JP4469155B2 - 両面印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は印刷装置に関し、詳しくは1工程で用紙の両面に印刷を行うことが可能な両面印刷装置に関する。
従来、簡便な印刷方法としてデジタル式感熱孔版印刷が知られている。この孔版印刷に用いられる孔版印刷装置は、微細な発熱素子が一列に配置されたサーマルヘッドをマスタに接触させ、パルス的に発熱素子に通電させながらマスタを搬送することで画像情報に応じてマスタを加熱溶融穿孔し、このマスタを多孔性円筒状の版胴の外周面に巻装した後に用紙を介して版胴外周面をプレスローラ等の押圧手段によって押圧することで、マスタ穿孔部よりインキを透過させてこれを用紙に転移させることにより印刷画像を得るものである。
この孔版印刷において、近年では用紙の消費量及び書類の保管スペースを低減させるため等の目的から、用紙の両面に印刷を行う両面印刷が頻繁に行われるようになってきている。この両面印刷は、従来の方法では給紙部に積載した用紙を印刷部に通紙し、一方の面に印刷をした後に用紙を裏返して再度印刷部に通紙して他方の面に印刷をすることで両面印刷物を得ていたが、一度排紙された用紙を再度給紙部にセットしたり片面印刷後の用紙を揃えたりする作業が面倒であるという問題点があった。また、印刷部への通紙を2回行うために正味の印刷時間においても片面印刷に比して2倍の時間を要し、時間がかかりすぎるという問題点もあった。
上述の問題点を解決するため、第1の版胴と、用紙搬送路を介して第1の版胴と対向配置された第2の版胴と、第1の版胴の外周面と第2の版胴の外周面とを互いに接離させる接離手段とを具備し、接離手段を作動させて各版胴同士を互いに圧接させることにより1工程で両面印刷物を得る両面印刷装置が、例えば「特許文献1」に開示されている。
また、第1の版胴と、用紙搬送路を介して第1の版胴に対向配置され第1の版胴に対して圧接・離間可能に設けられた第1の押圧手段と、第1の版胴より用紙搬送方向下流側であって用紙搬送路を介して第1の版胴と対向する側に配置された第2の版胴と、用紙搬送路を介して第2の版胴に対向配置され第2の版胴に対して圧接・離間可能に設けられた第2の押圧手段とを具備し、第1の版胴と第1の押圧手段とを圧接させた後、第2の版胴と第2の押圧手段とを圧接させることにより1工程で両面印刷物を得る両面印刷装置が、例えば「特許文献2」に開示されている。
また、版胴の回転方向に第1製版画像と第2製版画像とが2面並んだ分割製版済みマスタを用い、何れか一方の製版画像の画像領域と対応させてプレスローラを版胴に直接当接させつつ版胴と共に回転させてプレスローラの外周面に一方の製版画像と対応する第1印刷画像を転写する第1工程と、第1工程後に他方の製版画像の画像領域と第1印刷画像とが対応すべく用紙を介してプレスローラを版胴に当接させつつ版胴と共に回転させ、用紙のプレスローラと対応する第1の面に第1印刷画像を再転写させると同時に用紙の版胴と対応する第2の面に他方の製版画像と対応する第2印刷画像を転写させる第2工程とにより、1工程で両面印刷物を得る印刷方法及びこれを行う両面印刷装置が、例えば「特許文献3」に開示されている。
さらに、分割製版済みマスタを用い、給紙部より1枚目の用紙を給送してこの表面に何れか一方の製版画像を印刷した後にこの用紙を補助トレイに案内し、給紙部より2枚目の用紙を給送してこの表面に何れか一方の製版画像を印刷した後にこの用紙を補助トレイに案内すると共に、補助トレイより1枚目の用紙を再給紙してこの裏面に何れか他方の製版画像を印刷してこの用紙を排紙トレイに排出し、この動作を連続して行うことにより1工程で両面印刷物を得る両面印刷装置が、例えば「特許文献4」に開示されている。
特開平6−71996号公報 特開平8−90893号公報 特開平8−332768号公報 特開2003−200645号公報
しかし、「特許文献1」に開示された技術では2個の版胴を上下に配置してこれらを互いに圧接させる構成であるため、片面印刷時においても各版胴同士を圧接させる必要があり、このために一方の版胴には製版済みマスタを、他方の版胴には未製版のマスタをそれぞれ巻装しなくてはならず、片面印刷時にはマスタが無駄に消費されてしまうという問題点がある。また、外周面上にマスタを保持するためのクランパをそれぞれ有する2個の版胴を互いに圧接させるために各クランパが向かい合う位置では各版胴を互いに離隔させる必要が生じ、印刷速度が速くなるとこの離隔によって互いの版胴が接触する面積が減少して画像領域が減少するため、画像領域を確保するために各版胴の外径を大きくする必要が生じて装置の小型化が困難となると共に、各版胴の接触時において大きな騒音が発生するという問題点がある。
「特許文献2」に開示された技術では、上述と同様に片面印刷時において一方の版胴に未製版のマスタを巻装する必要があり、マスタが無駄に消費されてしまうという問題点がある。また、用紙搬送方向に2個の版胴を直列に並べているため、片面印刷用の印刷装置に比して装置が2倍近くも大きくなり、その設置スペースの確保が困難になるという問題点がある。
「特許文献3」に開示された技術では、第1製版画像及び第2製版画像(表面画像及び裏面画像)のうちの何れか一方を版胴から用紙に直接転写させ、他方をプレスローラに転写させた後に用紙に再転写させているため、用紙に直接転写させた印刷画像の濃度に比してプレスローラから用紙に再転写させた印刷画像の濃度が低下し、用紙上における印刷画像濃度が表面と裏面とで異なってしまうという問題点がある。
「特許文献4」に開示された技術は、上述した全ての問題点を解決でき、良好な両面印刷物を得ることができる。しかし、本発明者等の実験の結果、以下の問題点があることが判明した。この両面印刷装置では、プレスローラによって版胴に圧接された用紙を版胴外周面に対して近接・離間自在に設けられた切換部材によって補助トレイあるいは排紙トレイの何れかに案内しており、この切換部材は版胴とプレスローラとの接触位置の直後に設けられている。補助トレイに案内される用紙は、版胴外周面に近接する位置を占めた切換部材によって版胴の外周面から剥離され、排紙トレイに案内される用紙は版胴外周面近傍に設けられた剥離部材によって版胴の外周面から剥離される。補助トレイに案内される用紙及び排紙トレイに案内される用紙の双方とも、版胴外周面から剥離される際に剥離部材の上方に設けられた送風手段からの送風によってその先端部を浮き上げられ、その隙間に切換部材あるいは剥離部材の先端部が入り込むことによって剥離される。このとき、送風手段が剥離部材の上方に設けられていてその送風が剥離部材によって妨げられることから、切換部材によって版胴外周面から剥離される用紙は剥離部材によって版胴外周面から剥離される用紙に比して版胴との接触時間が長くなり、結果として版胴からのインキ転移量が増加することにより、用紙の表裏で濃度差が生じてしまう。
本発明は上述の問題点を解決し、無駄なマスタを用いることなく片面印刷を行うことができ、設置スペースの増大を抑制し、さらに表裏において濃度差のない良好な印刷物を得ることが可能な1工程両面印刷装置の提供を目的とする。
請求項1記載の発明は、版胴及び前記版胴に対して接離自在に設けられた押圧手段を有する印刷部と、用紙を前記印刷部に向けて給送する給紙部と、前記印刷部において印刷がなされた印刷済み用紙を排出する排紙部と、前記印刷部においてその表面に印刷画像を形成された表面印刷済み用紙を一時的に貯容する補助トレイと、前記補助トレイ上に貯容された表面印刷済み用紙を前記印刷部に向けて再給紙する再給紙手段と、前記印刷部を通過した用紙を前記補助トレイまたは前記排紙部の何れかに案内する切換部材とを有し、前記用紙の一方の面に表面画像を印刷する表面印刷工程を行った後に前記用紙の他方の面に裏面画像を印刷する裏面印刷工程を行う両面印刷装置において、前記押圧手段の前記版胴に対する圧接力を変化させる圧接力可変機構と、表面印刷工程時と裏面印刷工程時とにおいて前記圧接力可変機構をそれぞれ制御する制御手段とを有し、前記制御手段は表面印刷工程時における前記圧接力が裏面印刷工程時における前記圧接力よりも低くなるように前記圧接力可変機構を制御することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の両面印刷装置において、さらに表面印刷工程時における前記圧接力と裏面印刷工程時における前記圧接力とをそれぞれ設定する設定手段を有することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の両面印刷装置において、さらに表面印刷工程時及び裏面印刷工程時において版胴外周面上から用紙を剥離する送風手段を有することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の両面印刷装置において、さらに表面印刷工程時における前記圧接力を裏面印刷工程時における前記圧接力よりも低くさせる自動モードと表面印刷工程時における前記圧接力と裏面印刷工程時における前記圧接力とをそれぞれ任意に設定する手動モードとの何れかに装置の作動を換えるモード切換手段を有することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のうちの何れか1つに記載の両面印刷装置において、さらに表面印刷工程時及び裏面印刷工程時において版胴外周面上から用紙を剥離する送風手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、版胴に対する押圧手段の圧接力を任意に設定することができるので、用紙の両面に印刷される画像に応じた最適な圧接力を設定することにより、表裏での濃度差のない良好な両面印刷物を得ることができる。
図1は、本発明の一実施形態を採用した両面印刷装置を示している。この両面印刷装置は、特開2003−200645号に開示された両面印刷装置とほぼ同様の構成であるので、各部位の説明をできるだけ簡略化する。
図1において両面印刷装置1は、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7、補助トレイ8、再給紙手段9、切換部材10等を有している。
装置本体のほぼ中央に配置された印刷部2は、版胴11と押圧手段としてのプレスローラ12とを有している。版胴11は装置本体に回転自在に支持されており、図示しない版胴駆動手段によって回転駆動される。版胴11はその外周面に開閉自在なクランパ13を有しており、両面印刷時において版胴11の外周面には製版部3で製版された分割製版済みマスタ14が巻装されている。分割製版済みマスタ14には表面画像に応じた製版画像と裏面画像に応じた製版画像とが形成されており、各製版画像間には未製版部分が形成されている。分割製版済みマスタ14は、版胴11上において、表面画像に応じた製版画像が図1に示す表面領域に、裏面画像に応じた製版画像が同裏面領域に、未製版部分が同中間領域にそれぞれ対応するように巻装される。版胴11の外周面近傍には、版胴11の位置を検知する図示しないロータリエンコーダが設けられている。
版胴11の下方にはプレスローラ12が配設されている。フッ素樹脂等の撥水性を有する弾性体からなるプレスローラ12は図示しないアーム部材にその両端を回転自在に支持されており、図示しないアーム部材は図示しない揺動手段によって揺動自在に支持されている。プレスローラ12はその周面が版胴11より離間する図1に示す離間位置と、その周面が版胴11上の分割製版済みマスタ14に圧接する圧接位置とを選択的に占める。プレスローラ12の周面近傍には、プレスローラ12の周面に接触してクリーニングを行うクリーニングローラ15が配設されている。クリーニングローラ15は、図示しない駆動手段によって回転駆動される。
プレスローラ12の右方近傍には再給紙手段9から送られた表面印刷済みの用紙Pをプレスローラ12の周面に沿わせて搬送するための再給紙案内部材16が配設されており、プレスローラ12の下方には補助トレイ8上に貯留された用紙Pをプレスローラ12の周面に接触させて送り出す再給紙レジストローラ17が配設されている。プレスローラ12の左下方には上面に補助トレイ8を有する再給紙搬送ユニット18が配設されており、これには再給紙位置決め部材19が一体的に設けられている。再給紙搬送ユニット18の上方には、補助トレイ8の上面に沿って移動自在な用紙受け板20が配設されている。これら補助トレイ8、再給紙案内部材16、再給紙レジストローラ17、再給紙位置決め部材19、再給紙搬送ユニット18及び用紙受け板20によって再給紙手段9が構成されている。
版胴11とプレスローラ12との接触位置の左方であって用紙Pの搬送経路上には、切換部材10が配設されている。切換部材10はその用紙搬送方向下流側端部を装置本体に回動自在に支持されており、図示しない移動手段によって移動され、図1に実線で示す第1の位置と二点鎖線で示す第2の位置とを選択的に占める。版胴11とプレスローラ12との間を通過した用紙Pは、切換部材10が第1の位置を占めているときに排紙部6へと案内され、切換部材10が第2の位置を占めているときに補助トレイ8へと案内される。
印刷部2の右上方には製版部3が配設されている。製版部3は、マスタ保持部材、プラテンローラ、サーマルヘッド、マスタ切断手段、マスタストック部、テンションローラ対、反転ローラ対等を有する周知の構成であり、製版部3では分割製版済みマスタ14が作成される。
製版部3の下方には給紙部4が配設されている。給紙部4は、給紙トレイ、給紙ローラ、分離ローラ、分離パッド、レジストローラ対等を有する周知の構成である。
印刷部2の左上方に配設された排版部5も、上排版部材、下排版部材、排版ボックス、圧縮板等を有する周知の構成であり、使用済みの分割製版済みマスタ14を版胴11の外周面より剥離して排版ボックスの内部に廃棄する。
排版部5の下方には排紙部6が配設されている。排紙部6は、剥離部材としての剥離爪31、排紙搬送ユニット32、排紙トレイ33、送風手段としての剥離ファン34等を有している。剥離爪31は図示しない揺動手段によってその先端部が版胴11の外周面に対して近接・離間自在に設けられており、近接位置を占めた際に版胴11の外周面上より用紙Pを剥離する。排紙搬送ユニット32は、駆動ローラ、従動ローラ、無端ベルト、吸引ファン等を有しており、無端ベルトの上面に印刷済みの用紙Pを吸引しつつ図1の矢印方向に搬送する。排紙トレイ33は1個のエンドフェンスと一対のサイドフェンスとを有しており、その上面に印刷済みの用紙Pを積載する。剥離ファン34は剥離爪31の上方に配設されており、版胴11の外周面に向けて送風を行うことにより表面印刷工程を終えて切換部材10によって版胴11の外周面上から剥離される用紙P、及び裏面印刷工程を終えて剥離爪によって版胴11の外周面上から剥離される用紙Pの先端をそれぞれ送風によって浮き上がらせる。
装置本体の上部には画像読取部7が配設されている。画像読取部7は、原稿を載置するコンタクトガラス、コンタクトガラスに対して接離自在に設けられた圧板、原稿画像を走査して読み取る反射ミラー及び蛍光灯、走査された画像を集束するレンズ、集束された画像を処理する画像センサ等を有している。
プレスローラ12を揺動させる図示しない揺動手段の近傍には、プレスローラ12の版胴11に対する圧接力を変化させる圧接力可変機構21(図3参照)が配設されている。この押圧力可変機構21は、特開平10−315599号公報に開示された押圧力可変手段20と同様の構成を有しており、ここではその詳細な説明を省略する。
図2は、両面印刷装置1の操作パネルを示している。同図において操作パネル22には、製版スタートキー23、印刷スタートキー24、ストップキー25、テンキー26、7セグメントLEDからなる表示装置27、LCDからなる表示装置28等の周知の構成の他、圧接力可変機構21の作動を不作動、手動、自動の何れかに切り換えるモード切換手段としてのセレクトスイッチ29、プレスローラ12の版胴11に対する圧接力を設定する設定手段としての圧接力設定キー30、両面印刷を行う際に押下される両面印刷キー40等が配設されている。
図3は、両面印刷装置1に用いられる制御手段のブロック図である。同図において制御手段35は、内部にCPU、ROM、RAM等を有するマイクロコンピュータであり、図示しないロータリエンコーダ及び操作パネル22からの動作信号に基づいて印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7、再給紙手段9、切換部材10の作動をそれぞれ制御する。
上述の構成に基づき、以下に両面印刷キー40を押下して両面印刷を行う場合における両面印刷装置1の動作を説明する。先ず、セレクトスイッチ29が「OFF」となっている場合を説明する。
画像読取部7に原稿がセットされ、オペレータによって製版スタートキー23が押下されると、画像読取部7において原稿画像の読取動作が行われると共に排版部5が作動して版胴11の外周面から使用済みの分割製版済みマスタ14が剥離される。排版後、製版部3が作動して新たな分割製版済みマスタ14が製版され、これが版胴11に巻装される。
巻装動作が完了して両面印刷装置1が印刷待機状態となった後、各種印刷条件設定後にオペレータによって印刷スタートキー24が押下されると、版胴11が設定速度で回転駆動されると共に給紙部4より用紙Pが1枚分離給送される。給送された用紙Pはレジストローラ対で一時停止された後、所定のタイミングで版胴11とプレスローラ12との間に向けて送られる。なお、各種印刷条件の設定は、製版スタートキー23の押下前に行ってもよい。
版胴11が所定の角度まで回転してその表面領域がプレスローラ12と対応する所定位置を占めると、プレスローラ12が圧接位置を占めることにより用紙Pが版胴11上の分割製版済みマスタ14に圧接され、その一方の面に表面画像を転写される。表面印刷済み用紙となった用紙Pは、剥離ファン34からの送風によってその先端部を浮き上げられた後、第2の位置を占めている切換部材10の先端によって版胴11の外周面より剥離され、再給紙搬送ユニット18へと送られる。このとき、用紙Pはその先端を用紙受け板20によって受け止められ、後端側から補助トレイ8上に載置される。補助トレイ8上の用紙Pは再給紙搬送ユニット18によって図1の矢印方向に搬送され、その先端を再給紙位置決め部材19に当接させた状態で一時停止される。
1枚目の用紙Pが補助トレイ8上に案内されている間も版胴11は回転を継続しており、給紙部4からは1枚目の用紙Pと同じタイミングで2枚目の用紙Pが給送される。給送された2枚目の用紙Pは1枚目の用紙Pと同様にプレスローラ12によってその一方の面に表面画像を転写された後、第2の位置を占めている切換部材10によって再給紙搬送ユニット18へと送られる。
給紙部4から2枚目の用紙Pが給送された後、版胴11の裏面領域がプレスローラ12と対応する位置に到達するよりもやや早いタイミングで、再給紙レジストローラ17が作動して補助トレイ8上に貯留されている1枚目の用紙Pがプレスローラ12の周面に圧接される。プレスローラ12の周面に圧接された1枚目の用紙Pは、版胴11に圧接して従動回転しているプレスローラ12の回転力によって版胴11との当接部に向けて搬送され、分割製版済みマスタ14に圧接されることによりその他方の面に裏面画像を転写される。
裏面画像を転写されて両面印刷済み用紙となった1枚目の用紙Pは第1の位置を占めた切換部材10によって排紙部6へと案内され、剥離ファン34からの送風によってその先端部を浮き上げられた後、剥離爪31の先端によって版胴11の外周面より剥離される。剥離された印刷済みの用紙Pは排紙搬送ユニット32へと送られた後、図1の矢印方向に搬送されて排紙トレイ33上に排出積載される。以下、上述の動作が設定された印刷枚数を消化するまで繰り返され、設定印刷枚数に到達すると各部位の作動が停止して印刷動作が完了する。
上述した印刷動作時において、「発明が解決しようとする課題」の欄でも述べたように、版胴外周面との接触時間が表面印刷工程時と裏面印刷工程時とで異なることにより用紙の表裏で濃度差が生じてしまう。この不具合の発生を防止するため、版胴11に対するプレスローラ12の圧接力を裏面印刷工程時に比して表面印刷工程時を低くする。以下にこの実施形態を説明する。
上述と同様に両面印刷装置1が印刷待機状態となった後、オペレータにより各種印刷条件が設定されると共にセレクトスイッチ29が「自動」に切り換えられ、その後に印刷スタートキー24が押下されると、版胴11が設定速度で回転駆動されると共に給紙部4より用紙Pが1枚分離給送される。給送された用紙Pはレジストローラ対で一時停止された後、所定のタイミングで版胴11とプレスローラ12との間に向けて送られる。レジストローラ対から用紙Pが給送される前に制御手段35から圧接力可変機構21に動作指令が送られ、圧接力可変機構が作動して版胴11に対するプレスローラ12の圧接力を予め設定されている第1の圧接力に変更する。
版胴11が所定位置に達するとプレスローラ12が揺動されて圧接位置を占め、用紙Pが版胴11上の分割製版済みマスタ14に第1の圧接力で圧接されることによりその一方の面に表面画像を転写される。その後、用紙Pは第2の位置を占めている切換部材10によって版胴11の外周面より剥離され、再給紙搬送ユニット18へと送られる。再給紙搬送ユニット18に送られた用紙Pは、その先端を再給紙位置決め部材19に当接させた状態で一時停止される。
1枚目の用紙Pが再給紙搬送ユニット18に案内されている間に給紙部4からは2枚目の用紙Pが給送され、2枚目の用紙Pはプレスローラ12によって版胴11上の分割製版済みマスタ14に第1の圧接力で圧接されることにより、その一方の面に表面画像を転写された後に再給紙搬送ユニット18へと送られる。
給紙部4から2枚目の用紙Pが給送された後、版胴11の裏面領域がプレスローラ12と対応する位置に到達するよりもやや早いタイミングで、再給紙レジストローラ17が作動して再給紙搬送ユニット18にて一時停止されている1枚目の用紙Pがプレスローラ12の周面に圧接される。また、この直前に制御手段35から圧接力可変機構21に動作指令が送られ、圧接力可変機構が作動して版胴11に対するプレスローラ12の圧接力を第1の圧接力よりも高い第2の圧接力に変更する。この第2の圧接力も予め設定されている。
再給紙レジストローラ17によりプレスローラ12の周面に圧接された1枚目の用紙Pは、版胴11に圧接して従動回転しているプレスローラ12の回転力によって版胴11との当接部に向けて搬送される。搬送された1枚目の用紙Pは、版胴11が所定位置に達することにより揺動するプレスローラ12によって版胴11上の分割製版済みマスタ14に第2の圧接力で圧接され、その他方の面に裏面画像を転写される。
裏面画像を転写されて両面印刷済み用紙となった1枚目の用紙Pは、第1の位置を占めた切換部材10により排紙部6へと案内されて剥離爪31により版胴11の外周面より剥離され、排紙搬送ユニット32を介して排紙トレイ33上に排出積載される。以下、上述の動作が設定された印刷枚数を消化するまで繰り返され、設定印刷枚数に到達すると各部位の作動が停止して印刷動作が完了する。
上述の構成とすることにより、版胴11と用紙Pとの接触時間が長い表面印刷工程時における版胴11に対するプレスローラ12の圧接力を版胴11と用紙Pとの接触時間が短い裏面印刷工程時での同圧接力よりも低くすることで、分割製版済みマスタ14を介して版胴11から用紙Pに転写されるインキ量を均一化することにより用紙Pの両面における濃度差の発生を防止することができ、表裏での濃度差のない良好な両面印刷物を得ることができる。
上述した「自動」モードでは、第1の圧接力及び第2の圧接力としてそれぞれ予め設定されている値を用いているが、印刷される画像によっては圧接力を任意に設定したい場合がある。例えば、表面印刷画像として文字や線画が中心である画像を印刷し裏面画像としてべた画像を有する画像を印刷する場合等には、第2の圧接力を第1の圧接力と同等以下に設定しないと、裏面印刷工程時における版胴11からのインキ転移量が増大して用紙Pの両面での濃度差が発生してしまう。このような場合に、版胴11に対するプレスローラ12の圧接力を表面印刷工程時と裏面印刷工程時とでそれぞれ任意に設定する場合を以下に説明する。
両面印刷装置が印刷待機状態となった後、オペレータにより各種印刷条件が設定されると共にセレクトスイッチ29が「手動」に切り換えられ、圧接力設定キー30が押下されると、表示装置28の表示が図4に示すように変更される。図4に示した状態からオペレータは、タッチパネルである表示装置28の矢印キー36,37を押下してインジケータ38の反転部分を左右方向に移動させ、先ず表面印刷工程時におけるプレスローラ12の圧接力を選定する。そして、所望の圧接力を選定した後に表示装置28の設定キー39を押下することにより、選定された圧接力が設定されて制御手段35に記憶される。表面印刷工程時の圧接力が設定されると、表示装置28の表示が裏面印刷工程時におけるプレスローラ12の圧接力設定画面に切り替わり、オペレータは同様の手順で圧接力を選定して設定する。
表面印刷工程時及び裏面印刷工程時での圧接力の設定が終了した後、オペレータによって印刷スタートキー24が押下されると、上述と同様に両面印刷が行われる。制御手段35は、表面印刷工程時及び裏面印刷工程時の双方において、それぞれ圧接力可変機構21を作動させてプレスローラ12の圧接力を変化させ、設定された圧接力で両面印刷を行う。
この構成によれば、版胴11に対するプレスローラ12の圧接力を任意に設定することができるので、用紙Pの両面に印刷される画像に応じた最適な圧接力を設定することにより、表裏での濃度差のない良好な両面印刷物を得ることができる。
上述した「自動」モードでは、第1の圧接力及び第2の圧接力としてそれぞれ予め設定されている値を用いた構成としたが、この設定を初期設定モード時において任意に設定可能な構成としてもよい。この場合の圧接力の設定は、「手動」モード時と同様の手順で行われる。
上記実施形態では、押圧手段として版胴11よりも小径のプレスローラ12を用いた構成を示したが、押圧手段としてはプレスローラ12に代えて、版胴11とほぼ同径の圧胴を用いた構成としてもよい。
本発明の第1の実施形態を採用した両面印刷装置要部の概略正面図である。 本発明の第1の実施形態に用いられる操作パネルの概略図である。 本発明の第1の実施形態に用いられる制御手段のブロック図である。 本発明の第1の実施形態における圧接力設定手順を説明するための表示装置の概略図である。
符号の説明
1 両面印刷装置
2 印刷部
4 給紙部
6 排紙部
8 補助トレイ
9 再給紙手段
10 切換部材
11 版胴
12 押圧手段(プレスローラ)
21 圧接力可変機構
29 モード切換手段(セレクトスイッチ)
30 設定手段(圧接力設定キー)
34 送風手段(剥離ファン)
35 制御手段
P 用紙

Claims (3)

  1. 版胴及び前記版胴に対して接離自在に設けられた押圧手段を有する印刷部と、用紙を前記印刷部に向けて給送する給紙部と、前記印刷部において印刷がなされた印刷済み用紙を排出する排紙部と、前記印刷部においてその表面に印刷画像を形成された表面印刷済み用紙を一時的に貯容する補助トレイと、前記補助トレイ上に貯容された表面印刷済み用紙を前記印刷部に向けて再給紙する再給紙手段と、前記印刷部を通過した用紙を前記補助トレイまたは前記排紙部の何れかに案内する切換部材とを有し、前記用紙の一方の面に表面画像を印刷する表面印刷工程を行った後に前記用紙の他方の面に裏面画像を印刷する裏面印刷工程を行う両面印刷装置において、
    前記押圧手段の前記版胴に対する圧接力を変化させる圧接力可変機構と、表面印刷工程時と裏面印刷工程時とにおいて前記圧接力可変機構をそれぞれ制御する制御手段とを有し、前記制御手段は表面印刷工程時における前記圧接力が裏面印刷工程時における前記圧接力よりも低くなるように前記圧接力可変機構を制御することを特徴とする両面印刷装置。
  2. 請求項1記載の両面印刷装置において、
    表面印刷工程時における前記圧接力と裏面印刷工程時における前記圧接力とをそれぞれ設定する設定手段を有することを特徴とする両面印刷装置。
  3. 請求項1または2記載の両面印刷装置において、
    表面印刷工程時及び裏面印刷工程時において版胴外周面上から用紙を剥離する送風手段を有することを特徴とする両面印刷装置。
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