JP3897214B2 - 光記録媒体及び光記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は情報記録媒体に関するものであって、特に光ビームを照射することにより、記録材料の透過率、反射率等の光学的な変化を生じさせ、情報の記録、再生を行ない、かつ追記が可能な情報記録媒体に関するものであり、技術分野はデータ用追記光ディスク、追記型コンパクトディスクであり、応用分野にCD−I、CD−V、DVD−Rがある。
【0002】
【従来の技術】
データ用追記型ディスクの従来技術として、シアニン色素を記録材料として用いたものが特開昭57−82093号公報、特開昭58−56892号公報、特開昭58−112790号公報、特開昭58−114989号公報、特開昭59−85791号公報、特開昭60−83236号公報、特開昭60−89842号公報、特開昭61−25886号公報に開示されており、フタロシアニン色素を記録材料として用いたものが特開昭61−150243号公報、特開昭61−177287号公報、特開昭61−154888号公報、特開昭61−246091号公報、特開昭62−39286号公報、特開昭63−37791号公報、特開昭63−39888号公報に開示されている。
【0003】
また、追記型コンパクトディスクの従来技術として、シアニン色素/金属反射層を記録材料として用いたものが特開平1−159842号公報、特開平2−42652号公報、特開平2−13656号公報、特開平2−168446号公報に開示されており、フタロシアニン(アザアヌレン)色素を記録材料として用いたものが特開平1−176585号公報、特開平3−215466号公報、特開平4−113886号公報、特開平4−226390号公報、特開平5−1272号公報、特開平5−171052号公報、特開平5−116456号公報、特開平7−268227号公報、特開平7−314897号公報に開示されており、アゾ金属キレート色素を記録材料として用いたものが特開平4−46186号公報、特開平4−141489号公報、特開平4−361088号公報、特開平5−279580号公報に開示されている。
【0004】
また、大容量追記型コンパクトディスク(DVD−R)の従来技術に、シアニン色素/金属反射層を記録材料として用いたものとして、Pioneer R&D Vol.6 No.2:DVD-Recordableの開発 DVD-R色素ディスクの基礎研究 ISOM/ODS'96:High Density of recording on Dye material Disc approach for 4.7GBが挙げられる。
【0005】
また、その他の色素/金属反射層を記録材料として用いたものが特開平8−169182号公報、特開平8−209012号公報、特開平8−283263号公報、特開平9−58130号公報に開示されている。
【0006】
また、特開平10−000860号公報、特願平09−215980号明細書、特開平11−005368号公報、特願平09−230394号明細書、特願平09−211278号明細書、特願平9−261119号明細書、特願平09−211279号明細書、特願平09−216010号明細書、特願平09−211277号明細書、特願平09−214163号明細書、特願平09−215979号明細書、特願平10−035480号明細書、特願平10−210792号明細書にも同様な開示がされている。
【0007】
しかし、現在の追記型光ディスクシステム(WORM、CD−R)では、使用レーザの発振波長が770〜790nmにあり、記録体は上記波長で記録、再生が可能なように設定されている。今後、情報量の増大に伴い、記録媒体の大容量化への流れは必須である。したがって、記録、再生に用いるレーザ波長が短波長化することも必然的に起こってくることが容易に予想される。しかしながら、耐光性、保存安定性に優れ700nm以下のレーザを用いた光ピックアップで記録、再生が可能な記録材料は、未だ開発されていないのが現状である。
【0008】
さらに、現在のCD−Rディスクシステムは、使用レーザの発振波長が770〜790nmで、記録、再生が行なえるように構成されている。このシステムも上記同様に、大容量化、記録、再生波長の短波長化は必須である。現在のCDおよびCD−ROMは、基板自体の凹凸上にAlがコーティングしてあり、Alの反射率の波長依存性が小さいため、将来、レーザ波長が短波長化されても再生は可能である。しかしながら、CD−Rは記録層に680nm〜750nmに最大吸収波長を有する色素を用い、その光学定数および膜厚構成から770nm〜790nmに高い反射率が得られるように設定してあるため、700nm以下の波長域では反射率は極めて低く、レーザ波長の短波長化に対応できず現在のCD−Rシステムで記録、再生している情報が、将来のシステムでは再生できない事態を招く。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来システムに比べて、短波長に発振波長を有する半導体レーザを用いる高密度光ディスクシステムに適用可能な耐光性、保存安定性に優れた光記録媒体用の記録材料を提供するとともに、現状システムで記録、再生が可能で、かつ次世代の高密度光ディスクシステムにおいても再生可能なCD−R媒体用の記録材料を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は検討した結果、特定の構造を有する色素を主成分とする記録層とすることにより、発振波長700nm以下の半導体レーザを用いる高密度光ディスクシステムに適用可能なことを見い出し、さらに本発明の化合物を現在のCD−R用記録材料として用いられている有機色素と混合して用いることにより、700nm以下の波長域にも高い反射率を得ることが可能であることを見い出し本発明に至った。
【0011】
すなわち上記課題は本発明の、(1)「基板上に直接又は下引き層を介し記録層を設け、さらに必要に応じて反射層、保護層又は第2基板を設けてなる光記録媒体であって、下記一般式(I)で示される化合物を少なくとも1種含有してなることを特徴とする光記録媒体。
【0012】
【化2】
一般式(I)中、Mは2個の水素原子または、酸素、ハロゲンを有してもよい2価、3価もしくは4価の金属または、置換未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基または(OPR11R12)t、(OPOR13R14)t、(OSiR15R16R17)t、(OCOR18)t、(OR19)t、(OCOCOOR20)t、(OCOCOR21)t、(OCONR22R23)tを有してもよい金属原子R11〜R23はそれぞれ独立に水素または置換未置換の脂肪族、芳香族炭化水素基を表わし、tは0から2の整数を表わす。R1〜R4はそれぞれ独立に水素または置換もしくは未置換のアルキル基または置換もしくは未置換のアリール基である。また、X1〜X4は水素原子もしくはピラン残基、ピラジン残基、ピロリジン残基、イミダゾリン残基、イミダゾリジン残基またはピラゾリン残基である。但し、R1〜R4 のすべてが水素となることはないと共に、X 1 〜X 4 のすべてが水素となることはない。」、(2)「一般式(I)中R1〜R4が各々独立に置換もしくは未置換のアルキル基であることを特徴とする前記第(1)項に記載の光記録媒体。」、(3)「一般式(I)中R1〜R4が各々独立に置換もしくは未置換の分岐のアルキル基であることを特徴とする前記第(1)項または前記第(2)項に記載の光記録媒体。」、(4)「一般式(I)のMがCu、Co、Zn、Ni、Pd、Pt、VO、Mgのうちいずれかであることを特徴とする前記第(1)項乃至前記第(3)項のいずれか1に記載の光記録媒体。」、(5)「一般式(I)以外に680〜750nmに最大吸収波長を有する色素との混合層からなることを特徴とする前記第(1)項乃至前記第(4)項のいずれか1に記載の光記録媒体。」、(6)「680〜750nmに最大吸収波長を有する色素がペンタメチンのシアニン色素、フタロシアニン色素もしくは、アゾ金属キレート化合物からなることを特徴とする前記第(5)項に記載の光記録媒体。」によって達成される。
また、本発明の、(7)「記録波長が720〜600nmであることを特徴とする前記第(1)項乃至前記第(6)項のいずれか1に記載の光記録媒体を用いた光記録方法。」によって達成される。
【0013】
ここで各発明の効果を述べると、前記第(1)項記載のものは700nm以下の短波長レーザを用いる高密度光記録媒体としての基本構造および材料構成であり、前記第(2)項記載のものはRをアルキル基とすることで光学特性の最適化が計れ、前記第(3)項記載のものはさらに分岐アルキル基とすることで溶剤塗工法による記録層の形成が容易にできる(溶解性の向上)。前記第(4)項記載のものは材料合成上、塗膜特性上、一般式(I)中Mを先に挙げた8つの金属とすることで生産性、記録特性が優れた材料を提供できる。前記第(5)項記載のものは記録再生波長が780nm前後の記録再生システムで記録、再生が可能で、且つ次世代の高密度ディスクシステムとなっても再生可能な光記録媒体の基本構造と基本材料構成である。前記第(6)項記載のものは前記第(5)項記載のものの最適構成である。前記第(7)項記載のものは一般式(I)に示すような化合物を含む光記録媒体を720nm〜630nmの記録波長で記録するような発明(記述)は現在までになく、記録波長を限定したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
【0015】
【化3】
一般式(I)中、Mは2個の水素原子または、酸素、ハロゲンを有してもよい2価、3価もしくは4価の金属または、置換未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基または(OPR11R12)t、(OPOR13R14)t、(OSiR15R16R17)t、(OCOR18)t、(OR19)t、(OCOCOOR20)t、(OCOCOR21)t、(OCONR22R23)tを有してもよい金属原子R11〜R23はそれぞれ独立に水素または置換未置換の脂肪族、芳香族炭化水素基を表わし、tは0から2の整数を表わす。R1〜R4はそれぞれ独立に水素または置換もしくは未置換のアルキル基または置換もしくは未置換のアリール基である。また、X1〜X4は水素原子もしくはピラン残基、ピラジン残基、ピロリジン残基、イミダゾリン残基、イミダゾリジン残基またはピラゾリン残基である。但し、R1〜R4 のすべてが水素となることはないと共に、X 1 〜X 4 のすべてが水素となることはない。
【0016】
本発明の化合物では下記に示した(1)〜(4)の4つの異性体が存在し、これらの混合物である場合、吸収波長等の特性を微調整する際、有利でかつ、薄膜化したときの記録パワーマージンなどの拡大が計れる。
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】
また、R1〜R4をアルキル基とすることで635nm〜650nmでの記録に最適な光学特性が得られ、さらにアルキル基を分岐させることにより溶解性が向上し、溶剤塗工法による記録層形成が可能となる。
【0022】
一般式(I)中R1〜R4のアリール基としては代表的なものがフェニル基であり、このフェニル基が置換未置換のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲンなどで置換されていてもよい。
一般式(I)中R1〜R4のアルキル基はメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、n−オクチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等の1級アルキル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルブチル基、1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−プロピル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、1−イソプロピルペンチル基、1−イソプロピル−2−メチルブチル基、1−イソプロピル−3−メチルブチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルヘキシル基、1−イソブチル−3−メチルブチル基等の2級アルキ基、tert−ブチル基、tert−ヘキシル基、tert−アミル基、tert−オクチル基等の3級アルキル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、アダマンタン基等のシクロアルキル基等が挙げられ、これらのアルキル基はハロゲン等の置換基で置換されていてもよい。不飽和のアルキル基としてはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキセン基、オクテン基、ドデセン基、シクロヘキセン基、ブチルヘキセン基などが挙げられる。
【0023】
X1〜X4で示したフェニル基はメチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、tert−ブチル基、tert−ヘキシル基、tert−アミル基等のアルキル基や同様のアルキルを有したアルコキシ基、フッ素置換アルコシキ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基等で置換していてもよい。
【0024】
一般式(I)中のMはAl、Si、Ca、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Mo、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Pt、Pb、Mgおよびそのハロゲン化物、酸化物、アルキル化物、アルコキシ化物、アリール化物、アリールオキシ化物、シリルオキシ化物、水酸化物等である。
【0025】
680nm〜750nmに吸収最大波長のある色素の好ましい例としては、
▲1▼シアニン色素
【0026】
【化8】
R5、R6:炭素数1〜3のアルキル基
R7、R8:炭素数1〜6の置換未置換のアルキル基
X :酸アニオン
なお、芳香環は他の芳香環と縮合されていてもよく、アルキル、ハロゲン、アルコキシ基、アシル基で置換されていてもよい。
【0027】
▲2▼フタロシアニン色素
【0028】
【化9】
M1 :Ni、Pd、Cu、Zn、Co、Mn、Fe、TiO、VO
X5〜X8:α位の−OR、−SR、又は水素原子であって、全てが水素原子となることはない。
R :炭素数3〜12の置換未置換の直鎖、分岐のアルキル基、シクロアルキル基、または置換未置換のアリール基
X5〜X8以外のベンゼン環の置換基は水素またはハロゲンである。
【0029】
【化10】
M2 :Si、Ge、In、Sn
X9〜X12 :α位の−OR、−SR、又は水素原子であって、全てが水素原子となることはない。
Y3、Y4 :−OSiRaRbRc、−OCORa、−OPORaRbRa、Rb、Rc:炭素数1〜10のアルキル基、アリール基 X9〜X12以外のベンゼン環の置換基は水素またはハロゲンである。
【0030】
▲3▼アゾ金属キレート化合物
【0031】
【化11】
(d)で示されるアゾ系化合物と金属とのアゾ金属キレート化合物の1種又は、2種以上であり金属の好ましい例としてはNi、Pt、Pd、Co、Cu、Znなどが挙げられる。
また、Aはそれが結合している炭素原子および、窒素原子と一緒になって複素環を形成する残基を表わし、Bはそれが結合している2つの炭素原子と一緒になって芳香環または、複素環を形成する残基を表わしXは活性水素を有する基を表わす。
【0032】
ここで、本発明の色素と上記具体例を含む680nm〜750nmに吸収最大波長を有する色素との混合比は本発明の色素/680nm〜750nmに吸収を有する色素=10/100〜90/100、好ましくは40/100〜20/100であり記録層の厚みとしては500Å〜5μm、好ましくは1000Å〜5000Åである。ここで本発明の色素と上記具体例を含む680nm〜750nmに吸収最大波長を有する色素との混合比は本発明の色素/680nm〜750nmに吸収を有する色素=10/100〜90/100、好ましくは40/100〜20/100であり記録層の厚みとしては500Å〜5μm、好ましくは1000Å〜5000Åである。
【0033】
本発明の記録媒体の構成としては追記型光ディスクの構造図1(図1の構造のものを2枚貼り合わせたいわゆるエアーサンドイッチ構造としてもよいし、密着貼り合わせ構造としてもよい)と、図2の構造のものからなるCD−R用メディアの構造としてもよいし、これを接着剤で2枚貼り合わせた構造としてもよい。さらに図3に示したDVD−R用の層構成としてもよいし、これを2枚貼り合わせた構造としてもよい。
【0034】
<基板>
用いる基板としては基板側より記録再生を行なう場合のみ使用レーザに対して透明でなければならず、記録層側から記録、再生を行なう場合基板は透明である必要はない。基板材料としては例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミドなどのプラスチックまたはガラス、セラミックあるいは金属等を用いることができる。なお、基板の表面にトラッキング用の案内溝や、案内ピット、さらにアドレス信号などのプリフォーマットなどが形成されていてもよい。
【0035】
<記録層>
記録層は、レーザ光の照射により何らかの光学的変化を生じさせ、その変化により情報を記録するものであって、この記録層中には本発明の色素が含有されていることが必要で、記録層の形成にあたって本発明の色素1種、または2種以上の組み合わせで用いてもよい。さらに、本発明の上記色素は光学特性、記録感度、信号特性などの向上の目的で他の有機色素および金属、金属化合物と混合または積層化して用いてもよい。有機色素の例としては、ポリメチン色素、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン系(インダンスレン系)、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系染料および金属錯体化合物などが挙げられる。
【0036】
金属、金属化合物の例としてはIn、Te、Bi、Se、Sb、Ge、Sn、Al、Be、TeO2、SnO、As、Cdなどが挙げられ、それぞれを分散混合あるいは積層の形態で用いることができる。
さらに、上記染料中に高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の材料もしくはシランカップリング剤などを分散混合してもよいし、特性改良の目的で安定剤(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などを一緒に用いることができる。
【0037】
記録層の形成方法としては蒸着、スパッタリング、CVDまたは溶剤塗布などの通常の手段によって行なうことができる。塗布法を用いる場合には上記染料などを有機溶剤に溶解して、スプレー、ローラコーティング、ディピングおよび、スピンコーティングなどの慣用のコーティング法によって行なうことができる。用いられる有機溶媒としては一般にメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族類、メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのセロソルブ類、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などが挙げられる。記録層の膜厚は100Å〜10μm好ましくは200Å〜2000Åが適当である。
【0038】
<下引き層>
下引き層は▲1▼接着性の向上、▲2▼水またはガスなどのバリアー、▲3▼記録層の保存安定性の向上、▲4▼反射率の向上、▲5▼溶剤からの基板の保護、▲6▼案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形成などを目的として使用される。▲1▼の目的に対しては高分子材料例えば、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の高分子化合物およびシランカップリング剤などを用いることができ、▲2▼および▲3▼の目的に対しては上記高分子材料以外に無機化合物、例えば、SiO、MgF、SiO2、TiO、ZnO、TiN、SiN、などがあり、さらに金属または半金属例えば、Zn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Alなどを用いることができる。また、▲4▼の目的に対しては金属、例えば、Al、Au、Ag等や、金属光沢を有する有機薄膜、例えば、メチン染料、キサンテン系染料などを挙げることができ、▲5▼、▲6▼の目的に対しては紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。下引き層の膜厚としては0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当である。
【0039】
<金属反射層>
金属反射層は単体で高反射率の得られる腐食されにくい金属、半金属等が挙げられ、材料例としてはAu、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Snなどが挙げられるが、反射率、生産性の点からAu、Ag、Alが最も好ましく、これらの金属、半金属は単独で使用してもよく、2種の合金としてもよい。膜形成法としては蒸着、スパッタリングなどが挙げられ、膜厚としては50〜5000Å好ましくは100〜3000Åである。
【0040】
<保護層、基板面ハードコート層>
保護層および基板面ハードコート層は▲1▼記録層(反射吸収層)を傷、ホコリ、汚れ等から保護する、▲2▼記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、▲3▼反射率の向上等を目的として使用される。これらの目的に対しては、前記下引き層に示した材料を用いることができる。また、無機材料として、SiO、SiO2なども用いることができ、有機材料としてポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融性樹脂も用いることができる。上記材料のうち最も好ましい例としては生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。保護層または基板面ハードコート層の膜厚は0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当である。本発明において、前記下引き層、保護層、および基板面ハードコート層には記録層の場合と同様に、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
【0041】
<保護基板>
保護基板はこの保護基板側からレーザ光を照射する場合、使用レーザ光に対し透明でなくてはならず、単なる保護板として用いる場合、透明性は問わない。使用可能な基板材料としては基板材料と全く同様であり、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミドなどのプラスチックまたは、ガラス、セラミックあるいは、金属などを用いることができる。
【0042】
<接着剤、接着層>
2枚の記録媒体を接着できる材料なら何でもよく、生産性を考えると、紫外線硬化型もしくはホットメルト型接着剤が好ましい。
【0043】
以下に化合物例を記述する。化合物No.1〜31に示す化合物は異性体については記述していないが、実際には上記式(1)〜(4)に示したような4つの異性体が存在する。
【0044】
【表1−1】
【0045】
【表1−2】
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
<参考例1>
厚さ1.2mmのPMMA基板上に、フォトポリマーにて深さ1600Å、半値幅0.35μm、トラックピッチ1.0μmの案内溝を形成した基板上に、化合物No.1の1,2ジクロロエタン溶液をスピンナー塗布し、厚さ900Åの記録層を形成し、記録媒体とした。評価結果を表2に示す。
【0047】
<参考例2、3、4、5、6、7、8>
参考例1で化合物No.1の代わりにNo.7、10、14、17、20、21、22を用い参考例1と全く同様に記録媒体を形成した。評価結果を表2に示す。
【0048】
<比較例1>
参考例1で化合物例No.1の代わりに、以下に示す化合物(比−1)を用い参考例1と全く同様に記録媒体を形成した。評価結果を表2に示す。
【0049】
【化12】
【0050】
<記録条件>
レーザ発振波長:635nm
記録周波数 :1.25MHz
記録線速 :1.2m/sec.
<再生条件>
レーザ発振波長 :635nm
再生パワー :0.25〜0.3mWの連続光
スキャニングバンド幅:30KHz
<耐候テスト条件>
耐光テスト:4万Lux、Xe光、20時間連続照射
保存テスト:85℃ 85% 720時間放置
【0051】
【表2】
【0052】
<参考例9>
深さ1700Å、半値幅0.30μm、トラックピッチ0.8μmの案内溝を有する厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、化合物例No.1をメチルシクロヘキサン、2−メトキシエタノール、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランの混合溶液に溶解した液をスピンナー塗布し厚さ、1800Åの有機色素層を形成し、次いで、スパッタ法により金1200Åの反射層を設け、さらにその上にアクリル系フォトポリマーにて5μmの保護層を設け、さらにその上にホットメルト接着剤により厚み0.6mmのポリカーボネート基板を貼り合わせて記録媒体とした。評価結果を表3に示す。
【0053】
<参考例10、実施例1、2、参考例11、実施例3、参考例12、実施例4>
参考例9で化合物No.1の代わりにそれぞれ化合物No.2、5、8、10、16、22、28を用い、参考例9と全く同様に記録媒体を得た。評価結果を表3に示す。
【0054】
<比較例2>
参考例9で有機薄膜として、化合物例No.1の代わりに、前記記載の化合物例1の(比−1)を用いて記録媒体とした。評価結果を表3に示す。
【0055】
<比較例3>
参考例9で有機薄膜として、化合物例No.1の代わりに、下記に示した(比−2)を用いて記録媒体とした。評価結果を表3に示す。
【0056】
【化13】
【0057】
<記録条件>
この記録体に発振波長635nm、ビーム径1.0μmの半導体レーザ光を用い、トラッキングしながらEFM信号を記録し、(線速1.4m/sec)同じレーザの連続光で再生し、再生波形を観察した。
【0058】
【表3】
【0059】
<実施例5>
深さ1000Å、半値幅0.40μm、トラックピッチ1.1μmの案内溝を有する厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、上記化合物(化−2)と化合物No.5とを重量比1:1で混合し、これをメチルシクロヘキサン、2−メトキシエタノール、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン混合溶媒に溶解、スピンナー塗布して、厚さ1600Åの有機色素層を形成し、次いで、スパッタ法により金、2100Åの反射層を形成して、さらにその上にアクリル系フォトポリマーで7μmの保護層を設け、記録媒体とした。評価結果を表4に示す。
【0060】
<実施例6、7>
実施例5で記録層を化合物例No.5の代わりに、それぞれNo.3、4を用い、実施例5と全く同様に記録媒体を得た。評価結果を表4に示す。
【0061】
<実施例8、参考例13>
実施例5で記録層を化合物例No.5の代わりに、それぞれNo.18、20を用い、(比−2)の代わりに(比−3)を用いた以外は実施例5と全く同様に記録媒体を得た。評価結果を表4に示す。
【0062】
【化14】
【0063】
<実施例9、10>
実施例5で記録層を化合物例No.5の代わりに、それぞれNo.25、29を用い、(比−2)の代わりに(比−4)を用いた以外は実施例5と全く同様に記録媒体を得た。評価結果を表4に示す。
【0064】
【化15】
【0065】
<比較例4、5、6>
実施例5で有機記録層をそれぞれ、(比−2)のみ、(比−3)のみ、(比−4)のみとして、実施例5同様に記録媒体を得た。評価結果を表4に示す。
【0066】
<再生条件>
この記録媒体に発振波長780nm、ビーム径1.6μmの半導体レーザを用い、トラッキングしながらEFM信号を記録し、(線速1.4m/sec)前記レーザおよび、発振波長635nm、ビーム径1.1μmの半導体レーザの連続光で再生し、再生波形を観察した。
【0067】
【表4】
【0068】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明から明らかなように本発明によれば、請求項1〜4の光記録媒体により700nm以下の波長域のレーザ光で記録、再生が可能で、耐光性、保存安定性に優れた情報記録媒体が提供できた。
また、請求項5の記録媒体で現状システムでのCD−Rとして使用でき、かつ次世代の高密度光ディスクシステムとなっても、記録された情報を再生可能な情報記録媒体が提供できた。請求項6の光記録媒体は請求項5の記録体中の最適構成で、高品位の信号特性が記録可能となった。
さらにまた、請求項7により、記録波長の限定をすることで新規な記録法、記録媒体の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の通常の追記型光記録媒体の構造を示す図である。
【図2】本発明のCD−R用の媒体構成を示す図である。
【図3】本発明のDVD−R用の媒体構成を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 記録層
3 下引き層
4 保護層
5 ハードコート層
6 金属反射層
7 保護基板
8 接着層
Claims (7)
- 基板上に直接又は下引き層を介し記録層を設け、さらに必要に応じて反射層、保護層又は第2基板を設けてなる光記録媒体であって、下記一般式(I)で示される化合物を少なくとも1種含有してなることを特徴とする光記録媒体。
- 一般式(I)中R1〜R4が各々独立に置換もしくは未置換のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
- 一般式(I)中R1〜R4が各々独立に置換もしくは未置換の分岐のアルキル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の光記録媒体。
- 一般式(I)のMがCu、Co、Zn、Ni、Pd、Pt、VO、Mgのうちいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の光記録媒体。
- 一般式(I)以外に680〜750nmに最大吸収波長を有する色素との混合層からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の光記録媒体。
- 680〜750nmに最大吸収波長を有する色素がペンタメチンのシアニン色素、フタロシアニン色素もしくは、アゾ金属キレート化合物からなることを特徴とする請求項5に記載の光記録媒体。
- 記録波長が720〜600nmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の光記録媒体を用いた光記録方法。
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