JP4252737B2 - 光記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、短波長レーザ光により記録再生が可能な色素記録層を有する光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、次世代大容量光ディスクとしてDVD−Rの開発が進められている。記録容量向上のためには、記録ピット微少化のための記録材料開発、MPEG2に代表される画像圧縮技術の採用、記録ピット読み取り用の半導体レーザを短波長化する技術の開発等が必要である。
これまで赤色波長域の半導体レーザとしては、バーコードリーダ、計測器用に670nm帯のAlGaInPレーザダイオードが商品化されているのみであったが、光ディスクの高密度化に伴い、赤色レーザが本格的に光ストレージ市場で使用されつつある。DVDドライブの場合、光源として650nm帯のレーザダイオードで規格化されている。
このような状況下で最も好ましいDVD−R媒体は、波長630〜670nmで記録、再生が可能な媒体である。しかしながら、耐光性、保存安定性に優れ670nm以下のレーザを用いた光ピックアップで記録、再生が可能な記録材料はまだ開発されていない。
また、光ディスクの高密度化に伴い、基板上に形成される案内溝のトラックピッチが狭くなっている。光ディスクの生産にはスピンコート法等の記録層材料の溶剤液を塗布する方法が用いられているが、トラックピッチの狭化により塗膜形状の制御が難しくなっている。
一般的に、塗膜形状の制御は塗布溶剤への添加剤の混入等によって行う方法と、記録材の溶解度を変化させる方法が採られている。しかし、前者は塗布溶剤の品質管理に問題があり、後者は記録材の光学特性が大きく変化するという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に比べて、短波長に発振波長を有する半導体レーザを用いるDVD−Rディスクシステムに適用可能な耐光性、保存安定性に優れた記録材料を用いた光記録媒体の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等が検討した結果、特定の構造を有する色素を主成分とする記録層とすれば、発振波長670nm以下の半導体レーザを用いる次世代大容量光ディスクシステムに適用可能となることを見出し本発明に至った。
即ち、上記課題は、次の1)〜3)の発明(以下、本発明1〜3という)によって解決される。
1) 基板上に記録層を設けてなる光記録媒体において、記録層中に一般式(I)で示されるアゾ化合物と金属、金属酸化物又はそれらの塩からなるアゾ金属キレート色素化合物を少なくとも一種類含有することを特徴とする光記録媒体。
【化2】
一般式(I)において、A環はそれが結合している炭素原子及び窒素原子と一緒になってピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、プリン、ペリミジンからなる群より選択された複素環を形成する残基を表し、Mは金属又は金属酸化物を表し、R1及びR2はそれぞれ独立に置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表し、R3〜R6はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の複素環残基、置換又は未置換のアルキルカルボニル基、置換又は未置換のアリールカルボニル基、置換又は未置換のアルキルオキシカルボニル基、置換又は未置換のアリールオキシカルボニル基、置換又は未置換のアルキルスルホニル基、置換又は未置換のアリールスルホニル基、置換又は未置換のアルキルチオオキシ基、置換又は未置換のアリールチオオキシ基、置換又は未置換のアルキルオキシ基、置換又は未置換のアリールオキシ基、置換又は未置換のアルキルアミノ基、置換又は未置換のアリールアミノ基、置換又は未置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換又は未置換のアリールカルボニルアミノ基、置換又は未置換のアルキルカルバモイル基、置換又は未置換のアリールカルバモイル基、置換又は未置換のアルケニル基を表し、nは2又は3を表す。また、R2とR3、R3とR4、R4とR5は連結して環を形成していても良い。なお、R1及びR2は水素原子を表すことはない。
2) 前記金属の価数が2価であることを特徴とする1)記載の光記録媒体。
3) 前記金属がマンガン、コバルト、ニッケル、銅の何れかであることを特徴とする1)又は2)記載の光記録媒体。
【0005】
以下、上記発明について詳しく説明する。
一般式(I)において、A環はそれが結合している炭素原子及び窒素原子と一緒になってピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、プリン、ペリミジンからなる群より選択された複素環を形成する残基を表し、Mは金属又は金属酸化物を表す。また、R1〜R6は、前記1)に記載した通りである。
前記記載におけるハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の一級アルキル基、イソブチル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルブチル基、1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−プロピル−2−メチルプロピル基、1−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、1−イソプロピルペンチル基、1−イソプロピル−2−メチルブチル基、1−イソプロピル−3−メチルブチル基、1−メチルオクチル基、1−プロピルヘキシル基、1−イソブチル−3−メチルブチル基等の二級アルキル基、ネオペンチル基、tert−ブチル基、tert−ヘキシル基、tert−アミル基、tert−オクチル基等の三級アルキル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基(アダマンタン基)等のシクロアルキル基等が挙げられる。
【0006】
更に、これら一級及び二級アルキル基は、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の複素環残基等により置換されていてもよく、また酸素、硫黄、窒素等の原子を介して前記のアルキル基で置換されていてもよい。
酸素を介して置換されているアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、ピペリジノ基、モルホリノ基等が、硫黄を介して置換されているアルキル基としては、メチルチオエチル基、エチルチオエチル基、エチルチオプロピル基、フェニルチオエチル基等が、窒素を介して置換されているアルキル基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基等が挙げられる。
前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基等が挙げられる。
前記複素環残基の具体例としては、インドリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリル基等が挙げられる。
【0007】
前記アルキルカルボニル基の具体例としては、カルボニル基の炭素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
前記アリールカルボニル基の具体例としては、カルボニル基の炭素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
前記アルキルオキシカルボニル基の具体例としては、オキシカルボニル基の酸素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
前記アリールオキシカルボニル基の具体例としては、オキシカルボニル基の酸素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
前記アルキルスルホニル基の具体例としては、スルホニル基の硫黄原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
前記アリールスルホニル基の具体例としては、スルホニル基の硫黄原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
【0008】
前記アルキルチオキシ基の具体例としては、硫黄原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
前記アリールチオキシ基の具体例としては、硫黄原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
前記アルキルオキシ基の具体例としては、酸素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
前記アリールオキシ基の具体例としては、酸素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
前記アルキルアミノ基の具体例としては、窒素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
前記アリールアミノ基の具体例としては、窒素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
【0009】
前記アルキルカルボニルアミノ基の具体例としては、カルボニルアミノ基の炭素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
前記アリールカルボニルアミノ基の具体例としては、カルボニルアミノ基の炭素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
前記アルキルカルバモイル基の具体例としては、カルバモイル基の窒素原子に直接それぞれ独立して水素原子、置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
前記アリールカルバモイル基の具体例としては、カルバモイル基の窒素原子に直接それぞれ独立して水素原子、置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述のものを挙げることができる。
【0010】
一般式(I)におけるMが2価の金属原子である場合の具体例としては、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム等が挙げられ、金属酸化物の具体例としては酸化バナジウム等が挙げられる。
特に、マンガン、コバルト、ニッケル、銅のアゾ金属キレート色素化合物は、光記録材料として光学特性が優れている。
【0011】
本発明の特徴は、活性水素を有する複素環残基と活性水素を有しないカプラで構成されたアゾ化合物を金属と作用させ、光記録媒体の記録材料として用いることが可能な安定なアゾ金属キレート色素化合物を見出した点にある。
従来公知の光記録媒体に使用されている複素環アゾ金属キレート色素化合物は、活性水素を有するカプラと活性水素基を有しない複素環残基から構成されている。なお、Mは金属原子を表す。
・従来型
【化3】
・本発明のアゾ金属キレート色素化合物
【化4】
【0012】
次に、記録層を構成するのに必要な項目として、光学特性と熱的特性が挙げられる。
光学特性としては、記録再生波長である630nm〜690nmのレーザ光に対して短波長側に大きな吸収帯を有し、かつ記録再生波長が該吸収帯の長波長端近傍にあることが必要である。これは、記録再生波長である630nm〜690nmで大きな屈折率と消衰係数を有することを意味する。
具体的には、記録再生波長近傍の長波長近傍の波長域光に対する記録層単層の屈折率nが、1.5≦n≦3.0であり、消衰係数kが、0.02≦k≦0.2の範囲にあることが好ましい。nが1.5未満の場合には、十分な光学的変化が得られ難いため、記録変調度が低くなるので好ましくなく、nが3.0を超えると、波長依存性が高くなり過ぎるため、記録再生波長領域であってもエラーとなってしまうので好ましくない。また、kが0.02未満の場合には、記録感度が悪くなるため好ましくなく、kが0.2を超えると、50%以上の反射率を得ることが困難となるので好ましくない。
【0013】
熱的特性としては、熱重量分析に於ける主減量過程での重量減量が、温度に対して急であることが必要である。主減量過程により有機材料膜は分解し、膜厚の減少と光学定数の変化を起こし、光学的な意味での記録部が形成されるからである。従って、主減量過程の重量減量が温度に対して穏やかな場合、記録部が広い温度範囲に亘って形成されてしまうため、高密度の記録部を形成させる場合は極めて不利となる。同様な理由で重量減量の過程が複数存在する材料を用いた場合も高密度対応には不利である。
本発明ではいくつかの重量減量過程のうちで、減量率が最大のものを主減量過程と呼ぶ。
【0014】
本発明に於いて重量減量の傾きは次のようにして求める。
図1に示すように、質量M0の有機色素を窒素雰囲気下、10℃/min.で昇温させる。この昇温に従って、質量は微量づつ減少し、ほぼ直線a−bの重量減量線を示し、ある温度に達すると急激な重量減少を起こし、ほぼ直線c−dに沿って重量減量を起こす。更に温度を上げ続けると質量の急激な減量が終了し、ほぼ直線e−fに沿った重量減少を起こす。
今直線a−bと直線c−dとの交点に於ける温度をT1(℃)、初期質量M0に対する残存重量をm1(%)、直線c−dと直線e−fとの交点に於ける温度をT2(℃)、初期質量M0に対する残存重量をm2(%)とすると、主減量過程開始温度はT1、主減量過程終了温度はT2となり、初期重量に対する主減量過程での重量減量率は、(m1−m2)(%)で示され、主減量過程での温度に対する重量減量の割合は、次式で示される値となる。
【数1】
(m1−m2)(%)/(T2−T1)(℃)
【0015】
上記定義に基づくと光記録媒体に用いる記録材料としては、主減量過程に於ける温度に対する重量減量の割合が2%/℃以上であることが好ましく、2%/℃未満の記録材料を用いると、記録部の広がりが大きくなるし、短い記録部を形成することが困難となるため、光記録媒体には不向きである。
また、主減量過程に於ける重量減少率は、30%以上であることが好ましく、30%未満では、良好な記録変調度や記録感度が得られない可能性がある。
更に、熱的特性としては、減量開始温度が350℃以下である必要があり、200〜350℃の範囲にあることが望ましい。減量開始温度が350℃を超えると記録レーザ光のパワーが高くなり過ぎて実用的でなく、200℃未満では再生劣化を起こすなど記録安定性が悪くなる。
【0016】
基板形状としては、基板上のトラックピッチが0.7〜0.8μm、溝幅が半値幅で0.18〜0.36μmとする必要がある。
基板は通常、深さ1000〜2500Åの案内溝を有しており、トラックピッチは、通常0.7〜1.0μmであるが、高容量化の用途には0.7〜0.8μmが好ましい。
また、溝幅が0.18μm未満では十分なトラッキングエラー信号強度を得ることが困難となる恐れがあるし、0.36μmを超えると、記録したときに記録部が横に広がり易くなるので好ましくない。
【0017】
本発明の光記録媒体の層構成としては、通常の追記型光ディスクである図2の構造(図2の媒体を2枚貼り合わせた所謂エアーサンドイッチ型、又は密着貼合わせ構造としてもよい)、図3のようなCD−R用の構造、更には図4のようなDVD−R用の構造とすることができる。
好ましい層構成としては、第1基板と第2基板を記録層を介して接着剤で貼り合わせた構造を基本構造とする。記録層は有機色素層単層でもよく、反射率を高めるため有機色素層と金属反射層との積層構造としてもよい。記録層と基板の間には下引き層又は保護層を設けてもよく、機能向上のためにそれらを積層化した構成としてもよい。最も普通に用いられるのは、第1基板/有機色素記録層/金属反射層/保護層/接着層/第2基板からなる構造である。
【0018】
以下、各層の必要特性及び構成材料例について順に説明する。
<基板>
基板の必要特性としては、基板側より記録再生を行う場合のみ使用レーザ光に対して透明とし、記録層側から記録再生を行う場合には透明である必要はない。基板材料としては、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド等のプラスチック、ガラス、セラミックあるいは金属等を用いることができる。なお、基板を1層しか用いない場合、又は基板2枚をサンドイッチ状で用いる場合は、第1基板の表面にトラッキング用の案内溝や案内ピット、更にアドレス信号等のプレフォーマットを形成してもよい。
【0019】
<中間層>
下引き層等を含め基板、記録層、反射層、保護層以外に設けられた層をここでは中間層と呼ぶことにする。この中間層は(a)接着性の向上、(b)水、又はガス等のバリアー、(c)記録層の保存安定性の向上、(d)反射率の向上、(e)溶剤からの基板や記録層の保護、(f)案内溝・案内ピット・プレフォーマット等の形成、などを目的として使用される。
(a)の目的に対しては、アイオノマー樹脂、ポリアミド、ビニル系樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴム等の種々の高分子物質、及びシランカップリング剤等を用いることができ、(b)及び(c)の目的に対しては、前記高分子材料以外に、SiO2、MgF2、SiO、TiO2、ZnO、TiN、SiN等の無機化合物、Zn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Al等の金属又は半金属を用いることができる。
また(d)の目的に対しては、Al、Ag等の金属や、メチン染料、キサンテン系染料等の金属光沢を有する有機薄膜を用いることができ、(e)及び(f)の目的に対しては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。
下引き層の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmとする。
【0020】
<記録層>
記録層はレーザ光の照射により何らかの光学的変化を生じ、その変化により情報を記録できるものであって、この記録層中には本発明の色素化合物が含有されていることが必要であり、記録層の形成に当って本発明の色素を1種で又は2種以上組合せて用いてもよい。
更に、本発明の色素化合物は、光学特性、記録感度、信号特性等の向上の目的として他の有機色素、金属、金属化合物などと混合したり或いは積層化してもよい。
他の有機色素の例としては、ポリメチン色素、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントレキノン(インダンスレン)系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系各染料、及び金属キレート化合物等が挙げられ、これらの染料は単独でも2種以上組合せて用いてもよい。
また、前記染料中にIn、Te、Bi、Se、Sb、Ge、Sn、Al、Be、As、Cd、TeO2、SnO、等の金属又は金属化合物を分散混合するか、或いはこれらの材料を積層して用いることもできる。更に、前記染料中に、アイオノマー樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴム等の種々の高分子材料、又はシランカップリング剤等を分散混合して用いてもよいし、或いは特性改良の目的で、安定剤(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等と一緒に用いてもよい。
【0021】
記録層の形成は、蒸着、スパッタリング、CVD(化学的気相成長)又は溶液塗布等の通常の手段によって行うことができる。塗布法を用いる場合には前記染料等を有機溶媒等に溶解してスプレー、ローラーコーティング、ディッピング、スピンコーティング等の慣用のコーティング法により塗布すればよい。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロルエタン、四塩化炭素、トリクロルエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類;又はベンゼン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族類;メトキシエタノール、エトキシエタノール等のセロソルブ類;ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類等を用いることができる。
記録層の膜厚は、100Å〜10μm、好ましくは200〜2000Åとする。
【0022】
<金属反射層>
反射層材料としては、単体で高反射率の得られる腐食され難い金属や半金属等が挙げられ、具体例としては、Au、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Sn等が挙げられるが、反射率や生産性の点からAu、Ag、Alが最も好ましい。
また、これらの金属や半金属は単独でも2種の合金として用いてもよい。
反射層の形成法としては、蒸着、スッパタリング等が挙げられ、膜厚は50〜5000Å、好ましくは100〜3000Åとする。
【0023】
<保護層、基板表面ハードコート層>
保護層又は基板面ハードコート層は、(a)記録層(反射吸収層)の傷、ホコリ、汚れ等からの保護、(b)記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、(c)反射率の向上、等を目的として使用される。
材料としては、前記中間層に示したものを用いることができる。また、無機材料としてSiO、SiO2等も用いることができ、有機材料としてポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、芳香属炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融性樹脂も用いることができる。
前記材料のうち保護層又は基板表面ハードコート層に最も好ましいのは生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。
保護層又は基板面ハードコート層の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmとする。
本発明において、前記中間層、保護層及び基板面ハードコート層には、記録層の場合と同様に、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
【0024】
一般式(I)で示されるアゾ金属キレート色素化合物の好ましい例を次の表1〜3に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【0025】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0026】
実施例1
厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、フォトポリマーを用いて深さ1750Å、半値幅0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝を形成した後、化合物No.1の1,1,2,2−テトラフルオロプロパノール溶液をスピンナー塗布し、厚さ900Åの記録層を形成した。
次いで、スパッタ法により厚さ1200Åの金の反射層を設け、更にその上にアクリル系フォトポリマーを用いて厚さ7μmの保護層を設けた。
最後に、厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート平面基板をアクリル系フォトポリマーにより接着して光記録媒体とした。
【0027】
実施例2〜20
実施例1で用いた化合物No.1に代えて化合物No.2〜20を用い、実施例1と全く同様にして光記録媒体を作成した。
【0028】
比較例1
実施例1で用いた化合物No.1に代えて、次の〔化4〕の化合物を用い、実施例1と全く同様にして光記録媒体を作成した。
【化5】
【0029】
上記のようにして作成した実施例1〜20及び比較例1の光記録媒体に対し、レーザ発振波長658nm、ビーム径1.0μmの半導体レーザ光を用いてトラッキングしながらEFM信号(線速3.5m/sec.)を記録し、次いで発振波長685nmの半導体レーザの連続光(再生パワー0.7mW)を用いて再生し、再生波形を観察すると共に、次のような耐候テストを行った。
<耐候テスト条件>
耐光テスト:4万Lux、Xe光、20時間連続照射
保存テスト:60℃、90%、600時間放置
測定結果を次の表4に示す。
【0030】
【表4】
【0031】
【発明の効果】
本発明1〜3によれば、670nm以下の波長域のレーザ光で記録、再生が可能で、耐光性、高塗布性、保存安定性に優れた光記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機材料の主減量過程、重量減量率を求める方法の説明図である。
【図2】通常の追記型光記録媒体の層構成例を示す図である
(a) 基板と記録層からなる基本構成を示す。
(b) 基板と記録層の間に下引き層を設けた構成を示す。
(c) 更に記録層の上に保護層を設けた構成を示す。
(d) 更に基板の裏面にハードコート層を設けた構成を示す。
【図3】CD−R用の光記録媒体の層構成例を示す図である。
(a) 基板、記録層、金属反射層、保護層を設けた基本構成を示す。
(b) 更に基板と記録層の間に下引き層を設けた構成を示す。
(c) 更に基板の裏面にハードコート層を設けた構成を示す。
【図4】DVD−R用の光記録媒体の層構成例を示す図である。
(a) 基板、記録層、金属反射層、保護層を設けた基本構成を示す。
(b) 更に保護層上に接着層を介して保護基板を設けた構成を示す。
(c) 更に基板と記録層の間に下引き層を設け、基板の裏面にハードコート
層を設けた構成を示す。
Claims (3)
- 基板上に記録層を設けてなる光記録媒体において、記録層中に一般式(I)で示されるアゾ化合物と金属、金属酸化物又はそれらの塩からなるアゾ金属キレート色素化合物を少なくとも一種類含有することを特徴とする光記録媒体。
- 前記金属の価数が2価であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- 前記金属がマンガン、コバルト、ニッケル、銅の何れかであることを特徴とする請求項1又は2記載の光記録媒体。
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