JP3682759B2 - 光記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は記録媒体に関するものであって、特に光ビームを照射することにより、記録材料の透過率、反射率等の光学的な変化を生じさせ、情報の記録、再生を行い、且つ追記が可能な光記録媒体、特にデータ用大容量追記光ディスク(大容量追記型コンパクトディスク、DVD−R)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、次世代大容量光ディスクとしてDVD−R(大容量追記型コンパクトディスク)の開発が進められている。記録容量の向上の要素技術は、記録ピット微少化のための記録材料開発、MPEG2に代表される画像圧縮技術の採用、記録ピット読みとりのための半導体レーザの短波長化等の技術開発が必要である。
これまで赤色波長域の半導体レーザとしては、バーコードリーダ、計測器用に670nm体のAlGaInPレーザダイオードが商品化されているのみであったが、光ディスクの高密度化に伴い、赤色レーザが本格的に光ストレージ市場で使用されつつある。DVDドライブの場合、光源として635nm帯と650nm帯のレーザダイオードの2つの波長で規格化されている。
一方、再生専用のDVD−ROMドライブは波長約650nmで商品化されている。
【0003】
このような状況下で最も好ましいDVD−Rメディアは、波長約650nm以下で記録、再生が可能なメディアである。DVD−Rに関しては、例えばイミダゾール系アゾメチン色素+金属反射層を記録材としたもの(特開平8−198872号、同8−209012号、同8−283263号各公報)やシアニン色素/金属反射層を記録材料として用いたもの(PIONEER R&D vol.6 No.2:DVD−Recordableの開発、DVD−R色素ディスクの基礎開発)などが報告されているが、耐光性、保存安定性に優れ、650nm以下のレーザを用いた光ピックアップで記録、再生が可能な記録材料は未だに開発されていないのが現状である。
【0004】
現在のCD−Rディスクシステムは、使用レーザの発振波長が770〜790nmで、記録、再生が行えるように構成されている。CD−Rは記録層に680〜750nmに最大吸収波長を有する色素を用い、その光学定数及び膜厚構成から770〜790nmに高い反射率が得られるように設定してあるため、700nm以下の波長域では反射率は極めて低く、レーザー波長の発波長化に対応できず現在のCD−Rシステムで記録、再生している情報が、DVD−Rディスクシステムでは再生できない事態を招く。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は上記のような状況に鑑みてなされたものであって、上記従来システムに比べて、短波長に発振波長を有する半導体レーザを用いるDVD−Rディスクシステムに適用可能な耐光性、保存安定性に優れた光記録媒体用の記録材料を提供するとともに、CD−Rディスクシステムで記録した情報がDVD−Rディスクシステムで再生が可能となるCD−R媒体用の記録材料を提供すること目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する色素を主成分とする記録層を設けることにより、発振波長700nm以下の半導体レーザを用いる次世代大容量光ディスクシステムに適用可能なことを見い出し、また、本発明の化合物を現在のCD−R用記録材料として用いられている有機色素と混合して用いることにより、700nm以下の波長域にも高い反射率を得ることが可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明によれば、第一に、基板上に記録層を設けてなる光記録媒体において、前記記録層中に下記一般式(I)で示されるアゾ化合物と金属からなるアゾ金属キレート化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする光記録媒体が提供される。
【化2】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表し、R1とR2は連結して環を形成していてもよい。R 3 〜R 11 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアルキルオキシ基を表す。Xは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、又はアミノスルホニル基を表す。)
第二に、前記アゾ金属キレート化合物の金属原子が、アルミニウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛の少なくとも1種であることを特徴とする上記第一に記載した光記録媒体が提供される。
第三に、上記第一又は第二に記載した光記録媒体において、記録層が前記アゾ金属キレート化合物と680〜750nmに最大吸収波長を有する色素との混合層からなることを特徴とする光記録媒体が提供される。
第四に、上記第三に記載した光記録媒体において、680〜750nmに最大吸収波長を有する色素がシアニン色素、フタロシアニン色素及びアゾ金属キレート化合物の少なくとも1種であることを特徴とする光記録媒体が提供される。
第五に、上記第一〜第四のいずれかに記載した光記録媒体において、記録再生波長±5nmの波長領域の光に対する記録層単層の屈折率nが1.5≦n≦3.0であり、消衰係数kが0.02≦k≦0.2であることを特徴とする光記録媒体が提供される。
第六に、上記第一から第四のいずれかに記載した光記録媒体において、有機色素の熱重量分析で、主減量過程での温度に対する減量の傾きが2%/℃以上であることを特徴とする光記録媒体が提供される。
第七に、上記第一から第四のいずれかに記載した光記録媒体において、有機色素の熱重量分析で、主減量過程での総減量が30%以上で、且つ減量開始温度が350℃以下であることを特徴とする光記録媒体が提供される。
第八に、上記第一〜第七のいずれかに記載した光記録媒体において、基板上のトラックピッチが0.7〜0.8μmであり、溝幅が半値幅で、0.20〜0.36μmであることを特徴とする光記録媒体が提供される。
【0008】
本発明の光記録媒体は、その記録層に前記一般式(I)で示されるアゾ化合物と、金属又はその塩からなる金属キレート化合物の少なくとも1種を含有させたことから、発振波長700nm以下の半導体レーザーを用いるDVD−Rディスクシステムに適用できる耐光性、保存安定性に優れたものとなり、また別の態様では、記録層が上記金属キレート化合物の1種と680〜750nmに最大吸収波長を有する色素との混合層からなるものとしたことから、700nm以下の波長域にも高い反射率を得ることができるものとなり、CD−Rディスクシステムで記録した情報がDVD−Rディスクシステムで再生できるものとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の光記録媒体は、その記録層に下記一般式(I)で示されるアゾ化合物と、金属又はその塩からなる金属キレート化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする。
【化3】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表し、R1とR2は連結して環を形成していてもよい。R 3 〜R 11 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアルキルオキシ基を表す。Xは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、又はアミノスルホニル基を表す。)
【0010】
上記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の一級アルキル基;イソブチル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルブチル基、1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−プロピル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、1−イソプロピルペンチル基、1−イソプロピル−2−メチルブチル基、1−イソプロピル−3−メチルブチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルヘキシル基、1−イソブチル−3−メチルブチル基等の二級アルキル基;ネオペンチル基、tert−ブチル基、tert−ヘキシル基、tert−アミル基、tert−オクチル基等の三級アルキル基;シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基(アダマンタン基)等のシクロアルキル基等が挙げられる。
【0011】
更に、これら一級及び二級アルキル基は、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の複素環残基等を以て置換されていてもよく、また酸素、硫黄、窒素等の原子を介して前記のアルキル基で置換されていてもよい。酸素を介して置換されているアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、ピペリジノ基、モルホリノ基等が、硫黄を介して置換されているアルキル基としては、メチルチオエチル基、エチルチオエチル基、エチルチオプロピル基、フェニルチオエチル基等が、窒素を介して置換されているアルキル基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0012】
上記アリール基の具体例としては、フェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、アセナフタレニル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントラニル基、アントラニル基、フルオラセニル基、アセフェナントラレニル基、アセアントリレン基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基等が挙げられる。更に、これらアリール基は、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の複素環残基等を以て置換されていてもよく、また酸素、硫黄、窒素等の原子を介して前記のアルキル基で置換されていてもよい。
【0013】
上記複素環残基の具体例としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、2H−ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、フラザニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピロリニル基、ピロリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジル基、ピレリジノ基、ピペラジニル基、モルホリニル基、モルホリノ基、インドリル基、イソインドリル基、1H−インダゾリル基、4H−クロメニル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、プリニル基、プテリジニル基、キサンテニル基、カルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナジニル基、フェナントロリニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、クロマニル基等が挙げられる。更に、これら複素環残基は、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の複素環残基等を以て置換されていてもよく、また酸素、硫黄、窒素等の原子を介して前記のアルキル基で置換されていてもよい。また、これらの置換基は、環に同種あるいは異種の置換基が複数個置換していてもかまわない。
【0014】
上記ハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0015】
上記アルキルオキシ基の具体例としては、酸素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。また、上記アリールオキシ基の具体例としては、酸素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0016】
上記アルキルアミノ基の具体例としては、窒素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。また、アルキル基同士が結合しピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジル基、ピペラジニル基、インドレニル基、イソインドレニル基等の様に環を形成していても良い。また、上記アリールアミノ基の具体例としては、窒素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0017】
上記アルキルオキシカルボニル基の具体例としては、酸素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。また、上記アリールオキシカルボニル基の具体例としては、酸素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0018】
上記アルキルカルボニルアミノ基の具体例としては、炭素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。また、上記アリールカルボニルアミノ基の具体例としては、炭素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0019】
上記アルキルカルバモイル基の具体例としては、窒素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。また、アルキル基同士が結合しピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジル基、ピペラジニル基、インドレニル基、イソインドレニル基等の様に環を形成していても良い。また、上記アリールカルバモイル基の具体例としては、窒素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0020】
R1とR2が連結して環を形成したアミノ基の具体例は、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジル基、ピペラジル基、イミダゾリジル基、ピラゾリジル基、インドリニル基、イソインドリニル基、ピロリル基、インドリル基、イソインドリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
【0021】
金属原子の具体例としては、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム等が挙げられ、特に、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛のアゾ金属キレート化合物は、光記録材料として光学特性が優れている。
【0022】
本発明で使用されるアゾ金属キレート化合物の具体例としては、例えば表1〜表3に示されるものが挙げられる。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
また、記録層においては、前記したように、前記のアゾ金属キレート化合物の少なくとも1種と、680〜750nmに最大吸収波長を有する有機色素との混合物を主成分とすることにより、現状システムで記録再生が可能であるとともに、次世代システムにおいても再生のみは可能なCD−R記録媒体となる。この場合の680〜750nmに最大吸収波長を有する色素としては、従来技術に挙げた公報に記載された色素を使用することができる。特に、シアニン色素、フタロシアニン色素及びアゾ金属キレート化合物が好ましい。
【0027】
シアニン色素の好ましい例としては、下記一般式(II)で示されるものが挙げられる。
【化4】
式中、R21〜R24は炭素数1〜3のアルキル基、R25、R26は炭素数1〜6の置換又は未置換のアルキル基、X1は酸アニオンを表わす。なお、芳香族環は他の芳香族環と縮合されていてもよく、また、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基又はアシル基で置換されていてもよい。
【0028】
フタロシアニン色素の好ましい例としては、下記一般式(III)若しくは(IV)で示されるものが挙げられる。
【化5】
式中、M1はNi、Pd、Cu、Zn、Co、Mn、Fe、TiO又はVOを表す。X11〜X14はそれぞれ独立に置換位置α位の−OR、−SR又は水素原子であって、全てが水素原子となることはない。なお、Rは炭素数3〜12の置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基、シクロアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を表わす。X11〜X14以外のベンゼン環の置換基は水素原子又はハロゲン原子である。
【0029】
【化6】
式中、M2は、Si、Ge、In、又はSnを表す。X15〜X18はそれぞれ独立に置換位置α位の−OR、−SR又は水素原子であって、全てが水素原子となることはない。なお、Rは炭素数3〜12の置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基、シクロアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。Y1、Y2は−OSiR17R18R19、−OCOR17R18R19、又は−OPOR17R18R19を表わし、R17〜R19はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基を表わす。X15〜X18以外のベンゼン環の置換基は、水素原子又はハロゲン原子である。
【0030】
また、アゾ金属キレート化合物の好ましい例としては、下記一般式(V)で示されるアゾ系化合物と金属とのアゾ金属キレート化合物の1種又は2種以上が挙げられ、金属の好ましい例としては、Ni、Mn、Pd、Co、Cu、Znなどが挙げられる。
【化7】
式中、Aはそれが結合している炭素原子及び窒素原子と一緒になって複素環を形成する残基を表わし、Bはそれが結合している二つの炭素原子と一緒になって芳香環又は複素環を形成する残基を表わし、またX2は活性水素を有する基を表わす。
【0031】
本発明の前記アゾ金属キレート化合物の少なくとも1種の色素と前記一般式(II)〜(V)で示される少なくとも1種の色素とを併用する場合の重量組成比は、本発明色素/〔(II)〜(V)の色素〕=10/100〜90/100、好ましくは40/100〜20/100である。また、両色素を併用した場合の記録層の膜厚は500Å〜5μm、好ましくは1000Å〜5000Åである。
【0032】
次に、本発明の記録媒体の構成について述べる。
図1は、本発明の記録媒体に適用し得る層構成例を示す図で、これは追記型光ディスクの例である。基板1の上に、必要に応じて下引き層3を介して、記録層2を設け、更に必要に応じ保護層4が設けられている。また、必要に応じて基板1の下にハードコート層5を設けることができる。
図2は、本発明の記録媒体に適用し得る別のタイプの層構成例を示す図で、これはCD−Rメディアの例である。図1の構成の記録層2の上に反射層6が設けられている。
図3は、本発明の記録媒体に適用し得る別のタイプ(DVD−R用)の層構成例を示す図で、この場合、図2の構成の保護層4の上に接着層8と保護基板7が設けられている。即ち、本発明の記録媒体は、図1及び図2に示した構成の記録層(有機薄膜層)を内側にして、他の基板と空間を介して密封したエアーサンドイッチ構造にすることもできるし、また保護層を介して接着した貼合せ構造にすることもできる。
【0033】
即ち、本発明の記録媒体をDVD−R用として適用する場合の記録媒体の構成としては、第一の基板と第二の基板(以降第1基板、第2基板と記すことがある)とを記録層を介して接着剤で張り合わせた構造を基本構造とする。記録層は有機色素単層でもよく、反射層を高めるため有機色素層と金属反射層との積層でもよい。記録層と基板間は下引き層あるいは保護層を介して層成してもよく、機能向上のためそれらを積層化した構成でもよい。最も通常に用いられるのは、第1基板/有機色素層/金属反射層/保護層/接着層/第2基板構造である。
【0034】
次に、構成各層の必要特性及びその構成材料について述べる。
1)基板
基板の必要特性としては、基板側より記録再生を行なう場合には使用レーザ光に対して透明でなければならないが、記録層側から記録再生を行なう場合は透明である必要はない。従って、本発明では、基板2枚をサンドイッチ状で用いる場合は、例えば第2基板のみが透明であれば、第1基板の透明、不透明は問わない。基板材料としては、例えばポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミドなどのプラスチック、ガラス、セラミックあるいは金属などを用いることができる。なお、基板を1層しか用いない場合、あるいは基板2枚をサンドイッチ状で用いる場合は、基板あるいは第1基板の表面にトラッキング用の案内溝や案内ピット、更にアドレス信号などのプレフォーマットなどが形成されている必要がある。
【0035】
基板は通常、深さ1000〜2500Åの案内溝を有している。トラックピッチは、通常、0.7〜1.0μmであるが、高容量化の用途には0.7〜0.8μmが好ましい。溝幅は、半値幅で0.18〜0.36μmが好ましい。0.18μm未満では十分なトラッキングエラー信号強度を得ることが困難となる恐れがある。また、0.36μmを越える場合には、記録したときに記録部が横に広がりやすくなるので好ましくない。
【0036】
2)中間層
下引き層等を含め基板、記録層、反射層、保護層以外に設けられた層をここでは中間層と呼ぶことにする。この中間層は、▲1▼接着性の向上、▲2▼水又はガスなどに対するバリヤー、▲3▼記録層の保存安定性の向上、▲4▼反射率の向上、▲5▼溶剤からの基板の保護、▲6▼案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形成などを目的として使用される。▲1▼の目的に対しては高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド、ビニル系樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の高分子化合物及びシランカップリング剤などを用いることができ、▲2▼及び▲3▼の目的に対しては、上記高分子材料以外に無機化合物、例えばSiO2、MgF2、SiO、TiO2、ZnO、TiN、SiNなどがあり、更に金属又は半金属、例えばZn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Alなどを用いることができる。また、▲4▼の目的に対しては、金属、例えばAl、Au、Agなどや、金属光沢を有する有機薄膜、例えばメチン染料、キサンテン系染料などを用いることができ、▲5▼及び▲6▼の目的に対しては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。中間層の膜厚は0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当である。
【0037】
3)記録層
記録層はレーザ光の照射により何らかの光学的変化を生じさせその変化により情報を記録できるものであって、この記録層中には本発明の前記アゾ金属キレート化合物の少なくとも1種、場合により更に前記一般式(II)〜(V)で示される色素の少なくとも1種が含有されている必要がある。更に、これらの色素は光学特性、記録感度、信号特性の向上のため、他の有機色素及び金属、金属化合物と混合又は積層化して用いることも、もちろん可能である。この場合の他の有機色素としては、ポリメチン色素、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン(インダンスレン)系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系染料、及び金属錯体化合物などが挙げられる。また金属、金属化合物の例としては、In、Te、Bi、Se、Sb、Ge、Sn、Al、Be、TeO2、SnO、As、Cdなどが挙げられ、それぞれを分散混合あるいは積層の形態で用いることができる。更に、上記染料中に高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の材料若しくはシランカップリング剤などを分散混合しても良いし、特性改良の目的で、安定剤(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などを一緒に用いることができる。
【0038】
記録層の形成は蒸着、スパッタリング、CVD又は溶剤塗布などの通常の手段によって行なうことができる。塗布法を用いる場合には、上記染料などを有機溶剤に溶解して、スプレー、ローラーコーティング、ディッピング又はスピンコーティングなどの慣用のコーティング法で行なうことができる。用いられる有機溶剤としては、一般にメタノール、エタノール、イソプロパノールなどアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭素類、ベンゼン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族類、あるいはメトキシエタノール、エトキシエタノールなどのセルソルブ類、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などが挙げられる。
記録層の膜厚は、100Å〜10μm、好ましくは200Å〜2000Åが適当である。
【0039】
記録再生波長±5nmの波長領域の光に対する記録層単層の屈折率nは、1.5≦n≦3.0が好ましい。nが1.5未満の場合には、十分な光学的変化が得られにくく、記録変調度が低くなるため好ましくない。また、nが3.0を越える場合には、波長依存性が高くなり過ぎ、記録再生波長領域であってもエラーとなってしまうため好ましくない。また、消衰係数kは、0.02≦k≦0.2が好ましい。kが0.02未満の場合には、記録感度が悪くなる。kが0.2を越える場合には、50%以上の反射率を得ることが困難となるので好ましくない。
【0040】
また、記録材料の熱的に必要な条件は、熱重量分析における主減量過程での重量減量が、温度に対して急であることが必要である。主減量過程により有機材料膜は分解し、膜厚の減少と光学定数の変化を起こし、光学的な意味での記録部が形成されるからである。従って、主減量過程の重量減量が温度に対して穏やかな場合、これは広い温度範囲にわたって形成されてしまうため、高密度の記録部を形成させる場合は極めて不利となる。同様な理由で重量減量の過程が複数存在する材料を用いた場合も、高密度対応には不利である。
本発明ではいくつかの重量減量過程のうちで、減量率が最大のものを主減量過程と呼ぶ。
【0041】
本発明において、重量減量の傾きは以下のようにして求める。図4に示すように、質量Moの有機材料を窒素雰囲気下中で、10℃/minで昇温させる。この昇温に従って、質量は微量づつ減少し、ほぼ直線a−bの重量減量線を示し、ある温度に達すると急激な重量減少を起こし、ほぼ直線c−dに沿って重量減量を起こす。更に、温度を上げ続けると質量の急激な減量が終了し、ほぼ直線e−fに沿った重量減少を起こす。今直線a−bと直線c−dとの交点における温度をT1(℃)、初期質量Moに対する残存重量をm1(%)、直線c−dと直線e−fとの交点における温度をT2(℃)、初期質量Moに対する残存重量をm2(%)とする。
減量開始温度はT1、減量終了温度はT2となり、重量減量の傾きは、
(m1−m2)(%)/(T2−T1)(℃)
で示される値で、初期重量に対する重量減量率は、
(m1−m2)(%)
で示される。
【0042】
上記定義に基づくと光記録媒体に用いる記録材料としては、主減量過程における重量減量の傾きが2%/℃以上であることが好ましい。この重量減量の傾きが2%/℃未満である記録材料を用いると、記録部の広がりが大きくなり、また短い記録部を形成することが困難となるため、光記録媒体には不向きである。
【0043】
また、主減量過程における重量減少率は、30%以上であることが好ましい。30%未満であると、良好な記録変調度、記録感度が得られない可能性がある。更に、熱的特性に必要な条件は、減量開始温度T1が、ある温度範囲にあることが必要である。具体的には減量開始温度が350℃以下であり、好ましくは200〜350℃の範囲にあることが望ましい。減量開始温度が350℃以上であると、記録レーザー光のパワーが高くなり実用的でなく、200℃以下であると再生劣化を起こすなど記録安定性が悪化する。
【0044】
4)反射層
反射層は単体で高反射率の得られる腐食されにくい金属、半金属などが使用できる。材料例としては、Au、Ag、Al、Cr、Ni、Fe、Snなどが挙げられ、反射率、生産性の点からAu、Ag、Alが最も好ましい。これらの金属、半金属は単独で使用してもよく、2種以上の合金としてもよい。膜形成法としては蒸着、スパッタリングなどが挙げられ、膜厚としては50〜5000Å、好ましくは100〜3000Åである。
【0045】
5)保護層、基板面ハードコート層
保護層又は基板面ハードコート層は、▲1▼記録層(反射吸収層)を傷、埃、汚れなどから保護する、▲2▼記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、▲3▼反射率の向上などを目的として使用される。これらの目的に対しては、前記の下引き層に示した材料を用いることができる。また、無機材料としてSiO、SiO2なども用いることもでき、有機材料としてポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジンなどの熱軟化性、熱溶融性樹脂も用いることができる。上記材料のうち保護層又は基板面ハードコート層に最も好ましいものは、生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。保護層又は基板面ハードコート層の膜厚は0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当である。
【0046】
本発明において、前記の中間層、保護層及び基板面ハードコート層には記録層の場合と同様に、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などを含有させることができる。
【0047】
【実施例】
以下実施例について本発明を説明するが、本発明これらに限定されるものではない。
【0048】
実施例1
厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、フォトポリマーにて深さ1600Å、半値幅0.28μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝を形成した基板上に、化合物具体例No.1のメチルセルソルブ溶液をスピンナー塗布し、厚さ500Åの記録層を設けて記録媒体を得た。
【0049】
実施例2〜6
実施例1において、化合物具体例No.1の代わりに、化合物具体例No.2No.3、No.4、No.5、No.6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜6の記録媒体を得た。
【0050】
比較例1
実施例1において、化合物具体例No.1の代わりに下記式(VI)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の記録媒体を得た。
【化8】
【0051】
前記の実施例1〜6及び比較例1の記録媒体を用い、下記の記録条件で基板から光を入射して記録し、その後記録位置を再生光によりC/N比及び反射率を測定した。その結果を表4に示す。
記録条件:
レーザ発振波長 635nm
記録周波数 3.8MHz
記録線速 3.4m/sec
再生条件:
レーザ発振波長 650nm
再生パワー 0.8mWの連続光
スキャニングバンド巾 30KHz
耐光テスト条件:
耐光テスト 4万Lux、Xe光、20時間連続照射
保存テスト 85℃、85%、500時間放置
【0052】
【表4】
【0053】
実施例7
深さ1600Å、半値幅0.24μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝を有する厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、化合物具体例No.7をメチルシクロヘキサン、2−メトキシエタノール、メチルエチルケトンの混合溶液に溶解した液をスピンナー塗布し、厚さ800Åの記録層を形成し、次いでその上にスパッタ法により金1500Åの反射層を設け、更にその上にアクリル系フォトポリマーにて5μmの保護層を設け、記録媒体を得た。
【0054】
実施例8〜12
実施例7において、化合物具体例No.7の代わりにそれぞれ化合物具体例No.8、No.9、No.10、No.11、No.12を用いたこと以外は、実施例7と同様にして実施例8〜12の記録媒体を得た。
【0055】
比較例2
実施例7において、化合物具体例No.7の代わりに比較例1で用いた前記式(VI)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例7と同様にして比較例2の記録媒体を得た。
【0056】
実施例7〜12及び比較例2の記録媒体に発振波長650nm、ビーム径1.0μmの半導体レーザ光を用い、トラッキングしながらEFM信号を記録し(線速3.0m/sec、最短マーク長0.4μm)、発振波長650nmの半導体レーザの連続光(再生パワー0.7mW)で再生し、再生波形を観察した。その結果を表5に示す。
【0057】
【表5】
【0058】
実施例13
深さ1500Å、半値幅0.26μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝を有する厚さ1.2mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、前記の式(VI)で示される化合物と化合物具体例No.13とを、重量比(1/1)のメチルシクロヘキサン、2−メトキシエタノール、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン混合溶媒に溶解し、スピンナー塗布して、厚さ1700Åの記録層を形成し、次いで、スパッタ法により金2000Åの反射層を形成して、更にその上にアクリル系フォトポリマーにて5μmの保護層を設け、記録媒体を得た。
【0059】
実施例14〜16
実施例13において、化合物具体例No.13の代わりにそれぞれ化合物具体例No.14、No.15、No.16を用いたこと以外は、実施例13と同様にして実施例14〜16の記録媒体を得た。
【0060】
実施例17〜20
実施例13において、化合物具体例No.13の代わりにそれぞれ化合物具体例No.17、No.18、No.19、No.20を用い、且つ前記式(VI)で示される化合物の代わりに下記式(VII)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例13と同様にして実施例17〜20の記録媒体を得た。
【0061】
【化9】
【0062】
比較例3及び4
実施例13において、記録層をそれぞれ前記一般式(VI)で示される化合物のみ、前記一般式(VII)で示される化合物のみとしたこと以外は、実施例13と同様にして比較例3及び4の記録媒体を得た。
【0063】
実施例13〜20と比較例3及び4の記録媒体に発振波長780nm、ビーム径1.6μmの半導体レーザ光を用い、トラッキングしながらEFM信号を記録し(線速1.4m/sec)、前記レーザ及び発振波長650nm、ビーム径1.0μmの半導体レーザの連続光で再生し、再生波形を観察した。その結果を表6に示す。
【0064】
【表6】
【0065】
【発明の効果】
請求項1の光記録媒体は、前記一般式(I)で示されるアゾ化合物と金属又はその塩からなるアゾ金属キレート化合物の少なくとも1種を記録層中に含有してなるものとしたことから、波長700nm以下に高い光吸収能と光反射性を有しているため、700nm以下の半導体レーザーを用いる次世代の高密度ディスクシステム(DVD−Rディスクシステム)に適用が可能であり、しかも耐光性、保存安定性に優れている。
【0066】
請求項2の光記録媒体は、前記アゾ金属キレート化合物の金属の種類を限定したことから、更に記録感度等の光学特性が向上する。
【0067】
請求項3の光記録媒体は、前記アゾ金属キレート化合物の少なくとも1種と680〜750nmに最大吸収波長を有する有機色素とを記録層中に含有してなるものとしたことから、現状システムでの記録再生が可能で、且つ次世代の高密度光ディスクシステム(DVD−Rディスクシステム)となっても、記録された情報を再生することが可能になる。
【0068】
請求項4の光記録媒体は、680〜750nmに最大吸収波長を有する有機色素として、シアニン色素、フタロシアニン色素及びアゾ金属キレート色素の少なくとも1種を選択したことから、現状システムで高品位の信号特性が記録、再生可能で、且つ次世代の高密度ディスクシステム(DVD−Rディスクシステム)でも再生が可能となる。
【0069】
請求項5の光記録媒体は、記録再生波長±5nmの波長領域の光に対する記録層単層の屈折率nが1.5≦n≦3.0であり、消衰係数kが0.02≦k≦0.2であるものとしたことから、高品位の信号特性が記録可能となる。
【0070】
請求項6の光記録媒体は、有機色素の熱重量分析で、主減量過程での温度に対する減量の傾きが2%/℃以上であるものとしたことから、高品位の信号特性が記録可能となる。
【0071】
請求項7の光記録媒体は、有機色素の熱重量分析で、主減量過程での総減量が30%以上で、且つ減量開始温度が350℃以下であるものとしたことから、高品位の信号特性が記録可能となる。
【0072】
請求項8の光記録媒体は、基板上のトラックピッチが0.7〜0.8μmであり、溝幅が半値幅で0.20〜0.36μmであるものとしたことから、高品位の信号特性が記録可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は本発明の記録媒体に適用し得る通常の追記型光記録媒体としての層構成例を示す図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明の記録媒体に適用し得る高反射率光記録媒体(CD−R)用としての層構成例を示す図である。
【図3】(a)〜(c)は本発明の記録媒体に適用し得る大容量高反射光記録媒体(DVD−R)用としての層構成例を示す図である。
【図4】有機色素の熱分解曲線を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 記録層(有機色素層)
3 中間層
4 保護層
5 ハードコート層
6 反射層
7 保護基板
8 接着層
Claims (8)
- 基板上に記録層を設けてなる光記録媒体において、前記記録層中に下記一般式(I)で示されるアゾ化合物と金属からなるアゾ金属キレート化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする光記録媒体。
- 前記アゾ金属キレート化合物の金属原子が、アルミニウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- 請求項1又は2記載の光記録媒体において、記録層が前記アゾ金属キレート化合物と680〜750nmに最大吸収波長を有する色素との混合層からなることを特徴とする光記録媒体。
- 請求項3記載の光記録媒体において、680〜750nmに最大吸収波長を有する色素がシアニン色素、フタロシアニン色素及びアゾ金属キレート化合物の少なくとも1種であることを特徴とする光記録媒体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光記録媒体において、記録再生波長±5nmの波長領域の光に対する記録層単層の屈折率nが1.5≦n≦3.0であり、消衰係数kが0.02≦k≦0.2であることを特徴とする光記録媒体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光記録媒体において、有機色素の熱重量分析で、主減量過程での温度に対する減量の傾きが2%/℃以上であることを特徴とする光記録媒体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光記録媒体において、有機色素の熱重量分析で、主減量過程での総減量が30%以上で、且つ減量開始温度が350℃以下であることを特徴とする光記録媒体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の光記録媒体において、基板上のトラックピッチが0.7〜0.8μmであり、溝幅が半値幅で、0.20〜0.36μmであることを特徴とする光記録媒体。
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