JP2001328335A - 孔版印刷装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 版胴の放置時におけるインク汚れを極力防止
する。 【解決手段】 圧胴２７の所定角度離れた外周面の近接
位置に第１版胴２５及び第２版胴２６をそれぞれ回転自
在に設け、この第１版胴２５及び第２版胴２６の外周面
には原紙クランプ部２９を有する版座部２８を設けると
共にこの版座部２８以外の外周面にはスクリーン３０を
設け、各版胴２５、２６の内部スペースには中押しロー
ル３３をそれぞれ設け、印刷動作時には圧胴２７と共に
各版胴２５、２６が１８０度の回転角位相差を保持して
回転し、各版胴２５、２６の回転と共に各中押しロール
３３が各スクリーン３０の内周面を回転してインク３８
をスクリーン３０に供給する装置にあって、印刷動作終
了時には、各版胴２５、２６の各版座部２８が共に真横
位置となる位置で各版胴２５、２６の回転を停止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、複数の版胴を有
し、多色印刷が可能な孔版印刷装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の従来の孔版印刷装置として図６
に示すものがあり、図６は孔版印刷装置の一部概略構成
図である。図６において、装置本体（図示せず）内には
第１版胴１０１と第２版胴１０２と圧胴１０３とが回転
自在に配置され、第１版胴１０１及び第２版胴１０２は
圧胴１０３の中心角にして約９０度離れた圧胴１０３の
外周面の位置にそれぞれ近接されている。第１版胴１０
１及び第２版胴１０２の各外周面には版座部１０１ａ、
１０２ａが設けられ、この版座部１０１ａ、１０２ａに
孔版原紙（図示せず）をクランプする原紙クランプ部１
０１ｂ、１０２ｂが設けられている。

【０００３】又、第１版胴１０１及び第２版胴１０２の
各外周面には版座部１０１ａ、１０２ａ及びバネ１０４
を利用して第１版胴１０１及び第２版胴１０２の周壁を
形成するインク通過性部材であるスクリーン１０５がそ
れぞれ張設されており、この各スクリーン１０５はイン
クの通過を許容する例えばメッシュ構造体で構成されて
いる。第１版胴１０１及び第２版胴１０２の各スクリー
ン１０５の内部スペースには各スクリーン１０５の内周
面にインクを供給するインク供給ロールである中押しロ
ール１０６、１０７がそれぞれ設けられており、この各
中押しロール１０６、１０７はスクリーン１０５を押圧
しない待機位置とスクリーン１０５を押圧する押圧位置
との間で移動される。

【０００４】印刷動作時には各中押しロール１０６、１
０７は押圧位置に位置され、押圧位置ではスクリーン１
０５が外方側に膨出される。又、第１版胴１０１側のス
クリーン１０５には中押しロール１０６を介して第１色
のインクが、第２版胴１０２側のスクリーン１０５には
中押しロール１０７を介して第２色のインクがそれぞれ
供給されるよう構成されている。圧胴１０３の外周面側
には印刷用紙１０８の先端をクランプ可能な用紙クラン
プ部１０９が設けられており、給紙部１１０より給紙さ
れた印刷用紙１０８の先端をクランプし、排紙部１１１
の入り口付近でクランプ解除する。

【０００５】次に、印刷の概略動作を説明する。第１色
用の画像データに基づいて製版された孔版原紙の先端を
第１版胴１０１の原紙クランプ部１０１ｂにて、第２色
用の画像データに基づいて製版された孔版原紙の先端を
第２版胴１０２の原紙クランプ部１０２ｂにてそれぞれ
クランプして各スクリーン１０５の外周面に装着する。
次に、図６にて矢印で示す方向に第１版胴１０１、第２
版胴１０２及び圧胴１０３が同期して回転され、この状
態で第１版胴１０１と圧胴１０３との間に給紙部１１０
より印刷用紙１０８が搬送される。この搬送された印刷
用紙１０８は圧胴１０３の用紙クランプ部１０９でクラ
ンプされ、圧胴１０３の外周面に沿って第１版胴１０１
と圧胴１０３との間を通過する。

【０００６】この通過の際に中押しロール１０６がスク
リーン１０５を押圧してスクリーン１０５が外方側に膨
出し印刷用紙１０８に孔版原紙の穿孔を介して第１色の
インク画像が転移される。第１版胴１０１と圧胴１０３
との間を通った印刷用紙１０８は、第２版胴１０２と圧
胴１０３との間に搬送され、印刷用紙１０８が第２版胴
１０２と圧胴１０３との間を通過する。この通過の際に
同様に中押しロール１０７がスクリーン１０５を押圧し
て第２色のインク画像が転移される。そして、圧胴１０
３の用紙クランプ部１０９が排紙部１１１の入り口付近
まで回転すると、用紙クランプ部１０９がクランプ解除
し、クランプ解除された印刷用紙１０８が排紙部１１１
によって所定の位置まで排紙される。以上より２色印刷
がなされるものである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記したように第１版
胴１０１と第２版胴１０２とは圧胴１０３の中心角に対
して９０度だけ離間した回転位置に配置され、このよう
な回転位置の配置において第１版胴１０１と第２版胴１
０２とが圧胴１０３に対する互いの印刷位置を一致させ
るためには１８０度の回転位相差を保持した状態で回転
駆動される。従って、当然に印刷動作終了時における停
止位置も１８０度対向位置となる。

【０００８】ところで、従来では印刷動作終了時の各版
胴１０１、１０２の回転停止位置には何等配慮をしてい
なかったため、例えば一方の版胴である第１版胴１０１
がその版座部１０１ａを上方位置とする位置に停止する
と、他方の版胴である第２版胴１０２がその版座部１０
２ａを下方位置とする位置に停止することになり、次の
印刷動作開始までの間はこの状態で放置されることにな
る。

【０００９】一方、中押しロール１０６、１０７の上方
外周面にインク溜まりを設けることによって中押しロー
ル１０６、１０７にインクを供給する場合等において
は、印刷動作終了後にも中押しロール１０６、１０７か
らはその外周面を伝ってインクが時間をかけて徐々に下
方に流れ落ちる場合があり、上記したように版座部１０
１ａ、１０２ａが下方位置に位置すると、この流れ落ち
たインクがスクリーン１０５と版座部１０１ａ又は１０
２ａとの隙間を伝って当該版座部１０１ａ又は１０２ａ
の表面にまで流れ出てインク汚れが発生するという問題
がある。

【００１０】そこで、本発明は、前記した課題を解決す
べくなされたものであり、版胴の放置時におけるインク
汚れを極力防止できる孔版印刷装置を提供することを目
的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、圧胴
の外周面の近接位置に複数の版胴をそれぞれ回転自在に
設け、この各版胴の外周面には原紙クランプ部を有する
版座部を設けると共にこの版座部以外の外周面には前記
各版胴の周壁を形成するインク通過部材を設け、前記各
版胴の内部スペースには該周壁の内周面にインクを供給
するインク供給ロールをそれぞれ設け、印刷動作時に
は、前記圧胴と共に複数の前記版胴が所定の回転角位相
差を保持して回転し、前記各版胴の回転と共に前記各イ
ンク供給ロールが回転して前記インクを前記周壁の内周
面に供給する孔版印刷装置にあって、印刷動作終了時に
は、各版胴の回転中心を通る垂直線によって各版胴を仕
切った場合に前記インク供給ロールが配置された領域
で、且つ、インク供給ロールの回転中心を通る水平線よ
りも下方となる領域以外に各版座部が共に位置するよう
に複数の前記版胴の回転を停止させたことを特徴とす
る。

【００１２】この孔版印刷装置では、印刷動作終了後に
おいてインク供給ロールからはその外周面を伝ってイン
クが時間をかけて徐々に下方に流れ落ちる場合があり、
この流れ落ちたインクよりも下方に各版胴の版座部が位
置しないことからインクが版座部とインク通過性部材と
の隙間を伝って版座部の表面に流れ出る可能性が低い。

【００１３】請求項２の発明は、請求項１記載の孔版印
刷装置であって、複数の前記版胴は２つであり、この２
つの版胴が１８０度の回転角位相差を保持して回転駆動
され、印刷動作終了時の２つの版胴の停止位置を各版座
部が共に真横位置としたことを特徴とする。

【００１４】この孔版印刷装置では、請求項１の発明の
作用に加え、２つの版胴の回転停止位置が共に同じ高さ
となり、２つの版胴においてインクが版座部とインク通
過性部材との隙間を伝って版座部の表面に流れ出る可能
性が等しく低くなる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。

【００１６】＜孔版印刷装置の構成＞図１〜図５は本発
明の一実施形態を示し、図１は孔版印刷装置１の概略構
成図、図２は孔版印刷装置１の概略回路ブロック図、図
３は印刷時の概略動作フローチャート、図４は印刷終了
時における第１版胴及び第２版胴の回転停止位置を示す
一部概略構成図、図５は印刷終了時における第１版胴及
び第２版胴の回転停止位置の他の例を示す一部概略構成
図である。

【００１７】図１において、孔版印刷装置１は、原稿読
取部２と製版部３と印刷部４と給紙部５と排紙部６と２
カ所の排版部７とから主に構成されている。

【００１８】『原稿読取部』原稿読取部２は、装置本体
８の上部に設けられ、印刷に供される原稿を光学的に読
み取る。この光学的に読み取った情報は、電気信号に変
換され第１版胴インク色用と第２版胴インク色用の各画
像データとして生成される。又、画像データは所定の指
令（拡大、縮小等）に基づいて加工可能である。

【００１９】『製版部』製版部３は、装置本体８に水平
移動自在に設けられた製版ユニット９を有し、この製版
ユニット９は製版ユニット移動手段１０によって孔版原
紙１１を第１版胴２５に供給する第１原紙供給位置と孔
版原紙１１を第２版胴２６に供給する第２原紙供給位置
（図１の位置）との間で移動される。製版ユニット移動
手段１０は、製版ユニット９側に固定された製版ユニッ
ト移動モータ１２と、この製版ユニット移動モータ１２
の回転軸に固定されたウオームギア１３と、ウオームギ
ア１３に噛み合っているウオームホイール（図示せず）
と、このウオームホイールと同軸に固定されたピニオン
ギア１４と、装置本体８側に固定されたラック１５とか
ら構成されている。

【００２０】製版ユニット９は、ロール状に巻き取られ
た長尺状の孔版原紙１１を収容する原紙収容部１６と、
原紙収容部１６に収容された孔版原紙１１の先端側を搬
送下流にガイドする複数の搬送ロール１７と、これら搬
送ロール１７の下流に配置されたサーマルヘッド１８
と、このサーマルヘッド１８の対向位置に配置され、ラ
イトパルスモータ（図示せず）の駆動力により回転する
プラテンロール１９と、プラテンロール１９及びサーマ
ルヘッド１８に対し孔版原紙１１の搬送方向の下流に配
置され、ライトパルスモータの駆動力により回転する原
紙送りロール２０と、この原紙送りロール２０が圧接す
るガイド板２１と、原紙送りロール２０及びガイド板２
１とプラテンロール１９及びサーマルヘッド１８との間
に配置された原紙カッタ２２とを有する。

【００２１】『印刷部』印刷部４は、ほぼ同径である第
１版胴（版胴）２５、第２版胴（版胴）２６及び圧胴２
７を有し、第１版胴２５と第２版胴２６は圧胴２７の左
右の斜め上方位置にそれぞれ配置されている。詳しく
は、第１版胴２５及び第２版胴２６は圧胴２７の中心角
θにして約９０度離れた圧胴２７の外周面の位置にそれ
ぞれ近接されている。第１版胴２５、第２版胴２６及び
圧胴２７はそれぞれ回転自在に設けられており、図１に
て矢印で示すように、各外周面の近接・圧接箇所で同一
周速度になるようドラム回転機構（図示せず）によって
回転される。ドラム回転機構は、メインモータＭ（図２
に示す）を駆動源として駆動される。

【００２２】第１版胴２５及び第２版胴２６は、回転自
在に支持された左右の環状枠体（特に、符号を付さず）
の間が版座部２８で連結され、この版座部２８は第１版
胴２５及び第２版胴２６の外周面の一部を構成してい
る。版座部２８には原紙クランプ部２９が設けられてお
り、この原紙クランプ部２９で孔版原紙１１の先端がク
ランプされる。又、各版座部２８には各版胴２５、２６
の周壁を形成するインク通過性部材であるスクリーン３
０の先端側が固定され、このスクリーン３０が第１版胴
２５及び第２版胴２６それぞれの一対の環状枠体の外周
面に巻き付けられている。

【００２３】各スクリーン３０の後端側はバネ３１を介
して各版座部２８に張設されており、スクリーン３０は
バネ３１のバネ力に抗して外方に膨出可能に設けられて
いる。この各スクリーン３０は、例えばメッシュ構造体
であり、下記するインク供給ロールである中押しロール
３３で押圧されると、内面側から外面側にインク３８が
通過する。従って、第１版胴２５及び第２版胴２６の周
壁はインク通過性のスクリーン３０にて形成されてい
る。

【００２４】第１版胴２５及び第２版胴２６の各スクリ
ーン３０の内部にはインナープレス機構３２がそれぞれ
収容されている。この各インナープレス機構３２は、印
刷圧をスクリーン３０の内周側から作用させる機能とイ
ンク３８を版胴２５、２６の周壁を形成するスクリーン
３０の内周面に供給するインク供給ロールの機能とを兼
用する中押しロール３３を有する。

【００２５】中押しロール３３は両側のロール支持部材
３４に回転自在に設けられており、図示しない駆動手段
によって第１版胴２５や第２版胴２６の回転に同期して
回転駆動される。このロール支持部材３４は支持軸３５
を中心として回転自在に支持され、ロール支持部材３４
が図１のａ矢印方向に回転移動して中押しロール３３が
スクリーン３０の内周面を押圧する押圧位置と、ロール
支持部材３４が図１のｂ矢印方向に回転移動して中押し
ロール３３がスクリーン３０の内周面から離間する待機
位置（図１の位置）との間で変移可能に構成されてい
る。中押しロール３３は、印刷時には押圧位置とされ、
印刷時以外では待機位置とされる。

【００２６】又、このロール支持部材３４には第１ドク
ターロール３６及び第２ドクターロール３７がそれぞれ
取付けられている。第１ドクターロール３６及び第２ド
クターロール３７は円柱状を有し、共に中押しロール３
３の近接位置に配置されている。中押しロール３３の外
周スペースであって、第１ドクターロール３６及び第２
ドクターロール３７で囲まれる上方スペースにはインク
供給部（図示せず）よりインク３８が供給され、この位
置にインク溜まり３９が構成される。第１版胴２５側に
は第１色のインク３８が、第２版胴２６側には第２色の
インク３８がそれぞれ供給される。

【００２７】第１ドクターロール３６と中押しロール３
３とのギャップ（対向間距離）は、中押しロール３３に
付着するインク膜厚が所定となるよう設定され、第２ド
クターロール３７と中押しロール３３とのギャップは、
インク漏れが生じない程度に設定されている。つまり、
中押しロール３３が回転すると、中押しロール３３の外
周面には第１ドクターロール３６とのギャップによって
所定膜厚のインクが連続的に付着され、中押しロール３
３によってスクリーン３０にインクが供給される。

【００２８】又、圧胴２７の外周面の所定箇所には用紙
クランプ部４０が設けられ、この用紙クランプ部４０で
印刷用紙４１の先端をクランプできる。

【００２９】『給紙部』給紙部５は、印刷用紙４１が積
層される給紙台４２と、この給紙台４２から最上位置の
印刷用紙４１に圧接する１次給紙ロール４３と、この１
次給紙ロール４３の搬送下流に配置された一対の２次給
紙ロール４４と、この２次給紙ロール４４と圧胴２７と
の間で印刷用紙４１の搬送ガイドを行うガイド板４５と
を有する。１次給紙ロール４３の回転によって最上位置
の印刷用紙４１のみが一対の２次給紙ロール４４まで搬
送され、この搬送された印刷用紙４１は、一対の２次給
紙ロール４４の回転によって紙胴２７の回転に同期して
印刷部５に供給される。

【００３０】『排紙部』排紙部６は、印刷が完了した印
刷用紙４１の先端をガイドする上方規制ガイド部４６
と、圧胴２７から剥離されない印刷用紙４１を剥ぎ取る
用紙剥取り爪４７と、上方規制ガイド部４６でガイドさ
れ、又は、用紙剥取り爪４７で剥ぎ取られた印刷用紙４
１を搬送する一対の排紙ロール４８と、この一対の排紙
ロール４８によって排紙される印刷用紙４１を積層状態
で載置する排紙台４９とを有する。

【００３１】『排版部』排版部７は、第１版胴２５及び
第２版胴２６に対応してそれぞれ設けられている。各排
版部７は、第１版胴２５や第２版胴２６の外周面に少し
離間して配置された一対の排版ロール５０、５１と、こ
の一対の排版ロール５０、５１間に掛けられ、原紙クラ
ンプ部２９より解除された孔版原紙１１の先端を導く排
版誘導ベルト５２と、この排版誘導ベルト５２より導か
れた孔版原紙１１を排版ロール５１と共働して第１版胴
２５や第２版胴２６より引き剥がしながら搬送する排版
ロール５３と、この排版ロール５１、５３によって搬送
されて来る孔版原紙１１を収納する排版ボックス５４
と、排版ボックス５４の奥側に孔版原紙１１を押圧する
圧縮板５５とを有する。

【００３２】＜制御系の構成＞次に、孔版印刷装置１の
制御系について説明する。図２に示すように、装置本体
８には操作パネル部６０が設けられている。この操作パ
ネル部６０には製版／印刷スタートキー、印刷枚数等を
入力するためのテンキー等が設けられていると共に各種
のデータを表示するための表示パネル部（いずれも図示
せず）が設けられている。

【００３３】操作パネル部６０の入力データは制御部６
１に出力され、制御部６１は入力データに基づいて原稿
読取部２、製版部３、印刷部（メインモータＭを含む）
４、給紙部５、排紙部６及び２カ所の排版部７を統括制
御する。

【００３４】又、制御部６１にはメインモータＭの回転
を検出するエンコーダ７０、第１版胴２５の基準回転位
置を検出する基準回転位置検出センサ７１及び第２版胴
２６の基準回転位置を検出する基準回転位置検出センサ
７２の各出力が入力されており、制御部６１はこれらの
検出出力に基づいて第１版胴２５及び第２版胴２６の回
転位置を必要に応じて把握できる。又、制御部６１は、
各種プログラムが格納されたＲＯＭ６２及びＲＡＭ６３
の書き込みや読み出しを制御し、印刷スタートキーが操
作されると、例えば図３に示す動作フローを実行する。
この制御内容については、下記する作用の箇所で詳しく
説明する。

【００３５】＜印刷動作の説明＞次に、上記孔版印刷装
置１の各部の作用を簡単に説明する。原稿読取部２で
は、印刷の原稿を読取り、これより第１版胴インク色用
と第２版胴インク色用の各画像データを生成する。

【００３６】製版部３では、プラテンロール１９と原紙
送りロール２０の回転により長尺状の孔版原紙１１を搬
送し、原稿読取部２で読取った画像データに基づきサー
マルヘッド１８により孔版原紙１１に感熱穿孔して第１
版胴インク色用と第２版胴インク色用とをそれぞれ孔版
形成し、この穿孔された孔版原紙１１の後方箇所を原紙
カッタ２２で切断して一版分の長さの第１版胴インク色
用と第２版胴インク色用の各孔版原紙１１を作る。そし
て、製版ユニット９を第１原紙供給位置に移動させて、
第１版胴インク色用の孔版原紙１１を第１版胴２５側に
供給し、製版ユニット９を第２原紙供給位置に移動させ
て、第２版胴インク色用の孔版原紙１１を第２版胴２６
側に供給する。

【００３７】印刷部４では、製版部３で製版された第１
版胴インク色用の孔版原紙１１の先端を第１版胴２５の
原紙クランプ部２９でそれぞれクランプし、このクラン
プした状態で第１版胴２５が回転されて孔版原紙１１を
第１版胴２５のスクリーン３０の外周面に巻き付け装着
する。又、製版部３で製版された第２版胴インク色用の
孔版原紙１１の先端を第２版胴２６の原紙クランプ部２
９でそれぞれクランプし、このクランプした状態で該印
刷用紙４１を第２版胴２６が回転されて孔版原紙１１を
第２版胴２６のスクリーン３０の外周面に巻き付け装着
する。

【００３８】給紙部５では、下記する第１版胴２５、第
２版胴２６及び圧胴２７の回転に同期して印刷用紙４１
を搬送し、圧胴２７の用紙クランプ部４０で印刷用紙４
１の先端をクランプした状態で第１版胴２５及び圧胴２
７の間に搬送する。

【００３９】一方、印刷部４では、印刷時以外は各中押
しロール３３を待機位置とし、中押しロール３３をスク
リーン３０より離間する位置に位置させる。印刷時は各
中押しロール３３を押圧位置とし、第１版胴２５及び第
２版胴２６を圧胴２７と共に回転させる。すると、各中
押しロール３３は、スクリーン３０の内周側を押圧しな
がらスクリーン３０の内周面上を回転する。中押しロー
ル３３の外周面には連続的にインク３８が供給されるた
め、この回転によってスクリーン３０にはインク３８が
転移される。

【００４０】又、中押しロール３３の押圧によってスク
リーン３０は外周側に膨出し圧胴２７に圧接状態とな
る。そして、上記したように第１版胴２５と圧胴２７と
の間に給紙部５より印刷用紙４１が搬送され、この搬送
されてきた印刷用紙４１が第１版胴２５の中押しロール
３３と圧胴２７との間でスクリーン３０及び孔版原紙１
１と共に押圧されながら搬送される。

【００４１】次に印刷用紙４１が第２版胴２６と圧胴２
７との間に搬送され、この搬送されてきた印刷用紙４１
が第２版胴２６の中押しロール３３と圧胴２７との間で
スクリーン３０及び孔版原紙１１と共に押圧されながら
搬送される。この各押圧搬送過程で印刷用紙４１に孔版
原紙１１の穿孔部分からインク３８が転写され、以上よ
り２色の画像が印刷される。印刷用紙４１の先端が第２
版胴２６側の中押しロール３３の位置を過ぎその下流ま
で来ると、用紙クランプ部４０が解除される。

【００４２】排紙部６では、印刷用紙４１の先端側を上
方規制ガイド部４６でガイドし、又は、印刷用紙４１の
先端側を用紙剥取り爪４７で圧胴２７より剥ぎ取り、そ
の後、一対の排紙ロール４８を介して排紙台４９に搬送
する。

【００４３】又、排版部７では、新たな製版を開始する
に際して、先の印刷用の孔版原紙１１が第１版胴２５及
び第２版胴２６の各スクリーン３０の外周面に巻き付け
装着されている場合には、製版する前段階で第１版胴２
５及び第２版胴２６の原紙クランプ部２９を解除し、解
除した孔版原紙１１の先端側を第１版胴２５及び第２版
胴２６を回転しながら排版誘導ベルト５２で導き、且
つ、一対の排版ロール５１、５３によって搬送して排版
ボックス５４に収納する。

【００４４】次に、上記説明と一部重複するが、印刷ス
タートキーがオンされた場合の動作を説明する。図３に
示すように、印刷スタートキーがオンされると（ステッ
プＳ１）、上記したようにメインモータＭが駆動され図
１にて矢印で示す方向に第１版胴２５、第２版胴２６及
び圧胴２７が同期して回転される等して印刷動作が開始
される（ステップＳ２）。

【００４５】ここで、第１版胴２５と第２版胴２６とは
圧胴２７の中心角に対して９０度だけ離間した回転位置
に配置され、このような回転位置の配置において第１版
胴２５と第２版胴２６とが圧胴２７に対する互いの印刷
位置を一致させるため１８０度の回転角位相差を保持し
た状態で回転駆動される。印刷動作自体については上記
したので省略する。設定枚数の印刷がなされると（ステ
ップＳ３）、第１版胴２５及び第２版胴２６の各版座部
２８が図４に示すように互いに外側向きの真横位置とな
る位置で回転停止するようメインモータＭを駆動停止す
る等の制御をして印刷動作が終了される（ステップＳ
４）。

【００４６】第１版胴２５及び第２版胴２６は、次の印
刷や製版動作が実行されるまでこの回転位置で放置され
る。印刷動作終了後において中押しロール３３からはそ
の外周面を伝ってインク３８が時間をかけて徐々に下方
に流れ落ちる場合があり、この流れ落ちたインク３８よ
りも下方に各第１版胴２５及び第２版胴２６の版座部２
８が位置しないのでインク３８が版座部２８とスクリー
ン３０との隙間を伝って版座部２８の表面に流れ出る可
能性が低いため、放置時に生じるインク汚れを極力防止
できる。

【００４７】（他の実施形態）また、印刷終了時におけ
る各版胴２５、２６の回転停止位置として各版座部２８
の回転位置が図５に示すように互いに内側向き真横位置
となるよう制御しても同様な作用・効果が得られる。

【００４８】また、この実施形態では、印刷終了時には
第１版胴２５及び第２版胴２６の各版座部２８が真横位
置となる位置で回転停止するよう構成したが、第１版胴
２５及び第２版胴２６の回転中心Ｏ１、Ｏ２を通る垂直
線Ｖ１、Ｖ２によって第１版胴２５及び第２版胴２６を
仕切った場合に各中押しロール３３が配置された領域
で、且つ、中押しロール３３の回転中心Ｏ３、Ｏ４を通
る水平線Ｈ１、Ｈ２よりも下方となる領域Ｌ１、Ｌ２以
外に各版座部２９が共に位置するように第１版胴２５及
び第２版胴２６の回転を停止させれば良い。

【００４９】但し、前記実施形態のように第１版胴２５
及び第２版胴２６の各版座部２８が真横位置となる位置
で回転停止させた場合には、第１版胴２５及び第２版胴
２６の回転停止位置が共に同じ高さとなり、第１版胴２
５及び第２版胴２６においてインク３８が版座部２８と
スクリーン３０との隙間を伝って版座部２８の表面に流
れ出る可能性を等しく低くできるという利点がある。

【００５０】尚、前記実施形態によれば、単一の圧胴２
７に対して２つの版胴２５、２６を近接配置した孔版印
刷装置１について説明したが、３つ以上の版胴を近接配
置した装置についても略同様に本発明を適用できる。
又、第１版胴２５及び第２版胴２６は圧胴２７の中心角
度が９０度である外周面の近接位置に配置した装置につ
いて説明したが、圧胴２７の中心角度が９０度以外の外
周面の近接位置に配置した装置についても同様に適用で
きることはもちろんである。この場合には圧胴２７の中
心角度をθとすると、双方の版胴２５、２６は２θ（２
θは１８０度以外）の回転角度位相差を保持して回転駆
動されるため、双方の版胴２５、２６の回転停止位置を
共に真横位置よりも上方位置にできる。

【００５１】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の発明に
よれば、印刷動作終了時には、各版胴の回転中心を通る
垂直線によって各版胴を仕切った場合に前記中押しロー
ルが配置された領域で、且つ、中押しロールの回転中心
を通る水平線よりも下方となる領域以外に各版座部が位
置するように複数の前記版胴の回転を停止させたので、
印刷動作終了後において中押しロールからはその外周面
を伝ってインクが時間をかけて徐々に下方に流れ落ちる
場合があり、この流れ落ちたインクよりも下方に各版胴
の版座部が位置しないことからインクが版座部とインク
通過性部材との隙間を伝って版座部の表面に流れ出る可
能性が低いため、版胴の放置時におけるインク汚れを極
力防止できる。

【００５２】請求項２の発明によれば、請求項１記載の
孔版印刷装置であって、複数の前記版胴は２つであり、
この２つの版胴が１８０度の回転角位相差を保持して回
転駆動され、印刷動作終了時の２つの版胴の停止位置を
各版座部が共に真横位置とされたので、請求項１の発明
の効果に加え、２つの版胴の回転停止位置が共に同じ高
さとなり、２つの版胴においてインクが版座部とインク
通過性部材との隙間を伝って版座部の表面に流れ出る可
能性を等しく低くできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示し、孔版印刷装置の概
略構成図である。

【図２】本発明の一実施形態を示し、孔版印刷装置の概
略回路ブロック図である。

【図３】本発明の一実施形態を示し、印刷時の概略動作
フローチャートである。

【図４】本発明の一実施形態を示し、印刷終了時におけ
る第１版胴及び第２版胴の回転停止位置を示す一部概略
構成図である。

【図５】本発明の一実施形態を示し、印刷終了時におけ
る第１版胴及び第２版胴の回転停止位置の他の例を示す
一部概略構成図である。

【図６】従来の孔版印刷装置の一部概略構成図である。

【符号の説明】

１ 孔版印刷装置 ２ 原稿読取り部 ３ 製版部 ４ 印刷部 ５ 給紙部 ６ 排紙部 ７ 排版部 ２５ 第１版胴（版胴） ２６ 第２版胴（版胴） ２７ 圧胴 ２８ 版座部 ２９ 原紙クランプ部 ３０ スクリーン（インク通過性部材） ３３ 中押しロール（インク供給ロール） ３８ インク

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧胴の外周面の近接位置に複数の版胴を
   それぞれ回転自在に設け、この各版胴の外周面には原紙
   クランプ部を有する版座部を設けると共にこの版座部以
   外の外周面には前記各版胴の周壁を形成するインク通過
   性部材を設け、前記各版胴の内部スペースには該周壁の
   内周面にインクを供給するインク供給ロールをそれぞれ
   設け、印刷動作時には、前記圧胴と共に複数の前記版胴
   が所定の回転角位相差を保持して回転し、前記各版胴の
   回転と共に前記各インク供給ロールが回転して前記イン
   クを前記周壁の内周面に供給する孔版印刷装置にあっ
   て、 印刷動作終了時には、各版胴の回転中心を通る垂直線に
   よって各版胴を仕切った場合に前記インク供給ロールが
   配置された領域で、且つ、インク供給ロールの回転中心
   を通る水平線よりも下方となる領域以外に各版座部が共
   に位置するように複数の前記版胴の回転を停止させたこ
   とを特徴とする孔版印刷装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の孔版印刷装置であって、 複数の前記版胴は２つであり、この２つの版胴が１８０
   度の回転角位相差を保持して回転駆動され、印刷動作終
   了時の２つの版胴の停止位置を各版座部が共に真横位置
   としたことを特徴とする孔版印刷装置。