JP3666152B2 - 光記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光記録媒体に関し、レーザー光により記録できる光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高密度記録のため、レーザー光の発振波長の短波長化が注目され、780nm、830nmよりも短波長のレーザー光で記録再生可能な光記録媒体が求められている。かかる状況においては、さまざまな記録媒体があるが、その中で、有機色素系光記録媒体は安価でプロセス上容易であるという特長を有する。
このような短波長用途の有機色素媒体の色素としては、シアニン等が提案されており、特開平6−336086号公報、特開平7−161068号公報、特開平7−262604号公報、特開平7−125441号公報、特開平7−266705号公報等がある。記録部では、780nmでのCD−Rと同様に、色素の熱分解による光学定数と膜厚の減少と基板の軟化による変形等が生じていると考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術においては、記録時に、色素の分解のみか、基板の変形の両方により記録変調度を得ているが、記録部の変形が大きく、溝上記録の場合には隣接の溝間部に及ぶ大きなビットが形成されるため、クロストークが問題となる。これを解決すべく本発明者らは、特願平7ー213501号等において、減量が急峻で大きい色素を主成分あるいは添加することにより、記録部分の光学的変化領域を十分小さくし、かつ、記録変調度が十分大きく、反射率が高く大きな記録信号強度を得ること、及び、そのような要件を満たす色素の骨格について提案した。しかし、よりトラックピッチを狭くし、溝幅を狭くして片面約5ギガバイト以上の高容量化を目的とする場合にはクロストークが十分小さくならない場合が生じることがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高密度記録を実現するために良好なクロストークの小さい微小記録部を形成し、かつ、高い変調度、高い反射率を可能とする媒体を鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、透明基板上に、少なくとも、熱重量分析で、主減量開始温度よりも低い温度における減量が実質的になく、かつ、主減量開始温度での減量の傾きが2%/℃以上で、その総減量%が30%以上である有機色素を含有する記録層、金属反射層、保護層の順に積層した500nm以上、700nm以下で記録再生する光記録媒体が下記の(1)もしくは(2)の条件を満たすことである。
【0005】
(1)記録層が、示差熱分析での発熱のピークの大きさが−10μV/mg以上、10μV/mg以下の色素からなること。
(2)示差熱分析での発熱ピークの大きさが10μV/mg以上30μV/mg以下である有機色素からなる記録層の上に、銀を主成分とした金属反射層を有すること。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明における記録層は、記録用のレーザー光を吸収することによる昇温で減量し膜厚が減少し、光学特性が変化することにより戻り光の位相が変化し、反射率が変化したところを記録部とするものである。
【0007】
本発明において、透明基板としては、厚さ0.6±0.03mmで、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、非晶質ポリオレフィン等の樹脂やガラス等の公知のが用いられ、サーボ用の案内溝を有している。その溝は、深さは、通常100nm以上、200nm以下、好ましくは、140nm以上、180nm以下で、溝幅は、通常0.2μm以上、0.4μm以下、トラックピッチは、通常0.7μm以上、1μm以下であり、溝形状はU字溝が好ましい。溝の深さは、100nm未満の場合には、記録時に十分な変化がおきず、十分な記録変調度が得られない場合がある。200nmを越えると、溝部と溝間部の反射率差が大きすぎるため、溝上記録の場合には反射率が低くなりすぎるので良くない。溝幅は、0.2μm未満では十分なトラッキングエラー信号振幅を得ることが困難となる恐れがある上に、基板の溝転写率が低くなるため好ましくない。また、0.4μmを越える溝幅の場合には、記録した時に記録部が横に広がりやすくなるので好ましくない。さらに、溝幅は狭いほど高い記録変調度を得るには有利である。しかし、前述のように、クロストークが大きくなる傾向がある。本発明では0.2〜0.3μmの狭い溝幅の溝上で記録する場合に特に効果的である。トラックピッチは、高容量化の用途には、0.7μm以上、1μm以下が好ましい。なお、溝形状は、1μm以上のピッチの場合には、He−Cdレーザーによる光学測定により求め、それよりもトラックピッチが狭い場合には、STMやAFMでプロファイルを測定して求める。なお本件に関しては、STMとAFMで求めた。
【0008】
記録層は、通常、有機色素等をエタノール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、ジアセトンアルコール、フッ素系アルコール等の溶媒に溶かした溶液をスピンコートして得られる。この溶媒としては、沸点が100℃以上、150℃である溶媒で炭素数が3以上のフッ素系アルコール、すなわち、1H,1H,3H−テトラフルオロプロパノール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール等が好ましく用いられる。沸点が100℃未満の場合には、スピンコート時に溶媒が速く気化するため、ディスクの半径40mmより外周側に塗布液がゆきつかず、半径方向の膜厚分布が極めて大きくなり、良好な特性が得られないことがあるので好ましくない。また、沸点が150℃を越える場合には、蒸発に時間がかかる上に、膜中に溶媒が残留しやすく、この様な場合には、良好な記録ジッターが得られないことが多いので好ましくない。膜厚は溝間部で50nm以上、100nm以下程度が好ましく、溝部で90nm以上、180nm以下が好ましい。溝間部、溝部の記録層膜厚がこの範囲よりも薄い場合には膜厚が薄すぎて十分な記録変調度が得られない恐れがある。また、この範囲を越えると、膜厚が厚すぎて記録部がトラック方向、ランド方向に広がりやすく、ジッターやクロストークが大きくなる恐れがある。実際には溝部膜厚と溝間部の膜厚を正確に知ることは困難であり、一般的には溝間部の膜厚で代用されることが多いが(例えば特開平4ー109441号公報、特開平4ー182944号公報等)、溝部の膜厚と溝間部の膜厚比は、塗布溶媒、スピンコート回転数、風速、温度、溶液濃度、溶液粘度等の成膜の条件と、溝深さ、溝幅などにより変わるため、溝部と溝間部の平均膜厚や、溝間部の膜厚と塗布膜の溝深さのみで溝部膜厚を知ることは困難である。それに対し、塗布膜の溝深さと基板の溝深さの比と溝間部の膜厚、そして基板の溝深さがわかれば、溝部の膜厚が得られるわけである。この塗布膜の溝深さは基板の溝深さの50%以上、80%以下であることが好ましい。この範囲未満では溝部膜厚が厚すぎるため反射率が低くなり、トッラキングエラー信号も十分とれない恐れがある。また、80%を越えると溝部膜厚が薄すぎて十分な記録変調度が得られない恐れがある。なお、この基板の溝深さと塗布膜の溝深さの比はそれぞれをAFM(あるいはSTM)で同じ測定条件で測定して得た深さから求められる。また、溝間部の膜厚は鏡面基板上に成膜し、塗布開始部分を反射層成膜後に3次元表面粗さ計で測定し、溝間部の膜厚を求めることが出来る。本発明における膜厚(溝部)の範囲は、図1に示すように、反射率の1つ目の山の領域をカバーするものであり、例えば、特開平4ー109441号公報のnabs・d/λ(dを記録層の膜厚)であらわすと、図1のごとくになる。この記録層の溝部膜厚の範囲は、従来、CD−Rにおいて溝間部の膜厚で代表される”膜厚”に相当する範囲であり、本発明はCD−Rよりも一山浅い範囲であり、これが500nm以上、700nm以下であるが記録再生用高反射率高容量記録媒体の満たすべき好ましい条件である。なお、図1(a)、(b)、(c)は、波長640nmでの屈折率nが2.4、消衰係数kが0.05とn=2.3、k=0.05、n=2.6、k=0.08の場合について波長640nmでのディスク反射率(金属反射層をn=0.166、k=3.15、膜厚100nmとした)の計算を示す。また、図2には、反射率が60%以上となるnabs・d/λ(dを記録層膜厚)と消衰係数kの範囲を示した。これらの反射率は、溝の形状を含めない反射率なので、実際の溝上での反射率はこの値の8割程度とみなせる。なお、このような光学特性を満たす色素の単層膜は、その再生波長に最も近接する短波長側の吸収極大、あるいは、吸収の肩を、再生波長よりも40nm〜60nm短波長側に有する。
【0009】
光学記録に用いられる有機色素としては、フタロシアニン系色素、シアニン色素、含金属アゾ系色素や、ジベンゾフラノン系、含金属インドアニリン等が提案されているが、記録層を構成する有機色素の熱的特性は記録特性に大きく影響する。短波長用途として充分な特性を得るためには、熱重量分析における、主減量過程での減量が、温度に対してシャープであることが必要である。なぜならば、主減量過程の反応により、有機色素膜は分解し、膜厚の減少と光学定数の変化をおこす。その結果、光学的な意味でのビット(記録部)が形成される。この時、色素の再生光波長での屈折率が2.2以上、2.8以下、好ましくは2.4以上、2.8以下、消衰係数kが0.03以上、0.09以下、好ましくは、0.03以上、0.06以下の範囲のものであると、ディスクの反射率が大いため、記録前後の反射率コントラストの大きいものが得られるため好ましい。また、多くの場合、記録ビットの下の基板が記録時の色素層の熱吸収による昇温で変形し、図3のごとくに溝幅が広がる。本発明ではその変形の大きさ(記録部の溝幅)が未記録部の溝幅の1.0〜1.5、すなわち、W1/W0=1以上、1.5以下である。1.5を越える場合にはトラックピッチを0.8μm以下まで狭くするとクロストークが大きくなりジッターを劣化させるので好ましくない。また、記録層である色素層が光を吸収してビットが形成されるので、主減量が温度に対して緩慢である場合、すなわち、広い温度範囲にわたって減量が起こる場合には、記録層の光学変化と膜厚の変化が広い領域にわたって形成されることになる。高密度対応のビット長記録の場合にはビット同志が重なりあうためジッター、ビットの分解能が悪くなり、極めて不利である。それ故、温度に対して、急峻な減量を起こす色素が求められるのである。本発明においては、減量の過程が2段階になっている色素を用いた場合、すなはち、主減量開始温度よりも低い温度領域で減量がある色素を用いた場合も、同様な理由で不利である。本発明では、主減量過程での減量の傾きが2%/℃以上であり、その過程での総減量%が30%以上、好ましくは、減量の傾きは10%/℃以上であり、総減量%は35%以上である。減量の傾きが上記範囲未満では、十分小さく、ランド方向に広がらない細い記録部が形成できなくなり、ジッター、ビットの分解能が悪くなり、高密度対応の短ビット長記録が困難である。また、総減量%が30%未満の場合には記録前後の十分な反射率コントラストが得られず、記録変調度が小さいために十分な短ビット特性が得られない。さらに、狭いトラックピッチでのクロストークが十分小さい記録媒体を得るためには、色素の主減量過程での発熱ピークの大きさが−10μV/mg以上、10μV/mg以下、好ましくは−5μV/mg以上、5μV/mg以下である。この範囲を越える場合には、溝幅を0.3μm以下に狭めた場合のクロストークが50%を越えてしまい、良好なジッター特性が得られない。この範囲未満の場合、吸熱性が大きすぎて記録感度が悪くなる。さらに、この発熱、吸熱のピーク幅が20℃以下であることが好ましい。この範囲を越えると、エッジが急峻な良好な記録マークが形成されにくい。また、色素の主減量開始温度は150℃以上、340℃以下、好ましくは、150℃以上、200℃以下である。
【0010】
本発明において、減量の傾きは、以下の如くして求める。(図3を参照。)
質量M0の有機色素を窒素中で10℃/分で昇温する。昇温に従って、質量は当初微量ずつ減少し、ほぼ直線a−bの減量線を描き、ついで急激に減量し始め、15%以上の減量をほぼ直線d1 −d2 に沿って減量する。これが主減量過程であり、主減量開始温度は、T1 のことである。その後、ほぼ直線c−cで示される減量過程におちつく。直線d1 −d2 と直線c−cとの交点における温度をT2 、重量をm2 とし、初期重量をm1 とすれば、ここでいう減量の傾きとは、
【0011】
【数1】
(m1 −m2 )(%)/(T2 −T1 )(℃)
で示される値で、総重量に対する減量%(総減量%)は、
【0012】
【数2】
(m1 −m2 )(%)
で示される値である。なお、図4に示されるような場合には、主減量過程の減量の傾きは
【0013】
【数3】
(m1 −m2 )(%)/(T2 −T1 )(℃)
とし、総重量に対する減量%(総減量%)は、
【0014】
【数4】
(m1 −m3 )(%)
で示される値とする。
【0015】
また、本発明における発熱量は以下のようにして求める。
上記減量曲線とともに、図5のような示差熱曲線(DTA曲線)が得られる。なお、サンプルのリファレンスはサンプルの入っていないアルミ容器であり、流量200mL/分の窒素中で毎分10℃の昇温速度で加熱する。ここで、本測定で用いるアルミ容器は直径5mmφ、高さ2.5mmの容器であり、サンプルはその容器に粉末状態で入れる。サンプル量はアルミ容器の高さの80%を越えない量を目安とする。データサンプリング間隔は1秒毎とした。
【0016】
図に示すように、TG曲線の急峻な減量に対応する時間の近傍に、DTAでは発熱あるいは、吸熱のピークが生じる。発熱(吸熱)のピーク値は図中のCHをさし、本件ではリファレンスとサンプルのアルミ容器の底のまん中で測定した白金ロジウム熱電対(白金:ロジウム=87:13)の起電圧差を温度差の表示とし、そのピーク値を測定サンプルの重さで割った値を求めた。なお、ピークが2つに分かれている場合には大きい方の値をとった。ピーク幅は図中B’とD’の時間差(分)に昇温速度の10℃をかけて”ピーク幅(℃)”を求めた。
以上の条件を満たす色素としては
【0017】
【化2】
Figure 0003666152
【0018】
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基を表し、R2、R3は炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、またはメトキシエチル基、エトキシエチル基を表す。Y1はヒドロキシル基、カルボキシル基を表し、Y2は炭素数1〜6の直鎖または分岐のハロゲン原子で置換されていても良いアルキル基、XとZはシアノ基、カルボン酸誘導体基などの電子吸引基を表す。M2+はニッケル、コバルト、銅等の2価のイオンを表す。)
が特に好ましい。例えば、
【0019】
【化3】
Figure 0003666152
【0020】
【化4】
Figure 0003666152
【0021】
【化5】
Figure 0003666152
【0022】
【化6】
Figure 0003666152
【0023】
等が挙げられる。しかしながら、有機色素は、発熱量が10μV/mg以下の色素で記録層として良好な特性を示す色素ばかりではない。従って、発熱量が10μV/mgを超え、30μV/mg以下の有機色素の場合には、その色素層の上の金属反射層を、室温近傍での比電気抵抗値の逆数が0.20/μΩcm以上、0.30/μΩcm以下であるものとすることにより得られる”記録層の記録時の熱の急冷効果”を利用する。すなはち、ウィーデマンーフランツ則により示されるように、電気伝導度と熱伝導度との間には比例関係があるため、薄膜の熱伝導度の大小を電気伝導度から推測できる。本件では、スライドガラス上に約100nmの金属膜をスパッタしたものを四端子法で表面抵抗Rを測定し、比電気抵抗の逆数(電気伝導度)=(π/ln2)・R・t (ここで、tは膜厚)より比電気抵抗の逆数、すなわち、電気伝導度を決定した。本件の範囲は金よりも熱伝導度の大きいものであり、それは、比電気抵抗値の逆数が0.20/μΩcm以上、0.30/μΩcm以下である。さらに、金属反射層として、ディスクの反射率を充分高いものとする必要があるため、再生光波長±5nmでの屈折率、消衰係数がそれぞれ、0.1以上、0.2以下、3以上、5以下である。具体的には銀とその合金が挙げられる。この組み合わせにより、急冷現象がおきて記録ビットが隣接トラックの方向に広がるのを抑制でき、その結果、クロストークを低減できる。尚、本件では、比電気抵抗値の逆数は、金と銀とでそれぞれ、0.15/μΩcmと0.27/μΩcmであった。
【0024】
金属反射層は、記録層を透過したレーザー光を効率良く反射する金属膜であり、500nm以上、700nm以下で反射率が低下しないために、記録再生波長±5nmの波長領域の光の屈折率が0.1以上、0.2以下、消衰係数kが3以上、5以下であるものが好ましい。好ましい金属反射膜として、特に銀を主成分とした金属反射膜が好ましい。なぜならば、銀は金属でもとくに熱伝導度が大きいため、記録層の記録時の昇温を急激に冷却する効果があり、そのために基板の変形が溝間部に大きく広がることを抑制し、クロストークが小さくなる。また銀は、金、アルミ合金などに比べると反射率が大きいため、短ビット記録をした時により大きな信号振幅が得られ、これを反射層とした場合には短ビット特性が良好となる。対候性の向上のために、また、熱伝導度の微調整のために、銀に、Ti、Rh、Cu、Ta、Pd、Ni、V、Co、Cr、Si、C、B、Sn、P、Zn、Sb、Moの添加元素を3原子%以下の範囲で加えることが好ましい。。金属反射層の膜厚は、好ましくは80nm以上で、記録層の変形を抑制しすぎたり、記録感度を悪化させすぎない程度の膜厚が好ましい。
【0025】
本発明の光学記録媒体においては、反射層の上に保護層を積層し、記録部の金属反射層の穴の発生を防止したり、変形の非対称性を抑制する効果を有している。保護層としては紫外線硬化接続が好ましい。また、通常は、1μm以上、好ましくは3μm以上の膜厚にして、酸素による硬化抑制等がおこらないようにする。さらにその上にホットメルトや紫外線硬化の接着剤を10〜20μm設けて2枚の貼り合わせをしてもよい。
以下本発明を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例に限定されるものではない。
【0026】
【実施例】
実施例1
溝深さ150nm、溝幅(溝の半値幅)0.25μm(0.80μmピッチ)(以上、AFMでの測定結果)のU字型案内溝を有する厚さ0.6mmのポリカーボネート基板上に下記構造式〔IV〕
【0027】
【化7】
Figure 0003666152
【0028】
で示される含金属アゾ色素0.06gをオクタフルオロペンタノール(OFP)5gに溶解し、800rpmでスピンコートし、80℃のオーブンで1時間アニール処理し、記録層とした。この色素の減量特性は図2に示されるタイプであり、主減量過程での減量が47.0%で、温度差が7.1℃で、減量の傾きは6.6%/℃(主減量開始温度は313℃)、総減量%は59.7%、発熱ピーク値は+3.4μV/mg、ピーク幅は14.7℃であった。熱重量分析、示差熱分析ははセイコー電子工業製の示差熱天秤(「SSC5200H」シリーズ「TG−DTA−320」)を用いて測定した。この色素単層の640nmでの屈折率nと消衰係数kはそれぞれ2.2と0.06であり、吸収の肩は577nmであった。
【0029】
この記録層の上に金を100nmの厚さだけスパッタし、その状態で塗布膜の溝深さをAFMで測定したところ、基板の溝深さの55%であった。なお、記録層の溝間部膜厚は80nmであった(従って、溝部膜厚は140nm)。この金属層の上にUV硬化樹脂(大日本インキ製「SD−318」)を約3μmスピンコートして紫外線ランプで硬化してディスクを作製した。同じ様にして作製したディスクどうしをホットメルト方式で接着した。この貼り合わせディスクを640nmの半導体レーザー評価機(開口数NA=0.6)で、CD−Rの4倍速対応EFM信号(nー1)Tを線速度2.7m/sで記録したところ、7.4mWでアイの中心が11T波形の中心に位置する良好なアイパターンが得られた。この記録条件でItop=50%、I11/Itop=68%で、3Tジッターは9nsであった。この条件で記録した溝部に隣接する溝間部(ランド上)で再生したところ、信号振幅は溝部での再生振幅の38%であり、両側のトラックの記録によるジッターの劣化は1nsと十分小さなクロストーク特性を示した。このディスクの貼り合わせ面をはがし、両面テープで反射膜を剥離し、エタノールで色素を洗い流して記録部下の基板の変形をAFMで観察したところ、20nm程度の凸部が形成され、溝幅の変形は未記録部の溝幅の1.1倍と、十分スマートな記録マークが形成されていた。
【0030】
実施例2〜5、比較例1〜
以下の実施例、比較例で用いた基板、UV硬化樹脂層はすべて実施例1と同様であり、実施例5を除いては反射層が金100nmであり(実施例5は、銀100nm)、色素は下記構造式のものに変え、記録条件はすべての例で全く同様とした。特性は表−1に示すとおりであり、表中でクロストークと示しているのは、両側の溝上に記録した時の、溝間部での再生信号振幅/溝上再生信号振幅(%)の値である。いずれも、溝間部の膜厚は80nm〜90nmであり、塗布膜の溝深さは基板のそれの55%〜60%で、結局溝部の膜厚は130nm〜140nmであった。なお、いずれも記録は、アイの中心が11T波形の中心に位置するアイパターンが得られる記録パワーで行った。なお、DTAによる発熱量の測定に用いた試料量は、各図7〜14のチャート上部に示す。
【0031】
【化8】
Figure 0003666152
【0032】
【化9】
Figure 0003666152
【0033】
【表1】
Figure 0003666152
【0034】
尚、記録パワーは実施例1〜6でそれぞれ7.4、6.6、8.6、6.4、6.5、6.5mWであり、比較例1〜でそれぞれ7.2、7.0、7.2mWであった。
比較例
基板の溝幅を0.35μmに変えた他は実施例6と同様にしてディスクを作成した。このディスクを実施例6と同様に記録したところ、I11/Itopは54%しか得られず、実施例6に比べはるかに小さいものであった。このことから、溝幅が狭いほど大きい記録変調度が得られることがわかる。
【0035】
【発明の効果】
トラックピッチ、溝幅が十分小さくてもクロストークが小さい、良好な短ビットを形成し短波長記録に好適な、高反射率の高容量光記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本件でのnabs・d/λの範囲と反射率を示す計算結果の説明図。
【図2】反射率60%以上となる、本件でのnabs・d/λと消衰係数kの範囲を示す説明図。
【図3】記録部と未記録部の基板の溝幅を示す説明図。
【図4】有機色素の主減量過程、主減量過程の総減量、減量の傾きを求める方法を説明するための示差熱天秤のチャートの説明図。
【図5】図4と異なる、有機色素の主減量過程、主減量過程の総減量、減量の傾きを求める方法を説明するための示唆熱天秤のチャートの説明図。
【図6】示差熱分析での発熱(吸熱)ピーク値、ピーク幅を求める方法を説明するための示差熱天秤のチャートの説明図。
【図7】実施例1の色素の示差熱天秤のチャート図。
【図8】実施例2の色素の示差熱天秤のチャート図。
【図9】実施例3の色素の示差熱天秤のチャート図。
【図10】実施例の色素の示差熱天秤のチャート図。
【図11】実施例6及び比較例4の色素の示差熱天秤のチャート図。
【図13】比較例1の色素の示差熱天秤のチャート図。
【図14】比較例2の色素の示差熱天秤のチャート図。

Claims (8)

  1. トラックピッチが0.7μm以上1.0μm以下で、幅(溝深さが半分になるところの溝幅)が0.2〜0.4μmの記録再生光案内用の溝が形成された透明基板上に、少なくとも、熱分析で、主減量開始温度よりも低い温度における減量が実質的になく、かつ、主減量仮定での減量の傾きが2%/℃以上で、その総減量%が30%以上である有機色素を含有する記録層、金属反射層、保護層の順に積層した、波長500nm以上、700nm以下で記録再生する光記録媒体において、下記の(1)もしくは(2)の条件を満たすことを特徴とする光記録媒体。
    (1)記録層が、示差熱分析での発熱のピークの大きさが−10μV/mg以上、10μV/mg以下の有機色素からなること。
    (2)示差熱分析での発熱ピークの大きさが10μV/mg以上30μV/mg以下である有機色素からなる記録層の上に、銀を主成分とした金属反射層を有すること。
  2. 記録を溝上で行い、記録部下の基板の溝幅(W1)が、未記録部の溝幅(W0)に対して1倍以上、1.5倍以下である請求項1記載の光記録媒体。
  3. 記録層単層の再生光波長±5nmでの屈折率nが2.2以上、2.8以下であり、消衰係数が0.03以上、0.09以下である請求項1または2に記載の光記録媒体。
  4. 記録層の溝間上の膜厚が50nm以上、100nm以下であり、記録層塗布膜の溝深さが、透明基板の溝深さの50%以上、80%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  5. 記録層を構成する色素が下記の構造式[I]〜[III]のいずれかで表される化合物である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光記録媒体。
    Figure 0003666152
    (式中、R1は水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、または、炭素数3〜6の環状アルキル基を表し、R2、R3は炭素数1〜6の直鎖または、分岐のアルキル基、またはメトキシエチル基、エトキシエチル基を表す。Y1はヒドロキシル基、カルボキシル基を表し、Y2は炭素数1〜6の直鎖または分岐のハロゲン原子で置換されていても良いアルキル基を表し、X、Zはシアノ基、カルボン酸エステル基、または炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基を表す。M2+はニッケル、コバルト、銅の2価のイオンを表す。)
  6. 該金属反射層がTi,Rh,Cu,Ta,Pd,Ni,V,Co,Cr,Si,C,B,Su,P,Zn,Moからなる群より選ばれる添加元素を0〜3原子%含有する銀である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  7. 該基板の厚さが0.6mm±0.03mmであり、基板の案内溝のトラックピッチが0.7μm以上、1.0μm以下であり、溝深さが100nm以上、200nm以下で、溝幅(溝深さが半分になるところの溝幅)が0.2μm以上、0.3μm以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  8. 該保護層が主として紫外線硬化樹脂からなる請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光記録媒体。
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