JPH10228191A - 定着用ベルト及びその製造方法 - Google Patents

定着用ベルト及びその製造方法

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JPH10228191A
JPH10228191A JP4703997A JP4703997A JPH10228191A JP H10228191 A JPH10228191 A JP H10228191A JP 4703997 A JP4703997 A JP 4703997A JP 4703997 A JP4703997 A JP 4703997A JP H10228191 A JPH10228191 A JP H10228191A
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JP
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fluororesin
elastic layer
fixing belt
rubber
layer
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JP4703997A
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English (en)
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Katsuya Yamada
克弥 山田
Hideki Kashiwabara
秀樹 柏原
Masahiro Miyamoto
昌宏 宮本
Yoshitoshi Adachi
俊寿 足立
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チューブ状基体上に、ゴムからなる弾性層と
フッ素樹脂からなる離型層の少なくとも2層がこの順に
積層されてなる定着用ベルトであって、弾性層とフッ素
樹脂層との層間接着力が顕著に向上し、耐久性が改善さ
れた定着用ベルト及びその製造方法を提供すること 【解決手段】 チューブ状基体上に、ゴムからなる弾性
層とフッ素樹脂からなる離型層の少なくとも2層がこの
順に積層されてなる定着用ベルトにおいて、弾性層がゴ
ム中に平均粒子径5〜150μmのフッ素樹脂粒子が1
0〜50体積%の割合で分散されたゴム組成物から形成
されている定着用ベルト。チューブ状基体上に、ゴム中
に平均粒子径5〜150μmのフッ素樹脂粒子が10〜
50体積%の割合で分散されたゴム組成物からなる弾性
層を形成し架橋した後、該架橋後の弾性層上にフッ素樹
脂を被覆して離型層を形成し、次いで、該フッ素樹脂の
融点以上の温度に加熱することを特徴とする定着定着用
ベルトの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式の画
像形成装置、例えば、複写機、レーザービームプリンタ
ー、ファクシミリ等の特に高速でモノクロ画像が出力で
きる機種、部分カラーあるいはフルカラー画像が出力で
きる機種等の定着部に用いる定着用ベルト及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真複写機、レーザービームプリン
ター、ファクシミリなどの画像形成装置において、印刷
・複写の最終段階では、転写材(例、転写紙、フィル
ム)上のトナー(現像剤)を加熱溶融して、転写材上に
定着させている。例えば、電子写真複写機では、感光
体ドラムなどの潜像担持体上に像露光を行って静電潜像
を形成する工程、静電潜像にトナーを付着させてトナ
ー画像(可視像)を形成する工程、感光体ドラムから
転写材上にトナー画像を転写する工程、及びトナー画
像を加熱等により転写材上に定着させる工程、の各工程
を経て複写が行われる。トナーとしては、一般に着色剤
を含有する樹脂粉末が用いられている。
【0003】従来、定着方法としては、図3に示すよう
な定着用ローラを用いた熱定着方式が一般に採用されて
いる。定着用ローラを用いた熱定着方式では、中空のロ
ール状芯金の外周をエラストマーや樹脂で被覆してなる
定着用ローラ11の内部に加熱用ヒーター12を配置
し、該定着用ローラ11に加圧用ゴムローラ13を圧接
させ、両ローラ間にトナー画像8が形成された転写材9
を通過させて、トナーを加熱溶融させることにより、ト
ナー画像を転写材9上に定着させている。定着用ローラ
を用いた熱定着方式は、該ローラ全体が所定温度に保持
されているため、高速化に適しているが、その反面、電
源投入後、該ローラ表面が所定温度に達するまでの待ち
時間が長く、しかも、定着用ローラ全体を加熱しなけれ
ばならないため、消費電力も大きいという欠点を有して
いる。
【0004】そこで、最近では、図2に示すような定着
用ベルト6を用いた熱定着方式が採用されてきている。
定着用ベルトとしては、金属チューブや耐熱性樹脂チュ
ーブなどのチューブ状基体の外周面を離型性に優れた樹
脂で被覆したエンドレスベルトが用いられている。この
方式では、定着用ベルト6に加圧用ゴムローラ10を圧
接させ、この圧接部における定着用ベルト6の内側には
加熱用ヒーター7を密着させ、そして、両者間にトナー
画像8が形成された転写材9を通過させて、定着用ベル
ト6を介して加熱用ヒーター7でトナーを加熱溶融させ
ることにより、トナー画像を転写材9上に定着させてい
る。定着用ローラの場合には、電源投入後、該ローラ表
面が所定温度に達するまでの待ち時間が長いが、定着用
ベルトを用いると、薄いエンドレスベルトを介するだけ
で、加熱用ヒーターにより実質上直接的にトナーを加熱
するため、電源投入時の待ち時間がほぼゼロになるとい
う利点がある。
【0005】従来、定着用ベルトにおいて、外周面に被
覆する樹脂としては、耐熱性と離型性に優れた材質のも
のが用いられている。例えば、ポリイミド製チューブの
外周面にフッ素樹脂の被覆層を設けた構造の定着用ベル
トが知られている。この定着用ベルトは、耐熱性、弾力
性、ベルト内面の絶縁性、ベルト外面の離型性などに優
れている。しかしながら、このような構造の定着用ベル
トは、ソフト性(厚み方向の弾力性や柔軟性)が不足し
ており、複写の高速化やフルカラー化に十分に対応でき
ないという問題があった。
【0006】近年、複写の高速化や画像のフルカラー化
に伴い、トナーの低融点化が要求されるようになり、ト
ナー成分が変更されてきている。また、カラー複写機や
レーザープリンターなどでは、赤、黄、青、黒の4色の
カラートナーが用いられているが、これらのカラートナ
ー画像を定着させるには、単にトナーを加圧加熱して溶
融定着させる単色トナーの定着の場合とは異なり、複数
種のカラートナーを溶融状態で混色させる必要があるた
め、トナーを溶融し易くし、かつ、定着用ベルトで複数
種のカラートナーを包み込むようにして溶融状態で均一
に混合させることが求められている。そのため、定着用
ベルトには、従来にまして、離型性とソフト性に優れて
いることが要求されるようになってきている。
【0007】チューブ状基体上にシリコーンゴム層また
はフッ素ゴム層を形成すると、ソフト性に優れた定着用
ベルトを得ることができる。しかし、これらのゴム層
は、トナー離型性が不足しているため、オフセット現象
が発生し易い。これに対して、チューブ状基体上にシリ
コーンゴムやフッ素ゴムからなる弾性層を設け、さらに
その上にフッ素樹脂層を形成すると、ソフト性と離型性
のバランスが良好な定着用ベルトを得ることができる。
ところが、このような多層構造の定着用ベルトは、耐久
性が十分ではなく、交換頻度が高くなったり、装置メン
テナンス費用が高くなるという問題があった。多層構造
の定着用ベルトの耐久性不足の主要因としては、チュー
ブ状基体上に形成された弾性層とフッ素樹脂層との間の
層間接着力が小さいことを挙げることができる。特に、
シリコーンゴム層を弾性層とし、その上にフッ素樹脂層
を積層したタイプの定着用ベルトは、接着処理の難しい
材料同士の異種材料間接着のため、接着力を上げること
が難しく、従来、せいぜい数十g/cm程度の剥離強度
しか得られなかった。
【0008】特開昭64−40869号公報には、弾性
層の上に樹脂材を塗布し、焼成することにより弾性層の
上に樹脂層が形成された弾性回転体であって、弾性層
は、ゴム材中に樹脂材を分散混入して形成されることを
特徴とする弾性回転体が提案されている。具体的に、該
公報には、弾性層のシリコーンゴムにフッ素樹脂を分散
混入させて、その上にフッ素樹脂を積層することにより
接着力の改善を図り、それによって、百数十g/cmの
剥離強度を得たことが報告されている。より具体的に、
該公報には、シリコーンゴムに、粒径が1μm以下好ま
しくは0.5μm以下のポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)の粒子を分散させたゴム組成物で弾性層を
形成し、その上にフッ素樹脂層を形成する方法が開示さ
れている。該公報に開示されている発明の技術的思想
は、異種材料上にフッ素樹脂を接着させるためのプライ
マー機能をシリコーンゴム層そのものに持たせようとす
るものである。しかしながら、この方法による剥離強度
の向上の程度は、200g/cmまで至らず、十分な耐
久性を得るには、更なる接着力の向上が必要であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、チュ
ーブ状基体上に、ゴムからなる弾性層とフッ素樹脂から
なる離型層の少なくとも2層がこの順に積層されてなる
定着用ベルトであって、弾性層とフッ素樹脂層との層間
接着力が顕著に向上し、耐久性が改善された定着用ベル
ト及びその製造方法を提供することにある。本発明者ら
は、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究し
た結果、ゴム中に平均粒子径5〜150μmのフッ素樹
脂粒子が10〜50体積%の割合で分散されたゴム組成
物を用いて弾性層を形成し、その上にフッ素樹脂からな
る離型層を形成することにより、層間接着力(層間剥離
強度)が顕著に改善されることを見いだした。
【0010】弾性層を形成するゴム中に平均粒子径の大
きなフッ素樹脂粒子を分散させ、かつ、離型層のフッ素
樹脂の融点以上の温度に加熱することにより、両層間に
アンカー効果と呼ばれる物理的接着力が付与される。こ
の場合、弾性層を研磨した後にフッ素樹脂層を形成する
と、積層界面にアンカー効果による物理的接着力を発揮
するのに十分な凹凸が形成され、接着力を更に高めるこ
とができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成す
るに至ったものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、チュー
ブ状基体上に、ゴムからなる弾性層とフッ素樹脂からな
る離型層の少なくとも2層がこの順に積層されてなる定
着用ベルトにおいて、弾性層がゴム中に平均粒子径5〜
150μmのフッ素樹脂粒子が10〜50体積%の割合
で分散されたゴム組成物から形成されていることを特徴
とする定着用ベルトが提供される。また、本発明によれ
ば、チューブ状基体上に、ゴム中に平均粒子径5〜15
0μmのフッ素樹脂粒子が10〜50体積%の割合で分
散されたゴム組成物からなる弾性層を形成し架橋した
後、該架橋後の弾性層上にフッ素樹脂を被覆して離型層
を形成し、次いで、該フッ素樹脂の融点以上の温度に加
熱することを特徴とする定着定着用ベルトの製造方法が
提供される。
【0012】本願第1発明の好ましい実施態様には、少
なくとも下記が含まれる。 1.弾性層のゴム成分がシリコーンゴム及びフッ素ゴム
からなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムである前
記定着用ベルト。 2.離型層がポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体(PFA)、及びテトラフルオ
ロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FE
P)からなる群より選ばれる少なくとも1種のフッ素樹
脂から形成されたものである前記定着用ベルト。 3.フッ素樹脂粒子が熱溶融性フッ素樹脂の粒子である
前記定着用ベルト。 4.フッ素樹脂粒子がPFA及びFEPからなる群より
選ばれる少なくとも1種のフッ素樹脂の粒子である前記
定着用ベルト。 5.フッ素樹脂粒子が熱溶融性フッ素樹脂を粉砕して得
られる異形粒子である前記定着用ベルト。 6.チューブ状基体上に、プライマーを介して弾性層が
形成されている前記定着用ベルト。
【0013】本願第2発明の好ましい実施態様には、少
なくとも下記が含まれる。 1.架橋後の弾性層に更なる加工を加えることなく、該
弾性層上にフッ素樹脂を被覆して離型層を形成し、次い
で、該フッ素樹脂の融点以上の温度に加熱する前記定着
用ベルトの製造方法。 2.架橋後の弾性層表面を研磨した後、該弾性層上にフ
ッ素樹脂を被覆して離型層を形成し、次いで、該フッ素
樹脂の融点以上の温度に加熱する前記定着用ベルトの製
造方法。 3.架橋後の弾性層表面に、フッ素樹脂のディスパージ
ョンまたは粉体を塗布して、乾燥した後、あるいは乾燥
することなく、該フッ素樹脂の融点以上の温度に加熱し
て離型層を形成する前記定着用ベルトの製造方法。 4.架橋後の弾性層表面に、フッ素樹脂チューブを被せ
た後、該フッ素樹脂の融点以上の温度に加熱して離型層
を形成する前記定着用ベルトの製造方法。 5.フッ素樹脂チューブが加熱もしくは機械的な部品の
取り外しによって主として径方向に収縮する収縮チュー
ブであり、架橋後の弾性層表面にフッ素樹脂チューブを
被せた後、フッ素樹脂チューブの収縮処理を行って、弾
性層表面とフッ素樹脂チューブを密着させた後、該フッ
素樹脂の融点以上の温度に加熱して離型層を形成する第
4項に記載の定着用ベルトの製造方法。 6.チューブ状基体上に、プライマーを介して弾性層を
形成する前記定着用ベルトの製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】定着用ベルトの基体としては、耐
熱性樹脂チューブや金属チューブなどのチューブ状基体
を用いる。耐熱性樹脂チューブの材質としては、ポリイ
ミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリフェニルサルファイド、ポリベンズイミダゾー
ルなどが用いられるが、これらの中でも、耐熱性及び耐
久性の点で、特にポリイミドが好ましい。金属チューブ
の材質としては、アルミニウム、ステンレス、鉄、ニッ
ケル、及びこれらの合金が用いられるが、電磁誘導加熱
によって金属チューブを加熱することを考慮すると、
鉄、ニッケル、及びこれらの合金、またはフェライト系
ステンレスが好ましい。チューブ状基体の厚みは、通
常、10〜400μm、好ましくは20〜300μm、
より好ましくは30〜60μmである。チューブ状基体
の外径は、定着装置の大きさによって適宜定めることが
できるが、通常、15〜150mm、好ましくは20〜
100mm程度である。チューブ状基体の長さは、一般
に転写材の大きさに応じて定められる。
【0015】本発明は、実質的にアンカー効果と呼ばれ
る物理的接着によって層間接着力を向上させるものであ
るから、本発明の定着用ベルトを製造する際には、離型
層であるフッ素樹脂を結晶融点以上の温度に加熱する必
要がある。即ち、離型層のフッ素樹脂は、弾性層中に分
散されてかつ弾性層の表面にその一部が露出したフッ素
樹脂粒子と溶融接着するか、あるいは弾性層中に分散さ
れてかつ弾性層の表面にその一部が露出したフッ素樹脂
粒子が弾性層表面から脱落して形成される弾性層表面の
孔中に離型層のフッ素樹脂が嵌入してアンカー効果を得
るものであるから、フッ素樹脂が融点以上で溶融燒結さ
れることが必須の条件となる。
【0016】本発明に用いる弾性層の材料としては、離
型層に用いるフッ素樹脂の燒結温度と燒結時間に耐えう
るものであれば特に限定されないが、耐熱性が特に優れ
ている点から、シリコーンゴム、フッ素ゴム、もしくは
それらの混合物が好ましく用いられる。シリコーンゴム
のタイプとしては、ミラブルタイプ、液状タイプのいず
れでもよく、HTV(高温硬化型)、LTV(低温硬化
型)、RTV(室温硬化型)のいずれでもよい。また、
シリコーンゴムの化学構造としては、基本的なジメチル
シリコーンゴム;ビニル基、水素基、水酸基等を有する
シリコーンゴム;フェニルシリコーンゴム;フロロシリ
コーンゴムのいずれでもよく、またそれらの2種以上の
任意の混合物でもよい。
【0017】弾性層の厚みは、用途や設置する機械装置
の構造、目標とする弾性、用いる材料の硬度等を勘案し
て適宜設定されるが、一般的には100μm〜1mmの
範囲内に設定されることが多い。勿論これより厚い膜厚
に成形した後に、研磨等により必要な膜厚に加工しても
よい。弾性層は、チューブ状基体上にプライマーを介し
て積層してもよく、チューブ状基体の外周面をブラス
ト、電気化学的エッチング、化学的エッチングのいずれ
かもしくはそれらを組み合わせた方法により粗面化し
て、さらに必要に応じてプライマーを介して積層しても
よい。
【0018】本願発明に用いられる離型層のフッ素樹脂
としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、
テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン
/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチ
レン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、
ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチ
レン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTF
E)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等任意のもの
が選択でき、それらの2種以上の混合物として用いても
よい。また、これらの材料形態としては、ディスパージ
ョン、粉体等のいずれでもよく、また、チューブ状等に
成形されていてもよい。耐熱性や離型性(非汚染性、非
粘着性)の観点から、PTFE、PFA、及びFEPの
いずれか、もしくはその2種以上の混合物がより好まし
く用いられる。離型層の厚みも、用途や設置する機械装
置の構造、目標とする弾性、用いる材料の硬度、弾性層
の硬度、摩耗耐久性等を勘案して適宜設定されるが、一
般的には5〜50μmの範囲内である。
【0019】弾性層中に分散されるフッ素樹脂粒子は、
自己融着性もしくは他のフッ素樹脂との融着性を有する
ものであればいずれでもよく、PTFE、PFA、FE
P、ETFE、PCTFE、及びECTFEの中から任
意に選択でき、また、それらの2種以上の混合物として
用いてもよい。なお、未燒結で高分子量のPTFEも好
適に用いられるが、これを用いる場合は、分散の際に強
い剪断力をかけると繊維化するため、極端な場合は弾性
層が均一に成形できなくなることがあるので、分散方法
には注意を要する。このような注意を必要とせず工業的
に容易に用いられるのは、熱溶融性フッ素樹脂であり、
中でも耐熱性の観点からPFA及びFEPがより好まし
く用いられる。
【0020】弾性層中に分散されるフッ素樹脂粒子の材
料形態も、ディスパージョン、粉体等いずれでもよい
が、弾性層の表面にその一部が露出したフッ素樹脂粒子
が弾性層表面から脱落して形成される弾性層表面の孔中
に離型層のフッ素樹脂が嵌入してアンカー効果を得る場
合には、熱溶融性フッ素樹脂の球状に形成された粉体が
好ましい。弾性層中に分散されてかつ弾性層の表面にそ
の一部が露出したフッ素樹脂粒子と溶融接着する方法を
主として取る場合には、重合1次粒子が凝集して複雑な
形状の2次粒子を形成しているPTFEのモールティン
グパウダーやファインパウダー、あるいは熱溶融性フッ
素樹脂例えばPFAを粉砕してなる異形粒子を用いるこ
とにより、フッ素樹脂粒子が弾性層中に強固に捕捉され
やすく、その結果、大きなアンカー効果で高い接着力が
得られるので好ましい。
【0021】弾性層中に分散されるフッ素樹脂粒子の粒
子径は、アンカー効果を有効に活用する観点から、平均
粒子径5μm以上とすることが必要であり、逆に大きす
ぎると仕上がった定着用ベルトの表面硬度や弾性の不均
一化を招くため、平均粒子径150μm以下とすること
が好ましい。より好ましい平均粒子径の範囲は10〜1
00μm、更に好ましくは20〜80μmである。本発
明において、平均粒子径は、マイクロトラック法により
測定し、ディスパージョンの平均粒子径は、光透過法に
より測定した。弾性層中に分散されるフッ素樹脂粒子の
配合量は、粒子径同様にアンカー効果を有効に活用する
観点から、10体積%以上が好ましく、多すぎると弾性
層の硬度が高くなってしまうため50体積%以下とする
ことが好ましい。より好ましい配合量の範囲は15〜3
0体積%である。
【0022】本願発明の定着用ベルトにおいて、弾性層
の形成が終了した段階で、弾性層表面に一部が露出した
フッ素樹脂粒子が離型層のフッ素樹脂と溶融一体化する
か、該フッ素樹脂が脱落して形成された弾性層表面の孔
中に離型層のフッ素樹脂が嵌入するか、あるいは、それ
らの現象が混在する結果、弾性層と離型層の界面は、実
質的に弾性層の主たる部分を形成するゴムと離型層のフ
ッ素樹脂との界面となり、微小な凹凸を形成することと
なる。この凹凸がアンカー効果を十分に発揮して高い層
間接着力を与えるとともに、仕上がった定着用ベルトの
表面硬度や弾性の不均一化を招かないためには、凹凸の
程度を示す指標としてJIS B−0601に規定され
る最大高さ(Rmax)を用いて表現すれば、表面粗さR
maxが5〜150μmの範囲であることが好ましい。R
maxは、より好ましくは10〜100μmで、さらに好
ましくは20〜60μmである。
【0023】弾性層を形成した後、離型層を形成するに
際しては、架橋後の弾性層に更なる加工を加えることな
くフッ素樹脂からなる離型層を被覆してフッ素樹脂の融
点以上の温度に加熱すると、弾性層表面に一部が露出し
たフッ素樹脂粒子が離型層のフッ素樹脂と溶融一体化し
て良好な接着面が得られる。この場合、離型層に用いる
フッ素樹脂の材料形態はディスパージョン、粉体、チュ
ーブ等いずれでもよいが、チューブを用いる場合は、均
一な仕上がり表面を得るためには溶融一体化の際に弾性
層と隙間無く密着していることが必要であり、この観点
からフッ素樹脂チューブは、加熱もしくは機械的な部品
の取り外しによって主として径方向に収縮する収縮チュ
ーブであると、弾性層表面にフッ素樹脂チューブをか被
せた後、フッ素樹脂チューブの収縮処理を行って、弾性
体表面とフッ素樹脂チューブが隙間無く密着した状態が
得られるので好ましい。
【0024】弾性層を形成した後、架橋後の弾性層表面
を研磨すると、弾性層表面に一部が露出したフッ素樹脂
粒子の一部が脱落して弾性層表面に孔が形成される。こ
の研磨は、砥石、グラインダー、バフ等一般的な研磨方
法を任意に使えばよい。この際に表面を平滑に研磨し
て、フッ素樹脂粒子の脱落孔のみの凹凸としてもよく、
適当な表面粗さにしてフッ素樹脂粒子の脱落孔と組み合
わさった複雑な凹凸を得ることもできる。
【0025】
【実施例】以下に、実施例を挙げて、本発明についてよ
り具体的に説明する。
【0026】[実施例1]まず、ポリイミドワニス(宇
部興産社製UワニスS)をチューブ状に成型してポリイ
ミドチューブ(厚み50μm、外径27.6mm)を作
製した。このポリイミドチューブの外周面に、プライマ
ーとして、ポリアミドイミドワニス(東洋紡社製NAI
8020)をN−メチル−2−ピロリドンで希釈した溶
液を塗布し、乾燥させた。オープンロールでシリコーン
ゴム(信越化学社製KE7016U)に平均粒子径25
μmのPFA粉体(粉砕異形粒子JW3530:旭硝子
社製)を25重量%(約17体積%)混練分散し、パー
オキサイド系加硫剤(信越化学社製C−4)を5phr
配合混練して、約3mmの厚さのシートとしたものを上
記プライマー処理済みのポリイミドチューブ上に巻き付
け、金型で165℃で15分間プレス加硫した。得られ
た弾性層を厚さ約400μmになるまで研削除去した。
この上に、平均粒子径約20μmのPFA球状粒子(デ
ュポン社製MP102)70重量%と平均粒子径0.4
μmのPFA重合粒子が分散されたPFAディスパージ
ョン(ダイキン工業社製AD2CR)を粒子量で30重
量%混合し、希釈粘度調整したディスパージョンをスプ
レー塗装し、80℃で15分間乾燥後、250℃で30
分間二次乾燥し、次いで、350℃で15分間燒結して
厚さ約50μmの離型層を得た。離型層を研磨して約2
0μmの厚さとし、定着用ベルトを完成した。図1に示
す方法により、離型層の一部を剥離して引張試験機に取
り付け、50mm/分の速度で剥離して180°の剥離
強度(接着力)を測定したところ、離型層と弾性層の剥
離面は、シリコーンゴムが凝集破壊しており、接着力は
350g/cm以上と従来製品と比較して極めて高かっ
た。
【0027】[実施例2]実施例1で作製したポリイミ
ドチューブの外周面に、同様に、プライマーを塗布し乾
燥した。3本ロールミルで液状シリコーンゴム(信越化
学社製KE1224)に平均粒子径30μmのPFA球
状粉体(デュポン社製MP102)を25重量%(約1
7体積%)混練分散し、内面が鏡面状の内径40mmの
金型内に上記のプライマー処理を施したポリイミドチュ
ーブをセットしたところに注型、硬化させて、厚さ約3
mmの弾性層を得た。この上に、平均粒子径約20μm
のPFA球状粒子(デュポン社製MP102)70重量
%と平均粒子径約0.4μmのPFA重合粒子が分散さ
れたPFAディスパージョン(ダイキン工業社製AD2
CR)を粒子量で30重量%混合し、希釈粘度調整した
ディスパージョンをスプレー塗装し、80℃で15分間
乾燥後、250℃で30分間二次乾燥し、次いで、35
0℃で15分間燒結して厚さ約50μmの離型層を得
た。離型層を研磨して約20μmの厚さとし、定着用ベ
ルトを完成した。離型層と弾性層の接着力を評価したと
ころ、剥離面は、シリコーンゴムが凝集破壊しており2
10g/cm以上と従来製品と比較して極めて高かっ
た。
【0028】
【発明の効果】本発明により、弾性層と離型層の層間接
着力が著しく高められた結果、例えば電子写真複写機、
レーザービームプリンター、ファクシミリ等の特に高速
でモノクロ画像が出力できる機種、部分カラーあるいは
フルカラー画像が出力できる機種等の定着部に用いるこ
とができる弾性を持つ定着用ベルトの耐久性を著しく向
上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着用ベルトの弾性層と離型層との間の層間接
着力の測定方法を示す説明図である。
【図2】定着用ベルトを用いた熱定着方式の説明図であ
る。
【図3】定着用ローラを用いた熱定着方式の説明図であ
る。
【符号の説明】
1:チューブ状基体 2:弾性層 3:離型層 4:離型層の剥離部分 5:クランプ 6:定着用ベルト 7:加熱用ヒーター 8:トナー 9:転写材 10:加圧ローラ 11:定着用ローラ 12:加熱用ヒーター 13:加圧ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 足立 俊寿 大阪府大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電気工業株式会社大阪製作所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チューブ状基体上に、ゴムからなる弾性
    層とフッ素樹脂からなる離型層の少なくとも2層がこの
    順に積層されてなる定着用ベルトにおいて、弾性層がゴ
    ム中に平均粒子径5〜150μmのフッ素樹脂粒子が1
    0〜50体積%の割合で分散されたゴム組成物から形成
    されていることを特徴とする定着用ベルト。
  2. 【請求項2】 フッ素樹脂粒子が熱溶融性フッ素樹脂の
    粒子である請求項1記載の定着用ベルト。
  3. 【請求項3】 フッ素樹脂粒子が熱溶融性フッ素樹脂を
    粉砕して得られる異形粒子である請求項2記載の定着用
    ベルト。
  4. 【請求項4】 チューブ状基体上に、ゴム中に平均粒子
    径5〜150μmのフッ素樹脂粒子が10〜50体積%
    の割合で分散されたゴム組成物からなる弾性層を形成し
    架橋した後、該架橋後の弾性層上にフッ素樹脂を被覆し
    て離型層を形成し、次いで、該フッ素樹脂の融点以上の
    温度に加熱することを特徴とする定着定着用ベルトの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 架橋後の弾性層に更なる加工を加えるこ
    となく、該弾性層上にフッ素樹脂を被覆して離型層を形
    成し、次いで、該フッ素樹脂の融点以上の温度に加熱す
    る請求項4記載の定着用ベルトの製造方法。
  6. 【請求項6】 架橋後の弾性層表面を研磨した後、該弾
    性層上にフッ素樹脂を被覆して離型層を形成し、次い
    で、該フッ素樹脂の融点以上の温度に加熱する請求項4
    記載の定着用ベルトの製造方法。
JP4703997A 1997-02-14 1997-02-14 定着用ベルト及びその製造方法 Pending JPH10228191A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002066961A (ja) * 2000-08-29 2002-03-05 Pentel Corp 把持部を有する軸体
JP2010185954A (ja) * 2009-02-10 2010-08-26 Suzuka Fuji Xerox Co Ltd 定着用回転体およびその製造方法

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