JP3795335B2 - 光記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する利用分野】
本発明は、短波長記録が可能な光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、次世代大容量光ディスクとしてDVD−Rの開発が進められている。
記録容量の向上の要素技術としては、記録ピット微少化のための記録材料開発、MPEG2に代表される画像圧縮技術の採用、記録ピット読み取りのための半導体レーザの短波長化等が必要である。
これまで赤色波長域の半導体レーザとしては、バーコードリーダ、計測器用に670nm帯のAlGaInPレーザダイオードが商品化されているのみであったが、光ディスクの高密度化に伴い、赤色レーザが本格的に光ストレージ市場で使用されつつある。
DVDドライブの場合、635nm帯と650nm帯の波長のレーザダイオード光源で規格化されている。一方、再生専用のDVD−ROMドライブは、波長650nm前後で商品化されている。
このような状況下で最も好ましいDVD−R記録媒体は、波長630〜670nmで記録、再生が可能なものであるが、耐光性、保存安定性に優れ、670nm以下のレーザを用いた光ピックアップで記録、再生が可能であり、かつ高速記録に対応できる記録材料は未だ開発されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術に比べて、より短波長に発振波長を有する半導体レーザを用いるDVD−Rディスクシステムに適用でき、耐光性、保存安定性に優れ、かつ、高速記録が可能な光記録媒体の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等が検討した結果、特定構造の色素を主成分とする記録層を用いれば、発振波長670nm以下の半導体レーザを用いる次世代大容量光ディスクシステムに適用可能であることを見出し本発明に至った。
即ち、上記課題は、次の1)〜6)の発明によって解決される。
1) 基板上に記録層を設けた光記録媒体において、記録層中に、下記一般式(1)で示されるアゾ化合物と、金属、金属酸化物又はその塩からなるアゾ金属キレート化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする光記録媒体。
【化4】
〔式中、Aはそれが結合している炭素原子及び(活性水素を有している)窒素原子と一緒になって複素環を形成する残基を表し、Bはそれが結合している2つの炭素原子と一緒になって芳香族環を形成する残基を表し、Rはアルキルシリル基を含有する置換又は未置換のアルキル基を表す。〕
2) 前記アゾ金属キレート化合物が、下記一般式(2)で示される化合物であることを特徴とする1)記載の光記録媒体。
【化5】
(式中、Aはそれが結合している炭素原子及び窒素原子と一緒になってピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、インドール、ベンゾイミダゾールからなる群より選択された複素環を形成する残基を表し、Mは金属又は金属酸化物を表し、Rはアルキルシリル基を含有する置換又は未置換のアルキル基を表し、R2〜R5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の複素環残基、置換又は未置換のアルキルカルボニル基、置換又は未置換のアリールカルボニル基、置換又は未置換のアルキルオキシカルボニル基、置換又は未置換のアリールオキシカルボニル基、置換又は未置換のアルキルスルホニル基、置換又は未置換のアリールスルホニル基、置換又は未置換のアルキルチオオキシ基、置換又は未置換のアリールチオオキシ基、置換又は未置換のアルキルオキシ基、置換又は未置換のアリールオキシ基、置換又は未置換のアルキルアミノ基、置換又は未置換のアリールアミノ基、置換又は未置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換又は未置換のアリールカルボニルアミノ基、置換又は未置換のアルキルカルバモイル基、置換又は未置換のアリールカルバモイル基、置換又は未置換のアルケニル基を表し、nは2又は3を表す。また、R2とR3、R3とR4、R4とR5はそれぞれ連結して環を形成していてもよい。)
3) 前記金属が、2価又は3価の金属であることを特徴とする1)又は2)記載の光記録媒体。
4) 前記2価又は3価の金属が、マンガン、コバルト、ニッケル、銅の何れかであることを特徴とする3)記載の光記録媒体。
5) 前記Aを含む複素環が、イミダゾール環であることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光記録媒体。
6) 前記イミダゾール環を有する化合物が、下記一般式(3)で示される化合物であることを特徴とする5)記載の光記録媒体。
【化6】
(式中、Rはアルキルシリル基を含有する置換又は未置換のアルキル基を表し、R6、R7はそれぞれ独立に水素原子、シアノ基、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表し、R8及びR9はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の複素環残基、置換又は未置換のアルキルカルボニル基、置換又は未置換のアリールカルボニル基、置換又は未置換のアルキルオキシカルボニル基、置換又は未置換のアリールオキシカルボニル基、置換又は未置換のアルキルスルホニル基、置換又は未置換のアリールスルホニル基、置換又は未置換のアルキルチオオキシ基、置換又は未置換のアリールチオオキシ基、置換又は未置換のアルキルオキシ基、置換又は未置換のアリールオキシ基、置換又は未置換のアルキルアミノ基、置換又は未置換のアリールアミノ基、置換又は未置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換又は未置換のアリールカルボニルアミノ基、置換又は未置換のアルキルカルバモイル基、置換又は未置換のアリールカルバモイル基、置換又は未置換のアルケニル基を表す。また、R7とR8、R8とR9はそれぞれ連結して環を形成していてもよい。)
【0005】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
前記一般式(1)において、Aはそれが結合している炭素原子及び(活性水素を有している)窒素原子と一緒になって複素環を形成する残基を表し、Bはそれが結合している2つの炭素原子と一緒になって芳香族環を形成する残基を表し、Rはアルキルシリル基を含有する置換又は未置換のアルキル基を表す。
Aを含む複素環の例としては、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、プリン、ペリミジン等が挙げられる。
Rの例としては、(トリメチルシリル)メチル基、2−(トリメチルシリル)エチル基、3−(トリメチルシリル)プロピル基、3−(トリメチルシリル)−2−プロペン基、3−(トリメチルシリル)−2−プロピン基などが挙げられる。
【0006】
前記一般式(2)において、Aはそれが結合している炭素原子及び窒素原子と一緒になってピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、プリン、ペリミジンからなる群より選択された複素環を形成する残基を表し、Mは金属又は金属酸化物を表し、R2〜R5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の複素環残基、置換又は未置換のアルキルカルボニル基、置換又は未置換のアリールカルボニル基、置換又は未置換のアルキルオキシカルボニル基、置換又は未置換のアリールオキシカルボニル基、置換又は未置換のアルキルスルホニル基、置換又は未置換のアリールスルホニル基、置換又は未置換のアルキルチオオキシ基、置換又は未置換のアリールチオオキシ基、置換又は未置換のアルキルオキシ基、置換又は未置換のアリールオキシ基、置換又は未置換のアルキルアミノ基、置換又は未置換のアリールアミノ基、置換又は未置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換又は未置換のアリールカルボニルアミノ基、置換又は未置換のアルキルカルバモイル基、置換又は未置換のアリールカルバモイル基、置換又は未置換のアルケニル基を表し、nは2又は3を表す。
また、R2とR3、R3とR4、R4とR5はそれぞれ連結して環を形成していてもよい。
【0007】
上記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の一級アルキル基、イソブチル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルブチル基、1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−プロピル−2−メチルプロピル基、1−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、1−イソプロピルペンチル基、1−イソプロピル−2−メチルブチル基、1−イソプロピル−3−メチルブチル基、1−メチルオクチル基、1−プロピルヘキシル基、1−イソブチル−3−メチルブチル基等の二級アルキル基、ネオペンチル基、tert−ブチル基、tert−ヘキシル基、tert−アミル基、tert−オクチル基等の三級アルキル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基(アダマンタン基)等のシクロアルキル基等が挙げられる。
【0008】
更に、これら一級及び二級アルキル基は、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の複素環残基等により置換されていてもよく、また酸素、硫黄、窒素等の原子を介して前記のアルキル基で置換されていてもよい。
酸素を介して置換されているアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、ピペリジノ基、モルホリノ基等が、硫黄を介して置換されているアルキル基としては、メチルチオエチル基、エチルチオエチル基、エチルチオプロピル基、フェニルチオエチル基等が、窒素を介して置換されているアルキル基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0009】
前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基等が挙げられる。
前記複素環残基の具体例としては、インドリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリル基等が挙げられる。
前記アルキルカルボニル基の具体例としては、カルボニル基の炭素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アリールカルボニル基の具体例としては、カルボニル基の炭素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アルキルオキシカルボニル基の具体例としては、オキシカルボニル基の酸素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アリールオキシカルボニル基の具体例としては、オキシカルボニル基の酸素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0010】
前記アルキルスルホニル基の具体例としては、スルホニル基の硫黄原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アリールスルホニル基の具体例としては、スルホニル基の硫黄原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アルキルチオオキシ基の具体例としては、硫黄原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アリールチオオキシ基の具体例としては、硫黄原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アルキルオキシ基の具体例としては、酸素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アリールオキシ基の具体例としては、酸素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0011】
前記アルキルアミノ基の具体例としては、窒素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アリールアミノ基の具体例としては、窒素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アルキルカルボニルアミノ基の具体例としては、カルボニルアミノ基の炭素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アリールカルボニルアミノ基の具体例としては、カルボニルアミノ基の炭素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アルキルカルバモイル基の具体例としては、カルバモイル基の窒素原子に直接それぞれ独立して水素原子、置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アリールカルバモイル基の具体例としては、カルバモイル基の窒素原子に直接それぞれ独立して水素原子、置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0012】
2価又は3価の金属の具体例としては、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム等が挙げられ、金属酸化物の具体例としては酸化バナジウム等が挙げらる。
特にマンガン、コバルト、ニッケル、銅のアゾ金属キレート化合物は、光記録材料として光学特性が優れている。
更に、ニッケルのアゾ金属キレート化合物は、光学特性に加え、保存安定性において特に優れており、極めて安定な光記録媒体を提供できる。
複素環残基については、光学特性、保存安定性、熱分解特性の点で、イミダゾール環残基が特に優れており、極めて安定な光記録媒体を提供できる。
【0013】
本発明における最も特性の優れたアゾ金属キレート化合物の構造は、一般式(3)として表すことができる。
式中、R6及びR7はそれぞれ独立に水素原子、シアノ基、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表し、R8及びR9はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の複素環残基、置換又は未置換のアルキルカルボニル基、置換又は未置換のアリールカルボニル基、置換又は未置換のアルキルオキシカルボニル基、置換又は未置換のアリールオキシカルボニル基、置換又は未置換のアルキルスルホニル基、置換又は未置換のアリールスルホニル基、置換又は未置換のアルキルチオオキシ基、置換又は未置換のアリールチオオキシ基、置換又は未置換のアルキルオキシ基、置換又は未置換のアリールオキシ基、置換又は未置換のアルキルアミノ基、置換又は未置換のアリールアミノ基、置換又は未置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換又は未置換のアリールカルボニルアミノ基、置換又は未置換のアルキルカルバモイル基、置換又は未置換のアリールカルバモイル基、置換又は未置換のアルケニル基を表す。
また、R7とR8、R8とR9はそれぞれ連結して環を形成していてもよい。
【0014】
本発明のアゾ金属キレート化合物の特徴は、活性水素を有する複素環残基と活性水素を有しないカップラーで構成されたアゾ化合物が金属と作用し、光記録媒体の記録材料として用いることができる安定なキレート化合物を形成する点にある。
また、アゾ金属キレート化合物の構造中にアルキルシリル基を導入することにより、通常のアゾ金属キレート化合物よりも、ディスク作成時に使用する塗布溶媒への溶解度が向上すること、及び熱分解点が低くなること(160〜200℃)を見出した(通常250〜300℃)。
特に熱分解点の低温度化により記録レーザパワーを低くできるメリットが生じるので、将来のニーズである高速記録に好都合である。
参考までに、次の表1に、後述するアルキルシリル基を有する本発明の化合物No.1、No.7と、その構造からアルキルシリル基を外したサンプル化合物1、2の熱分解点を示す。
【0015】
【表1】
【0016】
次に、本発明の光記録媒体の層構造、各層の必要特性及び構成材料等について説明する。
本発明の光記録媒体は、図1に示すような通常の追記型光記録媒体構造(図1の積層体を2枚貼合わせたエアーサンドイッチ構造、又は密着貼合わせ構造としてもよい)、図2に示すようなCD−R用光記録媒体構造、図3に示すようなDVD−R用光記録媒体構造の何れの構造とすることもできる。
しかし、記録層を介して第1基板と第2基板を接着剤で張り合わせた基本構造とすることが好ましい。
記録層は有機色素層単層でもよく、反射率を高めるため有機色素層と金属反射層との積層でもよい。記録層と基板の間に下引き層又は保護層を設けてもよく、機能向上のためそれらを積層化した構成としてもよい。
最も普通に用いられるのは、第1基板/有機色素層/金属反射層/保護層/接着層/第2基板という層構造である。
【0017】
<基板>
基板の必要特性としては、基板側より記録再生を行う場合のみ使用レーザ光に対して透明であればよく、記録層側から記録、再生を行う場合に基板が透明である必要はない。
基板材料としては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド等のプラスチック、ガラス、セラミック、又は金属等を用いることができる。
なお、基板の表面にトラッキング用の案内溝や案内ピット、更にアドレス信号等のプレフォーマットが形成されていてもよい。
【0018】
<中間層>
基板、記録層、反射層、保護層、及び基板表面ハードコート層以外に設けられた下引き層などの層をここでは一括して中間層と呼ぶことにする。
中間層は、(a)接着性の向上、(b)水又はガス等のバリアー、(c)記録層の保存安定性の向上、(d)反射率の向上、(e)溶剤からの基板や記録層の保護、(f)案内溝・案内ピット・プレフォーマット等の形成、等を目的として設けられる。
(a)の目的に対しては、高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド、ビニル系樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴム等の種々の高分子物質、シランカップリング剤等を用いることができ、(b)及び(c)の目的に対しては、上記高分子材料の他に、SiO2、MgF2、SiO、TiO2、ZnO、TiN、SiN等の無機化合物、Zn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Al等の金属又は半金属などを用いることができる。
また(d)の目的に対しては、Al、Ag等の金属、メチン染料、キサンテン系染料等の金属光沢を有する有機薄膜を用いることができ、(e)及び(f)の目的に対しては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
また、中間層には、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
下引き層の膜厚は0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当である。
【0019】
<記録層>
記録層はレーザ光の照射により何らかの光学的変化を生じ、その変化により情報を記録できるものであって、この記録層中には本発明の色素が少なくとも一種含有されている必要がある。
更に、光学特性、記録感度、信号特性等の向上の目的で、本発明の色素に他の有機色素、金属、金属化合物を混合するか又は積層してもよい。
このような他の有機色素の例としては、ポリメチン色素、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントレキノン(インダンスレン)系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系染料、及び金属キレート化合物等が挙げられる。
これらの色素は単独でも2種以上組合せて用いてもよい。
また、前記染料中にIn、Te、Bi、Se、Sb、Ge、Sn、Al、Be、TeO2、SnO、As、Cd等の金属又は金属化合物を分散混合するか、積層して用いることもできるし、アイオノマー樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴム等の種々の高分子材料又はシランカップリング剤等を分散混合して用いてもよい。
更に、特性改良の目的で、安定剤(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることもできる。
【0020】
記録層の形成は、蒸着、スパッタリング、CVD、溶液塗布等の通常の手段によって行うことができる。
塗布法を用いる場合には、前記染料等を有機溶媒等に溶解して、スプレー、ローラーコーティング、ディッピング、スピンコーティング等の慣用のコーティング法によって行えばよい。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロルエタン、四塩化炭素、トリクロルエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類;或いはベンゼン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族類;メトキシエタノール、エトキシエタノール等のセロソルブ類;ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類等を用いることができる。記録層の膜厚は、100Å〜10μm、好ましくは200〜2000Åが適当である。
【0021】
<金属反射層>
反射層材料としては、単体で高反射率の得られる腐食し難い金属、半金属等が挙げられ、具体例としては、Au、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Sn等があるが、反射率や生産性の点からAu、Ag、Al、が最も好ましい。
また、これらの金属、半金属は単独で使用しても、2種の合金として使用してもよい。
反射膜の形成法としては、蒸着、スッパタリング等が挙げられ、膜厚は50〜5000Å、好ましくは100〜3000Åとする。
【0022】
<保護層、基板表面ハードコート層>
保護層又は基板面ハードコート層は、(a)記録層(反射吸収層)を、傷、ホコリ、汚れ等から保護する、(b)記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、(c)反射率の向上等を目的として使用される。
これらの目的に対しては、前記中間層に示した材料を用いることができる。
また、有機材料としてポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融性樹脂も用いることができる。
前記材料のうち保護層又は基板表面ハードコート層に最も好ましいのは生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。
保護層又は基板面ハードコート層の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当である。
保護層、基板面ハードコート層には、記録層の場合と同様に、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
【0023】
次の表2〜7に、本発明のアゾ金属化合物の例を示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0024】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0025】
実施例1
厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、フォトポリマーを用いて、深さ1750Å、半値幅0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝を形成し、その上に化合物No.1の1,1,2,2−テトラフルオロプロパノール溶液をスピンナー塗布し、厚さ900Åの記録層を形成した。
次いでスパッタ法により金からなる膜厚1200Åの反射層を設け、その上にアクリル系フォトポリマーを用いて膜厚7μmの保護層を設け、更に厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート平面基板をアクリル系フォトポリマーを用いて接着し、光記録媒体とした。
【0026】
実施例2〜25
実施例1における化合物No.1の代りに、化合物No.2〜25を用いた点以外は実施例1と全く同様にして光記録媒体を作成した。
【0027】
比較例1
実施例1における化合物No.1の代りに、次の化合物(比−1)を用いた点以外は実施例1と全く同様にして光記録媒体を作成した。
【化7】
【0028】
上記実施例及び比較例の光記録媒体に、レーザ発振波長658nm、ビーム径1.0μmの半導体レーザ光を用いて、トラッキングしながら、線速3.5m/secで記録し、発振波長685nmの半導体レーザの連続光(再生パワー0.7mW)を用いて再生し、再生波形を観察して反射率及び変調度を測定した。
即ち、次のような条件で耐候テストを行った。測定結果を表5に示す。
<耐候テスト条件>
耐光テスト : 4万lux、Xe(キセノン)光、20時間連続照射
保存テスト : 60℃、90%で400時間放置
<測定手段>
記録/再生の評価には、パルステック工業製の光ディスク評価装置DDU−1000を用いた。反射率及び変調度は、DDU−1000からの再生信号(再生波形)をオシロスコープ上に表示させて測定した。
なお、変調度は、{(未記録の反射率)−(記録部の反射率)}/(未記録部の反射率)で定義される値である。
【0029】
【表8】
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、670nm以下の波長域のレーザ光により記録、再生が可能であり、耐光性、保存安定性に優れ、かつ高感度(高速)記録が可能な情報記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】通常の追記型光記録媒体構造を示す図。
(a) 基板と記録層のみからなる基本構造。
(b) 更に下引き層を設けたもの。
(c) 更に保護層を設けたもの。
(d) 更にハードコート層を設けたもの。
【図2】CD−R用光記録媒体構造を示す図。
(a) 基本的層構造を示す図。
(b) 更に下引き層を設けたもの。
(c) 更にハードコート層を設けたもの。
【図3】DVD−R用光記録媒体構造を示す図。
(a) 基本的層構造を示す図。
(b) 更に接着層を介して保護基板を設けたもの。
(c) 更に下引き層とハードコート層を設けたもの。
Claims (6)
- 前記アゾ金属キレート化合物が、下記一般式(2)で示される化合物であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- 前記金属が、2価又は3価の金属であることを特徴とする請求項1又は2記載の光記録媒体。
- 前記2価又は3価の金属が、マンガン、コバルト、ニッケル、銅の何れかであることを特徴とする請求項3記載の光記録媒体。
- 前記Aを含む複素環が、イミダゾール環であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光記録媒体。
- 前記イミダゾール環を有する化合物が、下記一般式(3)で示される化合物であることを特徴とする請求項5記載の光記録媒体。
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