以下に、実施形態を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施形態は、本発明における最良な実施の形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施形態により限定されるものではない。
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図2は、本発明の実施形態に係る定着装置のための制御装置を搭載した画像形成装置の概略構成を示す断面図である。画像形成装置100は、電子写真方式を用いたフルカラーレーザービームプリンタであり、装置内には、第1、第2、第3、第4の画像形成部Pa〜Pdが併設されている。各画像形成部Pa〜Pdでは、各々異なった色のトナー像が、潜像形成、現像、転写のプロセスを経て形成される。
画像形成部Pa〜Pdは、それぞれ専用の像担持体として、ドラム型の電子写真感光体、即ち、感光ドラム3a〜3dを具備している。各感光ドラム3a〜3dは、図中矢印方向(R1方向)に所定の表面移動速度(周速度)で回転駆動される。これら感光ドラム3a〜3d上に、各色のトナー像が形成される。各感光ドラム3a〜3dに隣接して、中間転写体としての中間転写ベルト130が設置されている。各感光ドラム3a〜3d上に形成された各色のトナー像は、各1次転写部N1a〜N1dで中間転写ベルト130上に1次転写され、2次転写部N2で記録材(シート)P上に2次転写される。
そして、記録材上(シート上)にトナー像が転写されて、記録材Pは定着装置9へと搬送され、定着装置9において記録材Pが加熱及び加圧されることにより、記録材上にトナー像が定着される。その後、記録材Pは、記録画像として装置外に排出される。
各画像形成部Pa〜Pdにおいて、各感光ドラム3a〜3dの周囲には、それぞれ帯電手段としての帯電ローラ2a〜2d、現像手段としての現像器1a〜1dが配置されている。又、各感光ドラム3a〜3dの周囲には、1次帯電手段としての1次転写ローラ24a〜24d、クリーニング手段としてのクリーナ4a〜4dが設けられている。更に、各感光ドラム3a〜3dの図中上方部には、光源装置及びポリゴンミラーを備えた露光手段としてのレーザースキャナーLa〜Ldが設置されている。
感光ドラム3a〜3dは、帯電ローラ2a〜2dによって略一様に帯電される。レーザースキャナーLa〜Ldにおいて、光源装置から発せられたレーザー光が回転するポリゴンミラーによって走査され、その走査光の光束が反射ミラーによって偏向されて、fθレンズにより感光ドラム3a〜3dの母線上に集光される。こうして感光ドラム3a〜3dが露光されることにより、感光ドラム3a〜3d上に画像信号に応じた静電像(潜像)が形成される。
各現像器1a〜1dには、現像剤としてそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが所定量充填されている。各現像器1a〜1dには、供給装置117a〜117dによりトナーが適宜補給される。各現像器1a〜1dは、それぞれ感光ドラム3a〜3d上の潜像を現像して、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像として可視化する。
中間転写ベルト130は、図中矢印A方向に、各感光ドラム3a〜3dと同じ表面移動速度(周速度)で回転駆動されている。例えば、フルカラー画像形成時には、先ず、感光ドラム3a上に第1色のイエロートナー像が形成されて担持される。このイエロートナー像は、感光ドラム3aと中間転写ベルト130とが当接して形成するニップ部(1次転写部)N1aを通過する過程で、中間転写ベルト130の外周面に転写(1次転写)される。
この時、1次転写ローラ24aを介して中間転写ベルト130に1次転写バイアスが印加され、この1次転写バイアスにより形成される電界と、圧力と、によって、感光ドラム3aから中間転写ベルト130にトナー像が転写される。同様に、第2色のマゼンタトナー像、第3色のシアントナー像、第4色のブラックトナー像が、順次、中間転写ベルト130上に重畳して転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。
2次転写部では、2次転写手段としての2次転写ローラ11が、中間転写ベルト130に対向して平行に軸受されている。そして、2次転写ローラ11は、中間転写ベルト130の図中下面部に接触するように配設されている。2次転写ローラ11には、2次転写バイアス電源によって所定の2次転写バイアスが印加されるようになっている。
一方、記録材供給手段において、給紙カセット10からレジストローラ12、転写前ガイド(図示せず)等を通過して、記録材Pが供給される。この記録材Pは、中間転写ベルト130と2次転写ローラ11とが当接して形成するニップ部(2次転写部)に、所定のタイミングで記録材Pが給送される。それと同時に、2次転写バイアスが2次転写バイアス電源から2次転写ローラ11に印加される。この2次転写バイアスにより、中間転写ベルト130上に重畳転写された合成カラートナー画像は、中間転写体130から記録材Pへ転写(2次転写)される。
尚、一次転写が終了した各感光ドラム3a〜3d上に残留するトナー(転写残トナー)は、それぞれのクリーナ4a〜4dにより除去、回収される。こうして、各感光ドラム3a〜3dはクリーニングされて、引き続き次の潜像の形成に供される。又、中間転写ベルト130上に残留したトナー及びその他の異物は、中間転写ベルト130の表面にクリーニングウェブ(不織布)22を当接して、拭い取るようにしている。
そして、2次転写部においてトナー像の転写を受けた記録材Pは、詳しくは後述する定着装置9へ導入される。そして、定着装置9において、記録材Pに熱と圧力とが加えられることで、トナー像が記録材Pに定着される。
(画像加熱装置のための制御装置)
本実施形態において、画像加熱装置としての定着装置を制御する定着装置のための制御装置は、後述する自動モード、ユーザーモードを備える。そして、この制御装置は、本実施形態のように画像形成装置に含まれる場合の他、画像形成部から独立して定着装置を専用機として用いるときの定着装置に設けられる場合を含む。
図3は、本発明の実施形態に係る定着装置のための制御装置の定着および加圧リフレッシュ動作を行わない場合の定着装置9の構成を示す断面図である。定着装置9は、記録材P上の画像を加熱する回転可能な加熱回転体(第1の回転体)としての定着ローラ(加熱定着部材)40を有する。また、定着ローラ40に圧接してニップ部(定着ニップ)を形成する回転可能な加圧回転体(第2の回転体)としての加圧ローラ(加圧定着部材)41を有する。定着ローラ40を、その内部に設けられた加熱源40aで加熱し、定着ニップにおいてトナー像を担持した記録材Pを挟持搬送することにより、トナー像を記録材Pに定着させる。
また、定着ローラ40には接離可能な定着リフレッシュ機構50が設けられており、加圧ローラ41には接離可能な加圧リフレッシュ機構60と分離爪機構70が設けられている。
1.定着ローラ
図3で、定着ローラ40は、金属製の芯軸(基層)40b上に、ゴム層から成る弾性層40cを設け、更にその上に表層として離型層40dを被覆して形成される。本実施形態では、外径68mmのアルミニウムから成る中空芯金上に、弾性層としてゴム硬度20°(JIS−A 1kg加重)のシリコーンゴムを1.0mm成形し、更にその表面に離型層として厚さ50μmのフッ素樹脂を被覆した外径70mmのローラを用いた。
定着ローラ40は、芯金40bの長手方向(回転軸線方向)両端部に設けられた支持部材によって回転自在に支持されており、図示しない駆動手段としてのモータによって図中矢印方向に回転駆動される。
離型層40dとしては、離型性に優れたフッ素樹脂をチューブ状に形成したフッ素樹脂チューブを使用した。フッ素樹脂としては、PFA樹脂(4フッ化エチレン樹脂、パーフロロアルコキシエチレン樹脂の共重合体)、PTFE(4フッ化エチレン樹脂)等が用いられる。本実施形態では、離型層40dとしてPFA樹脂チューブを用いた。定着ローラ40の表層である離型層40dの厚さは、好ましくは、30μm以上100μm以下である。
定着ローラ40は、内部に加熱源としてハロゲンヒータ40aを有している。そして、温度センサ42aと温度制御回路とによって、トナーが記録材Pに定着可能な温度である150〜180℃程度に温調される。この温調温度は記録材Pの種類などによって異なる設定値を持つ。
尚、本実施形態では、定着ローラ40の表面移動速度(周速度)は、220mm/secとした。この定着ローラ40の周速度は、画像形成装置100のプロセススピード(画像出力速度)に相当する。
2.定着ローラの表面状態
ここで、記録材Pの通過による定着ローラ40の表面状態の変化について説明する。記録材通紙時に、記録材のサイドエッジ部と定着ローラ40が接触する位置を、紙コバ部と称する。定着ローラ40の表面が、通紙によるアタックや、紙粉、オフセットトナーなどの汚れにより、徐々に荒れてくるという問題の中で、特に、通紙によるアタックに関して本発明者らが検討したところ、次のことが分かった。
つまり、定着ローラ40に対して一定の位置に記録材が多数枚通紙されると、次のように、定着ローラ40上の荒れ方が異なる。即ち、図8に示すように、(I)通紙域、(II)非通紙域、及び(III)通紙域と非通紙域の境界のコバ部に対応する領域で、定着ローラ40の表面の荒れ方が異なってくる。
表層にフッ素樹脂等の離型層を備えた定着ローラ40の表面は鏡面状態であり、使用初期の状態では、表面粗さはRz(JIS 十点平均粗さ)が0.1μm〜0.3μm程度である。これに対し、上記(I)の定着ローラ40上の記録材が通過する領域(紙の接触領域)では、紙の繊維、内外添剤等のアタックにより、定着ローラ40の表面が徐々に均される。そして、この領域の定着ローラ40の表面粗さRzは0.5μm〜1.0μm程度まで徐々に大きくなっていく
(II)の記録材が通過しない領域(紙の非通紙領域)では、定着ローラの表面40dは対向する加圧ローラの表面41dに当接する。そして、表面粗さRzは0.4μm〜0.7μm程度に落ち着く。以上のように、定着ローラ40は、記録材の通紙によって長手位置により表面状態が異なってしまう。
次に、定着ローラ40の表面状態と画像上のグロスムラに関して説明する。未定着のトナー像を記録材Pに定着する時、定着装置9は、記録材Pに圧力及び熱を与える。このとき、定着ローラ40の微小な表面状態が定着後のトナー像の表面に転写される。定着ローラ40上の表面状態が異なると、それに対応してトナー像上に表面状態の差が生じ、その結果、画像上の光沢ムラ(グロスムラ)が生じる(図8参照)。
一般に、光沢は正反射光像の再現性が高いと、高光沢、再現性が低いか或いは無い状態を低光沢と認識されている。例えば、蛍光灯照明下で銀塩写真のような画像を見ると、蛍光灯の光が反射するだけでなく、蛍光灯の形状まで写り込んで見える。そして、意識するかしないかによらず、高光沢と認識されている。これは、写真画像の表面状態が、凹凸の少ない鏡面状態であることを示している。
一方、低光沢の場合は逆のことが言える。そして、低光沢の場合には、画像の表面状態は、凹凸が大きく、蛍光灯の光は乱反射してその形状が画像上に写りこむことはない。このように、画像上の表面状態の凹凸と光沢には相関がある。
従って、特に、高画質を要求される高光沢のコート紙等に画像を定着するような場合には、定着ローラ40のコバ部に対応する位置(荒れた位置)に低光沢のスジが付いたり、通紙域と非通紙域との間にグロス差が生じたりする。即ち、画像上にグロスムラが生じる。
コバ部(III)と、通紙部(I)及び非通紙部(II)の間で生じるグロス差(ムラ)をコバ傷と称し、通紙部(I)と非通紙部(II)の間で生じるグロス差(ムラ)をグロス段差と称することにする。
コバ部(III)の幅は1〜2mm程度で狭いため、この荒れ方に関わらず、広い領域でのグロスムラとして通紙部(I)と非通紙部(II)の間でのグロス段差の印象は大きい。
3.定着リフレッシュローラ機構
ここで、定着リフレッシュ機構50について説明する。図4で、摺擦部材(第1の摺擦回転体)としてのリフレッシュローラ52は、外径12mmのSUS304(ステンレススチール)の芯金(基材)53上に摺擦層(表層)55を設ける。具体的には、接着層(中間層)54を介して、摺擦材としての砥粒を密に接着して形成した摺擦層(表層)55を設けたものである。
図7は、リフレッシュローラ52の断面を模式的に拡大して示したものである。リフレッシュローラ52の表層の摺擦層33を構成する摺擦材55としては、以下の材料及びこれらの混合物の何れかの砥粒を接着層54で接着処理したもの等が挙げられる。上記材料としては、酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化チタン、ジルコニア、リチウムシリケート、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化鉄、酸化クロム、酸化アンチモン、ダイヤモンド等が挙げられる。
本実施形態では、摺擦材55として、アルミナ(酸化アルミニウム)系(「アランダム」又は「モランダム」とも称される)のものを用いた。アルミナ系は最も幅広く用いられる砥粒で、定着ローラ40に比べて十分硬度が高く、鋭角形状のため切削性に優れており、本実施形態における摺擦材55として好適である。また、粒径は5μm以上20μm以下の粒子構成される、5μm以上20μm以下の厚さを有する層である。この構成がリフレッシュ効果と、定着ローラ表面性の両立ができる範囲であった。
リフレッシュローラ52は、芯金53の長手方向(回転軸線方向)両端部に設けられた支持部材によって回転自在に支持されている。リフレッシュローラ52は、図4に示すように駆動手段としてのモータ54によって回転駆動可能とされている。又、リフレッシュローラ52の長手方向両端部の支持部材が付勢手段としての加圧バネ(図示せず)によってそれぞれ付勢されることによって、リフレッシュローラ52は、加圧ローラ41に所定の圧力で加圧される。
これにより、リフレッシュローラ52と定着ローラ40との間に、それぞれの表面移動方向において所定幅の摺擦ニップが形成される。リフレッシュローラ52は、リフレッシュローラ52と定着ローラ40との当接部(摺擦部)において、それぞれの表面移動方向が順方向、逆方向のいずれになるように回転させても良い。そして、リフレッシュローラ52は、定着ローラ40に対して着脱機構51によって接離可能に配置されている。
4.加圧ローラ
図3で、加圧ローラ41は、金属製の芯軸(基層)41b上に、ゴム層から成る弾性層41cを設け、更にその上に表層として離型層41dを被覆して形成される。本実施形態では、外径48mmのアルミニウムから成る中空芯金上に、弾性層としてゴム硬度20°(JIS−A 1kg加重)のシリコーンゴムを2.0mm成形し、更にその表面に離型層として厚さ50μmのフッ素樹脂を被覆した外径50mmのローラを用いた。加圧ローラ41は、芯金40bの長手方向(回転軸線方向)両端部に設けられた支持部材によって回転自在に支持されている。
又、加圧ローラ41の長手方向両端部の支持部材が付勢手段としての加圧バネ(図示せず)によってそれぞれ付勢されることによって、加圧ローラ41は、定着ローラ40に所定の圧力で加圧されている。これにより、定着ローラ40と加圧ローラ41との間に、それぞれの表面移動方向において所定幅の定着ニップが形成される。本実施形態では、加圧ローラ41は、定着ローラ40に対して総圧800Nで加圧される。
加圧ローラ41は、内部に加熱源としてハロゲンヒータ41aを有している。そして、温度センサ42bと温度制御回路とによって、両面の定着動作時の1面目と2面目の光沢差が広がらない温度で、かつ定着ローラを加圧によって大きく温度を下げない範囲で、設定される。本実施形態の場合は90〜110℃に温調される。温調温度を大きく上回る場合は、不図示の冷却ファン等によって、温調温度を目標に冷却される。この温調温度は記録材Pの種類などによって異なる設定値を持つ。
5.加圧ローラの表面状態
ここで、記録材Pの通過による加圧ローラ41の表面状態の変化について説明する。記録材通紙時に、記録材のサイドエッジ部と加圧ローラ41の接触する位置を、紙コバ部と称する。加圧ローラ41の表面が、通紙によるアタックや、紙粉、オフセットトナーなどの汚れにより、徐々に荒れてくるという問題の中で、特に、紙粉の付着に関して本発明者らが検討したところ、次のことが分かった。
定着ニップを記録紙が通過すると、微量だが、記録紙上の紙粉成分である炭酸カルシウム等が部材表層に付着する。フッ素樹脂で構成される部材表層は離型性に優れるので、通常は紙粉が堆積することは少ないが、加圧ローラは前述のように比較的低温で温調を保っている。定着ローラ40はトナーを定着することで、紙粉成分は多少付着しても、トナー表面に戻っていくと考えられるが、加圧ローラ41では、トナー表層はほとんど溶融しないため、紙粉は加圧ローラ41表層に付着したままとなる。
そして一定量以上の紙粉が付着すると付着部の離型性が大きく低下するため、加速度的に紙粉が表面に堆積することになる。
図9は、(III)紙コバ部近傍を拡大した部分の紙粉付着のイメージ図である。さらにこの部分の紙粉付着が進行した際に、グロスコート紙のブラック単色画像を両面通紙した際の1面目の光沢度を測定し、測定値を加圧ローラ41の対応した位置に重ねた。このように、紙粉付着部では加圧ローラ41表面粗さが低下する点と、定着性(トナーに対する熱の伝わり方)が劣化するため、対応する位置の画像の光沢が大きく低下する。
6.分離爪機構
ここで、分離部材としての分離爪機構70について説明する。図5に示すように分離爪71は加圧ローラ41近傍設けられ、図10に示すよう加圧ローラ41の長手に沿って、複数設置されている。この分離爪71は、記録材が加圧ローラ41側に沿って排紙される際に、分離爪71が加圧ローラ41に接していることで、加圧ローラ41への巻き付きを防止している。
記録材の剛度が高ければ、定着ニップ出口で加圧ローラ41に巻き付きにくくなるため、一定の剛度以上の記録材は分離爪の加圧ローラ41への接触は不要である。そこで、着脱機構72によって加圧ローラ41表面に対して接離可能に配置されている。本実施形態では、記録材の剛度は正確に把握できないため、記録材のコート紙か否かと坪量の関係で、分離爪71の着脱動作を区分した。
また、両面プリント時のように加圧ローラ41側にトナー画像面がある場合は、トナーの付着力が働くため、加圧ローラ面に記録材が巻き付きやすくなる。トナー画像面が加圧ローラ側にある可能性のある両面プリント時は、2面目定着時であるため、以下の表1(本発明の分離爪着脱条件の設定値の表)に示すような関係で、分離爪71の着脱動作を行うことにした。普通紙とは非コート紙の上質紙や再生紙のことであり、その他とはプラスチックフィルムやOHTなどのコート紙の区分から外れる記録紙を総称した。
7.加圧リフレッシュ機構
ここでは、加圧リフレッシュ機構60について説明する。図5で、摺擦部材(第2の摺擦回転体)としてのリフレッシュローラ62は、外径12mmのSUS304(ステンレススチール)の芯金(基材)53上に摺擦層(表層)55を設ける。具体的には、接着層(中間層)54を介して、摺擦材としての砥粒を密に接着して形成した摺擦層(表層)55を設けたものである。
図7は、リフレッシュローラ62の断面を模式的に拡大して示したものである。リフレッシュローラ62の表層の摺擦層33を構成する摺擦材55としては、以下の材料及びこれらの混合物の何れかの砥粒を接着層54で接着処理したもの等が挙げられる。上記材料としては、酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化チタン、ジルコニア、リチウムシリケート、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化鉄、酸化クロム、酸化アンチモン、ダイヤモンド等が挙げられる。
本実施形態では、摺擦材55として、アルミナ(酸化アルミニウム)系(「アランダム」又は「モランダム」とも称される)のものを用いた。アルミナ系は最も幅広く用いられる砥粒で、加圧ローラ41に比べて十分硬度が高く、鋭角形状のため切削性に優れており、本実施形態における摺擦材55として好適である。
また、粒径は5μm以上20μm以下の粒子構成される、5μm以上20μm以下の厚さを有する層である。この構成がリフレッシュ効果と、加圧ローラ表面性の両立ができる範囲であった。
リフレッシュローラ62は、芯金53の長手方向(回転軸線方向)両端部に設けられた支持部材によって回転自在に支持されている。リフレッシュローラ62は、図6に示すように駆動手段としてのモータ64によって回転駆動可能とされている。又、リフレッシュローラ62の長手方向両端部の支持部材が付勢手段としての加圧バネ(図示せず)によってそれぞれ付勢されることによって、リフレッシュローラ62は、加圧ローラ41に所定の圧力で加圧される。
これにより、リフレッシュローラ62と加圧ローラ41との間に、それぞれの表面移動方向において所定幅の摺擦ニップが形成される。リフレッシュローラ62は、リフレッシュローラ62と加圧ローラ41との当接部(摺擦部)において、それぞれの表面移動方向が順方向、逆方向のいずれになるように回転させても良い。そして、リフレッシュローラ62は、加圧ローラ41に対して着脱機構61によっている接離可能に配置される。
8.定着ローラと加圧ローラの表層変化の差異
以上述べてきたように、定着ローラ40と加圧ローラ41は、異なった理由で表層の状態が変化する。一般に、定着ローラ40の方が加圧ローラ41よりも高温に温調され、定着ローラ40はトナーを融解させて記録材に定着させる必要がある。そのため、表面の粗さの変化が画像上の光沢性に反映されやすい。そのため、加圧ローラ41上では目立ちにくい紙コバ部のキズも、定着ローラ40上では画像の光沢ムラとして認識され易くなる。
また、本実施形態のように高光沢で高画質の画像を形成する定着装置の場合は、定着ローラ40には分離爪を接触させずに運用することが一般的である。その場合、加圧ローラ41の分離爪キズのみが問題となる。
また、紙粉については1枚当りの量がごく微量であるため、トナーの定着が行われる定着ローラ40表面には紙粉が付着しにくい。これに対して、加圧ローラ41表面の場合、プリント時は記録材にトナー画像が形成されない面が加圧ローラ表面に当たるため、紙粉が付着し易い。そして、微量でも薄く紙粉が表層に溜まると、加圧ローラ41表層の離型成が大きく低下するので、紙粉やトナーが付着し易くなる。
以上のように、異なった理由で表層の状態が変化する定着ローラ40と加圧ローラ41では、各ローラ表層を摺擦するために異なるフローでリフレッシュ(摺擦判断)動作を行いたいと考えた。
9.リフレッシュ動作
本実施形態では、上述したように3つのムラをリフレッシュローラ52、62を用いて改良する。1つ目のムラは、記録材Pのコバ部通過により定着ローラ40表面についた傷が画像上に転写されることによって発生するグロスムラである。2つ目のムラは、分離爪の接触回転により加圧ローラ41についた傷が画像上に転写されることによって発生するグロスムラである。また、3つ目のムラは、記録材Pの通過により付着した紙粉等により加圧ローラ41の表面性が劣化することによって発生するグロスムラである。
このような3つのムラを、リフレッシュローラ52、62を用いて改良するように、定着リフレッシュ機構50と加圧リフレッシュ機構60を定着装置のための制御装置で制御する。即ち、リフレッシュローラ52、62により、定着ローラ40及び加圧ローラ41上の長手方向全域に細かい摺擦傷を付けることで、表面状態の凹凸の差を無くする。さらに、加圧ローラ41の表層に付着した微量な紙粉等をかき取る。これにより、定着ローラ40及び加圧ローラ41により、画像上に転写される低光沢のスジや通紙域と非通紙域のグロス段差を解消するものである。
また、リフレッシュローラ52、62で、定着ローラ40及び加圧ローラ41上に付けた傷を細かい多数の摺擦傷とすることで、この摺擦傷が画像上では視認不可能となる。具体的には、表層にフッ素樹脂等の離型層を備えた定着ローラ40及び加圧ローラ41において、記録材の非通紙領域の表面粗さRzは0.1μm〜0.3μm程度、記録材の通紙領域の表面粗さRzは0.5μm〜2.0μm程度である。これに対して、紙コバ部、分離爪接触部、紙粉等の付着による表面性劣化部の表面粗さRzは1.0〜4.0μm程度である。
したがって、リフレッシュローラ52、62により、定着ローラ40及び加圧ローラ41につける摺擦傷の表面粗さRzが0.5μm以上2.0μm以下となるようにした。尚、表面粗さ(十点平均粗さ)Rzは、(株)小坂研究所の表面粗さ測定器SE−3400を使用し、測定条件として送り速さ:0.5mm/s、カットオフ:0.8mm、測定長さ:2.5mmで測定した。
リフレッシュローラ52、62は、画像形成中も常に定着ローラ40及び加圧ローラ41を摺擦しつづける必要は無い。例えば、通紙カウンタを備えて、通紙枚数によって定期的に自動で摺擦動作を実行しても良い。また、ユーザーが画像上のグロスムラが気になるときに摺擦動作を実行できるように、ユーザーモードとして画像形成装置100の操作部に実行ボタンを設けても良い。そのために、本実施形態の定着装置9は、定着ローラ40及び加圧ローラ41に対してリフレッシュローラ62を接離可能とする離接手段有している。
図3、図4に示すように、定着リフレッシュ機構50は、制御手段であるコントローラ53によって着脱機構51を動作させ、リフレッシュローラ52を定着ローラ40に当接または離間させる。また、コントローラ53は、リフレッシュローラ53の回転駆動力を伝達するモータ54の動作を制御し、所定時間リフレッシュローラ52を回転するようになっている。
また、図3、図5に示すように、加圧リフレッシュ機構60は制御手段であるコントローラ63によって着脱機構61を動作させ、リフレッシュローラ62を加圧ローラ41に当接または離間させる。また、コントローラ63は、リフレッシュローラ63の回転駆動力を伝達するモータ64の動作を制御し、所定時間リフレッシュローラ62を回転するようになっている。
このように、本実施形態では、定着リフレッシュ機構50により定着ローラ40に対して離接可能な構成を有し、加圧リフレッシュ機構60により加圧ローラ41に対して離接可能な構成を有する。そして、通常の画像形成時の離間状態から、所望のタイミングで所望の時間だけ当接状態とすることで、定着ローラ40及び加圧ローラ41の表面を改良することができる。
尚、本実施形態ではリフレッシュローラ52、62に回転駆動力を伝達する手段としてモータ54、64を設けたが、例えば、駆動ギアによって加圧ローラ41から回転駆動力が伝達されても良い。
10.リフレッシュローラの表面汚れ
図11は画像データの濃度が約0.5の単色ハーフトーン画像を形成したA4サイズの記録材を500枚通紙する毎に、リフレッシュ動作を5秒間実行した際のリフレッシュローラ52、62表層の表面粗さRzの推移を示したものである。
「定着部材-プリント時」とは、定着ローラ40に対してのリフレッシュ動作をプリント中に実行した場合である。「定着部材-スタンバイ時」とは、定着ローラ40に対してのリフレッシュ動作をスタンバイ中(プリント動作を一時中断)に実行した場合である。「加圧部材-プリント時」とは、加圧ローラ41に対してのリフレッシュ動作をプリント中に実行した場合である。「加圧部材-スタンバイ時」とは、加圧ローラ41に対してのリフレッシュ動作をスタンバイ中(プリント動作を一時中断)に実行した場合である。
リフレッシュローラの表層の粗さが低下すると、リフレッシュ能力も低下する。定着ローラ40及び加圧ローラ41の表層の表面状態を改良するためには、リフレッシュローラ52、62の表面粗さRzが7〜8μm以上必要であることが実験の結果分かっている。この値を基準にすると、加圧ローラ41のリフレッシュローラ62においては、プリント中にリフレッシュ動作を実行した場合とスタンバイ中にリフレッシュ動作を実行した場合とでほとんど変化がない。
しかし、定着ローラ40のリフレッシュローラ52においては、プリント中にリフレッシュ動作を実行した場合は、スタンバイ中にリフレッシュ動作を実行した場合の1/3以下の10万枚弱の通紙で基準値以下になっていることが分かる。
この表面粗さの低下は、定着ローラ40表層にオフセットしたトナーや紙粉などがリフレッシュローラ52の表面に詰まることで起きている。また、粗さの低下したリフレッシュローラ52の表面にトナーの色が着色していた。この結果から、定着ローラ40のリフレッシュ動作は、スタンバイ時に実行する場合と比較し、プリント時に実行すると、リフレッシュローラ表面に汚れが付着するために表面粗さの低下が大きいことが検証できた。
従って、定着ローラ40のリフレッシュ動作は一旦プリントを終了してから実行することが望ましいことが分かる。即ち、定着ローラ40のリフレッシュ動作は記録材をニップ部(定着ニップ部)へ通過させるジョブを中断して行うことが好ましいことが分かる。なお、記録材をニップ部(定着ニップ部)へ通過させるジョブを中断する替りに、このような連続したジョブの間(ジョブ間)で行っても良い。
これに対して、加圧ローラ41のリフレッシュ動作は、プリント中に実行する場合と、スタンバイ中に実行する場合でほとんど差がなかった。したがって、加圧ローラのリフレッシュ動作はプリント中に実行しても問題ないと判断した。
加圧ローラ41の表面がプリント中に汚れない理由は、以下の通りであると考えられる。記録材のトナーは定着ローラ40と加圧ローラ41とで形成される定着ニップ間で加熱されることで融解し、記録材に定着される。その際に、ほとんどのトナーが記録材側に定着されるが、一部のトナーは定着ローラ40側に付着することが一般的に知られている。これをホットオフセットと呼ぶ。このホットオフセットは、トナーと接触する定着ローラ40の温度が高いほど、トナー表面が高温なり過融解することで、トナー同士の接着力が弱くなるために、定着ローラ40側にオフセットしやすくなる。
一方、加圧ローラ41は、片面プリントの場合は画像が形成されていない面が加圧ローラ41と接触するため、ホットオフセットは無い。また、両面プリントの場合は、1面目で一度定着された画像面が加圧ローラ41と接触するが、加圧ローラ41の温調温度が定着ローラ40の温度と比較して非常に低い。そして、一度定着処理された画像は強固に固着したトナー面であるため、加圧ローラ41側にはトナーがホットオフセットしにくい。
11.リフレッシュ実行フロー(自動モード)
図13は、本実施形態の自動モードおよび後述するユーザーモードに関連するブロック図である。各信号が制御系(制御手段)としてのCPU81で処理され、モータやヒータの制御が行われる。このCPU81は、画像の光沢性を改良するモードの実行命令(信号)を取得する取得手段としても機能する。図12の自動モードにおけるフローチャートと表2(各リフレッシュ実行判定閾値の表)を用いて本実施形態の自動モードにおけるリフレッシュ実行フローを説明する。
ここで、自動モードは、後述するユーザーモード(入力手段としての操作部に設けられたキー操作のためのキーであるリフレッシュボタンが押される毎にCPU81がリフレッシュ動作の内容を判断し逐次実行)と異なる。自動モードでは、カウンタのカウント値が閾値に達する毎に、自動的にリフレッシュ動作を判断し実行する。
図12で、定着ローラ40のコバ傷のリフレッシュ動作が(1)〜(7)のフロー、加圧ローラ41の紙粉等を掻き取るリフレッシュ動作が(1)、(8)、(9)、(13)〜(15)のフローである。また、加圧ローラ41の分離爪71接触により発生する爪キズのリフレッシュ動作が(10)〜(15)のフローで実行される。
プリントが開始されると、(1)定着装置9を記録材が通過したことを検知し、(2)通紙された記録材幅に対応する紙幅枚数カウンタ100(図13)をA4(210mm)搬送長さに換算した枚数で加算する。例えば、A3タテサイズ(420mm)の記録材を通紙の場合は幅297mmの紙幅枚数カウンタが、A4搬送長さ2枚分の+2加算されることになる。そして、紙幅カウンタの何れかの値が、コバ傷発生枚数閾値以上になった場合は、(4)のフローに進み、定着リフレッシュが実行される。コバ傷発生枚数閾値未満であれば、プリントが継続される限り、(1)〜(3)のフローを繰り返す。
(1)の後に、加圧リフレッシュに関する(8)のフローも並行して行われる。これは、紙粉の汚れ対策なので、画像加熱処理されたシートの枚数(画像加熱処理回数)である記録材の通紙枚数(記録材幅に対応しない)をカウントする動作である。(2)と同様にA4搬送長さ換算の枚数を枚数カウンタに加算する。
そして、(9)通紙枚数のカウンタ値が紙粉汚れ発生の閾値以上の場合は、(13)のフローに進む。ここで、(3)と同様に(4)〜(7)のフローに進んでも成り立つが、プリントジョブを一旦止めることになるために、プリンタの生産性の低下につながってしまう。そのため、できる限り、プリントは継続して、その間に処理を実行することがより望ましい。
プリントが開始された後に、(10)の処理も実行される。これは分離爪キズの対策を行うものだが、記録材の通紙枚数基準でない理由は、爪キズの劣化程度は爪が加圧ローラ41に接触して、どのくらいの走行距離を通過したかに依るからである。つまり、加圧ローラ41の回転速度が一定の場合は、分離爪71が加圧ローラ41に接触して表面を通過した距離が、加圧ローラ41の表面の荒れの進行に比例する。
分離爪71は、記録材が定着ニップから排紙される前に加圧ローラ41に接触完了し、記録材が定着ニップを通過するまで接触状態にある。このとき、記録材の通紙枚数と、分離爪の加圧ローラ41への接触時間はいわゆる比例関係にならずに、紙間の長さや、1回のプリントジョブの枚数によって変動する。また、定着装置の構成によっては、記録材の先端が定着ニップ部を抜けるときにのみ分離爪が加圧ローラに接触していれば良いこともある。この場合は、通紙枚数に対して相対的に短い時間の接触時間で成り立つことになる。
当然、通紙枚数を基準にしたカウンタを設けても良いが、分離爪が接触状態で加圧ローラが回転した時間を基準に制御を行った方が、より精度が高くなる。以上の理由から、(10)で分離爪71が加圧ローラ41に接触した状態で加圧ローラ41が回転しているときのみ、(11)爪着時間カウンタを加算している。そして、(12)爪着時間カウンタのカウント値が分離爪キズ発生の閾値以上であれば、(9)と同様に(13)以降のプリント中リフレッシュ動作に進む。
次に、(4),(13)より下の動作を説明する。(4)〜(7)はプリント動作を一旦中断して行う処理である。(4)で各記録材幅カウンタ値から、定着リフレッシュ必要時間を計算する。ここで、定着リフレッシュの目的は紙コバ傷であるため、紙コバの荒れ方の一番程度が大きい部分を基準にリフレッシュ時間が決定されることになる。この場合は、3000枚でコバ傷発生枚数の閾値に達するので、60秒間のリフレッシュ動作を行うことになる。
次に(5)で加圧ローラリフレッシュの実施時間も計算する。これは、プリントを停止させるならば、定着リフレッシュのみではなく加圧のリフレッシュも同時に実行しても、生産性に更なる影響はないからである。
もちろん加圧リフレッシュをこのタイミングで実行しなくても、プリント中に実行可能である。しかし、少数部数のプリントの繰り返しのみの場合などに、プリント中に加圧リフレッシュ動作を実行しきれない場合が考えられるため、動作可能な状況があれば実行する動作とした。各リフレッシュの実行時間が計算されたら、(6)プリントを中断し、定着装置9から最終の記録材が抜けた後に(7)定着リフレッシュと加圧リフレッシュの動作を実行する。
一方、(13)〜(15)はプリント中にリフレッシュ動作を行う処理である。(13)で通紙カウンタと爪着時間カウンタから加圧リフレッシュ必要時間を計算する。そして(14)加圧リフレッシュの実行を許可して、(15)加圧リフレッシュを実行する。
12.ユーザーモード
本実施形態では、前述した自動モードとは別に、ユーザー(使用者)が画像上のグロスムラが気になったときリフレッシュ動作できるように、ユーザーモードを設けている。図14は画像形成装置100の操作部150を示す図である。
151は、プリント開始を指示するプリントスタートボタンである。152は、初期設定モードに戻すリセットボタンである。153は、設定枚数等の数値を入力するテンキーボタンである。154は、入力した数値をクリアするクリアボタンである。155は、プリント中にプリントを停止させるストップボタンである。156は、各種モードの設定やプリント状態を表示するタッチパネルである。157は、ユーザーモードに入るためのユーザーモードボタンである。
ユーザーがユーザーモードボタン157を押すと、図14に示すようにタッチパネル156に各種モードが表示される。そして、操作パネルとしてのタッチパネル156に表示されたリフレッシュモードを選択すると、図15に示すようにリフレッシュUI画面にタッチパネル156の表示に切り替る。そして、リフレッシュボタン160をタッチすることによって、画像の光沢性を改良するモードの実行命令がリフレッシュボタン160に対応する受信手段としての取得手段で取得され、後述するリフレッシュ動作が開始される。尚、リフレッシュUI画面からユーザーモードに戻る場合は、キャンセルボタン161をタッチする。
13.ユーザーモードのリフレッシュ(摺擦処理)動作
図1のフローチャートを用いて、本実施形態に係るユーザーモードのリフレッシュ実行フローを説明する。(1)リフレッシュUI画面が表示された状態のとき、(2)画像形成装置100がスタンバイ中であればリフレッシュ動作の実行が許可される。次に(3)画像の光沢性を改良するモードの実行命令を取得する取得手段(入力手段)としてのリフレッシュボタン160が押されると、以下が行われる。即ち、定着ローラ40及び加圧ローラ41に対してリフレッシュ動作を実行するかどうかを、制御手段としてのCPU81(図13)が判断するために、(4)リフレッシュカウンタの値を確認する。
ここでリフレッシュカウンタとは、一つ目として上述したリフレッシュ実行フロー(自動モード)の定着ローラ49に対してリフレッシュ動作を実行する際に閾値判断を行った紙幅枚数カウンタである。また、二つ目として加圧ローラ41のリフレッシュ動作を実行する際に閾値判断を行った通紙枚数カウンタである。更に、三つ目として加圧ローラ41のリフレッシュ動作を実行する際に閾値判断を行った爪着時間カウンタである。
(5)リフレッシュボタン160が押されたとき、すべてのリフレッシュカウンタの値が閾値の10%未満である場合は、定着ローラ40及び加圧ローラ41に対して、表3に示す最低時間のリフレッシュ動作を実行する。即ち、定着ローラに対し5秒、かつ加圧ローラに対し2秒のリフレッシュ動作を実行する。
ここで、双方のローラに関するリフレッシュ(摺擦処理)を行う理由は、リフレッシュ動作の対象として定着ローラ40及び加圧ローラ41のいずれか明らかでない状況であり、リフレッシュ動作の禁止でなく実行が定着改善につながると期待されるからである。そして、その後、(6)リフレッシュUI画面に表示されていたリフレッシュボタン160がグレーアウト表示させて、(7)リフレッシュモードを終了する。
一方、リフレッシュボタン160が押されたとき、(4)リフレッシュカウンタの値を確認し、リフレッシュカウンタのいずれかが閾値の10%以上である場合は、定着ローラ40及び加圧ローラ41に対してリフレシュ動作を実行するかどうか判断する。即ち、(8)定着ローラに関して閾値の10%未満であるか否か、(9)加圧ローラに関して閾値の10%未満であるか否かを判断するフローを実行する。
そして、定着ローラに関して閾値の10%未満である場合は定着ローラのリフレッシュ(摺擦処理)は禁止し、加圧ローラのみリフレッシュ(摺擦処理)を行う。また、加圧ローラに関して閾値の10%未満である場合は加圧ローラのリフレッシュ(摺擦処理)は禁止し、定着ローラのみリフレッシュ(摺擦処理)を行う。ここで、一方のローラに関するリフレッシュ(摺擦処理)を禁止する理由は、リフレッシュ動作の対象として定着ローラ40及び加圧ローラ41のいずれかが明らかな状況であり、他方のローラのリフレッシュ(摺擦処理)による短寿命化を防ぐためである。
そして、定着ローラおよび加圧ローラに関して閾値の10%以上である場合は、定着ローラおよび加圧ローラに関してリフレッシュ(摺擦処理)を行う。これらのリフレッシュ動作におけるリフレッシュの実行時間については、表3に示す。即ち、リフレッシュボタン160が押されたとき、紙幅枚数カウンタが300枚と3000枚の間のカウント値である場合は、定着ローラの摺擦処理を5秒から60秒の間でカウント値に応じた秒数にて行う。
また、リフレッシュボタン160が押されたとき、通紙枚数カウンタが50枚から500枚の間のカウント値である場合もしくは爪着時間カウンタが30秒から300秒である場合は、加圧ローラの摺擦処理を2秒から10秒の間でカウント値に応じた秒数にて行う。なお、カウント値に応じた秒数として、カウント値に応じて複数の段階を設けて各段階の中では一定の秒数とし、カウント値がより高い段階になるに従い多い秒数となるようにすることもできる。
リフレッシュ動作が完了後は、リフレッシュ(摺擦処理)動作が実行されたローラのリフレッシュカウンタは0(ゼロ)にリセットされる。即ち、摺擦処理が実行された回転体が定着ローラの場合は紙幅枚数カウンタをゼロにリセットする。また、摺擦処理が実行された回転体が加圧ローラの場合は通紙枚数カウンタおよび爪着時間カウンタをゼロにリセットする。その後、(6)リフレッシュUI画面に表示されていたリフレッシュボタン160がグレーアウト表示させて、(7)リフレッシュモードを終了する。
このように、ユーザーモードでは、定着ローラ40、加圧ローラ41のいずれに対してリフレッシュ動作を実行するかどうかを自動判定する。そして、リフレッシュの対象となるローラに対するリフレッシュのレベル(程度)としての摺擦時間(実行時間)を自動判断(自動設定)する。これにより、ユーザーがリフレッシュボタン160を押すだけで、定着ローラ40及び加圧ローラ41に対して最適なリフレッシュ動作を実行できる。そして、リフレッシュ動作を実行すべきローラを間違えることが無くなり、簡単且つ正確にリフレッシュ動作を実行できる。
14.メンテナンスモード
本実施形態では、画像形成装置100の保守・点検等を行うサービスエンジニアがリフレッシュ動作を実行できるように、メンテナンスモードを設けている。図16(a)に示すように、サービスエンジニアはテンキーボタン153で暗証番号を入力することによって、タッチパネル156にメンテナンスモードを表示させる。
サービスエンジニアは、定着ローラ40及び加圧ローラ41の表層の表面状態を確認し、リフレッシュ動作を実行すべきローラを判断する。そして、リフレッシュ動作を実行すべきローラのリフレッシュ実行ボタン170を押し、対象のローラに対してリフレッシュ動作を実行する。本実施形態では、各ローラのリフレッシュ実行時間を表3に示す最低時間に設定した。その後、画像形成装置100から出力される画像を確認しながらリフレッシュ動作を繰り返し、各ローラの表面状態を改良する。
また、リフレッシュローラ52、62の耐久寿命が交換必要な枚数に達していた場合は、図16(b)に示すようにタッチパネル156の各ローラのリフレッシュボタンをグレーアウト表示するようにした。
このように、保守・点検等を行うサービスエンジニアがリフレッシュ動作を実行できるように、メンテナンスモードを設けることによって、定着ローラ40及び加圧ローラ41の表層の表面状態をメンテナンスできる。また、リフレッシュローラ52、62の交換要否を簡単にできるようになる。
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、ユーザーがユーザーモードで定着ローラと加圧ローラの表層をリフレッシュするときに、一つの実行ボタン(キーの押下げ動作)でリフレッシュ動作を実行すべき定着ローラ及び加圧ローラを自動判別できる。したがって、リフレッシュすべき部材の選択ミスやリフレッシュを実行しすぎることによって発生する定着ローラ及び加圧ローラの表層傷を防止できる。
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について述べたが、本発明はこれに限定されず、本発明の範囲内で種々変形することができる。
(変形例1)
上述した実施形態では、ユーザーの指示に依らない自動モードの他に、ユーザーの指示に依るユーザーモードを備えたが、ユーザーモードとしては上述したもの限られない。ユーザーがUI画面やPC画面でリフレッシュ動作の実行を指示する時、リフレッシュすべきローラを自動判別し、逐次、リフレッシュ動作を行わせるものであれば良い。例えば、操作パネルの無いプリンタとして、ホストコンピュータ(PC)の画面(PC画面)からLANケーブルや無線で実行を指示するものでも良い。
(変形例2)
画像の光沢性を改良するモードとしては、元の状態に100%戻す(復活させる)場合の他、元の状態に対し例えば80〜90%程度に戻す(復活させる、改善する、修復する)場合でも良い。