JP4213938B2 - 印刷装置における給版装置および印刷装置の給版方法 - Google Patents

印刷装置における給版装置および印刷装置の給版方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置等を含む印刷装置における給版装置および印刷装置の給版方法に関し、さらに詳しくは、比較的簡素な給版装置にて版胴にマスタを巻き付ける際、シワなく巻装可能な給版制御装置および給版制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
簡便な印刷方法としてデジタル式感熱孔版印刷装置を使用したデジタル式感熱孔版印刷(以下、単に「孔版印刷」という)が知られている。これは、熱可塑性樹脂フィルムと多孔質支持体とを貼り合わせた構造の感熱孔版マスタ(以下、「マスタ」という)に、微細な発熱素子がその主走査方向に多数並んだ製版手段としてのサーマルヘッドを接触させ、この発熱素子に対しパルス的に通電を行いながらマスタを熱溶融穿孔・製版し、この製版済みのマスタをプラテンローラ等(給版搬送手段ないしは製版手段)で搬送することにより、マスタの熱可塑性樹脂フィルムに画像情報に基づいた穿孔画像を形成した後、この穿孔製版されたマスタ(以下、「製版済みのマスタ」という)を多孔性円筒状の版胴に巻き付け、プレスローラや圧胴等の押圧手段によって版胴の外周面上の製版済みのマスタに印刷用紙を押し付けることで、版胴の開孔部分およびマスタの穿孔部分から滲出したインキを印刷用紙に転移させて所望の印刷画像を得るものである。
【0003】
このような孔版印刷装置において、本願出願人は、コストアップすることなくマスタのジャム処理時における操作性が良好であると共に、綺麗で確実な切断を行うことが可能であり、かつ、簡単で確実なマスタの初期セットを行うことが可能な孔版印刷装置に係る技術を提案した(例えば、特許文献1参照)。この技術では、特許文献1における発明の詳細な説明の段落番号「0004」ないし「0010」に記載されているとおり、特許文献2ないし特許文献5の有する問題点を解決するものであった。
【0004】
特許文献1の図1および図2に示されている孔版印刷装置例では、製版済みのマスタを吸引ファンや送風ファン等を用いて積極的に撓みボックス等に貯容するためのマスタ貯容手段やマスタストック手段を有していない、比較的簡素な構成部品や部材(以下、「構成要素」という)で構成されているものであった。撓みボックス等を備えたマスタ貯容手段やマスタストック手段を有する比較的高級な装置例としては、例えば特許文献6が挙げられる。
【0005】
そして、特許文献1記載の孔版印刷装置の動作は、その段落番号「0054」ないし「0057」に記載されているとおりであるが、その概要を後述する本発明の実施の形態を示す図2を借りて説明すれば次のようである。
すなわち、借用する図2において、先ず、ステッピングモータ30が起動(回転駆動開始)されることにより、給版搬送手段としてのプラテンローラ8および搬送ローラ11がそれぞれ同期して一定速度で回転駆動され、マスタロール6aよりマスタ6が引き出される。引き出されたマスタ6はサーマルヘッド7により加熱溶融穿孔・製版されつつ、プラテンローラ8および搬送ローラ11によって給版・搬送される。
【0006】
製版済みのマスタ6は各ガイド板等の案内手段によって案内されつつ搬送されて、上記図2に示されているように給版位置に停止した状態にある版胴50の拡開したクランパ51へと送られる。そして、製版済みのマスタ6の先端がクランパ51に到達したとステッピングモータ30のステップ数(またはパルス数)により判断されると、クランパ51が閉じることにより製版済みのマスタ6の先端部が固定・保持される。
その状態で、製版済みのマスタ6がさらに給版・搬送されると、同図2に示すように第2ガイド部材22とガイド板24との間の位置において、製版済みのマスタ6には撓み(以下、「マスタ撓み」という)が形成される。そして、ステッピングモータ30のステップ数により所定のマスタ撓みが形成されたと判断されると、メインモータ57が回転駆動されることにより、版胴50が図2の時計回り方向に回転して製版済みのマスタ6をその外周面に巻き付け始める。版胴50の回転速度(周速度)は、上記給版搬送手段による製版済みのマスタ6の給版搬送速度よりも速めに設定されている。これは、版胴50を回転駆動するメインモータ57の回転数は、孔版印刷装置の速い印刷速度側に合わせているので余り遅くできないからである。そのため、製版済みのマスタ6の版胴50への巻装は、版胴50が少しずつ間欠的に回転して行われる。このような版胴50の間欠的回転による製版済みのマスタ6の巻装量は、上記給版搬送手段側でのマスタ撓みが無くならない程度(例えば約20mm)に設定されている。以下、この従来の技術において、上記給版搬送手段側を、製版装置を含む給版装置という意味合いで製版給版装置1側と言い替えることとする。
【0007】
つまり、製版給版装置1側でマスタ撓みが一定量形成される→版胴50が回転して製版済みのマスタ6を巻き付ける→製版給版装置1側でマスタ撓みが小さくなる→版胴50が停止する→再び製版給版装置1側でマスタ撓みが一定量形成される→版胴50が回転して製版済みのマスタ6を巻き付ける→…という製版給版動作および巻装動作が繰り返され、ステッピングモータ30のステップ数より1版分のマスタ6が製版され給版搬送されたと判断されると、プラテンローラ8と搬送ローラ11の回転が停止され、この際の製版済みのマスタ6の最後の撓みが版胴50の回転によってなくなる前に、カッタ部材としての上・下回転刃16a,16bを備えたホルダ13が高速で往復動されて製版済みのマスタ6が切断される。切断された製版済みのマスタ6は版胴50の回転によって引き出され、マスタ一版分の巻装動作が完了する。
【特許文献1】
特開2000−6510号公報
【特許文献2】
特公平6−408号公報
【特許文献3】
特公平7−84086号公報
【特許文献4】
実公平3−40556号公報
【特許文献5】
特開平8−142480号公報
【特許文献6】
特開2001−150786号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のような上記制御によって、版胴50を一定量回転させても、実際には版胴50はその慣性で多めに回転する(以下、「オーバーラン」というときがある)。そのオーバーランは、例えば環境条件、インキの種類、構成部品のばらつき等によって、版胴50の回転負荷が変化することにより版胴50の回転量が変動するため、版胴50による製版済みのマスタ6の巻装量が大きかったり、逆に少なかったりするというようにばらばらになってしまう。
【0009】
ここで、環境条件としては、特に温度の変化によるインキ粘度の変化によって、版胴内部のインキ供給手段を構成するインキローラの回転負荷の変動等が挙げられる。インキの種類としては、例えばインキの色(顔料成分)の違いによるインキ粘度の変化によって、上記したと同様のインキローラの回転負荷の変動等が挙げられる。構成部品のばらつきとしては、特に版胴駆動系を構成する構成部品(ギヤ同士の噛み合いによるバックラッシュや、ベルトのテンション(張力)のばらつき、あるいは部品精度によるもの等)が挙げられる。
【0010】
上記したように版胴50での製版済みのマスタ6の巻装量がばらつくと、製版給版装置1で作られるマスタ撓みの大きさは、大きくなったり、小さくなったりすることにより、しまいには無くなったりする。
マスタ撓みが大きくなると、その製版済みのマスタ6が版胴50の外周面側に倒れて版胴50外周面上の開孔部分のインキ付着部に接触してその製版済みのマスタ50がインキで汚れたりするし、反対にマスタ撓みが無くなると、版胴50の回転によって製版済みのマスタ6を引っ張ってしまい正常な製版や給版ができなくなってしまう。その状態で製版済みのマスタ6を版胴50に巻き付けると、その製版済みのマスタ6にシワが発生し、異常画像として印刷されてしまうという問題点が発生する。
【0011】
上記問題点の発生は、撓みボックス等を備えたマスタ貯容手段を有していない、例えば上記特許文献1の図1および図2に示されているように比較的簡素な構成要素で構成されている製版給版装置の場合や、これと略同様の構成要素を具備する上記図2に示したような製版給版装置1の場合に顕著となる。上記したように環境条件、インキの種類、構成部品のばらつき等によって生じるマスタの巻装量のばらつきは、撓みボックス等を備えたマスタ貯容手段を有する製版給版装置の場合でも有るが、マスタ貯容手段を有する製版給版装置では、撓みボックス内に製版済みのマスタを積極的に貯容した後、一気に巻き付けるため(間欠送りしないのでオーバーランはしない)上記問題点はそれ程重要な課題とならない。 加えて、本発明の実施の形態における図1に示したような孔版印刷装置では、間欠送りすることにより、停止の位置(量)がばらつくため上記問題点の発生が顕著となってしまう。
【0012】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、製版済みのマスタを版胴に巻き付ける際、上記問題点を発生させずに常に一定量の製版済みのマスタの巻き付けを行えるように版胴の回転量(回転角度)を制御し、シワなく確実に巻装することができる印刷装置における給版装置および印刷装置の給版方法を提供することを第1の目的とする。
本発明の第2の目的は、撓みボックス等を備えたマスタ貯容手段の無い比較的簡素な構成の給版装置の場合に、第1の目的を達成することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決すると共に上記目的を達成するために、各請求項ごとの発明では以下の特徴的な手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、製版済みのマスタを巻き付ける版胴と、該版胴を回転駆動する版胴駆動手段と、製版済みのマスタを上記版胴に給版・搬送する給版搬送手段と、該給版搬送手段を駆動する給版搬送駆動手段とを具備する印刷装置における給版装置において、上記給版搬送手段による製版済みのマスタの送り量を検出するマスタ送り量検出手段と、上記版胴の回転量を検出する版胴回転量検出手段と、上記マスタ送り量検出手段からの上記製版済みのマスタの送り量に係る信号および上記版胴回転量検出手段からの上記版胴の回転量に係る信号に基づいて、上記製版済みのマスタの送り量が上記版胴の回転量に対応した製版済みのマスタの巻装量に対して不足とならず、かつ、上記給版搬送手段側でマスタ撓みが形成されるように上記版胴駆動手段を介して上記版胴の回転量を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の印刷装置における給版装置において、上記給版搬送手段は、給版時に、上記給版搬送駆動手段によって一定の速度で駆動されており、上記制御手段は、上記版胴の回転量が所定の回転量となったとき、上記版胴が停止し、上記給版搬送手段側で所定のマスタ撓みが形成されたとき、上記版胴が回転するように上記版胴駆動手段を制御することを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の印刷装置における給版装置において、上記給版搬送駆動手段は、パルス入力で駆動するモータであり、上記制御手段は、上記パルス入力で駆動するモータのパルス数を計数することにより、上記マスタ送り量検出手段を兼ねていることを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3記載の印刷装置における給版装置において、製版済みのマスタを切断する切断手段を有し、上記マスタ送り量検出手段による上記製版済みのマスタの送り量の検出開始位置は、上記切断手段による製版済みのマスタの切断位置に設定されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の印刷装置における給版装置において、上記版胴回転量検出手段による上記製版済みのマスタの巻装量の検出開始位置は、上記版胴が給版時に停止した位置に設定されていることを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の印刷装置における給版装置において、上記版胴回転量検出手段は、上記版胴駆動手段側に配設されたパルスエンコーダであることを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の印刷装置における給版装置において、上記版胴回転量検出手段は、上記版胴側に配設されたパルスエンコーダであることを特徴とする。
【0020】
請求項6および7におけるパルスエンコーダとしては、版胴の回転量(回転角度)および回転速度の検出が可能な相対的な回転量を検出するインクリメンタル型と、版胴の回転量、回転速度変動の検出および版胴の回転位置の検出が可能な絶対的な回転量を検出するアブソリュート型とがある。請求項6および7におけるパルスエンコーダは、後述する発明の実施の形態で採用しているインクリメンタル型の他、アブソリュート型の両方を含む。アブソリュート型を採用した場合は、排版位置検知手段や給版位置検知手段の配設を省略することも可能である。また、パルスエンコーダとしては、その検出性能の安定化および信頼性を上げるという点からはフォトエンコーダが好ましいが、これを望まなくても良いのであれば磁気式エンコーダ等であってもよい。
【0021】
請求項8記載の発明では、製版済みのマスタを巻き付ける版胴と、該版胴を回転駆動する版胴駆動手段と、製版済みのマスタを上記版胴に給版・搬送する給版搬送手段と、該給版搬送手段を駆動する給版搬送駆動手段とを具備する印刷装置の給版方法において、製版済みのマスタの送り量を常に検知しながら、上記製版済みのマスタの送り量が上記版胴の回転量に対応した製版済みのマスタの巻装量に対して不足とならず、かつ、上記給版搬送手段側でマスタ撓みが形成されるように、上記製版済みのマスタの送り量に合わせて上記版胴の回転量を制御することを特徴とする。
【0022】
請求項9記載の発明では、請求項8記載の印刷装置の給版方法において、上記給版搬送手段は、給版時に、上記給版搬送駆動手段によって一定の速度で駆動されており、上記版胴の回転量が所定の回転量となったとき、上記版胴を停止させ、上記給版搬送手段側で所定のマスタ撓みが形成されたとき、上記版胴を回転させるという、上記版胴を間欠的に回転させる制御を行うことを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。各実施形態や各変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図において一対で構成されていて特別に区別して説明する必要がない構成要素は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に代えるものとする。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0024】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態を適用した印刷装置の一例としての孔版印刷装置の全体構成を説明する。
図1に示す孔版印刷装置は、印刷装置本体としての骨組みをなす本体フレーム70の一側部に配置され、ロール状に巻かれたマスタ6を製版し版胴50に給版すべく搬送する製版給版装置1と、製版給版装置1の上部の本体フレーム70に配置された原稿受け台71上から移送される原稿72の表面の画像を読み取る原稿読取装置73と、この原稿読取装置73の下方の本体フレーム70の中央部に配置され、製版済みのマスタ6を外周面に巻き付ける版胴50、版胴50の内部に配設され版胴50上の製版済みのマスタ6にインキを供給するインキ供給装置53および版胴50上の製版済みのマスタ6に給送されてきた印刷用紙Sを相対的に押し付ける押圧手段としてのプレスローラ74等を備えたドラム印圧装置75と、製版給版装置1の下方に配置され、給紙台76上に積載された印刷用紙Sをドラム印圧装置75に給送する給紙装置77と、この給紙装置77に対向する本体フレーム70の下方に配置され、ドラム印圧装置75にて印刷された印刷用紙Sを排紙台78に排出する排紙装置79と、この排紙装置79と原稿読取装置73との間に配置され、版胴50の外周面から使用済みのマスタ6を剥ぎ取りこれを排版ボックス80内に排出・排版する排版装置81とを具備する。
【0025】
製版給版装置1は、図1ないし図3に示すように、芯管6bにマスタ6をロール状に巻かれて形成されたマスタロール6aからマスタ6を繰り出し可能にマスタロール6aを支持するマスタロール支持手段としてのマスタ支持部材2と、画像信号に応じてマスタ6の熱可塑性樹脂フィルム面を加熱穿孔製版する製版手段としてのサーマルヘッド7と、サーマルヘッド7にマスタ6を押し付けつつ給版搬送するプラテンローラ8と、プラテンローラ8に隣るマスタ搬送路の下流側に配設されプラテンローラ8と同期して回転駆動される搬送ローラ11と、プラテンローラ8および搬送ローラ11を回転駆動する給版搬送駆動手段としてのステッピングモータ30と、搬送ローラ11に隣るマスタ搬送路の下流側に配設され製版済みのマスタ6または未製版のマスタ6(以下、総括的に「製版済みのマスタ6」という)を切断する切断手段を備えたカッタユニット4と、カッタユニット4に隣るマスタ搬送路の下流側に配設され、版胴50のクランパ51に保持された製版済みのマスタ6に制動力を付与する反転ローラ26とを具備する。
上記のとおり、製版済みのマスタ6を版胴50の拡開したクランパ51に向けて給版・搬送する給版搬送手段は、プラテンローラ8および搬送ローラ11で構成されている。なお、図3では、図の簡明化を図るため、各ガイド部材やカバー9等の厚みを省略して単一の実線で示している。
【0026】
マスタロール6aには、例えば250〜300版に相当するシート状のマスタ6が巻装されている。マスタ6は、例えばポリエステルテレフタレート(PET)系等からなる1〜2μm程度の薄い熱可塑性樹脂フィルム(以下、「フィルム」というときがある)に対して多孔質支持体として和紙繊維を接着剤で貼り合わせてラミネート構造としたものが用いられる。マスタ6の幅は、例えばB4ヨコ(長手方向)に対応した寸法に設定されている。
マスタロール6aの芯管6bは、その両端に着脱自在に取り付けられる円板状のロールフランジ2aを介して、マスタ支持部材2によってマスタ繰り出し方向に回転自在かつ着脱自在に支持されている。なお、マスタ支持部材2は、マスタ6を繰り出し可能にマスタ6を貯容するマスタ貯容手段と呼ばれることもある。図2において、符号3はブレーキゴムを、符号5はマスタエンドセンサをそれぞれ示す。ブレーキゴム3は、ロールフランジ2aの外周面に軽く圧接することにより、マスタ6がマスタロール6aから自然に緩み出さない程度にロールフランジ2aを介してマスタロール6aに制動力を付与する機能を有する。マスタエンドセンサ5は、マスタロール6aに巻装されたマスタ6が交換を必要とする程残り少なくなったことを検知するものであり、例えば特開平10−202996号公報の図1ないし図3に示されている第3センサ(38)と同様の反射型の光学センサからなる。
【0027】
サーマルヘッド7は、固定部である本体フレーム70側に固設された図示しない側板側に圧縮ばね等の付勢手段を介して取り付けられている。サーマルヘッド7は、プラテンローラ8の軸方向に相当する主走査方向に沿って配列された多数の微小な発熱素子を有し、図示しないアナログ/デジタル(以下「A/D」と略記する)変換部、製版制御部等で処理されて送出されるデジタルの画像信号に基づき、その発熱素子に対する選択的な通電制御によって発熱素子を選択的に発熱させることにより発熱位置に対応するマスタ6のフィルム箇所を加熱溶融させて穿孔する周知の機能を有する。
プラテンローラ8は、上記側板に設けられた支軸9aを中心に開閉自在に支持された可動部であるカバー9に軸をもって回転自在に支持(以下、「軸支」という)されている。カバー9の支軸9a寄りの部位には、製版済みのマスタ6に十分な撓みを形成させるための、マスタ6の幅よりも大きな幅を有する逃げ孔9bが形成されている。
【0028】
ステッピングモータ30は、パルス入力で駆動するモータの一例であり、図3に二点鎖線で示すように、本体フレーム70側に固設された上記側板に固定して取り付けられている。ステッピングモータ30の図示しない出力軸には、二点鎖線で示すピニオンギヤ31が取り付けられており、ピニオンギヤ31は本体フレーム70側に軸支された二点鎖線で示す第1アイドルギヤ32に噛み合っている。第1アイドルギヤ32の同軸上には、第1アイドルギヤ32よりも小径の二点鎖線で示す第2アイドルギヤ33が一体的に設けられている。また、プラテンローラ8の回転軸の同軸上には、プラテンローラ8と一体的に設けられた二点鎖線で示す駆動ギヤ34が設けられており、駆動ギヤ34はカバー9に軸支された二点鎖線で示す第3アイドルギヤ35に噛み合っている。第2アイドルギヤ33と第3アイドルギヤ35とは、カバー9が閉じられたときに噛み合い、ステッピングモータ30の駆動力がプラテンローラ8に伝達されるように構成されている。これにより、第2アイドルギヤ33と第3アイドルギヤ35とで駆動力伝達手段が構成されている。
【0029】
第2アイドルギヤ33と第3アイドルギヤ35としては、特開2000−6510号公報の段落番号「0032」および図8(a)、(b)に記載ないしは図示されていると同様の、それぞれの刃先が正転位された正転位歯車が用いられている。これにより、各ギヤ33,35の刃先同士がぶつかることが防がれて、カバー9が閉じられなかったり、刃先の破損を防止することができる。
さらに、上述の構成において、特開2000−6510号公報の段落番号「0033」に記載されていると同様の利点を有する。すなわち、サーマルヘッド7およびステッピングモータ30が共に固定部側である本体フレーム70側に配設され、可動部側であるカバー9側にはこのような駆動手段が存在しないので、図3に二点鎖線で示すように可動部側が軽量で開閉し易く、本体フレーム70側とカバー9とに渡って配線をする必要がないと共に、コネクタ等の接続手段を設ける必要がなく、これにより組立性の向上を図ることができ、また、カバー9の開閉時における断線や接続不良といった不具合を防止して信頼性向上を図ることができる。また、サーマルヘッド7が本体フレーム70側に取り付けられ、カバー9の開放時にその発熱体が上側を向くので、サーマルヘッド7の清掃を簡単に行うことができる。さらに、プラテンローラに対してサーマルヘッドを相対的に接離させる、いわゆるモータやソレノイドおよびばね等で構成された自動的に接離させる接離手段や変位手段も採用する必要がないので、簡素な構成およびコストダウンに寄与している。
【0030】
搬送ローラ11は、カバー9に回転自在に軸支されている。搬送ローラ11は、搬送ローラ11の駆動手段をプラテンローラ8の駆動手段であるステッピングモータ30とする構成、すなわちプラテンローラ8の回転力をカバー9側に軸支された図示しないアイドルギヤを含むギヤ駆動力伝達手段や、タイミングベルト等の駆動力伝達手段により、プラテンローラ8と同期して回転駆動される。搬送ローラ11の周速度は、プラテンローラ8の周速度よりも若干速く設定されており、プラテンローラ8と搬送ローラ11との間の部位において、製版済みのマスタ6には所定の張力(フロントテンション)が付与される。なお、搬送ローラ11を、上記側板側に取り付けられた図示しない駆動手段および駆動力伝達手段により、駆動する構成としてもよい。搬送ローラ11の下方近傍には、マスタ6を案内するためのガイド板10が配設されている。ガイド板10は、図4に示すフレーム12に固着されている。
給版搬送手段としてのプラテンローラ8および搬送ローラ11は、少なくとも給版時に、ステッピングモータ30によってそれぞれ一定の速度で駆動される。
【0031】
カッタユニット4は、図2ないし図5に詳しく示すように、切断手段本体としてのフレーム12、カッタ部材としてのホルダ13、回転移動手段14等から主に構成されている。カッタユニット4は、特開2000−6510号公報の段落番号「0036」ないし「0043」に記載され、図2ないし図5に示されているものと同様の構成要素から構成されているため、重複説明を避ける上から、以下、主要な構成要素においてのみその機能を説明すると共に、細部の構成要素名称を挙げるに留める。
【0032】
フレーム12は、切断手段を備えたホルダ13をマスタ搬送方向と直交するマスタ幅方向に沿うように移動可能に支持しており、上記側板に固着されている。フレーム12には、上面12a、側壁12b、下面12cおよびストッパー12dが一体的に形成されている。フレーム12の一側端部には、ブラケット15が取り付けられて側壁が形成されている。
ホルダ13は、円板状の上回転刃16aを回転自在に支持する上刃ホルダ13aと、上回転刃16aと同形の下回転刃16bを回転自在に支持する下刃ホルダ13bと、各ホルダ13a,13bを一体的に繋ぐ接続部13cとを有していて、フレーム12に移動可能に支持されている。上回転刃16aおよび下回転刃16bは、製版済みのマスタ6を切断する切断手段としての機能を有する。
【0033】
下刃ホルダ13bは、その略半分の部位がフレーム12の空間内部を移動可能に配設されており、そのマスタ搬送方向下流側端部に下回転刃16bおよびこれと同軸上に一体的に設けられた高摩擦抵抗部材からなる下ローラ17bをそれぞれ回転自在に支持している。下ローラ17bは、その周面を上面12aの内面に接触させている。下刃ホルダ13bのフレーム12の空間内部に配置される部位には、回転移動手段14を構成する双方向送りねじ18と螺合する双方向ネジブッシュ13dが配設されている。
【0034】
上刃ホルダ13aは、接続部13cによって若干の隙間を持った状態で下刃ホルダ13bに連結されており、上回転刃16aおよびこれと同軸上に一体的に設けられた高摩擦抵抗部材からなる上ローラ17aをそれぞれ回転自在に支持している。上回転刃16aは、その刃面の一部が下回転刃16bとラップする位置に配設され、上ローラ17aは、下ローラ17bとで上面12aを挟み込むようにその周面を上面12aに接触させている。
上述の構成により、ホルダ13がフレーム12に沿って移動すると、この移動に伴って各ローラ17a,17bがそれぞれ逆方向に回転し、各ローラ17a,17bと一体的に設けられた上回転刃16aおよび下回転刃16bがそれぞれ逆方向に回転する。
【0035】
フレーム12には、回転移動手段14が配設されている。回転移動手段14は、双方向送りねじ18、カッタモータ19から主に構成されている。
双方向送りねじ18は、X字状の溝を形成された周知の構成であり、1方向に回転することにより螺合した双方向ネジブッシュ13dを往復動させる。双方向送りねじ18は、その一端を側壁12bに、他端をブラケット15にそれぞれ回転自在に支持されており、その他端側のブラケット15を貫通した位置には駆動ギヤ18aが一体的に取り付けられている。
【0036】
ブラケット15の一端には、カッタモータ19が取り付けられている。カッタモータ19は、例えばDCモータからなり、図示しない電源より電力を供給されて回転駆動され、その出力軸には駆動ギヤ18aと噛み合うピニオン19aが取り付けられている。また、ブラケット15の他端と上面12aとの間には、ホルダ13の初期位置を決めるホームポジション検知手段としてのリミットスイッチ20が取り付けられている。
【0037】
搬送ローラ11とカッタユニット4との間の位置には、ガイド部材としての第1ガイド部材21が配設されている。第1ガイド部材21は、ホルダ13のマスタ搬送方向上流側に配設されており、その一端をカバー9に取り付けられたガイド部材本体21aと、ガイド部材本体21aの他端に取り付けられたガイド片21bとから構成されている。ガイド片21bは、基端をガイド部材本体21aに固着されており、金属の薄板あるいは樹脂の薄板等の弾性体から構成されており、図4に示すように、製版待機中および製版搬送中のマスタ6の上方に位置し、ホルダ13の移動時においてその自由端が上刃ホルダ13aと上面12aとの間に入り込む位置に配設されている。上刃ホルダ13aには、その移動時にガイド片21bを上刃ホルダ13aと上面12aとの間に案内するための傾斜が移動方向先端部に形成されている。
【0038】
カッタユニット4に隣るマスタ搬送路の下流側には、第2ガイド部材22および可動ガイド板23が配設されている。第2ガイド部材22は、一端をカバー9に取り付けられており、他端は折り曲げられ、製版されて撓みを形成されたマスタ6をカバー9に形成された逃げ孔9bに向けて案内する。
【0039】
可動ガイド板23は、マスタ6の搬送経路を介して第2ガイド部材22と対向する位置に配置されており、本体フレーム70側の図示しない側板に基端を揺動自在に支持されており、その自由端はカッタユニット4のホルダ13の移動経路内であってフレーム12の下側に位置している。可動ガイド板23は、本体フレーム70側の図示しない側板に固着されたソレノイド等の図示しないガイド板揺動手段により、図の実線位置(第1の位置)とその自由端がホルダ13の移動経路より退避した図の二点鎖線位置(第2の位置)とに選択的に位置決めされる。これにより、上回転刃16aおよび下回転刃16bの配設位置のマスタ搬送方向下流側に、上回転刃16aおよび下回転刃16bと連続的にマスタの搬送をガイドする部材を配置することができ、上面12aと後述するガイド板25との間に大きな隙間や段差を生じさせることがないため、マスタ6の搬送不良が防止される。
【0040】
マスタ6の切断動作時においてホルダ13の移動経路より退避する可動ガイド板23の上面略中央部には、特開2000−6510号公報の図4に示されていると同様の、マスタ6の初期セット時においてマスタ6の先端位置の目安となるマスタ先端セット位置指標(図示せず)が設けられている。このマスタ先端セット位置指標は、シルク印刷、刻印、デカル等によって可動ガイド板23に一体に設けられている。これにより、マスタ6の初期セット時において、カバー9を開放した後に新しいマスタロール6aよりマスタ6の先端を引き出し、マスタ搬送経路の中央部の視認性がよいところで上記マスタ先端セット位置指標の矢印先端部に引き出したマスタ6の先端を合わせるだけで、誰にでも簡単にマスタ6の初期セットを行うことができる。
【0041】
ここで、カッタユニット4によるマスタ6の切断位置をそのまま次の製版待機位置としても、非切断時にはホルダ13がマスタ6の搬送経路から外れた位置にあり、マスタ6の搬送経路は上面12aと可動ガイド板23とで形成されるので、次に製版済みのマスタ6を搬送するときにその先端が引っかかるものは何もない。従って、切断後にマスタ6を再搬送する必要がなくなり、そのためのマスタ先端検知センサ等を省略することができると共にマスタ6の給版搬送制御も簡単となる。
上記マスタ先端セット位置指標の矢印先端部で示されたマスタ6の初期セット位置も、カッタユニット4の上回転刃16aおよび下回転刃16bによるマスタ6の切断位置と同一位置にすることができ、初期セット位置、製版待機位置、切断位置を全て同じ位置として処理することが可能となり、マスタ給版搬送制御の簡略化を図ることができる。
さらに、上述のマスタ初期セット時において、カバー9の閉塞時にガイド片21bが上方よりマスタ6を押さえ込むので、マスタ先端のカールが伸ばされると共に、長期間の放置によるマスタ先端のカールを防止することができる。
【0042】
可動ガイド板23に隣るマスタ搬送路の下流側には、ガイド板24,25が配設されている。ガイド板24は、マスタ搬送経路の上方に位置していて、上記側板に取り付けられており、製版され給版搬送されてマスタ撓みを形成された製版済みのマスタ6を版胴50へと導く。ガイド板25は、マスタ搬送経路を介してガイド板24と対向配置されており、上記側板に取り付けられている。ガイド板25には、後述する反転ローラ26の周面をマスタ搬送経路内に臨ませるための図示しない切欠孔が形成されている。
【0043】
ガイド板25のマスタ搬送方向下流側端部近傍には、反転ローラ26が配設されている。反転ローラ26は、その外周面が高摩擦抵抗部材で被覆されており、図示しないトルクリミッタを介して従動回転自在であり、かつ、図示しないソレノイドおよびばね等を具備したローラ揺動手段により図の実線位置と二点鎖線位置とに選択的に位置決めされる。なお、ローラ揺動手段は、図1および図2に示したように、版胴50が給版位置で停止しているとき、本体フレーム70側に配設されクランパ51を開閉する図示しない開閉装置によるクランパ51の開閉動作に連動して揺動する機構であってもよい。
【0044】
上述したとおり、製版給版装置1は、特開2000−6510号公報(特許文献1)の図1および図2に図示されている版胴(1)を除く孔版印刷装置の要部と比較して、ブレーキゴム3とマスタエンドセンサ5とを配設したこと、カバー9の形状および駆動ギヤ34と第3アイドルギヤ35との大きさを変更したことが主に相違するだけであり、他の構成は同様である。
従って、製版給版装置1は、上述したとおり特開2000−6510号公報に記載されていると略同様の利点を有する。製版給版装置1側の給版動作に係る主要な制御構成要素としては、センサ類としてマスタエンドセンサ5およびリミットスイッチ20が挙げられ、アクチュエータ類としてカッタモータ19およびステッピングモータ30が挙げられるだけであり、給版装置の制御構成として極めて簡素な制御構成をなしている。
【0045】
原稿読取装置73は、複数枚の原稿72を積載する上記した原稿受け台71と、原稿72を載置する読取部としてのコンタクトガラス82と、原稿72を1枚ずつ分離して搬送する原稿分離ローラ83と、分離された原稿72を搬送・排出する原稿搬送ローラ群84と、搬送されてきた原稿72の画像を読取部としてのコンタクトガラス86で読み取るための固定して設けられた画像読取手段としてのCIS(密着イメージセンサ)85と、読み取られた原稿72を積載する原稿排紙台87と、コンタクトガラス82,86を除く上記各部材を支持しコンタクトガラス82,86に対して接離・開閉自在に設けられた圧板88と、原稿72の画像を照明しつつ走査して読み取るための反射ミラー89,90a,90bおよび蛍光灯91と、走査して読み取られた画像の反射光を集束するレンズ92と、集束された画像の反射光を処理するCCD(電荷結合素子)等を備えた画像センサ93等とを具備している。
【0046】
上記構成中、原稿受け台71、原稿分離ローラ83、原稿搬送ローラ群84、CIS85および原稿排紙台87によって、コンタクトガラス86(読取部)上に原稿72を1枚ずつ給送する自動原稿給送手段としての自動原稿搬送装置(以下「ADF」という)94が構成されている。また、コンタクトガラス82、各反射ミラー89,90a,90b、蛍光灯91、レンズ92および画像センサ93によって、原稿72の画像をコンタクトガラス82(読取部)上で読み取る原稿読取手段としてのスキャナ95が構成されている。
CIS85および画像センサ93は受光した反射光に対応して光電変換をし、これにより得られたアナログの画像信号を本体フレーム70内の上記A/D変換部に入力する。
【0047】
版胴50は、図1、図2および図6に示すように、版胴50の両側には、図6に示す端板101Eが配設されており、これらの端板101Eは図示しない軸受を介して支軸52の周りに回動自在に支持されている。版胴50は、支軸52の中心軸線方向に延在して設けられていて、インキ通過性の多数かつ微細な開孔が形成された金属製の円筒状の支持円筒体と、この支持円筒体の外周面に巻き付けられその外周面にインキを保持、拡散し、押圧によりインキを吐出する層としての図示しない多孔質弾性体層(樹脂または金属製のメッシュスクリーン層)との2層構造となっている。
【0048】
図2に詳しく示すように、版胴50には、クランパ51およびステージ部51b配置部の周辺を除くその円周上の所定の範囲にわたり上記開孔が形成された印刷可能領域と、上記開孔が形成されていないインキ不通過性の非印刷領域とが形成されている。非印刷領域は版胴50の両側端縁部にも設けられている。
上述した実施形態の孔版印刷装置の機種展開に伴い、版胴50の外径(直径)は、実施例的に言うと162mmであり、B4版以下の比較的小さいサイズの印刷用紙Sおよびマスタ6に対応した大きさとなっていて、比較的小型に形成されている。
【0049】
版胴50には、製版済みのマスタ6の先端部を固定・保持する保持手段としてのクランパ51が版胴50の外周部の一母線に沿って配設されている。クランパ51は、所定角度回動自在なクランパ軸51aをもって版胴50の外周部に枢着され、揺動・開閉自在となっている。クランパ51は、ゴム磁石を有していて、版胴50が後述する排版位置または給版位置を占めたときに、本願出願人が提案した特開平6−247031号公報(特願平5−39088号)の図1ないし図7に示されている原紙係止装置(60)と同様の構成を具備する開閉装置により、版胴50の外周部に設けられた強磁性体からなるステージ部51bに対して開閉される。クランパ51の閉時において、クランパ軸51aに巻着されたねじりコイルバネ等の付勢手段によりその閉じ力を補助する構成のものもある。
【0050】
インキ供給装置53は、版胴50の内周面にインキを供給するインキローラ54と、インキローラ54と微小間隙を置いて平行に配置されていて、インキローラ54との間にインキ溜まり56を形成するドクタローラ55と、支軸52を兼ねると共にインキ溜まり56へインキを供給するインキ供給管52とから構成されている。
インキローラ54、ドクタローラ55は、ギヤやベルト等の回転伝達手段を介して版胴駆動系のメインモータ57に連結されていて、メインモータ57により駆動される。インキ溜まり56からインキローラ54の外周面に供給されたインキは、版胴50とインキローラ54の外周面とに僅かに隙間を設けているために、版胴50の内周面に供給される。インキは、適宜の位置に配置されたインキパックからインキポンプにより圧送され、インキ供給管52の供給孔よりインキ溜まり56へ供給される。
【0051】
版胴50は、複数の印刷速度に対応してその回転速度を変えることが可能なように後述する図6に示す版胴駆動系としての版胴駆動機構61を介して連結され、版胴50を回転駆動する版胴駆動手段としてのメインモータ57によって回転される。メインモータ57は、制御用モータであるDCモータからなり、上述したように比較的小型の版胴50を回転駆動させることおよび後述する給紙駆動系に駆動力を伝達しないようになされているので今までのメインモータよりも小型化されている。
図6に示すように、版胴駆動機構61は、版胴50を回転させると共に、プレスローラ74を版胴50の外周面に圧接する図1および図2に二点鎖線で示す印圧位置とこの印圧位置から離間した図1および図2に実線で示す非印圧位置とに版胴50の回転に同期させて揺動・変位させる機能を有する。版胴駆動機構61は、本体フレーム70に固設された正逆転可能な上記したメインモータ57と、このメインモータ57とカム軸166aとの間に介装された減速手段152と、本体フレーム70内に装着された版胴50とカム軸166aとの間に介装された同期手段157とから主に構成される。
【0052】
減速手段152は、メインモータ57の出力軸57a端部に取付けられたタイミング駆動プーリ151と、本体フレーム70にプーリ軸153aをもって回転自在に支持されたタイミングプーリ153と、タイミング駆動プーリ151とタイミングプーリ153との間に掛け渡されたタイミングベルト155と、タイミングプーリ153のプーリ軸153aと同軸に取付けられた小径ギヤ154と、カム軸166aと同軸に取付けられ小径ギヤ154と噛み合う大径ギヤ156とから構成される。
同期手段157は、印圧カム166と大径ギヤ156との間のカム軸166a上に取付けられたタイミング下プーリ158と、本体フレーム70にプーリ軸160aをもって回動自在に支持されたタイミング上プーリ160と、タイミング下プーリ158とタイミング上プーリ160との間に掛け渡されたタイミングメインベルト159と、プーリ軸160aの端部に取付けられた脱着ギヤ161とから主に構成される。
【0053】
タイミング下プーリ158とタイミング上プーリ160とは、同径の歯付きの外周部を有していて、それぞれの回転比が1:1となるようにタイミングメインベルト159で連結され回動されるようになっている。印圧カム166は、装置の組立て時において、版胴50の開孔範囲である印刷可能領域に対応した印圧範囲とプレスローラ74の上記印圧位置とを考慮して、版胴50の回転とのタイミングを取ってカム軸166aに固定されている。一方、版胴50手前側の端板101Eには、脱着ギヤ161と選択的に噛み合い脱着ギヤ161と同歯数を有するドラムギヤ162が一体的に固着されている。メインベルト159の略中央部に近接した本体フレーム70には、この本体フレーム70に移動可能かつ回動自在に支持されたテンションローラ165が設けられていて、このテンションローラ165は、メインベルト159の略中央部に圧接するようになっている。
【0054】
一方、メインモータ57側には、版胴の50の回転量(回転角度)を検出する版胴回転量検出手段としてのパルスエンコーダ62が配設されている。パルスエンコーダ62は、メインモータ57の出力軸57aに固定されたインクリメンタル型のフォトロータリエンコーダからなるスリット円板63と、スリット円板63近傍の本体フレーム70に固定され、スリット円板63を所定の間隔をもって挾み付ける透過型の光学センサ(フォトインタラプタ)からなるエンコーダセンサ64とから構成される。メインモータ57の回転駆動によるスリット円板63との回転動作に協働して発生された所定のパルス数をエンコーダセンサ64で検出することにより、版胴50の回転量や回転速度が検出されるようになっている。これにより、メインモータ57を介して版胴50の回転量や回転速度の制御がなされるようになっている。
版胴駆動機構61を介して、メインモータ57の回転駆動力を版胴50に伝達する際の減速比は、1/4〜1/10程度に設定されている。
【0055】
ここで、版胴駆動機構61の動作を前もって簡単に述べておく。まず、メインモータ57が回転駆動されることにより、タイミング駆動プーリ151と減速手段152のタイミングベルト155を介してタイミングプーリ153および小径ギヤ154と、大径ギヤ156とがそれぞれこの順に減速・回転される。そして、大径ギヤ156の回転と共に印圧カム166および同期手段157のタイミング下プーリ158が回転され、さらにタイミングメインベルト159を介して脱着ギヤ161が回転され、これによりドラムギヤ162が回転される。上記したように、タイミング下プーリ158とタイミング上プーリ160との、脱着ギヤ161とドラムギヤ162との各々の回転比が、1:1であることにより、印圧カム166と版胴50とは、1:1の回転比で同期して回転されることになり、結局、版胴駆動機構61の駆動によって、版胴50が回転されると共に、印圧カム166の大径部とプレスローラ74側の印圧アームブラケット(図示せず)に回動自在に設けられた図示しないカムフォロアとの選択的な係合を介して、プレスローラ74が上記印圧位置と上記非印圧位置とに版胴50の上記回転動作に同期して揺動・変位される。
【0056】
図2に示すように、版胴50の図における奥側の端板には、版胴50の回転位置を検知し割り出すための版胴50の紙面の奥側に突出した正面視で略「く」字状をなす遮光片58が固定されている。
一方、版胴50の図2における奥側の端板に対向した本体フレーム70側の所定位置には、版胴50がそのクランパ51を版胴50の略左横ないしは左斜め上方に位置させる排版位置を占めたときに、遮光片58と係合することによってその排版位置を検知するための排版位置検知手段としての排版位置センサ59と、版胴50がそのクランパ51を版胴50の略右横に位置させる給版位置を占めたときに、遮光片58と係合することによってその給版位置を検知するための給版位置検知手段としての給版位置センサ60とが配置されている。上記排版位置は、版胴50の初期位置(ホームポジション)を兼ねている。排版位置センサ59および給版位置センサ60は、透過型の光学センサからなる。
【0057】
版胴50は、例えば特開平5−229243号公報の図2および図3に示されている版胴装置(55)と同様に、図6に示すように、インキ供給装置53等と共にユニット化されたドラムユニット100を構成している。すなわち、ドラムユニット100は、インキ供給装置53がその内部に配設された版胴50と、支軸52と、長板状の把持フレーム101Hの両端部にそれぞれ垂設され、支軸52を介して版胴50を回転自在に支持する後フレーム101Aおよび前フレーム101Bと、インキポンプ装置およびインキ装置配管部(共に図示せず)等とを具備する。
ドラムユニット100は、上記特開平5−229243号公報の図2に示されている保持手段(36)と同様の構成を具備する本体フレーム70側に設けられた着脱手段を介して、本体フレーム70に対して着脱自在となっている。
【0058】
図1および図2に示すように、インキローラ54に対向する版胴50の外周面の下方近傍には、上下に揺動し印刷用紙Sを版胴50へ押し付けるプレスローラ74が配置されている。プレスローラ74は、金属製のプレスローラ軸96に耐油性を有するゴム等の弾性体を一体的に固着して構成されており、版胴50の軸線方向に延在して設けられている。プレスローラ74は、その横幅が版胴50の横幅と略同じ長さとなるように形成されていて、プレスローラ74は、紙面の手前側および奥側において略同様の形状および同一の位相をもって配設された一対の印圧アーム97の一端部に回転自在に支持されている。印圧アーム対97は、本体フレーム70に所定角度回動自在に支持された印圧アーム軸98に固着されていて、図6に示した印圧カム166および付勢手段としての引張りばね等を含んで構成された図示しない接離手段によって版胴50の回転と同期して揺動される。これにより、プレスローラ74は、版胴50の外周面に圧接した印刷位置とこの印刷位置から離間した非印刷位置との間に揺動・変位される。プレスローラ74は、非印刷位置を占めたとき図示しないソレノイドおよび付勢手段としての引張りばね等で構成された押圧保持手段で保持される。
【0059】
給紙装置77は、印刷用紙Sを繰り出し可能に積載して昇降自在な上記した給紙台76と、給紙台76上に積載された印刷用紙Sに接触して1枚ずつ分離してレジストローラ対45のニップ部に向けて給送する給紙手段と、給紙手段により搬送されてきた1枚の印刷用紙Sの先端を受け止めその先端部に所定のたわみを形成した後、版胴50とプレスローラ74との間にタイミングを取って給送するレジスト手段としてのレジストローラ対45とを具備している。
【0060】
給紙台76は、給紙台76を上下動させる図示しない駆動手段としての給紙台昇降モータおよびワイヤ式昇降機構等を備えた駆動装置(図示せず)により、積載された印刷用紙Sの最上位が常に給紙ローラ41に所定の押圧力(印刷用紙Sが搬送可能な押圧力)をもって接触するように、すなわち印刷用紙Sの増減に連動して印刷用紙Sが搬送可能な範囲の押圧力で接触する状態を保持しつつ昇降される。給紙台76には、用紙サイズに応じて印刷用紙Sの両側端を位置決め揃えるための一対のサイドフェンスが用紙幅方向Yに移動自在に配設されている。
【0061】
給紙手段は、給紙台76上の最上位の印刷用紙Sに接触してレジストローラ対45のニップ部に向けて印刷用紙Sを送り出す給紙ローラ41と、給紙ローラ41から送り出された印刷用紙Sを分離部材43との協働作用により1枚ずつ分離してレジストローラ対45のニップ部に向けて給送する分離ローラ42とから構成されている。
給紙ローラ41は、給紙ローラ軸と一体的に形成されていて、該給紙ローラ軸の一端部が給紙装置77における用紙搬送方向Xの左右(図1の紙面の奥側および手前側)に固設された給紙側板対の一方に回転自在に支持されている。給紙ローラ41の表面は、少なくともゴム等の高摩擦抵抗部材で形成されている。給紙ローラ軸の一端部には、歯付きの給紙ローラプーリ(図示せず)が取り付けられている。上記給紙ローラ軸と上記給紙ローラプーリとの間には、用紙搬送方向Xにのみ印刷用紙Sを搬送するように給紙ローラ41を回転させる、つまり時計回りにのみ回転させるためのワンウェイクラッチ(図示せず)が配設されている。
【0062】
分離ローラ42は、分離ローラ軸と一体的に形成されていて、該分離ローラ軸の一端部が給紙側板対の一方に回転自在に支持されている。分離ローラ42の表面は、少なくともゴム等の高摩擦抵抗部材で形成されている。分離ローラ軸の一端部には、歯付きの分離ローラプーリ(図示せず)が取り付けられている。上記分離ローラ軸と上記分離ローラプーリとの間には、用紙搬送方向Xにのみ印刷用紙Sを搬送するように給紙ローラ41を回転させるためのワンウェイクラッチ(図示せず)が配設されている。上記分離ローラプーリと上記給紙ローラプーリとの間には、歯付きのベルトが掛け渡されていて、分離ローラ42と給紙ローラ41とは、回転駆動力伝達関係にある。
【0063】
分離部材43は、印刷用紙Sに対する摩擦係数の高いゴムや樹脂で形成され給紙ローラ41に当接可能となっている分離パッドと呼ばれる部材を有している。この分離パッドは、付勢手段としての図示しない圧縮バネにより分離ローラ42に押し付けられる向きに付勢されている。
上記分離ローラプーリの近傍には、分離ローラ42および給紙ローラ41を回転駆動する給紙駆動手段としての給紙モータ44が上記給紙側板に固定して設けられている。給紙モータ44は、パルス入力で駆動するモータとしての例えばステッピングモータからなり、その出力軸には歯付きの給紙モータプーリ(図示せず)が固設されている。上記分離ローラプーリと上記給紙モータプーリとの間には、歯付きの給紙モータベルト(図示せず)が掛け渡されている。これにより、分離ローラ42と給紙ローラ41と給紙モータ44とは、上記給紙モータベルト、上記ベルトおよび上記各ワンウェイクラッチを介して、回転駆動力伝達関係にある。
【0064】
上側および下側の各レジストローラ45は、各レジストローラ軸と一体的に形成されていて、各レジストローラ軸の両端部が上記給紙側板対に回転自在に支持されている。下側のレジストローラ軸の一端部には、歯付きのレジストローラプーリ(図示せず)が取り付けられている。
下側のレジストローラ45は、上記レジストローラ軸を介して、上記給紙側板に移動不能にかつ回転自在に支持されている。上側のレジストローラ45は、下側のレジストローラ51に対して所定のタイミングで当接するように図示しないレジストローラ接離手段を介して接離自在に設けられている。
【0065】
下側のレジストローラ45の下方には、下側のレジストローラ45を回転駆動するレジスト駆動手段としてのレジストモータ46が上記給紙側板に固定して設けられている。レジストモータ46は、パルス入力で駆動するモータとしての例えばステッピングモータからなり、その出力軸には歯付きのレジストモータプーリ(図示せず)が固設されている。上記レジストローラプーリと上記レジストモータプーリとの間には、歯付きのレジストモータベルト(図示せず)が掛け渡されている。これにより、下側のレジストローラ51とレジストモータ46とは、上記レジストモータベルトを介して回転駆動力伝達関係にある。
【0066】
排紙装置79は、上記した排紙台78と、ドラム印圧装置75で印刷された印刷済みの印刷用紙Sを版胴50から分離・剥離するエアーナイフ104と、送風ファン105と、従動ローラ109と駆動ローラ108との間に掛け渡された多孔性の搬送ベルト110と、吸引用ファン106等とを具備している。
【0067】
エアーナイフ104は、印刷用紙Sが版胴50の外周面に貼り付いて巻き上がるのを防止するために、その先端部がノズルになっている。エアーナイフ104のノズルには、図示しない空気圧発生装置のポンプから印刷用紙Sの先端の搬送と同期して圧縮空気流が高速で吐出され、印刷用紙Sの先端部に吹き付けられるようになっている。エアーナイフ104は、エアーナイフ軸を中心に版胴50の外周面に近接した位置と、離間した位置とに揺動可能となっている。エアーナイフ104の左方には、送風ファン105が設けられていて、印刷用紙Sの版胴50への巻き上がり防止のために、エアーナイフ104による印刷用紙Sの分離・剥離作用を補助している。
搬送ベルト110は、版胴50の周速度と略同じ搬送速度で版胴50と同期して図示しない駆動モータによって駆動されるようになっていて、分離・剥離された印刷済みの印刷用紙Sを吸引しつつ排紙台78上に搬送排出する。上記した送風ファン105の回転により送られる空気は、エアーナイフ104の左上方から印刷済みの印刷用紙Sの表面へと吹き付けられる。これは、印刷済みの印刷用紙Sの搬送ベルト110からの浮き上がり防止のためと印刷画像のインキ乾燥の促進のためでもある。
【0068】
排版装置81は、図1に示すように、版胴50上の使用済みのマスタ6を剥離・搬送排出する排版手段としての上排版ローラ47および下排版ローラ48と、剥離・搬送排出された使用済みのマスタ6を収納する排版容器としての上記した排版ボックス80と、排版ボックス80内を図1における時計回り方向に回転し使用済みのマスタ6を圧縮してその収納量を増大させる圧縮板49等とを具備している。
【0069】
上排版ローラ47は、本体フレーム70に揺動自在に支持された図示しないブラケットに回転自在に支持されており、図示しない排版モータを備えた排版駆動手段によって回転駆動される。上排版ローラ47を支持する上記ブラケットは、図示しない揺動手段により揺動される。この揺動手段により、上排版ローラ47は、その外周面を版胴50の外周面より離間させる図1に実線で示す待機位置と、その外周面を版胴50の外周面に接触させる図1に二点鎖線で示す剥離位置とを選択的に占める。下排版ローラ48は、本体フレーム70に回転自在に支持されており、図示しないばね等の付勢手段の付勢力によってその外周面を上排版ローラ47の外周面に対して所定の圧接力で圧接されており、上排版ローラ47の回転時に従動回転する。
排版ボックス80は、版胴50の軸線方向に延在して筒状をなしている。排版ボックス80は、本体フレーム70に対して図示しない着脱手段を介して着脱自在になされている。圧縮板49は、図1に実線で示す待機位置と二点鎖線で示す圧縮位置との間で揺動自在になっており、図示しない圧縮板駆動モータによって駆動される。
【0070】
図7を参照して、本実施形態における孔版印刷装置の制御構成を説明する。
図1および図7において、符号65は、孔版印刷装置の主として製版・給版制御を行うための制御装置を示している。以下、説明の簡明化を図るため、孔版印刷装置の製版・給版制御以外の全体動作を制御するものとして図示しないメイン制御装置があり、上記メイン制御装置と制御装置65とは互いに指令信号やオン/オフ信号あるいはデータ信号等を送受信しているものとして説明する。図7のブロック図では、あくまでも説明の簡明化を図るため最少の制御構成要素のみ図示している。
制御装置65は、CPU(中央演算処理装置)66、図示しないI/O(入出力)ポート、RAM(読み書き可能な記憶装置)67、ROM(読み出し専用記憶装置)68およびタイマ69等を備え、それらが信号バスによって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。
【0071】
制御装置65のCPU66(以下、説明の簡明化を図るため単に「制御装置65」というときがある)は、上記入力ポートおよび各センサ入力回路を介して、給版位置センサ60およびエンコーダセンサ64と電気的に接続されていて、給版位置センサ60から版胴50が給版位置に停止していることに係る出力信号(オン/オフ信号)およびエンコーダセンサ64から版胴50の回転量に係る出力信号(パルス信号)を受信する。
制御装置65は、上記出力ポートおよび図示しない各モータ駆動回路を介して、ステッピングモータ30およびメインモータ57に電気的に接続されていて、ステッピングモータ30およびメインモータ57を制御する指令信号を上記各モータ駆動回路に送信する。
【0072】
説明が前後するが、本発明における給版装置は、後述する効果を奏するように、一版の製版済みのマスタを版胴に巻装し終えるに必要な構成要素を具備する装置構成を意味している。この意味において、図7のブロック図は、第1の実施形態における孔版印刷装置の主として給版制御を行うための制御構成を示しているのである。従って、上述したカッタユニット4のカッタモータ19やリミットスイッチ20、さらには上記開閉装置の図示しない駆動手段(例えば、上記特開平6−247031号公報の図1等に示されているラック駆動モータ(45))等も上記給版装置の制御構成要素に含めてもよいが、図7のブロック図ではあくまでも説明の簡明化を図る上からそれらの図示を省略している。
【0073】
制御装置65のCPU66は、ステッピングモータ30に供給するパルス数(またはステッピングモータ30のステップ数)を計数することにより、プラテンローラ8および搬送ローラ11による製版済みのマスタ6の送り量を検出する機能を有していて、マスタ送り量検出手段を兼ねている。
【0074】
第1に、制御装置65は、ステッピングモータ30に供給するパルス数(マスタ送り量検出手段からの製版済みのマスタ6の送り量に係る信号)およびエンコーダセンサ64からの版胴50の回転量に係るパルス信号に基づいて、製版済みのマスタ6の送り量が版胴50の回転量に対応した製版済みのマスタ6の巻装量に対して不足とならず、かつ、プラテンローラ8および搬送ローラ11(給版搬送手段)側でマスタ撓みが形成されるようにメインモータ57を介して版胴50の回転量を制御する制御手段としての基本的な制御機能を有する。
【0075】
第2に、制御装置65は、ステッピングモータ30に供給するパルス数およびエンコーダセンサ64からの版胴50の回転量に係るパルス信号に基づいて、版胴50の回転量が所定の回転量となったとき、版胴50が停止し、プラテンローラ8および搬送ローラ11(給版搬送手段)側で所定のマスタ撓みが形成されたとき、版胴50が回転するようにメインモータ57を制御する制御手段としての制御機能を有する。
【0076】
RAM67は、CPU66での計算結果を一時記憶したり、給版位置センサ60やエンコーダセンサ64からのオン/オフ信号やパルス信号を随時記憶したりしてこれら信号の入出力を行う。
ROM68には、CPU66が上記制御機能を発揮するための関係データや主として給版時の動作を行うためのプログラムが予め記憶・格納されている。また、ROM68には、上・下回転刃16a、16bによる製版済みのマスタ6の切断位置から給版位置を占めた(停止した)版胴50の拡開したクランパ51の挟持位置までの製版済みのマスタ6の搬送距離と、ステッピングモータ30に供給するパルス数との関係データや、給版位置を起点とする版胴50の回転量に対応した製版済みのマスタ6の巻装量とステッピングモータ30に供給するパルス数との関係データ等が予め記憶・格納されている。
【0077】
上述のように構成された孔版印刷装置の動作について説明する。
まず、マスタ初期セット時の動作を説明する。カバー9が図3に二点鎖線で示すように開放され、マスタ支持部材2にセットされた新しいマスタロール6aから使用者によってマスタ6の先端が引き出され、その先端が可動ガイド板23上に表示された図示しないマスタ先端セット位置指標に合わせられた後にカバー9が閉じられる。
【0078】
次いで、原稿読取装置73の原稿受け台71に原稿72がセットされ、図示しない操作パネルの製版スタートキーが押されることにより製版スタート信号が生成されて、これが上記メイン制御装置および制御装置65に入力されることによって排版から排紙に亘る一連の動作が自動的に行われる。
この時、版胴50の初期位置(ホームポジション)は、排版位置を占めて停止している状態にあり、これは排版位置センサ59によって検知されている。カッタユニット4は、図5に二点鎖線で示すマスタ搬送経路から退避した初期位置に、可動ガイド板23は、図1ないし図3の実線位置に、また、反転ローラ26は、図2および図3の二点鎖線位置にそれぞれ位置決めされている。
【0079】
最初に排版動作が行われ、これと一部並行して原稿72の読取動作および製版動作が行われるが、これに先後して、上記給紙台昇降モータがオンすることにより給紙台76が上昇して、最上の印刷用紙Sが給紙ローラ41に当接することにより、図示しない給紙位置検知センサのオン検知によって最上の印刷用紙Sが給紙可能な状態になったことが上記メイン制御装置により判断されると、給紙装置77では給紙待機状態となる。
【0080】
次いで、上記開閉装置の作動によってクランパ軸51aが回動されて、排版位置を占めている状態の版胴50のクランパ51がステージ部51bに対して開放されると、排版装置81が作動する。すなわち、上排版ローラ47が上記揺動手段により揺動されると共に、上記排版モータの回転駆動により回転されることによって、図1に二点鎖線で示す剥離位置を占めて、上排版ローラ47は拡開されたクランパ51とステージ部51b上の使用済みのマスタ6の先端部を引き剥がした後、図1に実線で示す離間位置を占め、下排版ローラ48との協働により引き剥がした使用済みのマスタ6を図中矢印方向に搬送排出し、さらに圧縮板49の揺動によって使用済みのマスタ6は排版ボックス80の内部で圧縮・廃棄される。
この際、メインモータ57が回転駆動されることにより版胴50が図1の矢印方向に回転し、版胴50に巻装されている使用済みのマスタ6が上記した排版装置81の作動によって版胴50の外周面から剥離され排版ボックス80へ廃棄されていき、版胴50上の使用済みのマスタ6が完全に剥離・排版されると排版動作が終了する。その後、給版位置センサ60によって版胴50の回転位置が検出されることを介して、版胴50が図1および図2に示す給版位置で停止すると、上記開閉装置の作動によって再びクランパ51がステージ部51bから開放され、給版待機状態となる。
【0081】
一方、原稿読取装置73においてADF94が作動することにより、原稿72の画像がCIS85によって読み取られ、上記A/D変換部および上記製版制御部で処理されて送出されるデジタルの画像信号によって、サーマルヘッド7の発熱素子が選択的に発熱され、マスタ6が画像情報に応じて選択的に加熱穿孔され始める。
上記製版動作と同時的に、ステッピングモータ30が起動(回転駆動開始)されることにより、給版搬送手段としてのプラテンローラ8および搬送ローラ11がそれぞれ同期して一定の速度で回転駆動され、マスタロール6aからマスタ6が引き出されつつ搬送される。
【0082】
上記したようにステッピングモータ30を介して、プラテンローラ8および搬送ローラ11が一定の速度で回転駆動されていることにより、製版済みのマスタ6が一定の速度で搬送されているため、ステッピングモータ30へ供給されるパルス数によって製版済みのマスタ6が例えば何mm搬送したかは制御装置65によって検出され認識されている。
以下、説明の簡単化のため、例えば製版・給版搬送系および版胴駆動系における前提条件が以下のように予め設定されているものとする。すなわち、第1に、ステッピングモータ30へ1パルス供給したときの駆動で、プラテンローラ8および搬送ローラ11の回転によって製版済みのマスタ6が1mm搬送されるものとする。
第2に、版胴50が給版位置に停止し拡開したクランパ51によって製版済みのマスタ6の先端が挟持・保持される位置から上・下回転刃16a,16bによる製版済みのマスタ6の切断位置(製版開始位置とする)までの製版済みのマスタ6の搬送距離が80mmであるものとする。
【0083】
第3に、製版・給版時において版胴50によって製版済みのマスタ6一版分の製版済みのマスタ6の給版搬送が完了する(カッタユニット4が作動する)までの間に、製版給版装置1側の第2ガイド部材22とガイド板24との間に最大で70mmに相当するマスタ撓みが形成されるものとする。
第4に、制御装置65によるメインモータ57の回転駆動制御によって、版胴50はその回転量で14度回転すると(14/360×π×162≒20mm)、その外周面上に製版済みのマスタ6の巻装量として20mm巻き付けて停止するものとする。
【0084】
第5に、版胴駆動系においては、版胴50の回転量の1度に対応してパルスエンコーダ62のエンコーダセンサ64によって1パルスとして検出されるものとする。
【0085】
従って、例えば図1において、1パルスで製版済みのマスタ6を1mm搬送できるステッピングモータ30の駆動であれば、ステッピングモータ30へ300パルス数供給することで、製版済みのマスタ6を300mm搬送できることとなる。上述したように、マスタ送り量検出手段を兼ねる制御装置65による製版済みのマスタ6の送り量の検出開始位置は上・下回転刃16a,16bによる製版済みのマスタ6の切断位置に設定されているから、プラテンローラ8および搬送ローラ11の回転によって製版済みのマスタ6が製版開始位置としての上記切断位置から例えば80mm搬送されると、換言すれば制御装置65によってステッピングモータ30のステップ数(パルス数)として80がカウントされると、製版済みのマスタ6の先端が拡開したクランパ51の図示しないストッパ爪に突き当たってクランパ51に到達したと判断され、図2に実線で示すように、上記開閉装置の作動によってクランパ51が閉じて製版済みのマスタ6の先端部が固定・保持されると共に、上記図示しないローラ揺動手段が作動して反転ローラ26が図2および図3の実線で示す位置に位置決めされる。
このままの状態で、さらに継続してプラテンローラ8および搬送ローラ11の回転によって製版済みのマスタ6が70mm搬送されると、第2ガイド部材22とガイド板24との間に70mmのマスタ撓みが形成される。
【0086】
上記給版搬送動作の詳細を補足すれば、次のとおりである。すなわち、製版済みのマスタ6は上面12a(図4参照)上を搬送され、ガイド片21bとの間を通過した後、可動ガイド板23上、各ガイド板24,25間を搬送されてクランパ51へと送られる。この搬送時において、カッタユニット4のホルダ13がマスタ搬送経路から退避した初期位置に位置決めされているため、製版済みのマスタ6を良好に搬送することができる。
【0087】
次いで、製版給版装置1側で70mmのマスタ撓みが形成されると、メインモータ57の回転駆動によって、版胴50は14度回転してその外周面上に製版済みのマスタ6の巻装量として20mm巻き付けた後、停止する。このときの製版給版装置1側でのマスタ撓み量は50mm(70−20=50mm)となり、版胴50側では製版給版装置1側で再び70mmのマスタ撓みが形成されるまで停止し、製版給版装置1側で再び70mmのマスタ撓みが形成されると、再度版胴50は14度回転してその外周面上に製版済みのマスタ6の巻装量として20mm巻き付けた後停止するというように、これら版胴50の回転巻装・停止動作および製版給版装置1側での製版済みのマスタ6の一定の速度での継続した給版搬送・マスタ撓み形成動作を繰り返して、版胴50の外周面に製版済みのマスタ6一版分を巻き付けていく。
【0088】
その際の給版制御では、メインモータ57周りに付設されているパルスエンコーダ62のエンコーダセンサ64によって版胴50の回転量14度を検出すると、これに基づいて制御装置65はメインモータ57の回転駆動を停止させる(メインモータ57にブレーキをかける方法としては、例えば、メインモータ57の2本の端子を短絡させて周知の短絡制動を行う電気・電子回路を具備した最も簡単な制動方式を採用している)が、版胴50は従来技術で上述したような種々の要因による慣性でオーバーランする。このオーバーランした版胴50の回転量をパルスエンコーダ62のエンコーダセンサ64で検出する。上述したように、版胴50の回転量の1度に対応してパルスエンコーダ62のエンコーダセンサ64によって1パルスとして検出される版胴駆動系で、エンコーダセンサ64から送信される14パルス数(版胴50の回転量で14度に相当)の信号に基づいて、制御装置65はメインモータ57にブレーキをかけるように制御するが、実際には版胴50は7パルス数(版胴50の回転量で7度に相当)に対応した分だけオーバーランする。
【0089】
つまり、版胴50による正規の製版済みのマスタ6の巻装量に対応した14パルス(14度)の半分に相当する10mmだけ版胴50が多く製版済みのマスタ6を巻装したので、制御装置65はマスタ撓みの量が70−20−10=40mmとなったことを計算して、製版給版装置1側で再び70mmのマスタ撓みが形成されるまで版胴50が長く停止するようにメインモータ57を制御し、製版給版装置1側で再び70mmのマスタ撓みが形成されたら版胴50が回転して製版済みのマスタ6の巻き付けを行うようにメインモータ57を駆動制御する。
【0090】
このように、制御装置65は、版胴50がその慣性でオーバーランするに拘わらず、ステッピングモータ30による製版給版装置1側での製版済みのマスタ6の送り量を常に検知・検出しながら、版胴50の外周面に一版分の製版済みのマスタ6が巻装されるまでは製版給版装置1側で常に70mmのマスタ撓みが形成されるように、かつ、版胴50の慣性によりオーバーランする回転量をエンコーダセンサ64からのパルス数信号に基づいて随時計算し、版胴50が回転・停止を繰り返しながら、すなわち版胴50が少しずつ間欠的に回転しながら製版済みのマスタ6を巻き付けるようにメインモータ57を制御するのである。
版胴50の回転速度は、従来と同様の理由によって、製版給版装置1側による製版済みのマスタ6の給版搬送速度よりも速めに設定されている。そして、版胴50の回転による製版済みのマスタ6の巻装時には、クランパ51で挟持・固定された製版済みのマスタ6は上記トルクリミッタを介して反転ローラ26を従動回転させるため、クランパ51と反転ローラ26との間の部位において、製版済みのマスタ6には所定の張力が付与されるので、製版済みのマスタ6をシワなく巻装することができる。
【0091】
そして、制御装置65によってステッピングモータ30のステップ数(パルス数)より1版分のマスタ6が製版され給版搬送されたと判断されると、ステッピングモータ30の回転駆動が停止されることによりプラテンローラ8と搬送ローラ11との回転が停止され、この際の製版済みのマスタ6の最後のマスタ撓みが版胴50の回転によってなくなる前に、上記ガイド板揺動手段が作動して可動ガイド板23が図2および図3の二点鎖線位置に位置決めされ、その直後にカッタモータ19が作動されることによりホルダ13が高速で往復動されて製版済みのマスタ6の後端が切断される。切断された製版済みのマスタ6は版胴50の回転によって引き出され、マスタ一版分の巻装動作が完了する。
以上の製版・給版動作および版胴50による製版済みのマスタ6の巻装動作によって、特開2000−6510号公報の段落番号「0058」ないし「0061」に記載されていると同様の各利点が得られる。
【0092】
上記動作に引き続き、版付け動作が行われる。版胴50がホームポジション(排版位置)で停止すると、上記メイン制御装置より指令信号が送られてメインモータ57、給紙モータ44、排紙装置79の図示しない駆動手段がそれぞれ作動する。これにより版胴50が低速で回転駆動されると共に給紙ローラ41、分離ローラ42、駆動ローラ108、吸引ファン106がそれぞれ駆動される。給紙ローラ41および分離ローラ42の回転により、給紙台76上に積載された最上の印刷用紙Sが1枚だけ引き出され、その先端をレジストローラ対45のニップ部直前の位置で当接保持される。
【0093】
レジストローラ対45は、版胴50に巻装された製版済みのマスタ6の版胴50の回転方向における画像領域先端部がプレスローラ74と対応する位置に到達する所定のタイミングにおいて、印刷用紙Sを版胴50の外周面とプレスローラ74との間に向けて給送する。この印刷用紙Sの給送が版胴50とレジストローラ対45との間に配設された図示しない用紙検知センサによって検知されると、上記押圧保持手段が作動することにより、プレスローラ74の非印刷位置での保持状態が解除されると共に、メインモータ57からの回転力を伝達されて回転している図6に示した印圧カム166等を備えた上記接離手段により、図1および図2に二点鎖線で示すように、プレスローラ74が上記引張りばねの付勢力によって上昇揺動されて、その外周面を版胴50の外周面に圧接する。
【0094】
レジストローラ対45より給送された印刷用紙Sは、図1および図2に二点鎖線で示すプレスローラ74によって版胴50上の製版済みのマスタ6に押し付けられる。この押圧動作により、プレスローラ74と印刷用紙Sと製版済みのマスタ6と版胴50とが圧接し、インキローラ54によって版胴50の内周面に供給されたインキが多数の開孔部分および図示しないメッシュスクリーンより滲み出し、版胴50の開孔部分および上記メッシュスクリーンの空隙部と製版済みのマスタ6の穿孔部分とに充填された後に、製版済みのマスタ6の穿孔部分を介して印刷用紙Sに転写・転移され、いわゆる版付けが行われる。印刷用紙Sに印刷画像を転写し、印刷用紙Sとの圧接を終えて製版済みのマスタ6の後端の非画像領域とプレスローラ74の外周面とが圧接したところで、上記接離手段によりプレスローラ74の外周面と版胴50の外周面との圧接が解除される。
【0095】
インキを転移された印刷用紙Sは、版胴50の回転と同期して外周面に近接するエアーナイフ104によって、先端とそのノズル先端部から吹き付ける圧縮空気流とで版胴50の外周面より剥離されると共に、さらに送風ファン105からの送風によって印刷用紙Sの版胴50への巻き上がりが防止されて、印刷用紙Sは下方へと落下し、吸引ファン106の吸引力によって搬送ベルト110の上面に引き付けられつつ左方へと搬送され、排紙台78上に排出される。その後、版胴50が再びホームポジションで停止して版付け動作が完了し、孔版印刷装置は印刷待機状態となる。
【0096】
孔版印刷装置が印刷待機状態となった後に上記操作パネルに配設されている図示しない試し刷りキーが押下されると、版付け時と同様に給紙台76上の最上の印刷用紙Sが1枚だけ引き出されてレジストローラ対45に当接保持されると共に、上記メイン制御装置より指令が送られることによりメインモータ57の回転速度が高速側に変えられて版胴50が版付け時よりも高速で回転駆動される。レジストローラ対45は高速回転している版胴50とプレスローラ74との間に印刷用紙Sを給送し、給送された印刷用紙Sは上記したと同様の詳細動作を介してプレスローラ74によって版胴50上の製版済みのマスタ6に圧接されてインキを転移され、排紙台78上に排出される。版胴50は再びホームポジションに戻されて試し刷り動作が完了する。
【0097】
この試し刷りによって印刷画像の濃度や位置を確認し、これらを上記操作パネル上の各種キーで調整して再度試し刷りを行った後、上記操作パネル上の図示しないテンキーで印刷枚数を設定し、上記操作パネル上の図示しない印刷速度設定キーで印刷速度を設定し、上記操作パネル上の図示しない印刷スタートキーを押下することにより、給紙装置77より印刷用紙Sが連続的に給送されて印刷動作が行われる。印刷動作完了後、版胴50は再びホームポジションに戻る。
上述したとおり、上記実施形態によれば、特開2000−6510号公報の段落番号「0078」ないし「0092」に記載されていると同様の効果を奏すると共に、本発明の後述する効果も奏する。
【0098】
図7および図8に上記実施形態の変形例を示す。
図7および図8に示した変形例は、図1ないし図7に示した上記実施形態の孔版印刷装置と比較して、版胴駆動手段としてのメインモータ57側に配設されたパルスエンコーダ62に代えてこれを除去して、版胴回転量検出手段としてのパルスエンコーダ62Aを版胴50側に配設したことのみ相違する。
【0099】
パルスエンコーダ62Aは、端板101Eを介して支軸52に回転自在に支持された版胴50の端板101Eに固定されたインクリメンタル型のフォトロータリエンコーダからなるスリット円板63Aと、スリット円板63A近傍の後フレーム101Aに固定され、スリット円板63Aを所定の間隔をもって挾み付ける透過型の光学センサ(フォトインタラプタ)からなるエンコーダセンサ64Aとから構成される。図7では、エンコーダセンサ64Aに括弧を付して示す。
【0100】
上記実施形態では、版胴駆動機構61を構成するタイミングベルトやギヤを介してメインモータ57の回転駆動力が伝達され、かつ、メインモータ57の回転駆動力を版胴50に伝達する際の減速比が1/4〜1/10程度に設定されていることにより、ギヤ同士の噛み合いによるバックラッシュや、タイミングベルトのテンションのばらつき等によって、版胴50の回転位置が若干ばらつく。版胴50の回転位置がばらつくと、版胴50での製版済みのマスタ6の巻装量がばらつくことになるからその巻装量を正確に検出することができなくなる。従って、図7および図8に示した変形例によれば、版胴50の回転位置のばらつきに影響を与える要因を排除して、版胴50の回転位置および回転量をより正確かつ確実に検出することができる。
【0101】
上述したとおり、上記実施形態および上記変形例の孔版印刷装置では、次の給版方法が使用されていたと言える。すなわち、製版済みのマスタ6を巻き付ける版胴50と、版胴50を回転駆動するメインモータ57と、製版済みのマスタ6を版胴50に給版・搬送する給版搬送手段としてのプラテンローラ8および搬送ローラ11と、プラテンローラ8および搬送ローラ11を駆動する給版搬送駆動手段としてのステッピングモータ30とを具備する孔版印刷装置の給版方法において、製版済みのマスタ6の送り量を常に検知しながら、製版済みのマスタ6の送り量が版胴50の回転量に対応した製版済みのマスタ6の巻装量に対して不足とならず、かつ、製版給版装置1側でマスタ撓みが形成されるように、製版済みのマスタ6の送り量に合わせて版胴50の回転量を制御するものであった(請求項8参照)。
さらに、上記給版方法において、プラテンローラ8および搬送ローラ11は、給版時に、ステッピングモータ30によって一定の速度で駆動されており、版胴50の回転量が所定の回転量となったとき、版胴50を停止させ、製版給版装置1側で所定のマスタ撓みが形成されたとき、版胴50を回転させるという、版胴50を間欠的に回転させる制御を行うものであった(請求項9参照)。
【0102】
上記実施形態および上記変形例の孔版印刷装置では、製版一体型の孔版印刷装置、すなわち給版装置としては製版装置を含む製版給版装置1として構成されていたが、これに限らず、製版装置を必ずしも具備していなくてもよい。つまり、極端な場合、予め製版されたマスタロール等から製版済みのマスタを繰り出し版胴に給版搬送して版胴に巻装するような装置でもよい(請求項1および請求項8参照)。
【0103】
本発明に係る印刷装置は、上述した実施形態等に限らず、印刷装置本体に対して着脱自在に構成された版胴(印刷ドラム)に代えて、例えば用紙サイズA4版等の1種類の印刷用紙だけに印刷を行う目的で製作され、印刷装置本体に対して取付け固定された版胴を備えたいわゆるA4版専用機等にも適用できる。
さらに、本発明に係る印刷装置は、上述した孔版印刷装置等に限らず、例えば、特開平7−17013号公報に示されているような版胴の外側からインキを供給する構成のもの、つまり版胴上の製版済みマスタにインキを供給して、印刷画像を印刷用紙上に形成する構成の印刷装置にも適用できる。
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態や変形例およびこれらに包含されている実施例等について説明したが、本発明の構成は、上述したものに限定されるものではなく、これらを適宜組み合わせて、あるいは単独で構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および目的・用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上述したような従来の印刷装置における給版装置および印刷装置の給版方法の有する諸問題点を解決して新規な印刷装置における給版装置および印刷装置の給版方法を提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば以下のとおりである。
請求項1および2記載の発明によれば、例えば環境条件、インキの種類、構成部品のばらつき等によって、版胴の回転負荷が変化することにより版胴の回転量が変動しばらついても、版胴の回転量が常に正確かつ確実に検出された上で適切に制御されることで、給版搬送手段側で安定したマスタ撓みが形成され、シワなく確実かつ正常に版胴に巻装することができるので、異常画像の印刷が防止されて正常な画像を印刷することができる。この効果は、例えば撓みボックス等を備えたマスタ貯容手段を有していない比較的簡素な構成要素で構成されている印刷装置における給版装置の場合に、顕著となる。
【0105】
請求項3記載の発明によれば、制御手段は、パルス入力で駆動するモータのパルス数を計数することにより、マスタ送り量検出手段を兼ねているので、請求項2記載の発明の効果に加えて、制御構成を簡素化することができて、信頼性が向上する。
【0106】
請求項4記載の発明によれば、請求項1、2または3記載の発明の効果に加えて、製版済みのマスタの切断後にマスタを再搬送する必要がなくなるので、マスタ送り量を確実かつ正確に検出することができると共に、マスタ給版搬送制御の簡略化を図れる。
【0107】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4の何れか一つに記載の発明の効果に加えて、製版済みのマスタの巻装量を確実かつ正確に検出することができる。
【0108】
請求項6記載の発明によれば、請求項1ないし5の何れか一つに記載の発明の効果に加えて、例えば版胴駆動系等を介して版胴の回転量、すなわち版胴の回転に対応した製版済みのマスタの巻装量を確実かつ正確に検出することができる。
【0109】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし5の何れか一つに記載の発明の効果に加えて、例えば版胴駆動系の構成要素のばらつき等を排除して、版胴の回転量を直接的に、すなわち版胴の回転に対応した製版済みのマスタの巻装量をより一層確実かつ正確に検出することができる。
【0110】
請求項8および9記載の発明によれば、例えば環境条件、インキの種類、構成部品のばらつき等によって、版胴の回転負荷が変化することにより版胴の回転量が変動しばらついても、版胴の回転量が常に正確かつ確実に検出された上で適切に制御されることで、給版搬送手段側で安定したマスタ撓みが形成され、シワなく確実かつ正常に版胴に巻装することができるので、異常画像の印刷が防止されて正常な画像を印刷することができる。この効果は、例えば撓みボックス等を備えたマスタ貯容手段を有していない比較的簡素な構成要素で構成されている印刷装置における給版装置の場合に、顕著となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す孔版印刷装置の全体構成図である。
【図2】図1における版胴周りおよび製版給版装置の一部断面正面図である。
【図3】図2における製版給版装置の要部の構成および動作を示す簡略的な正面図である。
【図4】図1における製版給版装置のカッタユニットの正面図である。
【図5】図1における製版給版装置のカッタユニットの側面図である。
【図6】版胴駆動機構の要部の斜視図である。
【図7】孔版印刷装置の主として給版制御構成を示すブロック図である。
【図8】版胴側に配設したパルスエンコーダの変形例を示す要部の斜視図である。
【符号の説明】
1 給版装置を構成する製版給版装置
2 マスタ支持手段としてのマスタ支持部材
4 カッタユニット
6 マスタ
7 製版手段としてのサーマルヘッド
8 給版搬送手段を構成するプラテンローラ
9 可動部としてのカバー
11 給版搬送手段を構成する搬送ローラ
12 フレーム
13 カッタ部材としてのホルダ
14 回転移動手段
16a 切断手段としての上回転刃
16b 切断手段としての下回転刃
19 カッタモータ
20 リミットスイッチ
22 第2ガイド部材
23 可動ガイド板
24 ガイド板
30 給版搬送駆動手段としてのステッピングモータ
50 版胴
57 版胴駆動手段としてのメインモータ
60 給版位置検知手段としての給版位置センサ
61 版胴駆動機構
62、62A パルスエンコーダ
64、64A エンコーダセンサ
65 制御装置
66 制御手段としてのCPU

Claims (9)

  1. 製版済みのマスタを巻き付ける版胴と、該版胴を回転駆動する版胴駆動手段と、製版済みのマスタを上記版胴に給版・搬送する給版搬送手段と、該給版搬送手段を駆動する給版搬送駆動手段とを具備する印刷装置における給版装置において、
    上記給版搬送手段による製版済みのマスタの送り量を検出するマスタ送り量検出手段と、
    上記版胴の回転量を検出する版胴回転量検出手段と、
    上記マスタ送り量検出手段からの上記製版済みのマスタの送り量に係る信号および上記版胴回転量検出手段からの上記版胴の回転量に係る信号に基づいて、上記製版済みのマスタの送り量が上記版胴の回転量に対応した製版済みのマスタの巻装量に対して不足とならず、かつ、上記給版搬送手段側でマスタ撓みが形成されるように上記版胴駆動手段を介して上記版胴の回転量を制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする印刷装置における給版装置。
  2. 請求項1記載の印刷装置における給版装置において、
    上記給版搬送手段は、給版時に、上記給版搬送駆動手段によって一定の速度で駆動されており、
    上記制御手段は、上記版胴の回転量が所定の回転量となったとき、上記版胴が停止し、上記給版搬送手段側で所定のマスタ撓みが形成されたとき、上記版胴が回転するように上記版胴駆動手段を制御することを特徴とする印刷装置における給版装置。
  3. 請求項2記載の印刷装置における給版装置において、
    上記給版搬送駆動手段は、パルス入力で駆動するモータであり、
    上記制御手段は、上記パルス入力で駆動するモータのパルス数を計数することにより、上記マスタ送り量検出手段を兼ねていることを特徴とする印刷装置における給版装置。
  4. 請求項1、2または3記載の印刷装置における給版装置において、
    製版済みのマスタを切断する切断手段を有し、
    上記マスタ送り量検出手段による上記製版済みのマスタの送り量の検出開始位置は、上記切断手段による製版済みのマスタの切断位置に設定されていることを特徴とする印刷装置における給版装置。
  5. 請求項1ないし4の何れか一つに記載の印刷装置における給版装置において、
    上記版胴回転量検出手段による上記製版済みのマスタの巻装量の検出開始位置は、上記版胴が給版時に停止した位置に設定されていることを特徴とする印刷装置における給版装置。
  6. 請求項1ないし5の何れか一つに記載の印刷装置における給版装置において、
    上記版胴回転量検出手段は、上記版胴駆動手段側に配設されたパルスエンコーダであることを特徴とする印刷装置における給版装置。
  7. 請求項1ないし5の何れか一つに記載の印刷装置における給版装置において、
    上記版胴回転量検出手段は、上記版胴側に配設されたパルスエンコーダであることを特徴とする印刷装置における給版装置。
  8. 製版済みのマスタを巻き付ける版胴と、該版胴を回転駆動する版胴駆動手段と、製版済みのマスタを上記版胴に給版・搬送する給版搬送手段と、該給版搬送手段を駆動する給版搬送駆動手段とを具備する印刷装置の給版方法において、
    製版済みのマスタの送り量を常に検知しながら、上記製版済みのマスタの送り量が上記版胴の回転量に対応した製版済みのマスタの巻装量に対して不足とならず、かつ、上記給版搬送手段側でマスタ撓みが形成されるように、上記製版済みのマスタの送り量に合わせて上記版胴の回転量を制御することを特徴とする印刷装置の給版方法。
  9. 請求項8記載の印刷装置の給版方法において、
    上記給版搬送手段は、給版時に、上記給版搬送駆動手段によって一定の速度で駆動されており、
    上記版胴の回転量が所定の回転量となったとき、上記版胴を停止させ、上記給版搬送手段側で所定のマスタ撓みが形成されたとき、上記版胴を回転させるという、上記版胴を間欠的に回転させる制御を行うことを特徴とする印刷装置の給版方法。
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