JP3654442B2 - 光情報記録媒体、光情報記録媒体の記録層用組成物及び光情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

光情報記録媒体、光情報記録媒体の記録層用組成物及び光情報記録媒体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報記録媒体と光情報記録媒体用組成物、および光情報記録媒体製造方法に関し、好ましくはコンパクトディスクに対して互換を有する追記型光情報記録媒体およびその記録媒体用組成物、ならびに記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザービームを用いる光情報記録媒体は、大容量データメモリーとして既に幾つか実用化されている。
【0003】
特に、コンパクトディスク(CD)やCD−ROMは、大容量、高速アクセスのデジタル記録媒体として音声、画像やコードデータ等に大量に利用され、市場に広く普及してきている。しかしながらこれらは何れも再生専用メモリーであり記録することができない。そこで、ユーザー側から自由に記録・編集できる追記型で、旦つ市場に大量に普及したCDやCD−ROMプレーヤーとの互換性を有する光記録媒体が望まれている。
【0004】
そこで、コンパクトディスク(CD)規格に準拠して記録を行うことのできる光記録媒体、即ちCD−R媒体が提案、開発されている。(日経エレクトロニクス、No.465,107頁,1989年1月23日号、OPTICAL DATA STORAGE TECHNICAL DIGEST SERIES vo1.1 p45 1989)。該CD−R媒体は、透明樹脂基板上に記録層、反射層、保護層がこの順で積層され形成されており、該記録層にレーザー照射することにより、記録層中にピット形成し、その部位の反射率変化により信号検出がなされる。この媒体はCD規格に準拠するため、1.2mm全厚の単板構造であり、最短3Tピット長から最長11Tピット長(ここでT=231.4ns)までT間隔の9種の長さを有するピットがCD方式の変調法、即ち、EFM(Eight to Fourteen Modulation)変調方式として用いられる。従って、CD−R媒体では、上記9種類の所定の長さに対応したピットがレーザー照射により形成され、その形成されたピット・エッジの検出からピット長が再生される。
【0005】
追記型光情報記録媒体、特にCD−R媒体の記録方式では、実用レベルとしては通常、光・熱変換を経たヒートモード記録(熱記録)が採用されている。このため記録膜用組成物としては、低融点金属、有機高分子、更には融解、蒸発、昇華、あるいは分解等の物理変化または化学変化をおこす有機色素が幾つか提案されている。なかでも、熱伝導率が小さく、融解、分解等の温度が比較的低い有機色素は記録感度上も好ましく、更に光学設計上もCD互換の高反射率が保持しえる可能性があることから、シアニン系色素、金属フタロシアニン系色素、ナフトキノン系色素、アゾ系色素などを中心に着目され、記録層として開発されてきている。
【0006】
これまでに、有機色素系からCD−R媒体を構成した事例としては幾つか既に開示されている。
【0007】
浜田らは、特開平2−147286において、光記録層がシアニン系色素を含む層からなるCD−R媒体を提案・開示している。本媒体系は高反射率を達成し記録感度も良好である。しかしながら、シアニン色素を記録層とするため高湿熱環境下で顕著なエラーレート、ジッター特性の劣化が無視しえず、耐光性にも劣るためCD互換の汎用用途を意図した際には、長期にわたる媒体信頼性に問題があった。また、重要なことは、EFMピット長記録においては、特に3Tピット・エッジの形成安定性が必ずしも良好とはいえず、ジッター特性、エラーレートで問題を生じる場合があることを本発明者らは見いだしている。
【0008】
また、特開平3−215466によれば、光記録層が特異置換基を有するフタロシアニン系色素でCD−R媒体が開示されている。この色素系よりなる記録膜では、きわだって良好な耐光性、耐湿熱性が達成され、且つ反射率、記録感度ともにバランスの良い光記録媒体の提供が可能であることが示された。しかしながら、EFMピット長記録では、特に3Tピット長が市販のCD、およびCD−ROMのプリピットよりも大きめに形成されてしまう特徴を、我々は該色素系で明かにしており、このピット・エッジの特徴から市販のCDプレーヤー上での再生不良が完全には回避しえていないことを見いだした。
【0009】
一方、光情報記録媒体においては、記録層中にある種の添加剤を含有させ、特性改善を図る例も幾つか開示されている。
【0010】
特開昭55−86787では、記録感度の改善を意図して、有機色素、あるいは樹脂からなる記録層中に、記録用レーザー光の光吸収剤を添加することで、光・熱変換効率を上げ、より低パワーのレーザー照射でも記録ピットの形成を可能にしている。しかるに、光吸収剤そのものは記録機能を担う有機色素、あるいは樹脂そのものの記録しきい値性能、例えば有機色索の熱分解温度等には何等影響をあたえないため、本質的にはヒートモード記録により形成される記録ピット自身の安定性は必ずしも良好とはいえない。また、CD−R媒体のようにCD互換の高反射率保持が必要な光情報記録媒体系では、光吸収剤の添加により必然的に生じる反射率の低下は好ましくない。
【0011】
また、特開昭58−16888、特開昭58−62839、特開昭59−92448などに公開されているように自己酸化性を有す添加物、例えばニトロ系化合物(ニトロセルロースなど)を記録層である有機色素層中へ添加することで、主として記録感度の改善を図っている例もある。該系では、添加物が発熱的自己酸化分解する際に発する熱が、記録時の有効な熱源として機能することが確認されているほか、記録機能を有する有機色素それ自身の記録しきい値特性、分解特性にも影響が観測される場合もあるとされている。しかしながら、該系は必然的に酸化分解時の急激な発熱をともなうピット形成となるため、形成記録ピット・エッジの均一性は必ずしも良好とはいえない。特にCDと互換性のあるEFM変調方式に用いられるピット長記録を行った場合には、ジッター特性をはじめ信号品質が非常に劣ってしまう問題が回避しえないことを、ニトロセルロース系の添加などで本発明者たちは観測している。
【0012】
南波らは、特開昭61−239443において、インドレニンシアニン色素とジチオール遷移金属錯体との混合系で、光記録層の耐光性の改善を開示し、更に特開平4−25493などてCD−R媒体におけるシアニン系色素と上記ジチオール遷移金属錯体からなる混合層の適用を記述している。該系ではシアニン色素の記録特性を損なうことなく問題視される記録層耐久性の改善、特に光劣化に対する改善がある程度達成しえているようである。しかしながら、ここではジチオール金属錯体がシアニン色素の光劣化の主要因とされる一重項酸素の有効なクエンチャーとしで媒体耐久性面からの機能が確認されでいるものの、ピット長記録、ピット・エッジ検出における特性上の効果、改善は認められず言及もされていない。
【0013】
その他、有機色素とある種の金属系化合物との分子内、あるいは分子間の相互作用から光情報記録媒体としての特性改善を図っている例は幾つかあるが、殆どが上述の記録層の耐久性改善、もしくは記録レーザー波長との吸収域のマッチングが主眼なため、用いる有機色素系の記録しきい値特性等への効果は期待されず言及されてもいない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述してきたように、従来開発されてきた光情報記録媒体では、必ずしもピット・エッジの制御が十分とはいえず、そのためとりわけピット長記録の適用に困難がともなった。特にその典型例となるCD−R媒体では、必ずしも再生専用のCDとの互換が十分ではなく、普及した市販CDプレーヤーでの再生に問題が生じる場合があった。
【0015】
この問題に関して本発明者らは種々の解析・検討を行った結果、レーザー照射時に形成されるピット・エッジの制御不良からジッター成分の増大と、特にピット長記録においては、所定のピット長、あるいはピット間隔長(以下、ランド長と称す)からズレて、記録ピット長/ランド長が形成されてしまうことを見いだした(ピット規定長からのズレという意味から以下デビエーション特性と称す)。このため記録ピットからデータ再生の過程で、信号長の読み取り誤差が生じやすくエラーレート増大等の特性劣化をきたしていることをつきとめるに至った。そして、この劣化挙動は、照射レーザービーム径よりも小さいピット長/ランド長の形成時に非常に起こり易いことも見いだしている。
【0016】
つまりここで、CD−R媒体の場合を例にとれば、CD記録方式(EFM変調方式)にのっとり、有効半径〜1ミクロン程度の照射レーザービームで(通常は、近赤外域での半導体LDを使用)、最短3Tピット長(0.83〜0.97ミクロン)、および最短3Tランド長を記録層内での光干渉、熱干渉を回避して安定に形成してやる必要がある。しかし、従来の記録層設計ではこのピット・エッジ制御が非常に困難なため、特に形成3Tピットが市販CDの3Tプリピット長(CDプレーヤと十分互換が確証されている)よりも、大きすぎたり、あるいは小さすぎたりしてデビエーション特性が悪い上にジッター値も高く、このためエラーを多発していた。そして最悪の場合にはCDプレーヤーでの再生不良の問題を生じていた。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた緒果、上記デビエーション特性、ジッター特性の改善が、記録層として用いる有機色素中に、ある種のピット・エッジ制御剤の添加によって大きく改善しうることを見いだし本発明に至った。
【0018】
すなわち、本発明は、透明な基板上に、レーザー光により情報の書き込みが可能な有機色素からなる記録層、反射層、および保護層がこの順に設けられた光情報記録媒体であって、該記録層中に、前記有機色素の熱分解開始温度を10℃以上低下せしめる熱分解促進剤からなるピット・エッジ制御剤を含有し、該熱分解促進剤が、β−ジケトナート金属錯体、金属系アンチノッキング剤、フェロセン及びその誘導体を除く鉄含有化合物からなる群から選択されることを特徴とする光情報記録媒体であり、更に好ましくは、有機色素からなる記録層が塗布法で成膜されるような光情報記録媒体であり、前記熱分解促進剤として、有機色素の成膜溶剤に可溶な金属系化合物の含有を特定することを特徴とする光情報記録媒体である。
【0019】
更に本発明は、好ましくは記録層用の有機色素としてフタロシアニン化合物を用いることを特徴とし、またより好ましくは、フタロシアニン化合物としてハロゲン化フタロシアニンを用いることを特徴とする光情報記録媒体である。
【0020】
また、本発明は、レーザー光により書き込みが可能な有機色素と、上述してきたピット・エッジ制御剤からなる光情報記録媒体の記録層用組成物も含み、更に好ましくは、レーザー光により情報の書き込みが可能な有機色素としてフタロシアニン化合物が特定され、且つ、上述してきたピット・エッジ制御剤からなる光情報記録媒体の記録層用組成物をも含み、更に好ましくは、フタロシアニン化合物としてハロゲン化フタロシアニンが特定され、且つ、上述のピット・エッジ制御剤からなる光情報記録媒体の記録層用組成物をも含んでいる。
【0021】
また更に、本発明は、前記してきた組成物を溶媒に溶解して塗布溶液を形成し、該得られた溶液を透明な基板上に塗布し、有機色素及びピット・エッジ制御剤からなる記録層を形成することを特徴とする光情報記録媒体製造方法も含んでいる。
【0022】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明における用語の定義を行う。
【0023】
本発明において、ピット・エッジ5とは、レーザー照射により形成された記録ピット1を、CDプレーヤー等に搭載されるところの光学ヘッド系により再生し、図1に示すような反射率変化の信号波形(HF信号);2として取り出し、ある種のデータスライス回路(図1中、スライスレベル3で示す)で2値化(2値化信号4)される際の信号反転が生じる位置として定義する。このデータスライス回路の詳細に関しては、例えば、CDの場合には、「図解コンパクトディスク読本(改訂2版)」(中島、小川共著、オーム社)等に詳しい記述がある。また、ある種の検出方式では、再生信号波形の変曲点の検出から(波形2次微分ゼロクロス点)2値化を行っている例もある。
【0024】
次にピット・エッジ制御とは、ピット・エッジ間の距離が小さなデビエーション(ジッター)として、また規定の最短ピット長(またはランド長)から最長ピット長(またはランド長)まで線形性よく与えられていることとして定義される。これは、見かけ上形成ピット形状の均一性が良好であること、そして形成されたピット・エッジ形状がピット中心に対して前後対称であり、基板、記録層、および/または反射層中に歪等を有さないことをも意味する。高密度達成のためには、記録レーザースポット径同等か、それよりも小さいピット長、またはランド長のエッジ形成が求められている。このような場合、最小ピットにおけるレーザー照射エネルギー量は閃頭値がまだ飽和しないため、他のそれよりも長いピット/ランドにおいては飽和しているにもかかわらず、記録しきい値レベル(ピット形成エネルギーレベル)を想定した際の良い線形性は得られていない。図2には、EFM変調方式でnTのレーザー入力に対するレーザー照射プロファイルを示した(n=3、4、5、6、11;計算値)。図3に、レーザー照射プロファイルと記録エネルギーしきい値レベルとの関係を示す。記録はこのしきい値レベルより大きなエネルギーにより形成される。ここで、図2、図3における符号6、7、8、9、10はそれぞれ3T,4T,5T,6T,および11Tのレーザー照射プロファイルを示し、11は記録しきい値レベルを表す。ここでは、該しきい値レベル;11がレーザー照射プロファイルと交差する点から形成ピット長が類推しえると考え、各レーザー入力長に比例してピットが形成されるとき線形性が良好であると定義する。図3のしきい値レベル;11の場合で明かなように、主としてビーム径よりも小さい最短ピット・エッジの形成で、ジッター成分が大きく、線形性の制御に困難があったものと本発明者達は推測した。そこで、規定長のピット・エッジを線形性よく形成するためには、むしろ記録層の記録しきい値レベルを適切に可変、調整して最短ピットからの良好な線形性を確保してやる必要があると考えるに至った。図3に示すしきい値レベル;12の場合には、3T、4T、5T、6T、そして11Tのレーザー入力に対して、符号13、14、15、16、17で示すようにそれぞれ3:4:5:6:11で形成ピット長がとりだせ、上述の線形性が良好に成立している。
【0025】
本発明で述べるところのピット・エッジ制御剤とは、主として最短ピット長の安定形成を、記録層の記録しきい値レベルに影響を与え変化させることから達成し、良好なピット・エッジ制御を可能にしうる添加物として定義される。
【0026】
ここで、このピット・エッジ制御性は、光学顕微鏡やSEM、STM等で形成ピット・エッジの形状を直接観測する事によって決定できるが、むしろ簡便で且つ現実的には、形成された記録ピット列を前述の光学ヘッドにて再生し、データスライス回路で2値化後、タイムインターバルアナライザーにてジッター特性とデビエーション特性を評価することで明らかになる。通常、規定値:l0(図4中、18)相当の信号ピット長の検出度数分布は図4のようになる。ここで検出ピット長の平均値(図4中、19):lとすると、規定値l0からの差の絶対値:Δ(=|l0−l|)(図4中、20)がデビエーション特性として、およびその分布のバラツキ(標準偏差)(図4中、21):σがジッタ−特性として評価される。ここで特に、適用の変調方式における最短ピット長、および最短ランド長のデビエーション、およびジッターをピット、ランドそれぞれp、lの添字で表し、ピット・エッジ制御性として下式パラメータ:sp、slを導入する。
【0027】
pΔ p 2σp
lΔ l 2σl
pおよびslをともに小さくできるある種の添加剤をピット・エッジ制御剤と定義する。
【0028】
また、本発明のピット・エッジ制御剤として特定されてくる色素の熱分解促進剤において、色素熱分解とは、色素の熱重量分析(TG分析)により評価される。
【0029】
即ち水平型差動方式の天秤機構が採用されているような、例えば多目的熱分析装置の適用により図5に示すような熱減量曲線が得られる。図5において、初期の色素重量に対し80%まで重量減量し始めた点22の温度を熱分解開始温度23と定義する。
【0030】
次に、色素の熱分解開始温度が、ある種の添加剤により、図6に示すように色素単独時の熱分解開始温度よりも低温側(図6中、24)に移動せしめた場合に、その添加剤を熱分解促進剤と定義する。ここで、好ましくは熱分解開始温度が、10℃以上、さらに好ましくは25℃以上低温側に移動していることが望ましい。
【0031】
以下に、本発明の光情報記録媒体の構成および光情報記録媒体用組成物に関して詳細を述べる。
【0032】
上記の透明基板の材質としては、記録に用いるレーザーの光を実質的に透過し通常の光記録媒体に用いられる材料ならばいかなるものも使用できる。例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アモルファスポリオレフィンなどの高分子材料、あるいはガラスなどの無機材料等が使用できる。基板には、必要に応じてプリグルーブ、プリピットなどを有してもよく、これらの材料は、射出成形あるいは2P法などによって成形され、光情報記録媒体用基板として使用される。また、該基板のレーザー光入射側には、必要に応じて無機薄膜、色素、樹脂などからなる薄膜コーティングを施してもよく、ゴミ、ホコリなどの付着防止や傷対策などを意図することもある。
【0033】
光記録層としては、主として記録用レーザー波長域に吸収を有し、光・熱変換をともない一定以上のエネルギーをもつレーザー光の照射で物理的/および化学的な変形、変質、分解、溶融、発泡などをともなうような有機色素であれば特に限定されない。例えば、以下に述べるような有機色素が有効な記録能を有する材料としてあげられる。
【0034】
即ち、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、スクワリリウム系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、インダスレン系色素、インジゴ系色素、チオインジゴ系色素、メロシアニン系色素、アクリジン系色素、オキサジン系色素、アゾ系色素などをあげることができる。
【0035】
なかでも、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系色素は、その著しい耐光性、耐湿熱性が確証された上で、記録レーザー波長域に吸収帯の設計が可能なことから非常に好ましいものである。また他の有機色素系に比べ、本発明記載のピット・エッジ制御性、とりわけ色素熱分解促進剤添加による効果が有効に発現する系としても望ましいものである。特に好ましいフタロシアニン系有機色素としては、USP−5124067、USP−5220010、USP−5024926、EP−4960538、EP−513370、そしてEP−519419などに記載の組成が好ましい。
【0036】
また、更に好ましくはハロゲン置換されたフタロシアニン、およびナフタロシアニン系色素またはハロゲン化合物を含んだフタロシアニンおよびナフタロシアニン系色素があり、本発明記載のピット・エッジ制御剤、とりわけ色素熱分解促進剤添加で更に効果が有効に出現することを確認している。恐らく、色素熱分解促進剤の有効な作用が置換基導入された、あるいは記録層内に存在するハロゲン原子を介して出現しやすくなってきていると推定されるが、明確なメカニズムは不明である。
【0037】
特に好ましい、ハロゲン化フタロシアニン系有機色素としては、USP−5124067、USP−5220010などに記載の組成が望ましい。置換のハロゲン原子としては臭素が特に良好である。さらに、ハロゲン化合物は、記録層内に混在させてもよい。記録層同様に良好な溶解性を有し、加工性、耐久性にすぐれた化合物であれば特に限定されないが、ハロゲン化アルキル化合物、ハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化オレフィン化合物などから特定される。特に色素分解促進剤の作用を有効に助長し、効果を発現させうるものとしてo−テトラハロゲン化キシレンおよびその誘導体が好ましいことを確認している。
【0038】
もちろん、ここまで述べてきた有機色素系は、単独で用いてもよいし、2種類以上の組成を混合して用いてもよい。また、組成の異なる有機色素を2種類以上積層して設けることも可能である。
【0039】
一方、添加のピット・エッジ制御剤としては、添加により記録層の記録しきい値レベルに影響を与え、ピット・エッジ制御性:sが減少するものであれば、特に限定されない。ここで、EFM変調方式の場合を想定すれば、データ検出ウインドウ幅:T/2(=116ns)を考慮し、CDプレーヤーとの十分な互換性を得るためには、sp<70nssl<70nsが成立していることが望ましい。
【0040】
本発明者らの詳細な検討によれば、ピット・エッジ制御をより良好に達成するために着目すべき有効な物性パラメータ(記録しきい値)としては、特に有機色素層の熱分解温度があげられた。とりわけエッジ制御性:sがより有効に小さくなるためには、記録層として用いられる有機色素の熱分解をより低温下で促進させるような添加剤である必要を見いだすにあたり、本発明のピット・エッジ制御剤は、色素熱分解促進剤から特定されることが好ましい。もちろん該系では、記録ピット・エッジ形状の均一性も非常に良好であることをSEM等の観察から確認している。ここで添加の色素熱分解促進剤としては、色素熱分解の促進が前述のTG分析で確認しえるものであれば特に限定されないが、好ましくは、色素熱分解開始温度が10℃以上、更に好ましくは25℃以上低温側に移動しているものが望ましい。また、使用する色素分子と添加の色素分解促進剤分子とは、本発明の効果を妨げない限り、混合されることで何らかの物理的/化学的相互作用を有していても良い。もちろん、このため添加時の色素熱分解促進剤組成は固体、液体いずれの状態をとっていてもかまわない。
【0041】
ここで、記録ピットのデビエーション特性が良好であり、特に良質なピット形状から低ジッター特性を満足させうる色素の熱分解促進剤としては、一連の金属系化合物で非常に良好な作用効果が確認しえた。ここで金属系化合物とは、周期律表で金属元素と定義される元素が原子、あるいはイオン、またはクラスターの形で含まれ化合物を構成する物質のことをいう。特に、本発明の効果が有効に出現しえる系としては、有機金属化合物の形態、即ち、ある種の有機化合物からなる配位子、または対イオンで、金属原子、または金属イオンと結合を有しているような化合物が好ましい。例えば、本発明の効果を非常に有効に発現する系として鉄系金属化合物を例にすると、本発明で記載するところの金属化合物の形態としては、ギ酸鉄、シュウ酸鉄、ラウリル酸鉄、ナフテン酸鉄、ステアリン酸鉄、酪酸鉄などの脂肪酸鉄;アセチルアセトナート鉄錯体、フェナントロリン鉄錯体、ビスピリジン鉄錯体、エチレンジアミン鉄錯体、エチレンジアミン四酢酸鉄錯体、ジエチレントリアミン鉄錯体、ジエチレングリコールジメチルエーテル鉄錯体、ジホスフィノ鉄錯体、ジメチルグリオキシマート鉄錯体などのキレート配位鉄錯体;シアノ鉄錯体、アンミン鉄錯体などの無機鉄錯体;さらには、鉄カルボニル錯体;ビスシクロペンタジエニル鉄錯体(フェロセン)などの構造が含まれる。さらには塩化第一、塩化第二鉄、臭化第一鉄、臭化第二鉄などのハロゲン化鉄塩や硝酸鉄、硫化鉄などの無機鉄塩類;そして鉄酸化物系などもあげられる。
【0042】
また、ここで用いられる有機色素の熱分解促進剤は、好ましくは使用の記録レーザー波長域に実質的に吸収を有さない金属系化合物から特定されるため、有機色素との混合による記録層反射率の低下をきたさないことも非常に大きな特徴である。なお、吸収の有無は、その添加物質の光学モル吸光係数:εで規定され、注目の波長域でε<10mol-1cm-1が成立している場合とここでは定義する。
【0043】
更にここで用いられる、レーザー波長域に実質的に吸収を有さない有機色素の熱分解促進剤は、有機色素と混合し、同時に成膜化されることが工程上非常に望ましいため、成膜時には有機色素を可溶する溶剤にも可溶で、加工性に優れることが好ましい。なお、可溶とは、ここでは有機色素の溶解に用いる溶剤に対して、室温下0.2g/l以上の溶解度、好ましくは、1g/l以上の溶解度が達成しうることとして定義する。
【0044】
上述してきた、金属系化合物で、特に良好な色素熱分解促進効果を示し、且つレーザー波長域に実質的に吸収を有さず、且つ有機色素の成膜溶剤への溶解性にも優れるピット・エッジ制御剤として、本発明の効果を有効に発現する添加剤としては、一連のメタロセン化合物およびその誘導体、一連のβ−ジケトナート金属錯体およびその誘導体、そして金属系アンチノッキング剤等の金属系化合物が挙げられる。該金属系化合物の添加系では、色素の熱分解開始温度が、概して25℃以上低温化できており、良好なピット・エッジ制御が確認しえている。例えば、EFM変調適用時には、従来のCD−R媒体において、主として従来制御困難だった3Tピットの必要以上の拡張、または縮小が良好に抑えられ、形成ピットのデビエーションが大幅に改善され、ジッター特性も良好化した。
【0045】
ここで、本発明記載の効果が有効に発現するメタロセン化合物としては、Feビスシクロペンタジエニル錯体(フェロセン)をはじめ、Ti,V,Mn,Cr,Co,Ni,Mo,Ru,Rh,Zr,Lu,W,Os,Irなどのビスシクロペンタジエニル金属錯体を挙げることができる。なかでも常温下ではもちろん、レーザー照射中、比較的高温下まで熱的に安定なフェロセン、ルテノセン、オスモセン、ニッケロセン、およびチタノセン、およびそれらの誘導体はレーザー記録によるピット・エッジ制御性が非常に良好であるだけでなく、該組成からなる光情報記録媒体の耐久性を鑑みたときにも非常に良好なことを確認している。
【0046】
これらの有機色素とメタロセン誘導体とは、それぞれ一種類ずつ用いてもよいし、多種類のものを混合して用いてもよい。必要に応じては適宜バインダー等の添加物質を加えることもできる。もちろんここで用いるメタロセン化合物は、上記発明の効果を損なわないかぎり置換基を有していてもよい。これらの置換基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアロイル基、炭素数1〜10のアルデヒド基、炭素数1〜10のカルボキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数0〜10のアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、炭素数2〜10のアルケニル基などが挙げられる。とりわけ、アルキル基、アシル基、べンゾイル基置換のメタロセン化合物は溶解性、および耐昇華性の観点からも好ましい。
【0047】
次に、有効なβ−ジケトナート金属錯体としては下式(1)の構造を有すものであればなんでもよい。
【0048】
【化1】
Figure 0003654442
【0049】
[式(1)に於ける置換基X,Y,Zは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、R1、OR2、SR3、COOR4,COONR56,SiR789,NR1011の置換基を示し、Mn+はn価の金属を表す。(ここでR1は、未置換または、置換アルキル基、アリール基、不飽和アルキル基を、R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11は水素原子、未置換または置換の炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜10の不飽和アルキル基を表す。)]
【0050】
ここでMは、Fe,Co,Cr,NiをはじめTi,V,Mn,Cu,Zn,Zr,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,Sn,W,Re,Os,Ir,Pt,Pbなどの第4、第5および第6周期の遷移金属系や、VO,MoOなどの酸化遷移金属系、ならびにMg、Ca,Ba,Alなどの典型金属系をあげることができる。ここで良質な成膜性が容易に達成できて、記録ピットのデビエーション特性が良好であり、特に良質なピット形状から低ジッター特性をも満足させうるβ−ジケトナート金属錯体としては、一連のアセチルアセトナート系化合物(X:Y=CH3、Z=H)が非常に好ましく、特にCr,Co,Fe,Ni,V,VO,MoO,Zrなどのacac錯体が、極だって良好な作用効果を示した。とりわけ、Cr,Co,V,Fe,およびNi系では、CD−R等の汎用性光情報記録媒体の場合の耐久性が非常に良好であり好ましい。さらに、溶解性、成膜性の改善を意図するとき、X,Y,Zの置換基は、それぞれ未置換、または置換アルキル基、アリール基、アルコキシル基、またはハロゲン原子の導入が好ましい。
【0051】
次に、色素熱分解促進剤として特定されるところのアンチノッキング剤は、評価尺度として、「燃料便覧」(1974年、コロナ社刊、267〜275頁)に記載のオクタン価が適用され、これからアンチノック性を定義する。ここではオクタン価80以上の特性確認物質をアンチノッキング剤として定義する。有効なアンチノッキング剤としては、四エチル鉛、四メチル鉛などの鉛系化合物、およびシマントレン(Mn(C55)(CO)3)などがあげられ、特にシマントレンおよびその誘導体の添加は加工面、安定面とも良好であり非常に有効な色素熱分解促進効果が確認され、良質なピット形成が確認されていることから好ましい。
【0052】
ここで、記録用に用いられる有機色素とピット・エッジ制御剤との混合比率は、有機色素の記録しきい値レベルの調整から最適化されるが、色素100重量部に対してピット・エッジ制御剤が0.1重量部から1000重量部が適当であり、5重量部から200重量部がより好ましい。ピット・エッジ制御剤がこの範囲よりあまり過小であると本発明の作用効果が十分発現しえず、逆にこの範囲よりあまり過大であると記録感度の大幅な後退や、添加物の凝集・結晶化などがみられ現実的でない。
【0053】
また、これら記録層として用いられる有機色素と、添加のピット・エッジ制御剤は、溶剤に溶解させ塗布液を調合し、上記透明基板に塗布後、乾燥して成膜するものが一般的である。この記録層の形成方法としては、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法などの塗布法を用いることができるが、特に精密かつ均一な成膜方法としてはスピンコート法が望ましい。
【0054】
塗布溶剤としては、有機色素、および/または添加のピット・エッジ制御剤は可溶であるが基板にはダメージを与えないものを選択することが好ましい。利用可能な溶剤としては、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1、2−ジメチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;四塩化炭素、クロロホルムなどのハロゲン系炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール:ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルなどのエチレングリコールエーテル系、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系アルコールなどから適当に選択して用いることができる。もちろんこれらの有機溶剤は、単独で用いてもよいし2種類以上の混合系で用いてもよい。
【0055】
ピット・エッジ制御剤が添加された有機色素記録層の厚みは、特に規定するものではないが、通常30〜1000nm程度が適切であり、更に好ましくは50〜300nmが望ましい。ここで、30nm未満の層厚では金属反射層への放熱が回避しえず感度低下を来すし、1000nmよりも厚膜である場合、記録層の吸収から反射率低下が回避し得ない。また、膜厚がこの範囲外であっても使用できる場合もある。
【0056】
上述の透明基板と有機色素層からなる記録層の間には記録ピットの基板側への変形制御や、密着強度の獲得を目的に中間層を設けてもよい。ここでは、熱硬化性の有機系ポリマー、Siポリマー、ガラス皮膜、SiO2、SnO2、AlNなどの無機膜を用いることができる。
【0057】
さらに、上記記録層の上には、金属反射層を形成する。この反射層の材料としては、使用レーザーの波長域において十分高い反射率を持つもの、例えばAu,Ag,Cu,Al,Cr,Niなどの金属を用いることができる。また、低屈折率物質と光屈折物質を交互に重ねた多層干渉反射層を用いることもできる。このうち、Au,Al等の金属膜はスパッタ等により、光反射の高い反射層が容易に得られるので好ましい。これらの物質は、通常30〜200nmの膜厚でスパッタ法、蒸着法、EB法等により成膜される。
【0058】
この反射層と記録層の間には、反射率のより向上や、記録層と反射層の密着強度の向上等を目的に中間層を設けることもできる。この中間層として用いられる物質としては、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリシラン、シロキサンなどの高分子材料や、SiO2,SnO2,AlNなどの無機物がある。
【0059】
反射層の上には更に保護層を設ける。これは記録層、反射層が保護し得るものであれば特に限定されない。ポリカーボネート、アクリル、ポリスチレン、塩化ビニル、エポキシ、ポリエステルなどの高分子材料がその意味で用いることができる。なかでも紫外線硬化アクリル樹脂は容易に保護層が形成し得ることから最適である。ここで保護層の厚みとしては1〜30μmの間から最適化される。
【0060】
ここで、上述の保護層の上には、更に一層以上の印刷層を全厚で0.2μm〜50μmの厚みで形成することもある。この印刷層は、通常スクリーン印刷、またはオフセット印刷により形成され、その際には、意図的に深さ3μm以下程度の凹凸を形成させることもある。
【0061】
尚、本発明記載の光情報記録媒体の外観構造は、特に記載するものではないが、単板構造をとっていてもよいし、適宜目的に合わせ両サイドに記録層を有する貼り合わせ構造をとらせてもよい。
【0062】
本発明の作用は、推測の域をでないが、記録時に有機色素内での光・熱変換過程、およびその後に通常生じる有機色素の分解過程で必然的に発生するラジカル中間体等の各種励起種が、急激な発熱を伴う暴走反応を引き起こし、この過程で記録ピットが形成されていくことと想定する。このとき、記録層はもとより、基板界面、あるいは金属反射層界面がより高温下にさらされ、それによる記録層内でのピット形成挙動は、記録層、隣接基板界面、隣接反射層界面に大きな体積変化をともなった熱変形をきたすことが予想できる。この時の熱変形量の大きさがピット・エッジ制御性の悪化、即ちデビエーション特性の悪化(特に3T)、およびジッター特性の劣化をきたすと考える。ここで、ピット・エッジ剤の添加、とりわけ、色素熱分解促進剤の添加は、記録時の色素熱分解開始温度を低下させるため、記録層およびその周辺の熱変形量が小さく抑え込め、特性の良好化が図れたものと推測している。なおこのとき、色素分解の発熱抑制も系内の温度制御には重要と考えられるので、分解時の多量な発熱が回避しえないような前述のニトロセルロース系などは好ましくない。(但し含有量が5%以下であれば、本発明記載のピット・エッジ制御剤との併用も可能ではある。)
【0063】
ここで特に、金属系化合物、特に有機金属系化合物が有効な色素熱分解促進剤となり得るのは、化合物内に含有される金属原子、金属イオン、もしくは金属化合物それ自身の酸化還元作用から、色素熱分解時の活性中間体(例えば、ラジカル、イオン、3重項励起状態など)の発生、もしくは消滅過程に、金属化合物誘発の電子移動反応が有効に作用し、大きな発熱を伴うことなく熱反応が促進されて、有機色素そのものの分解特性が変化しているものと予測しているが、詳細は不明である。
【0064】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示す。
【0065】
参考例1
記録色素として、USP 5,124,067に準じて合成した下記構造式で表されるフタロシアニン色素
【0066】
【化2】
Figure 0003654442
【0067】
2.0g、及びフェロセン(東京化成(株))0.4gをエチルシクロヘキサン100mlに溶解し塗布溶液を調製した。この塗布溶液をスパイラルグルーブ(ピッチ1.6μm、溝幅0.6μm、溝深0.18μm)付きの外形120mm、厚さ1.2mmのポリカーボネート基板上に1000rpmでスピンコート成膜した。次にこの記録層上にAuを80nmスパッタし、反射層を形成した。更にその上に紫外線硬化樹脂SD−17(大日本インキ化学工業(株)製)をスピンコートした後、UV照射し硬化させ、厚さ6μmの保護層を形成した。
【0068】
上記で得られたCD−R媒体を、光ディスク評価装置DDU−1000(パルステック工業製、レーザー波長781nm、NA=0.50)で線速度1.2m/s、6.0mWで記録し(EFM記録)、市販CDプレーヤー搭載の光ヘッドにて再生したときのジッター、BLER(ブロックエラーレート)、そして検出ピットのデビエーションを、それぞれLJM−1851ジッターメーター(リーダー電子製)、ケンウッド社製CD−デコーダー:DR3552、更にADC社製TIA−175タイミングインターバルアナライザーを用いて計測した。
【0069】
また、TG分析は上記の混合比でジエチルエーテル溶液に混合した試料を風乾し、それから得られた均一混合粉末10mgを多目的熱分析装置:SSC5200(セイコー電子工業(株)製)で、昇温速度毎分10℃で加熱し、減量カーブを測定した。
【0070】
評価結果を表1に示す。3Tピット長、3Tランド長のピット・エッジ制御性は、それぞれsp=38ns(Δp+2ns、σp=18ns)、sl=54ns(Δl−8ns、σl=23ns)と評価された。これはフェロセンを添加しない場合(下記比較例1−1参照)に比べピットで49ns、ランドでは30ns改善されている。ここで、色素熱分解開始温度は295℃と測定され、やはりフェロセン無添加時に比べ約50℃低温化した。該混合系から成膜して得られた媒体の信号特性も非常に良好でありBLER<5が確認された。
【0071】
更に、ケンウッド社製CDプレーヤー:DP−8020(A)、ソニー社製CDプレーヤー:CDP−C900(B)、JVC社製CDプレーヤー:XL−Z521(C)、スチューダー社製CDプレーヤー:A725(D)を用いて、各機種上で5回ずつ再生可否状況をチェックし、スコア化した。その結果、表1に示すように上記の各CDプレーヤーとの互換性は非常に良好であった。
【0072】
比較例1−1
参考例1において、フェロセンを添加しない以外は、全く同様にして媒体を製造し、同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。sp=87ns(Δp+35ns、σp=26ns)、sl=84ns(Δl−12ns、σl=36ns)と参考例1に比べ高く、色素分解温度も350℃と測定された。BLERは〜200と高く、参考例1に比べ劣悪であった。CDプレーヤーでの再生不良もいくつかの機種で確認された。
【0073】
比較例1−2
参考例1において、フェロセンの代わりにCBr4を用いた以外、参考例1と全く同様にして媒体を製造し、同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。sp=87ns(Δp+35ns、σp=26ns)、sl=81ns(Δl−13ns、σl=34ns)と評価され、色素分解温度は360℃と測定された。BLERは〜250と高く、参考例1に比べ劣悪で、特性改善は全く見られなかった。CDプレーヤーでの再生不良が多発した。
【0074】
参考例2
記録色素としてUSP 5,124,067に準じて合成した下記構造式を有する臭素化フタロシアニン色素
【0075】
【化3】
Figure 0003654442
【0076】
2.0g及びフェロセン0.4gをジブチルエーテル100mlに溶解し、塗布溶液を調製して、参考例1と同様の基板を用いて、800rpmでスピンコート成膜した。参考例1と同様にTG分析と、CD−R媒体としたときの信号評価を行った(記録パワー:6.0mW)。評価結果を表1に示す。
【0077】
分解開始温度は260℃、sp=38ns(Δp−2ns、σp=18ns)、sl=50ns(Δl−10ns、σl=20ns)と評価され、BLER<5と非常に良好な特性を示した。また、各種CDプレーヤー上でも安定な再生が確認された。
【0078】
比較例2
参考例2において、フェロセンを添加しない以外は、全く同様にして媒体を製造し、同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。sp=68ns、sl=74nsと参考例2に比べ明らかに特性が低下しており、CDプレーヤーでの再生不良もいくつかの機種で確認された。
【0079】
参考例3−1
記録色素としてUSP 5,124,067に準じて合成した下記構造式を有する臭素化フタロシアニン色素
【0080】
【化4】
Figure 0003654442
【0081】
2.0g及びフェロセン0.4gをエチルシクロヘキサン100mlに溶解し、塗布溶液を調製して、参考例1と同様の基板を用いて、1000rpmでスピンコート成膜した。参考例1と同様にTG分析と、CD−R媒体としたときの信号評価を行った(記録パワー:5.5mW)。評価結果を表1に示す。
【0082】
分解開始温度は255℃と測定され、フェロセン無添加時に比べ約40℃低温化した。また、該混合系から成膜して形成された媒体の信号特性では、sp=45ns、sl=50ns、BLER<5であり、いずれも良好な特性を示した。また、各種CDプレーヤーとの互換性も良好であった。
【0083】
参考例3−2
参考例3−1において、フェロセンの代わりにベンゾイルフェロセン(アルドリッチ社製)を用い、参考例3−1と同様の処方で重量比5:1で混合し成膜して同様の実験を行った。評価結果を表1に示す。
【0084】
ピット・エッジ制御性は、sp=49ns(Δp−7ns、σp=21ns)、sl=50ns(Δl−10ns、σl=20ns)と評価された。色素熱分解開始温度は235℃(60℃の低温化)と大幅な分解促進が確認され、媒体の信号特性もBLER<5と非常に良好であった。また、各種CDプレーヤーとの互換性も良好であった。
【0085】
参考例3−3
参考例3−1において、フェロセンの代わりに1,1'-ジメチルフェロセン(東京化成(株)社製)を用い、参考例3−1と同様の処方で重量比5:1で混合し成膜して同様の実験を行った。評価結果を表1に示す。
【0086】
色素熱分解開始温度は240℃(55℃の低温化)と確認され、媒体の信号特性もsp=38ns、sl=48ns、BLER<5であり、いずれも良好な特性を示した。また、各種CDプレーヤーとの互換性も良好であった。
【0087】
参考例3−4
参考例3−1において、フェロセンの代わりにn-ブチルフェロセン(東京化成(株)社製)を用い、参考例3−1と同様の処方で重量比5:1で混合し成膜して同様の実験を行った。評価結果を表1に示す。
【0088】
色素熱分解開始温度は250℃(45℃の低温化)と確認され、ピット・エッジ制御性も良好で、媒体の信号特性もBLER<5と非常に良好であった。また、各種CDプレーヤーとの互換性も良好であった。
【0089】
参考例3−5
参考例3−1において、フェロセンの代わりにシクロヘキセニルフェロセン(東京化成(株)社製)を用い、参考例3−1と同様の処方で重量比5:1で混合し成膜して同様の実験を行った。評価結果を表1に示す。
【0090】
色素熱分解開始温度の低下と、良好なピット・エッジ制御性が確認され、媒体の信号特性もBLER<5と非常に良好であった。また、各種CDプレーヤーとの互換性も良好であった。
【0091】
参考例3−6
参考例3−1において、フェロセンの代わりにビニルフェロセン(東京化成(株)社製)を用い、参考例3−1と同様の処方で重量比5:1で混合し成膜して同様の実験を行った。評価結果を表1に示す。
【0092】
色素熱分解開始温度の低下と、良好なピット・エッジ制御性が確認され、媒体の信号特性もBLER<5と非常に良好であった。また、各種CDプレーヤーとの互換性も良好であった。
【0093】
比較例3−1
参考例3−1において、フェロセンを添加しない以外は、全く同様にして媒体を製造し、同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0094】
色素熱分解開始温度は295℃であり、ピット・エッジ制御性はsp=76ns(Δp+30ns、σp=23ns)、sl=79ns(Δl−15ns、σl=32ns)と評価され、BLERは50と良好ではなかった。CDプレーヤーでの再生不良も一機種で確認された。
【0095】
比較例3−2
参考例3−1において、フェロセンの代わりにトランススチルベン(東京化成(株)社製)を用い、参考例3−1と同様の処方で重量比5:1で混合し成膜して同様の実験を行った。評価結果を表1に示す。
【0096】
色素熱分解開始温度は305℃であり、ピット・エッジ制御性も劣悪であった。また、CDプレーヤーでの再生不良も全機種で確認された。
【0097】
実施例1−1
記録色素として、参考例3−1で用いた臭素化フタロシアニン色素2.0g及びアセチルアセトナート鉄錯体(Fe(acac)3、東京化成(株)社製)0.3gをエチルシクロヘキサンとイソプロパノール(100:5体積比)混合溶剤100mlに溶解し、塗布溶液を調製し、参考例1と同様の基板を用いて、800rpmでスピンコート成膜した。参考例1と同様にTG分析と、CD−R媒体としたときの信号評価を行った(記録パワー:5.0mW)。評価結果を表1に示す。
【0098】
色素熱分解開始温度は250℃(45℃低温化)と測定され、また、該混合系から成膜して形成された媒体のピット・エッジ制御性は、sp=57ns(Δp+15ns、σp=21ns)、sl=56ns(Δl−10ns、σl=23ns)と評価され、BLER=5であり、いずれも良好な特性を示した。また、各種CDプレーヤーとの互換性も良好であった。
【0099】
実施例1−2
実施例1−1において、アセチルアセトナート鉄錯体の代わりにアセチルアセトナートクロム錯体(Cr(acac)3、東京化成(株)社製)を用い、実施例1−1と同様の処方で重量比7.5:1で混合し成膜して同様の実験を行った。評価結果を表1に示す。
【0100】
色素熱分解開始温度の低下と、良好なピット・エッジ制御性が確認され、媒体の信号特性もBLER<5と非常に良好であった。また、各種CDプレーヤーとの互換性も良好であった。
【0101】
実施例1−3
実施例1−1において、アセチルアセトナート鉄錯体の代わりにアセチルアセトナートコバルト錯体(Co(acac)3、東京化成(株)社製)を用い、実施例1−1と同様の処方で重量比7.5:1で混合し成膜して同様の実験を行った。評価結果を表1に示す。
【0102】
色素熱分解開始温度の低下と、良好なピット・エッジ制御性が確認され、媒体の信号特性もBLER<5と非常に良好であった。また、各種CDプレーヤーとの互換性も良好であった。
【0103】
実施例1−4
実施例1−1において、アセチルアセトナート鉄錯体の代わりにアセチルアセトナートバナジウム錯体(V(acac)3、東京化成(株)社製)を用い、実施例1−1と同様の処方で重量比7.5:1で混合し成膜して同様の実験を行った。評価結果を表1に示す。
【0104】
色素熱分解開始温度の低下と、良好なピット・エッジ制御性が確認され、媒体の信号特性もBLER<5と非常に良好であった。また、各種CDプレーヤーとの互換性も良好であった。
【0105】
比較例4
実施例1−1において、アセチルアセトナート鉄錯体の代わりにアセチルアセトン(東京化成(株)社製)を用い、実施例1−1と同様の処方で重量比7.5:1で混合し成膜して同様の実験を行った。評価結果を表1に示す。
【0106】
色素熱分解開始温度は315℃であり、ピット・エッジ制御性も非常に劣悪であった。
【0107】
実施例2
記録色素として、参考例3−1で用いた臭素化フタロシアニン色素2.0g及びシマントレン(Mn(C55)(CO)3、アルドリッチ社製)0.2gをブチルエーテル100mlに溶解し、10:1の重量比で塗布溶液を調製し、参考例1と同様の基板を用いて、800rpmでスピンコート成膜した。参考例1と同様にTG分析と、CD−R媒体としたときの信号評価を行った(記録パワー:5.0mW)。評価結果を表1に示す。
【0108】
色素熱分解開始温度の低下と、良好なピット・エッジ制御性が確認され、媒体の信号特性もBLER<5と非常に良好であった。また、各種CDプレーヤーとの互換性も良好であった。
【0109】
実施例3
実施例2において、シマントレンの代わりにナフテン酸鉄(東京化成(株)社製)を用い、実施例2と同様の処方で重量比10:1で混合し成膜して同様の実験を行った。評価結果を表1に示す。
【0110】
色素熱分解開始温度の低下と、良好なピット・エッジ制御性が確認され、媒体の信号特性もBLER<5と非常に良好であった。また、各種CDプレーヤーとの互換性も良好であった。
【0111】
【表1】
Figure 0003654442
【0112】
表1には、TG分析より得られた色素熱分解開始温度(Tdis)と、CD−R媒体としたときの信号評価結果として、3Tピット、及びランドのピット・エッジ制御性;sp,slの評価結果を掲載した。また、市販CDプレーヤーとの互換性の指標となるブロックエラーレート(BLER)の値、さらには上述した幾つかの市販CDプレーヤー(A,B,C,D)上でのプレイアビリティー評価結果を掲載した。プレイアビリティーは、各CDプレーヤー上で再生試験を5回行い、正常動作の確認回数をスコア化した。
【0113】
表1より明らかなように、色素熱分解開始温度がピット・エッジ制御剤、即ち色素熱分解促進剤の添加により低温化されることで、ピット・エッジ制御性の指標値を小さくでき、その結果、CD−R媒体信号特性が大幅に改善される傾向が示されている。
【0114】
参考例1、2、3−1〜3−6、比較例1−1、1−2、2、及び3−1、3−2からは、メタロセン及びその誘導体の添加によりピット・エッジ制御性の改善が記録色素の熱分解開始温度の大幅な低下と共に確認されており、該系からなるCD−R媒体のBLERも十分に低いことが示された。また、各種市販CDプレーヤーとの互換性も確認されている。
【0115】
実施例1−1〜1−4及び比較例4からは、β−ジケトナート金属錯体系の添加による効果が確認されている。
【0116】
更に、実施例2からは、アンチノッキング性を顕著に示すシマントレンの効果が検証され、実施例3では、鉄系金属化合物による良好な特性が確認された。
【0117】
【発明の効果】
以上説明したように、記録色素からなる記録層内に、形成されるピットのピット・エッジ制御剤、とりわけ色素熱分解促進剤の添加により、デビエーション特性、ジッター特性が大幅に改善され、エラーレートの小さな、良好な記録特性を有するCD−R媒体の提供が可能である。これにより市販CDプレーヤーとの安定した互換性が確保し得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】ピット・エッジの定義に関する概念図である。
【図2】EFM変調時のレーザー照射プロファイルを示す概念図である。
【図3】レーザー照射プロファイルと記録エネルギーしきい値レベルとの関係を示す概念図である。
【図4】デビエーション特性(Δ)とジッター特性(σ)の概念図である。
【図5】TG分析における熱減量曲線の概念図である。
【図6】熱分解促進剤の定義に関する概念図である。
【符号の説明】
1 形成記録ピット
2 反射率変化の信号波形(HF信号)
3 スライスレベル
4 2値化信号
5 ピット・エッジ
6 3Tビーム照射プロファイル
7 4Tビーム照射プロファイル
8 5Tビーム照射プロファイル
9 6Tビーム照射プロファイル
10 11Tビーム照射プロファイル
11 記録しきい値レベル
12 記録しきい値レベル(ピット・エッジ制御剤の作用条件下)
13 3Tピット長
14 4Tピット長
15 5Tピット長
16 6Tピット長
17 11Tピット長
18 規定ピット長(l0
19 平均検出ピット長(l)
20 デビエーション(Δ)
21 ジッター(σ)
22 80%減量点
23 熱分解開始温度
24 熱分解開始温度(ピット・エッジ制御剤の作用条件下)

Claims (21)

  1. 透明な基板上に、レーザー光により情報の書き込みが可能な有機色素からなる記録層、反射層、及び保護層がこの順に設けられた光情報記録媒体であって、該記録層中に、前記有機色素の熱分解開始温度を10℃以上低下せしめる熱分解促進剤からなるピット・エッジ制御剤を含有し、該熱分解促進剤が、β−ジケトナート金属錯体、金属系アンチノッキング剤、フェロセン及びその誘導体を除く鉄含有化合物からなる群から選択されることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 前記熱分解促進剤が、前記有機色素の熱分解開始温度を25℃以上低下せしめるものである請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 前記熱分解促進剤が、β−ジケトナート金属錯体及びその誘導体である請求項1又は2の光情報記録媒体。
  4. 前記熱分解促進剤が、金属系アンチノッキング剤である請求項1又は2の光情報記録媒体。
  5. アンチノッキング剤がシマントレンである請求項4の光情報記録媒体。
  6. 前記熱分解促進剤が、ナフテン酸鉄である請求項1又は2の光情報記録媒体。
  7. 有機色素からなる記録層が有機色素の成膜溶剤を用いる塗布法により成膜される光情報記録媒体であって、前記熱分解促進剤が、前記成膜溶剤に可溶なものである請求項1乃至6の何れか1項に記載の光情報記録媒体。
  8. 記録色素がフタロシアニン化合物である請求項1乃至7のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  9. フタロシアニン化合物がハロゲン化フタロシアニンである請求項8の光情報記録媒体。
  10. レーザー光により情報の書き込みが可能な有機色素と、該有機色素の熱分解開始温度を10℃以上低下せしめる熱分解促進剤からなるピット・エッジ制御剤を含んでなる光情報記録媒体の記録層用組成物であって、該熱分解促進剤が、β−ジケトナート金属錯体、金属系アンチノッキング剤、フェロセン及びその誘導体を除く鉄含有化合物からなる群から選択されることを特徴とする前記組成物。
  11. 前記熱分解促進剤が、前記有機色素の熱分解開始温度を25℃以上低下せしめるものである請求項10に記載の組成物。
  12. 前記熱分解促進剤が、β−ジケトナート金属錯体及びその誘導体である請求項10又は11に記載の組成物。
  13. 前記熱分解促進剤が、アンチノッキング剤である請求項10又は11に記載の組成物。
  14. アンチノッキング剤がシマントレンである請求項13の組成物。
  15. 前記熱分解促進剤が、ナフテン酸鉄である請求項10又は11に記載の組成物。
  16. 記録色素がフタロシアニン化合物である請求項10乃至15のいずれかに記載の組成物。
  17. フタロシアニン化合物がハロゲン化フタロシアニンである請求項16の組成物。
  18. 有機色素を含んでなる記録層が有機色素の成膜溶剤を用いる塗布法により成膜される光情報記録媒体の記録層用組成物であって、熱分解促進剤が前記成膜溶剤に可溶なものである請求項10乃至17のいずれか1項に記載の組成物。
  19. 請求項10乃至18のいずれか1項に記載の組成物を溶媒に溶解してなる光情報記録媒体の記録層用組成物。
  20. 請求項10乃至18のいずれか1項に記載の組成物を溶媒に溶解して塗布溶液を形成し、該得られた溶液を透明な基板上に塗布し、有機色素及びピット・エッジ制御剤を含んでなる記録層を形成する光情報記録媒体の製造方法。
  21. 請求項19に記載の組成物を透明な基板上に塗布し、有機色素及びピット・エッジ制御剤を含んでなる記録層を形成する光情報記録媒体の製造方法。
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