JP3980092B2 - 光記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、極性、非極性溶媒に可溶な新規フタロシアニン化合物及び透明基板上に、少なくとも該フタロシアニン化合物を含有する記録層及び反射層を有する光記録媒体で、波長620〜690nmから選ばれた波長のレーザー光で再生又は記録再生が可能な光記録媒体に関するものであり、更に、770〜830nmから選ばれた波長のレーザー光で再生または記録再生が出来る記録可能コンパクトディスク(以下CD−Rと称する)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
色素を記録層とし、且つ、反射率を大きくするため、記録層の上に金属の反射層を設け、更にこの上に保護層を設けた単板型の記録可能な光記録媒体は、例えば、Optical Data Storage 1989,Technical Digest Series Vol.1 45(1989)に開示されている。又、このような媒体の記録層にシアニン色素や本発明に用いられるようなフタロシアニン類に属する色素を用いた媒体は、記録可能コンパクトディスク媒体(以下CD−R媒体と称する)として市場に供されている。かかる光記録媒体は、基本的に、基板上に、記録層、反射層、保護層をこの順に形成したものである。この光記録媒体の記録層に半導体レーザー等のレーザー光を高パワーで照射すると、記録層が物理的あるいは化学的変化を起こし、ピットの形で情報を記録する。形成されたピットに低パワーのレーザー光を照射し、反射光を検出することによりピットの情報を再生することが出来る。
【0003】
CD−R媒体はオレンジブック規格に準拠しており、770〜830nmから選ばれた波長(λ1)の光に対して65%以上の反射率を有し、且つ、このλ1の光を吸収する。それ故、780nmの半導体レーザーで記録することが出来、且つ、780nmの半導体レーザーを搭載している市販のCDプレーヤーやCD−ROMプレーヤーで再生出来るという特徴を有する。
【0004】
一方、現在の光記録媒体は650MBの容量しか持たず、デジタル動画のような大容量の情報を記録するには記録時間が15分以下と短い。また、機器の小型化が進む中で、従来の記録密度では媒体を小型化にすると容量が不足する。
【0005】
最近、620〜690nmから選ばれた波長(λ2)の半導体レーザーが開発され、高密度の記録媒及び又は再生が可能となりつつある。この半導体レーザーを用いて、従来の媒体の5〜8倍の記録容量を有する高密度記録媒体や、この高密度記録媒体を再生することができる高密度記録媒体対応のプレーヤーの開発が検討されている。特に、映画をデジタルで2時間以上収録できるシステムはDVD(degital video disk)として、その再生専用の媒体及び再生専用プレーヤーの上市が目前に迫っている。
【0006】
この高密度記録媒体の1つとして、従来のCDやCD−ROM媒体と同じように、基板形成時にピットを形成し、アルミ反射層を設けた再生専用媒体が挙げられる。この再生専用高密度記録媒体は70%以上の反射率を有する。それ故、この高密度記録媒体を再生できる高密度対応プレーヤーは、70%以上の高反射率を有する前記再生専用媒体が再生できるように設計されている。そして、例えば、従来のCD,CD−ROMやCD−R等の媒体も、該高密度対応プレーヤーで再生できることが望まれている。
【0007】
従来のCDやCD−ROM媒体は再生専用であり、その製法は前記再生専用高密度記録媒体と同じであって、70%以上の高い反射率を有するので高密度対応プレーヤーでも容易に再生が可能である。
【0008】
一方、現在市場に供されているCD−R媒体は確かに780nm前後の光に対する反射率は65%以上有し、市販のCDやCD−ROMプレーヤーで再生できるが、620〜690nmから選ばれた波長(λ2)の光で再生しようとした場合、反射率が10%以下と非常に小さいことが問題となる。また、変調度も小さく、且つ、記録部の反射率が未記録部より大きくなる、いわゆる、low to high記録となり、通常のCD等(high to low記録)とは極性が逆になり好ましくない。更に、記録波形に大きな歪みが観察される。このような数々の欠点のために従来のCD−R媒体は620〜690nmから選ばれた波長(λ2)のレーザーを搭載した高密度対応プレーヤーで再生することは困難であった。
【0009】
例えば、米国特許第5090009号明細書には、色素を含む記録層、反射層、保護層を基板上に順次積層したCD−R媒体、及びこの媒体の基板と記録層の間や、記録層と反射層の間に、干渉層を設けた媒体が開示されている。そして、CDの規格(レッドブック)を満足するためや、記録を可能とするための記録層の光学定数や膜厚が開示されている。確かにここで開示されている媒体は、CDに用いられている780nmの光の一部を吸収すると共に反射率が70%以上得られ、この波長の光で記録及び再生ができる。しかしながら、620〜690nmから選ばれた波長(λ2)の光での記録及び/又は再生を目的とはしておらず、該波長の光に対する反射率や記録層の光学定数、更に干渉層の光路長に関しては何も開示されていない。
【0010】
また、該特許には記録層にインドジカルボシアニン色素を用い、干渉層を有しない媒体、及び無機化合物やポリマーからなる干渉層を有した媒体の実施例が多数開示されている。しかしながら、この記録層にインドジカルボシアニン色素を用いた媒体は、620〜690nmから選ばれた波長の光に対する反射率が10%以下であり、且つ、記録部の反射率が未記録部より大きくなるlow to high記録となり好ましくない。
【0011】
反射率が小さくなる理由は、CD−R媒体に用いられる色素は光学特性の波長依存性が大きく、前記したインドジカルボシアニン色素は記録膜で測定すると600〜750nmに非常に大きな吸収を有すると共に、CD−R媒体は780nm前後の光に対して反射率が大きくなるように記録層の膜厚や光学定数(屈折率、消衰係数)が設計されているために、620〜690nmでの反射率が小さくなる。
【0012】
また、該特許の実施例8や14には本発明の記録層に用いられるフタロシアニン色素とは異なるt-ブチル置換フタロシアニン色素を記録層とし、ポリマーや無機化合物からなる干渉層を有する媒体が開示されている。しかしながら、これらの媒体は、反射率や変調度はCDの規格を満足するが、CDと同じpulse width modulationにより記録された信号を620〜690nmから選ばれた波長(λ2)に光で再生した場合、再生波形には大きな歪みが観察され、エラーレートやジッターが大きく、高密度対応プレーヤーでは再生できない。
【0013】
EP−19329には、VO−フタロシアニン色素を記録層とし、該記録層の上にセルロースからなる300nm干渉層を設けた媒体が開示されている。しかしながら、該特許も特定の1つの波長に対する反射率と記録感度を改良することを目的としたものであり、本発明の様に770〜830nmから選ばれた波長(λ1)の光と620〜690nmから選ばれた波長(λ2)の2つの光で記録及び再生ができるように最適化されていない。更に、この媒体もCDと同じpulse width modulationにより記録された信号を620〜690nmから選ばれた波長(λ2)の光で再生した場合、再生波形には大きな歪みが観察され、エラーレートやジッターが大きく、高密度対応プレーヤーでは再生できない。
【0014】
米国特許第5124067号明細書には、本発明の記録層に用いられる色素と同じような色素及び該色素を用いた媒体が多数開示されている。しかしながら、例えばその実施例98、100、102に開示された媒体は、CD規格は満足するものの、620〜690nmから選ばれた波長(λ2)の光で再生した場合、記録モードはlow to highとなり、且つ、反射率は10%以下と小さく、更にCDと同じpulse width modulationにより記録された信号の再生波形には歪みが観察され、エラーレートやジッターが大きく、高密度対応プレーヤーでは再生できない。
【0015】
更に、特開平3−281287号公報には、780nmに吸収曲線の長波長側端部を有し、780nmでの屈折率のimaginary partの絶対値が0.2以下のcomplex refractive indexを有する色素(A)と、該色素の吸収極大波長よりも短波長側に極大吸収を有するトリメチンシアニン色素(B)の混合物を記録層とする媒体が開示されている。この媒体は耐久性に優れ、且つ、CD規格を満足する。しかしながら、620〜690nmから選ばれた波長(λ2)の光で再生ができるように最適化されていない。その実施例からも明らかなように、トリメチンシアニン色素の使用割合が50wt%、ペンタメチンシアニン色素が50wt%であり、620〜690nmから選ばれた波長(λ2)の光に対する吸収が大きすぎて、反射率が15%未満となり、高密度対応プレーヤーによる再生は難しい。
【0016】
特開平6−336086号公報には、特定の構造のトリメチンシアニン色素とペンタメチンシアニン色素の混合物を記録層とする媒体が開示されている。この媒体は、780nm及び488nmの光で記録及び再生を目的とし、トリメチンシアニン色素とペンタメチンシアニン色素の割合が1:10である。このように、ペンタメチンシアニン色素の使用割合が多いと620〜690nmから選ばれた波長(λ2)の光に対する吸収が大きすぎて、反射率が15%未満となり、高密度対応プレーヤーによる再生は難しい。
【0017】
特開平6−40162号公報には、記録層にトリメチンシアニン色素を用いた媒体が開示されている。この媒体は、630nmの光で記録及び再生を目的としており、記録層が780nmの光に対する吸収を有しないために780nmの光では記録できない。
【0018】
特開平3−290835号公報には、記録層とアルミ合金からなる反射層との間に低分子有機物からなる干渉層を設けた媒体が開示されている。該媒体は、780nmに於ける反射率を70%以上にするため、反射層に高価な金の代わりにアルミ合金を用いて干渉層を設けたものであり、確かに780nmに於ける反射率は70%以上得られるものの、620〜690nmから選ばれた波長(λ2)の光に対する反射率は小さく、高密度対応プレーヤーでは再生できない。
【0019】
以上のように、少なくとも色素を含有する記録層、反射層を有する光記録媒体で、770〜830nmから選ばれた波長(λ1)のレーザー光に対する反射率が65%以上得られ、高感度であり、記録特性に優れ、市販のCDプレーヤーやCD−ROMプレーヤーで再生することができ、且つ、620〜690nmから選ばれた波長(λ2)のレーザーを搭載した高密度記録媒体対応のプレーヤーでも再生できる媒体はない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、620〜690nmから選ばれた波長のレーザー光で再生または記録再生が可能であり、更に、現行のCD−R媒体の規格であるオレンジブック(770〜830nmから選ばれた波長の光に対する反射率が65%以上で、該光で記録再生が可能)を満足するフタロシアニン化合物及び該化合物を含有する光記録媒体を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題の解決を目的として鋭意検討し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
▲1▼ 一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物、
【0022】
【化3】
〔式(1)中、Lは、式(a)または式(b)
【0023】
【化4】
(式(a)または式(b)中、R1は、1,3-ジオキソランまたは1,3-ジオキサンを有するペントースまたはヘキソースのアルコキシ基を表し、R2及びR3は、各々独立に、炭素数1〜15の直鎖または分岐のアルコキシ基、1,3-ジオキソランまたは1,3-ジオキサンを有するペントースまたはヘキソースのアルコキシ基を表し、R4は水素原子またはハロゲン原子を表す。但し、R2とR3は同時に炭素数1〜15の直鎖または分岐のアルコキシ基となることはない。)を表し、Mは、Cu,Zn,Co,Ni,Pd,MnOH,AlCl,FeCl,InCl,SnCl2,VOまたはTiOを表す。〕
【0024】
▲2▼ 基板上に、少なくとも、記録層及び反射層を有する光記録媒体において、記録層中に、▲1▼のフタロシアニン化合物を含有する光記録媒体、
【0025】
▲3▼ 記録層中に、一般式(1)で示されるフタロシアニン化合物及び波長630nm未満に吸収極大を有する化合物を含有する▲2▼の光記録媒体、
【0026】
▲4▼ 波長630nm未満に吸収極大を有する化合物がアゾ化合物の金属錯体である▲3▼の光記録媒体。
【0027】
▲5▼ 波長620〜690nmの赤色レーザーから選ばれた光に対する基板側から測定した反射率が15%以上であり、波長620〜690nmの赤色レーザーで、少なくとも再生可能である▲2▼〜▲4▼の光記録媒体、
【0028】
▲6▼ 波長620〜690nmの赤色レーザーから選ばれた光に対する基板側から測定した反射率が15%以上であり、波長620〜690nmの赤色レーザーで、記録再生可能である▲5▼の光記録媒体、
【0029】
▲7▼ 波長770〜830nmの近赤外レーザーから選ばれた光に対する基板側から測定した反射率が65%以上であり、波長770〜830nmから選ばれた近赤外レーザーで、少なくとも再生可能である▲5▼または▲6▼の光記録媒体、
【0030】
▲8▼ 波長770〜830nmから選ばれた近赤外レーザーで記録再生可能である▲7▼の光記録媒体、に関するものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
本発明の光記録媒体は、基板上に、記録層及び反射層を有する。光記録媒体とは、予め情報を記録されている再生専用の光再生専用媒体、及び、情報を記録して再生のできる光記録媒体、特に基板上に記録層、反射層及び保護層をこの順で形成した光記録媒体について説明する。この光記録媒体は、図1に示すような4層構造を有している。即ち、基板1上に記録層2が形成されており、その上に密着して反射層3が設けられており、更にその上に保護層4が反射層3を覆っている。
【0033】
基板の材質としては、基本的には記録光及び再生光の波長で透明であればよい。例えば、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の高分子材料やガラス等の無機材料が利用される。これらの基板材料は射出成形法等により円盤状に基板に成形される。必要に応じて、基板表面に記録位置を表す案内溝やピットを形成することもある。
【0034】
本発明の記録層に含有される一般式(1)で示されるフタロシアニン化合物中、R1、R2及びR3で示される1,3-ジオキソランまたは1,3-ジオキサンを有するペントースまたはヘキソースのアルコキシ基の具体例としては、D−リボ−ス、D−アビノ−ス、D−キシロ−ス、D−リキソ−ス、D−アロ−ス、D−アルトロ−ス、D−グルコ−ス、D−マンノ−ス、D−ギュロ−ス、D−イド−ス、D−ガラクト−ス及びD−タロ−スにおいて、隣接する2つの水酸基で形成される1,3-ジオキソランまたは1,3-ジオキサンを有するアルコキシ基であり、好ましくは、1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−D−グルコフラノース、1,2:5,6−ジ−O−シクロヘキシリデン−D−グルコフラノース、1,2:3,5−ジ−O−イソプロピリデン−D−グルコフラノース、1,2−O−イソプロピリデン−3,5−O−ベンジリデン−D−グルコフラノース、1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−ガラクトピラノース、2,3:5,6−ジ−O−シクロヘキシリデン−D−マンノフラノース、メチル−2,3−O−イソプロピリデン−D−リボフラノシド、メチル−2,3−O−ベンジリデン−D−リボフラノシド、エチル−2,3−O−シクロヘキシリデン−D−リボフラノシド、ベンジル−3,4−O−イソプロピリデン−D−アラビノピラノド、1,5−アンヒドロ−D−キシフラノシド、メチル−2,3−O−イソプロピリデン−D−リキソフラノシド、メチル−2,3−O−ヘキシリデン−D−リキソフラノシド、メチル−6−デオキシ−2,3−O−イソプロピリデン−D−アロフラノシド、メチル−4,6−O−ベンジリデン−D−アルトロピラノシド、2,3:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−D−ギュロフラノース、メチル−2−アセトアミド−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−D−イドピラノシド、メチル−2−アセトアミド−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−D−タロピラノシド、2,3:4,5−ジ−O−イソプロピリデン−D−ガラクトピラノース−ジエリルヂチオアセタール、1,6−アンヒドロ−2,3−O−イソプロピリデン−D−マンノフラノシド等が挙げられる。
【0035】
炭素数1〜15の直鎖または分岐のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、iso-プロポキシ基、ブトキシ基、iso-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、ペントキシ基、iso-ペントキシ基、neo-ペントキシ基、1-メチルブトキシ基、2-メチルブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2-エチルブトキシ基、3-メチルペントキシ基、4-tert-ブチルヘキシルオキシ基、1,2-ジメチルプロポキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基等が挙げられる。
【0036】
一般式(1)中、R4 で示されるハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。
【0037】
一般式(1)で示されるフタロシアニンの合成法としては、下式(2)または下式(3)
【0038】
【化5】
〔式(2)、式(3)中、R1 〜R4 は一般式(1)と同じ意味を表す。〕で示される化合物を、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)存在下に金属誘導体とアルコール中で加熱反応させる、或いは、金属化合物とクロロナフタレン、ブロモナフタレン、トリクロロベンゼン等の高沸点溶媒中で加熱反応させる方法等が挙げられる。また、一般式(2)または(3)で示される化合物を、アルコール中、ナトリウムメチラートを触媒にアンモニアと反応させて得られる一般式(4)または(5)で示されるジイミノイソインドリンを中間体として同様に反応させる方法等が挙げられる。
【0039】
【化6】
〔式(3)、式(4)中、R1〜R4は一般式(1)と同じ意味を表す。〕
また、一般式(2)で示される化合物は、以下に示した経路で製造することができる。
【0040】
【化7】
市販されている3−ニトロフタロニトリル(A)を、塩基の存在化、METHODS IN CARBOHYDRATE CHEMISTRY VOLUME I、IIに記載されている前記した1,3-ジオキソランまたは1,3-ジオキサンを有するペントースまたはヘキソースと反応させることで目的とする一般式(2)で示される化合物を得ることができる。
【0041】
一般式(3)で示される化合物は、以下に示した経路で製造することができる。
【0042】
【化8】
市販されている3,6−ジヒドロキシフタロニトリル(B)または4,5−ジクロロ−3,6−ジヒドロキシフタロニトリル(C)を、塩基の存在化、METHODS IN CARBOHYDRATE CHEMISTRY VOLUME I、IIに記載された前記した1,3-ジオキソランまたは1,3-ジオキサンを有するペントースまたはヘキソースのハロゲンまたはトシレート化合物と反応させることで目的とする一般式(3)で示される化合物を得ることができる。
【0043】
以上のようにして製造される一般式(1)で示されるフタロシアニン化合物は、650〜900nmにシャ−プな吸収を有し、分子吸光係数も高く、アルコール系の極性溶剤や炭化水素系の非極性溶剤への溶解性にも優れ、長期安定性及び耐久性にも優れるため、半導体レーザー光を用いる光記録媒体の記録材料として加工性、性能の点で適している。
【0044】
また、波長630nm未満に吸収極大を有する化合物としては、ペンタメチンシアニン系色素、スクワリリウム系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、ポルフィリン系色素、アゾ系色素等が挙げられる。中でも波長630nm未満に吸収極大を有する化合物として好ましいのは、一般式(6)で表されるアゾ化合物と金属のアゾ金属錯体化合物である。
【0045】
【化9】
(式中、Xは、それが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒になって複素環を形成する残基を表し、Yは、それが結合してる2つの炭素原子と一緒になって芳香環を形成する残基を表し、Zは、活性水素を有する基を表す。)
【0046】
上記式中、Xは、それが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒になって複素環を形成する残基の具体例としては、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリドベンゾチアゾール環、ベンゾピリドチアゾール環、ピリドチアゾール環、ピリジン環、キノリン環、チアジアゾール環、イミダゾール環等を形成する残基が挙げられる。これらの含窒素複素環は、置換基を有してもよく、かかる置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、エステル基、カルバモイル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、スルホンアミド基、アミノ基、ヒドロキシル基、フェニルアゾ基、ピリジノアゾ基、ビニル基等が挙げられ、これらの置換基は更に置換基を有してもよい。含窒素複素環上の置換基の中で好ましいものとしては、置換基を有してもよい炭素数1〜25のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜25のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有してもよい炭素数1〜25のアルキルスルファモイル基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、置換基を有してもよいピリジノアゾ基、炭素数2〜26のエステル基、炭素数2〜26のカルバモイル基、炭素数2〜26のアシル基、炭素数1〜25のアシルアミノ基、炭素数1〜25のスルホンアミド基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
【0047】
Yは、それが結合してる2つの炭素原子と一緒になって芳香環を形成する残基の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリドン環、テトラヒドロキノリン環またはピラゾール環等を形成する残基が挙げられる。これらの芳香環または複素環は、置換基を有してもよく、かかる置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、エステル基、カルバモイル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、スルホンアミド基、アミノ基、ヒドロキシル基、フェニルアゾ基、ピリジノアゾ基、ビニル基等が挙げられ、これらの置換基は更に置換基を有してもよく、好ましいものとしては、置換基を有してもよい炭素数1〜25のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜25のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有してもよい炭素数1〜25のアルキルスルファモイル基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、置換基を有してもよいピリジノアゾ基、炭素数2〜26のエステル基、炭素数2〜26のカルバモイル基、炭素数2〜26のアシル基、炭素数1〜25のアシルアミノ基、炭素数1〜25のスルホンアミド基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
【0048】
Zとして活性水素を有する基であれば特に制限されないが、好ましいものとしてはヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。
【0049】
前記アゾ化合物と一緒に錯体化合物を形成する金属としては、一般にアゾ化合物と一緒に錯体化合物を形成する金属であれば特に制限されないが、ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銅、オスミウム、イリジウム、白金等の遷移金属が好ましい。
【0050】
本発明に用いられるアゾ化合物の金属錯体の中で、特に好ましい具体例としては、下記に挙げられるアゾ化合物の金属錯体が挙げられる。
【0051】
【化10】
上記式(D)において、次に示される置換基を有する化合物と金属との錯体は特に好ましい。
【0052】
【表1】
【0053】
【化11】
上記式(E)において、次に示される置換基を有する化合物と金属との錯体は特に好ましい。
【0054】
【表2】
このアゾ化合物の金属錯体は、単独でも複数の化合物を混合して用いても良い。
【0055】
本発明の記録層には、耐久性向上が要求されるような場合には、必要に応じて、前記の色素に、クエンチャー、色素熱分解促進剤、紫外線吸収剤、接着剤等の添加剤を混合か、あるいは、そのような効果を有する基を置換基として導入することも可能である。
なお、クエンチャーとしては、アセチルアセトナート系、ビスジチオ−α−ジケトン系やビスフェニルジチオール系などのビスジチオール系、チオカテコール系、サリチルアルデヒドオキシム系、チオビスフェノレート系等の金属錯体が好ましい。またアミン系も好適である。
【0056】
熱分解促進剤としては、色素熱分解の促進が熱減量分析(TG分析)により確認できるものであれば特に限定されず、例えば、金属系アンチノッキング剤、メタロセン化合物、アセチルアセトナト系金属錯体等の金属化合物が挙げられる。
【0057】
さらに、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等を併用することもできる。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
【0058】
これらの色素を含有する記録層は、スピンコート法やキャスト法等の塗布法やスパッタ法や化学蒸着法、真空蒸着法等によって基板上に厚さ50〜500nm好ましくは100〜150nmの厚さに形成される。特に塗布法を用いる場合には、一般式(1)の化合物及び/又は前記の波長630nm未満に吸収極大を有する化合物を0.05〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%となるように溶媒に溶解あるいは分散させた塗布液を用いる。この際、溶媒は基板にダメージを与えないものを選ぶことが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、オクタフルオロペンタノール、アリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラフルオロプロパノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、3-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブタノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、乳酸メチル等のエステル系溶媒、水などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、或いは、複数混合して用いてもよい。
【0059】
また、基板にダメージを与えない溶媒を選択できない場合は、スパッタ法、化学蒸着法や真空蒸着法などが有効である。
【0060】
次に色素層の上に、厚さ50〜300nm、好ましくは100〜150nmの反射層を形成する。反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Cr及びPdの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。このなかでもAuやAlは反射率が高く反射層の材料として適している。これ以外でも下記のものを含んでいてもよい。例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属を挙げることができる。また、Auを主成分としているものは反射率の高い反射層が容易に得られるため好適である。ここで主成分というのは含有率が50%以上のものをいう。金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
【0061】
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、基板の上や反射層の下に反射率の向上や記録特性の改善のために公知の無機系又は有機系の中間層、接着層を設けても良い。
【0062】
更に、色素層や反射層を保護するために、反射層の上に保護層を設ける。2枚の媒体を貼り合わせても良い。
【0063】
保護層の材料としては反射層を外力から保護するものであれば特に限定しない。有機物質としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等を挙げることができる。又、無機物質としては、SiO2、SiN4、MgF2、SnO2等が挙げられる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などは適当な溶剤に溶解して塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。UV硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良いし、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
【0064】
保護層の形成方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法などの塗布法や、スパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、このなかでもスピンコート法が好ましい。
【0065】
保護層の膜厚は、一般には0.1〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3〜30μmであり、好ましくは5〜20μmがより好ましい。保護層の上に更にレーベル等の印刷を行うこともできる。
【0066】
又、基板鏡面側に、表面保護やゴミ等の付着防止のために紫外線硬化樹脂、無機系薄膜等を成膜しても良い。
【0067】
このようにして得られた本発明の光記録媒体はレーザー光を色素層に集束することにより記録や再生を行うことが出来る。記録する際の信号としては、例えばCD等に用いられているEMF変調信号が挙げられる。本発明の媒体は、特に780nmのレーザー光で記録出来、且つ、該光に対する反射率が65%以上得られ、770〜830nmから選ばれた波長の光に対する反射率が65%以上得られるので、780nm前後の波長のレーザー光により記録及び再生ができる。又、記録した情報を市販のCDやCD−ROMプレーヤーで再生することができる。再生した信号特性はCD−Rの規格であるオレンジブック規格を満足する。更に、620〜690nmの光に対する反射率が15%以上得られ、620〜690nmから選ばれた波長のレーザーを搭載した高密度対応光ディスクプレーヤーでも再生可能である。次期の高密度対応プレーヤーに用いられる光の波長は620〜690nmである。例えば、可視領域の広範囲で波長選択のできる色素レーザーや波長633nmのヘリウムネオンレーザーもあるが、実用に供せられる半導体レーザーの波長としては、例えば635nm、650nm又は680nm前後である。また、本発明の媒体は620〜690nmから選ばれた波長の光を用いて記録することもできる。
【0068】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。
【0069】
実施例1
下記構造式(2−1)
【0070】
【化12】
で示されるフタロニトリル誘導体38.6g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)及びn−アミルアルコール125gよりなる混合物を窒素雰囲気下で、125℃まで昇温させた。次に、同温度で塩化第一銅3.0g(0.03モル)を添加し、125〜130℃で3時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を溜去した後、カラム精製(シリカ:溶媒トルエン)し、下記構造式(1−1)で示されるフタロシアニン化合物34.2gを得た。
【0071】
【化13】
下記分析結果より目的物であることを確認した。
【0072】
【表3】
このようにして得られた化合物はトルエン溶液において700nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.32×105mL/g.cmであった。
【0073】
実施例2
下記構造式(2−2)
【0074】
【化14】
で示されるフタロニトリル誘導体44.4g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)及びn−アミルアルコール125gよりなる混合物を窒素雰囲気下で、100℃まで昇温させた。次に、同温度で塩化パラジウム5.3g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で30時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を溜去した後、カラム精製(シリカ:溶媒トルエン)し、下記構造式(1−2)で示されるフタロシアニン化合物14.1gを得た。
【0075】
【化15】
下記分析結果より目的物であることを確認した。
【0076】
【表4】
このようにして得られた化合物はトルエン溶液において727nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は0.72×105mL/g.cmであった。
【0077】
実施例3
下記構造式(2−3)
【0078】
【化16】
で示されるフタロニトリル誘導体2.46g(0.005モル)、DBU0.761g(0.005モル)及びn−アミルアルコール25gよりなる混合物を窒素雰囲気下で、125℃まで昇温させた。次に、同温度で塩化第一銅0.165g(0.0017モル)を添加し、125〜130℃で3時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を溜去した後、カラム精製(シリカ:溶媒トルエン)し、下記構造式(1−3)で示されるフタロシアニン化合物2.29gを得た。
【0079】
【化17】
下記分析結果より目的物であることを確認した。
【0080】
【表5】
このようにして得られた化合物はトルエン溶液において701.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.21×105mL/g.cmであった。
【0081】
実施例4
下記構造式(2−4)
【0082】
【化18】
で示されるフタロニトリル誘導体35.7g(0.077モル)、DBU11.6g(0.077モル)及びn−アミルアルコール125gよりなる混合物を窒素雰囲気下で、130℃まで昇温させた。次に、同温度でアセチルアセトンヴァナジウム(IV)6.76g(0.0257モル)を添加し、130℃で20時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を溜去した後、カラム精製(シリカ:溶媒トルエン)し、下記構造式(1−4)で示されるフタロシアニン化合物9.3gを得た。
【0083】
【化19】
下記分析結果より目的物であることを確認した。
【0084】
【表6】
このようにして得られた化合物はトルエン溶液において725.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は0.99×105mL/g.cmであった。
【0085】
実施例5
前記構造式(2−1)で示されるフタロニトリル誘導体38.6g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)及びn−アミルアルコール125gよりなる混合物を窒素雰囲気下で、130℃まで昇温させた。次に、同温度でアセチルアセトンヴァナジウム(IV)7.95g(0.03モル)を添加し、130℃で17時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を溜去した後、カラム精製(シリカ:溶媒トルエン)し、下記構造式(1−5)で示されるフタロシアニン化合物11.3gを得た。
【0086】
【化20】
下記分析結果より目的物であることを確認した。
【0087】
【表7】
このようにして得られた化合物はトルエン溶液において727nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.23×105mL/g.cmであった。
【0088】
実施例6
前記構造式(2−4)で示されるフタロニトリル誘導体46.7g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)及びn−アミルアルコール125gよりなる混合物を窒素雰囲気下で、125℃まで昇温させた。次に、同温度で塩化第一銅3.0g(0.03モル)を添加し、125〜130℃で3時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を溜去した後、カラム精製(シリカ:溶媒トルエン)し、下記構造式(1−6)で示されるフタロシアニン化合物43.4gを得た。
【0089】
【化21】
下記分析結果より目的物であることを確認した。
【0090】
【表8】
このようにして得られた化合物はトルエン溶液において701nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.10×105mL/g.cmであった。
【0091】
実施例7
一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物のうち、構造式(1−5)で表されるフタロシアニン化合物のメチルシクロヘキサン溶液(10g/L)を調製した。
【0092】
基板としては、連続した案内溝(トラックピッチ:1.6μm)を有する直径120mmφ、厚さ1.2mmの円盤状のもの(ポリカーボネート樹脂)を用いた。この基板上に色素溶液を回転数1500rpmでスピンコートし、70℃で2時間乾燥して、記録層を形成した。この記録層の上にバルザース社製スッパタ装置(CDI−900)を用いて、Auをスパッタし、厚さ100nmの反射層を形成した。スッパタガス圧1.0×10-2Torrで行った。更に反射層の上に、紫外線硬化樹脂SD−17(大日本インキ化学工業製)をスピンコートした後、紫外線照射して厚さ6μmの保護層を形成し、CD−R媒体を作製した。
この媒体の反射率は71%(775〜790nm)であり、780nmの半導体レーザ−を用いて線速1.3m/sでEFM信号を5.5mWのパワーで書き込むことができ、その時のエラ−レートは10未満であった。
【0093】
実施例8
一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物のうち、構造式(1−1)で表されるフタロシアニン化合物0.2gと、アゾ化合物の金属錯体(E−1)0.02gを、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール10mLに溶解し、色素溶液を調製した。
【0094】
基板としては、連続した案内溝(トラックピッチ:1.6μm)を有する直径120mmφ、厚さ1.2mmの円盤状のもの(ポリカーボネート樹脂)を用いた。この基板上に色素溶液を回転数1500rpmでスピンコートし、70℃で2時間乾燥して、記録層を形成した。この記録層の上にバルザース社製スッパタ装置(CDI−900)を用いて、Auをスパッタし、厚さ100nmの反射層を形成した。スッパタガス圧1.0×10-2Torrで行った。更に反射層の上に、紫外線硬化樹脂SD−17(大日本インキ化学工業製)をスピンコートした後、紫外線照射して厚さ6μmの保護層を形成した。
【0095】
この光記録媒体を780nm半導体レーザーヘッドを搭載したフィリップス製ライター(CD−521)を用いて、線速2.8m/s、レーザーパワー8mWでFEM信号を記録した。記録後、市販CDプレーヤー(YAMAHA CDX−1050、レーザー波長786nm)を用いて信号を再生し、反射率、エラーレート及び変調度を測定した。いずれも良好な値を示した。
【0096】
次にこの媒体を680nm赤色半導体レーザーヘッドを搭載したパルスチック工業製光ディスク評価装置(DDU−1000)及びKENWOOD製EFMエンコーダーを用いて、線速5.6m/s、レーザーパワー10mWで記録した。記録後、680nm及び635nm赤色半導体レーザーヘッドを搭載した評価装置を用いて信号を再生し、反射率、エラーレート及び変調度を測定した。いずれも良好な値を示した。この記録媒体を、市販CDプレーヤー(YAMAHA CDX−1050、レーザー波長786nm)を用いて信号を再生し、反射率、エラーレート及び変調度を測定した。いずれもオレンジブック規格を満足した良好な値を示であった。
【0097】
このように、この媒体は複数のレーザー波長で記録及び再生を良好に行うことが出来た。
【0098】
尚、エラーレートはケンウッド社製CDデコーダー(DR3552)を用いて計測し、変調度は以下の式により求めた。
変調度={(信号の最大強度)−(信号の最小強度)}/(信号の最大強度)
サンプルを再生波長が780nmの市販CDプレーヤーで再生評価した結果、良好な記録特性を示した。
【0099】
実施例9〜18
フタロシアニン化合物とアゾ化合物の金属錯体を組み合わせて用いること以外は、実施例8に準じて光記録媒体を作製した。
【0100】
作製した媒体を実施例8と同様に780nm半導体レーザーヘッドを搭載したフィリップス製ライターと680nm赤色半導体レーザーヘッドを搭載したパルスチック工業製光ディスク評価装置(DDU−1000)及びKENWOOD製EFMエンコーダーを用いて記録した。記録後、実施例8と同様の測定を行った結果、いずれも良好な記録特性を示した。
【0101】
以上の各媒体を780及び680nmで記録した各々の場合で、786、680、635nmでの再生時の反射率、エラーレート、変調度を表−1にまとめて示す。
【0102】
比較例1
実施例8において、記録層にアゾ化合物の金属錯体(E−1)のみ用いること以外は、実施例8に準じて光記録媒体を作製した。
【0103】
作製した媒体を実施例8と同様に780nm半導体レーザーヘッドを搭載したフィリップス製ライターと680nm赤色半導体レーザーヘッドを搭載したパルスチック工業製光ディスク評価装置(DDU−1000)及びKENWOOD製EFMエンコーダーを用いて記録することを試みたが、780nmでは記録できず、680nmでも感度が低く、きれいに記録することができなかった。
【0104】
比較例2
実施例8において、記録層に、米国特許第5124067号明細書の実施例98に開示されたフタロシアニン化合物のn−オクタン溶液のみを用いること以外は、実施例8に準じて光記録媒体を作製した。
【0105】
作製した媒体を実施例8と同様に780nm半導体レーザーヘッドを搭載したフィリップス製ライターと680nm赤色半導体レーザーヘッドを搭載したパルスチック工業製光ディスク評価装置(DDU−1000)及びKENWOOD製EFMエンコーダーを用いて記録した。記録後、実施例8と同様の測定を行った結果、波形が歪み635、680nmでの反射率が低かった。
【0106】
以上の各媒体を780及び680nmで記録した各々の場合で、786、680、635nmでの再生時の反射率、エラーレート、変調度を表−1にまとめて示す。
【0107】
【表9】
【0108】
【表10】
【0109】
【発明の効果】
本発明は、620〜690nmから選ばれた波長のレーザー光で再生または記録再生が可能であり、更に、現行のCD−R媒体の規格であるオレンジブック(780〜830nmから選ばれた波長の光に対する反射率が65%以上で、該光で記録再生が可能)を満足するフタロシアニン化合物及び該化合物を含有する光記録媒体を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の一実施態様を説明する断面構造図である。
【符号の説明】
1 基板
2 記録層
3 反射層
4 保護層
Claims (8)
- 一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物。
- 基板上に、少なくとも、記録層及び反射層を有する光記録媒体において、記録層中に、請求項1記載のフタロシアニン化合物を含有することを特徴とする光記録媒体。
- 記録層中に、一般式(1)で示されるフタロシアニン化合物及び波長630nm未満に吸収極大を有する化合物を含有する請求項2記載の光記録媒体。
- 波長630nm未満に吸収極大を有する化合物がアゾ化合物の金属錯体である請求項3記載の光記録媒体。
- 波長620〜690nmの赤色レーザーから選ばれた光に対する基板側から測定した反射率が15%以上であり、波長620〜690nmの赤色レーザーで、少なくとも再生可能であることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の光記録媒体。
- 波長620〜690nmの赤色レーザーから選ばれた光に対する基板側から測定した反射率が15%以上であり、波長620〜690nmの赤色レーザーで、記録再生可能であることを特徴とする請求項5記載の光記録媒体。
- 波長770〜830nmの近赤外レーザーから選ばれた光に対する基板側から測定した反射率が65%以上であり、波長770〜830nmから選ばれた近赤外レーザーで、少なくとも再生可能であることを特徴とする請求項5または6記載の光記録媒体。
- 波長770〜830nmから選ばれた近赤外レーザーで記録再生可能である請求項7記載の光記録媒体。
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