JP3939839B2 - 複胴式印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置等を含む印刷装置に関し、さらに詳しくは複数の版胴にマスタをそれぞれ巻装して多色印刷等を行なう複胴式印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より簡便な印刷方式として、感熱デジタル製版式の孔版印刷装置が知られている。この孔版印刷装置では、サーマルヘッドの微細な発熱素子に感熱孔版マスタ(以下、単に「マスタ」という)を接触させ、サーマルヘッドの発熱素子にパルス的に通電させながらマスタを搬送することで、画像信号に応じてマスタを溶融穿孔・製版し、この製版された製版済みのマスタを多孔性円筒状の版胴の外周面に巻き付けた後に、版胴内部のインキ供給手段よりインキを供給し、給送されてくる印刷用紙をプレスローラ等の押圧手段で製版済みのマスタを介して版胴に連続的に押し付けることにより、印刷ドラムの開孔部分、さらにはマスタの穿孔部分よりインキを滲み出させ、そのインキを印刷用紙に転移させることによって印刷画像を形成するものである。
【0003】
このような孔版印刷装置を用いて多色印刷をするには、1色目の原稿に対応したマスタを製版して1色目のインキが内蔵された版胴に巻き付けて上記したように印刷を行なうことにより、1色目のインキの印刷画像を印刷用紙に転写する。その後、2色目の印刷をするには、2色目の原稿に対応したマスタを製版して2色目のインキが内蔵された版胴に巻き付けて、1色目のインキの印刷画像が転写された印刷用紙に2色目のインキの印刷画像を再度転写するという作業を繰り返すことによって、多色印刷を可能としている。このように単胴式の孔版印刷装置を用いた多色印刷では、先ず、初めの色の原稿に対応したマスタを製版して必要部数の印刷を行ってから、次の色の原稿に対応したマスタを製版して1度印刷した印刷用紙の上に再度印刷を行い、この作業を必要色繰り返す。
【0004】
そして、版胴は、インキの色替えをするときや、ジャム紙を取り出すとき、あるいは新しいマスタを装着したりするときなどのために、通常、装置本体に対して着脱自在とするためのドラムユニットを構成している。このように単胴式孔版印刷装置では、版胴がドラムユニットを構成していて、そのドラムユニットを装置本体に対して着脱自在とする手段である着脱手段が配設されている。この着脱手段の具体例としては、例えば実開昭61−85462号公報記載の第1図ないし第4図に示された版胴支持装置や、特開平5−229243号公報記載の図2および図3等に示されている保持手段36および版胴装置55等が挙げられる。ドラムユニットは、上記した着脱手段を介して装置本体に装着したときの回転位置決めおよび回転制御等の確実性や容易化のために、その版胴が装置本体に対してホームポジションを占めている位置状態でのみ着脱自在になされている。
【0005】
一方、製版給版時において、製版済みのマスタを版胴に巻き付ける際に、その製版済みのマスタの版胴への巻き付け位置が正規の位置よりも版胴の天地方向にずれたような場合に、そのままの状態で印刷を行なうと、印刷画像が印刷用紙の搬送方向(以下、「用紙搬送方向」という)でもある天地方向に位置ずれを起こしてしまうことになる。なお、印刷用紙の天地方向に位置ずれを起こす原因は、上記したような製版給版時における製版済みのマスタの巻き付け位置ずれによるところが大きいが、他にも種々の原因系があることはいうまでもない。
【0006】
そこで、単胴式孔版印刷装置を用いた多色印刷では、印刷画像の天地方向の位置ずれ(以下、単に「画像位置ずれ」というときがある)を修正する方式を採っている。この画像位置ずれを修正・調整する方式には、版胴とプレスローラ等の押圧手段との間に印刷用紙を搬送する用紙搬送タイミングを変える方式と、この用紙搬送タイミングを変えずに印刷ドラムの回転タイミングを変える方式と、あるいはこれらを適宜組合せた方式と、版胴そのものを用紙搬送方向の天地方向に移動する版胴天地移動方式とがある。版胴天地移動方式を単胴式孔版印刷装置に使用したものとしては、例えば実開昭61−198065号および特開平4−329175号公報等に開示されている技術が挙げられる。また、複胴式孔版印刷装置に使用したものとしては、例えば本願出願人により提案した特開平7−17121号公報において、用紙搬送方向の下流側に配設された下流位版胴が最上流位版胴に対して連結された天地移動手段に関する技術が挙げられる。
【0007】
また、本願出願人は、特願平9−109488号によって、複数の版胴を有し、各版胴を用紙搬送方向に移動することにより、印刷用紙に対する印刷画像位置の天地移動調整を版胴毎に行なうための天地移動調整手段を具備した新規な複胴式孔版印刷装置に関する技術を提案した。
【0008】
さらに、本願出願人は、最近、1色目のインキを内蔵した印刷ドラムと2色目のインキを内蔵した印刷ドラムとにより印刷される画像位置が印刷用紙上で同じになるように、これらの印刷ドラム(以下、「版胴」という)同士の間に予め初期位相差をそれぞれ設けることにより、多色印刷を同時に行なうことを可能とする新規な多色印刷システムに関する技術を提案した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、多色印刷が可能である複胴式孔版印刷装置において、例えば4色のフルカラー印刷を行なうような場合であってインキの色替えを1色目および2色目の各版胴で同時に交換したいときや、1色目と2色目との各版胴の間に詰まったジャム紙を版胴外周部のメッシュスクリーン等を傷つけずに取り出すときなどに、1色目の版胴および2色目の版胴を同時に装置本体内から離脱させようとしても、以下のような理由により簡単な操作で容易に行なうことができなかった。
【0010】
すなわち、1色目の版胴がホームポジションで停止している場合には、1色目の版胴を上記したような着脱手段を介して離脱することができるが、多色印刷を同時に行なうことを可能とするためには上記したように版胴同士の間に予め比較的大きな初期位相差を設けることが必要(後述する実施形態で詳しく説明する)であり、これは版胴の回転角度としては90°以上、A3縦サイズの印刷用紙に印刷を行なうことが可能な版胴における天地方向の移動量に換算すれば百数十mmにもなるため、2色目の版胴を装置本体内から離脱することは、上記したような公知の天地移動手段あるいは未だ公知ではない上記天地移動調整手段を利用しても、簡単な操作で容易に行なうことは到底できない。
【0011】
何故ならば、特開平7−17121号公報記載の技術および特願平9−109488号記載の技術では、共に多色印刷を同時に行なうことを可能とするための初期位相差を予め設けるという技術的思想の示唆等がない上に、それらの天地移動手段や天地移動調整手段では、1色目の版胴と2色目の版胴との印刷動作により生じた画像位置ずれを天地方向で数mm程度の天地移動量をカバーする程度でよく、多目に見積もっても天地方向に±5mm程度の範囲で移動できれば十分なものと推測されるからであり、公知発明の天地移動手段や天地移動調整手段による天地移動量に対して桁違いに大きな移動量を必要とするからである。たとえ、天地移動手段や天地移動調整手段を構成しているプーリ径やベルトの長さをその目的に反して大きくしたり長くしたりしたとしても、今度は次のような問題が生じてしまう。
【0012】
つまり、天地移動調整手段等により連結されていて駆動力伝達関係にある1色目の版胴および2色目の版胴に対して、1色目の版胴がホームポジションで停止していて、2色目の版胴をホームポジションに移動させて装置本体内から離脱するような場合には、1色目の版胴の駆動力伝達機構に電磁クラッチ等を設けて1色目の版胴に対するメインモータの駆動力を断つように該電磁クラッチを作動させ、かつ、2色目の版胴のみを回転移動させるように、2色目の版胴がホームポジションに回転移動するまで例えば版胴回転キー等を押し続けたりするというような機構と面倒な操作が必要となるからである。
【0013】
したがって、本発明の第1の目的は、かかる問題点を解決するために、複胴式印刷装置において、簡単な操作を行なうだけで、複数の版胴を、各離脱位置または各ホームポジションに自動的に移動して装置本体内から離脱することができる複胴式印刷装置を提供することにある。
【0014】
これに加えて、本発明の第2の目的は、複数の版胴を装置本体に装着したとき、各版胴の離脱前天地移動位置に各版胴を自動的に移動させることができる複胴式印刷装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、請求項1記載の発明は、装置本体に対してそれぞれ着脱自在な複数の版胴を有し、マスタを各版胴に巻き付け、上記各版胴上のマスタにインキを供給して上記各版胴上のマスタに印刷用紙を押し付けることにより連続的に印刷を行なう複胴式印刷装置であって、上記各版胴の回転方向の位相を変えることにより、印刷用紙に対する印刷画像位置の天地移動調整を上記版胴毎に行なうための第1の天地移動調整手段と、上記各版胴を上記装置本体内から同時に離脱する同時離脱モードを設定する同時離脱モード設定手段と、上記同時離脱モード設定手段からの同時離脱モード信号に基づいて、第1の天地移動調整手段をして上記各版胴を離脱位置にそれぞれ自動的に移動させる第1の制御手段とを具備することを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の発明は、装置本体に対してそれぞれ着脱自在な複数の版胴を有し、マスタを各版胴に巻き付け、上記各版胴上のマスタにインキを供給して上記各版胴上のマスタに印刷用紙を押し付けることにより連続的に印刷を行なう複胴式印刷装置であって、上記各版胴が上記装置本体内にあるとき、上記各版胴同士の間には予め初期位相差がそれぞれ設けられており、上記各版胴が上記装置本体内から離脱されるとき、該各版胴は各ホームポジションでのみ離脱可能であり、上記各版胴の回転方向の位相を変えることにより、印刷用紙に対する印刷画像位置の天地移動調整を上記版胴毎に行なうための第1の天地移動調整手段と、上記各版胴を上記装置本体内から同時に離脱する同時離脱モードを設定する同時離脱モード設定手段と、上記同時離脱モード設定手段からの同時離脱モード信号に基づいて、第1の天地移動調整手段をして上記各版胴を上記各ホームポジションに自動的に移動させる第1の制御手段とを具備することを特徴とする。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の複胴式印刷装置において、第1の天地移動調整手段は、上記版胴毎に設けられた、上記各版胴の回転方向の位相を変えるための第1の天地移動手段と、上記各版胴を個別に選択してその天地移動手段を起動設定するための天地版胴選択手段と、この天地版胴選択手段により選択された版胴の天地移動量を設定するための天地移動量設定手段と、上記天地版胴選択手段からの信号に基づいて該天地版胴選択手段により選択された版胴の上記天地移動手段を起動させると共に、上記天地移動量設定手段からの信号に応じて上記天地版胴選択手段により選択された版胴の上記天地移動手段をしてその版胴を所定の天地移動量移動させる第1の天地移動制御手段とを有することを特徴とする。
【0018】
第1の天地移動手段としては、後述する実施形態1に示されている新規な構成を有するものが用いられる。
【0019】
天地版胴選択手段としては、上記構成・機能を具備するスイッチやキー等が用いられる。天地移動量設定手段としては、上記構成・機能を具備するスイッチやダイヤル、ボタン等が用いられる。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の複胴式印刷装置において、上記各版胴の回転位置を検知する回転位置検知手段と、印刷用紙の搬送方向の上流側の上流位版胴および該上流位版胴に隣る上記搬送方向の下流側の下流位版胴のうちの上記上流位版胴が、そのホームポジションに停止しているときにおける上記上流位版胴ホームポジションの停止位置に関する離脱前天地移動位置、ならびに上記上流位版胴の上記ホームポジションの停止位置に対して上記初期位相差分ずれた上記下流位版胴が、その所定の位置に停止しているときにおける上記下流位版胴の所定の停止位置に関する離脱前天地移動位置を記憶する記憶手段とを具備し、上記記憶手段により上記各版胴の上記離脱前天地移動位置が記憶された後、第1の制御手段は、上記各回転位置検知手段からの信号に基づいて、第1の天地移動調整手段をして上記下流位版胴を上記所定の停止位置から上記下流位版胴のホームポジションに移動させ停止させることを特徴とする。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の複胴式印刷装置において、第1の制御手段は、上記各版胴を上記装置本体に装着したとき、上記各回転位置検知手段からの信号に基づいて、第1の天地移動調整手段をして上記記憶手段が記憶している上記各版胴の上記離脱前天地移動位置に上記各版胴を自動的に移動させることを特徴とする。
【0022】
請求項6記載の発明は、装置本体に対してそれぞれ着脱自在な複数の版胴を有し、マスタを各版胴に巻き付け、上記各版胴上のマスタにインキを供給して上記各版胴上のマスタに印刷用紙を押し付けることにより連続的に印刷を行なう複胴式印刷装置であって、上記各版胴が上記装置本体内にあるとき、上記各版胴同士の間には予め初期位相差がそれぞれ設けられており、上記各版胴が上記装置本体内から離脱されるとき、該各版胴は各ホームポジションでのみ離脱可能であり、印刷用紙の搬送方向における下流側の下流位版胴は、該搬送方向の上流側に隣る上流位版胴に対して、印刷用紙に対する印刷画像位置の天地移動調整を行なうように機能する第2の天地移動調整手段を有し、上記各版胴を上記装置本体内から同時に離脱する同時離脱モードを設定する同時離脱モード設定手段と、上記同時離脱モード設定手段からの同時離脱モード信号に基づいて、上記上流位版胴を上記ホームポジションに自動的に移動させると共に、第2の天地移動調整手段をして上記下流位版胴を上記ホームポジションに自動的に移動させる第2の制御手段とを具備することを特徴とする。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の複胴式印刷装置において、第2の天地移動調整手段は、上記上流位版胴に対して上記下流位版胴の回転方向の位相を変えるための第2の天地移動手段と、上記下流位版胴の天地移動量を設定するための天地移動量設定手段と、この天地移動量設定手段からの信号に応じて第2の天地移動手段をして上記下流位版胴を所定の天地移動量移動させる第2の天地移動制御手段とを有することを特徴とする。
【0024】
第2の天地移動手段としては、例えば実開昭61−198065号公報の第1図および第2図に示されている技術構成、特開平7−17121号公報の図5に示されている天地移動手段600あるいは特開平4−329175号公報の図2に示されている遊星歯車を具備する天地位置調整機構21において、版胴の天地移動量(位相調整量)を回転角度で少なくとも90°以上調整可能にした構成のものを用いることができる。
【0025】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の複胴式印刷装置において、上記各版胴の回転位置を検知する回転位置検知手段と、上記上流位版胴が、そのホームポジションに停止しているときにおける上記上流位版胴のホームポジションの停止位置に関する離脱前天地移動位置、および上記下流位版胴が、上記上流位版胴の上記ホームポジションの停止位置に対して上記初期位相差分ずれた所定の位置に停止しているときにおける上記下流位版胴の所定の停止位置に関する離脱前天地移動位置を記憶する記憶手段とを具備し、上記記憶手段により上記各版胴の上記離脱前天地移動位置が記憶された後、第2の制御手段は、上記各回転位置検知手段からの信号に基づいて、第2の天地移動手段をして上記下流位版胴を上記所定の停止位置から上記下流位版胴のホームポジションに移動させ停止させることを特徴とする。
【0026】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の複胴式印刷装置において、第2の制御手段は、上記各版胴を上記装置本体に装着したとき、上記各回転位置検知手段からの信号に基づいて、第2の天地移動手段をして上記記憶手段が記憶している上記下流位版胴の上記離脱前天地移動位置に上記下流位版胴を自動的に移動させることを特徴とする。
【0027】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9の何れか一つに記載の複胴式印刷装置において、上記同時離脱モード設定手段は、キーであることを特徴とする。
【0028】
上記各発明において、各版胴を装置本体に対してそれぞれ着脱自在とするための着脱手段としては、例えば実開昭64−46258号公報の第1図および第2図等に示されている技術構成、特開平5−229243号公報記載の図2および図3に示されている保持手段36および版胴装置55、特開平6−71998号公報の図3等に示されている技術構成、特開平6−293175号公報の図1等に示されている技術構成あるいは特開平7−1817号公報の図2等に示されている技術構成等を用いることができる。
【0029】
第1および第2の制御手段としては、上記各構成・機能を具備するマイクロコンピュータや制御回路が用いられる。これと同様に、第1および第2の天地移動制御手段としては、上記各構成・機能を具備するマイクロコンピュータや制御回路が用いられる。
【0030】
回転位置検知手段としては、版胴の端板等に設けられたフォトエンコーダと装置本体側に配設され上記フォトエンコーダと協働して版胴の回転位置および回転速度を検知する手段や、版胴の端板等に設けられた遮光板と装置本体側に配設され上記遮光板と係合する透過型フォトセンサとを具備する手段等が用いられる。
【0031】
記憶手段としては、例えばマイクロコンピュータ等に備えられているRAM等が用いられる。
【0032】
請求項1ないし10記載の発明に係る複胴式印刷装置を適用可能な装置としては、例えば特開平7−17013号公報に示されているような版胴の外側から版胴上のマスタにインキを供給して、印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置であって、この印刷装置における上記版胴を複数配設して構成した複胴式印刷装置であってもよい。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、単に「実施形態」という)を説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素や構成部品等については、同一符号を付すことによりその説明をできるだけ省略する。図において一対で構成されていて特別に区別して説明する必要がない構成要素や構成部品は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に代えるものとする。
【0034】
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態(以下、単に「実施形態1」という)について説明する。
図1において、符号500は本発明に係る複胴式印刷装置を適用した複胴式孔版印刷装置を示す。符号501は複胴式孔版印刷装置500の装置本体としての本体フレームを示す。本体フレーム501は、略筐体状に配置されている。この複胴式孔版印刷装置500は、図1に示すように、印刷用紙22の搬送方向(以下、「用紙搬送方向X」と言い替える)の上流側から下流側に沿って並設され、本体フレーム501に対してそれぞれ着脱自在な2つの第1版胴1a(以下、単に「版胴1a」というときがある)および第2版胴1b(以下、単に「版胴1b」というときがある)を有し、各マスタ33a,33bを各版胴1a,1bに巻き付け、各版胴1a,1b上のマスタ33a,33bにインキIa,Ibを供給して各版胴1a,1b上のマスタ33a,33bに印刷用紙22を押し付けることにより連続的に印刷を行なって、同時多色印刷(この実施形態1では同時2色印刷である)をすることが可能なように構成されている。
【0035】
実施形態1では、説明の簡明化のために、用紙搬送方向Xに並んだ2つの版胴1a,1bについて説明するが、勿論3つ以上の版胴を用紙搬送方向Xに並設して多色(カラー)印刷を行なうように構成することもできる。
【0036】
複胴式孔版印刷装置500は、各版胴1a,1b毎に設けられた、各版胴1a,1bを本体フレーム501に対して着脱自在とするための図3に示す着脱手段50a,50bと、各版胴1a,1bの回転方向の位相を変えることにより、印刷用紙22に対する印刷画像位置の天地移動調整を各版胴1a,1b毎に個別に行うための図2に示す第1の天地移動調整手段112(以下、単に「天地移動調整手段112」というときがある)と、複胴式孔版印刷装置500を操作するための図5に示す操作パネル170と、この操作パネル170に配設され、各版胴1a,1bを本体フレーム501内から同時に離脱する同時離脱モードを設定する同時離脱モード設定手段としての図5に示すドラム離脱キー195と、このドラム離脱キー195からの同時離脱モード信号に基づいて、天地移動調整手段112をして各版胴1a,1bを各ホームポジションに自動的に移動させる第1の制御手段としての図7に示す版胴移動制御装置200とを具備していることを特徴とする。
【0037】
各版胴1a,1bのホームポジションは、例えば図1において各版胴1a,1bの各クランパ5a,5bが略直上に位置する各版胴1a,1bの初期位置をいい、図1では版胴1aがホームポジションを占めている位置状態を符号H・Pで版胴1aの上部に示してある。
【0038】
図1を参照して、まず、複胴式孔版印刷装置500の全体構成を説明した後、着脱手段50a,50b、天地移動調整手段112、操作パネル170および版胴移動制御装置200等の細部構成について説明する。
版胴1aと版胴1bと、着脱手段50aと着脱手段50bとは、それぞれ略同一の機能および構成を有する。これと同じように、版胴1aの内外周りに配設された後述するインキ供給手段、製版装置および排版装置等と、版胴1bの内外周りに配設された後述するインキ供給手段、製版装置および排版装置等とは、略同一の機能および構成を有しているので、それらを同一符号の末尾に符号aまたはbを付加することで区別することとし、その一方を詳述した場合には重複説明を避けるため他方の説明をできるだけ省略する。
【0039】
複胴式孔版印刷装置500は、上記した特徴的な構成を除き、従来の感熱デジタル製版一体型孔版印刷装置と略同じ構成を有している。すなわち、複胴式孔版印刷装置500は、図1に示すように、マスタ33aを外周面に巻き付ける版胴1aと、版胴1aの右上方に配置されマスタ33aを製版する製版装置41aと、製版装置41aの下方に配置され給紙トレイ21上に積載された印刷用紙22を給送する給紙装置20と、版胴1aの左上方に配置され使用済みのマスタ33aを版胴1aから剥ぎ取り排版する排版装置42aと、版胴1aの下方に配置され給送されてくる印刷用紙22を版胴1a上の製版済みのマスタ33aに押し付けることにより印刷を行なう印圧装置32aと、印圧装置32aで印刷された印刷済みの印刷用紙22を版胴1aから分離・剥離するエアーナイフ7aと、マスタ33bを外周面に巻き付ける版胴1bと、版胴1bの左上方に配置されマスタ33bを製版する製版装置41bと、版胴1bの左方に配置され使用済みのマスタ33bを版胴1bから剥ぎ取り排版する排版装置42bと、版胴1bの下方に配置され給送されてくる印刷用紙22を版胴1b上の製版済みのマスタ33bに押し付けることにより印刷を行なう印圧装置32bと、印圧装置32aと印圧装置32bとの間に配置され印圧装置32aで印刷された印刷済みの印刷用紙22を印圧装置32bに搬送する中間搬送装置17aと、印圧装置32bで印刷された印刷済みの印刷用紙22を版胴1bから分離・剥離するエアーナイフ7bと、排版装置42bの下方に配置され印圧装置32aおよび印圧装置32bで多色印刷された印刷済みの印刷用紙22を排紙トレイ37上に排出する上記エアーナイフ7bを含む排紙装置35とを具備する。
【0040】
複胴式孔版印刷装置500の両製版装置41a,41bおよび排版装置42aの上方には、原稿の画像を読み取るための図示を省略した原稿読取装置と、図5に示す操作パネル170とがそれぞれ配設されている。
【0041】
図1において簡略的に示した製版装置41a,41b、排版装置42a,42bおよび上記原稿読取装置は、例えば上記した特開平5−229243号公報記載の図8等に示されている構成と同様のものからなる。また、上記原稿読取装置には、多色重ね刷り印刷に必要な色分解のための諸機能を有する構成、例えば特開昭64−18682号公報記載の複数の色フィルターを切換可能に制御できるフィルターユニットと同様の機能及び構成を有するものが、上記原稿読取装置に配置されているミラー群とレンズとの間の光路上に配設されていて、同公報記載と同様の自動製版・給版等の動作を行なうようになっており、その詳しい説明は省略する。
【0042】
版胴1aは、周知の多孔性円筒状をなし、ドラム軸2aの周りに回動自在に支持されている。版胴1aは、ドラム軸2aの中心軸線方向に延在して設けられていて、図4に詳しく示すように、印刷インキ通過性の多数かつ微細な開孔部47aが形成された金属製の支持円筒体47Aと、その外周面に巻き付けられた樹脂もしくは金属製のメッシュスクリーン層47Bとの2層構造となっており、図4以外の各図においては1本の実線で示されている。支持円筒体47Aには、クランパ5aの周辺を除くその円周上の所定の範囲にわたり開孔部47aが形成された印刷可能領域と、開孔部47aが形成されていない印刷インキ不通過性の非印刷領域とが形成されている。上記非印刷領域は支持円筒体47Aの両側端縁部にも設けられている。支持円筒体47Aは、ステンレススチール等の金属板にエッチングやプレス加工によって開孔部47aを形成したものであり、その厚さ0.1〜1.0mmのものが好ましく用いられる。
【0043】
版胴1a外周部の一母線上には、図1ないし図4に示すように、マスタ33aの先端部をクランプする開閉自在なクランパ5aが設けられている。クランパ5aは、クランパ軸6aで版胴1a上に枢着されていて、版胴1aの外周周りの適宜の位置に配設されている図示しない開閉手段により所定位置で開閉される。
【0044】
版胴1aの両端には、図3および図4に示すように、円板状の端板68がそれぞれ設けられている。版胴1aは、両側の端板68の外周面上にネジで取付けられていて、両側の端板68の中央部とドラム軸2aの外周面との間にそれぞれ介装された一対のころがり軸受69,69を介して、前フレーム55および後フレーム56内側のドラム軸2a上に回転可能に支持されている。図4に示すように、端板68中央の外端部には、ドラムギア67が一体形成されている。版胴1aは、後述する図2に示すメインモータ131により回転される。
【0045】
版胴1aの内部には、図1にのみ示すように、版胴1aの内周面から外周面に向けてインキを供給するためのインキ供給手段が配設されている。版胴1aにおけるインキ供給手段では1色目のインキとして例えばブラック(Bk)色(以下、「黒色」と言い替える)のインキが、版胴1bにおけるインキ供給手段では2色目のインキとして例えばマゼンタ(M)色(以下、「赤色」と言い替える)のインキがそれぞれ供給されるようになっている。版胴1aにおけるインキ供給手段は、版胴1aの内周面に黒色のインキを供給するインキローラ3aと、このインキローラ3aと僅かな間隙を置いて平行に配置され、インキローラ3aとの間にインキ溜りIaを形成するドクタローラ4aと、インキ溜りIaへインキを供給するドラム軸2aを兼ねるインキ供給管2aとが配置されている。
【0046】
インキは、本体フレーム501に対して版胴1aを着脱自在とするために構成された図3等に示すドラムユニット100a(後で詳述する)に設けられたインキ容器64aからインキポンプ66aにより圧送され、ドラム軸2を兼ねているインキ供給管2aを介してインキ溜りIaへ供給される。インキ溜りIaに供給されるインキの量は、インキ検知手段(例えば特開平5−229243号公報の図5参照)によって検知・測定され、インキポンプ66aによってインキ圧送量をコントロールされる。
【0047】
インキローラ3aは、アルミニウム、ステンレスなどの金属またはゴム等により形成され、図示しないギヤ列により版胴1aと共に時計回り方向に回転する。インキローラ3aと版胴1aとの回転速度の比は、所定の値に設定されている。ドクタローラ4aは、鉄やステンレスなどの金属で形成され、図示しないギヤ列により反時計回り方向に回転する。ドクタローラ4aと版胴1aとの回転速度の比も所定の値に設定されている。
【0048】
マスタ33aとしては、ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムに多孔質支持体(ベース)として和紙等を貼り合わせたマスタが用いられている。マスタ33aは、上記のものに限らず、非常に薄い実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるものや、実質的に熱可塑性樹脂フイルムのみからなるマスタ(その厚さが約1〜8μm)程ではないが、上記従来のマスタ33a(その厚さが約40〜50μm程度)よりも厚さが薄く(厚さ20〜30μm)、かつ、ベースにおける合成繊維の混抄率が高いマスタ、例えば極端に合成繊維の混抄率が高いポリエチレンテレフタレート(PET)100%からなるベースを有する合成繊維ベースマスタを用いることも可能である。
【0049】
給紙装置20は、給紙トレイ21、呼び出しコロ23、上下一対の分離コロ対24,25、分離板26、上下一対のガイド板上28、ガイド板下27およびレジストローラ対29,30等から主に構成されている。
【0050】
給紙トレイ21は、その上に印刷用紙22を積載され、給紙装置本体に昇降自在に支持されている。給紙トレイ21は、印刷用紙22の増減に連動して図示しないモータ装置により上下動される。呼び出しコロ23と分離コロ対24,25とは、最上位の印刷用紙22と当接するように設けられており、各ローラは図示しない駆動手段により回転駆動される。分離コロ対24,25および分離板26は、その協働作用により呼び出しコロ23によって搬送されてきた印刷用紙22を1枚に分離する機能を有する。レジストローラ対29,30は、分離コロ対24,25の用紙搬送方向Xの下流側に配設されている。レジストローラ対29,30は、搬送されたきた印刷用紙22の先端をくわえ込み、タイミングをとって版胴1aの外周面とプレスローラ9aとの間に搬送する。
【0051】
印圧装置32aは、上記したインキローラ3a、後述する、プレスローラ9a、プレスローラブラケット11a、プレスローラテンション13aおよびプレスローラカム12aから主に構成されている。
【0052】
プレスローラ9aは、給送されてきた印刷用紙22を版胴1aに押し付けて印刷画像を印刷用紙22上に形成する押圧手段としての機能を有する。プレスローラ9aは、プレスローラブラケット11aの一方の揺動端において回転自在に支持されていて、版胴1aの外周面に接離自在に設けられている。版胴1aに対するプレスローラ9aの印圧は、プレスローラブラケット11aの他方の揺動端側に張設されたプレスローラテンション13a(引張バネ)によって加えられると共に、このプレスローラテンション13aの付勢力によってプレスローラブラケット11aの他方の揺動端は、扇状のプレスローラカム12aの輪郭周面に圧接している。プレスローラカム12aは、上記メインモータ駆動部によって給紙装置20からの印刷用紙22の給紙タイミングおよび版胴1aの回転に合せて同期して回転されるようになっており、給紙装置20から印刷用紙22が給紙されないときには、その大径部をプレスローラブラケット11aの他方の揺動端に対向させている。プレスローラカム12aは、給紙装置20から印刷用紙22が給送されてくると回転して、その小径部をプレスローラブラケット11aの他方の揺動端に対向させ、プレスローラ9aを図において時計回り方向に揺動させるようになっている。
【0053】
エアーナイフ7aは、印刷用紙22が版胴1aの外周面に貼り付いて巻き上がるのを防止するために、その先端部がノズルになっている。エアーナイフ7aのノズルには、図示しない空気圧発生装置のポンプから印刷用紙22の先端の搬送と同期して圧縮空気流が高速で吐出され、印刷用紙22の先端部に吹き付けられるようになっている。エアーナイフ7aは、エアーナイフ軸8aを中心に版胴1aの外周面に近接した位置と、離間した位置とに揺動可能となっている。すなわち、エアーナイフ7aは、クランパ5aとエアーナイフ7aの先端が干渉しないように版胴1aの回転と同期して揺動する。一方、版胴1bにおけるエアーナイフ7bの左方には、送風ファン34が設けられていて、印刷用紙22の版胴1bへの巻き上がり防止のために、エアーナイフ7bによる印刷用紙22の分離・剥離作用を補助している。
【0054】
中間搬送装置17aは、従動ローラ14aと駆動ローラ15aとの間に掛け渡された多孔性の搬送ベルト16aと、吸引用のファン18aと、ケーシング19とから主に構成されている。搬送ベルト16aの少なくとも表面は、ウレタンゴム等の印刷用紙22との摩擦係数の高いものを採用しているので、印刷用紙22を図1の左方向へ牽引する力を発生する。しかし、用紙搬送方向Xの上流側は未だ版胴1aとプレスローラ9aとのニップ部(印圧部)で押さえられているので、印刷用紙22の左方向への進行速度は、版胴1aの回転周速度と同じである。
【0055】
搬送ベルト16aは、版胴1aの周速度と同じかまたは僅かに速い搬送速度で版胴1aと同期して駆動されるようになっていて、これにより、印刷用紙22は図1の左方向へテンションが掛かった状態で搬送されることになる。
【0056】
ファン18aは、ケーシング19内に配置されていて、その回転によりケーシング19内に負圧状態を作り出す。
【0057】
排紙装置35は、従動ローラ39と駆動ローラ38との間に掛け渡された多孔性の搬送ベルト40と、ジャンプ台40Aと、吸引用ファン36、ケーシング36A等とから主に構成されている。
【0058】
排紙装置35の搬送ベルト40は、版胴1bの周速度と略同じ搬送速度で版胴1bと同期して駆動されるようになっている。また、上記した送風ファン34の回転により送られる空気は、エアーナイフ7bの左上方から印刷済みの印刷用紙22の表面へと吹き付けられる。これは、印刷済みの印刷用紙22の搬送ベルト40からの浮き上がり防止のためと印刷画像のインキ乾燥の促進のためでもある。ジャンプ台40Aは、印刷済みの印刷用紙22の中央部位を略U字状に撓ませて、いわゆる排紙の腰付けをして排紙トレイ37上に整然と排出積載する機能を有する。
【0059】
図3において、符号100aは、本体フレーム501に対して着脱手段50aを介して版胴1aを着脱自在とするために構成されたドラムユニットを示す。符号100bは、本体フレーム501に対して着脱手段50bを介して版胴1bを着脱自在とするために構成されたドラムユニットを示す。同図において、説明の便宜のため紙面の手前側を前、奥側を後と呼ぶときがある。本体フレーム501の前方には、各ドラムユニット100a,100bを着脱する際の出入口である着脱口501a,501bがそれぞれ形成されている。一方、着脱口501a,501bの奥側の本体フレーム501には、図4に示すように、各ドラム軸2a,2bの後端部を受け入れる軸受54と、図2に示す版胴駆動機構130とが配設されている。
【0060】
ドラムユニット100aは、版胴1a、端板68、ドラム軸2a、上記インキ供給手段、黒色のインキを貯蔵したインキ容器64aを収納するインキ容器収納装置65a、インキポンプ66a、前取っ手63、前フレーム55、後フレーム56および把持フレーム57から主に構成される。ドラムユニット100bは、版胴1b、ドラム軸2b、端板68、上記インキ供給手段、赤色のインキを貯蔵したインキ容器64bを収納するインキ容器収納装置65b、インキポンプ66b、前取っ手63、前フレーム55、後フレーム56および把持フレーム57から主に構成される。
【0061】
各ドラムユニット100a,100bは、本体フレーム501内から離脱されるとき、後述する構造・手段等によって、各版胴1a,1bがホームポジションを占めている状態でのみ離脱可能となっている。
【0062】
各ドラムユニット100a,100bが上記した構成を有することにより、インキの色替えを各版胴1a,1bで同時に行なうために新しい各版胴と交換したいときに大変便利であると共に、1色目の版胴1aと2色目の版胴1bとの間に詰まったジャム紙を取り出すときなどに各版胴1a,1bのメッシュスクリーン等を傷つけることがない。
【0063】
ドラムユニット100aとドラムユニット100bとは、上記したように略同様の機能および構成を有しており、版胴1a,1b、ドラム軸2a,2b、上記インキ供給手段の構成部品、着脱手段50a,50b、インキ容器64a,64b、インキ容器収納装置65a,65bおよびインキポンプ66a,66bのみ各同一符号の末尾に符号aまたはbを付加することで、版胴1a側と版胴1b側とを区別することとし、上記各手段等の構成部品については同一の構成を有することおよび図の簡明化を図ることから同一符号を用いることとし、その一方を詳述した場合には重複説明を避けるため他方の説明を省略する。
【0064】
着脱手段50aは、図3に示すように、ドラム軸2a、前フレーム55、後フレーム56、把持フレーム57、一対のコロ58,58、ガイドレール53および一対の導入コロ60,60で主に構成されている。着脱手段50aは、その一部構成等を省略しているが、例えば実開昭61−85462号公報記載の第1図ないし第4図に示された版胴支持装置と同様の構造を有する。
【0065】
図3および図4に示すように、ドラム軸2aの両端部にはリング状の固定具56A(図4には後端部のみ示されている)が固着されていて、その固定具56Aの内側には、ドラム軸2aを挿通した前フレーム55および後フレーム56がねじを介して締結されている。前フレーム55および後フレーム56の上端部は、上向きに開口部をもったチャンネル状の把持フレーム57の両端部に固設されている。把持フレーム57の後端部には、コロ軸を介して回動自在に支持された一対のコロ58,58が設けられている。
【0066】
本体フレーム501における着脱口501a,501bの上部には、把持フレーム57を着脱自在に保持するためのガイドレール53が固設されている。ガイドレール53は、下向きに開口をもつ略チャンネル状をなしていて、版胴1aの中心軸線方向に延在して設けられている。ガイドレール53の前側の入口部には、一対の導入コロ60,60がコロ軸をもって回動自在に取り付けられている。
【0067】
ドラムユニット100aは、導入コロ対60,60によりその把持フレーム57のコロ対58,58を先頭にしてガイドレール53に導入され、あるいはコロ対58,58を後端として引き出される。このとき、ドラムユニット100aは、ガイドレール53の上記開口部を挟んで形成された一対のレールフランジ53a,53a上をコロ対58,58が転動することによって、把持フレーム57がガイドレール53の長さ方向に収納されると共に、ドラム軸2aの後端部が上記した軸受54に嵌入して支持され、あるいは引き出されるようになっている。
【0068】
図6において、各版胴1a,1bの図において奥側の端板68に対向した本体フレーム501の所定位置には、各版胴1a,1bがホームポジションを占めたときに、そのホームポジションを検知するためのホームポジションセンサ70a,70bがそれぞれ設けられている。ホームポジションセンサ70a,70bは、発光素子および受光素子を具備した周知の光透過型フォトセンサからなる。
【0069】
各版胴1a,1bの奥側の端板68には、ホームポジションセンサ70a,70bと選択的に係合する遮光板71a,71bが外側に突出して設けられている。給版位置を検知する検知手段は、ホームポジションセンサ70a,70bを兼用・利用しており、各版胴1a,1bの離脱前天地移動位置、給版位置および排版位置は、各版胴1a,1bがホームポジションを占めたときにおけるホームポジションセンサ70a,70bからのオン信号出力時を起点として、図2に示す版胴プーリ137a,137bに一体的に組付けられたインクリメンタル型の光学式ロータリエンコーダ(図示せず)により各版胴1a,1bの回転量(回転角度)を検出することにより検知されるようになっている。奥側の本体フレーム501には、上記各光学式ロータリエンコーダの外周部を挟んで光透過型フォトセンサからなる版胴回転位置検知センサ96a,96b(図7のブロック図にのみ示す)がそれぞれ取付けられている。なお、給版位置を検知する検知手段は、ホームポジションセンサ70a,70bをそれぞれ専用としてもよい。
【0070】
上記のとおり、各版胴1a,1bの回転位置を検知する回転位置検知手段は、各ホームポジションセンサ70a,70b、遮光板71a,71b、各版胴回転位置検知センサ96a,96bおよび上記各光学式ロータリエンコーダから構成されている。
【0071】
なお、各版胴1a,1bの回転位置を検知する回転位置検知手段は、上記構成に限らず、例えば図4に仮想線で示すように、複数のスリットを有し円板状をなすアブソリュート型のフォトエンコーダ90a,90bと各フォトエンコーダ90a,90bの外周部を挟んで設けられた光透過型フォトセンサからなる版胴回転位置検知センサ91a,91bとで構成したものであってもよい。この場合、各フォトエンコーダ90a,90bをドラムギヤ67近傍の端板68中央部に組付けると共に、各版胴回転位置検知センサを後フレーム56の内側に取付けることにより、各版胴1a,1bの回転位置、天地方向移動量および速度等を精度良く検知することができる。
【0072】
図4において奥側の本体フレーム501内壁には電気用着脱コネクタ97Bが配置され、一方、ドラムユニット100aの後フレーム56外壁には電気用着脱コネクタ97Bと係合する電気用着脱コネクタ97Aが配置されている。電気用着脱コネクタ97Bは外部電源や後述する版胴移動制御装置200(図7参照)等に接続されており、一方、電気用着脱コネクタ97Aは、版胴回転位置検知センサ91a,91b、上記インキ検知手段およびインキポンプ66aに接続されている。ドラムユニット100aが、着脱手段50aを介して本体フレーム501内に装着されたとき、電気用着脱コネクタ97Aが電気用着脱コネクタ97Bと結合して、上記電力の授受あるいは上記各信号の送受信が行われる。
【0073】
版胴駆動機構130は、図2および図4に示すように、給紙装置20近傍における奥側の本体フレーム501の不動部材に固設されたメインモータ131と、メインモータ131に連結されていて、奥側の本体フレーム501に軸受(図示せず)を介して回動自在に支持され給紙駆動機構を構成する給紙駆動軸141と、この給紙駆動軸141に各電磁クラッチ132a,132bを介してそれぞれ取付けられた給紙プーリ142a,142bと、版胴1a側の駆動軸134aに固設された版胴プーリ137aと、版胴1b側の駆動軸134bに固設された版胴プーリ137bと、版胴1a側の天地移動手段145aを経由して給紙プーリ142aと版胴プーリ137aとの間に掛け渡されているベルト135aと、版胴1b側の天地移動手段145bを経由して給紙プーリ142bと版胴プーリ137bとの間に掛け渡されているベルト135bと、駆動軸134aの先端に固設されドラムユニット100aのドラムギア67と選択的に噛合する駆動ギア139aと、駆動軸134bの先端に固設されドラムユニット100bのドラムギア67と選択的に噛合する駆動ギア139bとから主に構成されている。奥側の本体フレーム501の下部には各駆動軸134a,134bを回転可能に支持する軸受140がそれぞれ設けられている。
【0074】
各ドラムユニット100a,100bは、上記したように各版胴1a,1bが本体フレーム501に対してホームポジションを占めている場合にのみ着脱自在となっている。この構造は、各ドラムユニット100a,100bの本体フレーム501内からの離脱を規制するストッパー機構(例えば特開平8−39916号公報の図5等に記載の構造)および各版胴1a,1bの各ドラムギア67,67が、各版胴1a,1bが本体フレーム501に対してホームポジションを占めている場合にのみ本体フレーム501側の各駆動ギア139a,139bに噛合すると共にこの噛合を解除することができる噛合構造(例えば特開平8−39918号公報の図5等に記載の本体駆動噛合構造)とからなる。また、各ドラムユニット100a,100bには、本体フレーム501内から離脱した時、各版胴1a,bの回転位置が固定される装置(図示せず)が付いており、外した時と同じ状態で装着できるようになっている。
【0075】
版胴駆動機構130および各天地移動手段145a,145bを構成する上記各ベルト135a,135bは、歯付きベルトを用いており、また各プーリ142a,142b,137a,137b等も歯付きプーリを用いている。
【0076】
なお、図4においては、ドラムギア67に対する各駆動ギヤ139a,139bおよび駆動軸134a,134b等の位置を略90度下方にずらせて描いてあり、これらの正規の位置関係は図2に示すとおりである。図2においては、奥側の本体フレーム501および軸受54等をすべて省略して描いてある。
次に、天地移動調整手段112について説明する。
天地移動調整手段112は、各版胴1a,1b毎に設けられた、各版胴1a,1bの回転方向の位相を変えるための第1の天地移動手段としての図2に示す各天地移動手段145a,145bと、各版胴1a,1bを個別に選択してその天地移動手段145aまたは145bを起動設定するための天地版胴選択手段としての図5に示す天地版胴選択キー190a,190bと、この天地版胴選択キー190aまたは190bにより選択された版胴1aまたは1bの天地移動量を設定するための天地移動量設定手段としての図5に示す天移動量設定キー191および地移動量設定キー192と、天地版胴選択キー190aまたは190bからの信号に基づいて天地版胴選択キー190aまたは190bにより選択された版胴1aまたは1bの天地移動手段145aまたは145bを起動させると共に、天移動量設定キー191または地移動量設定キー192からの信号に応じて天地版胴選択キー190aまたは190bにより選択された版胴1aまたは1bの天地移動手段145aまたは145bをしてその版胴1aまたは1bを所定の天地移動量移動させる第1の天地移動制御手段を兼ねる版胴移動制御装置200とから主に構成される。
【0077】
各天地移動手段145a,145bは、配設箇所のみ相違し、略同様の機能および構成を有しているため、各同一符号の末尾に符号aまたはbを付加することで、版胴1a側と版胴1b側とを区別することとし、その一方を詳述した場合には重複説明を避けるため他方の説明を省略する。
【0078】
天地移動手段145aは、図2に示すように、上記した給紙プーリ142aと、上記した版胴プーリ137aと、給紙プーリ142aと版胴プーリ137aとの間に昇降自在に設けられたスライダアーム146aと、奥側の本体フレーム501に回動自在に支持され天地駆動モータ148aにより駆動されるピニオン147aと、このピニオン147aと噛合するスライダアーム146aの一側端に形成されたラック149aと、スライダアーム146aの上下端部に植設された各軸152aを介して回動自在に取り付けられた一対の移動上プーリ150a、移動下プーリ151aと、奥側の本体フレーム501に植設された4つの支持軸157aに回動自在に取り付けられスライダアーム146aを挾んで上下にそれぞれ設けられた4つの固定プーリ153a,154a,155a,156aと、版胴プーリ137a、給紙プーリ142a、移動上プーリ150a、移動下プーリ151aおよび4つの固定プーリ153a,154a,155a,156aに掛け渡されたベルト135aとから主に構成される。
【0079】
スライダアーム146aには2つの長孔146hが形成されている。スライダアーム146aは、奥側の本体フレーム501に植設された上下一対の支持軸157を介してスライド可能に支持されると共に、奥側の本体フレーム501に固定されているガイド部材(図示しない)により昇降スライド可能に支持されている。
【0080】
次に、図5を参照して操作パネル170の細部構成を説明する。
この操作パネル170上には、複胴式孔版印刷装置500を操作するための上記した各種キー(製版スタートキー171a、印刷スタートキー171、テンキー173、天地版胴選択キー190a、190b、天移動量設定キー191、地移動量設定キー192)および各種ディスプレイが配置されている。上記した各種キー以外のキーとしては、印刷された印刷用紙22の印刷画像位置の天地位置の確認、あるいは印刷画像品質等を確認するために試し刷り印刷動作の起動設定を行う試し印刷キー172が版付け印刷とは別の目的で設けられている。
【0081】
ディスプレイ196は、印刷画像の天地移動量等を目視で確認するためのものであり、LED(発光ダイオード)で構成されている。ディスプレイ196は、版胴1a,1bが天寄りであることを示す発光部天197と、同地寄りであることを示す発光部地198と、2桁の数字で天地移動量をmm単位で表示する7セグメントの移動量表示部199とで構成されている。印刷画像位置が用紙22に対して設定された中央位置にある場合には発光部天197および発光部地198は点灯せず、7セグメントの移動量表示部199が0を示すように設定されている。
【0082】
次に、図7を参照して版胴移動制御装置200の要部の制御構成を簡単に述べる。
版胴移動制御装置200は、例えば信号バス(図示せず)によって互いに接続された、CPU201(中央処理装置)、RAM202(読み書き可能な記憶装置)、ROM203(読み出し専用記憶装置)およびI/O(入出力)ポート(図示せず)等を備えたマイクロコンピュータを具備している。
【0083】
ホームポジションセンサ70a,70bおよび版胴回転位置検知センサ96a,96bからのデータ信号は、版胴移動制御装置200のCPU201に送信される。操作パネル170の各種キー、すなわち試し印刷キー172、天地版胴選択キー190a、190b、天移動量設定キー191、地移動量設定キー192およびドラム離脱キー195からのオン/オフ信号やデータ信号は、版胴移動制御装置200のCPU201に送信される。そして、版胴移動制御装置200のCPU201からは、天地駆動モータ148a,148b、電磁クラッチ132a,132b、ディスプレイ196に各種指令信号が送信される。
【0084】
版胴移動制御装置200のCPU201は、上記したように、各版胴1a,1bを本体フレーム501から離脱するときに、ドラム離脱キー195からの同時離脱モード信号に基づいて、天地移動調整手段112における各天地移動手段145a,145bの天地駆動モータ148a,148bを駆動制御して、各版胴1a,1bを各ホームポジションに自動的に移動させる第1の制御手段としての機能を有する。
【0085】
また、CPU201は、各版胴1a,1bを本体フレーム501に装着したときに、ホームポジションセンサ70a,70bおよび版胴回転位置検知センサ96a,96bからの信号に基づいて、天地移動調整手段112における各天地移動手段145a,145bの天地駆動モータ148a,148bを駆動制御して、RAM202が記憶している各版胴1a,1bの離脱前天地移動位置に自動的に移動させる機能を有する。
【0086】
また、CPU201は、天地版胴選択キー190aまたは190bからの信号に基づいて天地版胴選択キー190aまたは190bにより選択された版胴1aまたは1bの天地移動手段145aまたは145bの天地駆動モータ148aまたは148bを起動させると共に、天移動量設定キー191または地移動量設定キー192からの信号に応じて天地版胴選択キー190aまたは190bにより選択された版胴1aまたは1bの天地移動手段145aまたは145bの天地駆動モータ148aまたは148bを駆動制御して、その版胴1aまたは1bを所定の天地移動量移動させる第1の天地移動制御手段としての機能を有する。
【0087】
ROM203には、天地駆動モータ148a,148b、電磁クラッチ132a,132b、およびディスプレイ196を駆動制御するためのデータあるいは後述するフローチャートに示されている動作を行うためのプログラムが予め記憶されている。RAM202では、上記各センサ等からのデータ信号を一時記憶したりする。またRAM202は、各ドラムユニット100a,100bが本体フレーム501内に装着されていた各版胴1a,1bの離脱前天地移動位置を記憶する記憶手段としての機能を有している。
ここで、版胴1aの離脱前天地移動位置とは、版胴1aのホームポジションの停止位置を意味し、版胴1bの離脱前天地移動位置とは、後述の動作で詳述するように、版胴1aのホームポジションの停止位置に対して初期位相差分ずれた版胴1bの所定の停止位置を意味する。
【0088】
次に、複胴式孔版印刷装置500の動作を説明する。
先ず、オペレータが、上記原稿読取装置の原稿受け台(図示せず)に印刷すべき原稿をセットし、製版を起動させるための図5に示す製版スタートキー171aを押下すると、排版工程が両版胴1a,1bにおいて同様に実行される。すなわち、各版胴1a,1bが回転して排版位置に停止し、版胴1aの外周面に巻装されていた使用済みのマスタ33aが版胴1aの外周面から漸次剥され搬送されつつ排版ボックス(図示せず)内へ排出されていわゆる排版が終了する。
【0089】
次いで、版胴1aは、クランパ5aが図1における略右横に位置する給版位置に停止される。版胴1bは、クランパ5bが図1における略直上(ホームポジションでもある)に位置する給版位置に停止される。
【0090】
排版工程と並行して、上記原稿読取装置が作動して原稿読み取りが行われる。この原稿読み取りに係る詳細な構成及び動作は、例えば公知の「縮小式の原稿読取方式」で行われるようになっており、原稿読み取りされた画像は最終的にCCD(電荷結合素子)等の光電変換素子からなる画像センサにより光電変換される。画像センサにより光電変換され電気信号は、図示しないアナログ/デジタル(A/D)変換基板に送信されることによりデジタル画像信号に変換される。
【0091】
一方、上記原稿読み取り動作と並行して、デジタル信号化された画像信号に基づき、両製版装置41a,41bにおいて同様の製版・給版工程が行われる。マスタ33aが、製版装置41aに配設されている平面型のサーマルヘッドに押し付けられているプラテンローラ(共に図示せず)および送り出しローラ対(図示せず)の回転により、マスタ搬送路の下流側に搬送される。このように搬送されるマスタ33aに対して、上記サーマルヘッドの主走査方向に一列に配列された多数の微小な発熱素子が、上記A/D変換基板およびその後の製版制御基板(図示せず)で各種処理を施されて送られてくるデジタル画像信号に応じて各々選択的に発熱し、発熱した発熱素子に接触しているマスタ33aの熱可塑性樹脂フィルムが溶融穿孔される。このようにして、画像情報に応じたマスタ33aの位置選択的な溶融穿孔により、画像情報が穿孔パターンとして書き込まれる。
【0092】
画像情報が書き込まれて製版された製版済みのマスタ33aの先端は、上記送り出しローラ対の回転により版胴1aの外周部側へ向かって送り出され、給版ガイド板(図示せず)により進行方向を変えられ、クランパ5aが図1における略右横に位置する給版位置状態にある版胴1aの拡開したクランパ5aへ向かって垂れ下がる。このとき版胴1aは、排版工程により使用済みのマスタ33aを既に除去されている。一方、版胴1b側における製版済みのマスタ33bの先端は、送り出しローラ対の回転により版胴1b外周部側へ向かって送り出され、給版ガイド板(図示せず)により略水平方向に案内されつつ、クランパ5bが図1における略直上に位置する給版位置状態にある版胴1bの拡開したクランパ5bへ向かって挿入される。
【0093】
そして、製版済みのマスタ33aの先端部が、一定のタイミングでクランパ5aによりクランプされると、版胴1aは図における時計回り方向に回転しつつ外周面に製版済みのマスタ33aを徐々に巻き付けていく。製版済みのマスタ33aの後端部は、製版完了後に製版装置41aに配設されている可動刃および固定刃等からなる切断手段の作動により一定の長さに切断されて、一版のマスタ33aが版胴1aの外周面に完全に巻装されると、いわゆる給版工程が終了する。一方、版胴1bも同様に給版される。
【0094】
ここで、版胴1aの拡開したクランパ5aへ向かって搬送されてきた製版済みのマスタ33aの先端部がクランパ5aでクランプされるときに、製版済みのマスタ33aの先端の搬送がクランパ5aにおける所定のクランプ位置で停止してクランパ5aでクランプされればよいが、この製版済みのマスタ33aの先端の搬送停止位置がばらつくと、版胴1a上で巻装すべき製版済みのマスタ33aの位置もばらつくことになる。この製版済みのマスタ33aの先端の搬送停止位置をばらつかないようにすることは、上記した給版ガイド板のみによって製版済みのマスタ33aの先端を版胴1aの拡開したクランパ5aへ向かって搬送するために、大変困難なことである。製版済みのマスタ33aの先端のマスタ搬送方向における搬送停止位置のばらつきにより、製版済みのマスタ33aの先端の搬送量がクランパ5aにおける所定のクランプ位置に対して足りない場合には、製版済みのマスタ33aの先端がクランパ5aに浅くクランプされることになる。また、製版済みのマスタ33aの先端が、マスタ幅方向(版胴1aの軸方向でもある)の左右にずれてクランパ5aでクランプされた場合には、クランパ5aの左右方向にずれてクランプされることになる。
【0095】
このように各製版済みのマスタ33a,33bを各版胴1a,1bにそれぞれ巻き付ける際に、その各製版済みのマスタ33a,33bの各版胴1a,1bへの巻き付け位置が正規の位置よりも各版胴1a,1bの天地方向にずれたような場合に、そのままの状態で印刷を行なうと、印刷画像が天地方向に位置ずれを生じ、これにより印刷画像の印刷ずれを起こしてしまうことになるため、後の動作で述べるように天地移動調整手段112によって天地方向の画像位置ずれを修正するための位置調整を行なっている。
【0096】
一版の各製版済みのマスタ33a,33bが各版胴1a,1bの外周面にそれぞれ巻装されると製版・給版工程が終了し、印刷工程が開始される。この時、各版胴1a,1bは一度、図1に示す位置状態、すなわち版胴1aはホームポジションに、版胴1bはそのクランパ5bが略真下近傍に位置する状態になるまで回転してそれぞれ停止する。このように、実施形態1では、各版胴1a,1bが本体フレーム501内にあるとき、版胴1aと版胴1bとの間には、予め初期位相差が設けられていることが一つの特徴となっている。
【0097】
そして、印刷工程が始まる。給紙トレイ21上に積載された最上位の印刷用紙22を呼び出しコロ23に接触するまで給紙トレイ21を上昇させておく。呼び出しコロ23に接触している最上位の印刷用紙22が、呼び出しコロ23の回転動作により搬送されると共に、分離コロ対24,25および分離板26の協働作用により1枚に分離され、上下一対のガイド板上28およびガイド板下27に案内されつつレジストローラ対29,30に向けて用紙搬送方向Xに給送される。この時、搬送された印刷用紙22の先端は、レジストローラ対29,30のニップ部直前部位に当接し、ガイド板上28に沿って撓んだ状態で停止している。
【0098】
一方、1色目の版胴1aは、印刷動作が始まると印刷の回転速度で回転され始める。版胴1aの内周側では、インキ供給ディストリビュータ(図示せず)からインキローラ3aとドクタローラ4aとの間に形成されたインキ溜りIaに黒色のインキが供給され、その黒色のインキはインキローラ3aとドクタローラ4aとが回転することによって混練され伸ばされると共に、インキローラ3aの外周面に均一に付着するようになる。インキの残量は、上記したインキ検知手段によって検知され、インキが少なくなったときには上記インキ供給ディストリビュータから補給される。こうして版胴1aの回転方向と同一方向に、かつ、版胴1aの回転速度と同期して回転しながら内周面に転接するインキローラ3aにより、インキが版胴1aの内周側に供給される。
【0099】
そして、印刷用紙22が、レジストローラ対29,30により版胴1aの回転と同期した所定のタイミングで印圧装置32aにおける版胴1aとプレスローラ9aとの間に給送されてくると、これに同期して版胴1aの外周面下方に離間していたプレスローラ9aが揺動・上昇されることにより、版胴1aの外周面に巻装されている製版済みのマスタ33aに押し付けられる。これにより、版胴1aの開孔部47aから滲み出たインキの粘性による付着力によって、製版済みのマスタ33aが版胴1aの外周面上に密着すると同時に、さらに製版済みのマスタ33aの穿孔パターン部からインキが滲み出し、この滲み出たインキが印刷用紙22の表面に転移されて、1色目の所望の黒色の印刷画像が形成される。
【0100】
黒色の印刷画像を形成された印刷用紙22は、その先端がエアーナイフ7aの先端近傍の所までくると、エアーナイフ7aが版胴1aの回転動作と同期してエアーナイフ軸8aを中心に回転して版胴1aの外周面に接近し、エアーナイフ7aの先端から吹き出る圧縮空気流によって、印刷用紙22の先端が版胴1aから分離・剥離される。エアーナイフ7aにより分離・剥離された印刷用紙22は、中間搬送装置17aによって用紙搬送方向Xの下流側へとさらに搬送される。
【0101】
上述のように搬送ベルト16aは図1の矢印方向へ回転し、ファン18aの作動によるケーシング19内の負圧作用により、印刷用紙22の先端は容易に搬送ベルト16aの上面に吸引され、この搬送ベルト16aの反時計回り方向の回転により、次の印圧装置32b部位へ向かって搬送される。
【0102】
搬送ベルト16aの搬送速度(回転線速度)は、上述したように、版胴1aの周速度(回転線速度)と同じかまたは速く設定されていが、印刷用紙22の上流側は未だ版胴1aとプレスローラ9aとのニップ部で押さえられているので、印刷用紙22の左方向への進行速度は版胴1aの周速度と同じである。したがって、印刷用紙22は左方向へテンションが掛かった状態で搬送されることになる。
【0103】
厳密には、搬送ベルト16aの搬送速度の方が印刷用紙22の進行速度より速いので、搬送ベルト16aと印刷用紙22とは滑りを生じていることになる。
【0104】
この時、2色目の版胴1bは、版胴1aと同期して印刷動作を始め、印刷の回転速度で回転され始める。版胴1bの内周側では、版胴1aと同様の構成および動作内容で版胴1bの回転速度と同期して回転しながら内周面に転接するインキローラ3bにより、2色目の赤色インキが版胴1bの内周側に供給される。
【0105】
また、版胴1aと版胴1bとは、黒と赤の画像の基準位置が印刷用紙22上で同じになるように予め初期位相差が設けられている。版胴1aと版胴1bとの間に予め上記初期位相差を設けた理由は、次のようなことによる。版胴1aと版胴1bとは、同じ周速度で回転するように上記した版胴駆動機構130を含む駆動経路によって連結されているため、黒と赤の画像の基準位置が印刷用紙22上で同じになるように予め初期位相差が設けられているのである。すなわち、図1に示すように、版胴1aと版胴1bのクランパ5a,5bの位置が異なっていて、その角度は、版胴1aの印刷部から版胴1bの印刷部までの印刷用紙22の搬送経路長さを、版胴1bの外周面上に取った場合に得られる中心角度に相当する。印刷用紙22の搬送経路長さとは、おおよそ、版胴1aと版胴1bの回転中心軸の間の距離に相当する。
【0106】
このような初期位相差の設定理由を、各版胴1a,1b上に巻装された製版済みのマスタ33a,33bが同じ製版サイズであって、例えば各製版画像が全ベタ画像であるような場合に単純化して考えて見ると、次のようなことになる。すなわち、版胴1aと版胴1bとが同じ周速度で回転すべく連結されていて、かつ、版胴1aの印刷部から版胴1bの印刷部までの印刷用紙22の搬送経路長さがあることから、下流側の版胴1bの印刷部で印刷するとき、上流側の版胴1aの印刷部で印刷された全ベタ印刷画像を有する印刷用紙22上に、版胴1bの印刷部で印刷される全ベタ画像の全輪郭を用紙搬送方向Xにずれること無く重なり合うような関係位置とするためには、版胴1bに対して搬送経路長さ分に相当する初期位相差を設けなければならないことは明らかである。
【0107】
そして、印刷用紙22の先端部分が、搬送ベルト16aによって進行方向に牽引力を与えられながら、版胴1bの回転と同期した所定のタイミングで印圧装置32bにおける版胴1bとプレスローラ9bとの間に給送されてくると、これに同期して版胴1bの外周面下方に離間していたプレスローラ9bが揺動・上昇されることにより、プレスローラテンション13bによって印圧が加えられ、版胴1bの外周面に巻装されている製版済みのマスタ33bに押し付けられる。これにより、版胴1bの開孔部47aから滲み出たインキの粘性による付着力によって、製版済みのマスタ33bが版胴1bの外周面上に密着すると同時に、さらに製版済みのマスタ33bの穿孔パターン部からインキが滲み出し、この滲み出たインキが印刷用紙22の表面に転移されて、2色目の赤色インキによる赤色の印刷画像が形成される。
【0108】
以上の動作により、版胴1bとプレスローラ9bとの接触部では、先に黒色の印刷された画像位置と同じ位置関係で赤色の印刷がされることになる。
なお、プレスローラ9bは、版胴1bの外周面上から突出しているクランパ5bとの干渉を避けるために、印刷中に版胴1bの外周面から離間するようになっているが、印刷用紙22の先端が印刷部へ進入する前には版胴1bの外周面に接触して押圧している状態となっている。
【0109】
2色目の赤色の印刷画像を形成された印刷用紙22は、その先端がエアーナイフ7bの先端近傍の所までくると、エアーナイフ7bが版胴1bの回転動作と同期してエアーナイフ軸8bを中心に回転して版胴1bの外周面に接近すると同時に、エアーナイフ7bの先端から吹き出る圧縮空気流によって、印刷用紙22の先端が版胴1bから分離・剥離される。エアーナイフ7bにより分離・剥離された印刷済みの印刷用紙22は、排紙装置35によってさらに用紙搬送方向Xの下流側に位置する排紙トレイ37へ搬送される。
【0110】
上記した送風ファン34の回転により送られる空気は、エアーナイフ7bの左上方から印刷済みの印刷用紙22の表面へと吹き付けられる。これは、印刷済みの印刷用紙22の搬送ベルト40からの浮き上がり防止のためと印刷画像のインキ乾燥の促進のためでもある。ジャンプ台40Aは、印刷済みの印刷用紙22の中央部位を略U字状に撓ませて、いわゆる排紙の腰付けをして排紙トレイ37上に整然と排出積載する機能を有する。
【0111】
エアーナイフ7bにより分離・剥離された印刷済みの印刷用紙22は、吸引用ファン36の作動により吸引されつつ、また送風ファン34の回転により送られる空気によって印刷済みの印刷用紙22の搬送ベルト40からの浮き上がり防止が図られながら搬送ベルト40に吸着され、この搬送ベルト40の反時計回り方向の回転により、またジャンプ台40Aによる排紙の腰付けがされながら排紙トレイ37上に順次整然と排出積載される。このようにしていわゆる「版付け」、あるいは「試し刷り」が終了する。
【0112】
次に、天地移動調整手段112の動作を述べる。
例えば、図9に示すように、版胴1a上に巻装されたマスタ33aの製版画像と、印刷物22の印刷画像22Gが印刷物22の天地方向(用紙搬送方向Xの上流側である後方向および下流側である前方向)に対して中央に位置する状態、換言すれば印刷物22の前側でもある上余白と後側でもある下余白の長さとが等しい印刷状態のときには、移動量表示部199が0を示している状態にあるものとする。図9ないし図11において、各版胴1a,1bの側面に表示してある半径状の線分は、各版胴1a,1bにおける印刷回転方向の位相状態を表すための画像領域先端1Gを示している。そして、試し印刷キー172を押下して試し印刷をして、その印刷物22を確認した結果、版胴1a側に対応する印刷画像22Gのみを印刷用紙22の前側(天側でもある)にあと7mm移動しないといけないことがわかったとする。
【0113】
この場合は、図8に示す個別天地移動設定ルーチンのプログラムにしたがって動作を行なう。まず、天地版胴選択キー190aを押下して版胴1aを選択し、その天地移動手段145aの天地駆動モータ148aを起動設定状態とする(ステップS1およびS2参照)。次いで、ステップS3に進んで、版胴天地移動設定処理を行なう。すなわち、天移動量設定キー191を押すと、発光部天197が点灯して移動量表示部199が移動量をmm単位で表示するので、その表示が1から順に7になるまで押し続け、7になったら天移動量設定キー191から手を離せば、版胴1aの天方向の移動が停止し、版胴1aは、図11に示すように天方向に7mm移動される。
【0114】
上記過程において、天地移動調整手段112では次の制御動作が行われる。天地版胴選択キー190aからの信号に基づいて、天地移動手段145aの天地駆動モータ148aを起動させると共に、天移動量設定キー191からの信号を受けたCPU201からの指令信号により、天移動量設定キー191が押されている間、天地駆動モータ148aが回転駆動されることにより、その回転駆動力がピニオン147aへ伝達され、ピニオン147aの回転運動がスライダアーム146aのラック149aで直線運動に変換され、ラック149aが矢印下方向Dに移動されることによってスライダアーム146a、移動上プーリ150aおよび移動下プーリ151aもベルト135aを介して矢印下方向Dに一緒に変位される。これにより、ベルト135aおよび版胴プーリ137aは時計回り方向に回転され、ドラムギヤ67は反時計回り方向に回転されるので、版胴1aの位相は印刷回転方向にその位相を進めた状態、すなわち天方向に移動され、印刷画像22G位置が印刷物の前側方向へ移動される。
【0115】
したがって、版胴1aは図11に示す版胴1aの印刷回転方向に元の位相状態から偏倚されることとなる。上記動作と逆に、ラック149aが矢印上方向Uに移動されると、版胴1aは逆に元の位相状態から偏倚されることとなる。
【0116】
この時、負荷の重い給紙駆動軸141側の給紙プーリ142aはロック状態にあり、版胴1aや版胴1b側は相対的に負荷が軽い状態にある。またこの時、CPU201からの指令信号により、電磁クラッチ132aのみがオンして給紙駆動軸141と給紙プーリ142aとが接続された状態にあり、電磁クラッチ132bはオフしていて給紙駆動軸141と給紙プーリ142bとの接続が断たれた状態にある。
【0117】
上記移動量は、版胴1aの回転量を版胴回転位置検知センサ96aが検知してCPU201へその信号を送信し、CPU201はその信号に応じて印刷用紙22への印刷画像22Gの移動量であるmm単位に換算して移動量表示部199がそれを表示する。こうして、版胴1aの方が図11においてその印刷回転方向に位相を進めることになる。次いで、試し印刷キー172を押下して試し印刷を行って、印刷物22に対する印刷画像22Gの天方向への所望した移動内容を確かめる。
【0118】
上記した例とは逆に、例えば、試し印刷キー172を押下して試し印刷をして、その印刷物22を確認した結果、版胴1b側に対応した印刷画像22Gのみを後側(地側でもある)にあと5mm移動しないといけないことがわかったとする。
【0119】
この場合も、図8に示す個別天地移動設定ルーチンのプログラムにしたがって動作を行なう。すなわち、天地版胴選択キー190bを押下して版胴1bを選択し、その天地移動手段145bの天地駆動モータ148bを起動設定状態とする。次いで、地移動量設定キー192を押す。すると、発光部地198が点灯して移動量表示部199が移動量をmm単位で表示するので、その表示が1から順に5になるまで押し続け、5になったら地移動量設定キー192から手を離せば、版胴1bの地方向の移動が停止し、上記と同様の動作を経過して、版胴1bは、図10に示すように地方向に5mm移動される。
【0120】
上記過程において、天地移動調整手段112では次の制御動作が行われる。天地版胴選択キー190bからの信号に基づいて、天地移動手段145bの天地駆動モータ148bを起動させると共に、地移動量設定キー192からの信号を受けたCPU201からの指令信号により、地移動量設定キー192が押されている間、天地駆動モータ148bが回転駆動されることにより、その回転駆動力がピニオン147bへ伝達され、ピニオン147bの回転運動がスライダアーム146bのラック149bで直線運動に変換され、ラック149bが矢印上方向Uに移動されることによってスライダアーム146b、移動上プーリ150bおよび移動下プーリ151bもベルト135bを介して矢印上方向Uに一緒に変位される。これにより、ベルト135bおよび版胴プーリ137bは反時計回り方向に回転され、ドラムギヤ67は時計回り方向に回転されるので、版胴1bの位相は印刷回転方向にその位相を遅らせた状態、すなわち地方向に移動され、印刷画像22G位置が印刷物の後側方向へ移動される。
【0121】
この時、CPU201からの指令信号により、電磁クラッチ132bのみがオンして給紙駆動軸141と給紙プーリ142bとが接続された状態にあり、電磁クラッチ132aはオフしていて、給紙駆動軸141と給紙プーリ142aとの接続が断たれた状態にある。
【0122】
上述したような簡単な操作によって、複胴式孔版印刷装置500を構成する各版胴1a,1bのうちの版胴1aまたは1bを個別に選択することにより、あるいは同時多色印刷装置を構成する版胴全てに対して個別の版胴を選択してその天地移動の設定が行える。つまり、印刷用紙22に対して各版胴1a,1bの印刷回転方向の位相を変更することにより、各版胴1a,1bの印刷開始位置(各版胴1a,1bの画像領域先端1Gで示されている)を印刷用紙22の前側に移動させて印刷を行なうと、印刷画像22Gは印刷用紙22に対して前側、換言すれば天側に移動して印刷される。これとは逆に、各版胴1a,1bの印刷開始位置を印刷用紙22の後側に移動させて印刷を行なうと、印刷画像22Gは印刷用紙22に対して後側、換言すれば地側に移動して印刷される。
【0123】
次に、図5に示す操作パネル170のテンキー173で印刷枚数を設定し、印刷スタートキー171を押下すると上記試し刷りと同様の工程で、給紙、印刷および排紙の各工程が設定した印刷枚数分繰り返して行なわれ、孔版印刷の全工程が終了する。
【0124】
各版胴1a,1bにおいて、インキの色替えや、各版胴1a,1bの間に詰まってジャムした印刷用紙22あるいはマスタ33a,33bのジャム処理あるいは清掃等のために、各ドラムユニット100a,100bを本体フレーム501から同時に離脱する場合がある。以下、各ドラムユニット100a,100bを本体フレーム501から同時に離脱することにより、各版胴1a,1bを本体フレーム501から同時に離脱する同時離脱モード時の動作について述べる。この場合は、図12に示す同時離脱モード設定ルーチンのプログラムにしたがって動作を行なう。
【0125】
先ず、オペレータが、ドラム離脱キー195を押すと(ステップS4)、各版胴1a,1bを本体フレーム501から同時に離脱する同時離脱モードが設定され、同時離脱モード設定処理(ステップS5)を行なう。すなわち、ドラム離脱キー195を押すことにより同時離脱モード信号が生成され、版胴移動制御装置200に同時離脱モード信号が送信される。そして、版胴移動制御装置200のCPU201が上記同時離脱モード信号を取り込むと同時に、CPU201がホームポジションセンサ70aおよび版胴回転位置検知センサ96aからの信号に基づいて、CPU201からメインモータ131および各電磁クラッチ132a,132bに次の動作を行なうように指令信号が送信される。
【0126】
すなわち、各電磁クラッチ132a,132bが共にオンすることにより、給紙駆動軸141と各給紙プーリ142a,142bとがそれぞれ接続された状態となる。この後、メインモータ131は、版胴駆動機構130のベルト135aを駆動して版胴1aを図1のホームポジションを占める位置へ回転移動させるべく回転駆動され、これに連動して版胴駆動機構130のベルト135bを駆動して版胴1bを図1に示す版胴1aに対して所定の初期位相差を持った真下近傍の位置へ回転移動させるべく回転駆動される。これにより、版胴1aは離脱可能なホームポジションに停止され、版胴1bは、図1に示すように版胴1aの停止位置に対して予め設けられた初期位相差分ずれた所定の位置に停止される。
【0127】
なお、版胴駆動機構130のベルト135aを駆動して版胴1aを図1のホームポジションを占める位置へ回転移動させるようなメインモータ131の回転駆動動作は、版胴1aがホームポジションにある状態をマシンの通常停止状態とすることにより、不要とすることもできる。
【0128】
次いで、電磁クラッチ132aがオフされることにより、給紙駆動軸141と給紙プーリ142aとの接続が断たれた状態となる。この時、電磁クラッチ132bはオンされたままで給紙駆動軸141と給紙プーリ142bとが接続された状態にあって、負荷の重い給紙駆動軸141側の給紙プーリ142bはロック状態となっている。なおこの時、各版胴1a,1bの位置が離脱前天地移動位置として、RAM202により記憶される。
【0129】
次いで、CPU201からの指令によって、版胴1bがホームポジションを占めるように、天地移動手段145bの天地駆動モータ148bが回転駆動される。そして、ホームポジションセンサ70bおよび版胴回転位置検知センサ96bからの信号に基づいて、CPU201が天地駆動モータ148bを駆動制御することにより、版胴1bは上記したと同様の天地移動動作によってホームポジションに移動され停止される。これと同時に、各電磁クラッチ132a,132bが共にオフすることにより、メインモータ131および給紙駆動軸141による各版胴1a,1bに対するロック負荷状態が解除されるが、各ギヤ噛合部および駆動部分による機械的な抵抗があるため、各版胴1a,1bがホームポジションからずれたりするようなことはない。
【0130】
こうして、各版胴1a,1bがホームポジションに停止した状態で、各ドラムユニット100a,100bの本体フレーム501からの離脱操作が行なわれる。この離脱操作は、例えば、前取っ手63の把持操作に連動した図示を省略したロック解除レバーの解除操作や上記ストッパー機構の解除操作等を行ないながら、着脱手段50aを介して、ドラムユニット100aを本体フレーム501の着脱口501aから引き出すことにより行なわれる。これにより、上記したドラムギヤ67と駆動ギヤ139aとのホームポジションにおける噛合解除がなされると共に、ドラムユニット100aを装置本体から容易に離脱することができる。
【0131】
オペレータが各ドラムユニット100a,100bを装置本体に装着したときには、各ドラムユニット100a,100bの装着操作に連動して、例えば上記ロック解除レバーに設けられた解除スイッチ(図示せず)がオフし、この解除スイッチから版胴移動制御装置200に版胴装着信号が送信される。そして、版胴移動制御装置200のCPU201は上記版胴装着信号に基づいて、次のような指令動作を行なう。すなわち、電磁クラッチ132bがオンされることにより、給紙駆動軸141と給紙プーリ142bとが接続された状態になる。この時、電磁クラッチ132aはオフされたままとなっている。
【0132】
次いで、CPU201からの指令によって、天地駆動モータ148bが駆動制御されることによって、RAM202が予め記憶していた版胴1bの離脱前天地移動位置に版胴1bが自動的に移動されることとなる。
【0133】
なお、実施形態1では、各電磁クラッチ132a,132bを用いたが、これは必ずしも必要なものではなく、例えば版胴1aおよび版胴1bの何れか一方のみを回転駆動させて単色機として使用するような必要がなく、かつ、版胴1aおよび版胴1bの何れか一方のみを天地移動させたりするような場合、換言すれば版胴1aおよび版胴1bの両方共に回転駆動させたり、版胴1aおよび版胴1bの何れか一方のみを天地移動させたりする場合には、給紙駆動軸141およびメインモータ131のロック負荷作用を利用することで、各電磁クラッチ132a,132bを除去した構成であってもよい。
【0134】
(実施形態2)
以下、本発明の第2の実施形態(以下、単に「実施形態2」という)について説明する。
図1および図13において、符号600は、実施形態2における複胴式孔版印刷装置を示す。この複胴式孔版印刷装置600は、実施形態1の複胴式孔版印刷装置500に対して、第1の天地移動調整手段112に代えて第2の天地移動調整手段212(以下、単に「天地移動調整手段212」というときがある)を有すること、および版胴駆動機構130に代えて図13に示す版胴駆動機構230を有すること、操作パネル170に代えて図14に示す操作パネル270を有すること、および第1の制御手段としての版胴移動制御装置200に代えて図15に示す第2の制御手段としての版胴移動制御装置300を有することが主に相違する。
【0135】
複胴式孔版印刷装置600は、複胴式孔版印刷装置500と同様に、着脱手段50a,50b、ドラムユニット100a,100b、ホームポジションセンサ70a,70b、版胴回転位置検知センサ96a,96bおよびドラム離脱キー195等を有している。
【0136】
版胴駆動機構230は、図13に示すように、自身の出力軸131aに固設されたメイン駆動ギヤ231を有するメインモータ131と、奥側の本体フレーム501に軸受(図示せず)を介して回動自在に支持された駆動軸134aに電磁クラッチ232aを介して固設されメイン駆動ギヤ231と噛合すると共に、版胴1a側のドラムギヤ67と選択的に噛合する駆動ギヤ139aと、この駆動ギヤ139aに一体的に形成された版胴プーリ137aと、奥側の本体フレーム501に軸受(図示せず)を介して回動自在に支持された駆動軸134bに電磁クラッチ232bを介して固設され版胴1b側のドラムギヤ67と選択的に噛合する駆動ギヤ139bと、この駆動ギヤ139bに一体的に形成された版胴プーリ137bと、天地移動手段245を経由して版胴プーリ137aと版胴プーリ137bとの間に掛け渡されているベルト135とから主に構成されている。
【0137】
メインモータ131は、奥側の本体フレーム501の不動部材に固設されていて、その出力軸131aは奥側の本体フレーム501に軸受(図示せず)を介して回動自在に支持されている。
【0138】
天地移動調整手段212は、用紙搬送方向Xにおける下流側に配置された下流位版胴1bをして、用紙搬送方向Xの上流側に下流位版胴1bに相隣って配置された上流位版胴1aに対してのみ、印刷用紙22に対する印刷画像位置の天地移動調整を行なわせる機能・構成を有する。下流位版胴1bは、実施形態1の第2版胴1bと同様の構成を有し、以下、単に「版胴1b」というときがある。これと同様に、上流位版胴1aは、実施形態1の第1版胴1aと同様の構成を有し、以下、単に「版胴1a」というときがある。
【0139】
天地移動調整手段212は、版胴1aに対してのみ機能する、版胴1bの回転方向の位相を変えるための図13に示す第2の天地移動手段245(以下、単に「天地移動手段245」という)と、版胴1bの天地移動量を設定するための天地移動量設定手段としての図15に示す天移動量設定キー191および地移動量設定キー192と、天移動量設定キー191または地移動量設定キー192からの信号に応じて天地移動手段245をしてその版胴1bを所定の天地移動量移動させるための第2の天地移動制御手段を兼ねている版胴移動制御装置300とから主に構成される。
【0140】
天地移動手段245は、実施形態1における各天地移動手段145a,145bと類似する構成を有しているため、各天地移動手段145a,145bの構成部品の各同一符号の末尾の符号aまたはbを適宜削除することで、実施形態1における各天地移動手段145a,145bと区別することとし、以下簡明に説明する。
【0141】
天地移動手段245は、図13に示すように、上記した版胴プーリ137aと、上記した版胴プーリ137bと、版胴プーリ137aと版胴プーリ137bとの間に昇降自在に設けられたスライダアーム146と、奥側の本体フレーム501に回動自在に支持され天地駆動モータ148により駆動されるピニオン147と、このピニオン147と噛合するスライダアーム146の一側端に形成されたラック149と、スライダアーム146の上下端部に植設された各軸152を介して回動自在に取り付けられた一対の移動上プーリ150、移動下プーリ151と、奥側の本体フレーム501に植設された4つの支持軸157に回動自在に取り付けられスライダアーム146を挾んで上下にそれぞれ設けられた4つの固定プーリ153,154,155,156と、版胴プーリ137a、版胴プーリ137b、移動上プーリ150、移動下プーリ151および4つの固定プーリ153,154,155,156に掛け渡されたベルト135とから主に構成される。
【0142】
スライダアーム146には2つの長孔146hが形成されている。スライダアーム146は、奥側の本体フレーム501に植設された上下一対の支持軸157を介してスライド可能に支持されると共に、奥側の本体フレーム501に固定されているガイド部材(図示しない)により昇降スライド可能に支持されている。
【0143】
版胴駆動機構230および天地移動手段245を構成する上記ベルト135は、歯付きベルトを用いており、また各プーリ137a,137b、150、151,153,154,155,156等も歯付きプーリを用いている。図13においては、奥側の本体フレーム501および上記した各軸受等を全て省略して描いてある。
【0144】
操作パネル270は、図14に示すように、実施形態1における操作パネル170に対して、天地版胴選択キー190a、190bを除去したことのみ相違する。なお、天地版胴選択キー190a、190bとはその機能を異にするが、例えば同時2色印刷を行なわずに単色の印刷を行なう場合等において、一色目および2色目の版胴1a,1bの何れか一方を選択して回転駆動させるときに使用する版胴選択キーを設けてもよいことはいうまでもない。
【0145】
次に、図15参照して版胴移動制御装置300の要部の制御構成を簡単に述べる。
版胴移動制御装置300は、実施形態1における版胴移動制御装置200に対して、CPU201に代えてCPU301を有すること、RAM202に代えてRAM302を有すること、ROM203に代えてROM303を有するマイクロコンピュータを具備している点のみ相違する。
【0146】
ホームポジションセンサ70a,70bおよび版胴回転位置検知センサ96a,96bからのデータ信号は、版胴移動制御装置300のCPU301に送信される。操作パネル270の各種キー、すなわち試し印刷キー172、天移動量設定キー191、地移動量設定キー192およびドラム離脱キー195からのオン/オフ信号やデータ信号は、版胴移動制御装置300のCPU301に送信される。そして、版胴移動制御装置300のCPU301からは、天地駆動モータ148、電磁クラッチ232a,232b、ディスプレイ196に各種指令信号が送信される。
【0147】
版胴移動制御装置300のCPU301は、各版胴1a,1bを本体フレーム501内から離脱するとき、ドラム離脱キー195からの同時離脱モード信号に基づいて、版胴駆動機構230のメインモータ131を駆動制御して版胴1aをホームポジションに自動的に移動させると共に、天地移動手段245の天地駆動モータ148を駆動制御して版胴1bをホームポジションに自動的に移動させる第2の制御手段としての機能を有する。
【0148】
また、CPU301は、上記したように、天移動量設定キー191または地移動量設定キー192からの信号に応じて、天地移動手段245の天地駆動モータ148を駆動制御してその版胴1bを所定の天地移動量移動させるための第2の天地移動制御手段としての機能を有する。
【0149】
また、CPU301は、各版胴1a,1bを本体フレーム501に装着したとき、ホームポジションセンサ70a,70bおよび版胴回転位置検知センサ96a,96bからの信号に基づいて、天地駆動モータ148を駆動制御して、RAM302が記憶している各版胴1a,1bの離脱前天地移動位置に各版胴1a,1bを自動的に移動させる機能を有する。
【0150】
ROM303には、メインモータ131、天地駆動モータ148、電磁クラッチ232a,232b、およびディスプレイ196を駆動制御するためのデータあるいは後述するフローチャートに示されている動作を行うためのプログラムが予め記憶されている。RAM302では、上記各センサ等からのデータ信号を一時記憶したりする。またRAM302は、各ドラムユニット100a,100bが本体フレーム501内に装着されていた各版胴1a,1bの離脱前天地移動位置を記憶する記憶手段としての機能を有している。
ここで、版胴1aの離脱前天地移動位置とは、版胴1aのホームポジションの停止位置を意味し、版胴1bの離脱前天地移動位置とは、後述の動作で詳述するように、版胴1aのホームポジションの停止位置に対して初期位相差分ずれた版胴1bの所定の停止位置を意味する。
【0151】
次に、実施形態1における複胴式孔版印刷装置500の動作と相違する点を中心に複胴式孔版印刷装置600の動作を説明する。
排版工程、原稿読み取り動作、製版・給版工程、印刷工程および排紙工程は、実施形態1における複胴式孔版印刷装置500のそれと同様に順次行なわれる。実施形態1と同様に、版胴1aと版胴1bとは、黒と赤の画像の基準位置が印刷用紙22上で同じになるように上記した理由に基づき、予め初期位相差が設けられている。
【0152】
次に、天地移動調整手段212の動作を述べる。
例えば、図9に示す各版胴1a,1bの位相が標準の場合において、移動量表示部199が0を示している状態にあるものとする。試し印刷キー172を押下して試し印刷をして、その印刷物22を確認した結果、版胴1b側に対応する印刷画像22Gのみを印刷用紙22の前側(天側でもある)にあと7mm移動しないといけないことがわかったとする。
【0153】
この場合は、図示を省略した天地移動設定ルーチンのプログラムにしたがって動作を行なう。天移動量設定キー191を押すと、発光部天197が点灯して移動量表示部199が移動量をmm単位で表示するので、その表示が1から順に7になるまで押し続け、7になったら天移動量設定キー191から手を離せば、版胴1bの天方向の移動が停止し、版胴1bは、図11に示すように天方向に7mm移動される。
【0154】
上記過程において、天地移動調整手段212では次の制御動作が行われる。天移動量設定キー191からの信号を受けたCPU301からの指令信号により、天移動量設定キー191が押されている間、天地駆動モータ148が回転駆動されることにより、その回転駆動力がピニオン147へ伝達され、ピニオン147の回転運動がスライダアーム146のラック149で直線運動に変換され、図16に示すように、ラック149が矢印下方向Dに移動されることによってスライダアーム146、移動上プーリ150および移動下プーリ151もベルト135を介して矢印下方向Dに一緒に変位される。これにより、ベルト135および版胴プーリ137bは反時計回り方向に回転され、ドラムギヤ67は時計回り方向に回転されるので、版胴1bの位相は印刷回転方向にその位相を進めた状態、すなわち天方向に移動され、印刷画像22G位置が印刷物の前側方向へ移動されることとなる。
【0155】
したがって、版胴1bは図11に示す版胴1bの印刷回転方向に元の位相状態から偏倚されることとなる。上記動作と逆に、ラック149が矢印上方向Uに移動されると、版胴1bは逆に元の位相状態からその位相が遅れた状態に偏倚されることとなる。
【0156】
このように天地移動手段245が動作しているとき、換言すれば天移動量設定キー191が押されていて天地駆動モータ148が回転駆動されている時、CPU301からの指令信号により、両電磁クラッチ232a,232bが共にオンして各版胴プーリ137a,137bと各駆動ギヤ139a,139bとが接続された状態にある。これにより、版胴1a側は、その版胴プーリ137a、駆動ギヤ139aおよびドラムギヤ67が接続されていて、しかもメインモータ131の電気的なロック状態によって、版胴1b側に対して相対的に負荷の重いロック・固定状態となっているので、回転するようなことはなく、例えば図16に示すホームポジションに保持されたままである。
【0157】
上記移動量は、版胴1bの回転量を版胴回転位置検知センサ96bが検知してCPU301へその信号を送信し、CPU301はその信号に応じて印刷用紙22への印刷画像22Gの移動量であるmm単位に換算して移動量表示部199がそれを表示する。こうして、版胴1bの方が図11においてその印刷回転方向に位相を進めることになる。次いで、試し印刷キー172を押下して試し印刷を行って、印刷物22に対する印刷画像22Gの天方向への所望した移動内容を確かめる。
【0158】
天地移動手段245を動作させるときには、図16に示すように、版胴1a側をホームポジションに停止させた位置状態で行なうことが望ましいが、これに限らず、版胴1a側がどのような回転位置にあっても各版胴1a,1bの回転位置が検知されている状態にあっては行なうことができる。
【0159】
なお、印刷用紙22に対する印刷画像22Gの最終的な天地移動調整、すなわち上記した天地移動調整手段212の動作によって、版胴1aによる黒の画像の基準位置と版胴1bによる赤の画像の基準位置とが印刷用紙22上で同じとなって位置合わせができたときであって、印刷用紙22の用紙搬送方向Xにおける上余白および下余白の調整だけが残っているような場合は、以下のように行なってもよい。第1の方式としては、各電磁クラッチ232a,232bをオンにした接続状態で、メインモータ131を回転駆動させることにより各版胴1a,1bを同方向に回転させて、印刷用紙22に対する2色画像の上余白または下余白の調整を行なってもよい。この方式では、版胴1a,1bを同方向に同位相量回転させる設定を行なうための版胴同時回転キー等を備えた、図14に示したディスプレイ196に類似した構成を付設することが望ましい。第2の方式としては、レジストローラ対29,30の回転開始タイミングを変えることで、印刷用紙22に対する2色画像の上余白または下余白の調整を行なってもよい。
【0160】
次に、図14に示す操作パネル270のテンキー173で印刷枚数を設定し、印刷スタートキー171を押下すると上記試し刷りと同様の工程で、給紙、印刷および排紙の各工程が設定した印刷枚数分繰り返して行なわれ、孔版印刷の全工程が終了する。
【0161】
各版胴1a,1bにおいて、インキの色替えや、各版胴1a,1bの間に詰まってジャムした印刷用紙22あるいはマスタ33a,33bのジャム処理あるいは清掃等のために、各ドラムユニット100a,100bを本体フレーム501から同時に離脱する場合がある。以下、各ドラムユニット100a,100bを本体フレーム501から同時に離脱することにより、各版胴1a,1bを本体フレーム501から同時に離脱する同時離脱モード時の動作について述べる。この場合は、実施形態1と同様の図12に示す同時離脱モード設定ルーチンのプログラムにしたがって実施形態1と一部相違する動作を行なう。
【0162】
先ず、オペレータが、ドラム離脱キー195を押すと(ステップS4)、各版胴1a,1bを本体フレーム501から同時に離脱する同時離脱モードが設定され、同時離脱モード設定処理(ステップS5)を行なう。すなわち、ドラム離脱キー195を押すことにより同時離脱モード信号が生成され、版胴移動制御装置300に同時離脱モード信号が送信される。そして、版胴移動制御装置300のCPU301が上記同時離脱モード信号を取り込むと同時に、CPU301がホームポジションセンサ70bおよび版胴回転位置検知センサ96bからの信号に基づいて、CPU301からメインモータ131および各電磁クラッチ132a,132bに次の動作を行なうように指令信号が送信される。
【0163】
すなわち、両電磁クラッチ232a,232bが共にオンすることにより、各版胴プーリ137a,137bと各駆動ギヤ139a,139bとが接続された状態となる。この後、メインモータ131は、版胴駆動機構230のベルト135を駆動して版胴1aを図13および図16のホームポジションを占める位置へ、版胴1bを版胴1aに対して所定の初期位相差を持った実線および仮想線で示す位置へ回転移動させるべく回転駆動制御される。これにより、版胴1aは離脱可能なホームポジションに停止され、版胴1bは、版胴1aの停止位置に対して予め設けられた初期位相差分ずれた位置である、図16において版胴1bのクランパ5bが仮想線で示されている所定の位置に停止される。なおこの時、各版胴1a,1bの位置が離脱前天地移動位置として、RAM202により記憶される。
【0164】
次いで、CPU301からの指令によって、図16に示されている版胴1bの離脱前天地移動位置から、版胴1bがホームポジションを占めるように、天地移動手段245の天地駆動モータ148が回転駆動される。そして、ホームポジションセンサ70bおよび版胴回転位置検知センサ96bからの信号に基づいて、CPU301が天地駆動モータ148を駆動制御することにより、版胴1bは上記したと同様の天地移動動作によってホームポジションに自動的に移動され停止される。これと同時に、各電磁クラッチ132a,132bが共にオフすることにより、メインモータ131による版胴1bに対するロック負荷状態が解除されるが、各ギヤ噛合部および駆動部分による機械的な抵抗があるため、各版胴1a,1bがホームポジションからずれたりするようなことはない。
【0165】
ここで、上記天地移動手段245の動作による版胴1bのホームポジション移動時においては、版胴1a側は、その版胴プーリ137a、駆動ギヤ139aおよびドラムギヤ67が接続されていて、しかもメインモータ131の電気的なロック状態によって、版胴1b側に対して相対的に負荷の重いロック・固定状態となっているので、回転するようなことはなく、図16に示すホームポジションに保持されたままで行なわれる。
【0166】
こうして、各版胴1a,1bがホームポジションに停止した状態で、各ドラムユニット100a,100bの本体フレーム501からの離脱操作が、実施形態1と同様に行なわれる。
【0167】
オペレータが各ドラムユニット100a,100bを装置本体に装着したときには、各ドラムユニット100a,100bの装着操作に連動して、例えば上記ロック解除レバーに設けられた解除スイッチ(図示せず)がオフし、この解除スイッチから版胴移動制御装置300に版胴装着信号が送信される。そして、版胴移動制御装置300のCPU301は上記版胴装着信号に基づいて、次のような指令動作を行なう。すなわち、両電磁クラッチ232a,232bが共にオンすることにより、各版胴プーリ137a,137bと各駆動ギヤ139a,139bとが接続された状態となる。
【0168】
次いで、CPU301からの指令によって、天地駆動モータ148が上記したと逆方向(図13においてスライダアーム146が図中上方向Uに移動される方向)に駆動制御されることによって、RAM302が予め記憶していた版胴1bの離脱前天地移動位置(図16に仮想線で示すような版胴1bのクランパ5bが略真下を占める位置)に版胴1bが自動的に移動されることとなる。
【0169】
なお、実施形態2では、各電磁クラッチ232a,232bを用いたが、これは必ずしも必要なものではなく、例えば版胴1aおよび版胴1bの何れか一方のみを回転駆動させて単色機として使用する必要がないような場合、換言すれば版胴1aおよび版胴1bの両方共に回転駆動させたり、版胴1bのみを天地移動させたりする場合には、版胴1a側におけるメインモータ131の電気的なロック負荷作用を利用することで、各電磁クラッチ132a,132bを除去した構成とすることもできる。
【0170】
また、構成が複雑となるが、実施形態1と実施形態2とを組合わせた実施形態も勿論構成可能である。この場合、実施形態2の天地移動手段245に実施形態1の天地移動手段145a,145bを付加すると共に、適宜の電磁クラッチを付加することにより、両方の実施形態の利点を得ることができる。
【0171】
複胴式孔版印刷装置500,600を構成する上記各装置等の構成およびその配置状態は、あくまでもその一例を示したものであり、他の周知の装置および種々の配置状態をもって構成してもよいことはいうまでもない。例えば、エアーナイフ7a,7bの他に、各版胴1a,1bの外周面近傍に揺動自在な周知の排紙剥離爪のみを用いた装置もある。
【0172】
複胴式孔版印刷装置500,600は、上記したような感熱デジタル製版一体型孔版印刷装置を構成するものに限らず、例えば各版胴1a,1bが上記したようなドラムユニット100a,100bを構成していて本体フレーム501から着脱自在な構成を有するものにあっては、上記本体フレーム501と別体に配設された製版給版装置あるいは排版装置(共に図示せず)によってマスタを製版し給版したり、あるいは使用済みのマスタを各版胴1a,1bの外周面から剥離し排版したりしてもよく、各製版装置41a,41bおよび各排版装置42a,42bを上記本体フレーム501に必ずしも具備していなくてもよいといえる。また、製版するためのデータは、上記したように原稿読取装置で読み取ったデータでもあるいはコンピュータ等で作成されたデータであってもよい。
【0173】
説明が前後したが、図2における各版胴1a,1bに対する天地移動手段145a,145bの各支持軸157a,157bの配設位置関係や、図13における各版胴1a,1bに対する天地移動手段245の各支持軸157の配設位置関係は、各天地移動手段145a,145b,245の構成を簡明にするため実際よりも用紙搬送方向Xに引き延ばして誇張して描いており、実際には図1における各版胴1a,1bの配設位置に対して配設されていることは言うまでもない。
【0174】
実施形態1および2等では、ホームポジションを本体フレーム501に対して各版胴1a,1bの略真上としたが、これに限らず、全体の装置間で統一されていれば任意の位置であってもよい。
【0175】
以上述べたとおり、本発明を実施例を含む特定の実施形態等について説明したが、本発明の構成は、上述した各実施形態1および2等に限定されるものではなく、これらを適宜組合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性及び用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0176】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1および3記載の発明によれば、上記構成により、各版胴を装置本体内から離脱するとき、同時離脱モード設定手段によって同時離脱モードを設定すると、第1の制御手段が同時離脱モード設定手段からの同時離脱モード信号に基づいて、第1の天地移動調整手段をして各版胴を離脱位置にそれぞれ自動的に移動させるので、各版胴を装置本体から同時に離脱することができる。
【0177】
したがって、従来のように各版胴を手動で離脱位置(例えばホームポジション)に戻した上で離脱するような繁雑な作業をすることなく、同時離脱モード設定手段によって同時離脱モードを設定するという簡単な操作を行なうだけで、複数の版胴を、各離脱位置に自動的に移動して装置本体内から同時に容易に離脱することができるので、インキの色替え時において、4色印刷をするようなときに1色目および2色目の版胴を両方同時に交換したい場合や、各版胴間に詰まってジャムした印刷用紙やマスタのジャム処理あるいは清掃等のために、各版胴を装置本体から同時に離脱する場合などに大変便利である。また、第1の天地移動調整手段を有することにより、印刷用紙に対する印刷画像位置の天地移動調整を版胴毎に個別に行い、同時多色印刷時等における印刷画像の天地方向の位置合わせを、繁雑な作業を行うことなく、また作業時間を掛けることなく1枚給紙毎に容易に行うことができる。
【0178】
請求項2および3記載の発明によれば、上記構成により、各版胴を装置本体内から離脱するとき、同時離脱モード設定手段によって同時離脱モードを設定すると、第1の制御手段が同時離脱モード設定手段からの同時離脱モード信号に基づいて、第1の天地移動調整手段をして各版胴を各ホームポジションに自動的に移動させるので、各版胴を装置本体から同時に離脱することができる。
【0179】
したがって、従来のように各版胴を手動でホームポジションに戻した上で離脱するような繁雑な作業をすることなく、同時離脱モード設定手段によって同時離脱モードを設定するという簡単な操作を行なうだけで、複数の版胴を、各ホームポジションに自動的に移動して装置本体内から同時に容易に離脱することができるので、インキの色替え時において、4色印刷をするようなときに1色目および2色目の版胴を両方同時に交換したい場合や、各版胴間に詰まってジャムした印刷用紙やマスタのジャム処理あるいは清掃等のために、各版胴を装置本体から同時に離脱する場合などに大変便利である。また、第1の天地移動調整手段を有することにより、印刷用紙に対する印刷画像位置の天地移動調整を版胴毎に個別に行い、同時多色印刷時等における印刷画像の天地方向の位置合わせを、繁雑な作業を行うことなく、また作業時間を掛けることなく1枚給紙毎に容易に行うことができる。
【0180】
請求項4および5記載の発明によれば、上記構成により、各版胴を装置本体に装着後、各版胴を離脱前天地移動位置に手動で戻すような繁雑な作業をすることなく、各版胴を装置本体に対して容易に装着することができる。
【0181】
請求項6および7記載の発明によれば、上記構成により、各版胴を装置本体内から離脱するとき、同時離脱モード設定手段によって同時離脱モードを設定すると、第2の制御手段が同時離脱モード設定手段からの同時離脱モード信号に基づいて、上流位版胴をホームポジションに自動的に移動させると共に、第2の天地移動調整手段をして下流位版胴をホームポジションに自動的に移動させるので、各版胴を装置本体から同時に離脱することができる。
【0182】
したがって、従来のように各版胴を手動でホームポジションに戻した上で離脱するような繁雑な作業をすることなく、同時離脱モード設定手段によって同時離脱モードを設定するという簡単な操作を行なうだけで、複数の版胴を、各ホームポジションに自動的に移動して装置本体内から同時に容易に離脱することができるので、インキの色替え時において、4色印刷をするようなときに1色目および2色目の版胴を両方同時に交換したい場合や、各版胴間に詰まったジャムした印刷用紙やマスタのジャム処理あるいは清掃等のために、各版胴を装置本体から同時に離脱する場合などに大変便利である。
【0183】
請求項8および9記載の発明によれば、上記構成により、各版胴を装置本体に装着後、各版胴を離脱前天地移動位置に手動で戻すような繁雑な作業をすることなく、各版胴を装置本体に対して容易に装着することができる。
【0184】
請求項10記載の発明によれば、同時離脱モード設定手段はキーであることにより、キーを押すという簡単な操作を行なうだけで、上記請求項1および3、2および3、請求項6および7の各効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した実施形態1および2を示す複胴式孔版印刷装置を本体フレームの手前側から見たときの概略的な正面図である。
【図2】実施形態1における天地移動手段および版胴駆動機構を本体フレームの奥側から見たときの概略的な背面図である。
【図3】実施形態1および2における着脱手段およびドラムユニット周りの要部の斜視図である。
【図4】実施形態1におけるドラムユニットおよび版胴駆動機構の要部の側断面図である。
【図5】実施形態1における操作パネルの平面図である。
【図6】実施形態1および2におけるホームポジションセンサおよび遮光板を示す要部の斜視図である。
【図7】実施形態1における制御構成を示すブロック図である。
【図8】実施形態1における個別天地移動設定ルーチンのプログラムを示すフローチャートである。
【図9】実施形態1において各版胴の位相が標準の場合の印刷画像の位置状態を表す平面図である。
【図10】実施形態1において各版胴の位相を遅らせた場合の印刷画像の位置状態を表す平面図である。
【図11】実施形態1において各版胴の位相を進めた場合の印刷画像の位置状態を表す平面図である。
【図12】実施形態1および2における同時離脱モード設定ルーチンのプログラムを示すフローチャートである。
【図13】実施形態2における天地移動手段および版胴駆動機構を本体フレームの奥側から見たときの概略的な背面図である。
【図14】実施形態2における操作パネルの平面図である。
【図15】実施形態2における制御構成を示すブロック図である。
【図16】実施形態2における天地移動手段の動作および同時離脱モード設定時の動作を本体フレームの手前側から見たときの概略的な正面図である。
【符号の説明】
1a,1b 版胴
33a,33b マスタ
50a,50b 着脱手段
70a,70b 回転位置検知手段の一例としてのホームポジションセンサ
96a,96b 回転位置検知手段を構成する版胴回転位置検知センサ
100a,100b ドラムユニット
112 第1の天地移動調整手段
130,230 版胴駆動機構
131 メインモータ
145a,145b 第1の天地移動手段
148a,148b 第1の天地移動手段を構成する天地駆動モータ
170,270 操作パネル
190a,190b 天地版胴選択手段としての天地版胴選択キー
191 天地移動量設定手段としての天移動量設定キー
192 天地移動量設定手段としての地移動量設定キー
195 同時離脱モード設定手段としてのドラム離脱キー
200 第1の天地移動制御手段を兼ねる第1の制御手段としての版胴移動制御装置
202,302 記憶手段としてのRAM
212 第2の天地移動調整手段
245 第2の天地移動手段
300 第2の天地移動制御手段を兼ねる第2の制御手段としての版胴移動制御装置
500,600 複胴式印刷装置の一例としての複胴式孔版印刷装置
501 装置本体としての本体フレーム
X 用紙搬送方向

Claims (10)

  1. 装置本体に対してそれぞれ着脱自在な複数の版胴を有し、マスタを各版胴に巻き付け、上記各版胴上のマスタにインキを供給して上記各版胴上のマスタに印刷用紙を押し付けることにより連続的に印刷を行なう複胴式印刷装置であって、
    上記各版胴の回転方向の位相を変えることにより、印刷用紙に対する印刷画像位置の天地移動調整を上記版胴毎に行なうための第1の天地移動調整手段と、
    上記各版胴を上記装置本体内から同時に離脱する同時離脱モードを設定する同時離脱モード設定手段と、
    上記同時離脱モード設定手段からの同時離脱モード信号に基づいて、第1の天地移動調整手段をして上記各版胴を離脱位置にそれぞれ自動的に移動させる第1の制御手段と、
    を具備することを特徴とする複胴式印刷装置。
  2. 装置本体に対してそれぞれ着脱自在な複数の版胴を有し、マスタを各版胴に巻き付け、上記各版胴上のマスタにインキを供給して上記各版胴上のマスタに印刷用紙を押し付けることにより連続的に印刷を行なう複胴式印刷装置であって、
    上記各版胴が上記装置本体内にあるとき、上記各版胴同士の間には予め初期位相差がそれぞれ設けられており、
    上記各版胴が上記装置本体内から離脱されるとき、該各版胴は各ホームポジションでのみ離脱可能であり、
    上記各版胴の回転方向の位相を変えることにより、印刷用紙に対する印刷画像位置の天地移動調整を上記版胴毎に行なうための第1の天地移動調整手段と、
    上記各版胴を上記装置本体内から同時に離脱する同時離脱モードを設定する同時離脱モード設定手段と、
    上記同時離脱モード設定手段からの同時離脱モード信号に基づいて、第1の天地移動調整手段をして上記各版胴を上記各ホームポジションに自動的に移動させる第1の制御手段と、
    を具備することを特徴とする複胴式印刷装置。
  3. 請求項1または2記載の複胴式印刷装置において、
    第1の天地移動調整手段は、上記版胴毎に設けられた、上記各版胴の回転方向の位相を変えるための第1の天地移動手段と、上記各版胴を個別に選択してその天地移動手段を起動設定するための天地版胴選択手段と、この天地版胴選択手段により選択された版胴の天地移動量を設定するための天地移動量設定手段と、上記天地版胴選択手段からの信号に基づいて該天地版胴選択手段により選択された版胴の上記天地移動手段を起動させると共に、上記天地移動量設定手段からの信号に応じて上記天地版胴選択手段により選択された版胴の上記天地移動手段をしてその版胴を所定の天地移動量移動させる第1の天地移動制御手段とを有することを特徴とする複胴式印刷装置。
  4. 請求項2記載の複胴式印刷装置において、
    上記各版胴の回転位置を検知する回転位置検知手段と、印刷用紙の搬送方向の上流側の上流位版胴および該上流位版胴に隣る上記搬送方向の下流側の下流位版胴のうちの上記上流位版胴が、そのホームポジションに停止しているときにおける上記上流位版胴ホームポジションの停止位置に関する離脱前天地移動位置、ならびに上記上流位版胴の上記ホームポジションの停止位置に対して上記初期位相差分ずれた上記下流位版胴が、その所定の位置に停止しているときにおける上記下流位版胴の所定の停止位置に関する離脱前天地移動位置を記憶する記憶手段とを具備し、
    上記記憶手段により上記各版胴の上記離脱前天地移動位置が記憶された後、第1の制御手段は、上記各回転位置検知手段からの信号に基づいて、第1の天地移動調整手段をして上記下流位版胴を上記所定の停止位置から上記下流位版胴のホームポジションに移動させ停止させることを特徴とする複胴式印刷装置。
  5. 請求項4記載の複胴式印刷装置において、
    第1の制御手段は、上記各版胴を上記装置本体に装着したとき、上記各回転位置検知手段からの信号に基づいて、第1の天地移動調整手段をして上記記憶手段が記憶している上記各版胴の上記離脱前天地移動位置に上記各版胴を自動的に移動させることを特徴とする複胴式印刷装置。
  6. 装置本体に対してそれぞれ着脱自在な複数の版胴を有し、マスタを各版胴に巻き付け、上記各版胴上のマスタにインキを供給して上記各版胴上のマスタに印刷用紙を押し付けることにより連続的に印刷を行なう複胴式印刷装置であって、
    上記各版胴が上記装置本体内にあるとき、上記各版胴同士の間には予め初期位相差がそれぞれ設けられており、
    上記各版胴が上記装置本体内から離脱されるとき、該各版胴は各ホームポジションでのみ離脱可能であり、
    印刷用紙の搬送方向における下流側の下流位版胴をして、該搬送方向の上流側に隣る上流位版胴に対して、印刷用紙に対する印刷画像位置の天地移動調整を行なうように機能させる第2の天地移動調整手段と、
    上記各版胴を上記装置本体内から同時に離脱する同時離脱モードを設定する同時離脱モード設定手段と、
    上記同時離脱モード設定手段からの同時離脱モード信号に基づいて、上記上流位版胴を上記ホームポジションに自動的に移動させると共に、第2の天地移動調整手段をして上記下流位版胴を上記ホームポジションに自動的に移動させる第2の制御手段と、
    を具備することを特徴とする複胴式印刷装置。
  7. 請求項6記載の複胴式印刷装置において、
    第2の天地移動調整手段は、上記上流位版胴に対して上記下流位版胴の回転方向の位相を変えるための第2の天地移動手段と、上記下流位版胴の天地移動量を設定するための天地移動量設定手段と、この天地移動量設定手段からの信号に応じて第2の天地移動手段をして上記下流位版胴を所定の天地移動量移動させる第2の天地移動制御手段とを有することを特徴とする複胴式印刷装置。
  8. 請求項7記載の複胴式印刷装置において、
    上記各版胴の回転位置を検知する回転位置検知手段と、上記上流位版胴が、そのホームポジションに停止しているときにおける上記上流位版胴のホームポジションの停止位置に関する離脱前天地移動位置、および上記下流位版胴が、上記上流位版胴の上記ホームポジションの停止位置に対して上記初期位相差分ずれた所定の位置に停止しているときにおける上記下流位版胴の所定の停止位置に関する離脱前天地移動位置を記憶する記憶手段とを具備し、
    上記記憶手段により上記各版胴の上記離脱前天地移動位置が記憶された後、第2の制御手段は、上記各回転位置検知手段からの信号に基づいて、第2の天地移動手段をして上記下流位版胴を上記所定の停止位置から上記下流位版胴のホームポジションに移動させ停止させることを特徴とする複胴式印刷装置。
  9. 請求項8記載の複胴式印刷装置において、
    第2の制御手段は、上記各版胴を上記装置本体に装着したとき、上記各回転位置検知手段からの信号に基づいて、第2の天地移動手段をして上記記憶手段が記憶している上記下流位版胴の上記離脱前天地移動位置に上記下流位版胴を自動的に移動させることを特徴とする複胴式印刷装置。
  10. 請求項1ないし9の何れか一つに記載の複胴式印刷装置において、
    上記同時離脱モード設定手段は、キーであることを特徴とする複胴式印刷装置。
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