JP2009064040A - 画像形成装置 - Google Patents

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Norihiko Yasuse
徳彦 安瀬
Kyoichi Ashikawa
恭一 芦川
Koji Kamiya
公二 神谷
Minoru Matsuo
稔 松尾
Takayuki Yoshii
孝之 吉井
Nozomi Takahata
望 高畑
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Abstract

【課題】トナー離型性、柔軟性および弾力性に優れた定着ベルトを実現するとともに、そのような定着ベルトを搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】静電潜像をトナーを用いてトナー画像として顕像化する定着ベルトを有し、該定着ベルトを加熱及び加圧して前記トナー像を定着画像として記録紙に定着する画像形成装置において、前記トナーは、定着温度が160〜170℃の場合に、定着画像の光沢度が5〜15%であり、前記定着ベルトで画像を定着したときの、試験環境温度25℃における前記定着ベルトのユニバーサル硬さHUが、ベルト表面から深さ1μmにおいては、10[N/mm2]≦HU≦27[N/mm2]であり、ベルト表面から深さ4μmにおいては、4[N/mm2]≦HU≦11[N/mm2]である。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真装置等の画像形成装置に関する。
図21は電子写真装置の画像作製プロセスの模式図であり、白黒画像の画像作成プロセスを示している。フルカラー画像の画像作成プロセスの場合は、図には示してないが、赤(マゼンタ)、青(シアン)、黄(イエロー)、および黒(ブラック)の4色について現像を行う各現像器と、4色を重ね合わせる機構とが設けられる。
電子写真装置(例えば複写機やレーザプリンタ)は回転する感光体ドラム1を有し、この感光体ドラム1の感光層を帯電装置2を用いて一様に帯電させた後、レーザ走査ユニットからのレーザビーム3によって露光する。さらに電子写真装置は、現像装置4において感光体ドラム1上の静電潜像をトナーによって現像してトナー像とし、そのトナー像を転写ローラ5と協働して記録紙6上に転写する。なお、7は帯電装置2に電圧を印加するパワーパック、8は感光体ドラム1の表面電位を測定する表面電位計、9は感光体ドラム1表面を清掃するクリーニング装置である。
次に、記録紙6上に転写されたトナー像を熱定着させる熱定着装置について説明する。従来から、白黒画像のトナー(ブラックトナーのみ)を熱定着させる装置として、図21の左側上部に示すようなローラ方式の熱定着装置10が知られている。この熱定着装置10は、加熱定着ローラ11と、この加熱定着ローラ11に平行に配置され記録紙6を加熱定着ローラ11との間で挟持する加圧ローラ12とを備えている。加熱定着ローラ11はアルミニウムなどの中空円筒体からなる芯金を有し、その芯金の外周面にはトナーの粘着を防止するためのフッ素樹脂層などからなる粘着防止層が設けられている。また、加熱定着ローラ11には芯金の中空部に中心線に沿ってハロゲンランプ(図示省略)などのヒータが設置され、そのヒータの輻射熱によってローラ本体が内側から加熱されている。そして、加熱定着ローラ11と加圧ローラ12との間に記録紙6を通すことにより、記録紙6上のトナーは加熱定着ローラ11の熱によって軟化(溶融)し、さらに加圧ローラ12の加圧によって記録紙6上に定着される。
上記のようなフッ素樹脂層を有する加熱定着ローラはトナー離型性には優れているが、柔軟性および弾力性に劣り、このため、光沢を必要とするフルカラー複写機や、フルカラーレーザープリンタに対応することができない。これら光沢画像のフルカラー複写機、レーザープリンタでは、4色のカラートナーが用いられ、カラー画像の定着時には、これらカラートナーを溶融状態で混合させなければならない。すなわち、4色のトナーを低融点化して溶融しやすくするとともに、加熱定着ローラ表面で複数種のカラートナーを包み込むようにして、溶融状態で均一に混合させるようにする。このため、加熱定着ローラには、その表面が適度な柔軟性および弾力性を有することが重要な特性の一つとなっている(例えば、特許文献1参照)。
一方、図21の左側下部に示すようなベルト方式の熱定着装置15も知られている。この熱定着装置15は、定着ローラ16と加熱ローラ17間にフィルム状の定着ベルト18が巻き回され、また定着ローラ16に平行に加圧ローラ19が配置されている。そして、定着ベルト18は加熱ローラ17で加熱された後、定着ローラ16と加圧ローラ19との間を通過する際に記録紙6を加熱し、これによって、記録紙6上のトナー像が定着される。
上記定着ベルト18は、表面がシリコーンゴムやフッ素ゴム等のゴム弾性層で形成されているので、柔軟性および弾力性は優れているが、トナー離型性が不足しているためにトナーオフセット現象が発生しやすい。
そこで、最近では、基材の上にゴム弾性層を設け、その上にフッ素樹脂等の離型材料を被覆させた定着ベルトや加熱定着ローラが提案されている。
特開平10−198201号公報
しかしながら、上記従来の技術のようにゴム弾性層の上にフッ素樹脂等の離型層を被覆すると、定着ベルトや加熱定着ローラとしての重要な特性の一つである、表面の適度な柔軟性および弾力性が低下するという問題がある。
適度な柔軟性および弾力性を持たない定着ベルトや加熱定着ローラを用いてトナーを定着させると、画像に梨地(画像ムラ)が生じる。また、OHPシート上に画像を定着させたときには、光の透過性が悪くなる。
定着ベルトや加熱定着ローラの表面が適度な柔軟性および弾力性を持っているか否かを容易に知ることができれば、上記のような不具合は発生しない筈であるが、従来では、基材や弾性層の影響を考慮して離型層の硬さを総合的に評価する方法がなかった。
本発明の課題は、トナー離型性、柔軟性および弾力性に優れた定着ベルトを実現するとともに、そのような定着ベルトを搭載した画像形成装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、静電潜像をトナーを用いてトナー画像として顕像化する定着ベルトを有し、該定着ベルトを加熱及び加圧して前記トナー像を定着画像として記録紙に定着する画像形成装置において、
前記トナーは、定着温度が160〜170℃の場合に、定着画像の光沢度が5〜15%であり、
前記定着ベルトで画像を定着したときの、試験環境温度25℃における前記定着ベルトのユニバーサル硬さHUが、
ベルト表面から深さ1μmにおいては、
10[N/mm2]≦HU≦27[N/mm2
であり、ベルト表面から深さ4μmにおいては、
4[N/mm2]≦HU≦11[N/mm2
であることを特徴としている。
本発明者等は、紙またはOHPフィルム等の上に現像されたトナー像を画像ムラが生じないように定着させることについて、色々と検討した結果、ドイツ規格DIN50359−1(この規格は材料特性をより詳細に記述できる点に特徴がある)で規定されるユニバーサル硬さHUを用いて、定着用部材の表面硬度を評価することが最適な方法であると判明した。
ユニバーサル硬さ試験を請求項2のように試験環境温度200℃の下で行うこともできる。すなわち、請求項2に記載の発明は、静電潜像をトナーを用いてトナー画像として顕像化する定着ベルトを有し、該定着ベルトを加熱及び加圧して前記トナー像を定着画像として記録紙に定着する画像形成装置において、
前記トナーは、定着温度が160〜170℃の場合に、定着画像の光沢度が5〜15%であり、
前記定着ベルトで画像を定着したときの、試験環境温度200℃における前記定着ベルトのユニバーサル硬さHUが、
ベルト表面から深さ1μmにおいては、
2[N/mm2]≦HU≦9[N/mm2
であり、ベルト表面から深さ4μmにおいては、
1[N/mm2]≦HU≦4[N/mm2
であることを特徴としている。
ここで、試験環境温度25℃は室温に相当し、また験環境温度200℃はトナー定着時に定着用部材が晒されるランニング温度に相当している。
本発明によれば、トナー離型性、柔軟性および弾力性に優れた定着ベルトを実現でき、その定着ベルトを画像形成装置に組み込むことによって、画像ムラのない高品質の画像を得ることができる。
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
図1は、本発明に係る定着ベルト20を示しており、(A)はその断面図、(B)は(A)のa部の拡大断面図である。図1に示すように、本定着ベルト20は、ベルト基材21、弾性層22および離型層23からなり、これらベルト基材21、弾性層22および離型層23がこの順に積層されている。
基材21は耐熱性材料で形成されている。耐熱性材料としては、SUS、ニッケル等の金属材料、もしくはポリイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂が用いられる。金属材料の場合は、ベルトの撓みを考慮して、ベルト基材21の膜厚は100μm以下であることが望ましい。耐熱性樹脂の場合には、熱容量および強度の点から、基材21の膜厚は30〜200μmであることが望ましい。この場合、立ち上がり時間短縮を考慮すると熱容量は小さく、つまり基材21の膜厚は薄い方が有利となり、また、ベルト強度を考慮すると基材21の膜厚は厚い方が有利となるが、ここでは、総合的に判断して基材21の膜厚を30〜200μmと決定している。
弾性層22は光沢ムラの無い均一な画像を得るために設けられ、この弾性層22を設けることにより、ベルト表面が柔軟になる。また、定着時の温度(200℃以下)での耐熱性から、弾性層22の材質としては、シリコーンゴムが用いられる。弾性層の膜厚は200μm位が望ましい。
離型層23に使用される材料としては、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、および四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂(FEP)などフッ素系樹脂、もしくはこれらの樹脂の混合物、耐熱性樹脂にこれらフッ素系樹脂を分散させたものが挙げられる。離型層の膜厚は20μm位が望ましい。
弾性層22を離型層23が被覆すると、シリコーンオイル等を使用しなくてもトナー離型性、紙粉固着防止が可能になる(オイルレス化)。しかし、これらの離型性を有する樹脂は一般的にはゴム材料のような弾性を持たないことから、弾性層22上に厚く離型層23を形成させると、光沢ムラが発生する恐れがある。つまり光沢ムラ防止とトナー及び紙粉に対する離型性確保を両立させるためには、弾性層22の柔軟性を損なわないような離型層23の形成が必要となる。このためには、離型層23の材料がなるべく柔軟であること、膜厚が薄いことが必要である。
上記のように、基材21、弾性層22、離型層23の3層からなる定着ベルトの課題としては、表面状態の適正化および特性値化が挙げられる。ベルトの表面は、未定着トナー画像と接触し、そのトナーに熱を与え、加圧することで記録紙上へ定着させるのであるが、ベルト表面に凹凸がある場合、その山部分と谷部分の接触状態は違うものとなる。この接触状態の違いは、当然、熱の伝達やトナーへの圧力の違いとなって現れ、結果として、光沢ムラが発生する。弾性層22は、この山、谷の接触状態の違いを、弾性により小さくする効果がある。
次に、ベルトの表面状態によって画像均一性と定着特性に及ぼす影響について、図2を用いて説明する。
まず、画像均一性については、前述したように、光沢(画像)のムラはベルト表面の凹凸(山谷)の接触状態の違いにより発生すると考えられる。定着ローラと加圧ローラで押圧されたときは、ベルト表面の弾性により、山部はつぶされ、フラットな状態になろうとするが、その弾性の大きさ、形状により、状態は違うものになる。ベルト表面の材質が同じ場合は、形状による効果のみとなることから、山部は少なくかつ小さい方が、凹凸による接触状態のばらつきは少なくなる。なお、光沢(画像)が不均一な場合(光沢ムラ)は梨の表面のように見えることから、梨地とも呼ばれている。
次に、定着特性(離型性)について述べる。ここでの定着特性とは、離型性(定着温度幅=ホットオフセット温度−コールドオフセット温度)を意味する。つまり、ベルトの表面状態により、定着温度幅がどのように変化するかである。コールドオフセットは一般的にトナーが記録紙に十分に定着されない状態であり、トナーの溶融不足(定着温度が低い)、ベルト−記録紙間の加圧力不足に起因する。
ベルトの表面状態を評価する方法としては表面粗さがある。一般的に用いられる特性値としては、中心線平均粗さRa、十点平均粗さRzなどである。Ra,Rzが大きい場合は、谷部でトナーに対する熱伝達、および加圧力が低くなり、コールドオフセットを引き起こす可能性が高くなる。
ホットオフセットは、ベルト表面に溶融したトナーが付着、残留する現象であり、トナーの凝集力よりも、ベルトとトナー間の付着力が大きくなると発生する。ベルト表面材料が同じ場合には、トナーとの接触面積が大きい方が、ベルトとトナーの付着力が大きくなる。
次に、本発明で行った表面硬さ特性値化の方法について説明する。
表面のもう一つの重要な特性である表面硬さについては、従来技術でも述べたように、フルカラー定着装置の主要な画質特性である光沢(画像)均一性、OHPシート画像透光性との相関を見出すことが困難であり、その結果、安定した画質の再現が難しいという点があった。
そこで、本発明者等は、ドイツ規格DIN50359−1で定義されるユニバーサル硬さHUを用いて、ベルトの表面固さと画像品質との相関を検討した。検討の結果、「表面からの押し込み深さを一定にした際のHU」と、「光沢(画像)均一性(梨地)」との相関が高いことが判明した。
ここで、ユニバーサル硬さHUについて説明する。
従来、微小な表面硬さの測定は、マイクロビッカース法のように、荷重をかけて圧子を材料表面に押し込み、除荷後の残留くぼみを顕微鏡で測定することにより、表面硬さを求めるものであった。これに対し、ユニバーサル硬さ測定法は、圧子に荷重をかけている状態で、くぼみの押し込み深さを直読し、硬さを求めるものである。この際、1点の押し込み深さだけでなく、設定した荷重まで徐々に荷重を増加させ、増加する試験荷重ごとの押し込み深さを測定する。よって、圧子進入の痕跡が残りにくい弾性体の微小表面硬さ、不均一質的な表面層の硬さも測定可能となる。
ただし、測定の際に注意すべき点として、以下の2点がある。
・試験片の膜厚については、押し込み深さの10倍以上必要である。
・測定不確実性を10%以下とする場合には、押し込み深さは試験片表面の表面粗さRaの20倍以上必要である。
一般的な定着用部材の表面粗さRaは0.1〜0.2μm程度であり、この場合には押し込み深さは2〜4μm以上必要であるが、研磨等の平滑化を施すことにより、押し込み深さの最低値は下げることができる。
ユニバーサル硬さHUは以下の式から求められる。
HU = F/S
= F/26.43h2[N/mm2
ここで、F:試験荷重[N]
S:試験荷重下での圧子の表面積[mm2
h:試験荷重下での押し込み深さ[mm]
である。また、圧子は四角錐の対面角度136°のダイヤモンド圧子(ビッカース圧子)である。
本実施例では、定着ベルト20に対して、試験環境温度25℃の下で、離型層23表面側から深さ1μm乃至4μmにおけるユニバーサル硬さ試験を行って、深さ1μmにおけるユニバーサル硬さHUが、10[N/mm2]≦HU≦27[N/mm2]であり、深さ4μmにおけるユニバーサル硬さHUが、4[N/mm2]≦HU≦11[N/mm2]であれば、当該定着ベルト20は合格品であると評価する。
また、本実施例では、定着ベルト20に対して、試験環境温度200℃の下で、離型層23表面側から深さ1μm乃至4μmにおけるユニバーサル硬さ試験を行って、深さ1μmにおけるユニバーサル硬さHUが、2[N/mm2]≦HU≦9[N/mm2]であり、深さ4μmにおけるユニバーサル硬さHUが、1[N/mm2]≦HU≦4[N/mm2]であれば、当該定着ベルトは合格品であると評価する。
ここで、試験環境温度25℃は室温に相当し、また験環境温度200℃はトナー定着時に定着ベルトが晒されるランニング温度に相当している。そして、定着用部材表面から深さ1μmにおけるユニバーサル硬さHUは、試験環境温度25℃のとき、上限は27[N/mm2]に、下限は10[N/mm2]にそれぞれ設定され、試験環境温度200℃のとき、上限は9[N/mm2]に、下限は2[N/mm2]にそれぞれ設定されている。また、定着用部材表面から深さ4μmにおけるユニバーサル硬さHUは、試験環境温度25℃
のとき、上限は11[N/mm2]に、下限は4[N/mm2]にそれぞれ設定され、試験環境温度200℃のとき、上限は4[N/mm2]に、下限は1[N/mm2]にそれぞれ設定されている。
次に、ユニバーサル硬さが画像特性に与える影響についての試験を行った。
記録紙上に未定着画像を形成させ、下記の条件で熱定着装置により記録紙上に定着させた。この際、表面のユニバーサル硬さが異なる定着ベルトを用い、定着後の梨地画像(光沢ムラ)との対応をとった。
評価画像(未定着画像)
トナー:マゼンタ色
付着量:0.8〜0.9mg/cm2
紙種:T6200(62kg紙)
ここで、本実施例の定着ベルトを用いたフルカラー熱定着装置について説明する。本熱定着装置には、図3に示すように定着ベルト20が用いられている。定着ベルト20は、加熱ローラ31と定着ローラ32間に巻き回しされて、適当なテンション(テンションを掛けるための機構は図示省略)が掛けられている。また、定着ローラ32に平行に加圧ローラ33が配置され、定着ローラ32に巻き回しされた定着ベルトは、加圧ローラ33によって定着ローラ32側に圧接されている(圧接機構は図示省略)。
加圧ローラ33によって定着ベルト20を圧接する方式は、図3(A)と図3(B)のように大きく分けて2つある。図3(A)の方式(リコー社製:Imagio color 3100等)は、ニップ部が加圧ローラ33と定着ローラ32により(定着ベルトを介して)形成されるのみである。これに対して、図3(B)の方式(リコー社製:Ipsio color 8000等)は、加圧ローラ33と定着ローラ32から成るニップ部の他に、その前部側にベルトが這い回ることで形成されるニップ部を有する。この違いにより、立ち上がり時間、搬送性、紙分離性などに違いが発生するが、本実施例では定着ベルトの検討を目的としたことから、定着方式を図3(A)の方式に固定し、ベルトによる画像品質への影響を調査した。
また、図3において、加熱ローラ31の内部には、加熱のためのハロゲンランプ34が設置されている。このハロゲンランプ34は、定着温度、線速、立ち上がり時間、およびベルト表面温度バラツキの仕様(規格)により、本数、消費電力が調整される。一般的には、図3(A)の方式では、加熱ローラ31、定着ローラ32、および加圧ローラ33の全てにハロゲンランプ34が設置され、図3(B)の方式では、加熱ローラ31および加圧ローラ33にハロゲンランプ34が設置される。
試験条件は以下のとおりである。
定着試験機:Imagio color 3100 定着ユニット改造
定着ローラ:φ40mm、シリコーンゴム弾性層5mm+FLC30μm
ゴム硬さ62.5Hs(アスカーC)
加圧ローラ:φ40mm、シリコーンゴム弾性層2mm+PFAチューブ5
0μm、ゴム硬さ72Hs(アスカーC)
ニップ圧力:片側45kgf
線速:200mm/s
ユニバーサル硬さ試験機:フィッシャースコープ H−100
試験荷重:0.4mN〜1000mN(今回は〜300mNで測定)
梨地画像評価については、下記に示すランク評価を行った(各ランクの中間は0.5とする)。
ランク5:顕著な梨地状ムラ無し 合格レベル
ランク4:ランク3とランク5の中間 合格レベル
ランク3:部分的に梨地状のムラが発生 合格レベル
ランク2:ランク1とランク3の中間 不合格レベル
ランク1:画像全体にわたって梨地状ムラが発生 不合格レベル
図4は本発明に係る画像形成装置の概略構成を示している。図4の画像形成装置は4連タンデム方式のフルカラープリンタで、図3(A)に示した熱定着装置が内蔵されている。
このフルカラープリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像をそれぞれ形成する4組の画像形成部41Y,41M,41C,41Bkを備えている。画像形成部41Y,41M,41C,41Bkの下方には、プーリ42,43間に巻き回しされた搬送ベルト44が設けられている。この搬送ベルト44は駆動装置(図示省略)によって矢印b方向に駆動され、画像形成部41Y,41M,41C,41Bkを通して記録紙Pを搬送する。
ここでは、画像形成部41Y,41M,41C,41Bkの各々は同じ構成をなしているので、イエロー用の画像形成部41Yにづいてだけ説明し、他の色用の画像形成部410M,41C,41Bkについては、画像形成部41Yと同一部分には同一数字を付して詳細な説明を省略する。
画像形成部41Yは、その略中央位置に搬送ベルト44に転接された感光体ドラム45Yを有する。感光体ドラム45Yの周囲には、感光体ドラム45Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電装置46Y、帯電されたドラム表面を色分解された画像信号に基づいて露光し、ドラム表面上に静電潜像を形成する露光装置47Y、ドラム表面上に形成された静電潜像にイエロートナーを供給して現像する現像装置48Y、現像したトナー像を搬送ベルト44で搬送される記録紙P上に転写する転写ローラ49Y、転写されずにドラム表面に残留した残留トナーを除去するクリーナ50Y、および図示しないドラム表面に残留した電荷を除去する除電ランプが、感光体ドラム45Yの回転方向に沿って順に配設されている。
搬送ベルト44の一側(図中右側)には、記録紙Pを搬送ベルト44上に給紙するための給紙機構51が配設されている。また、搬送ベルト44の他側(図中左側)には熱定着装置52が配設され、搬送ベルト44によって搬送された記録紙Pは、連続的に熱定着装置52に供給される。
熱定着装置52は、図3(A)でも示したように、加熱ローラ31と、加熱ローラ31の下方に配設された定着ローラ32とを有し、これら加熱ローラ31と定着ローラ32間に無端状の定着ベルト20が巻き回しされている。また、定着ローラ32の下方には加圧ローラ33が配設され、定着ベルト20は加圧ローラ33によって定着ローラ32に圧接されている。なお、図4には示してないが、加熱ローラ31、定着ローラ32、加圧ローラ33の各内部にはハロゲンランプ34(図3(A)参照)が設けられている。
そして、搬送ベルト44から供給された記録紙Pは、定着ベルト20と加圧ローラ33との間を通過するときに加熱・加圧され、記録紙P上のトナー像が定着される。トナー像定着後の記録紙Pは排紙ローラ53,54を介して搬送路下流側に排紙される。
次に、図3(B)に示した熱定着装置を内蔵した画像形成装置(フルカラープリンタ)について説明する。この画像形成装置も、図4に示した画像形成部41Y,41M,41C,41Bk、搬送ベルト44、および給紙機構51を有している。この画像形成装置は、図5に示すように、加熱ローラ31と、加熱ローラ31の斜め下方に配設された定着ローラ32とを有し、これら加熱ローラ31と定着ローラ32間に無端状の定着ベルト20が巻き回しされている。定着ローラ32の下方には加圧ローラ33が配設され、定着ベルト20は加圧ローラ33によって定着ローラ32に圧接されている。加熱ローラ31および加圧ローラ33の内部にはハロゲンランプ34が設けられている。
加熱ローラ31は、バネなどの図示していない付勢手段によって、定着ローラ32から離間する方向に付勢され、これにより、定着ベルト20に適当な所定の張力を与えるようになっている。
定着ローラ32は、芯金32Aと、この芯金32Aを被覆する耐熱多孔質層の弾性体層32Bとを有する。この定着ローラ32は、バネなどの図示していない付勢手段によって、加圧ローラ33を圧接する方向に付勢されている。
また、定着ローラ32は、定着ローラ32の軸心を頂点として、定着ローラ32の軸心と加熱ローラ31の軸心とを結ぶ直線と、加熱ローラ31の軸心と加圧ローラ33の軸心とを結ぶ直線とによって挟まれる角が鋭角をなすように、加圧ローラ33に当接されている。これにより、加圧ローラ33が定着ローラ32に対向しない部位で定着ベルト20に当接する第1の定着部Aと、加圧ローラ33が定着ベルト20を介して定着ローラ32に当接する第2の定着部Bとが形成され、これら定着部A,Bで記録紙を挟持し加熱するようになっている。
また、加熱ローラ31、加圧ローラ33に対向してサーミスタ55が配置され、加熱ローラ31および加圧ローラ33はサーミスタ55によって温度が検知されている。
なお、図中、符号56は定着される記録紙を第1の定着部Aに向けて案内するガイドを示している。また、符号57はオフセット防止用オイルの塗布ローラを、符号58はクリーニングローラをそれぞれ示している。
(実施例1)
一般的に梨地画像は、高光沢画像でより顕著となることが知られている。前述した定着条件で、定着温度160〜170℃の際に、光沢5〜8%(マゼンタ色:0.8〜0.9mg/cm2)となるトナー(トナー1)、および、光沢度10〜15%(マゼンタ色:0.8〜0.9mg/cm2)となるトナー(トナー2)を使用し、画像の光沢を変化させ、ユニバーサル硬さとの関係を調査した。
図6〜図9にユニバーサル硬さと梨地ランクの関係を示す。その結果をまとめると、ユニバーサル硬さHUが、以下の(1)式および(2)式に示す範囲に、または(3)式および式(4)式に示す範囲にあれば、良好な光沢均一性(ランク3以上)の画質を得ることができた。
試験環境温度が25℃のとき、離型層表面からの深さ1μmにおけるユニバーサル硬さHU1、および離型層表面からの深さ4μmにおけるユニバーサル硬さHU2は、
10≦HU1≦27 [N/mm2] ・・・・・・・(1)
4≦HU2≦11 [N/mm2] ・・・・・・・(2)
であり、試験環境温度が200℃のとき、離型層表面からの深さ1μmにおけるユニバーサル硬さHU3、および離型層表面からの深さ4μmにおけるユニバーサル硬さHU4は、
2≦HU3≦9 [N/mm2] ・・・・・・・(3)
1≦HU4≦4 [N/mm2] ・・・・・・・(4)
である。
(1)〜(4)式の結果より、試験環境温度が25℃または200℃の場合は、押し込み深さ1μm〜4μmの範囲内の任意の押し込み深さにおけるユニバーサル硬さが予測できる。また、押し込み深さが1μmまたは4μmの場合は、任意の試験環境温度(樹脂が分解するような温度は除く)におけるユニバーサル硬さが予測できる。
次に、押し込み深さとして1μmまたは4μmを選択した理由について説明する。従来技術でも述べたように、ベルト(部材)の硬さと光沢の均一性については、明確な特性値化が行われていない。特に、光沢の均一性に影響を及ぼすものが、基材の撓みまでを含めたベルト全体の柔軟性なのか、もしくはベルトの最も外側の、極表面の柔軟性なのか、という点である。極表面の硬さを測定する場合には、離型層の最低膜厚は10μm程度であることから、前述した測定上の膜厚制限から、押し込み深さは1μm以下であることが必要である。ベルトを積層体(基材+弾性層+離型層)と考える場合には、より深い押し込み深さでの測定が可能であり、例えば、基材50μm、弾性層200μm、離型層30μmであれば、全体で280μmであることから、28μmまでの押し込み深さが可能となる。本発明者等は、1〜20μmまでの押し込み深さでのユニバーサル硬さと光沢均一性に相関があることを確認した。
押し込み深さは、この1μm、4μmが特別の意味を持つわけではない、例えば、この中間の2μmまたは3μmでも同じように、光沢均一性との相関が得られる。ただし、この際使用したベルト(部材)を押し込み深さ1μm、4μmで測定した場合には、本実施例で提示した範囲での硬さ−光沢均一性の関係が得られたということである。
また、試験環境温度として25℃または200℃を選択した理由について説明する。ドイツ規格DIN50359−1では測定温度を10〜35℃と規定している。このことから本実施例では、25℃を測定温度とした。また、今回使用した、
H−100では測定温度を変化させることができることから、定着温度に近い200℃の環境下でも測定を行い、光沢均一性との対応を見た。
図6〜図9より、トナー1の方がトナー2よりも梨地画像に対する余裕度が高いことが分かる。つまり、画像の光沢度が増加すると光沢ムラ(梨地)が多く出る傾向にある。これは、基本的に高光沢画像を得るためには、トナーを充分に溶融させ、粘度を低くさせた上で、記録紙に定着させるが、この低粘度状態のトナーは、より柔軟性の高い部材表面で押圧させることが必要となることを示している。
次に、定着ベルトの構成がユニバーサル硬さに及ぼす影響について検討した。ここでは、表1に示すように、弾性層と離型層の材質や膜厚が異なる定着ベルト(実験例1〜5、比較例1〜7)について、それらのユニバーサル硬さ、耐久性および離型性を検討した。
Figure 2009064040
ベルト構成は以下のとおりである。
基体 :ポリイミド樹脂で、φ60mm、面長331mm、90μmに形成
弾性層:シリコーンゴム、硬さ25°(JIS K 6301)、
膜厚 3水準(なし、200μm)
離型層:3水準の材料;PFA1(柔軟性が低い)、PFA2(柔軟性が高い)、
FEP、膜厚 10〜40μm
次に定着ベルト作製方法について説明する。弾性層成膜工法としてブレード塗装(溶剤等による希釈を行うことで、スプレー塗装、ディッピング塗装などでも作製可能)を用いた。また、本実施例では弾性層材料としてシリコーンゴムを用いたが、このシリコーンゴムは連続使用した際の上限温度が200℃と耐熱性に優れることが知られている。前述したように、弾性層に用いられるゴム(エラストマー)材料としては、この他に、フロロシリコーンゴム、フッ素ゴム等も挙げられるが、スプレー塗装、ディッピング塗装、ブレード塗装、および注型などの多様な加工が可能なのは現在のところシリコーンゴムだけであり、また、コストの面でもシリコーンゴムが最も安価である。その結果、弾性層材料としては、200μm程度の膜厚のものを、低バラツキで且つ表面平滑性を高くするためには、シリコーンゴムが現段階では最も適していることが分かった。
離型層成膜工法としてスプレー塗装を用いた。なお、ポリイミド樹脂基体−弾性層間および弾性層−離型層間には、必要に応じてプライマーを使用してもベルト特性に大きな影響は与えない。
表1より、基材−離型層間に弾性層を設けていない比較例1〜4では、前述した均一光沢画像のためのユニバーサル硬さ値を満たしていないことが分かる。
また、弾性層を設けた構成では離型層膜厚の増加で、ユニバーサル硬さ値は大きくなっている(硬くなっている)ことが分かる。ユニバーサル硬さの測定法を、本発明のような樹脂およびゴム材料からなる対象物に対して適用した場合、「測定圧子の押し込み深さ」=「表面に刺さった深さ」+「表面が撓んだ深さ」となる。
よって、弾性層上に離型層を形成させた場合には、弾性層硬さ<離型層硬さであれば(一般的に成り立つと考えられる)、離型層膜厚が薄くなることで、弾性層の柔軟性がベルト表面(離型層表面)に現われやすくなる、つまり、「表面が撓んだ深さが」大きくなり、ユニバーサル硬さ値が小さくなったと考えられる。
PFA1はPFA2と比べて、柔軟性に劣る材質である。このフッ素樹脂の柔軟性(可撓性)の違いについて説明する。離型層に使用される材料は一般的にはフッ素樹脂が用いられるが、その種類の違い;FEP、PFA、PTFE…、分子量の違い、フィラー添加有無、および工法等により硬さが変化する。種類の違いについては、グレードによりその順序は前後するが、分子量については一般的に高分子量になるほど硬くなる。また、これらポリマーの違い以外にもフィラー添加による影響がある。
フィラー添加は、耐摩耗性を向上させるために、カーボンブラック、ウィスカ、シリカ、シリコーンカーバイト、マイカ等が用いられ、導電性付与のためにカーボンブラック、金属酸化物等が用いられる。これらフィラー添加も一般的に材料を硬くする。
表1に示すとおり、同じ構成(同じ膜厚)とした場合に、これら離型層の材料によってユニバーサル硬さに違いが出てくる。PFA1はPFA2に比べて、膜厚の増加による梨地画像に対する余裕度が低い。本試験結果からも、離型層は弾性層の柔軟性を伝えるために、各離型層材料ごとに、その可撓性を考慮した膜厚設定が必要となることが分かる。
比較例7は離型層を形成させずに弾性層(シリコーンゴム)が表面に露出した定着ベルトであるが、表面ユニバーサル硬さは非常に小さな値を持つ。しかしながら、耐久性、離型性の点で不充分である。具体的に耐久性の面では、連続通紙により、サーミスタ当接部および記録紙エッジ部により、シリコーンゴム表面の損傷が評価初期から発生する。離型性に関しても、フッ素樹脂離型層を設けた場合と比較し、コールドオフセット−ホットオフセットの定着可能温度幅が狭く、特に薄紙(45kg紙)を記録紙とした場合に顕著である。以上のことから、弾性層の表面に離型層を形成させることが必要であることが分かる。
梨地画像(特に高光沢画像の場合)の不具合を回避するためには、定着ベルト表面に柔軟性が必要であり、その特性値としてユニバーサル硬さを用いることが有効である。定着ベルト表面のユニバーサル硬さは、弾性層材質および膜厚、離型層の材質および膜厚により変化する。よって、これらの組み合わせを適当にし、ユニバーサル硬さが(1)式および(2)式に示した範囲に、または(3)式および(4)式に示した範囲に入れることで、光沢(画像)の均一性が得られる。
しかしながら、表1の比較例7からも分かるとおり、ゴム材料が表面に露出した場合は耐久性および離型性の点で実使用上の不具合が発生することから、PTFE、PFA、FEP、およびこれらの混合物から成る離型層が必要である。
また、弾性層を設けなくても、柔軟性が非常に高いフッ素樹脂が開発されれば、基材+離型層でも前述した範囲にユニバーサル硬さを収めることは可能となるが、現段階では、基材+弾性層+離型層から成る3層構成が、光沢(画像)均一性、離型性および耐久性を全て満たすことが分かる。
(実施例2)
次に、弾性層と離型層の材質や膜厚が異なる定着ベルト(実験例6〜10)について、試験環境温度25℃,60℃,100℃,150℃,200℃の下で、押し込み深さ1μm,4μm,20μmとしてユニバーサル硬さ試験を行った。その試験結果を表2に示す。
Figure 2009064040
ここで、実験例6〜10における定着ベルトの弾性層および離型層の材質と膜厚は以下のとおりである。
実験例6
弾性層:シリコーンゴム、硬さ25°(JIS K 6301)、膜厚200μm
離型層:材質A、膜厚15μm
実験例7
弾性層:シリコーンゴム、硬さ25°(JIS K 6301)、膜厚200μm
離型層:材質B、膜厚30μm
実験例8
弾性層:シリコーンゴム、硬さ25°(JIS K 6301)、膜厚200μm
離型層:材質C、膜厚30μm
実験例9
弾性層:シリコーンゴム、硬さ25°(JIS K 6301)、膜厚300μm
離型層:材質C、膜厚10μm
実験例10
弾性層:シリコーンゴム、硬さ25°(JIS K 6301)、膜厚200μm
離型層:材質D、膜厚20μm
表2において、(A)は押し込み深さ1μmの場合のデータを、(A)は押し込み深さ4μmの場合のデータを、(C)は押し込み深さ20μmの場合のデータをそれぞれ示している。また、(D)は各押し込み深さ1μm,4μm,20μmの平均値をまとめて示したものである。
また、表2に示したデータについて、横軸に試験環境温度を、縦軸にユニバーサル硬さを取ってプロットすると、図10のようになる。図10において、(A)は押し込み深さ1μmの場合のグラフ、(B)は押し込み深さ4μmの場合のグラフ、(C)は押し込み深さ20μmの場合のグラフである。また図11は各押し込み深さ1μm,4μm,20μmの平均値をプロットしたグラフである。
図10および図11より、試験環境温度が高くなればユニバーサル硬さは低下する傾向を示し、特に、押し込み深さが1μmの場合はその傾向が顕著であることが分かる。
さらに、上記実験例6〜10の定着ベルト以外に12個の定着ベルトを用意し、各定着ベルトについて、試験環境温度25℃,200℃の下で、押し込み深さ1μm,4μm,20μmとしてユニバーサル硬さ試験を行った。その試験結果を実施例6〜10と共に図12および図13に示す。図12および図13において、横軸は押し込み深さを、縦軸はユニバーサル硬さをそれぞれ示しており、図12は試験環境温度25℃のときのグラフ、図13は試験環境温度200℃のときのグラフである。
図12および図13より、押し込み深さ1μm〜4μmまでは離型層や弾性層の柔軟性および弾力性が影響しているので、押し込み深さが大きくなるに伴ってユニバーサル硬さが急激に低下しているが、押し込み深さが4μmを超えると、基材の影響が強くなってユニバーサル硬さがあまり低下しないことが分かる。
以上のことから判断して、定着ベルトの表面硬さを正確に測定するには、押し込み深さ1μm〜4μmの範囲でユニバーサル硬さ試験を行うのが適していると言える。
次に、上記各実験例のデータについて、図6〜図9と同様、横軸にユニバーサル硬さを、縦軸に梨地ランクを取って、プロットすると図14〜図19のようになる。図14〜図19において、ユニバーサル硬さと梨地ランクとの関係を、最小二乗法による直線の方程式、さらには相関係数として求めた。なお、図14〜図19はトナー2を用いた場合の結果である。
ここで、図14は試験環境温度が室温で押し込み深さが1μmのとき、図15は試験環境温度が室温で押し込み深さが4μmのとき、図16は試験環境温度が室温で押し込み深さが20μmのときである。また、図17は試験環境温度が200℃で押し込み深さが1μmのとき、図18は試験環境温度が200℃で押し込み深さが4μmのとき、図19は試験環境温度が200℃で押し込み深さが20μmのときである。図14〜図19から求めた相関係数を一覧表として表3に示す。
Figure 2009064040
表3(A)は試験環境温度が200℃のときのデータ、表3(B)は試験環境温度が室温のときのデータである。
(実施例3)
既存のコピー機(例えば、リコー社製のImagio color 3100)の定着条件における画質、耐久性、離型性等の実機特性について調査した。これらの実機特性はトナー、定着条件による影響が強い。例えば、耐久性に関しては、コピー(プリント)速度、分離爪の有無、ニップ部圧力などが影響する。また、離型性に関しては、トナーが強く影響する。つまり、上述した評価結果の中で、耐久性、離型性に関しては、想定しているコピー機やプリンタのスペックにより、必要値が変わってくる。
具体的に述べると、低速で且つ機械寿命の短い機械では耐久性の低い材料や部材構成が許され、また温度制御の精度が高い機械(このような機械は定着可能温度領域が狭くても良い)や、高離型性のトナーを用いた場合には、定着用部材表面の離型性は若干の低下が許される。これら低スペックの機械を対象とした場合の部材構成、および材料について、以下のような検討を行った。
《離型性評価》
上述のコピー機およびトナー2を用いて、離型性について評価した。シリコーンゴムは材料メーカから多様なグレードが供給されている。また、シリコーンゴム中には潤滑剤、離型剤を添加することができる。本実施例では、離型性について、定着用部材表面に水滴が接触したときの接触角と実機でのトナー離型性で評価した。
定着用部材表面に水滴が接触したときの接触角、すなわち部材表面材料の接触角と離型性との関係を表4に示す。ここで、○は離型性がPFA材料と同等である場合を、×は定着可能温度領域が得られない場合を、△は○と×の中間の場合をそれぞれ表わしている。
Figure 2009064040
接触角が95度以上得られる材料であれば、定着温度領域が得られることが分かった。この結果より、耐久性は低いが、定着用部材表面に適当なシリコーンゴムを用いることによって、離型層としてフッ素樹脂を特に用いなくても、当該定着用部材を定着装置として使用できる可能性がある。また、逆に十分に柔軟性があって(つまり、ユニバーサル硬さHUが、試験環境温度25℃の下で測定したときは(1)式および(2)式を満足し、試験環境温度200℃の下で測定したときは(3)式および(4)式を満足する状態)、かつ接触角が95度以上のフッ素樹脂を用いれば、弾性層を形成することなく、当該定着用部材を定着装置として使用できる。
《耐久性評価》
定着用部材表面にはサーミスタ、分離爪などが当接される。これらによる摩耗量を調査した結果を図20に示す。
ここで、評価機として爪摩耗量測定用単体試験機を用い、また定着用部材としては、肉厚200μmのシリコーンゴムの弾性層、および耐摩耗性に劣るPFA2の離型層を有する加熱定着ローラを使用した。そして、100,000枚相当のの通紙時における加熱定着ローラ表面の摩耗量を測定した。また、摩耗量は触針式粗さ計のプロファイルから測定した。
爪の荷重は定着条件、線速などにより変化するが、安定した分離機能を得るためには15g程度は必要である。荷重の低い場合でも4μm程度は摩耗することから、離型層膜厚は5μm以上は必要である。
上記検討結果をまとめると、画像特性(光沢の均一性)に関しては、部品表面のユニバーサル硬さHUを(1)式および(2)式を満足する範囲か、または(3)式および(4)式を満足する範囲とすることで、良好な品質が得られるが、離型性および耐久性に関しては、コピー機、プリンタのスペック、使用トナーにより要求特性が変化する。中速機もしくは高速機(高スペック機)などでは、比較的高い離型性、耐久性が要求されることから、弾性層上に離型層を設けた構成が望ましいが、低速機(低スペック機)では弾性層単体または離型層単体で用いることも可能である。
本発明の画像形成装置に適用される定着ベルトを示しており、(A)はその断面図、(B)は(A)のa部の拡大断面図である。 定着ベルトによって記録紙上のトナーが定着する様子を示した説明図である。 (A)は熱定着装置の一例による構成図、(B)は熱定着装置の他の例による構成図である。 図3(A)の熱定着装置を内蔵した画像形成装置の概略構成図である。 図3(B)の熱定着装置を内蔵した画像形成装置の縦断面図である。 ユニバーサル硬さと梨地ランクとの関係を示した図である。 ユニバーサル硬さと梨地ランクとの関係を示した図である。 ユニバーサル硬さと梨地ランクとの関係を示した図である。 ユニバーサル硬さと梨地ランクとの関係を示した図である。 試験環境温度とユニバーサル硬さとの関係を示しており、(A)は押し込み深さ1μmのときの図、(B)は押し込み深さ4μmのときの図、(C)は押し込み深さ20μmのときの図である。 試験環境温度とユニバーサル硬さとの関係を示しており、図8に示したデータの平均値をプロットしたときの図である。 押し込み深さとユニバーサル硬さとの関係を示した図である。 押し込み深さとユニバーサル硬さとの関係を示した図である。 ユニバーサル硬さと梨地ランクとの関係を示した図である。 ユニバーサル硬さと梨地ランクとの関係を示した図である。 ユニバーサル硬さと梨地ランクとの関係を示した図である。 ユニバーサル硬さと梨地ランクとの関係を示した図である。 ユニバーサル硬さと梨地ランクとの関係を示した図である。 ユニバーサル硬さと梨地ランクとの関係を示した図である。 爪荷重と摩耗量との関係を示した図である。 画像形成装置の概略構成図である。
符号の説明
20 定着ベルト
21 基材
22 弾性層
23 離型層
31 加熱ローラ
32 定着ローラ
33 加圧ローラ
34 ハロゲンランプ
41Y,41M,41C,41Bk 画像形成部
44 搬送ベルト
45Y,45M,45C,45Bk 感光体ドラム
46Y,46M,46C,46Bk 帯電装置
47Y,47M,47C,47Bk 露光装置
48Y,48M,48C,48Bk 現像装置
49Y,49M,49C,49Bk 転写ローラ
52 熱定着装置
P 記録紙

Claims (2)

  1. 静電潜像をトナーを用いてトナー画像として顕像化する定着ベルトを有し、該定着ベルトを加熱及び加圧して前記トナー像を定着画像として記録紙に定着する画像形成装置において、
    前記トナーは、定着温度が160〜170℃の場合に、定着画像の光沢度が5〜15%であり、
    前記定着ベルトで画像を定着したときの、試験環境温度25℃における前記定着ベルトのユニバーサル硬さHUが、
    ベルト表面から深さ1μmにおいては、
    10[N/mm2]≦HU≦27[N/mm2
    であり、ベルト表面から深さ4μmにおいては、
    4[N/mm2]≦HU≦11[N/mm2
    であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 静電潜像をトナーを用いてトナー画像として顕像化する定着ベルトを有し、該定着ベルトを加熱及び加圧して前記トナー像を定着画像として記録紙に定着する画像形成装置において、
    前記トナーは、定着温度が160〜170℃の場合に、定着画像の光沢度が5〜15%であり、
    前記定着ベルトで画像を定着したときの、試験環境温度200℃における前記定着ベルトのユニバーサル硬さHUが、
    ベルト表面から深さ1μmにおいては、
    2[N/mm2]≦HU≦9[N/mm2
    であり、ベルト表面から深さ4μmにおいては、
    1[N/mm2]≦HU≦4[N/mm2
    であることを特徴とする画像形成装置。
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