JP4138045B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の版胴を備えて多色印刷を行える孔版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より簡便な印刷方式として、デジタル式感熱孔版印刷装置が知られている。孔版印刷装置では、微細な発熱素子が一列に配置されたサーマルヘッドを感熱孔版マスタに接触させて画像情報に応じて発熱素子にパルス的に通電しながらマスタを搬送することで、マスタを溶融穿孔して製版し、この製版済みマスタを多孔性の円筒状版胴の外周面に巻装して穿孔した部位よりインキを通過させて用紙に転移して印刷画像を形成している。この種の孔版印刷装置による印刷は、版胴内に配置したインキローラと、このローラと対向するように版胴外周面近傍に配置され、同外周面に適時押圧されるプレスローラの圧により、インキローラ上のインキを版胴の外周面に巻装した製版済みマスタの穿孔からマスタの外周面側へにじませ用紙に転移させている。
【0003】
このような孔版印刷装置で多色印刷をするには、1色目の原稿を用いて製版したマスタを版胴に巻装して用紙に1色目のインキ画像の転写を印刷部数分行い、次の色の印刷を行うには、2色目の原稿を用いてマスタを製版した後、このマスタを版胴に巻装して1色目の画像転写を終えた用紙を給紙部から給紙して、2色目のインキ画像を転写するという作業を繰り返すことで多色印刷を可能にしていた。1色目の印刷部数分の印刷を行ってから次の色に対応する印刷を行う場合においては、印刷部数を増やす場合、1色目の印刷から印刷部数を設定して再度印刷しなければならず、作業が繁雑で作業時間を要していた。また、印刷直後の用紙に再印刷するので、印刷装置の給紙部等に印刷用紙上のインキが付着して汚れてしまうという問題があった。
【0004】
そこで、色画像に対応して製版した製版済みマスタを外周面に巻装した版胴を、用紙の搬送方向に間隔を空けて複数並列し、両版胴の間に搬送方向の上流側に位置する版胴で印刷された用紙を搬送方向の下流側に位置する版胴に向かって搬送する中間搬送装置を配置して、複数の色に対応する画像印刷を一回の給紙動作で行える同時多色印刷可能な孔版印刷装置が提案されている(特開平7−17121号公報参照)。このように複数の版胴を有する孔版印刷装置では、中間搬送装置による用紙の搬送速度が一定とされ、かつ、各版胴が用紙を給紙する給紙タイミングと同期して一定速度で回転駆動されており、各版胴の印刷位置で用紙と各版胴上のインキ画像とが一致するように設定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、同時多色可能な孔版印刷装置で問題となるのが、上流側の版胴で印刷した用紙のインキが、下流側の版胴上のマスタに付着して、その付着したインキが、次に搬送される用紙への印刷の際に転写される、所謂画像ダブリ印刷等が発生することである。この現象は、版胴の印刷搬送速度や用紙の搬送速度の影響でそのダブリ量が変化するという特徴を持っている。さらに、孔版印刷の場合、版胴に対して用紙をプレスローラで押圧してインキ画像を用紙に印刷しているので、インキ画像の大きさや用紙のサイズによって画像領域が異なり、用紙に転移するインキ量に変化がある。
【0006】
このため、印刷時に版胴に付着する用紙の版胴から剥がれる時期が、転移するインキ量に応じてバラツキ、中間搬送装置における用紙の搬送開始位置がずれ、搬送方向下流側に位置する版胴への送り込みタイミングがずれてしまう。このタイミングのずれは、下流側の版胴から用紙への印刷タイミングのバラツキとなり、印刷画像ずれや画像ダブリ印刷等の問題を発生させてしまう。
本発明は、このような問題点を鑑み、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれの極めて少ない多色印刷可能な孔版印刷装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1記載の発明は、外周面に製版済みマスタが巻装され、内周面にインキ供給手段からインキが供給される版胴を上記用紙の搬送方向に間隔を空けて複数並列し、両版胴の間に搬送方向の上流側に位置する版胴で印刷される用紙を搬送方向の下流側に位置する版胴に向かって搬送する中間搬送装置を配置し、上流側の版胴で印刷された用紙の上に下流側に位置する版胴で印刷する同時多色印刷可能な孔版印刷装置において、下流側に位置する版胴上の製版済みマスタから用紙への印刷タイミングを制御する制御手段を備えるので、この制御手段により下流側の版胴上の製版済みマスタから上流側の版胴で印刷を終えた用紙への印刷タイミングが調整され、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれが極めて少なくなる。
【0008】
請求項1の記載の発明は、中間搬送装置による下流側に位置する版胴への用紙の送り込みタイミングを制御する機能を備えるので、上流側の版胴で印刷された用紙の下流側の版胴への送り込みタイミングが適切に調整され、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれが極めて少なくなる。
【0009】
請求項1記載の発明は、中間搬送装置による用紙の搬送速度を上流側に位置する版胴の印刷搬送速度よりも速くなるように制御するので、上流側の版胴から中間搬送装置への用紙の搬送が遅れた場合でも中間搬送装置の搬送速度で下流側の版胴への搬送遅れがカバーされ、特に画像ダブリ印刷を低減できる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、用紙の先端を検知する用紙先端検知手段を設け、制御手段が、この用紙先端検知手段の検知情報に基づいて中間搬送装置による用紙の搬送速度を制御する用紙搬送制御部を備えるので、上流側の版胴で印刷された用紙の下流側の版胴への送り込みタイミングが適切に調整されて、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれが極めて少なくなる。また、用紙先端検知手段の設ける位置に応じて下流側に位置する版胴と用紙の合うタイミングを調整できる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の孔版印刷装置において、用紙搬送制御部を用いて、用紙先端検知手段が用紙の先端を検知してからこの用紙と下流側に位置する版胴上の製版済みマスタとが、同版胴の印刷位置で合うように中間搬送装置による用紙の搬送速度を制御するので、常時、中間搬送装置の搬送速度を制御しなくても、下流側の版胴の印刷位置で同版胴の製版済みマスタと用紙とが合わされ、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを極めて少なくできる。また、下流側の版胴への用紙の送り込みタイミンクが速い場合でも、用紙先端検知により中間搬送装置の用紙搬送速度が制御されるので、下流側の版胴上の製版済みマスタから用紙への印刷タイミングをより細かく制御でき、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを一層少なくできる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、制御手段がさらに下流側に位置する版胴の印刷搬送速度を制御する機能を備えるので、上流側の版胴による印刷遅れや中間搬送装置による用紙の搬送遅れが生じた場合でも、その遅れを下流側の版胴の印刷搬送速度を調整することでカバーでき、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを極めて少なくできる。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の孔版印刷装置において、用紙の先端を検知する用紙先端検知手段を有し、制御手段がこの用紙先端検知手段からの検知情報に基づいて下流側に位置する版胴の印刷搬送速度を制御する印刷搬送速度制御部を備えるので、下流側に位置する版胴上の製版済みマスタから上流側の版胴で印刷された用紙への印刷タイミングが適切に調整され、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを極めて少なくできる。また、用紙先端検知手段の設ける位置に応じて下流側に位置する版胴と用紙の合うタイミングを調整できる。
【0014】
請求項6記載の発明では、請求項5記載の孔版印刷装置において、印刷搬送速度制御部が、用紙先端検知手段が用紙の先端を検知してから該用紙と下流側に位置する版胴上の製版済みマスタとが同版胴の印刷位置で合うように、下流側の版胴の印刷搬送速度を制御するので、常時、下流側の版胴の印刷搬送速度を制御しなくても、下流側の版胴の印刷位置で同版胴の製版済みマスタと用紙とが合わされ、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを極めて少なくできる。また、下流側の版胴への用紙の送り込みタイミンクが速い場合でも、用紙先端が検知されることで下流側の版胴の印刷搬送速度が制御されるので、下流側の版胴上の製版済みマスタから用紙への印刷タイミングをより細かく制御でき、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを一層少なくできる。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、用紙のサイズを認識する用紙認識手段を有し、制御手段が、この用紙認識手段で認識された用紙のサイズに応じて中間搬送装置による用紙の搬送速度または中間搬送装置による用紙の搬送速度と下流側に位置する版胴の印刷搬送速度の双方を制御する機能を備えているので、用紙のサイズ毎に搬送速度や印刷搬送速度を設定しなくて良くなると共に、印刷される用紙のサイズが変化しても下流側の版胴と用紙の合うタイミングが適切に調整され、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを極めて少なくできる。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の孔版印刷装置において、制御手段が、認識された用紙の搬送方向への長さが上流側と下流側とに位置する各版胴の印刷位置の距離よりも短い時に、中間搬送装置による用紙の搬送速度と上流側に位置する版胴の印刷搬送速度とを同一速度に制御する機能を有するので、下流側の版胴と短い用紙との合うタイミングが適切に調整され、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを極めて少なくできる。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の孔版印刷装置において、用紙の搬送速度を選択する用紙搬送速度選択手段または下流側に位置する版胴の印刷搬送速度を選択する印刷搬送速度選択手段の少なくとも一方を備え、用紙搬送速度選択手段または上記印刷搬送速度選択手段の少なくとも一方からの選択信号に基づき制御手段で用紙の搬送速度または用紙の搬送速度と印刷搬送速度を制御するので、中間搬送装置あるいは下流側に位置する版胴を、選択された搬送速度あるいは印刷搬送速度で移動させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる孔版印刷装置は、外周面に製版済みマスタを巻装され内周面にインキ供給手段でインキ供給を受ける版胴を、用紙搬送方向に間隔を空けて複数並列し、両版胴の間に配置した中間搬送装置で搬送方向の上流側に位置する版胴で印刷された用紙を搬送方向の下流側に位置する版胴に向かって搬送するもので、下流側に位置する版胴上の製版済みマスタから用紙への印刷タイミングを制御手段を用いて制御する。
【0019】
印刷タイミングの制御としては、中間搬送装置による用紙の搬送速度を変化させて下流側に位置する版胴への用紙の送り込みタイミングを制御したり、下流側に位置する版胴の印刷搬送速度を変化させることが挙げられる。
【0020】
中間搬送装置による用紙の搬送速度を、搬送する用紙のサイズに応じて制御したり、搬送途中の用紙の先端を検知する用紙先端検知手段からの検知情報に基づいて制御して下流側の版胴への用紙の送り込みタイミングを調整し、上流側の版胴からの用紙の剥がれるタイミングのずれを補正するようにしても良い。
【0021】
下流側の版胴の印刷搬送速度を、搬送する用紙のサイズに応じて制御したり、搬送途中の用紙の先端を検知する用紙先端検知手段からの検知情報に基づいて制御して中間搬送装置で搬送されてくる用紙との接触タイミングを調整し、下流側の版胴に対する用紙の送り込みタイミングのずれを補正するようにしても良い。
【0022】
下流側の版胴への用紙の送り込みタイミングのずれは、上流側の版胴から用紙に転移されるインキ量によっても左右されるので、下流側の版胴への用紙の送り込みタイミングが予め遅れるものとして、中間搬送装置による用紙の搬送速度を上流側の版胴の印刷搬送速度よりも速くなるように設定または制御し、用紙の長さが版胴間距離よりも短かい時だけ中間搬送装置による用紙の搬送速度を上流側の版胴の印刷搬送速度と同じ速度となるように制御しても良い。
【0023】
用紙のサイズにより用紙の搬送速度や版胴の印刷搬送速度を制御する場合、用紙サイズ認識手段を設け、この用紙サイズ認識手段からの認識情報に基づき制御すると、用紙のサイズ毎に搬送速度や印刷搬送速度を設定しなくて良く、印刷される用紙のサイズが変化しても下流側の版胴と用紙の合うタイミングを調整することができる点で好ましい。
【0024】
用紙の搬送速度を選択する用紙搬送速度選択手段または版胴の印刷搬送速度を選択する印刷搬送速度選択手段等を設け、これら用紙搬送速度選択手段または印刷搬送速度選択手段からの選択信号に基づき用紙の搬送速度や下流側の版胴の印刷搬送速度を制御するようにしても良い。用紙搬送速度選択手段や印刷搬送速度選択手段を手動操作できるキースイッチとすると、印刷を終えた用紙の印刷状態を見てから、それに対応して用紙の搬送速度や版胴の印刷搬送速度を調整できるので、用紙の先端検知不良やサイズ認識不良により適正な印刷タイミングの制御が行われない場合に、その印刷タイミングを手動で調整することができる。用紙サイズ認識手段としては、用紙サイズを設定する設定手段または用紙サイズを検知する検知手段、あるいは双方が挙げられる。
【0025】
中間搬送装置による用紙搬送速度や版胴の印刷搬送速度は、中間搬送装置の駆動部や版胴の駆動部に、エンコーダ等の周知の回転速度検知手段を設けて検知すると良い。用紙のサイズとは、例えばA4横やA4縦等のように、その用紙の向きも含めたものをいう。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して順次詳細に説明する。
(第1実施例)
本発明が適用された複胴式の孔版印刷装置の全体構成と基本的な孔版印刷動作とを説明する。図1に示す複胴式の孔版印刷装置は、用紙搬送方向Xの上流側から下流側に向かって並設された2つの版胴、(以下、「版胴1A」、「版胴1B」と記す)を具備していて、同時多色印刷(この実施例では同時2色印刷である)をすることが可能なように構成されている。版胴1Aと版胴1Bとは、略同一の機能および構成を有する。これと同じように、版胴1Aの内外廻りに配設された後述するインキ供給手段、製版装置および排版装置等と、版胴1Bの内外廻りに配設された後述するインキ供給手段、製版装置および排版装置とは、略同一の機能および構成を有しているので、それらを同一符号の末尾に符号aまたはbを付加することで区別することとし、その一方を詳述した場合には重複説明を避けるため他方の説明をできるだけ省略する。また、単に、同一符号の末尾に符号aまたはbを付加して別の機能及び構成を表すこともある。
【0027】
複胴式の孔版印刷装置は、周知の感熱デジタル製版一体型孔版印刷装置の構造を有している。すなわち、複胴式の孔版印刷装置は、マスタ33aを外周面1Aaに巻き付ける版胴1Aと、版胴1Aの右上方に配置されマスタ33aを製版する製版装置41aと、製版装置41aの下方に配置され給紙トレイ21上に積載された印刷用紙22を給送する給紙装置20と、版胴1Aの左上方に配置され使用済みのマスタ33aを版胴1Aから剥ぎ取り排版する排版装置42aと、版胴1Aの下方に配置され給送されてくる印刷用紙22を版胴1A上の製版済みのマスタ33aに押し付けることにより印刷を行う印圧装置32aと、印圧装置32aと版胴1Aの間に形成される印刷位置E1で印刷された印刷済みの印刷用紙22を版胴1Aから分離・剥離するエアーナイフ7aとを備える第1ユニットU1と、マスタ33bを外周面1Baに巻き付ける版胴1Bと、版胴1Bの左上方に配置されマスタ33bを製版する製版装置41bと、版胴1Bの左方に配置され使用済みのマスタ33bを版胴1Bから剥ぎ取り排版する排版装置42bと、版胴1Bの下方に配置され給送されてくる印刷用紙22を版胴1B上の製版済みのマスタ33bに押し付けることにより印刷を行う印圧装置32bと、印圧装置32bと版胴1Bの間に形成される印刷位置E2で印刷された印刷済みの印刷用紙22を版胴1Bから分離・剥離するエアーナイフ7bとを備える第2ユニットU2と、印刷位置E1で印刷された印刷済みの印刷用紙22を印刷位置E2に向かって搬送する中間搬送装置17aと、排版装置42bの下方に配置され、印刷位置E1及び印刷位置E2で多色印刷された印刷済みの印刷用紙22を排紙トレイ37上に排出する排紙装置35とから主に構成されている。
【0028】
孔版印刷装置の両製版装置41a,41bおよび排版装置42aの上方には、原稿の画像を読み取るための図示を省略した原稿読取装置と、孔版印刷装置を操作するための図3に示す操作パネル70とがそれぞれ配設されている。
【0029】
次に、複胴式の孔版印刷装置の動作を上記した各装置等の細部構成を含めて説明する。
版胴1Aは、周知の多孔性円筒状をなし、ドラム軸2aの周りに回動自在に支持されている。版胴1Aは、後述する版胴駆動モータにより矢印方向に回転される。版胴1Aの外周面1Aaの一母線上には、マスタ33aの先端部をクランプする開閉自在なクランパ5aが設けられている。クランパ5aは、クランパ軸6aで版胴1A上に枢着されていて、版胴1Aの外周廻りの適宜の位置に配設されている図示を省略した開閉手段により所定位置で開閉される。版胴1Aの内部には、版胴1Aの内周面1Abから外周面1Aaに向けてインキを供給するためのインキ供給手段が配設されている。版胴1Aにおけるインキ供給手段では1色目のインキとして例えばマゼンタ色のインキが、版胴1Bにおけるインキ供給手段では2色目のインキとして例えばブラック色のインキがそれぞれ供給されるようになっている。
【0030】
マスタ33aとしては、ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムに多孔質の支持体として和紙等を貼り合わせたマスタが用いられている。マスタ33aは、上記のものに限らず、非常に薄い実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるものを用いることも可能である。
【0031】
オペレータが、図示しない原稿読取装置の原稿受け台に印刷すべき原稿をセットし、製版を起動させるための図3に示す製版スタートキー73を押下すると、排版工程が両版胴1A,1Bにおいて同様に実行される。つまり、版胴1Aが図中矢印方向と反対方向(反時計回り方向)に回転し、版胴1Aの外周面に巻装されていた使用済みのマスタ33aが版胴1Aの外周面から漸次剥され搬送されつつ各排版ボックス(図示せず)内へ排出されていわゆる排版が終了する。
【0032】
排版工程と並行して、上記原稿読取部が作動して原稿読み取りが行われる。この原稿読み取りに係る詳細な構成及び動作は、例えば公知の「縮小式の原稿読取方式」で行われるようになっており、原稿読み取りされた画像は最終的にCCD(電荷結合素子)等の光電変換素子からなる画像センサにより光電変換される。画像センサにより光電変換され電気信号は、図示しないアナログ/デジタル(A/D)変換基板に送信されることによりデジタル画像信号に変換される。
【0033】
なお、上記原稿読取部には、多色重ね刷り印刷に必要な色分解のための諸機能を有する構成、例えば特開昭64−18682号公報記載の複数の色フィルターを切換可能に制御できるフィルターユニットと同様の機能及び構成を有するものが、ミラー群とレンズ(共に図示せず)との間の光路上に配設されていて、同公報記載と同様の自動製版・給版等の動作を行うようになっており、その詳しい説明は省略する。
【0034】
一方、上記原稿読み取り動作と並行して、デジタル信号化された画像信号に基づき、両製版装置41a,41bにおいて同様の製版・給版工程が行われる。マスタ33aが、製版装置41aに配設されている平面型のサーマルヘッドおよびこれに押し付けられているプラテンローラ(共に図示せず)および送り出しローラ対(図示せず)の回転により、マスタ33aがマスタ搬送路の下流側に搬送される。このように搬送されるマスタ33aに対して、各上記サーマルヘッドの主走査方向に一列に配列された多数の微小な発熱素子が、上記A/D変換基板およびその後の製版制御基板(図示せず)で各種処理を施されて送られてくるデジタル画像信号に応じて各々選択的に発熱し、発熱した発熱素子に接触しているマスタ33aの熱可塑性樹脂フィルムが溶融穿孔される。このようにして、画像情報に応じたマスタ33aの位置選択的な溶融穿孔により、画像情報が穿孔パターンとして書き込まれる。
【0035】
画像情報が書き込まれて製版された製版済みのマスタ33aの先端は、上記送り出しローラ対の回転により版胴1Aの外周部側へ向かって送り出され、給版ガイド板(図示せず)により進行方向を変えられ、図示の給版位置状態にある版胴1Aの拡開したクランパ5aへ向かって垂れ下がる。このとき版胴1Aは、排版工程により使用済みのマスタ33aを既に除去されている。一方、版胴1B側における製版済みのマスタ33bの先端は、上記送り出しローラ対の回転により版胴1B外周部側へ向かって送り出され、給版ガイド板(図示せず)により略水平方向に案内されつつ、クランパ5bが図1における略直上に位置する給版位置状態にある版胴1Bの拡開したクランパ5bへ向かって挿入される。
【0036】
そして、製版済みのマスタ33aの先端部が、一定のタイミングでクランパ5aによりクランプされると、版胴1Aは図中矢印方向(時計回り方向)に回転しつつ外周面に製版済みのマスタ33aを徐々に巻き付けていく。製版済みのマスタ33aの後端部は、製版完了後に製版装置41aに配設されている図示しない可動刃および固定刃等からなる切断手段の作動により一定の長さに切断されて、一版のマスタ33aが版胴1Aの外周面に完全に巻装されると、いわゆる給版工程が終了する。
【0037】
一版の各製版済みのマスタ33a,33bが各版胴1A,1Bの外周面1Aa,1Baにそれぞれ巻装されると製版・給版工程が終了し、版付け工程及び印刷工程が開始される。先ず、給紙トレイ21上に積載された最上位の印刷用紙22を呼び出しコロ23に接触するまで給紙トレイ21を上昇させておく。呼び出しコロ23に接触している最上位の印刷用紙22が、呼び出しコロ23の回転動作により搬送されると共に、分離コロ対24,25および分離板26の協働作用により1枚に分離され、上下一対のガイド板上28およびガイド板下27に案内されつつレジストローラ対29,30に向けて用紙搬送方向Xに給送される。このとき、搬送された印刷用紙22の先端は、レジストローラ対29,30のニップ部直前部位に当接し、ガイド板上28に沿って撓んだ状態で停止している。
【0038】
用紙搬送方向Xの上流側に位置する版胴1Aは、印刷動作が始まると印刷時の印刷搬送速度となる回転速度V1で回転され始める。版胴1Aの内周側では、インキ供給ディストリビュータ(図示せず)からインキローラ3aとドクタローラ4aとの間に形成されたインキ溜りIaにマゼンタ色のインキが供給され、そのマゼンタ色のインキはインキローラ3aとドクタローラ4aとが回転することによって混練され伸ばされると共に、インキローラ3aの外周面に均一に付着するようになる。インキの残量は、インキ検知手段(例えば特開平5−229243号公報の図2参照)によって検知され、インキが少なくなったときには上記インキ供給ディストリビュータから補給される。こうして版胴1Aの回転方向と同一方向に、かつ、版胴1Aの回転速度と同期して回転しながら内周面1Abに転接するインキローラ3aにより、インキが版胴1Aの内周側に供給される。
【0039】
印圧装置32aは、上記したインキローラ3a、後述する、プレスローラ9a、プレスローラブラケット11a、プレスローラテンション13aおよびプレスローラカム12aから主に構成されている。プレスローラ9aは、給送されてきた印刷用紙22を版胴1Aに押し付けて印刷画像を印刷用紙22上に形成する押圧手段としての機能を有する。プレスローラ9aは、プレスローラブラケット11aの一方の揺動端において回転自在に支持されていて、版胴1Aの外周面に接離自在に設けられている。版胴1Aに対するプレスローラ9aの印圧は、プレスローラブラケット11aの他方の揺動端側に張設されたプレスローラテンション13a(引張バネ)によって加えられると共に、このプレスローラテンション13aの付勢力によってプレスローラブラケット11aの他方の揺動端は、扇状のプレスローラカム12aの輪郭周面に圧接している。プレスローラカム12aは、後述する版胴駆動モータによって給紙装置20からの印刷用紙22の給紙タイミングおよび版胴1Aの回転に合せて同期して回転されるようになっており、給紙装置20から印刷用紙22が給紙されないときには、その大径部をプレスローラブラケット11aの他方の揺動端に対向させている。プレスローラカム12aは、給紙装置20から印刷用紙22が給送されてくると回転して、その小径部をプレスローラブラケット11aの他方の揺動端に対向させ、プレスローラ9aを図において時計回り方向に回転させるようになっている。
【0040】
そして、印刷用紙22が、レジストローラ対29,30により版胴1Aの回転と同期した所定のタイミングで印圧装置32aにおける版胴1Aとプレスローラ9aとの間に給送されてくると、これに同期して版胴1Aの外周面下方に離間していたプレスローラ9aが揺動・上昇されることにより、版胴1Aの外周面1Aaに巻装されている製版済みのマスタ33aに押し付けられる。これにより、版胴1Aの開孔部から滲み出たインキの粘性による付着力によって、製版済みのマスタ33aが版胴1Aの外周面上に密着すると同時に、さらに製版済みのマスタ33aの穿孔パターン部からインキが滲み出し、この滲み出たインキが印刷用紙22の表面に転移されて、1色目の所望の画像が印刷用紙22上に形成される。
【0041】
1色目の画像が印刷された印刷用紙22は、その先端がエアーナイフ7aの先端近傍の所までくると、エアーナイフ7aが版胴1Aの回転動作と同期してエアーナイフ軸8aを中心に回転して版胴1Aの外周面に接近し、図示を省略した空気圧発生装置で生成されたエアーナイフ7aの先端から吹き出る圧縮空気流によって、印刷用紙22の先端が版胴1Aから分離・剥離される。エアーナイフ7aにより分離・剥離された印刷用紙22は、中間搬送装置17aによって用紙搬送方向Xの下流側へとさらに搬送される。
【0042】
中間搬送装置17aは、従動ローラ14aと駆動ローラ15aとの間に掛け渡された多孔性の搬送ベルト16aと、吸引用のファン18aとから主に構成されている。中間搬送装置17aは、図2に示す制御手段34の制御下におかれていて、この制御手段34で搬送ベルト16aによる印刷用紙22の搬送速度を制御されている。エアーナイフ7aにより分離・剥離された印刷済みの印刷用紙22は、ファン18aの作動により吸引されつつ、搬送ベルト16aに吸着され、この搬送ベルト16aの反時計回り方向の回転により次の印刷位置E2へ向かって搬送される。
【0043】
このとき、用紙搬送方向Xの下流側に位置し2色目に対応する版胴1Bは、版胴1Aと同期して印刷動作が始まり、図中矢印方向(時計回り方向)に印刷の回転速度V2で回転され始める。版胴1Bの内周側では、版胴1Aと同様の構成及び動作内容で版胴1Bの回転速度と同期して回転しながら内周面1Bbに転接するインキローラ3bにより、2色目のインキが版胴1Bの内周側に供給される。
【0044】
そして、印刷用紙22が、中間搬送装置17aの搬送ベルト16aによって所定のタイミングで印圧装置32bにおける版胴1Bとプレスローラ9bとの間の印刷位置E2に給送されてくると、これに同期して版胴1Bの外周面下方に離間していたプレスローラ9bが揺動・上昇されることにより、版胴1Bの外周面1Baに巻装されている製版済みのマスタ33bに押し付けられる。これにより、版胴1Bの開孔部から滲み出たインキの粘性による付着力によって、製版済みのマスタ33bが版胴1Bの外周面上に密着すると同時に、さらに製版済みのマスタ33bの穿孔パターン部からインキが滲み出し、この滲み出たインキが印刷用紙22の表面に転移されて、2色目のインキによる印刷画像が既に1色目のインキによる画像が形成された印刷用紙22上に印刷される。
【0045】
2色目の画像が形成された印刷用紙22は、その先端がエアーナイフ7bの先端近傍の所までくると、エアーナイフ7bが版胴1Bの回転動作と同期してエアーナイフ軸8bを中心に回転して版胴1Bの外周面1Baに接近すると同時に、図示を省略した空気圧発生装置で生成されたエアーナイフ7bの先端から吹き出る圧縮空気流によって、印刷用紙22の先端が版胴1Bから分離・剥離される。エアーナイフ7bにより分離・剥離された印刷済みの印刷用紙22は、排紙装置35によってさらに用紙搬送方向Xの下流側に位置する排紙トレイ37へ搬送される。
【0046】
排紙装置35は、従動ローラ39と駆動ローラ38との間に掛け渡された多孔性の搬送ベルト40と、吸引用ファン36とで主に構成されている。排紙装置35の搬送ベルト40は、版胴1Aの回転速度V1と略同じ搬送速度V3で版胴1Aと同期して駆動されるようになっている。エアーナイフ7bにより分離・剥離された印刷済みの印刷用紙22は、吸引用ファン36の作動により吸引されつつ、搬送ベルト40に吸着され、この搬送ベルト40の反時計回り方向の回転により、排紙トレイ37上に順次排出積載される。このようにしていわゆる「版付け」、あるいは「試し刷り」が終了する。
【0047】
次に、図3に示す操作パネル70のテンキー71で印刷枚数を設定し、印刷スタートキー72を押下すると上記試し刷りと同様の工程で、給紙、印刷および排紙の各工程が設定した印刷枚数分繰り返して行なわれ、孔版印刷の全工程が終了する。
【0048】
このような孔版印刷装置を構成する上記各装置等の構成およびその配置状態は、あくまでもその一例を示したものであり、他の周知の装置および種々の配置状態をもって構成しても良いことはいうまでもない。例えば、エアーナイフ7a,7bの他に、各版胴1A,1Bの外周面近傍に揺動自在な周知の排紙剥離爪のみを用いた装置もある。
【0049】
複胴式の孔版印刷装置は、上記したような感熱デジタル製版一体型孔版印刷装置を構成するものに限らず、例えば各版胴1A,1Bがドラムユニットを構成していて装置本体から着脱自在な構成を有するものにあっては、上記装置本体と別体に配設された製版給版装置あるいは排版装置(共に図示せず)によってマスタを製版給版したり、あるいは使用済みのマスタを各版胴1A,1Bの外周面から剥離し排版したりしても良く、各製版装置41a,41b並びに各排版装置42a,42bを上記装置本体に必ずしも具備していなくても良い。また、製版するためのデータは、上記したように原稿読取装置で読み取ったデータでも、あるいはコンピュータ等で作成されたデータであっても良い。なお、本発明における画像先端とは、各マスタに形成される画像領域の先端をさし、この画像領域の先端とは、原稿のスキャン位置の先端のことを云う。
【0050】
次に第1実施例の要部の説明に移る。第1実施例は、印刷用紙22のサイズに応じて用紙搬送速度となる搬送ベルト16aの外周面の周速度Vを変更し、印刷位置E2への印刷用紙22の送り込みタイミングを制御するのが特徴である。
【0051】
具体的には、図2に示す制御手段34、用紙サイズ認識手段45となる用紙サイズ検知手段としての用紙サイズ検知センサ群46と用紙サイズ設定手段となる用紙サイズ設定キー47、版胴1Aの印刷搬送速度となる回転速度V1を検知する版胴速度検知手段としての版胴回転速度検知センサ48、搬送ベルト16aの周速度Vを検知する搬送速度検知手段としてのベルト回転速度検知センサ49、及び搬送ベルト16aの周速度Vを手動で選択設定できる用紙搬送速度選択手段を構成する図3に示す搬送速度選択キー50と速度調整キー78が設けられている。
【0052】
用紙サイズ検知センサ群46は、図4乃至図6に示すように、給紙トレイ21に設けられている。給紙トレイ21は、前半部21fと後半部21rが軸21aを中心に回動可能に設けられている。給紙トレイ21には、用紙サイドガイド機構51が設けられている。用紙サイドガイド機構51は、互いに対向配置された各用紙サイドフェンス51a、51bの裏面の一端部に固設されていて、各々の一側端にギヤが形成され、かつ、用紙22の幅方向LRにスライド自在な一対のラックギヤ52a、52bと、これらのラックギヤ52a、52bの間に挟まれて配設されていて、前記各ギヤと噛合するピニオン53とから構成される。ピニオン53は、排紙トレイ21の前半部21fの裏面に固設されたピニオン軸53sに回動自在に設けられている。なお、ラックギヤ52a,52bはサイドフェンス51a、51bの下面とで給紙トレイ21における前半部21fを挟んでいる。
【0053】
ラックギヤ52aの他端側には、遮蔽片群55が固設された遮蔽板54が配設されている。遮蔽片群55は、印刷用紙22の幅方向LRに所定の切欠間隔をもって、かつ、所定の長さをもって配置されており、また給紙方向Fに所定の間隔をもって配置されている。遮蔽片群55は、後述する各用紙サイズ検知センサと選択的に係合するそれぞれ別個の列をなす遮蔽片55a1,55a2,55a3,55a4と、遮蔽片55b1,55b2と、遮蔽片55cと、遮蔽片55dとからなる。
【0054】
用紙サイズ検知センサ群46は、給紙トレイ21上に積載セットされた印刷用紙22の用紙サイズ(印刷用紙22の大きさとその向きとを含む)を検出するためのもので、前半部21fの裏面に固設されている。用紙サイズ検知センサ群46は、印刷用紙22の幅方向LR及び給紙方向Fに所定の間隔をもって配置された4つの用紙サイズ検知センサ46a,46b,46c,46dからなる。これらの用紙サイズ検知センサ46a,46b,46c,46dは、投光素子及び受光素子を有するフォトインタラプタ型の周知の構成を具備しており、遮蔽片55a1,55a2,55a3,55a4、遮蔽片55b1,55b2、遮蔽片55c、遮蔽片55dとの選択的な組合わせで係合して比較的小さい用紙サイズを検出するのに用いられる。
【0055】
一方、給紙トレイ21における後半部21rの裏面には、給紙トレイ21上に積載セットされた印刷用紙22の用紙サイズを検出するための今一つの用紙サイズ検出手段となる用紙サイズ検知センサ56が固設されている。用紙サイズ検知センサ56は、投光素子及び受光素子を有するフォト反射型の周知の構成を具備しており、印刷用紙22があるときにその反射光を検出することによりオンされ、給紙トレイ21の後半部21r上に印刷用紙22が有るか否かを検出する。用紙サイズ検知センサ56は、用紙サイズ検知センサ群46との組合せによって、後述するように比較的大きい用紙サイズを検出するのに用いられる。これらの用紙サイズ検知センサ群46と用紙サイズ検知センサ56は、それぞれ制御手段34に電気的に接続されている。
【0056】
前述した給紙トレイ21周辺の構成により、印刷用紙22の用紙サイズに対応して用紙サイドフェンス対51a、51bがスライド操作され位置決めされることにより、例えば図6に示したように、ハガキ、B5横、A4横、A3縦がそれぞれ給紙トレイ21上に積載セットされる。また、用紙サイドフェンス対51a、51bのスライド動作と連動して遮蔽板54が共にスライドされ、印刷用紙22の用紙サイズに対応して、用紙サイズ検知センサ群の46aに対して各遮蔽片55a1,55a2,55a3,55a4との遮蔽係合関係が、用紙サイズ検知センサ群の46bに対して各遮蔽片55b1,55b2との遮蔽係合関係が、用紙サイズ検知センサ群の46cに対して遮蔽片55cとの遮蔽係合関係が、用紙サイズ検知センサ群の46dに対して遮蔽片55dとの遮蔽係合関係がそれぞれ定まる。こうして、印刷用紙22の幅方向LRにおける用紙サイドフェンス対51a、51bの印刷用紙22の用紙サイズに対応した位置において、表1に示すように、各用紙サイズ検知センサ46a,46b,46c,46dから送信される用紙サイズ信号のオン/オフの組合せにより、印刷用紙22の幅方向LRにおける長さ(用紙幅方向サイズ)が検出される。したがって、用紙サイドフェンス対51a、51bの位置だけでは、印刷用紙22の用紙幅方向サイズしか判定できず、例えばA4横とA3縦とでは用紙幅方向サイズは同じであり、用紙サイズ(向き)を区別することができない。そこで、用紙サイズ検知センサ56を併用することにより、上記例のA4横とA3縦とにおいて、用紙サイズ検知センサ56がオンであれば印刷用紙22が給紙方向Fに長いA3縦であり、オフであれば印刷用紙22がA4横と判定するのである。このようにして、各用紙サイズ検知センサ46a,46b,46c,46dと用紙サイズ検知センサ56とからの各用紙サイズ信号が制御手段34に送信されることにより、それら用紙サイズ信号の組合せに応じて、制御手段34が各印刷用紙22の用紙サイズを判定する。
【0057】
【表1】
【0058】
表1において、各用紙サイズ検知センサ46a,46b,46c,46d及び用紙検知センサ56の用紙サイズ信号がオンの場合を○印で、用紙サイズ信号がオフの場合を−印で、また用紙サイズ欄の*印は定形サイズの間に設定された中間サイズであって不定形サイズをそれぞれ示す。またLTはレターを、DLTはダブルレターを、LGはリーガルを、HLTはハーフレターをそれぞれ示す略号である。同表は、左欄に示されている各用紙サイズ検知センサ46a,46b,46c,46d及び用紙検知センサ56の用紙サイズ信号のオン/オフの組合せにより、それらに対応する右欄の用紙サイズが判定されることを示している。
【0059】
なお、用紙サイズ検知センサ56は、給紙方向Fにおける印刷用紙22の有無の検出を行うだけであり、それ故に連続的に印刷用紙22の検出を行う必要がなく、本実施例のように1個又は多くとも2個配設されていれば良い。また用紙サイズ検知センサ56は、これに限らず、例えば透明シート等に印刷を行う場合においては、給紙トレイ21上に1枚の印刷用紙22が積載セットされたときにでも作動可能なフィラー検知片(図示せず)を有し、図示しない発光部及び受光部を備えた遮光型のフォトインタラプタであって、前記フィラー検知片がセンサ本体に対して揺動することにより、回転基部に形成された扇型の遮光板で遮光動作を行う周知の構成をなすものを配設したり、あるいは作動力の小さいマイクロスイッチ等のようなものを配設しても良い。
【0060】
用紙サイズ設定キー47は操作パネル70に設けられていて、印刷用紙22の用紙サイズを手動で設定できるようになっている。
ベルト回転速度検知センサ49は、図7に示すように、搬送ベルト16aが掛けられた駆動ローラを駆動する搬送モータ57の出力軸57aに固設されたスリットを有する円板49aと、この円板49aを挾んで設けられた光源及び受光素子を具備したフォトインタラプタ49bとを有するロータリエンコーダである。搬送速度検知手段としては、ベルト回転速度検知センサ49に限らず、磁気式エンコーダ等であっても良い。
【0061】
搬送モータ57の出力軸57aには、駆動歯車59aが固定されている。駆動歯車59aと噛合する大径歯車59bは、駆動ローラ15aの軸150に固定されたプーリ61bと無端ベルト62を介して連結されたプーリ61aが装着された支持軸60に固定されていて、駆動モータ57の回転出力を軸150に伝達している。搬送モータ57には、ステッピングモータが用いられ、制御手段34からの制御信号又は搬送速度選択キー50からの選択信号に応じて同モータへの周波数を可変することでモータ回転数を変化させて搬送ベルト16aの周速度Vを変更するようになっている。本実施例において、中間搬送装置17aの搬送ベルト16aの周速度Vは、上流側の版胴1Aの周速度V1よりも約1.2倍速く設定されている。
【0062】
版胴回転速度検知センサ48は、図2に示す版胴駆動モータ63の出力軸に設けられた周知のロータリエンコーダであり、版胴1Aの回転速度V1を検知し、その検知結果を制御手段34に入力している。版胴駆動モータ63は、図示しない動力伝達手段を介して版胴1A,1Bと連結していて、両版胴1A,1Bを同一回転速度で回転駆動するようになっている。また、版胴駆動モータ63は、レジストローラ対29,30のレジストタイミングと同期して回転するように制御手段34の制御下におかれている。
【0063】
図3に示すように、操作パネル70には、印刷枚数を設定するためのテンキー71と、印刷工程に至る各動作の起動を設定するための印刷スタートキー72と、原稿の画像読み取りから製版、給版、試し刷りとしての版付けに至るまでの各動作を起動するための製版スタートキー73と、印刷用紙22の向きを含む用紙サイズを設定するための用紙サイズ設定キー47と、印刷工程等に至る各動作を停止するためのストップキー74と、用紙サイズ設定キー47で設定された用紙サイズあるいはテンキー71で設定された印刷枚数等を表示するためのLEDからなる表示装置75と、孔版印刷装置におけるマスタ33a,33bや印刷用紙22のジャム等の故障個所及び故障内容を表示するためのモニター表示装置76と、テンキー71により設定された印刷枚数等を解消するためのクリアキー77と、後述するプログラムに割込み、搬送ベルト16aの周速度Vを設定できる搬送速度選択キー50と、搬送モータ57や版胴駆動モータ63の回転速度を段階的に可変する時に用いる速度ダウンキー78aと速度アップキー78bとからなる速度調整キー78、及び印刷搬送速度選択手段の一構成を成す印刷速度選択キー79等とがそれぞれ配置されている。なお、同図において、印刷速度選択キー79は、本実施例では使用しない。
【0064】
制御手段34は、図2に示すように、CPU(中央演算処理装置)80、図示しないI/O(入出力)ポート及びROM(読み出し専用記憶装置)81、RAM(読み書き可能な記憶装置)82等を備え、それらが図示しない信号バスによって接続された構成を有する周知のマイクロコンピュータからなる。制御手段34には、操作パネル70の各種キー及び表示装置75、用紙サイズ検知センサ群46及び用紙サイズ検知センサ56に電気的に接続されていて、これらとの間で指令信号及び/又はオン/オフ信号やデータ信号を送受信している。
【0065】
制御手段34には、製版装置41a,41b及び図示しない給版部を駆動する製版・給版系駆動部83、排版装置42a,42bを駆動する排版系駆動部84、給紙部20を駆動する給紙系駆動部85、印圧装置32a,32bを駆動する印圧系駆動部86及び排紙装置35や図示しない空気圧発生装置を駆動する排紙系駆動部87、ファン18aを駆動するファン駆動部88がそれぞれ電気的に接続されていて、これらとの間で指令信号及び/又はオン/オフ信号やデータ信号を送受信して、孔版印刷装置の前記各部の装置・駆動機構の起動、停止及びタイミング等の動作全体のシステムを制御している。
【0066】
搬送モータ57及び版胴駆動モータ63は、それぞれ駆動回路89,90を介して制御手段34と接続していて、その駆動状態、すなわち、搬送ベルト16aの周速度Vと版胴1Aの回転速度V1をそれぞれセンサ49,48で検知し、その検知情報をパルス検知装置91,92を介して制御手段34に入力している。制御手段34では、各センサ類からの入力情報やCPU80での演算結果をRAM82に一時的に記憶させたり、適時その情報を読み出すようになっている。
【0067】
ROM81には、前記装置及び各駆動部の起動、停止及びタイミング等の動作に関するプログラムや必要なデータが予め記憶されていると共に、図8に示す印刷タイミング制御ルーチン等が予め記憶されている。データ中には、図1に示す版胴1A,1B間距離となるドラム軸2a,2b間距離L(以下、「基準距離L」と記す)や、表1に示す印刷用紙22のサイズデータ等がある。
【0068】
本実施例における印刷タイミング制御とその時の印刷用紙22の状態を図8乃至図12を用いて説明する。
図8に示す印刷タイミング制御ルーチンでは、ステップA1において、印刷スタートキー72のオン/オフが判断され、同スイッチキー72が押されてオン状態であると、ステップA2において用紙サイズ検知センサ群46、用紙サイズ検センサ56あるいは用紙サイズ設定キー47等からの印刷用紙22の用紙サイズ情報が取り込まれ、この情報から印刷用紙22の用紙サイズや向きが認識されてステップA3に進む。ステップA3では、印刷用紙22の用紙搬送方向Xの長さを版胴間距離となる基準距離Lと比較して、印刷用紙22の長さが基準距離Lよりも短いとステップA4に進み、印刷用紙22の長さが基準距離Lよりも長いとステップA5に進む。
【0069】
基準距離Lは、この例では、ハガキの縦方向の長さよりもやや長めに設定されている。用紙搬送方向Xに対してこの長さを持って搬送される印刷用紙22が選択されると、ステップA4において搬送モータ57への周波数が可変されて出力制御(回転制御)がなされ、搬送ベルト16aの周速度Vが版胴1Aの回転速度V1と同一となるまで制御され、ベルト回転速度検知センサ49からの信号で搬送ベルト16aの周速度Vが版胴1Aの回転速度V1と同一速度となると、その状態が保持される。
【0070】
一方、用紙搬送方向Xに対する印刷用紙22の長さが基準距離Lよりも大きいと、搬送ベルト16aの周速度Vが版胴1Aの回転速度Vよりも約1.2倍となるまで、搬送モータ57の出力制御(回転制御)が行われ、ベルト回転速度検知センサ49からの信号で搬送ベルト16aの周速度Vが版胴1Aの回転速度V1よりも速くなるとその状態が保持される。
【0071】
ここで印刷用紙22の状態について説明する。印刷位置E2に対する印刷用紙22の送り込みタイミングのずれは、主に印刷位置E1において印刷用紙22に印刷される印刷画像の大きさやサイズによる印刷用紙22へ付着するインク量の増減によるものである。インキ量と搬送ベルト16aの周速度V及び版胴1Aの回転速度V1とのバランスが取れていれば、図9に示すように、印刷位置E1における印刷用紙22は、プレスローラ9aを通過した時点でエアーナイフ7aの作用により版胴1Aから剥がされ、搬送ベルト16aに直ぐに吸着されて印刷位置E2に向かって搬送される。しかし、このバランスが崩れると、図10に示すように、印刷位置E1を通過しても印刷用紙22が版胴1Aから直ぐに剥がされず、エアーナイフ7aの先端によって剥がされることになり、印刷用紙22の先端が搬送ベルト16aの上方で弛んでしまう。すると、図11に示すように、印刷用紙22の、搬送ベルト16aへの着地点が、図9のバランスの良い状態の時と異なってしまう。搬送ベルト16aは、この時既に搬送方向Xに駆動されているので、この着地点の違いは、印刷位置E2に対する送り込みタイミングが間隔Wだけ遅くなることになる。図11において符号22aは遅れを生じた印刷用紙22の先端を示し、符号22bは正常なタイミングで搬送される印刷用紙の先端を示す。
【0072】
したがって、本実施例のように、搬送ベルト16aの周速度Vを版胴1Aの回転速度V1より約1.2倍程度速くなるように設定すると、印刷位置E1で印刷される画像領域が大きく版胴1Aから剥がれるのが遅れた印刷用紙22の先端22aが印刷位置E2に向かって速く送られる。この時、印刷用紙22の後端は、いまだ印刷位置E1において、プレスローラ9aと版胴1Aに挟持されて印刷状態にあるので、図12に示すように、その先端側から弛んだ印刷用紙22が引き伸ばされて搬送されることになる。これにより、印刷用紙22の先端の搬送位置のバラツキがなくなり、印刷位置E2への送り込みタイミングを補正でき、画像ダブり印刷を解消できる。
【0073】
搬送ベルト16aの周速度Vが版胴1Aの回転速度V1より速いと、印刷用紙22のサイズが基準間隔Lよりも短い場合、つまり、印刷位置E1で印刷される印刷領域が小さいときには、印刷用紙22が印刷位置E2に速く送り込まれてしまい、印刷位置E2で版胴1B上の画像先端と位置がずれ、印刷ずれとなってしまう。したがって、図8のステップA3,A4に示すように、印刷用紙22の長さが基準距離Lよりも短い場合、搬送ベルト16aの周速度Vが版胴1Aの回転速度V1と同一となるまで減速制御することで、印刷位置E2に対する印刷用紙22の送り込みタイニングを補正でき、印刷ずれを解消することができる。
【0074】
このように印刷用紙22の長さに応じて、搬送ベルト16aの周速度Vを補正すべく搬送モータ57を制御するので、用紙サイズの違いによる印刷位置E2への印刷用紙22の送り込みタイニングを調整することができ、画像ダブリ印刷や印刷ずれを解消することができる。
【0075】
また、ステップA3における印刷用紙22のサイズは、用紙サイズ検知センサ群46及び用紙サイズ検知センサ56からの検知情報により制御手段34で自動判別されるので、用紙サイズを一々設定しなくて自動で搬送ベルト16aの周速度Vを補正でき操作性が良い。加えて、本実施例は、用紙サイズ設定キー47を備えているので、用紙サイズ検知センサ群46及び用紙サイズ検知センサ56が故障した場合、手動で印刷用紙22のサイズを設定することができ、装置の信頼性を高められる。
【0076】
本実施例では、搬送速度選択キー50を押すと図8に示す印刷タイミング制御ルーチンに割り込め、かつ速度調整キー78で搬送モータ57への周波数を可変できるので、図8に示す印刷タイミング制御ルーチンで行った印刷にずれがあった場合に、手動で搬送ベルト16aの周速度Vを調整することができる。
【0077】
第1実施例では、搬送ベルト16aの周速度Vを変更するのに搬送モータ57への供給する周波数を可変しているが、搬送ベルト16aの周速度Vを変更する手段としては、搬送モータ57と駆動ローラ15aの軸150との間に、歯車輪列やプーリ群からなる変速手段を設け、印刷用紙22のサイズに応じてそれら変速手段を駆動して搬送ベルト16aの周速度Vを変更するようにしても良い。また、この実施例では、版胴間距離としてドラム軸2a,2bの中心間距離(基準距離L)として説明したが、印刷位置E1,E2の中心間距離であっても良い。
【0078】
(第2実施例)
図13乃至図15を用いて第2実施例を説明する。第2実施例にかかる複胴式の孔版印刷装置は、機構的には第1実施例で説明した孔版印刷装置と同一構成を採っているので、第1実施例で用いた符号と同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0079】
第2実施例の特徴は、搬送ベルト16aの周速度Vを用紙先端検知手段となる用紙検知センサ95からの検知情報に基づき変更し、印刷位置E2への印刷用紙22の送り込みタイミングを制御することにある。用紙検知センサ95は、図13に示すように、搬送ベルト16aの略中央の上方に装置の筐体部に固定されて配置されている。用紙検知センサ95は、投光部と受光部とが設けられた周知の光学的な反射型センサであって、この投光部及び受光部を搬送ベルト16aに向かわせて配置されている。用紙検知センサ95は、図14に示すように、制御手段96に電気的に接続されていて、搬送中の印刷用紙22を検知している間、検知情報を制御手段96に入力している。なお、本実施例の給紙装置20の給紙トレイ21’には、第1実施例で用いた用紙サイズ検知センサ群46及び用紙サイズ検知センサ56は装備されていない。
【0080】
制御手段96は、CPU(中央演算処理装置)97、図示しないI/O(入出力)ポート及びROM(読み出し専用記憶装置)99、RAM(読み書き可能な記憶装置)100等を備え、それらが図示しない信号バスによって接続された構成を有する周知のマイクロコンピュータからなる。
【0081】
CPU97には、版胴1Bの印刷搬送速度となる回転速度V2を検知する版胴回転速度検知センサ48、搬送ベルト16aの周速度Vを検知する搬送速度検知手段としてのベルト回転速度検知センサ49、及び印刷用紙22の搬送速度を手動で選択設定する用紙搬送速度選択手段を構成する搬送速度選択キー50と速度調整キー78が接続されている。本実施例において、搬送ベルト16aの周速度Vは、上流側の版胴1Aの回転速度V1と同一速度に設定されている。
【0082】
版胴回転速度検知センサ48は、版胴駆動モータ63の出力軸に設けられた周知のロータリエンコーダであり、版胴回転速度を検知し、その検知結果を制御手段96に入力している。版胴駆動モータ63は、図示しない動力伝達手段を介して版胴1A,1Bと連結していて、両版胴1A,1Bを同一回転速度で回転駆動するようになっている。このように、この実施例では、両版胴1A,1Bの回転速度V1,V2の検知を版胴回転速度検知センサ48で行っている。版胴駆動モータ63は、レジストローラ対29,30のレジストタイミングと同期して回転を開始するように制御手段96の制御下におかれている。
【0083】
CPU97には、操作パネル70に設けたテンキー71、印刷スタートキー72、製版スタートキー73、ストップキー74、表示装置75、モニター表示装置76、クリアキー77と、後述するプログラムに割込み、手動操作による速度設定を優先させる搬送速度選択キー50と、搬送モータ57や版胴駆動モータ63の速度を段階的に可変する時に用いる速度ダウンキー78aと速度アップキー78bとからなる速度調整キー78がそれぞれ接続されている。
【0084】
CPU97には、第1実施例同様、製版・給版系駆動部83、排版系駆動部84、給紙系駆動部85、印圧系駆動部86、排紙系駆動部87及びファン駆動部88がそれぞれ電気的に接続されていて、これらとの間で指令信号及び/又はオン/オフ信号やデータ信号を送受信して、孔版印刷装置の前記各部の装置・駆動機構の起動、停止及びタイミング等の動作全体のシステムを制御している。
【0085】
搬送モータ57及び版胴駆動モータ63は、それぞれ駆動回路89,90を介して制御手段96と接続していて、その駆動状態、すなわち、搬送ベルト16aの周速度Vと版胴1Bの回転速度V2をそれぞれセンサ49,48で検知し、その検知情報をパルス検知装置91,92を介して制御手段96に入力している。制御手段96では、各センサ類からの入力情報やCPU97での演算結果をRAM100に一時的に記憶させたり、適時その情報を読み出すようになっている。
【0086】
ROM99には、前記装置及び各駆動部の起動、停止及びタイミング等の動作に関するプログラムや必要なデータと共に、用紙検知センサ95から版胴1Bの印刷位置E2の中央までの距離データEや、印刷タイミング制御ルーチンが予め記憶されている。また、CPU97は、用紙搬送制御部となるベルト補正速度算出回路101を備えている。このベルト補正速度算出回路101では、用紙検知センサ95からの検知入力をトリガとして、版胴1B上の画像先端と印刷用紙22の先端とが印刷位置E2で一致する搬送ベルト16aの周速度Vを算出するものである。
【0087】
第2実施例における印刷タイミング制御を図15に示す印刷タイミング制御ルーチンに添って説明する。
ステップB1において、印刷スタートキー72のオン/オフが判断され、同スイッチキー72が押されてオン状態となると、各駆動部が駆動されて版胴1A,1Bや搬送ベルト16aが一定速度で回転駆動されると共に、給紙装置20から印刷用紙22が所定のタイミングで印刷位置E1に向かって給紙され、かつ印圧装置32a,32bのプレスローラ9a,9bが版胴1A,1Bに圧接される。印刷用紙22は、印刷位置E1において、版胴1A上の画像を印刷されて搬送ベルト16aに吸着されて印刷位置E2に向かって搬送される。
【0088】
ステップB1で印刷スタートキー72がオンであるとステップB2で版胴1Bの回転速度V2と搬送ベルト16aの周速度Vが各回転速度検知センサ48,49からの信号で検出されRAM100にストアされてステップB3に進む。ステップB3では、用紙検知センサ95からの検知情報の入力が待たれ、同センサ95が用紙先端を検知するとステップB4に進む。
【0089】
ステップB4では、用紙検知センサ95からの検知信号が入力された時点の版胴1Bにおける画像先端の位置を版胴回転速度検知センサ48の信号で割り出すと共に、その画像先端の印刷位置E2までの到達時間を算出する。
【0090】
ステップB5では、用紙検知センサ95から印刷位置E2の中央までの距離データEが読み出され、この距離データEとステップB2でストアした搬送ベルト16aの周速度Vとから、印刷用紙22の先端の印刷位置E2までの到達時間を算出し、ステップB6において版胴1Bの画像先端と印刷用紙22の先端との印刷位置E2までの到達時間差を算出する。なおステップB4,B5の実行順序は逆であっても良い。
【0091】
ステップB7では、算出された到達時間差と搬送ベルト16aの周速度Vとから補正用紙搬送速度となる搬送ベルト16aの周速度を算出し、ステップB8で搬送ベルト16aの周速度Vがこの補正用紙搬送速度となるまで搬送モータ57に対する周波数を可変して出力制御を行い、ステップB9に進む。つまり、印刷用紙22の印刷位置E2への送り込みタイミングが遅れれば、搬送ベルト16aの周速度Vは速められ、印刷用紙22の印刷位置E2への送り込みタイミングが早過ぎれば、搬送ベルト16aの周速度Vは遅められる。
【0092】
ステップB9では、用紙検知センサ95からの検知出力の有無が判断され、検知出力がなくなって所定時間経過すると、給紙された印刷用紙22が搬送ベルト16a上に存在しないと判断し、ステップB10において搬送モータ57を制御して搬送ベルト16aの周速度を補正前の周速度に戻し、次の印刷用紙22の給紙に備える。
【0093】
したがって、印刷位置E1における印刷用紙22への画像領域の大小による印刷用紙22の版胴1Aから剥がれる時期にバラツキがあり、搬送ベルト16aへの着地点にバラツキがあっても、印刷位置E2に対する印刷用紙22の送り込みタイミングを補正でき、画像ダブリ印刷や印刷ずれを解消することができる。このため、印刷用紙22のサイズ設定やサイズ検知をしなくて済むと共に、用紙データを記憶させずに済むので、装置構成を簡略化できると共に、メモリへの負荷を軽減することができる。また、印刷用紙22が搬送ベルト16a上から無くなると補正された搬送ベルト16aの周速度Vを初期値に戻すので、搬送ベルト16aの周速度Vが速くなる方向に補正された場合に、搬送モータ57での無駄な電力消費を抑えられて装置の省エネルギー化を図れる。
【0094】
本実施例では、搬送速度選択キー50を押すと図15に示す印刷タイミング制御ルーチンに割り込め、かつ速度調整キー78で搬送モータ57への周波数を可変できるので、印刷タイミング制御ルーチンで行った印刷にずれがあった場合に、手動で搬送ベルト16aの周速度Vを調整することができ、装置の信頼性を高められる。
【0095】
第2実施例では、版胴1Aの回転速度V1と搬送ベルト16aの周速度Vとを同一に設定したが、第1実施例と同様に、搬送ベルト16aの周速度Vを版胴1Aの回転速度V1より約1.2倍速く設定しても良い。このように予め、搬送ベルト16aの周速度Vを速めておくと、印刷位置E2への基本的な印刷用紙22の送り込みタイミングの遅れが無くなる。また、印刷用紙22のサイズや摩擦係数あるいはインキの粘性が、温度や湿度の影響を受けて変化し、設定した初期の搬送ベルト16aの周速度Vでは送り込みタイミングがずれた場合でも、図15に示す印刷タイミング制御ルーチンにより、搬送ベルト16aの周速度Vを制御して、印刷用紙22の印刷位置E2への送り込みタイミングを補正できるので、より安定して画像ダブリ印刷や印刷ずれを解消することができる。
【0096】
(第3実施例)
図13、図16,図17を用いて第3実施例を説明する。第3実施例にかかる複胴式の孔版印刷装置は、第2実施例で説明したで孔版印刷装置と略同一の機械的構成を採っているので、第2実施例で用いた符号と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0097】
第3実施例は、用紙先端検知手段となる用紙検知センサ95からの検知情報に基づき版胴1Bの回転速度V2を変更し、印刷位置E2に対する版胴1B上の画像の送り込みタイミングを制御して、印刷位置E2において、搬送ベルト16aで送り込まれてくる印刷用紙22の先端と版胴1B上の画像先端とを一致させるようとするものであり、版胴1A,1Bを独立した駆動部で駆動している。版胴1Aは図16に示すように、第1版胴駆動モータ110で回転駆動され、版胴1Bは第2版胴駆動モータ111で回転駆動される。
【0098】
用紙検知センサ95は、図16に示すように、制御手段112に接続されていて、印刷用紙22を検知している間、その検知情報を制御手段112に入力している。各版胴駆動モータ110,111は、それぞれ駆動回路117,118を介して制御手段112と電気的に接続されている。
【0099】
制御手段112は、CPU(中央演算処理装置)113、図示しないI/O(入出力)ポート及びROM(読み出し専用記憶装置)114、RAM(読み書き可能な記憶装置)115等を備え、それらが図示しない信号バスによって接続された構成を有する周知のマイクロコンピュータからなる。
【0100】
CPU113には、版胴1Bの回転速度V2を検知する印刷速度検知手段となる版胴回転速度検知センサ116、版胴1Aの回転速度V1を検知する印刷速度検知手段となる版胴回転速度検知センサ98B、搬送ベルト16aの周速度Vを検知する搬送速度検知手段としてのベルト回転速度検知センサ49、及び版胴1Bの回転速度V2を手動で選択設定する印刷搬送速度選択手段を構成する印刷速度選択キー79と速度調整キー78が接続されている。
【0101】
版胴回転速度検知センサ116は、第2版胴駆動モータ111の出力軸に設けられた周知のロータリエンコーダであり、版胴1Bの回転速度V2を検知し、その検知結果をパルス検知装置119を介して制御手段112に入力している。版胴回転速度検知センサ98Bは、第1版胴駆動モータ110の出力軸に設けられた周知のロータリエンコーダであり、版胴1Aの回転速度V1を検知し、その検知結果をパルス検知装置98Aを介して制御手段112に入力している。
【0102】
第1版胴駆動モータ110及び第2版胴駆動モータ111は、制御手段112によって両版胴1A,1Bを同一回転速度で回転駆動されるようになっている。また、第1及び第2版胴駆動モータ110,111は、レジストローラ対29,30のレジストタイミングと同期して回転を開始するように制御手段112の制御下におかれている。なお、版胴回転速度検知センサ98B,116は、各版胴駆動モータの出力軸にそれぞれ設けているが、各版胴1A,1Bの軸上に設けるようにしても無論構わない。
【0103】
CPU113には、上記実施例と同様、テンキー71、印刷スタートキー72、製版スタートキー73、ストップキー74、表示装置75、モニター表示装置76、クリアキー77及び、後述するプログラムに割込み手動操作による印刷搬送速度設定を優先させる印刷搬送速度選択手段としての印刷速度選択キー79と、搬送モータ57や第2版胴駆動モータ111の回転速度V2を段階的に可変する時に用いる速度ダウンキー78aと速度アップキー78bとからなる速度調整キー78が接続されている。このように速度調整キー78は、搬送速度選択キー50や印刷速度選択キー79の押下によりその速度調整の対象が自由に変えられるようになっている。
【0104】
CPU113には、第2実施例同様、製版・給版系駆動部83、排版系駆動部84、給紙系駆動部85、印圧系駆動部86、排紙系駆動部87及びファン駆動部88がそれぞれ電気的に接続されていて、これらとの間で指令信号及び/又はオン/オフ信号やデータ信号を送受信して、孔版印刷装置の前記各部の装置・駆動機構の起動、停止及びタイミング等の動作全体のシステムを制御している。
【0105】
搬送モータ57及び第2版胴駆動モータ111は、それぞれ駆動回路89,118を介して制御手段112と接続されていて、その駆動状態、すなわち、搬送ベルト16aの周速度Vと版胴1Bの回転速度V2をそれぞれ各回転速度検知センサ49,116で検知し、その検知情報をパルス検知装置91,119を介して制御手段112に入力している。第1版胴駆動モータ110は、駆動回路117を介してCPU113と接続されている。制御手段112では、各センサ類からの入力情報やCPU113での演算結果をRAM115に一時的に記憶させたり、適時その情報を読み出すようになっている。
【0106】
ROM114には、前記装置及び各駆動部の起動、停止及びタイミング等の動作に関するプログラムや必要なデータと共に、用紙検知センサ95から印刷位置E2の中央までの距離データEや、図17に示す印刷タイミング制御ルーチンが予め記憶されている。また、CPU113は、印刷搬送速度制御部となる版胴補正速度算出回路109を備えている。この版胴補正速度算出回路109では、用紙検知センサ95からの検知入力をトリガとして、版胴1B上の画像先端と印刷用紙22の先端とが印刷位置E2で一致する版胴1Bの回転速度を算出するものである。
【0107】
第3実施例における印刷タイミング制御を図17に示す印刷タイミング制御ルーチンに添って説明する。
ステップC1において、印刷スタートキー72のオン/オフが判断され、同スイッチキー72が押されてオン状態となると、各駆動部が駆動されて版胴1A,1Bや搬送ベルト16aが一定速度で回転駆動されると共に、給紙装置20から印刷用紙22が所定のタイミングで印刷位置E1に向かって給紙され、かつ印刷装置32a,32bのプレスローラ9a,9bが版胴1A,1Bに圧接される。印刷用紙22は、印刷位置E1において、版胴1A上の画像を印刷されて、搬送ベルト16aに吸着されて印刷位置E2に向かって搬送される。
【0108】
ステップC1で印刷スタートキー72がオンであるとステップC2で版胴1Bの回転速度V2と搬送ベルト16aの周速度Vが各回転速度検知センサ116,49からの信号で検出されてRAM115にストアされステップC3に進む。ステップC3では、用紙検知センサ95からの検知情報の入力が待たれ、同センサ95が用紙先端を検知するとステップC4に進む。
【0109】
ステップC4では、用紙検知センサ95からの検知信号が入力された時点の版胴1Bにおける画像先端の位置を版胴回転速度検知センサ116の信号で割り出すと共に、その画像先端の印刷位置E2までの到達時間を算出する。ステップC5では、用紙検知センサ95から印刷位置E2の中央までの距離データEが読み出され、この距離データEとステップC2でストアした搬送ベルト16aの周速度Vとから、印刷用紙22の先端の印刷位置E2までの到達時間を算出し、ステップC6において、版胴1Bの画像先端と印刷用紙22の先端との印刷位置E2までの到達時間差を算出する。なおステップC4,C5の実行順序は逆であっても良い。
【0110】
ステップC7では、算出された到達時間差と版胴1Bの回転速度V2から補正印刷搬送速度となる版胴1Bの回転速度V2を算出し、ステップC8で版胴1Bの回転速度V2がこの補正印刷搬送速度となるまで第2版胴駆動モータ111に対する周波数を可変して出力制御を行う。つまり、印刷用紙22の印刷位置E2への送り込みタイミングが遅れれば、版胴1Bの回転速度は遅く、印刷用紙22の印刷位置E2への送り込みタイミングが早過ぎれば、版胴1Bの回転速度は速められる。
【0111】
ステップC9では、用紙検知センサ95からの検知出力の有無が判断され、検知出力がなくなって所定時間経過すると、搬送中の印刷用紙22が搬送ベルト16a上に存在しないと判断し、ステップC10において第2版胴駆動モータ111を制御して版胴1Bの回転速度V2を補正前の速度に戻し、次の印刷用紙22の給紙に備える。
【0112】
従って、印刷位置E1における印刷用紙22への印刷画像領域の大小による印刷用紙22の版胴1Aから剥がれる時期にバラツキがあり、搬送ベルト16aへの着地点にバラツキがあって印刷位置E2へ到達する印刷用紙22の送り込みタイミングが遅れても、印刷位置E2に達する版胴1Bのタイミングを適正に補正するので、画像ダブリ印刷や印刷ずれを解消することができる。このため、印刷用紙22のサイズ設定やサイズ検知をしなくて済むと共に、用紙データを記憶させずに済むので、装置構成を簡略化できると共に、メモリへの負荷を軽減することができる。また、印刷用紙22が搬送ベルト16a上から無くなると補正された版胴1Bの回転速度V2を初期値に戻すので、版胴1Bの回転速度V2が速くなる方向に補正された場合に、第2版胴駆動モータ111での無駄な電力消費を抑えられ、装置の省エネルギー化を図れる。
【0113】
本実施例では、印刷速度選択キー79を押すと図17に示す印刷タイミング制御ルーチンに割り込め、かつ速度調整キー78で第2版胴駆動モータ111への周波数を可変してその回転数を調整できるので、図17に示す印刷タイミング制御ルーチンで行った印刷にずれがあった場合に、手動で版胴1Bの回転速度V2を調整することができ、装置の信頼性を高められる。
【0114】
第3実施例では、版胴1Aの回転速度V1と搬送ベルト16aの周速度Vとを同一に設定したが、第1実施例と同様に搬送ベルト16aの周速度Vを版胴1Aの回転速度V1より約1.2倍程度速く設定しても良い。このように、予め搬送ベルト16aの周速度Vを速めておくと、印刷位置E2への基本的な印刷用紙22の送り込みタイミングの遅れが無くなる。また、印刷用紙22のサイズや摩擦係数あるいはインキの粘性が温度や湿度の影響を受けて変化し、設定した初期の搬送ベルト16aの周速度Vでは送り込みタイミングがずれた場合でも、図17に示す印刷タイミング制御ルーチンが実行されることで、版胴1Bの回転速度V2を制御して印刷位置E2への版胴1B上の画像先端の送り込みタイミングを補正できるので、より安定して画像ダブリ印刷や印刷ずれを解消できる。
【0115】
(第4実施例)
図18乃至図20を用いて第4実施例を説明する。第4実施例にかかる複胴式の孔版印刷装置は、第1実施例の第1ユニットU1と第2ユニットU2及びこれらと同一構成の第3ユニットU3及び第4ユニットU4を備えている。従って、第3ユニットU3及び第4ユニットU4の構成要素には、第1ユニットU1で用いた数字符号の末尾に符号cまたはdを付加して区別し詳細な説明は省略する。
【0116】
第4実施例の特徴は、用紙搬送方向Xの上流側から下流側に向かって4つの版胴1A,1B,1C,1Dを間隔をあけて並設配置し、且つ各版胴に異なる色のインキを供給すると共に、各版胴の間に中間搬送装置17a,17b,17cを配置し、中間搬送装置17a,17b,17cで搬送する印刷用紙22の送り込みタイミングと版胴1Dの印刷搬送速度となる回転速度Vdとを制御手段120を用いて制御することにある。
【0117】
この孔版印刷装置では、版胴1Aにイエロー色、版胴1Bにマゼンタ色、版胴1Cにシアン色、版胴1Dにブラック色のカラーインキがそれぞれ供給されるようになっていて、フルカラー印刷を可能としている。
【0118】
版胴1C,1Dには、第1実施例と同様、製版・給版工程が行われ、画像情報が書き込まれて製版された製版済みのマスタ33c,33dが、その先端を版胴1C,1Dに設けたクランパ5c,5dで保持して巻き付けられている。版胴1A,1B,1C,1Dは、図示しない動力伝達機構を介して個別な駆動モータM1,M2,M3,M4にそれぞれ連結しており、印刷搬送速度となる回転速度Va,Vb,Vc,Vdを同一に初期設定されている。
【0119】
版胴1C,1Dと、その下方に設けられた印圧装置32c,32との間には、印刷位置E3,E4がそれぞれ形成され、中間搬送装置17a,17b,17cで搬送されてくる印刷用紙22をプレスローラ9c,9dで版胴1C,1Dに向かって押圧することで、版胴1C,1Dから画像を印刷用紙22に印刷するようになっている。
【0120】
中間搬送装置17aは印刷位置E1,E2の間に、中間搬送装置17bは印刷位置E2,E3の間に、中間搬送装置17cは印刷位置E3,E4の間にそれぞれ配置されている。中間搬送装置17b,17cは、従動ローラ14bと駆動ローラ15b及び従動ローラ14cと駆動ローラ15cとの間にそれぞれ掛け渡された多孔性の搬送ベルト16b,16cと、吸引用のファン18b,18cとから主に構成されている。
【0121】
駆動ローラ15a,15b,15cは、図示しない動力伝達機構を介して個別な第1搬送モータm1、第2搬送モータm2、第3搬送モータm3にそれぞれ連結していて、各搬送モータの駆動により搬送ベルト16a,16b,16cを矢印X方向に回転駆動している。各搬送モータは、ステッピングモータで構成されていて、供給される周波数を可変されることで、その回転数を増減されるようになっている。駆動ローラ15a,15b,15cを支持する図示しない軸には、搬送ベルト16a,16b,16cの各用紙搬送速度となる周速度V1,V2,V3を検知する搬送速度検知手段としてベルト回転速度検知センサ121,122,123が設けられている。ベルト回転速度検知センサ121,122,123は周知のロータリエンコーダからなる。
【0122】
搬送ベルト16a,16b,16cの上方には、搬送中の印刷用紙22の先端を検知する用紙先端検知手段として用紙検知センサ124,125,126が配置されている。用紙検知センサ124,125,126は、投光部と受光部とが設けられた周知の光学的な反射型センサであって、この投光部及び受光部を搬送ベルト16a,16b,16cに向かわせてそれぞれ配置されている。用紙検知センサ124,125,126は、図19に示すように、制御手段120に接続されており、印刷用紙22を検知している間、その検知情報を制御手段120に入力している。なお、本実施例の給紙装置20の給紙トレイ21’には、第1実施例で用いた用紙サイズ検知センサ群46及び用紙サイズ検知センサ56は装備されていない。
【0123】
制御手段120は、CPU(中央演算処理装置)127、図示しないI/O(入出力)ポート及びROM(読み出し専用記憶装置)128、RAM(読み書き可能な記憶装置)129等を備え、それらが図示しない信号バスによって接続された構成を有する周知のマイクロコンピュータからなる。
【0124】
CPU127には、版胴1B,1C,1Dの回転速度Vb,Vc,Vdを検知する版胴速度検知手段としての版胴回転速度検知センサ130,131,132、ベルト回転速度検知センサ121,122,123、搬送ベルト16a,16b,16cの周速度V1,V2,V3を手動で選択設定する用紙搬送速度選択手段を構成する搬送速度選択キー50と速度調整キー78、及び版胴1Dの回転速度Vdを手動で選択設定する印刷搬送速度選択手段を構成する印刷速度選択キー79と速度調整キー78が接続されている。本実施例において、搬送ベルト16aの周速度V1は、最上流側の版胴1Aの回転速度Vaより約1.2倍速く設定されている。
【0125】
版胴回転速度検知センサ130,131,132は、版胴駆動モータM2,M3,M4の図示しない出力軸に設けられた周知のロータリエンコーダであり、版胴1B,1C,1Dの回転速度Vb,Vc,Vdを検知し、その検知結果をCPU127に入力している。版胴駆動モータM1は、レジストローラ対29,30のレジストタイミングと同期して回転を開始するように制御手段120の制御下におかれている。
【0126】
CPU127には、操作パネル70に設けたテンキー71、印刷スタートキー72、製版スタートキー73、ストップキー74、表示装置75、モニター表示装置76、クリアキー77、後述するプログラムに割込み手動操作による速度設定を優先させる搬送速度選択キー50と、後述するプログラムに割込み手動操作による版胴1Dの印刷搬送速度設定を優先させる印刷速度選択キー79と、各搬送モータm1,m2,m3や版胴駆動モータM4の回転数を段階的に可変する時に用いる速度ダウンキー78aと速度アップキー78bとからなる速度調整キー78が接続されている。
【0127】
CPU127には、上述した実施例同様、製版・給版系駆動部83、排版系駆動部84、給紙系駆動部85、印圧系駆動部86、排紙系駆動部87及びファン駆動部88がそれぞれ電気的に接続されていて、これらとの間で指令信号及び/又はオン/オフ信号やデータ信号を送受信して、孔版印刷装置の前記各部の装置・駆動機構の起動、停止及びタイミング等の動作全体のシステムを制御している。
【0128】
第1搬送モータm1,第2搬送モータm2,第3搬送モータm3は、駆動回路133を介してCPU127と接続していて、その駆動状態、すなわち、搬送ベルト16a,16b,16cの周速度V1,V2,V3をそれぞれベルト回転速度検知センサ121,122,123で検知し、その検知情報をパルス検知装置135を介してCPU127に入力している。
【0129】
版胴駆動モータM2,M3,M4は、それぞれ駆動回路134b,134c,134dを介してCPU127に接続していて、その駆動状態、すなわち、版胴1B,1C,1Dの回転速度Vb,Vc,Vdを、それぞれ版胴回転速度検知センサ130,131,132で検知し、その検知情報をパルス検知装置136a,136b,136cを介してCPU127に入力している。版胴駆動モータM1は、駆動回路134aを介してCPU127と接続されている。
【0130】
制御手段120では、各センサ類からの入力情報やCPU127での演算結果をRAM129に一時的に記憶させたり、適時その情報を読み出すようになっている。ROM128には、前記装置及び各駆動部の起動、停止及びタイミング等の動作に関するプログラムや必要なデータと共に、用紙検知センサ124,125,126から印刷位置E2,E3,E4の中央までの距離データg1,g2,g3や、図20に示す印刷タイミング制御ルーチン等が予め記憶されている。また、CPU127は、用紙搬送制御部と印刷搬送制御部を兼ねる補正速度算出回路137を備えている。この補正速度算出回路137では、各用紙検知センサ124,125,126からの検知情報をトリガとして、版胴1B,1C,1D上の画像先端と印刷用紙22の先端とが印刷位置E2,E3で一致する搬送ベルト16a,16bの周速度V1,V2と共に、版胴1D上の画像先端と印刷用紙22の先端とが印刷位置E4で一致する版胴1Dの回転速度Vdを算出するものである。
【0131】
第4実施例における印刷タイミング制御を図20に示す印刷タイミング制御ルーチンに添って説明する。
ステップD1において、印刷スタートキー72のオン/オフが判断され、同スイッチキー72が押されてオン状態となると、各駆動部が駆動されて版胴1A,1B,1C,1Dや搬送ベルト16a,16b,16cが回転駆動されると共に、給紙装置20から印刷用紙22が所定のタイミングで印刷位置E1に向かって給紙され、かつ印圧装置32a,32b,32c,32dのプレスローラ9a,9b,9c,9dが版胴1A,1B,1C,1Dに所定のタイミングで圧接される。印刷用紙22は、印刷位置E1において、版胴1A上のイエロー色の画像を印刷されて、搬送ベルト16aに吸着されて印刷位置E2に向かって搬送される。
【0132】
ステップD1で印刷スタートキー72がオンであるとステップD2で版胴1B,1C,1Dの回転速度Vb,Vc,Vdと搬送ベルト16a,16b,16cの周速度V1,V2,V3が、版胴回転速度検知センサ130,131,132とベルト回転速度検知センサ121,122,123からの信号で検出されてRAM129にストアされ、ステップD3に進む。ステップD3では、最上流側に位置する用紙検知センサ124からの検知情報の入力が待たれ、同センサ124が用紙先端を検知するとステップD4に進む。
【0133】
ステップD4では、用紙検知センサ124からの検知信号が入力された時点の版胴1Bにおける画像先端の位置を版胴回転速度検知センサ130の信号で割り出すと共に、その画像先端の印刷位置E2までの到達時間を算出してステップD5へ進む。
【0134】
ステップD5では、用紙検知センサ124から版胴1Bの印刷位置E2の中央までの距離データg1がROM128から読み出され、この距離データg1とステップD2でストアした搬送ベルト16aの周速度V1とから、印刷用紙22の先端の印刷位置E2までの到達時間を算出し、ステップD6で版胴1Bの画像先端と印刷用紙22の先端との印刷位置E2までの到達時間差を算出する。
【0135】
ステップD7では、算出された到達時間差と周速度V1とから補正用紙搬送速度となる搬送ベルト16aの周速度を算出し、ステップD8で搬送ベルト16aの周速度V1がこの補正用紙搬送速度となるまで第1搬送モータm1に対する周波数を可変して出力制御を行いステップD9に進む。つまり、印刷用紙22の印刷位置E2への送り込みタイミングが遅れれば、搬送ベルト16aの周速度V1は速められ、印刷用紙22の印刷位置E2への送り込みタイミングが早過ぎれば、搬送ベルト16aの周速度V1は遅められる。搬送ベルト16a上の印刷用紙22は、このような速度制御をなされながら印刷位置E2に搬送されるため、印刷位置E2において、版胴1B上のマゼンタ色の画像先端と、既に印刷された印刷用紙22上のイエロー色の画像先端とが一致して印刷され、エアーナイフ7bの作用により版胴1Bから剥がされ搬送ベルト16bに吸着されて更に下流側へと搬送される。
【0136】
ステップD9では、用紙検知センサ125からの検知情報の入力が待たれ、同センサ125が用紙先端を検知するとステップD10に進む。ステップD10では、用紙検知センサ125からの検知信号が入力された時点の版胴1Cにおける画像先端の位置を版胴回転速度検知センサ131の信号で割り出すと共に、その画像先端の印刷位置E3までの到達時間を算出しステップD11へ進む。
【0137】
ステップD11では、用紙検知センサ125から版胴1Cの印刷位置E3の中央までの距離データg2がROM128から読み出され、この距離データg2とステップD2でストアした搬送ベルト16bの周速度V2とから、印刷用紙22の先端の印刷位置E3までの到達時間を算出し、ステップD12において版胴1Cの画像先端と印刷用紙22の先端との印刷位置E3までの到達時間差を算出する。
【0138】
ステップD13では、算出された到達時間差と搬送ベルト16bの周速度V2とから補正用紙搬送速度となる搬送ベルト16bの周速度を算出し、ステップD14で搬送ベルト16bの周速度V2がこの補正用紙搬送速度となるまで第2搬送モータm2に対する周波数を可変して出力制御を行い、ステップD15に進む。これにより、印刷用紙22の印刷位置E3への送り込みタイミングが遅れれば、搬送ベルト16bの周速度V2は速められ、印刷用紙22の印刷位置E3への送り込みタイミングが早過ぎれば、搬送ベルト16bの周速度V2は遅められる。搬送ベルト16b上の印刷用紙22は、このような速度制御をなされながら印刷位置E3に搬送されるため、印刷位置E3において、版胴1C上のシアン色の画像先端と、既に印刷された印刷用紙22上のイエロー及びマゼンタ色の画像先端とが一致して印刷され、エアーナイフ7cの作用により版胴1Cから剥がされ搬送ベルト16cに吸着されて最下流側に位置する版胴1Dへと搬送される。
【0139】
ステップD15では、用紙検知センサ126からの検知情報の入力が待たれ、同センサ126が用紙先端を検知するとステップD16に進む。ステップD16では、用紙検知センサ126からの検知信号が入力された時点の版胴1Dにおける画像先端の位置を版胴回転速度検知センサ132の信号で割り出すと共に、その画像先端の印刷位置E4までの到達時間を算出しステップD17へ進む。
【0140】
ステップD17では、用紙検知センサ126から版胴1Dの印刷位置E4の中央までの距離データg3がROM128から読み出され、この距離データg3とステップD2でストアした搬送ベルト16cの周速度V3とから、印刷用紙22の先端の印刷位置E4までの到達時間を算出し、ステップD18において版胴1Dの画像先端と印刷用紙22の先端との印刷位置E4までの到達時間差を算出してステップ19に進む。
【0141】
ステップD19では、算出された到達時間差と版胴1Dの回転速度Vdとから補正印刷搬送速度となる版胴1Dの回転速度を算出し、ステップD20で版胴1Dの回転速度Vdがこの補正印刷搬送速度となるまで第4版胴駆動モータM4に対する周波数を可変して出力制御を行い、次のステップへと移る。つまり、印刷用紙22の印刷位置E4への送り込みタイミングが遅れれば、版胴1Dの回転速度は遅く、印刷用紙22の印刷位置E4への送り込みタイミングが早過ぎれば、版胴1Dの回転速度は速められる。
【0142】
ステップD21では、用紙検知センサ126からの検知出力の有無を再度判断され、検知出力がなくなって所定時間経過すると搬送中の印刷用紙22が搬送ベルト16c上に存在しないと判断し、ステップD22において、全ての搬送モータm1,m2,m3を制御して搬送ベルト16a,16b,16cの各周速度V1,V2,V3を補正前の速度(初期値)に戻すと共に、第4版胴駆動モータM4を制御して版胴1Dの回転速度Vdを補正前の速度(初期値)に戻し、次の印刷用紙22の給紙に備える。なお、ステップD4とD5、ステップD10とD11、ステップD16とD17のそれぞれの実行順序は逆であっても良い。
【0143】
なお、本実施例では、各搬送ベルトの周速度を補正した時、常に補正前の速度(初期値)に戻すように制御した例として説明したが、補正後の周速度のままにして、その周速度に対して補正をかけるようにしても良いことは勿論である。そして、制御終了後には初期値に戻すように制御すると良い。
【0144】
搬送ベルト16c上の印刷用紙22は、このような速度制御をなされながら印刷位置E4に搬送されるため、印刷位置E4において、版胴1D上のブラック色の画像先端と、既に印刷された印刷用紙22上のイエロー、マゼンタ及びシアン色の印刷された画像先端とが一致して印刷され、フルカラー印刷が行われる。印刷位置E4を通過した印刷用紙22は、エアーナイフ7dの作用により版胴1Dから剥がされ搬送ベルト40に吸着されて排紙トレイ37上に排出される。
【0145】
このように、印刷位置E2,E3に対する印刷用紙22の送り込みタイミングを制御すると共に、印刷位置E4に対する版胴1D上の画像先端の送り込みタイミングを制御することで、版胴1B,1C,1Dから剥がれる印刷用紙22の時期にバラツキがあり、搬送ベルト16a,16b,16cへの着地点(搬送開始位置)に差が出ても、各印刷位置E2,E3,E4において、印刷用紙22に印刷された画像先端と、各版胴上の画像先端とを確実に一致させて印刷することができ、画像ダブリ印刷や印刷ずれを解消できる。
【0146】
また、本実施例では、用紙検知センサ124,125,126の検知信号をトリガーとして、搬送ベルト16a,16b,16cの周速度V1,V2,V3や版胴1Dの回転速度Vdを制御するため、印刷用紙22のサイズ設定やサイズ検知をしなくて済むと共に、用紙データを記憶しなくて済むので、装置構成を簡略化でき、かつ、メモリへの負荷を軽減することができる。また、補正された搬送ベルト16a,16b,16cの各周速度や版胴1Dの回転速度Vdを印刷用紙22が搬送ベルト16c上から無くなると初期の速度にそれぞれ戻すので、搬送ベルト16a,16b,16cの周速度や版胴1Dの回転速度が速くなる方向に補正された場合、各搬送モータm1,m2,m3及び第4版胴駆動モータM4での無駄な電力消費を抑えられ、装置の省エネルギー化を図れる。特に、この実施例のように中間搬送装置が複数あって駆動部が多く、消費電力の大きい装置ではこのような制御は特に有効である。
【0147】
本実施例では、搬送速度選択キー50や印刷速度選択キー79を押すと図20に示す印刷タイミング制御ルーチンに割り込め、かつ速度調整キー78で第1搬送モータm1,第2搬送モータm2,第3搬送モータm3及び第4版胴駆動モータM4への周波数を可変できるので、印刷タイミング制御ルーチンで行った印刷にずれがあった場合に、手動で搬送ベルト16a,16b,16cの周速度V1,V2,V3や版胴1Dの回転速度Vdを調整することができ、装置の信頼性を高められる。
【0148】
第4実施例では、版胴1Aの回転速度Vaと搬送ベルト16aの周速度V1とを同一に設定したが、第1実施例と同様に搬送ベルト16aの周速度V1を版胴1Aの回転速度Vaより約1.2倍程度速く設定しても良い。このように予め、搬送ベルト16aの周速度V1を速めておくと、印刷位置E2への基本的な印刷用紙22の送り込みタイミングの遅れが無くなる。また、印刷用紙22のサイズや摩擦係数、あるいはインキの粘性が温度や湿度の影響を受けて変化し、設定した初期の搬送ベルト16a,16b,16cの周速度V1,V2,V3では送り込みタイミングがずれた場合でも、図20に示す印刷タイミング制御ルーチンにより、各搬送ベルトの周速度を制御して、印刷用紙22の印刷位置E2,E3,E4への送り込みタイミングを補正できるので、より安定して画像ダブリ印刷や印刷ずれを解消することができる。
【0149】
第4実施例では、4つの版胴を用いて4色の画像を個別に形成してフルカラー印刷を可能としているが、最下流に位置する版胴1Dの更に下流側に、金色や銀色の特殊なインキを供給され、その色に対応して製版されたマスタを巻きつけた2つの版胴を追加して設けて6色の画像を形成できる孔版印刷装置の構成としても良い。このようにすることでより幅の広いカラー画像印刷を行うことができるようになる。
【0150】
この場合においても、追加した版胴と版胴1Dの間、追加した版胴間に各実施例で用いた中間搬送装置を配置して追加した版胴に対する印刷用紙22の送り込みタイミングのずれを制御したり、追加した版胴の回転速度を制御して同版胴上に形成される金色や銀色の画像先端の印刷位置への送り込みタイミングを制御することで画像ダブり印刷や画像ずれを解消することができることは云うまでもない。
【0151】
第4実施例では、用紙検知センサ124,125,126の検知信号を用いて、搬送ベルト16a,16b,16cの周速度V1,V2,V3や版胴1Dの回転速度Vdを制御しているが、第1実施例で実施した用紙サイズに応じて搬送ベルトによる用紙搬送速度や版胴の印刷搬送速度を制御したり、あるいは、用紙サイズと用紙先端検知とを組み合わせて、用紙搬送速度や印刷搬送速度を制御しても無論構わない。
【0152】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、制御手段によって、下流側の版胴上の製版済みマスタから上流側の版胴で印刷を終えた用紙への印刷タイミングが調整されるので、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを極めて少なくできる。
【0153】
本発明によれば、上流側の版胴で印刷された用紙の下流側の版胴への送り込みタイミングが適切に調整されるため、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを少なくできる。
【0154】
本発明によれば、上流側の版胴から中間搬送装置への用紙の搬送が遅れた場合でも中間搬送装置の搬送速度で下流側の版胴への搬送遅れがカバーされ、特に画像ダブリ印刷を低減できる。
【0155】
本発明によれば、上流側の版胴で印刷された用紙の下流側の版胴への送り込みタイミングが適切に調整されて、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれが極めて少なくなる。また、用紙先端検知手段の設ける位置に応じて下流側に位置する版胴と用紙の合うタイミングを調整することができる。
【0156】
本発明によれば、常時、中間搬送装置の搬送速度を制御しなくても、下流側の版胴の印刷位置で同版胴の製版済みマスタと用紙とが合わされ、制御時間を短縮しながら画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを極めて少なくできる。また、下流側の版胴への用紙の送り込みタイミンクが速い場合でも用紙先端検知により中間搬送装置の用紙搬送速度が制御されるので、下流側の版胴上の製版済みマスタから用紙への印刷タイミングをより細かく制御でき、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを一層少なくできる。
【0157】
本発明によれば、上流側の版胴による印刷遅れや中間搬送装置による用紙の搬送遅れが生じた場合でも、その遅れを下流側の版胴の印刷搬送速度を調整することでカバーでき、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを極めて少なくできる。
【0158】
本発明によれば、下流側に位置する版胴上の製版済みマスタから上流側の版胴で印刷された用紙への印刷タイミングが適切に調整され、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを極めて少なくできる。また、用紙先端検知手段の設ける位置に応じて下流側に位置する版胴と用紙の合うタイミングを調整することができる。
【0159】
本発明によれば、常時、下流側の版胴の印刷搬送速度を制御しなくても、下流側の版胴の印刷位置で同版胴の製版済みマスタと用紙とが合わされ、制御時間を短縮しながら画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを極めて少なくできる。また、下流側の版胴への用紙の送り込みタイミンクが速い場合でも、用紙先端が検知されることで下流側の版胴の印刷搬送速度が制御されるので、下流側の版胴上の製版済みマスタから用紙への印刷タイミングをより細かく制御でき、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを一層少なくできる。
【0160】
本発明によれば、用紙のサイズ毎に搬送速度や印刷搬送速度を設定しなくて良くなると共に、印刷される用紙のサイズが変化しても下流側の版胴と用紙の合うタイミングが適切に調整され、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを極めて少なくでき、設定の間違いによる印刷の無駄も低減できる。
【0161】
本発明によれば、下流側の版胴と短い用紙との合うタイミングが適切に調整され、画像ダブリ印刷や印刷画像ずれを極めて少なくできる。
【0162】
本発明によれば、中間搬送装置あるいは下流側に位置する版胴を、選択された搬送速度あるいは印刷搬送速度で移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す孔版印刷装置の全体構成図である。
【図2】第1実施例における制御手段の構成を示すブロック図である。
【図3】孔版印刷装置の操作パネルの一例を示す一部破断平面図である。
【図4】用紙サイズ検知センサ周辺の要部構成を示す斜視図である。
【図5】用紙サイズ検知センサ周辺の要部構成を示す斜視図である。
【図6】給紙トレイに配置される用紙の状態とサイズを示す斜視図である。
【図7】搬送速度検知手段の構成と中間搬送装置の構成を示す拡大斜視図である。
【図8】第1実施例における印刷タイミング制御のフローチャートである。
【図9】孔版印刷装置の動作と、用紙が適切な状態で版胴から剥がれる状態を示す側面図である。
【図10】孔版印刷装置の動作と、版胴から用紙の剥がれる時期が遅れた状態を示す側面図である。
【図11】中間搬送装置に対する用紙の着地点の違いを示す拡大図である。
【図12】中間搬送装置による用紙の搬送状態を示す側面図である。
【図13】本発明の第2実施例を示す孔版印刷装置の全体構成図である。
【図14】第2実施例における制御手段の構成を示すブロック図である。
【図15】第2実施例における印刷タイミング制御のフローチャートである。
【図16】第3実施例における制御手段の構成を示すブロック図である。
【図17】第3実施例における印刷タイミング制御のフローチャートである。
【図18】本発明の第4実施例を示す孔版印刷装置の全体構成図である。
【図19】第4実施例における制御手段の構成を示すブロック図である。
【図20】第4実施例における印刷タイミング制御のフローチャートである。
【符号の説明】
1(A,B,C,D) 版胴
22 用紙
17(a,b,c) 中間搬送装置
34,96,112,120 制御手段
33(a,b,c,d) 製版済みマスタ
45 用紙サイズ認識手段
50,78 用紙搬送速度選択手段
79,78 印刷搬送速度選択手段
95,124〜126 用紙先端検知手段
101 用紙搬送制御部
109 印刷搬送速度制御部
V1,V2,V(a〜d) 印刷搬送速度
V,V1,V2,V3 用紙搬送速度
X 搬送方向
Claims (9)
- 外周面に製版済みマスタが巻装され、内周面にインキ供給手段からインキが供給される版胴を上記用紙の搬送方向に間隔を空けて複数並列し、上記両版胴の間に、上記搬送方向の上流側に位置する版胴で印刷される用紙を上記搬送方向の下流側に位置する版胴に向かって搬送する中間搬送装置を配置し、上流側の版胴で印刷された用紙の上に下流側に位置する版胴で印刷する同時多色印刷可能な孔版印刷装置において、
上記下流側に位置する版胴上の製版済みマスタから上記用紙への印刷タイミングを制御する制御手段を有し、
上記制御手段は、上記中間搬送装置による上記下流側に位置する版胴への上記用紙の送り込みタイミングを制御するために、上記中間搬送装置による上記用紙の搬送速度が、上記上流側に位置する版胴の印刷搬送速度より速くなるように制御することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
上記用紙の先端を検知する用紙先端検知手段を有し、
上記制御手段は、上記用紙先端検知手段の検知情報に基づいて上記中間搬送装置による上記用紙の搬送速度を制御する用紙搬送制御部を備えていることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項2記載の孔版印刷装置において、
上記用紙搬送制御部は、上記用紙先端検知手段が上記用紙の先端を検知してから、該用紙と上記下流側に位置する版胴上の製版済みマスタとが、同版胴の印刷位置で合うように上記中間搬送装置による上記用紙の搬送速度を制御する機能を有することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
上記制御手段は、さらに、上記下流側に位置する版胴の印刷搬送速度を制御することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項4記載の孔版印刷装置において、
上記用紙の先端を検知する用紙先端検知手段を有し、
上記制御手段は、この用紙先端検知手段からの検知情報に基づいて上記下流側に位置する版胴の印刷搬送速度を制御する印刷搬送速度制御部を備えていることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項5記載の孔版印刷装置において、
上記印刷搬送速度制御部は、上記用紙先端検知手段が上記用紙の先端を検知してから、該用紙と上記下流側に位置する版胴上の製版済みマスタとが同版胴の印刷位置で合うように、該版胴の印刷搬送速度を制御する機能を有することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1乃至6の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
上記用紙のサイズを認識する用紙サイズ認識手段を有し、
上記制御手段は、上記用紙サイズ認識手段で認識された用紙のサイズに応じて上記中間搬送装置による上記用紙の搬送速度または上記中間搬送装置による上記用紙の搬送速度と上記下流側に位置する版胴の印刷搬送速度の双方を制御する機能を備えることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項7記載の孔版印刷装置において、
上記制御手段は、上記認識された用紙の搬送方向への長さが、上記上流側と下流側とに位置する各版胴の印刷位置の距離よりも短い時に、上記中間搬送装置による上記用紙の搬送速度と上記上流側に位置する版胴の印刷搬送速度とを同一速度に制御する機能を有することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項8記載の孔版印刷装置において、
上記用紙の搬送速度を選択する用紙搬送速度選択手段または上記下流側に位置する版胴の印刷搬送速度を選択する印刷搬送速度選択手段の少なくとも一方を備え、
上記制御手段は、上記用紙搬送速度選択手段または上記印刷搬送速度選択手段の少なくとも一方からの選択信号に基づき上記用紙の搬送速度または用紙の搬送速度と印刷搬送速度を制御することを特徴とする孔版印刷装置。
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