JP4601149B2 - 定着用ベルトの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明に属する技術分野】
本発明は、耐熱性エンドレスベルト層と表面に設けられたフッ素樹脂の離型層とを有する定着用ベルト及びその製造方法、さらには定着用ベルトの離型層形成剤に関する。本発明の定着用ベルトは複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像成形装置の定着に用いられるエンドレスベルト、特に、高速通紙による定着にに用いられるエンドレスベルトとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置において、転写紙に画像を定着する画像定着法として、熱ロール定着法が知られている。この熱ロール定着法は、熱ローラとプレスローラとを対向配置し、転写紙を両ローラ間に送り込む方法であり、熱ローラに内蔵されているヒータの発熱により転写紙に仮着されたトナーを溶融定着させると共に、プレスローラにより加圧して定着を強固にし、それによって転写紙上にトナーによる画像を形成するものである。当該熱ロール定着法による場合、ロール間の接触面積が小さい為、トナーを転写紙に溶融定着させるためには圧力負荷を高めなければならなかった。さらに近年の高速化の要求により、通紙速度が10ppmを越えると、ロール間の圧力負荷も増大しなければならず、そのためロール表面のトナー離型層の摩耗が激しく、短いライフでオフセットが生じると言う問題があった。
【0003】
これら熱ローラ定着法の問題に対し、ベルト定着法が提案されている。このベルト定着法は、ローラとべルト表面の離型層を対向配置した構成となっており、転写紙をこれらの間に送り込むことによってトナーを定着させている。この場合、加圧、加熱、駆動、離形という基本機能は熱ローラ定着法と同様に必要であるが、これら機能はロール側に持たせても、ベルト側に持たせてもかまわない。このように片側を追従性の良いベルトにすることで、接触面積を増やし、圧力負荷を低減させ、通紙速度を上げることができる。しかし、その一方で、ベルト定着法では、圧力を上げることでトナーとの離型性を維持することが難しい。また、離型層表面にピンホールや凹凸が存在するとオフセットが発生しやすくなる。そのため、離型層表面にはトナー離型性を維持することができる平滑性が要求される。特に通紙速度が20ppmを越える高速通紙の場合には、トナー離型性を維持することができる平滑性が重要となる。
【0004】
ところで、定着ロールの平滑化離型層としては、特開昭54−59945号公報に、ロールの表面粗さを0.4μm以下にするために、芯金に四フッ化エチレン樹脂液を塗布、乾燥、焼結させた後にエメリーぺーパー、布バフで研磨したものが開示されている。また、特開平3−80277号公報では、十点平均表面粗さ(Rz)を0.25μm以下の鏡面を得るために、フッ素樹脂塗料を塗布、乾燥させた面に鏡面ロールを押し付けて従動回転させた後、焼成を行っている。しかし、これらいずれの方法においても離型層表面の平滑化処理は物理的処理であるため、離型層表面にはピンホール、凹凸等の処理斑や厚さ斑が発生し、これが原因でトナーの定着斑(オフセット)を引き起こし、画質を低下させていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、高速通紙の条件下においても、オフセットの生じない離型層表面を有する定着べルトおよびその製造方法を提供することを目的とする。さらには、当該定着べルトの離型層形成剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、離型層の材料や形成工程等について鋭意研究したところ、以下に示すゼータ電位のフッ素樹脂粒子含有分散液を用いて離型層を形成することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の定着用ベルトは、耐熱性エンドレスベルト層と表面に設けられた離型層とを有する定着用ベルトにおいて、前記離型層が、超音波振動電位法におけるゼータ電位の絶対値が19mV以上のフッ素樹脂粒子含有分散液から形成されたフッ素樹脂層であり、前記フッ素樹脂粒子含有分散液が、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)の粒子を含有する分散液であり、前記PFA粒子の平均粒子径が0.1〜5μm未満であることを特徴とする。なお、本明細書で規定される各物性値の測定方法は、実施例に記載の通りである。
【0008】
上記において、前記離型層の中心線平均表面粗さ(Ra)が0.25μm以下であることが好ましい。
【0009】
また、上記において、前記フッ素樹脂粒子含有分散液が、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)の粒子を含有する分散液であることが好ましい。
【0010】
本発明の製造方法は、耐熱性エンドレスベルト層に、超音波振動電位法におけるゼータ電位の絶対値が19mV以上のフッ素樹脂粒子含有分散液を塗布した後、フッ素樹脂の融点以上に加熱する離型層の形成工程を有する定着用ベルトの製造方法である。
【0011】
さらには、本発明は、超音波振動電位法におけるゼータ電位の絶対値が19mV以上のフッ素樹脂粒子含有分散液からなる、耐熱性エンドレスベルト層と表面に設けられた離型層とを有する定着用ベルトの離型層形成剤に関する。
【0012】
[作用効果]
本発明の定着用ベルトによると、実施例の結果が示すように、ゼータ電位の絶対値が19mV以上のフッ素樹脂粒子含有分散液からなる離型層形成剤を用いて形成されたフッ素樹脂層(離型層)表面には、ピンホール等がなく平滑な面が形成されている。前記ゼータ電位のフッ素樹脂粒子含有分散液は粒子間の凝集力が小さく、分散液中において殆どが一次粒子として存在しており、その状態で溶融による粒子の結着や組織の緻密化が行われて十分に平滑化された離型層を形成する。その結果、20ppmを越える高速通紙の条件下においても、トナー(カラートナーを含む)に対して、均一な圧力で接することができ、オフセットが生じない。
【0013】
フッ素樹脂粒子含有分散液の超音波振動電位法におけるゼータ電位の絶対値が19mVより小さいと、フッ素粒子間の凝集力が大きく、分散液を、耐熱性エンドレスベルト層に塗布、焼成した後に、離型層表面がピンホールを有する荒い面となり好ましくない。ゼータ電位は、20〜60mVとするのが好ましい。
【0014】
前記離型層の中心線平均表面粗さ(Ra)は0.25μm以下の場合に、平滑性が良好であり、より確実にトナーに対して、均一な圧力で接することができる。中心線平均表面粗さ(Ra)は、0. 1μm以下がより好ましい。
【0015】
また、前記フッ素樹脂粒子含有分散液中のフッ素樹脂粒子としては、特にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が、平滑性の良好な離型層表面を形成できる点で好ましい。
【0016】
本発明の製造方法によると、溶融による粒子の結着や組織の緻密化、平滑化を十分行うことにより、平滑な離型層を形成することができる。その結果、20ppmを越える高速通紙の条件下においても、十分な平滑性の離型層表面を有する定着用ベルトの製造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の定着用ベルトは、耐熱性エンドレスベルト層と表面に設けられた離型層とを有するものであるが、耐熱性エンドレスベルト層と離型層の間には、結着力を向上する為のプライマー層や、接触面積を更に広げる為の弾性層などを設けてもよい。従って、例えば耐熱性エンドレスベルト層に直接離型層を設けたもの、プライマー層を介在させたもの、又は、弾性層を更に介在させたもの等が挙げられる。なお、耐熱性エンドレスベルト層の内側にも、摺動性を高めるための摺動性層などを設けてもよい。
【0018】
各層の厚みは任意に設定できるが、耐熱性エンドレスベルト層の厚さは5〜200μmの範囲に設定するのが好ましい。5μm未満では、座屈が発生しやすく、200μmを越えると繰り出される紙との分離角度が小さくなり、トナーの離形性が低下する傾向がある。プライマー層の厚さは0.5〜10μmの範囲が好ましい。0.5μm未満では結着力が低く、10μmを越えると脆くなる傾向がある。弾性層の厚さは50〜1000μmが好ましく、50μm未満ではトナーを均一に融着しにくい傾向があり、1000μmを越えるとベルト全体の熱伝導性、電気導電性、機械特性が低下する傾向がある。離型層は5〜100μm、好ましくは10〜50μmに設定するのが良い。5μm未満では通紙を行なった時に、オフセットが発生するまでのライフが短くなり、100μmを越えるとフッ素樹脂層にクラックが発生し易い傾向がある。
【0019】
耐熱性エンドレスベルト層の耐熱性は、定着部で使用する温度から、熱変形温度(ASTM:D648)200℃(1.8MPa)以上で、フッ素樹脂を加熱溶融する温度である300〜430℃で分解しない樹脂や金属で、更に耐屈曲性に優れている材料が好ましい。例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール等の耐熱性樹脂や、アルミニウム、鉄、ニッケル、これらの合金等の金属が挙げられる。
【0020】
このなかでも機械特性、耐熱性、屈曲性に優れたポリイミド樹脂は最適である。ポリイミド樹脂は、例えば、酸成分であるテトラカルボン酸二無水物と、アミン成分であるジアミンの略等モルを適当な溶媒に溶解して反応させポリアミド酸溶液を作製し、溶媒を乾燥後に更に高温で重合(イミド転化)させることで得ることができる。
【0021】
なお、耐熱性樹脂、金属はこれらを積層して、多層にしても良いし、また耐熱樹性脂には有機、無機フィラーを入れて熱特性、電気特性等をコントロールしても良いし、金属は単一組成の純金属でも、複数の組成の合金でもよい。
【0022】
耐熱性樹脂に入れるフィラーについては、滑り性を上げるためにはフッ素樹脂の添加を、熱導電性を付与するには熱伝導性粒子の添加を、電気導電性を付与するには電気導電性粒子の添加を行なえば良い。
【0023】
具体的にはフッ素樹脂の材料としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を用いる。
【0024】
熱導伝導性粒子としては、ダイヤモンド、銀、銅、アルミニウム、大理石、ガラス等あるが、実用的にはシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化ベリリウムが挙げられる。
【0025】
電気導電性粒子としては、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマー、ケッチンブラック、アセチレンブラック等のカーボンやグラファイト、銀、ニッケル、銅等の金属やこれら合金及びマイカ、カーボン、ガラス等にメッキした複合金属、酸化錫、酸化インジウム等の酸化金属、アニオン、カチオン、ノニオン、両性を有する界面活性剤が挙げられる。
【0026】
本発明の定着用ベルトは、離型層が、超音波振動電位法におけるゼータ電位の絶対値が19mV以上のフッ素樹脂粒子含有分散液から形成されたフッ素樹脂層であることを特徴とする。ゼータ電位の絶対値を19mV以上にする方法としては、100〜500メッシュ程度の網により分散液のろ過を繰り返す方法、微細化処理装置(ナノメーカー,ナノマイザー社製)等により処理する方法等があげられる。
【0027】
前記分散液のフッ素樹脂粒子として使用するフッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)である。
【0028】
フッ素樹脂のメルトフローレートはいずれのグレードでも良いが、耐磨耗性を考慮すると、3g/10分以下とするのが好ましい。3g/10分を越えると溶融は十分であり平滑性は良好であるものの耐摩耗性に劣る傾向がある。フッ素樹脂のメルトフローレートは、さらには1〜3g/10分が好ましく、より好ましくは1.5〜2g/10分である。1g/10分未満だと塗布後、フッ素樹脂の融点以上で加熱しても溶融しにくいため、離型層表面が脆くて荒いものとなりやい。
【0029】
また、フッ素樹脂粒子(一次粒子)の平均粒子径は0.1μm以上5μm未満が好ましい。前記平均粒子径0.1μm未満だと凝集しやすく、粒径分布が不均一となり、これを塗布、加熱すると異常突起を生じる傾向がある。平均粒子径5μm以上だとこれを塗布、加熱して形成した離型層表面が荒れる傾向がある。
【0030】
フッ素樹脂粒子含有分散液には、フッ素樹脂粒子の沈降を防止するために増粘剤を入れても良い。また被覆対象物へ均一な膜を形成させるために界面活性剤を入れても良い。増粘剤、界面活性剤とも使用方法によって任意に選べるが、これら添加剤の沸点はいずれも50〜350℃のものが好ましい。添加剤の沸点が50℃未満では、分散液を保存中に分解が進みやすく、350℃を越えるとフッ素樹脂を焼き付けた後にも残存し離型層の純度が低下し好ましくない。
【0031】
前記分散液におけるフッ素樹脂の固形分濃度は、20〜50重量%が好ましい。20重量%より小さいと、焼き付け後の外観が、筋状の斑となやすく、50重量%を越えると離型層表面が荒れてしまい好ましくない。また、スプレー法で分散液を吹き付ける時は、固形分濃度が50重量%を越える分散液ではノズルに詰まりが生じやすく、吐出が安定しない。
【0032】
分散液の塗布方法は、分散液をスプレー法、ディッピング法等で塗布すればよい。なお、予め当該塗布方法等により形成したチューブ状のものを被せてから、熱処理により収縮させてもよい。
【0033】
塗布後にフッ素樹脂を溶融するための加熱温度は、フッ素樹脂の融点より高めの温度から、分解する温度より低い温度の範囲が好ましく、通常、300〜430℃が好ましいが、本発明の場合、フッ素樹脂としてPFA使用するため、340〜430℃が好ましい。340℃未満では塗布時のPFA粒子の溶融が不十分なため、平滑な離型層が得られない。430℃を越えるとPFAの分解が進む傾向があり進み好ましくない。なお、加熱時間は加熱温度やフッ素樹脂の平均粒子径にもよるが、10分間以上行うのが好ましい。
【0034】
弾性層についても、定着温度に耐えうる材料が好ましく、フッ素ゴム、シリコーンーゴムが挙げられる。これらゴムの柔らかさは架橋、発泡によって制御できるが、好ましくはショアD硬度で80以下が好ましい。80を越えると、フルカラートナーの定着の場合等において、トナーを均一に融着できず、紙上の印刷体の光沢度が低下したり、OHP上の印刷体の透明性が欠如し、結果的に像がぼやけてしまう傾向がある。また弾性層にも熱伝導性粒子、電気導電性粒子を分散させても良い。
【0035】
プライマー層としては、耐熱性エンドレスベルト層と、離型層又は弾性層との接着性を高める各種市販のプライマーが使用でき、ポリイミド樹脂の耐熱性エンドレスベルト層に対しては、ポリイミド系プライマーが好適に使用される。
【0036】
本発明の定着用ベルトは、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置の定着部に使用できるが、ベルト定着法を採用する定着部であれば何れの方式でも使用可能である。例えば、ロール間に定着用ベルトを張設する方式、管状の定着用ベルトを適当なステー等で支持させる方式などに使用可能である。本発明は、特に20ppmを越える高速通紙による定着に有用であるが、更に高速通紙の場合でも高い耐久性が期待できる。また、優れた離型性により、画像のフルカラー化に充分に対応することができる。
【0037】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はそれによって何等限定されるものではない。
【0038】
(1)ゼータ電位、粒度分布
ゼータ電位計・粒度分布計(DT−1200,dispersion technology社)を用いて測定した。
【0039】
(2)中心線平均表面粗さ(Ra)
表面粗さ計(サーフコム554A(東京精密社製))を用いて、カットオフ0. 32mm、測定長さ2.5mm、駆動速度0.12mm/秒、触針荷重:400mgにて測定を行った。
【0040】
(3)メルトフローレ−ト
ASTM(D3307)に基づいて測定した。
【0041】
(4)引張弾性率
ASTM(D885)に基づいて測定した。
【0042】
(5)TEM観察
H−800((株)日立製作所製)を用いて、加速電圧100kvにて測定した。
【0043】
実施例1
(離型層形成剤:フッ素樹脂粒子含有分散液の調製)
平均粒子径0.3μm、メルトフローレートが1.7g/10分(ASTM:D3307)を有するPFA(分子量約85万)を水に分散させた35重量%ディスパージョン液(三井デュポン、510CL)を、フッ素樹脂固形分が30重量%になるように水で調整した後、3日間放置し、400メッシュの網を通過させることを3回繰り返した。こうして得られた分散液のゼータ電位は−22mVを有していた。また、この分散液の粒子径は、累積粒度50%で0.6μmとなった。更に粒度分布を2山分布で解析したところ、0.66μmと10.6μmに2つのピークを持っており、2つの山の占有比が、前者:後者=95:5となった。TEM観察の結果、図1に示すように1次粒子の凝集は弱く疎であった。
【0044】
(定着用ベルトの製造)
酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を、アミン成分としてp−フェニレンジアミンの略等モルをN−メチル−2ピロリドン(NMP)に溶解(モノマー濃度20重量%)し、20℃で6時間反応させて回転粘度33000ポイズ(温度20℃、B型粘度計で測定)、対数粘度2.6のポリアミド酸溶液を作製した。次いで、70℃に加温してポリアミド酸溶液の粘度を1500ポイズに調整した。このポリアミド酸溶液を内径30.61mmの金型に塗布した後、150℃の熱風を10分間当てて固形状態にした。更にこの金型を220℃に達するまで加温し、常温に戻した後、金型からポリイミドベルトを離脱した。このポリイミドベルトを80℃に加温した状態で、ゼータ電位が−22mVの前記離型層形成剤をスプレー塗布した。スプレー塗布後、円筒形のパイプに差し替えて400℃で30分間で加熱し、ポリイミドのイミド化、PFAの溶融、ポリイミドとPFAとの結着を同時に行ない、定着用ベルトを得た。
【0045】
(評価)
得られた定着用ベルトのベルト内側のポリイミドは、引張弾性率8130N/mm2 、平均厚さ80μmであった。ベルト外側のフッ素樹脂層(離型層)の厚さは、24点測定したところ、平均30μm、MAX32μm、MIN29μmと均一な膜厚となった。また、フッ素樹脂層(離型層)の表面状態はピンホールのない光沢面となり、Raで0.12μmであった。また得られた定着用ベルトの内部に滑りシートを有する支持体を設置し、このベルトと平行となるようにアルミロールの上にシリコンゴムを施した加熱ロールを加圧し、通紙速度20ppmでトナーの定着を行なったが、オフセットは見られなかった。
【0046】
実施例2
(離型層形成剤:フッ素樹脂粒子含有分散液の調製)
PFAを水に分散させた35重量%ディスパージョン液(三井デュポン、510CL)を、フッ素樹脂固形分が30重量%になるように水で調整した後、ナノメーカー200(ナノマイザー社)装置を用いて、貫通型ジェネレーターで130Mpaの圧力下、1回循環させた。こうして得られた分散液のゼータ電位は−20mVを有していた。また、この分散液の粒子径は、累積粒度50%で0. 7μmとなった。更に粒度分布を2山分布で解析したところ、0. 42μmと5. 2μmに2つのピークを持っており、2つの山の占有比が、前者:後者=80:20となった。TEM観察にの結果は、図1と同様であり、1次粒子の凝集は弱く疎であった。
【0047】
(定着用ベルトの製造)
実施例1において、離型層形成剤を上記で調製したものを用いた以外は実施例1と同様にして定着用ベルトを得た。
【0048】
(評価)
得られた定着用ベルトのベルト内側のポリイミドの引張弾性率、平均厚さ、外側のフッ素樹脂層(離型層)の厚さは実施例1と同様であった。また、フッ素樹脂層(離型層)の表面状態はピンホールのない光沢面となり、Raで0.2μmであった。また得られた定着用ベルトの内部に滑りシートを有する支持体を設置し、このベルトと平行となるようにアルミロールの上にシリコンゴムを施した加熱ロールを加圧し、通紙速度20ppmでトナーの定着を行なったが、オフセットは見られなかった。
【0049】
比較例1
(離型層形成剤:フッ素樹脂粒子含有分散液の調製)
PFAを水に分散させた35重量%ディスパージョン液(三井デュポン、510CL)を、フッ素樹脂固形分が30重量%になるように水で調整した。こうして得られた分散液のゼータ電位は−17mVを有していた。また、この分散液の粒子径は、累積粒度50%で0.8μmとなった。更に粒度分布を2山分布で解析したところ、0.27μmと0.89μmに2つのピークを持っており、2つの山の占有比が、前者:後者=31:69となった。TEM観察の結果は図2に示すように1次粒子の凝集は強く密に存在していた。
【0050】
(定着用ベルトの製造)
実施例1において、離型層形成剤を上記で調製したものを用いた以外は実施例1と同様にして定着用ベルトを得た。
【0051】
(評価)
得られた定着用ベルトのベルト内側のポリイミドの引張弾性率、平均厚さ、外側のフッ素樹脂層(離型層)の厚さは実施例1と同様であった。また、フッ素樹脂層(離型層)の表面状態はピンホールが点在する荒れた面となり、Raで0.43μmであった。また得られた定着用ベルトの内部に滑りシートを有する支持体を設置し、このベルトと平行となるようにアルミロールの上にシリコンゴムを施した加熱ロールを加圧し、通紙速度20ppmでトナーの定着を行ったところオフセットが見られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のフッ素樹脂粒子含有分散液のTEM観察結果である。
【図2】比較例1のフッ素樹脂粒子含有分散液のTEM観察結果である。
Claims (2)
- 耐熱性エンドレスベルト上に、超音波振動電位法におけるゼータ電位の絶対値が19mV以上のフッ素樹脂粒子含有分散液を塗布した後、フッ素樹脂の融点以上に加熱する離型層の形成工程を有する定着用ベルトの製造方法であって、
前記フッ素樹脂粒子含有分散液に含有されるフッ素樹脂粒子が、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)の粒子のみからなり、
100〜500メッシュの網によりろ過を繰り返す方法、及び/又は、微細化処理装置を用いて処理する方法により、前記フッ素樹脂粒子含有分散液のゼータ電位の絶対値を19mV以上に調製する工程を含み、
前記PFA粒子の平均粒子径が0.1〜5μm未満であることを特徴とする定着用ベルトの製造方法。 - 前記フッ素樹脂粒子含有分散液におけるフッ素樹脂の固形分濃度が、20〜50重量%であることを特徴とする請求項1記載の定着用ベルトの製造方法。
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