JP3649062B2 - 光記録媒体及び光記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザー光により記録可能な光記録媒体及び光記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光記録媒体の記録密度向上のため、記録/再生に用いるレーザー光の発振波長の短波長化が注目されている。
CD−RやCD−RWに使用する波長780nmのレーザー光よりも、短波長のレーザー光で記録再生可能な光記録媒体が求められ、波長640nm〜680nmの半導体レーザー光を用いて記録再生を行うDVD−RやDVD−RW等が、最近開発されている。
また、発振波長600nm以下のレーザーについても、光記録媒体の更なる高密度化に不可欠の技術として、現在開発が進められている。
【0003】
ところで光記録媒体にはさまざまな種類があるが、その中で有機色素系光記録媒体は、製造が容易で安価であるという特徴を有する。
有機色素系光記録媒体のうち、上述のような短波長レーザーによる記録再生用途の媒体に用いる色素としては、シアニンやフタロシアニン等が提案されており、特開平6−336086号公報、特開平7−161068号公報、特開平7−262604号公報、特開平7−125441号公報、特開平7−266705号公報等に記載されている。
【0004】
また、780nmと640nmの2波長のレーザー光による記録再生が可能な光記録媒体として、CD−RIIも開発され、例えば特開平7−276804号公報、特開平7−156550号公報、特開平8−31010号公報、特開平8−111034号公報、特開平8−108623号公報、特開平8−108624号公報、特開平10−74339号公報等に記載がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これら有機色素系光記録媒体の記録部分では、色素の熱分解によって生じる光学定数の変化および膜厚の減少と、それにひき続き起こる基板の軟化と構造緩和による変形の両方により光学特性が変化し、記録信号の変調度を得ていると考えられる。
かかる記録原理はCD−Rと同じである。しかし、より短波長のレーザー光を用いて、より高密度に情報を記録するには、記録再生に用いるビーム径より更に小さな記録部分を形成することが要求されている。この要求を満たすためには、特に、短マークのエッジが明瞭であり、かつ、光学的に大きなコントラストが得られる色素材料が必要である。
この様な色素材料を用いた光記録媒体として、本出願人らは、例えば特開平9−58123号公報に記載した光記録媒体を提案している。
【0006】
今後の光記録媒体の開発には、上記特性に加えて高速記録性が要求されることが明らかであり、記録光に対する高速応答性を有する色素材料が必要となる。しかし、高速応答性に優れた色素材料の提案は、今までほとんどなされていない。SPIE vol.2514,249(1995)では、CD−R用色素の高速応答性に関する検討結果が報告されており、フタロシアニン系色素がシアニン系色素より、高速応答性の点で優れている旨記載されている。具体的には、例えば254〜255頁には、低線速(線速度0.2m/s)で回転中のCD−Rに対し、通常のマーク長のマークを記録した際の反射率の変化率(グラフの傾き)から、記録光に対する色素の反応速度を検証した例が示されている。
【0007】
従来は、一般に、有機色素を含む記録層の、記録光に対する反応速度は一定であると考えられていた。つまり十分な長さの光を照射してやれば、反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間(以下、減衰時間と称する)は照射パルス長によらず一定であると考えられていた。
しかし本発明者らの測定によれば、照射パルス長を変化させると減衰時間は変化し、通常、照射パルス長が長くなるに従い減衰時間も長くなることが分かった。この理由は明らかではないが、反射率変化に樹脂基板の構造緩和が寄与しており、樹脂基板が変形を起こす臨界温度(ガラス転移温度など)が、照射パルスの周波数に依存することが原因と考えられる。
【0008】
そして、高速応答性の評価には減衰時間そのものよりも、照射パルス長に対する減衰時間の比が重要であることを見いだし本発明に至った。
すなわち本願発明の目的は、波長700nm以下で記録を行うための高密度光記録媒体であって、記録光に対する高速応答性を有し、高速記録性に優れた色素型光記録媒体及び光記録方法を提供することにある。
なお、前記のSPIE vol.2514,249(1995)にて検討されている色素は、後述する比較例3に示すように、照射パルス長に対する減衰時間の比は本発明のレベルに達しない。また、本発明のような観点からの開発が行われていなかった従来の光記録媒体(市販のDVD−R)も、照射パルス長に対する減衰時間の比は、本発明のレベルに達していない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、短波長レーザー光による高速記録の際、特にマルチパルス記録方式を採用する場合には、光記録媒体の、照射パルス長に対する減衰時間の比が或る特定の値以下である必要があることを見いだし、本発明に至った。
すなわち本発明の第一は、樹脂基板を有し、有機色素を主成分とする記録層を有し、さらに反射層を有し、波長が700nm以下の記録光照射により反射率を変化させて記録を行うための光記録媒体であって、
記録光とほぼ同じ波長で、強度1〜4.5mWより選ばれるいずれかの強度を有する、約382ナノ秒のパルス長の光を、
該光に対して、該媒体の光照射部を相対速度0.3m/sで移動させながら照射した場合に、
反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間が該パルス長の130%以下であることを特徴とする光記録媒体に存する。
また本発明の第二は、樹脂基板を有し、有機色素を主成分とする記録層を有し、さらに反射層を有し、波長が700nm以下の記録光照射により反射率を変化させて記録を行うための光記録媒体であって、
波長約635nmで、強度1〜4.5mWより選ばれるいずれかの強度を有する、約382ナノ秒のパルス長の光を、
該光に対して、該媒体の光照射部を相対速度0.3m/sで移動させながら照射した場合に、
反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間が該パルス長の130%以下であることを特徴とする光記録媒体に存する。
本発明の第三は、これらの光記録媒体に、波長700nm以下の記録光を照射し、反射率を変化させて記録を行う光記録方法に存する。
【0010】
なお、以下の説明においては、「反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間」を「減衰時間」と称する。
本発明の第一においては、記録光とほぼ同じ波長の光を照射して、この減衰時間を測定する。高速応答性の評価に記録光とほぼ同じ波長の光を用いることで、使用する記録光における正確な高速応答性を評価することができる。
ここで、記録光と同じ波長とは、その媒体の記録光として推奨されている波長である。通常、市販されている光記録媒体は、記録用機器の仕様などから決められた特定の製品規格に準拠しており、該規格で定められた波長の光で好適に記録できるよう設計されている。
【0011】
つまり、個々の光記録媒体の記録光の波長は、どの製品規格に準拠するかによって実質的に決まっており、例えば容量3.95GBのDVD−Rについては、製品規格により、記録光の波長は635±5nmの範囲と定められている。
一般に、記録光の光源として用いられている半導体レーザーには個体差があり、また半導体レーザーの発振波長には温度依存性があることなどから、発振波長には±5nm程度のばらつきが生じる。このため、製品規格においても、記録光波長はある程度の幅を持って定められている。
従って容量3.95GBのDVD−Rの場合、記録光とほぼ同じ波長とは、ほぼ635±5nmの範囲である。
【0012】
本発明の第二においては、波長約635nmの光を照射して、この減衰時間を測定する。約635nmという波長の光で測定することで、その媒体を波長700nm以下の記録光で記録したときの高速応答性を簡易に評価できる。
波長約635nmとは、635±5nm程度の幅を持った値である。上述した理由により、レーザーの発振波長にはばらつきがあるためである。
また、減衰時間測定時に照射する光のパルス長は、通常は150〜400ナノ秒、好ましくは300〜400ナノ秒の範囲のいずれか1点を選択すればよいが、本発明では約382ナノ秒と定めた。
約382ナノ秒とは、382±10ナノ秒程度の幅を持った値である。信号発信器やドライブの仕様、半導体レーザーの立ち上がり時間、立ち下がり時間などによりパルス長は多少ばらつく。また、パルス長の測定誤差もなどを考慮して幅を持たせている。
さらに、光に対して、光記録媒体の光照射部を相対速度0.3m/sで移動させながら光を照射するとは、例えば、光ディスクを線速度0.3m/sで回転させながら、その一部領域に光ヘッドからの光を照射することを言う。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の光記録媒体に用いる記録層は有機色素を主成分とする。
該記録層は、波長が700nm以下の記録光を吸収することにより昇温し、減量し、膜厚が減少し、光学特性が変化する。この変化した部分が記録部分となる。
光学特性が変化した部分に再生光が照射されると、再生光の戻り光の位相が変わるため、未記録部分とは反射率が変化する。反射率が変化した部分を検出することにより、再生を行う。
【0014】
記録層に用いられる有機色素については、構造に制限はないが、高速記録用の色素として、記録光に対し十分な高速応答性(パルス応答性)を有しなければならない。
【0015】
本発明における減衰時間の測定法においては、照射する光と媒体の光照射部との相対速度を0.3m/sという超低速とすることで、記録光照射位置を実質的に同一箇所としたまま、ここに波長約635nmの記録可能な強度の光を照射するとともに、反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間を測定する。
この測定方法は、一般的には”静特性評価用記録方法”として知られている方法に準拠する。そして、本発明の光記録媒体は、該記録光を約382ナノ秒のパルス長で照射した場合の減衰時間を該パルス長の130%以下とすることを必須の要件とする。減衰時間の、該パルス長に対する割合が本発明の特定値以下の場合に、当該光記録媒体は優れた高速応答性を有する。なお、先行技術における前記値は、例えば、150〜200%と高いものばかりであった。
【0016】
減衰時間が照射パルス長の130%を越える場合には、低速では正確な記録ができても、高速記録の際に短いマークのエッジの急峻性が失われ、マーク長による感度の差が大きくなりジッターが増大してしまう。また、高速記録時に十分な記録変調度が得られないため、C/N値が低速記録時よりもかなり減少してしまい、やはり、ジッター値を悪化させる原因となる。
【0017】
好ましくは反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間が該パルス長の100%以下であり、より好ましくは70%以下である。
記録光強度は、反射率の飽和レベルを変動させるが減衰時間そのものにはあまり影響しないため、記録が可能な強度であればよい。本発明では1mW以上4.5mW以下から選ばれる強度と定めた。1mWより小さいと記録ができない可能性がある。一方、4.5mWを超えると0.3m/sという超低速で照射した場合に記録層が破壊される可能性がある。
【0018】
以下に、いわゆるDVD−Rを例として、測定方法の一例について説明する。なお、DVD−Rにおいては、通常の記録線速度(1倍速)は3.5〜3.8m/sである。記録マークの長さの基準となる基準クロック周期Tは38.2ナノ秒であり、5Tパルスはほぼ191ナノ秒、10Tパルスはほぼ382ナノ秒に相当する。
【0019】
まず、記録レーザー評価機において、照射パルス長を、分割なしの10Tパルス(約382ナノ秒)とし、線速度0.3m/sの回転数に設定してディスクを回転させる。回転中のディスクにレーザーを照射し、そのときのディスクの反射率変化をストーレッジオシロスコープ(バンド幅500MHzの仕様)にとりこむ。記録パワーは通常1〜4.5mWのいずれか1点に定める。
【0020】
得られる反射率変化の波形は、例えば図1の<1>のごとくである。この波形から、反射率が一定になるレベルを飽和レベルとし、レーザー照射開始時から飽和レベルに至るまでに要する時間(減衰時間)が得られる。この減衰時間と、図1<2>に示す、照射したパルス長に相当する時間とを比較する。
このディスクを1倍速(3.5〜3.8m/s)、2倍速(5〜10m/s)、4倍速(10〜20m/s)で記録を行ったのち再生し、ジッター及び信号品質を測定することで記録特性の線速依存性を評価することができる。
【0021】
本発明の光記録媒体は、例えば基板、有機色素を主成分とする記録層、反射層、保護層とからなる。基板を通して記録再生を行う場合には透明基板を用い、透明基板としてはポリカーボネート、ポリメタクリレート、非晶質ポリオレフィン等の樹脂からなるもの、ガラスからなるもの、ガラス上に光硬化性樹脂等の放射線硬化樹脂から成る樹脂層を設けたもの等を用いることができる。
【0022】
好ましくは、記録層に接して樹脂基板または樹脂層を有する。例えば、樹脂基板やガラス上に放射線硬化樹脂層を設けた基板を用い、該基板に接して記録層を設けたり、あるいは記録層と基板との間に樹脂層を形成しても良い。記録時に、記録層の減量や退色による反射率変化に加えて、これら樹脂層の変形による反射率変化を利用できるので、より大きな反射率変化を得ることができ、変調度を大きくすることができる。
【0023】
ただし、ガラス上に直接記録層を設けた場合、変調度は多少犠牲になるものの減衰時間は短くなり、高速応答性は非常に大きくなると考えられる。
また、樹脂基板または上記樹脂層上に記録再生光の案内溝を有していてもよい。
この場合、溝幅は0.2μm以上0.4μm以下とするのが好ましい。十分なトラッキングエラー信号振幅を得、かつ成形時の基板への溝転写率を高くするためには、溝幅0.2μm以上が好ましい。また、溝幅があまり広いと記録再生ビームスポットが溝内におさまってしまい、反射率が低くなり記録変調度も低くなるため、溝幅0.4μm以下が好ましい。また、溝が広いと基板の熱変形時の樹脂の流動移動が可能な空間が広いので、記録部の基板の陥没が著しくなって記録部再生信号の歪みが生じやすい。信号品質上、より好ましくは溝幅は0.25μm〜0.32μmとする。なお、ここでいう溝幅は溝深さの半分の位置での溝幅、すなわち半値幅である。
【0024】
なお、溝幅が狭いほど減衰時間が長くなる傾向があると考えられる。
溝深さは好ましくは100〜180nmが好ましい。溝深さは、記録時に十分な変化を起こし十分な記録変調度を得るためには100nm以上が好ましい。成形時の基板への溝形状の転写性を高くし、かつ良好な平坦性を持たせるためには180nm以下が好ましい。
溝形状はU字溝が好ましい。U字溝とは、溝の底部が平坦となっており断面形状がU字形をしているものである。
【0025】
トラックピッチは、十分な信号品質を保ちつつ高容量化するためには0.7〜1.0μmが好ましい。
なお、溝形状は、トラックピッチが1μm以上の場合には、He−Cdレーザーによる光学測定により求め、それよりもトラックピッチが狭い場合には、STMやAFMでプロファイルを測定して求めることができる。
【0026】
記録層に用いられる有機色素は、本願発明の光記録媒体に求められる高速応答性を満たすものであれば特に限定されないが、フタロシアニン系色素、シアニン色素、含金属アゾ系色素や、ジベンゾフラノン系、含金属インドアニリン等が挙げられる。記録層は実質的に有機色素のみから成るものでもよいが、本発明の光記録媒体の性能を損わない範囲で各種添加剤等を含んでいてもよい。
光記録媒体が光ディスクである場合、記録層は、通常、有機色素等を溶媒に溶かした塗布液をディスク基板上にスピンコートして得られる。
【0027】
この溶媒としては、エタノール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、ジアセトンアルコール、フッ素系アルコール等が用いられるが、中でも、沸点が100〜150℃である溶媒で炭素数が3以上のフッ素系アルコール、すなわち、1H,1H,3H−テトラフルオロプロパノール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール等が好ましく用いられる。
あまり沸点が低いとスピンコート時に溶媒が速く気化しすぎてしまい、ディスク基板の外周側、例えば半径40mmより外周側に塗布液がゆきつかず、半径方向の膜厚分布が極めて大きくなり、良好な特性が得られないことがある。このため沸点が100℃以上が好ましい。
また、逆に高すぎると蒸発に時間がかかるうえに膜中に溶媒が残留しやすく、この様な場合には、良好な記録ジッターが得られないことがあるため、沸点は150℃以下が好ましい。
【0028】
大きな記録変調度を得るためには、溝間部(ランド部)、溝部の記録層膜厚をある程度厚くするのが好ましく、記録マークがトラック方向やランド方向に広がるのを防ぎジッターやクロストークを低く抑えるためには溝間部、溝部の記録層膜厚をある程度薄くするのが好ましい。従って、記録層膜厚は溝間部で30〜100nm程度が好ましく、溝部で80nm〜180nmが好ましい。
【0029】
記録層上の溝深さは基板の溝深さの50%〜80%であることが好ましい。反射率とトラッキングエラー信号を十分に大きくするためには50%以上が好ましく、また、記録変調度を十分に大きくするためには80%以下が好ましい。
記録層の、記録再生光波長±5nmにおける屈折率nと消衰係数kについては、屈折率nは好ましくは2.0〜3.0、より好ましくは2.3〜2.6である。消衰係数kは0.03以上が好ましく、本願発明が特に効果を発揮する高線速記録仕様の場合は0.03〜0.10の範囲がより好ましい。
【0030】
なお、本件での記録層のn、kの測定は以下の方法により行うことができる。鏡面レプリカに、盤面のおよそ半分の領域をカバーするように有機色素等を溶媒に溶かした塗布液を置き、スピンコートて記録層を形成し、この記録層の一部に反射層をスパッタして未塗布部分との段差を3次元表面荒さ計(キャノン製ZYGO:Maxim5800)で測定して膜厚を求め、反射層の付いていない記録層において日本分光製自動波長スキャンエリプソメータ(MEL−30S型)で多入射角測定後、前述の膜厚を参考に集束状況のよいn、kを求め、それを求める光学定数n、kとする。
本発明の光記録媒体に用いられる、高速応答性を満たす色素としては、より大きな吸収と高い屈折率を併せ持つ、色素が好ましい。本発明の照射パルス長に対する減衰時間の比を満たすには、色素の選択がもっとも重要ではあるが、これに加えて、例えば膜厚や溝幅などの条件を適宜選択することによって、調整することができるものである。
【0031】
本発明で使用可能な色素としては、例えば、色素骨格中のπ電子系構造部分の平面性に歪みを与えうる(つまり立体障害性の高い)置換基や、シクロヘキシル基、シクロプロペニル基、ピロリジル基等の飽和環状置換基を有するもの、または色素骨格中の芳香族環にシクロヘキサンやピペリジン等の飽和環が縮合したものが好ましい。これらの基および構造は、色素の励起状態の不安定性を増すため、分解しやすいと考えられるためである。
また、色素の基本骨格としては、例えばシアニン系、フタロシアニン系、または含金属アゾ系の色素が好ましく、特に、耐光性や膜の吸収の形の良さから含金属アゾ系色素が好ましい。
含金属アゾ系色素の中でも最も好ましいのは、下記一般式(1)、(2)、(I)、または(II)で表される化合物と金属との、金属キレート色素が挙げられる。
【0032】
【化1】
Figure 0003649062
【0033】
(式中、環Eはそれぞれ結合している炭素原子及び窒素原子と一緒になって形成する複素環を表し、環Aは5〜8員環を表し、環Bは置換されていてもよいベンゼン環を表す。C1 は炭素原子を表わし、R1 は水素原子、置換されていてもよい直鎖または分岐のアルキル基、またはC1 の炭素原子と結合して形成する環を表す。X1 かX2 の少なくともいずれか一方がNHSO2 Y基を表し、Yは少なくとも2つのフッ素原子で置換されている直鎖または分岐のアルキル基を表す。)
【0034】
【化2】
Figure 0003649062
【0035】
(式中、環Fは、それが結合している炭素原子および窒素原子と一緒になって形成する複素環を表し、
環Bは上記式(1)および(2)におけると同義であり、
環Gは、それが結合している窒素原子と結合して形成する複素環を表し、
3 は−NHSO2 Y(Yは上記式(1)および(2)におけると同義)である。)
具体的には、例えば下記構造の色素が挙げられる。
【0036】
【表1】
Figure 0003649062
【0037】
【表2】
Figure 0003649062
【0038】
【表3】
Figure 0003649062
【0039】
【表4】
Figure 0003649062
【0040】
【表5】
Figure 0003649062
【0041】
【表6】
Figure 0003649062
【0042】
本発明における減衰時間の長さには、記録層を構成する有機色素の熱的特性もある程度の関連がある。例えば、短波長用途として充分な特性を得るためには、熱重量分析における主減量過程での減量が、温度に対してシャープであるのが好ましい。
本発明において「主減量過程」とは、いくつかの減量過程のうちで、初期の色素質量の15%以上が直線的に減量する過程をさし、該過程が2以上ある場合には、減量の傾きが最も大きな過程をさす。
また「総減量」とは、「主減量過程」における減量をさす。
以下、図2及び図3を用いて減量の傾きについて説明する。
【0043】
質量M0 の有機色素を窒素中で10℃/分で昇温する。昇温に従って、質量は当初微量ずつ減少し、ほぼ直線a−bの減量線を描き、ついで急激に減量し始め、15%以上の減量をほぼ直線d1 −d2 に沿って減量する。図2においてはこれが主減量過程であり、主減量開始温度とは、直線d1 −d2 と直線a−bとの交点における温度T1 のことである。またこの時の、質量M0 に対する色素の重量割合をm1 とする。その後、ほぼ直線c−cで示される減量過程におちつく。直線d1 −d2 と直線c−cとの交点における温度をT2 、色素の重量割合をm2 とすると、ここでいう減量の傾きとは
【0044】
【数1】
(m1 −m2 )(%)/(T2 −T1 )(℃)
【0045】
で示される値で、初期の色素質量M0 に対する減量%(総減量%)は、
【0046】
【数2】
(m1 −m2 )(%)
【0047】
で示される値である。なお、図3に示されるような減量曲線の場合には、主減量過程の減量の傾きは
【0048】
【数3】
(m1 −m2 )(%)/(T2 −T1 )(℃)
【0049】
で示される値で、総減量%は
【数4】
(m1 −m2 )(%)
【0050】
で示される値である。
【0051】
記録時には、主減量過程の反応により、有機色素は分解し、記録層膜厚の減少と光学定数の変化をおこし、光学的な意味でのマーク(記録部)が形成される。多くの場合、記録マークの下の樹脂層又は基板が記録時の色素層の熱吸収による昇温で変形し、溝幅は広がる。
また、記録層である色素層が光を吸収してマークが形成されるので、主減量が温度に対して急激である場合、すなわち、狭い温度範囲で減量が起こる場合には、記録層の光学変化と膜厚の変化が狭い領域でのみ形成されることになる。従って、高密度のマーク長記録の場合にはマーク同士が重なりあいにくいためクロストークが小さく、ジッター、マークの分解能が良くなり、極めて有利である。それ故、温度に対して、急峻な減量を起こす色素を用いることが好ましい。
【0052】
本発明で用いる色素としては、窒素中での熱重量分析において、好ましくは主減量過程での減量の傾きが2%/℃以上であり、その過程での総減量%が30%以上、より好ましくは、減量の傾きは30%/℃以上であり、総減量%は50%以上である。
減量の傾きが2%/℃以上だと、十分小さくランド方向に広がらない細い記録部が形成しやすくなり、ジッター、マークの分解能が良くなり、高密度対応の短マーク長記録が行いやすい。また、総減量%が30%以上の場合には記録前後の十分な反射率コントラストが得られやすく、記録変調度が大きいために十分な短マーク特性が得られやすい。
【0053】
さらに、大気中での10℃/分の昇温の場合の熱分解挙動(TG−DTA特性)が、窒素中での10℃/分の昇温の場合とあまり差がないような色素が好ましい。どの色素でも、窒素中の測定で観測された主減量過程は、大気中でもほとんど変わらず存在する。しかし、ある種の色素の場合には、大気中測定でのみ、該主減量過程よりさらに高温側に発熱を伴う第2の減量過程が存在し、その過程を経てほぼ総減量が100%に達する(図4参照)。
【0054】
この第2の減量過程で起こっている反応は、保護層を積層した媒体や貼りあわせした媒体の形態においては、極端に大きな記録パワーを用いた場合に、記録特性に影響することがある。また、反射層の上の保護層が薄い場合、もしくは、反射層の上に何も積層しない層構成の場合には、通常の記録パワーでも色素と樹脂層又は基板の界面で非常に高温になりやすく、反射層を通して供給される酸素、基板中の酸素、あるいは色素の主減量過程により発生する微量の酸素と反応して、第2の減量過程で起こるものと同様の反応がおこり、ビットの形状がきたなくなり信号特性が不良となる恐れがある。
【0055】
大気中での熱重量分析において、この様な2段階の減量過程を有する色素の場合は、第1の減量過程での減量が60%以上であるか、あるいは、第1の減量過程よりも高温側で起こる、第2の減量過程の開始温度が500℃以上であることが好ましい。なぜならば、高速記録の場合、記録層の最高到達温度は400℃〜500℃になり、基板界面からでる基板の酸素の影響で、記録層中は大気中での熱重量分析時に近い状況となる。従って、大気中で500℃未満に第2の減量過程が生じる色素を記録層に使用した場合には、高速記録を行うことによって、結果的に色素の減量過程が2段階となり、記録部の変形が過剰になってジッターが悪化する恐れがあるからである。
【0056】
なお本発明における減量の傾きは、色素を10℃/分で昇温しつつ測定するので、例えば13%/℃という減量の傾きを、130%/分という減量速度で表すこともできる。
【0057】
本発明の光記録媒体における反射層は、記録層を透過したレーザー光を効率良く反射するAg、Al、Auなどの金属からなるのが好ましく、記録再生波長(500nm〜700nmが好ましい)で反射率が低下しないために、記録再生波長±5nmの波長領域の光の屈折率が0.1〜1.5、消衰係数kが3〜8であるものが好ましい。特に屈折率が0.1〜0.2、消衰係数が3〜5である場合は高反射率が得られる。しかし、さらに高速記録を目的とする場合には、反射層の反射率、熱伝導度がかかわってくる場合がある。Ag及びAg合金は、短波長での反射率及び熱伝導度が大きく最も好ましい。
【0058】
なお、反射層のスパッタの際には、界面酸素量を極力低くしておく必要がある。なぜならば、前述のごとく酸素の存在により、熱分解の挙動が大きく変化する色素が多数あるからである。
本発明の光記録媒体においては、記録部の反射層の穴の発生を防止したり、変形の非対称性を抑制するために、反射層の上に保護層を積層するのが好ましい。保護層の材料としては、紫外線などの放射線硬化性の樹脂が好ましい。また通常は、1μm以上、好ましくは3μm以上の膜厚にして、酸素による硬化抑制等がおこらないようにする。さらにその上にホットメルトや紫外線など放射線硬化性の接着剤を10〜20μm設けて、他の光記録媒体あるいは単なる基板等と貼り合わせてもよい。
【0059】
本発明の光記録方法においては、上述の光記録媒体に、波長700nm以下の光を照射し反射率を変化させて記録を行う。これにより光記録媒体に対し高密度かつ高速に記録を行うことができる。より好ましくは波長500〜700nmである。
【0060】
【実施例】
本実施例において、ディスクの評価は以下のように行った。
ディスクを波長640nm、対物レンズの開口数NA=0.6の光ヘッドを有する評価機(パルステック社製 DDU−1000)に装着し、線速度0.3m/sで回転させ、このディスクにパルス長383ナノ秒のレーザーを照射し記録を行った。
なお、383ナノ秒は、いわゆるDVD−Rにおいて通常の記録線速度(3.5〜3.8m/s)での10Tパルス(基準クロック周期Tは38.2ナノ秒)にほぼ相当する。
照射パルス長の測定法はいくつかある。直接レーザーの出射光を高速パルス対応のパワーメーターに入れて測定する方法が最も正確であるが、もっと簡便な方法としては、レーザー駆動系に入射する信号のパルス幅をタイム・インターバル・アナライザーに入れて信号幅を測定し、その値にレーザー光の立ち上がりー立ち下がり時間を加算すると、ほぼ、レーザー出射パルス幅(照射パルス長)の値に近いものが得られる。また、さらに簡便には、信号波形の立ち上がり立ち下がりの台形の底辺に近い部分を測定してもほぼ実測の照射パルス長に近い値が得られる。本実施例では、以上すべての測定の結果の平均値を照射パルス長とした。
【0061】
同時にディスクの反射光を検出し、500MHzの帯域のストーレッジオシロスコープ(LeCroy社製 9354X)にとりこみ反射率の減衰時間を測定した。
なお、反射率の測定は溝上で、偏光ビームスプリッタ通過後に行った。
次に、このディスクに最短マーク長0.44μmに相当するマーク長になるように、デューティ比25%の単一周波数の信号を線速度3.5m/s、7m/s、14m/sで記録した後3.5m/sで再生し、それぞれの、バンド幅30kHzでの飽和C/N(以下、単にC/Nと称する)を測定した。
以下、各実施例および比較例において、1倍速とは3.5m/s、2倍速は7m/s、4倍速は14m/sを意味する。評価結果は、表−1にまとめた。
【0062】
実施例1
溝深さ150nm、溝幅0.28μm、トラックピッチ0.80μm(以上、AFMでの測定結果)のU字案内溝を有する厚さ0.6mmのポリカーボネート基板上に下記構造式
【0063】
【化3】
Figure 0003649062
【0064】
で示される含金属アゾ色素0.042gをオクタフルオロペンタノール(OFP)4gに溶解し、1200rpmでスピンコートし、80℃のオーブンで3時間アニール処理し、記録層とした。
この色素の窒素中の主減量開始温度は246℃で、減量速度は422%/分、減量の傾きは42%/℃で、この過程での総減量は56%であった。一方、大気中では、第一の減量過程の減量%は71%であった。熱重量分析はセイコー電子工業製の示差熱天秤(「SSC5200H」シリーズ「TG−DTA−320」)を用いて測定した。
【0065】
この色素単層の640nmでの屈折率n、消衰係数kはそれぞれ、2.43、0.07であり、吸収極大は592.5nmであった。
この記録層の上に銀を100nmの厚さだけスパッタし、その状態で記録層上の溝深さをAFMで測定したところ、基板の溝深さの65%であった。なお、記録層の溝間部膜厚は30nmであった(従って、溝部膜厚は85nm)。この反射層の上にUV硬化樹脂(大日本インキ社製「SD−318」)をスピンコートして紫外線ランプで硬化して厚さ約3μmの保護層を作製した。
【0066】
なお、このディスクに用いた反射層の640nmでのn、kは、0.08、4.28であった。
同じ様にして作製したディスク同士をホットメルト接着剤で接着し、この貼り合わせディスクを評価した。
その結果、記録パワー1.6mWにおいて、反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間(減衰時間)は160ナノ秒であり、パルス長の42%と、極めて良好な応答性を示した。
【0067】
また、単一周波数記録を行った場合のC/Nは3.5m/s、7m/s、14m/sでそれぞれ、58dB、55dB、54dBといずれの線速における記録でも十分大きなC/Nを得た。また、マークジッターも、4〜7ナノ秒と極めて良好であった。
なお、DVD−Rにおいては一般に、C/Nは45dB以上が必要とされ、55dB近傍以上が好ましいとされる。また、マークジッターは10ナノ秒を越えると信号の品質が非常に悪く、9ナノ秒以下が特に好ましいとされる。
このディスクに、記録線速度7m/s、記録パワー10.2mWで、8/16変調のランダム信号をDVD−Rの規格バージョン1.0にほぼ近い条件で記録したところ、マーク間補償を施した状態でのボトムジッター値は8.4%と極めて良好であり、正確な高速記録ができた。
【0068】
このとき、反射率は43%で変調度は75%であった。
また、このディスクを反射層と記録層の間で溝がし、色素記録層をエタノールで流し取ったのち記録部の基板の変形をAFMで観察したところ、凹凸はほとんどなく、どのマーク長の記録部も均一な形状であった。
【0069】
実施例2
実施例1の色素を下記構造式の色素に変え、色素量を0.040gに変えた以外は全く同様にして貼り合わせディスクを作成した。
【0070】
【化4】
Figure 0003649062
【0071】
この色素の窒素中の主減量開始温度は272℃で、減量速度は21%/分、減量の傾きは2. 1%/℃で、この過程での総減量は47%であった。一方、大気中では、第一の減量過程の減量%は73%であった。
この色素単層の640nmでの屈折率n、消衰係数kはそれぞれ、2.50、0.09であり、吸収極大は607nmであった。
また、このディスクの溝間部の膜厚は30nmで、記録層上の溝深さは基板の溝深さの65%であった。
【0072】
このディスクに対して実施例1と同様に評価したところ、記録パワー2.0mWにおいて、反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間(減衰時間)は270ナノ秒であり、パルス長の70%であった。
また、単一周波数記録を行った場合のC/Nは3.5m/s、7m/s、14m/sでそれぞれ、59dB、56dB、54dBといずれの線速における記録でも十分大きなC/Nを得た。また、マークジッターも、記録線速度1倍速で5ナノ秒、4倍速で7ナノ秒と極めて良好であった。
【0073】
このディスクに、記録線速度7m/s、記録パワー10.4mWで、8/16変調のランダム信号をDVD−Rの規格バージョン1.0にほぼ近い条件で記録したところ、マーク間補償を施した状態でのボトムジッター値は9.2%であり、良好な高速記録ができた。
このとき、反射率は42%で変調度は73%であった。
【0074】
実施例3
実施例1の色素を下記構造式の色素に変え、色素量を0.044gに変えた以外は全く同様にして貼り合わせディスクを作成した。
【0075】
【化5】
Figure 0003649062
【0076】
この色素の窒素中の主減量開始温度は349℃で、減量速度は227%/分、減量の傾きは22. 7%/℃で、この過程での総減量は40%であった。一方、大気中では、第一の減量過程の減量%は29%で、第2の減量開始温度は455℃であった。この過程より低温領域での減量は全くなかった。
この色素単層の640nmでの屈折率n、消衰係数kはそれぞれ、2.40、0.05であり、吸収極大は584nmであった。
【0077】
また、このディスクの溝間部の膜厚は30nmで、記録層上の溝深さは基板の溝深さの63%であった。
このディスクに対して実施例1と同様に評価したところ、記録パワー2.6mWにおいて、反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間(減衰時間)は320ナノ秒であり、パルス長の84%であった。
また、単一周波数記録を行った場合のC/Nは記録線速度3.5m/s、7m/s、14m/sでそれぞれ、57dB、56dB、53dBであった。また、マークジッターは記録線速度1倍速で5ナノ秒、4倍速で9ナノ秒であった。
このディスクに、記録線速度7m/s、記録パワー12.2mWで、8/16変調のランダム信号をDVD−Rの規格バージョン1.0にほぼ近い条件で記録したところ、マーク間補償を施した状態でのボトムジッター値は9.0%であった。
なお、反射率は51%であった。
【0078】
実施例4
実施例1の色素を下記構造式の色素に変え、色素量を0.044gに変えた以外は全く同様にして貼り合わせディスクを作成した。
【0079】
【化6】
Figure 0003649062
【0080】
この色素の窒素中の主減量開始温度は265℃で、減量速度は20%/分、減量の傾きは2%/℃で、この過程での総減量は49%であった。一方、大気中では、第一の減量過程の減量%は43%で、第2の減量開始温度は464℃であった。
この色素単層の640nmでの屈折率n、消衰係数kはそれぞれ、2.45、0.07であり、吸収極大は601nmであった。
【0081】
また、このディスクの溝間部の膜厚は30nmで、記録層上の溝深さは基板の溝深さの63%であった。
このディスクに対して実施例1と同様に評価したところ、記録パワー2.4mWにおいて、反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間(減衰時間)は340ナノ秒であり、パルス長の89%であった。
また、単一周波数記録を行った場合のC/Nは記録線速度3.5m/s、7m/s、14m/sでそれぞれ、58dB、57dB、54dBであった。また、マークジッターは記録線速度1倍速で6ns、4倍速で8nsであった。
このディスクに、記録線速度7m/s、記録パワー11.2mWで、8/16変調のランダム信号をDVD−Rの規格バージョン1.0にほぼ近い条件で記録したところ、マーク間補償を施した状態でのボトムジッター値は9.2%であった。
なお、反射率は47%であった。
【0082】
実施例5
実施例1の色素を下記構造式の色素に変え、色素量を0.048gに変え、反射層を銀合金(Ag−Ti合金、Tiは0.2原子%)とした以外は全く同様にして貼り合わせディスクを作成した。
【0083】
【化7】
Figure 0003649062
【0084】
この色素の窒素中の主減量開始温度は297℃で、減量速度は118%/分、減量の傾きは11. 8%/℃で、この過程での総減量は67.5%であった。一方、大気中では、第一の減量過程の減量%は54%で、第2の減量開始温度は450℃であった。
この色素単層の640nmでの屈折率n、消衰係数kはそれぞれ、2.35、0.05であり、吸収極大は588.5nmであった。
【0085】
また、このディスクの溝間部の膜厚は30nmで、記録層上の溝深さは基板の溝深さの63%であった。
このディスクに用いた反射層の640nmでのn、kは、0.165、4.159であった。
このディスクに対して実施例1と同様に評価したところ、記録パワー3.0mWにおいて、反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間(減衰時間)は345ナノ秒であり、パルス長の90%であった。
【0086】
また、単一周波数記録を行った場合のC/Nは記録線速度3.5m/s、7m/s、14m/sでそれぞれ、57dB、54dB、52dBであった。また、マークジッターは記録線速度1倍速で5ナノ秒、4倍速で9ナノ秒であった。
このディスクに、記録線速度7m/s、記録パワー12.0mWで、8/16変調のランダム信号をDVD−Rの規格バージョン1.0にほぼ近い条件で記録したところ、マーク間補償を施した状態でのボトムジッター値は9.4%であった。
なお、反射率は48%であった。
【0087】
比較例1
実施例1の色素を下記構造式の色素に変え、色素量を0.044gに変えた以外は全く同様にして貼り合わせディスクを作成した。
【0088】
【化8】
Figure 0003649062
【0089】
この色素の窒素中の主減量開始温度は248℃で、減量速度は227%/分、減量の傾きは22. 7%/℃で、この過程での総減量は40%であった。一方、大気中では、第一の減量過程の減量%は29%で、第2の減量開始温度は440℃であった。
この色素単層の640nmでの屈折率n、消衰係数kはそれぞれ、2.35、0.05であり、吸収極大は589.5nmであった。
【0090】
また、このディスクの溝間部の膜厚は30nmで、記録層上の溝深さは基板の溝深さの63%であった。
このディスクに対して実施例1と同様に評価したところ、記録パワー3.0mWにおいて、反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間(減衰時間)は800ナノ秒であり、パルス長の210%であった。
【0091】
また、線速度3.5m/s、7m/s、10.5m/s(3倍速)で単一周波数記録を行った場合のC/Nはそれぞれ、59dB、54dB、50dBと、高線速になるに従い著しい劣化が見られた。また、マークジッターは記録線速度1倍速では5ナノ秒と良好であったにもかかわらず、3倍速で11ナノ秒にも上った。
このディスクに、記録線速度7m/s、記録パワー12.8mWで、8/16変調のランダム信号をDVD−Rの規格バージョン1.0にほぼ近い条件で記録したところ、マーク間補償を施した状態でのボトムジッター値は9.8%以下には下がらなかった。
【0092】
また、このディスクを実施例1と同様にして基板の変形をAFMで観察したところ、3Tから11Tマークに亘ってマーク長により凹凸の高さ、ビーム走行方向の非対称性が異なっており、マーク間差が大きく見られ、好ましい記録状態ではなかった。
このディスクの反射率は51%であった。
【0093】
比較例2
実施例1の色素を下記構造式の色素に変え、色素量を0.048gに変えた以外は全く同様にして貼り合わせディスクを作成した。
【0094】
【化9】
Figure 0003649062
【0095】
この色素の窒素中の主減量開始温度は349.8℃で、減量速度は148%/分、減量の傾きは14. 8%/℃で、この過程での総減量は41%であった。一方、大気中では、第一の減量過程の減量%は30%で、第2の減量開始温度は467℃であった。
この色素単層の640nmでの屈折率n、消衰係数kはそれぞれ、2.4、0.06であり、吸収極大は595.5nmであった。
【0096】
また、このディスクの溝間部の膜厚は30nmで、記録層上の溝深さは基板の溝深さの63%であった。
このディスクに対して実施例1と同様に評価したところ、記録パワー2.6mWにおいて、反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間(減衰時間)は640ナノ秒であり、パルス長の170%であった。
また、線速度3.5m/s、7m/sで単一周波数記録を行った場合のC/Nはそれぞれ、58dB、53dBと、高線速になるに従い著しい劣化が見られた。また、マークジッターは記録線速度7m/sで10ナノ秒に上った。
【0097】
このディスクに、記録線速度7m/s、記録パワー12.8mWで、8/16変調のランダム信号をDVD−Rの規格バージョン1.0にほぼ近い条件で記録したところ、マーク間補償を施した状態でのボトムジッター値は9. 8%以下にはならなかった。
また、このディスクを実施例1と同様にして基板の変形をAFMで観察したところ、3Tから11Tマークに亘ってマーク長により凹凸の高さ、ビーム走行方向の非対称性が異なっており、マーク間差が大きく見られ、好ましい記録状態ではなかった。
このディスクの反射率は51%であった。
【0098】
【表7】
Figure 0003649062
【0099】
一般に、DVD−Rにおいては、C/Nは45dB以上が必要とされ、55dB近傍以上が好ましいとされる。また、マークジッターは10ナノ秒を越えると信号の品質が非常に悪く、9ナノ秒以下が特に好ましいとされる。
表−1から分かるように、本発明の規定値を満たす光記録媒体は、単一周波数記録において、3.5m/s、7m/s、14m/sと記録速度を上げていった場合のC/N値の低下が小さく(記録特性の線速依存性が小さく)、いずれの線速でも良好に記録できる。またマークジッターの値が、14m/sという高速で記録した場合にも9ナノ秒以下であることからも、高線速で良好に記録できることが分かる。
【0100】
比較例3
文献SPIE vol.2514,249(1995)のFig.3(A)とFig.3(B)には、記録層にフタロシアニン系色素またはシアニン系色素を含むCD−Rに対し、線速度0.2m/s で、パルス長694nsおよび174nsのレーザー光を照射した場合の反射率(反射光量)変化が、"the reflective voltages during recording"として記載されている。
これらのグラフは、いずれも反射光量の経時変化を表しており、そのデータから該文献では「フタロシアニン系色素の方が、より高速記録に適していると結論づけられている。
該文献の推奨している「フタロシアニン系色素」の、Fig.3(A)およびFig.3(B)におけるデータを、本出願と同様に、飽和に達した反射光レベルで反射光量の変化を規格化し、(時間)/(照射パルス長)に対してプロットし直したものが図5である。
図5から明らかなように、上記文献で推奨されている「フタロシアニン系色素」の減衰時間(図5において、企画化された反射率が0%になった時の、(時間)/(照射パルス長)の値)は、照射パルス長の290%(照射パルス長は174ns)、および350%(照射パルス長は694ns)であり、本願発明の要件を満たさないことは明らかである。
【0101】
【発明の効果】
本発明によれば、波長700nm以下で記録再生可能で、記録密度が高く、記録光に対する高速応答性を有し、高速記録性に優れた色素型光記録媒体及び光記録方法を得ることができる。特に、従来困難であった線速度10m/s以上の高速での記録も良好に行え、低線速から高線速までの幅広い線速度で記録可能な光記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光記録媒体の反射率の減衰過程を示す波形および照射パルス長を示す図
【図2】 窒素中での熱重量分析における有機色素の主減量過程、主減量過程の総減量、減量の傾きの一例を示す示差熱天溝チャート図
【図3】 窒素中での熱重量分析における有機色素の主減量過程、主減量過程の総減量、減量の傾きの他の一例を示す示差熱天溝チャート図
【図4】 大気中での熱重量分析における有機色素の主減量過程、主減量過程の総減量、減量の傾きの一例を示す示差熱天溝チャート図
【図5】 SPIE vol.2514,249(1995)のFig.3(A)およびFig.3(B)のデータを、本発明の基準でプロットし直したもの
【符号の説明】
1 主減量または第1の減量過程開始温度
2 主減量または第1の減量過程終了温度
3 第2の減量過程開始温度
1 初期の色素質量M0 に対する、温度T1 時の色素の重量割合
2 初期の色素質量M0 に対する、温度T2 時の色素の重量割合
3 初期の色素質量M0 に対する、温度T3 時の色素の重量割合

Claims (8)

  1. 樹脂基板を有し、有機色素を主成分とする記録層を有し、さらに反射層を有し、波長が700nm以下の記録光照射により反射率を変化させて記録を行うための光記録媒体であって、
    記録光とほぼ同じ波長で、強度1〜4.5mWより選ばれるいずれかの強度を有する、約382ナノ秒のパルス長の光を、
    該光に対して、該媒体の光照射部を相対速度0.3m/sで移動させながら照射した場合に、
    反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間が該パルス長の130%以下であることを特徴とする光記録媒体。
  2. 樹脂基板を有し、有機色素を主成分とする記録層を有し、さらに反射層を有し、波長が700nm以下の記録光照射により反射率を変化させて記録を行うための光記録媒体であって、
    波長約635nmで、強度1〜4.5mWより選ばれるいずれかの強度を有する、約382ナノ秒のパルス長の光を、
    該光に対して、該媒体の光照射部を相対速度0.3m/sで移動させながら照射した場合に、
    反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間が該パルス長の130%以下であることを特徴とする光記録媒体。
  3. 反射率が変化し飽和レベルに達するに要する時間が、該パルス長の100%以下である請求項1または2に記載の光記録媒体。
  4. 溝幅が0.2〜0.4μmの案内溝を有する請求項1乃至のいずれかに記載の光記録媒体。
  5. 溝深さが100nm〜180nmの案内溝を有する請求項1乃至のいずれかに記載の光記録媒体。
  6. 光記録媒体が、反射層上に保護層を有する請求項に記載の光記録媒体。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の光記録媒体に、波長700nm以下の光を照射し反射率を変化させて記録を行う光記録方法。
  8. 記録を行う際の線速度を10m/s以上とする請求項に記載の光記録方法。
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