JP4300318B1 - 定着用回転体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 平均粒子径が0.2μm〜0.5μmの第1のPFA樹脂(パーフルオロアルコキシ樹脂)と、平均粒子径が10.0μm〜15.0μmの第2のPFA樹脂と、平均粒子径が0.2μm〜0.5μmのPTFE樹脂(ポリ四フッ化エチレン樹脂)を主成分とするフッ素樹脂混合物を基体の表面にコーティングした後、この基体を280℃以上350℃以下の温度範囲で焼成することにより、コーティング層にクラックが無く、耐摩耗性に優れた定着用回転体を製造できる。
【選択図】図1
Description
第1発明に係る定着用回転体の製造方法は、平均粒子径が0.2μm〜0.5μmの第1のPFA樹脂(パーフルオロアルコキシ樹脂)と、平均粒子径が8.0μm〜15.0μmの第2のPFA樹脂(パーフルオロアルコキシ樹脂)と、平均粒子径が0.2μm〜0.5μmのPTFE樹脂(ポリ四フッ化エチレン樹脂)とを主成分とするフッ素樹脂混合物からなるコーティング層を基体の表面に形成した後、この基体を280℃以上350℃以下の温度で焼成したものである。
第2発明に係る定着用回転体の製造方法は、第1発明において、フッ素樹脂混合物におけるフッ素樹脂は、第1のPFA樹脂が56重量%以上90重量%以下であり、第2のPFA樹脂が8重量%以上30重量%以下であり、PTFE樹脂が0重量%よりも大きく20重量%以下(ただし、第1のPFA樹脂+第2のPFA樹脂+PTFE樹脂=100重量%)としたものである。
第3発明に係る定着用回転体は、平均粒子径が0.2μm〜0.5μmの第1のPFA樹脂(パーフルオロアルコキシ樹脂)と、平均粒子径が10.0μm〜15.0μmの第2のPFA樹脂と、平均粒子径が0.2μm〜0.5μmのPTFE樹脂(ポリ四フッ化エチレン樹脂)とを主成分とするフッ素樹脂混合物からなるコーティング層を基体の表面に形成したものである。
第4発明に係る定着用回転体は、第3発明におけるフッ素樹脂混合物中のフッ素樹脂は、第1のPFA樹脂が56重量%以上90重量%以下であり、第2のPFA樹脂が8重量%以上30重量%以下であり、PTFE樹脂が0重量%よりも大きく20重量%以下(ただし、第1のPFA樹脂+第2のPFA樹脂+PTFE樹脂=100重量%)としたものである。
表面にゴム層が形成されたパイプ状コアの内部に加熱手段を挿入し、パイプ状コアを軸を中心として回転させる。そして、パイプ状コアの上方を軸方向に沿って移動するノズルから液状コーティング材料であるフッ素樹脂混合物を、ゴム層の周面にかけ流してゴム層の周面に液状コーティング材料の塗布層を形成する。
尚、図3、図4および図5は、説明を分かり易くするため、パイプ状コア1のみにハッチングをかけている。
まず、本発明に係る定着用回転体としての定着ロールを製造するための装置について説明する。
図1に示すように、周面にシリコンからなるゴム層6が形成されたパイプ状コア1の両端は、先端コーン形状のチャック2Aおよび2Bによって支持されている。このパイプ状コア1は、直径が20〜30mmのスチール、ステンレススチール、アルミニウム等の金属からなり、あらかじめ洗浄液によって洗浄され、乾燥されている。
また、移動台14上の摺動台19からは、パイプ状コア1に向けてブレード20と、このブレード20に隣接して設けられた補助ブレード23が突出している。そして、摺動台19は、ダイヤル21を操作して前後(図2の矢印ハ方向)に摺動可能に構成されている。
また、補助ブレード23は、ブレード20によって厚みが調節された液状コーティング材料の表面に接触させて、液状コーティング材料の表面にできたスパイラル模様を消すためのものである。
(パイプ状コア)
まず、周面にゴム層が形成されたパイプ状コアの製造方法について説明する。
図3に示すように、直径が20〜30mmのスチール、ステンレススチール、アルミニウム等の金属からなるパイプ状コア1の表面(周面)をアルコール等を用いて脱脂する。
次に、前記したパイプ状コア30の表面にコーティング層を形成した定着ロールの製造方法について説明する。以下に説明する工程は、プライマー層P2を形成する第1工程と、コーティング層33を形成する第2工程とからなるが、ゴム層6とコーティング層33の接着性が良ければ、第1工程を省略して第2工程のみでも良い。
第1工程は、パイプ状コア1に形成されたゴム層6の表面にプライマーとして官能基を導入した変性テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(変性PFA)水性ディスパージョン(PFAプライマー)を塗布し、PFAプライマー層P2を形成するものである。ゴム層6の表面にPFAプライマー層P2を形成する前に、アルコール等を用いてゴム層6の表面を洗浄しても良い。
第2工程は、前記した第1工程におけるPFAプライマー層P2の表面にフッ素樹脂混合物を塗布し、コーティング層33を形成する。尚、前記した第1工程を省略した場合は、本第2工程のみでゴム層6の表面にコーティング層33を形成しても良い。
また、フッ素樹脂混合物中のフッ素樹脂(固形分)の比率(固形分比)は、第1のPFA樹脂が78重量%、第2のPFA樹脂が20重量%、PTFE樹脂が2重量%である。
前記した製造方法により得た定着ロールについて、後述する耐摩耗性、離型性および成膜性を評価した。その結果、表1に示すように、いずれの結果も良好であった。
尚、本実施例1においては、表1に示すように、フッ素樹脂混合物として、分子量300,000のPFA樹脂を用いた試料1と、分子量450,000のPFA樹脂を用いた試料2の両方を評価した。
耐摩耗性試験は、スガ試験機社の広範囲荷重スガ磨耗試験機を用いて、以下の条件で行った。尚、サンプルは、定着用回転体からコーティング層のみを切り取り、当該コーティング層を上記広範囲荷重スガ磨耗試験機にセットした。
・荷重:1000gf
・温度:150℃
・試験機の磨耗速度:400mm/sec
(試験機の摩耗輪の1往復で1カウント 40カウント/分)
・サンプルの磨耗面積:長さ300mm×幅12mm
・試験機の磨耗相手材:磨耗輪・・・φ50mm×幅12mm
摩耗を促進するため、磨耗輪の表面の幅方向の略中央位置に幅3mm×厚さ130μmのニトフロンテープを貼り付け、さらにその表面に下記の用紙を貼り付けた。
・用紙:Premier80gsm
・回転数:0.1rpm
・磨耗回数:4000カウント(4kサイクル)
(2000カウント毎に試料の磨耗量の測定を実施)
・測定方法:サンプル重量の変化により、摩耗量を算出
(手順1)サンプル重量を測定(Initial重量:表1の「Ini重さ」)
(手順2)スガ磨耗試験機にサンプルを固定
(手順3)荷重をかけ、スガ磨耗試験機を動作
(手順4)2kカウント(サイクル)および4kカウント(サイクル)でサンプル重量を測定(表1の「2kCycle」と「4kCycle」)
前記した製造方法により得た定着ロールを、画像形成装置(複写機)に実際に組み込み、シート(用紙)にトナー画像を形成して、シート上のトナー画像を目視により観察した。
定着用回転体のコーティング層を目視により観察した。
コーティング層の表面にひび割れや、ざらつきがある場合に「×」と評価し、ひび割れおよびざらつきが無い場合に「○」と評価した。
前記した第1工程および第2工程、または第2工程のみにより、フッ素樹脂混合物が表面に塗布されPFA離型層33が形成された図4に示す定着ロール35または図5に示す定着ロール31を製造することができる。
さらに、これらの定着ロール35、31について、以下の第3工程を行うことができる。
塗布ノズル7Aの移動速度を調節する以外に、塗布ノズル7Aから液状コーティング材料の吐出量を調節してもよい。
〔第2工程〕
本第2実施例で用いたフッ素樹脂混合物は、以下の試料3〜7である。
フッ素樹脂混合物中の各成分の割合は、第1のPFA樹脂が33.30重量%、第2のPFA樹脂が3.70重量%、PTFE樹脂が0.37重量%、溶剤が62.63重量%である。
また、フッ素樹脂混合物中のフッ素樹脂(固形分)の比率(固形分比)は、第1のPFA樹脂が89重量%、第2のPFA樹脂が10重量%、PTFE樹脂が1重量%である。
フッ素樹脂混合物中の各成分の割合は、第1のPFA樹脂が33.63重量%、第2のPFA樹脂が3.70重量%、PTFE樹脂が0.04重量%、溶剤が62.63重量%である。
また、フッ素樹脂混合物中のフッ素樹脂(固形分)の比率(固形分比)は、第1のPFA樹脂が90重量%、第2のPFA樹脂が9.9重量%、PTFE樹脂が0.1重量%である。
フッ素樹脂混合物中の各成分の割合は、第1のPFA樹脂が33.63重量%、第2のPFA樹脂が2.99重量%、PTFE樹脂が0.75重量%、溶剤が62.63重量%である。
また、フッ素樹脂混合物中のフッ素樹脂(固形分)の比率(固形分比)は、第1のPFA樹脂が90重量%、第2のPFA樹脂が8重量%、PTFE樹脂が2重量%である。
フッ素樹脂混合物中の各成分の割合は、第1のPFA樹脂が27.75重量%、第2のPFA樹脂が13.88重量%、PTFE樹脂が4.63重量%、溶剤が53.75重量%である。
また、フッ素樹脂混合物中のフッ素樹脂(固形分)の比率(固形分比)は、第1のPFA樹脂が60重量%、第2のPFA樹脂が30重量%、PTFE樹脂が10重量%である。
フッ素樹脂混合物中の各成分の割合は、第1のPFA樹脂が25.90重量%、第2のPFA樹脂が11.10重量%、PTFE樹脂が9.25重量%、溶剤が53.75重量%である。
また、フッ素樹脂混合物中のフッ素樹脂(固形分)の比率(固形分比)は、第1のPFA樹脂が56重量%、第2のPFA樹脂が24重量%、PTFE樹脂が20重量%である。
〔比較例〕
(試料8)
フッ素樹脂混合物中の各成分の割合は、第1のPFA樹脂が37.00重量%、第2のPFA樹脂が0.00重量%、PTFE樹脂が0.00重量%、溶剤が63.00重量%である。
また、フッ素樹脂混合物中のフッ素樹脂(固形分)の比率(固形分比)は、第1のPFA樹脂が100重量%、第2のPFA樹脂が0重量%、PTFE樹脂が0重量%である。
フッ素樹脂混合物中の各成分の割合は、第1のPFA樹脂が33.30重量%、第2のPFA樹脂が3.70重量%、PTFE樹脂が0.00重量%、溶剤が63.00重量%である。
また、フッ素樹脂混合物中のフッ素樹脂(固形分)の比率(固形分比)は、第1のPFA樹脂が90重量%、第2のPFA樹脂が10重量%、PTFE樹脂が0重量%である。
フッ素樹脂混合物中の各成分の割合は、第1のPFA樹脂が22.20重量%、第2のPFA樹脂が14.80重量%、PTFE樹脂が0.00重量%、溶剤が63.00重量%である。
また、フッ素樹脂混合物中のフッ素樹脂(固形分)の比率(固形分比)は、第1のPFA樹脂が60重量%、第2のPFA樹脂が40重量%、PTFE樹脂が0重量%である。
フッ素樹脂混合物中の各成分の割合は、第1のPFA樹脂が25.90重量%、第2のPFA樹脂が11.10重量%、PTFE樹脂が15.86重量%、溶剤が47.14重量%である。
また、フッ素樹脂混合物中のフッ素樹脂(固形分)の比率(固形分比)は、第1のPFA樹脂が49重量%、第2のPFA樹脂が21重量%、PTFE樹脂が30重量%である。
フッ素樹脂混合物中の各成分の割合は、第1のPFA樹脂が22.20重量%、第2のPFA樹脂が14.80重量%、PTFE樹脂が9.25重量%、溶剤が53.75重量%である。
また、フッ素樹脂混合物中のフッ素樹脂(固形分)の比率(固形分比)は、第1のPFA樹脂が48重量%、第2のPFA樹脂が32重量%、PTFE樹脂が20重量%である。
2A,2B チャック
7A,7B 塗布ノズル
14 移動台(移動手段)
20 ブレード
23 補助ブレード
24 回転部材
31 ゴムロール
35 ゴムロール
37 ヒータ(加熱手段)
Claims (4)
- 平均粒子径が0.2μm〜0.5μmの第1のPFA樹脂(パーフルオロアルコキシ樹脂)と、
平均粒子径が10.0μm〜15.0μmの第2のPFA樹脂と、
平均粒子径が0.2μm〜0.5μmのPTFE樹脂(ポリ四フッ化エチレン樹脂)を主成分とするフッ素樹脂混合物を基体の表面にコーティングした後、
該基体を280℃以上350℃以下の温度で焼成することを特徴とする定着用回転体の製造方法 - 前記フッ素樹脂混合物におけるフッ素樹脂は、
前記第1のPFA樹脂が56重量%以上90重量%以下であり、
前記第2のPFA樹脂が8重量%以上30重量%以下であり、
前記PTFE樹脂が0重量%よりも大きく20重量%以下(ただし、第1のPFA樹脂+第2のPFA樹脂+PTFE樹脂=100重量%)である請求項1に記載の定着用回転体の製造方法 - 平均粒子径が0.2μm〜0.5μmの第1のPFA樹脂(パーフルオロアルコキシ樹脂)と、
平均粒子径が10.0μm〜15.0μmの第2のPFA樹脂と、
平均粒子径が0.2μm〜0.5μmのPTFE樹脂(ポリ四フッ化エチレン樹脂)を主成分とするフッ素樹脂混合物からなるコーティング層が基体の表面に形成されたことを特徴とする定着用回転体 - 前記フッ素樹脂混合物におけるフッ素樹脂は、
前記第1のPFA樹脂が56重量%以上90重量%以下であり、
前記第2のPFA樹脂が8重量%以上30重量%以下であり、
前記PTFE樹脂が0重量%よりも大きく20重量%以下(ただし、第1のPFA樹脂+第2のPFA樹脂+PTFE樹脂=100重量%)である請求項3に記載の定着用回転体
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