JP3485227B2 - 置換ベンゼンジチオール金属錯体およびその製造方法 - Google Patents

置換ベンゼンジチオール金属錯体およびその製造方法

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JP3485227B2 JP21940896A JP21940896A JP3485227B2 JP 3485227 B2 JP3485227 B2 JP 3485227B2 JP 21940896 A JP21940896 A JP 21940896A JP 21940896 A JP21940896 A JP 21940896A JP 3485227 B2 JP3485227 B2 JP 3485227B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、金属錯体およびそ
の製造方法、特に、置換ベンゼンジチオール金属錯体お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】各種光記録ディスクの記録層
には、光情報記録媒体として、耐熱性および耐水性の良
好なインドレニン系シアニン色素が好ましく用いられて
いる(特開昭59−24692号公報等)。ところが、
インドレニン系シアニン色素は、再生光の繰返し照射に
よる再生劣化や明室保存下での光劣化が生じ易いため、
当該色素を用いた記録層は長期間安定に使用するのが困
難である。このため、インドレニン系シアニン色素を用
いて記録層を形成する場合は、一重項酸素クエンチャー
として機能し得る金属錯体を当該色素に混合し、この混
合物を溶媒に溶解した塗布液を光記録ディスクの樹脂基
体に塗布して記録層を形成するようにしている(例え
ば、特開昭59−55794号公報等)。
【0003】ところで、上述のような一重項酸素クエン
チャーとして機能し得る金属錯体としては、光情報記録
媒体として用いることもでき、しかもインドレニン系シ
アニン色素の再生劣化や光劣化を有効に防止することが
できる点で、ビス(フェニレンジチオール)系金属錯体
が好ましく用いられている。しかし、ビス(フェニレン
ジチオール)系金属錯体は、溶媒に対する溶解度が極め
て小さい。例えば、従来から知られている4−tert
−ブチル−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体は、光
記録ディスクの樹脂基体を侵食するおそれが少ないアル
コール類、例えばメタノールに対する溶解度が0.2g
/100g(25℃)程度でしかない。
【0004】本発明の目的は、光情報記録媒体または一
重項酸素クエンチャーとして有用であり、しかも溶媒に
対する溶解度の大きな新規な金属錯体を実現することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決するために鋭意検討した結果、下記の一般式
(1)で示される新規な置換金属ベンゼンジチオール金
属錯体を見出した。また、下記の一般式(2)で示され
る置換ベンゼンジチオール化合物が一般式(1)で示さ
れる金属錯体の製造用中間体として有用であることを見
出し、本発明に到達した。
【0006】即ち、本発明に係る置換ベンゼンジチオー
ル金属錯体は、下記の一般式(1)で示されるものであ
る。
【0007】
【化11】
【0008】式中、
【0009】
【化12】
【0010】また、Mは遷移金属を、A+ は第4級アン
モニウム基をそれぞれ示している。ここで、Mで示され
る遷移金属は、通常、銅、コバルトまたはニッケルであ
る。
【0011】本発明に係る置換ベンゼンジチオール金属
錯体は、例えば、下記の一般式(1−a)で示される4
−N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ベンゼン
ジチオール金属錯体である。
【0012】
【化13】
【0013】式中、Mは遷移金属を、A+ は第4級アン
モニウム基をそれぞれ示している。また、本発明に係る
他の置換ベンゼンジチオール金属錯体は、例えば、下記
の一般式(1−b)で示される4−ピペリジルスルホニ
ル−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体である。
【0014】
【化14】
【0015】式中、Mは遷移金属を、Aは第4級アンモ
ニウム基をそれぞれ示している。さらに、本発明に係る
他の置換ベンゼンジチオール金属錯体は、例えば、下記
の一般式(1−c)で示される4−モルホリノスルホニ
ル−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体である。
【0016】
【化15】
【0017】式中、Mは遷移金属を、A+ は第4級アン
モニウム基をそれぞれ示している。本発明に係る上述の
一般式(1)で示される置換ベンゼンジチオール金属錯
体は、下記の一般式(2)で示される置換ベンゼンジチ
オール化合物を、遷移金属の塩および第4級アンモニウ
ム塩と反応させる工程を含む製造方法により製造するこ
とができる。
【0018】
【化16】
【0019】一般式(2)中、Rは一般式(1)の場合
と同じである。ここで用いられる遷移金属の塩は、例え
ば、銅塩、コバルト塩またはニッケル塩である。また、
この製造方法では、通常、置換ベンゼンジチオール化合
物を、アルコキシドの存在下で遷移金属の塩および第4
級アンモニウム塩と反応させる。
【0020】本発明に係る置換ベンゼンジチオール化合
物は、下記の一般式(2)で示される。
【0021】
【化17】
【0022】式中、Rは一般式(1)の場合と同じであ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明に係る置換ベンゼンジチオ
ール金属錯体は、下記の一般式(1)で示される。
【0024】
【化18】
【0025】式中、Rは、下記の通りである。
【0026】
【化19】
【0027】ここで、R1 のアルキル基としては、具体
的にはメチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロ
ピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基およびse
c−ブチル基を挙げることができる。
【0028】また、一般式(1)において、Mは遷移金
属を示している。ここで、遷移金属は、特に限定される
ものではないが、例えば、銅、コバルトおよびニッケル
を挙げることができる。
【0029】さらに、一般式(1)において、A+ は、
第4級アンモニウム基を示している。具体的には、テト
ラ−n−ブチルアンモニウム基、テトラエチルアンモニ
ウム基、テトラフェニルアンモニウム基、テトラベンジ
ルアンモニウム基、トリメチルベンジルアンモニウム基
を例示することができる。
【0030】なお、上述の一般式(1)で示される置換
ベンゼンジチオール金属錯体の具体例としては、例え
ば、下記の一般式(1−a)で示される4−N,N−ジ
エチルスルファモイル−1,2−ベンゼンジチオール金
属錯体、下記の一般式(1−b)で示される4−ピペリ
ジルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体
および下記の一般式(1−c)で示される4−モルホリ
ノスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体を
挙げることができる。なお、一般式(1−a)、(1−
b)および(1−c)において、MおよびA+ は、上述
の一般式(1)の場合と同様である。
【0031】
【化20】
【0032】
【化21】
【0033】
【化22】
【0034】次に、上述の一般式(1)で示される置換
ベンゼンジチオール金属錯体の製造方法について説明す
る。一般式(1)で示される置換ベンゼンジチオール金
属錯体は、1,2−ジブロモベンゼンを出発原料とし、
これから合成される中間体を経て合成することができ
る。以下、製造方法を工程毎に具体的に説明する。
【0035】(工程1)この工程では、溶媒中で1,2
−ジブロモベンゼンを発煙硫酸と反応させ、3,4−ジ
ブロモベンゼンスルホン酸を合成する。ここで用いる発
煙硫酸の量は、SO3 を基準として1,2−ジブロモベ
ンゼンに対して1.0〜2.0倍モルに設定するのが好
ましく、1.1〜1.5倍モルに設定するのがより好ま
しい。また、この反応で用いられる溶媒は、クロロホル
ム、四塩化炭素、1,2−エチレンジクロライド等のハ
ロゲン化炭化水素溶媒が好ましい。
【0036】反応時の温度は、50〜100℃の範囲に
設定するのが好ましく、65〜80℃に設定するのがよ
り好ましい。また、反応時間は、反応温度により最適条
件が異なるが、通常1〜4時間である。
【0037】(工程2)工程1で得られた3,4−ジブ
ロモベンゼンスルホン酸に塩化チオニルを反応させて
3,4−ジブロモベンゼンスルホニルクロライドを合成
する。ここで用いる塩化チオニルの使用量は、通常、
3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸に対して1.0〜
2.5倍モル、好ましくは1.5〜2.2倍モルであ
る。
【0038】この反応の際には、工程1の場合と同様
に、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−エチレンジク
ロライドなどのハロゲン化炭化水素溶媒が好ましく用い
られる。ここで、工程1の場合と同様の溶媒を用いる
と、反応を連続して行なうことができるため、作業効率
性や収率等の点で有利である。また、反応温度は、50
〜100℃に設定するのが好ましく、65〜80℃に設
定するのがより好ましい。さらに、反応時間は、反応温
度により最適条件が異なるが、通常1〜4時間である。
【0039】(工程3)工程2で得られた3,4−ジブ
ロモベンゼンスルホニルクロライドに対して下記の一般
式(a)または(b)で示される化合物、或いは式
(c)で示されるモルホリンを反応させ、4−置換スル
ホニル−1,2−ジブロモベンゼンを合成する。なお、
一般式(a)中のR1 および一般式(b)中のnは、上
述の一般式(1)の場合と同様である。
【0040】
【化23】
【0041】ここで、上述の一般式(1−a)で示され
る4−N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ベン
ゼンジチオール金属錯体を製造する場合には、一般式
(a)の化合物としてR1 がエチル基であるジエチルア
ミンを用いる。また、上述の一般式(1−b)で示され
る4−ピペリジルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオ
ール金属錯体を製造する場合には、一般式(b)の化合
物としてnが5であるピペリジンを用いる。さらに、上
述の一般式(1−c)で示される4−モルホリノスルホ
ニル−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体を製造する
場合は、式(c)で示されるモルホリンを用いる。
【0042】この反応の際に用いられる上述の一般式
(a)または(b)で示される化合物、或いは式(c)
で示されるモルホリンの使用量は、通常、工程2で用い
た3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸に対して1.5
〜4.0倍モル、好ましくは2.0〜3.0倍モルであ
る。
【0043】この反応の際には、工程2の場合と同様
に、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−エチレンジク
ロライドなどのハロゲン化炭化水素溶媒が好ましく用い
られる。ここで、工程2の場合と同様の溶媒を用いる
と、反応を連続して行なうことができるため、作業効率
性や収率等の点で有利である。また、反応温度は、15
〜40℃に設定するのが好ましく、20〜30℃に設定
するのがより好ましい。さらに、反応時間は、反応温度
により最適条件が異なるが、通常1〜3時間である。
【0044】なお、この工程において得られる4−置換
スルホニル−1,2−ジブロモベンゼンは、下記の一般
式(3)で示される。一般式(3)中のRは、上述の一
般式(1)中のRと同様である。
【0045】
【化24】
【0046】(工程4)工程3で得られた4−置換スル
ホニル−1,2−ジブロモベンゼンの臭素基をメルカプ
ト基に置換し、下記の一般式(2)で示される4−置換
スルホニル−1,2−ベンゼンジチオールを合成する。
なお、一般式(2)中のRは、上述の一般式(1)中の
Rと同様である。
【0047】
【化25】
【0048】ここでは、例えば特開平6−25151号
公報や特開平5−117225号公報に記載された方法
に従って、臭素基とメルカプト基との置換を行なうこと
ができる。具体的には、工程3で得られた4−置換スル
ホニル−1,2−ジブロモベンゼンを、鉄粉と硫黄末と
を触媒として水硫化ナトリウムと反応させると、臭素基
がメルカプト基に置換され、目的とする4−置換スルホ
ニル−1,2−ベンゼンジチオールが得られる。
【0049】ここで用いられる水硫化ナトリウムの使用
量は、通常、4−置換スルホニル−1,2−ジブロモベ
ンゼンに対して1.5〜4.0倍モル、好ましくは1.
8〜2.5倍モルである。また、触媒として用いる鉄粉
の使用量は、通常、4−置換スルホニル−1,2−ジブ
ロモベンゼンに対して0.4〜2.0倍モル、好ましく
は0.5〜1.0倍モルである。さらに、触媒として用
いる硫黄末の使用量は、通常、4−置換スルホニル−
1,2−ジブロモベンゼンの1.0〜20.0重量%、
好ましくは1.0〜5.0重量%である。
【0050】なお、この工程での反応温度は、60〜1
40℃に設定するのが好ましく、70〜120℃に設定
するのがより好ましい。
【0051】(工程5)工程4で得られた4−置換スル
ホニル−1,2−ベンゼンジチオールを低級アルコール
中において遷移金属の塩および第4級アンモニウム塩と
反応させ、一般式(1)で示される置換ベンゼンジチオ
ール金属錯体を得る。
【0052】ここで用いられる低級アルコールとして
は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、tert−ブタノールなどを挙げることができる。
このうち、経済性の点でメタノールを用いるのが好まし
い。
【0053】また、遷移金属の塩としては、目的とする
置換ベンゼンジチオール金属錯体の一般式(1)中に含
まれる遷移金属(M)の塩が用いられる。遷移金属の塩
の具体例としては、塩化銅(II),塩化コバルト,塩
化ニッケル(II),臭化銅(II),臭化コバルト,
ヨウ化コバルトおよびヨウ化ニッケルなどの遷移金属の
ハロゲン化物、硝酸銅,硝酸コバルトなどの硝酸塩、硫
酸銅,硫酸コバルトなどの硫酸塩、酢酸銅,酢酸コバル
トなどの酢酸塩を挙げることができる。なお、遷移金属
の塩として好ましいものは、経済性や反応性等の点でハ
ロゲン化物、特に塩化物である。
【0054】なお、遷移金属の塩の使用量は、4−置換
スルホニル−1,2−ベンゼンジチオールに対して0.
3〜10倍モルに設定するのが好ましい。0.3倍モル
未満の場合は収率が低く、逆に10倍モルを超えて使用
しても収率は向上せず不経済である。
【0055】さらに、第4級アンモニウム塩としては、
目的とする置換ベンゼンジチオール金属錯体の一般式
(1)中に含まれる第4級アンモニウム基(A+ )の塩
が用いられる。具体的には、テトラ−n−ブチルアンモ
ニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムク
ロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テト
ラエチルアンモニウムクロライド、テトラフェニルアン
モニウムブロマイド、テトラフェニルアンモニウムクロ
ライド、テトラベンジルアンモニウムブロマイド、テト
ラベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジ
ルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモ
ニウムクロライドなどを例示することができる。なお、
これらの第4級アンモニウム塩のうち好ましいものは、
経済性や反応性等の点でテトラ−n−ブチルアンモニウ
ムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロラ
イド、テトラエチルアンモニウムブロマイドおよびテト
ラエチルアンモニウムクロライドである。
【0056】このような第4級アンモニウム塩の使用量
は、4−置換スルホニル−1,2−ベンゼンジチオール
に対して0.3〜1.0倍モルに設定するのが好まし
く、0.4〜0.9倍モルに設定するのがより好まし
い。0.3倍モル未満の場合は収率が低く、逆に1.0
倍モルを超えて使用しても収率は向上せず不経済であ
る。
【0057】なお、この工程での反応は、収率を高める
ことができることから、アルコキシドの存在下で実施す
るのが好ましい。ここで利用可能なアルコキシドとして
は、例えばナトリウムメチラート、ナトリウムエチラー
ト、カリウム−tert−ブチラートなどが挙げられる
が、経済性の点でナトリウムメチラートを用いるのが好
ましい。
【0058】このようなアルコキシドを用いる場合、そ
の使用量は、4−置換スルホニル−1,2−ベンゼンジ
チオールに対して1.5〜10倍モルに設定するのが好
ましく、2.0〜3.0倍モルに設定するのがより好ま
しい。1.5倍モル未満の場合は収率が高まりにくく、
逆に10倍モルを超えて使用しても収率は向上せず不経
済である。
【0059】この工程での反応温度は、15〜40℃に
設定するのが好ましく、20〜35℃に設定するのがよ
り好ましい。なお、反応時間は、反応温度により最適条
件が異なるが、通常1〜3時間である。
【0060】上述の工程を経て得られる本発明の置換ベ
ンゼンジチオール金属錯体は、光情報記録媒体または一
重項酸素クエンチャーとして有用であり、また、従来よ
り知られているビス(フェニレンジチオール)系の金属
錯体と比較してアルコール等の溶媒に対して良好な溶解
性を示すので、光記録ディスクの樹脂基体に記録層を形
成するための塗布液を容易に調製することができる。
【0061】
【実施例】実施例1(置換ベンゼンジチオール金属錯体の製造) 撹拌装置、冷却器および温度計を装着した300mlの
四つ口フラスコを用意し、これに1,2−エチレンジク
ロライド120gおよび1,2−ジブロモベンゼン76
g(0.32モル)を加えて窒素ガスを緩やかに通じな
がら60%発煙硫酸56g(0.42モル)を滴下し、
70℃で2時間反応させた。反応生成液を冷却後に濾過
して乾燥し、95gの粗3,4−ジブロモベンゼンスル
ホン酸を得た。
【0062】次に、撹拌装置、冷却器および温度計を装
着した500mlの四つ口フラスコを用意し、これに得
られた粗3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸95g、
1,2−エチレンジクロライド225g、N,N−ジメ
チルホルムアミド28.5gを加え、さらに塩化チオニ
ル73g(0.61モル)を滴下して60〜65℃で1
時間反応させた。この反応生成液を室温まで冷却した後
に水460g中に滴下し、0〜10℃で0.5時間撹拌
した。
【0063】得られた反応生成液を分液し、水層を除去
して得られた有機層290gにジエチルアミン58g
(0.79モル)を滴下して室温で1時間反応させた。
これに水200gをさらに添加し、分液して水層を除去
した後に溶媒を減圧留去して4−N,N−ジエチルスル
ファモイル−1,2−ジブロモベンゼン87gを得た。
収率は73%であった。
【0064】得られた4−N,N−ジエチルスルファモ
イル−1,2−ジブロモベンゼン10gに、N,N−ジ
メチルホルムアミド50g、鉄粉1.2g(0.022
モル)および硫黄末0.4g(0.013モル)を加
え、さらに70%水硫化ナトリウム5.0g(0.06
2モル)をN,N−ジメチルホルムアミド50gに溶解
させた液を滴下し、95℃で2時間反応させた。
【0065】この溶液に、10%ナトリウムメチラート
−メタノール溶液30g(ナトリウムメチラートとして
0.056モル)を滴下して1時間撹拌した後、塩化ニ
ッケル(II)6水和物3.2g(0.014モル)を
メタノール10gに溶解させた溶液をさらに滴下して7
2℃で1時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後
に31%テトラブチルアンモニウムブロマイド−メタノ
ール溶液14.6g(テトラブチルアンモニウムブロマ
イドとして0.014モル)を滴下し、室温で2時間撹
拌して反応させた。
【0066】得られた反応液を濃縮し、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにより精製を行なった。留分を濃
縮し、目的とする濃緑色の4−N,N−ジエチルスルフ
ァモイル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の
固体5.2gを得た。収率は4−N,N−ジエチルスル
ファモイル−1,2−ジブロモベンゼンに対して45%
であった。なお、得られた4−N,N−ジエチルスルフ
ァモイル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の
構造式は下記の通りである。
【0067】
【化26】
【0068】得られた4−N,N−ジエチルスルファモ
イル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の分析
値および物性値を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】実施例2(置換ベンゼンジチオール金属錯
体の製造) 実施例1において用いた塩化ニッケル(II)6水和物
3.2g(0.014モル)の代わりに塩化第二銅・2
水和物2.3g(0.014モル)を用いた以外は実施
例1と同様の操作を行ない、目的とする濃緑色の4−
N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ベンゼンジ
チオール銅錯体の固体4.8gを得た。収率は4−N,
N−ジエチルスルファモイル−1,2−ジブロモベンゼ
ンに対して42%であった。なお、得られた4−N,N
−ジエチルスルファモイル−1,2−ベンゼンジチオー
ル銅錯体の構造式は下記の通りである。
【0071】
【化27】
【0072】得られた4−N,N−ジエチルスルファモ
イル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の分析値およ
び物性値を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】実施例3(置換ベンゼンジチオール化合物
の製造) 1,2−ジブロモベンゼンを出発原料として実施例1と
同様の操作により得られた4−N,N−ジエチルスルフ
ァモイル−1,2−ジブロモベンゼン10g(0.02
7モル)に、N,N−ジメチルホルムアミド50g、鉄
粉1.2g(0.022モル)および硫黄末0.4g
(0.013モル)を加え、70%水硫化ナトリウム
4.8g(0.060モル)をN,N−ジメチルホルム
アミド50gに溶解させた液を滴下して95℃で2時間
反応させた。
【0075】これを室温まで冷却後、モノクロロベンゼ
ン240gおよび水60gを添加し、塩酸で中和した後
に分液して水層を除去した。得られた有機層に2%水酸
化ナトリウム水溶液を添加し、これを分液して有機層を
除去した後、さらに6%硫酸を滴下して得られた結晶を
濾過、乾燥し、4−N,N−ジエチルスルファモイル−
1,2−ベンゼンジチオール6.0gを得た。収率は、
4−N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ジブロ
モベンゼンに対して80%であった。
【0076】得られた4−N,N−ジエチルスルファモ
イル−1,2−ベンゼンジチオールの構造式は下記の通
りであり、また、その分析値および物性値を表3に示
す。
【0077】
【化28】
【0078】
【表3】
【0079】実施例4(置換ベンゼンジチオール金属錯
体の製造) 実施例3で得られた4−N,N−ジエチルスルファモイ
ル−1,2−ベンゼンジチオール5.5g(0.020
モル)をメタノール24gに溶解した。この溶液に、1
0%ナトリウムメチラート−メタノール溶液23.8g
(ナトリウムメチラートとして0.044モル)を滴下
し、1時間撹拌した後に塩化ニッケル(II)6水和物
1.8g(0.0076モル)をメタノール5.6gに
溶解させた液をさらに滴下して72℃で1時間反応させ
た。これを室温まで冷却した後に、31%テトラブチル
アンモニウムブロマイド−メタノール溶液10.3g
(テトラブチルアンモニウムブロマイドとして0.00
99モル)を滴下し、室温で2時間撹拌して反応させ
た。
【0080】得られた反応液を濃縮し、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにより精製を行なった。留分を濃
縮し、濃緑色の4−N,N−ジエチルスルファモイル−
1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の固体5.7
gを得た。収率は、4−N,N−ジエチルスルファモイ
ル−1,2−ベンゼンジチオールに対して68%であっ
た。
【0081】実施例5(置換ベンゼンジチオール金属錯
体の製造) 撹拌装置、冷却器および温度計を装着した300mlの
四つ口フラスコを用意し、これに1,2−エチレンジク
ロライド90gおよび1,2−ジブロモベンゼン45g
(0.19モル)を加えて窒素ガスを緩やかに通じなが
ら30%発煙硫酸53.5g(0.20モル)を滴下
し、70℃で2時間反応させた。反応生成液を冷却後に
濾過して乾燥し、57gの粗3,4−ジブロモベンゼン
スルホン酸を得た。
【0082】次に、撹拌装置、冷却器および温度計を装
着した500mlの四つ口フラスコを用意し、これに得
られた粗3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸57g、
1,2−エチレンジクロライド155g、N,N−ジメ
チルホルムアミド18gを加えて塩化チオニル38g
(0.32モル)を滴下し、60〜65℃で1時間反応
させた。この反応生成液を室温まで冷却した後に水30
0g中に滴下し、0〜10℃で0.5時間撹拌した。
【0083】得られた反応生成液を分液し、水層を除去
して得られた有機層191gにピペリジン35.7g
(0.42モル)を滴下して室温で1時間反応させた。
さらに水150gを添加し、分液して水層を除去した後
に溶媒を減圧留去し、4−ピペリジルスルホニル−1,
2−ジブロモベンゼン53.5gを得た。収率は73%
であった。
【0084】得られた4−ピペリジルスルホニル−1,
2−ジブロモベンゼン10g(0.026モル)に、
N,N−ジメチルホルムアミド50g、鉄粉0.8g
(0.014モル)および硫黄末0.4g(0.013
モル)を加え、さらに70%水硫化ナトリウム4.6g
(0.057モル)をN,N−ジメチルホルムアミド5
0gに溶解させた液を滴下して100℃で2時間反応さ
せた。
【0085】この溶液に、10%ナトリウムメチラート
−メタノール溶液31.2g(ナトリウムメチラートと
して0.057モル)を滴下して1時間撹拌した後、塩
化ニッケル(II)6水和物3.4g(0.014モ
ル)をメタノール10gに溶解させた溶液をさらに滴下
して室温で1時間反応させた。その後、32%テトラブ
チルアンモニウムブロマイド−メタノール溶液14.6
g(テトラブチルアンモニウムブロマイドとして0.0
15モル)を滴下し、室温で2時間撹拌して反応させ
た。
【0086】得られた反応液を濃縮し、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにより精製を行なった。留分を濃
縮し、目的とする濃緑色の4−ピペリジルスルホニル−
1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の固体1.8
gを得た。収率は4−ピペリジルスルホニル−1,2−
ジブロモベンゼンに対して16%であった。なお、得ら
れた4−ピペリジルスルホニル−1,2−ベンゼンジチ
オールニッケル錯体の構造式は下記の通りである。
【0087】
【化29】
【0088】得られた4−ピペリジルスルホニル−1,
2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の分析値および物
性値を表4に示す。
【0089】
【表4】
【0090】実施例6(置換ベンゼンジチオール金属錯
体の製造) 実施例5において用いた塩化ニッケル(II)・6水和
物3.4gの代わりに塩化第二銅・2水和物2.5g
(0.015モル)を用いた以外は実施例5と同様の操
作を行ない、目的とする濃緑色の4−ピペリジルスルホ
ニル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の固体5.1
gを得た。収率は4−ピペリジルスルホニル−1,2−
ジブロモベンゼンに対して45%であった。なお、得ら
れた4−ピペリジルスルホニル−1,2−ベンゼンジチ
オール銅錯体の構造式は下記の通りである。
【0091】
【化30】
【0092】得られた4−ピペリジルスルホニル−1,
2−ベンゼンジチオール銅錯体の分析値および物性値を
表5に示す。
【0093】
【表5】
【0094】実施例7(置換ベンゼンジチオール化合物
の製造) 1,2−ジブロモベンゼンを出発原料として実施例5と
同様の操作により得られた4−ピペリジルスルホニル−
1,2−ジブロモベンゼン10g(0.026モル)
に、N,N−ジメチルホルムアミド50g、鉄粉0.8
g(0.014モル)および硫黄末0.4g(0.01
3モル)を加え、これに70%水硫化ナトリウム4.6
g(0.057モル)をN,N−ジメチルホルムアミド
50gに溶解させた液を滴下して100℃で2時間反応
させた。
【0095】これを室温まで冷却後、モノクロロベンゼ
ン120gおよび水30gを添加し、塩酸で中和した後
に分液して水層を除去した。得られた有機層に2%水酸
化ナトリウム水溶液を添加し、これを分液して有機層を
除去した後、さらに6%硫酸を滴下して得られた結晶を
濾過、乾燥し、4−ピペリジルスルホニル−1,2−ベ
ンゼンジチオール5.6gを得た。収率は、1,2−ジ
ブロモベンゼンに対して54%であった。
【0096】得られた4−ピペリジルスルホニル−1,
2−ベンゼンジチオールの構造式は下記の通りであり、
また、その分析値および物性値を表6に示す。
【0097】
【化31】
【0098】
【表6】
【0099】実施例8(置換ベンゼンジチオール金属錯
体の製造) 実施例7で得られた4−ピペリジルスルホニル−1,2
−ベンゼンジチオール5g(0.017モル)をメタノ
ール20gに溶解した。この溶液に、10%ナトリウム
メチラート−メタノール溶液20g(ナトリウムメチラ
ートとして0.037モル)を滴下して1時間撹拌した
後に、塩化ニッケル(II)6水和物2.0g(0.0
084モル)をメタノール15gに溶解させた液をさら
に滴下して室温で1時間反応させた。その後、30%テ
トラブチルアンモニウムブロマイド−メタノール溶液
9.0g(テトラブチルアンモニウムブロマイドとして
0.0084モル)を滴下し、室温で24時間撹拌して
反応させた。
【0100】得られた反応液を濃縮し、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにより精製を行なった。留分を濃
縮し、濃緑色の4−ピペリジルスルホニル−1,2−ベ
ンゼンジチオールニッケル錯体の固体1.6gを得た。
収率は、4−ピペリジルスルホニル−1,2−ベンゼン
ジチオールに対して21%であった。
【0101】
【発明の効果】本発明によれば、光情報記録媒体または
一重項酸素クエンチャーとして有用であり、しかも溶媒
に対する溶解度の大きな置換ベンゼンジチオール金属錯
体を提供することができる。
【0102】また、本発明の製造方法によれば、光情報
記録媒体または一重項酸素クエンチャーとして有用な置
換ベンゼンジチオール金属錯体を製造することができ
る。さらに、本発明によれば、光情報記録媒体または一
重項酸素クエンチャーとして有用な置換ベンゼンジチオ
ール金属錯体を製造するための中間体である置換ベンゼ
ンジチオール化合物および置換ジブロモベンゼン化合物
を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−55794(JP,A) 特開 昭59−24692(JP,A) 特開 昭60−54892(JP,A) 特開 昭60−36190(JP,A) 特開 昭63−307854(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 1/08,15/04,15/06 C07C 323/67 C07D 295/22 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式(1)で示される置換ベンゼ
    ンジチオール金属錯体。 【化1】 (式中、 【化2】 Mは、遷移金属を示す。A+ は、第4級アンモニウム基
    を示す。)
  2. 【請求項2】前記遷移金属が、銅、コバルトまたはニッ
    ケルである、請求項1に記載の置換ベンゼンジチオール
    金属錯体。
  3. 【請求項3】下記の一般式(1−a)で示される4−
    N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ベンゼンジ
    チオール金属錯体。 【化3】 (式中、Mは遷移金属を、A+ は第4級アンモニウム基
    をそれぞれ示す。)
  4. 【請求項4】下記の一般式(1−b)で示される4−ピ
    ペリジルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール金属
    錯体。 【化4】 (式中、Mは遷移金属を、A+ は第4級アンモニウム基
    をそれぞれ示す。)
  5. 【請求項5】下記の一般式(1−c)で示される4−モ
    ルホリノスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール金属
    錯体。 【化5】 (式中、Mは遷移金属を、A+ は第4級アンモニウム基
    をそれぞれ示す。)
  6. 【請求項6】下記の一般式(2)で示される置換ベンゼ
    ンジチオール化合物を、遷移金属の塩および第4級アン
    モニウム塩と反応させる工程を含む、下記の一般式
    (1)で示される置換ベンゼンジチオール金属錯体の製
    造方法。 【化6】 【化7】 (一般式(1)および(2)中、 【化8】 Mは、遷移金属を示す。A+ は、第4級アンモニウム基
    を示す。)
  7. 【請求項7】前記遷移金属が、銅、コバルトまたはニッ
    ケルである、請求項6に記載の置換ベンゼンジチオール
    金属錯体の製造方法。
  8. 【請求項8】前記置換ベンゼンジチオール化合物を、ア
    ルコキシドの存在下で前記遷移金属の塩および前記第4
    級アンモニウム塩と反応させる、請求項6または7に記
    載の置換ベンゼンジチオール金属錯体の製造方法。
  9. 【請求項9】下記の一般式(2)で示される置換ベンゼ
    ンジチオール化合物。 【化9】 (式中、 【化10】
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