JP2013109270A - 画像加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像を担持した記録材を加熱する加熱回転体を摺擦部材で摺擦してグロススジを解消する構成の画像加熱装置について、普通紙と塗工紙においてグロスムラなどの画像不良を生じることなく、塗工紙上のトナーグロスを上げることを可能にする。
【解決手段】加熱回転体91の長手温度差を所定温度以内コントロールすることにより加熱回転体表面の均一な粗しが可能となる。その結果、加熱回転体表面をキズによる画像不良や、加熱回転体表面の粗しムラによるグロスムラを防止し良好な定着画像をえることが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式等を利用して現像剤(顕画剤:以下、トナーと記す)によって記録材上に形成された画像を加熱する画像加熱装置に関するものである。
画像加熱装置としては、記録材上に形成された未定着のトナー像を固着画像として加熱定着する定着装置や、記録材に定着されたトナー像を再加熱することで画像の光沢度などを改質する画像改質装置などを挙げることができる。
従来、電子写真方式等を利用した画像形成装置において、トナーによって記録材上に形成された画像を記録材に定着させるために、画像加熱装置である定着装置が用いられる。定着装置としては、加熱回転体である定着ローラと、加圧回転体である加圧ローラとを用いた熱ローラ対方式の定着装置が一般的に用いられている。
又、近年では、離型剤を含むトナーからなる未定着画像を定着するオイルレス定着方式が広く用いられている。これに応じて、定着ローラとして、アルミニウムや鉄から成る芯金の上に設けられたシリコーンゴムやフッ素ゴムからなる弾性層と、この弾性層上に設けられた表層である離型層と、を有するものが広く用いられている。
離型層は、一般に、フッ素樹脂等の離型性に優れた材料からなるチューブやコーティングで形成される。オイルレス定着方式は、定着ローラに離型剤としてシリコーンオイル等を塗布するようになっているオイル定着方式と比較して、オイルスジ等による画像の光沢ムラ(グロスムラ)が発生し難い点で有利である。
又、近年では、溶融性をより高めたトナーの開発が盛んに行なわれている。トナーの溶融性を高めることによって、トナーが定着装置によって均一、良好に溶けるようになる。これによって、定着後のトナー層が、より均一、平滑に形成される結果、画像のグロス(光沢度)が向上する。従って、例えば上記オイルレス定着方式によれば、コート紙のような高光沢の記録材に対して、従来よりも更に高グロスで高画質な画像を追求することが可能である。
一方、トナーの溶融性が向上すると、定着ローラの表面の細かい凹凸が画像として顕在化し易くなることがある。即ち、紙(記録材)との摺擦や、定着装置外からの異物の混入等によって、定着ローラの表面に微小な凹凸が発生すると、トナーの溶融性が高い場合には、定着ローラの表面の形状がトナー層へと反映されて定着され易くなる。このような性質を写像性と呼ぶ。例えば、このようにトナーの溶融性の向上などにより写像性が高まる傾向にあることから、高グロスな高画質画像の形成のためには、定着ローラの表面上を所望の状態に安定的に維持することが、これまで以上に重要になってきている。
定着ローラの表面の状態(形状)を変化させる要因で最も顕著なものは、紙の裁断時に生じる両端部のバリである。一般的に、紙の裁断は鋭利なカッターで行なわれるが、その時の裁断跡として紙のバリが生じてしまう。紙のバリの大きさは、紙種によって異なるが、大きなものでは数μm〜十数μm程度である。
定着工程において、紙のバリが定着ローラと加圧ローラとに挟み込まれると、定着ローラ表面に微小な穴が生じる。同一サイズの紙種が連続的に通紙されるときが最も定着ローラにダメージを与える。このときの紙の両端部(以下「コバ部」という)の微小な穴は、コバ部が通過していない部分よりも大きく且つ深い状態で連続的に連なった状態になっている。連続して同一のサイズの紙種が連続的に通紙されると、定着ローラ表面のコバ部の通過位置は荒らされて、方向性の無い傷がついた状態となる
そして、連続的に通紙した紙種よりも幅の広いサイズを通紙した場合に、画像上にグロスムラが生じることがある。つまり、コバ部によって生じた連続した微小な穴部(記録材の通過により荒れた表面)で定着工程が行われることによって、画像上では微小な穴を写像した凹凸が形成されてしまう。この画像の凹凸部は、コバ部以外に対応する定着ローラで定着工程が行われた画像と比べてグロスが低くなる。そして、その凹凸が連続的に続くことによって、グロスの低い部分が連続的に形成される。グロスの低い部分が連続的に形成されることによって、グロススジbとなって顕在化される(図5参照)。
このように、通紙により通紙域と非通紙域とで定着ローラの表面の荒れが異なってくることで、画像上にグロスの差が生じる。特に、紙の端部位置(通紙域と非通紙域との境界部)は紙のバリによって荒れやすく、グロス差を生じ易い。
その対策手段として本出願人は先に特許文献1で開示されるような手段構成を提案している。これは、定着ローラに摺擦部材を接触させることで、定着ローラの表面を摺擦し、その表面性を所定の状態に整える定着ローラ表面リフレッツシュという技術であり有効である。この定着ローラ表面リフレッシュを行うことで定着ローラの表面が所定の粗さに維持されてグロススジの発生の解消することが可能となる。
特開2008−40363号公報
本発明は上記従来技術を更に発展させたものである。即ち、この技術によれば、定着ローラに摺擦部材を接触させることで記録材のコバ部により発生したグロススジは解消されるが、場合によりグロスムラが発生してしまうことが判明した。
これについて説明する。図6に示すように定着ローラの表層であるフッ素樹脂は温度が高くなると粘度が下がる傾向がある。そのため、摺擦部材を定着ローラに当接したときの定着ローラ温度により表面状態の粗し効果が異なる。定着ローラの長手方向温度が均一な時に摺擦部材の当接を行うと定着ローラの表面は長手方向において均一な粗さとなる。
一方、定着ローラの長手方向に温度差がある状態で摺擦部材を当接させると、表層の粘度が長手方向で異なるため、その結果、定着ローラ表層の長手方向の粗さは不均一となる。即ち、定着ローラの長手方向において温度の高い箇所の表層が低い箇所に比較してより粗さが大きくなってしまう。そのため、記録材に通紙により発生したグロススジを解消すべく定着ローラに摺擦部材を当接した結果、記録材のコバ部により発生したグロススジは解消さされるが、グロスムラが発生してしまうことがある。
本発明の目的は、加熱回転体を摺擦部材で摺擦してグロススジを解消する構成の画像加熱装置について、普通紙と塗工紙においてグロスムラなどの画像不良を生じることなく、塗工紙上のトナーグロスを上げることを可能にすることである。
上記の目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置の代表的な構成は、所定の画像加熱温度に加熱され、画像を担持した記録材をニップ部にて加熱する加熱回転体と、前記加熱回転体を摺擦することによりその表面性を回復させる摺擦部材と、前記摺擦部材による前記加熱回転体の摺擦動作を実行する制御手段と、通紙可能な最小サイズの記録材が通過する第一領域の温度を検知する第一温度検知部材と、前記第一領域の外であって通紙可能な最大サイズの記録材が通過する第二領域の温度を検知する第二温度検知部材と、を有する画像加熱装置において、前記第一温度検知部材による検知温度と前記第二温度検知部材による検知温度との差分が所定値以下の場合に前記摺動動作の実行を可能とすることを特徴とする。
本発明によれば、画像を担持した記録材を加熱する加熱回転体を摺擦部材で摺擦してグロススジを解消する構成の画像加熱装置について、普通紙と塗工紙においてグロスムラなどの画像不良を生じることなく、塗工紙上のトナーグロスを上げることが可能になる。
実施例1における画像形成装置の概略断面構成図 定着装置の要部の横断面模式図と制御系統のブロック図 定着装置の要部の正面図 均しローラが作用位置にシフトしている状態時の図 グロススジの説明図 定着ローラの非通紙部昇温の説明図 離型層の樹脂の粘度特性図 実施例1における均一化処理モード時の制御フローを示したフローチャート 実施例2における定着装置の要部の横断面模式図 実施例2における均一化処理モード時の制御フローを示したフローチャート
<実施例1>
本実施例では、本発明に係る画像加熱装置は、電子写真方式の画像形成装置にてトナーによって記録材上に形成された画像を記録材上に定着させる定着装置として具現化される。
[画像形成装置]
図1は、本発明に従う定着装置を備えた画像形成装置の一実施例の概略断面構成図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いたフルカラーレーザービームプリンタであり、装置内には、第1、第2、第3、第4の画像形成部Pa〜Pdが併設されている。各画像形成部Pa〜Pdでは、各々異なった色のトナー像が、潜像形成、現像、転写のプロセスを経て形成される。
画像形成部Pa〜Pdは、それぞれ専用の像担持体として、ドラム型の電子写真感光体、即ち、感光ドラム3a〜3dを具備している。各ドラム3a〜3dは、図中矢印の反時計方向に所定の表面移動速度(周速度)で回転駆動される。これらドラム3a〜3d上に各色のトナー像が形成される。各ドラム3a〜3dに隣接して、中間転写体としての中間転写ベルト130が設置されている。各ドラム3a〜3d上に形成された各色のトナー像は、各1次転写部でベルト130上に1次転写され、2次転写部N2で記録材S上に2次転写される。
そして、トナー像が転写された記録材Sは、定着装置9へと搬送され、定着装置9において記録材Sが加熱及び加圧されることにより、記録材Sにトナー像が定着される。その後、記録材Sは、記録画像として装置外に排出される。
各画像形成部Pa〜Pdにおいて、各ドラム3a〜3dの周囲には、それぞれ帯電手段としての帯電ローラ2a〜2d、現像手段としての現像器1a〜1dが配置されている。又、各ドラム3a〜3dの周囲には、1次帯電手段としての1次転写ローラ24a〜24d、クリーニング手段としてのクリーナ4a〜4dが設けられている。更に、各ドラム3a〜3dの図中上方部には、光源装置及びポリゴンミラーを備えた露光手段としてのレーザースキャナー25が設置されている。
ドラム3a〜3dは、帯電ローラ2a〜2dによって略一様に帯電される。スキャナー25において、光源装置から発せられたレーザー光が回転するポリゴンミラーによって走査され、その走査光の光束が反射ミラーによって偏向されて、fθレンズによりドラム3a〜3dの母線上に集光される。こうしてドラム3a〜3dが露光されることにより、ドラム3a〜3d上に画像信号に応じた静電像(潜像)が形成される。
各現像器1a〜1dには、現像剤としてそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが所定量充填されている。各現像器1a〜1dには、供給装置Ea〜Edによりトナーが適宜補給される。各現像器1a〜1dは、それぞれ感光ドラム3a〜3d上の潜像を現像して、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像として可視化する。
ベルト130は、駆動ローラ13と、2次転写対向ローラ14と、テンションローラ15と、の3本のローラ間に懸回張設されており、駆動ローラ13により図中矢印A方向に、各ドラム3a〜3dと同じ表面移動速度(周速度)で回転駆動されている。
例えば、フルカラー画像形成時には、先ず、ドラム3a上に第1色のイエロートナー像が形成されて担持される。このイエロートナー像は、ドラム3aとベルト130とが当接して形成するニップ部(1次転写部)を通過する過程で、ベルト130の外周面に転写(1次転写)される。この時、1次転写ローラ24aを介してベルト130に1次転写バイアスが印加され、この1次転写バイアスにより形成される電界と、圧力と、によって、ドラム3aから中間転写ベルト130にトナー像が転写される。
同様に、第2色のマゼンタトナー像、第3色のシアントナー像、第4色のブラックトナー像が、順次、ベルト130上に重畳して転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー像が形成される。
2次転写部N2では、2次転写手段としての2次転写ローラ11が、ベルト130を挟んで2次転写対向ローラ14に対向して平行に軸受されている。ベルト130と2次転写ローラ11の当接ニップ部が2次転写部N2である。2次転写ローラ11には、2次転写バイアス電源によって所定の2次転写バイアスが印加されるようになっている。
一方、記録材供給手段において、給紙カセット10からレジストローラ12、転写前ガイド(図示せず)等を通過して、記録材Sが供給される。この記録材Sは、ベルト130と2次転写ローラ11とが当接して形成するニップ部(2次転写部)N2に、所定のタイミングで記録材Sが給送される。それと同時に、2次転写バイアスが2次転写バイアス電源から2次転写ローラ11に印加される。この2次転写バイアスにより、ベルト130上に重畳転写された合成カラートナー像は、中間転写体130から記録材Sへ転写(2次転写)される。
尚、一次転写が終了した各感光ドラム3a〜3d上に残留するトナー(転写残トナー)は、それぞれのクリーナ4a〜4dにより除去、回収される。こうして各ドラム3a〜3dはクリーニングされて、引き続き次の潜像の形成に供される。又、中間転写ベルト130上に残留したトナー及びその他の異物は、ベルト130の表面にクリーニングウェブ(不織布)22を当接して、拭い取るようにしている。
そして、2次転写部N2においてトナー像の転写を受けた記録材Sは、詳しくは後述する定着装置9へ導入される。そして、定着装置9において、記録材Sに熱と圧力とが加えられることで、トナー像が転写材Sに定着される。
[定着装置]
図2は画像加熱装置としての定着装置9の要部の横断面模式図と制御系統のブロック図である。図3は定着装置9の要部の正面図である。この定着装置9は、加熱回転体としての定着ローラ91と、加圧回転体としての加圧ローラ92とのローラ対を主体とする、熱ローラ対方式、オイルレス方式の装置である。また、定着ローラ91の表面を摺擦することによりその表面性を回復させる摺擦部材としての回転体である均しローラ94を有する。
1)定着ローラ91
定着ローラ91は、厚さ例えば1〜2mmで、外径φ68mmのAlからなる中空芯金91aの外周面に、弾性層91bとしてゴム硬度20°(JIS−A1kg加重)のシリコーンゴムを1.0mm厚で形成してある。さらにその表面に離型層91cとして50μm厚みのフッ素樹脂を被覆してある。定着ローラ91の全体の外径φは70mmである。
このように定着ローラ91は本実施例では中空芯金91a上にゴム層91bを形成した。そして、表層91cとして、トナーの離型性に優れたPFA樹脂(4フッ化エチレン樹脂)をチューブ状に形成したものを使用した。表層91cには、この他、フッ素樹脂としてPFA樹脂(4フッ化エチレン樹脂、パーフロロアルコキシエチレン樹脂の共重合体)、PTFE(4フッ化エチレン樹脂)等を用いてもよい。
定着ローラ91について長手方向とは定着ローラ91の回転軸線方向である。定着ローラ91は一端部側と他端部側がそれぞれ定着装置筐体(不図示)の一端側と他端側の対向側板間に軸受部材を介して回転可能に軸受保持されて配設されている。そして、制御回路部(CPU:制御手段)101で制御される定着モータ(定着駆動手段)M1の駆動力が動力伝達機構(不図示)を介して伝達されて矢印R91の時計方向に所定の速度で回転駆動される。
制御回路部101は、ROM(不図示)に格納されている制御プログラムに基づいてRAM(不図示)を作業領域に用い、装置9の各部を制御しながら各種処理を行うことがきる。本実施例では、定着ローラ91の表面移動速度(周速度)は、220mm/secとした。定着ローラ91の周速度は、画像形成装置100のプロセススピード(画像出力速度)に相当する。
定着ローラ91の中空芯金91aの内部には、定着ローラ回転軸線の位置にほぼ対応する位置に定着ローラ長手方向に沿って長い加熱源(加熱手段)としての棒状のハロゲンヒータ95が配設されている。このヒータ95に対して制御回路部101で制御される電源部102から電力が供給されることでヒータ95が発熱する。ヒータ95の長手方向に沿う発熱分布はほぼ均一である。このヒータ95の発熱により、定着ローラ91の芯金91aの内周面が加熱されて定着ローラの長手に沿う有効加熱領域がローラ内側から加熱される。
2)加圧ローラ92
加圧ローラ92は、厚さ例えば2〜3mmで、外径φ40mmのAlからなる中空芯金92a上に、弾性層92bとしてゴム硬度20°(JIS−A1kg加重)のシリコーンゴムを厚さ5.0mmで形成してある。さらにその表面に離型層92cとして30μm厚みのフッ素樹脂を被覆してある。加圧ローラ92の全体の外径φは50mmである。
加圧ローラ92は定着ローラ91の下側において定着ローラ91に並行に配列されて、一端部側と他端部側がそれぞれ定着装置筐体の一端側と他端側の対向側板間に軸受部材を介して回転可能に軸受保持されて配設されている。加圧ローラ92は加圧機構(不図示)により定着ローラ91に対して弾性層92bと91bの弾性に抗して800Nの圧で加圧されている。これにより、定着ローラ91と加圧ローラ92との間に記録材搬送方向aにおいて所定幅のニップ部(画像加熱ニップ部、定着ニップ部)Nが形成される。
加圧ローラ92は、定着ローラ91が回転駆動されることでニップ部Nにおける定着ローラ91またはニップ部Nに導入された記録材Sとの摩擦力で定着ローラ91の回転に従動して矢印R92の反時計方向に回転する。加圧ローラ92は定着ローラ91の回転に連動させてニップ分Nにおいて定着ローラ91の回転方向と同方向で定着ローラの周速度にほぼ対応した速度で回転駆動する構成にすることもできる。
3)均しローラ94
均しローラ94は制御回路部101で制御される加圧機構99の揺動支持部材99aに回転可能に保持されている。加圧機構99は均しローラ94を保持している支持部材99aを揺動動作させる例えば電磁ソレノイド機構、カム−レバー機構などの適宜の揺動動作機構である。
均しローラ94は加圧機構99により定着ローラ91から離間された図2の実線示の非作用位置(脱状態)94aと、定着ローラ91に対して所定の押圧力で当接された図4の実線示の作用位置(着状態)94bと、に選択的にシフトされる。即ち、均しローラ94は定着ローラ91に対して着脱可能な構成を有している。
また、均しローラ94は制御回路部101で制御される均しローラ駆動モータM2の駆動力が動力伝達機構(不図示)を介して伝達されて所定の方向に所定の速度で回転駆動される。
均しローラ94は定着ローラ91を摺擦して、記録材の通過によって荒れた定着ローラ91の表面と、荒れていない表面の両方に対して細かい摺擦傷を多数付けることで、画像上のグロス差により生じるグロススジを視認できないようにする。均しローラ94は、定着ローラ91の表面を実質的に削り取らずに、摺擦傷を付ける。均しローラ94を用いて定着ローラ91の表面を所望のレベルで荒らして、表面状態を均す(均一化する)ことで、画像上のグロス差を解消できるようになっている。
本実施例において、均しローラ94は、外径φ20mmのSUSローラの表層をブラスト処理し、さらに表層に析出硬化処理を行う。これにより、均しローラ94は、定着ローラ91の表層(離型層)91cであるPFAチューブに対して硬く、かつ荒れているので、定着ローラ91に対して加圧力30Nで加圧される事で表層91cの粗しを行う能力を有する。
この均しローラ94の表面荒さは、(株)小坂研究所の表面粗さ測定器SE−3400を使用し、測定条件として送り速さ:0.5mm/s、カットオフ:0.8mm、測定長さ:2.5mmで行った十点平均荒さRzで表す。その十点平均荒さRzが2μm以上20μm以下、粗さの平均間隔Smが1μm以上40μm以下であることが好ましい。
均しローラ94の表面粗さRzが20μm以上に粗れ過ぎていると、定着ローラ91の表層91cに実画に影響する深さの傷を形成することや、離型性が低下しすぎてトナーの融着が起こりやすくなる等の弊害が生じる。Rzが2μm未満の時は定着ローラ91の表面粗さを所望の値に変更することが出来ない。また、Sm値が40μmよりも大きい時は、表層の凹凸の数が少ないため、Rzが低い上記の場合と同じく表面の粗さを変更する能力が弱い。逆に1μm未満の時は耐久劣化の影響で、表面粗さ変更処理を繰り返した際に、均しローラ94の表層が磨耗して表面粗さが低下する。
均しローラ94には定着ローラ91の表面状態を変更できる微細形状を有していることが必要である。この条件を満たす表層として、表層にチタンやカーボン等のフィラーを含有したフッ素コートを施したものが一例として挙げられる。
その基層は金属のローラ芯金をブラスト処理後に析出硬化処理したものが上記の条件を満たす。または、下記のような砥粒を接着層で接着処理したもの等が上記の条件を満たす。砥粒:酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化チタン、ジルコニア、リチウムシリケート、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化鉄、酸化クロム、酸化アンチモン、ダイヤモンドなどである。及びこれらの混合物の何れかの砥粒である。その際の砥粒の粒径はブラスト処理の表面状態と同じ理由で2μm〜20μm程度が良い。
均しローラ94の表層には、その上にフッ素樹脂が被覆することで離型性を高める処理を行っても良い。この場合には定着ローラ91の表層よりも、トナー離型性の低い材料を選択する。例えば、定着ローラ91の表層であるPFA樹脂よりもトナー離型性が劣るFEP(フッ化エチレンプロピレン樹脂)などを用いてもよい。またこのフッ素樹脂にチタンフィラー等のフィラーを含有させてもよい。
4)温度検知手段
本実施例において定着装置9に対する大小各種幅サイズの記録材Sの通紙は記録材幅中心の所謂中央基準搬送でなされる。記録材Sについて幅サイズとは、記録材搬送路面内において記録材Sの搬送方向aに対して直交する方向の寸法である。
図3において、Oは記録材Sの中央基準搬送線(仮想線)である。W1は装置9に通紙可能な最大幅サイズの記録材(大サイズ記録材)の通紙域の幅(通紙可能な最大サイズの記録材が通過する第二領域)である。本実施例においては、A3横幅(またはA4縦幅)に対応している。
W2は大サイズ記録材よりも小さい幅サイズの記録材(小サイズ記録材)の通紙域の幅(通紙可能な最小サイズの記録材が通過する第一領域)である。W3・W3は小サイズ記録材を通紙したときにニップ部Nに生じる非通紙域の幅であり、最大サイズ記録材幅W1と小サイズ記録材幅W2との差領域(W3=(W1−W2)/2)である。
定着ローラ91、加圧ローラ92、均しローラ94の長さは何れも大サイズ記録材の通紙域の幅W1よりも大きい。93−1と93−2は定着ローラ91の表面温度を検知する第一温度検知部材としての第一サーミスタと第二温度検知部材としての第二サーミスタである。
第一サーミスタ93−1は通紙可能な最小サイズの記録材が通過する第一領域の温度を検知する。即ち、第一サーミスタ93−1は大小どの幅サイズの記録材についても通紙域となる定着ローラ部分の表面温度を検知するように定着ローラ91の長手方向中央部(中央基準搬送線Oの位置にほぼ対応する定着ローラ部分)に配設されている。
第二サーミスタ93−2は前記第一領域の外であって通紙可能な最大サイズの記録材が通過する第二領域の温度を検知する。即ち、第二サーミスタ93−2は小サイズ記録材を通紙したときの非通紙域となる定着ローラ部分の表面温度を検知するように定着ローラ91の長手方向端部(大サイズ記録材の通紙域W1の境界線よりも少し内側の位置に対応する定着ローラ部分)に配設されている。
第一サーミスタ93−1と第二サーミスタ93−2はそれぞれ定着ローラ91の表面に弾性的に接触させてあるいは非接触に近接対向させて配設されている。そして、第一サーミスタ93−1と第二サーミスタ93−2とで検知される温度(温度に関する電気的情報)がそれぞれA/Dコンバート103・104を介して制御回路部101に入力する。
4)定着動作
均しローラ94は通常時は定着ローラ91から離間している非作用位置94a(図2)に保持されており、また回転も停止している。制御回路部101は画像形成開始信号STの入力に基づいて、定着モータM1をオンする。これにより、定着ローラ91の回転駆動が開始され、加圧ローラ92が従動回転する。また、制御回路部101は電源部102をオンしてヒータ95に電力を供給する。これにより、定着ローラ91の有効全長域に渡る加熱がなされる。そして、第一サーミスタ93−1と第二サーミスタ93−2とで検知される定着ローラ91の温度がそれぞれ制御回路部101に入力する。
制御回路部101の温度制御機能部は、第一サーミスタ93−1から入力する検知温度が所定の画像加熱温度(定着温度)に対応する温度になったら、以後はその温度が維持されるように電源部103からヒータ95に対する供給電力を制御する。即ち、定着ローラ91が所定の画像加熱温度、本実施例においては160℃に加熱されてその温度に温調制御される。
この状態において、画像形成機構部側から定着装置9のニップ部Nに未定着トナー像tを担持した記録材Sが導入されて挟持搬送される。定着ローラタ91が記録材Sの画像担持面に接触する。これにより、記録材Sがニップ部Nで加熱加圧されてトナー像tが記録材Sに固着画像として定着される。
装置9に導入される記録材Sが大サイズ記録材(最大サイズ記録材)である場合は第二サーミスタ93−2で検知される定着ローラ91の温度は第一サーミスタ93−1で検知される定着ローラ91の温度とほぼ同じとなる。装置9に導入される記録材Sが小サイズ記録材であり、それが連続通紙された場合は非通紙域W3が所謂非通紙部昇温現象により昇温していく。そのため、第二サーミスタ93−2で検知される定着ローラ91の温度は第一サーミスタ93−1で検知される温度よりも高くなる。
5)定着ローラ91の均一化処理モード(リフレッシュモード)
定着ローラ91の均一化処理モードは、定着ローラ91を摺擦することによりその表面性を回復させる摺擦部材である均しローラ94による定着ローラ91の摺擦動作(摺動動作)を実行するモードである。
制御回路部101は、通常時は、均しローラ94が定着ローラ91に対して非接触の非作用位置4a(図2)に保持されるように加圧機構99を制御している。制御回路部101は、リフレッシュモード実行時には、均しローラ94が定着ローラ91に対して所定の押圧力で接触した作用位置94b(図4)にシフトされるように加圧機構99を制御する。また、モータM2をオンさせて均しローラ94を回転駆動させる。制御回路部101は、このように均しローラ94を定着ローラ91に対して所望のタイミングで所望の時間、加圧回転駆動することで、定着ローラ91の表面の均しを行う。
均しローラ94は、定着ローラ91に対して所定の押圧力で当接された作用位置94bにシフトされている状態において、モータM2によって定着ローラ91に対して周速差を持って回転駆動される。均しローラ94は、定着ローラ91との当接部(摺擦部)において、それぞれのローラ94・91の表面移動方向が順方向、逆方向のいずれになるように回転させてもよい。本実施例においては、定着ローラ91と均しローラ94との当接部において、定着ローラ91の表面速度よりも2倍の表面速度で均しローラ94が定着ローラ91の回転に順方向に駆動して定着ローラ91を摺擦させている。
均しローラ94が定着ローラ91に対して加圧され、回転駆動されるタイミングは、記録材Sの端部(幅方向端部)のコバや異物によって定着ローラ表面にキズや粗さの異なる個所が発生し、画像上にキズや光沢ムラ等の画像不良が発生した場合である。
この場合には、使用者は操作部105の選択キーにより定着ローラ91の均一化処理モードを選択する。制御回路部101はそのモード選択信号の入力に基づいて定着ローラ91の均一化処理モードを実行する。即ち、モータM2をオンにして均しローラ94を回転駆動させる。また、加圧機構99を制御して均しローラ94を定着ローラ91に対して所定の押圧力で当接された作用位置94bにシフトさせる。これにより、均しローラ94による定着ローラ91の摺擦動作(均一化処理)を所定の時間実行させる。
そして、所定の時間が経過したら制御回路部101は加圧機構99を制御して均しローラ94を定着ローラ91から離間させた非作用位置94bにシフトさせ、またモータM2をオフにして定着ローラ91の均一化処理モードを終了させる。
また、上記の定着ローラ91の均一化処理モードは、装置に対する記録材の通紙枚数によって定期的に自動で実行されてもよい。
次に本発明の特徴について説明する。未定着のトナー像tを記録材Sに定着する時、定着装置9は、記録材Sに圧力及び熱を与える。このとき、定着ローラ91の微小な表面状態が定着後のトナー像の表面に転写される。定着ローラ91上の表面状態が異なると、それに対応してトナー像上に表面状態の差が生じ、その結果、画像上のグロスムラが生じる。この現象は、表面の平滑性が良く、グロスの高いコート紙では顕著になる。オフィスで使用する上質紙等では、通常、視認できないレベルである。
一般に、光沢は正反射光像の再現性が高いと高光沢、再現性が低いか或いは無い状態を低光沢と認識する。例えば、蛍光灯照明下で銀塩写真のような画像を見ると、蛍光灯の光が反射するだけでなく、蛍光灯の形状まで写り込んでいる。そして、意識するかしないかによらず高光沢と認識している。これは、写真画像の表面状態が、凹凸の少ない鏡面状態であることを示している。一方、低光沢の場合は逆のことが言える。そして、低光沢の場合には、画像の表面状態は、凹凸が大きく、蛍光灯の光は乱反射してその形状が画像上に写りこむことはない。このように、画像上の表面状態の凹凸と光沢には相関がある。
従って、特に、高画質を要求される高光沢のコート紙等に画像を定着するような場合には、定着ローラ91のコバ部に対応する位置(荒れた位置)に低光沢のスジが付いたり、通紙域と非通紙域との間にグロス差が生じたりする。即ち、画像上にグロスムラが生じる。そのため均しローラ94は定着ローラ91の表面のキズに対して長手全域を均一な粗さに均すことにより定着ローラ91の表面のキズによるグロスムラを解消すことを目的としている。
例えば、A4サイズの紙を縦送りで画像形成を数100枚行った後、A4サイズのコート紙を横送りで全面のベタ黒の画像形成を行うと図5のようにA4縦幅にスジbが発生する。そのため、長手幅の狭い記録材を所定枚数通紙後に定着ローラ91の均一化処理を行うと効果的となる。
定着ローラ91の長手方向の温度が所定の画像加熱温度、本実施例においては160℃に略均一であるときに定着ローラ91の均一化処理を行うと表面粗さRzが0.5〜1.0μmとなる。しかし、長手幅の狭い記録材を連続で定着動作を行うと、定着ローラ長手方向の非通紙域W3は記録材により熱の奪われが無いため通紙域W2と比較して定着ローラ表面温度が上昇する。
図6は本実施例の定着装置9で、A4サイズの記録材Sを縦送り500枚連続を行った後の定着ローラ表面温度の長手温度分布である。定着ローラ91のA4サイズ縦幅に対応する通紙域W2の温度は定着ローラ長手中央に位置する第一サーミスタ93−1により160℃となるように制御回路部101の温度制御機能部により温度調整されている。しかし、定着ローラ91のA4サイズ縦幅の外側に位置する非通紙域W3では205℃まで温度上昇(非通紙部昇温)していることがわかる。
一方、定着ローラ表面の表層(離型層)91cであるフッ素樹脂(本実施例では、商品名:PFA350J:三井・デュポンフロロケミカル(株))は図7で示すように温度が上がると粘度が低下する特性をもっている。そのため、長手幅の狭い記録材を連続で定着動作を行った後、定着ローラ91の長手方向の温度差が大きい状態で均一化処理を行うべく均しローラ94を加圧すると次ぎのような現象が生じる。即ち、定着ローラ長手温度の違いにより生じる表層91cのフッ素樹脂の粘度差により、非通紙域W3の定着ローラ表面が通紙域W2と比較しより大きく粗らされてしまう。
そのため、記録材のコバ部により発生したグロススジは解消さされるが、通紙域W2と非通紙域W3とで画像上でグロスムラが発生してしまうことがあることが判明した。そこで本発明では、均一化処理を行うときの定着ローラ91の長手温度をコントロールすることが目的である。本来は定着ローラ91の長手温度が略均一状態で均一化処理することよいが、上記のような温度差から略均一になるまでは待ち時間がかかってしまう。
本発明者の検討によると、境界がはっきりしてない状態でコート紙の高グロス(日本電色工業株式会社製ハンディ型光沢計:PG−1M:60°光沢度で50程度)は画像面内のグロス差5以下であればほぼその差を視認することが困難であった。
図6のような通紙域W2と非通紙域W3と温度差で均一化処理を行うと、定着ローラ91の通紙域W2が表面粗さRzは0.5〜1.0μmであるのに対して、高温である非通紙域W3ではその表面粗さRzは1.5〜2.0μmである。その時のグロス差は8程度となり画像上でグロス差を認識できるレベルとなった。
また、定着ローラ91の端部温度(非通紙域W3の温度)が180℃の状態において表面化処理を行うと定着ローラ91の非通紙域W3における表面粗さRzは1.0〜1.5となる。そして、そのグロスが5程度となり、画像上で通紙域W2とのグロス差の視認することが困難であった。そのため本実施例では定着ローラの通紙域である中央が160℃で温調されている状態で、非通紙域である端部との温度差が20℃以下を均一化処理を行う条件とした。
即ち、制御回路部101は均しローラ94による定着ローラ91の摺擦動作を次の条件1と2の下で実行するものとする。条件1:第一サーミスタ93−1で検知される温度TH1が画像加熱温度である。条件2:かつ、第一サーミスタ93−1で検知される温度(検知温度)TH1と第二サーミスタ93−2で検知される温度(検知温度)TH2との温度差(差分)が所定値の値以下である。
均一化処理は一例として次のタイミングで行う。即ち、制御回路部101において、例えば、A3横幅(本実施例において最大通紙幅)よりも小さい幅サイズの記録材が通紙されるときに、幅サイズ毎にその累積通紙枚数をカウントする。そして、或る幅サイズの記録材の累積枚数が所定の値を超えたとき(通常は100枚〜1000枚、例えば、500枚)に、制御回路部101は定着ローラ91の均一化処理モードに移行する。均一化処理モードは、画像形成装置100の画像形成動作を一旦停止させた状態にし、また、定着装置9については定着ローラ91の回転駆動、温調を続行させた状態において移行する。
図8は均一化処理モード時の制御フローを示したフローチャートである。均一化処理モードがスタートすると、制御回路部101は、ステップS1において次の判断をする。即ち、第一サーミスタ93−1から入力する検知温度TH1と第二サーミスタ93−2から入力する検知温度TH2との温度差(差分:TH2−TH1)が所定値の値以下であるかを判断する。本実施例では所定値を20℃にしている。温度差が所定値20℃よりも大きい場合には、所定値20℃以下が検知されるまで、検知温度TH1とTH2の確認と温度差の判断を繰り返えす。
そして、温度差が所定値20℃以下になったと判断すると、ステップS2へ進む。ステップS2では制御回路部101はモータM2をオンにして均しローラ94の回転をスタートする。次にステップS3へ進み、制御回路部101は加圧機構99を制御して均しローラ94を非作用位置94aから定着ローラ91に当接させた作用位置94bにシフトさせる。次にステップS4へ進み、所定時間、本実施例では10sec均し動作を行なう。即ち、均しローラ94による定着ローラ91の摺擦動作が10sec間実行されて、定着ローラ91が均一化処理される。
上記の所定時間が経過したら、ステップS5へ進み、制御回路部101は加圧機構99を制御して均しローラ94を作用位置94bから非作用位置94aにシフトさせる。次にステップS6へ進み、制御回路部101はモータM2をオフにして均しローラ94の回転を終了し均一化処理動作は終了する。その後、制御回路部101は中断している画像形成動作を再開させる。
本実施例において長手幅の小さい記録材を連続通紙し上記の制御行い、長手幅の大きい記録材により定着ローラ91の表面キズ跡、グロスムラの確認を行なった。具体的には、A4サイズ紙(CS−814:坪量80g/m2、キヤノン製)を縦送りで500枚連続で定着動作を行なった後、上記の制御を行う。そして、同一の記録材A4サイズ紙を横送りで2次色であるブルーの全面ベタ画像を定着動作した。その結果、定着ローラ表面のキズによる画像不良及び、グロスムラの無い良好な定着画像を得られることが確認できた。
以上説明したように、均しローラ94により定着ローラ表面の粗さの均一化処理を行なう場合、定着ローラ94の長手温度差を所定温度以内にコントロールすることにより定着ローラ表面の均一な粗しが可能となる。その結果、定着ローラ表面をキズによる画像不良や、定着ローラ表面の粗しムラによるグロスムラを防止し良好な定着画像をえることが可能となる。
<実施例2>
本実施例は定着ローラの長手温度差を均すために温度均一化部材(均熱化手段)を追加することが特徴である。実施例1を実行することにより、記録材のサイズを混載して定着動作を行なう際に生じるダウンタイムを短縮することが目的である。以下に本実施例での定着装置について説明を行なう。なお、実施例1との共通部分に関しては説明を省略する。
図9は本実施例における定着装置9の要部の横断面模式図である。実施例1の図2における定着装置9に更に定着ローラ91の長手温度差を均すために温度均一化部材として均熱化ローラ96を具備させたものである。その他の定着装置構成は実施例1の定着装置と同様である。
均熱化ローラ96は定着ローラ表面のキズなどを改善する均一化処理を行なう際に長手温度差が大きい場合、その温度差を均す時間を短縮するために設置されている。そのため材料としては熱伝導率が高い材料が好ましくは金属、もしくは内面に液体を封入した金属パイプなどが良い。定着ローラ91の有効加熱幅に対応する長さ寸法を有している。本実施例では、均熱化ローラ96は外径φ20mmのアルミから成るローラである。また、表面汚れの付着を防止するめに表層としてフッ素樹脂を20μmコートしている。
均熱化ローラ96は制御回路部101で制御される加圧機構97の揺動支持部材97aに回転可能に保持されている。加圧機構97は、均しローラ94の加圧機構99と同様に、均熱化ローラ96を保持している支持部材97aを揺動動作させる例えば電磁ソレノイド機構、カム−レバー機構などの適宜の揺動動作機構である。
均熱化ローラ96は制御回路部101で制御される加圧機構97により定着ローラ91から離間された2点鎖線示の非作用位置(脱状態)96aと、定着ローラ91に対して所定の押圧力で当接された実線示の作用位置(着状態)96bと、に選択的にシフトされる。即ち、均熱化ローラ96は定着ローラ91に対して着脱可能な構成を有している。
均熱化ローラ96は通常時は定着ローラ91から離間した非作用位置96aに保持されている。そして、均熱化ローラ96は作用位置96bにシフトされることで定着ローラ91に対して長手に沿って接触して定着ローラ91の回転に従動して回転して定着ローラの表面の長手温度を均熱化する。
実施例1では、長手幅の狭い記録材を連続で多量に定着動作を行った後、均一化処理を行う場合には、定着ローラ91の長手の温度差が大きいとその差が所定の温度差内になるまでの待ち時間がかかった(図8のステップS1)。
そこで本実施例では、上記待ち時間の短縮のために、定着ローラ91の長手温度差が所定値よりも大きいと判断されたときには、均熱化ローラ96を作用位置96bにシフトさせて定着ローラの温度差の均一化を行う。
図10は本実施例における均一化処理モード時の制御フローを示したフローチャートである。均一化処理モードがスタートすると、制御回路部101は、ステップS1において、実施例1の場合と同様に第一サーミスタ93−1から入力する検知温度TH1と第二サーミスタ93−2から入力する検知温度TH2との温度差(TH2−TH1)の判断をする。温度差が所定値20℃よりも大きい場合には、ステップS7に進む。ステップS7では制御回路部101は加圧機構97を制御して均熱化ローラ96を非作用位置96aから定着ローラ91に当接させた作用位置96bにシフトさせる。
この状態において、制御回路部101は、第一サーミスタ93−1から入力する検知温度TH1と第二サーミスタ93−2から入力する検知温度TH2との温度差が所定値(20℃)の値以下となるのを待つ(ステップS8)。この待ち時間は、定着ローラ91の温度差が均熱化ローラ96により積極的に均一化されるので実施例1の場合よりも短縮化される。
ステップS8において温度差(TH2−TH1)が所定値(20℃)の値以下と判断されたら、ステップS9へ進み、制御回路部101は加圧機構97を制御して均熱化ローラ96を作用位置96bから非作用位置96aにシフトさせる。
以後は、実施例1の場合と同様に、ステップS2〜S6により均しローラ94による定着ローラ91の均一化処理が実行される。その後、制御回路部101は中断している画像形成動作を再開させる。
本実施例においても、実施例1の場合の通紙試験により定着ローラ表面のキズによる画像不良及び、グロスムラの無い良好な定着画像を得られることが確認できた。また、実施例1では、均一化処理動作がスタートしてから均しローラ94の回転がスタートするまでに約60sec程度の時間がかかっていたが、本実施例2の構成では20sec程度と待ち時間を短縮することができた。
以上説明したように、均しローラ94により定着ローラ表面の粗さの均一化処理を行なう場合、定着ローラ91の長手温度差を所定温度以内コントロールすることにより定着ローラ表面の均一な粗しが可能となる。その結果、定着ローラ表面をキズによる画像不良や、定着ローラ表面の粗しムラによるグロスムラを防止し良好な定着画像をえることが可能となる。
<その他の事項>
1)加熱回転体91はローラ体に限られない。複数の張架部材間に懸回張設されて循環移動される可撓性を有するエンドレスベルト体とすることもできる。
2)加熱回転体91の加熱は内部加熱方式に限られない。加熱回転体91を外部から加熱する外部加熱方式とすることもできる。加熱回転体91の加熱は内部加熱または外部加熱の電磁加熱方式とすることもできる。
3)加熱回転体91とニップ部Nはを形成する加圧部材92はローラ体に限られない。回転可能なエンドレスベルト体にすることもできる。また、表面(加熱回転体91や記録材Sとの当接面)の摩擦係数が小さい非回転部材(加圧パッドなど)の形態にすることもできる。加圧部材92も加熱する構成にすることもできる。
4)摺擦部材94は回転可能なローラ体に限られない。回転可能なエンドレスベルト体にすることもできる。また、パッド体など非回転部材の形態にすることもできる。
5)装置に対する記録材Sの通紙は中央基準搬送に限られない。記録材の幅方向の一方側の側部を基準とする片側基準搬送の装置構成とすることもできる。
6)本発明の画像加熱装置は、実施例のような、記録材に形成された未定着画像を固着画像として加熱定着する定着装置としての使用に限られない。記録材に一旦定着された或いは仮定着された画像(定着済み画像又は半定着画像)を加熱加圧して光沢度を向上させるなどの画像の表面性状を調整する加熱処理装置としても有効である。
100:画像形成装置、9:定着装置、t:画像、S:記録材、N:ニップ部、91:加熱回転体、94:摺擦部材、101:制御手段、93−1:第一温度検知部材、93−2:第二温度検知部材、W2:通紙域、W3:非通紙域

Claims (5)

  1. 所定の画像加熱温度に加熱され、画像を担持した記録材をニップ部にて加熱する加熱回転体と、前記加熱回転体を摺擦することによりその表面性を回復させる摺擦部材と、前記摺擦部材による前記加熱回転体の摺擦動作を実行する制御手段と、通紙可能な最小サイズの記録材が通過する第一領域の温度を検知する第一温度検知部材と、前記第一領域の外であって通紙可能な最大サイズの記録材が通過する第二領域の温度を検知する第二温度検知部材と、を有する画像加熱装置において、
    前記第一温度検知部材による検知温度と前記第二温度検知部材による検知温度との差分が所定値の値以下の場合に前記摺擦動作の実行を可能とすることを特徴とする画像加熱装置。
  2. 前記所定値が20℃であることが特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
  3. 前記加熱回転体は表面に離型層を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像加熱装置。
  4. 前記離型層はフッ素樹脂からなることを特徴とする請求項3に記載の画像加熱装置。
  5. 前記第一温度検知部材で検知される温度と前記第二温度検知部材で検知される温度との温度差が所定値よりも大きい場合において、前記加熱回転体の長手方向の温度を均一化する温度均一化部材を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の画像加熱装置。
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