JP2004203581A - 排紙ガイド - Google Patents
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Abstract
【課題】画像形成装置の処理速度の高速化や装置本体の小型化といった技術的要求に対応できるように、耐熱性、難燃性、耐摩耗性およびトナーの非付着性に優れた排紙ガイドを提供する。
【解決手段】メルトフローレイトを異にする複数のポリテトラフルオロエチレン樹脂を配合剤として含む樹脂組成物の成形体からなる排紙ガイドであって、上記複数のポリテトラフルオロエチレン樹脂は、MFR値が12をこえるポリテトラフルオロエチレン樹脂と、MFR値が10以下であるポリテトラフルオロエチレン樹脂とを含む。
【選択図】 図2
【解決手段】メルトフローレイトを異にする複数のポリテトラフルオロエチレン樹脂を配合剤として含む樹脂組成物の成形体からなる排紙ガイドであって、上記複数のポリテトラフルオロエチレン樹脂は、MFR値が12をこえるポリテトラフルオロエチレン樹脂と、MFR値が10以下であるポリテトラフルオロエチレン樹脂とを含む。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複写機やレーザービームプリンタ等の画像形成装置において、画像形成されたシートを排紙経路内で案内する排紙ガイドに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機やレーザプリンタ等の電子写真プロセスを利用した画像形成装置は、電子写真プロセスにより感光体上に形成した像をシートにトナー像として転写し、この像をシート上に定着装置で定着した後、機外に排出する。
上記定着装置は、ヒータを内蔵する定着ローラと、これに圧接する加圧ローラとからなり、そのニップ部に定着トナー像を担持するシートを通紙し、加熱と押圧によってトナーをシートに溶融し定着させ、その後にシートを排紙コロおよび排紙ローラ等により機外に排出する。
【0003】
図1は、加熱ローラを有する定着装置の概略構成例を示している。この定着装置Aは、ヒータ1を内蔵する定着ローラ2にシート経路を挟んで従動回転する加圧ローラ3を設けたものである。図外の転写部より搬送べルト4により搬送されてきた未定着のトナー像14を担持するシート5は、定着入口ガイド6に案内されて定着ローラ2と加圧ローラ3とのニップ部に挿入され、対のローラ2、3に挟圧された際、トナー像が定着されて送り出される。定着後のシート5は、定着ローラ2に接する分離爪7の爪先によって定着ローラ2から剥離される。
定着ローラから剥離されたシート5は、第1の排紙ガイド10、11に案内されながら所定の排紙経路を通り、そのときに回転駆動されている排紙ローラ9と従動回転する排紙コロ8の間を通り、さらに第2の排紙ガイド12、13で案内されて機外に排出される。
上記第1の排紙ガイド10、11および第2の排紙ガイド12、13等の排紙ガイドには、雰囲気温度に耐える耐熱性や難燃性が求められ、さらにシートを円滑に通過させるための摺動特性も必要であるから、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPSと略称)やポリアセタール(POM)等の材料が従来用いられていた。
ところで、複写機、FAX、LBP等の画像形成装置においては、処理時間短縮の要求が高まり、そのために印刷機能を高速化し、定着温度を上昇(250℃付近)させることが必要になった。例えば、このように高速化された機器の定着周囲部分の雰囲気温度は、100〜200℃であり、瞬間的には200〜250℃に達する場合もある。
さらに画像形成装置本体のコンパクト化も重要な技術的課題であるため、高温の定着部と排紙ガイドとの距離は短くなる傾向がある。
【0004】
従来、排紙ガイドとして、フルオロカーボン系樹脂を主成分とする樹脂組成物で形成した例(特許文献1参照)、PPS50〜70重量%、平均粒径1〜5μmのポリテトラフルオロエチレン樹脂(以下、PTFEと略称)20〜30重量%、ポリオレフィン2〜7重量%および繊維状充填材10〜40重量%を必須成分とするPPS組成物で形成した例(特許文献2参照)が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−254199号公報(段落[0012])
【特許文献2】
特開平10−273252号公報(段落[0012])
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように画像形成装置における処理時間の短縮化と装置の小型化の要求を具現化すると、トナーによる汚れ、熱による変形や摺接面の摩耗というこれまでの画像形成装置では発生することがなかった問題が排紙ガイドに新たに生じた。
トナーによる排紙ガイドの汚れは、画像の汚れや画像の不鮮明といった画像状態の悪化に直接影響することが多い。
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、画像形成装置の処理速度の高速化や装置本体の小型化といった技術的要求に対応できるように、耐熱性、難燃性、耐摩耗性およびトナーの非付着性に優れた排紙ガイドの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、メルトフローレイト(以下、MFR値と略称する)を異にする複数のPTFEを配合剤として含む樹脂組成物の成形体からなる排紙ガイドであって、上記複数のPTFEは、MFR値が12をこえるPTFE(以下、PTFE−Aと略称する)と、MFR値が10以下であるPTFE(以下、PTFE−Bと略称する)とを含むことを特徴とする。ここで、MFR値は日本工業規格(JIS)K7210に準拠し、温度372℃、荷重5kgの条件で測定した10分間あたりのg数をいう。
また、配合剤としての複数のPTFEは、PTFE−AおよびPTFE−Bの二種類の混合PTFEであることを特徴とする。
また、PTFE−Aの平均粒径は10μm以下で、PTFE−Bの平均粒径は10μm以上であることを特徴とする。ここで、PTFEの平均粒径はレーザー解析法により得られた値である。レーザー解析法による平均粒径は、レーザー解析粒度分析計(日機装社製、商品名マイクロトラックHRA)を用い測定した50重量%の粒径を平均粒径とした。
また、上記複数のPTFEは、樹脂組成物全体に対して、5〜23重量%配合され、PTFE中での配合比は、PTFE−A対PTFE−Bの比が1:3から2:1であることを特徴とする。
本発明の排紙ガイドを構成する樹脂組成物の主樹脂がPPSであることを特徴とする。また、上記樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂および繊維状補強材を含むことを特徴とする。
【0008】
PPSにポリオレフィン樹脂およびPTFEを配合した樹脂を成形して得られる排紙ガイドの機械的強度について研究したところ、一般にPPSの成形温度は300℃以上であるため、配合されているポリオレフィン樹脂の適正成形温度をこえ、その一部が成形時に分解するおそれがあることが分かった。そのため、排紙ガイドとしての機械的強度が低下し、使用中に不具合が発生する場合のあることが分かった。本発明はこのような知見によりなされたものである。
【0009】
通常PPSは300℃〜320℃で成形されるためスクリューによる剪断熱が加わると、PTFE−Aは溶融状態となることが分かった。また、PTFEの表面エネルギーは他の樹脂に比べて極端に低く、溶融状態においては表層に出やすいので、成形品の表面にはPTFEリッチ層が形成される。これによって非粘着性が発揮されるが、PTFE−Aの場合には、表層に出てくる量が多くなりすぎて、金型汚れが発生する、薄肉部分の強度が低下するなどの問題がある。PTFE−Aの量を減らしても、内部にPTFE−Aの量が少なくなることから、排紙ガイドとしての耐久性が低下する。
【0010】
一方、PTFE−Bは、成形時に溶融することはなく粒子状で存在することが分かった。そのためPTFE−B粒子が排紙ガイド全体に均一に分散し、安定したすベリ性を付与し、耐久性を発揮する。しかし、表面に出る量が少なく非粘着性向上には効果が少ない。
このため、PTFE−AとPTFE−Bとを所定の配合割合で組み合わせて用いることにより、非粘着性と機械的強度においてバランスのとれた排紙ガイドが得られた。
【0011】
【発明の実施の形態】
画像形成装置における排紙ガイドの形状の一例を図2に示す。図2(a)は正面図、図2(b)は側面図をそれぞれ示す。排紙ガイドは、円弧状の縁を有する長方形板の他、球、楕円球、円柱、円板、楕円板などシートの平面を案内するために円曲面を有するか、またはシートの縁を案内するために段または溝が形成されているものなどであってもよい。
【0012】
図2に示す排紙ガイドは、シートとの摺接面(円弧面)および板状の本体部分を本発明に係る所定の樹脂組成物で形成した。また、図示していないが排紙ガイドを画像形成装置に取り付ける取付板も含めて所定の樹脂組成物で一体に形成してもよい。なお、図2中の番号15は、画像形成装置への取付け穴であり、これにより必要に応じて揺動自在に取付けたり、または揺動しないように固定して取付けることができる。
【0013】
図1に示す第1の排紙ガイド10、11、および第2の排紙ガイド12、13の排紙ガイドは、他の定着装置に用いられる樹脂材料を単純に流用することは困難である。例えば、分離爪7はヒータ1を内蔵した定着ローラ2と低荷重で接触しており高温下での耐熱変形性が求められるため、高耐熱性の本体に非粘着性のフッ素樹脂コーティングが必要であり高価なものになる。この構成を排紙ガイドに採用することは過剰品質となり市場競争力を失うことになる。
【0014】
本発明に使用できるPTFE−Aは、平均粒径が10μm以下、好ましくは1〜5μm、より好ましくは2〜4μmである。平均粒径が1μm未満であったり、10μmをこえる場合、得られる排紙ガイドの非粘着性が低下する。
また、PTFE−Aは、非粘着性付与効果と金型汚染の問題がなく連続生産性のバランスに特に優れるために、300℃における重量減少率が2%未満であることが好ましい。
このようなPTFE−Aとしては、例えば商品名KTL−8F(喜多村社製)、商品名ホスタフロンTF9205(住友スリーエム社製)等が例示できる。
【0015】
本発明に使用できるPTFE−Bは、平均粒径が10μm以上、好ましくは10〜22μm、より好ましくは15〜20μmである。平均粒径が10μm未満であったり、22μmをこえる場合、得られる排紙ガイドの機械的強度が低下する。
また、PTFE−Bは、機械的強度改良効果と金型汚染の問題がなく連続生産性のバランスに特に優れるために、300℃における重量減少率が2%未満であることが好ましい。
このようなPTFE−Bとしては、例えば商品名KTL−610(喜多村社製)、商品名ホスタフロンTF9207(住友スリーエム社製)等が例示できる。
【0016】
PTFE−AおよびPTFE−Bは混合PTFEとして、樹脂組成物全体に対して、5〜23重量%配合される。5重量%未満であると、非粘着性付与効果が小さく、23重量%をこえると、機械的強度の低下および金型汚染が発生する。
また、PTFE中での配合比は、PTFE−A:PTFE−B=(1:3)〜(2:1)である。この範囲内では、非粘着性と成形性においてバランスのとれた樹脂組成物となる。この範囲を逸脱すると、非粘着性付与効果または機械的強度が低下するなど、多い方の不具合が表面化する。
【0017】
PTFE−AおよびPTFE−Bを配合剤として用いることができる樹脂組成物の主樹脂としては、PPS、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリエーテルケトン、芳香族ポリサルホン、芳香族ポリエーテルイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステルなどのエンジニアリング樹脂を用いることができる。これらの中で、成形性に優れるPPSを主樹脂として用いることが好ましい。
【0018】
PPSは、直鎖状の重合形態のものを使用することもでき、酸素雰囲気中で加熱処理または過酸化物などを添加した加熱処理によって硬化させ、その重合度を上げたものであってもよい。さらにまた、非酸化性不活性ガス中で加熱処理をしたものであってもよく、以上述べたPPSの混合物であってもよい。PPSは、脱イオン処理(酸洗浄や熱水処理等)を行なうことによって、イオンを低減したものでもよい。
【0019】
本発明に用いるPPSの溶融粘度は、例えば測定温度315℃、荷重10kgの条件下、直径1mm、長さ2mmのダイスを用いて高化式フローテスターで測定した溶融粘度が3000ポイズ以上のものである。この条件の溶融粘度が3000ポイズ未満では、射出成形時にシリンダーから溶融樹脂が垂れるように流出する現象(ドルーリング)が著しく起こるために好ましくない。なお、溶融粘度が必要以上に高すぎると、射出成形時に大きな抵抗となり、成形性が悪化し、成形体として成立しなくなることもある。このような傾向から、好ましい溶融粘度は、4000〜10000ポイズ、より好ましくは4000〜8000ポイズである。溶融粘度のせん断速度は、一般に102〜104(sec-1)の条件で評価する。
【0020】
本発明に使用できるポリオレフィン樹脂は、例えば熱可塑性樹脂として周知の重合体であり、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン類、ポリプロピレン等を挙げることができ、これらは単体でも混合物でもよく、さらには共重合体や変性体であってもよい。
好ましいポリオレフィン樹脂は、密度が0.942g/cm3以上の高密度ポリエチレンである。高密度ポリエチレンの密度の上限値は、1g/cm3未満、厳密には0.98g/cm3以下である。
【0021】
高密度ポリエチレンをPTFEとともにPPSに配合することで、PTFE表面層の生成を助けることが分かった。このため、非粘着性を犠牲にすることなく成形時の熱分解による物性低下を抑えることができる。ポリオレフィン樹脂の配合割合は、樹脂組成物全体に対して、3重量%以下であることが好ましい。この範囲とすることにより、非粘着性と機械的強度とのバランスが得られる。
【0022】
本発明に使用できる繊維状補強材は、排紙ガイドの剥離機能を阻害することなく、特に薄肉部を補強するものであって、例えば無機繊維系の補強材を選択的に採用できる。そのような繊維状無機補強材を例示すると、炭素繊維、ガラス繊維、グラファイト繊維、ステンレス繊維などの金属繊維、ケイ酸カルシウムウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ、硫酸カルシウムウィスカ、硫酸マグネシウムウィスカ、硝酸マグネシウムウィスカ、マグネシア繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカ、アルミナ繊維、酸化チタンウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、チラノ繊維、ジルコニア繊維、ゾノライト繊維、ウォラストナイトウィスカなどであり、単独の繊維ばかりでなく、複数種の繊維を混合して使用することもできる。繊維状補強材の中にあって、特にウィスカ類が好ましい。
【0023】
繊維状補強材の配合割合は、樹脂組成物中に13〜46重量%、好ましくは15〜30重量%、さらに好ましくは15〜25重量%である。配合割合が13重量%未満では、排紙ガイドに必要な所要の耐熱性および衝撃強度が得られない。また、46重量%をこえると、表面が粗くなり、排紙ガイドの案内機能を損なうことになり、かつ外観も悪くなって好ましくない。
【0024】
また、樹脂組成物に対して、発明の目的を阻害しない配合量で、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、タルク、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、ガラスビーズ、ガラスパウダーなどの粉末状充填剤の一種以上を混合して使用することもできる。さらに、添加可能な各種の添加剤としては、離型剤、滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、発泡剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤、染料・顔料などの着色剤、帯電防止剤などの一種以上のものが挙げられる。
【0025】
本発明の排紙ガイドは、具体的には、トナー像転写式の湿式静電複写機や乾式静電複写機(PPC)、レーザービームプリンタ(LBP)、液晶シャッタ(LCD)プリンタ、ファクシミリ用プリンタなど、発光ダイオード(LED)などのプリンタに使用できる。
また、排紙ガイドは、給紙部、感光部、定着部、排紙部その他の用途に限定使用されない。特に、熱的条件の厳しい定着部付近に対して適しており、さらにまたトナーの非粘着性が要求される定着部以降に好適である。
【0026】
【実施例】
実施例および比較例に用いた原料を一括して以下に示す。[ ]内は表1に示す略号である。
(1)PPS[PPS]:東ソー社製、315℃での溶融粘度5000ポイズ
(2)ポリイミド樹脂[PI]:三井化学社製、オーラムPL450C
(3)PTFE[PTFE−A]:喜多村社製、商品名KTL−8F、MFR22、平均粒径5μm以下
(4)PTFE[PTFE−B]:喜多村社製、商品名KTL−610、MFR7、平均粒径10μm以上
(5)酸化亜鉛ウィスカ[ウィスカ]:松下アムテック社製、商品名パナテトラ
(6)高密度ポリエチレン[PE]:MFR値20、密度0.954g/cm3
【0027】
実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例4
表1に示す割合で原料を混合し、溶融混練してぺレットを製造した。このペレットを射出成形機に供給し、材料メーカー推奨の所定の成形条件で図2に示す排紙ガイド(厚み5mm、最薄肉部0.6mm、表面粗さ2〜3μmRa)を製造した。試験片はいずれも熱処理を施し、結晶化度を上げている。
得られた排紙ガイドの評価を、水の接触角による非粘着性評価、連続成形性の評価、および耐摩粍性の評価で行なった。
【0028】
非粘着性評価は、排紙ガイド試験片の表面をアセトンで洗浄した後、イオン交換水との接触角を自動接触角計(協和界面科学社製)で測定した。水の接触角が90°以上を○、90°未満を×として表1および表2に示した。
連続成形性の評価は、排紙ガイドの射出成形において連続成形時に金型掃除が必要となるまでの成形回数が、1000ショット以上を○、1000ショット未満500ショット以上をΔ、500ショット未満を×として表1に示した。
耐摩粍性の評価は、スラスト試験(速度32m/min、面圧0.25MPa)において比摩耗量(×10.8mm3/(N・m))が60未満を○、60以上120未満をΔ、120以上を×として表1に示した。
【0029】
【表1】
表1より、各実施例は、いずれも非粘着性、連続成形性、および耐摩耗性に優れていた。また、各比較例は、上記特性のいずれかが満足しなかった。
【0030】
【発明の効果】
本発明の排紙ガイドは、PTFE−Aと、PTFE−Bとを含む複数のPTFEを配合剤とする樹脂組成物の成形体からなるので、その特性の異なるPTFEの相乗効果が発揮される。その結果、非粘着性および薄肉部の機械的強度に優れた排紙ガイドが得られる。
また、PTFE−Aの平均粒径が10μm以下で、PTFE−Bの平均粒径が10μm以上であり、上記複数のPTFEが樹脂組成物全体に対して、5〜23重量%配合され、PTFE中での配合比は、PTFE−A対PTFE−Bの比が1:3から2:1であるので、非粘着性および薄肉部の機械的強度がより優れる。
【0031】
また、排紙ガイドはPPSを主成分とする樹脂組成物の成形体であるので、また、ポリオレフィン樹脂および繊維状補強材を含むので、非粘着性および薄肉部の機械的強度に優れるとともに、成形性および耐摩耗性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着装置の概略構成例を示す図である。
【図2】排紙ガイドの形状の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 ヒータ
2 定着ローラ
3 加圧ローラ
4 搬送べルト
5 シート
6 定着入口ガイド
7 分離爪
8 排紙コロ
9 排紙ローラ
10 第1の排紙ガイド
11 第1の排紙ガイド
12 第2の排紙ガイド
13 第2の排紙ガイド
14 トナー像
15 取付け穴
【発明の属する技術分野】
本発明は複写機やレーザービームプリンタ等の画像形成装置において、画像形成されたシートを排紙経路内で案内する排紙ガイドに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機やレーザプリンタ等の電子写真プロセスを利用した画像形成装置は、電子写真プロセスにより感光体上に形成した像をシートにトナー像として転写し、この像をシート上に定着装置で定着した後、機外に排出する。
上記定着装置は、ヒータを内蔵する定着ローラと、これに圧接する加圧ローラとからなり、そのニップ部に定着トナー像を担持するシートを通紙し、加熱と押圧によってトナーをシートに溶融し定着させ、その後にシートを排紙コロおよび排紙ローラ等により機外に排出する。
【0003】
図1は、加熱ローラを有する定着装置の概略構成例を示している。この定着装置Aは、ヒータ1を内蔵する定着ローラ2にシート経路を挟んで従動回転する加圧ローラ3を設けたものである。図外の転写部より搬送べルト4により搬送されてきた未定着のトナー像14を担持するシート5は、定着入口ガイド6に案内されて定着ローラ2と加圧ローラ3とのニップ部に挿入され、対のローラ2、3に挟圧された際、トナー像が定着されて送り出される。定着後のシート5は、定着ローラ2に接する分離爪7の爪先によって定着ローラ2から剥離される。
定着ローラから剥離されたシート5は、第1の排紙ガイド10、11に案内されながら所定の排紙経路を通り、そのときに回転駆動されている排紙ローラ9と従動回転する排紙コロ8の間を通り、さらに第2の排紙ガイド12、13で案内されて機外に排出される。
上記第1の排紙ガイド10、11および第2の排紙ガイド12、13等の排紙ガイドには、雰囲気温度に耐える耐熱性や難燃性が求められ、さらにシートを円滑に通過させるための摺動特性も必要であるから、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPSと略称)やポリアセタール(POM)等の材料が従来用いられていた。
ところで、複写機、FAX、LBP等の画像形成装置においては、処理時間短縮の要求が高まり、そのために印刷機能を高速化し、定着温度を上昇(250℃付近)させることが必要になった。例えば、このように高速化された機器の定着周囲部分の雰囲気温度は、100〜200℃であり、瞬間的には200〜250℃に達する場合もある。
さらに画像形成装置本体のコンパクト化も重要な技術的課題であるため、高温の定着部と排紙ガイドとの距離は短くなる傾向がある。
【0004】
従来、排紙ガイドとして、フルオロカーボン系樹脂を主成分とする樹脂組成物で形成した例(特許文献1参照)、PPS50〜70重量%、平均粒径1〜5μmのポリテトラフルオロエチレン樹脂(以下、PTFEと略称)20〜30重量%、ポリオレフィン2〜7重量%および繊維状充填材10〜40重量%を必須成分とするPPS組成物で形成した例(特許文献2参照)が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−254199号公報(段落[0012])
【特許文献2】
特開平10−273252号公報(段落[0012])
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように画像形成装置における処理時間の短縮化と装置の小型化の要求を具現化すると、トナーによる汚れ、熱による変形や摺接面の摩耗というこれまでの画像形成装置では発生することがなかった問題が排紙ガイドに新たに生じた。
トナーによる排紙ガイドの汚れは、画像の汚れや画像の不鮮明といった画像状態の悪化に直接影響することが多い。
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、画像形成装置の処理速度の高速化や装置本体の小型化といった技術的要求に対応できるように、耐熱性、難燃性、耐摩耗性およびトナーの非付着性に優れた排紙ガイドの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、メルトフローレイト(以下、MFR値と略称する)を異にする複数のPTFEを配合剤として含む樹脂組成物の成形体からなる排紙ガイドであって、上記複数のPTFEは、MFR値が12をこえるPTFE(以下、PTFE−Aと略称する)と、MFR値が10以下であるPTFE(以下、PTFE−Bと略称する)とを含むことを特徴とする。ここで、MFR値は日本工業規格(JIS)K7210に準拠し、温度372℃、荷重5kgの条件で測定した10分間あたりのg数をいう。
また、配合剤としての複数のPTFEは、PTFE−AおよびPTFE−Bの二種類の混合PTFEであることを特徴とする。
また、PTFE−Aの平均粒径は10μm以下で、PTFE−Bの平均粒径は10μm以上であることを特徴とする。ここで、PTFEの平均粒径はレーザー解析法により得られた値である。レーザー解析法による平均粒径は、レーザー解析粒度分析計(日機装社製、商品名マイクロトラックHRA)を用い測定した50重量%の粒径を平均粒径とした。
また、上記複数のPTFEは、樹脂組成物全体に対して、5〜23重量%配合され、PTFE中での配合比は、PTFE−A対PTFE−Bの比が1:3から2:1であることを特徴とする。
本発明の排紙ガイドを構成する樹脂組成物の主樹脂がPPSであることを特徴とする。また、上記樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂および繊維状補強材を含むことを特徴とする。
【0008】
PPSにポリオレフィン樹脂およびPTFEを配合した樹脂を成形して得られる排紙ガイドの機械的強度について研究したところ、一般にPPSの成形温度は300℃以上であるため、配合されているポリオレフィン樹脂の適正成形温度をこえ、その一部が成形時に分解するおそれがあることが分かった。そのため、排紙ガイドとしての機械的強度が低下し、使用中に不具合が発生する場合のあることが分かった。本発明はこのような知見によりなされたものである。
【0009】
通常PPSは300℃〜320℃で成形されるためスクリューによる剪断熱が加わると、PTFE−Aは溶融状態となることが分かった。また、PTFEの表面エネルギーは他の樹脂に比べて極端に低く、溶融状態においては表層に出やすいので、成形品の表面にはPTFEリッチ層が形成される。これによって非粘着性が発揮されるが、PTFE−Aの場合には、表層に出てくる量が多くなりすぎて、金型汚れが発生する、薄肉部分の強度が低下するなどの問題がある。PTFE−Aの量を減らしても、内部にPTFE−Aの量が少なくなることから、排紙ガイドとしての耐久性が低下する。
【0010】
一方、PTFE−Bは、成形時に溶融することはなく粒子状で存在することが分かった。そのためPTFE−B粒子が排紙ガイド全体に均一に分散し、安定したすベリ性を付与し、耐久性を発揮する。しかし、表面に出る量が少なく非粘着性向上には効果が少ない。
このため、PTFE−AとPTFE−Bとを所定の配合割合で組み合わせて用いることにより、非粘着性と機械的強度においてバランスのとれた排紙ガイドが得られた。
【0011】
【発明の実施の形態】
画像形成装置における排紙ガイドの形状の一例を図2に示す。図2(a)は正面図、図2(b)は側面図をそれぞれ示す。排紙ガイドは、円弧状の縁を有する長方形板の他、球、楕円球、円柱、円板、楕円板などシートの平面を案内するために円曲面を有するか、またはシートの縁を案内するために段または溝が形成されているものなどであってもよい。
【0012】
図2に示す排紙ガイドは、シートとの摺接面(円弧面)および板状の本体部分を本発明に係る所定の樹脂組成物で形成した。また、図示していないが排紙ガイドを画像形成装置に取り付ける取付板も含めて所定の樹脂組成物で一体に形成してもよい。なお、図2中の番号15は、画像形成装置への取付け穴であり、これにより必要に応じて揺動自在に取付けたり、または揺動しないように固定して取付けることができる。
【0013】
図1に示す第1の排紙ガイド10、11、および第2の排紙ガイド12、13の排紙ガイドは、他の定着装置に用いられる樹脂材料を単純に流用することは困難である。例えば、分離爪7はヒータ1を内蔵した定着ローラ2と低荷重で接触しており高温下での耐熱変形性が求められるため、高耐熱性の本体に非粘着性のフッ素樹脂コーティングが必要であり高価なものになる。この構成を排紙ガイドに採用することは過剰品質となり市場競争力を失うことになる。
【0014】
本発明に使用できるPTFE−Aは、平均粒径が10μm以下、好ましくは1〜5μm、より好ましくは2〜4μmである。平均粒径が1μm未満であったり、10μmをこえる場合、得られる排紙ガイドの非粘着性が低下する。
また、PTFE−Aは、非粘着性付与効果と金型汚染の問題がなく連続生産性のバランスに特に優れるために、300℃における重量減少率が2%未満であることが好ましい。
このようなPTFE−Aとしては、例えば商品名KTL−8F(喜多村社製)、商品名ホスタフロンTF9205(住友スリーエム社製)等が例示できる。
【0015】
本発明に使用できるPTFE−Bは、平均粒径が10μm以上、好ましくは10〜22μm、より好ましくは15〜20μmである。平均粒径が10μm未満であったり、22μmをこえる場合、得られる排紙ガイドの機械的強度が低下する。
また、PTFE−Bは、機械的強度改良効果と金型汚染の問題がなく連続生産性のバランスに特に優れるために、300℃における重量減少率が2%未満であることが好ましい。
このようなPTFE−Bとしては、例えば商品名KTL−610(喜多村社製)、商品名ホスタフロンTF9207(住友スリーエム社製)等が例示できる。
【0016】
PTFE−AおよびPTFE−Bは混合PTFEとして、樹脂組成物全体に対して、5〜23重量%配合される。5重量%未満であると、非粘着性付与効果が小さく、23重量%をこえると、機械的強度の低下および金型汚染が発生する。
また、PTFE中での配合比は、PTFE−A:PTFE−B=(1:3)〜(2:1)である。この範囲内では、非粘着性と成形性においてバランスのとれた樹脂組成物となる。この範囲を逸脱すると、非粘着性付与効果または機械的強度が低下するなど、多い方の不具合が表面化する。
【0017】
PTFE−AおよびPTFE−Bを配合剤として用いることができる樹脂組成物の主樹脂としては、PPS、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリエーテルケトン、芳香族ポリサルホン、芳香族ポリエーテルイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステルなどのエンジニアリング樹脂を用いることができる。これらの中で、成形性に優れるPPSを主樹脂として用いることが好ましい。
【0018】
PPSは、直鎖状の重合形態のものを使用することもでき、酸素雰囲気中で加熱処理または過酸化物などを添加した加熱処理によって硬化させ、その重合度を上げたものであってもよい。さらにまた、非酸化性不活性ガス中で加熱処理をしたものであってもよく、以上述べたPPSの混合物であってもよい。PPSは、脱イオン処理(酸洗浄や熱水処理等)を行なうことによって、イオンを低減したものでもよい。
【0019】
本発明に用いるPPSの溶融粘度は、例えば測定温度315℃、荷重10kgの条件下、直径1mm、長さ2mmのダイスを用いて高化式フローテスターで測定した溶融粘度が3000ポイズ以上のものである。この条件の溶融粘度が3000ポイズ未満では、射出成形時にシリンダーから溶融樹脂が垂れるように流出する現象(ドルーリング)が著しく起こるために好ましくない。なお、溶融粘度が必要以上に高すぎると、射出成形時に大きな抵抗となり、成形性が悪化し、成形体として成立しなくなることもある。このような傾向から、好ましい溶融粘度は、4000〜10000ポイズ、より好ましくは4000〜8000ポイズである。溶融粘度のせん断速度は、一般に102〜104(sec-1)の条件で評価する。
【0020】
本発明に使用できるポリオレフィン樹脂は、例えば熱可塑性樹脂として周知の重合体であり、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン類、ポリプロピレン等を挙げることができ、これらは単体でも混合物でもよく、さらには共重合体や変性体であってもよい。
好ましいポリオレフィン樹脂は、密度が0.942g/cm3以上の高密度ポリエチレンである。高密度ポリエチレンの密度の上限値は、1g/cm3未満、厳密には0.98g/cm3以下である。
【0021】
高密度ポリエチレンをPTFEとともにPPSに配合することで、PTFE表面層の生成を助けることが分かった。このため、非粘着性を犠牲にすることなく成形時の熱分解による物性低下を抑えることができる。ポリオレフィン樹脂の配合割合は、樹脂組成物全体に対して、3重量%以下であることが好ましい。この範囲とすることにより、非粘着性と機械的強度とのバランスが得られる。
【0022】
本発明に使用できる繊維状補強材は、排紙ガイドの剥離機能を阻害することなく、特に薄肉部を補強するものであって、例えば無機繊維系の補強材を選択的に採用できる。そのような繊維状無機補強材を例示すると、炭素繊維、ガラス繊維、グラファイト繊維、ステンレス繊維などの金属繊維、ケイ酸カルシウムウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ、硫酸カルシウムウィスカ、硫酸マグネシウムウィスカ、硝酸マグネシウムウィスカ、マグネシア繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカ、アルミナ繊維、酸化チタンウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、チラノ繊維、ジルコニア繊維、ゾノライト繊維、ウォラストナイトウィスカなどであり、単独の繊維ばかりでなく、複数種の繊維を混合して使用することもできる。繊維状補強材の中にあって、特にウィスカ類が好ましい。
【0023】
繊維状補強材の配合割合は、樹脂組成物中に13〜46重量%、好ましくは15〜30重量%、さらに好ましくは15〜25重量%である。配合割合が13重量%未満では、排紙ガイドに必要な所要の耐熱性および衝撃強度が得られない。また、46重量%をこえると、表面が粗くなり、排紙ガイドの案内機能を損なうことになり、かつ外観も悪くなって好ましくない。
【0024】
また、樹脂組成物に対して、発明の目的を阻害しない配合量で、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、タルク、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、ガラスビーズ、ガラスパウダーなどの粉末状充填剤の一種以上を混合して使用することもできる。さらに、添加可能な各種の添加剤としては、離型剤、滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、発泡剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤、染料・顔料などの着色剤、帯電防止剤などの一種以上のものが挙げられる。
【0025】
本発明の排紙ガイドは、具体的には、トナー像転写式の湿式静電複写機や乾式静電複写機(PPC)、レーザービームプリンタ(LBP)、液晶シャッタ(LCD)プリンタ、ファクシミリ用プリンタなど、発光ダイオード(LED)などのプリンタに使用できる。
また、排紙ガイドは、給紙部、感光部、定着部、排紙部その他の用途に限定使用されない。特に、熱的条件の厳しい定着部付近に対して適しており、さらにまたトナーの非粘着性が要求される定着部以降に好適である。
【0026】
【実施例】
実施例および比較例に用いた原料を一括して以下に示す。[ ]内は表1に示す略号である。
(1)PPS[PPS]:東ソー社製、315℃での溶融粘度5000ポイズ
(2)ポリイミド樹脂[PI]:三井化学社製、オーラムPL450C
(3)PTFE[PTFE−A]:喜多村社製、商品名KTL−8F、MFR22、平均粒径5μm以下
(4)PTFE[PTFE−B]:喜多村社製、商品名KTL−610、MFR7、平均粒径10μm以上
(5)酸化亜鉛ウィスカ[ウィスカ]:松下アムテック社製、商品名パナテトラ
(6)高密度ポリエチレン[PE]:MFR値20、密度0.954g/cm3
【0027】
実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例4
表1に示す割合で原料を混合し、溶融混練してぺレットを製造した。このペレットを射出成形機に供給し、材料メーカー推奨の所定の成形条件で図2に示す排紙ガイド(厚み5mm、最薄肉部0.6mm、表面粗さ2〜3μmRa)を製造した。試験片はいずれも熱処理を施し、結晶化度を上げている。
得られた排紙ガイドの評価を、水の接触角による非粘着性評価、連続成形性の評価、および耐摩粍性の評価で行なった。
【0028】
非粘着性評価は、排紙ガイド試験片の表面をアセトンで洗浄した後、イオン交換水との接触角を自動接触角計(協和界面科学社製)で測定した。水の接触角が90°以上を○、90°未満を×として表1および表2に示した。
連続成形性の評価は、排紙ガイドの射出成形において連続成形時に金型掃除が必要となるまでの成形回数が、1000ショット以上を○、1000ショット未満500ショット以上をΔ、500ショット未満を×として表1に示した。
耐摩粍性の評価は、スラスト試験(速度32m/min、面圧0.25MPa)において比摩耗量(×10.8mm3/(N・m))が60未満を○、60以上120未満をΔ、120以上を×として表1に示した。
【0029】
【表1】
表1より、各実施例は、いずれも非粘着性、連続成形性、および耐摩耗性に優れていた。また、各比較例は、上記特性のいずれかが満足しなかった。
【0030】
【発明の効果】
本発明の排紙ガイドは、PTFE−Aと、PTFE−Bとを含む複数のPTFEを配合剤とする樹脂組成物の成形体からなるので、その特性の異なるPTFEの相乗効果が発揮される。その結果、非粘着性および薄肉部の機械的強度に優れた排紙ガイドが得られる。
また、PTFE−Aの平均粒径が10μm以下で、PTFE−Bの平均粒径が10μm以上であり、上記複数のPTFEが樹脂組成物全体に対して、5〜23重量%配合され、PTFE中での配合比は、PTFE−A対PTFE−Bの比が1:3から2:1であるので、非粘着性および薄肉部の機械的強度がより優れる。
【0031】
また、排紙ガイドはPPSを主成分とする樹脂組成物の成形体であるので、また、ポリオレフィン樹脂および繊維状補強材を含むので、非粘着性および薄肉部の機械的強度に優れるとともに、成形性および耐摩耗性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着装置の概略構成例を示す図である。
【図2】排紙ガイドの形状の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 ヒータ
2 定着ローラ
3 加圧ローラ
4 搬送べルト
5 シート
6 定着入口ガイド
7 分離爪
8 排紙コロ
9 排紙ローラ
10 第1の排紙ガイド
11 第1の排紙ガイド
12 第2の排紙ガイド
13 第2の排紙ガイド
14 トナー像
15 取付け穴
Claims (5)
- メルトフローレイトを異にする複数のポリテトラフルオロエチレン樹脂を配合剤として含む樹脂組成物の成形体からなる排紙ガイドであって、前記複数のポリテトラフルオロエチレン樹脂は、メルトフローレイトが12をこえるポリテトラフルオロエチレン樹脂と、メルトフローレイトが10以下であるポリテトラフルオロエチレン樹脂とを含むことを特徴とする排紙ガイド。
- 前記メルトフローレイトが12をこえるポリテトラフルオロエチレン樹脂の平均粒径が10μm以下で、前記メルトフローレイトが10以下であるポリテトラフルオロエチレン樹脂の平均粒径が10μm以上であることを特徴とする請求項1記載の排紙ガイド。
- 前記複数のポリテトラフルオロエチレン樹脂は、樹脂組成物全体に対して、5〜23重量%配合され、ポリテトラフルオロエチレン樹脂中での配合比は、前記メルトフローレイトが12をこえるポリテトラフルオロエチレン樹脂対前記メルトフローレイトが10以下であるポリテトラフルオロエチレン樹脂の比が1:3から2:1であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の排紙ガイド。
- 前記樹脂組成物の主樹脂がポリフェニレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項記載の排紙ガイド。
- 前記樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂および繊維状補強材を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の排紙ガイド。
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