JP4303432B2 - 分離爪 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は分離爪に関し、特に複写機やレーザービームプリンタ等の画像形成装置において、複写紙を各ローラから剥離する分離爪に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やプリンタ等の画像形成装置には、感光ドラムの表面に形成された静電荷潜像に粉体であるトナーを付着させ、このトナー像を紙面に転写する感光装置と、紙面を加熱してトナーを融着する定着装置とが設けられている。
感光装置は、回転する感光ドラム上に原図と同じ帯電画像を形成し、これを転写紙に転写する装置であり、転写時に感光ドラムと転写紙が圧接し、さらにこれらは帯電時の静電気で密着するため、転写後の転写紙を感光ドラムから剥離する分離爪を有している。
また、定着装置は、加熱ヒータを備えた定着部ローラに加圧ローラを圧接させ、これらのローラの間に未定着のトナー像を載せた転写紙等のシート部材を通過させ、画像を定着した転写紙を定着部ローラや加圧ローラから剥離する分離爪を有している。
【0003】
分離爪は、爪先端部分が 30°程度の鋭角に形成されており、ローラ表面に摺接する幅が 2〜5mm (定着ローラ用)または 3〜15mm (加圧ローラ用または感光ドラム用)の薄肉の部品である。すなわち、分離爪は先端部の鋭角を形成する2辺のうち、片方の辺を定着部ローラの表面に所要の角度で圧接させ、他方の辺で紙面をすくい上げるとともに、転写紙を爪の後方に案内し、これを円滑に剥離する機能がある。そして、分離爪にはそのような剥離機能を確実に発揮させるために、爪先端部分曲率半径Rを 0.1mm 以下という極めて鋭い鋭角状の曲面に形成している。
【0004】
このような分離爪には、極めて鋭い鋭角状の爪先端部分が破損しないための機械的強度および少なくとも爪先端部分にトナーが付着しないための非粘着性、転写紙を円滑に剥離して紙詰まりを起こさないようにするための低摩擦特性、印刷機能の高速化や定着温度の上昇に対応するための耐熱性等が要求される。
従来、非粘着性と低摩擦特性がある程度具備された耐熱性樹脂からなる分離爪としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアリーレンスルフィド、芳香族ポリエーテルケトン、芳香族ポリサルホン、芳香族ポリエーテルイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステルなどの耐熱性樹脂を主樹脂材料とし、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(以下、PTFEと略称する)、またはグラファイトその他の固体潤滑剤を配合した樹脂組成物が知られている。
【0005】
また、鋭角状の爪先端部分の成形性に優れ、かつ変形し難い分離爪として、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPSと略称する)に配合されたポリオレフィン樹脂のリッチ層を溶融粘度差を利用して表面に形成させ、かつPTFEを配合することによって非粘着性を付与した分離爪が知られている(特開平10−213993)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、PPSにポリオレフィン樹脂およびPTFEを配合した樹脂組成物の成形体である分離爪は、爪先端部の機械的強度が十分でないので、さらに機械的強度向上を図らねばならないという問題がある。
また、表層の成分はポリオレフィン樹脂リッチであるため、PTFE等のコーティング層を有する分離爪に比較して、非粘着性、特に油性トナーに対する非粘着性能が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、PTFE等のコーティング層を有する分離爪と同等の非粘着性を有し、また、あらゆる条件に対応できる高温剛性、高衝撃性、刃先先端部の形状安定性およびその精度に優れた分離爪を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、メルトフローレイト(以下、MFR値と略称する)を異にする複数のPTFEを配合剤として含む樹脂組成物の成形体からなる分離爪であって、上記複数のPTFEは、MFR値が 22 のPTFE(以下、PTFE−Aと略称する)と、MFR値が 7 のPTFE(以下、PTFE−Bと略称する)とを含み、樹脂組成物全体に対して、5〜23 質量%配合され、ポリテトラフルオロエチレン樹脂中での配合比は、上記PTFE−A対上記PTFE−Bの質量比が 1 : 3 から 2 : 1 であることを特徴とする。ここで、MFR値は日本工業規格(JIS)K7210に準拠し、温度 372 ℃、荷重 5kg の条件で測定した 10 分間あたりの g 数をいう。
また、配合剤としての複数のPTFEは、PTFE−AおよびPTFE−Bの二種類の混合PTFEであることを特徴とする。
また、PTFE−Aの平均粒径は 10μm 以下で、PTFE−Bの平均粒径は 10μm 以上であることを特徴とする。ここで、PTFEの平均粒径はレーザー解析法により得られた値である。レーザー解析法による平均粒径は、レーザー解析粒度分析計(日機装製、商品名マイクロトラックHRA)を用い測定した 50 質量%の粒径を平均粒径とした。
【0009】
本発明の分離爪を構成する樹脂組成物の主樹脂がPPSであることを特徴とする。また、上記樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂および繊維状補強材を含むことを特徴とする。
【0010】
PPSにポリオレフィン樹脂およびPTFEを配合した樹脂を成形して得られる分離爪の械的強度について研究したところ、一般にPPSの成形温度は 300℃以上であるため、配合されているポリオレフィン樹脂の適正成形温度をこえ、その一部が成形時に分解するおそれがあることが分かった。そのため、分離爪としての機械的強度が低下することがあるので、機械的強度向上を図る必要があることが分かった。本発明はこのような知見によりなされたものである。
【0011】
通常PPSは 300℃〜320℃で成形されるためスクリューによる剪断熱が加わると、PTFE−Aは溶融状態となることが分かった。また、PTFEの表面エネルギーは他の樹脂に比べて極端に低く、溶融状態においては表層に出やすいので、成形品の表面にはPTFEリッチ層が形成される。これによって非粘着性が発揮されるが、全てのPTFEがPTFE−Aの場合には、表層に出てくる量が多くなりすぎて、金型汚れが発生する、爪先端強度が低下するなどの問題がある。PTFEの量を減らしても、内部にPTFEの量が少なくなることから、分離爪としての耐久性が低下する。
【0012】
一方、PTFE−Bは、成形時に溶融することはなく粒子状で存在することが分かった。そのためPTFE粒子が分離爪全体に均一に分散し、安定したすべり性を付与し、耐久性を発揮する。しかし、表面に出る量が少なく非粘着性向上には効果が少ない。
しかし、PTFE−Aと、PTFE−Bとを所定の配合割合で組み合わせることにより、非粘着性と機械的強度においてバランスのとれた分離爪用樹脂組成物が得られた。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の分離爪の一例を図1により説明する。図1は分離爪の側面図である。分離爪1は、鋭角に形成された爪先端部分2を有する厚さ数 mm 程度の薄肉板状の樹脂成形体である。爪先端部分2は、分離爪が用紙に最初に接触する部分およびその近傍である。この先端部分の角度θは、鋭角であれば特に限定されるものではなく、好ましくは 60 度以下、より好ましくは 45 度以下、さらに好ましくは 30 度以下であり、また下限が 3 度の鋭利な角度である。
【0014】
先端部の角度が所定範囲をこえる鈍い角度では、分離爪に最も必要な機能である用紙などを定着ローラなどから剥離する機能が損なわれる。また角度が所定範囲未満の鋭角では、分離爪の角端部周辺の肉厚が薄くなり過ぎて用紙などが分離爪の先端に引っ掛かるようになり、紙詰まりが発生したり、角端部周辺に強度を越える過剰な力が作用するなどの弊害が発生する。
【0015】
また、分離爪先端部曲率半径Rは、剥離する用紙などの厚み以下の先端Rとなるように、R 0.005〜0.1mm 、好ましくはR 0.01〜0.06mm 、さらに好ましくはR 0.01〜0.05mm であればよい。先端部曲率半径Rが、用紙などの厚みよりも大きい場合には用紙を良好に剥離し難くなり、紙詰まり(ジャム)の原因になる。また、先端部曲率半径Rが所定範囲より小さければ、分離爪の取扱い時に先端部分の欠損発生の原因になる場合がある。このような爪先端部には、通常の使用状態では約 50gf 以下、具体的には約 1〜30gf の荷重がかかる。
【0016】
本発明に使用できるPTFE−Aは、平均粒径が 10μm 以下、好ましくは 1〜5 μm 、より好ましくは 2〜4 μm である。平均粒径が 1μm 未満であったり、 10μm をこえる場合、得られる分離爪用樹脂組成物の非粘着性が低下する。
また、PTFE−Aは、非粘着性付与効果と金型汚染の問題がなく連続生産性のバランスに特に優れるために、 300℃における質量減少率が 2 %未満であることが好ましい。
このようなPTFE−Aとしては、例えば商品名KTL−8F(喜多村社製)、商品名ホスタフロンTF9205(住友スリーエム社製)等が例示できる。
【0017】
本発明に使用できるPTFE−Bは、平均粒径が 10μm 以上、好ましくは 10〜22 μm 、より好ましくは 15〜20μm である。平均粒径が 10μm 未満であったり、 22μm をこえる場合、得られる分離爪用樹脂組成物の機械的強度が低下する。
また、PTFE−Bは、機械的強度改良効果と金型汚染の問題がなく連続生産性のバランスに特に優れるために、 300℃における質量減少率が 2 %未満であることが好ましい。
このようなPTFE−Bとしては、例えば商品名KTL−610(喜多村社製)、商品名ホスタフロンTF9207(住友スリーエム社製)等が例示できる。
【0018】
PTFE−AおよびPTFE−Bは混合PTFEとして、樹脂組成物全体に対して、5〜23 質量%配合される。5 質量%未満であると、非粘着性付与効果が小さく、23 質量%をこえると、機械的強度の低下および金型汚染が発生する。
【0019】
また、PTFE中での配合比は、PTFE−A:PTFE−B=( 1 : 3 )〜( 2 : 1 )である。この範囲内では、非粘着性と成形性においてバランスのとれた樹脂組成物となる。この範囲を逸脱すると、非粘着性付与効果または機械的強度が低下するなど、多い方の不具合が表面化する。
【0020】
PTFE−AおよびPTFE−Bを配合剤として用いることができる樹脂組成物の樹脂としては、PPS、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアリーレンスルフィド、芳香族ポリエーテルケトン、芳香族ポリサルホン、芳香族ポリエーテルイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステルなどのエンジニアリング樹脂を用いることができる。
これらの中で、鋭角状である爪先端部分の成形性に優れるPPSを主樹脂として用いることが好ましい。本発明に使用できるPPSは、下記の化1に示される構成単位を 70 モル%以上含有しているものが好ましく、より好ましい構成単位含有量は、 90 モル%以上( 100 モル%以下)である。
【0021】
【化1】
【0022】
また、下記の化2で示される単位(m−フェニレンスルフィド単位、O−フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ジフェニレンスルフィド単位)または化3で示される単位(種々の官能基を有するフェニレンスルフィド単位)に示すような種々の構成単位を含有しているものも使用でき、そのような種々の構成単位(共重合単位としてもよい)の含有量は 30 モル%未満であり、より好ましくは 10 モル%未満である。なぜなら、そのような構成単位を 30 モル%以上含有すると、化1式を主要成分とするPPSの結晶化度が充分に上がらなかったり、成形性が悪化したり、耐熱性が低下したり、またPPS本来の組成の均質性などが損なわれるからである。
【0023】
【化2】
【化3】
(ただし式中Rは、アルキル基、フェニル基、ニトロ基、カルボキシル基、ニトリル基、アミノ基、アルコキシル基、ヒドロキシル基またはスルホン酸基などである。)
【0024】
また、上記したようなPPSは、直鎖状の重合形態のものを使用することもでき、酸素雰囲気中で加熱処理または過酸化物などを添加した加熱処理によって硬化させ、その重合度を上げたものであってもよい。さらにまた、非酸化性不活性ガス中で加熱処理をしたものであってもよく、以上述べたPPSの混合物であってもよい。PPSは、脱イオン処理(酸洗浄や熱水処理等)を行なうことによって、イオンを低減したものでもよい。
【0025】
本発明に用いるPPSの溶融粘度は、例えば測定温度 315 ℃、荷重 10kg の条件下、直径 1mm 、長さ 2mm のダイスを用いて高化式フローテスターで測定した溶融粘度が 3000 ポイズ以上のものである。この条件の溶融粘度が 3000 ポイズ未満では、射出成形時にシリンダーから溶融樹脂が垂れるように流出する現象(ドルーリング)が著しく起こるために好ましくない。なお、溶融粘度が必要以上に高すぎると、射出成形時に大きな抵抗となり、成形性が悪化し、成形体として成立しなくなることもある。このような傾向から、好ましい溶融粘度は、 4000〜10000ポイズ、より好ましくは 4000〜8000 ポイズである。溶融粘度のせん断速度は、一般に 102〜104(sec-1)の条件で評価する。
【0026】
本発明に使用できるポリオレフィン樹脂は、例えば熱可塑性樹脂として周知の重合体であり、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン類、ポリプロピレン等を挙げることができ、これらは単体でも混合物でもよく、さらには共重合体や変性体であってもよい。
好ましいポリオレフィン樹脂は、密度が 0.942g/cm3 以上の高密度ポリエチレンである。高密度ポリエチレンの密度の上限値は、 1 g/cm3 未満、厳密には 0.98g/cm3 以下である。
高密度ポリエチレンをPTFEとともにPPSに配合することで、PTFE表面層の生成を助けることが分かった。このため、非粘着性を犠牲にすることなく成形時の熱分解による物性低下を抑えることができる。ポリオレフィン樹脂の配合割合は、樹脂組成物全体に対して、3 質量%以下であることが好ましい。この範囲とすることにより、非粘着性と機械的強度とのバランスが得られる。
【0027】
本発明に使用できる繊維状補強材は、分離爪の剥離機能を阻害することなく、特に爪先端を補強するものであって、例えば無機繊維系の補強材を選択的に採用できる。そのような繊維状無機補強材を例示すると、炭素繊維、ガラス繊維、グラファイト繊維、ステンレス繊維などの金属繊維、ケイ酸カルシウムウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ、硫酸カルシウムウィスカ、硫酸マグネシウムウィスカ、硝酸マグネシウムウィスカ、マグネシア繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカ、アルミナ繊維、酸化チタンウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、チラノ繊維、ジルコニア繊維、ゾノライ卜繊維、ウォラストナイトウィスカなどであり、単独の繊維ばかりでなく、複数種の繊維を混合して使用することもできる。繊維状補強材の中にあって、特にウィスカ類が好ましい。
【0028】
繊維状補強材の配合割合は、樹脂組成物中に 13 〜 46 重量%、好ましくは 15 〜 30 重量%、さらに好ましくは 15 〜 25 重量%である。配合割合が 13 重量%未満では、分離爪に必要な所要の耐熱性および衝撃強度が得られない。また、 46 重量%を越えると、表面が粗くなり、分離爪の紙面の剥離機能または案内機能を損なうことになり、かつ外観も悪くなって好ましくない。
【0029】
また、樹脂組成物に対して、発明の目的を阻害しない配合量で、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、タルク、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、ガラスビーズ、ガラスパウダーなどの粉末状充填剤の一種以上を混合して使用することもできる。さらに、添加可能な各種の添加剤としては、離型剤、滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、発泡剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤、染料・顔料などの着色剤、帯電防止剤などの一種以上のものが挙げられる。
【0030】
上述した樹脂組成物を用いて分離爪を成形するには、例えば、原材料をV−ブレンダー、ヘンシェルミキサーなどの各種ブレンダーで混合した後、ニーダー、ミル、一軸または二軸の押出機で加熱溶融してぺレットを造粒し、射出成形機を用いて、射出圧力 20 〜70 MPa 、成型温度 270〜330 ℃、金型温度 120〜150 ℃の条件下で成形する。
【0031】
また、射出成形後に、分離爪の耐熱性を向上させるために、160〜230 ℃、好ましくは 180〜210 ℃で、3〜8 時間程度の熱処理を施すことが好ましい。この範囲の熱処理を施すことにより、分離爪の耐熱変形性が向上する。なお、吸水水分の除去のための熱処理を加えてもよい。
【0032】
本発明の分離爪は、外部から与えられた電気信号によって記録パターンを感光体等の媒体上に形成し、この媒体上に形成された電気量のパターンを可視的なパターンに変換する画像形成装置に適用できる。
具体的には、トナー像転写式の湿式静電複写機や乾式静電複写機(PPC)、レーザービームプリンタ(LBP)、液晶シャッタ(LCD)プリンタ、ファクシミリ用プリンタなど、発光ダイオード(LED)などのプリンタといった画像形成装置の全般を指す概念である。
【0033】
また、分離爪は、給紙部、感光部、定着部、排紙部その他の用途に限定使用されない。特に、熱的条件の厳しい定着ローラに対して適しており、さらにまた定着部の加圧ローラよリも高温状態で使用され、オイル塗布によりトナーの付着を防止するような湿式静電方式よりもさらに厳しいトナーの非粘着性が要求される乾式静電方式の定着装置における定着部ローラの排紙側周辺にも好適である。
【0034】
【実施例】
実施例および比較例に用いた原料を一括して以下に示す。[ ]内は表1に示す略号である。
(1)PPS[PPS]:東ソー社製、315℃での溶融粘度 5000ポイズ
(2)PTFE[PTFE−A]:喜多村社製、商品名KTL−8F、MFR値 22、平均粒径は 5μm 以下
(3)PTFE[PTFE−B]:喜多村社製、商品名KTL−610、MFR値 7、平均粒径は 10μm 以上
(4)酸化亜鉛ウィスカ[ウィスカ]:松下アムテック社製、商品名パナテトラ(5)高密度ポリエチレン[PE]: MFR値 20 、密度 0.954g/cm3
【0035】
実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例6
表1に示す割合で原料を混合し、二軸押し出し機を用いてシリンダー温度 290℃〜320℃、スクリュー回転 50min-1 の条件で溶融混練してぺレットを製造した。このぺレットを射出成形機に供給し、シリンダー温度 310〜340℃、射出圧力 30〜80MPa に調整し、金型温度 130℃ の条件で射出成形を行ない富士ゼロックス社製の乾式静電複写機FX−2700型の定着装置用の分離爪と同一形状の試験片(厚さ輻 3mm、先端部曲率半径R=0.04mm、表面粗さ 2〜3 μm Ra)、およびスラスト摩擦摩耗試験片(φ 17mm×φ 21mm×10mm)を製造した。試験片は、いずれも 8〜10 時間( 200℃で 2 時間保持)の熱処理を施した。
【0036】
得られた分離爪の評価を、水の接触角による非粘着性評価、分離爪先端強度の評価、連続成形性の評価、および耐摩粍性の評価で行なった。
非粘着性評価は、分離爪試験片の表面をアセトンで洗浄した後、イオン交換水との接触角を自動接触角計(協和界面科学社製)で測定した。水の接触角が 90°以上を○、90°未満を×として表1に示した。
分離爪先端強度の評価は、φ 30 のヒートロールに、取り付け角度45°、爪先端荷重 10g 、高さ 10mm から分離爪を自由落下させたとき、先端割れが発生するまでの回数が 20 回以上を○、20 回未満 10 回以上をΔ、10 回未満を×として表1に示した。
連続成形性の評価は、爪成形において連続成形時に金型掃除が必要となるまでの時間が、8 時間以上を○、8 時間未満 4 時間以上をΔ、4 時間未満を×として表1に示した。
耐摩粍性の評価は、スラスト試験(速度 32m/min.、面圧 0.3MPa )において比摩耗量(×10-8mm3/(N・m))が 50 未満を○、50 以上 100 未満をΔ、100 以上を×として表1に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
表1より、各実施例は、いずれも非粘着性、爪先端強度、連続成形性、および耐摩耗性に優れていた。また、各比較例は、上記特性のいずれかが満足しなかった。
【0039】
【発明の効果】
本発明の分離爪は、MFR値が 12 をこえるPTFEと、 10 以下のPTFEとを含む複数のPTFEを配合剤とする樹脂組成物の成形体からなるので、その特性の異なるPTFEの相乗効果が発揮される。その結果、非粘着性および爪先端の機械的強度に優れた分離爪が得られる。
【0040】
また、それぞれのPTFEが請求項3および請求項4記載の粒子径、配合量とするので、非粘着性および爪先端の機械的強度により優れる。
【0041】
また、分離爪はPPSを主樹脂とする樹脂組成物の成形体であるので、また、ポリオレフィン樹脂および繊維状補強材を含むので、非粘着性および爪先端の機械的強度に優れるとともに、成形性および耐摩耗性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】分離爪の側面図である。
【符号の説明】
1 分離爪
2 爪先端部分
Claims (4)
- メルトフローレイトを異にする複数のポリテトラフルオロエチレン樹脂を配合剤として含む樹脂組成物の成形体からなる分離爪であって、
前記複数のポリテトラフルオロエチレン樹脂は、メルトフローレイトが 22 のポリテトラフルオロエチレン樹脂と、メルトフローレイトが 7 のポリテトラフルオロエチレン樹脂とを含み、樹脂組成物全体に対して、5〜23 質量%配合され、ポリテトラフルオロエチレン樹脂中での配合比は、前記メルトフローレイトが 22 のポリテトラフルオロエチレン樹脂対前記メルトフローレイトが 7 のポリテトラフルオロエチレン樹脂の質量比が 1 : 3 から 2 : 1 であることを特徴とする分離爪。 - 前記樹脂組成物の主樹脂がポリフェニレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1記載の分離爪。
- 前記樹脂組成物は、繊維状補強材を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の分離爪。
- 前記樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂を含むことを特徴とする請求項3記載の分離爪。
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