JP4220904B2 - フタロシアニン化合物、その製造方法、およびこれを含有する光記録媒体 - Google Patents

フタロシアニン化合物、その製造方法、およびこれを含有する光記録媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP4220904B2
JP4220904B2 JP2003567982A JP2003567982A JP4220904B2 JP 4220904 B2 JP4220904 B2 JP 4220904B2 JP 2003567982 A JP2003567982 A JP 2003567982A JP 2003567982 A JP2003567982 A JP 2003567982A JP 4220904 B2 JP4220904 B2 JP 4220904B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
formula
substituted
represented
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003567982A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2003068865A1 (ja
Inventor
和浩 清野
真一 中川
伝美 三沢
智之 木下
明宏 高坂
博 寺尾
洋二郎 熊谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
BASF Schweiz AG
Original Assignee
Ciba Holding AG
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ciba Holding AG filed Critical Ciba Holding AG
Publication of JPWO2003068865A1 publication Critical patent/JPWO2003068865A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4220904B2 publication Critical patent/JP4220904B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09BORGANIC DYES OR CLOSELY-RELATED COMPOUNDS FOR PRODUCING DYES, e.g. PIGMENTS; MORDANTS; LAKES
    • C09B47/00Porphines; Azaporphines
    • C09B47/04Phthalocyanines abbreviation: Pc
    • C09B47/08Preparation from other phthalocyanine compounds, e.g. cobaltphthalocyanineamine complex
    • C09B47/18Obtaining compounds having oxygen atoms directly bound to the phthalocyanine skeleton
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09BORGANIC DYES OR CLOSELY-RELATED COMPOUNDS FOR PRODUCING DYES, e.g. PIGMENTS; MORDANTS; LAKES
    • C09B47/00Porphines; Azaporphines
    • C09B47/04Phthalocyanines abbreviation: Pc
    • C09B47/08Preparation from other phthalocyanine compounds, e.g. cobaltphthalocyanineamine complex
    • C09B47/12Obtaining compounds having alkyl radicals, or alkyl radicals substituted by hetero atoms, bound to the phthalocyanine skeleton
    • C09B47/16Obtaining compounds having alkyl radicals, or alkyl radicals substituted by hetero atoms, bound to the phthalocyanine skeleton having alkyl radicals substituted by nitrogen atoms
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B7/00Recording or reproducing by optical means, e.g. recording using a thermal beam of optical radiation by modifying optical properties or the physical structure, reproducing using an optical beam at lower power by sensing optical properties; Record carriers therefor
    • G11B7/24Record carriers characterised by shape, structure or physical properties, or by the selection of the material
    • G11B7/241Record carriers characterised by shape, structure or physical properties, or by the selection of the material characterised by the selection of the material
    • G11B7/242Record carriers characterised by shape, structure or physical properties, or by the selection of the material characterised by the selection of the material of recording layers
    • G11B7/244Record carriers characterised by shape, structure or physical properties, or by the selection of the material characterised by the selection of the material of recording layers comprising organic materials only
    • G11B7/246Record carriers characterised by shape, structure or physical properties, or by the selection of the material characterised by the selection of the material of recording layers comprising organic materials only containing dyes
    • G11B7/248Record carriers characterised by shape, structure or physical properties, or by the selection of the material characterised by the selection of the material of recording layers comprising organic materials only containing dyes porphines; azaporphines, e.g. phthalocyanines

Description

【0001】
技術分野
本発明は、光ディスク記録材料、情報記録、表示センサー、光カード等のオプトエレクトロニクス関連に有用である新規なフタロシアニン化合物、その製造方法、およびそれを記録層に含有して形成される光ディスク等の光記録媒体に関する。
【0002】
背景技術
近年の急速な情報化社会の進展に伴い、磁気記録媒体に比べ格段に高密度記録が可能な光情報記録媒体の利用・研究が盛んに行われている。この光情報記録媒体としては、あらかじめ情報が記録されており再生のみが可能な再生専用型、利用者によって情報の記録および再生が可能な追記型、および情報の記録・再生・消去が可能な書換え型が知られている。なかでも追記型は、一般に安価で保存性に優れるため、大量のデータをコンパクトに保存しておく媒体として広く普及しつつある。
【0003】
この追記型の光情報記録媒体は、有機色素を記録層とし且つ記録層の上に金属の反射層を設け、更にこの上に保護層を設けた単板型のCD−R(CD−Recordable)や張合型のDVD−R(DVD−Recordable)が一般的であり、広く普及している。
【0004】
このCD−R又はDVD−Rは、基板側から照射されるレーザー光により記録層有機色素を変化させ情報を信号として記録するものであり、記録装置としては、高出力半導体レーザーを用いたライターが、また情報記録のためのソフトウェアが、各種市販されている。近年、CD−Rの記録装置に関して、通常の記録速度よりも32倍〜52倍速以上もの高速で記録する装置が多数市販されてきている。また、DVD−Rに関しても4倍速以上の高速で記録する装置が市販されつつある。高速で記録する場合、通常用いられる書込み時間よりも短時間で記録がなされる一方、より高パワーのレーザー照射が必要となるため、記録再生特性に求められるマージンがより一層狭くなってしまう。特に通常の記録速度では顕在化しなかったジッター特性の悪化、レーザーへの負荷が増大するという問題点が指摘されてきた。
【0005】
これに対して記録層色素の熱分解挙動・発熱挙動の観点から、特開平09−058123号公報、特開平10−188341号公報、特開平11−025504号公報などのように、レーザー照射により記録層色素の熱分解挙動を一段階で起こさせ、かつ分解の減量速度を上げる、あるいは発熱ピークをシャープなものにする等によって、高速記録に対しても短時間でより形状の整ったシャープなピットを形成させるという試みがなされてきた。ただし、これらの文献では、特定の金属アゾ色素、あるいはシアニン色素を用いることによって、あるいは色素にクエンチャーを添加することで色素の熱分解挙動を改善させるというものであるが、十分な改善効果は得られていない。
【0006】
一方、記録層色素組成物にメタロセン誘導体及び/あるいはフェロセン誘導体を添加/あるいは結合して導入しようとする試みは、特開平7−098887号公報以来、特開平8−118800号公報、特開平11−70732号公報、WO97/23354、WO00/09522等で言及されている。
【0007】
特開平7−098887号公報、特開平8−118800号公報、及び特開平11−70732号公報では、メタロセン誘導体及び/あるいはフェロセン誘導体などの有機金属化合物が色素の熱分解特性及び記録特性に大きな効果があると言及している。さらに特開平11−70732号公報のカラム0012では該メタロセン誘導体及び/あるいはフェロセン誘導体など有機金属化合物の添加効果が、記録層の安定や耐光性向上のために添加される一重項酸素クエンチャーとして用いられる遷移金属キレート化合物とは明らかに異なる効果を示す旨の記載がなされている。
【0008】
また、WO97/23354、WO00/09522では記録層色素骨格の側鎖、あるいは中心金属のアキシャル置換基にメタロセン誘導体及び/あるいはフェロセン誘導体を化学結合させることによって、色素回収/リサイクル時の煩わしさを改善できる等の記載がされている。
【0009】
高速記録特性を良好化させるために、メタロセン誘導体及び/あるいはフェロセン誘導体などの有機金属化合物を作用させることが、熱分解挙動を改善させる最良の方策であることは本発明者らによっても従来から確認されてきた。
【0010】
ただし、さらなる昨今の高速記録において求められる、より高い感度とジッター特性は、単にメタロセン誘導体及び/あるいはフェロセン誘導体などの有機金属化合物を混合添加、あるいは単に結合するだけで完全に抑えられず、必ずしも再生専用のCDとの互換が十分ではない場合があった。
【0011】
一方、メタロセン化合物の結合工程には多段階を要し、製造コストアップの問題もあった。
【0012】
発明の開示
本発明は、このような問題を解決し、高速記録してもCD再生機との互換性を高めた光情報記録媒体用色素を安価に提供することを目的とする。
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、メタロセン誘導体及び/あるいはフェロセン誘導体を下記に示すような結合基によりフタロシアニン化合物と結合させることにより、高速記録時において十分な記録感度と同時にジッター値の低減に効果が発揮されることを見出した。
【0014】
さらには、本発明に係るフタロシアニン化合物又はその混合物(化合物/混合物)は下記製造方法により、安価に製造することが可能であることを見出した。
【0015】
すなわち、本発明は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。
(1) 下記一般式(I)で表わされるフタロシアニン化合物。
【0016】
【化9】
Figure 0004220904
【0017】
〔式(I)中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の一置換金属原子又は4価の二置換金属原子又はオキシ金属を表し、L,L,L及びLは、それぞれ独立に式(a)、式(b)、式(c)、
【0018】
【化10】
Figure 0004220904
【0019】
(式(a)、式(b)、式(c)中、Xは置換又は無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、置換又は無置換の総炭素数1〜6のアルキル基、置換又は無置換の総炭素数6〜10のアリール基を表し、Aはカルボニル基、チオカルボニル基、スルフォン基、スルフィン基又はカルボイミドイル基を表し、Yはメタロセン化合物又はその誘導体の残基を表し、Zはそれぞれ独立に水素原子、ニトロ基又はハロゲン原子を表す。)を表し、L〜Lのうち、少なくとも1つは(a)又は(b)を表す。〕
【0020】
(2) 前記式(I)においてMがCuであり、前記L〜Lのうち、少なくとも一つは式(a−1)で表され、少なくとも一つは式(c−1)で表されることを特徴とする(1)記載のフタロシアニン化合物。
【0021】
【化11】
Figure 0004220904
【0022】
(3) 前記式(I)においてMがCuであり、前記L〜Lのうち、少なくとも一つは式(b−1)で表され、少なくとも一つは式(c−1)で表されることを特徴とする(1)記載のフタロシアニン化合物。
【0023】
【化12】
Figure 0004220904
【0024】
(4) 下記一般式(II)で表されるフタロシアニン化合物からなる混合物。
【0025】
【化13】
Figure 0004220904
【0026】
[式(II)中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の一置換金属原子又は4価の二置換金属原子又はオキシ金属を表し、L’,L’,L’及びL’は、それぞれ独立に式(a)、式(b)、式(c)、
【0027】
【化14】
Figure 0004220904
【0028】
(式(a)、式(b)、式(c)中、Xは置換又は無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、置換又は無置換の総炭素数1〜6のアルキル基、置換又は無置換の総炭素数6〜10のアリール基を表し、Aはカルボニル基、チオカルボニル基、スルフォン基、スルフィン基又はカルボイミドイル基を表し、Yはメタロセン化合物又はその誘導体の残基を表し、Zはそれぞれ独立に水素原子、ニトロ基又はハロゲン原子を表す。)を表す。但し、すべてのL’〜L’が式(c)であるフタロシアニン化合物のみからなる混合物を除く。〕
【0029】
(5) 下記一般式(III)
【0030】
【化15】
Figure 0004220904
【0031】
[式(III)中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の一置換金属原子又は4価の二置換金属原子又はオキシ金属を表し、L”,L”,L”及びL”は、それぞれ独立に式(c)、
【0032】
【化16】
Figure 0004220904
【0033】
(式(c)中、Xは置換又は無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基を表し、Zはそれぞれ独立に水素原子、ニトロ基又はハロゲン原子を表すが、L”〜L”のうち、少なくとも一つはZが水素原子である。)〕で表されるフタロシアニン化合物に、
N−CHO基を有する化合物とハロゲン化剤から調製されるヴィルスマイヤー錯体を反応させ、フタロシアニン化合物のインモニウム塩を合成した後、下記一般式(IV)
R’−NH (IV)
(式(IV)中、R’は水素原子、総炭素数1〜4の無置換アルキル基、総炭素数6〜15の置換又は無置換のアリール基を表す。)で表される塩基性化合物を添加し、
さらに下記一般式(V)
Y−A−NH (V)
(式(V)中、Aはカルボニル基、チオカルボニル基、スルフォン基、スルフィン基又はカルボイミドイル基を表し、Yはメタロセン化合物又はその誘導体の残基を表す。)で表される化合物を反応させることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物/混合物の製造方法。
【0034】
(6) (1)〜()のいずれか1項記載のフタロシアニン化合物/混合物を記録層に含有する光記録媒体。
【0035】
〔発明を実施するための最良の形態〕
以下、本発明について詳しく説明する。
【0036】
[フタロシアニン化合物]
まず、本発明のフタロシアニン化合物について以下に好ましい態様を詳述する。
【0037】
式(a)〜(c)中、Xとして表される基の具体例としては、置換又は無置換の炭素数1〜10の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、置換又は無置換の炭素数1〜10の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基、置換又は無置換の炭素数1〜15の直鎖、分岐又は環状のアルキルチオ基、置換又は無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のアリールチオ基が挙げられる。
【0038】
置換又は無置換の総炭素数1〜10の直鎖、分岐又は環状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−iso−プロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、3−メチル−1−iso−プロピルブチル基、2−メチル−1−iso−プロピルブチル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、2−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基等の無置換のアルキル基、
2−クロロエチル基、3−ブロモプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基等のハロゲノ基で置換されたアルキル基、
2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、1−エトキシ−2−プロピル基、3−メトキシプロピル基、3−メトキシブチル基、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル基、1,3−ジエトキシ−2−プロピル基等のアルコキシ基で置換されたアルキル基、
2−ジメチルアミノエチル基、2−ジエチルアミノエチル基、2−ジブチルアミノエチル基、2−ジエチルアミノプロピル基等のアミノ基で置換されたアルキル基、1、3−ジエチルチオ−2−プロピル基等のアルキルチオ基で置換されたアルキル基等が挙げられる。
【0039】
置換又は無置換の総炭素数1〜10の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、iso−プロポキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、neo−ペンチルオキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、1−iso−プロピルプロポキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、2−メチル−1−iso−プロピルプロポキシ基、1−エチル−3−メチルブトキシ基、3−メチル−1−iso−プロピルブトキシ基、2−メチル−1−iso−プロピルブトキシ基、1−t−ブチル−2−メチルプロポキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等の無置換のアルコキシ基、
2−クロロエトキシ基、3−ブロモプロポキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシ基等のハロゲノ基で置換されたアルコキシ基、
2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、1−エトキシ−2−プロポキシ基、3−メトキシプロポキシ基、3−メトキシブトキシ基、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメトキシ基、1,3−ジエトキシ−2−プロポキシ基等のアルコキシ基で置換されたアルコキシ基、
2−ジメチルアミノエトキシ基、2−ジエチルアミノエトキシ基、2−ジブチルアミノエトキシ基、2−ジエチルアミノプロポキシ基等のアミノ基で置換されたアルコキシ基、1,3−ジエチルチオ−2−プロポキシ基等のアルキルチオ基で置換されたアルコキシ基等が挙げられる。
【0040】
置換又は無置換の総炭素数1〜15の直鎖、分岐又は環状のアルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、iso−プロピルチオ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、neo−ペンチルチオ基、1,2−ジメチルプロピルチオ基、シクロヘキシルチオ基、1,3−ジメチルブチルチオ基、1−iso−プロピルプロピルチオ基、1,2−ジメチルブチルチオ基、1,4−ジメチルペンチルチオ基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピルチオ基、1−エチル−3−メチルブチルチオ基、3−メチル−1−iso−プロピルブチルチオ基、2−メチル−1−iso−プロピルブチルチオ基、1−t−ブチル−2−メチルプロピルチオ基、2−メチルペンチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基等の無置換のアルキルチオ基、
2−クロロエチルチオ基、3−ブロモプロピルチオ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルチオ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピルチオ基等のハロゲノ基で置換されたアルキルチオ基、
2−メトキシエチルチオ基、2−エトキシエチルチオ基、2−ブトキシエチルチオ基、1−エトキシ−2−プロピルチオ基、3−メトキシ−プロピルチオ基、3−メトキシブチルチオ基、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチルチオ基、1,3−ジエトキシ−2−プロピルチオ基等のアルコキシ基で置換されたアルキルチオ基、2−ジメチルアミノエチルチオ基、2−ジエチルアミノエチルチオ基、2−ジブチルアミノエチルチオ基、2−ジエチルアミノプロピルチオ基等のアミノ基で置換されたアルキルチオ基、1,3−ジエチルチオ−2−プロピルチオ基等のアルキルチオ基で置換されたアルキルチオ基等が挙げられる。
【0041】
置換又は無置換のアリールオキシ基の具体例としてはフェニルオキシ基、2−クロロフェニルオキシ基、3−クロロフェニルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、2−ブロモフェニルオキシ基、3−ブロモフェニルオキシ基、4−ブロモフェニルオキシ基、2−メチルフェニルオキシ基、3−メチルフェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、2−クロロ−3−メチルフェニルオキシ基、3−クロロ−4−エチルフェニルオキシ基、2−メトキシフェニルオキシ基、3−メトキシフェニルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基、4−クロロ−3−メトキシフェニルオキシ基、4−メチル−3−メトキシフェニルオキシ基、2−メチルアミノフェニルオキシ基、2−ジメチルアミノフェニルオキシ基、2−エチルアミノフェニルオキシ基、2−(メチルエチルアミノ)フェニルオキシ基、2−ジエチルアミノフェニルオキシ基、2−プロピルアミノフェニルオキシ基、2−ジプロピルアミノフェニルオキシ基、3−メチルアミノフェニルオキシ基、3−ジメチルアミノフェニルオキシ基、3−エチルアミノフェニルオキシ基、3−(メチルエチルアミノ)フェニルオキシ基、3−ジエチルアミノフェニルオキシ基、3−プロピルアミノフェニルオキシ基、3−ジプロピルアミノフェニルオキシ基、4−メチルアミノフェニルオキシ基、4−ジメチルアミノフェニルオキシ基、4−エチルアミノフェニルオキシ基、4−(メチルエチルアミノ)フェニルオキシ基、4−ジエチルアミノフェニルオキシ基、4−プロピルアミノフェニルオキシ基、4−ジプロピルアミノフェニルオキシ基等が挙げられる。
【0042】
置換又は無置換のアリールチオ基の具体例としてはフェニルチオ基、2−クロロフェニルチオ基、3−クロロフェニルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、2−ブロモフェニルチオ基、3−ブロモフェニルチオ基、4−ブロモフェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、3−メチルフェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、2−クロロ−3−メチルフェニルチオ基、3−クロロ−4−エチルフェニルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、3−メトキシフェニルチオ基、4−メトキシフェニルチオ基、4−クロロ−3−メトキシフェニルチオ基、4−メチル−3−メトキシフェニルチオ基、2−メチルアミノフェニルチオ基、2−ジメチルアミノフェニルチオ基、2−エチルアミノフェニルチオ基、2−(メチルエチルアミノ)フェニルチオ基、2−ジエチルアミノフェニルチオ基、2−プロピルアミノフェニルチオ基、2−ジプロピルアミノフェニルチオ基、3−メチルアミノフェニルチオ基、3−ジメチルアミノフェニルチオ基、3−エチルアミノフェニルチオ基、3−(メチルエチルアミノ)フェニルチオ基、3−プロピルアミノフェニルチオ基、3−ジプロピルアミノフェニルチオ基、4−メチルアミノフェニルチオ基、4−ジメチルアミノフェニルチオ基、4−エチルアミノフェニルチオ基、4−(メチルエチルアミノ)フェニルチオ基、4−ジエチルアミノフェニルチオ基、4−プロピルアミノフェニルチオ基、4−ジプロピルアミノフェニルチオ基等が挙げられる。
【0043】
Mで表される2価金属の例としては、Cu(II)、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Ru(II)、Rh(II)、Pd(II)、Pt(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ti(II)、Be(II)、Ca(II)、Ba(II)、Cd(II)、Hg(II)、Pb(II)、Sn(II)など、1置換3価金属の例としては、Al−Cl、Al−Br、Al−F、Al−I、Ga−Cl、Ga−F、Ga−I、Ga−Br、In−Cl、In−Br、In−I、In−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、Tl−F、Al−C、Al−C(CH)、In−C、In−C(CH)、In−C10、Mn(OH)、Mn(OC)、Mn[OSi(CH]、FeCl、RuClなどが挙げられる。2置換の4価金属の例としては、CrCl、SiCl、SiBr、SiF、SiI、ZrCl、GeCl、GeBr、GeI、GeF、SnCl、SnBr、SnI、SnF、TiCl、TiBr、TiF、Si(OH)、Ge(OH)、Zr(OH)、Mn(OH)、Sn(OH)、TiR 、CrR 、SiR 、SnR 、GeR [Rはアルキル基、フェニル基、ナフチル基およびその誘導体を表す]、Si(OR,Sn(OR、Ge(OR、Ti(OR、Cr(OR[Rはアルキル基、アルキルカルボニル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基およびその誘導体を表す]などが挙げられる。オキシ金属の例としては、VO、MnO、TiOなどが挙げられる。
【0044】
式(c)中、Zで表される基の具体例としては、水素原子、ニトロ基、およびフッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子が挙げられ、好ましくは、水素原子、臭素原子が挙げられる。
【0045】
式(a)または(b)中、Aで表される具体例としては、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフォン基、スルフィン基又はカルボイミドイル基が挙げられ、より好ましくは、カルボニル基、チオカルボニル基が挙げられる。カルボイミドイル基は置換されていても良く、これら置換されたカルボイミドイル基としてはN−メチルカルボイミドイル基、N−フェニルカルボイミドイル基、N−メトキシカルボイミドイル基、N−ヒドロキシカルボイミドイル基等が挙げられる。
【0046】
式(a)または(b)中、Yで表されるメタロセン化合物又はその誘導体の残基としては、具体的には、Fe(Cp)(但しCpはシクロペンタジエニル基を表す)、Co(Cp)、Ni(Cp)、Ru(Cp)、Os(Cp)、Mn(Cp)、Cr(Cp)、W(Cp)、V(Cp)、Sc(Cp)、Y(Cp)、La(Cp)、Ce(Cp)、Pr(Cp)、Nd(Cp)、Sm(Cp)、Gd(Cp)、Er(Cp)、Tm(Cp)、Yb(Cp)、シクロペンタジエニルマンガノセントリカルボニル等のメタロセン化合物、チタノセンジフェノキシド、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニルチタニウム、シクロペンタジエニルマンガノセントリカルボニル等の置換金属を有するメタロセン化合物残基などが挙げられ、より好ましくは、Fe(Cp)が挙げられ、これらのメタロセン化合物残基は、アルキル基、アリール基、アシル基により置換されていてもよい。
【0047】
式(b)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、置換又は無置換の総炭素数1〜6のアルキル基、置換又は無置換の総炭素数6〜10のアリール基が挙げられるが、より好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基等の無置換のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基が挙げられる。
【0048】
(フタロシアニン混合物の規定)
本発明のフタロシアニン混合物は、下記一般式(II)で表されるフタロシアニン化合物からなる混合物であり、好ましくは本発明による製造方法で得られる混合物が挙げられる。
【0049】
【化17】
Figure 0004220904
【0050】
[式(II)中、M、L’〜L’は前記の通り。]
具体的には、
L’〜L’すべてが(c)で表されるフタロシアニン化合物(C)、
L’〜L’のうち1つが(a)残り3つが(c)で表されるフタロシアニン化合物(A)、L’〜L’のうち2つが(a)残り2つが(c)で表されるフタロシアニン化合物(A2)、L’〜L’のうち3つが(a)残り1つが(c)で表されるフタロシアニン化合物(A3)、L’〜L’の4つすべてが(a)で表されるフタロシアニン化合物(A4)、
L’〜L’のうち1つが(b)残り3つが(c)で表されるフタロシアニン化合物(B)、L’〜L’のうち2つが(b)残り2つが(c)で表されるフタロシアニン化合物(B2)、L’〜L’のうち3つが(b)残り1つが(c)で表されるフタロシアニン化合物(B3)、L’〜L’の4つすべてが(b)で表されるフタロシアニン化合物(B4)、
L’〜L’のうち1つが(a)、1つが(b)、残り2つが(c)で表されるフタロシアニン化合物(AB)、
L’〜L’のうち2つが(a)、1つが(b)、残り1つが(c)で表されるフタロシアニン化合物(A2B)、
L’〜L’のうち1つが(a)、2つが(b)、残り1つが(c)で表されるフタロシアニン化合物(AB2)、
L’〜L’のうち2つが(a)、2つが(b)で表されるフタロシアニン化合物(A2B2)、
L’〜L’のうち3つが(a)、1つが(b)で表されるフタロシアニン化合物(A3B)、
L’〜L’のうち1つが(a)、3つが(b)で表されるフタロシアニン化合物(AB3)、
のうち、いずれか2種以上を含有する混合物が挙げられるが、
より好ましくは、
L’〜L’すべてが(c)で表されるフタロシアニン化合物(C)、
L’〜L’のうち1つが(a)残り3つが(c)で表されるフタロシアニン化合物(A)、L’〜L’のうち2つが(a)残り2つが(c)で表されるフタロシアニン化合物(A2)、
L’〜L’のうち1つが(b)残り3つが(c)で表されるフタロシアニン化合物(B)、
L’〜L’のうち2つが(b)残り2つが(c)で表されるフタロシアニン化合物(B2)、
L’〜L’のうち1つが(a)、1つが(b)、残り2つが(c)で表されるフタロシアニン化合物(AB)を含有する混合物が挙げられる。
【0051】
なお、混合物を構成している各種フタロシアニン化合物は、L’〜L’において2つ以上の(a)を含む場合、X、A,Yがそれぞれ異なっても良く、2つ以上の(b)を含む場合、X、A,Y、Rがそれぞれ異なってもよく、2つ以上の(c)を含む場合、X、Zがそれぞれ異なっても良い。
【0052】
また、L’〜L’の置換基の相対位置の相異による構造体、式(a)、式(b)および式(c)のユニット(XとZ)の向きの相異による構造体なども上記の各種化合物/混合物に当然含まれる。
【0053】
(製造法)
本発明のフタロシアニン化合物/混合物は、途中の取出し工程を要さず製造することができ、製造方法の一例として、下記の方法が挙げられる。
【0054】
下記一般式(III)
【0055】
【化18】
Figure 0004220904
【0056】
[式(III)中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の一置換金属原子又は4価の工置換金属原子又はオキシ金属を表し、L”,L”,L”及びL”は、それぞれ独立に式(c)、
【0057】
【化19】
Figure 0004220904
【0058】
(式(c)中、X,Zは前記の意味を示す。)で表されるフタロシアニン化合物に、N−CHO基を有する化合物とハロゲン化剤から調製されるヴィルスマイヤー錯体を反応させ、フタロシアニン化合物のインモニウム塩を合成した後、下記一般式(IV)
R’−NH (IV)
(式(IV)中、R’は水素原子、総炭素数1〜4の無置換アルキル基、総炭素数6〜15の置換又は無置換のアリール基を表す。)で表される塩基性化合物を添加し、
さらに下記一般式(V)
Y−A−NH (V)
(式(V)中、Aはカルボニル基、チオカルボニル基、スルフォン基、スルフィン基又はカルボイミドイル基を表し、Yはメタロセン化合物又はその誘導体の残基を表す。)で表される化合物を反応させることにより得られる。
【0059】
ここで原料として使用するフタロシアニン化合物(III)は、例えば、特開平5−247363号記載の公知の方法により製造することができる。
【0060】
ヴィルスマイヤー錯体は、N−CHO基を有する化合物と、ハロゲン化剤により調製されるが、N−CHO基を有する化合物と、ハロゲン化剤を直接、あるいは溶媒中に混合して調製した後、上記フタロシアニン化合物(III)の溶媒溶液中に添加してもよく、あるいは上記フタロシアニン化合物(III)の溶媒溶液中にそれぞれを装入して系内で発生させてもよい。
【0061】
N−CHO基を有する化合物の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N,N−ジイソプロピルホルムアミド等が挙げられ、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド等が挙げられる。
【0062】
ハロゲン化剤の具体例としては、オキシ塩化リン(塩化ホスホリル等)、ホスゲン、塩化チオニル、塩化オキサリル、トリフェニルホスフィン・臭素、ヘキサクロロトリホスファザトリエン等が挙げられ、好ましくは塩化ホスホリル、ホスゲン、塩化オキサリルが挙げられる。
【0063】
ヴィルスマイヤー錯体調製時、及びインモニウム塩合成時に用いられる溶媒としては、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン等の極性溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。
【0064】
調製されるヴィルスマイヤー錯体の量は、モル基準で上記フタロシアニン化合物に対して、1〜30モル比、好ましくは1〜15モル比であり、使用されるN−CHOを有する化合物、およびハロゲン化剤の使用量は、それぞれ1−1000モル比および1−30モル比であり、好ましくは1−50モル比および1−15モル比である。
【0065】
また、本反応においては、N−CHOを有する化合物を溶媒として使用してもよい。
【0066】
ヴィルスマイヤー錯体調製時、及びインモニウム塩合成時の反応温度は、−50〜80℃、好ましくは−10〜50℃である。
【0067】
反応時間は、ヴィルスマイヤー錯体をあらかじめ調製する場合は、5分〜10時間好ましくは30分〜3時間、その後のインモニウム塩の合成には1〜96時間が好ましく、さらに好ましくは3〜36時間である。また、ヴィルスマイヤー錯体を系内で生成させる場合でも1〜96時間が好ましく、さらに好ましくは3〜36時間である。
【0068】
添加される一般式(IV)で表される塩基性化合物の具体例としては、アンモニア、アルキルアミン、アリールアミンが挙げられ、好ましくはアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン、アニリン、2−メチルアニリン等のアリールアミンが挙げられ、より好ましくはアンモニアが挙げられる。
【0069】
添加される塩基性化合物の量は、ヴィルスマイヤー錯体とフタロシアニン化合物の反応生成物であるインモニウム塩、および過剰のヴィルスマイヤー錯体、ハロゲン化剤が消失する迄過剰に添加するのが良く、好ましくは使用したハロゲン化剤に対して1−100倍モルであり、より好ましくは2−30倍モルである。
【0070】
添加する場合には、一度に添加してもよいが、中和反応が伴い、発熱反応であることから、冷却しながら徐々に添加するのが好ましく、塩基性化合物が液体の場合には滴下、ガスである場合には導入管を用いてバブリングして添加するのが好ましい。
【0071】
反応温度は、−50〜80℃、好ましくは−10〜50℃である。
反応時間は、塩基性化合物の添加時間にもよるが、30分〜30時間、好ましくは1〜6時間である。
【0072】
メタロセン化合物又はその誘導体の残基を有する一般式(V)であらわされる化合物の添加量は、前記塩基性化合物の添加により合成されるイミン体が十分に反応するまで添加するのが良く、好ましくはフタロシアニン化合物に対して1−30倍モル、好ましくは、1−10倍モルである。添加は、一度に添加しても分割して添加してもよい。
【0073】
また、反応をスムーズに行うため、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒を添加してもよい。
【0074】
反応温度は0℃〜溶媒の還流温度であり、好ましくは20℃〜溶媒の還流温度である。
反応時間は30分〜72時間が好ましく、さらに好ましくは2〜24時間である。
【0075】
また、一般式(V)の化合物を添加する前に、塩基性化合物(IV)を添加した際に副生成する無機塩を濾別除去してから行ってもよい。
【0076】
後処理としては、反応後に溶媒を留去するか、又は/且つ反応液をフタロシアニン化合物に対する貧溶媒に排出して析出物を濾取することにより本発明のフタロシアニン化合物/混合物が得られる。
【0077】
また、これを再結晶あるいはカラムクロマトグラフィーにより精製することで、高純度のフタロシアニン化合物を得ることもできる。
【0078】
一方、精製して得られた高純度のフタロシアニン化合物を他のフタロシアニン化合物/混合物に添加して用いたり、得られたフタロシアニン化合物/混合物同士をさらに混合して用いることもできる。
【0079】
本発明の一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物/混合物の好ましい具体例を下記表−1〜表−4に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0080】
【表1】
Figure 0004220904
【0081】
【表2】
Figure 0004220904
【0082】
【表3】
Figure 0004220904
【0083】
【表4】
Figure 0004220904
【0084】
【表5】
Figure 0004220904
【0085】
[光情報記録媒体]
本発明の光情報記録媒体は、必要に応じてプリグルーブ(案内溝)を形成した透明な基板の上にレーザー光を吸収してピットを形成する記録層が設けられており、その記録層の上に反射率を増大させるための反射層が設けられており、さらにその上に記録層および反射層を保護するための保護層が設けられているものである。該保護層が接着層として2層張合せ構造になっていてもよい。
【0086】
上記基板の材質としては、半導体レーザーの光を実質的に透過し、通常の光記録媒体に用いられる材料ならばいかなるものも使用できる。たとえば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アモルファスポリオレフィンなどの高分子材料、あるいはガラスなどの無機材料等を利用できる。必要に応じて、ポリカーボネート樹脂等を射出成形によって、あるいは2P法などによってプリグルーブを形成した基板とする。これらの基板の形状は板状でもフィルム状でも良く、又円形やカード状でもよい。また、基板表面には記録位置を表す案内溝や記録位置を表すピットや一部再生専用の情報等のためにピットを有していてもよい。
【0087】
本発明の記録層は、λmaxが650nm〜900nm付近に存在する本発明のフタロシアニン化合物/混合物を含有する。
【0088】
一般に有機色素は、波長λに対し、屈折率nと消衰係数kが大きく変化する特徴がある。レーザー波長における屈折率nが1.8より小さい値になると正確な信号読み取りに必要な反射率と信号変調度が得られず、またkが0.40を越えても反射率が低下して良好な再生信号が得られないだけでなく、再生光により信号が変化しやすく実用に適さない。この特徴を考慮して、目的とするレーザー波長において好ましい光学定数を有する有機色素を選択し記録層を成膜することで、高い反射率を有し、かつ、感度の良い媒体とすることができる。
【0089】
本発明で使用する本発明のフタロシアニン化合物/混合物は、吸光係数が高く、また中心金属、置換基の選択により吸収波長域を任意に選択できるため、前記レーザー光の波長において記録層に必要な光学定数(nが1.8以上、且つ、kが0.04から0.40であり、好ましくは、nが2.0以上、且つ、kが0.04〜0.20)を満足する極めて有用な化合物である。
【0090】
ここで、記録層における本発明のフタロシアニン化合物/混合物の含有量は、30%以上、好ましくは60%以上である。尚、実質的に100%であることも好ましい。
【0091】
本発明における記録層を設ける方法は、例えば、スピンコート、蒸着、スパッタリング等の手段によって成膜することが出来るが、成膜の容易さ、及びグルーブ部とランド部の色素膜厚コントロールのしやすさの点からはスピンコート法が簡便で好ましい。
【0092】
スピンコート法等の塗布法を用いる場合には、本発明のフタロシアニン化合物/混合物を1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%となるように溶媒に溶解あるいは分散させた塗布液を用いる。この場合、溶媒は基板にダメージを与えない溶剤、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂肪族や脂環式炭化水素系、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジペンチルエーテル等のエーテル系等の非極性溶剤や、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、ジアセトンアルコール、フッ素系アルコール、アリルアルコール、メチルセロソルブ等のアルコール系の極性溶剤等が挙げられ、これらの溶剤は1種又は、2種以上を混合して用いてもよい。
【0093】
さらに、第二溶剤を添加する場合は、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、ブチルベンゼン、クメン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、テトラリン、p−シメン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等の溶剤が、基板溝(グルーブ)に対して十分なレベリング機能を有するため好ましく、混合比率は0.1−20体積%の範囲で調合塗布されることが好ましい。この混合比率は、色素と混合溶媒との相溶性を十分せしめ、基板へのダメージを与えず、かつ基板溝(グルーブ)に対して色素膜形状が良好になるよう最適混合比率として求められる。
【0094】
また、基板にダメージを与えない溶媒を選択できない場合は、スパッタ法、化学蒸着法や真空蒸着法などが有効である。
【0095】
記録層の膜厚は、特に限定するものではないが、好ましくは30nm〜300nmである。記録層の膜厚を30nmより薄くすると、記録信号に歪が発生する上、信号振幅が小さくなる。また、膜厚が300nmより厚い場合は、感度の低下、高速記録特性の悪化し、再生信号特性が悪化する。
【0096】
また、本発明に於いて、上記混合溶剤を用いて塗布する場合、基板グルーブ溝深さが150nm以上、溝幅は650nm以上の基板を用いることが好ましい。
【0097】
記録層形成後に、必要に応じて乾燥工程を設けても良い。媒体の生産性や媒体の記録信号特性の安定性から、乾燥温度は20℃以上100℃以下が好ましい。乾燥は、自然乾燥、熱風乾燥、遠赤外線照射により行ってもよく、乾燥時間は通常10秒〜2時間程度である。一方、乾燥時の圧力は常圧又は減圧で行っても良い。
【0098】
本発明に於ける記録層の上には反射層を設ける。この反射層は、例えば反射機能以外にも、断熱機能、光エンハンス機能等を兼ね備える膜であっても良い。このような場合は該反射層が2層以上の多層になっても良い。反射層の具体例としては、アルミ、金、銀、銅、白金、ニッケル等やこれらの金属を一成分とする合金などが挙げられる。反射層の膜厚は通常20〜200nm程度である。また、酸化アルミ、酸化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウソ、沸化マグネシウム、炭化珪素等の無機膜を断熱機能、光エンハンス機能として2層目に設けても良い。反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法などが挙げられる。
【0099】
本発明に於ける反射層の上には保護層を設ける。この保護層は記録層および反射層を保護できるものならば特に限定されない。たとえば、ポリカーボネート、アクリル、ポリスチレン、塩化ビニル、エポキシ、ポリエステルなどの高分子材料、あるいはSiO、Al、AlNなどの無機物を用いることができる。なかでも、紫外線硬化アクリル樹脂は、容易に保護層を形成できるので好適である。例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。また、多層膜として2種以上を重ねて使用しても構わない。保護層の形成の方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法などの塗布法やスパッタ法や化学蒸着法などの方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
【0100】
保護層の膜厚は、一般には0.1μm〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3μm〜30μmが好ましい。
【0101】
保護層の上にさらにレーベルなどの印刷を行うこともできる。また、反射層面に保護シート又は基板を貼り合わせる、あるいは反射層面相互を内側とし対向させ、光記録媒体2枚を貼り合わせるなどの手段を用いても良い。また、基板鏡面側に、表面保護やごみ等の付着防止のために紫外線硬化性樹脂、無機系薄膜等を成膜しても良い。
【0102】
本発明の光情報記録媒体は基板を通してレーザー光を照射し、信号の記録及び再生を行う。この際、発振波長はCD−Rの場合、770〜830nmの半導体レーザーが用いられる。CDプレーヤーとの互換性を考慮すれば770〜830nmの波長の半導体レーザーで記録再生するのが一般的である。しかしながら、本発明のフタロシアニン色素は300−450nmにも吸収を有することから、770〜830nmの波長域以外に、400〜600nmの青色半導体レーザーでも高速で短時間に記録することも可能である。
【0103】
ここで、本発明は特に高速記録時における感度向上、ジッター値の低減に効果が発揮されることが目的であるから、これら感度、ジッター値を測定することが重要になってくる。
【0104】
そこで、BETA=0%(BETAとは、記録パワーの指標であり、オレンジブック規格に規定される)近傍での記録パワー(感度)、ジッター値に着目し評価を行った。
【0105】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0106】
[実施例1]
フタロシアニン化合物(具体例混合物(120))の合成
乾燥窒素気流下の反応容器に特開平5−247363号記載の方法に従って製造したテトラ−(α−2,4−ジメチル−3−ペンチルオキシ)銅フタロシアニン6.5g(6.26mmol)をトルエン32mLに溶解し、N−メチルホルムアニリド5.08g(37.6mmol)を添加した後、5分間かけて塩化ホスホリル5.76g(37.56mmol)を滴下し、更に45−50℃にて20時間攪拌した。続いて氷浴にて5℃以下に冷却しながら、アンモニアガスを6Hr(20mL/min)吹き込んだ後、副生した無機塩を濾別し、フェロセンカルボン酸アミド4.3g(18.8mmol)を添加し、4時間還流させた。反応液を室温に冷却後、不溶物を濾別し、有機層を水洗、濃縮した後、メタノールを添加し析出した緑色固体を濾別し、具体例に示すフタロシアニン混合物(120)5.3gを緑色粉末として得た。
【0107】
この混合物のLC分析を行ったところ、具体例化合物(1)が58%、具体例化合物(101)が4%、具体例化合物(106)が11%、具体例化合物(113)が24%であった(%はLC分析における面積比)。
【0108】
この化合物のトルエン溶液中の吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)、780nmにおける光学定数(屈折率及び消衰係数)、熱分解温度は以下の通りであった。
【0109】
λmax: 716.5nm
εg : 142000mL/g・cm
屈折率(780nm) :2.31
消衰係数(780nm) :0.12
熱分解(TGA)の変曲点:345℃
【0110】
[実施例2]
実施例1で得られたフタロシアニン混合物(120)20gをカラム精製し、具体例化合物(1)で表されるフタロシアニン化合物を8.2g得た。
【0111】
この化合物のトルエン溶液中の吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)、780nmにおける光学定数(屈折率及び消衰係数)は以下の通りであった。
【0112】
λmax: 719.5nm
εg : 152000mL/g・cm
屈折率(780nm) :2.20
消衰係数(780nm):0.14
【0113】
[実施例3]
実施例1で得られたフタロシアニン混合物(120)20gをカラム精製し、具体例化合物(106)で表されるフタロシアニン化合物を1.8g得た。
【0114】
この化合物のトルエン溶液中の吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)、780nmにおける光学定数(屈折率及び消衰係数)は以下の通りであった。
【0115】
λmax: 717.5nm
εg : 163000mL/g・cm
屈折率(780nm) :2.28
消衰係数(780nm):0.10
【0116】
[実施例4]
フタロシアニン化合物(具体例混合物(125))の合成
実施例1において、フェロセンカルボン酸アミドの代わりにフェロセンチオカルボン酸アミド4.3g(18.8mmol)を使用した以外は実施例1と同様な操作を行って、具体例に示すフタロシアニン混合物(125)5.9gを含有するフタロシアニン混合物を得た。
【0117】
この混合物のトルエン溶液中の吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)、780nmにおける光学定数(屈折率及び消衰係数)、熱分解温度は以下の通りであった。
【0118】
λmax: 718nm
εg : 134000mL/g・cm
屈折率(780nm) :2.24
消衰係数(780nm):0.14
熱分解(TGA)の変曲点:245、355℃
【0119】
この混合物のLC分析を行ったところ、具体例化合物(8)が62%、具体例化合物(103)が6%、具体例化合物(108)が14%、具体例化合物(113)が15%であった。
【0120】
[実施例5]
フタロシアニン化合物(具体例混合物(124))の合成
実施例1において、テトラ−(α−2,4−ジメチル−3−ペンチルオキシ)銅フタロシアニン6.5gの代わりに特開平5−247363号記載の方法に従って製造した、臭素化−[テトラ−(α−2,4−ジメチル−3−ペンチルオキシ)パラジウムフタロシアニン]7.2g(6.3mmol)を使用した以外は、実施例1と同様な操作を行って、具体例に示すフタロシアニン混合物(124)5.7gを緑色粉末として得た。
【0121】
この化合物のトルエン溶液中の吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
【0122】
λmax: 719nm
εg : 125000mL/g・cm
【0123】
[実施例6]
フタロシアニン化合物(具体例化合物(16))の合成
実施例1において、フェロセンカルボン酸アミドの代わりにフェロセンスルフォン酸アミド5.04g(19mmol)使用した以外は実施例1と同様な操作を行って、具体例化合物(16)を含有するフタロシアニン混合物3.8gを緑色粉末として得た。
【0124】
この化合物のトルエン溶液中の吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
【0125】
λmax: 726、707nm
εg : 104000mL/g・cm
【0126】
[実施例7]
フタロシアニン化合物(具体例化合物(19))の合成
実施例1において、テトラ−(α−2,4−ジメチル−1−ブトキシ)銅フタロシアニン6.5gの代わりにテトラ−(α−2,4−ジメチル−3−ペンチルオキシ)パラジウムフタロシアニン]7.2g(6.3mmol)を使用した以外は、実施例1と同様な操作を行って、具体例化合物(19)を含有するフタロシアニン混合物2.6gを緑色粉末として得た。
【0127】
この化合物のトルエン溶液中の吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
【0128】
λmax: 712nm
εg : 110000mL/g・cm
【0129】
[実施例8]
実施例1において、N−メチルホルムアニリド5.08gの代わりに、N,N−ジメチルホルムアミド2.8gを用い、塩化ホスホリル滴下後。70−80℃で20時間反応させた以外は実施例1と同様な操作を行い、具体例化合物(1)を含有するフタロシアニン混合物4.1gを緑色粉末として得た。
【0130】
この混合物のLC分析を行ったところ、具体例化合物(1)が45%、具体例化合物(106)が10%、具体例化合物(113)が44%であった。
【0131】
この混合物のトルエン溶液中の吸収極大波長(λmax)及びグラム吸光係数(εg)は以下の通りであった。
【0132】
λmax: 713.8nm
εg : 162000mL/g・cm
屈折率(780nm) :2.22
消衰係数(780nm):0.13
【0133】
[実施例9]
実施例1で合成したフタロシアニン混合物(120)0.9gをジメチルシクロヘキサン(岩谷瓦斯製)50ml、第二有機溶剤としてプソイドクメン(コスモ松山石油製)2mlを添加した混合溶液50mlに溶解し塗布溶液を調製した。さらに、この塗布溶液をスパイラルグルーブ(ピッチ1.6μm、溝幅0.7μm、溝深180nm)付きのポリカーボネート製射出成形基板(外径120mm、厚さ1.2mm)上にスピンコートし、吸光度をAbs=0.50になるように記録層を形成した。次にこの記録層を形成した基板を70℃/2時間の条件で乾燥させ、色素中の残留溶剤を除去した。さらにこの記録層上にバルザース社製スパッタ装置(CDI−900)を用いてAgを膜厚が約70nmになるようにスパッタし、反射層を形成した。この反射層上に紫外線硬化樹脂「SD−1700」(大日本インキ化学工業(株)製)をスピンコートした後、紫外線を照射し硬化させ、厚さ6μmの保護層を形成した。
【0134】
このようにして作製した光記録媒体を、Sanyo社製32倍速対応光ディスク記録装置(レーザー波長780nm近傍、NA=0.5近傍)を用いて、線速度38.4m/sで記録し(EFM記録)、光ディスク評価装置DDU−1000(パルステック工業社製、レーザー波長781nm、NA=0.45;市販のCDプレーヤー搭載の光学ヘッド使用)で再生した時のジッター、変調度を、それぞれLJM−1851ジッターメーター(リーダー電子製)、ケンウッド社製CD−デコーダー:DR3552、日立 DIGITAL STORAGE OSCILLOSCOPE VC−6100、更にADC社製TIA−175タイミングインターバルアナライザーを用いて計測した。
評価結果を表5に示す。
【0135】
BETA=0%において、記録レーザーパワー=43.0mWで良好な記録感度と、良好なジッター特性が得られ、32倍速高速記録特性できわめて良好な記録と読み出しが行えた。またこのメディアの各種CDプレーヤーとの互換性は非常に良好であった。
【0136】
[実施例10]
媒体化及び記録特性評価
実施例4で合成したフタロシアニン混合物(125)を用い、実施例9と同様にして光記録媒体を作製した。
【0137】
作製した光記録媒体を、実施例9と同様にして32倍速での記録、読み出しの評価を行った。
【0138】
BETA=0%において、記録レーザーパワー=42.0mWで良好な記録感度と良好なジッター特性が得られ、32倍速高速記録特性できわめて良好な記録と読み出しが行えた。またこのメディアの各種CDプレーヤーとの互換性は非常に良好であった。
【0139】
[実施例11]
実施例5で合成したフタロシアニン混合物(124)を用い、実施例9と同様に光記録媒体を作製し、32倍速での記録読み出しの評価を行った。
【0140】
BETA=0%において、記録レーザーパワー=43.0mWで良好な記録感度と良好なジッター特性が得られ、32倍速高速記録特性できわめて良好な記録と読み出しが行えた。またこのメディアの各種CDプレーヤーとの互換性は非常に良好であった。
【0141】
比較例1
WO98/14520号公報、及びWO00/09522号に準じ、テトラ−(α−2,4−ジメチル−3−ペンチルオキシ)パラジウムフタロシアニンを用いてホルミル化を行い、抽出、カラム精製工程を経てモノホルミルフタロシアニン化合物を得た。つづいて臭素化した後、ホウ素化水素ナトリウムにより還元反応を行い、カラム精製し、臭素化モノヒドロキシフタロシアニン化合物を得た。さらに、フェロセンカルボニルクロリドを用いてエステル化し、WO00/09522号記載の下記構造式(Comp−1)で表されるフタロシアニン色素を合成した。
【0142】
【化20】
Figure 0004220904
【0143】
以上のように、本化合物合成には、多段階を要した。
この化合物を用いて実施例9と同じようにしてスピンコート成膜により記録層を形成し、その上に反射層、保護層を形成して光記録媒体を作製した。
【0144】
この媒体を実施例9と同様にして32倍速での記録、読み出しの評価を行った。BETA=0%における記録レーザーパワー=48mWであり、実施例9−11と比較して記録感度が低下した。
【0145】
比較例2
比較例1と同様にして、テトラ−(α−2,4−ジメチル−3−ペンチルオキシ)銅フタロシアニンを用いてモノホルミルフタロシアニン化合物を得、ホウ素化水素ナトリウムにより還元反応を行い、カラム精製し、モノヒドロキシフタロシアニン化合物を得た。さらに、フェロセンカルボニルクロリドを用いてエステル化し、下記構造式(Comp−2)で表されるフタロシアニン色素を合成した。
以上のように本化合物合成には、多段階を要した。
【0146】
【化21】
Figure 0004220904
【0147】
この化合物を用いて実施例9と同じようにしてスピンコート成膜により記録層を形成し、その上に反射層、保護層を形成して光記録媒体を作製した。
【0148】
この媒体を実施例9と同様にして32倍速での記録、読み出しの評価を行った。BETA=0%における記録レーザーパワー=46mWであり、実施例9−11と比較して記録感度が低下した。
【0149】
[実施例12−21]
実施例1と同様の方法により合成した化合物を用いて、実施例9と同様に光記録媒体を作製し、32倍速での記録読み出しの評価を行った。
結果を実施例9−11も含め表5に示す。
【0150】
【表6】
Figure 0004220904

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表わされるフタロシアニン化合物。
    Figure 0004220904
    〔式(I)中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の一置換金属原子又は4価の二置換金属原子又はオキシ金属を表し、L,L,L及びLは、それぞれ独立に式(a)、式(b)、式(c)、
    Figure 0004220904
    (式(a)、式(b)、式(c)中、Xは置換又は無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、置換又は無置換の総炭素数1〜6のアルキル基、置換又は無置換の総炭素数6〜10のアリール基を表し、Aはカルボニル基、チオカルボニル基、スルフォン基、スルフィン基又はカルボイミドイル基を表し、Yはメタロセン化合物又はその誘導体の残基を表し、Zはそれぞれ独立に水素原子、ニトロ基又はハロゲン原子を表す。)を表し、L〜Lのうち、少なくとも1つは(a)又は(b)を表す。〕
  2. 前記式(I)においてMがCuであり、前記L〜Lのうち、少なくとも一つは式(a−1)で表され、少なくとも一つは式(c−1)で表されることを特徴とする請求項1記載のフタロシアニン化合物。
    Figure 0004220904
  3. 前記式(I)においてMがCuであり、前記L〜Lのうち、少なくとも一つは式(b−1)で表され、少なくとも一つは式(c−1)で表されることを特徴とする請求項1記載のフタロシアニン化合物。
    Figure 0004220904
  4. 下記一般式(II)で表されるフタロシアニン化合物からなる混合物。
    Figure 0004220904
    [式(II)中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の一置換金属原子又は4価の二置換金属原子又はオキシ金属を表し、L’,L’,L’及びL’は、それぞれ独立に式(a)、式(b)、式(c)、
    Figure 0004220904
    (式(a)、式(b)、式(c)中、Xは置換又は無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、置換又は無置換の総炭素数1〜6のアルキル基、置換又は無置換の総炭素数6〜10のアリール基を表し、Aはカルボニル基、チオカルボニル基、スルフォン基、スルフィン基又はカルボイミドイル基を表し、Yはメタロセン化合物又はその誘導体の残基を表し、Zはそれぞれ独立に水素原子、ニトロ基又はハロゲン原子を表す。)を表す。但し、すべてのL’〜L’が式(c)であるフタロシアニン化合物のみからなる混合物を除く。〕
  5. 下記一般式(III)
    Figure 0004220904
    [式(III)中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の一置換金属原子又は4価の二置換金属原子又はオキシ金属を表し、L”,L”,L”及びL”は、それぞれ独立に式(c)、
    Figure 0004220904
    (式(c)中、Xは置換又は無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基を表し、Zはそれぞれ独立に水素原子、ニトロ基又はハロゲン原子を表すが、L'’〜L''のうち、少なくとも一つはZが水素原子である。)〕で表されるフタロシアニン化合物に、
    N−CHO基を有する化合物とハロゲン化剤から調製されるヴィルスマイヤー錯体を反応させ、フタロシアニン化合物のインモニウム塩を合成した後、下記一般式(IV)
    R’−NH (IV)
    (式(IV)中、R’は水素原子、総炭素数1〜4の無置換アルキル基、総炭素数6〜15の置換又は無置換のアリール基を表す。)で表される塩基性化合物を添加し、
    さらに下記一般式(V)
    Y−A−NH (V)
    (式(V)中、Aはカルボニル基、チオカルボニル基、スルフォン基、スルフィン基又はカルボイミドイル基を表し、Yはメタロセン化合物又はその誘導体の残基を表す。)であらわされる化合物を反応させることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物又は請求項4に記載の混合物の製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項記載のフタロシアニン化合物又は、請求項4に記載の混合物を記録層に含有する光記録媒体。
JP2003567982A 2002-02-15 2003-02-14 フタロシアニン化合物、その製造方法、およびこれを含有する光記録媒体 Expired - Fee Related JP4220904B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002039143 2002-02-15
JP2002039143 2002-02-15
JP2002253836 2002-08-30
JP2002253836 2002-08-30
PCT/JP2003/001517 WO2003068865A1 (fr) 2002-02-15 2003-02-14 Compose de phtalocyanine, son procede de production et support d'enregistrement optique le contenant

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2003068865A1 JPWO2003068865A1 (ja) 2005-06-02
JP4220904B2 true JP4220904B2 (ja) 2009-02-04

Family

ID=27736534

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003567982A Expired - Fee Related JP4220904B2 (ja) 2002-02-15 2003-02-14 フタロシアニン化合物、その製造方法、およびこれを含有する光記録媒体

Country Status (11)

Country Link
US (1) US7332261B2 (ja)
EP (1) EP1482013B1 (ja)
JP (1) JP4220904B2 (ja)
KR (1) KR100957474B1 (ja)
CN (1) CN1304486C (ja)
AT (1) ATE367421T1 (ja)
AU (1) AU2003211973A1 (ja)
DE (1) DE60314998T2 (ja)
HK (1) HK1071154A1 (ja)
TW (1) TW593562B (ja)
WO (1) WO2003068865A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB0225471D0 (en) * 2002-11-01 2002-12-11 Ciba Sc Holding Ag Solvent composition and use thereof
GB2426760B (en) * 2005-05-25 2007-12-19 Yen Cheng Tsai Ferrocenylphthalocyanines and their use in optical recording media
DE102008036670B3 (de) 2008-08-06 2009-11-26 Leonhard Kurz Stiftung & Co. Kg Folie, Verfahren zu deren Herstellung, sowie Verwendung
EP2154140A1 (en) 2008-08-14 2010-02-17 Orgchem Technologies, Inc. Metallocenyl phthalocyanine compounds and use thereof in optical recording media
US8206502B2 (en) * 2008-12-15 2012-06-26 Eastman Kodak Company Titanyl phthalocyanine with improved milling properties
JP6406863B2 (ja) * 2014-04-24 2018-10-17 キヤノン株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置、ならびに、フタロシアニン結晶、フタロシアニン結晶の製造方法

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4529688A (en) * 1983-10-13 1985-07-16 Xerox Corporation Infrared sensitive phthalocyanine compositions
JP3270114B2 (ja) * 1991-06-21 2002-04-02 三井化学株式会社 フタロシアニン化合物またはその混合物のアモルファス体の製造方法
JP3315498B2 (ja) 1992-12-02 2002-08-19 三井化学株式会社 光情報記録媒体、光情報記録媒体の記録層用組成物及び光情報記録媒体の製造方法
JPH08118800A (ja) 1994-10-19 1996-05-14 Mitsui Toatsu Chem Inc 光記録媒体
US5683855A (en) * 1995-03-09 1997-11-04 Tdk Corporation Printable members
JPH0958123A (ja) 1995-08-22 1997-03-04 Mitsubishi Chem Corp 光記録媒体
KR100288681B1 (ko) 1995-12-25 2001-05-02 나가시마 므쓰오 광 기록 재료 및 광 기록 매체
JP3666152B2 (ja) 1996-12-18 2005-06-29 三菱化学株式会社 光記録媒体
JP3573600B2 (ja) 1997-07-07 2004-10-06 富士写真フイルム株式会社 光情報記録媒体
JP3309307B2 (ja) * 1997-07-31 2002-07-29 株式会社リコー 光記録媒体及びその製造方法
JPH1148612A (ja) * 1997-08-01 1999-02-23 Mitsui Chem Inc 光記録媒体
JPH1170732A (ja) 1997-08-28 1999-03-16 Mitsubishi Chem Corp 光学記録媒体
DK1104431T3 (da) * 1998-08-11 2003-03-03 Ciba Sc Holding Ag Metallocenyl-phthalocyaniner
JP2002188018A (ja) 2000-12-20 2002-07-05 Mitsui Chemicals Inc フタロシアニン化合物及びそれを用いた光記録媒体
JP2003072238A (ja) 2001-09-03 2003-03-12 Mitsui Chemicals Inc 光記録媒体
JP4259849B2 (ja) * 2002-10-24 2009-04-30 三井化学株式会社 イミノメチル置換フタロシアニン化合物、及びこれを用いるメタロセン置換フタロシアニン化合物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN1633475A (zh) 2005-06-29
EP1482013B1 (en) 2007-07-18
AU2003211973A1 (en) 2003-09-04
JPWO2003068865A1 (ja) 2005-06-02
KR20040091039A (ko) 2004-10-27
HK1071154A1 (en) 2005-07-08
DE60314998D1 (de) 2007-08-30
TW593562B (en) 2004-06-21
CN1304486C (zh) 2007-03-14
TW200302854A (en) 2003-08-16
WO2003068865A1 (fr) 2003-08-21
US7332261B2 (en) 2008-02-19
EP1482013A4 (en) 2005-06-15
US20050201265A1 (en) 2005-09-15
EP1482013A1 (en) 2004-12-01
DE60314998T2 (de) 2008-04-03
ATE367421T1 (de) 2007-08-15
KR100957474B1 (ko) 2010-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4220904B2 (ja) フタロシアニン化合物、その製造方法、およびこれを含有する光記録媒体
JP2008520782A (ja) 一置換スクアリン酸金属錯体色素および光データ記録のための光学層におけるこれらの使用
JPH02276866A (ja) 新規なテトラアザポルフイン及びその製造法並びにそれを用いた光記録媒体及びその光記録媒体の製造方法
CN1252802A (zh) 可写可擦的高密度光学存储介质
JP2005298490A (ja) フタロシアニン化合物及びこれを用いた有機色素、光記録媒体
JP2859702B2 (ja) フタロニトリル化合物
JP3963524B2 (ja) フタロシアニン化合物、その製造方法およびそれらを用いた光記録媒体
JP3963509B2 (ja) フタロシアニン化合物、その製造方法およびそれを用いた光記録媒体
JP3444734B2 (ja) フタロシアニン化合物、その製造方法およびそれらを用いた光記録媒体
JP4093807B2 (ja) 光学記録材料
WO2006103254A1 (en) Betaines of squaric acid for use in optical layers for optical data recording
JP2698067B2 (ja) フタロシアニン化合物及びその製造方法
US7888518B2 (en) Organic dye for recording layer and high density optical recording medium using the same
JPH05124354A (ja) Cdまたはcd−rom対応の追記型光デイスク
JP4169380B2 (ja) フタロシアニン組成物およびそれを用いた光記録媒体
JP3357153B2 (ja) フタロシアニン化合物及びそれを含有してなる光記録媒体
JP2005053987A (ja) フタロシアニン化合物及びそれを用いた光記録媒体
JP2005053988A (ja) フタロシアニン化合物及びそれを用いた光記録媒体
JPH0596861A (ja) Cdまたはcd−rom対応の追記型光デイスク
JP3863195B2 (ja) フタロシアニン化合物
JP2500969B2 (ja) 光ディスク用記録材料及びcdまたはcd−rom対応の追記型光ディスク
JP2003072238A (ja) 光記録媒体
JPH07257037A (ja) 高密度光記録媒体
JPH07314897A (ja) 光記録材料およびそれを用いた追記型コンパクトデイスク
JPH07166082A (ja) フタロシアニン化合物及びそれを含有してなる光記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20080305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080305

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080423

AA91 Notification that invitation to amend document was cancelled

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971091

Effective date: 20080513

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080521

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080821

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081015

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081114

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111121

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111121

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121121

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121121

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131121

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees