JP2005053988A - フタロシアニン化合物及びそれを用いた光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスク記録材料、情報記録、表示センサー、光カード等のオプトエレクトロニクス関連に有用である新規なフタロシアニン化合物と、それを記録層に含有して形成される光ディスク等の光記録媒体に関する。
【0002】
【従来技術】
コンパクトディスク(以下CDと略す)規格に対応した追記型光記録媒体としてCD−R(CD−Recordable)が提案・開発されていることは公知であり、情報記録用として広く普及している。
このCD−Rの記録、再生には一般に780nmの近赤外線半導体レーザーが用いられており、基板上の有機色素等からなる記録層に、ヒートモードで信号記録が行われる。すなわち、記録層にレーザー光が照射されると、有機色素は光吸収により熱を発生し、この発生した熱により記録層にピットが形成される。信号記録は、レーザー光を照射したときの、当該ピットが形成された部分とされていない部分との反射率の違いによって検知される。CD−Rはレッドブックや、オレンジブック等のCD規格に準拠しているため、CDプレーヤーやCD−ROMプレーヤーと互換性を有するという特徴を有し、かつ近年急速に安価に提供されていることから、パソコンの画像保存やバックアップ用、及び音楽用として爆発的に広く普及してきた。現在、CD−Rプレーヤーのレーザーパワーの向上と共に、52倍速記録が可能となり、当初ディスク1枚に70分以上必要とされていたものが3分以下に短縮されてきている。高速記録では、短時間にピットを形成させることから、高パワーのレーザーを照射する必要があるが、高パワーのレーザー照射には、プレイヤーの負担も大きく、より高速記録を可能とするためには、低パワーでも良好に分解する色素、つまり高感度な色素が望まれている。
【0003】
光ディスクや光カード等の記録媒体の記録層にフタロシアニン化合物を利用する技術は、広く知られているが、これらのフタロシアニン類は感度、屈折率、記録特性等の面から光記録媒体用としては不十分であった。それを改良した化合物が特許文献1に記載されているが、レーザー光による書き込み時の記録特性に問題があり、未だ実用上十分ではなかった。また、特許文献2、3には、フッ素原子が導入されたフタロシアニン化合物が開示されているが、フッ素基の導入では基板樹脂との密着性が改良されるものの感度が低く、特許文献4に記載された、フタロシアニン環に臭素原子を導入した化合物では、高速、高密度記録においては、充分な性能を有するとは言えず、特許文献5に開示された、アルキル基に臭素、ヨウ素基を導入した場合、溶解性が低下し、記録媒体作成時のスピンコート溶剤への溶解性が低下する問題があった。
また、特許文献6には、フタロシアニン化合物にホルミル基等の置換基を修飾した化合物が記載されているが、金属系化合物の記載はなく、有機基の結合では感度の向上は十分ではなかった。
【0004】
CD−Rへの書き込み及び読み出しは、780nm近傍のレーザー光を利用するので、レーザー発信波長近傍における吸収係数、屈折率等の制御及び書き込み時における精度のよいピット形成が重要である。このことは、高速記録、高密度記録において特に重要である。そのため、構造安定性が高く、レーザー発信波長近傍の光に対して屈折率が高く、分解特性が良好で、かつ感度の高い光記録媒体用色素の開発が必要となる。しかし、従来の開発された色素は、記録媒体に用いたとき、特に高速、高密度記録の感度(C/N比、最適記録パワー)、記録特性(ジッター、デビエーション)について、十分ではないという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−62878号公報
【特許文献2】
特開平4−214388号公報
【特許文献3】
特開平5−238150号公報
【特許文献4】
特開平5−247363号公報
【特許文献5】
特開平7−90186号公報
【特許文献6】
国際公開98/14520号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を改善し、高速記録、高密度記録においても感度が高く、記録特性良好で、精度のよいピット形成が可能な、光記録媒体を提供しうる色素を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前項の課題を解決すべく鋭意検討の結果、本願の新規なフタロシアニン化合物が、上述の目的に合う特性を有することを見出した。
即ち本発明は、
▲1▼下記一般式(I)で示されるフタロシアニン化合物
【0008】
【化3】
【0009】
〔式中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価または4価の置換金属原子、あるいはオキシ金属を表し、L1,L2,L3及びL4は、それぞれ独立に式(a)または式(b)を表す。
【0010】
【化4】
【0011】
(式(a)または式(b)中、Xは置換または無置換の炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキルチオ基を表わし、Yはそれぞれ独立に水素原子、ニトロ基、またはハロゲン原子を表し、Aは金属系化合物を表す。)ただし、L1〜L4のうち少なくとも1つは式(a)である。〕
▲2▼ 金属系化合物がメタロセン化合物またはその誘導体である▲1▼記載のフタロシアニン化合物
▲3▼ 基板、記録層、反射層からなる光記録媒体において、▲1▼〜▲2▼のいずれかに記載のフタロシアニン化合物を記録層に含有する光記録媒体
に関する。
【0012】
本発明のフタロシアニン化合物は、金属系化合物がフタロシアニン化合物に結合していることから、フタロシアニン化合物の熱分解特性が改良され、結果として高速、高密度記録での感度、記録特性を向上させることが可能となった。
本発明のフタロシアニン化合物は、650−900nmに吸収を有し、分子吸光係数も高く、長期安定性、耐久性に優れるため、半導体レーザーを用いる光記録媒体(光ディスク、光カード)等の記録材料に好適である。
【0013】
以下に、本発明の好ましい態様を詳述する。
式中、Xで表される具体例としては、置換または無置換の炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキルチオ基が挙げられる。
【0014】
置換または無置換の総炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−iso−プロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、3−メチル−1−iso−プロピルブチル基、2−メチル−1−iso−プロピルブチル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、2、4−ジメチル−3−プロピル基、2−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基等の無置換のアルキル基、
2−クロロエチル基、3−ブロモプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基等のハロゲノ基で置換されたアルキル基、
2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、1−エトキシ−2−プロピル基、3−メトキシプロピル基、 3−メトキシ−ブチル基、2、2−ジメチル−1、3ジオキソラン−4−メトキシ基、1、3−ジエトキシ−2−プロポキシ基等のアルコキシ基で置換されたアルキル基、
2−ジメチルアミノエチル基、2−ジエチルアミノエチル基、2−ジブチルアミノエチル基、2−ジエチルアミノプロピル基等のアミノ基で置換されたアルキル基、1、3−ジエチルチオ−2−プロピル基等のアルキルチオ基で置換されたアルキル基等が挙げられる。
【0015】
置換または無置換の総炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、iso−プロポキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、neo−ペンチルオキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、1−iso−プロピルプロポキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、2−メチル−1−iso−プロピルプロポキシ基、1−エチル−3−メチルブトキシ基、3−メチル−1−iso−プロピルブトキシ基、2−メチル−1−iso−プロピルブトキシ基、1−t−ブチル−2−メチルプロポキシ基、2、4−ジメチル−3−プロポキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等の無置換のアルコキシ基、
2−クロロエトキシ基、3−ブロモプロポキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシ基等のハロゲノ基で置換されたアルコキシ基、
2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、1−エトキシ−2−プロポキシ基、3−メトキシプロポキシ基、 3−メトキシブトキシ基、2、2−ジメチル−1、3ジオキソラン−4−メトキシ基、1、3−ジエトキシ−2−プロポキシ基等のアルコキシ基で置換されたアルコキシ基、
2−ジメチルアミノエトキシ基、2−ジエチルアミノエトキシ基、2−ジブチルアミノエトキシ基、2−ジエチルアミノプロポキシ基等のアミノ基で置換されたアルコキシ基、1、3−ジエチルチオ−2−プロポキシ基等のアルキルチオ基で置換されたアルコキシ基等が挙げられる。
【0016】
置換または無置換の総炭素数1〜15の直鎖または分岐のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、iso−プロピルチオ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、neo−ペンチルチオ基、1,2−ジメチルプロピルチオ基、シクロヘキシルチオ基、1,3−ジメチルブチルチオ基、1−iso−プロピルプロピルチオ基、1,2−ジメチルブチルチオ基、1,4−ジメチルペンチルチオ基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピルチオ基、1−エチル−3−メチルブチルチオ基、3−メチル−1−iso−プロピルブチルチオ基、2−メチル−1−iso−プロピルブチルチオ基、1−t−ブチル−2−メチルプロピルチオ基、2、4−ジメチル−3−プロピルチオ基、2−メチルペンチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基等の無置換のアルキルチオ基、
2−クロロエチルチオ基、3−ブロモプロピルチオ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルチオ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピルチオ基等のハロゲノ基で置換されたアルキルチオ基、
2−メトキシエチルチオ基、2−エトキシエチルチオ基、2−ブトキシエチルチオ基、1−エトキシ−2−プロピルチオ基、3−メトキシ−プロピルチオ基、 3−メトキシブチルチオ基、2、2−ジメチル−1、3ジオキソラン−4−メチルチオ基、1、3−ジエトキシ−2−プロピルチオ基等のアルコキシ基で置換されたアルキルチオ基、
2−ジメチルアミノエチルチオ基、2−ジエチルアミノエチルチオ基、2−ジブチルアミノエチルチオ基、2−ジエチルアミノプロピルチオ基等のアミノ基で置換されたアルキルチオ基、1、3−ジエチルチオ−2−プロピルチオ基等のアルキルチオ基で置換されたアルキルチオ基等が挙げられる。
【0017】
Yで表される具体例としては、水素原子、ニトロ基、およびフッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子が挙げられ、好ましくは、水素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価または4価の置換金属原子、あるいはオキシ金属を表すし、Mで表わされる2価金属の例としては、Cu(II)、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Ru(II)、Rh(II)、Pd(II)、Pt(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ti(II)、Be(II)、Ca(II)、Ba(II)、Cd(II)、Hg(II)、Pb(II)、Sn(II)などが挙げられる。
3価の置換金属原子の例としては、Al−Cl、Al−Br、Al−F、Al−I、Ga−Cl、Ga−F、Ga−I、Ga−Br、In−Cl、In−Br、In−I、In−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、Tl−F、Al−C6H5、Al−C6H4(CH3)、In−C6H5、In−C6H4(CH3)、In−C10H7、Mn(OH)、Mn(OC6H5)、Mn[OSi(CH3)3]、FeCl、RuClなどの1置換3価金属が挙げられる。
4価の置換金属原子の例としては、CrCl2、SiCl2、SiBr2、SiF2、SiI2、ZrCl2、GeCl2、GeBr2、GeI2、GeF2、SnCl2、SnBr2、SnI2、SnF2、TiCl2、TiBr2、TiF2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、Sn(OH)2、TiR2、CrR2、SiR2、SnR2、GeR2[Rはアルキル基、フェニル基、ナフチル基およびその誘導体を表わす]、Si(OR’)2、Sn(OR’)2、Ge(OR’)2、Ti(OR’)2、Cr(OR’)2[R’はアルキル基、アルキルカルボニル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基およびその誘導体を表わす]などの2置換の4価金属が挙げられる。オキシ金属の例としては、VO、MnO、TiOなどが挙げられる。
【0018】
Aで表される金属系化合物としては、金属を含む化合物であれば特に限定されないが、好ましくはメタロセン化合物またはその誘導体が挙げられ、具体的には、Fe(Cp)2(但しCpはシクロペンタジエニル基を表す)、Co(Cp)2、Ni(Cp)2、Ru(Cp)2、Os(Cp)2、Mn(Cp)2、Cr(Cp)2、W(Cp)2、V(Cp)2、Sc(Cp)3、Y(Cp)3、La(Cp)3、Ce(Cp)3、Pr(Cp)3、Nd(Cp)3、Sm(Cp)3、Gd(Cp)3、Er(Cp)3、Tm(Cp)3 、Yb(Cp)3、シクロペンタジエニルマンガノセントリカルボニル等のメタロセン化合物、チタノセンジフェノキシド、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニルチタニウム、シクロペンタジエニルマンガノセントリカルボニル等の置換金属を有するメタロセン化合物などが挙げられ、これらのメタロセン化合物は、アルキル基、アリール基、アシル基により置換されていてもよい。
なお、メタロセン化合物とフタロシアニン化合物の結合態様としては、シクロペンタジエニル環との結合、金属との直接結合などが挙げられるが、好ましくはシクロペンタジエニル環との結合が挙げられる。
【0019】
一般式(I)で表される本発明のフタロシアニン化合物は、一般式(II)で表わされるフタロシアニン化合物と、一般式(III)で表わされる化合物を、塩基性触媒の存在下、適当な溶媒中で製造することができるが、特に限定されない。
【0020】
【化5】
【0021】
〔式中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の一置換金属原子または4価のニ置換金属原子、またはオキシ金属を表し、L1’,L2’,L3’及びL4’は、それぞれ独立に式(a)’、式(b)、
【0022】
【化6】
【0023】
(式(a)’または式(b)中、Xはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基を表わし、Rは水素原子またはアルキル基を表し、Zはそれぞれ独立に水素原子、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。)を表し、L1’〜L4’のうち、少なくとも1つが式(a)’を表す。〕
【0024】
【化7】
【0025】
[一般式中、A’は金属系化合物を表す。]
一般式(II)で表わされるフタロシアニン化合物に対する一般式(III)の化合物の使用量は、0.1〜100倍当量、好ましくは1〜20倍当量である。
【0026】
反応に使用される溶媒としては、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン等の極性溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒が挙げられる。使用する溶媒の量は、一般式(II)のフタロシアニン化合物に対して1〜100倍重量、好ましくは5〜20倍重量である。
【0027】
塩基性触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、tert−ブトキシカリ等が挙げられる。使用する塩基性触媒の量は、一般式(II)のフタロシアニン化合物に対して0.1〜100倍当量、好ましくは1〜20倍当量である。
反応温度は0℃〜溶媒の還流温度であり、好ましくは20℃〜溶媒の還流温度である。
反応時間は30分〜72時間が好ましく、さらに好ましくは2〜24時間である。
後処理としては、反応後に溶媒を留去するか、又は反応液をフタロシアニン化合物に対する貧溶媒に排出して析出物を濾取することにより目的物が得られる。また、この生成物を更に再結晶あるいはカラムクロマトグラフィーにより精製することで、より高純度の目的物を得ることができる。
【0028】
また、フタロシアニン化合物は、公知の様に構造異性体が存在し、得られる化合物はこれらの混合物である。さらに、本願では、金属系化合物を結合させることから、多くの構造異性体が生成する他に、置換数の異なる化合物の混合物として得られる。本願記載の化合物は、構造式で示される化合物を主に含む混合物であり、構造式に示される化合物に限定されるものではない。
【0029】
本発明の一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物の好ましい具体例を下記に示すが、その化合物の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】
【0037】
光記録媒体とは予め情報を記録されている再生専用の光再生専用媒体及び情報を記録して再生することのできる光記録媒体の両方を示すものである。但し、ここでは適例として後者の情報を記録して再生のできる光記録媒体、特に基板上に記録層、反射層を有する光記録媒体に関して説明する。
【0038】
基板の材質としては、基本的には記録光および再生光の波長で透明であればよい。例えば、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の高分子材料やガラス等の無機材料が利用される。これらの基板材料は射出成形法等により円盤状に基板に成形される。必要に応じて、基板表面に案内溝やピットを形成することもある。このような案内溝やピットは、基板の成形時に付与することが望ましいが、基板の上に紫外線硬化樹脂層を用いて付与することもできる。
【0039】
本発明においては、基板上に記録層を設けるが、本発明の記録層は、λmaxが650nm〜900nm付近に存在する一般式(I)で示されるフタロシアニン化合物を含有する。中でも、780nm近傍の記録および再生レーザー波長に対して適度な光学定数(光学定数は複素屈折率(n+ki)で表現される。式中のn、kは、実数部nと虚数部kとに相当する係数である。ここでは、nを屈折率、kを消衰係数とする。)を有する必要がある。
【0040】
一般に有機色素は、波長λに対し、屈折率nと消衰係数kが大きく変化する特徴がある。nが1.8より小さい値になると正確な信号読み取りに必要な反射率と信号変調度は得られず、kが0.40を越えても反射率が低下して良好な再生信号が得られないだけでなく、再生光により信号が変化しやすく実用に適さない。この特徴を考慮して、目的とするレーザー波長において好ましい光学定数を有する有機色素を選択し記録層を成膜することで、高い反射率を有し、かつ、感度の良い媒体とすることができる。
【0041】
本発明で使用する一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、吸光係数が高く、また中心金属、置換基の選択により吸収波長域を任意に選択できるため、前記レーザー光の波長において記録層に必要な光学定数(nが1.8以上、且つ、kが0.04から0.40であり、好ましくは、nが2.0以上、且つ、kが0.04〜0.20)を満足する極めて有用な化合物である。
【0042】
さらに、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤などを併用することもできる。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどが挙げられる。
【0043】
記録層を基板の上に成膜する際に、基板の耐溶剤性や反射率、記録感度などを向上させるために、基板の上に無機物やポリマーからなる層を設けても良い。
ここで、記録層における一般式(1)で示されるフタロシアニン化合物の含有量は、30%以上、好ましくは60%以上である。尚、実質的に100%であることも好ましい。
記録層を設ける方法は、例えば、スピンコート法、スプレー法、キャスト法、浸漬法などの塗布法、スパッタ法、化学蒸着法、真空蒸着法などが挙げられるが、スピンコート法が簡便で好ましい。
スピンコート法等の塗布法を用いる場合には、一般式(1)で示されるフタロシアニン化合物を0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%となるように溶媒に溶解あるいは分散させた塗布液を用いるが、この際、溶媒は基板にダメージを与えないものを選ぶことが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、オクタフルオロペンタノール、アリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラフルオロプロパノールなどのアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジブロモエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、乳酸メチルなどのエステル系溶媒、水などが挙げられる。これらは単独で用いても良く、あるいは、複数混合しても良い。
なお、必要に応じて、記録層の色素を高分子薄膜などに分散して用いたりすることもできる。
また、基板にダメージを与えない溶媒を選択できない場合は、スパッタ法、化学蒸着法や真空蒸着法などが有効である。
【0044】
色素層の膜厚は、特に限定するものではないが、好ましくは50nm〜300nmである。色素層の膜厚を50nmより薄くすると、熱拡散が大きいため記録できないか、記録信号に歪が発生する上、信号振幅が小さくなる。また、膜厚が300nmより厚い場合は反射率が低下し、再生信号特性が悪化する。
【0045】
次に記録層の上に、好ましくは50nm〜300nmの厚さの反射層を形成する。反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、CrおよびPdの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く反射層の材料として適している。これ以外でも下記のものを含んでいても良い。例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属および半金属挙げることができる。また、Auを主成分とするものは反射率の高い反射層が容易に得られるため好適である。ここで主成分というのは含有率が50%以上のものをいう。金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
【0046】
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法などが挙げられる。また、基板の上や反射層の下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上などのために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
【0047】
さらに、反射層の上の保護層の材料としては反射層を外力から保護するものであれば特に限定しない。有機物質としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などを挙げることができる。また、無機物質としては、SiO2、Si3N4、MgF2、SnO2などが挙げられる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などは適当な溶媒に溶解して塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良く、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
【0048】
保護層の形成の方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法などの塗布法やスパッタ法や化学蒸着法などの方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
保護層の膜厚は、一般には0.1μm〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3μm〜30μmであり、より好ましくは5μm〜20μmである。
【0049】
保護層の上にさらにレーベルなどの印刷を行うこともできる。また、反射層面に保護シートまたは基板を張り合わせる、あるいは反射層面相互を内側とし対向させ、光記録媒体2枚を貼り合わせるなどの手段を用いても良い。また、基板鏡面側に、表面保護やごみ等の付着防止のために紫外線硬化性樹脂、無機系薄膜等を製膜しても良い。
【0050】
【実施例】
以下実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕フタロシアニン化合物(8)の合成
特開平5−247363号記載の方法に従って製造したテトラ−(α−2,4−ジメチル−3−ペンチルオキシ)銅フタロシアニン10.33g(10mmol)をトルエン50mlに溶解し、N−メチルホルムアニリド8.1g(60mmol)を添加した後、室温にて20分間かけてオキシ塩化リン9.2g(60mmol)を滴下した。更に40〜50℃にて20時間攪拌した。続いてp−トルエンスルホン酸ヒドラジド2.79g(15mmol)を加え還流下10時間攪拌した。反応混合物に30%酢酸ナトリウム水溶液100gを添加、1時間攪拌した後、トルエン層を分取、湯洗、濾過、溶媒を留去した。残留物にメタノール50mlを加え、晶析、ろ取して下記構造式で示されるフタロシアニン化合物(8−1)10.57g(収率86.4%)を得た。
【0051】
【化8】
【0052】
メタノール40mlに金属ナトリウム0.37g(16.1mmol)を添加、溶解して上記フタロシアニン化合物(8−1)10g(8.14mmol)のトルエン60ml溶液を滴下、続いてホルミルフェロセン3.45g(16.1mmol)を添加して45〜50℃にて20時間した。冷却後、溶剤を留去した後、カラムクロマトグラフィーにて精製し、下記構造式(8)で示される本願フタロシアニン化合物9.02g(収率88%)を得た。
【0053】
【化9】
【0054】
吸収波長:λmax=713.4nm
グラム吸光係数:εg=149,000(溶剤:トルエン)
熱分解開始温度:286.5℃
元素分析値:C72H79CuFeN8O5
計算値(%) C:68.69% H:6.57% N:8.90%
分析値(%) C:68.73% H:6.61% N:8.87%
得られた化合物のFT−IRスペクトルを図1に示す。
得られた化合物のVIS−NIR吸収スペクトルを図2に示す。
【0055】
〔実施例2〕フタロシアニン化合物(93)の合成
特開平5−247363号記載の方法に従って製造したテトラ−(α−2,4−ジメチル−3−ペンチルオキシ)パラジウムフタロシアニン10.76g(10mmol)をトルエン50mlに溶解し、N−メチルホルムアニリド8.1g(60mmol)を添加した後、室温にて20分間かけてオキシ塩化リン9.2g(60mmol)を滴下した。更に40〜50℃にて20時間攪拌した。反応終了後、室温に冷却した後、酢酸ナトリウム水溶液を添加し、トルエン相を分取、水洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を留去し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、下記構造式(93−1)で示されるホルミルフタロシアニン化合物8.83(収率80%)を得た。
【0056】
【化10】
【0057】
このホルミルフタロシアニン化合物(93−1)8.3g(7.5mmol)をトリクロロエタン25ml、水10mlに溶解し、50℃に昇温した後、臭素1.81g(22.6mmol)のトリクロロエタン6.5ml溶液を滴下し反応させた。反応終了後、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出後、水洗し、溶媒を留去し、下記構造式で示されるハロゲン化ホルミルフタロシアニン化合物(93−2)を9.6g(収率95.5%)得た。
【0058】
【化11】
【0059】
メタノール30mlにp−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.5g(8.1mmol)を添加、溶解し、上記で得られたハロゲン化ホルミルフタロシアニン化合物(93−2)5.36g(4mmol)のトルエン50ml溶液を滴下して45〜50℃にて3時間攪拌した。反応終了後、溶媒を留去、残留物にメタノール50mlを加え、晶析、ろ取して下記構造式で示されるフタロシアニン化合物(93−3)4.83g(収率80.0%)を得た。
【0060】
【化12】
【0061】
エタノール60mlに金属ナトリウム0.11g(4.78mmol)を添加、溶解して上記フタロシアニン化合物(93−3)3.56g(2.36mmnol)のトルエン45ml溶液を滴下、続いてホルミルフェロセン1.02g(4.77mmol)のエタノール60ml溶液を滴下した。更に45〜50℃にて20時間した。冷却後、溶剤を留去した後、カラムクロマトグラフィーにて精製し、下記構造式(93)で示される本願フタロシアニン化合物3.01g(収率83%)を得た。
【0062】
【化13】
【0063】
吸収波長:λmax=718.5nm
グラム吸光係数:εg=132,000(溶剤:トルエン)
熱分解開始温度:233.1℃
元素分析値:C72H79Br3FeN8O5Pd
計算値(%) C:56.21% H:5.18% N:7.28%
分析値(%) C:56.32% H:5.23% N:7.26%
得られた化合物のFT−IRスペクトルを図3に示す。
得られた化合物のVIS−NIR吸収スペクトルを図4に示す。
【0064】
〔実施例3〕
実施例1記載のフタロシアニン化合物(8)0.2gをジメチルシクロヘキサン10mlに溶解し、色素溶液を調製した。基板は、ポリカーボネート樹脂製で連続した案内溝(トラックピッチ:1.6μm)を有する直径120mm、厚さ1.2mmの円盤状のものを用いた。
この基板上に色素溶液を回転数1000〜1500rpmでスピンコートし、70℃で3時間乾燥して記録層を形成した。
この記録層の上にバルザース社製スパッタ装置(CDI−900)を用いてAuをスパッタし、厚さ100nmの反射層を形成した。スパッタガスには、アルゴンガスを用いた。スパッタ条件は、スパッタパワー2.5kW、スパッタガス圧1.0×10−2Torrで行った。
さらに反射層上に紫外線硬化性樹脂SD−1700(大日本インキ化学工業製)をスピンコートした後、紫外線を照射して厚さ6μmの保護層を形成して、光記録媒体を作製した。
得られた光記録媒体に、波長780nmでレンズの開口数が0.5の半導体レーザーヘッドを搭載したパルステック工業製光ディスク評価装置(DDU−1000)を用いて、線速14.4m/sの高速で、EFM信号を、レーザーパワー18〜20mWで記録した。評価装置を用いて信号を再生し、最短ピット(長さ0.8μm)のジッター、デビエーションおよびエラーレートを測定した結果、レーザーパワー18mWで、ジッター20ns、デビエーション10ns、エラーレート100以下といずれも良好な値を示した。
【0065】
〔実施例4〕
実施例3において、実施例1記載のフタロシアニン化合物(8)0.2gの代わりに実施例2記載のフタロシアニン化合物(93)0.2gを使用した以外は実施例3と同様にしてCD−R媒体を作製し、レーザーパワー18mWで記録し、最短ピット(長さ約0.8μm)のジッター、デビエーションおよびエラーレートを評価した結果、レーザーパワー18mWで、ジッター20ns、デビエーション10ns、エラーレート100以下といずれも良好な値を示した。
【0066】
〔比較例1〕
下記構造式(93−0)で示されるフタロシアニン化合物を、実施例3と同様にしてCD−R媒体を作製し、同様に評価したところ、レーザーパワー18mWでは、ジッター56ns、デビエーション52ns、エラーレート450以上であり、十分な特性ではなかった。
【0067】
【化14】
【0068】
〔比較例2〕
WO98014520記載の下記構造式(93−1)で示されるフタロシアニン化合物を、実施例7と同様にしてCD−R媒体を作製し、同様に評価したところ、レーザーパワー18mWでは、ジッター78 ns、デビエーション70ns、エラーレート1250以上であり、十分な特性ではなかった。
【0069】
【化15】
【0070】
【発明の効果】
本発明のフタロシアニン化合物は、金属系化合物が結合しているフタロシアニン化合物である。本願化合物は、金属系化合物が結合していることから分解特性が良好で、かつ、780nm近傍における吸収係数、屈折率が高く、特に高速、高密度記録での感度(最適記録パワー等)、記録特性(ジッター、デビエーション)の向上を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のフタロシアニン化合物のFT−IR吸収スペクトルである。
【図2】実施例1のフタロシアニン化合物のトルエン中のVIS−NIR吸収スペクトルである。
【図3】実施例2のフタロシアニン化合物のFT−IR吸収スペクトルである。
【図4】実施例2のフタロシアニン化合物のトルエン中のVIS−NIR吸収スペクトルである。
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスク記録材料、情報記録、表示センサー、光カード等のオプトエレクトロニクス関連に有用である新規なフタロシアニン化合物と、それを記録層に含有して形成される光ディスク等の光記録媒体に関する。
【0002】
【従来技術】
コンパクトディスク(以下CDと略す)規格に対応した追記型光記録媒体としてCD−R(CD−Recordable)が提案・開発されていることは公知であり、情報記録用として広く普及している。
このCD−Rの記録、再生には一般に780nmの近赤外線半導体レーザーが用いられており、基板上の有機色素等からなる記録層に、ヒートモードで信号記録が行われる。すなわち、記録層にレーザー光が照射されると、有機色素は光吸収により熱を発生し、この発生した熱により記録層にピットが形成される。信号記録は、レーザー光を照射したときの、当該ピットが形成された部分とされていない部分との反射率の違いによって検知される。CD−Rはレッドブックや、オレンジブック等のCD規格に準拠しているため、CDプレーヤーやCD−ROMプレーヤーと互換性を有するという特徴を有し、かつ近年急速に安価に提供されていることから、パソコンの画像保存やバックアップ用、及び音楽用として爆発的に広く普及してきた。現在、CD−Rプレーヤーのレーザーパワーの向上と共に、52倍速記録が可能となり、当初ディスク1枚に70分以上必要とされていたものが3分以下に短縮されてきている。高速記録では、短時間にピットを形成させることから、高パワーのレーザーを照射する必要があるが、高パワーのレーザー照射には、プレイヤーの負担も大きく、より高速記録を可能とするためには、低パワーでも良好に分解する色素、つまり高感度な色素が望まれている。
【0003】
光ディスクや光カード等の記録媒体の記録層にフタロシアニン化合物を利用する技術は、広く知られているが、これらのフタロシアニン類は感度、屈折率、記録特性等の面から光記録媒体用としては不十分であった。それを改良した化合物が特許文献1に記載されているが、レーザー光による書き込み時の記録特性に問題があり、未だ実用上十分ではなかった。また、特許文献2、3には、フッ素原子が導入されたフタロシアニン化合物が開示されているが、フッ素基の導入では基板樹脂との密着性が改良されるものの感度が低く、特許文献4に記載された、フタロシアニン環に臭素原子を導入した化合物では、高速、高密度記録においては、充分な性能を有するとは言えず、特許文献5に開示された、アルキル基に臭素、ヨウ素基を導入した場合、溶解性が低下し、記録媒体作成時のスピンコート溶剤への溶解性が低下する問題があった。
また、特許文献6には、フタロシアニン化合物にホルミル基等の置換基を修飾した化合物が記載されているが、金属系化合物の記載はなく、有機基の結合では感度の向上は十分ではなかった。
【0004】
CD−Rへの書き込み及び読み出しは、780nm近傍のレーザー光を利用するので、レーザー発信波長近傍における吸収係数、屈折率等の制御及び書き込み時における精度のよいピット形成が重要である。このことは、高速記録、高密度記録において特に重要である。そのため、構造安定性が高く、レーザー発信波長近傍の光に対して屈折率が高く、分解特性が良好で、かつ感度の高い光記録媒体用色素の開発が必要となる。しかし、従来の開発された色素は、記録媒体に用いたとき、特に高速、高密度記録の感度(C/N比、最適記録パワー)、記録特性(ジッター、デビエーション)について、十分ではないという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−62878号公報
【特許文献2】
特開平4−214388号公報
【特許文献3】
特開平5−238150号公報
【特許文献4】
特開平5−247363号公報
【特許文献5】
特開平7−90186号公報
【特許文献6】
国際公開98/14520号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を改善し、高速記録、高密度記録においても感度が高く、記録特性良好で、精度のよいピット形成が可能な、光記録媒体を提供しうる色素を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前項の課題を解決すべく鋭意検討の結果、本願の新規なフタロシアニン化合物が、上述の目的に合う特性を有することを見出した。
即ち本発明は、
▲1▼下記一般式(I)で示されるフタロシアニン化合物
【0008】
【化3】
【0009】
〔式中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価または4価の置換金属原子、あるいはオキシ金属を表し、L1,L2,L3及びL4は、それぞれ独立に式(a)または式(b)を表す。
【0010】
【化4】
【0011】
(式(a)または式(b)中、Xは置換または無置換の炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキルチオ基を表わし、Yはそれぞれ独立に水素原子、ニトロ基、またはハロゲン原子を表し、Aは金属系化合物を表す。)ただし、L1〜L4のうち少なくとも1つは式(a)である。〕
▲2▼ 金属系化合物がメタロセン化合物またはその誘導体である▲1▼記載のフタロシアニン化合物
▲3▼ 基板、記録層、反射層からなる光記録媒体において、▲1▼〜▲2▼のいずれかに記載のフタロシアニン化合物を記録層に含有する光記録媒体
に関する。
【0012】
本発明のフタロシアニン化合物は、金属系化合物がフタロシアニン化合物に結合していることから、フタロシアニン化合物の熱分解特性が改良され、結果として高速、高密度記録での感度、記録特性を向上させることが可能となった。
本発明のフタロシアニン化合物は、650−900nmに吸収を有し、分子吸光係数も高く、長期安定性、耐久性に優れるため、半導体レーザーを用いる光記録媒体(光ディスク、光カード)等の記録材料に好適である。
【0013】
以下に、本発明の好ましい態様を詳述する。
式中、Xで表される具体例としては、置換または無置換の炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキルチオ基が挙げられる。
【0014】
置換または無置換の総炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−iso−プロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、3−メチル−1−iso−プロピルブチル基、2−メチル−1−iso−プロピルブチル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、2、4−ジメチル−3−プロピル基、2−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基等の無置換のアルキル基、
2−クロロエチル基、3−ブロモプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基等のハロゲノ基で置換されたアルキル基、
2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、1−エトキシ−2−プロピル基、3−メトキシプロピル基、 3−メトキシ−ブチル基、2、2−ジメチル−1、3ジオキソラン−4−メトキシ基、1、3−ジエトキシ−2−プロポキシ基等のアルコキシ基で置換されたアルキル基、
2−ジメチルアミノエチル基、2−ジエチルアミノエチル基、2−ジブチルアミノエチル基、2−ジエチルアミノプロピル基等のアミノ基で置換されたアルキル基、1、3−ジエチルチオ−2−プロピル基等のアルキルチオ基で置換されたアルキル基等が挙げられる。
【0015】
置換または無置換の総炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、iso−プロポキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、neo−ペンチルオキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、1−iso−プロピルプロポキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、2−メチル−1−iso−プロピルプロポキシ基、1−エチル−3−メチルブトキシ基、3−メチル−1−iso−プロピルブトキシ基、2−メチル−1−iso−プロピルブトキシ基、1−t−ブチル−2−メチルプロポキシ基、2、4−ジメチル−3−プロポキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等の無置換のアルコキシ基、
2−クロロエトキシ基、3−ブロモプロポキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシ基等のハロゲノ基で置換されたアルコキシ基、
2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、1−エトキシ−2−プロポキシ基、3−メトキシプロポキシ基、 3−メトキシブトキシ基、2、2−ジメチル−1、3ジオキソラン−4−メトキシ基、1、3−ジエトキシ−2−プロポキシ基等のアルコキシ基で置換されたアルコキシ基、
2−ジメチルアミノエトキシ基、2−ジエチルアミノエトキシ基、2−ジブチルアミノエトキシ基、2−ジエチルアミノプロポキシ基等のアミノ基で置換されたアルコキシ基、1、3−ジエチルチオ−2−プロポキシ基等のアルキルチオ基で置換されたアルコキシ基等が挙げられる。
【0016】
置換または無置換の総炭素数1〜15の直鎖または分岐のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、iso−プロピルチオ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、neo−ペンチルチオ基、1,2−ジメチルプロピルチオ基、シクロヘキシルチオ基、1,3−ジメチルブチルチオ基、1−iso−プロピルプロピルチオ基、1,2−ジメチルブチルチオ基、1,4−ジメチルペンチルチオ基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピルチオ基、1−エチル−3−メチルブチルチオ基、3−メチル−1−iso−プロピルブチルチオ基、2−メチル−1−iso−プロピルブチルチオ基、1−t−ブチル−2−メチルプロピルチオ基、2、4−ジメチル−3−プロピルチオ基、2−メチルペンチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基等の無置換のアルキルチオ基、
2−クロロエチルチオ基、3−ブロモプロピルチオ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルチオ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピルチオ基等のハロゲノ基で置換されたアルキルチオ基、
2−メトキシエチルチオ基、2−エトキシエチルチオ基、2−ブトキシエチルチオ基、1−エトキシ−2−プロピルチオ基、3−メトキシ−プロピルチオ基、 3−メトキシブチルチオ基、2、2−ジメチル−1、3ジオキソラン−4−メチルチオ基、1、3−ジエトキシ−2−プロピルチオ基等のアルコキシ基で置換されたアルキルチオ基、
2−ジメチルアミノエチルチオ基、2−ジエチルアミノエチルチオ基、2−ジブチルアミノエチルチオ基、2−ジエチルアミノプロピルチオ基等のアミノ基で置換されたアルキルチオ基、1、3−ジエチルチオ−2−プロピルチオ基等のアルキルチオ基で置換されたアルキルチオ基等が挙げられる。
【0017】
Yで表される具体例としては、水素原子、ニトロ基、およびフッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子が挙げられ、好ましくは、水素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価または4価の置換金属原子、あるいはオキシ金属を表すし、Mで表わされる2価金属の例としては、Cu(II)、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Ru(II)、Rh(II)、Pd(II)、Pt(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ti(II)、Be(II)、Ca(II)、Ba(II)、Cd(II)、Hg(II)、Pb(II)、Sn(II)などが挙げられる。
3価の置換金属原子の例としては、Al−Cl、Al−Br、Al−F、Al−I、Ga−Cl、Ga−F、Ga−I、Ga−Br、In−Cl、In−Br、In−I、In−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、Tl−F、Al−C6H5、Al−C6H4(CH3)、In−C6H5、In−C6H4(CH3)、In−C10H7、Mn(OH)、Mn(OC6H5)、Mn[OSi(CH3)3]、FeCl、RuClなどの1置換3価金属が挙げられる。
4価の置換金属原子の例としては、CrCl2、SiCl2、SiBr2、SiF2、SiI2、ZrCl2、GeCl2、GeBr2、GeI2、GeF2、SnCl2、SnBr2、SnI2、SnF2、TiCl2、TiBr2、TiF2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、Sn(OH)2、TiR2、CrR2、SiR2、SnR2、GeR2[Rはアルキル基、フェニル基、ナフチル基およびその誘導体を表わす]、Si(OR’)2、Sn(OR’)2、Ge(OR’)2、Ti(OR’)2、Cr(OR’)2[R’はアルキル基、アルキルカルボニル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基およびその誘導体を表わす]などの2置換の4価金属が挙げられる。オキシ金属の例としては、VO、MnO、TiOなどが挙げられる。
【0018】
Aで表される金属系化合物としては、金属を含む化合物であれば特に限定されないが、好ましくはメタロセン化合物またはその誘導体が挙げられ、具体的には、Fe(Cp)2(但しCpはシクロペンタジエニル基を表す)、Co(Cp)2、Ni(Cp)2、Ru(Cp)2、Os(Cp)2、Mn(Cp)2、Cr(Cp)2、W(Cp)2、V(Cp)2、Sc(Cp)3、Y(Cp)3、La(Cp)3、Ce(Cp)3、Pr(Cp)3、Nd(Cp)3、Sm(Cp)3、Gd(Cp)3、Er(Cp)3、Tm(Cp)3 、Yb(Cp)3、シクロペンタジエニルマンガノセントリカルボニル等のメタロセン化合物、チタノセンジフェノキシド、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニルチタニウム、シクロペンタジエニルマンガノセントリカルボニル等の置換金属を有するメタロセン化合物などが挙げられ、これらのメタロセン化合物は、アルキル基、アリール基、アシル基により置換されていてもよい。
なお、メタロセン化合物とフタロシアニン化合物の結合態様としては、シクロペンタジエニル環との結合、金属との直接結合などが挙げられるが、好ましくはシクロペンタジエニル環との結合が挙げられる。
【0019】
一般式(I)で表される本発明のフタロシアニン化合物は、一般式(II)で表わされるフタロシアニン化合物と、一般式(III)で表わされる化合物を、塩基性触媒の存在下、適当な溶媒中で製造することができるが、特に限定されない。
【0020】
【化5】
【0021】
〔式中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の一置換金属原子または4価のニ置換金属原子、またはオキシ金属を表し、L1’,L2’,L3’及びL4’は、それぞれ独立に式(a)’、式(b)、
【0022】
【化6】
【0023】
(式(a)’または式(b)中、Xはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基を表わし、Rは水素原子またはアルキル基を表し、Zはそれぞれ独立に水素原子、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。)を表し、L1’〜L4’のうち、少なくとも1つが式(a)’を表す。〕
【0024】
【化7】
【0025】
[一般式中、A’は金属系化合物を表す。]
一般式(II)で表わされるフタロシアニン化合物に対する一般式(III)の化合物の使用量は、0.1〜100倍当量、好ましくは1〜20倍当量である。
【0026】
反応に使用される溶媒としては、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン等の極性溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒が挙げられる。使用する溶媒の量は、一般式(II)のフタロシアニン化合物に対して1〜100倍重量、好ましくは5〜20倍重量である。
【0027】
塩基性触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、tert−ブトキシカリ等が挙げられる。使用する塩基性触媒の量は、一般式(II)のフタロシアニン化合物に対して0.1〜100倍当量、好ましくは1〜20倍当量である。
反応温度は0℃〜溶媒の還流温度であり、好ましくは20℃〜溶媒の還流温度である。
反応時間は30分〜72時間が好ましく、さらに好ましくは2〜24時間である。
後処理としては、反応後に溶媒を留去するか、又は反応液をフタロシアニン化合物に対する貧溶媒に排出して析出物を濾取することにより目的物が得られる。また、この生成物を更に再結晶あるいはカラムクロマトグラフィーにより精製することで、より高純度の目的物を得ることができる。
【0028】
また、フタロシアニン化合物は、公知の様に構造異性体が存在し、得られる化合物はこれらの混合物である。さらに、本願では、金属系化合物を結合させることから、多くの構造異性体が生成する他に、置換数の異なる化合物の混合物として得られる。本願記載の化合物は、構造式で示される化合物を主に含む混合物であり、構造式に示される化合物に限定されるものではない。
【0029】
本発明の一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物の好ましい具体例を下記に示すが、その化合物の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】
【0037】
光記録媒体とは予め情報を記録されている再生専用の光再生専用媒体及び情報を記録して再生することのできる光記録媒体の両方を示すものである。但し、ここでは適例として後者の情報を記録して再生のできる光記録媒体、特に基板上に記録層、反射層を有する光記録媒体に関して説明する。
【0038】
基板の材質としては、基本的には記録光および再生光の波長で透明であればよい。例えば、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の高分子材料やガラス等の無機材料が利用される。これらの基板材料は射出成形法等により円盤状に基板に成形される。必要に応じて、基板表面に案内溝やピットを形成することもある。このような案内溝やピットは、基板の成形時に付与することが望ましいが、基板の上に紫外線硬化樹脂層を用いて付与することもできる。
【0039】
本発明においては、基板上に記録層を設けるが、本発明の記録層は、λmaxが650nm〜900nm付近に存在する一般式(I)で示されるフタロシアニン化合物を含有する。中でも、780nm近傍の記録および再生レーザー波長に対して適度な光学定数(光学定数は複素屈折率(n+ki)で表現される。式中のn、kは、実数部nと虚数部kとに相当する係数である。ここでは、nを屈折率、kを消衰係数とする。)を有する必要がある。
【0040】
一般に有機色素は、波長λに対し、屈折率nと消衰係数kが大きく変化する特徴がある。nが1.8より小さい値になると正確な信号読み取りに必要な反射率と信号変調度は得られず、kが0.40を越えても反射率が低下して良好な再生信号が得られないだけでなく、再生光により信号が変化しやすく実用に適さない。この特徴を考慮して、目的とするレーザー波長において好ましい光学定数を有する有機色素を選択し記録層を成膜することで、高い反射率を有し、かつ、感度の良い媒体とすることができる。
【0041】
本発明で使用する一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、吸光係数が高く、また中心金属、置換基の選択により吸収波長域を任意に選択できるため、前記レーザー光の波長において記録層に必要な光学定数(nが1.8以上、且つ、kが0.04から0.40であり、好ましくは、nが2.0以上、且つ、kが0.04〜0.20)を満足する極めて有用な化合物である。
【0042】
さらに、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤などを併用することもできる。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどが挙げられる。
【0043】
記録層を基板の上に成膜する際に、基板の耐溶剤性や反射率、記録感度などを向上させるために、基板の上に無機物やポリマーからなる層を設けても良い。
ここで、記録層における一般式(1)で示されるフタロシアニン化合物の含有量は、30%以上、好ましくは60%以上である。尚、実質的に100%であることも好ましい。
記録層を設ける方法は、例えば、スピンコート法、スプレー法、キャスト法、浸漬法などの塗布法、スパッタ法、化学蒸着法、真空蒸着法などが挙げられるが、スピンコート法が簡便で好ましい。
スピンコート法等の塗布法を用いる場合には、一般式(1)で示されるフタロシアニン化合物を0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%となるように溶媒に溶解あるいは分散させた塗布液を用いるが、この際、溶媒は基板にダメージを与えないものを選ぶことが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、オクタフルオロペンタノール、アリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラフルオロプロパノールなどのアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジブロモエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、乳酸メチルなどのエステル系溶媒、水などが挙げられる。これらは単独で用いても良く、あるいは、複数混合しても良い。
なお、必要に応じて、記録層の色素を高分子薄膜などに分散して用いたりすることもできる。
また、基板にダメージを与えない溶媒を選択できない場合は、スパッタ法、化学蒸着法や真空蒸着法などが有効である。
【0044】
色素層の膜厚は、特に限定するものではないが、好ましくは50nm〜300nmである。色素層の膜厚を50nmより薄くすると、熱拡散が大きいため記録できないか、記録信号に歪が発生する上、信号振幅が小さくなる。また、膜厚が300nmより厚い場合は反射率が低下し、再生信号特性が悪化する。
【0045】
次に記録層の上に、好ましくは50nm〜300nmの厚さの反射層を形成する。反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、CrおよびPdの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く反射層の材料として適している。これ以外でも下記のものを含んでいても良い。例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属および半金属挙げることができる。また、Auを主成分とするものは反射率の高い反射層が容易に得られるため好適である。ここで主成分というのは含有率が50%以上のものをいう。金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
【0046】
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法などが挙げられる。また、基板の上や反射層の下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上などのために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
【0047】
さらに、反射層の上の保護層の材料としては反射層を外力から保護するものであれば特に限定しない。有機物質としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などを挙げることができる。また、無機物質としては、SiO2、Si3N4、MgF2、SnO2などが挙げられる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などは適当な溶媒に溶解して塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良く、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
【0048】
保護層の形成の方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法などの塗布法やスパッタ法や化学蒸着法などの方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
保護層の膜厚は、一般には0.1μm〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3μm〜30μmであり、より好ましくは5μm〜20μmである。
【0049】
保護層の上にさらにレーベルなどの印刷を行うこともできる。また、反射層面に保護シートまたは基板を張り合わせる、あるいは反射層面相互を内側とし対向させ、光記録媒体2枚を貼り合わせるなどの手段を用いても良い。また、基板鏡面側に、表面保護やごみ等の付着防止のために紫外線硬化性樹脂、無機系薄膜等を製膜しても良い。
【0050】
【実施例】
以下実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕フタロシアニン化合物(8)の合成
特開平5−247363号記載の方法に従って製造したテトラ−(α−2,4−ジメチル−3−ペンチルオキシ)銅フタロシアニン10.33g(10mmol)をトルエン50mlに溶解し、N−メチルホルムアニリド8.1g(60mmol)を添加した後、室温にて20分間かけてオキシ塩化リン9.2g(60mmol)を滴下した。更に40〜50℃にて20時間攪拌した。続いてp−トルエンスルホン酸ヒドラジド2.79g(15mmol)を加え還流下10時間攪拌した。反応混合物に30%酢酸ナトリウム水溶液100gを添加、1時間攪拌した後、トルエン層を分取、湯洗、濾過、溶媒を留去した。残留物にメタノール50mlを加え、晶析、ろ取して下記構造式で示されるフタロシアニン化合物(8−1)10.57g(収率86.4%)を得た。
【0051】
【化8】
【0052】
メタノール40mlに金属ナトリウム0.37g(16.1mmol)を添加、溶解して上記フタロシアニン化合物(8−1)10g(8.14mmol)のトルエン60ml溶液を滴下、続いてホルミルフェロセン3.45g(16.1mmol)を添加して45〜50℃にて20時間した。冷却後、溶剤を留去した後、カラムクロマトグラフィーにて精製し、下記構造式(8)で示される本願フタロシアニン化合物9.02g(収率88%)を得た。
【0053】
【化9】
【0054】
吸収波長:λmax=713.4nm
グラム吸光係数:εg=149,000(溶剤:トルエン)
熱分解開始温度:286.5℃
元素分析値:C72H79CuFeN8O5
計算値(%) C:68.69% H:6.57% N:8.90%
分析値(%) C:68.73% H:6.61% N:8.87%
得られた化合物のFT−IRスペクトルを図1に示す。
得られた化合物のVIS−NIR吸収スペクトルを図2に示す。
【0055】
〔実施例2〕フタロシアニン化合物(93)の合成
特開平5−247363号記載の方法に従って製造したテトラ−(α−2,4−ジメチル−3−ペンチルオキシ)パラジウムフタロシアニン10.76g(10mmol)をトルエン50mlに溶解し、N−メチルホルムアニリド8.1g(60mmol)を添加した後、室温にて20分間かけてオキシ塩化リン9.2g(60mmol)を滴下した。更に40〜50℃にて20時間攪拌した。反応終了後、室温に冷却した後、酢酸ナトリウム水溶液を添加し、トルエン相を分取、水洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を留去し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、下記構造式(93−1)で示されるホルミルフタロシアニン化合物8.83(収率80%)を得た。
【0056】
【化10】
【0057】
このホルミルフタロシアニン化合物(93−1)8.3g(7.5mmol)をトリクロロエタン25ml、水10mlに溶解し、50℃に昇温した後、臭素1.81g(22.6mmol)のトリクロロエタン6.5ml溶液を滴下し反応させた。反応終了後、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出後、水洗し、溶媒を留去し、下記構造式で示されるハロゲン化ホルミルフタロシアニン化合物(93−2)を9.6g(収率95.5%)得た。
【0058】
【化11】
【0059】
メタノール30mlにp−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.5g(8.1mmol)を添加、溶解し、上記で得られたハロゲン化ホルミルフタロシアニン化合物(93−2)5.36g(4mmol)のトルエン50ml溶液を滴下して45〜50℃にて3時間攪拌した。反応終了後、溶媒を留去、残留物にメタノール50mlを加え、晶析、ろ取して下記構造式で示されるフタロシアニン化合物(93−3)4.83g(収率80.0%)を得た。
【0060】
【化12】
【0061】
エタノール60mlに金属ナトリウム0.11g(4.78mmol)を添加、溶解して上記フタロシアニン化合物(93−3)3.56g(2.36mmnol)のトルエン45ml溶液を滴下、続いてホルミルフェロセン1.02g(4.77mmol)のエタノール60ml溶液を滴下した。更に45〜50℃にて20時間した。冷却後、溶剤を留去した後、カラムクロマトグラフィーにて精製し、下記構造式(93)で示される本願フタロシアニン化合物3.01g(収率83%)を得た。
【0062】
【化13】
【0063】
吸収波長:λmax=718.5nm
グラム吸光係数:εg=132,000(溶剤:トルエン)
熱分解開始温度:233.1℃
元素分析値:C72H79Br3FeN8O5Pd
計算値(%) C:56.21% H:5.18% N:7.28%
分析値(%) C:56.32% H:5.23% N:7.26%
得られた化合物のFT−IRスペクトルを図3に示す。
得られた化合物のVIS−NIR吸収スペクトルを図4に示す。
【0064】
〔実施例3〕
実施例1記載のフタロシアニン化合物(8)0.2gをジメチルシクロヘキサン10mlに溶解し、色素溶液を調製した。基板は、ポリカーボネート樹脂製で連続した案内溝(トラックピッチ:1.6μm)を有する直径120mm、厚さ1.2mmの円盤状のものを用いた。
この基板上に色素溶液を回転数1000〜1500rpmでスピンコートし、70℃で3時間乾燥して記録層を形成した。
この記録層の上にバルザース社製スパッタ装置(CDI−900)を用いてAuをスパッタし、厚さ100nmの反射層を形成した。スパッタガスには、アルゴンガスを用いた。スパッタ条件は、スパッタパワー2.5kW、スパッタガス圧1.0×10−2Torrで行った。
さらに反射層上に紫外線硬化性樹脂SD−1700(大日本インキ化学工業製)をスピンコートした後、紫外線を照射して厚さ6μmの保護層を形成して、光記録媒体を作製した。
得られた光記録媒体に、波長780nmでレンズの開口数が0.5の半導体レーザーヘッドを搭載したパルステック工業製光ディスク評価装置(DDU−1000)を用いて、線速14.4m/sの高速で、EFM信号を、レーザーパワー18〜20mWで記録した。評価装置を用いて信号を再生し、最短ピット(長さ0.8μm)のジッター、デビエーションおよびエラーレートを測定した結果、レーザーパワー18mWで、ジッター20ns、デビエーション10ns、エラーレート100以下といずれも良好な値を示した。
【0065】
〔実施例4〕
実施例3において、実施例1記載のフタロシアニン化合物(8)0.2gの代わりに実施例2記載のフタロシアニン化合物(93)0.2gを使用した以外は実施例3と同様にしてCD−R媒体を作製し、レーザーパワー18mWで記録し、最短ピット(長さ約0.8μm)のジッター、デビエーションおよびエラーレートを評価した結果、レーザーパワー18mWで、ジッター20ns、デビエーション10ns、エラーレート100以下といずれも良好な値を示した。
【0066】
〔比較例1〕
下記構造式(93−0)で示されるフタロシアニン化合物を、実施例3と同様にしてCD−R媒体を作製し、同様に評価したところ、レーザーパワー18mWでは、ジッター56ns、デビエーション52ns、エラーレート450以上であり、十分な特性ではなかった。
【0067】
【化14】
【0068】
〔比較例2〕
WO98014520記載の下記構造式(93−1)で示されるフタロシアニン化合物を、実施例7と同様にしてCD−R媒体を作製し、同様に評価したところ、レーザーパワー18mWでは、ジッター78 ns、デビエーション70ns、エラーレート1250以上であり、十分な特性ではなかった。
【0069】
【化15】
【0070】
【発明の効果】
本発明のフタロシアニン化合物は、金属系化合物が結合しているフタロシアニン化合物である。本願化合物は、金属系化合物が結合していることから分解特性が良好で、かつ、780nm近傍における吸収係数、屈折率が高く、特に高速、高密度記録での感度(最適記録パワー等)、記録特性(ジッター、デビエーション)の向上を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のフタロシアニン化合物のFT−IR吸収スペクトルである。
【図2】実施例1のフタロシアニン化合物のトルエン中のVIS−NIR吸収スペクトルである。
【図3】実施例2のフタロシアニン化合物のFT−IR吸収スペクトルである。
【図4】実施例2のフタロシアニン化合物のトルエン中のVIS−NIR吸収スペクトルである。
Claims (3)
- 下記一般式(I)で示されるフタロシアニン化合物。
- 金属系化合物がメタロセン化合物またはその誘導体である請求項1のフタロシアニン化合物。
- 基板、記録層、反射層からなる光記録媒体において、請求項1〜2のいずれかに記載のフタロシアニン化合物を記録層に含有する光記録媒体。
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