JP3270114B2 - フタロシアニン化合物またはその混合物のアモルファス体の製造方法 - Google Patents

フタロシアニン化合物またはその混合物のアモルファス体の製造方法

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JP3270114B2 JP16097592A JP16097592A JP3270114B2 JP 3270114 B2 JP3270114 B2 JP 3270114B2 JP 16097592 A JP16097592 A JP 16097592A JP 16097592 A JP16097592 A JP 16097592A JP 3270114 B2 JP3270114 B2 JP 3270114B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フタロシアニン化合物
またはその混合物の結晶形を規制した、溶解性の優れた
フタロシアニン化合物またはその混合物のアモルファス
体の製造方法に関する。本発明のフタロシアニン化合物
またはその混合物のアモルファス体は、近赤外線吸収フ
ィルター、液晶表示素子、追記型光記録媒体などの記録
・記憶材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】記録・記憶材料、特に光ディスク等の光
記録媒体の記録層に、フタロシアニン誘導体、特にアル
コキシフタロシアニン誘導体を利用する技術は、特開昭
61-197280号公報、同61-246091号公報、同62-39286号公
報(USP 4,769,307)、同63-37991号公報、同63-39388号
公報等により広く知られているが、フタロシアニン類は
一般に有機溶剤、特に極性の小さい炭化水素系溶剤への
溶解性に乏しく、溶液塗工による薄膜形成が困難であっ
た。
【0003】他方、特開平1-221461号公報、同3-50554
号公報、同3-50555号公報等には、溶剤処理、加熱処理
をすることにより、フタロシアニンの結晶化を促進させ
ることが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような問題を解
決するために、本発明者らは、光ディスク用記録材料、
特にCD−R用記録材料として特開平3-62878号公報記
載のアルコキシフタロシアニン誘導体を開発し、このア
ルコキシフタロシアニン誘導体を溶液塗工の一手法であ
るスピンコート法で塗布するためには、塗布液は15g
/l〜90g/lの濃度が最適であることを見出した。
しかし前述のアルコキシフタロシアニン誘導体でも結晶
形により溶解度の低い場合があり、最適の濃度まで溶解
しなかったり、一度は溶解しても短時間で沈澱が生じた
りしてしまい、必要な濃度の塗布液を調製できないこと
があることを見出した。
【0005】本発明者らは、この溶解度を低下せしめる
原因がアルコキシフタロシアニンの会合であること見出
した。すなわち、会合することによりおそらく結晶化が
進み、溶剤に対し溶解度が低下する。あるいは溶解状態
から沈澱の発生を引き起こすことを突き止めた。特に、
少量の会合体の存在は、より大きい会合の核となるの
で、完全に除去することが必要である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このアル
コキシフタロシアニン誘導体の会合状態を切断すること
を鋭意検討した結果、有機溶媒中で加熱した後、溶媒を
溜去することにより溶解性の向上したアルコキシフタロ
シアニン誘導体が得られることを見出し本発明に達し
た。本発明は、特開平1-221461号公報、同3-50554号公
報、同3-50555号公報とは異なり、フタロシアニン分子
を溶剤中で加熱処理することで、アモルファス化が促進
されるという新たな知見を得たことに特徴を有するもの
である。
【0007】加熱処理後、単分子分散状態の色素溶液か
ら溶媒を溜去する際、濃縮された溶液の状態が長く続く
と、色素の会合が起こり始めるので、短時間で完全に溶
媒を溜去する必要がある。本発明者らは、アルコキシフ
タロシアニン誘導体の会合を切断した後、溶液を単分子
の状態で固定化するために凍結させ、減圧下で凍結物を
加温して溶媒を昇華させる真空凍結乾燥法により、溶解
性が向上したアモルファス状態のアルコキシフタロシア
ニン誘導体が得られることを見出し、本発明に達した。
【0008】すなわち本発明は、結晶性のフタロシアニ
ン化合物またはその混合物を有機溶媒中で加熱した後、
該有機溶媒を減圧溜去するか、凍結乾燥させることを特
徴とする下記一般式(1)
【0009】
【化3】 [式(1)中、Rは分岐のアルキル基を示し、Xはハロ
ゲン原子を表わし、nはXの数を表わすもので、0から
4である。Metは2価の金属原子、3価または4価の
金属誘導体、またはオキシ金属を表わす。]で表わされ
る化合物または混合物であるアルコキシフタロシアニン
のスピンコート用有機溶媒への溶解性の向上したアモル
ファス体の製造方法に関する。
【0010】本発明のフタロシアニン誘導体のアモルフ
ァス体は未処理のものと比較して溶剤溶解性が向上し、
塗布液からの結晶の析出がなくなり、安定して近赤外線
吸収フィルター、光記録媒体を製造することが可能とな
った。
【0011】本発明に用いられる有機溶媒は、結晶状態
をアモルファス状態にする、すなわち会合を切る目的の
為に、1)アルコキシフタロシアニン誘導体を溶解する
こと、2)沸点が50℃以上、好ましくは100℃以上
であること、の条件を満たすことが好ましく、その具体
例としては、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、1,
1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリク
ロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチ
レン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、
ジメトキシエタン、好ましくはトルエン、エチルベンゼ
ン、イソプロピルベンゼン、キシレン、アニソール、1,
1,2,2-テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ク
ロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1,3,5-トリクロロベ
ンゼン、1-クロロナフタレン、2-クロロナフタレン、ブ
ロモベンゼン、ジフロモベンゼン、1-メチルナフタレ
ン、2-メチルナフタレン、1,4-ジオキサン、ジn−ブチ
ルエーテル、ジグリム等が挙げられる。
【0012】また、フタロシアニンの会合を切断するに
際して、1)溶剤のπ−π相互作用、配位力を利用する
と一層効果が上がること、2)会合切断の後、再会合を
防ぎながら、速やかな溶剤除去をする必要があることの
2点を考慮すると、沸点100℃〜200℃の芳香族炭化水素
が好ましく、例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシ
レン等が挙げられる。
【0013】有機溶剤に要求される前出の条件1)、
2)に加えて、凍結乾燥によって溶媒を除去するために
は、3)凝固点が-40℃以上、好ましくは0℃以上40℃以
下であること、の3つの条件を満たすことが好ましく、
その具体例としては、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリ
クロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、ヨードベンゼ
ン、ブロモベンゼン、1-メチルナフタレン、m-クロロト
ルエン、o-キシレン、m-ジクロロベンゼン、四塩化炭
素、テトラクロロエチレン、1,6-ジメチルナフタレン、
2,4-ジクロロベンゼン、α,α-ジクロロトルエン、3,4-
ジクロロトルエン、2,4-ジクロロトルエン、α,α,α-
トリクロロトルエン、1-クロロナフタレン、1,2-ジメチ
ルナフタレン、好ましくはベンゼン、p-キシレン、1-ブ
ロモナフタレン、p-クロロトルエン、p-ジオキサン等が
挙げられる。
【0014】また、フタロシアニンの会合を切断するに
際して、溶剤のπ−π相互作用、配位力を利用すると一
層効果が上がること、会合切断の後、凍結乾燥の容易さ
を考慮すると、沸点100℃〜200℃、凝固点0℃以上の芳
香族炭化水素が好ましく、例えば、ベンゼン、p-キシレ
ン等が挙げられる。
【0015】加熱処理の温度は、50℃から250℃、好ま
しくは100℃から200℃であり、加熱処理時間は30分から
10時間、好ましくは1時間から5時間である。 処理濃
度としては、5g/l〜500g/l、好ましくは10g/l〜300g/l
である。
【0016】凍結乾燥は加熱処理した溶液を室温(15〜
25℃)まで冷却後、凍結乾燥機に入れ常圧で−50℃以
上、好ましくは-40℃以上0℃以下で、120分以内、好ま
しくは60分以内に乾燥機内を冷却して溶液を凍結させた
後、減圧にして、乾燥機の棚を加熱する熱媒を-30℃か
ら70℃まで、好ましくは-30℃から40℃まで加熱して気
化潜熱を補いながら凍結した溶媒を昇華乾燥させる。こ
の時、凍結乾燥機の内圧は概ね1000mtorr以下、好まし
くは概ね500mtorr以下、乾燥の最終段階では概ね200mto
rr以下が好ましい。
【0017】式(1)中、Rで表わされる分岐のアルキ
ル基としては、炭素数3〜15の炭化水素またはハロゲ
ン化炭化水素であり、好ましい分岐のアルキル基として
は、第2、第3または第4級の炭素原子を合計で2〜4
個含有する基である。具体例としては、iso-プロピル
基、sec-ブチル基、t-ブチル基、neo-ペンチル基、1,2-
ジメチルプロピル基、cyclo-ヘキシル基、1,3-ジメチル
ブチル基、1-iso-プロピルプロピル基、1,2-ジメチルブ
チル基、1,4-ジメチルペンチル基、2-メチル-1-iso-プ
ロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、3-メ
チル-1-iso-プロピルブチル基、2-メチル-1-iso-プロピ
ルブチル基、1-t-ブチル-2-メチルプロピル基、などの
炭化水素基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル
基などのハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0018】Metで示される2価金属原子の例として
は、Cu,Zn,Mn,Fe,Co,Ni,Ru,R
h,Pd,Pt,Pb等が挙げられ、3価または4価金
属誘導体の例としては、AlCl,AlBr,AlI,
AlOH,InCl,InBr,InI,InOH,S
iCl2,SiBr2,SiI2,Si(OH)2,GeC
2,GeBr2,GeI2,SnCl2,SnBr2,S
nF2,Sn(OH)2などが挙げられ、オキシ金属の例
としては、VO,TiOなどが挙げられる。これらの金
属またはその誘導体の中で、Cu,Co,Ni,Rh,
Pd,Ptが中心金属である時には、上記式(1)で示
されるフタロシアニンは通常そのままでは会合し易く、
結晶化、溶剤に対し不溶解化、難溶解化し易いが、本発
明のように結晶形をアモルファスにしたものは会合し難
くなり溶解性が向上する。
【0019】フタロシアニン環を合成する条件は、下記
式で示される原料のフタロニトリル(2)またはジイミ
ノイソインドリン(3)の1〜4種を、上記金属または
金属誘導体となり得る金属または金属化合物と、溶媒
中、好ましくはアルコール中で10〜300℃の温度範囲で
加熱反応させる。原料が(2)で示されるフタロニトリ
ルである場合、反応温度は80〜160℃の温度範囲が好ま
しい。また原料が(3)で示されるジイミノイソインド
リンである場合、反応温度は140〜200℃の温度範囲であ
ることが好ましい。また、環形成反応の触媒として、1,
8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、1,
5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン(DBN)などの補
助剤を添加してもよい。
【0020】
【化4】 式(2)、(3)中、Rは分岐のアルキル基を示し、X
はハロゲン原子を示し、nは0 ,1,2または3を示
す。
【0021】以上の条件で合成されたハロゲン化アルコ
キシフタロシアニンは、上記式(1)で示される。
【0022】好ましいハロゲン化アルコキシフタロシア
ニンは下記式(4)〜(7)で示されるものである。
【0023】
【化5】 式(4)〜(7)において、R、X、nおよびMetは
式(1)におけるR、X、nおよびMetとそれぞれ同
義である。
【0024】特に好ましいハロゲン化アルコキシフタロ
シアニンとしては、式(4)〜(7)中、Rで表わされ
る分岐のアルキル基が、第2、第3または第4級の炭素
原子を合計で2〜4個含有する基である。
【0025】本発明で用いられるアルコキシフタロニト
リル(2)またはアルコキシジイミノイソインドリン
(3)は、下記反応式(8)に示す方法により合成され
る。
【0026】
【化6】 出発物質の3-ニトロフタロニトリル、または4-ニトロフ
タロニトリルは、東京化成(株)より入手した。ニトロ
フタロニトリルよりアルコキシフタロニトリルへの第一
の反応は、NOUVEAU JOURNAL DE CHIMIE, VOL.6, NO.12,
pp653-58, 1982年に記載の方法を参照して行なった。
すなわち、アルコールを水素化ナトリウムと反応させて
ナトリウムアルコキシドとし、続いて、ニトロフタロニ
トリルと0〜100℃で反応させ、アルコキシフタロニ
トリルを得た。
【0027】ハロゲン化フタロニトリルの合成は、I.
T. HARRISONとS. HARRISONの共著"COMPENDIUM OF ORGAN
IC SYNTHETIC METHOD" 1〜6巻 WILEY-INTERSCIENCE刊記
載の方法によりアルコキシフタロニトリルをハロゲン化
した。その後、カラムクロマトグラフィにて分離精製し
た。上記ハロゲン化に使用できるハロゲン化剤として
は、塩素、臭素、沃素、塩化スルフリル、塩化チオニ
ル、塩化アンチモン、三塩化ヨウ素、塩化鉄(III)、
五塩化リン、塩化ホスホリル、次亜塩素酸t-ブチル、N-
クロロスクシニックイミド、臭化第1銅、4級アンモニ
ウムブロマイド、N-ブロモスクシニックイミド、一塩化
沃素、4級アンモニウムヨウダイド、3ヨウ化カリウム
などが好ましい。ハロゲン化剤の使用量は、1〜2モル
比を適宜用いる。 本発明に用いられるハロゲン化フタ
ロシアニン混合物は以下のようにして合成した。
【0028】下記式(9)〜(12)で表わされる異性
体の混合物を、有機溶剤と水との混合溶媒中、20℃〜
90℃でハロゲン化剤と反応させて、前記式(4)〜
(7)で示されるフタロシアニン混合物を合成した。
【0029】
【化7】 式(9)〜(12)において、R及びMetは式(4)
〜(7)におけるR及びMetとそれぞれ同義である。
【0030】有機溶剤と水との混合溶媒中でフタロシア
ニン化合物とハロゲン化剤とを反応させることにより、
副生成物のハロゲン化水素あるいはハロゲン化剤の塩等
が水に溶け出すために、フタロシアニン化合物が反応溶
媒である有機溶剤中から副生成物と共に析出することを
防ぎ、効率よくハロゲン化されるものと考えられる。
【0031】ハロゲン化剤としては、下記一般式(1
3) X−Y (13) 式(13)において、Xはハロゲン原子を表わし、Yは
ハロゲン化剤残基を表わす。で示される化合物が利用で
きる。Xのハロゲン原子としては、F,Cl,Br,I
が挙げられ、好ましくはBrである。Yのハロゲン化剤
残基としては、Cl,Br,I,SO2Cl,SOC
l,FeCl2,PCl2,PCl4,POCl2,CuB
r,4級アンモニウム、等が挙げられる。
【0032】ハロゲン化剤としては、塩素、臭素、沃
素、塩化スルフリル、塩化チオニル、塩化アンチモン、
三塩化ヨウ素、塩化鉄(III)、五塩化リン、塩化ホス
ホリル、次亜塩素酸t-ブチル、N-クロロスクシニックイ
ミド、臭化第1銅、4級アンモニウムブロマイド、N-ブ
ロモスクシニックイミド、一塩化沃素、4級アンモニウ
ムヨウダイド、3ヨウ化カリウムなどが挙げられる。特
に、臭素が好ましい。ハロゲン化剤の使用量は、希望す
るハロゲン導入量により1〜16モル比を適宜用いる。
【0033】反応温度としては、20〜90℃、好まし
くは40〜70℃である。反応温度が20℃より低いと
反応がうまく進行せず、また90℃を超えるとハロゲン
化率を制御することが困難になる。
【0034】有機溶剤は、実質的に水と混和しない、即
ち水と二層を形成するものである。式(9)〜(12)
のフタロシアニン混合物を溶解しうる溶媒であり、好ま
しくは、飽和炭化水素、エーテル、ハロゲン化炭化水
素、から選ばれる一種あるいは二種以上である。さらに
好ましくは、n-ヘキサン、n-ペンタン、n-オクタン、シ
クロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘ
キサン、ジメチルシクロヘキサン、テトラヒドロフラ
ン、n-ブチルエーテル、n-プロピルエーテル、イソプロ
ピルエーテル、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメ
タン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタ
ン、1,1,2,2-テトラクロロエタンから選ばれる一種ある
いは二種以上である。
【0035】有機溶剤の量としては、原料のフタロシア
ニン混合物に対して2〜500重量倍、好ましくは3〜200重
量倍である。その量はフタロシアニン混合物を溶解する
ことが必要であるが、2重量倍より少ないと反応途中で
固形物が析出し易くなり、反応を妨げ、一方、500重量
倍を超えると反応が遅くなり過ぎて不適切である。特に
1,1,2-トリクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン
を使用する場合には、その量は4〜10重量倍が好まし
い。
【0036】水の量としては、有機溶剤に対して0.05〜
10重量倍、好ましくは0.1〜5重量倍であり、水と有機
溶剤との界面を多く形成する比率であることが好まし
い。その量が0.05重量倍よりも少ないと、水を混合した
効果がなく、反応途中で固形物が析出し易くなり反応を
妨げる。一方、10重量倍を超えると溶剤の量が多くな
り過ぎて反応の効率が低下するため不適切である。
【0037】本発明の処理を行う前のハロゲン化アルコ
キシフタロシアニン化合物または混合物は多くの場合、
ある結晶状態をとっており、そのため、溶剤溶解性が低
い。すなわち、塗布液の所定の濃度まで溶解しなかった
り、溶剤に一旦溶解しても短時間で沈澱が発生したりし
ていたが、加熱処理・凍結乾燥を行うことにより会合状
態が切断され、アモルファス状態となり溶解性が著しく
向上する。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明の態様はこれにより何等限定されるもので
はない。
【0039】なお、実施例1〜6、8〜12、14〜1
6において、処理前後のフタロシアニン化合物または混
合物のX線回折図を示すが、X線回折の条件は以下に示
す通りである。
【0040】管球:Cu、管電圧:50kV、管電流:200m
A、ゴニオメータ:広角ゴニオメータ、サンプリング角
度:0.020°、スキャンスピード:8.0°/分、
走査軸:2θ/θ、フィルタ:Ni、発散スリット:1
°、散乱スリット:1°、蛍光スリット:0.15mm。
【0041】実施例1 下記式(14)
【0042】
【化8】 で示されるジイミノイソインドリン37.56g(145 mmol)、
塩化パラジウム6.38 g(36 mmol)、DBU22.07 g(145 m
mol)および1−オクタノール300 mlを室温で混合した
後、30分で還流温度まで昇温した。還流下5時間反応
させ、室温に冷却後、メタノール1000 ml中に排出し
た。析出した結晶を瀘過し、メタノール300 mlで洗浄し
た。60℃で乾燥したところ、下記式(15)、(16)、(17)及
び(18)の混合物35.8 gが得られた。収率は92%であっ
た。混合物は最大吸収波長λmax=692 nm,εmax=2.7
×105/トルエンであった。その生成比は液体クロマト
グラムの面積比から、(15)/(16)/(17)/(18)=86/9/3/2で
あった。
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】
【化11】
【0046】
【化12】 得られたフタロシアニン混合物30 g(27.89 mmol)を1,1,
2-トリクロロエタン180 g(125 mmol)に溶解させ、水60
g(60 ml)を加えた。次に臭素13.6 g(85.22 mmol)と1,1,
2-トリクロロエタン38 g(26 ml)との混合溶液を50〜55
℃で滴下し、55〜60℃で1時間反応させ、15%亜硫酸水
素ナトリウム水溶液30 gを加えて洗浄した。有機層をメ
タノール480 gに滴下し、析出した結晶をろ過し、下記
式(19)、(20)、(21)及び(22)で示される臭素化フタロシ
アニン混合物35.9 gを得た。
【0047】
【化13】
【0048】
【化14】
【0049】
【化15】
【0050】
【化16】 混合物は最大吸収波長λmax=711 nm, εmax=1.6×1
05g-1cm2、融点は215-45℃であった。
【0051】上記混合物35 g(X線回折図、図1)をp-
キシレン1リットルに溶解し、80℃で2時間加熱攪拌を
行い、室温に冷却後、共和真空(株)製トリオマスター
A型凍結乾燥機に入れ、-40℃まで冷却し溶液を凍結さ
せ、減圧下(300 mtorr)で乾燥機の棚を加温する熱媒を3
0℃まで昇温した。凍結したp-キシレンは徐々に昇華
し、凍結物は25℃まで温度が上昇し、25℃で安定した
(このときの圧力は200 mtorr)。乾燥機内を常圧に戻
し、p-キシレンが除去されたフタロシアニンを得た。こ
のフタロシアニンは30g/lの濃度でエチルシクロヘキサ
ンに溶解し、10時間後も沈澱は生じなかった。処理後
のX線回折図を図2に示す。処理前のものに比べ、ピー
クがブロードであり、アモルファス化していることが確
認された。尚、処理前のフタロシアニン混合物はエチル
シクロヘキサンに30g/lの濃度まで溶解しなかった。
【0052】実施例2 下記式(23)
【0053】
【化17】 で示されるフタロニトリル25.6 g(100 mm
ol)、DBU15.2g(100 mmol)および
1−ヘキサノール120 gを室温で混合し、110℃
まで昇温した。次に同温度で塩化パラジウム5.3 g
(30 mmol)を添加し、110℃〜120℃で1
2時間反応させ、室温に冷却後、不溶物を瀘過し、ろ液
を減圧濃縮して、メタノール400 mlを加え析出し
た結晶を瀘過し、メタノール100 mlで洗浄した。
60℃で乾燥したところ、下記式(24)、(25)、
(26)及び(27)の混合物25.9 gが得られ
た。収率は92%であった。混合物は最大吸収波長λ
max=694 nm, εmax=2.2×105-1cm2
(トルエン)であった。その生成比は液体クロマトグラ
ムの面積比から、(24)/(25)/(26)/(2
7)=48/49/2/1であった。
【0054】
【化18】
【0055】
【化19】
【0056】
【化20】
【0057】
【化21】 得られたフタロシアニン混合物10 g(8.84 mmol)を1,1,2
-トリクロロエタン56g(39 mmol)に溶解させ、水20 g
(20 ml)を加えた。次に臭素4.94 g(30.91 mmol)と1,1,2
-トリクロロエタン12 g(8 ml)との混合溶液を50〜55
℃で滴下し、55〜60℃で1時間反応させ、10%亜硫酸水
素ナトリウム水溶液20 gを加えて洗浄した。有機層をメ
タノール135 gに滴下し、析出した結晶をろ過し、下記
式(28)、(29)、(30)及び(31)で示される臭素化フタロシ
アニン混合物12 gを得た。
【0058】
【化22】
【0059】
【化23】
【0060】
【化24】
【0061】
【化25】 混合物は最大吸収波長λmax=705 nm, εmax=1.7×1
05g-1cm2、融点は268-86℃であった。
【0062】上記混合物10 g(X線回折図、図3)をp-
キシレン240 mlに溶解し、100℃で2時間加熱攪拌を行
い、室温に冷却後、実施例1の凍結乾燥機に入れ、-30
℃まで冷却し溶液を凍結させ、減圧下(250 mtorr)で
乾燥機の棚を加温する熱媒を30℃まで昇温した。凍結し
たp-キシレンは徐々に昇華し、凍結物は25℃まで温度が
上昇し、25℃で安定した(このときの圧力は150 mtor
r)。乾燥機内を常圧に戻し、p-キシレンが除去された
フタロシアニンを得た。このフタロシアニンは30g/lの
濃度でオクタンに溶解し、24時間後も沈澱は生じなか
った。処理後のX線回折図を図4に示す。処理前のもの
に比べ、ピークがブロードであり、アモルファス化して
いることが確認された。尚、処理前のフタロシアニン混
合物はオクタンに30g/lの濃度で溶解したが、8時間で
沈殿が生じた。
【0063】実施例3 下記式(32)
【0064】
【化26】 で示されるフタロニトリル24.2 g(100 mm
ol)、DBU15.2g(100 mmol)および
n−アミルアルコール100 gを室温で混合し、90
℃まで昇温した。次に同温度で塩化パラジウム5.3
g(30 mmol)を添加し、90℃〜100℃で1
2時間反応させ、室温に冷却後、不溶物を瀘過し、ろ液
を減圧濃縮して、メタノール400 mlを加え析出し
た結晶を瀘過し、メタノール100 mlで洗浄した。
60℃で乾燥したところ、前記式(15)、(16)、
(17)及び(18)の混合物24.6 gが得られ
た。収率は92%であった。混合物は最大吸収波長λ
max=690 nm, εmax=2.8×105-1cm2
(トルエン)であった。その生成比は液体クロマトグラ
ムの面積比から、(15)/(16)/(17)/(1
8)=48/48/2/2であった。
【0065】上記混合物(X線回折図、図5)20 g
をベンゼン400 mlに溶解し、80℃で3時間加熱
攪拌を行い、室温に冷却後、実施例1の凍結乾燥機に入
れ、−40℃まで冷却し溶液を凍結させ、減圧下(28
0 mtorr)で乾燥機の棚を加温する熱媒を30℃
まで昇温した。凍結したベンゼンは徐々に昇華し、凍結
物は25℃まで温度が上昇し、25℃で温度が一定にな
った(このときの圧力は140 mtorr)。乾燥機
内を常圧に戻し、ベンゼンが除去されたフタロシアニン
を得た。このフタロシアニンは30g/lの濃度でエチ
ルシクロヘキサンに溶解し、48時間後も沈澱の発生は
観測されなかった。処理後のX線回折図を図6に示す。
処理前のものに比べ、ピークがブロードであり、アモル
ファス化していることが確認された。尚、処理前のフタ
ロシアニン混合物はエチルシクロヘキサンに30g/l
の濃度で溶解したが、6時間で沈殿が生じた。
【0066】実施例4 下記式(33)
【0067】
【化27】 で示されるジイミノイソインドリン9.83 g(36
mmol)、塩化パラジウム1.59 g(9 mm
ol)、DBU5.47 g(36 mmol)および
n−オクチルアルコール50mlを室温で混合した後、
還流下5時間反応させた。室温に冷却後、メタノール2
00 ml中に排出した。析出した結晶を瀘過し、メタ
ノール100 mlで洗浄した。60℃で乾燥したとこ
ろ、下記式(34)、(35)、(36)及び(37)
の混合物12.0 gが得られた。収率は92%であっ
た。混合物は最大吸収波長λmax=692 nm, ε
max=2.5×105-1cm2(トルエン)であった。
その生成比は液体クロマトグラムの面積比から、(3
4)/(35)/(36)/(7)=90/5/3/2
であった。
【0068】
【化28】
【0069】
【化29】
【0070】
【化30】
【0071】
【化31】 得られたフタロシアニン混合物10 g(8.84 mmol)を1,1,
2,2-テトラクロロエタン48 g(30 mmol)に溶解させ、水
20 g(20 ml)を加えた。次に臭素5.51 g(34.48mmol)と
1,1,2,2-テトラクロロエタン16 g(10 ml)との混合溶
液を50〜55℃で滴下し、55〜60℃で1時間反応させ、10
%亜硫酸水素ナトリウム水溶液25 gを加えて洗浄した。
有機層をメタノール158 gに滴下し、析出した結晶をろ
過し、下記式(38)、(39)、(40)及び(41)で示される臭素
化フタロシアニン混合物12.5gを得た。
【0072】
【化32】
【0073】
【化33】
【0074】
【化34】
【0075】
【化35】 混合物は最大吸収波長λmax=709 nm, εmax=1.4×1
05g-1cm2、融点は201-28℃であった。
【0076】上記混合物(X線回折図、図7)10 gをp-
キシレン100 mlに溶解し、100℃で2時間加熱攪拌を行
い、室温に冷却後、実施例1の凍結乾燥機に入れ、-40
℃まで冷却し溶液を凍結させ、減圧下(250 mtorr)で
乾燥機の棚を加温する熱媒を40℃まで昇温した。凍結
したp-キシレンは徐々に昇華し、凍結物は35℃まで温度
が上昇し、35℃で安定した(このときの圧力は150 mtor
r)。乾燥機内を常圧に戻し、p-キシレンが除去された
フタロシアニンを得た。このフタロシアニンは30g/lの
濃度でエチルシクロヘキサンに溶解し、48時間後も沈
澱は生じなかった。処理後のX線回折図を図8に示す。
処理前のものに比べ、ピークがブロードであり、アモル
ファス化していることが確認された。尚、処理前のフタ
ロシアニン混合物はエチルシクロヘキサンに30g/lの濃
度で溶解したが、8時間で沈殿が生じた。
【0077】実施例5 前記式(32)で示されるフタロニトリル24.2 g
(100 mmol)、DBU15.2 g(100
mmol)およびn−アミルアルコール130gを室温
で混合し、95℃まで昇温した。次に同温度で塩化銅
(I)2.5g(25 mmol)を添加し、95℃〜
105℃で10時間反応させ、室温に冷却後、不溶物を
瀘過し、ろ液を減圧濃縮して、メタノール500 ml
を加え析出した結晶を瀘過し、メタノール100 ml
で洗浄した。60℃で乾燥したところ、下記式(4
2)、(43)、(44)及び(45)の混合物24.
0gが得られた。収率は93%であった。混合物は最大
吸収波長λmax=708nm, εmax=2.8×105
-1cm2(トルエン)であった。その生成比は液体ク
ロマトグラムの面積比から、(42)/(43)/(4
4)/(45)=46/47/4/3であった。
【0078】
【化36】
【0079】
【化37】
【0080】
【化38】
【0081】
【化39】 得られたフタロシアニン混合物20 g(18.59 mmol)を1,1,
2-トリクロロエタン120 g(83 mmol)に溶解させ、水40 g
(40 ml)を加えた。次に臭素9.1 g(56.81 mmol)と1,1,2-
トリクロロエタン25 g(18 ml)との混合溶液を50〜55℃
で滴下し、55〜60℃で1時間反応させ、15%亜硫酸水素
ナトリウム水溶液20 gを加えて洗浄した。有機層をメタ
ノール320 gに滴下し、析出した結晶をろ過し、下記式
(46)、(47)、(48)及び(49)で示される臭素化フタロシア
ニン混合物23.9 gを得た。
【0082】
【化40】
【0083】
【化41】
【0084】
【化42】
【0085】
【化43】 混合物は最大吸収波長λmax=715 nm, εmax=1.6×1
05g-1cm2、融点は222-52℃であった。
【0086】上記混合物(X線回折図、図9)20 gをp-
キシレン400 mlに溶解し、100℃で2時間加熱攪拌を行
い、室温に冷却後、実施例1の凍結乾燥機に入れ、-40
℃まで冷却し溶液を凍結させ、減圧下(240 mtorr)で乾
燥機の棚を加温する熱媒を30℃まで昇温した。凍結した
p-キシレンは徐々に昇華し、凍結物は30℃まで温度が上
昇し、30℃で安定した(このときの圧力は140 mtor
r)。乾燥機内を常圧に戻し、p-キシレンが除去された
フタロシアニンを得た。このフタロシアニンは30g/lの
濃度でオクタンに溶解し、24時間後も沈澱は生じなか
った。処理後のX線回折図を図10に示す。処理前のも
のに比べ、ピークがブロードであり、アモルファス化し
ていることが確認された。尚、処理前のフタロシアニン
混合物はオクタンに30g/lの濃度で溶解したが、9時間
で沈殿が生じた。
【0087】実施例6 前記式(33)で示されるジイミノイソインドリン4
9.15 g(180mmol)、塩化第一銅4.45
g(45 mmol)、DBU27.35g(180
mmol)およびn−オクチルアルコール250ml
を室温で混合した後、還流下5時間反応させた。室温に
冷却後、メタノール1000 ml中に排出した。析出
した結晶を瀘過し、メタノール500 mlで洗浄し
た。60℃で乾燥したところ、下記式(50)、(5
1)、(52)及び(53)の混合物52.8 gが得
られた。収率は92%であった。混合物は最大吸収波長
λma x=699 nm, εmax=2.1×105-1
2(トルエン)であった。その生成比は液体クロマト
グラムの面積比から、(50)/(51)/(52)/
(53)=90/5/3/2であった。
【0088】
【化44】
【0089】
【化45】
【0090】
【化46】
【0091】
【化47】 得られたフタロシアニン混合物50 g(44.2 mmol)を1,1,
2,2-テトラクロロエタン240 g(150 mmol)に溶解させ、
水100 g(100 ml)を加えた。次に臭素27.55 g(172.4
mmol)と1,1,2,2-テトラクロロエタン80 g(50 ml)との
混合溶液を50〜55℃で滴下し、55〜60℃で1時間反応さ
せ、10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液125gを加えて洗浄
した。有機層をメタノール790 gに滴下し、析出した結
晶をろ過し、下記式(54)、(55)、(56)及び(57)で示され
る臭素化フタロシアニン混合物62.5 gを得た。
【0092】
【化48】
【0093】
【化49】
【0094】
【化50】
【0095】
【化51】 混合物は最大吸収波長λmax=712 nm, εmax=1.4×1
05g-1cm2、融点は210-32℃であった。
【0096】上記混合物(X線回折図、図11)40 gを
ベンゼン1000 mlに溶解し、80℃で3時間加熱攪拌を行
い、室温に冷却後、実施例1の凍結乾燥機に入れ、-40
℃まで冷却し溶液を凍結させ、減圧下(270 mtorr)で
乾燥機の棚を加温する熱媒を30℃まで昇温した。凍結
したベンゼンは徐々に昇華し、凍結物は28℃まで温度が
上昇し、28℃で安定した(このときの圧力は190 mtor
r)。乾燥機内を常圧に戻し、ベンゼンが除去されたフ
タロシアニンを得た。このフタロシアニンは30g/lの濃
度でエチルシクロヘキサンに溶解し、24時間後も沈澱
は生じなかった。処理後のX線回折図を図12に示す。
処理前のものに比べ、ピークがブロードであり、アモル
ファス化していることが確認された。尚、処理前のフタ
ロシアニン混合物はエチルシクロヘキサンに30g/lの濃
度で溶解したが、9時間で沈殿が生じた。
【0097】実施例7実施例 1で調製したエチルシクロヘキサン溶液を基板に
塗布し、CD−R媒体を作製した。作製した光ディスク
は、反射率71%、線速1.3m/sで感度7.6 m
W、ブロックエラーレート18であり、CD−Rの規格
を満足するものであった。
【0098】実施例8実施例 1の処理前のフタロシアニン混合物30 gをト
ルエン600 mlに溶解し、100℃で2時間加熱撹
拌を行ない、室温に冷却後、エバポレーターで溶媒を留
去し、60℃で残渣を乾燥させた。このようにして処理
されたフタロシアニンは30g/lの濃度でエチルシクロヘ
キサンに溶解し、10時間後も沈澱は生じなかった。処
理後のX線回折図を図13に示す。処理前のものに比
べ、ピークがブロードであり、アモルファス化している
ことが確認された。
【0099】実施例9実施例 3の処理前のフタロシアニン混合物20gをエチ
ルベンゼン350mlに溶解し、130℃で6時間加熱
撹拌を行ない、室温に冷却後、エバポレーターで溶媒を
留去し、60℃で残渣を乾燥させた。このようにして処
理されたフタロシアニンは30g/lの濃度でエチルシクロ
ヘキサンに溶解し、12時間後も結晶の析出は観測され
なかった。処理後のX線回折図を図14に示す。処理前
のものに比べ、ピークがブロードであり、アモルファス
化していることが確認された。
【0100】実施例10実施例 2の処理前のフタロシアニン混合物10gをイソ
プロピルベンゼン240mlに溶解し、150℃で2時
間加熱撹拌を行ない、室温に冷却後、エバポレーターで
溶媒を留去し、60℃で残渣を乾燥させた。このように
して処理されたフタロシアニンは30g/lの濃度でオクタ
ンに溶解し、24時間後も沈変化は見られなかった。処
理後のX線回折図を図15に示す。処理前のものに比
べ、ピークがブロードであり、アモルファス化している
ことが確認された。
【0101】実施例11実施例 4の処理前のフタロシアニン混合物10gをキシ
レン400mlに溶解し、135℃で2時間加熱撹拌を
行ない、室温に冷却後、エバポレーターで溶媒を留去
し、60℃で残渣を乾燥させた。このようにして処理さ
れたフタロシアニンは30g/lの濃度でオクタンに溶解
し、24時間後も変化は見られなかった。処理後のX線
回折図を図16に示す。処理前のものに比べ、ピークが
ブロードであり、アモルファス化していることが確認さ
れた。
【0102】実施例12実施例 5の処理前のフタロシアニン混合物20gをキシ
レン800mlに溶解し、135℃で2時間加熱撹拌を
行ない、室温に冷却後、エバポレーターで溶媒を留去
し、60℃で残渣を乾燥させた。このようにして処理さ
れたフタロシアニンは30g/lの濃度でオクタンに溶解
し、24時間後も沈澱の生成は観測されなかった。処理
後のX線回折図を図17に示す。処理前のものに比べ、
ピークがブロードであり、アモルファス化していること
が確認された。
【0103】実施例13実施例 8で調製したエチルシクロヘキサン溶液をポリカ
ーボネート基板に塗布し、CD−R媒体を作製した。作
製した媒体は、反射率71%、線速1.3m/sで感度
7.6mW、ブロックエラーレート17であり、CD−
Rの規格を満足するものであった。
【0104】実施例14 下記式(58)で示されるフタロニトリル10 g、塩化パラジ
ウム2 g、DBU4 gとn-アミルアルコール200gを混合
し、95℃で24時間反応させた。
【0105】
【化52】 反応混合物はメタノール1000mlに排出し、析出したター
ルをカラムクロマトにて分離精製し、下記式(59)2 g、
(60)2 g、(61)0.5g及び(62)0.5gを得た。各々の物性値
は下表−1に示す通りであった。
【0106】
【化53】
【0107】
【化54】
【0108】
【化55】
【0109】
【化56】
【0110】
【表1】 得られた式(59)の化合物(X線回折図、図18)2gをp-
キシレン50mlに溶解し、100℃で2時間加熱攪拌を行
い、室温に冷却後、実施例1の凍結乾燥機に入れ、-40
℃まで冷却して溶液を凍結させ、減圧下(240mTorr)で
乾燥機の棚を加温する熱媒を30℃まで昇温した。凍結
したp-キシレンは徐々に昇華し、凍結物は30℃まで温
度が上昇し、30℃で温度が一定になった(この時の圧
力は130mTorr)。乾燥機内を常圧に戻し、p-キシレンが
除去されたフタロシアニンを得た。処理したフタロシア
ニンは30g/lの濃度でジメチルシクロヘキサンに溶解
し、24時間後も沈澱の発生は観測されなかった。処理
後のX線回折図を図19に示す。処理前の物に比べ、ピ
ークがブロードであり、アモルファス化していることが
確認された。尚、処理前のフタロシアニンはジメチルシ
クロヘキサンに30g/lの濃度で溶解したが、8時間で沈
澱が生じた。
【0111】実施例15実施例 14で得られた(59)〜(62)の混合物(X線回折図、
図20)5gをトルエン100mlに溶解し、100℃で2.5時
間加熱攪拌を行い、室温に冷却後、エバポレーターで溶
媒を溜去し、60℃で残さを乾燥させた。処理したフタ
ロシアニンは30g/lの濃度でオクタンに溶解し、24時
間後も沈澱の発生は観測されなかった。処理後のX線回
折図を図21に示す。処理前の物に比べ、ピークがブロ
ードであり、アモルファス化していることが確認され
た。
【0112】実施例16 前記式(58)で示されるフタロニトリル5 g、下記式(63)
で示されるフタロニトリル5 g、塩化パラジウム2 g、D
BU4 gとn-アミルアルコール200gを混合し、95℃で
24時間反応させた。
【0113】
【化57】 反応混合物をメタノール1000mlに排出し、析出したター
ルをカラムクロマトにて分離精製し、下記式(64)0.1
g、(65)0.1 g、(66)0.5g及び(67)0.3gを得た。各々の物
性値は下表−2に示す通りであった。
【0114】
【化58】
【0115】
【化59】
【0116】
【化60】
【0117】
【化61】
【0118】
【表2】 上記混合物(X線回折図、図22)1gをp-キシレン20ml
に溶解し、100℃で2時間加熱攪拌を行い、室温に冷
却後、実施例1の凍結乾燥機に入れ、-40℃まで冷却し
て溶液を凍結させ、減圧下(260mTorr)で乾燥機の棚を
加温する熱媒を30℃まで昇温した。凍結したp-キシレ
ンは徐々に昇華し、凍結物は28℃まで温度が上昇し、
28℃で温度が一定になった(この時の圧力は130mTor
r)。乾燥機内を常圧に戻し、p-キシレンが除去された
フタロシアニンを得た。処理したフタロシアニンは30g/
lの濃度でジメチルシクロヘキサンに溶解し、24時間
後も沈澱の発生は観測されなかった。処理後のX線回折
図を図23に示す。処理前の物に比べ、ピークがブロー
ドであり、アモルファス化していることが確認された。
尚、処理前のフタロシアニンはジメチルシクロヘキサン
に30g/lの濃度で溶解したが、9時間で沈澱が生じた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の処理前のフタロシアニンのX線回折
図である。
【図2】実施例1の処理後のフタロシアニンのX線回折
図である。
【図3】実施例2の処理前のフタロシアニンのX線回折
図である。
【図4】実施例2の処理後のフタロシアニンのX線回折
図である。
【図5】実施例3の処理前のフタロシアニンのX線回折
図である。
【図6】実施例3の処理後のフタロシアニンのX線回折
図である。
【図7】実施例4の処理前のフタロシアニンのX線回折
図である。
【図8】実施例4の処理後のフタロシアニンのX線回折
図である。
【図9】実施例5の処理前のフタロシアニンのX線回折
図である。
【図10】実施例5の処理後のフタロシアニンのX線回
折図である。
【図11】実施例6の処理前のフタロシアニンのX線回
折図である。
【図12】実施例6の処理後のフタロシアニンのX線回
折図である。
【図13】実施例8の処理後のフタロシアニンのX線回
折図である。
【図14】実施例9の処理後のフタロシアニンのX線回
折図である。
【図15】実施例10の処理後のフタロシアニンのX線
回折図である。
【図16】実施例11の処理後のフタロシアニンのX線
回折図である。
【図17】実施例12の処理後のフタロシアニンのX線
回折図である。
【図18】実施例14の処理前のフタロシアニンのX線
回折図である。
【図19】実施例14の処理後のフタロシアニンのX線
回折図である。
【図20】実施例14で得られた混合物の処理前のX線
回折図である。
【図21】実施例15の処理後のフタロシアニンのX線
回折図である。
【図22】実施例16の処理前のフタロシアニンのX線
回折図である。
【図23】実施例16の処理後のフタロシアニンのX線
回折図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G02B 5/22 G02F 1/137 G02F 1/137 G11B 7/24 516 G11B 7/24 516 B41M 5/26 Y (72)発明者 相原 伸 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 伊藤 尚登 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−80965(JP,A) 特開 平3−62878(JP,A) 特開 昭61−157560(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09B 67/50 C09B 47/18 C09B 67/12

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性のフタロシアニン化合物またはそ
    の混合物を有機溶媒中で加熱した後、該有機溶媒を減圧
    溜去することを特徴とする下記一般式(1) 【化1】 [式(1)中、Rは分岐のアルキル基を示し、Xはハロ
    ゲン原子を表わし、nはXの数を表わすもので、0から
    4である。Metは2価の金属原子、3価または4価の
    金属誘導体、またはオキシ金属を表わす。]で表わされ
    る化合物または混合物であるアルコキシフタロシアニン
    のスピンコート用有機溶媒への溶解性の向上したアモル
    ファス体の製造方法。
  2. 【請求項2】 有機溶媒中での加熱温度が50から25
    0℃である請求項1の製造方法。
  3. 【請求項3】 有機溶媒が芳香族系有機溶媒である請求
    項1又は2の製造方法。
  4. 【請求項4】 芳香族系有機溶媒がトルエン、エチルベ
    ンゼン、イソプロピルベンゼンまたはキシレンである請
    求項3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 結晶性のフタロシアニン化合物またはそ
    の混合物を有機溶媒中で加熱した後、該有機溶媒溶液を
    凍結乾燥させることを特徴とする下記一般式(1) 【化2】 [式(1)中、Rは分岐のアルキル基を示し、Xはハロ
    ゲン原子を表わし、nはXの数を表わすもので、0から
    4である。Metは2価の金属原子、3価または4価の
    金属誘導体、またはオキシ金属を表わす。]で表わされ
    る化合物または混合物であるアルコキシフタロシアニン
    のスピンコート用有機溶媒への溶解性の向上したアモル
    ファス体の製造方法。
  6. 【請求項6】 凍結乾燥に用いる有機溶媒の凝固点が−
    40から40℃である請求項5の製造方法。
  7. 【請求項7】 加熱温度が50から250℃である請求
    項5又は6の製造方法。
  8. 【請求項8】 凍結温度が−50から0℃である請求項
    5〜7の何れか1項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 凍結後の乾燥機の棚を加熱する熱媒の温
    度が−30から70℃である請求項5〜8の何れか1項
    に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 凍結後の乾燥機の棚を加熱する熱媒の
    温度が0から70℃である請求項9の製造方法。
  11. 【請求項11】 乾燥時の圧力が1000から10mT
    orrである請求項5〜10の何れか1項に記載の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 乾燥時の圧力が1000から100m
    Torrである請求項11の製造方法。
  13. 【請求項13】 有機溶媒がベンゼンまたはp−キシレ
    ンである請求項5〜12の何れか1項に記載の製造方
    法。
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