少なくなったことにより低減したことでトナー粒子の表面被覆率低下につながった結果と考察される。結果的にトナー母体粒子表面の樹脂微粒子の被覆率を計測することにより定着性能、ホットオフセット性、保存性能のバランス設計が可能となった。
表面付着密度測定方法
試験法(架橋樹脂表面付着密度 測定機:ルーゼックス)
トナー粒子の表面に固着した樹脂微粒子は、例えば、日立製作所製高分解能走査型電子顕微鏡S−2700型を用いて倍率50000倍に拡大したトナー粒子を10個撮影する。トナー粒子に固着している樹脂微粒子を観察し写真に撮影することができる。続いて、その画像を、インターフェイスを介してLUSEXIIIに導きトナー粒子から局所的に写っている樹脂微粒子を二値化し、二値化した微粒子の表面固着密度を一定の面積に対しての固着の被覆率として算出することができる。
粒子表面の微粒子付着面積率%=粒子付着(被覆)総面積/トナー粒子測定視野面積
また、トナー粒子の露出表面面積率%=100−樹脂微粒子の付着面積率%
(Dv/Dn(体積平均粒径/個数平均粒径の比))
個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.20以下が好ましく1.00乃至1.20である。本発明の乾式トナーを用いることにより、二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。また、一成分現像剤として用いた場合においても、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られた。
本発明においては、トナーの体積平均粒径(Dv)は3乃至6μmであることが好ましい。一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得るために有利であると言われているが、逆に転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、上記の範囲よりも体積平均粒子径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させたり、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。
また、これらの現象は微粉の含有率が前記範囲より多いトナーにおいても同様である。
逆に、トナーの粒子径が上記範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、体積平均粒子径/個数平均粒子径が1.20よりも大きい場合も微粉による画像にじみ、や粗大粒子による解像力の低下などがあり高画質の画像が得られにくいことが明らかになった。
また、体積平均粒子径/個数平均粒子径が1.00に近づくと、トナーの挙動の均一化、安定化、帯電量の均一化の面から好ましい。
(樹脂微粒子)
本発明で使用される樹脂微粒子は、乳化重合法により造られるのが好ましいが懸濁重合法などでも可能である。ガラス転移点(Tg)が50乃至90℃の組成範囲が好ましく、ガラス転移点(Tg)が50℃未満の場合、トナー保存性が悪化してしまい、保管時および現像機内でブロッキングを発生してしまう。ガラス転移点(Tg)が90℃超の場合、樹脂微粒子が定着紙との接着性を阻害してしまい、定着下限温度が上がってしまう。さらに好ましい範囲としては50乃至70℃の範囲があげられる。
また、その重量平均分子量は100万以下又は溶剤に一部溶解、膨潤などでトナー粒子表面に皮膜してしまうと定着性が悪化する。
樹脂微粒子は水性分散体を形成し粒子径が5乃至200nmであることと耐熱保存性、乳化性を満足できることが重要な選択基準となる。使用可能な架橋性樹脂微粒子では、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂又はそれらの併用樹脂からなるものが好ましい。
また、ジビニルベンゼンなどの架橋剤を使用して作られる架橋樹脂微粒子は溶剤に対しての膨潤には効果がありトナー粒子に付着した樹脂微粒子の被膜化には抑制効果がある。
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
樹脂微粒子において、その平均粒径は5乃至200nm、好ましくは20乃至100nmである。
(円形度および円形度分布)
本発明のトナーは、特定の形状と形状の分布を有することが重要であり、平均円形度が0.940以下と低く、球形からあまりにも離れた不定形の形状のトナーでは、満足した転写性やチリのない高画質画像が得られない。なお、形状の計測方法としては粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である平均円形度が0.960乃至0.930のトナーが適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのに有効であることが判明した。より好ましいトナーは、平均円形度が0.955乃至0.945で円形度が0.940未満の粒子が10%以下である。平均円形度が0.930以下の場合、異型化が進みすぎ、キャリアとの混合でマシーン中割れやすい問題がある。また、平均円形度が0.960超の場合、ブレードクリーニングなどを採用しているシステムでは、感光体上および転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れを引き起こす。例えば、画像面積率の低い現像・転写では転写残トナーが少なく、クリーニング不良が問題となることはないが、カラー写真画像など画像面積率の高いもの、さらには、給紙不良等で未転写の画像形成したトナーが感光体上に転写残トナーとして発生することがあり、蓄積すると画像の地汚れを発生してしまう。また、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまう。この値はフロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)により平均円形度として計測した。具体的な測定方法は後述する。
(結着樹脂)
結着樹脂としては、従来の一般的な材料を使用することができる。従来、トナー製造に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等があるが、通常のトナーにおいては、これらの中でもスチレンとアクリル酸エステルの共重合体からなる樹脂が最も一般的に使われている。これに対して、低温定着トナーにおいては、上述したような熱特性を満たしやすい樹脂である。ポリエステル樹脂は結着樹脂の軟化温度が低くガラス転移点が高いことにより、低温定着性と保存安定性に優れている。さらにポリエステル樹脂のエステル結合と紙との親和性が良好であるため、耐オフセット性にも優れたトナーになる。
本発明の静電荷像現像用トナーの結着剤樹脂の主成分に用いられるポリエステル樹脂は、酸成分とアルコール成分の縮合反応、或いは環状エステルの開環反応により合成されるか、或いは、ハロゲン化合物とアルコール成分及び一酸化炭素により合成される。本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、上記した高分子化合物溶液中で、ポリエステル樹脂の合成材料となる上記したモノマーを組み合わせて重合させることによって、先に述べた優れた物性を有する本発明の静電荷像現像用トナーが容易に得られる。以下、ポリエステル樹脂の合成材料として用いられる各種モノマーについて説明する。
先ず、アルコール成分及び酸成分としては、2価以上のものが好適に用いられる。例えば、2価のアルコールとしては、エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノールAアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
また、3価以上のアルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタンジトリオール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
2価の酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、及びその他の2価の有機酸が挙げられる。また、3価の酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−カルボキシメチルプロパン、テトラ(カルボキシメチル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等が挙げられる。これら有機酸の酸無水物及び酸ハロゲン化物も合成上好ましい酸成分である。
これ以外の酸成分に相当する化合物としては、ハロゲン化合物を用いることができる。ハロゲン化物としては多ハロゲン化合物を使用するが、例えば、cis−1,2−ジクロロエテン、trans−1,2−ジクロロエテン、1,2−ジクロロプロペン、2,3−ジクロロプロペン、1,3−ジクロロプロペン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロロブロモベンゼン、ジクロロシクロヘキサン、ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、1,8−ジクロロオクタン、1,7−ジクロロオクタン、ジクロロメタン、4,4’−ジブロモビニルフェノール、1,2,4−トリブロモベンゼン等が挙げられる。
本発明においては、ポリエステル樹脂の合成成分として、上記に挙げた酸成分とアルコール成分のどちらか一方に、少なくとも芳香環を有するものを使用することが好ましい。また、本発明においては、ポリエステル樹脂の合成成分である酸成分とアルコール成分の合計量が、先に述べた高分子化合物1部に対して1部乃至30部、好ましくは1.5部乃至10部の範囲となる様にして用いることが好ましい。
また、酸成分とアルコール成分の使用比は、カルボキシル基1モル当量に対して、アルコール基0.9乃至1.5モル当量、好ましくは1.0乃至1.3モル当量の範囲であることが好ましい。なお、ここでいうカルボキシル基としては、上記に挙げた酸成分に相当する化合物であるハロゲン化物も含まれる。その他の添加剤としては、アミン成分を用いてもよい。具体的には、例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等が挙げられる。又、他の縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド等を用いて反応を行ってもよい。
(活性水素と反応可能な変性ポリエステル)
活性水素と反応可能な反応性変性ポリエステル系樹脂(RMPE)(以下、ポリエステル系樹脂は単にポリエステルとも言う)には、例えば、インシアネート基等の活性水素と反応する官能基を有するポリエステルプレポリマー等が包含される。本発明で好ましく使用されるポリエステルプレポリマーは、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)である。このイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)は、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の重縮合物で、かつ活性水素基を有するポリエステルにポリイソシアネート(PIC)と反応させることによって製造される。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
ポリオールとしては、ジオール(DIO)および3価以上のポリオール(TO)が挙げられ、DIO単独、またはDIOと少量のTOとの混合物が好ましい。
ジオールとしては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2乃至12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2乃至12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上のポリオールとしては、3乃至8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIC)および3価以上のポリカルボン酸(TC)が挙げられ、DIC単独、およびDICと少量のTCとの混合物が好ましい。
ジカルボン酸としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4乃至20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8乃至20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上のポリカルボン酸としては、炭素数9乃至20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオールと反応させてもよい。
ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1乃至1/1、好ましくは1.5/1乃至1/1、さらに好ましくは1.3/1乃至1.02/1である。
ポリイソシアネート(PIC)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
ポリイソシアネートの比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1乃至1/1、好ましくは4/1乃至1.2/1、さらに好ましくは2.5/1乃至1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5乃至40重量%、好ましくは1乃至30重量%、さらに好ましくは2乃至20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5乃至3個、さらに好ましくは、平均1.8乃至2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
上記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)からは、これにアミン類(B)を反応させることにより、ウレア変性ポリエステル系樹脂(UMPE)を得ることができる。このものは、トナーバインダーとして優れた効果を示す。
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1乃至B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1乃至B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1乃至B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
さらに、必要により伸長停止剤を用いてウレア変性ポリエステル等の変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2乃至2/1、好ましくは1.5/1乃至1/1.5、さらに好ましくは1.2/1乃至1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。本発明においては、ウレア結合で変性されたポリエステル中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0乃至10/90であり、好ましくは80/20乃至20/80、さらに好ましくは、60/40乃至30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
前記アミン類(B)は、活性水素と反応可能な変性ポリエステルに対する架橋剤や伸長剤として作用する。
本発明で用いるウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。ウレア変性ポリエステル等の変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万乃至1000万、さらに好ましくは3万乃至100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の変性ポリエステルの数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステル等の変性ポリエステル単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000乃至10000、さらに好ましくは2000乃至8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
(未変性ポリエステル)
本発明においては、前記ウレア結合で変性されたポリエステル等の変性ポリエステル(MPE)単独使用だけでなく、これと共に、変性されていないポリエステル(PE)をトナーバインダー成分として含有させることもできる。PEを併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。PEとしては、前記MPEのポリエステル成分と同様なポリオールとポリカルボン酸との重縮合物などが挙げられ、好ましいものもMPEと同様である。また、PEは無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えば、ウレタン結合で変性されていてもよい。MPEとPEは少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。したがって、MPEのポリエステル成分とPEは類似の組成が好ましい。PEを含有させる場合のMPEとPEの重量比は、通常5/95乃至50/50、好ましくは15/95乃至30/70である。
PEの水酸基価は5mgKOH/g以上であることが好ましく、さらに好ましくは10乃至120mgKOH/g、特に好ましくは20乃至80mgKOH/gである。5mgKOH/g未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。PEの酸価は通常1乃至30mgKOH/g、好ましくは5乃至20mgKOH/gである。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
本発明において、トナー中のバインダー(トナーバインダー)のガラス転移点(Tg)は、通常30乃至50℃、好ましくは35乃至46℃である。30℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、50℃を超えると低温定着性が不十分となる。ウレア変性ポリエステル系樹脂等の変性ポリエステルの共存により、本発明の乾式トナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
(着色剤)
本発明で用いる着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1乃至15重量%、好ましくは3乃至10重量%である。
本発明で用いる着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先にあげた変性、未変性ポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
本マスターバッチはマスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得る事ができる。この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
(離型剤)
本発明のトナーに対しては、トナーバインダー、着色剤とともにワックスを含有させることもできる。ワックスとしては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。本発明のワックスの融点は、通常40乃至160℃であり、好ましくは50乃至120℃、さらに好ましくは60乃至90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5乃至1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10乃至100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。トナー中のワックスの含有量は通常0乃至40重量%であり、好ましくは3乃至30重量%である。
(帯電制御剤)
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、コピーチャージNX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
本発明において、荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1乃至10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2乃至5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させる事もできるし、もちろん有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナー表面にトナー粒子作成後固定化させてもよい。
(外添剤)
本発明で得られた着色樹脂粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5nm乃至2μmであることが好ましく、特に5nm乃至500nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20乃至500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01乃至5重量%であることが好ましく、特に0.01乃至2.0重量%であることが好ましい.無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他の高分子系微粒子、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような外添剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
(製造方法)
トナーバインダーは以下の方法などで製造することができる。ポリオールとポリカルボン酸を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150乃至280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。
(トナーの製造)
本発明の乾式トナーは以下の方法で製造することができるが、勿論これらに限定されることはない。
(水系媒体中でのトナー製造法)
水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するプレポリマー(A)からなる分散体を、アミン類(B)と反応させて形成することができる。水系媒体中でウレア変性ポリエステルやプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステルやプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成分を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。プレポリマー(A)と他のトナー組成分である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、荷電制御剤、未変性ポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。例えば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2乃至20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000乃至30000rpm、好ましくは5000乃至20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1乃至5分である。分散時の温度としては、通常、0乃至150℃(加圧下)、好ましくは40乃至98℃である。高温の方が、ウレア変性ポリエステルやプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
ウレア変性ポリエステルやプレポリマー(A)を含むトナー組成分(組成物)100部に対する水系媒体の使用量は、通常50乃至2000重量部、好ましくは100乃至1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成分の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
プレポリマー(A)からウレア変性ポリエステルを合成する工程は水系媒体中でトナー組成分を分散する前にアミン類(B)を加えて反応させても良いし、水系媒体中に分散した後にアミン類(B)を加えて粒子界面から反応を起こしても良い。この場合、製造されるトナー表面に優先的にウレア変性ポリエステルが生成し、粒子内部で濃度勾配を設けることもできる。
トナー組成分が分散された油性相を、水が含まれる液体に乳化、分散するための分散剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2乃至10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6乃至C11)オキシ〕−1−アルキル(C3乃至C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6乃至C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11乃至C20)カルボン酸及びその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7乃至C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4乃至C12)スルホン酸及ぴその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6乃至C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6乃至C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6乃至C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(タイキン工莱社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−l32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
また、水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いることができる。
また高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
さらに、トナー組成分を含む液体の粘度を低くするために、ウレア変性ポリエステルやプレポリマー(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いることで粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100℃未満の揮発性であることによって除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。プレポリマー(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常0乃至300部、好ましくは0乃至100部、さらに好ましくは25乃至70部である。溶剤を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧または減圧下にて加温し除去する。
活性水素と反応可能な変性ポリエステルに架橋剤及び/又は伸長剤としてのアミン類(B)を反応させる場合、その伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分乃至40時間、好ましくは2乃至24時間である。反応温度は、通常、0乃至150℃、好ましくは40乃至98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
(二成分用キャリア)
本発明のトナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1乃至10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20乃至200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、本発明のトナーはキャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
定着装置
従来から、転写材上のトナー像に定着部材としての定着ベルトや定着ローラを圧接させて転写材上にトナー像を定着させる定着装置が知られている。例えば、特許文献1の定着装置は、ベルト曲率の小さい定着ローラと加熱ローラに張架されて、加熱ローラによって加熱されながら無端移動する定着ベルトを備え、転写材上のトナー像に定着ベルトを圧接させて、転写材上のトナー像を加熱定着している。この定着ベルトは、一般的にポリイミド等の耐熱性樹脂や金属の基体、耐熱性を有するゴム、エラストマーからなる弾性層、フッ素樹脂からなる離型層(最外層)の3層構造となっている。上記フッ素樹脂からなる離型層は、押し出し成形によって形成されたフッ素樹脂チューブを上記弾性層に被覆した後、フッ素樹脂を加熱溶融(以下、焼成)して形成している。また、弾性層にフッ素樹脂粒子をスプレーなどで塗布した後、フッ素樹脂を焼成して離型層を形成している。このように、離型層をフッ素樹脂で形成することで、離型性、耐熱性に優れた定着ベルトとすることができる。しかしながら、上記フッ素樹脂は、屈曲性に乏しいため、ベルト曲率の小さい定着ローラと加熱ローラに張架されて長時間使用すると、離型層にクラックが生じてしまい、十分なベルト耐久性を得ることができなかった。このような問題を解決するために、種々の提案がされている。例えば、特開2003−167462号公報2には、上記離型層をMFR3以下のフッ素樹脂して、長時間使用してもクラックの発生しない定着ベルトとするものが記載されている。
さらに、このような定着ベルトにおいてはベルト表面の静電気により転写材上のトナー画像を乱したり、トナーがオフセットすることがあり、ベルト表面への静電気の蓄積を防止することが課題となる。そのためには離型層の表面抵抗を小さくすることが有効であるが、一般にフッ素樹脂に導電フィラーを分散して低抵抗化を図った場合には、耐屈曲性が低下し、長時間の使用でクラックを生じてしまう。単にMFRの小さい低溶融度タイプのフッ素樹脂では耐クラック性と静電気の蓄積防止を両立できない不具合があった。特に離型性を向上させるためにはトナーが静電気的に付着しないような対策を講ずる必要がある。
以下、本発明に係る画像形成装置の一例を図1に示す。この画像形成装置は、記録媒体としての転写紙Pを搬送する搬送ベルト20に沿って、その移動方向の上流側から順に、複数個の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkが配列された所謂タンデム型の画像形成装置である。本発明に係る移動体駆動装置は、このタンデム型の画像形成装置の移動体である搬送ベルト3の駆動装置として用いることができる。
この画像形成装置における各画像形成ユニットは、周知の電子写真プロセスにより、10Yがイエロー、10Mがマゼンタ、10Cがシアン、10Bkが黒の画像を順次形成するように構成されている。なお、これらの各画像形成ユニットは、形成する画像の色が異なるだけで、それぞれ共通した内部構成を有している。そこで、各画像形成ユニットの構成は、図1に示すように、それぞれに共通の構成要素を示す符号の末尾にY、M、C、Bkの文字を付して、各画像形成ユニットを区別することとする。そして、以下の説明では、主に画像形成ユニット10Yの構成について示し、この画像形成ユニット10Yの構成を示すことで、他の画像形成ユニットの構成も示したものとする。
図1において、搬送ベルト20は、無端状のエンドレスベルトで構成されている。この搬送ベルト20は、駆動回転される駆動ローラ7と、従動回転される従動ローラ8とによって回転自在に張架されており、駆動ローラ7の回転により矢印の向きに回転する。搬送ベルト20の下方には、転写紙束が収納された給紙トレイ50が配設されている。給紙トレイ50に収納された転写紙束のうち、最上位置にある転写紙Pは、画像形成時に送り出され、静電吸着により搬送ベルト20の外周面に吸着される。この搬送ベルト20の外周面に吸着された転写紙Pは、まず、搬送ベルト20の回転方向の最上流側に配置された画像形成ユニット10Yに搬送される。
この画像形成ユニット10Yは、像担持体としての感光体ドラム1Y、感光体ドラム1Yの周囲に配置された帯電器2Y、露光器3Y、現像器4Y、感光体クリーナ6Yなどから構成されている。
上記露光器3Yは、レーザスキャナからなり、レーザ光源からのレーザ光をポリゴンミラーで反射させ、fθレンズや偏向ミラー等を用いた光学系を介してレーザ光を出射するように構成されている。
上記感光体ドラム1Yの周面は、画像形成に際し、暗中にて上記帯電器2Yにより一様に帯電される。その後、この帯電された感光体ドラム1Yの周面に、上記露光器3Yからのイエロー画像に対応した画像光からなるレーザ光が露光される。この露光により、感光体ドラム1Yの周面に、イエロー画像に対応した静電潜像が形成される。この静電潜像は、上記現像器4Yから供給されるイエロートナーにより可視像化される。これにより、感光体ドラム1Y上にイエロートナー像が形成される。
このイエロートナー像は、感光体ドラム1Yと搬送ベルト20上の転写紙Pとが接する転写位置で、搬送ベルト20を挟んで感光体ドラム1Yに対向配置された転写器5Yにより転写紙P上に転写される。この転写により、転写紙P上にイエロートナー像が形成される。この転写を終えた感光体ドラム1Yは、その周面に残留した不要なトナーが上記感光体クリーナ6Yにより除去されて、次の画像形成に備えられる。
このようにして、画像形成ユニット1Yでイエロー色のトナー像を転写された転写紙Pは、搬送ベルト20によって次の画像形成ユニット10Mに搬送される。この画像形成ユニット10Mでは、画像形成ユニット10Y場合と同様のプロセスにより感光体ドラム1M上にマゼンタトナー像が形成される。このマゼンタトナー像は、感光体ドラム1Mと搬送ベルト20上の転写紙Pとが接する転写位置で、転写器5Mにより転写紙P上のイエロートナー像に重ね合わせて転写される。
このイエロートナー像及びマゼンタトナー像を転写された転写紙Pは、搬送ベルト20によって次の画像形成ユニット10Cに搬送される。この画像形成ユニット10Cでは、画像形成ユニット10Y、10Mの場合と同様のプロセスにより感光体ドラム1C上にシアントナー像が形成される。このシアントナー像は、感光体ドラム1Cと搬送ベルト20上の転写紙Pとが接する転写位置で、転写器5Cにより転写紙P上のイエロートナー像及びマゼンタトナー像に重ね合わせて転写される。
このイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色のトナー像を転写された転写紙Pは、搬送ベルト20によって次の画像形成ユニット10Bkに搬送される。この画像形成ユニット10Bkでは、画像形成ユニット10Y、10M、10Cの場合と同様にして感光体ドラム1Bk上に黒トナー像が形成される。この黒トナー像は、感光体ドラム1Bkと搬送ベルト20上の転写紙Pとが接する転写位置で、転写器5Bkにより転写紙9上の各色のトナー像に重ね合わせて転写される。
これにより、転写紙2上に、イエロー、マゼンタ、シアン、及び黒の各色のトナー像が合成されたフルカラーのカラー画像が形成される。そして、このフルカラーの合成画像が形成された転写紙Pは、画像形成ユニット10Bkを通過した後、搬送ベルト20から剥離されて定着装置40にて定着された後、排紙される。
図2は、ベルト方式の定着装置40の説明図である。図2に示されているように、この定着装置40は、加熱ローラ44と定着ローラ41とによって回転可能に設けた定着ベルト45を備えている。定着ローラ41は、金属製の芯金の外周に耐熱性のスポンジゴム層を有している。加熱ローラ44は、金属製の芯金にハロゲンランプ46等の加熱手段を内蔵しており、この輻射熱によって定着ベルト45を内側から加熱している。また、加熱ローラ44と対向する位置には、温度センサー素子であるサーミスタ49を配置し、定着ベルト45の中央部に接触して定着ベルト45の表面温度を検知する。加熱ローラ44は制御設定温度が設定されており、サーミスタ49の温度検知に基づき、その設定温度になるように図示されていない温度制御装置によってハロゲンランプ46の点灯を制御する。また、定着ベルト45を介して定着ローラ41に接するように設けた加圧ローラ42を備えている。加圧ローラ42は、バネ43によって定着ローラ45を加圧している。また、加圧ローラ42には、図示しない駆動手段によって回転しており、これにより、定着ローラ41が従動回転するようになっている。定着ベルトの移動方向に対して加圧ローラ42が接触する定着ニップより上流側に、定着ベルト45の中央部付近に接触するテンションローラ47が設けられている。このテンションローラ47は、バネ48によって図中左側に加圧され、これにより、定着ベルト45にテンションが付与されている。なお、この実施形態においては、駆動手段を加圧ローラ42に設けているが、定着ローラ41に設け、加圧ローラ42を従動回転させてもよい。また、加圧ローラ42と定着ローラをギヤで噛み合わせ、加圧ローラ42と定着ローラ41両方に駆動手段の駆動力を、ギヤを介して伝達するようにして、加圧ローラ42と定着ローラ41両方を回転駆動させても良い。
このようなベルト方式の定着装置40は、加熱ローラ44で加熱された定着ベルト45と加圧ローラ42との間に転写紙を通過させて、転写紙Pの上に付着しているトナーを定着ベルト45の熱により軟化させつつ加圧ローラ42で加圧して転写紙上に定着させる。
図3は、定着ベルト45の断面図である。図3に示すように、ポリイミドなどの耐熱性樹脂からなる円筒状のフィルム基体451の外周に、プライマーを介してシリコーンゴムからなる弾性層452を有している。さらに弾性層452の外周にプライマーを介してフッ素樹脂からなる層厚20μm以上の離型層453を有している。基体451は、耐熱性と機械的強度を備えた材料であればよく、ポリイミドなどの耐熱性樹脂の他に、例えば、NiやSUSなどの金属でも良い。弾性層452は、安定した定着性能を得るため、トナーおよび転写紙に対して熱と圧力を均一に与える材質であれば良く、弾性を有し、断熱性のある材料であれば良い。離型層453は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などの公知のフッ素樹脂あるいはこれらをブレンドした材料を用いることができる。上記のような材質からなる離型層は、弾性層452上にプライマーを介して塗布・焼成することで得ることができる。
上記離型層のフッ素樹脂は、MFRの異なる種類のフッ素樹脂からなっている。MFRの大きいフッ素樹脂は、溶融したときの流動性に優れている。このため、弾性層に付着したMFRの大きいフッ素樹脂は、焼成により定着ベルト表面に均一な膜を形成することができ、表面平滑性の高い定着ベルトとすることができる。しかし、MFRの大きいフッ素樹脂は、耐屈曲性に乏しいため、上記定着ローラ41と加熱ローラ44との張架やテンションローラ47の加圧等によって、使用中にクラックが発生しやすい。一方、MFRの小さいフッ素樹脂は、耐屈曲性に優れているため、長期間使用してもクラックが発生しにくい。しかし、MFRの小さいフッ素樹脂は、溶融したときの流動性が悪いため、塗布されて弾性層に付着したフッ素樹脂は、焼成時に流動しないため、定着ベルト表面に均一な膜を形成することができない。このため、表面に凹凸のある平滑性の悪い定着ベルトとなってしまう。上記のように離型層のフッ素樹脂をMFRの異なる種類のフッ素樹脂にすることで、離型層のフッ素樹脂のうちMFRが大きい方のフッ素樹脂は、定着ベルト表面を平滑にし、離型層のフッ素樹脂のうちMFRが小さい方のフッ素樹脂は、耐屈曲性の良好にする。これにより、耐久性、平滑性のバランスのとれた定着ベルトとすることができる。
また、上記フッ素樹脂のうち、MFRの大きい方のフッ素樹脂を35乃至60重量%配合するのが好ましく、フッ素樹脂のうちMFRの大きい方のフッ素樹脂とMFRの小さい方のフッ素樹脂の混合比を1:1にするのがより好ましい。このように、離型層のフッ素樹脂のMFRの大きい方のフッ素樹脂とMFRの小さい方のフッ素樹脂との割合をほぼ同程度とすることで、耐久性、平滑性のバランスのとれた定着ベルトとすることができる。また、離型層の厚みは、20μm以上とするのが好ましい。離型層の厚みが20μm以下の場合、弾性層に塗布され付着したフッ素樹脂粒子の層が、MFRの小さいフッ素樹脂粒子とMFRの大きいフッ素樹脂粒子とが分散した層が形成されにくくなる。よって、図4(a)に示すように、MFRの大きなフッ素樹脂粒子のみで形成された層や、MFRの小さなフッ素樹脂粒子のみで形成された層が存在するようになる。このような層が形成されたフッ素樹脂粒子を焼成して作成された定着ベルトは、MFRの大きなフッ素樹脂のみで形成された層の部分で耐屈曲性が悪くクラックが発生しやすくなり、MFRの小さなフッ素樹脂のみで形成された層の部分が突出して表面平滑性を損なってしまう。しかし、上記のように層厚を20μm以上とすることで、図4(b)に示すように弾性層に塗布され付着したフッ素樹脂粒子の層は、MFRの大きなフッ素樹脂粒子と、MFRの小さなフッ素樹脂粒子とが分散した層となる。これにより、耐屈曲性、表面平滑性の良好な定着ベルトとすることができる。
また、フッ素樹脂粒子を塗布・焼成することで離型層を形成する場合は、粒径の大きなフッ素樹脂と粒径の小さなフッ素樹脂とを混合した少なくとも2種類のフッ素樹脂を用いるのが好ましい。粒径の小さなフッ素樹脂粒子は、凝集性が低いため、水等の溶媒に均一に分散することができる。しかし、溶媒と粒径の小さなフッ素樹脂粒子のみとからなる溶液を弾性層に塗布した場合、溶媒を除去するための乾燥工程でクラックが発生しやすい。一方、粒径の大きなフッ素樹脂粒子は、凝集力が強いため、塗布後の乾燥工程でクラックが発生しにくい。しかし、粒径の大きなフッ素樹脂粒子は水等の溶媒中に十分分散することができないため、水等の溶媒と粒径の大きなフッ素樹脂粒子のみとの溶液を塗布した場合、フッ素樹脂粒子が弾性層に均一に付着せず、いわゆる塗布ムラを引き起こす場合がある。このため、上記のように、粒径の大きなフッ素樹脂粒子と小さなフッ素樹脂粒子が混合した溶液を塗布・焼成することで、溶媒中にフッ素樹脂粒子を分散させることができ、塗布ムラをなくすことができる。また、塗布後の乾燥工程では、凝集力の高い粒径の大きなフッ素樹脂粒子によってクラックの発生を抑制することができる。これにより、クラックの発生が抑制された耐久性に優れた離型層とすることができる。
離型層453には、耐屈曲性、非粘着性、耐磨耗性に優れたテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体であるPFAを用いることで、耐久性のよい定着ベルトとすることができる。さらに、パーフルオロアルキルビニルエーテル成分を増やし、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60以上のPFAを用いることが好ましい。
図5は、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60以上のPFAと、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/100以下のPFAの耐屈曲性について調べたグラフである。図中の実線は、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60以上のPFAであり、図中の点線は、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/100以下のPFAである。図5からわかるように、MFRの値に関わらず、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60以上のPFAは、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/100以下のPFAに比べ耐屈曲性が向上していることがわかる。これは、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60以上のPFAは、結晶化が抑制され、耐屈曲性(曲げ寿命)が向上したと考えられる。
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。まず、MFRと粒子径とを異ならせた場合の定着ベルトの耐屈曲性、表面平滑性について調べた結果について説明する。また、評価例1、2及び評価比較例1、2におけるMFR及び粒径は表1にまとめ、評価の結果は表2にまとめる。
[評価例1]
評価例1の定着ベルトは次のようにして作製した。ポリイミドからなる厚さ90μmの円筒状のエンドレスフィルム基体の外周に、プライマー(東レ・ダウコーニングシリコーン社製DY39−067)をスプレーコートにて厚さ4μmで成膜し、室温乾燥した。その後、2液付加型液状シリコーンゴム(東レ・ダウコーニングシリコーン社製DY35−2083)を2液混合後、トルエンにて適量希釈した。この溶液をスプレーコートにて厚さ200μmで塗布、120℃10分硬化後、さらに200℃4時間2次硬化して弾性層を形成した。次に、プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製PR−990CL)を4μm厚でスプレーコートした後、150℃30分乾燥した。その後、372℃,5kgf荷重におけるMFR(測定規格JIS K 7210)が2[g/10min]で平均粒子径10μmのPFA(三井・デュポンフロロケミカル社製PFA−950HP Plus)と、372℃、5kgf荷重におけるMFR(測定規格JIS K 7210)が7[g/10min]で平均粒子径が0.1μmのPFA(三井・デュポンフロロケミカル社製PFA−945HP Plus)を1/1で混合した混合ディスパージョンを30μm厚でスプレーコートした。その後340℃で30分間焼成(PFA粒子を融かして)して離型層を形成し、評価例1の定着ベルトを得た。
[評価例2]
評価例2の定着ベルトは、評価例1と同様に作成した弾性層上に、372℃,5kgf荷重におけるMFR(測定規格JIS K 7210)が2[g/10min]で平均粒子径0.1μmのPFAと、372℃、5kgf荷重におけるMFR(測定規格JIS K 7210)が7[g/10min]で平均粒子径が10μmのPFA(三井・デュポンフロロケミカル社製PFA−945HP Plus)を1/1で混合した混合ディスパージョンを用いて離型層を形成し、評価例2の定着ベルトを得た。離型層の厚みなど、その他の条件は、評価例1と同じである。
[評価比較例1]
評価比較例1の定着ベルトは、評価例1と同様に作成した弾性層上に、372℃,5kgf荷重におけるMFR(測定規格JIS K 7210)が2[g/10min]で平均粒子径0.1μmのPFAと、平均粒子径が10μmのPFA(三井・デュポンフロロケミカル社製PFA−950HP Plus)を1/1で混合したディスパージョンを用いて離型層を形成し、評価比較例1の定着ベルトを得た。離型層の厚みなど、その他の条件は、評価例1と同じである。
[評価比較例2]
評価比較例2の定着ベルトは、評価例1と同様に作成した弾性層上に、372℃,5kgf荷重におけるMFR(測定規格JIS K 7210)が7[g/10min]で平均粒子径0.1μmのPFAと、平均粒子径が10μmのPFA(三井・デュポンフロロケミカル社製PFA−945HP Plus)を1/1で混合したディスパージョンを用いて離型層を形成し、評価比較例2の定着ベルトを得た。離型層の厚みなど、その他の条件は、評価例1と同じである。
耐屈曲性は、次のように評価した。評価例1乃至2および評価比較例1乃至2の定着ベルトをそれぞれ上述した定着装置40に組み込み、300,000枚出力後の離型層のクラックを目視で確認することで評価した。クラックのないものを「○」、異常画像にならないレベルの軽微なクラックのあるものを「△」、異常画像になるレベルのクラックが出たものを「×」とした。また、表面平滑性は、評価例および評価比較例の定着ベルトをそれぞれ上述した定着装置40に組み込み、画像を出力し、画像の光沢ムラを目視で確認することで評価した。光沢ムラのないものを「○」とし、軽微な光沢ムラが確認されたものを「△」、光沢ムラが顕著に現れたものを「×」とした。その結果を表2に示す。
Figure 0004994675
Figure 0004994675
表1および表2から、MFRの小さい、すなわち分子量の大きい評価比較例1のPFAを用いた定着ベルトは耐屈曲性に優れているが、表面平滑性に劣っていることがわかる。これは、MFR小さいPFAは、流動性に乏しいため、焼成時に融けたPFAが流れない。この結果、評価比較例1の定着ベルトの表面が凹凸のある平滑性の悪いものになったと考えられる。また、MFRの大きい、すなわち分子量の小さいPFAを用いた定着ベルトは、焼成時の流動性が高いので表面平滑性に優れた定着ベルトになった。しかしながら、MFRの大きいPFAを用いた評価比較例2の定着ベルトは、耐屈曲性に劣っていた。評価例1、および評価例2の定着ベルトは、MFRの小さいPFAと、MFRの大きいPFAが流れて、定着ベルトの表面の平滑性を向上させる。また、MFRの小さいPFAは、定着ベルトの耐屈曲性を向上させる。このため、評価例1および評価例2の定着ベルトは、耐屈曲性および表面平滑性に優れた定着ベルトにすることができることがわかる。さらに、MFRの大きいPFAの粒径を0.1μmとし、MFRの小さいPFAの粒径を10μmとした評価例1の定着ベルトは、MFRの大きいPFAの粒径を10μmとし、MFRの小さいPFAの粒径を0.1μmとした評価例2の定着ベルトより、表面平滑性が向上している。これは、粒子径の小さい方が、PFA粒子が溶融したときに、表面平滑性が得られ易い。このため、表面の平滑性を向上させる焼成時に流動性の高い(MFRの大きい)PFAの粒径を小さいものとすることで、より表面の平滑性の高い定着ベルトを得ることができたと考えられる。
施例1乃至11(実施例1乃至11の評価結果は、表3、表4に示す)
(有機微粒子エマルションの合成)
製造例1
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン90部、アクリル酸75部、アクリル酸ブチル150部、1.6HDDヘキサンジオールアクリレイト30部、過硫酸アンニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系架橋樹脂(スチレン−アクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、60nmであった。
製造例2
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン90部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル130部、DVDジビニルベンゼン15部、過硫酸アンニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系架橋樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、20nmであった。
製造例3
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン90部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル130部、1.6HDDヘキサンジオールアクリレイト20部、過硫酸アンニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系架橋樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、80nmであった。
(水相の調製)
製造例4
水990部、[微粒子分散液1]80部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7):三洋化成工業製)40部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
製造例5
水990部、[微粒子分散液2]80部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7):三洋化成工業製)40部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相2]とする。
製造例6
水990部、[微粒子分散液2]80部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7):三洋化成工業製)40部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相3]とする。
(低分子ポリエステルの合成)
製造例7
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物220部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物601部、テレフタル酸218部、アジピン酸48部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10乃至15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸45部を入れ、230℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量1600、重量平均分子量4800、Tg42℃、酸価23であった。
(プレポリマーの合成)
製造例8
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物712部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物84部、テレフタル酸292部、無水トリメリツト酸32部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10乃至15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量10500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価49であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]411部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート重量%は、1.48%であった。
(ケチミンの合成)
製造例9
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン160部とメチルエチルケトン70部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は408であった。
(マスターバッチの合成)
製造例10
カーボンブラック(三菱亜化学社性 #44):40部、結着樹脂:ポリエステル樹脂(三洋化成製ポリエステル 酸価10、Mw20000、Tg64℃):60部、水:20部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより60分間混練を行ない、パルベライザーで1mmφの大きさに粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
(油相の作成)
製造例11
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、ライスWAX110部、CCA(カレックスアレン:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
(乳化⇒脱溶剤)
実施例1
[顔料・WAX分散液1]618部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]6.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
(洗浄⇒乾燥)
[乳化スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液1OO部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。この超音波アルカリ洗浄を再度行った(超音波アルカリ洗浄2回)。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、体積平均粒径6.20μm、個数平均粒径Dn4.95μm、Dv/Dn1.25(マルチサイザーIIで測定)の[トナー1]を得た。
実施例2
製造例2の微粒子分散液2を使い、水相2を水相1作製と同様にして作製した。それ以外は実施例1と同様にして体積平均粒径5.60μm、個数平均粒径4.95μm、DV/Dn1.13の(トナー2)を得た。
実施例3
製造例3の微粒子分散液3を使い水相3を水相1作製と同様にして作製した。それ以外は実施例1と同様にして体積平均粒径4.50、個数平均粒径3.75μm、DV/Dn1.20の(トナー3)を得た。
(低分子ポリエステルの合成)
製造例8
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物262部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物202部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物236部、テレフタル酸266部、マレイン酸48部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10乃至15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸34部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル2]を得た。[低分子ポリエステル2]は、数平均分子量1800、重量平均分子量4200、Tg49℃、酸価21.7であった。
(油相の作成)
製造例11
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル2]278部、キャンデリラWAX110部、CCA(カレックスアレン:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容盤に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液2]を得た。
[原料溶解液2]1224部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル2]の65%酢酸エチル溶液1224部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液2]を得た。
実施例4
実施例1での[顔料・WAX分散液1]の代わりに[顔料・WAX分散液2]を使用した以外は実施例1と同様にして体積平均粒径Dv5.35μm、個数平均粒径Dn4.45μm、Dv/Dn1.11の[トナー4]を得た。
実施例5
実施例2での[顔料・WAX分散液1]の代わりに[顔料・WAX分散液2]を使用した以外は実施例2と同様にして体積平均粒径Dv5.60μm、個数平均粒径Dn4.45μm、Dv/Dn1.26の[トナー5]を得た。
(低分子ポリエステルの合成)
製造例10
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物719部、テレフタル酸190部、フマル酸48部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10乃至15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸7部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル3]を得た。[低分子ポリエステル3]は、数平均分子量2290、重量平均分子量5600、Tg49℃、酸価15.4であった。
(油相の作成)
製造例11
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル3]278部、カルナバWAX110部、CCA(E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容盤に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液3]を得た。
[原料溶解液3]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル3]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液3]を得た。[顔料・WAX分散液3]の固形分濃度(130℃、30分)は49%であった。
実施例6
実施例1での[顔料・WAX分散液1]の代わりに[顔料・WAX分散液3]を使用し、[顔料・WAX分散液3]618部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]6.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[乳化スラリー3]を得た。
次いで、この混合液を周速5m/s以上が可能な櫂型攪拌棒を備えた温度計付のコルベンにして移し、45℃まで昇温して、周速6m/sにて2時間早い攪拌を行い紡錘状の母体トナー粒子を得た。紡錘形が不足の場合は攪拌時間の延長を行う。その後減圧下50℃以下で1.0時間かけ溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、紡錘形の母体粒子を得た。
母体粒子は体積平均粒径6.10μm、個数平均粒径4.59μm、Dv/Dn1.33(マルチサイザーIIで測定)で[トナー6]を得た。
実施例7
実施例6の水相1を水相2に置き換え実施例6と同様にして乳化スラリー4を作製した。それ以外は実施例1と同様にして体積平均粒径5.60、個数平均粒径5.05μm、DV/Dn1.11の(トナー7)を得た。
実施例8
実施例6の水相1を水相3に置き換え実施例6と同様にして乳化スラリー5を作製した。それ以外は実施例1と同様にして体積平均粒径3.95、個数平均粒径3.11μm、DV/Dn1.27の(トナー8)を得た。
実施例9
実施例6の水相1を水相3に置き換え実施例6と同様にして乳化スラリー5を作製した。超音波を印可しアルカリ洗浄4回した以外は実施例8と同様にして体積平均粒径Dv3.65μm、個数平均粒径Dn3.11μm、Dv/Dn1.17の[トナー9]を得た。
比較例
(ワックス粒子水性分散液の調製)
製造例12
1000mlの攪拌装置、温度センサー、窒素導入管及び冷却管付き4頭コルベンに脱気した蒸留水500mlにニューコール565C(日本乳化剤社製)28.5g、キャンデリアワックスNo.1(野田ワックス社製)185.5gを添加し窒素気流下攪拌を行いつつ、温度を昇温した。内温85℃の時点で5N−水酸化ナトリウム水溶液を添加しそのまま75℃まで昇温した後、そのまま1時間加熱攪拌を続け、室温まで冷却し〔ワックス粒子水性分散液1〕を得た。
(着色剤水性分散液の調製)
カーボンブラック(商品名:モーガルL、キャボット社製)100g、ドデシル硫酸ナトリウム25gを蒸留水540mlに添加し、十分攪拌を行った後、加圧型分散機(MINI−LAB:ラーニー社製)を用い、分散を行い〔着色剤分散液I〕を得た。
(バインダー微粒子水性分散液の合成)
製造例13
攪拌装置、冷却管、温度センサー及び窒素導入管を装着した1Lの4頭コルベンに蒸留水480ml、ドデシル硫酸ナトリウム0.6g、スチレン106.4g、n−ブチルアクリレート43.2g、メタクリル酸10.4gを添加し攪拌を行いながら窒素気流下70℃まで昇温した。ここで過硫酸カリウム2.1gを120mlの蒸留水に溶解した開始剤水溶液を添加し、窒素気流下70℃、3時間攪拌を行い、重合を完結させた後室温まで冷却し、〔高分子量バインダー微粒子分散液1〕を得た。
攪拌装置、冷却管、温度センサー及び窒素導入管を装着した5Lの4頭コルベンに蒸留水2400ml、ドデシル硫酸ナトリウム2.8g、スチレン620g、n−ブチルアクリレート128g、メタクリル酸52g及びtert−ドデシルメルカプタン27.4gを添加し攪拌を行いながら窒素気流下70℃まで昇温した。ここで過硫酸カリウム11.2gを600mlの蒸留水に溶解した開始剤水溶液を添加し、窒素気流下70℃、3時間攪拌を行い、重合を完結させた後室温まで冷却し、〔低分子量バインダー微粒子分散液2〕を得た。
比較例1
(トナーの合成)
製造例14
攪拌装置、冷却管、温度センサーを備えた1Lセパラブルフラスコに、〔高分子量バインダー微粒子分散液1〕47.6g、〔低分子量バインダー微粒子分散液2〕190.5g、〔ワックス粒子水性分散液1〕を7.7g、〔着色剤分散液I〕を26.7g及び蒸留水252.5mlを加え混合攪拌した後、5N−水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=9.5に調節を行った。更に攪拌下、塩化ナトリウム50gを蒸留水600mlに溶解した塩化ナトリウム水溶液、イソプロパノール77ml及びフルオラードFC−170C(住友3M社製:フッ素系ノニオン界面活性剤)10mgを10mlの蒸留水に溶解した界面活性剤水溶液を順次添加し、内温を85℃まで上昇させ6時間反応を行った後、室温まで冷却した。この反応液を5N−水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=13に調整した後、濾過を行い、更に蒸留水に再懸濁を行い濾過、再懸濁を繰り返し、洗浄を行った後乾燥し、体積平均粒径Dv6.52μm、個数平均粒径Dn5.31μm、Dv/Dn1.23の〔トナー比較1〕を得た。
比較例2
(顔料の分散液の調製)
製造例15
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.9重量部と、イオン交換水10重量部とを樹脂容器に仕込み、攪拌してn−ドデシル硫酸ナトリウムの水溶液を調製した。この水溶液を攪拌しながら、カーボンブラック:リーガル400R(キャボット社製)1.2重量部を徐々に添加した。添加後1時間攪拌し、次いで、サンドグラインダーを用い、カーボンブラックの分散処理を20時間にわたり連続して行うことにより、〔顔料分散液(C−1)〕を得た。
(界面活性剤の水溶液の調製)
アニオン系の界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055重量部と、イオン交換水4重量部とをステンレスポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより〔調製例(S−1)〕を得た。また、ノニオン系の界面活性剤「ニューコール565C」(日本乳化剤社製)0.014重量部と、イオン交換水4重量部とをステンレスポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、〔調製例(S−2)〕を得た。さらに、ノニオン系の界面活性剤「FC−170C」(住友スリーエム社製)1重量部と、イオン交換水1000重量部とをガラスビーカーに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、〔調製例(S−3)〕を得た。
(重合開始剤の水溶液の調製)
製造例17
重合開始剤である過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7重量部と、イオン交換水12000重量部とをホウロウポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、〔調製例(P−1)〕を得た。また、重合開始剤である過硫酸カリウム(関東化学社製)223.8重量部と、イオン交換水12000重量部とをホウロウポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、〔調製例(P−2)〕を得た。
(塩化ナトリウムの水溶液の調製)
塩析剤である塩化ナトリウム(和光純薬社製)5.36重量部と、イオン交換水20重量部とをステンレスポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、〔塩化ナトリウム溶液(N)〕を得た。
(複合樹脂微粒子の分散液の製造)
製造例18
温度センサー、冷却管、窒素導入装置および攪拌翼を備え、ガラスライニング処理が内面に施された内容積100Lの反応釜に、〔調製液(S−1)〕4Lと、〔調製液(S−2)〕4Lとを仕込み、この系を室温で攪拌しながら、イオン交換水44Lを添加し、この系を加熱した。系の温度が70℃になったところで、〔調製液(P−1)〕12Lを添加し、系の温度を72℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとからなる単量体混合物(I)を添加し、この系の温度を80℃±1℃に制御しながら6時間にわたり攪拌を行った。系の温度が40℃以下となるまで冷却した後、この系に、〔調製液(S−1)〕4Lと、〔調製液(S−2)〕4Lとを添加し、この系を加熱した。系の温度が70℃になったところで、〔調製液(P−2)〕12Lを添加し、さらに、スチレン11kgとアクリル酸n−ブチル4kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとからなる単量体混合物(II)を添加し、この系の温度を75℃±2℃に制御しながら6時間にわたり攪拌を行い、さらに、この系の温度を80℃±2℃に制御しながら12時間にわたり攪拌を行った。系の温度が40℃以下となるまで冷却して攪拌を停止した。ポールフィルターによりスケール(異物)を濾別除去することにより、高分子量樹脂を核とし、低分子量樹脂を殻とする複合樹脂微粒子(A)の分散液〔複合ラテックス(1−A)〕を得た。該複合樹脂微粒子(A)の高分子量樹脂(核)のピーク分子量は29,000、低分子量樹脂(殻)のピーク分子量は12,000、複合樹脂微粒子(A)の重量平均分子量は34,000であった。また、この複合樹脂微粒子(A)の重量平均粒径は150nm、ガラス転移温度(Tg)は58℃、軟化点は121℃であった。
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルおよび攪拌翼(ファウドラー翼)を備え、ガラスライニング処理が内面に施された内容積100Lの反応釜に、〔調製液(S−1)〕4Lと、〔調製液(S−2)〕とを仕込み、この系を室温で攪拌しながら、イオン交換水44Lを添加し、この系を加熱した。系の温度が70℃になったところで、〔調製液(P−1)〕12Lを添加し、さらに、スチレン11kgとアクリル酸n−ブチル4kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとからなる単量体混合物を添加し、この系の温度を72℃±2℃に制御しながら6時間にわたり攪拌を行い、さらに、この系の温度を80℃±2℃に制御しながら12時間にわたり攪拌を行った。系の温度が40℃以下となるまで冷却して攪拌を停止した。ポールフィルターによりスケール(異物)を濾別除去することにより、樹脂微粒子(B)の分散液〔ラテックス(1−B)〕を得た。このラテックス(1−B)を構成する樹脂微粒子(B)のピーク分子量は310,000、重量平均分子量は190,000であった。また、この樹脂微粒子(B)の重量平均粒径は138nm、ガラス転移温度(Tg)は58℃、軟化点は126℃であった。
(トナー粒子の製造)
製造例19
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルおよび攪拌翼(アンカー翼)を備えた内容積100Lのステンレス製の反応釜に、〔複合ラテックス(1−A)〕20kgと、〔顔料分散液(C−1)〕0.4kgと、イオン交換水20kgとを仕込み、この系を室温で攪拌した。系の温度を40℃まで加温し、塩化ナトリウム溶液(N)20Lと、イソプロピルアルコール(関東化学社製)6kgと、ノニオン系の界面活性剤「FC−170C」(住友スリーエム社製)1重量部と、イオン交換水1000重量部とをこの順に添加してガラスビーカーに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、〔調製液(S−3)〕1Lを得た。この系を10分間放置した後加熱を開始し、60分間かけて85℃まで昇温させ、85℃±2℃で1時間にわたり攪拌を行うことにより、複合樹脂微粒子(A)と着色剤微粒子とを塩析/融着させて着色粒子(コア粒子)を形成した。次いで、85℃±2℃の温度条件下で、〔ラテックス(1−B)〕5.2kgと、ワックスエマルジョン(数平均分子量3,000のポリプロピレンエマルジョン、数平均一次粒子径:120nm、固形分濃度:29.9重量%)3.41kgとを添加し、さらに、85℃±2℃で4.0時間にわたり攪拌を行うことにより、着色粒子(コア粒子)の表面に、樹脂微粒子(B)およびポリプロピレン微粒子を塩析/融着させることによって付着させた。系の温度が40℃以下となるまで冷却して攪拌を停止した後、目開き45μmのフィルターで凝集物を濾別除去することにより、トナー粒子の分散液を得た。次いで、この分散液を減圧濾過してウエットケーキ(トナー粒子の集合物)を得、これをイオン交換水で洗浄処理した。洗浄処理されたウエットケーキをヌッチェより取り出し、40℃の送風乾燥機で100時間かけて乾燥することにより、ブロック状のトナー粒子の集合物を得た。次いで、この集合物をヘンシェル粉砕機で解砕処理することにより、体積平均粒径Dv6.40μm、個数平均粒径Dn5.30μm、Dv/Dn1.21の〔トナー比較2〕を得た。
比較例3
(有機微粒子エマルションの合成)
製造例20
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン138部、メタクリル酸138部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液]を得た。[微粒子分散液]をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.14μmであった。[微粒子分散液]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは152℃であった。
(水相の調製)
製造例22
水990部、[微粒子分散液]80部、ドデシルジフェニルーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7):三洋化成工業製)40部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相]とする。
実施例1において、[水相1]の代わりに[水相]を使用した以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径Dv6.05μm、個数平均粒径Dn5.45μm、Dv/Dn1.11、樹脂微粒子残存率2.2wt%の[トナー比較3]を得た。
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン90部、メタクリル酸90部、アクリル酸ブチル120部、過硫酸アンニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液]を得た。[微粒子分散液]をLA−920で測定した体積平均粒径は、60nmであった。
製造例23
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン90部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液]を得た。[微粒子分散液]をLA−920で測定した体積平均粒径は、80nmであった。
製造例24
水990部、[微粒子分散液]80部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7):三洋化成工業製)40部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相]とする。
製造例25
水990部、[微粒子分散液]80部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7):三洋化成工業製)40部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相]とする。
(マスターバッチの合成)
製造例26
カーボンブラック(三菱化学社性 #44):40部、結着樹脂:ポリエステル樹脂(三洋化成製ポリエステル 酸価10、Mw8800、Tg52℃):60部、水:20部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物4を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより60分間混練を行ない、パルベライザーで1mmφの大きさに粉砕し、[マスターバッチ2]を得た。
(低分子ポリエステルの合成)
製造例27
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物220部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物561部、テレフタル酸218部、アジピン酸48部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10乃至15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸10部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル4]を得た。[低分子ポリエステル4]は、数平均分子量1600、重量平均分子量3500、Tg50℃、酸価23であった。
(油相の作成)
製造例28
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル4]378部、ライスWAX110部、CCA(カレックスアレン:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル765部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ2]500部、酢酸エチル400部を仕込み、1時間混合し追加原料溶解液を得た。
原料溶解液1172部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル4]の80%酢酸エチル溶液1075.8部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液4]を得た。[顔料・WAX分散液4]の固形分濃度(130℃、30分)は63%であった。
(乳化⇒脱溶剤)
実施例10
[顔料・WAX分散液4]490部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]6.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[乳化スラリー10]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー10]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー10]を得た。[分散スラリー10]は、体積平均粒径5.25μm、個数平均粒径4.73μm Dv/Dn:1.11(マルチサイザーIIで測定)であった。
(洗浄⇒乾燥)
[乳化スラリー10]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液1OO部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。この超音波アルカリ洗浄を再度行った(超音波アルカリ洗浄2回)。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[追加濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、体積平均粒径5.20μm、個数平均粒径Dn4.68μm、Dv/Dn1.11(マルチサイザーIIで測定)の[トナー]を得た。
実施例11
製造例23の微粒子分散液を使い、水相を水相1の作製と同様にして作製した。それ以外は実施例10と同様にして(トナー11)を得た。
実施例10での超音波アルカリ洗浄を1回にした以外は実施例10と同様にして体積平均粒径Dv5.30μm、個数平均粒径Dn4.77μm、Dv/Dn1.11の[トナー11]を得た。
比較例4
(油相の作成)
製造例29
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、ライスWAX110部、CCA(カレックスアレン:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
(乳化⇒脱溶剤)
[顔料・WAX分散液1]618部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]6.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[比較乳化スラリー1]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[比較乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[比較分散スラリー1]を得た。[比較分散スラリー1]は、体積平均粒径5.95μm、個数平均粒径5.45μm(マルチサイザーIIで測定)であった。
(洗浄⇒乾燥)
[比較乳化スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液1OO部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。この超音波アルカリ洗浄を再度行った(超音波アルカリ洗浄2回)。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、体積平均粒径5.90μm、個数平均粒径Dn4.95μm、Dv/Dn1.19(マルチサイザーIIで測定)の[トナー比較4]を得た。
上記のようにして得られた各トナー100部に疎水性シリカ0.7部と、疎水化酸化チタン0.3部をヘンシェルミキサーにて混合した。得られたトナー物性値については表に示した。
外添剤処理を施したトナー5重量%とシリコーン樹脂を被覆した平均粒子径が40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95重量%からなる現像剤を調製し、毎分A4サイズの用紙を45枚印刷できるリコー製imagio Neo 450を用いて、連続印刷して下記の基準で評価し、表3、表4に示した。
(評価項目)
(a)粒径
トナーの粒径は、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」を用い、アパーチャー径100μmで測定した。体積平均粒径および個数平均粒径は上記粒度測定器により求めた。
(b)帯電量
現像剤6gを計量し、密閉できる金属円柱に仕込みブローして帯電量を求める。トナー濃度は4.5乃至5.5wt%に調整する。
(c)定着性
リコー製imagio Neo C385を用いて、定着装置はベルト方式を使い評価実施例1.2を設定して普通紙及び厚紙の転写紙(リコー製 タイプ6200及びNBSリコー製複写印刷用紙<135>)にベタ画像で、1.0±0.1mg/cm2のトナーが現像される様に調整を行ない、定着ベルトの温度が可変となる様に調整を行なって、普通紙でオフセットの発生しない温度を、厚紙で定着下限温度を測定した。定着下限温度は、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。
(d)円形度
フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)により平均円形度として計測できる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100乃至150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1乃至0.5ml加え、更に測定試料を0.1乃至0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1乃至3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000乃至1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られる。
(e)耐熱保存性
トナー10.6gを50mlのサンプルびんに採取しタッピングを35秒実施し50℃の恒温槽で24h保管し針進入度計で測定。
(f)Tg測定法
Tgの測定方法について概説する。Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用した。
まず試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットにのせ、電気炉中にセットする。まず、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置、室温まで試料を冷却して10min放置、窒素雰囲気下で再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱してDSC測定を行った。Tgは、TAS−100システム中の解析システムを用いて、Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
(g)画像濃度
ベタ画像出力後、画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)により測定。これを各色単独に5点測定し各色ごとに平均を求めた。
h)フローテスターによる流出開始温度、1/2流出温度
フローテスターとしては、例えば島津製作所製の高架式フローテスターCFT500D型がある。このフローテスターの昇温法によるフローカーブは図6及び7に示されるデータになり、そこから各々の温度を読み取ることができる。図6中、Tsは軟化温度、Tfbは流出開始温度であり、1/2法における溶融温度とあるのはT1/2温度のことである。
《測定条件》
荷重:20kg/cm2、昇温速度:3.0℃/min、
ダイ口径:0.50mm、ダイ長さ:1.0mm、開始温度50℃、
到達温度250.0℃、予熱時間200S、
《サンプル作製条件》
サンプル重量1.00gをフローテスター用成型器により径10.0mmに成型する。
Figure 0004994675
Figure 0004994675
評価の結果:
実施例1乃至11については低温定着性がいずれも145℃以下で十分達成している。また、耐熱保存性についても固化はなく達成している。これは樹脂微粒子の寄与が大きいことを示している。ホットオフセット性については低軟化トナーにおいても最外層がフッ素系樹脂からなる定着部材において、該フッ素樹脂はMFRが互いに異なる複数種類のフッ素樹脂からなる定着部材を使用する定着装置においては高い温度でも十分なホットオフセット性を有していた。しかし、表面平滑性が低下している定着部材を使用するとホットオフセット性は低下している。
上述したように、本発明の実施例から分かるように、MFRが互いに異なる複数種類のフッ素樹脂からなる最外層を設ける定着部材と、少なくとも結着樹脂、着色剤および樹脂微粒子からなるトナーとを使用する定着方法において、該トナーの粒子表面上には樹脂微粒子が固着しており、固着している樹脂微粒子は粒子形状をなしており、画像解析装置ルーゼックスで測定される固着樹脂微粒子の表面面積率(被覆率)から求められる母体トナー粒子表面の露出表面面積率(露出割合)が10乃至70%の範囲であり、省エネ化のための低温定着性が達成でき、さらにホットオフセット性、耐熱保存性との両立が可能となる。
以上、本発明の実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
本発明の実施形態の定着部材(定着ベルト)を用いた画像形成装置を示す概略図を示す。 本発明の実施形態の定着部材(定着ベルト)を用いた定着装置の概略図を示す。 定着部材(定着ベルト)の断面図を示す。 (a)は、20μm以下の厚みの離型層を形成するときの弾性層に付着するフッ素樹脂粒子の概略図を示し、(b)は、20μm以上の厚みの離型層を形成するときの弾性層に付着するフッ素樹脂粒子の概略図を示す。 分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が異なるPFAの耐屈曲性を示す図である。 フローテスターによる流出開始温度、1/2流出温度を説明する図である。 フローテスターによる流出開始温度、1/2流出温度を説明する図である。 トナーの母体粒子に固着した樹脂微粒子を示す図である。 トナーの母体粒子表面で全面的に固着した樹脂微粒子を示す図である。
符号の説明
1Y、1M、1C、1Bk 感光体ドラム
2Y、2M、2C、2Bk 帯電器
3Y、3M、3C、3Bk 露光器
4Y、4M、4C、4Bk 現像器
5Y、5M、5C、5Bk 転写器
6Y、6M、6C、6Bk 感光体クリーナ
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
7 駆動ローラ
20 搬送ベルト
30 給紙機構
40 定着装置
41 定着ローラ
42 加圧ローラ
43 バネ
44 加熱ローラ
45 定着ベルト
46 ハロゲンランプ
47 テンションローラ
48 バネ
49 サーミスタ
451 フィルム基体
452 弾性層
453 離型層
P 転写紙

Claims (9)

  1. 転写材に形成されているトナー画像に定着部材を加圧下で接触させて定着させる方法であって、
    前記定着部材は、MFRが互いに異なる複数種類のPFAを含む離型層が表面に形成されており、
    前記PFAは、炭素原子数に対する酸素原子数の比が1/60以上であり、
    前記トナー画像に含まれるトナーは、結着樹脂及び着色剤を含む母体粒子の表面に、樹脂微粒子が付着しており、前記樹脂微粒子の被覆率が30乃至90%であることを特徴する定着方法。
  2. 前記結着樹脂は、ウレア変性ポリエステル及び未変性ポリエステルを含むことを特徴とする請求項1に記載の定着方法。
  3. 前記未変性ポリエステルに対する前記ウレア変性ポリエステルの重量比が5/95乃至50/50であることを特徴とする請求項2に記載の定着方法。
  4. 前記樹脂微粒子は、架橋していることを特徴する請求項1乃至のいずれか一項に記載の定着方法。
  5. 前記樹脂微粒子は、ビニル系樹脂微粒子であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の定着方法。
  6. 前記樹脂微粒子は、平均粒径が5乃至200nmであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の定着方法。
  7. 前記トナーは、平均円形度が0.930乃至0.960であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の定着方法。
  8. 前記PFAは、372℃、5kgf荷重におけるMFRが7g/10min以上のPFAと、372℃、5kgf荷重におけるMFRが3g/10min以下のPFAからなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の定着方法。
  9. 像担持体と、
    該像担持体を帯電させる帯電手段と、
    該帯電した像担持体に露光して静電潜像を形成する露光手段と、
    該像担持体に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー画像を形成する現像手段と、
    該像担持体に形成されたトナー画像を転写材に転写する転写手段と、
    該転写材に転写されたトナー画像に定着部材を加圧下で接触させて定着させる定着手段を備え、
    前記定着部材は、MFRが互いに異なる複数種類のPFAを含む離型層が表面に形成されており、
    前記PFAは、炭素原子数に対する酸素原子数の比が1/60以上であり、
    前記トナーは、結着樹脂及び着色剤を含む母体粒子の表面に、樹脂微粒子が付着しており、前記樹脂微粒子の被覆率が30乃至90%であることを特徴とする画像形成装置。
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