JP2000010430A - 定着部用フィルム - Google Patents

定着部用フィルム

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JP2000010430A
JP2000010430A JP17285598A JP17285598A JP2000010430A JP 2000010430 A JP2000010430 A JP 2000010430A JP 17285598 A JP17285598 A JP 17285598A JP 17285598 A JP17285598 A JP 17285598A JP 2000010430 A JP2000010430 A JP 2000010430A
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resin layer
heat
fluororesin
film
resistant resin
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Yuji Kitajima
祐司 北嶋
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Showa Electric Wire and Cable Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた離型性を有し、外側離型性層の高い耐久
性、特に耐磨耗性を示す定着部用フィルムを提供する。 【解決手段】 耐熱性樹脂層と離型性樹脂層とからなる
定着部用フィルムであって、離型性樹脂層がフッ素樹脂
を主成分とするチューブを耐熱性樹脂層上に被着するこ
とにより形成されたものであり、フッ素樹脂の球晶の大
きさが40μm以下、好適には10μm以下である。フッ素
樹脂として球晶の大きさの小さいものを用いたことによ
り、高い表面平滑性が得られ、離型性に優れた定着部用
フィルムとなる。球晶を小さくすることにより、樹脂の
結晶化度も高くすることができ、好適にはフッ素樹脂の
結晶化度は30%以上とする。これにより、離型性樹脂層
の圧縮特性、引張特性などの機械的強度を更に高めるこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真複写機、
ファクシミリ、プリンター等の装置のフィルム定着方式
のトナー画像熱定着部に用いられる定着用または加圧用
フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真複写機、ファクシミリ、プリン
ター等のトナー画像を形成する印刷機器においては、印
刷あるいは複写の最終段階で、記録紙上に形成されたト
ナー画像のトナーを加熱溶融して記録紙上に定着させる
熱定着方式が一般的に使用されている。
【0003】このような熱定着方式において、従来から
熱ローラ定着法が汎用されてきたが、熱ローラ定着法
は、電源投入から運転可能となるまでの待ち時間が長
く、ヒートローラ全体を加熱しなければならないため消
費電力も大きいという欠点があり、これを解消するもの
として、フィルム状のエンドレスベルトを使用したフィ
ルム定着方式の熱定着法が提案されている。
【0004】このエンドレスベルトを使用した定着法で
は、定着部用のエンドレスベルトを複数のローラ間にか
け渡し、その外側表面の所定位置に別の定着部用ゴムロ
ーラを圧接させ、その圧接位置のエンドレスベルトの内
側にベルトに接してヒーターが配置される。そしてエン
ドレスベルトとローラを回転させつつその間をトナー粉
末画像が形成された記録紙を通過させ、トナーを記録紙
上に融着させる。この定着方法では、薄いフィルム状の
ベルトの実質的に圧接部分のみをヒーターにより直接加
熱するので電源投入時の待ち時間がほぼゼロとなり、こ
のことからオンデマンド方式の熱定着法と呼ばれてい
る。
【0005】オンデマンド方式の熱定着法には上記のよ
うな機構を使用することから、これに用いられるエンド
レスベルトには十分な耐熱性、弾性、強度、ベルト内面
の絶縁性、ベルト外面の離型性等が要求される。そして
これに答えるものとして、耐熱性樹脂からなる内側層と
離型性を有する樹脂からなる外側層の2層から構成され
た定着部用フィルムからなるベルトが一般に使用されて
いる。
【0006】このような定着部用フィルムの離型性層は
熱伝導性等の要請からごく薄いものであり、通常は内側
の耐熱樹脂層上に必要によりプライマー層を設けた後、
フッ素樹脂等のディスパージョンを塗布して乾燥し、熱
処理することにより製造されていた。
【0007】ところがこのような製造方法により製造さ
れた離型性層は樹脂の塗布により形成されるために平滑
性が悪く、ピンホール、クラック等の欠陥が残りやす
い。このため離型性が十分ではなく、ピンホールにトナ
ーや紙粉が推積する現象、いわゆるオフセットが起こり
やすいという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、耐熱性樹脂層と離型性樹脂層からなる定着部用フィ
ルムであって、優れた離型性を有し、外側離型性層の高
い耐久性、特に耐磨耗性を示す定着部用フィルムを提供
することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らの研究の結
果、上記のような定着部用フィルムにおいて、チューブ
として成形されたフッ素樹脂を耐熱性樹脂層上に被着す
ることにより、離型性樹脂層の耐磨耗性を向上すること
ができ、特にチューブを構成するフッ素樹脂として球晶
サイズの小さいものを用いることにより、離型性樹脂層
の耐磨耗性をさらに向上することができ、且つ表面平滑
性に優れ、離型性の極めてよい定着部用フィルムが得ら
れることが見出された。
【0010】即ち、本発明の定着部用フィルムは、耐熱
性樹脂層と離型性樹脂層とからなる定着部用フィルムで
あって、離型性樹脂層がフッ素樹脂を主成分とするチュ
ーブを耐熱性樹脂層上に被着することにより形成された
ものであり、フッ素樹脂の球晶の大きさが40μm以下で
あることを特徴とする。フッ素樹脂の球晶の大きさは、
好適には25μm以下、より好適には10μm以下である。
【0011】このようなチューブとして成形されたフッ
素樹脂はフッ素樹脂ディスパージョンに使用されるもの
よりもメルトインデックスが小さく、引張強度、耐屈曲
性等の機械的強度が高い。またピンホールやクラックの
発生を生じることがない。これにより高い耐久性、耐摩
耗性が得られる。
【0012】またフッ素樹脂として球晶の大きさの小さ
いものを用いたことにより、高い表面平滑性が得られ、
離型性に優れた定着部用フィルムとなる。球晶を小さく
することにより、樹脂の結晶化度も高くすることがで
き、好適にはフッ素樹脂の結晶化度は30%以上、より好
適には33%以上とする。結晶化度が高いことにより、離
型性樹脂層の圧縮特性、引張特性などの機械的強度を更
に高めることができる。
【0013】本発明の定着部用フィルムにおいて、耐熱
性樹脂層は熱硬化性樹脂、好適には熱硬化性ポリイミド
からなる。
【0014】また離型性樹脂層を構成するフッ素樹脂と
しては、テトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロ
エチレン/パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、
またはテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体からなる群から選ばれる1種または2種以
上を用いることができ、特にテトラフルオロエチレン/
パーフルオロアルコキシエチレン共重合体を含むことが
好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
【0016】本発明の定着部用フィルム10は、図1
(a)に示すように耐熱性樹脂からなる内側層(耐熱性
樹脂層)11と離型性樹脂からなる外側層(離型性樹脂
層)12により構成され、必要に応じ耐熱性樹脂層11と離
型性樹脂層12との間に接着性を向上するためのプライマ
ー層13を設ける(同図(b))。
【0017】耐熱性樹脂層11に使用される耐熱性樹脂は
特に高い耐熱性を得るために熱硬化性の耐熱樹脂を選択
する。特に150℃以上の使用温度を意図する場合や定
着部等では、熱可塑性の樹脂では定着フィルム等が伸び
てしまい不都合である。
【0018】熱硬化性の耐熱樹脂を耐熱樹脂層に使用す
ることにより、定着部用フィルムの絶縁性及び高い耐熱
性が確保される。このような熱硬化性の耐熱樹脂として
は、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベン
ズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリフェニ
レンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ
エーテルスルホン、ポリエーテルイミド等の熱硬化性の
ものが挙げられる。これらの熱硬化性耐熱性樹脂の中で
は、熱硬化性のポリイミドやポリアミドイミドが特に好
ましい。
【0019】さらにこれらの樹脂単体では熱伝導率が低
いので、絶縁性で熱伝導性の無機粒子を含有させること
が好ましい。
【0020】このような熱伝導性無機粒子を構成する物
質自体はこれまでに定着部用ベルトの耐熱性樹脂層に添
加するものとして提案されているものと同様のものでよ
く、例えば、窒化ホウ素、アルミナ、炭化ケイ素、チタ
ン酸カリウム、窒化アルミ、マイカ、シリカ、酸化チタ
ン、タルク、炭酸カルシウム等を挙げることができる。
これらの物質は2種以上の混合物としても使用すること
ができる。熱伝導性無機粒子を構成する物質としては、
窒化ホウ素、アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミニウム
が好ましく、窒化ホウ素が特に好ましい。
【0021】上記のような無機粒子の平均粒径は特に制
限されるものではなく、通常の樹脂組成物に添加される
無機充填剤と同様のものでよいが、分散性や平滑な層を
得ること等の観点から、通常は0.5〜10μm、好ましく
は0.5〜7μm程度である。0.5μm未満であると、熱伝
導性の向上効果が小さく、また粒子の凝集によりフィル
ムに凹凸を生じることがある。粒子の平均粒径が10μm
を越えるとその含量にもよるが耐熱性樹脂層に必要な機
械的強度が得られなくなるおそれがある。
【0022】熱伝導性無機粒子の耐熱性樹脂層中の含有
量も特に制限されるものではないが、熱伝導性の向上、
機械的強度の維持等の観点から、通常は5〜30容量%、
好ましくは10〜25容量%程度である。この範囲内であれ
ば、樹脂単体からなる層とほぼ同様の柔軟性を確保した
上で、熱伝導性と剛性を向上させることができる。含有
量が5容量%未満であると十分な熱伝導性向上効果が得
られず、30容量%を越えると可撓性や強度が不十分とな
り、定着部用ベルトとして使用した場合に割れや破壊を
生じやすい。
【0023】また熱伝導性無機粒子の形状は、球状、鱗
片状(平板状)、繊維状等のいずれでもよいが、これら
の中でも平板状の粒子が、凹凸が少なく表面の滑らかな
フィルムが得られ、なおかつ球状の粒子フィラーの場合
より高い剛性が得られるため、特に好ましい。
【0024】耐熱性樹脂層の厚さも特に制限されない
が、通常は10〜200μm、好ましくは30〜100μm程度で
ある。
【0025】定着部用フィルム10の外層12を構成する離
型性樹脂層は、フッ素樹脂を主成分とするチューブ(以
下、フッ素樹脂チューブという)からなる。フッ素樹脂
としては、定着部用ベルトを200℃前後の高温で連続使
用可能とするために耐熱性に優れたものが好ましく、例
えば、テトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テト
ラフルオロエチレン/パーフルオロアルコキシエチレン
共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体(FEP)等が挙げられ
る。PFAが特に好ましい。
【0026】このようなフッ素樹脂は、樹脂の種類にも
よるが、一般的には15万〜100万程度の分子量を有し、
フッ素樹脂ディスパージョンに通常含まれているフッ素
樹脂よりも分子量が大きいものである。
【0027】本発明の定着部用フィルムにおいては、特
に球晶の小さいフッ素樹脂を使用する。このようなフッ
素樹脂は、フッ素化処理を完全に行ない、−COF、−
COOH、−CF=CF2、−CONH2、−CH2
H、CF2H、CF225などの不安定な末端基をFで
置換し、安定な−CF3とした、溶出フッ素イオン濃度
が極めて低い(0.2ppm以下)ものである。球晶の大きさ
は40μm以下、好適には25μm以下、より好適には10μ
m以下とする。
【0028】一般にフッ素樹脂チューブを押出成形によ
って製造する際に、チューブ表面が自然冷却により固化
するとき、フッ素樹脂の球晶が成長し、隣接する球晶が
ぶつかり成長が止った状態で固化し、その際の球晶の形
状がそのままチューブの凹凸となって現れる。フッ素樹
脂として上述した球晶のものを用いることにより、凹凸
を微細化することができ、非常に表面平滑性の高いチュ
ーブを製造することができる。この場合、平滑性は中心
線平均粗さ(Ra)で約0.30μm以下とすることができ、
球晶の大きさが5μmでは約0.04μmにすることができ
る。
【0029】フッ素樹脂チューブの厚さは特に限定され
ないが、熱伝導性の観点から薄いことが望ましく、好ま
しくは5〜50μm、より好ましくは7〜20μmとする。
【0030】このようなフッ素樹脂チューブは、押出成
形等により成形することができ、それを耐熱性樹脂層上
に積層し、熱処理して耐熱樹脂層と一体化することによ
り離型性樹脂層とする。押出成形により形成されたフッ
素樹脂チューブは、フッ素樹脂ディスパージョンを耐熱
性樹脂層上に塗布して乾燥し、焼成すること等により形
成されていたものと異なり、ピンホール、クラック等の
表面欠陥がなく、またディスパージョンに使用されるフ
ッ素樹脂よりも分子量が大きいので、より高い耐磨耗性
等の耐久性が得られる。
【0031】本発明の離型性樹脂層は上述したフッ素樹
脂の他に必要に応じて導電性フィラーを含有させること
ができる。導電性フィラーを添加するにより導電性を付
与して帯電によるオフセットを防止することができる。
【0032】このような目的に使用される導電性フィラ
ーの種類は特に限定されないが、例えば、ケッチェンブ
ラック等のカーボンブラックやアルミニウム等の金属粉
を挙げることができる。導電性フィラーの平均粒子径
は、安定した均一な導電性を得るために、0.5μm以下
であることが好ましい。
【0033】導電性フィラーの含有量は、通常、樹脂に
対して0.1〜5重量%程度である。ただし、離型性樹脂層
の導電性が高すぎると、記録紙上のトナーが定着部用ベ
ルトの離型性樹脂層と接触した際にトナーの電荷が離型
性樹脂層に流れて、記録紙とトナーとの間の吸引力が失
われることがある。このような現象を防止するために
は、外層の表面抵抗率を1×1012〜1×1015Ω/□
とすることが好ましい。
【0034】耐熱性樹脂層と離型性樹脂層との間には、
両者の接着性を高めるために両層の樹脂に接着性を有す
る樹脂からなる中間層(プライマー層)を設けてもよ
い。プライマー層は、例えばフッ素樹脂とポリアミドイ
ミドの混合物、フッ素樹脂とポリエーテルスルホンの混
合物等からなるものとすることができる。溶媒中にこれ
らの樹脂を溶解または分散したものがフッ素樹脂用プラ
イマーとして市販されており、好適に使用できる。その
ような市販のフッ素樹脂用プライマーとしては、例えば
デュポンジャパン社製プライマー855-001、テフロン855
-300、ダイキン工業社製ポリフロンEK-1700、ポリフロ
ンEK-1800、ポリフロンEK-1900等がある。このようなプ
ライマー層も上記のような導電性フィラーを含有しても
よい。プライマー層の厚さは通常、0.1〜20μm、好ま
しくは1〜10μm程度である。
【0035】次に本発明の定着部用フィルムの製造方法
について説明する。
【0036】まず、公知の定着部用ベルトと同様な方法
により筒状の耐熱性樹脂層を形成する。例えば、円柱形
状の金型上に、上記のような耐熱性樹脂層を形成する樹
脂あるいはその前駆体を溶媒中に含むワニスを塗布し、
熱処理等により溶媒を除去する。その後、任意にプライ
マー層を形成する樹脂組成物を塗布して乾燥し、必要に
より耐熱性樹脂を焼成して製造する。
【0037】耐熱性樹脂が熱硬化性ポリイミドの場合、
耐熱性樹脂の前駆体として例えば芳香族テトラカルボン
酸成分と芳香族ジアミン成分とを使用することができ、
これらを有機極性溶媒中で反応させて前記樹脂を得るこ
とができる。芳香族テトラカルボン酸成分としては例え
ば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物、2,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物等があ
り、これらは混合物として用いてもよい。芳香族ジアミ
ン成分としては例えば、3,3’−ジアミノジフェニル
エーテル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノ
ジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエ
ーテル等のジフェニルエーテル系ジアミン、3,3’−
ジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノジフェニ
ルチオエーテル等のジフェニチオエーテル系ジアミン、
4,4’−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン
系ジアミン、その他ジフェニルメタン系ジアミンパラフ
ェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン等を挙げる
ことができる。有機極性溶媒としては、例えばN−メチ
ルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾー
ル、p−クレゾール、ジメチルオキシド等が挙げられ
る。
【0038】プライマー層は上記のようなフッ素樹脂用
プライマーから形成することができる。
【0039】上記のようにして形成された耐熱樹脂層
(及び任意にプライマー層)の上にフッ素樹脂チューブ
を積層し、耐熱樹脂層に融着して一体化する。フッ素樹
脂チューブを耐熱樹脂層上に積層するためには、熱収縮
性のフッ素樹脂チューブを使用して、耐熱樹脂層よりも
径の大きいフッ素樹脂チューブを耐熱樹脂層上にはめ、
熱収縮により耐熱樹脂層に密着させる等の従来の方法を
採用することも可能であるが、フッ素樹脂層として薄い
フッ素樹脂層、特に厚さ10〜30μmのフッ素樹脂フィル
ムを用いる場合には、以下述べる方法を採用することが
好適である。
【0040】この方法では、耐熱樹脂層の径よりも小さ
い径のフッ素樹脂チューブを耐熱性樹脂層上に積層し、
その後フッ素樹脂の融点よりも高い温度で熱処理して、
フッ素樹脂チューブと耐熱樹脂層とを融着一体化する。
耐熱樹脂層の径よりも小さい径のフッ素樹脂チューブを
耐熱性樹脂層上に積層するためには、金型等を用いてフ
ッ素樹脂チューブを永久伸びを生じない範囲で径方向に
拡張し、その間にフッ素樹脂チューブ内に耐熱樹脂層を
挿入し、その後伸ばしたフッ素樹脂チューブをもとの状
態に復帰させればよい。
【0041】この方法によれば、十分な熱収縮を得にく
い薄いフッ素樹脂フィルムを用いた場合にも、フッ素樹
脂フィルムの表面にしわ等の欠陥を生じさせることなく
両者を十分に融着一体化できる。
【0042】尚、いずれの場合にもフッ素樹脂チューブ
を耐熱樹脂層に積層する前にフッ素樹脂チューブ内面を
予めエッチングしておくことにより両層の接着力を高め
ることができる。エッチングは従来より公知のエッチン
グ法により行うことができ、ナトリウム・ナフタレン
法、液体アンモニア法等の化学エッチング、エキシマレ
ーザー法、低温プラズマ法等の物理エッチングにより行
うことができる。
【0043】以上説明した本発明の定着部用フィルム
は、離型性樹脂層として球晶の小さいフッ素樹脂を用い
たチューブを用いているので、耐磨耗性、離型性に優
れ、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像定着部
用フィルムとしてのみならず、ローラや定着フィルムの
クリーニング用部材としても用いることができる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によりさら
に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定され
るものではない。
【0045】実施例1 ポリイミド前駆体を含む市販のワニス(UワニスS、宇
部興産製)を、外径25mm、長さ280mmのステンレス製シ
ャフトに塗布し、100℃で30分間、次いで200℃
で30分間、更に300℃で30分間、段階的に温度を
上げて加熱処理し、ポリイミドのシームレスフィルムを
成型した。該フィルム上にプライマー(プライマー855-
023、デュポン製)をスプレー塗装して、200℃で3
0分間ベーキング処理した後、厚さ10μmのPFAチ
ューブ(451HP-J、三井・デュポン・フロロケミカル
(株)製、球晶サイズ:5μm)を被覆し、350℃で
30分間加熱してポリイミドフィルム上にPFAチュー
ブを融着させ、定着部用フィルムを得た。
【0046】実施例2 ポリイミド前駆体を含む市販のワニス(UワニスS、宇
部興産製)を、外径30mm、長さ350mmのステンレス製シ
ャフトに塗布し、120℃で50分間、220℃で30
分間、さらに320℃で30分間、段階的に温度を上げ
て加熱処理して、ポリイミドのシームレスフィルムを成
型した。該フィルム上にプライマー(プライマー855-02
9、デュポン製)をスプレー塗装して、250℃で20
分間ベーキング処理した後、厚さ10μmのPFAチュ
ーブ(451HP-J、三井・デュポン・フロロケミカル
(株)製、球晶サイズ:5μm)を被覆し、370℃で
30分間加熱してポリイミドフィルム上にPFAチュー
ブを融着させ、定着部用フィルムを得た。
【0047】比較例1 実施例1と同様にしてポリイミドのシームレスフィルム
を成型し、このフィルム表面に厚さ10μmのPFAチ
ューブ(350HP-J、三井・デュポン・フロロケミカル
(株)製、球晶サイズ:50μm)を被覆し、350℃で
30分間加熱してポリイミドフィルム上にPFAチュー
ブを融着させ、定着部用フィルムを得た。
【0048】比較例2 実施例1と同様にしてポリイミドのシームレスフィルム
を成型し、その表面にフッ素樹脂塗料(855-104、デュ
ポン製)をスプレー塗装した後、370℃で30分間焼
成し、定着部用フィルムを得た。得られた定着部用フィ
ルムのフッ素樹脂層は約10μmであった、これら実施
例と比較例の各定着部用フィルムをプリンターに組み込
み、コピースピードA4用紙20枚/分で、部分的なベ
タ黒印刷モードの印刷による通紙テストを行い、離型性
および耐久性を評価した。結果を以下の表に示す。
【0049】
【表1】 以上の結果から、フッ素樹脂チューブを耐熱性樹脂層上
に被着して形成した離型性樹脂層は、フッ素樹脂ディス
パージョンを塗布して形成された離型性樹脂層に比べ、
大幅に耐久性が向上することが明らかであり、特にフッ
素樹脂チューブを構成するフッ素樹脂として球晶サイズ
の小さいものを用いた場合には更に耐久性が向上した。
離型性についても同様の傾向が見られ、比較例の定着部
用フィルムでは経時的に離型性が低下し、トナー汚れが
発生したが、実施例の定着部用フィルムではトナー汚れ
の発生はなかった。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、耐久性、離型性に優れ
た定着部用フィルムを提供することができる。これによ
り本発明の定着部用フィルムを組込んだ複写機、ファク
シミリ、プリンター等の耐久性を向上することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の定着部用フィルムを示す概略断面図
である。
【符号の説明】
10・・・・・・定着部用フィルム 11・・・・・・耐熱性樹脂層 12・・・・・・離型性樹脂層(フッ素樹脂チューブ) 13・・・・・・プライマー層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年6月1日(1999.6.1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】即ち、本発明の定着部用フィルムは、耐熱
性樹脂層と離型性樹脂層とからなる定着部用フィルムで
あって、離型性樹脂層がフッ素樹脂を主成分とするチュ
ーブを耐熱性樹脂層上に被着することにより形成された
ものであり、フッ素樹脂の球晶の大きさが40μm以下で
あり、表面平滑性が中心平均粗さで0.3μm以下である
ことを特徴とする。フッ素樹脂の球晶の大きさは、好適
には25μm以下、より好適には10μm以下である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性樹脂層と離型性樹脂層とからなる
    定着部用フィルムであって、前記離型性樹脂層がフッ素
    樹脂を主成分とするチューブを耐熱性樹脂層上に被着す
    ることにより形成されたものであり、前記フッ素樹脂の
    球晶の大きさが40μm以下であることを特徴とする定着
    部用フィルム。
  2. 【請求項2】 前記フッ素樹脂の球晶の大きさが10μm
    以下であることを特徴とする請求項1記載の定着部用フ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 前記フッ素樹脂の結晶化度が30%以上で
    ある請求項1または2に記載の定着部用フィルム。
  4. 【請求項4】 前記耐熱性樹脂層が熱硬化性ポリイミド
    からなる請求項1または3のいずれか1項記載の定着部
    用フィルム。
  5. 【請求項5】 前記フッ素樹脂がテトラフルオロエチレ
    ン樹脂、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルコ
    キシエチレン共重合体、またはテトラフルオロエチレン
    /ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる請求項1
    ないし4のいずれか1項記載の定着部用フィルム。
  6. 【請求項6】 前記フッ素樹脂がテトラフルオロエチレ
    ン/パーフルオロアルコキシエチレン共重合体であるこ
    とを特徴とする請求項5記載の定着部用フィルム。
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