JP3922596B2 - 置換ベンゼンジチオール金属錯体およびその製法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、金属錯体およびその製造方法、特に、置換ベンゼンジチオール金属錯体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
各種光記録ディスクの記録層には、光情報記録媒体として、耐熱性および耐水性の良好なインドレニン系シアニン色素が好ましく用いられている(特開昭59−24692号公報等)。ところが、インドレニン系シアニン色素は、再生光の繰返し照射による再生劣化や明室保存下での光劣化が生じ易いため、当該色素を用いた記録層は長期間安定に使用するのが困難である。このため、インドレニン系シアニン色素を用いて記録層を形成する場合は、一重項酸素クエンチャーとして機能し得る金属錯体を当該色素に混合し、この混合物を溶媒に溶解した塗布液を光記録ディスクの樹脂基体に塗布して記録層を形成するようにしている(例えば、特開昭59−55794号公報等)。このような金属錯体は、一重項酸素クエンチャーとして機能し得るだけではなく、さらに光情報記録媒体そのものとしても利用可能なものであれば、より広汎な有用性が期待できる。
【0003】
本発明の目的は、光情報記録媒体または一重項酸素クエンチャーとして有用な金属錯体を実現することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、下記の一般式(1)で示される新規な置換金属ベンゼンジチオール金属錯体を見出した。また、下記の一般式(2)で示される置換ベンゼンジチオール化合物および下記の一般式(3)で示される置換ジブロモベンゼン化合物が一般式(1)で示される金属錯体の製造用中間体として有用であることを見出し、本発明に到達した。
【0005】
即ち、本発明に係る置換ベンゼンジチオール金属錯体は、下記の一般式(1)で示されるものである。
【0006】
【化7】
【0007】
式中、Rはアリール基を、Mは遷移金属を、A+ は第4級アンモニウム基をそれぞれ示している。ここで、遷移金属は、通常、銅、コバルトまたはニッケルである。
このような置換ベンゼンジチオール金属錯体は、例えば、下記の一般式(1−a)で示される4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体である。
【0008】
【化8】
【0009】
式中、Mは遷移金属を、A+ は第4級アンモニウム基をそれぞれ示している。また、本発明に係る置換ベンゼンジチオール金属錯体の製造方法は、上述の一般式(1)で示される置換ベンゼンジチオール金属錯体の製造方法である。この方法は、下記の一般式(2)で示される置換ベンゼンジチオール化合物を、遷移金属の塩および第4級アンモニウム塩と反応させる工程を含んでいる。
【0010】
【化9】
【0011】
式中、Rはアリール基を示している。
この製造方法において用いられる遷移金属の塩は、例えば、銅塩、コバルト塩またはニッケル塩である。また、この製造方法では、通常、置換ベンゼンジチオール化合物を、アルコキシドの存在下で遷移金属の塩および第4級アンモニウム塩と反応させる。
【0012】
本発明に係る置換ベンゼンジチオール化合物は、下記の一般式(2)で示されるものである。
【0013】
【化10】
【0014】
式中、Rはアリール基を示している。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る置換ベンゼンジチオール金属錯体は、下記の一般式(1)で示される。
【0018】
【化12】
【0019】
一般式(1)中、Rはアリール基を示している。ここでのアリール基は、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基および炭素数が1〜4の置換基を有するアリール基を挙げることができる。なお、炭素数が1〜4の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基およびsec−ブチル基を挙げることができる。
【0020】
また、一般式(1)において、Mは遷移金属を示している。ここで、遷移金属は、特に限定されるものではないが、例えば、銅、コバルトおよびニッケルを挙げることができる。
【0021】
さらに、一般式(1)において、A+ は、第4級アンモニウム基を示している。具体的には、テトラ−n−ブチルアンモニウム基、テトラエチルアンモニウム基、テトラフェニルアンモニウム基、テトラベンジルアンモニウム基、トリメチルベンジルアンモニウム基を例示することができる。
【0022】
なお、上述の一般式(1)で示される置換ベンゼンジチオール金属錯体の具体例としては、例えば、下記の一般式(1−a)で示される4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体を挙げることができる。一般式(1−a)において、MおよびA+ は、上述の一般式(1)の場合と同様である。
【0023】
【化13】
【0024】
次に、上述の一般式(1)で示される置換ベンゼンジチオール金属錯体の製造方法について説明する。
一般式(1)で示される置換ベンゼンジチオール金属錯体は、1,2−ジブロモベンゼンを出発原料とし、これから合成される中間体を経て合成することができる。以下、製造方法を工程毎に具体的に説明する。
【0025】
(工程1)
この工程では、溶媒中で1,2−ジブロモベンゼンを発煙硫酸と反応させ、3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸を合成する。
ここで用いる発煙硫酸の量は、SO3 を基準として1,2−ジブロモベンゼンに対して1.0〜2.0倍モルに設定するのが好ましく、1.1〜1.5倍モルに設定するのがより好ましい。また、この反応で用いられる溶媒は、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−エチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素溶媒が好ましい。
【0026】
反応時の温度は、50〜100℃の範囲に設定するのが好ましく、65〜80℃に設定するのがより好ましい。また、反応時間は、反応温度により最適条件が異なるが、通常1〜4時間である。
【0027】
(工程2)
工程1で得られた3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸に塩化チオニルを反応させて3,4−ジブロモベンゼンスルホニルクロライドを合成する。
ここで用いる塩化チオニルの使用量は、通常、3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸に対して1.0〜2.5倍モル、好ましくは1.5〜2.2倍モルである。
【0028】
この反応の際には、工程1の場合と同様に、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−エチレンジクロライドなどのハロゲン化炭化水素溶媒やベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒が好ましく用いられる。ここで、次の工程3において用いる一般式(a)の化合物としてベンゼンを用いる場合は、溶媒としてベンゼンを用いると本工程と次の工程3とを連続して実施することができるため、作業効率性や収率等の点で有利である。また、反応温度は、50〜80℃に設定するのが好ましく、55〜75℃に設定するのがより好ましい。さらに、反応時間は、反応温度により最適条件が異なるが、通常1〜4時間である。
【0029】
(工程3)
工程2で得られた3,4−ジブロモベンゼンスルホニルクロライドを下記の一般式(a)で示される化合物中に溶解させ、この溶液に塩化アルミニウムを添加して反応させて4−アリールスルホニル−1,2−ジブロモベンゼン(置換ジブロモベンゼン化合物)を合成する。なお、一般式(a)中のRは、上述の一般式(1)の場合と同様である。
【0030】
【化14】
RH ・・・(a)
【0031】
ここで、上述の一般式(1−a)で示される4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体を製造する場合には、一般式(a)の化合物としてRがフェニル基であるベンゼンを用いる。
【0032】
この反応の際に用いられる上述の一般式(a)で示される化合物の使用量は、通常、工程2で得られた3,4−ジブロモベンゼンスルホニルクロライドに対して1.0倍モル以上であるが、上述のように溶媒としても用いられているため、その分を考慮すると8.0〜15.0倍モルに設定するのが好ましい。
【0033】
また、この工程で用いられる塩化アルミニウムの使用量は、3,4−ジブロモベンゼンスルホニルクロライドに対して0.5〜2.5倍モルに設定するのが好ましく、1.0〜1.5倍モルに設定するのがより好ましい。
【0034】
この工程での反応温度は、15〜40℃に設定するのが好ましく、20〜30℃に設定するのがより好ましい。また、反応時間は、反応温度により最適条件が異なるが、通常1〜3時間である。
【0035】
なお、この工程において得られる4−アリールスルホニル−1,2−ジブロモベンゼンは、下記の一般式(3)で示される。一般式(3)中のRは、上述の一般式(1)中のRと同様である。
【0036】
【化15】
【0037】
(工程4)
工程3で得られた4−アリールスルホニル−1,2−ジブロモベンゼンの臭素基をメルカプト基に置換し、下記の一般式(2)で示される4−アリールスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールを合成する。なお、一般式(2)中のRは、上述の一般式(1)中のRと同様である。
【0038】
【化16】
【0039】
ここでは、例えば特開平6−25151号公報や特開平5−117225号公報等に記載された方法に従って、臭素基とメルカプト基との置換を行なうことができる。具体的には、工程3で得られた4−アリールスルホニル−1,2−ジブロモベンゼンを、鉄粉と硫黄末とを触媒として水硫化ナトリウムと反応させると、臭素基がメルカプト基に置換され、目的とする4−アリールスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールが得られる。
【0040】
ここで用いられる水硫化ナトリウムの使用量は、通常、4−アリールスルホニル−1,2−ジブロモベンゼンに対して1.5〜4.0倍モル、好ましくは1.8〜2.5倍モルである。また、触媒として用いる鉄粉の使用量は、通常、4−アリールスルホニル−1,2−ジブロモベンゼンに対して0.4〜2.0倍モル、好ましくは0.5〜1.0倍モルである。さらに、触媒として用いる硫黄末の使用量は、通常、4−アリールスルホニル−1,2−ジブロモベンゼンの1.0〜20.0重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%である。
【0041】
なお、この工程での反応温度は、60℃以上に設定するのが好ましく、70〜120℃に設定するのがより好ましい。
【0042】
(工程5)
工程4で得られた4−アリールスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールを低級アルコール中において遷移金属の塩および第4級アンモニウム塩と反応させ、一般式(1)で示される置換ベンゼンジチオール金属錯体を得る。
【0043】
ここで用いられる低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノールなどを挙げることができる。このうち、経済性の点でメタノールを用いるのが好ましい。
【0044】
また、遷移金属の塩としては、目的とする置換ベンゼンジチオール金属錯体の一般式(1)中に含まれる遷移金属(M)の塩が用いられる。遷移金属の塩の具体例としては、塩化銅(II),塩化コバルト,塩化ニッケル(II),臭化銅(II),臭化コバルト,ヨウ化コバルトおよびヨウ化ニッケルなどの遷移金属のハロゲン化物、硝酸銅,硝酸コバルトなどの硝酸塩、硫酸銅,硫酸コバルトなどの硫酸塩、酢酸銅,酢酸コバルトなどの酢酸塩を挙げることができる。なお、遷移金属の塩として好ましいものは、経済性や反応性等の点でハロゲン化物、特に塩化物である。
【0045】
なお、遷移金属の塩の使用量は、4−アリールスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールに対して0.3〜10倍モルに設定するのが好ましい。0.3倍モル未満の場合は収率が低く、逆に10倍モルを超えて使用しても収率は向上せず不経済である。
【0046】
さらに、第4級アンモニウム塩としては、目的とする置換ベンゼンジチオール金属錯体の一般式(1)中に含まれる第4級アンモニウム基(A+ )の塩が用いられる。具体的には、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラフェニルアンモニウムブロマイド、テトラフェニルアンモニウムクロライド、テトラベンジルアンモニウムブロマイド、テトラベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどを例示することができる。なお、これらの第4級アンモニウム塩のうち好ましいものは、経済性や反応性等の点でテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイドおよびテトラエチルアンモニウムクロライドである。
【0047】
このような第4級アンモニウム塩の使用量は、4−アリールスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールに対して0.3〜1.0倍モルに設定するのが好ましく、0.4〜0.9倍モルに設定するのがより好ましい。0.3倍モル未満の場合は収率が低く、逆に1.0倍モルを超えて使用しても収率は向上せず不経済である。
【0048】
なお、この工程での反応は、収率を高めることができることから、アルコキシドの存在下で実施するのが好ましい。ここで利用可能なアルコキシドとしては、例えばナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウム−tert−ブチラートなどが挙げられるが、経済性の点でナトリウムメチラートを用いるのが好ましい。
【0049】
このようなアルコキシドを用いる場合、その使用量は、4−アリールスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールに対して1.5〜10倍モルに設定するのが好ましく、2.0〜3.0倍モルに設定するのがより好ましい。1.5倍モル未満の場合は収率が高まりにくく、逆に10倍モルを超えて使用しても収率は向上せず不経済である。
【0050】
この工程での反応温度は、60〜100℃に設定するのが好ましく、65〜90℃に設定するのがより好ましい。なお、反応時間は、反応温度により最適条件が異なるが、通常1〜3時間である。
【0051】
上述の工程を経て得られる本発明の置換ベンゼンジチオール金属錯体は、光情報記録媒体そのものとして、または一重項酸素クエンチャーとして有用である。
【0052】
【実施例】
実施例1(置換ベンゼンジチオール金属錯体の製造)
撹拌装置、冷却器および温度計を装着した300mlの四つ口フラスコを用意し、これに1,2−エチレンジクロライド80gおよび1,2−ジブロモベンゼン51g(0.22モル)を加えて窒素ガスを緩やかに通じながら60%発煙硫酸38g(0.29モル)を滴下し、70℃で2時間反応させた。反応生成液を冷却後に濾過して乾燥し、51gの粗3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸を得た。
【0053】
次に、撹拌装置、冷却器および温度計を装着した500mlの四つ口フラスコを用意し、これに得られた粗3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸51g、ベンゼン155g(1.98モル)、N,N−ジメチルホルムアミド20gを加え、さらに塩化チオニル27g(0.23モル)を滴下して60〜65℃で1時間反応させた。この反応生成液を室温まで冷却した後に水300g中に滴下し、0〜10℃で0.5時間撹拌した。
【0054】
得られた反応生成液を分液し、水層を除去して得られた有機層280gに塩化アルミニウム28g(0.21モル)を添加して75℃で1時間反応させた。これに水300gをさらに添加し、分液して水層を除去した後に溶媒を減圧留去して4−フェニルスルホニル−1,2−ジブロモベンゼン38gを得た。収率は47%であった。
【0055】
得られた4−フェニルスルホニル−1,2−ジブロモベンゼンの構造式は下記の通りであり、また、その分析値および物性値を表1に示す。
【0056】
【化17】
【0057】
【表1】
【0058】
次に、得られた4−フェニルスルホニル−1,2−ジブロモベンゼン5.1g(0.014モル)に、N,N−ジメチルホルムアミド35g、鉄粉0.7g(0.013モル)および硫黄末0.3g(0.0094モル)を加え、さらに70%水硫化ナトリウム2.5g(0.031モル)をN,N−ジメチルホルムアミド25gに溶解させた液を滴下し、95℃で2時間反応させた。
【0059】
この溶液に、11%ナトリウムメチラート−メタノール溶液15.6g(ナトリウムメチラートとして0.0285モル)を滴下して1時間撹拌した後、塩化ニッケル(II)6水和物1.7g(0.0072モル)をメタノール6gに溶解させた溶液をさらに滴下して72℃で1時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後に25%テトラブチルアンモニウムブロマイド−メタノール溶液9.3g(テトラブチルアンモニウムブロマイドとして0.0071モル)を滴下し、室温で2時間撹拌して反応させた。
【0060】
得られた反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行なった。留分を濃縮し、目的とする濃緑色の4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の固体2.8gを得た。収率は4−フェニルスルホニル−1,2−ジブロモベンゼンに対して48%であった。なお、得られた4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の構造式は下記の通りである。
【0061】
【化18】
【0062】
得られた4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の分析値および物性値を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
実施例2(置換ベンゼンジチオール金属錯体の製造)
実施例1において用いた塩化ニッケル(II)6水和物1.7gの代わりに塩化第二銅・2水和物1.2g(0.0070モル)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行ない、目的とする濃緑色の4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の固体3.3gを得た。収率は4−フェニルスルホニル−1,2−ジブロモベンゼンに対して57%であった。なお、得られた4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の構造式は下記の通りである。
【0065】
【化19】
【0066】
得られた4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の分析値および物性値を表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】
実施例3(置換ベンゼンジチオール化合物の製造)
1,2−ジブロモベンゼンを出発原料として実施例1と同様の操作により得られた4−フェニルスルホニル−1,2−ジブロモベンゼン5g(0.013モル)に、N,N−ジメチルホルムアミド35g、鉄粉0.7g(0.013モル)および硫黄末0.3g(0.0094モル)を加え、70%水硫化ナトリウム2.5g(0.031モル)をN,N−ジメチルホルムアミド25gに溶解させた液を滴下して95℃で2時間反応させた。
【0069】
これを室温まで冷却後、モノクロロベンゼン120gおよび水30gを添加し、塩酸で中和した後に分液して水層を除去した。得られた有機層に2%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、これを分液して有機層を除去した後、さらに6%硫酸を滴下して得られた結晶を濾過、乾燥し、4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール3.0gを得た。収率は、1,2−ジブロモベンゼンに対して80%であった。
【0070】
得られた4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールの構造式は下記の通りであり、また、その分析値および物性値を表4に示す。
【0071】
【化20】
【0072】
【表4】
【0073】
実施例4(置換ベンゼンジチオール金属錯体の製造)
実施例3で得られた4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール2.5g(0.0089モル)をメタノール10gに溶解した。
この溶液に、10%ナトリウムメチラート−メタノール溶液10.5g(ナトリウムメチラートとして0.0194モル)を滴下し、1時間撹拌した後に塩化ニッケル(II)6水和物1.1g(0.0046モル)をメタノール5.0gに溶解させた液をさらに滴下して72℃で1時間反応させた。これを室温まで冷却した後に、31%テトラブチルアンモニウムブロマイド−メタノール溶液4.8g(テトラブチルアンモニウムブロマイドとして0.0046モル)を滴下し、室温で2時間撹拌して反応させた。
【0074】
得られた反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行なった。留分を濃縮し、濃緑色の4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の固体1.8gを得た。収率は、4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールに対して47%であった。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、光情報記録媒体または一重項酸素クエンチャーとして有用な置換ベンゼンジチオール金属錯体を提供することができる。
【0076】
また、本発明の製造方法によれば、光情報記録媒体または一重項酸素クエンチャーとして有用な置換ベンゼンジチオール金属錯体を製造することができる。
さらに、本発明によれば、光情報記録媒体または一重項酸素クエンチャーとして有用な置換ベンゼンジチオール金属錯体を製造するための中間体である置換ベンゼンジチオール化合物を提供することができる。
Claims (7)
- 前記遷移金属が、銅、コバルトまたはニッケルである、請求項1に記載の置換ベンゼンジチオール金属錯体。
- 前記遷移金属が、銅、コバルトまたはニッケルである、請求項4に記載の置換ベンゼンジチオール金属錯体の製造方法。
- 前記置換ベンゼンジチオール化合物を、アルコキシドの存在下で前記遷移金属の塩および前記第4級アンモニウム塩と反応させる、請求項4または5に記載の置換ベンゼンジチオール金属錯体の製造方法。
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