JP3939954B2 - 製版装置および製版印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製版装置およびこの製版装置を有する製版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
製版印刷装置として感熱デジタル製版式の孔版印刷装置が知られている。この感熱デジタル製版式の孔版印刷装置では、例えば厚さが1〜2μmの非常に薄い熱可塑性樹脂フィルムと多孔質支持体(ベース)として和紙等の天然繊維とか合成繊維、あるいは天然繊維および合成繊維を混抄したものとを貼り合わせて構成された感熱孔版マスタ(以下、単に「マスタ」という)をサーマルヘッド等の製版手段で製版し、製版されたマスタを多孔性円筒状の版胴に巻装すべく搬送し給版する製版装置を備えている。
【0003】
現在の製版装置は、高速化、省スペース化が図られていて、これに伴いマスタ搬送経路が単純なストレート状のものから複雑化してきている。例えば、後述する図2および図3を借りて具体例を挙げて説明すると、図2および図3に示されているように、3段切り換えしの撓みダクト33aないし33cを備えた撓みボックス32を経由して製版済みのマスタ16の搬送を行うため、撓みボックス32の奥側に同じ吸引能力を有する2個の吸引ファン34a,34bに加えて、さらに吸引ファン34a,34bと同様の吸引ファンをマスタ幅方向の中央部に配置(合計3つの吸引ファン)して製版済みのマスタ16の搬送を補助し、マスタ搬送を行っていた。撓みボックス32は、特に孔版印刷装置や製版装置の小型化を図るためのレイアウト上の制約から、高さ方向すなわち上下方向に省スペース化を図るべく、マスタ搬送路XRの下方に設けられている。
【0004】
また、マスタ搬送経路の複雑化に伴い、マスタ16の搬送が非常に厳しい状況になってきており、撓みボックス32内における製版済みのマスタ16の位置やジャムしたマスタ16の残留等の判断、認識も非常に困難になってきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、吸引ファンのみでは、マスタ自体の剛性やマスタ同士の摩擦抵抗に打ち勝つことができず、製版済みのマスタが撓みボックスの入口へ搬送される直前の部位でマスタ搬送ジャムを生じていた。
ここで、図10を参照して、上記不具合現象を幾分単純化して説明する。図10(a)ないし図10(c)において、符号16は、マスタを示す。このマスタ16は、例えばポリエステル製の熱可塑性樹脂フィルム(以下、単に「フィルム」というときがある)とベースとして和紙の天然繊維とを貼り合わせて構成されたラミネート構造をなす。符号16aはフィルム側のフィルム面を、符号16bはベース側の和紙繊維面を示す。符号28は、マスタ16を切断する切断手段としてのカッタユニットを示す。
【0006】
カッタユニット28は、マスタ搬送方向Xと直交するマスタ幅方向に移動してマスタ16を切断する公知のものであり、例えば特開2000−6510号公報の図2ないし図5等に示されている切断手段(4)と同様のものである。すなわち、カッタユニット28は、図10(a)ないし図10(c)に示すように、切断手段本体としてのフレーム212、カッタ部材としてのホルダ213、回転移動手段214等から主に構成されている。
【0007】
図10(a)ないし図10(c)において、符号213aは、円板状の上刃216aを回転自在に支持する上刃ホルダを、符号213bは、上刃216aと同形の下刃216bを回転自在に支持する下刃ホルダを示す。符号213cは、ホルダ213に設けられ、各ホルダ213a,213bを一体的に繋ぐ接続部を示し、フレーム212に移動可能に支持されている。
上刃ホルダ213aは、上刃216a及びこれと同軸上に一体的に設けられた高摩擦抵抗部材からなる上ローラ217aをそれぞれ回転自在に支持している。上刃216aは、その刃面の一部が下刃216bとラップする位置に配設され、上ローラ217aは下ローラ217bとで上面212aを挟み込むようにその周面を上面212aに接触させている。下刃ホルダ213bは、そのマスタ搬送方向下流側端部に下刃216b及びこれと同軸上に一体的に設けられた高摩擦抵抗部材からなる下ローラ217bをそれぞれ回転自在に支持している。下ローラ217bは、その周面を上面212aの内面に接触させている。
【0008】
符号218は、回転移動手段214を構成する双方向送りネジを示す。フレーム212には、回転移動手段214が配設されている。回転移動手段214は、双方向送りネジ218、モータとしての例えば図示しないDCモータから主に構成されている。
符号221aは、図示しない不動部材に固設されたガイド部材本体を、符号221bは、ガイド部材本体221aの下端に取り付けられたガイド片をそれぞれ示す。ガイド片221bは、その基端をガイド部材本体221aに固着されており、金属の薄板あるいは樹脂の薄板等の弾性体から形成されており、製版待機中及び製版搬送中のマスタ16の上方に位置し、ホルダ213の移動時においてその自由端が上刃ホルダ213aと上面212aとの間に入り込む位置に配設されている。なお、上刃ホルダ213aには、その移動時にガイド片221bを上刃ホルダ213aと上面212aとの間に案内するための傾斜が移動方向先端部に形成されている。
【0009】
上述の構成により、ホルダ213がフレーム212に沿って移動すると、この移動に伴って各ローラー217a,217bがそれぞれ逆方向に回転し、各ローラー217a,217bと一体的に設けられた上刃216a及び下刃216bがそれぞれ逆方向に回転する。
【0010】
このようなカッタユニット28は、図3を借りて説明した撓みボックス32の配置理由と同様に、特に孔版印刷装置や製版装置の小型化を図るためのレイアウト上の制約から、高さを抑えて上下方向に省スペース化を図るべく配置されている。マスタ搬送路に固定された固定刃と、これに対して昇降自在な可動刃とを具備するいわゆるギロチンタイプの切断手段は、上下方向に可動刃を昇降駆動するカム等の駆動手段が可動刃の上方に必要であり、高さを抑えて省スペース化を図ることができないという設計レイアウト上の制約から採用されない。
【0011】
図10(a)ないし図10(c)において、図示しない撓みボックス内においては上記吸引ファンによる吸引作用により、製版済みのマスタ16が下方側に膨らんだ撓み16Cを形成する。上記撓みボックス内に製版済みのマスタ16が所定の量貯留されると、マスタ給版可能な状態となり、このマスタ給版時に反転ローラ対40が図中矢印方向に回転され始めることにより、製版済みのマスタ16の先端が給版位置で待機状態にある図示しない版胴の拡開したクランパに向けて給送される。このとき、反転ローラ対40の回転・搬送により、マスタ16の和紙繊維面16b同士が撓みボックスの入口(開口)周辺や撓みボックス内で対向・接触して擦れ合う摩擦抵抗によって、上記撓みボックスの入口近傍に搬送される送り側の製版済みのマスタ16がせり上げられ、盛り上がってしまう。
【0012】
製版済みのマスタ16の盛り上がりは、その大きさによって、図10(a)ないし図10(c)に示すように、大体3つに分類される。
図10(a)は、盛り上がり16Dが大の状態を示している。この状態では、マスタ切断時において上刃216aが盛り上がり16Dの下側を通過するため、カットミスとなる。
図10(b)は、盛り上がり16Dが中の状態を示している。この状態では、マスタ切断時において盛り上がり16Dの高さが上刃216a中央部と同程度のとき、盛り上がり16Dにおける製版済みのマスタ16を押し潰す態様でロック(以下、「カッタロック」という)する。
図10(c)は、マスタ16の和紙繊維面16b同士が接触して擦れ合うことが無いかまたはその接触面積や接触している時間が極めて少ないため、盛り上がり16Dが小の状態を示していて、正常のマスタ搬送状態に属する。この状態では、カットミスやカッタロック等の問題は発生しない。
【0013】
特に、図3を借りて説明した撓みボックス32では、製版済みのマスタ16が3段に折り返されて貯留されることにより、製版済みのマスタ16の和紙繊維面16b同士の接触面積がより大きくなるため、カットミスやカッタロック等の発生度合いが高くなる。上述したマスタ切断時のカットミスや、カッタロックがマスタ搬送ジャム発生の一つの要因となっていた。
このようなカットミスやカッタロック等の問題は、例えば特公平7−84086号公報に開示されているように、可動上刃と固定下刃とを有していて可動上刃が固定下刃に対してマスタ16の幅方向に回転しつつ移動するもの、実公平3−40556号公報に開示されているように、可動上刃のみを有していてこれがマスタ16に対して回転しつつ移動するもの等であっても発生する。
上記ギロチンタイプの切断手段ではカットミスやカッタロック等の発生は非常に少ないと推察されるが、上記ギロチンタイプの切断手段は、上記理由から採用されず、仮に採用したとしても図10(a)および図10(b)に示した盛り上がり16D(大、中)が発生した状態で製版済みのマスタ16を切断すると、次製版のマスタ16の先端が不揃いを起こしてしまい、その切断精度の悪さから実用に供し得ないと判断されるし、後述する排紙ミスあるいは圧胴やプレスローラ等を汚す問題点となる。
【0014】
カットミスやカッタロック等の問題は、マスタの熱可塑性樹脂フィルム面が内側の状態でマスタロールに巻かれた、いわゆるフィルム面内巻きで発生した場合であったが、例えば低湿環境下においては、いわゆるフィルム面外巻き(マスタの熱可塑性樹脂フィルム面が外側の状態でマスタロールに巻かれた状態)のマスタでも、静電気発生による影響によってフィルム面同士が貼り付くことで上記の盛り上がり16D(大、中)が発生する可能性がある。これに対して、マスタ16の和紙繊維面16b同士による盛り上がり16Dは、環境の如何に拘らず発生するものである。
【0015】
また、上記マスタ搬送ジャム以外にも、製版済みのマスタが折れ曲がったり重なり合った状態で印刷ドラムの外周面(版胴)に巻かれるため、排紙ミスや、圧胴やプレスローラ等(押圧手段)を汚す原因ともなっていた。例えば仮に、A3サイズの1版のマスタが半分に折れた状態で版胴上に巻き付けられると、版胴の後端部はメッシュスクリーンがむき出しとなり、この部分のメッシュスクリーンに滲み出たインキの粘着力によって印刷用紙が貼り付いてしまって印刷用紙の後端部が版胴上に巻き上がるため、排紙ジャムとなる。また、この場合、A4サイズの印刷用紙を短手方向に通紙、すなわち横通紙すると、圧胴やプレスローラ等がインキで汚れてしまう。
【0016】
一方、製版済みのマスタが撓みボックスの撓みダクト内に残留すると、次製版のためのマスタ搬送時において、障害となったり、撓みボックス内に製版済みのマスタを吸引する能力が減少するため吸引不良を引き起こしたりすることで、マスタ搬送ジャムの要因となっていた。また、製版済みのマスタが正常に搬送されなくなるため、カッタロック、ひいてはカッタユニット破損の原因ともなっていた。
【0017】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みて上記問題を解決するためになされたものであり、撓みボックス(マスタ貯留手段)を有する製版装置や製版印刷装置において、マスタ切断時のカットミスやカッタロック等によるマスタ搬送ジャムの発生、あるいは製版済みのマスタが折れ曲がったり重なり合った状態で版胴に巻装されることによる圧胴やプレスローラ等(押圧手段)の汚れや排紙ジャムを防ぎ、マスタの搬送を正確に行うことができて、安定したマスタ搬送性を得ることを第1の目的とする。
【0018】
本発明の第2の目的は、撓みボックスを有する製版装置や製版印刷装置において、撓みボックス内に残留したマスタの検出を確実に行うことにより、カッタロック等によるマスタ搬送ジャムの発生やカッタユニットの破損を未然に防止して、安定したマスタ搬送性を得ることにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決すると共に上記目的を達成するために、請求項ごとの発明では以下の特徴的な手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、繰り出し可能なマスタを製版する製版手段と、該製版手段よりマスタ搬送方向の下流側に設けられマスタを切断する切断手段と、マスタ搬送路の下方に設けられ、上記製版手段により製版されたマスタを貯留するマスタ貯留手段と、上記製版手段により製版されたマスタを上記マスタ貯留手段に搬送するマスタ搬送手段と、上記マスタ貯留手段に貯留されたマスタを給版する給版手段とを具備し、上記切断手段は、上記マスタ貯留手段へのマスタの入口近傍に設けられており、上記マスタ搬送方向と直交するマスタ幅方向に移動可能な回転刃を有し、上記入口近傍に、上記切断手段の上方から送風してマスタの盛り上がりを防止する送風手段を設け、該送風手段が上記給版手段による給版中に作動することを特徴とする製版装置である。
ここで、「給版手段による給版中」とは、給版手段が給版時に作動(具体的には後述する反転ローラ対が回転されていることを含む他、版胴への製版済みのマスタを巻装するときにおけるシワ等の発生防止のために連れ回りされていることも含む)している間、あるいは給版手段が給版時に作動停止(具体的には後述する反転ローラ対が版胴への製版済みのマスタを巻装するときにおけるシワ等の発生防止のために停止)している間も含むことを意味する。
【0020】
請求項2記載の発明は、繰り出し可能なマスタを製版する製版手段と、該製版手段よりマスタ搬送方向の下流側に設けられマスタを切断する切断手段と、マスタ搬送路の下方に設けられ、上記製版手段により製版されたマスタを貯留するマスタ貯留手段と、上記製版手段により製版されたマスタを上記マスタ貯留手段に搬送するマスタ搬送手段と、上記マスタ貯留手段に貯留されたマスタを給版する給版手段とを具備し、上記切断手段は、上記マスタ貯留手段へのマスタの入口近傍に設けられており、上記マスタ搬送方向と直交するマスタ幅方向に移動可能な回転刃を有し、上記入口近傍に、マスタの盛り上がりを防止する盛り上がり防止手段を設け、上記盛り上がり防止手段は、盛り上がるマスタに接触して抑える抑え位置とこの抑え位置から離間した非抑え位置との間で変位自在な抑え部材と、該抑え部材を上記抑え位置と上記非抑え位置との間に変位させる抑え部材変位手段とを有し、給版時における上記給版手段からの起動信号に基づいて、上記抑え部材を上記抑え位置に変位させるように上記抑え部材変位手段を制御する制御手段を具備することを特徴とする製版装置である。
ここで、請求項1または2記載の製版装置においては、上記マスタ貯留手段は、製版されたマスタに撓みを形成しながら貯留する撓みボックスと、この撓みボックスに設けられ製版されたマスタに撓みを形成すべく上記撓みボックス内の空気を吸引する吸引ファンとを具備するものであってもよい。
また、請求項1または2記載の製版装置において、「マスタ貯留手段へのマスタの入口近傍」とは、マスタ貯留手段へのマスタの入口を含む他、その入口周辺の上方等も含む。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の製版装置において、上記マスタ貯留手段は、製版されたマスタを複数段に折り返す複数の折り返し貯留部を有する撓みボックスと、この撓みボックスに設けられ製版されたマスタに撓みを形成すべく上記撓みボックス内の空気を吸引する吸引ファンとを具備することを特徴とする。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の製版装置において、上記マスタ貯留手段は、製版されたマスタの残留の有無を検知する少なくとも1つのマスタ検知手段を有することを特徴とする
【0023】
請求項5記載の発明は、請求項記載の製版装置において、上記マスタ貯留手段は、製版されたマスタを複数段に折り返す複数の折り返し貯留部を有する撓みボックスを具備し、上記少なくとも1つのマスタ検知手段は、上記撓みボックス内における製版されたマスタの折り返し部位に対向して、設けられていることを特徴とする。
【0024】
請求項6記載の発明は、請求項4または5記載の製版装置において、製版動作を開始させるための製版開始設定手段と、上記製版開始設定手段からの製版開始信号および上記少なくとも1つのマスタ検知手段の何れか1つからのマスタ有り信号に基づいて、製版動作を禁止する製版制御手段とを有することを特徴とする。
【0025】
請求項7記載の発明は、請求項4または5記載の製版装置において、上記マスタ貯留手段内に製版されたマスタの残留の有ることを報知する報知手段と、製版動作を開始させるための製版開始設定手段と、上記製版開始設定手段からの製版開始信号および上記少なくとも1つのマスタ検知手段の何れか1つからのマスタ有り信号に基づいて、製版されたマスタの残留が上記マスタ貯留手段内に有ることを報知するように上記報知手段を制御する報知制御手段とを有することを特徴とする。
【0026】
請求項8記載の発明は、製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴上のマスタに印刷用紙を相対的に押し付ける押圧手段とを具備した製版印刷装置において、請求項1ないし7の何れか一つに記載の製版装置を有することを特徴とする。
ここで、「版胴上のマスタに用紙を相対的に押し付ける押圧手段」の構成・方式としては、製版済みのマスタを介して版胴の外周面に接離自在な押圧手段としてのプレスローラを押し付けるプレスローラ方式と、製版済みのマスタを介して版胴の外周面に押圧手段としての圧胴を押し付けて印刷を行う圧胴接離方式と、製版済みのマスタを介して圧胴に対して版胴を押し付けて印刷を行う版胴接離方式と、それらの併用方式等とがある。
版胴接離方式には、版胴全体を圧胴に向けて押し付けるドラム全体接離方式と、版胴内の中押しローラを圧胴に向けて押し出し、版胴(印刷ドラムの版胴)のみを押し付ける版胴押し出し方式とがある。
版胴押し出し方式としては、例えば、特開平1−204781号や、特開平3−197078号あるいは特開平3−254984号公報等に開示されているような金属製スクリーンを内側から外側に向けて膨出させる、いわゆる中押しローラ方式(インキ供給ローラを兼ねるものも含む)のものが挙げられる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、単に「実施形態」という)を説明する。上述した従来の技術例および各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図において一対で構成されていて特別に区別して説明する必要がない構成要素は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に代えるものとする。また、図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。なお、図1、図2、図6図8において、図10に示したガイド部材本体221aおよびガイド片221bの図示は、それぞれ省略されていることを付記しておく。
【0035】
(実施形態1)
図1は、本発明に係る製版印刷装置の一例としての孔版印刷装置1の全体構成を示している。図1において、符号1Fは、孔版印刷装置1の骨組みをなす本体フレームを示す。
孔版印刷装置1は、本体フレーム1Fの上方に配設され原稿(図示せず)を載置するコンタクトガラス74および原稿載置台72上に載置された1枚もしくは複数枚の原稿73を後述するスキャナ部76の定位置へ順次自動移送するADF(自動原稿送り装置)部71等を備えた原稿読取装置70と、この原稿読取装置70の下方の本体フレーム1Fの一側部に配置されマスタ16がロール状に巻かれたマスタロール16Aから繰り出されるマスタ16を穿孔製版する製版装置15と、本体フレーム1Fの略中央部に配置され穿孔製版された製版済みのマスタ16を外周面に巻装する版胴2、およびこの版胴2の下方に配置され給送されて来た印刷用紙Sの先端部を挾持・保持する保持手段としての紙くわえクランパ12を備え、版胴2上の製版済みのマスタ16に印刷用紙Sを押し付ける圧胴9を有する印圧装置14と、製版装置15の下方に配置され給紙トレイ61上に積載された印刷用紙Sを印圧装置14へ送出する給紙装置60と、この給紙装置60に対向する本体フレーム1Fの下方に配置され印圧装置14で印刷された印刷済みの印刷用紙Sを排紙トレイ81に排出する排紙装置80と、この排紙装置80と原稿読取装置70との間に配置され版胴2の外周面上から使用済みのマスタ16を剥ぎ取り排版ボックス69内へ排出する排版装置66と、製版装置15と給紙装置60との間に配置され主として製版装置15の動作を制御する制御装置120とを具備している。
【0036】
以下、原稿読取装置70、製版装置15、印圧装置14、給紙装置60、排版装置66、排紙装置80および制御装置120について説明するが、製版装置15および制御装置120を除き公知の構成であるため簡明に説明する。製版装置15は、後述するように版胴2へマスタ16を給版するための給版装置の一部の構成を有するものであり、製版給版装置とも呼ばれる。
図1に示すように、原稿読取装置70におけるADF部71は、原稿載置台72および原稿排紙台75を備え、コンタクトガラス74に対して開閉可能に配設されている。ADF部71の原稿自動送り装置は、例えば特公平7−97813号公報の図1等に記載されている構成と同様の周知のものである。スキャナ部76は、原稿73の表面から結像レンズを介して結像された反射光に対応して光電変換を行う画像センサ77およびスキャナモータ(図示せず)等を備えた周知の原稿走査用光学系を有する。画像センサ77は、得られた画像信号を本体フレーム1F内の図示しないアナログ/デジタル(以下「A/D」と略記する)変換部から図示しない製版制御部に入力されるようになっている。スキャナ部76は、例えば特開平4−189544号公報の第2図等に記載されている構成と同様の周知のものであり、例えば、ADF部71を使用せずに、コンタクトガラス74上に原稿73を載置して上記スキャナモータを駆動することにより画像読み取り動作を行うことができる。
【0037】
製版装置15は、図1ないし図3に示すように、マスタ16がロール状に巻かれたマスタロール16Aからマスタ16を繰り出し可能に貯容するマスタ貯容手段としてのマスタ支持部材17と、マスタロール16Aから繰り出されるマスタ16の先端部を載置するためのマスタセットガイド板20およびマスタ16の先端部を介してマスタセットガイド板20に接触しマスタ16を搬送するマスタ搬送手段としてのマスタセットローラ19と、マスタ搬送路XRにおけるマスタ支持部材17の下流側に配設され、マスタロール16Aから繰り出されるマスタ16を画像信号に応じて感熱製版する製版手段としてのサーマルヘッド22と、このサーマルヘッド22にマスタ16を押し付けながら回転し搬送するプラテンローラ23と、サーマルヘッド22をプラテンローラ23に接離させる接離手段としてのプラテン圧解除機構25と、マスタ搬送路XRにおけるプラテンローラ23に隣る下流側に配設された上下一対のテンションローラ26,26(以下、「テンションローラ対26」と略称する)と、マスタ搬送路XRにおけるテンションローラ対26に隣る下流側に配設された除電ローラ27と、マスタ搬送路XRにおけるテンションローラ対26に隣る下流側に配設され、未製版もしくは製版済みのマスタ16を切断する切断手段としてのカッタユニット28と、マスタ搬送路XRにおけるカッタユニット28の下流側に配設された上下一対の反転ローラ40,40(以下、「反転ローラ対40」と略称する)と、テンションローラ対26とカッタユニット28との間のマスタ搬送路XRの下方に配設された撓みボックス32およびガイド搬送板31等を備えたマスタ貯留手段30と、撓みボックス32の開口32a近傍上方に設けられ、開口32aを含むその近傍の製版済みのマスタ16に送風する送風手段および盛り上がり防止手段としての吹き付けファン35と、マスタ搬送路XRにおける反転ローラ対40の下流側に配設された給版ガイド板42とを具備している。
【0038】
マスタロール16Aの中心部には、マスタ16の幅と同じ長さに形成され、マスタロール16Aの両端面と同一面をなすパイプ状の芯管16Bが設けられていて、マスタロール16Aは、芯管16Bの周りにマスタ16を巻き付けられて形成されている。マスタロール16Aには、例えば250〜300版に相当するシート状のマスタ16が巻装されていて、マスタロール16Aは複数版のマスタ16を供給してその製版を可能とすべく設けられている。マスタ16は、例えばポリエステルテレフタレート(PET)系等からなる1〜2μm程度の薄いフィルムに対してベースとして和紙繊維を接着剤で貼り付けてラミネート構造としたものが用いられ、そのフィルム部分がサーマルヘッド22の発熱素子によって加熱穿孔されるものである。
マスタ支持部材17は、芯管16Bの両端部を着脱自在、かつ、回転可能に支持するように設けられている。マスタ支持部材17には、図示しない例えばブーレキゴム等の制動手段が当接するように設けられている。これにより、マスタ16には、マスタ支持部材17に装着セットされたマスタロール16Aから振動等によって自然に繰り出されることがない程の制動力を付与されている。
【0039】
マスタセットローラ19は、後述するマスタ搬送駆動手段としてのプロッタモータ24に図示しない回転伝達手段等を介して連結されている。該回転伝達手段は、例えば特開平9−226088号公報の図6に示されているような複数のギヤからなる。
【0040】
なお、マスタ支持部材17、マスタセットローラ19、マスタセットガイド板20の構成は、例えば特開平9−226088号公報の図1ないし図6等に示されているマスタ保持ユニット(21)と同様の構成であってもよい。この場合、マスタ支持部材17は、上記公報の図1ないし図5等に示されているロールフランジ(25a,25b)に相当する。
【0041】
サーマルヘッド22は、プラテンローラ23の軸方向に相当する主走査方向に沿って配列された複数の発熱素子を有し、原稿読取装置70の上記A/D変換部、上記製版制御部等で処理されて送出されるデジタルの画像信号に基づき、その発熱素子に対する選択的な通電制御によって発熱素子を選択的に発熱させることにより発熱位置に対応するマスタ16のフィルム箇所を加熱溶融させて穿孔する周知の機能を有する。サーマルヘッド22は、プラテン圧解除機構25によりプラテンローラ23に対して接離可能に設けられている。
【0042】
プラテン圧解除機構25は、例えば特開平10−157052号公報の図1ないし図7に示されている圧解除モータ(34)および接離検知センサ(35)等を有する接離手段(28)と同様の構成を具備しているが、図1および図2ではバネやカム等を始めそれらの構成要素の図示を省略している。
プラテン圧解除機構25および接離検知センサ(35)に係る動作は、特開平10−157052号公報明細書の段落番号(0044)ないし(0046)に記載されているとおりである。圧解除モータ(34)が圧解除回転位置を占める方向に所定量回転駆動されることにより、同公報明細書の詳細動作を経て、プラテンローラ23に対するサーマルヘッド22のプラテン圧が解除(オフ)されることとなる。このとき接離検知センサ(35)がオフされ離間信号を生成する。図示しない電源スイッチをオンすることにより、圧解除モータ(34)および接離検知センサ(35)のホームポジション位置出しが行われ、これらのホームポジションではプラテン圧が解除された状態に作動するようになされている。
一方、圧解除モータ(34)が押圧回転位置を占める方向に所定量回転駆動されることにより、同公報明細書の詳細動作を経て、プラテンローラ23に対してサーマルヘッド22が接触して所定のプラテン圧がオンされることとなる。このとき接離検知センサ(35)がオンされ上記離間信号を消滅するようになっている。
【0043】
プラテンローラ23は、ローラ軸の外周部に一体的に形成されていて、上記ローラ軸を介して本体フレーム1F側に固設された図示しない製版側板対に回転自在に支持されている。プラテンローラ23は、上記ローラ軸に配設されたプーリ、プロッタモータ24側に設けられた駆動プーリおよびこれらのプーリと駆動プーリとの間に掛け渡されたタイミングベルト(図示せず)等を介して連結されたプロッタモータ24で回転され、マスタ16をサーマルヘッド22に押圧しつつマスタ搬送方向Xの下流側のマスタ貯留手段30へ搬送するマスタ搬送手段としての機能を有する。プロッタモータ24は、ステッピングモータである。
【0044】
テンションローラ対26は、サーマルヘッド22とプラテンローラ23とのニップ部からテンションローラ対26に至る製版済みのマスタ16に所定のフロントテンション(張力)を付与する機能・構成を有する。テンションローラ対26は、その上側のローラが駆動ローラ、下側のローラが従動ローラでそれぞれ構成されていて、上側の駆動ローラはプーリおよび無端ベルト(共に図示せず)等の回転伝達手段を介してプロッタモータ24に連結されている。それ故に、テンションローラ対26も、上記マスタ搬送手段としての機能を有する。テンションローラ対26のうちの下部の従動ローラは、例えばプラテン圧解除機構25に組み込まれていて、プラテン圧解除機構25の動作と同様に、上部の駆動ローラに対して接離自在になされている。
【0045】
除電ローラ27は、例えば導電性のアクリル+硫化銅でできていて、カッタユニット28のフレーム212の上面212aに当接するように配置されている。除電ローラ27は、マスタ16に帯電した静電気を導電性の金属でできたフレーム212から逃がすようになっている。除電ローラ27は、プーリおよび無端ベルト(共に図示せず)等の回転伝達手段を介してプロッタモータ24に連結されている。それ故に、除電ローラ27も、上記マスタ搬送手段としての機能を有する。
【0046】
カッタユニット28は、図10に示したと同様のものである。カッタユニット28のフレーム212の上面212aは、製版済みのマスタ16を搬送案内するガイド板を兼ねている。カッタユニット28は、その非作動時において、マスタ16の搬送に支障を与えないようにマスタ搬送路XRの片側端に待機していて、ここがカッタユニット28のホームポジションとなっている。
【0047】
なお、カッタユニット28は、特開2000−6510号公報明細書の段落番号(0085)ないし(0087)に記載されている効果と同様の利点を奏する。この利点を望まなくてもよいのであれば、例えば特公平7−84086号公報に開示されているように、可動上刃と固定下刃とを有していて可動上刃が固定下刃に対してマスタ16の幅方向に回転しつつ移動するもの、実公平3−40556号公報に開示されているように、可動上刃のみを有していてこれがマスタ16に対して回転しつつ移動する構成のもの等であってもよい(請求項13参照)。
【0048】
反転ローラ対40は、その上側のローラが駆動ローラ、下側のローラが従動ローラでそれぞれ構成されている。反転ローラ対40は、マスタ貯留手段30に貯留された製版済みのマスタ16を版胴2のクランパ4に給版する給版手段としての機能を有する。上側の駆動ローラとしての反転ローラ40は、プーリおよび無端ベルト(共に図示せず)等の回転伝達手段を介して、プロッタモータ24とは別のパルス入力で駆動する給版駆動手段としての反転ローラ用ステッピングモータ41(以下、単に「ステッピングモータ41」という)に連結されている。反転ローラ対40によるマスタ搬送速度は、プラテンローラ23によるマスタ搬送速度よりもわずかに速くなるように予め設定されている。
【0049】
マスタ貯留手段30は、図1ないし図3に示すように、3段切り換えしの撓みボックス32、ガイド搬送板31、図示しない搬送板ソレノイド、吸引ファン34a,34b、残マスタ検知センサ36a〜36dから主に構成されている。 撓みボックス32は、製版済みのマスタ16に撓み16Cを形成しながら貯留する機能を有する。撓みボックス32には、製版済みのマスタ16を複数段(この実施形態1では3段)に折り返すための2つの切り換えし板32b,32cが一体的に形成されていて、これらにより複数の折り返し貯留部としての3つの撓みダクト33a,33b,33cが形成される。
撓みボックス32の奥側の撓みダクト33cには、スリットや網目状の吸引口および排気口(共に図示せず)を備え電動モータを内蔵した吸引ファン34a,34bが配置されている。これらの吸引ファン34a,34bの回転により、図において左側から右側へと流れる空気流が生じ、製版済みのマスタ16に徐々に撓みが形成されるようになっている。
【0050】
ガイド搬送板31は、図1に示すようにマスタ搬送路XRの直下方に位置するガイド搬送位置と、図2に示すようにガイド搬送位置から可動して下側の反転ローラ40の略下方に位置する撓み形成位置との間で開閉自在となっている。ガイド搬送板31が撓み形成位置を占めたとき、撓みボックス31の上方が開放されて、製版済みのマスタ16を導入するための入口としての開口32aが形成される。
ガイド搬送板31の駆動機構は、例えば特開平10−202996号公報の図12に示されているガイド板駆動機構(130)と同様の構成のものを用いていて、同公報の図12に示されているソレノイド(131)により駆動される。 ガイド搬送板31は、製版動作終了後のマスタ切断後に、上記ソレノイドが通電励磁(オン)されることにより、同公報の詳細動作を介して、ガイド搬送板31が撓み形成位置から上昇してガイド搬送位置を占めることとなり、これによって、マスタ16の先端を開口32aから撓みボックス32内へと落ち込ませることなく、マスタ16の先端が図1に示す給版待機位置(反転ローラ対40のニップ部から少しはみ出た位置)まで搬送されるようにガイドするようになっている。また、マスタ16の先端が反転ローラ対40のニップ部で挾持され上記給版待機位置に達した後、ガイド搬送板31は、上記ソレノイドへの通電がオフされることにより、ガイド搬送板31の自重および同公報の詳細動作を介して、ガイド搬送板31は下降して撓み形成位置を再び占めるようになっている。
【0051】
残マスタ検知センサ36a〜36dは、撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内に製版済みのマスタ16の残留が有るか否かを検知するマスタ検知手段としての機能を有し、反射型の光学センサからなる。残マスタ検知センサ36a〜36dは、製版済みのマスタ16の残留物が残りやすい部位である、撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内における製版済みのマスタ16の折り返し部位に対向して配設されている。
【0052】
吹き付けファン35は、撓みボックス32の開口32a近傍のマスタ送り側に形成される、図10(a)および図10(b)に示した製版済みのマスタ16の盛り上がり16D(大、中)の発生を未然に防止すべく配設されている。吹き付けファン35は、各吸引ファン34a,34bと同様の送風・吸引能力を有する共通のファンである。吹き付けファン35は、各吸引ファン34a,34bの吸引側および送風側を逆にして撓みボックス32の開口32aの略真上に配置したものである。
図10を参照して一部説明したように、従来の製版装置では撓みボックス32の奥側に同じ吸引能力を有する2個の吸引ファン34a,34bに加えて、さらに吸引ファン34a,34bと同様の吸引ファン(実施形態2を示す図6に示す吸引ファン34cと同じもの)をマスタ幅方向の中央部に配置(合計3つの吸引ファン)して製版済みのマスタ16の搬送を補助し、マスタ搬送を行っていたのであるが、本実施形態1では吹き付けファン35を上述したように付設したことにより、図2に示すように製版および給版時において、開口32aを含むその近傍の製版済みのマスタ16に撓み16Cを形成する向きである上方から送風を行うことによって製版済みのマスタ16の盛り上がり16D(図10(a)および図10(b)参照)の発生を未然に防止すると共に、製版時において吸引ファン34a,34bの吸引作用によって製版済みのマスタ16が撓み16Cを形成されながら撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内に搬送されるのを助勢しているので、合計3つの吸引ファンのうちの1つを減らして、これを吹き付けファン35に振り代えることができるようになった。
結局、従来の3個の吸引ファンに対して、送風ファンとしての吹き付けファン35はその補充追加をすることなく上記したように取り付け部位を変えて逆に取り付けることで実現することができ、上述した従来の問題点も解消することができるようになった。このように、吹き付け側の吹き付けファン35の設置数(1個)を、吸い込み側の吸引ファン34a,34bの設置数(2個)よりも少なく設定していて、送風力と吸引力とのバランスを取っていることも一つの特徴となっている。
【0053】
給版ガイド板42は、マスタ16の先端の向きを変えて図において左下がり斜め下方にマスタ16を案内する機能を有する。
図1および図2において、符号18は、マスタエンドセンサである。マスタエンドセンサ18は、マスタロール16Aに巻装されたマスタ16が交換を必要とする程残り少なくなったことを検知するものであり、例えば特開平10−202996号公報の図1ないし図3に示されている第3センサ38と同様の反射型の光学センサからなる。符号21は、マスタセットセンサである。マスタセットセンサ21は、マスタセットローラ19とマスタセットガイド板20との間にマスタ16がセットされていることを検知するものであり、反射型の光学センサからなる。符号29は、マスタ16の先端を検知するマスタ検知手段としてのマスタ先端検知センサである。マスタ先端検知センサ29は、カッタユニット28と反転ローラ対40との間のマスタ搬送路XRにマスタ16が存在するか否かを検知するものであり、反射型の光学センサからなる。
【0054】
上述したとおり、製版装置15は、特開2001−150786号公報の図1および図2に記載されている製版給版部(20)と比較して、マスタストック手段(31)に代えて、マスタ貯留手段30を有すること、カッタ(36)に代えて、カッタユニット28を有すること、残マスタ検知センサ36a〜36dを新たに付加したこと、吸引ファン34a,34bと同様の吸引能力を有する合計3個の吸引ファンを減らして2個の吸引ファン34a,34bとし、1個を吹き付けファン35に振り代えたことが主に相違する。
【0055】
印圧装置14は、図1に示すように、版胴2、圧胴9および版胴2の内部に配設され版胴2上の製版済みのマスタ16にインキを供給するインキ供給装置5等を有する。
版胴2は、多孔構造の支持円筒体とその外周面に巻装された複数層のメッシュスクリーン(図示せず)とを有し、支軸3の周りに回転可能に支持されている。版胴2は、複数の印刷速度に対応してその回転速度を変えることが可能なように図示しないギヤ列およびベルト伝動装置等を介して連結された図示しないメインモータを含む駆動系を介して回転される。上記メインモータは、制御用モータであるDCモータからなり、後述するように給紙駆動系に駆動力を伝達しないようになされているので今までのメインモータよりも小型化されている。上記メインモータの出力軸には、図示しないエンコーダが取り付けられている。該エンコーダ近傍の本体フレーム1F側には、図示しないエンコーダセンサが配設されていて、上記メインモータの回転駆動による上記エンコーダの回転動作に協働して発生された所定のパルスを上記エンコーダセンサで検出することにより、版胴2の回転速度が検出されるようになっている。これにより、上記メインモータを介して版胴2の回転速度の制御がなされるようになっている。
【0056】
版胴2には、マスタ16の先端部を係止するクランパ4が版胴2の外周部の一母線に沿って配設されている。クランパ4は、所定角度回動自在な軸4aをもって版胴2の外周部に枢着され、揺動・開閉自在となっている。クランパ4は、ゴム磁石を有していて、版胴2が後述する排版位置または給版位置を占めたときに、本願出願人が提案した特開平6−247031号公報(特願平5−39088号)の図1ないし図7に示されている原紙係止装置60と同様の構成を具備する開閉装置により、版胴2の外周部に設けられた強磁性体からなるステージ部に対して開閉される。クランパ4の閉時において、軸4aに巻着されたねじりコイルバネ等の付勢手段によりその閉じ力を補助する構成のものもある。
【0057】
版胴2の一方の端板に対向した本体フレーム1F側の所定位置には、図10に示すように、版胴2がそのクランパ4を版胴2の右側方に位置させる給版位置を占めたときに、その給版位置を検知するための図示しない給版位置検知センサと、版胴2がそのクランパ4を図1に示すように版胴2の真下に位置させるホームポジションを占めたときに、そのホームポジションを検知するための図示しないホームポジション検知センサとが配置されている。上記給版位置検知センサおよび上記ホームポジション検知センサは、透過型の光学センサからなり、例えば特開平11−91227号公報の図11に示されている構成のものと同様である。排版位置は、版胴2がそのクランパ4を排版剥離ローラ67および排版ローラ68における版胴2の回転方向の下流側寄りに対向させた位置である。この排版位置を検知する検知手段は、上記ホームポジション検知センサを兼用・利用しており、上記排版位置は、版胴2がホームポジションを占めたときに上記ホームポジション検知センサからのオン信号出力時を起点として、上記メインモータに付属して設けられた上記エンコーダ等により版胴2の回転量(回転角度)を検出することにより検知されるようになっている。
【0058】
版胴2の内部には、インキ供給装置5が配設されている。インキ供給装置5は、版胴2の内周面にインキを供給するインキローラ6と、インキローラ6と微小間隙を置いて平行に配置されていて、インキローラ6との間にインキ溜まり8を形成するドクタローラ7と、支軸3を兼ねると共にインキ溜まり8へインキを供給するインキ供給管3とから構成されている。
インキローラ6、ドクタローラ7は、ギヤやベルト等の回転伝達手段を介して上記駆動系の上記メインモータに連結されていて、上記メインモータにより駆動される。インキ溜まり8からインキローラ6の外周面に供給されたインキは、版胴2とインキローラ6の外周面とに僅かに隙間を設けているために、版胴2の内周面に供給される。インキは、適宜の位置に配置されたインキパックからインキポンプにより圧送され、インキ供給管3の供給穴よりインキ溜まり8へ供給される。
【0059】
圧胴9は、版胴2の周速度と同じ周速度で、かつ、版胴2と所定の同期をとって回転される押圧手段としての構成・機能を有する。版胴2の下方近傍に配設され、給紙装置60から給送されてくる印刷用紙Sの先端部を紙くわえクランパ12によりくわえながら版胴2の外周面に押圧する周知の機能を有する。圧胴9は版胴2と同径の外周部を有し、その外周部の一部には版胴2のクランパ4の部分との干渉を避けるための凹部11が形成されている。紙くわえクランパ12は、本体フレーム1F側に設けられたカム(図示せず)との当接により開閉されるようになっている。
【0060】
圧胴9は、圧胴9の中心部に設けられた圧胴軸10を揺動させて版胴2の外周面に選択的に押圧するためのカム駆動機構および版胴2の外周面から離間させた状態で回転可能に保持する保持アーム、バネ等の付勢手段およびソレノイド(共に図示せず)等からなる保持手段を備えた周知の圧胴接離手段(共に図示せず)により、版胴2に対して接離自在に構成されている。上記メインモータを備えた駆動系および上記圧胴接離手段等の詳細構成は、例えば特開平9−216448号公報の図1ないし図5等に示されているものと同様のものを用いている。
なお、上記圧胴接離手段としては、例えば特開平5−201115号公報の図1等に開示されている偏心軸を用いたものも用いられる。また上記押圧手段としては周知のプレスローラも用いられる。
【0061】
給紙装置60は、給紙トレイ61、給紙ローラ62、分離ローラ63、分離コロ63a、ガイド板対65a,65b、レジストローラ対64およびトレイ昇降モータ(図示せず)から主に構成されている。
給紙トレイ61は、その上に印刷用紙Sを積載され、本体フレーム1Fに対して上下動自在に支持されていて、印刷用紙Sの増減と連動して図示しないトレイ昇降モータにより上下動される。
【0062】
給紙ローラ62は、最上位の印刷用紙Sと当接して印刷用紙Pを送り出す周知の機能を有し、分離ローラ63および分離コロ63aは、給紙ローラ62により送り出された印刷用紙Sを1枚ずつ分離して給送する周知の機能を有する。給紙ローラ62、分離ローラ63および分離コロ63aは、印刷用紙Sを1枚ずつ分離して給送する給紙手段を構成している。
【0063】
給紙ローラ62および分離ローラ63は、図示しないプーリおよび無端ベルト等を備えた回転伝達手段を介して給紙モータ(図示せず)に連結されており、給紙モータにより回転される。上記給紙モータは、ステッピングモータからなる。上記給紙手段の駆動は、従来の給紙手段の駆動方式であるセクタギヤ方式に代えて、上記メインモータの回転駆動力とは独立した上記給紙モータで回転される給紙手段独立駆動方式を採用している。
上記各プーリと各ローラの軸との間には、図示しないワンウェイクラッチが介装されていて、上記給紙モータのオフ時には印刷用紙Sの繰り出し方向に回転自在なフリー状態となる。これにより、後述するレジストモータのみがオンしているときには、給紙ローラ62および分離ローラ63は印刷用紙Sの繰り出し方向に連れ回りされる。
【0064】
分離ローラ63の印刷用紙搬送方向の下流側には、上下一対のレジストローラ64が配設されている。レジストローラ対64は、上記給紙手段により分離・給送されてくる1枚の印刷用紙Sの先端をそのニップ部直前の部位に突き当てて、回転している版胴2上の製版済みのマスタ16の画像書込み開始位置に同期させつつ、拡開している紙くわえクランパ12にタイミングをとって搬送する用紙搬送同期手段としての機能を有する。レジストローラ対64は、上側のローラが従動ローラ、下側のローラが駆動ローラであり、下側の駆動ローラが図示しないプーリおよび無端ベルト等を備えた回転伝達手段を介してレジストモータ(図示せず)に連結されており、上記レジストモータにより回転される。上記レジストモータは、ステッピングモータである。
【0065】
ガイド板対65a,65bは、本体フレーム1F側に固定して配置された給紙側板(図示せず)に固設されており、給送される印刷用紙Sを案内する。なお、紙くわえクランパ12が無い圧胴や周知のプレスローラを用いた場合には、回転している版胴2上の製版済みのマスタ16の画像書込み開始位置(製版開始位置)に同期させて、版胴2の外周面と上記圧胴との間や、版胴2の外周面と上記プレスローラとの間に搬送させるようにすればよい。
なお、給紙ローラ62および分離ローラ63の回転駆動手段は、上記給紙モータに代えて、上記メインモータの回転駆動力を利用した機械式のカム駆動手段も用いられる。同様に、レジストローラ対64の回転駆動手段は、上記レジストモータに代えて、上記メインモータの回転駆動力を利用した機械式のカム駆動手段も用いられる。
【0066】
排紙装置80は、排紙トレイ81、排紙爪82、吸着排紙入口ローラ83、吸着排紙出口ローラ84、搬送ベルト85、吸引ファン86、排紙駆動モータ(図示せず)から主に構成されている。
排紙爪82は、圧胴9の外周面近傍に配設され、紙くわえクランパ12の開放動作により紙くわえクランパ12から開放された印刷済みの印刷用紙Sを剥離し案内する。吸着排紙入口ローラ83と吸着排紙出口ローラ84とは、排紙装置80の排紙側板(図示せず)に回転自在に支持されており、各ローラ83,84間には、表面に複数の開孔を有する搬送ベルト85が掛け渡されている。吸着排紙出口ローラ84は上記排紙駆動モータで回転駆動され、この回転力は搬送ベルト85を介して吸着排紙入口ローラ83に伝達される。各ローラ83,84の間であって上記排紙側板の下部には、ファンモータを内蔵した吸引ファン86が配設されている。吸引ファン86は、その回転により図において下向きの空気流を発生させ、搬送ベルト85の表面に印刷済みの印刷用紙Sを吸引する。
なお、紙くわえクランパ12での印刷用紙Sの先端部の排紙ミス時における版胴2上への用紙巻き上がりを確実に防止する目的で、排紙爪82に加えて、版胴2の外周面近傍に近接自在に配設され、版胴2から印刷済みの印刷用紙Sを剥離する剥離爪(図示せず)と、版胴2上の製版済みのマスタ16と印刷用紙Sとの間に送風して版胴2から印刷用紙Sを剥離する剥離ファン(図示せず)とを設けたものもある。
【0067】
排版装置66は、排版ボックス69、排版剥離ローラ67、排版ローラ68、排版モータ(図示せず)、圧縮板(図示せず)および圧縮板駆動モータ(図示せず)から主に構成されている。
排版剥離ローラ67は、排版ローラ68と圧接し合っており、上記排版モータにより回転される。排版剥離ローラ67は、揺動アームを備えた移動手段を介して、版胴2の外周面に圧接する剥離位置とこの剥離位置から離間した離間位置との間に変位自在となっている。上記移動手段は、排版剥離ローラ67が離間位置にあるときに、図示しない係止手段により係止され保持されるようになっている。これらの要部の構成は、例えば実公平2−274号公報の第1図ないし第5図に示されているものと同様の構成を有する。上記圧縮板は、図示しない昇降機構を介して排版ボックス69内に上下動自在に収納されており、上記圧縮板駆動モータの回転駆動により上記圧縮板が排版ボックス69内を上下動されるようになっている。
【0068】
次に、図4を参照して操作パネル90を説明する。
操作パネル90は、図4に示すように、孔版印刷装置1の各装置に指示を与えて所望する動作を行わせるように操作するためのものであり、原稿読取装置70の上部の一側部に配設されている。操作パネル90には、図4に示すように、原稿の画像の読み取りから排版、製版、給版、版付け印刷、排紙工程に至るまでの一連の工程(動作)を起動するための、すなわち製版動作を開始させるための製版開始設定手段としての製版スタートキー91と、印刷枚数等を入力・設定するためのテンキー93と、このテンキー93で置数(入力・設定)された印刷枚数分の印刷動作の起動等を行うための印刷スタートキー92と、ユーザの行うべき操作の状態や警告等のメッセージあるいは選択されている機能等の表示をしたり、マスタ16や印刷用紙Sのジャム箇所を適宜表示して報知するための液晶表示部95と、製版装置15内や版胴2等におけるマスタ16のジャム発生を点灯点滅表示するジャム発生表示ランプ96等とが配置されている。
【0069】
液晶表示部95は、LCD(液晶表示装置)で構成されており、図示しない液晶駆動回路を介して駆動される。ジャム発生表示ランプ96は、LED(発光ダイオード)で構成されており、図示しない発光ダイオード駆動回路を介して駆動される。
液晶表示部95は、ユーザの行うべき操作を知らせたり、その操作結果に対して警告をしたり、マスタ16のジャム箇所および印刷用紙Sのジャム箇所を適宜文字表示したりするガイダンス部95Aと、このガイダンス部95Aにより文字表示される操作内容を順次図示表示したり、孔版印刷装置1におけるマスタ16のジャム箇所および印刷用紙Sのジャム箇所あるいは故障個所および故障内容を具体的に絵で表示するための補助表示部95Bとを有する。
【0070】
次に、図5を参照して主として製版装置15の特徴的な制御構成について説明する。図5において、制御装置120は、適宜の電子回路からなるセンサ入力回路(図示せず)を介して、4つの残マスタ検知センサ36aないし36d、操作パネル90の製版スタートキー91からのオン/オフ信号やデータ信号を受信する。制御装置120は、液晶駆動回路や発光ダイオード駆動回路あるいは各種のモータ駆動回路を介して、操作パネル90のガイダンス部95Aおよび補助表示部95B、ジャム発生表示ランプ96、プロッタモータ24、ステッピングモータ41、吸引ファン34a,34b、吹き付けファン35に、指令信号を送信して後述する特徴的な制御を行う。
【0071】
制御装置120は、CPU(中央演算処理装置)121、I/O(入出力)ポート、I/F(インターフェース)124およびROM(読み出し専用記憶装置)122、RAM(読み書き可能な記憶装置)123等を備え、信号バス(図示せず)によって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。RAM123は、CPU121での演算結果を一時記憶したり、上記各センサおよび各キーから入力されたオン/オフ信号やデータ信号を随時記憶する。ROM122には、後述する特徴的な制御動作を実行するためのプログラムやデータ等が記憶されている。上記プログラムやデータ等の設定は、ROM122へ予めデータで与えたり、あるいはROMチップの交換等で行なわれる。
【0072】
CPU121(以下、「制御装置120」という)は、この実施形態1では次の特徴的な諸制御機能を有する。
第1に、制御装置120は、製版スタートキー91からの製版開始信号および4つの残マスタ検知センサ36aないし36dのうちの少なくとも1つのセンサからのマスタ有り信号に基づいて、製版動作を禁止すべくプロッタモータ24の作動を停止させると共に、上記した圧解除モータ(34)の作動を停止させて圧解除回転位置を占めたまま(プラテンローラ23に対してサーマルヘッド22が離間したまま)の製版待機状態にさせる製版制御手段としての機能を有する。 第2に、制御装置120は、製版スタートキー91からの製版開始信号および4つの残マスタ検知センサ36aないし36dのうちの少なくとも1つのセンサからのマスタ有り信号に基づいて、製版済みのマスタ16の残留が撓みボックス32の撓みダクト33aないし33c内に有ることを報知・表示するようにガイダンス部95A、補助表示部95Bおよびジャム発生表示ランプ96を制御する報知制御手段としての機能を有する。
【0073】
第3に、制御装置120は、製版スタートキー91からの製版開始信号およびプロッタモータ24の起動信号に基づいて、製版済みのマスタ16に撓み16Cを形成するときに吸引ファン34a,34bおよび吹き付けファン35を作動させる機能を有する。
第4に、制御装置120は、製版スタートキー91からの製版開始信号およびステッピングモータ41の起動信号に基づいて、反転ローラ対40による給版中、吹き付けファン35を作動させる機能を有する。
【0074】
次に、孔版印刷装置1の動作を説明する。この動作例は、特開2001−150786号公報の図5に示されているタイミングチャート(動作例1で省エネルギモードを考慮しない場合)を基本として、実施形態1の特有の構成による動作を折り込み反映したものであるが、説明の簡明化を図るために上記公報記載の一部の動作説明を省略する。
上記したプロッタモータ24、ステッピングモータ41、吸引ファン34a,34bおよび吹き付けファン35等の各制御対象駆動手段の動作を説明するに際して、後述する実施形態を含め、各種制御対象駆動手段が駆動するときを「オン」と、その駆動を停止するときを「オフ」と言い替えることがある。また、各制御対象駆動手段によるオン/オフの動作を一度説明した後では、同制御対象駆動手段によるオン/オフ等に係る動作説明を省略する。
【0075】
孔版印刷装置1の初期状態を図1に示す。図1に示すように、製版装置15では、マスタロール16Aから繰り出されたマスタ16の先端は反転ローラ対40のニップ部に挾持されている給版待機位置を、版胴2および圧胴9はホームポジションをそれぞれ占めている状態に設定される。図1の初期状態において、先ず、ユーザは上記電源スイッチをオンする。これに前後して原稿読取装置70の原稿載置台72上に複数枚の原稿73を載置・セットすると共に、給紙トレイ61上において印刷用紙Sが足りない場合や無い場合には印刷用紙Sを適宜補充・セットする。なお、製版装置15の給版待機位置は、上記位置に限らず、例えばカッタユニット28におけるフレーム212の上面212aの図2における左端に設定して、マスタ16の節約等を図っているものもある。
【0076】
次いで、製版・印刷開始のための操作が行われる。先ず、ユーザが製版スタートキー91を押してオンすると、製版開始信号が制御装置120に送信される。これにより、排版、原稿の画像読み取り、製版、給版、版付け印刷、排紙、版付け後空回転に亘る一連の動作が行われる。
ここで、孔版印刷装置1の前回使用時または連続製版しているときでは前回の製版時等において、撓みボックス32内でマスタ搬送ジャムの発生や製版済みのマスタ16の残留等が存在する場合がある。このような場合には、ユーザが製版スタートキー91を押してオンした直後に、制御装置120は、製版スタートキー91からの製版開始信号および4つの残マスタ検知センサ36aないし36dのうちの少なくとも1つのセンサからのマスタ有り信号に基づいて、製版動作を禁止すべくプロッタモータ24の作動を停止させると共に、圧解除モータ(34)の作動を停止させて圧解除回転位置を占めたまま(プラテンローラ23に対してサーマルヘッド22が離間したまま)の製版待機状態にさせることにより、プラテンローラ23、テンションローラ対26および除電ローラ27の回転が停止され、製版動作が停止する。
【0077】
これと同時に、制御装置120は、製版スタートキー91からの製版開始信号および4つの残マスタ検知センサ36aないし36dのうちの少なくとも1つのセンサからのマスタ有り信号に基づいて、製版済みのマスタ16の残留が撓みボックス32の撓みダクト33aないし33c内に有ることを報知・表示するようにガイダンス部95A、補助表示部95Bおよびジャム発生表示ランプ96を制御する。すなわち、操作パネル90のジャム発生表示ランプ96が点灯点滅すると共に、マスタ16の搬送ジャム発生や製版済みのマスタ16の残留等が存在するメッセージおよびそれらの発生箇所や存在箇所が、液晶表示部95のガイダンス部95Aおよび補助表示部95Bに適宜それぞれ表示される。
【0078】
ユーザはジャム発生表示ランプ96の点灯点滅表示、ガイダンス部95Aのメッセージ表示、補助表示部95Bのジャム発生箇所の表示等を適宜視認して、ジャム処理を行う。例えば、残マスタ検知センサ36bと36cとの配置箇所がジャム発生箇所として表示されている場合には、ユーザは孔版印刷装置1の前面に設けられている図示しない前ドアを開けて、さらに撓みボックス32の底部に設けられている開閉ドア31を開けて、撓みダクト33b、33c内に残留しているジャムした製版済みのマスタ16を下方から取り出せばよい。これにより、次製版時(ここでは、これから説明する製版時)のマスタ搬送ジャムや、カッタロックやカッタユニット28の破損等を未然に防げるため、安定したマスタ搬送性が得られる。
【0079】
なお、4つの残マスタ検知センサ36aないし36dは、例えば特開平10−202996号公報明細書の段落番号(0144)、(0155)等に記載されていると同様に、現在の製版工程における搬送中の製版済みのマスタ16の先端位置を検知することにより、マスタ搬送ジャム等の検出を行うことに利用することもできる。すなわち、現在の搬送中の製版済みのマスタ16の先端が、予め設定された搬送設定時間内または予め設定されたプロッタモータ24へ供給するパルス数内に、各残マスタ検知センサ36aないし36dの設置箇所を通過しない場合に、製版動作を禁止すべくプロッタモータ24の作動を停止させたり、マスタ16の搬送ジャム発生等のメッセージおよびそれらの発生箇所をガイダンス部95Aおよび補助表示部95Bに適宜それぞれ表示させたりすることもできる。
【0080】
製版スタートキー91の押下による製版開始信号が以降の動作フローのトリガとなる。ユーザによるマニュアル操作は製版スタートキー91を押すまでであり、以降の版付け後空回転までの動作は自動で行われる。ここでは、版胴2内のインキ供給装置5によりインキが供給されて適度なインキ溜まり8が形成されると共に、給紙装置40の上記昇降モータがオン駆動されて所定の給紙圧・分離圧等がセットされた状態となる。
【0081】
まず、その外周面に前版の使用済みのマスタ16を巻装していて、ホームポジションを占めていた版胴2は、上記メインモータがオンすることにより図1中矢印で示す時計回り方向に回転を開始し、排版位置に対応して上記メインモータがオフすることにより排版位置で停止する。以下、上記メインモータのオン/オフ動作は省略する。排版および給版動作時においては、版胴2は圧胴9の外周面から離間した状態で回転移動する。
版胴2が排版位置に停止すると、上記クランパモータがクランパ4を所定の角度に開くべくオンすることにより、クランパ4が拡開される。上記係止手段による上記移動手段の係止状態が解除されて、排版剥離ローラ67が版胴2上の使用済みのマスタ16に当接する剥離位置を占めると同時に、上記排版モータがオンする。これにより、排版剥離ローラ67は回転されつつクランパ4で係止されていた使用済みのマスタ16の先端部に対応する版胴2の外周面に押し付けられることで、使用済みのマスタ16の先端部が排版剥離ローラ67により版胴2の外周面からすくい上げられて剥離される。この直後、排版剥離ローラ67は上記移動手段により再び元の図1に示す離間位置に戻され、排版ローラ68と共に回転自在に保持される。排版剥離ローラ67が離間位置に戻された直後において、上記クランパモータがクランパ4を閉じるべくオンすると、上記ねじりコイルバネの付勢力およびゴム磁石の磁力によりクランパ4が閉じられる。以下、上記クランパモータおよび上記排版モータのオン/オフ動作は省略する。クランパ4が閉じた後、版胴2が時計回り方向に回転することで実質的な排版動作が始まる。 剥離された使用済みのマスタ16は、排版剥離ローラ67および排版ローラ68のニップ部に挾持されながらの回転・搬送動作によって、版胴2の外周面より剥離されつつ搬送され、排版ボックス69の内部に廃棄されていく。
【0082】
一方、製版開始信号生成直後の製版装置15では、圧解除モータ(34)がオンして回転することにより、プラテンローラ23とサーマルヘッド22との間のマスタ16にプラテン圧が印加されると共に、このプラテン圧印加の状態が接離検知センサ(35)でオフ検知される。
製版待機状態では、プラテン圧が解除されている状態にあるため、プラテンローラ23とサーマルヘッド22との間およびテンションローラ対26の上下ローラの間はそれぞれ離間しており、マスタ搬送路XR内のマスタセットローラ19から反転ローラ対40に至るまでのマスタ16にたるみが発生する。そのままマスタ16を版胴2に着版して印刷を行うと、巻装シワが発生したり、製版開始位置が安定せずに製版開始位置がずれたりする問題点となるので、プラテン圧を印加した直後に、プロッタモータ24を駆動させずにステッピングモータ41だけを所定時間オンすることにより、マスタ16を少し搬送し、マスタ16のたるみを取り除く動作を行う。
このとき、マスタセットローラ19とマスタセットガイド板20との間、プラテンローラ23とサーマルヘッド22との間、テンションローラ対26のニップ部間、除電ローラ27とフレーム212の上面212aとの間のマスタ16は、適宜各ローラを従動回転させつつ各部材間を滑りながらマスタ搬送方向Xの下流側へと搬送される。
この後、給版時でのステッピングモータ41駆動までの間、同モータ41が励磁させるべく制御される。このように、ステッピングモータ41を所定のタイミングで励磁させるから、反転ローラ対40が回転フリーとなり、振動などによって製版開始位置合わせを行ったマスタ16がずれることを防止できる。
【0083】
次いで、上述した版胴2の排版位置への移動および排版動作と並行して、原稿読取装置70および製版装置15で原稿73の画像読み取り動作および製版(書き込み)動作が開始する。
原稿載置台72上にセットされた複数枚の原稿73の内の最下位の原稿73がコンタクトガラス74上の所定位置に自動搬送され、原稿73の画像が上記原稿走査用光学系で読み取られ、画像センサ77により光電変換されたアナログの画像信号が上記A/D変換部に入力される。画像が読み取られた原稿73は、原稿排紙台75上へ排出される。
上記A/D変換部に入力されたアナログの画像信号は、デジタルの画像信号に変換され、そのデジタルの画像信号は画像信号処理部(図示せず)を経由して上記製版制御部に送信される。
【0084】
一方、原稿73の画像読み取り動作と並行して、図示しない画像信号処理部からのデジタルの画像信号を受けての上記製版制御部によるサーマルヘッド22が制御されつつ、製版動作および排版動作が自動的に並行して進行する。
デジタルの画像信号に応じて、サーマルヘッド22の発熱素子が選択的に発熱され、プラテンローラ23に対してサーマルヘッド22で押圧されるマスタ16のフィルムの部分が選択的に加熱溶融されて穿孔されつつ、プロッタモータ24がオンされ、図2に示すようにプラテンローラ23、テンションローラ対26および除電ローラ27がそれぞれ図中矢印方向に回転されることにより、穿孔製版された製版済みのマスタ16がマスタ搬送路XRの下流側へ静電気等で貼り付くことなく搬送される。一方、ステッピングモータ41はオフしたままであり、これにより反転ローラ対40は停止したままである。
【0085】
これと同時的に、図2に示すように、吹き付けファン35および吸引ファン34a,34bが共にオンして回転する。これにより、吹き付けファン35が開口32aの上方近傍に位置する、すなわちフレーム212の上面212aの左端と反転ローラ対40との間の製版済みのマスタ16に撓み16Cを形成する向きである上方から送風を行うと共に、吸引ファン34a,34bの回転により図において上から左右にかけて折り返す態様の空気流による吸引作用によって、製版済みのマスタ16が開口32aから垂れ下がるようにして撓み16Cを次第に大きくなるように形成されながら、また切り換えし板33a,33bによって案内されながら撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内に順次折り返される態様で搬送されて行く。こうして、撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内には、製版済みのマスタ16が貯留されていく。
【0086】
説明が前後するが、製版動作中に、版胴2は時計回りに回転して給版位置で停止する。この間、排版装置66では排版剥離ローラ67および排版ローラ68等の作動による排版動作が継続されており、版胴2の回転量に対応した分の使用済みのマスタ16が剥離され排版ボックス69内へ廃棄・排版される。この間、製版装置15ではプロッタモータ24がオン駆動しており、マスタ貯留手段30で製版済みのマスタ16に撓み16Cを形成しながらの製版動作が継続している。
【0087】
一方、製版(書き込み)動作中であって、版胴2が給版位置へ回転移動中において、給紙装置60では、上記給紙モータがオンして給紙ローラ62および分離ローラ63が回転することにより、また分離ローラ63と分離コロ63aとの協働作用によって、給紙トレイ61の最上位の1枚の印刷用紙Sが給送され、その印刷用紙Sの先端がレジストローラ対64のニップ部直前の部位に突き当てされる。その後、上記給紙モータがオフして給紙ローラ62および分離ローラ63の回転が停止することにより、印刷用紙Sの先端がレジストローラ対64のニップ部に当接・保持されると共に、印刷用紙Sの後端部が給紙ローラ62および分離ローラ対63に当接・保持される。
【0088】
版胴2が給版位置に停止すると、直ちに給版動作の準備のため、すなわち着版のためにクランパ4が拡開されて、版胴2は給版待機状態となる。この給版待機状態の間、排版装置66での排版剥離ローラ67および排版ローラ68等の作動による排版動作は、一時中断されている。
このとき、ステッピングモータ41が所定のタイミングでオン(起動)して反転ローラ対40が回転されることによって、製版済みのマスタ16の先端部は、給版ガイド板42に案内されつつ拡開されたクランパ4へと搬送される。ステッピングモータ41の所定ステップ数のオン作動により、製版済みのマスタ16の先端部がクランパ4へ届いたと判断されると、ステッピングモータ41がオフして、反転ローラ対40の作動が停止すると同時に、クランパ4が閉じられる。これにより、製版済みのマスタ16の先端部がクランパ4で係止される。
【0089】
この着版時においては、制御装置120からの指令によって、ステッピングモータ41によるマスタ搬送速度v2をプロッタモータ24によるマスタ搬送速度v1以上となるように、ステッピングモータ41およびプロッタモータ24へそれぞれ供給するパルス周波数(pps)を変えることにより、マスタ搬送速度v2≧マスタ搬送速度v1となるようにステッピングモータ41およびプロッタモータ24が制御される。
【0090】
上記したようにステッピングモータ41がオンしてから反転ローラ対40が回転している間を含む給版時中、換言すればステッピングモータ41がオンしてから製版済みのマスタ16が版胴2に巻装されるべく反転ローラ対40のニップ部を移動中の給版動作時中において、吹き付けファン35が開口32aを含むその近傍の製版済みのマスタ16の上方から送風を行うことにより、この送風による力が送り込み側の製版済みのマスタ16と送り出し側の製版済みのマスタ16との和紙繊維面16b同士が接触しないように、かつ、分かれるように作用するので、図10(a)および図10(b)に示したような製版済みのマスタ16の和紙繊維面16b同士が撓みボックス32内から開口32a周辺で接触して擦れ合うことがなくなり、したがってその摩擦抵抗によって、撓みボックス32の開口32a近傍に搬送される送り側の製版済みのマスタ16がせり上げられ盛り上がってしまうことが未然に防止される。
【0091】
次いで、給版のためのマスタ巻装動作が行われる。版胴2が時計回り方向に回転移動すると同時に、ステッピングモータ41が励磁されることにより、反転ローラ対40の上側ローラの連れ回りを止め、版胴2の外周面に巻き付ける製版済みのマスタ16に負荷を与えて巻装シワの発生が防止される。
ステッピングモータ41を励磁した後では、反転ローラ対40の上側ローラはステッピングモータ41の励磁によるホールドの負荷を受けることにより、停止(ロック)状態となり、反転ローラ対40の下側ローラは版胴2の回転による製版済みのマスタ2の搬送力を受けることにより連れ回り・従動回転をする。版胴2の回転力により、撓みボックス32内に貯留されていた製版済みのマスタ16が引き出されつつ、版胴2の外周面上にシワ等を発生することなく巻装されていく。
このとき、版胴2の周速度vは、製版装置15におけるプラテンローラ23によるマスタ搬送速度v’よりも十分大きくなるように(v>v’)、制御装置120により上記メインモータおよびプロッタモータ24の回転速度が制御されるようになっている。
【0092】
一方、上記給版動作が行われると同時に、排版装置66では、排版動作が再度開始され、版胴2の回転量に対応した分の使用済みのマスタ16が排版剥離ローラ67および排版ローラ68の作動により版胴2の外周面から剥離・搬送されて、排版ボックス69へ廃棄・排版されていく。
一方、原稿読取装置70での読み取り動作および製版装置15での書き込み動作が進行し、読み取り動作が終了し、次いでプロッタモータ24のステップ数により、1版分の製版済みのマスタ16が製版されたと制御装置120で判断されると、制御装置120からの指令により、プロッタモータ24、吹き付けファン35および吸引ファン34a,34bがそれぞれオフされる。これにより、マスタセットローラ19、プラテンローラ23、テンションローラ対26および除電ローラ27の回転がそれぞれ停止され、製版(書き込み)動作が終了する。
このとき、マスタ貯留手段30における製版済みのマスタ16の撓み16Cの量は徐々に小さくなっており(もはや盛り上がり16Dの発生する余地がない程に、例えば図10(c)に示したよりもさらに小さい撓み16Cになっている)、マスタ16の撓み量が最小となる時において、カッタユニット28の上記モータがオンすることにより、カッタユニット28がフレーム212に沿いつつマスタ幅方向Yに回転しながら移動して製版済みのマスタ16の後端を切断する。製版済みのマスタ16の後端を切断後、カッタユニット28は元のホームポジションに戻り、上記モータがオフする。したがって、カッタユニット28のカットミスやカッタロック等によるマスタ搬送ジャムは生じることがない。
【0093】
一方、印圧装置14では、版胴2がホームポジションを占める回転移動動作に同期して、給紙動作が開始される。上記レジストモータがオンすることにより、印刷用紙Sは、レジストローラ対64により版胴2の回転と同期した所定のタイミングをとられた後給送され、これとタイミングを合わせて紙くわえクランパ12が拡開され、印刷用紙Sをくわえた後、紙くわえクランパ12が閉じられ、圧胴9の外周面に印刷用紙Sが保持されたまま圧胴9が回転され、版胴2と圧胴9との間のニップ部に印刷用紙Sが送り込まれる。このタイミングに合わせて、圧胴9の外周面が版胴2の外周面に接離可能な状態となる。印刷動作後、圧胴9の外周面が版胴2の外周面から離間された状態となる。版胴2と圧胴9との上記ニップ部は、上記圧胴接離手段に具備されている緊縮性の印圧バネ(図示せず)の付勢力によって加圧されており、これにより印刷用紙Sは版胴2の外周面上に巻装されている製版済みのマスタ16に押圧される。この押圧の際に、インキローラ6により版胴2の内周面に供給されたインキは、製版画像が形成された製版済みのマスタ16の穿孔部分を通過して滲み出し、この滲み出たインキが印刷用紙Sの表面に転移されて、印刷画像が形成される。
【0094】
印刷画像が形成された印刷済みの印刷用紙Sは、圧胴9が回転して排紙爪82の手前で紙くわえクランパ12が開くことにより、排紙爪82に乗り上げて剥離され、吸引ファン86により吸引されつつ、下方に位置する搬送ベルト85上に排出される。搬送ベルト85上の印刷済みの印刷用紙Sは、吸引ファン86で搬送ベルト85上に吸引されつつ吸着排紙出口ローラ84の回転によって搬送され、排紙トレイ81上に排出されていわゆる版付け印刷が終了する。この版付け印刷により排出された印刷物は正規の印刷物としてカウントされない。
【0095】
印刷動作および排紙動作が上記したように行われ、版胴2が給版位置を占めた付近では、版胴2への1版分の製版済みのマスタ16の巻き付けが完了して給版動作が終了する。次いで、印刷済みの印刷用紙Sが排紙トレイ81上に排出されて試し刷り(版付け印刷)が終了する。この後、版胴2はホームポジションまで回転移動し、ホームポジションで停止する。
【0096】
版付け印刷終了後、ユーザは排出された印刷物(印刷用紙S)を適宜目視して、通常の印刷動作を行ってもよいかどうかを適宜判断し、画像品質の確認や画像位置の確認等を適宜行い、これらがオーケーであれば、ユーザは印刷スタートキー92を押すと、通常印刷時の1枚目の印刷用紙Sを給紙して印刷すべく、上記したと同様の給紙動作、印刷動作および排紙動作が行われる。
【0097】
一方、レジストローラ対64の回転動作が停止され、印刷動作が終了すると、製版装置15では、ガイド搬送板31が撓み形成位置から可動してガイド搬送位置を占める。これと同時に、プロッタモータ24がオンすることにより、プラテンローラ23、テンションローラ対26および除電ローラ27が回転すると共に、ステッピングモータ41がオンして反転ローラ対40が回転することによって、カッタユニット28により切断された次版のマスタ16の先端部がガイド搬送板31および給版ガイド板42に案内されながら、マスタ搬送路XRの下流側へと搬送される。そして、プロッタモータ24およびステッピングモータ41の所定ステップ数の作動により、次版のマスタ16の先端部が図1に示す製版開始位置に対応して製版待機位置を占めたと判断された時点で、プロッタモータ24およびステッピングモータ41が共にオフすることにより、プラテンローラ23、テンションローラ対26、除電ローラ27および反転ローラ対40の回転がそれぞれ停止し、待機状態となる。
また、サーマルヘッド22は、プラテンローラ23から離間する。原稿読取装置70でも、上記スキャナモータ等がホームポジションへ移動するためにオンした後オフする。
【0098】
(実施形態2)
図1、図6ないし図9を参照して、実施形態2について説明する。
図1において、括弧を付して示す符号1Aは、実施形態2の孔版印刷装置を、同じく括弧を付して示す符号15Aは、実施形態2の製版装置を、同じく括弧を付して示す符号120Aは、実施形態2の制御装置をそれぞれ表している。
孔版印刷装置1Aは、図1に示すように、実施形態1の孔版印刷装置1と比較して、製版装置15に代えて、製版装置15Aを有すること、および制御装置120に代えて、制御装置120Aを有することのみ相違する。
【0099】
製版装置15Aは、図6に示すように、実施形態1における製版装置15と比較して、盛り上がり防止手段としての吹き付けファン35に代えて、給版時の製版済みのマスタ16の盛り上がりを防止する盛り上がり防止手段50を有すること、および従来と同様の3つの吸引ファン34a,34b,34cを有することのみ相違する。
【0100】
盛り上がり防止手段50は、盛り上がる製版済みのマスタ16に接触してこれを抑える抑え位置(図6および図7に実線で、図8に二点鎖線でそれぞれ示す位置)とこの抑え位置から離間する非抑え位置(図8に実線で示す位置)との間で変位自在な抑え部材としての抑えガイド板51と、抑えガイド板51を抑え位置と非抑え位置との間に変位させる図8に示す抑え部材変位手段52とから主に構成されている。
【0101】
抑え位置は、図8に示すように抑えガイド板51の先端部が二点鎖線矢印で示す下方に揺動変位して、抑えガイド板51の先端部がフレーム212の上面212a上の製版済みのマスタ16および図8では省略している撓みボックス32の開口32a上方の製版済みのマスタ16に接触して給版時に発生する盛り上がり16Dを抑え付けることにより、盛り上がり16Dが図6ないし図8に示すように略水平状態に延ばされるように小さく抑え込むことができ、かつ、製版済みのマスタ16の撓みボックス32内への搬送および反転ローラ対40による搬送を妨げない程度にフレーム212の上面212aに対する適度な間隔を保持するように、抑えガイド板51の下降止まり位置および形状を設定することで決められる。非抑え位置は、マスタ切断時において、カッタユニット28の図10に示す上刃ホルダ213a等がマスタ幅方向Yに移動するときに抑えガイド板51の先端部(自由端部)等に干渉しない位置となるように設定される。
【0102】
以下、抑えガイド板51および抑え部材変位手段52周りの構成について詳述する。
抑えガイド板51は、図6ないし図8に示すように、平面視で略平板状をなし、マスタ幅方向Yに延在して形成されている。抑えガイド板51の図において右側の先端部は、マスタ16の先端の搬送時に引っ掛からないように右斜め上がりに傾斜している。抑えガイド板51には、図7に示すように、アーム部51aがその両側に一体形成されている。抑えガイド板51は、例えばポリカーボネート樹脂(PC)等の合成樹脂により形成されている。抑えガイド板51の基端部側の両側縁は、上方に向けて直角に折り曲げ形成されていて、上側の反転ローラ7の軸における手前側および奥側の両端部に所定角度回動自在に支持されている。これにより、抑えガイド板51は、両アーム部51aを介して、上側の反転ローラ40の軸を中心として揺動変位自在に設けられている。なお、図7等に示した抑えガイド板51は、あくまでも一例にすぎない。
【0103】
抑え部材変位手段52は、図8に二点鎖線で示すように、反転ローラ対40の奥側に配設されている。抑え部材変位手段52は、その一端が抑えガイド板51の基端部に連結ピン53を介して連結され、他端が後述するDCソレノイド54のプランジャ54a端部に連結されたリンク55と、その一端がリンク55の略中央部に係止され、他端が奥側の製版側板(図示せず)に係止された付勢手段としてのスプリング56(引張バネ)と、奥側の製版側板(図示せず)に固設され、進退自在なプランジャ54aを有する駆動手段としてのDCソレノイド54とから主に構成されている。
スプリング56により、抑えガイド板51は常に上記非抑え位置を占める向きに付勢されている。抑えガイド板51は、非抑え位置よりもさらに揺動変位して上昇しないようにストッパー部材(図示せず)により、抑えガイド板51の非抑え位置の上限が定められている。
【0104】
制御装置120Aは、図5に示した制御装置120と比較して、2つの吸引ファン34a,34bに代えた3つの吸引ファン34a,34b,34c、吹き付けファン35に代えたDCソレノイド54にそれぞれ指令信号を送信して後述する特徴的な制御を行う。
制御装置120Aは、CPU121A、I/Oポート、I/F124AおよびROM122A、RAM123A等を備え、信号バス(図示せず)によって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。RAM123Aは、CPU121Aでの演算結果を一時記憶したり、上記各センサおよび各キーから入力されたオン/オフ信号やデータ信号を随時記憶する。ROM122Aには、後述する特徴的な制御動作を実行するためのプログラムやデータ等が記憶されている。上記プログラムやデータ等の設定は、ROM122Aへ予めデータで与えたり、あるいはROMチップの交換等で行なわれる。
【0105】
CPU121A(以下、「制御装置120A」という)は、この実施形態2では次の特徴的な諸制御機能を有する。
第1および第2の制御装置120Aの機能は、実施形態1の制御装置120のそれと同様である。
第3に、制御装置120Aは、製版スタートキー91からの製版開始信号およびプロッタモータ24の起動信号に基づいて、製版済みのマスタ16に撓み16Cを形成するときに吸引ファン34a,34b、34cを作動させる従来と同様の機能を有する。
第4に、制御装置120Aは、製版スタートキー91からの製版開始信号および給版時におけるステッピングモータ41の起動信号(反転ローラ対40の起動・作動信号でもある)に基づいて、カッタユニット28の起動時まで抑えガイド板51を抑え位置に変位させるように抑え部材変位手段52のDCソレノイド54を制御する制御手段としての機能を有する。
【0106】
次に、実施形態2における孔版印刷装置1Aの動作について、実施形態1のそれと相違する点を中心に説明する。孔版印刷装置1Aの動作は、実施形態1のそれと比較して、主として製版装置15Aにおける製版および給版動作の一部が相違するだけであるので、製版および給版動作について述べる。なお、製版装置15Aの初期状態では、抑えガイド板51は図8に実線で示す非抑え位置に保持されている。
【0107】
先ず、ユーザが製版スタートキー91を押してオンすると、製版開始信号が制御装置120Aに送信されることにより、排版、原稿の画像読み取り、製版、給版、版付け印刷、排紙、版付け後空回転に亘る一連の動作が行われる。
ここで、孔版印刷装置1Aの前回使用時または連続製版しているときでは前回の製版時等において、撓みボックス32内でマスタ搬送ジャムの発生や製版済みのマスタ16の残留等が存在する場合には、制御装置120Aからの指令によって実施形態1と同様の動作および操作が行われる。
【0108】
実施形態1の動作と相違する第1の点は、製版時における製版済みのマスタ16への撓み16C形成時の動作である。すなわち、製版済みのマスタ16への撓み16C形成時には、3つの吸引ファン34a,34b,34cが共にオンして回転することにより、図において上から左右にかけて折り返す態様の空気流による実施形態1よりも強い従来と同様の吸引作用によって、製版済みのマスタ16が開口32aから垂れ下がるようにして撓み16Cを次第に大きくなるように形成されながら、また切り換えし板33a,33bによって案内されながら撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内に順次折り返される態様で搬送されて行くことである。
【0109】
実施形態1の動作と相違する第2の点は、版胴2が給版待機状態となったときにおいて、ステッピングモータ41が所定のタイミングでオン(起動)して反転ローラ対40が回転されるときの動作である。すなわち、反転ローラ対40の回転と同時に、制御装置120Aからの指令により、図8および図9において、抑え部材変位手段52のDCソレノイド54に通電され、DCソレノイド54がオン駆動される。DCソレノイド54がオンされると、図8において、プランジャ54aの先端が実線で示す位置から二点鎖線で示す位置までストローク57分吸引移動され、リンク55が下方向に移動変位される。これにより、図8に示すように、実線で示す非抑え位置に保持されていた抑えガイド板51は二点鎖線矢印で示す下方に揺動変位されて、二点鎖線で示す抑え位置を占める。
【0110】
抑えガイド板51が抑え位置を占めると、図6ないし図8に示すように、抑えガイド板51の先端部がフレーム212の上面212a上の製版済みのマスタ16および開口32a上方の製版済みのマスタ16に接触して給版時に発生する盛り上がり16Dを抑え付けることにより、盛り上がり16Dが図6ないし図8に示すように略水平状態に延ばされるように小さく抑え込まれる。さらに、抑え位置では、抑えガイド板51が製版済みのマスタ16の撓みボックス32内への搬送および反転ローラ対40による搬送を妨げない程度にフレーム212の上面212aに対する適度な間隔を保持しているので、反転ローラ対40の回転によるマスタ搬送力によって、製版済みのマスタ16の先端は給版ガイド板42に案内されつつ拡開されたクランパ4へと搬送される。
上記したようにステッピングモータ41がオンしてから反転ローラ対40が回転している間を含む給版時中、換言すればステッピングモータ41がオンしてから製版済みのマスタ16が版胴2に巻装されるべく反転ローラ対40のニップ部を移動中(実施形態1で述べたと同様に、上側の反転ローラ40がステッピングモータ41に対する励磁作用によって停止、下側の反転ローラ40が連れ回り・従動回転しているとき)の給版動作時中において、抑えガイド板51が抑え位置に保持されていることにより、図10(a)および図10(b)に示したように、撓みボックス32の開口32aに対する送り込み側の製版済みのマスタ16と送り出し側の製版済みのマスタ16との和紙繊維面16b同士が接触して擦れ合うときの摩擦抵抗によって、撓みボックス32の開口32a近傍に搬送される送り側の製版済みのマスタ16がせり上げられて生じる製版済みのマスタ16の「大」、「中」の盛り上がり16Dが発生しても、抑え位置を占めた抑えガイド板51によって抑え込まれることとなる。
【0111】
実施形態1の動作と相違する第3の点は、読み取り動作が終了し、プロッタモータ24のステップ数により、1版分の製版済みのマスタ16が製版されたと制御装置120Aで判断されたときの動作である。すなわち、このとき、制御装置120Aからの指令により、プロッタモータ24、吸引ファン34a,34b、34cがそれぞれオフする。これにより、マスタセットローラ19、プラテンローラ23、テンションローラ対26および除電ローラ27の回転がそれぞれ停止され、製版(書き込み)動作が終了する。これと同時に、制御装置120Aからの指令により、図8および図9において、DCソレノイド54への通電がオフされ、DCソレノイド54がオフする。
【0112】
DCソレノイド54がオフすると、スプリング56の付勢力によって、リンク55が図8に実線で示すように移動変位される。これにより、同図に示すように、抑えガイド板51が実線矢印で示す上方に揺動変位されて、非抑え位置を占めることとなる。以下、実施形態1と同様にマスタ16の撓み量が最小となる時において、カッタユニット28による切断が行われる。
【0113】
なお、実施形態1や2の動作例は、上述したものに限らず、例えば特開2001−150786号公報の図7、図8や図9に示されているタイミングチャートを基本として、実施形態1や2の特有の構成による動作を折り込み反映してもよい。また、実施形態1や2において、ステッピングモータ41に代えた電磁クラッチを用いて、特開2001−150786号公報の図12や図22に示されているタイミングチャートを基本として、実施形態1や2の特有の構成による動作を折り込み反映してもよい。
【0114】
マスタ16は、ベースに和紙繊維を用いた上記したものに限らず、例えば厚さが0.5〜3μmの、実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタや、マスタ16のベースの厚さを薄くしたマスタや、例えば本願出願人が提案した特開平11−77949号公報に記載されているような合成繊維ベースマスタでもよいし、またフィルムに溶融した樹脂を塗布してフィルムに樹脂膜を一体的に形成したようなマスタを使用して生じる給版時のマスタ16の盛り上がり16Dに対しても、その盛り上がり16Dを有効に防止して実施形態1や2による上記利点や後述する効果を奏することができる。
実施形態1および2等では、フィルム面内巻きのマスタロール16Aから繰り出し可能に設けられているマスタ16の例であったが、従来の技術で説明したように、例えばフィルム面外巻きマスタ16で、例えば低湿環境下等で発生する給版時のマスタ16の盛り上がり16Dに対しても、その盛り上がり16Dを有効に防止して上記利点や後述する効果を奏することができる。
【0115】
製版手段は、実施形態1や2のサーマルヘッド22に限らず、これに代えて、例えばフラッシュ製版あるいはレーザー製版等の製版手段であってもよい。
マスタ貯留手段30は、これに限らず、例えば特開2001−150786号公報の図1および図2等に示されているように、製版済みのマスタ16を折り返す切り換えしが1つしかないもの、あるいは2つあるような撓みボックスの入口近傍でも給版時の盛り上がり16Dがある程度発生するので、このような撓みボックスを具備する製版装置や製版印刷装置にも適用できる。
また、本発明に係る製版装置が装備される製版印刷装置は、上記した孔版印刷装置1,1Aに限らず、例えば特開平7−17013号公報に示されているような版胴の外側からインキを供給する構成の印刷装置であってもよく、また、特開平10−202996号公報記載の技術のように製版装置が製版部ユニットを構成していてその製版部ユニット全体を着脱可能な場合にも有効に適用できる。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来の諸問題点を解決して新規な製版装置およびこれを有する製版印刷装置を提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば以下のとおりである。
請求項1および8記載の発明によれば、製版装置や製版印刷装置の高さを抑えて上下方向に省スペース化を図り、これによって小型化を図る上から配設された、マスタ貯留手段へのマスタの入口近傍に設けられマスタ搬送方向と直交するマスタ幅方向に移動可能な回転刃を有する切断手段を具備すると共に、上記と同様の目的でマスタ搬送路の下方に設けられているマスタ貯留手段を具備する製版装置や製版印刷装置において、マスタ貯留手段へのマスタの入口近傍に、切断手段の上方から送風してマスタの盛り上がりを防止する送風手段を設け、該送風手段が給版手段による給版中に作動することにより、マスタ貯留手段の入口に送り込まれる側のマスタとその入口から送り出される側のマスタとの接触を防ぐことが可能となるので、マスタ切断前の給版中に発生するマスタの盛り上がりを防止することができ、マスタ切断時のカットミスやカッタロック等によるマスタ搬送ジャムの発生も未然に防ぐことができ、ひいては製版済みのマスタが折れ曲がったり重なり合った状態で版胴に巻装されることによる押圧手段(例えば圧胴やプレスローラ等)の汚れや排紙ジャムも未然に防ぐことが可能となるから、マスタ搬送を正確に行うことができて、安定したマスタ搬送性を得ることができる。
【0117】
請求項2および8記載の発明によれば、製版装置や製版印刷装置の高さを抑えて上下方向に省スペース化を図り、これによって小型化を図る上から配設された、マスタ貯留手段へのマスタの入口近傍に設けられマスタ搬送方向と直交するマスタ幅方向に移動可能な回転刃を有する切断手段を具備すると共に、上記と同様の目的でマスタ搬送路の下方に設けられているマスタ貯留手段を具備する製版装置や製版印刷装置において、制御手段は、給版時における給版手段からの起動信号に基づいて、抑え部材を抑え位置に変位させるように抑え部材変位手段を制御するので、マスタ切断前の給版中に発生するマスタの盛り上がりを防止することができ、マスタ切断時のカットミスやカッタロック等によるマスタ搬送ジャムの発生を未然に防ぐことができると共に、マスタ切断時のカットミスやカッタロック等によるマスタ搬送ジャムの発生も未然に防ぐことができ、ひいては製版済みのマスタが折れ曲がったり重なり合った状態で版胴に巻装されることによる押圧手段(例えば圧胴やプレスローラ等)の汚れや排紙ジャムも未然に防ぐことが可能となるから、マスタ搬送を正確に行うことができて、安定したマスタ搬送性を得ることができる。
【0119】
請求項記載の発明によれば、マスタ貯留手段は、製版されたマスタを複数段に折り返す複数の折り返し貯留部を有する撓みボックスと、この撓みボックスに設けられ製版されたマスタに撓みを形成すべく撓みボックス内の空気を吸引する吸引ファンとを具備するので、単純な折り返し貯留部を有する撓みボックスと比較して、マスタの盛り上がりが給版時により一層発生しやすくなるので、請求項1または記載の発明の効果が顕著となる。
【0124】
請求項記載の発明によれば、製版されたマスタの残留の有無を検知する少なくとも1つのマスタ検知手段により、マスタ貯留手段における製版されたマスタの残留の有無を検知することができるので、製版装置や製版印刷装置において、次製版のためのマスタ搬送時におけるカッタロック等によるマスタ搬送ジャムの発生やカッタユニットの破損を未然に防止して、安定したマスタ搬送性を得ることが可能になる
【0125】
請求項記載の発明によれば、撓みボックスは、製版されたマスタを複数段に折り返す複数の折り返し貯留部を有し、少なくとも1つのマスタ検知手段は、撓みボックス内における製版されたマスタの折り返し部位に対向して設けられていることにより、折り返し貯留部の無い単純なものや1つの折り返し貯留部を有する撓みボックスに設けられている場合と比較して、製版されたマスタの残留がより一層発生しやすくなるマスタの折り返し部位でのマスタ残留物の検知ができるので、請求項記載の発明の効果が顕著となる。
【0126】
請求項記載の発明によれば、製版制御手段は、製版動作を開始させるための製版開始設定手段からの製版開始信号および少なくとも1つのマスタ検知手段の何れか1つからのマスタ有り信号に基づいて、製版動作を禁止するので、請求項または記載の発明の効果に加えて、次製版のためのマスタ搬送時におけるカッタロック等によるマスタ搬送ジャムの発生やカッタユニットの破損を未然にかつ確実に防止して、安定したマスタ搬送性を得ることができる。
【0127】
請求項7記載の発明によれば、報知制御手段は、製版動作を開始させるための製版開始設定手段からの製版開始信号および少なくとも1つのマスタ検知手段の何れか1つからのマスタ有り信号に基づいて、製版されたマスタの残留がマスタ貯留手段内に有ることを判断してこれを報知するように報知手段を制御するので、請求項4または5記載の発明の効果に加えて、製版されたマスタの残留物の有無や、その存在箇所あるいはマスタ搬送ジャムの箇所等を視覚や聴覚等によって認識できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製版印刷装置の実施形態1を示す孔版印刷装置の概略的な正面図である。
【図2】図1における孔版印刷装置の製版装置の拡大正断面図である。
【図3】図2における製版装置の要部の斜視図である。
【図4】図1における孔版印刷装置の操作パネルの平面図である。
【図5】図1における製版装置の制御構成を示すブロック図である。
【図6】実施形態2を示す製版装置の拡大正断面図である。
【図7】図6における製版装置の要部の斜視図である。
【図8】図6における製版装置の盛り上がり防止手段周りを示す要部の正面図である。
【図9】図6における製版装置の制御構成を示すブロック図である。
【図10】従来の製版装置における問題点を説明するための要部の正面図である。
【符号の説明】
1,1A 製版印刷装置としての孔版印刷装置
2 版胴
15,15A 製版装置
16 マスタ
16a フィルム面
16b ベース面側としての和紙繊維面
16C 撓み
16D 盛り上がり
22 製版手段としてのサーマルヘッド
23 マスタ搬送手段としてのプラテンローラ
24 プロッタモータ
26 マスタ搬送手段としてのテンションローラ対
28 切断手段としてのカッタユニット
30 マスタ貯留手段
32 撓みボックス
32a マスタ貯留手段へのマスタの入口としての開口
33a,33b,33c 折り返し貯留部としての撓みダクト
34a,34b,34c 吸引ファン
35 マスタ盛り上がり防止手段および送風手段としての吹き付けファン
36a,36b,36c,36d マスタ検知手段としての残マスタ検知センサ40 給版手段としての反転ローラ対
41 給版駆動手段としてのステッピングモータ
50 マスタ盛り上がり防止手段
51 抑え部材としての抑えガイド板
52 抑え部材変位手段
53 駆動手段としてのDCソレノイド
90 操作パネル
91 製版開始設定手段としての製版スタートキー
95 報知手段としての液晶表示部
95A 報知手段としてのガイダンス部
95B 報知手段としての補助表示部
96 報知手段としてのジャム発生表示ランプ
120 製版制御手段および報知制御手段としての制御装置
120A 制御手段、製版制御手段および報知制御手段としての制御装置
S 印刷用紙
X マスタ搬送方向
XR マスタ搬送路

Claims (8)

  1. 繰り出し可能なマスタを製版する製版手段と、該製版手段よりマスタ搬送方向の下流側に設けられマスタを切断する切断手段と、マスタ搬送路の下方に設けられ、上記製版手段により製版されたマスタを貯留するマスタ貯留手段と、上記製版手段により製版されたマスタを上記マスタ貯留手段に搬送するマスタ搬送手段と、上記マスタ貯留手段に貯留されたマスタを給版する給版手段とを具備し、
    上記切断手段は、上記マスタ貯留手段へのマスタの入口近傍に設けられており、上記マスタ搬送方向と直交するマスタ幅方向に移動可能な回転刃を有し、
    上記入口近傍に、上記切断手段の上方から送風してマスタの盛り上がりを防止する送風手段を設け、該送風手段が上記給版手段による給版中に作動することを特徴とする製版装置。
  2. 繰り出し可能なマスタを製版する製版手段と、該製版手段よりマスタ搬送方向の下流側に設けられマスタを切断する切断手段と、マスタ搬送路の下方に設けられ、上記製版手段により製版されたマスタを貯留するマスタ貯留手段と、上記製版手段により製版されたマスタを上記マスタ貯留手段に搬送するマスタ搬送手段と、上記マスタ貯留手段に貯留されたマスタを給版する給版手段とを具備し、
    上記切断手段は、上記マスタ貯留手段へのマスタの入口近傍に設けられており、上記マスタ搬送方向と直交するマスタ幅方向に移動可能な回転刃を有し、
    上記入口近傍に、マスタの盛り上がりを防止する盛り上がり防止手段を設け、
    上記盛り上がり防止手段は、盛り上がるマスタに接触して抑える抑え位置とこの抑え位置から離間した非抑え位置との間で変位自在な抑え部材と、該抑え部材を上記抑え位置と上記非抑え位置との間に変位させる抑え部材変位手段とを有し、
    給版時における上記給版手段からの起動信号に基づいて、上記抑え部材を上記抑え位置に変位させるように上記抑え部材変位手段を制御する制御手段を具備することを特徴とする製版装置。
  3. 請求項1または2記載の製版装置において、
    上記マスタ貯留手段は、製版されたマスタを複数段に折り返す複数の折り返し貯留部を有する撓みボックスと、この撓みボックスに設けられ製版されたマスタに撓みを形成すべく上記撓みボックス内の空気を吸引する吸引ファンとを具備することを特徴とする製版装置。
  4. 請求項1または2記載の製版装置において、
    上記マスタ貯留手段は、製版されたマスタの残留の有無を検知する少なくとも1つのマスタ検知手段を有することを特徴とする製版装置。
  5. 請求項4記載の製版装置において、
    上記マスタ貯留手段は、製版されたマスタを複数段に折り返す複数の折り返し貯留部を有する撓みボックスを具備し、
    上記少なくとも1つのマスタ検知手段は、上記撓みボックス内における製版されたマスタの折り返し部位に対向して、設けられていることを特徴とする製版装置。
  6. 請求項4または5記載の製版装置において、
    製版動作を開始させるための製版開始設定手段と、
    上記製版開始設定手段からの製版開始信号および上記少なくとも1つのマスタ検知手段の何れか1つからのマスタ有り信号に基づいて、製版動作を禁止する製版制御手段と、
    を有することを特徴とする製版装置。
  7. 請求項4または5記載の製版装置において、
    上記マスタ貯留手段内に製版されたマスタの残留の有ることを報知する報知手段と、
    製版動作を開始させるための製版開始設定手段と、
    上記製版開始設定手段からの製版開始信号および上記少なくとも1つのマスタ検知手段の何れか1つからのマスタ有り信号に基づいて、製版されたマスタの残留が上記マスタ貯留手段内に有ることを報知するように上記報知手段を制御する報知制御手段と、
    を有することを特徴とする製版装置。
  8. 製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴上のマスタに印刷用紙を相対的に押し付ける押圧手段とを具備した製版印刷装置において、
    請求項1ないし7の何れか一つに記載の製版装置を有することを特徴とする製版印刷装置。
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