JP2001273636A - 光記録方法 - Google Patents

光記録方法

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JP2001273636A
JP2001273636A JP2001013509A JP2001013509A JP2001273636A JP 2001273636 A JP2001273636 A JP 2001273636A JP 2001013509 A JP2001013509 A JP 2001013509A JP 2001013509 A JP2001013509 A JP 2001013509A JP 2001273636 A JP2001273636 A JP 2001273636A
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Yuki Suzuki
夕起 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い範囲の記録線速度において、良好な記録
特性を維持することができる光記録方法を提供する。 【解決手段】 光記録媒体に対する、マーク長変調記録
方式による情報記録において、記録光として、途中でP
1からP2へ(但しP1<P2)と強度が変化する1つ
の記録パルスを使用して、1つの記録マークを形成し、
1つの記録パルスにおける、強度P1の記録光の照射時
間が0.2T〜1T(Tは基準クロック周期)であり、
かつ、長さnT(nは2以上の整数)の記録マークの形
成に使用する、記録パルスの照射時間が(n−0.4)
T〜(n−1.4)Tであることを特徴とする、光記録
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、幅広い記録線速度
にて良好な記録特性を維持できる光記録方法および光記
録媒体に関する。なお「記録特性」とは記録感度、ジッ
ター、記録変調度の値等をさす。
【0002】
【従来の技術】近年、光記録媒体の高密度記録のため、
記録再生用レーザー光の発振波長の短波長化が注目さ
れ、通常CDに使用される波長780nmや830nm
よりも短波長のレーザー光で記録再生可能な光記録媒体
として、波長640nm〜680nmの半導体レーザー
光を記録再生に用いるDVDが最近開発されている。
【0003】また波長600nm以下のレーザー光を用
いた光記録に関しても、今後の更なる高密度記録に不可
欠の技術として、現在開発が進められている。光記録媒
体としては、相変化型光記録媒体や有機色素系光記録媒
体、光磁気記録媒体など様々なタイプが提案されている
が、その中で有機色素系光記録媒体は、安価でプロセス
上、製造が容易であるという特長を有する。
【0004】有機色素系光記録媒体においては、近年波
長640nm近傍のレーザー光にて記録再生を行う、3.
95GB容量の追記型光ディスク(DVD―R)の規格が
成立し、マーク長変調記録方式において、入射レーザー
光をマルチパルス化することにより、記録マーク(以
下、単にマークと称することがある)のエッジを制御す
る方法が確立した。また記録装置上も、このような方法
を利用した、高密度記録に最適なシステムが実用化され
ている。
【0005】なお最近は、波長640nm近傍の半導体
レーザーより安価に供給可能な、波長660nm近傍の
半導体レーザーを用いて、波長640nm近傍のレーザ
ー光を用いた場合と同等に高密度な光記録が可能となり
つつある。一方、近年このような高密度な光記録媒体に
対し、コンピューター用途でのニーズが高まっている。
コンピュータ用途に使用する場合には、最内周から最外
周までを線速度(記録再生用光ヘッドと、光記録媒体表
面の被記録部位との相対速度)一定で記録するCLV等
ではなく、角速度一定で記録するCAV,ZCAV(等
角速度記録方法)が必要となる。その場合、1つのディ
スク面内で、低速から高速まで幅広い線速度での記録が
行われることになり、非常に高い記録感度を有する事、
あるいは、記録線速度依存性が小さい事が要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】例えば相変化光記録媒
体は、金属合金からなる記録層の結晶相とアモルファス
相との可逆的変化を利用して記録・再生を行うものであ
り、記録線速度依存性は極めて小さい。すなわち、記録
線速度を上げた際に記録感度があまり変わらない。一
方、有機色素系光記録媒体は、有機色素自体の熱伝導度
が小さいために記録線速度依存性が大きい。
【0007】例えば、市販のGeSbTe系相変化光記録媒体
(DVD−RW)では、同じ記録パルス条件(パルスス
トラテジー)を用いて、線速度1.4m/s、5.6m/s、10m/s
にて情報を記録した場合、それぞれ記録感度が、11mW、
12mW、13mW程度であり、記録線速度に対する記録感度
の変化が小さいことが知られている。しかし、市販の有
機色素系光記録媒体(DVD−R)の場合、上記速度で
の記録における記録感度は、例えば3mW、12mW、14mW
以上となり、記録感度の記録線速度に対する変化が非常
に大きい。
【0008】その課題を解決する方法は2つある。ま
ず、色素の選択である。現在市販されているCD−Rや
DVD−Rなどの有機色素系光記録媒体の場合、反射率
が40%以上である必要があるため、情報記録用レーザ
ー光の波長における記録層の吸収が大きすぎないよう
に、且つ充分な記録変調度を得るために記録層が高屈折
率となるように、色素の吸収バンドにおける長波長側の
すその波長が記録再生光波長となるような有機色素を、
記録層に用いるのが常套手段である。
【0009】DVD−Rの記録層に使用できる有機色素
としては、シアニン系化合物等が提案されており、例え
ば特開平6−336086号公報、特開平7−1610
68号公報、特開平7−262604号公報、特開平7
−125441号公報、特開平7−266705号公報
等に記載されているものがある。しかし、いずれもいわ
ゆる線速度4m/s前後という低線速での記録に関する
ものであり、5m/sを超える高線速での記録にも適し
ているか否かは定かではない。
【0010】一方、もう一つの解決方法としてあげられ
るのは、記録パルスストラテジー、すなわち、記録の際
に使用するレーザー光の出射のパルス、パルス列の改善
である。記録パルスストラテジーに関してはDVD―R
の3.95GB規格書(ves.1.0)をはじめ、Jpn. J. Applied P
hysics 36(1997)p593-594, 特開平10―214423
号公報、特開平11―250505公報、特願平11―
228271等で提案されているものがある。特願平1
1―228271を除いてはいずれも、1つの記録マー
クを形成する記録パルスとして、(n’―2)個(ここ
でn’は3以上の整数)に分割されたパルス列を用いる
ことを基本としている。このパルス分割方法は、有機色
素含有記録層の熱伝導度が小さいために生じる、長いマ
ークを形成する時と短いマークを形成する時の記録感度
差を低減するのには有効である。しかし、有機色素含有
記録層の記録特性の記録線速度依存性を補うには十分と
は言えない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、記録パル
スストラテジー、特に記録パルスの形状の面から、光記
録媒体における記録特性の線速依存性を補うことを検討
し、該依存性の高い有機色素系光記録媒体においても、
広い記録線速度への対応を可能にする方法を見出し本発
明に至った。
【0012】すなわち本発明は、光記録媒体に対する、
マーク長変調記録方式による情報記録において、記録光
として、途中でP1からP2へ(但しP1<P2)と強
度が変化する1つの記録パルスを使用して、1つの記録
マークを形成し、1つの記録パルスにおける、強度P1
の記録光の照射時間が0.2T〜1T(Tは基準クロッ
ク周期)であり、かつ、長さnT(nは2以上の整数)
の記録マークの形成に使用する、記録パルスの照射時間
が(n−0.4)T〜(n−1.4)Tであることを特
徴とする光記録方法、および該記録方法にて記録された
光記録媒体に存する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明の光記録方法は、どのような光記録
媒体に対して適用することもできるが、前述のように、
有機色素系光記録媒体に適用した場合に記録特性の線速
依存性改善効果が最も顕著に現れる。
【0014】以下、記録光波長λが400nm〜700
nmであり、開口数NAが0.60〜0.80である対物
レンズを用いて記録を行う、有機色素系光記録媒体の一
例であるDVD−Rを例に、本発明を詳細に説明する。
なお、DVD−RではEFM+変調記録方法が採用され
ている。以下本明細書でいう「記録線速度依存性が小さ
い」とは、具体的には3.0m/s〜12m/sのいずれ
の線速度において記録した場合にも、あるいは、ディス
ク(光記録媒体)の最内周から最外周まで角速度一定
(つまり線速度は異なる)で記録した場合、 1)同一ディスク面内のすべての領域で、14mW以
下、好ましくは13mW以下の記録パワー(記録感度)
で、良好な記録が可能であること、 2)記録変調度が50%以上、 3)ジッター(対、データクロック長)が10%以下
(バイトエラーレートでは1×10-4以下)、の全てを
満たすことを示す。
【0015】また、本明細書における「反射率」とは、
特に断りが無い限り「再生用レーザー光を基板側から入
射し、案内溝上にトラッキングをかけて、偏光ビームス
プリッターを有するピックアップで再生したときの反射
率」を意味する。さらに、本発明の光記録方法における
「記録パワー」とはP2の値をさす。一般に、記録条
件、つまり1つの記録マークを形成するために照射する
記録光(記録用レーザー光と同義)の、パルス形状およ
び強度は、記録特性に与える影響が大きい。DVD−R
の場合には、全体的に短いマークにおける記録特性を向
上させる必要性から、長さ3Tよりも長いマーク長の記
録マークを形成する場合、2個以上12個以下に分割さ
れたパルスからなるパルス列で構成された記録光を照射
することが、DVD−Rの規格ver.1.0で定められてい
る。しかし本出願人らは、従来相変化型光記録媒体で用
いられている記録パルスの形状(図1の(0)と
(1))を参照し、該パルス列で構成された記録光を照
射する方式の問題点を解決するべく、記録パワーの不足
を補い、光記録媒体の記録線速度依存性を低減する条件
を見出した。
【0016】記録線速度依存性を低減するためには、ま
ず、記録パルスにおけるパルス列を構成する各パルス
の、1)数を減らすこと、2)照射時間を長めにするこ
と、により、各記録線速度での最適記録パワーを低減す
ることが考えられる。しかしながらこの方法は、DVD
−R規格ver.1.0や前述した各文献により提案されてき
た記録方法よりも、記録マークの長さを制御する(すな
わち、ジッター低減)点においては不利であるため、本
発明者らはむしろ、記録パルスはパルス列ではなく、連
続した1つのパルスである方が好ましいのではないか、
と考えた。
【0017】すなわち、記録光として、途中でP1から
P2へ(但しP1<P2)と強度が変化する1つの記録
パルスを使用して、1つの記録マークを形成し、1つの
記録パルスにおける、強度P1の記録光の照射時間が
0.2T〜1T(Tは基準クロック周期)であり、か
つ、長さnT(nは2以上の整数)の記録マークの形成
に使用する、記録パルスの照射時間が(n−0.4)T
〜(n−1.4)Tであることを特徴とする光記録方法
である。
【0018】本発明における記録パルスにおいては、図
1の(2)に示すように記録パルスの先頭部分における
記録光の強度がP1で、後続部分における記録光の強度
がP2である。なお、強度P1からP2へは、図1
(2)に示すように直接移行してもよいが、P1とP2
の中間強度の記録光照射段階を経て段階的に移行しても
よい。強度P1の記録光を照射する時間幅が0.2T未
満の場合には、十分なマークエッジの補正ができないた
め、良いジッター特性が得られない。一方、1Tを超え
る長さの場合には、最短マーク長のマークとそれを超え
る長さのマークの、長さのバランスが著しく損なわれ、
充分な最短マークの振幅が得られない。ここで「最短マ
ーク」とは、x≦n≦y(但し2≦x<y、xおよびy
は整数)である長さnTの記録マークを用いて行うマー
ク長変調記録方式による情報記録における、長さxTの
マークをさす。例えばDVD系光記録媒体の場合は、長
さnT(nは3〜14の整数)の記録マークを使用して
情報を記録するので、最短マーク長は3Tである。
【0019】有機色素系光記録媒体の場合、最短マーク
と比較的長いマークとの感度差が大きくなるために、良
好な記録特性を得ることが困難である。それを補うため
にDVD−Rでは、通常各マーク長毎に、記録パルスの
パルス列を構成する各パルスの長さの比を変える「マー
ク間補償」が施されている。本発明でも同様に「マーク
間補償」を行うことができるが、この場合、更に各マー
ク長におけるP1とP2の記録パワーも変えることが必
要となるため、記録方法として非常に複雑となる。そこ
で、強度P1の記録光照射時間を上記範囲とすることに
より、短いマークと長いマークのバランスが取れ、マー
ク間補償が必ずしも必要ではなくなるため好ましい。な
お、強度P1の記録光照射時間は、好ましくは0.2T
〜0.5Tである。
【0020】長さnTの記録マーク形成に使用する、強
度P1とP2の記録光照射時間の和、すなわち記録パル
スの照射時間は、(n−0.4)T〜(n−1.4)
T、好ましくは(n−0.6)T〜(n−0.9)Tで
ある。(n−0.4)Tを超えると長マークと短マークの
感度差が大きくなりジッター増加の原因となる。(n−
1.4)T未満であると、ジッター低減には良い方向で
はあるが、より高い記録パワー(P2の値)を要するの
で、広い記録線速度において記録感度を向上させる目的
には不適当である。
【0021】P2とP1(P1<P2)は、P2/P1
が1を超え2以下となる値であることが好ましい。P2
がP1の1倍以下であると、十分な記録感度が得られな
い虞がある。また、P2がP1の2倍を超えるとオーバ
ーパワーとなりジッターが悪化する虞がある。P2/P
1=1.1〜1.8であればより好ましい。なお、P1
のパワーを大きめに設定すると、その分P2を小さく設
定しないと良好なジッターが得るのが難しくなる場合が
あり、またジッターのマージンが狭くなる傾向がある。
【0022】本発明の記録方法において、nがx≦n≦
y(但し2≦x<y、xおよびyは整数)を満たし、か
つ、記録光波長λ、および光ピックアップにおける対物
レンズの開口数NAに対し、xTマークの長さがλ/N
Aの0.39〜0.55倍であることが好ましい。この最
短マーク長(xT)に関する制限は、本発明の方法にて
情報記録を行う際の、マークエッジのタイミングのずれ
を特性上許容することのできる範囲、及び光学的にクロ
ストークを許容することができる範囲となっている場合
が多い。
【0023】最短マーク長が0.39λ/NA未満である
ランダムデータの記録を行うと、ジッターが劣化する傾
向があり、十分良好なバイトエラーレートが得られない
場合がある。最短マーク長が0.55λ/NAを超えるラ
ンダムデータの記録を行った場合、望ましい高容量記録
密度が得られない可能性がある。中でも、最短マーク長
がλ/NAの0.42倍以下の場合には、該マーク長が
ビームの回折限界に近いため、各マークのエッジ部の位
置ずれがジッターに大きく影響する。従って、そのよう
な記録条件の場合には、P2の値を、P1よりもある程
度大きな値に設定することにより、マークエッジの補正
がしやすくなる傾向がある。
【0024】なお、最短マーク長がλ/NAの0.42
倍未満の場合には、記録部のβが−5%以上10%未
満、好ましくは−5%以上7%以下となるようなP1、
P2のパワーの組合わせで記録することが好ましい。か
かる、最短マーク長が記録再生光のビーム径に対してか
なり小さい記録の場合には、最短マークの振幅が十分大
きくなく、その分ジッターが大きくなりやすい傾向があ
る。よって、記録パワーをより最適範囲に調節して、マ
ークエッジのタイミングのずれ(位置ずれ)が小さいβ
になる記録条件に制限することにより、ジッターの値を
向上させる(小さくする)ことが好ましいためである。
【0025】βをこのような値とするには、例えばP2
/P1=1.1〜1.8を目安にP1、P2の値を選択
すればよい。なおβとは、アイパターンの最短マークの
反射率の中心が、アイパターンの最長マークの反射率の
中心に対して何%ずれているかを示す値であり、符号の
正は記録パワーが十分大きいことを示し、負の符号は記
録パワーがやや足りないことを示す。
【0026】本発明の光記録方法において、nがx≦n
≦y(但し2≦x<y、xおよびyは整数)を満たし、
かつ、長さxT(最短マーク)の記録マーク形成用の記
録パルスにおける強度P1の記録光の照射時間は、長さ
(x+1)T以上の記録マーク形成用記録パルスにおけ
る強度P1の記録光照射時間の1〜2倍とするのが好ま
しい。これは特に、最短マーク長が0.42λ/NA未
満であるような厳しい記録条件の際に、特に有効であ
る。
【0027】1倍未満の場合には、最短マークであるx
Tマークの振幅が不十分となる場合があり、それを補う
ために記録パワー(P2の値)を高くしたとしても、今
度は(x+1)T以上の長マークとの振幅のバランスが
悪くなり、ジッターが悪化する場合が多い。また2倍を
超える場合には、xTマークが長くなりやすいために、
やはり(X+1)T以上のマークとの振幅のバランスが
悪くなり、ジッターが悪化する場合がある。
【0028】尚、記録マークと記録マークとの間に対応
する、スペース部における記録光の照射パワーは0.5mW
〜1.0mWが好ましい。尚、図1の(0)、(1)に示す
DVD−RW用の記録パルスストラテジーで、マルチパ
ルス間のバイアスパワー(Pb)の値をP2に設定し、
先頭パルス(図1中の「top」)と後続パルス(図1中
の「 multi」)の強度(図1中のPp)をP1に設定す
るとしても良い。かかるパルス列は、DVD−RW用パ
ルスをそのまま利用することができる(その際に、バイ
アスパワーの設定値のみ変更するだけである。)という
点でより容易である。ただし、その場合、パワーP2で
照射される記録パルスの間に、パワーP1で照射される
パルスが存在するために、若干の記録パワーのロスがあ
る。
【0029】本発明の光記録方法は、どのような光記録
媒体に対しても適用することができるが、具体的には、
例えば有機色素系光記録媒体や、相変化型光記録媒体な
どに適用することができる。中でも、一般に記録特性の
線速依存性が大きい有機色素系光記録媒体に適用した場
合に、本発明の光記録方法の効果が特に顕著になる。相
変化型光記録媒体は、加熱の後徐冷によって結晶質とな
り、溶融後に急冷すると非晶質となる記録層を有し、結
晶状態と非晶状態とに可逆的に変化させることにより、
情報をマークの状態で記録する光記録媒体である。記録
信号に応じて、記録層に照射する記録光の強度を記録層
が結晶状態に留まる結晶レベルと非晶状態になる非晶レ
ベルとの間で変化させる。この際、マークを形成する場
合には記録光の強度を記録層が溶解する程度の非晶レベ
ルに設定し、これによって記録層に非晶化したマークを
形成する。また、マーク以外の部分では記録光の強度を
記録層が溶解しない程度の結晶レベルに設定し、記録層
を結晶化させる。この場合、マークを形成しない部分
は、溶融しない程度に加熱されて徐冷されるため、以前
の状態が非晶状態であろうと結晶状態であろうと結晶状
態になる。
【0030】一般に、ポリカーボネート等からなる透明
基板上に、ZnS、SiO2、SiNx等からなる保護層
で挟持された記録層を有し、その上にAl、Au、A
g、またはこれらの合金からなる反射層をかねる放熱
層、および紫外線硬化性樹脂等からなる保護層が順次積
層された構造を有する。記録層としては、AgInSb
Te、GeSbTeなどの金属合金が用いられる。
【0031】有機色素系光記録媒体は、記録用のレーザ
ー光を照射された部分の記録層が、該レーザー光を吸収
することにより昇温して有機色素の分解温度(後述する
主減量開始温度)に達し、有機色素が分解・減量して膜
厚が減少するとともにその部分の光学特性が変化した結
果、戻り光の位相が変化すること、これに加えて基板の
流動変形の影響により、反射率を変化させることにより
記録を行い、該反射率の変化を検出することにより再生
を行うものである。
【0032】その構成は、通常、基板上に、有機色素を
含む記録層と、反射層を有するものであり、これらの他
に保護層、印刷受容層、接着剤層など任意の層を有して
いても良い。本発明において、透明基板としてはガラス
や、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、非晶質ポ
リオレフィン等の樹脂等、公知のものが用いられる。好
ましくはこれらの基板上、または基板上に設けた任意の
樹脂層上に、トラッキングサーボ用の案内溝を有する。
その溝深さは80〜180nmが好ましく、トラックピ
ッチは0.4〜0.9μmが好ましい。溝形状はU字溝
が好ましい。
【0033】この案内溝のトラックピッチと溝深さの最
適範囲は、まず記録再生光の波長に依存する。例えば、
波長600nm〜700nmにおける記録再生用の光記
録媒体としては、溝深さは100〜180nmが好まし
く、140〜180nmがより好ましい。また波長40
0nm〜500nmにおける記録再生用光記録媒体とし
ては、溝深さは80〜150nmが好ましい。溝深さの
下限が80nm未満の場合、充分な記録変調度を得るこ
と、及び十分なプッシュプル信号が得ることが困難にな
る場合があり、上限が上記範囲を超えると、転写性の維
持および十分な反射率が得ることが難しくなる傾向があ
る。
【0034】またトラックピッチが記録再生波長λ、開
口率NAに対して0. 7(λ/NA)未満の場合には、十
分なプッシュプル信号振幅が得られず、トラッキングに
問題が生じる場合がある。また、クロストークも大きく
なるため良好な記録再生特性が得られず、エラーレート
が高くなる可能性がある。従って、記録再生光波長が
0.40〜0.70μm、開口率が0.6〜0.8であ
る本発明の場合、トラックピッチは0. 4〜0.9μm
以上となるのが好ましい。
【0035】案内溝の半値幅(溝の深さが半分になる深
さでの溝幅)は、0.2〜0. 4μmの範囲が好まし
い。溝幅0. 2μm未満では、記録時に溝内に基板(ま
たは案内溝が設けられている樹脂層)の流動変形がおこ
りやすいため、長マークの波形が歪む傾向があり、ジッ
ターが劣る恐れがある。溝幅が0. 4μmを超える場合
には、記録再生ビームスポットが溝内におさまるほど十
分に溝が広いので、反射率が低くなり、記録変調度が小
さくなる傾向がある。また、溝幅が広いと、これに対応
して溝間部が狭くなるため、基板上に案内溝を設ける場
合には、該透明基板製造時に、金型の細い溝部(基板の
溝間部に対応)に樹脂がはいりにくく、転写性が低くな
る傾向がある。なお本発明では、溝幅や溝深さなどの溝
形状はSEMやAFM で測定して求めた。
【0036】また、案内溝をウォブル(蛇行)させた
り、また溝間部にピットを設けることにより、あらかじ
めアドレス情報等を記録しておいてもよい。具体的には
媒体の種類を示したり媒体の回転を制御するウォブルに
加えて、振幅や位相が異なるウォブルを設けたり、溝間
部にピット(ランドプリピット)を設けることにより、
アドレス情報等を記録しておく。
【0037】記録層に含まれる色素に特に制限はなく、
通常、有機色素系光記録媒体に用いられる色素が、いず
れも使用可能である。例えばシアニン系、フタロシアニ
ン系、含金属アゾ系などの色素が挙げられる。本出願の
記録パルス条件を用いれば、広い範囲の記録線速度での
良好な記録感度を維持できるが、有機色素系光記録媒体
において更に記録特性を向上させるには、以下のような
記録層を用いることが好ましい。
【0038】例えば従来のDVD−R規格ver.1.0に記
載のbasic write strategyを用いて記録された場合、長
さ14TのマークのRF波形(再生波形)つまり反射率
が、マーク先端側の方が後端側よりも低くなるような、
あるいは、先端および/または後端の反射率が低く中間
部の反射率が高い凸型の波形歪みを示す傾向のある記録
層を採用することが好ましい。つまり、マーク内の熱干
渉がより大きい材料を用いて、記録層を形成することが
好ましい。なぜならば、従来DVD−Rへの記録方法と
して提案されていた記録パルスの形状・強度が「記録マ
ーク先端に、パワーをより強く加す記録条件」であった
ため、これに用いる記録層としては熱干渉の小さい材料
を用いたものが好ましいとされていたのに対し、本出願
の記録パルスの形状や強度は「記録マーク後端に、パワ
ーをより強く加す記録条件」となっているからである。
【0039】このような記録層に含まれる色素として
は、従来その波長光で記録を行う光記録媒体に使用され
てきた色素と比較して、最大吸収波長が比較的長波長側
にある色素が好ましい。具体的には、該色素からなる薄
膜の、記録光波長における吸光度が、最大吸収波長にお
ける吸光度の10%前後となるような色素が好ましい。
なお、現在一般的な有機色素系光記録媒体の場合、この
値は5〜8%である。
【0040】記録層は通常、有機色素および必要に応じ
て各種添加剤等を溶媒に溶かして得られる溶液を、透明
基板上にスピンコートすることにより得られる。この溶
媒としては、有機色素および各種添加剤を高濃度に溶解
し、かつ透明基板を浸食しないものが好ましく、例えば
沸点が100〜150℃であり炭素数が3以上のフッ素
系アルコール、すなわち、1H,1H,3H−テトラフ
ルオロプロパノール、1H,1H,5H−オクタフルオ
ロペンタノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブ
タノール等が好ましく用いられる。沸点が100℃未満
の場合には、スピンコート時に溶媒が速く気化するた
め、ディスクの半径40mmより外周側に塗布液が行き
つかず、半径方向の膜厚分布が大きくなる傾向があり、
良好な特性が得られない場合がある。また、沸点が15
0℃を越える場合には、蒸発に時間がかかる上に、膜中
に溶媒が残留しやすく、良好な記録ジッターが得られな
い場合がある。
【0041】記録層の膜厚は、再生光波長λに対して、
溝間部の膜厚dlで0.042λ〜0.16λ、溝部の膜厚dg
0.102λ〜0.30λ程度が好ましく、またdlとdgの関係
は(d g―dl)=0.05λ〜0.13λであることが好まし
い。dlおよびdgがこの範囲よりも薄い場合には、十分
な記録変調度が得られない恐れがある。また、この範囲
を越えると膜厚が厚すぎて、記録部がトラック方向やラ
ンド方向に広がりやすく、ジッターやクロストークが大
きくなる恐れがある。
【0042】(dg―dl)が0.05λよりも小さい場合に
は、溝部の膜厚が薄すぎるために、十分な記録感度や記
録変調度が得られない恐れがある。また0.13λを越える
場合には、ラジアルコントラスト(溝横断信号振幅)が
小さくなりすぎる場合がある。記録層の屈折率nは2.
0〜3. 0、好ましくは、2. 3〜2. 6であり、消衰
係数kは0. 03〜0. 10が好ましい。特に本件のよ
うに、従来のDVD―Rよりも記録感度の良好なものを
必要とする場合には、記録再生光波長でのkが0. 08
〜0. 10と、大きめの色素が好ましい。
【0043】なお、本件での色素層のn、kの測定は以
下の方法により行うことができる。鏡面レプリカに、盤
面のおよそ半分の領域をカバーするように色素溶液を置
き、スピンコートし、この記録層の一部に反射層をスパ
ッタして未塗布部分との段差を3次元表面荒さ計(キャ
ノン製ZYGO:Maxim5800)で測定して膜厚
を求め、反射層の付いていない記録層において日本分光
製自動波長スキャンエリプソメータ(MEL−30S
型)で多入射角測定後、前述の膜厚を参考に集束状況の
よいn、kを求め、それを求める光学定数n、kとす
る。
【0044】溝間部の記録層表面から溝部の該層表面ま
での深さをdabs、溝部の左右に位置する溝間部における
記録層と基板との界面から、溝部における該界面の最底
部までの深さをdsubとしたとき、dabsはdsubに対して好
ましくは45%〜75%、より好ましくは60%〜75
%である。この範囲未満では、溝部の記録層膜厚が厚す
ぎるため反射率が低くなりすぎたり、トラッキングエラ
ー信号が十分とれない恐れがある。また75%を越える
と、溝部の記録層膜厚が薄すぎて十分な記録変調度が得
られない恐れがある。
【0045】反射層は、記録層を透過したレーザー光を
効率良く反射する層である必要があり、金属膜であるこ
とが好ましい。中でも反射率が低下しないために、記録
再生波長±5nmの波長領域における光の屈折率が0.
1〜1. 5、消衰係数kが3〜8であるものが好まし
い。特に屈折率が0. 1〜0. 2、消衰係数が3〜5で
ある場合は高反射率が得られる。尚、金属反射層のスパ
ッタの際には、界面酸素量を極力低くしておくとよい。
なぜならば、前述のごとく酸素の存在により、熱分解の
挙動が大きく変化する色素が多数あるからである。
【0046】本発明の光学記録媒体においては、記録部
の金属反射層の穴の発生を防止したり、変形の非対称性
を抑制する効果を有するために、反射層の上に保護層を
積層した方が良い。保護層としては紫外線硬化樹脂が好
ましい。また、通常は、1μm以上、好ましくは3μm
以上の膜厚にして、酸素による硬化抑制等がおこらない
ようにするとよい。
【0047】さらにその上にホットメルト型や紫外線硬
化型の接着剤を、例えば片面10〜20μm設けて2枚
の貼り合わせをしてもよい。2枚のディスクを貼りあわ
せる場合、貼り合わせの相手のディスクは、記録再生用
の面と全く同じ構成のディスクでも、基板上に設けたア
ルミニウム等の金属反射層に保護層を積層したディスク
でも良い。貼り合わせた後の記録再生面の、トラック方
向に対して接線方向のチルト角が0. 3度以下となるよ
うに、両方の面の反りを合わせることが好ましい。ま
た、貼り合わせの際の中心出し、及び、基板そのものの
偏心には十分注意し、貼り合わせ後の偏心量が20μm
以下になるように十分小さくするとなお好ましい。偏心
量が上記範囲を越える場合、極めて高精度の調整がなさ
れるピックアップ(チルトサーボ機構を有するドライ
ブ)以外での記録再生において、良好なジッター値が得
られない可能性があり、その結果、エラーレートが劣る
虞がある。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これら実
施例によって限定されるものではない。 〔実施例1〕あらかじめ深さ155nm、溝幅(溝深さ
が半分のところの溝幅(半値幅))0.30μm、トラ
ックピッチ0.74μmの案内溝(2つの異なる周波数
のwobbleを記録領域に有する)を有する0.6mmのポ
リカーボネート基板に、下記構造式の色素
【0049】
【化1】 の1.2wt%のオクタフルオロペンタノール溶液を1
400rpmの回転数でスピンコートし、80℃で3時
間アニールした。こうして形成された記録層(色素層)
の、ランド部の膜厚は30nmで溝部の膜厚は90nm
であった。記録層の吸収スペクトルにおいて、記録光波
長である657nmに最も近接した吸収極大は波長60
7nmであり、その吸光度は0.82(空気をreference
にした吸光度測定での値。基板を差しひいた場合は0.
75となる。)であった。
【0050】この記録層上に銀合金反射層(Ag:98
at%)を100nmの厚さにスパッタし、その上に紫
外線硬化樹脂層(大日本インキSD―318)を7μm
の厚さにスピンコートた。さらに同様なディスクを、紫
外線硬化接着層(接着層の厚さは15μm)を介して、
反射層が対向するように貼り合わせて、ディスク(光記
録媒体)を作製した。
【0051】なお、このディスクに、DVD―Rの規格
書ver.1.0に記載のbasic strategyを用いて、波長λ=
0.637μm、NA=0.60を搭載した評価機(パルステック社
製「DDU-1000」)にて14Tの単一マーク長記録を行っ
たところ、その再生波形の先端部の反射率が後端部と同
じくらい低く、中間部の反射率が高い凸型の波形歪みを
示し、記録層の熱干渉が比較的大きいことをしめした。
【0052】次に、同じディスクに、波長λ=0.657μ
mの半導体レーザーを搭載したNA=0.65の評価機(パル
ステック社製「DDU-1000」)を用いてEFM+のマーク長変
調方式による記録を行い、これを再生した。反射率は4
5%であった。最短マーク長(3Tマーク長)は0.4
3μmすなわち、λ/NAの0.43倍で、記録パルススト
ラテジー(記録パルス)は、図1の(2)において、P
1パワーの記録光照射時間を0.36T(1T=36.
1ns)、強度P1とP2の記録光照射時間の和を(n
―0.64)Tとした(P2の時間が(n―1)T)も
のを採用した。線速度4.0m/sで記録再生したとこ
ろ、表1に示すごとく良好な記録特性が得られた。 <評価方法および評価基準>本実施例における、記録光
用レーザーを駆動させる記録データの発生には、パルス
テック社製信号発生器「MULTI-SIGNAL GENERATOR ver.
1.14」を使用し、パルス幅は、この信号発生器からレー
ザー駆動系に入力する信号をタイム・インターバル・ア
ナライザーに入れて、信号幅を測定し(発生器のパルス
強度の半分の電圧でのパルス幅)、その値にレーザー光
の立ち上がり−立ち下がり時間を加算して得た。
【0053】記録時の再生光はすべて0.7mWとし
た。記録変調度は、断りのなき場合は50%以上であっ
た。ジッターの値は、最短マーク長(3Tマーク長)
0.43nm以下の場合は10%以下、0.44nmを
超える場合は6%以下を好ましい値と判断した。なお基
準クロック周期Tは、各実施例および比較例における再
生速度で、最短マーク長がλ/NA(λ:再生波長、N
A:開口数)の0.39〜0.55倍になるように、各
記録速度で調整した値を使用した。具体的には、表1お
よび表2に記載の値とした。 〔実施例2〕実施例1と同様に製造したディスクに対し
て、実施例とはP1およびP2の値のみ表1の様に変更
して記録、再生を行い、評価した。結果を表1に示す。 〔実施例3〕実施例1と同様にして製造したディスクに
対して、実施例1とはパワーP1の記録光照射時間の長
さ、P1とP2の記録光照射時間の和、およびパワーP
2の値を表1の様に変え、さらにジッターが最良の値と
なるように、3Tスペースの後と4Tスペースの後の、
強度P1およびP2の照射時間を表中の値よりいずれも
5ns短くするマーク間補償を施して記録、再生を行
い、評価した。結果を表1に示す。 〔実施例4〕実施例1と同様にして製造したディスクを
用い、記録線速度を7.5m/sの高速にし、強度P1の
記録光照射時間(1T=19.1ns)、P1とP2の
記録光照射時間の和、およびP1とP2の値を実施例1
と変更し、各々表1の値にして記録を行い、また再生時
の線速度を、最短マーク長(3Tマークの長さ)が0.
43μmになるように3.75m/sとして再生、評価し
た。結果を表1に示す。 〔実施例5〕実施例1と同様にして製造したディスクに
対して、実施例1とはP1の記録光照射時間の長さ、P
1とP2の記録光照射時間の和、およびP1の値のみ表
1の様に変更して記録、再生を行い評価した。結果を表
1に示す。 〔比較例1〕強度P1の記録光照射時間、強度P1とP
2の記録光照射時間の和、P1およびP2の値を変えた
他は、実施例1と同様にディスクを作成し、記録・再生
して評価を行った。結果を表2に示す。 〔比較例2〕記録線速度、P1およびP2の値を変えた
他は、実施例1と同様にディスクを作成し、記録・再生
して評価を行った。結果を表2に示す。
【0054】なお4.0m/sだった記録線速度を、比
較例2では3.9m/sに変更したため、最短マーク長
(3Tマーク長)の長さも0.43μmから0.42に
変わっている。 〔比較例3〕実施例1の記録パルス条件(記録パルスス
トラテジー)を、通常DVD−RWで使用されているも
の(図1―(0)記載のもの)に変えた他は、実施例1
と同様にディスクを作成し、記録・再生して評価を行っ
た。結果を表2に示す。
【0055】なお、図1−(0)記載の記録パルススト
ラテジーを採用したため、パルス列を構成する各パルス
の強度および照射時間はすべて同じ値になる。よって、
表2における「P1照射時間」は各パルス共通の値であ
り、「P1(mW)、P2(mW)」も各パルス共通の
値である。 〔比較例4〕記録線速度を4.9m/sとした以外は、
比較例3と同様にディスクを作成し、記録・再生して評
価を行った。結果を表2に示す。
【0056】なお、実施例1および比較例3では4.0
m/sだった記録線速度を、比較例4では4.9m/s
に変更したため、最短マーク長(3Tマーク長)の長さ
も0.43μmから0.53μmに変わっている。 〔比較例5および6〕記録線速度を3.9m/sとし、
記録パルスのパルス列を構成する各パルスのパルス幅
(照射時間)を表2の値とした他は、比較例4と同様に
ディスクを作成し、記録・再生して評価を行った。結果
を表2に示す。
【0057】なお、比較例4では4.9m/sだった記
録線速度を、比較例5および6では3.9m/sに変更
したため、最短マーク長(3Tマーク長)の長さも0.
53μmから0.42μmに変わっている。比較例3〜
6から分かるように、従来知られている記録パルススト
ラテジーを使用した場合、記録線速度3〜5m/sにお
いて11mW以上の記録パワーを要する。通常、CAV
記録を行う場合、直径12cmのディスク1枚の最内周
〜最外周で3m/s〜12m/s程度は記録線速度が変
化する。よって有機色素系光記録媒体の場合、線速度3
〜5m/sで11mWを超える記録パワーを要するなら
ば、線速度12m/sでは、確実に14mW以上の記録
パワーが必要となることが予想され、これはディスク面
上のパワー限界値(ディスクを損壊しないレーザーパワ
ーの最大値)を超える値であるため、記録不可になるこ
とを意味する。
【0058】よって、本発明のめざす「広い範囲の記録
線速度において、記録可能」とすることができなくなる
ため、好ましくない。なお本発明において、「広い範囲
の記録線速度において、記録可能」であるには、低速記
録、すなわち、線速度3m/s〜5m/sでの記録パワ
ーが9mW未満であることが好ましく、8mW以下であ
ることがより好ましいと思われる。 〔実施例6、7および比較例7〕実施例1とは異なる構
造の色素(含金属アゾ色素)を用いて、実施例1と同様
に光記録媒体を製造した。
【0059】このディスクの記録層(単層)の吸収スペ
クトルにおいて、記録光波長である657に最も近接し
た吸収極大は波長609nmにあった。またDVD−R
for General のver. 2.0の規格のbasic strategyを用
いて657nm NA=0.609の評価機(パルステ
ック社製「DDU-1000」)で14Tの単一マーク長記録を
行ったところ、先端と後端の反射率が低く、中間部が高
い凸型の再生信号波形歪みを示し、記録マーク内の熱干
渉が大きい色素であることを示した。
【0060】次に、同様に製造されたディスクに対し、
記録線速度7.1m/s(DVD−R規格における約2
倍速に相当)で、最短マーク長が0.43μm未満の記
録を行い、再生・評価した。なお記録条件は、表3およ
び表4に記載した点以外は実施例1と同じである。実施
例6(6−1ないし6−4)および比較例7では、P1
およびP2の値のみ変化させ、実施例7(7−1ないし
7−6)では強度P1およびP2の記録光照射時間のみ
変化させた。
【0061】最短マーク長0.41μmの場合、ジッタ
ーは10%未満が好ましく、9%未満がより好ましい。
このディスクに対して、DVD−Rの4.7GB for Genera
l ver. 2.0のbasic strategy を使用して記録線速度
7.1m/s(2倍速)で記録を行ったところ、ジッタ
ーは8.21%で良好であったが、記録パワーは本件よ
りも高い11mWであった。
【0062】よって本発明のストラテジーを使用するこ
とにより、記録に要するレーザーパワーは3mW程度軽
減することが可能であることが示された。 〔比較例8〕強度P1の記録光照射時間、強度P2の記
録光照射時間、およびP1とP2の記録光照射時間の和
を変更した以外は、実施例7と同様にディスクを作成
し、記録・再生を行い評価した。結果を表4に示す。
【0063】P1とP2の値を3〜13mWまで種々変
化させて実験したが、3Tマークと4T以上のマークと
の長さのバランスが悪く(3Tマークの振幅が小さすぎ
る)、どうしてもβが−20%を超えず、ジッターが1
5%を超えてしまい、測定不可能であった。 〔参考例1〕実施例1と同様に製造したディスクに対
し、実施例1と同じ評価機にて、記録線速度9.8m/
s、その線速での1T=18ns、最短マーク長0.5
3μm(λ/NAの0.52倍)のEFM+変調方式に
て記録を行った。
【0064】強度P1の記録光照射時間は6.5ns
(0.36T)で、P1とP2の記録光照射時間の和は
(n−0.64T)であった。この記録におけるP1お
よびP2の値と、再生時のジッターの値との相関を図2
に示した。この場合、ジッターの好ましい範囲は1〜2
nsである。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、コンピュータ用途に適
応した広い範囲の記録線速度での光記録媒体への記録が
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 DVD−RWにおいて従来使用されてきた記
録パルスストラテジーの一例と、本発明の記録パルスス
トラテジーの関係を示す図である。
【図2】 参考例1における、P1およびP2の値とジ
ッター(%)の関係(分布)を示す図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光記録媒体に対する、マーク長変調記録
    方式による情報記録において、記録光として、途中でP
    1からP2へ(但しP1<P2)と強度が変化する1つ
    の記録パルスを使用して、1つの記録マークを形成し、
    1つの記録パルスにおける、強度P1の記録光の照射時
    間が0.2T〜1T(Tは基準クロック周期)であり、
    かつ、長さnT(nは2以上の整数)の記録マークの形
    成に使用する、記録パルスの照射時間が(n−0.4)
    T〜(n−1.4)Tであることを特徴とする、光記録
    方法。
  2. 【請求項2】 P2/P1が1を超えて2以下である、
    請求項1記載の光記録方法。
  3. 【請求項3】 nがx≦n≦y(但し2≦x<y、xお
    よびyは整数)を満たし、かつ、長さxTの記録マーク
    形成用記録パルスにおける強度P1の記録光の照射時間
    が、長さ(x+1)T以上の記録マーク形成用記録パル
    スにおける強度P1の記録光照射時間の1〜2倍であ
    る、請求項1または2記載の光記録方法。
  4. 【請求項4】 nがx≦n≦y(但し2≦x<y、xお
    よびyは整数)を満たし、かつ、記録光波長λ、および
    光ピックアップにおける対物レンズの開口数NAに対
    し、xTマークの長さがλ/NAの0.39〜0.55倍
    であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか
    に記載の光記録方法。
  5. 【請求項5】 記録光の波長が400〜700nmであ
    る、請求項1ないし4のいずれかに記載の光記録方法。
  6. 【請求項6】 マーク長変調記録方式が、EFM+変調
    方式である、請求項1ないし5のいずれかに記載の光記
    録方法。
  7. 【請求項7】 光記録媒体が、基板上に、有機色素を含
    む記録層と、反射層を有するものである、請求項1ない
    し6のいずれかに記載の光記録方法。
  8. 【請求項8】請求項1ないし6のいずれかに記載の光記
    録方法にて、情報が記録されたことを特徴とする光記録
    媒体。
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