JP5440895B2 - 定着部材、それを用いた定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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(2)前記ワックスが、前記画像形成装置の使用される環境温度にて固体であることを特徴とする(1)記載の定着部材。
(3)(1)〜(2)のいずれかに記載の定着部材を有することを特徴とする定着装置。
(4)(3)に記載の定着装置を有することを特徴とする電子写真方式の画像形成装置。
(定着部材)
図1(a)は本発明1における一実施形態である定着部材の構成を示す断面図である。定着部材(1)は、基材(2)の上に、ここでは図示しないプライマー層を介して、シリコーンゴムとワックスから形成された弾性層(3)を設けてある。なお、図1(a)は弾性層が単独の弾性層(3)のみから構成された定着部材の一例であるが、トナー像の接する最表面がシリコーンゴムとワックスから構成されていれば、例えば図1(b)のようにワックスを含まない弾性中間層(4)が設けられていても構わない。
本発明におけるシリコーンゴムとは、主にポリシロキサンからなるゴム組成物のことを指しており、その中には本発明の効果を損なわない範囲であれば、目的に応じて充填剤、老化防止剤、着色剤、可塑剤等の添加剤を任意に添加することができる。なお、前記シリコーンゴムとしては、種類や製造方法等は特に制限されないが、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴムの群から選ばれる1種以上のエラストマーから構成されていることが好ましい。なかでも、ワックスの吸収しやすさといった観点から、ジメチルシリコーンゴムが好ましく用いられる。
一般的に、ワックスとは高級脂肪酸と一価または二価の高級アルコールとのエステルを指し、以下の条件を満たすものである。
(a)融点が40℃以上の固体であること。
(b)溶融粘度が低いこと。
(c)溶融時に分解しないこと。
(d)有機化合物であること。
しかし、本発明においては、これとよく似た性情を示す中性脂肪や高級脂肪酸、炭化水素なども含むものとする。なお、ワックスと有機ポリマーの違いは、多くの場合明確ではなく、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)はワックスに分類されることもあるが、定義上は融点がないのでワックスには該当しない。
次いで、本発明による定着ローラを備えた定着装置を組み込んだ電子写真方式の画像形成装置(例えば、複写機やプリンタ等)の一例を説明する。
図2において、画像形成装置(100)は、静電潜像が形成される像担持体(101)、像担持体(101)に接触して帯電処理を行う帯電ローラ(102)、レーザービーム等の露光装置(103)、像担持体(101)上に形成された静電潜像にトナーを付着させる現像ローラ(104)、帯電ローラ(102)にDC電圧を印加するための電源(105)、像担持体(101)上のトナー像を紙(107)に転写処理する転写ローラ(106)、転写処理後の像担持体(101)をクリーニングするためのクリーニング装置(108)、像担持体(101)の表面電位を測定する表面電位計(109)、並びに定着ローラ(111)及び加圧ローラ(112)からなる定着装置(110)によって構成されている。
金属パイプ表面に耐熱性ゴムで構成された弾性層を有する定着ローラ(143)と、金属パイプの内側に第1のハロゲンヒータ(145a)を内蔵した加熱ローラ(142)とを設け、これら2本のローラ間に、例えば、ポリイミドのシームレスベルトの表面にプライマーを介してシリコーンゴムと離型剤から構成された最表層が形成されたような定着ベルト(141)を張架する。定着ローラ(143)には、定着ベルト(141)を介して加圧ローラ(144)が圧接されている。加圧ローラ(144)は金属パイプ表面に耐熱性ゴムで構成された弾性層を設け、内側に第2のハロゲンヒータ(145b)を内蔵した構成である。
[実施例1]
(定着ベルトの作製)
内径60mm、幅400mm、厚さ0.1mmのポリイミド製シームレスベルトの表面にシリコーンゴム用プライマー(東レ・ダウコーニング社製、DY39−067)を厚さが0.5μmとなるようにスプレー塗工し、常温で30分風乾後、150℃で30分加熱した。
次いで、プライマー処理したベルト基材をマンドレルに固定し、シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング社、DY35−2083)の50%トルエン溶液をスプレー塗工し、その状態で150℃×10分間の1次加硫を行った後、200℃×4時間の2次加硫を経て厚さ0.2mmのゴム層を形成した。その後、得られたベルトを140℃に加熱したカルナバワックス(酸価0.5、融点85℃)に10分間浸漬し、引き上げ後に表面に付着したワックスを拭き取った。最終的に、弾性層の重量に対して1.0%のワックスが含有される定着ベルトを得た。
前記カルナバワックスの代わりに、パラフィンワックスHNP9(日本精蝋社、融点75℃)を用いた以外は実施例1と同じ工程を経て、弾性層の重量に対して1.8%のワックスが含有される定着ベルトを得た。
前記カルナバワックスの代わりに、マイクロクリスタリンワックスHi−Mic−1070(日本精蝋社、融点79℃)を用いた以外は実施例1と同じ工程を経て、弾性層の重量に対して1.5%のワックスが含有される定着ベルトを得た。
実施例1で得られたゴム層の上に、フッ素系樹脂含有プライマーをスプレーコートした後、自然乾燥させて厚さ2μmのプライマー層を形成した。さらに、このプライマー層の上に、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)の水分散液PFA945HP−Plus(三井・デュポンフロロケミカル社)をスプレーコートして厚さ30μmの塗布層を形成し、この塗布層を340℃で30分間焼成して離型層を形成した。その後、得られたベルトを140℃に加熱したカルナバワックス(酸価0.5、融点85℃)に10分間浸漬してから引き上げ、離型層表面にワックス(1.0mg/cm2)が付着した定着ベルトを得た。
前記カルナバワックスの代わりに、ジメチルシリコーンオイルKF−96−100cs(信越化学工業社)を用いた以外は比較例1と同じ工程を経て、離型層表面にオイル(1.0mg/cm2)が付着した定着ベルトを得た。
評価条件は以下の通りである。
複写機:RICOH imagio MP C2500改造機(オイル塗布機構なし)
印刷原稿:ハーフトーン(400dpi、50%)
印刷モード:フルカラー、片面
記録媒体:上質紙、タイプ6200、A4サイズ(リコー)
評価間隔:印刷枚数が最初の1000枚までは200枚ごとに、その後5000枚までは1000枚ごと。
トナー:imagioスポットトナーC3000
評価基準は次の通りとした。
○:トナーのオフセットもジャムも起こらなかった
×:トナーのオフセットまたはジャムが起こった
上記の条件で印刷した1枚目および1000枚目の画像について、光沢ムラの有無を目視によって確認した。
○:画像に光沢ムラは見られなかった
×:画像に光沢ムラが見られた
評価結果は、次の表1の通りであった。
また画質に関しても、実施例1〜3については出力した画像にムラが見られなかった。一方、比較例1、2については1000枚の印刷を終える前にジャムが発生したので、直前の画像にて画質を確認したところ、いずれもオフセットに起因する画像の乱れからムラが生じていた。
実験結果である表1から分かるように、本発明の定着部材は比較例に比べてトナーとの離型性、定着画像の分離性に優れており、且つムラの無い高画質な定着画像が得られることが確認された。
1 定着部材
2 基材
3 弾性層
4 弾性中間層
(図2について)
100 画像形成装置
101 像担持体
102 帯電ローラ
103 露光装置
104 現像ローラ
105 電源
106 転写ローラ
107 転写媒体
108 クリーニング装置
109 表面電位計
110 定着装置
111 定着ローラ
112 加圧ローラ
(図3について)
120 画像形成装置
121 像担持体
122 帯電装置
123 レーザー書き込みユニット
124 現像装置
125 転写ローラ
126 給紙ユニット
127 給紙ローラ
128 レジストローラ対
129 転写媒体
130 クリーニング装置
131 定着装置
132 排紙部
(図4について)
140 ベルト定着装置
141 定着ベルト
142 加熱ローラ
143 定着ローラ
144 加圧ローラ
145 ハロゲンヒータ
146 温度センサー
Claims (4)
- 電子写真方式の画像形成装置においてトナー像を記録媒体上に定着させる定着部材であって、基材上に少なくとも弾性層が設けられ、該弾性層は主にポリシロキサンからなるゴム組成物であるシリコーンゴムからなっていて且つ前記トナー像を形成するトナー中に含まれているワックスと同一のワックスを含浸により含有しており、トナー像に接する最表面を構成するように設けられていることを特徴とする定着部材。
- 前記ワックスが、前記画像形成装置の使用される環境温度にて固体であることを特徴とする請求項1に記載の定着部材。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の定着部材を有することを特徴とする定着装置。
- 請求項3に記載の定着装置を有することを特徴とする電子写真方式の画像形成装置。
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