JP2859702B2 - フタロニトリル化合物 - Google Patents

フタロニトリル化合物

Info

Publication number
JP2859702B2
JP2859702B2 JP2155498A JP15549890A JP2859702B2 JP 2859702 B2 JP2859702 B2 JP 2859702B2 JP 2155498 A JP2155498 A JP 2155498A JP 15549890 A JP15549890 A JP 15549890A JP 2859702 B2 JP2859702 B2 JP 2859702B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
parts
phthalocyanine
substrate
recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2155498A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03215466A (ja
Inventor
伸 相原
忠彦 水莖
純夫 広瀬
万助 松本
洋二郎 熊谷
俊裕 政岡
雅一 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
YAMAMOTO KASEI KK
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
YAMAMOTO KASEI KK
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by YAMAMOTO KASEI KK, Mitsui Chemicals Inc filed Critical YAMAMOTO KASEI KK
Priority to JP2155498A priority Critical patent/JP2859702B2/ja
Publication of JPH03215466A publication Critical patent/JPH03215466A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2859702B2 publication Critical patent/JP2859702B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、光記録、表示センサーなどオプトエレク
トロニクスの分野において、重要な役割を果たす近赤外
線吸収剤、その中間体、および市販のコンパクトディス
クドライブ、即ちCDプレーヤーに対して互換性があって
追記することが可能である光記録媒体に関するものであ
り、更に詳細には、半導体レーザーによって画像、音
声、コードデーターなどの各種情報の記録が可能であり
記録された情報は、市販CD、またはCD−ROMのプレーヤ
ーにより読出しが可能である光記録媒体に関する。
〔従来の技術〕
CD、あるいはCD−ROMは、大容量、高速アクセスのデ
ジタル記録媒体として音声、画像、コードデーターなど
の保存再生用に、大量に利用されている。しかし、これ
らの全ては一旦記録後は再生専用であり記録の更新が不
可能である。
磁気テープ同様に、ユーザーなどが所望の情報のみを
記録、記録の更新、編集をすることなどが可能である、
所謂、追記型であって、しかもCDまたはCD−ROMのプレ
ーヤーに対する互換性共用性を有する光記録媒体が望ま
れている。
テルルなど無機薄膜、または近赤外線吸収剤のシアニ
ンなど有機色素を記録層にした追記可能の光記録媒体は
既に開発され市場に提供されているが、これら追記可能
の光記録媒体は反射率が低く従来既存のCDドライブによ
っては記録した情報を検出再生することができない。
インジウムゲルマニウムを記録層とし高反射率の追記
が可能な媒体が開発されているが、CDの規格を完全に満
足させてはいないために、一部のCDプレーヤーのみによ
る再生が可能であって、しかも、この媒体は信頼性にお
いて欠けている。
一方、記録層に金属の反射膜を設けた高反射率の媒体
が提案されている。例えば、有機色素の混合物単層膜
に、金などの金属の反射層を設けてCDプレーヤーに対し
て互換性を有する追記可能媒体が開発されている。
(“Optical Data StorageTechnical Digest Series"
1、45、1989参照) しかし、この媒体は信号を記録した際に波形歪が生じ
て、エラーの発生が多く、しかも耐久性、特に、耐光性
が劣るという欠点がある。
一方、特開昭62−146683にはβ−アルコキシ置換フタ
ロシアニンを使用した光記録媒体が開示されている。
しかし、上記に開示されているものは、金属の反射層
が設けられない媒体に関するものであってこの発明のよ
うに、記録層の上に金属の反射層を設けた媒体にβ−ア
ルコキシ置換フタロシアニンが使用されCDと同一ビット
長の記録が行われた場合は、波形歪が非常に大きくなり
エラーが多発するのであって、信頼性が欠落しているの
であり実用には耐え得ない。
〔発明が解決しようとする課題〕
このようにCDのプレーヤーに大して互換性、共用性が
あって追記可能の既存の光記録媒体には種々の欠点があ
るが、これらの欠点が解消された光記録媒体の開発が切
望されている。
この発明の目的は、上記の欠点が除去され改良された
光記録媒体を提供することにあって、そのために、光記
録媒体の記録層に使用される新規の近赤外線吸収剤を提
供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
発明者らは既存の光記録媒体に見られた前述の欠点を
解消させることを目的として、CDプレーヤーに対して互
換性があって、しかも追記が可能である光記録媒体を提
供するために種々調査研究した結果、新規の近赤外線吸
収剤を開発し、下記の色素を記録層に使用することによ
り、この発明を完成した。
即ち、この発明は、式(2)、 〔式(2)中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に未
置換または置換アルキル基を示し、Mは二個の水素原
子、二価の金属原子、一置換の三価金属原子、二置換の
金属原子、オキシ金属原子を示す。〕を以て示されるフ
タロシアニン近赤外線吸収剤、および一般式(2)が示
す化合物の製造用の下記一般式(1)を以て示される中
間体化合物、 〔式(1)中、Rは未置換または置換アルキル基を示
す〕、および基板を通しての読出しレーザー光の反射率
60%以上を有しコンパクトディスクドライブについて互
換性共用性があり追記可能型光記録媒体であって、透明
な射出成形樹脂基板、この基板上に設けられた記録層、
および金属反射層から実質的に構成され、この記録層中
に上記の式(2)により示される近赤外線吸収剤を含有
することを特徴とする光記録媒体である。
この発明の一般式(2)によって示されるフタロシア
ニン色素におけるR1、R2、R3、およびR4、および一般式
(1)により示されるその中間体のRとして表わされる
未置換または置換アルキル基の具体例としては、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペ
ンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オク
チル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基
などの直鎖アルキル基、イソプロピル基、sec−ブチル
基、イソブチル基、1−エチルプロピル基、1−メチル
ブチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、2−メチル
ブチル基、1、2−ジメチルプロピル基、1−メチルヘ
プチル基、1−エチルブチル基、1、3−ジメチルブチ
ル基、1、2−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メ
チルプロピル基、2−エチルブチル基、2−メチルペン
チル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル
基、4−メチルペンチル基、2−メチルヘキシル基、3
−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチ
ルヘキシル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペン
チル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘプチル
基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5
−メチルヘプチル基、1−プロピルブチル基、1−イソ
プロピル−2−メチルプロピル基、1−エチル−2−メ
チルブチル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−
プロピル−2−メチルプロピル基、2−エチルヘキシル
基、3−エチルヘキシル基、1−エチルヘキシル基、1
−プロピルペンチル基、1−イソプロピルペンチル基、
1−イソプロピル−2−メチルブチル基、1−イソプロ
ピル−3−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、1
−エチルヘプチル基、1−メチルオクチル基、1−プロ
ピルヘキシル基、1−イソブチル−3−メチルブチル
基、4−メチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘ
キシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、4−
(2−エチルヘキシル)シクロヘキシル基、ボルニル
基、イソボルニル基などの分岐アルキル基が挙げられ
る。
また、これらの直鎖および分岐アルキル基は、ヒドロ
キシル基、あるいはハロゲンを以て、置換されていても
よく、また、酸素、硫黄、窒素などの原子を介して前記
のアルキル基、アリール基で置換されていてもよい。酸
素を介し置換されているアルキル基としては、メトキシ
メチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エト
キシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシエトキシエ
チル基、フェノキシエチル基、メトキシプロピル基、エ
トキシプロピル基などが、硫黄を介し置換されているア
ルキル基としては、メチルチオエチル基、エチルチオエ
チル基、エチルチオプロピル基、フェニルチオエチル基
などが、窒素を介して置換されているアルキル基として
はジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、
ジエチルアミノプロピル基などが挙げられる。
一般式(2)中のMの具体例としては,Ca、Mg、Zn、C
u、Ni、Pd、Fe、Pb、Co、Pt、Cd、Ruなどの二価の金
属、Al、In、Fe、Ga、Tl、Mnなどの三価金属のハロゲン
化物、ヒドロキシル化物、アルコキシ化物、トリアルキ
ルシロキシ基など、また、Si、Ti、Sn、Cr、Ge、Sn、M
n、Zr、Vなどの四価金属ハロゲン化物、アルコキシ化
物、ヒドロキシル化物、トリアルキルシロキシ化物、酸
化物などが挙げられる。
一般式(1)のフタロニトリル化合物は、以下の方法
により製造され得る。
3−ニトロフタロニトリルとアルコールを非プロトン
性極性溶剤、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、
ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド
(DMSO)など中において、触媒として例えば、水素化ナ
トリウム、1、4−ジアザビシクロ(2、2、2)−オ
クタン、1、5−ジアザビシクロ(4、3、0)−5−
ノネン、1、8−ジアザビシクロ(5、4、0)−7−
ウンデセン(DBU)などの存在下、50〜120℃にて加熱撹
拌し、水中に送入し、有機溶剤、例えば、トルエンなど
を以て抽出、再結晶、またはカラム精製することによっ
て、油状物、固形状物として得られる。
一般式(2)によって示される化合物の合成法として
は、前記一般式(1)のフタロニトリル化合物を原料と
し、これを一般式(2)中のMに相当する好ましい金属
誘導体と、適当する溶剤中において反応させることによ
り一般式(2)により示される化合物が得られる。
例えば、一般式(1)のフタロニトリル化合物と金属
誘導体を、尿素、アルコール、または高沸点溶剤、例え
ば、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、スルフォ
ランなど中において触媒としてモリブデン酸アンモニウ
ム、またはDBUを使用して、100〜250℃において反応さ
せて、溶剤を除去した後、カラム精製などにより処理す
ることにより青色、または緑色の固体かまたは液状物と
して、一般式(2)の化合物が得られる。
この発明の近赤外線吸収剤が使用された光記録媒体
は、基板上に一般式(2)によって表わされる近赤外線
吸収剤を含有する記録膜を形成させて、その記録膜上に
金属の反射膜を設けることにより製造される。
この発明によるフタロシアニン近赤外線吸収剤の好ま
しい具体例としては、例えば、α−テトラ(2−エチル
ヘキシルオキシ)Cuフタロシアニン、α−テトラ(2−
エチルヘキシルオキシ)Niフタロシアニン、α−テトラ
(2−エチルヘキシルオキシ)Pdフタロシアニン、α−
テトラ(1、3−ジメチルブトキシ)Pdフタロシアニ
ン、α−テトラ(2、6−ジメチル−4−ヘプトキシ)
Niフタロシアニン、α−テトラ(2、4−ジメチル−3
−ペントキシ)Pdフタロシアニン、α−テトラ(4−te
rt−ブチルシクロヘキシルオキシ)Niフタロシアニン、
α−テトラ(3−ブトキシ)Niフタロシアニン、α−テ
トラ(2、5−ジメチル−3−ヘキシルオキシ)Znフタ
ロシアニン、α−テトラ(2、5−ジメチル−3−ヘキ
シルオキシ)Feフタロシアニン、α−テトラ(1−メチ
ルノニルオキシ)SiCl2フタロシアニンなどが挙げられ
る。
この発明の光記録媒体において使用される基板として
は、信号の記録、または読出しを行うための光が透過す
るものが好ましい。光の透過率としては85%以上であっ
て光学的異方性が小さいものであることが望ましい。例
えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アリ
ル系樹脂ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化
ビニル系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、エポキシ系
樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの各種プラスチックな
どが好ましい例示として挙げられる。
これら例示品中、基板の機械的強度、案内溝と再生専
用信号、その他の付与の容易性、経済性の点からアクリ
ル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂ポリオレフィン系樹
脂、その他の射出成形樹脂が好ましく、特に、ポリカー
ボネート系樹脂がより好ましい。これらの基板の形状は
板状であってもフィルム状であってもよく、また円形、
またはカード状であってもよい。
勿論、基板の表面には記録位置を示す案内溝、再生専
用の情報その他のためのピットがあってもよい。このよ
うな案内溝、あるいはピットなどは、射出成形、あるい
は注型によって基板が製造される際に付与されることが
好ましいが、基板上に紫外線硬化型樹脂が塗布されて、
スタンパーと重ね合わせられて、紫外線露光させられる
ことによっても付与可能である。
この発明の光記録媒体においては、このような基板上
に前記した色素を含有する記録層が、まず形成させられ
て、その上に金属の反射膜層が形成させられる。反射層
として使用される金属にはAl、Ag、Au、Cu、Ptなどが挙
げられ、この反射層は、通常、真空蒸着、スパッター法
などの方法により形成される。
この発明の光記録媒体において前記色素を含む記録層
を基板上に成膜させるためには、塗布法、あるいは蒸着
法などがあるが、生産性などの観点から塗布法が好まし
い。塗布法により成膜するには、色素と有機溶剤からな
る溶液を基板に接触させて、色素を基板上に定着させる
ことによるがより具体的に云えば、例えば、基板上に色
素溶液を流下させた後、または基板の表面を色素溶液の
液面に接触させ引上げた後、基板を回転させつつ余剰の
色素溶液を除去する方法、あるいは基板を回転させつつ
色素溶液を基板上に流下させる方法などがある。また、
もし必要ならば、これらの処理の後に、強制的乾燥処理
が行われてもよい。
塗布法において、この発明の色素を溶解させるために
使用される有機溶剤としては、通常の有機溶剤が利用可
能であるが、この発明に使用される射出成形基板への直
接的塗布を可能とするには、基板に損傷を与えない溶
剤、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族、
脂環式炭化水素系、ジエチルエーテル、ジブチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル系などの非
極性溶剤、あるいはメチルアルコール、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、メチ
ルセロソルブなどアルコール系の極性溶剤が好ましい。
上記の溶剤に対する溶解性に関連し、前記の色素の置換
基、R1、R2、R3とR4の炭素数は3以上であることが好ま
しい。
一方、置換基、R1、R2、R3およびR4の炭素数が13以上
である場合には、色素の融点が低くなり、金属の反射層
が成膜される際に、記録層が損傷を受けるのであって好
ましくない。また、この記録層が成膜される際、記録特
性を改善するため、あるいはピンホールの生成を防止す
るために、前記した色素以外の、例えば、置換フタロシ
アニン、置換ナフタロシアニン、置換ポリフィリン系色
素、シアニン色素、ジチオール金属錯体、アントラキノ
ン色素などの有機色素、ニトロセルロース、エチルセル
ロース、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹
脂などの樹脂、その他レベリング剤、消泡剤などの併用
も可能である。
この発明の光記録媒体はCDドライブに対して互換性が
ある。このCDプレーヤーに関しての互換性の観点から見
て基板を通しての読出しレーザー光に対する反射率は60
%以上であること、更に好ましくは、65%以上であるこ
とが必要とされる。60%以上の反射率を得るには、この
発明の近赤外線吸収剤を使用した場合には記録層の膜厚
を最適化することにより達成可能であり、この発明の場
合、膜厚50〜300nm程度である。
また、この反射率の観点によれば、前記置換基R1
R2、R3とR4は分岐アルキル基であることが好ましい。
その理由は、分岐アルキル基であることにより近赤外
線吸収剤の屈折率が大きくなることによるものであろう
と推定される。
このように、分岐アルキル基が反射率の観点から好ま
しい理由について更に敷衍する。まず、上記したとお
り、近赤外線吸収剤の屈折率を大きくすれば反射率が大
きくなるのであるが、一般に近赤外線吸収剤を成膜した
際に近赤外線吸収剤が会合すれば吸収がブロードになり
屈折率は小さくなると考えられる。さすれば成膜した際
の近赤外線吸収剤の会合をできるだけ抑えるようにすれ
ば吸収がシャープになり屈折率が大きくなるはずであ
る。本発明の対象としているフタロシアニン分子は、そ
の立体的構造から明らかなごとく4つのベンゼン環が同
一平面内にあるため、もともと非常に会合しやすい分子
であると考えられる。ベンゼン環の置換基として分岐ア
ルキル基を導入することにより屈折率が大きくなるの
は、おそらくこの置換基の立体障害により会合がしづら
くなるためであると推定されるのである。なお、本発明
にいう分岐アルキル基とは、直鎖でなく枝分かれしてい
るアルキル基であるが、前掲で分岐アルキル基として例
示されているとおり、もちろん枝分かれした先が環をな
している環状のものであっても良い。これは後記実施例
にも示されているとおりである。
この発明の光記録媒体は基板を通してレーザー光が照
射されて信号の記録と読出しが行われるが使用されるレ
ーザー光波長は、通常、640〜850nmの範囲内に発振波長
を有する半導体レーザーが好ましいのであるが、市販の
CDプレーヤーとの互換性を考慮すれば、790±20nmであ
ることが特に好ましい。そうして例えば、1.2〜1.4m/s
の線速度を以て記録が行われる場合には、記録膜上にお
けるレーザーの出力は、5〜12mW程度とされ、また、読
出しの場合にはレーザーの出力は記録時の1/10程度とさ
れることが適当である。
この発明の光記録媒体の実用においては通常は記録層
と金属の反射層を保護するために、反射層上に紫外線硬
化樹脂、あるいは熱硬化樹脂などが塗布されて使用され
る。
〔発明を実施するための好適な態様〕
以下、実施例により、この発明を具体的に説明する
が、この発明の技術的範囲は、これら実施例によって限
定されるものではない。
実施例1 (1−a)の合成 2−ドデカノール42部をジメチルホルムアミド230部
に溶解させて、窒素雰囲気下、60%水素化ナトリウム9
部を添加した後、10〜15℃において3−ニトロフタロニ
トリル32部とジメチルホルムアミド120部の混合溶液を
滴下させて添加し、24時間、撹拌した。反応混合物を希
塩酸6000部中へ送入しトルエン1000部により抽出処理し
た後に、トルエン層を分取し、湯洗し固形分を濾別した
後、溶媒を溜去させた。残留物に、シリカゲル/トルエ
ンのカラム精製を行い、精製物31部を白色粉末として得
た。収率は53%であった。
下記の分析結果より、目的物であることを確認した。
IRスペクトルを第1図に示す。
元素分析:C20H28N2O C H N 計算値(%) 76.86 9.05 8.97 実測値(%) 76.84 9.06 8.96 マススペクトルm/e:312(M+) IRスペクトル :2220cm-1(−C=N) 上記構造式(1−a)に表わされるフタロニトリル誘
導体2.5部と、塩化第1銅0.2部と、1、8−ジアザビシ
クロ(5、4、0)−7−ウンデセン1.2部と、n−ア
ミルアルコール80部よりなる混合物を5時間加熱還流さ
せた。溶媒溜去後に、残渣をカラム精製(シリカゲル/
ヘキサン:トルエン=2:5)して、1.0部の下記構造式
(2−1)により表わされるフタロシアニン化合物と、
その異性体が青色粘性オイルとして得られた。収率は38
%であった。
この色素のヘキサン溶液中のλmaxは740nm、元素分析
値は、下記の通りであった。
IRスペクトルを第2図に示す。
元素分析:C80H112N8O4Cu C H N 実測値(%) 73.15 8.61 8.53 計算値(%) 73.13 8.63 8.55 次に、深さ70nm、幅0.6μm、ピッチ1.6μmのスパイ
ラル状の案内溝を有する厚さ1.2mm、直径120mmの射出成
形ポリカーボネート樹脂製基板の案内溝がある面の中心
部に構造式(2−1)のフタロシアニン色素の0.4%オ
クタン溶液を滴下させた後、この樹脂基板を1000rpmの
速度にて10秒間回転させた。次いで、この樹脂基板を、
40℃の雰囲気中において、10分間、乾燥させ、樹脂基板
上に実質的にナフタロシアニン色素のみからなる記録層
の第一層を定着させた。この第一層色素膜厚は120nmで
あった。この第一層の上に厚さ60nmの金の反射膜をスパ
ッター法によって成膜させ、更に金の反射膜の上に紫外
線硬化型の樹脂からなる保護コート膜を設けて、記録媒
体が作製された。
この光記録媒体をターンテーブル上に載置して1.4m/s
の線速度で回転させつつ、発振波長785nmの半導体レー
ザーを載置した光学ヘッドがあるドライブを使用して、
レーザービームを樹脂基板を通して案内溝上の記録層に
集束するように制御しつつ反射率を測定したところ、反
射率は72%であった。次に、記録面上にて8mWのレーザ
ー出力であり、パルス巾500ns、1MHzパルス信号の記録
を行った。次に同一装置を使用し半導体レーザー出力を
記録面にて1mWとして記録信号の読出しを行った。この
際、信号と雑音の比率CN値は55dBが得られて、極めて良
好な記録と読出しを行い得た。また、同様にしてEMF変
調信号を記録しブロックエラーレートを測定した。
ブロックエラーレートは、3×10-3であって、極めて
良好であった。記録信号の波形には歪が殆ど観測されな
かった。
この記録膜の再生光の安定性を検査するためにこの記
録信号を、1mWの読出し光を以て50万回同一トラックの
繰り返し連続の読出しを行ったが記録信号の大きさとCN
値に変化は全く認められなかった。
更に、この光記録媒体の耐久性の検査のために60℃、
90%RHの高温高湿雰囲気中に3ケ月間、耐光性の検査の
ために、ウェザオメーター、カーボンアーク使用に200
時間、それぞれ、放置した後、記録膜の反射率の測定、
記録信号の再読出しと再記録を行った。反射率は初期値
と殆ど変化がなかった。また、再読出しではCN値54dBま
た、再記録では、55dBのCN値が得られて、耐久性試験と
耐光性試験における記録膜の劣化は殆どなかった。
実施例2 (1−b)の合成 2、6−ジメチル−4−ヘプタノール20部をジメチル
ホルムアミド140部に溶解させ、窒素雰囲気下60%水素
化ナトリウム6部を添加した後、10〜15℃にて3−ニト
ロフタロニトリル20部とジメチルホルムホルムアミド70
部の混合溶液を滴下させて添加して、2時間、撹拌し
た。反応後の混合物を希塩酸4000部中へ送入し、その
後、トルエン1000部による抽出処理後、トルエン層を分
取し、湯洗し固形分を濾別し、溶媒を溜去させた。
残留物にシリカゲル/トルエンのカラム精製を行い、
精製物24.8部を黄色液体として得た。
収率は76%であった。
下記の分析結果により目的物であることを確認した。
IRスペクトルを第3図に示す。
元素分析:C17H22N2O C H N 計算値(%) 75.50 8.22 10.36 実測値(%) 75.29 8.24 10.35 マススペクトルm/e:270(M+) IRスペクトル :2220cm-1(−C=N) 上記構造式(1−b)により表わされるフタロニトニ
ル誘導体10部と塩化ニッケル1.1部と1、8−ジアザビ
シクロ(5、4、0)−7−ウンデセン5.5部とn−ア
ミルアルコール200部よりなる混合物を5時間加熱し還
流させた。溶媒の溜去後に、残留物にシリカゲル/トル
エンのカラム精製を行い、3.0部の下記の構造式(2−
2)により表わされるフタロシアニン化合物と、その異
性体が、暗緑色の粉末として得られた。収率は29%であ
った。
この色素のヘキサン溶液中のλmaxは695nm、元素分析
値は、以下の通りであった。
IRスペクトルを第4図に示す。
元素分析:C68H88N8O4Ni C H N 実測値(%) 71.61 7.80 9.83 計算値(%) 71.58 7.80 9.81 次に、実施例1と同様にして光記録媒体を製作し試験
した。
反射率は70%、記録感度は8mWの記録条件下にCN値は5
4dB、ブロックエラーレートは5×10-3であった。ま
た、再生光安定性、耐久性、耐光性ともに異常はなかっ
た。
実施例3 (1−c)の合成 2,4−ジメチル−3−ペンタノール16.2部をジメチルホ
ルムアミド140部に溶解させて、窒素雰囲気下に、60%
水素化ナトリウム6部を添加した後、0〜5℃にて3−
ニトロフタロニトリル20部とジメチルホルムアミド70部
の混合溶液を滴下させて添加し、20時間、撹拌した。
反応混合物を希塩酸4000部中へ送入してトルエン1000
部にて抽出処理後、トルエン層を分取し、湯洗し、固形
物を濾別し溶媒を溜去させた。
残留物にシリカゲル/トルエンのカラム精製を行っ
て、精製物15部を白色粉末として得た。
収率は50%であった。
下記の分析結果により目的物であることを確認した。
IRスペクトルを第5図に示す。
元素分析:C15H18N2O C H N 計算値(%) 74.33 7.50 11.56 実測値(%) 74.30 7.52 11.58 マススペクトルm/e:242(M+) IRスペクトル :2210cm-1(−C=N) 上記構造式(1−c)により表わされるフタロニトニ
ル誘導体8.2部と塩化パラジウム4.3部と1、8−ジアザ
ビシクロ(5、4、0)−7−ウンデセン5.2部とn−
アミルアルコール200部よりなる混合物を、10時間、加
熱し還流させた。溶媒の溜去後、残留物にシリカゲル/
トルエン:ヘキサン=1:1のカラム精製を行い、0.8部の
下記構造式(2−3)により表わされるフタロシアニン
化合物と、その異性体が暗緑色粉末として得られた。
収率は8.2%であった。
この色素のヘキサン溶液中のλmaxは692nm、元素分析
値は以下の通りであった。
IRスペクトルを第6図に示す。
元素分析:C60H72N8O4Pd C H N 実測値(%) 66.98 6.76 10.42 計算値(%) 66.97 6.74 10.45 次に、実施例1と同様にして光記録媒体を製作し試験
した。反射率は70%、記録感度は9mWの記録条件下、CN
値は56dB、ブロックエラーレートは3×10-3であった。
再生光安定性、耐久性,耐光性のいずれにも、異常は
なかった。
比較例1 下記構造式(A)のフタロシアニン化合物を使用した
こと以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体を製作
し試験した。
反射率は65%、記録感度は12mWの記録条件下に、CN値
は50dB、ブロックエラーレートは3×10-1であり、CDの
規格を満足させることができなかった。また、記録ピッ
トの信号には、大きい歪があることが観察された。
実施例4〜12 表1に記載のアルコールと、3−ニトロフタロニトリ
ルを使用して、実施例1と同様にして、この発明のフタ
ロシアニン化合物(1−d〜1−l)を、合成した。元
素分析、MS、IRによって目的物であることを確認した。
次に、これらフタロシアニン化合物(1−d〜1−
l)と表2記載の金属塩を使用して、実施例1と同様に
してフタロシアニン化合物(2−4〜2−12)を合成し
た。構造は、マススペクトルと、元素分析により確認し
た。これらの色素の溶液中におけるλmaxを表2に示し
た。
また、これらの色素を使用して作製した光記録媒体
は、いずれも、反射率、記録感度、ブロックエラーレー
ト、再生光安定性、耐久性、耐光性において良好な性能
を保有していた。
〔発明の効果〕 実施例から明らかに認められる通り、この発明の近赤
外線吸収剤は、光記録媒体の記録層に使用された場合
は、いずれも反射率65%以上を有して優れたC/N値とブ
ロックエラーレートを与えており、再生光安定性、耐久
性、耐光性のいずれの試験においても、殆ど特性が変化
しないのであり、非常に優秀であって、優れた性能と高
い信頼性を併有した光記録媒体の提供を可能とした。
【図面の簡単な説明】
第1図と第2図は実施例1において製造されたフタロニ
トリル化合物(1−a)と、フタロシアニン色素(2−
1)のそれぞれのIRスペクトル図であり 第3図と第4図は実施例2において製造されたフタロニ
トリル化合物(1b)と、フタロシアニン色素(2−2)
のそれぞれのIRスペクトル図であり 第5図と第6図は実施例3において製造されたフタロニ
トリル化合物(1−c)と、フタロシアニン色素(2−
3)それぞれのIRスペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊谷 洋二郎 大阪府河内長野市西之山町33―26 (72)発明者 政岡 俊裕 大阪府大阪市中央区玉造1―21―14 (72)発明者 中村 雅一 大阪府大阪市城東区今福南2―7―8 (56)参考文献 特公 平7−56019(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 255/54 C09K 3/00 105 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1)により示されるフタロニトリ
    ル化合物。 〔式(1)中、Rは、ハロゲン原子、水酸基、アルコキ
    シ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチ
    オ基、アルキルアミノ基、またはアリールアミノ基によ
    り置換されていてもよい分岐のアルキル基を表す。〕
  2. 【請求項2】式(1)中の置換基Rが、炭素数3〜12の
    分岐アルキル基である請求項1記載のフタロニトリル化
    合物。
JP2155498A 1989-09-25 1990-06-15 フタロニトリル化合物 Expired - Fee Related JP2859702B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2155498A JP2859702B2 (ja) 1989-09-25 1990-06-15 フタロニトリル化合物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24631989 1989-09-25
JP1-246319 1989-09-25
JP2155498A JP2859702B2 (ja) 1989-09-25 1990-06-15 フタロニトリル化合物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03215466A JPH03215466A (ja) 1991-09-20
JP2859702B2 true JP2859702B2 (ja) 1999-02-24

Family

ID=26483482

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2155498A Expired - Fee Related JP2859702B2 (ja) 1989-09-25 1990-06-15 フタロニトリル化合物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2859702B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2110233C (en) 1992-12-02 1999-01-12 Mitsui Toatsu Chemicals, Incorporated Optical information recording medium and composition for optical information recording film
DE69532096T2 (de) * 1994-03-31 2004-08-26 Tdk Corp. Optisches Aufzeichnungsmedium
US5863703A (en) * 1995-02-10 1999-01-26 Ricoh Company, Ltd. Optical information recording medium using a phthalocyanine compound
TW340864B (en) 1995-07-20 1998-09-21 Mitsui Toatsu Chemicals Optical recording medium
US5998609A (en) * 1996-10-14 1999-12-07 Nippon Shokubai Co., Ltd. Phthalocyanine compounds, process for preparing the same, and optical recording medium made using the same
KR100316772B1 (ko) 1998-04-09 2002-01-16 윤종용 광기록 매체
US6737143B2 (en) 2001-06-14 2004-05-18 Ricoh Company Ltd. Optical recording medium, optical recording method and optical recording device
JP4137691B2 (ja) 2003-04-30 2008-08-20 株式会社リコー 光記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03215466A (ja) 1991-09-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3126411B2 (ja) 光記録媒体及び記録方法
JP2859702B2 (ja) フタロニトリル化合物
JP2870952B2 (ja) 光学記録体
JPH10330633A (ja) サブフタロシアニン化合物及びそれを用いた光記録媒体
JPH08231866A (ja) 複素環式アゾアニリン色素、その金属錯体およびそれを含む光学記録要素
JP3412221B2 (ja) 光学記録媒体およびその記録膜材料
JP4523366B2 (ja) アゾ金属キレート色素及び光学記録媒体
JP2501005B2 (ja) 光学記録媒体およびその記録膜材料
JP2901477B2 (ja) 光記録媒体
JP3039030B2 (ja) フタロシアニン誘導体及び該誘導体を含有する光学記録体
EP1491353A1 (en) Optical recording media and dipyrromethene-metal chelate compounds
JP2888538B2 (ja) 光記録媒体
JP3575053B2 (ja) フタロシアニン誘導体及び該誘導体を含有する光学記録体
JP3136828B2 (ja) 光記録媒体
JP2500969B2 (ja) 光ディスク用記録材料及びcdまたはcd−rom対応の追記型光ディスク
JP3596083B2 (ja) フタロシアニン誘導体及び該誘導体を用いた光学記録媒体
JPH0966671A (ja) 光記録媒体
JP3167785B2 (ja) スクアリリウム化合物およびそれを用いた光情報記録媒体
JP3966565B2 (ja) フタロシアニン化合物、その製造方法及び中間体
JPH1153761A (ja) 光学記録材料
JPH07246775A (ja) 光記録材料およびそれを用いた追記型コンパクトデイスク
JP3980092B2 (ja) 光記録媒体
JP2003025725A (ja) 光情報記録媒体及びその組成物
JPH07205550A (ja) 光学記録媒体およびその記録膜材料
JPH1111015A (ja) 光記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071204

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081204

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees