JP4226848B2 - 印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷装置に関し、さらに詳しくは孔版印刷装置等を含む印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
簡便な印刷方法として、製版印刷装置とも呼ばれている製版印刷一体型の感熱デジタル製版式孔版印刷装置(以下、「孔版印刷装置」という)を用いて印刷を行う方法が知られている。これは、例えば厚さが1〜2μmの非常に薄い熱可塑性樹脂フィルム(以下、単に「フィルム」というときがある)と多孔質支持体(ベース)として和紙等の天然繊維とか合成繊維、あるいは天然繊維および合成繊維を混抄したものとを貼り合わせて構成された感熱孔版マスタ(以下、「マスタ」という)を多数の微細な発熱素子が主走査方向に配列された製版手段としてのサーマルヘッドとプラテンローラとの間で狭持しそれらの発熱素子にパルス的に通電させながら主走査方向と直交する副走査方向(マスタ搬送方向)に搬送することで、原稿画像等の画像情報に応じてマスタの上記フィルム部分を位置選択的に加熱溶融穿孔・製版し、この製版済みのマスタを多孔性円筒状の版胴に巻装した後、該版胴上のマスタにインキを供給して給送されてきた印刷用紙(以下、「用紙」という)にそのインキを転移させることで印刷画像を形成するものである。
【0003】
製版済みのマスタを版胴に巻装すべく給送する際には、通常、図15に一点鎖線で示すように、版胴2を所定の回転位置、すなわち製版済みのマスタ16の先端部を保持する保持手段としてのクランパ4が図15に示す位置を占める給版待機位置59に停止させた状態で、クランパ4を二点鎖線で示す閉状態から実線で示すように図示しない開閉装置を介してステージ(図示せず)から開放させて、製版済みのマスタ16の先端部を拡開したクランパ4と上記ステージとの間に挿入した後、上記開閉装置を介してクランパ4を閉じることで、製版済みのマスタ16の先端部をクランプしていた。版胴2のホームポジションは、クランパ4が略真下に位置する版胴2の回転位置に設定されている。
図15および図16において、符号15は、製版済みのマスタ16を版胴2の外周面に巻装すべく給送し給版する製版装置とも呼ばれる製版給版装置を示し、符号35は、製版給版装置15に配設された図示しないプラテンローラおよびテンションローラ対により搬送されてきた製版済みのマスタ16を一時的に貯留する撓みボックス(図示せず)への製版済みのマスタ16入り口近傍に設けられ、製版済みのマスタ16の盛り上がりを防止するための送風ファンを示す(後述する図1や図2等参照)。
【0004】
このような給版クランプ時において、製版済みのマスタ16の先端部がクランパ4によって確実にくわえ(以下、「クランプ」という)られているかどうかを検知するために、クランプミスの検知をしている。このクランプミスの検知は、クランパ4近傍の版胴2の外周面上に製版済みのマスタ16の先端部が巻き付けられているか否かで検知する、換言すれば版胴2上のマスタ16の有無を検知することで行っている。
【0005】
版胴2上のマスタ16の有無を検知するのに、図15、図16および図17に示すように、版胴2の外周面上に巻装される製版済みのマスタ16または未製版のマスタ16(以下、「製版済みのマスタ16」で代表する)の有無を検知するマスタ有無検知手段として、版胴マスタ有無センサ54を使用してその検知を行っていた。
すなわち、版胴マスタ有無センサ54は、発光素子および受光素子を備え、発光と受光との間の光路を上記各素子の外部に置いた周知の反射型のフォトセンサである。版胴マスタ有無センサ54では、クランパ4近傍の版胴2の外周面に設けられたセンサパターン58上に巻装され光を反射する表面を有する製版済みのマスタ16の表面で、上記発光素子からの入射光を反射させ、その反射光を受光素子によって受光し、その受光量の変化・差異によって、センサパターン58上の製版済みのマスタ16の有無を検知している。
【0006】
版胴マスタ有無センサ54を使用しての、版胴2の外周面上に巻装される製版済みのマスタ16の有無の検知動作は、次のようである。
すなわち、上記サーマルヘッドにより作製されプラテンローラおよびテンションローラ対により搬送されてきた製版済みのマスタ16を上記撓みボックスで一時的に貯留し、図15に示すように給版待機位置59に版胴2を停止させた状態で、上記撓みボックスに貯留された製版済みのマスタ16を反転ローラ対40の作動により引き出しながら拡開したクランパ4に向けて給送・給版し、製版済みのマスタ16の先端部をクランパ4でクランプした後に、版胴2が図16に矢印方向(時計回り)に回転することによって、製版済みのマスタ16を版胴2の外周面に巻き付ける。この時、送風ファン35が矢印方向に吹き付け・送風することにより、上記撓みボックスへの製版済みのマスタ16入り口近傍に発生する製版済みのマスタ16の盛り上がりが防止される。
【0007】
そして、版胴マスタ有無センサ54は、図16に示すように、版胴2が給版待機位置59から一定の角度(実施例的には67.24°)回転した位置まで一定の検知時間(実施例的には50ms(ミリ・セコンド))、版胴2上の製版済みのマスタ16の検知を行うようになっている。上記検知時間内において、版胴マスタ有無センサ54で受光量に対応して予め設定された閾値電圧以下になった場合、図示しない制御装置がマスタ無しと判断し、版胴2を上記ホームポジションに戻して、製版済みのマスタ16を製版給版装置15に配設されているカッタにて切断した後に、図示しない操作パネルの表示部等に給版ジャムを表示させると共に、機械(孔版印刷装置)を停止させていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の孔版印刷装置ではマスタクランプミス発生時のリトライ(再試行)機能が無く、ユーザはマスタクランプミスが発生する度にその煩わしいジャム処理を行わなくてはならず、また、サプライとしての1版分のマスタが無駄になっていたという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、リトライ可能なマスタクランプミス発生時に、ユーザが煩わしいジャム処理を行わなくても済むと共に、マスタの無駄を無くすことのできる印刷装置を提供することを主な目的としている。
【0010】
ここで、マスタクランプミスとは、主としてマスタのクランプをリトライ(再試行)することによりそのリトライしてクランプされた製版済みのマスタを版胴に巻装して所望の印刷物を得ることが可能な場合の製版済みのマスタのクランプミスを意味していて、製版給版装置15内でのカットミスやカッタロックあるいは静電気発生によるマスタの貼り付きジャム等であって、マスタのクランプをリトライすることができない場合や、リトライしてクランプされた製版済みのマスタを版胴に巻装して印刷しても所望の印刷物を得ることができない場合の製版済みのマスタのクランプミスを除外することを意味する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決すると共に上記目的を達成するために、各請求項ごとの発明では以下の特徴的な手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、製版済みのマスタの先端部を保持する保持手段を備え該製版済みのマスタを巻装する版胴と、製版済みのマスタの先端部が上記保持手段により保持されたか否かを検知するマスタ有無検知手段と、マスタを製版する製版手段と、この製版手段により作製された製版済みのマスタをマスタ搬送方向の下流側に搬送するマスタ搬送手段と、このマスタ搬送手段により搬送されてきた製版済みのマスタを上記保持手段に向けて給送する給版搬送手段とを有し、上記版胴が所定の回転位置を占めたとき、上記保持手段が上記給版搬送手段から給送されてきた製版済みのマスタの先端部を保持する印刷装置において、上記給版搬送手段は、製版済みのマスタの先端を上記保持手段に向けて給送する正転方向と、製版済みのマスタの先端を上記保持手段側から該給版搬送手段側に戻す逆転方向とに正逆転可能に構成されており、上記マスタ有無検知手段によって製版済みのマスタが検知されないとき、上記版胴をして上記所定の回転位置まで再び回転させ、かつ、上記給版搬送手段をして所定量逆転させることにより製版済みのマスタの先端を所定の給送距離分だけ上記給版搬送手段側に戻した後で、再度、上記給版搬送手段をして正転させることで、上記保持手段による製版済みのマスタの先端部の保持を再試行させる制御手段を具備することを特徴とする。
ここで、「版胴が所定の回転位置を占めたとき」とは、版胴が所定の回転位置に停止した状態を含む他、版胴が所定の回転位置を占めながら同時に、保持手段が給版搬送手段から給送されてきた製版済みのマスタの先端部を保持する状態をも含む。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の印刷装置において、上記マスタ搬送手段と上記給版搬送手段との間に設けられ、製版済みのマスタに下方側に膨らんだ撓みを形成しながら貯留する撓みボックスおよびこの撓みボックスに設けられ製版済みのマスタに撓みを形成すべく上記撓みボックス内の空気を吸引する吸引手段を有する、上記マスタ搬送手段により搬送されてきた製版済みのマスタを貯留するマスタ貯留手段と、製版済みのマスタを上記マスタ貯留手段へ導入する開口近傍上方に設けられ、上記給版搬送手段により搬送されていく製版済みのマスタ同士が上記撓みボックスの上記開口周辺や上記撓みボックス内で接触することで摩擦抵抗により上記撓みボックスの上記開口近傍に搬送される送り側の製版済みのマスタがせり上げられないように、上記開口を含むその近傍の製版済みのマスタの上方から送風して、送り込み側の製版済みのマスタと送り出し側の製版済みのマスタとが接触しないように、かつ、分かれるように、送風による力を作用させる正転方向と、上記制御手段による製版済みのマスタの先端部の保持の再試行時に、製版済みのマスタの先端を上記マスタ貯留手段側に戻すために吸引する逆転方向とに正逆転可能な送風手段と、上記給版搬送手段の所定量逆転動作と連動して、上記送風手段を逆転作動させる送風制御手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の印刷装置において、上記送風制御手段により上記送風手段が逆転作動された後、上記給版搬送手段の所定量逆転動作と連動して、上記吸引手段を作動させる吸引制御手段を具備することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の印刷装置において、上記マスタ搬送手段と上記給版搬送手段との間に設けられ、製版済みのマスタに撓みを形成しながら貯留する撓みボックスおよびこの撓みボックスに設けられ製版済みのマスタに撓みを形成すべく上記撓みボックス内の空気を吸引する吸引手段を有する、上記マスタ搬送手段により搬送されてきた製版済みのマスタを貯留するマスタ貯留手段と、上記給版搬送手段の所定量逆転動作と連動して、上記吸引手段を作動させる吸引制御手段とを具備することを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項2,3または4記載の印刷装置において、上記マスタ搬送手段を含む該マスタ搬送手段における上記マスタ搬送方向の上流側のマスタの搬送停止時の抵抗力は、上記送風手段の吸引によるマスタ搬送力または上記吸引手段の吸引によるマスタ搬送力よりも大きいことを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の印刷装置において、上記マスタ搬送手段および上記給版搬送手段は、少なくとも独立して制御可能であることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の印刷装置において、上記マスタ搬送手段を駆動するマスタ搬送駆動手段と、上記給版搬送手段を駆動する給版搬送駆動手段とを具備し、上記給版搬送駆動手段は、上記マスタ搬送駆動手段に対して独立して駆動制御されるパルス入力で駆動されるモータであることを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか一つに記載の印刷装置において、上記再試行の回数を設定する再試行回数設定手段を具備することを特徴とする。
【0020】
請求項2ないし4の制御手段、送風制御手段、吸引制御手段の具体例としては、後述するマイクロコンピュータを具備して構成されるものの他、例えば制御回路等で構成されているものも含む。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下「実施形態」という)を説明する。上述した従来の技術例および各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。このような例としては、図1および図4において、図2、図5および図6に示したガイド部材221の図示が省略されている例が挙げられる。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0022】
図1ないし図14を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
まず、図1を参照して、本発明に係る印刷装置の一例としての孔版印刷装置1の全体構成を説明する。図1において、符号1Fは、孔版印刷装置1の骨組みをなす本体フレームを示す。
【0023】
孔版印刷装置1は、図1に示すように、本体フレーム1Fの上方に配設され原稿(図示せず)を載置するコンタクトガラス74および原稿載置台72上に載置された1枚または複数枚の原稿73を後述するスキャナ部76の定位置へ順次自動移送するADF(自動原稿送り装置)部71等を備えた原稿読取装置70と、この原稿読取装置70の下方の本体フレーム1Fの一側部に配置されマスタ16がロール状に巻かれたマスタロール16Aから繰り出されるマスタ16を穿孔製版して得られた製版済みのマスタ16を版胴1のクランパ4に向けて給送・給版する製版給版装置15と、本体フレーム1Fの略中央部に配置され製版済みのマスタ16を外周面に巻装する版胴2、およびこの版胴2の下方に配置され給送されて来た用紙Sの先端部を挟持・保持する用紙保持手段としての紙くわえクランパ12を備え、版胴2上の製版済みのマスタ16に用紙Sを押し付ける圧胴9を有する印圧装置14と、製版給版装置15の下方に配置され給紙トレイ61上に積載された用紙Sを印圧装置14へ送出する給紙装置60と、この給紙装置60に対向する本体フレーム1Fの下方に配置され印圧装置14で印刷された印刷済みの用紙Sを排紙トレイ81に排出する排紙装置80と、この排紙装置80と原稿読取装置70との間に配置され版胴2の外周面上から使用済みのマスタ16を剥ぎ取り排版ボックス69内へ排出する排版装置66と、孔版印刷装置1の上記各装置に指示を与えて所望する動作を行わせるように操作したり、各装置・部の状態等を確認・認識したりするための操作パネル90と、製版給版装置15と給紙装置60との間に配置され孔版印刷装置1の動作を制御する制御装置120とから主に構成されている。
【0024】
以下、原稿読取装置70、製版給版装置15、印圧装置14、給紙装置60、排版装置66、排紙装置80、操作パネル90および制御装置120について説明するが、製版給版装置15の一部、操作パネル90の一部および制御装置120を除き公知の構成であるため簡明に説明する。
図1に示すように、原稿読取装置70におけるADF部71は、原稿載置台72および原稿排紙台75を備え、コンタクトガラス74に対して開閉可能に配設されている。ADF部71の原稿自動送り装置は、例えば特公平7−97813号公報の図1等に記載されている構成と同様の周知のものである。スキャナ部76は、原稿73の表面から結像レンズを介して結像された反射光に対応して光電変換を行う画像センサ77およびスキャナモータ(図示せず)等を備えた周知の原稿走査用光学系を有する。画像センサ77は、得られた画像信号を本体フレーム1F内の図示しないアナログ/デジタル(以下「A/D」と略記する)変換部から図示しない製版制御部に入力されるようになっている。スキャナ部76は、例えば特開平4−189544号公報の第2図等に記載されている構成と同様の周知のものであり、例えば、ADF部71を使用せずに、コンタクトガラス74上に原稿73を載置して上記スキャナモータを駆動することにより画像読み取り動作を行うことができる。
【0025】
製版給版装置15は、図1に示すように、マスタ16を製版する製版手段で作製された製版済みのマスタ16を版胴2へ給送して給版するための給版装置の一部の構成を有するものであり、単に製版装置とも呼ばれる。
製版給版装置15は、図1ないし図3に示すように、マスタ16がロール状に巻かれたマスタロール16Aからマスタ16を繰り出し可能に貯容するマスタ貯容手段としてのマスタ支持部材17と、マスタロール16Aから繰り出されるマスタ16の先端部を載置するためのマスタセットガイド板20およびマスタ16の先端部を介してマスタセットガイド板20に接触しマスタ16を搬送するマスタ搬送手段としてのマスタセットローラ19と、マスタ支持部材17に隣るマスタ搬送路XRの下流側に配設され、マスタロール16Aから繰り出されるマスタ16を画像信号に応じて感熱製版する製版手段としてのサーマルヘッド22と、このサーマルヘッド22にマスタ16を押し付けながら回転し搬送するプラテンローラ23と、サーマルヘッド22をプラテンローラ23に接離させる接離手段としてのプラテン圧解除機構25と、プラテンローラ23に隣るマスタ搬送路XRの下流側に配設された上下一対のテンションローラ26,26(以下「テンションローラ対26」と略称する)と、テンションローラ対26に隣るマスタ搬送路XRの下流側に配設され、製版済みのマスタ16を切断する切断手段としてのホルダ213を備えたカッタユニット28と、カッタユニット28に隣るマスタ搬送路XRの下流側に配設された上下一対の反転ローラ40,40(以下「反転ローラ対40」と略称する)と、テンションローラ対26とカッタユニット28との間のマスタ搬送路XRの下方に配設された撓みボックス32およびダクト案内板31等を備え、製版済みのマスタ16を一時的に貯留するマスタ貯留手段30と、撓みボックス32の入口としての開口32a近傍上方に設けられ、開口32aを含むその近傍の製版済みのマスタ16に送風する送風手段および盛り上がり防止手段としての吹き付けファン35と、反転ローラ対40に隣るマスタ搬送路XRの下流側に配設された上下一対の給版ガイド板42,42(以下「給版ガイド板対42」と略称する)とを具備している。
【0026】
マスタロール16Aの中心部には、マスタ16の幅と同じ長さに形成され、マスタロール16Aの両端面と同一面をなすパイプ状の芯管16Bが設けられていて、マスタロール16Aは、芯管16Bの周りにマスタ16を巻き付けられて形成されている。マスタロール16Aには、例えば200〜300版に相当するシート状のマスタ16が巻装されていて、マスタロール16Aは複数版のマスタ16を供給してその製版を可能とすべく設けられている。
マスタ16としては、例えばポリエステルテレフタレート(PET)系等からなる1〜2μm程度の薄い上記フィルムに対してベースとして和紙繊維を接着剤で貼り付けてラミネート構造としたものが用いられ、そのフィルム部分がサーマルヘッド22の発熱素子によって加熱穿孔される周知のものである。上記フィルムは、通常、透明ないしは半透明であり、その表面で光を反射させる性質を備えている。
【0027】
マスタ支持部材17は、芯管16Bの両端部を着脱自在、かつ、回転可能に支持するように設けられている。マスタ支持部材17には、図示しない例えばブーレキゴム等の制動手段が当接するように設けられている。これにより、マスタ16には、マスタ支持部材17に装着セットされたマスタロール16Aから振動等によって自然に繰り出されることがない程の制動力を付与されている。
マスタセットローラ19は、後述するマスタ搬送駆動手段としてのマスタ搬送モータ24に図示しない回転伝達手段等を介して連結されている。該回転伝達手段は、例えば特開平9−226088号公報の図6に示されているような複数のギヤからなる。マスタセットローラ19は、マスタロール16Aの交換やマスタ16のセット時以外は、適度の押圧力を与えられてマスタセットガイド板20に圧接している。
【0028】
なお、マスタ支持部材17、マスタセットローラ19、マスタセットガイド板20の構成は、例えば特開平9−226088号公報の図1ないし図6等に示されているマスタ保持ユニット(21)と同様の構成であってもよい。この場合、マスタ支持部材17は、上記公報の図1ないし図5等に示されているロールフランジ(25a,25b)に相当する。
【0029】
サーマルヘッド22は、プラテンローラ23の軸方向に相当する主走査方向に沿って配列された複数の発熱素子を有し、上記A/D変換部、上記製版制御部等で処理されて送出されるデジタルの画像信号に基づき、その発熱素子に対する選択的な通電制御によって発熱素子を選択的に発熱させることにより発熱位置に対応するマスタ16のフィルム箇所を加熱溶融させて穿孔する周知の機能を有する。サーマルヘッド22は、プラテン圧解除機構25によりプラテンローラ23に対して接離可能に設けられている。
【0030】
プラテン圧解除機構25は、例えば特開平10−157052号公報の図1ないし図7に示されている圧解除モータ(34)および接離検知センサ(35)等を有する接離手段(28)と同様の構成を具備しているが、図1および図2ではバネやカム等を始めそれらの構成要素の図示を省略している。
プラテン圧解除機構25および接離検知センサ(35)に係る動作は、特開平10−157052号公報明細書の段落番号(0044)ないし(0046)に記載されているとおりである。圧解除モータ(34)が圧解除回転位置を占める方向に所定量回転駆動されることにより、同公報明細書の詳細動作を経て、プラテンローラ23に対するサーマルヘッド22のプラテン圧が解除(オフ)されることとなる。このとき接離検知センサ(35)がオフされ離間信号を生成する。図示しない電源スイッチをオンすることにより、圧解除モータ(34)および接離検知センサ(35)のホームポジション位置出しが行われ、これらのホームポジションではプラテン圧が解除された状態に作動するようになされている。
一方、圧解除モータ(34)が押圧回転位置を占める方向に所定量回転駆動されることにより、同公報明細書の詳細動作を経て、プラテンローラ23に対してサーマルヘッド22が接触して所定のプラテン圧がオンされることとなる。このとき接離検知センサ(35)がオンされ上記離間信号を消滅するようになっている。
【0031】
プラテンローラ23は、例えば金属製の芯金を介してプラテンローラ軸の外周部に一体的に形成されていて、上記プラテンローラ軸を介して本体フレーム1F側に固設された図示しない製版側板対に回転自在に支持されている。プラテンローラ23は、上記プラテンローラ軸に配設されたプーリ、マスタ搬送モータ24側に設けられた駆動プーリおよびこれらのプーリと駆動プーリとの間に掛け渡されたタイミングベルト(図示せず)等を介して連結されたマスタ搬送モータ24により回転され、マスタ16をサーマルヘッド22に押圧しつつマスタ搬送方向Xの下流側のテンションローラ対26へ搬送するマスタ搬送手段としての機能を有する。マスタ搬送モータ24は、ステッピングモータである。
【0032】
テンションローラ対26は、各軸とそれぞれ一体的に形成されている。テンションローラ対26は、その上側のローラが駆動ローラ、下側のローラが従動ローラでそれぞれ構成されていて、上側の駆動ローラはプーリおよび無端ベルト(共に図示せず)等の回転伝達手段を介してマスタ搬送モータ24に連結されている。それ故に、テンションローラ対26は、マスタ搬送手段としての機能を有すると共に、サーマルヘッド22とプラテンローラ23とのニップ部からテンションローラ対26に至る製版済みのマスタ16に所定のフロントテンションを付与する機能も有する。テンションローラ対26のうちの下側の従動ローラは、例えばプラテン圧解除機構25に組み込まれていて、プラテン圧解除機構25の動作と同様に、上側の駆動ローラに対して接離自在に構成されている。テンションローラ対26のうちの上側の駆動ローラは、その軸の両端部が上記製版側板対に回転自在に支持されている。これにより、マスタロール16Aの交換やマスタ16のセット時以外は、適度の押圧力を与えられて互いに圧接していて、互いに反対方向に回転自在となっている。
【0033】
カッタユニット28は、図1、図2、図4ないし図6に示すように、上下一対の回転刃がマスタ搬送方向Xと直交するマスタ幅方向に移動してマスタ16を切断する公知のものであり、例えば特開2000−6510号公報の図2ないし図5等に示されている切断手段(4)と同様のものである。
すなわち、カッタユニット28は、図4ないし図6に詳しく示すように、マスタ幅方向Yに延在しマスタ16の搬送ガイドを兼ねる切断手段本体としてのフレーム212と、周縁の一部が互いに重なり合い互いに逆方向に回転自在な一対の上・下回転刃216a,216bを有しマスタ搬送路XRを横切ってマスタ幅方向Yに往復動すべくフレーム212に移動自在に支持されたカッタ部材としてのホルダ213と、ホルダ213をマスタ幅方向Yに往復動させつつ上・下回転刃216a,216bを回転駆動させる回転移動手段214とから主に構成されている。
【0034】
図5および図6において、符号213aは、円盤状の上回転刃216aを回転自在に支持する上刃ホルダを、符号213bは、上回転刃216aと同形の下回転刃216bを回転自在に支持する下刃ホルダを示す。符号213cは、ホルダ213に設けられ各ホルダ213a,213bを一体的に繋ぐ接続部を示す。ホルダ213は、上刃ホルダ213a、下刃ホルダ213bおよび接続部213cから構成されていて、これらがフレーム212に移動可能に支持されている。
上刃ホルダ213aは、上回転刃216aおよびこれと同軸上に一体的に設けられた高摩擦抵抗部材からなる上ローラ217aをそれぞれ回転自在に支持している。上回転刃216aは、その刃面の一部が下回転刃216bとラップする位置に配設され、上ローラ217aは下ローラ217bとで上面212aを挟み込むようにその周面を上面212aに接触させている。下刃ホルダ213bは、そのマスタ搬送方向X下流側端部に下回転刃216bおよびこれと同軸上に一体的に設けられた高摩擦抵抗部材からなる下ローラ217bをそれぞれ回転自在に支持している。下ローラ217bは、その周面を上面212aの内壁面に接触させている。
【0035】
フレーム212は、例えば板金製の板材を略コ字形状に折り曲げて形成され、マスタ16の幅を超える長さを有し、その長手方向がマスタ幅方向Yに沿うように、上記製版側板対に固着されている。フレーム212の上面212aは、平坦に形成され、製版済みのマスタ16を搬送案内するガイド板を兼ねていて、マスタ搬送路XRを形成している。フレーム212は、一方の側端部が折り返されて側壁212bを形成されており、他方の側端部にはブラケット215が取り付けられて側壁が形成されている。また、フレーム212は、その下面212cのマスタ搬送方向X下流側端部が上方に向けて折り曲げられ、ストッパ212dが形成されている。
【0036】
フレーム212には、図5および図6に示すように、回転移動手段214が配設されている。回転移動手段214は、双方向送りネジ218およびカッタモータ219から主に構成されている。
双方向送りネジ218は、X字状の溝を形成された周知の構成であり、1方向に回転することによりこれに螺合した双方向ネジブッシュ213dを往復動させる。双方向送りネジ218は、その一端を側壁212bに、他端をブラケット215にそれぞれ回転自在に支持されている。双方向送りネジ218のブラケット215を貫通した位置には、駆動ギヤ218aが一体的に取り付けられている。
【0037】
フレーム212の他端側の側壁を構成するブラケット215は、例えば板金を折り曲げて形成されており、側壁と連なる部位は下面212cに突き当てられ、この突き当て面に連続する一端は側壁と平行となるように垂直に立ち上げられている。また、側壁に連なる他端は、上面212aと平行、かつ、上面212aと所定の間隙を有するように直角に折り曲げられている。
【0038】
ブラケット215の一端には、図5に示すように、カッタモータ219が取り付け・固定されている。カッタモータ219は、図示しない電源よりモータ駆動回路(図示せず)を介して電力を供給されて回転駆動される正逆転可能なDCモータである。カッタモータ219は、ホルダ213(カッタ部材)を駆動する切断駆動手段としての機能を有する。カッタモータ219の出力軸219bには、駆動ギヤ218aと噛み合うピニオン219aが取り付けられている。
【0039】
カッタモータ219は、ピニオン219aと駆動ギヤ218aとの噛み合いによりその回転駆動力を双方向送りネジ218に伝達して双方向送りネジ218を回転させることにより、双方向ネジブッシュ213dの往復動を介してホルダ213の上・下回転刃216a,216bを互いに逆方向に回転させながらホルダ213をマスタ幅方向Yに往復動させてマスタ16を切断する。
【0040】
図4および図5の右端側であるブラケット215の他端と上面212aとの間には、ホルダ213の初期位置を検知するホームポジション検知手段としてのホームポジションセンサ52が取り付けられている。ホームポジションセンサ52は、上・下回転刃216a,216b等を備えたホルダ213の位置を検知する位置検知手段を構成しており、例えばリミットスイッチである。
【0041】
また、カッタモータ219の出力軸219bには、エンコーダ50が取り付け・固定されている。エンコーダ50は、本実施形態ではインクリメンタル型のフォトエンコーダであり、多数のスリットが外周部に放射状に並べられた1チャンネルのフォトエンコーダである。
一方、エンコーダ50の近傍におけるブラケット215には、エンコーダセンサ51がエンコーダ50の外周部を所定の間隔をもって挟むようにして取り付け・固定されている。エンコーダセンサ51は、発光素子および受光素子を備えた透過型のフォトセンサ(透過型フォトインタラプタ)である。これらのエンコーダ50とエンコーダセンサ51とは、ホームポジションセンサ52と共に、ホルダ213の位置を検知する位置検知手段を構成している。また、エンコーダ50とエンコーダセンサ51とは、カッタモータ219の回転数に応じたエンコーダ50の上記スリットを通過する光のパルス数を計数することにより、ホルダ213の位置を検知するインクリメンタル型のパルスエンコーダを構成している。
【0042】
上述したとおり、本実施形態では、ホルダ213の位置を検知する位置検知手段は、ホームポジションセンサ52およびインクリメンタル型のパルスエンコーダ(エンコーダ50、エンコーダセンサ51)で構成されている。そして、本実施形態では、ホルダ213の位置を検知する位置検知手段をカッタモータ219側に設けたことを一つの特徴としている。
上述の構成のとおり、上・下回転刃216a,216b等を備えたホルダ213は、上記初期位置(ホームポジション)を起点としてマスタ幅方向Yに往復動可能になっている。
【0043】
図5および図6において、符号221は、カッタユニット28に隣るマスタ搬送路XRの上流側に配設されているガイド部材を示す。ガイド部材221は、その一端を図示しない不動部材に固設されたガイド部材本体221aと、ガイド部材本体221aの他端に取り付けられたガイド片221bとから構成されている。ガイド片221bは、金属の薄板あるいは樹脂の薄板等の弾性体から形成されており、製版待機中および製版搬送中の製版済みのマスタ16の上方に位置し、ホルダ213の移動時においてその自由端が上刃ホルダ213aと上面212aとの間に入り込む位置に配設されている。なお、上刃ホルダ213aには、その移動時にガイド片221bを上刃ホルダ213aと上面212aとの間に案内するための傾斜が移動方向先端部に形成されている。
【0044】
上述の構成により、図4(a)および図5に示すように、カッタモータ219の作動によってホルダ213がフレーム212に沿ってマスタ幅方向Yに移動(往動)すると、この移動に伴って各ローラ217a,217bがそれぞれ逆方向に回転し、各ローラ217a,217bと一体的に設けられた上回転刃216aおよび下回転刃216bがそれぞれ逆方向に回転しながら製版済みのマスタ16を切断する。この切断動作終了後、カッタユニット28のホルダ213(カッタ部材)は、図4(b)に実線で、図5に二点鎖線で示すホームポジションに移動(復動)・復帰する。
【0045】
このようなカッタユニット28は、後述する撓みボックス32の配置理由と略同様に、特に孔版印刷装置1や製版給版装置15の小型化を図るためのレイアウト上の制約から高さを抑えて上方向に省スペース化を図るべく、また上下一対の回転刃216a、216bが製版済みのマスタ16をくわえ込みながら切断することにより、製版済みのマスタ16の浮き上がり、変形、逃げ等を極力防止することができると共に、他の切断手段と比べて安価であって製版済みのマスタ16のジャム処理時における操作性も良好であり、かつ、綺麗で確実な切断を行うことができる利点を有する上から配置されている。
これと比べて、他の切断手段の一つであるいわゆるギロチンタイプの切断手段、すなわちマスタ搬送路XRに固定された固定下刃と、これに対して昇降自在な可動上刃とを具備する切断手段は、マスタ搬送路XRを基準としたときの上下方向に可動上刃を昇降駆動するカム等の駆動手段が固定下刃の上方に必要であり、高さを抑えて省スペース化を図ることができない点、およびマスタの幅よりもさらに大きい幅の、高精度の可動上刃と固定下刃とを必要とするためにコストアップしてしまうと共に、可動上刃と固定下刃との間の空間が非常に狭いために製版済みのマスタ16のジャム処理時における操作性が著しく低下してしまうという点等からそれ程採用されなくなってきているが、カッタユニット28を採用することによる上記利点を望まなくてもよいのであれば、勿論ギロチンタイプ等の切断手段であっても構わない。
【0046】
反転ローラ対40は、図1ないし図4に示すように、各軸とそれぞれ一体的に形成されている。反転ローラ対40は、バネ等の付勢手段により適度の押圧力を与えられて互いに圧接して設けられていて、各軸の両端部が上記製版側板対に回転自在に支持されていることにより互いに反対方向に回転自在となっている。反転ローラ対40は、その上側のローラが駆動ローラ、下側のローラが従動ローラでそれぞれ構成されている。反転ローラ対40の上側の駆動ローラは、製版済みのマスタ16の先端を給版待機位置を占めて停止状態にある版胴2の拡開したクランパ4に向けて給送する正転方向と、製版済みのマスタ16の先端をクランパ4側から反転ローラ対40側に戻す逆転方向とに正逆転可能に構成されている。
【0047】
反転ローラ対40は、マスタ貯留手段30に貯留された製版済みのマスタ16を版胴2のクランパ4に向けて給送し給版する給版搬送手段としての機能を有する。上側の駆動ローラとしての反転ローラ40は、ギヤ等の回転伝達手段を介して、マスタ搬送モータ24とは別のパルス入力で駆動される給版駆動手段としての給版モータ41に連結されている。給版モータ41は、ステッピングモータからなる。反転ローラ対40によるマスタ搬送速度は、プラテンローラ23やテンションローラ対26によるマスタ搬送速度よりもわずかに速くなるように予め設定されている。
【0048】
後述するとおり、プラテンローラ23やテンションローラ対26(マスタ搬送手段)と反転ローラ対40(給版搬送手段)とは、マスタ搬送モータ24(マスタ搬送駆動手段)および給版モータ41(給版搬送駆動手段)を介して、制御装置120によって少なくとも独立して制御可能に構成されている。また、給版モータ41は、後述するように制御装置120によってマスタ搬送モータ24に対して独立して駆動制御される。
【0049】
マスタ貯留手段30は、図1ないし図3および図7に示すように、3段切り換えしの撓みボックス32、ダクト案内板31、ダクト案内板ソレノイド131、吸引ファン34a,34bから主に構成されている。
撓みボックス32は、製版済みのマスタ16に撓み16Cを形成しながら一時的に貯留する機能を有する。撓みボックス32には、製版済みのマスタ16を複数段(本実施形態では3段)に折り返すための2つの切り換えし板32b,32cが一体的に形成されていて、これらにより複数の折り返し貯留部としての3つの撓みダクト33a,33b,33cが形成される。
このように、本実施形態では撓みボックス32の内部に3つの撓みダクト33a,33b,33cを有するので、後述する排版動作と並行して実行される製版時において、十分な長さの製版済みのマスタ16を貯えることができる。
【0050】
撓みボックス32の図2における右奥側の撓みダクト33cには、スリットや網目状の吸引口および排気口(共に図示せず)を備え電動モータを内蔵した2つの吸引ファン34a,34bが配置されている。これらの吸引ファン34a,34bの回転により、図において左側から右側へと流れる空気流が生じ、製版済みのマスタ16に徐々に撓みが形成されるようになっている。図2等において、符号37は、ジャムした製版済みのマスタ16が撓みボックス32内に残留した場合にそのマスタ16の除去処理をしたり、撓みボックス32の内部を清掃したりするための開閉ドアを示す。
【0051】
ダクト案内板31は、例えばステンレススチール板や適宜の合成樹脂からできていて、搬送される製版済みのマスタ16を案内するための、マスタ幅方向Yに沿って平面状に形成されたマスタ案内面31aと、その自由端側がマスタ案内面31aに対して直角に曲げられ、基端側が下側の反転ローラ40のローラ軸に揺動自在に支持されたアーム部31bとから一体的に成形されている。
ダクト案内板31は、図1に示すようにマスタ搬送路XRの直下に位置して搬送される製版済みのマスタ16を案内するガイド搬送位置と、図2に示すようにガイド搬送位置から変位して下側の反転ローラ40の略下方に位置する撓み形成位置との間で揺動・開閉自在となっている。ダクト案内板31が図2に示す撓み形成位置を占めたとき、撓みボックス31の上方が開放されて、製版済みのマスタ16を導入するための入口としての開口32aが形成される。
【0052】
図7を参照して、ダクト案内板31の駆動機構130について説明する。この駆動機構130は、例えば特開平10−202996号公報の図12に示されているガイド板駆動機構(130)と略同様のものを用いているが、一部相違する点があるので以下に説明する。
ガイド板駆動機構130は、ダクト案内板31をガイド搬送位置と撓み形成位置との間に揺動変位させる機構である。ガイド板駆動機構130は、その一端がダクト案内板31におけるアーム部31bの自由端側に連結ピン135aを介して連結された案内板リンク134と、この案内板リンク134の他端にその一端が連結ピン135を介して揺動自在に連結されると共に、他端が撓みボックス32の側壁に中間ピン133aを介して揺動自在に支持された中間リンク133と、この中間リンク133の他端に中間ピン133aを介して揺動自在に支持された重り136と、その一端が連結ピン135bを介して重り136の一端に連結された駆動リンク132と、この駆動リンク132の他端にその一端が連結ピン135cを介して連結されたプランジャ131aと、このプランジャ131aを有するダクト案内板ソレノイド131とから構成されている。
【0053】
重り136は、ダクト案内板ソレノイド131が矢印方向に吸引する時の負荷を低減させる補助的な役割を有する。これにより、吸引力の弱いソレノイドでも動作できるようになっている。ダクト案内板ソレノイド131は、プル形であり、図7における左手前側(図2における紙面の奥側)の上記製版側板側に固定されている。したがって、ダクト案内板ソレノイド131が通電励磁(オン)されると、プランジャ131aが図中矢印方向(右向き)に吸引されることにより、上記の各リンクが図中矢印方向に順次揺動し、ダクト案内板31は図1にも示すように撓み形成位置から上昇されてガイド搬送位置を占めることとなる。ダクト案内板ソレノイド131への通電がオフされると、ダクト案内板31の自重により、上記の各リンクが各図中矢印方向と反対方向に順次揺動することにより、ダクト案内板31は下降して上述したように、撓みボックス32の前内壁面をストッパとして撓み形成位置を占める。
【0054】
ダクト案内板31は、マスタ16のセット動作の時と給版動作終了時のマスタ切断後とに、ダクト案内板ソレノイド131がオンされることにより、上記詳細動作を介して、ダクト案内板31が撓み形成位置から上昇してガイド搬送位置を占めることとなり、これによって、マスタ16の先端を開口32aから撓みボックス32内へと落ち込ませることなく、マスタ16の先端が図1に示す製給版待機位置(反転ローラ対40のニップ部から少しはみ出た位置)まで搬送されるようにガイドするようになっている。また、マスタ16の先端が反転ローラ対40のニップ部で挾持され上記製給版待機位置に達した後、ダクト案内板31は、ダクト案内板ソレノイド131への通電がオフされることにより、上記詳細動作を介して、ダクト案内板31は下降して撓み形成位置を再び占めるようになっている。
【0055】
吹き付けファン35は、吸引ファン34a,34bと同じ電動モータを内蔵している。吸引ファン34a,34bおよび吹き付けファン35の上記電動モータは、例えばDCモータからなる。吹き付けファン35は、撓みボックス32の開口32a近傍のマスタ送り側に形成される、図8(a),(b)に示す製版済みのマスタ16の盛り上がり16D(大、中)の発生を未然に防止するために送風する正転方向と、製版済みのマスタ16の先端をマスタ貯留手段30側に戻すために吸引する逆転方向とに正逆転可能な送風手段の機能・構成を有する。吹き付けファン35は、各吸引ファン34a,34bと同様の送風・吸引能力を有する共通のファンである。吹き付けファン35は、実施例的に言えば、各吸引ファン34a,34bの吸引側および送風側を逆にして撓みボックス32の開口32aの略真上に配置したものである。
【0056】
吸引ファン34a,34bおよび吹き付けファン35に内蔵されている各DCモータ(以下、単に「吸引ファン34a,34b」、単に「吹き付けファン35」という)は、後述するように制御装置120に電気的に接続されていて、制御装置120によりオン/オフ制御される。吹き付けファン35は、制御装置120によりその回転方向の切り替え制御も行われる。
【0057】
上記各マスタ搬送手段を含む該マスタ搬送手段におけるマスタ搬送方向Xの上流側の製版済みのマスタ16の搬送停止時の抵抗力は、すなわちテンションローラ対26のニップ部、プラテンローラ23とサーマルヘッド22とで形成されるニップ部およびマスタセットローラ19とマスタセットガイド板20とで形成されるニップ部に対する製版済みのマスタ16の搬送停止時の抵抗(力)は、吹き付けファン35(送風手段)の吸引作用によるマスタ搬送力または吸引ファン34a,34b(吸引手段)の吸引作用によるマスタ搬送力よりも大きくなるように設定されている。
上記各ニップ部に対する製版済みのマスタ16の搬送停止時の抵抗(力)は、上記各ローラの材質の選定や上記各ニップ部を形成するための押圧力等を考慮して設定される。
【0058】
ここで、図8(a),(b)に示した製版済みのマスタ16の盛り上がり16D(大、中)の発生過程および吹き付けファン35を設けた理由を説明する。
近年の製版給版装置では、製版速度の高速化、省スペース化が図られていて、これに伴いマスタ搬送経路が単純なストレート状のものから複雑化してきている。例えば、本実施形態を示す図2および図3を借りて具体例を挙げて説明すると、図2および図3に示されているように、3段切り換えしの撓みダクト33aないし33cを備えた撓みボックス32を経由して製版済みのマスタ16の搬送を行うため、撓みボックス32の奥側に同じ吸引能力を有する2個の吸引ファン34a,34bに加えて、さらに吸引ファン34a,34bと同様の吸引ファンをマスタ幅方向の中央部に配置(合計3つの吸引ファン)して製版済みのマスタ16の搬送を補助し、マスタ搬送を行っていた。撓みボックス32は、特に孔版印刷装置や製版給版装置の小型化を図るためのレイアウト上の制約から、高さ方向すなわち上方向の省スペース化を図るべく、マスタ搬送路XRの下方に設けられている。
【0059】
しかし、3つの吸引ファンのみでは、マスタ自体の剛性やマスタ同士の摩擦抵抗に打ち勝つことができず、製版済みのマスタ16が撓みボックス32の開口32a(入口)へ搬送される直前の部位で、製版済みのマスタ16の盛り上がり16D(大、中)が発生してしまい、これによりマスタ切断時等の不具合に伴うマスタ搬送ジャムが発生していた。
ここで、図8を参照して、上記不具合現象を幾分単純化して説明する。図8(a)ないし図8(c)において、符号16aは上記フィルム側のフィルム面を、符号16bは上記ベース側の和紙繊維面を示す。符号29は、カッタユニット28の切断動作によって切断された製版済みのマスタ16の後端や先端を検知するマスタ先端センサである。
【0060】
図8(a)ないし図8(c)において、図示しない撓みボックス(具体例としては、図2の撓みボックス32参照)内においては上記3つの吸引ファンによる吸引作用により、製版済みのマスタ16が下方側に膨らんだ撓み16Cを形成する。上記撓みボックス内に製版済みのマスタ16が所定の量貯留されると、マスタ給版可能な状態となり、このマスタ給版時に反転ローラ対40が図中矢印方向に回転され始めることにより、製版済みのマスタ16の先端が図2を借りて示すように給版待機位置状態にある版胴2の拡開したクランパ4とステージ13との間に向けて給送される。このとき、反転ローラ対40の回転・搬送により、マスタ16の和紙繊維面16b同士が上記撓みボックスの入口(開口)周辺や撓みボックス内で対向・接触して擦れ合う摩擦抵抗によって、上記撓みボックスの入口近傍に搬送される送り側の製版済みのマスタ16がせり上げられ、盛り上がってしまう。
【0061】
製版済みのマスタ16の盛り上がりは、その大きさによって、図8(a)ないし図8(c)に示すように、大体3つに分類される。
図8(a)は、盛り上がり16Dが大の状態を示している。この状態では、マスタ切断時において上回転刃216aが盛り上がり16Dの下側を通過するため、カットミスとなる。
上記カットミスが発生した時、図5を借りて示すカッタモータ219の起動時点から所定の時間経過しても、切断された製版済みのマスタ16の後端がマスタ先端センサ29によって検知されないことにより、操作パネルの表示部等にエラー表示されたりして機械が停止していた。
【0062】
また、切断動作(以下、「カット動作」という)はしているものの実際には製版済みのマスタ16の後端を切断していないため、上記カットミスが発生した状態のままで反転ローラ対40によって版胴2の外周面に給送・給版されると、製版済みのマスタ16が折れ曲がったり重なり合った状態で版胴2に巻かれるため、排紙ミスや、圧胴やプレスローラ等(押圧手段)を汚す原因となっていた。例えば仮に、A3サイズの1版のマスタが半分に折れた状態で版胴2上に巻き付けられると、版胴の後端部はメッシュスクリーンがむき出しとなり、この部分のメッシュスクリーンに滲み出たインキの粘着力によって用紙が貼り付いてしまって用紙の後端部が版胴2上に巻き上がるため、排紙ジャムとなる。また、この場合、A4サイズの用紙を短手方向に通紙、すなわち横通紙すると、圧胴やプレスローラ等がインキで汚れてしまう。
そして、最悪の場合には製版済みのマスタ16が2重巻きになった状態で版胴に巻装されてしまうこともあり、このようなときには版胴2自体がその負荷によって停止・ロックしてしまい、機械が停止してしまう原因ともなっていた。
【0063】
図8(b)は、盛り上がり16Dが中の状態を示している。この状態では、マスタ切断時において盛り上がり16Dの高さが上回転刃216a中央部と同程度のとき、盛り上がり16Dにおける製版済みのマスタ16を押し潰す態様で製版済みのマスタ16がぐちゃぐちゃになって上・下回転刃216a,216b周りにかみ込んだりするために、ホルダ213全体の移動が止まってロック(以下、「カッタロック」という)状態となってしまったり、カッタユニット28の上・下回転刃216a,216bの破損となってしまったりすることもあった。
上記カッタロック等が発生した時、図5を借りて示すカッタモータ219の起動時点から所定の時間経過しても、ホルダ213がホームポジションに戻らなくなると共に、切断された製版済みのマスタ16の後端がマスタ先端センサ29によって検知されないことにより、操作パネルの表示部等にエラー表示されたりして機械が停止していた。
カッタユニット28によれば、上記したような顕著な利点が得られるものの、上・下回転刃216a,216bの耐久性に難点がある。すなわち、上・下回転刃216a,216bの切れ味が悪くなると、図8(a)に示したカットミスや図8(b)に示したカッタロック等の発生頻度が極端に増加してしまう。
【0064】
図8(c)は、マスタ16の和紙繊維面16b同士が接触して擦れ合うことが無いかまたはその接触面積や接触している時間が極めて少ないため、盛り上がり16Dが小の状態を示していて、正常のマスタ搬送状態に属する。この状態では、カットミス、カッタロック等の問題は発生しない。
【0065】
また、製版給版装置内での静電気によるマスタの貼り付きを発生したときや、マスタ搬送経路での引っ掛かり、あるいはマスタの不送りが発生したとき、マスタの先端が製版装置内から版胴のクランパに向けて給版されて来ない場合、マスタの先端が製版装置からクランパに向けて給送されたものの、マスタのスキューなどによりマスタの先端がクランパに正常にクランプされなかった場合のようなクランプミスが発生した場合は、次のような問題点を生じてしまう。
すなわち、図2を借りて説明すれば、マスタ16を搬送するためのマスタ搬送モータ24(ステッピングモータ)や給版モータ41(ステッピングモータ)の脱調等により、実際にはマスタ16が搬送されていないにも拘らず、図示しない制御装置がマスタ16を規定の送り量まで搬送したと判断してしまい、ホルダ213がカット動作を行ってしまう。これにより、マスタ16が実際に送られた所で切断されてしまうため、「短冊」と呼ばれる短いマスタ16のカット片(以下「マスタ破片」と言い替える)が発生し、そのマスタ破片の処理が困難であった。
【0066】
特に、図2および図3を借りて説明した撓みボックス32では、製版済みのマスタ16が3段に折り返されて貯留されることにより、製版済みのマスタ16の和紙繊維面16b同士の接触面積がより大きくなるため、カットミス、カッタロックやクランプミス等の発生度合いが高くなる。上述したマスタ切断時のカットミス、カッタロックやクランプミスがマスタ搬送ジャム発生の一つの要因となっていた。
【0067】
カットミスやカッタロックあるいはクランプミス等の不具合発生の問題点は、マスタのフィルム面が内側の状態でマスタロールに巻かれた、いわゆるフィルム面内巻きで発生した場合であったが、例えば低湿環境下においては、いわゆるフィルム面外巻き(マスタのフィルム面が外側の状態でマスタロールに巻かれた状態)のマスタでも、静電気発生による影響によってフィルム面同士が貼り付くことで上記の盛り上がり16D(大、中)が発生する可能性がある。これに対して、マスタ16の和紙繊維面16b同士による盛り上がり16Dは、環境の如何に拘らず発生するものである。
【0068】
そこで、本願出願人は、マスタ16の和紙繊維面16b同士による盛り上がり16Dに伴う上記不具合を対策する技術を既に、特願2001−316572にて提案済みであり、本実施形態には上記技術が反映されている。また、主としてマスタ切断時のカットミスやカッタロックに伴うジャムの発生やクランプミスの不具合発生時についてのリカバリー機能はなく、ときには機械(製版給版装置や製版印刷装置)が停止してしまったり、マスタ破片の処理がやりにくく不便なほか、製版された高価なマスタを無駄にしてしまっていたという問題点を解決する技術として、本願出願人は、特願2001−390240にて提案済みである。
【0069】
したがって、本実施形態等では、マスタクランプミスとは、主としてマスタのクランプをリトライ(再試行)することによりそのリトライしてクランプされた製版済みのマスタ16を版胴2の外周面に巻装して所望の印刷物を得ることが可能な場合の製版済みのマスタ16のクランプミスを意味していて、製版給版装置15内でのカットミスやカッタロックあるいは静電気発生によるマスタの貼り付きジャム等であって、給版搬送手段の逆転・正転制御を介してマスタのクランプをリトライすることができない場合や、リトライしてクランプされた製版済みのマスタ16を版胴2の外周面に巻装して印刷しても所望の印刷物を得ることができない場合の製版済みのマスタ16のクランプミスを除外することを意味する。
【0070】
図8を参照して一部説明したように、従来の製版給版装置では撓みボックス32の奥側に同じ吸引能力を有する2個の吸引ファン34a,34bに加えて、さらに吸引ファン34a,34bと同様の吸引ファンをマスタ幅方向Yの中央部に配置(合計3つの吸引ファン)して製版済みのマスタ16の搬送を補助し、マスタ搬送を行っていた。しかしながら、本実施形態では吹き付けファン35を上述したように付設したことにより、図2に示すように製版および給版時において、開口32aを含むその近傍の製版済みのマスタ16に撓み16Cを形成する向きである上方から送風を行うことによって製版済みのマスタ16の盛り上がり16D(図8(a)および図8(b)参照)の発生を未然に防止すると共に、製版時において吸引ファン34a,34bの吸引作用によって製版済みのマスタ16が撓み16Cを形成されながら撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内に搬送されるのを助勢しているので、合計3つの吸引ファンのうちの1つを減らして、これを吹き付けファン35に振り代えることが可能になった。
【0071】
結局、従来の3個の吸引ファンに対して、送風手段としての吹き付けファン35(送風ファン)はその補充追加をすることなく上記したように取り付け部位を変えて逆に取り付けることで実現することができ、上述した従来の問題点の主要な要因となっていたマスタ16の盛り上がり16D自体を解消することができるようになった。このように、吹き付け側の吹き付けファン35の設置数(1個)を、吸い込み側の吸引ファン34a,34bの設置数(2個)よりも少なく設定していて、送風力と吸引力とのバランスを取っていることも一つの特徴となっている。
【0072】
給版ガイド板42は、マスタ16の先端の向きを変えて図において左下がり斜め下方にマスタ16を案内する機能を有する。
図1および図2において、符号18は、マスタエンドセンサである。マスタエンドセンサ18は、マスタロール16Aに巻装されたマスタ16が交換を必要とする程残り少なくなったことを検知するものであり、例えば特開平10−202996号公報の図1ないし図3に示されている第3センサ38と同様の反射型のフォトセンサからなる。
符号21は、マスタセットセンサである。マスタセットセンサ21は、マスタセットローラ19とマスタセットガイド板20との間にマスタ16がセットされていることを検知するものであり、反射型のフォトセンサからなる。マスタセットセンサ21がオンすることにより、マスタ16がセットされていることが検知されると、マスタ16の先端はマスタ搬送モータ24および給版モータ41の起動により自動的に送られて、マスタ16の先端は上記製給版待機位置を占めた位置で停止するようになっている。
【0073】
マスタ先端センサ29は、カッタユニット28よりもマスタ搬送方向Xの下流側に設けられており、ホルダ213のカット動作によって切断されたマスタ16の後端やマスタ16の先端を検知するマスタ検知手段としての機能を有する。マスタ先端センサ29は、反射型のフォトセンサからなる。
上記したマスタセット後の搬送時には、マスタ16の先端セット位置がばらつくため、マスタ先端センサ29でのマスタ16の先端位置制御が使われる。すなわち、マスタ先端センサ29がマスタ16の先端の通過を検知し、同センサ29のオン後にマスタ16の先端をさらに所定量(実施例的に言えば18mm)送ることによって、マスタ16の先端を適正な位置である上記製給版待機位置を占めた位置で停止させる。製版終了時のマスタ16の先端位置制御は、マスタカット位置から所定量(実施例的に言えば32mm)送ることによって行われる。
【0074】
印圧装置14は、図1に示すように、版胴2、圧胴9および版胴2の内部に配設され版胴2上の製版済みのマスタ16にインキを供給するインキ供給装置5等を有する。
版胴2は、多孔構造の支持円筒体とその外周面に巻装された複数層のメッシュスクリーン(図示せず)とを有し、支軸3の周りに回転可能に支持されている。版胴2は、複数の印刷速度に対応してその回転速度を変えることが可能なように図示しないギヤ列およびベルト伝動装置等を介して連結された版胴駆動手段としてのメインモータ43を含む駆動系を介して回転される。メインモータ43は、制御用モータであるDCモータからなり、後述するように給紙駆動系に駆動力を伝達しないようになされているので今までのメインモータよりも小型化されている。メインモータ43の出力軸には、図示しないエンコーダが取り付けられている。該エンコーダ近傍の本体フレーム1F側には、図示しないエンコーダセンサが配設されていて、メインモータ43の回転駆動による上記エンコーダの回転動作に協働して発生された所定のパルスを上記エンコーダセンサで検出することにより、版胴2の回転速度や回転位置が検出されるようになっている。これにより、メインモータ43を介して版胴2の回転速度の制御がなされるようになっている。
【0075】
版胴2には、マスタ16の先端部をクランプ・保持する保持手段としてのクランパ4が版胴2の外周部の一母線に沿って配設されている。クランパ4は、所定角度回動自在な軸4aをもって版胴2の外周部に枢着され、揺動・開閉自在となっている。クランパ4は、ゴム磁石を有していて、版胴2が後述する排版位置または給版待機位置を占めたときに、本願出願人が提案した特開平6−247031号公報の図1ないし図7に示されている原紙係止装置(60)と同様の構成を具備する開閉装置により、版胴2の外周部に設けられた強磁性体からなる図2等に示すステージ13に対して開閉される。クランパ4の閉時において、軸4aに巻着されたねじりコイルバネ等の付勢手段によりその閉じ力を補助する構成のものもを用いてもよい。
上記開閉装置を構成しクランパ4を開閉駆動する駆動手段としては、特開平6−247031号公報の図1ないし図3等に示されているラック駆動モータ(45)、駆動ギヤ(46)、大径ギヤ(48)、ピニオンギヤ(47)およびラック(42)から構成されている。上記開閉装置のラック駆動モータ(45)をクランパモータ45と言い替えて、図10のみに示す。
【0076】
図1に示すように、版胴2の略右横近傍の本体フレーム1F側には、製版済みのマスタ16の先端部がクランパ4により保持されたか否かを検知するマスタ有無検知手段としての版胴マスタ有無センサ54が配置されている。換言すれば、版胴マスタ有無センサ54は、製版済みのマスタ16の先端部が版胴2に巻かれているか否かを検知するためのものでもある。版胴マスタ有無センサ54は、例えば特許第2901082号(特開平3−193351号)公報等で開示されているものと略同様であり、従来の技術例で説明したものと同様であるが、上述しなかった内容を補足説明する。なお、版胴マスタ有無センサ54の配置形状は、図17に示したように版胴2の外周面の一母線に対してその発光素子および受光素子が平行となるように配置されているが、図15および図16ではこれを見やすいように故意に90°回転して示している。
【0077】
実際にマスタ16の先端部が給版・着版時にクランパ4により確実にクランプされているか否かを判断したいため、従来の技術例で説明したと同様にクランパ4が閉じて版胴2が回転し始めるときに、版胴マスタ有無センサ54によって版胴2上のマスタ16の有無を代用的に検知している。
【0078】
センサパターン58は、図17に示したように、クランパ4配置位置に近いレザー部(インキ不通過領域)の外周面上に配設されている。センサパターン58は、例えば光無反射性の材質であるシート状の黒色のマイラー(PET)でできていて、版胴マスタ有無センサ54の上記発光素子からの入射光55をほとんど吸収する特性を有している。そのため、センサパターン58の外表面は、図15、図16に拡大誇張して示したように多数の微細な凹凸状をなしている。センサパターン58は、版胴2に巻装可能な最大ないしは最小サイズの製版済みのマスタ16を検知することができるように、それらのマスタ16で覆われるように配置されている。
【0079】
図16および図17において、版胴2外周面のセンサパターン58の上に製版済みのマスタ16が巻かれると、版胴マスタ有無センサ54の上記発光素子からの入射光55がマスタ16の薄いフィルム表面に当たり、そこからの略正反射光56ないしは乱反射光束56が上記受光素子により受光され、その受光量を、図示しないセンサ回路構成で電気(例えば電圧)に変換し、その出力電圧が上昇して、マスタ16の有無を判断するために予め設定された基準となる電圧値(閾値電圧)を超えたときに、制御装置120によってマスタ有りと判断される。図17において、符号57は、入射光55と略正反射光56との間の法線を示す。
【0080】
一方、版胴2外周面のセンサパターン58の上に製版済みのマスタ16が巻かれていないときは、光吸収性の黒色のセンサパターン58によって、版胴マスタ有無センサ54の上記発光素子からの入射光4がほとんど吸収され反射しないために、上記受光素子による受光量が少なくなり、図示しないセンサ回路構成により、その出力電圧が閾値電圧以下になって、制御装置120によってマスタ無しと判断される。
【0081】
版胴2の一方の端板に対向した本体フレーム1F側の所定位置には、版胴2がそのクランパ4を版胴2の右斜め側方に位置させる給版待機位置を占めたときに、その給版待機位置を検知するための図10のみに示す給版待機位置検知センサ46と、版胴2がそのクランパ4を図1に示すように版胴2の略真下に位置させるホームポジションを占めたときに、そのホームポジションを検知するための図10のみに示すホームポジション検知センサ47とが配置されている。上記給版待機位置検知センサ46および上記ホームポジション検知センサ47は、透過型のフォトセンサからなり、例えば特開平11−91227号公報の図11に示されている構成のものと同様である。
【0082】
排版位置は、版胴2がそのクランパ4を排版剥離ローラ67および排版ローラ68における版胴2の回転方向の下流側寄りに対向させた位置である。この排版位置を検知する検知手段は、上記ホームポジション検知センサ47を兼用・利用しており、上記排版位置は、版胴2がホームポジションを占めたときに上記ホームポジション検知センサ47からのオン信号出力時を起点として、メインモータ43に付属して設けられた上記エンコーダ等により版胴2の回転量(回転角度)を検出することにより検知され割り出されるようになっている。
【0083】
版胴2の内部には、インキ供給装置5が配設されている。インキ供給装置5は、版胴2の内周面にインキを供給するインキローラ6と、インキローラ6と微小間隙を置いて平行に配置されていて、インキローラ6との間にインキ溜まり8を形成するドクターローラ7と、支軸3を兼ねると共にインキ溜まり8へインキを供給するインキ供給管3とから構成されている。
インキローラ6、ドクターローラ7は、ギヤやベルト等の回転伝達手段を介して上記駆動系のメインモータ43に連結されていて、メインモータ43により駆動される。インキ溜まり8からインキローラ6の外周面に供給されたインキは、版胴2とインキローラ6の外周面とに僅かに隙間を設けているために、版胴2の内周面に供給される。インキは、適宜の位置に配置されたインキパックからインキポンプにより圧送され、インキ供給管3の供給穴よりインキ溜まり8へ供給される。
【0084】
版胴2は、例えば特開平5−229243号公報の図2および図3に示されている版胴装置(55)と同様に、インキ供給装置5等と共にユニット化された版胴ユニット(図示せず)を構成している。この版胴ユニットは、上記特開平5−229243号公報の図2に示されている保持手段(36)と同様の構成を具備する本体フレーム1F側に設けられた着脱手段を介して、上記ホームポジションにおいて本体フレーム1Fに対して着脱自在となっている。
【0085】
圧胴9は、版胴2の周速度と同じ周速度で、かつ、版胴2と所定の同期をとって回転される押圧手段としての構成・機能を有する。版胴2の下方近傍に配設され、給紙装置60から給送されてくる用紙Sの先端部を用紙保持手段としての紙くわえクランパ12によりくわえながら版胴2の外周面に押圧する周知の機能を有する。圧胴9は版胴2の直径と同径の外周部を有し、その外周部の一部には版胴2のクランパ4の部分との干渉を避けるための凹部11が形成されている。紙くわえクランパ12は、本体フレーム1F側に設けられたカム(図示せず)との当接により開閉されるようになっている。
【0086】
圧胴9は、圧胴9の中心部に設けられた圧胴軸10を揺動させて版胴2の外周面に選択的に押圧するためのカム駆動機構および版胴2の外周面から離間させた状態で回転可能に保持する保持アーム、バネ等の付勢手段およびソレノイド(共に図示せず)等からなる保持手段を備えた周知の圧胴接離手段(共に図示せず)により、版胴2に対して接離自在に構成されている。メインモータ43を備えた駆動系および上記圧胴接離手段等の詳細構成は、例えば特開平9−216448号公報の図1ないし図5等に示されているものと同様のものを用いている。
なお、上記圧胴接離手段としては、例えば特開平5−201115号公報の図1等に開示されている偏心軸を用いたものも用いられる。また上記押圧手段としては周知のプレスローラも用いられる。
【0087】
給紙装置60は、給紙トレイ61、給紙ローラ62、分離ローラ63、分離コロ63a、ガイド板対65a,65b、レジストローラ対64およびトレイ昇降モータ(図示せず)から主に構成されている。
給紙トレイ61は、その上に用紙Sを積載され、本体フレーム1Fに対して上下動自在に支持されていて、用紙Sの増減と連動して図示しないトレイ昇降モータにより上下動される。
【0088】
給紙ローラ62は、最上位の用紙Sと当接して用紙Sを送り出す周知の機能を有し、分離ローラ63および分離コロ63aは、給紙ローラ62により送り出された用紙Sを1枚ずつ分離して給送する周知の機能を有する。給紙ローラ62、分離ローラ63および分離コロ63aは、用紙Sを1枚ずつ分離して給送する給紙手段を構成している。
【0089】
給紙ローラ62および分離ローラ63は、図示しないプーリおよび無端ベルト等を備えた回転伝達手段を介して給紙モータ(図示せず)に連結されており、給紙モータにより回転される。上記給紙モータは、ステッピングモータである。上記給紙手段の駆動は、従来の給紙手段の駆動方式であるセクタギヤ方式に代えて、メインモータ43の回転駆動力とは独立した上記給紙モータで回転される給紙手段独立駆動方式を採用している。
上記各プーリと各ローラ62,63の軸との間には、図示しないワンウェイクラッチが介装されていて、上記給紙モータのオフ時には用紙Sの繰り出し方向に回転自在なフリー状態となる。これにより、後述するレジストモータのみがオンしているときには、給紙ローラ62および分離ローラ63は用紙Sの繰り出し方向に連れ回りされる。
【0090】
分離ローラ63の用紙搬送方向の下流側には、上下一対のレジストローラ64が配設されている。レジストローラ対64は、上記給紙手段により分離・給送されてくる1枚の用紙Sの先端をそのニップ部直前の部位に突き当てて、回転している版胴2上の製版済みのマスタ16の画像書込み開始位置に同期させつつ、拡開している紙くわえクランパ12にタイミングをとって搬送する用紙搬送同期手段としての機能を有する。レジストローラ対64は、上側のローラが従動ローラ、下側のローラが駆動ローラであり、下側の駆動ローラが図示しないプーリおよび無端ベルト等を備えた回転伝達手段を介してレジストモータ(図示せず)に連結されており、上記レジストモータにより回転される。上記レジストモータは、ステッピングモータである。
【0091】
ガイド板対65a,65bは、本体フレーム1F側に固定して配置された給紙側板(図示せず)に固設されており、給送される用紙Sを案内する。なお、紙くわえクランパ12が無い圧胴や周知のプレスローラを用いた場合には、回転している版胴2上の製版済みのマスタ16の画像書込み開始位置(製版開始位置)に同期させて、版胴2の外周面と上記圧胴との間や、版胴2の外周面と上記プレスローラとの間に搬送させるようにすればよい。
なお、給紙ローラ62および分離ローラ63の回転駆動手段は、上記給紙モータに代えて、メインモータ43の回転駆動力を利用した機械式のカム駆動手段も用いられる。同様に、レジストローラ対64の回転駆動手段は、上記レジストモータに代えて、メインモータ43の回転駆動力を利用した機械式のカム駆動手段も用いられる。
【0092】
排紙装置80は、排紙トレイ81、排紙爪82、吸着排紙入口ローラ83、吸着排紙出口ローラ84、搬送ベルト85、吸引ファン86、排紙駆動モータ(図示せず)から主に構成されている。
排紙爪82は、圧胴9の外周面近傍に配設され、紙くわえクランパ12の開放動作により紙くわえクランパ12から開放された印刷済みの用紙Sを剥離し案内する。吸着排紙入口ローラ83と吸着排紙出口ローラ84とは、排紙装置80の排紙側板(図示せず)に回転自在に支持されており、各ローラ83,84間には、表面に複数の開孔を有する搬送ベルト85が掛け渡されている。吸着排紙出口ローラ84は上記排紙駆動モータで回転駆動され、この回転力は搬送ベルト85を介して吸着排紙入口ローラ83に伝達される。各ローラ83,84の間であって上記排紙側板の下部には、ファンモータを内蔵した吸引ファン86が配設されている。吸引ファン86は、その回転により図において下向きの空気流を発生させ、搬送ベルト85の表面に印刷済みの用紙Sを吸引する。
なお、紙くわえクランパ12での用紙Sの先端部の排紙ミス時における版胴2上への用紙巻き上がりを確実に防止する目的で、排紙爪82に加えて、版胴2の外周面近傍に近接自在に配設され、版胴2から印刷済みの用紙Sを剥離する剥離爪(図示せず)と、版胴2上の製版済みのマスタ16と用紙Sとの間に送風して版胴2から用紙Sを剥離する剥離ファン(図示せず)とを設けたものもある。
【0093】
排版装置66は、排版ボックス69、排版剥離ローラ67、排版ローラ68、排版モータ(図示せず)、圧縮板(図示せず)および圧縮板駆動モータ(図示せず)から主に構成されている。
排版剥離ローラ67は、排版ローラ68と圧接し合っており、上記排版モータにより回転される。排版剥離ローラ67は、揺動アームを備えた移動手段を介して、版胴2の外周面に圧接する剥離位置とこの剥離位置から離間した離間位置との間に変位自在となっている。上記移動手段は、排版剥離ローラ67が離間位置にあるときに、図示しない係止手段により係止され保持されるようになっている。これらの要部の構成は、例えば実公平2−274号公報の第1図ないし第5図に示されているものと同様の構成を有する。上記圧縮板は、図示しない昇降機構を介して排版ボックス69内に上下動自在に収納されており、上記圧縮板駆動モータの回転駆動により上記圧縮板が排版ボックス69内を上下動されるようになっている。
【0094】
図9を参照して、操作パネル90を説明する。
操作パネル90は、図1に示した原稿読取装置70の上部の一側部に配設されている。操作パネル90には、図9に示すように、原稿の画像の読み取りから排版、製版、給版、給紙、版付け印刷、排紙工程に至るまでの一連の工程(動作)を起動するための、すなわち製版動作を開始させるための製版開始設定手段としての製版スタートキー91と、印刷枚数等の数値を入力・設定するためのテンキー93と、このテンキー93で入力・設定された印刷枚数分の印刷動作の起動等を行うための印刷スタートキー92と、各種設定の数値等を確定するためのエンターキー98と、クランプミスが発生したときにおける製版済みのマスタ16の先端部の保持の再試行に至るまでの一連の動作(以下、「マスタクランプのリトライ」という)の回数(これは制御装置120の図10に示すROM122に予め設定リトライ回数Bとして記憶されているが、デフォルト値でもある)を変更設定するための再試行回数設定手段を構成するリトライ回数設定キー94と、ユーザの行うべき操作の状態や警告等のメッセージあるいは選択されている機能等の表示をしたり、マスタ16や用紙Sのジャム箇所を適宜表示して報知するための液晶表示部95と、製版給版装置15内や版胴2等におけるマスタ16のジャム発生を点灯点滅表示するジャム発生表示ランプ96と、主に印刷枚数やマスタクランプの変更設定されたリトライ回数等の数値を表示するための数値表示部97等とが配置されている。
【0095】
再試行回数設定手段は、リトライ回数設定キー94、テンキー93およびエンターキー98で構成されている。リトライ回数設定キー94は、LED(発光ダイオード)を内蔵しており、これを1回押すと、図示しない発光ダイオード駆動回路を介して上記LEDが点灯して、ROM122に予め記憶されているマスタクランプの設定リトライ回数Bが変更設定可能状態にあることを知らせる。この状態で、テンキー93によりデフォルト値としてのマスタクランプの設定リトライ回数Bの変更・入力設定を行った後、エンターキー98で確定する。リトライ回数設定キー94を再度(2回)押すと、上記LEDが消灯してROM122に予め記憶されている通常のリトライ回数設定状態にあることを知らせる。
再試行回数設定手段は、上記したリトライ回数設定キー94、テンキー93およびエンターキー98に限らず、例えばテンキー93とエンターキー98等との組合せ入力によってプログラムするサービスマン・プログラムによるものでも構わない。
【0096】
液晶表示部95は、LCD(液晶表示装置)で構成されており、図示しない液晶駆動回路を介して駆動される。液晶表示部95は、ユーザの行うべき操作を知らせたり、その操作結果に対して警告をしたり、マスタ16のジャム発生箇所および用紙Sのジャム発生箇所を適宜文字表示したりするガイダンス部95Aと、このガイダンス部95Aにより文字表示される操作内容を順次図示表示したり、孔版印刷装置1におけるマスタ16のジャム発生箇所、用紙Sのジャム発生箇所、故障個所や故障内容等を具体的に絵で表示するための補助表示部95Bとを有する。
ガイダンス部95Aおよび補助表示部95Bは、マスタ16のカットミスやクランプミスあるいはマスタ16のジャム発生箇所等を表示して報知する表示手段としての機能・構成を有する。
ジャム発生表示ランプ96は、LED(発光ダイオード)で構成されており、図示しない発光ダイオード駆動回路を介して駆動される。ジャム発生表示ランプ96は、マスタ16のカットミスやクランプミス等によるジャム発生を表示して報知する表示手段としての機能・構成を有する。数値表示部97は、7セグメントのLEDからなる。
【0097】
図10および図11を参照して、本実施形態に特徴的な制御構成について説明する。
制御装置120は、図10に示すように、CPU(中央演算処理装置)121、I/O(入出力)ポート・I/F(インターフェース)124(以下「入力ポートインターフェース124」または「出力ポートインターフェース124」という)およびROM(読み出し専用記憶装置)122、RAM(読み書き可能な記憶装置)123等を備え、信号バス(図示せず)によって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。
【0098】
制御装置120のCPU121(以下、単に「制御装置120」というときがある)は、適宜の電子回路等からなるセンサ入力回路(図示せず)および入力ポートインターフェース124等を介して、マスタ先端センサ29、給版待機位置検知センサ46、ホームポジション検知センサ47、版胴マスタ有無センサ54、操作パネル90の各種キーからのオン/オフ信号やデータ信号を受信する。制御装置120は、出力ポートインターフェース124および液晶駆動回路や発光ダイオード駆動回路あるいは各種のモータ駆動回路等を介して、操作パネル90のガイダンス部95Aおよび補助表示部95B、ジャム発生表示ランプ96、マスタ搬送モータ24、給版モータ41、吸引ファン34a,34b、吹き付けファン35、メインモータ43、クランパモータ45、カッタモータ219に指令信号を送信して後述する特徴的な制御を行う。
【0099】
RAM123は、CPU121での演算結果を一時記憶したり、上記各センサおよび各キーから入力されたオン/オフ信号やデータ信号を随時記憶する。ROM122には、後述する図12に示すフローチャートに表されているような特徴的な動作を実行するためのプログラムや関係データ等が予め記憶されている。上記プログラムや関係データ等の設定や変更は、操作パネル90で変更設定したり、ROM122へ予めデータで与えたり、あるいはROMチップの交換等で行われる。予めROM122に記憶されている関係データとしてのマスタクランプの設定リトライ回数Bは、2回であるものとして後述する動作説明を行う。
【0100】
第1に、制御装置120は、給版動作開始後の所定の時機に版胴マスタ有無センサ54により版胴2上の製版済みのマスタ16が検知されないとき、すなわち版胴マスタ有無センサ54からのマスタ無し信号に基づいて、給版待機位置検知センサ46および上記エンコーダセンサからの回転位置信号を参照しつつ版胴2が所定の回転位置である給版待機位置を占めるまで再び回転するようにメインモータ43を制御し、かつ、反転ローラ対40の上側の駆動ローラが所定量(所定の回転角度)逆転するように給版モータ41を制御することにより製版済みのマスタ16の先端を所定の給送距離分だけ反転ローラ対40側に戻した後(すなわち製版済みのマスタ16の先端が製給版待機位置を占めるまで)で、再度、反転ローラ対40の上側の駆動ローラが所定量(所定の回転角度)正転するように給版モータ41を制御することで、クランパ4による製版済みのマスタ16の先端部の保持を再試行させるようにクランパモータ45を制御する制御手段としての制御機能を有する。
【0101】
第2に、制御装置120は、第1の制御機能において反転ローラ対40の上側の駆動ローラが所定量(所定の回転角度)逆転するように給版モータ41を制御する動作に連動して、吹き付けファン35を所定の時間逆転作動させる送風制御手段としての制御機能を有する。
この際の吹き付けファン35の制御の詳細は、図11に示されているように、出力ポートインターフェース124の制御基板上に搭載されているモータ駆動回路(図示せず)を介して、CPU121からの電気信号(High,Low)を切り替えることで行う。すなわち、吹き付けファン35の(+),(−)の電気信号の入力の組み合わせで吹き付けファン35の回転方向を切り替えるようになっている。図11に示す例では、(+)→High、(−)→Lowを入力すれば、吹き付けファン35は時計回りに回転して吹き付け(送風)方向に、これとは反対に(+)→Low、(−)→Highを入力すれば、吹き付けファン35は反時計回りに回転して吸い込み(吸引)方向に回転するようになっている。
【0102】
第3に、制御装置120は、第2の制御機能において吹き付けファン35を所定の時間逆転作動させた後、反転ローラ対40の上側の駆動ローラが所定量(所定の回転角度)逆転するように給版モータ41を制御する動作に連動して、吸引ファン34a,34bを所定の時間作動させる吸引制御手段としての制御機能を有する。
この際の吸引ファン34a,34bの制御の詳細は、図11に示されているように、出力ポートインターフェース124の制御基板上に搭載されているモータ駆動回路(図示せず)を介して、CPU121からの電気信号(High,Low)を切り替えることで、吹き付けファン35と略同様に行われる。但し、本実施形態では、吸引ファン34a,34bの回転方向はこれと同じファンからなる吹き付けファン35を上述したように反対に配置して使用しているので、(+)→High、(−)→Lowを入力して吸引ファン34a,34bを反時計回りに回転して吸い込み(吸引)方向のみに回転するようになっている。
上記以外の制御装置120の制御機能は、従来と同様であるため後述する動作で説明するに留める。
【0103】
次に、図1ないし図14を参照して、孔版印刷装置1の動作を説明する。以下の動作は、制御装置120からの指令によって行われる。図12のフローチャートは、本発明を実施できる程度にその要旨動作を簡略的に示したものである。最初に、給版動作後処理では、クランプミス発生等の無い正常時の動作について説明する。
この動作例は、特開2001−150786号公報の図5に示されているタイミングチャート(高速1モードに係る動作例1で省エネルギモードを考慮しない場合)を基本として、本実施形態に特有の構成により実行される動作を折り込み反映したものであるが、説明の簡明化を図るために上記公報記載の一部の動作説明を省略する。
【0104】
孔版印刷装置1の初期状態を図1に示す。図1に示すように、製版給版装置15では、マスタロール16Aから繰り出されたマスタ16の先端は反転ローラ対40のニップ部に挾持されていて少し版胴2側にはみ出ている製給版待機位置を、版胴2および圧胴9はホームポジションをそれぞれ占めている状態に設定される。図1の初期状態において、先ず、ユーザは図示しない電源スイッチをオンすると、初期化が行われると共に上記高速1モードが初期設定される。これに前後して原稿読取装置70の原稿載置台72上に複数枚の原稿73を載置・セットすると共に、給紙トレイ61上において用紙Sが足りない場合や無い場合には用紙Sを適宜補充・セットする。なお、製版給版装置15の製給版待機位置は、上記位置に限らず、例えばカッタユニット28におけるフレーム212の上面212aの図2における左端に設定して、マスタ16の節約等を図っているものもある。
【0105】
次いで、製版・印刷開始のための操作が行われる。先ず、ユーザが製版スタートキー91を押すと、製版開始信号が生成されてこれが制御装置120に送信される。これにより、排版、原稿の画像読み取り、製版、給版、給紙、版付け印刷、排紙、版付け後空回転に亘る一連の動作が行われる。
製版スタートキー91の押下による製版開始信号が以降の動作フローのトリガとなる。ユーザによるマニュアル操作は製版スタートキー91を押すまでであり、以降の版付け後空回転までの動作は自動で行われる。ここでは、版胴2内のインキ供給装置5によりインキが供給されて適度なインキ溜まり8が形成されると共に、給紙装置60の上記昇降モータがオン駆動されて所定の給紙圧・分離圧等がセットされた状態となる。
【0106】
まず、その外周面に前版の使用済みのマスタ16を巻装していて、ホームポジションを占めていた版胴2は、メインモータ43がオンすることにより図1中矢印で示す時計回り方向に回転を開始し、排版位置に対応してメインモータ43がオフすることにより排版位置で停止する。以下、メインモータ43のオン/オフ動作は省略する。排版および給版動作時においては、版胴2は圧胴9の外周面から離間した状態で回転移動する。
版胴2が排版位置に停止すると、クランパモータ45がクランパ4を所定の角度に開くべくオンすることにより、クランパ4が拡開される。上記係止手段による上記移動手段の係止状態が解除されて、排版剥離ローラ67が版胴2上の使用済みのマスタ16に当接する剥離位置を占めると同時に、上記排版モータがオンする。これにより、排版剥離ローラ67は回転されつつクランパ4でクランプされていた使用済みのマスタ16の先端部に対応する版胴2の外周面に押し付けられることで、使用済みのマスタ16の先端部が排版剥離ローラ67により版胴2の外周面からすくい上げられて剥離される。この直後、排版剥離ローラ67は上記移動手段により再び元の図1に示す離間位置に戻され、排版ローラ68と共に回転自在に保持される。排版剥離ローラ67が離間位置に戻された直後において、クランパモータ45がクランパ4を閉じるべくオンすると、上記ねじりコイルバネの付勢力およびゴム磁石の磁力によりクランパ4が閉じられる。以下、クランパモータ45および上記排版モータのオン/オフ動作は省略する。クランパ4が閉じた後、版胴2が時計回り方向に回転することで実質的な排版動作が始まる。
【0107】
剥離された使用済みのマスタ16は、排版剥離ローラ67および排版ローラ68のニップ部に挾持されながらの回転・搬送動作によって、版胴2の外周面より剥離されつつ搬送され、排版ボックス69の内部に排出・収容されていく。
【0108】
一方、製版開始信号生成直後の製版給版装置15では、圧解除モータ(34)がオンして回転することにより、プラテンローラ23とサーマルヘッド22との間のマスタ16にプラテン圧が印加されると共に、このプラテン圧印加の状態が接離検知センサ(35)でオフ検知される。
製版待機状態では、プラテン圧が解除されている状態にあるため、プラテンローラ23とサーマルヘッド22との間およびテンションローラ対26の上下ローラの間はそれぞれ離間しており、マスタ搬送路XR内のマスタセットローラ19から反転ローラ対40に至るまでのマスタ16にたるみが発生する。そのままマスタ16を版胴2に着版して印刷を行うと、巻装シワが発生したり、製版開始位置が安定せずに製版開始位置がずれたりする問題点となるので、プラテン圧を印加した直後に、マスタ搬送モータ24を駆動させずに給版モータ41だけを所定時間オンすることにより、マスタ16を少し搬送し、マスタ16のたるみを取り除く動作を行う。
【0109】
このとき、マスタセットローラ19とマスタセットガイド板20との間、プラテンローラ23とサーマルヘッド22との間、テンションローラ対26のニップ部間のマスタ16は、適宜各ローラを従動回転させつつ各部材間を滑りながらマスタ搬送方向Xの下流側へと搬送される。
この後、給版時での給版モータ41のオンまでの間、同モータ41が励磁させるべく制御される。このように、給版モータ41を所定のタイミングで励磁させるから、反転ローラ対40が回転フリーとなり、振動などによって製版開始位置合わせを行ったマスタ16がずれることを防止できる。
【0110】
次いで、上述した版胴2の排版位置への移動および排版動作と並行して、原稿読取装置70および製版給版装置15で原稿73の画像読み取り動作および製版(書き込み)動作が開始する。
原稿載置台72上にセットされた複数枚の原稿73の内の最下位の原稿73がコンタクトガラス74上の所定位置に自動搬送され、原稿73の画像が上記原稿走査用光学系で読み取られ、画像センサ77により光電変換されたアナログの画像信号が上記A/D変換部に入力される。画像が読み取られた原稿73は、原稿排紙台75上へ排出される。
上記A/D変換部に入力されたアナログの画像信号は、デジタルの画像信号に変換され、そのデジタルの画像信号は画像信号処理部(図示せず)を経由して上記製版制御部に送信される。
【0111】
一方、原稿73の画像読み取り動作と並行して、上記画像信号処理部からのデジタルの画像信号を受けての上記製版制御部によってサーマルヘッド22が制御されつつ、製版動作および排版動作が自動的に並行して進行する。
デジタルの画像信号に応じて、サーマルヘッド22の発熱素子が選択的に発熱され、プラテンローラ23に対してサーマルヘッド22で押圧されるマスタ16のフィルムの部分が選択的に加熱溶融されて穿孔されつつ、マスタ搬送モータ24がオンされることにより、図2に示すようにマスタセットローラ19、プラテンローラ23、テンションローラ対26がそれぞれ図中矢印方向に回転されることにより、穿孔製版された製版済みのマスタ16がマスタ搬送路XRの下流側へ静電気等で貼り付くことなく搬送される。一方、給版モータ41はオフしたままであり、これにより反転ローラ対40は停止したままである。
【0112】
これと同時的に、先ず吸引ファン34a,34bがオンする。吸引ファン34a,34bを吹き付けファン35よりも先に作動させるのは、吹き付けファン35による送風によって製版済みのマスタ16がバタツキ、不安定な挙動を起こしてしまい、これにより吸引ファン34a,34bで吸引できなくなって図2に示すような正常な撓み16Cが形成できなくなるのを防ぐためである。吸引ファン34a,34bが吹き付けファン35よりも先に作動することにより、撓みボックス32内の気圧の差による図2において左から右へまた左から右へと切り換えし板32b、32cに沿った空気の流れが正常に形成されると共に、この後作動する吹き付けファン35の送風が相乗的に作用するようになる。
【0113】
図2に示すような正常な撓み16Cが形成されつつある時、吹き付けファン35が適宜のタイミングでオン・正転駆動する。これにより、吹き付けファン35が開口32aの上方近傍に位置する、すなわちフレーム212の左端と反転ローラ対40との間の製版済みのマスタ16に正常な撓み16Cが形成されるようにその上方から吹き付け・送風を行うと共に、吸引ファン34a,34bによる吸引作用によって製版済みのマスタ16が撓み16Cを次第に大きくなるようにされながら、撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内に順次折り返される態様で搬送されて行く。こうして、撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内には、製版済みのマスタ16が貯留されていく。
【0114】
説明が前後するが、製版動作中に、図12のフローチャートに示す給版動作に進み、版胴2は図2および図15に示したように時計回りに回転して給版待機位置59で停止する。この間、排版装置66では排版剥離ローラ67および排版ローラ68等の作動による排版動作が継続されており、版胴2の回転量に対応した分の使用済みのマスタ16が剥離搬送され排版ボックス69内へ排出・収容される。この間、製版給版装置15においてはマスタ搬送モータ24がオン駆動しており、マスタ貯留手段30で製版済みのマスタ16に撓み16Cを形成しながらの製版動作が継続している。
【0115】
一方、製版(書き込み)動作中であって、版胴2が給版待機位置へ回転移動中において、給紙装置60では、上記給紙モータがオンして給紙ローラ62および分離ローラ63が回転することにより、また分離ローラ63と分離コロ63aとの協働作用によって、給紙トレイ61の最上位の1枚の用紙Sが給送され、その用紙Sの先端がレジストローラ対64のニップ部直前の部位に突き当てされる。その後、上記給紙モータがオフして給紙ローラ62および分離ローラ63の回転が停止することにより、用紙Sの先端がレジストローラ対64のニップ部に当接・保持されると共に、用紙Sの後端部が給紙ローラ62および分離ローラ対63に当接・保持される。
【0116】
版胴2が図2および図15に示した給版待機位置59に停止すると、直ちに給版動作の準備のため、すなわち着版のためにクランパ4が実線で示すように拡開されて、版胴2は給版待機状態となる。この給版待機状態の間、排版装置66での排版剥離ローラ67および排版ローラ68等の作動による排版動作は、一時中断されている。
この時、給版モータ41が所定のタイミングでオン・正転駆動され、これにより反転ローラ対40が図2中矢印で示す方向に正転駆動されることによって、製版済みのマスタ16の先端部は、給版ガイド板42に案内されつつ拡開されたクランパ4へと搬送される。給版モータ41の所定ステップ数のオン駆動により、製版済みのマスタ16の先端部がクランパ4へ届いたと判断されると、給版モータ41がオフして、図15に示したように反転ローラ対40の作動が停止すると同時的に、クランパ4が閉じられる。これにより、製版済みのマスタ16の先端部がクランパ4でクランプされる(図12のステップS1参照)。
【0117】
この着版時においては、制御装置120からの指令によって、給版モータ41によるマスタ搬送速度v2をマスタ搬送モータ24によるマスタ搬送速度v1以上となるように、給版モータ41およびマスタ搬送モータ24へそれぞれ供給するパルス周波数(pps)を変えることにより、マスタ搬送速度v2≧マスタ搬送速度v1となるように給版モータ41およびマスタ搬送モータ24が制御される。
【0118】
上記したように給版モータ41がオンしてから反転ローラ対40が回転している間を含む給版時中、換言すれば給版モータ41がオンしてから製版済みのマスタ16が版胴2に巻装されるべく反転ローラ対40のニップ部を移動中の給版動作時中において、吹き付けファン35が開口32aを含むその近傍の製版済みのマスタ16の上方から送風を行うことにより、この送風による力が送り込み側の製版済みのマスタ16と送り出し側の製版済みのマスタ16との和紙繊維面16b同士が接触しないように、かつ、分かれるように作用するので、図8(a)および図8(b)に示したような製版済みのマスタ16の和紙繊維面16b同士が撓みボックス32内から開口32a周辺で接触して擦れ合うことがなくなり、したがってその摩擦抵抗によって、撓みボックス32の開口32a近傍に搬送される送り側の製版済みのマスタ16がせり上げられ盛り上がってしまうことが未然に防止される。
【0119】
次いで、給版のためのマスタ巻装動作が行われる。図16に示したように版胴2が給版待機位置59から時計回り方向に所定の角度回転移動したとき、版胴2が給版待機位置59から一定の角度(実施例的には67.24°)回転した位置まで一定の検知時間(実施例的には50ms)、版胴マスタ有無センサ54によって版胴2上の製版済みのマスタ16の有無が検知される(ステップS2参照)。ステップS2において、版胴2上にマスタ16が有る場合、版胴マスタ有無センサ54はオン(詳細な動作は従来例参照)となり、この信号を受けて制御装置120は正常なクランプ動作がなされたと判断する。
一方、ステップS2において、版胴2上に製版済みのマスタ16が無い場合のクランプミス発生時等の動作は、後述する。
【0120】
上記したようにクランプ動作が正常に行われ版胴2が時計回り方向に回転移動すると同時に、給版モータ41が励磁されることにより、反転ローラ対40の上側ローラの連れ回りを止め、版胴2の外周面に巻き付ける製版済みのマスタ16に負荷を与えて巻装シワの発生が防止される。
給版モータ41を励磁した後では、反転ローラ対40の上側ローラは給版モータ41の励磁によるホールドの負荷を受けることにより、停止(ロック)状態となり、反転ローラ対40の下側ローラは版胴2の回転による製版済みのマスタ2の搬送力を受けることにより連れ回り・従動回転をする。版胴2の回転力により、撓みボックス32内に貯留されていた製版済みのマスタ16が引き出されつつ適度の張力が付与されて、版胴2の外周面上にシワ等を発生することなく巻装されていく。
このとき、版胴2の周速度vは、製版給版装置15におけるプラテンローラ23によるマスタ搬送速度v’よりも十分大きくなるように(v>v’)、制御装置120によりメインモータ43およびマスタ搬送モータ24の回転速度が制御されるようになっている(ステップS3参照)。
【0121】
一方、上記給版動作が行われると同時に、排版装置66では、排版動作が再度開始され、版胴2の回転量に対応した分の使用済みのマスタ16が排版剥離ローラ67および排版ローラ68の作動により版胴2の外周面から剥離・搬送されて、排版ボックス69へ排出・排版されていく。
一方、原稿読取装置70での読み取り動作および製版給版装置15での書き込み動作が進行して、読み取り動作が終了し、次いでマスタ搬送モータ24のステップ数により、1版分の製版済みのマスタ16が製版されたと制御装置120で判断されると、制御装置120からの指令により、マスタ搬送モータ24がオフする。これにより、マスタセットローラ19、プラテンローラ23、テンションローラ対26の回転がそれぞれ停止され、製版(書き込み)動作が終了する。
【0122】
この時、マスタ貯留手段30における製版済みのマスタ16の撓み16Cの量は徐々に小さくなっており、もはや盛り上がり16Dの発生する余地がない程に例えば図8(c)に示したよりもさらに小さい撓み16Cになっていて、製版済みのマスタ16の最後の撓み16Cが版胴2の回転によって無くなる寸前に、すなわち製版済みのマスタ16の撓み量が最小となる時において、ステップS4においてカット動作が開始される。
【0123】
先ず、カッタモータ219がオンして正転ないし逆転駆動されることにより、ホルダ213がフレーム212に沿いつつマスタ幅方向Yに高速で往復動すると同時に、上・下回転刃216a,216bが高速で回転しながらマスタ幅方向Yに高速で往復動することによって製版済みのマスタ16の後端を切断する動作が行われる。この時、制御装置120は自身が内蔵している図示しないタイマにより設定された一定の時間内に、エンコーダセンサ51からのパルス数が所定数CPU121に入力されたか否かが判断される。換言すれば、カッタモータ219の正転→逆転駆動によってホルダ213がマスタ幅方向Yに高速で往復動するときの移動速度は略一定となるように予め設定されているので、ホルダ213が正常に往復動していれば、ホルダ213を一定の時間内に一定距離移動させる間にエンコーダセンサ51から出力される移動パルス数は一定の範囲内にあることとなる。
そして、製版済みのマスタ16の後端を切断した後初期位置を占めたと判断されると、カッタモータ219がオフされることにより、ホルダ213は初期位置に停止する。
【0124】
次いで、切断された製版済みのマスタ16の後端がマスタ先端センサ29によって検知されたか否かが判断され、マスタ先端センサ29がオンして、切断された製版済みのマスタ16の後端が検知されていれば正常なカット動作がなされたと判断される。
【0125】
なお、ホルダ213がマスタ16を切断すべく往復動するようにカッタモータ219が正転・逆転駆動されているときには、必ず吸引ファン34a,34bおよび吹き付けファン35が作動していると共に、マスタ16のバタツキを無くすためにそれぞれの風量を落とすように吸引ファン34a,34bおよび吹き付けファン35が制御される。また、反転ローラ対40による給版中、換言すれば反転ローラ対40の連れ回り従動回転を問わず反転ローラ対40のニップ部を製版済みのマスタ16が版胴2のクランパ4に向けて移動中のときには吹き付けファン35は作動している。
切断された製版済みのマスタ16が版胴2の回転によって製版給版装置15から完全に引き出され、版胴2の外周面に巻き付けられた段階で巻装動作が完了する。巻装動作が完了後、吹き付けファン35および吸引ファン34a,34bはそれぞれオフされる。
【0126】
一方、印圧装置14では、版胴2がホームポジションを占める回転移動動作に同期して、給紙動作が開始される。上記レジストモータがオンすることにより、用紙Sは、レジストローラ対64により版胴2の回転と同期した所定のタイミングを取られた後給送され、これとタイミングを合わせて紙くわえクランパ12が拡開され、用紙Sの先端部をくわえた後、紙くわえクランパ12が閉じられ、圧胴9の外周面に用紙Sが保持されたまま圧胴9が回転され、版胴2と圧胴9との間のニップ部に用紙Sが送り込まれる。このタイミングに合わせて、圧胴9の外周面が版胴2の外周面に接離可能な状態となる。印刷動作後、圧胴9の外周面が版胴2の外周面から離間された状態となる。版胴2と圧胴9との上記ニップ部は、上記圧胴接離手段に具備されている緊縮性の印圧バネ(図示せず)の付勢力によって加圧されており、これにより用紙Sは版胴2の外周面上に巻装されている製版済みのマスタ16に押圧される。この押圧の際に、インキローラ6により版胴2の内周面に供給されたインキは、製版画像が形成された製版済みのマスタ16の穿孔部分を通過して滲み出し、この滲み出たインキが用紙Sの表面に転移されて、印刷画像が形成される。
【0127】
印刷画像が形成された印刷済みの用紙Sは、圧胴9が回転して排紙爪82の手前で紙くわえクランパ12が開くことにより、排紙爪82に乗り上げて剥離され、吸引ファン86により吸引されつつ、下方に位置する搬送ベルト85上に排出される。搬送ベルト85上の印刷済みの用紙Sは、吸引ファン86で搬送ベルト85上に吸引されつつ吸着排紙出口ローラ84の回転によって搬送され、排紙トレイ81上に排出されていわゆる版付け印刷が終了する。この版付け印刷により排出された印刷物は正規の印刷物としてカウントされない。
【0128】
印刷動作および排紙動作が上記したように行われ、版胴2が給版待機位置を占めた付近では、版胴2への1版分の製版済みのマスタ16の巻き付けが完了して給版動作が終了する。次いで、印刷済みの用紙Sが排紙トレイ81上に排出されて試し刷り(版付け印刷)が終了する。この後、版胴2はホームポジションまで回転移動し、ホームポジションで停止する(ステップS5参照)。
【0129】
版付け印刷終了後、ユーザは排出された印刷物(用紙S)を適宜目視して、通常の印刷動作を行ってもよいかどうかを適宜判断し、画像品質の確認や画像位置の確認等を適宜行い、これらがオーケーであれば、ユーザは操作パネル90の図示しない印刷速度設定キーおよび操作パネル90上の各種キーによって印刷条件を入力した後に、テンキー93で印刷枚数を入力・設定し印刷スタートキー92を押すと、給紙装置60から用紙Sが連続的に給送され、設定した印刷条件で印刷動作が行われる。そして、設定された印刷枚数が消化されると版胴2がホームポジションで停止し、孔版印刷装置1は再び印刷待機状態となる。
通常の印刷動作は、版付け時の印刷動作と比較して、前記したように版付け印刷に用いられた用紙Sの枚数が正規の通常の印刷枚数としてカウントされないこと、およびユーザが所望する設定印刷速度に応じた速度での給紙、印刷および排紙の各動作が行われることが主に相違するだけである(ステップS6参照)。
【0130】
一方、レジストローラ対64の回転動作が停止され、印刷動作が終了すると、製版給版装置15では、ダクト案内板31が撓み形成位置から変位して図1に示すガイド搬送位置を占める。これと同時に、マスタ搬送モータ24がオンすることにより、マスタセットローラ19、プラテンローラ23、テンションローラ対26が回転すると共に、給版モータ41がオンして反転ローラ対40が回転することによって、ホルダ213により切断された次版のマスタ16の先端部がダクト案内板31および給版ガイド板42に案内されながら、マスタ搬送路XRの下流側へと搬送される。そして、マスタ搬送モータ24および給版モータ41の所定ステップ数の作動により、次版のマスタ16の先端部が図1に示す製給版待機位置を占めたと判断された時点で、マスタ搬送モータ24および給版モータ41が共にオフすることにより、マスタセットローラ19、プラテンローラ23、テンションローラ対26、反転ローラ対40の回転がそれぞれ停止し、待機状態となる。
また、サーマルヘッド22は、プラテンローラ23から離間する。原稿読取装置70でも、上記スキャナモータ等がホームポジションへ移動するためにオンした後オフする。
【0131】
次に、主としてクランプミス発生時の動作について説明する。
本実施形態によれば、吹き付けファン35および吸引ファン34a,34bを最適な時機に作動させるので、図8(a),(b)に示したようなカットミスやカッタロックに伴うマスタのジャムやクランプミスを従来と比較して大幅に低減することができる。しかし、例えば孔版印刷装置1の長期使用によりゴミ等が吹き付けファン35および/または吸引ファン34a,34bに付着すること等によりその送風および/または吸引能力が落ちることが想定され、また種々の原因によってクランプミスが発生することもあり、このようなことを前提として、以下、クランプミス発生時の動作を詳述する。
【0132】
ステップS2において、版胴2上に製版済みのマスタ16が無い場合、版胴マスタ有無センサ54はオフ(詳細な動作は従来例参照)となり、そのマスタ無し信号を受けて制御装置120はクランプミスが発生したと判断し、ステップS7〜ステップS14に亘る一連のマスタクランプのリトライ動作を実行させる。 まず、ステップS7において、版胴マスタ有無センサ54からの1回目のマスタ無し信号を受けて、制御装置120はマスタクランプのリトライ回数Aとして1回をカウントする。次いで、制御装置120はROM122に記憶されている設定リトライ回数B(2回)を呼び出し、リトライ回数A(1回)よりも大きいか否かを判断する。ここでは、A(=1)<B(=2)であるため、ステップS9へ進む。
【0133】
ステップS9において、図13に示すように、版胴2は再び給版待機位置を占めるまで反時計回りに回転して給版待機位置に停止すると共に、クランパ4が拡開される。この動作と並行して、給版モータ41のオン・逆転駆動により反転ローラ対40の上側の駆動ローラが所定量(所定の回転角度)逆転することにより、製版済みのマスタ16の先端が所定の給送距離分だけ反転ローラ対40側に戻される。この時、給版モータ41の所定ステップ数の駆動によって、反転ローラ対40は製版済みのマスタ16の先端が製給版待機位置を占めるまで図13に示す方向に逆転される。
反転ローラ対40の逆転時には、マスタ搬送モータ24の作動が停止されていることにより、マスタセットローラ19、プラテンローラ23およびテンションローラ対26の回転は停止している。
【0134】
反転ローラ対40の逆転動作に連動して、図13に示すように吹き付けファン35が所定の時間逆転されることにより、反転ローラ対40の逆転によってマスタ貯留手段30側に戻される製版済みのマスタ16が図13に示すように吸引方向にその搬送力を助勢されて引き上げられつつ、製版済みのマスタ16の先端が製給版待機位置を占める向きに搬送される。吹き付けファン35は所定の時間の吸引動作後、その回転を停止する。
【0135】
この時も、マスタ搬送モータ24の作動は停止されていることにより、マスタセットローラ19、プラテンローラ23およびテンションローラ対26の回転は停止している。上述したように、テンションローラ対26のニップ部、プラテンローラ23とサーマルヘッド22とで形成されるニップ部およびマスタセットローラ19とマスタセットガイド板20とで形成されるニップ部に対する製版済みのマスタ16の搬送停止時の抵抗力は、吹き付けファン35の吸引作用によるマスタ搬送力よりも大きくなるように設定されているため、テンションローラ対26よりもマスタ搬送方向X上流側の製版済みのマスタ16の位置がずれることはない(ステップS9〜ステップS11参照)。
【0136】
次いでステップS12に進み、反転ローラ対40の逆転動作に連動して、図14に示すように吸引ファン34a,34bが作動することにより、吸引ファン34a,34bによる吸引作用によって、反転ローラ対40の逆転動作でマスタ貯留手段30側に戻される製版済みのマスタ16を撓みボックス32内に貯留していく。
【0137】
この時も、マスタ搬送モータ24の作動は停止されていることにより、マスタセットローラ19、プラテンローラ23およびテンションローラ対26の回転は停止している。また、テンションローラ対26のニップ部、プラテンローラ23とサーマルヘッド22とで形成されるニップ部およびマスタセットローラ19とマスタセットガイド板20とで形成されるニップ部に対する製版済みのマスタ16の搬送停止時の抵抗力は、吸引ファン34a,34bの吸引作用によるマスタ搬送力よりも大きくなるように設定されていることにより、テンションローラ対26よりもマスタ搬送方向X上流側の製版済みのマスタ16の位置がずれることはない。
【0138】
吸引ファン34a,34bによる吸引動作と共に行われている反転ローラ対40の逆転動作は、給版モータ41の所定ステップ数の駆動によって、製版済みのマスタ16の先端が製給版待機位置を占めるまでの所定の給送距離分だけ図14に示す方向に逆転される(ステップS12参照)。
【0139】
給版モータ41の所定ステップ数の駆動によって、製版済みのマスタ16の先端が製給版待機位置を占めたと判断されると、給版モータ41が再び所定のタイミングでオン・正転駆動され、これにより反転ローラ対40が図2中矢印で示す方向に正転駆動されることによって、製版済みのマスタ16の先端部は給版ガイド板42に案内されつつ拡開されたクランパ4へと搬送される。
給版モータ41の所定ステップ数のオン駆動により、製版済みのマスタ16の先端部がクランパ4へ届いたと判断されると、給版モータ41がオフして、図15に示したように反転ローラ対40の作動が停止すると同時的に、クランパ4が閉じられる。これにより、製版済みのマスタ16の先端部がクランパ4で再度クランプされる。
この時、吹き付けファン35が適宜のタイミングでオン・正転駆動する。これにより、吹き付けファン35がフレーム212の左端と反転ローラ対40との間の製版済みのマスタ16に正常な撓み16Cを形成されるようにその上方から吹き付け・送風を行うと共に、吸引ファン34a,34bによる吸引作用によって製版済みのマスタ16の撓み16Cが維持される。、以上により、1回目のマスタクランプのリトライ動作が終了する(ステップS13、ステップS14参照)。
【0140】
再びステップS2に進み、版胴マスタ有無センサ54によって版胴2上の製版済みのマスタ16の有無が検知される。版胴2上にマスタ16が有る場合、版胴マスタ有無センサ54はオンとなり、上述したと同様にステップS3〜ステップS6の一連の正常時の動作が行われる。一方、版胴2上に製版済みのマスタ16が無い場合、版胴マスタ有無センサ54はオフとなり、この信号を受けて制御装置120はクランプミスが発生したと判断し、ステップS7〜ステップS14に亘る2回目のマスタクランプのリトライ動作が1回目と同様に実行される。
【0141】
2回目のマスタクランプのリトライ動作終了後、再度、ステップS2に進み、版胴マスタ有無センサ54によって版胴2上の製版済みのマスタ16の有無が検知される。版胴2上にマスタ16が有る場合、版胴マスタ有無センサ54はオンとなり、上述したと同様にステップS3〜ステップS6の一連の正常時の動作が行われる。
【0142】
一方、版胴2上に製版済みのマスタ16が無い場合、版胴マスタ有無センサ54はオフとなり、版胴マスタ有無センサ54からの3回目のマスタ無し信号を受けて、制御装置120はマスタクランプのリトライ回数Aとして合計3回をカウントする。次いで、制御装置120はROM122に記憶されている設定リトライ回数B(2回)を呼び出し、合計のリトライ回数A(3回)よりも大きいか否かを判断する。ここでは、A(=3)>B(=2)であるため、制御装置120は通常のクランプミス以外の異常、すなわちマスタのクランプをリトライすることによりそのリトライしてクランプされた製版済みのマスタ16を版胴2に巻装して所望の印刷物を得ることが可能な場合の製版済みのマスタ16のクランプミスではなくて、製版給版装置15内でのカットミスやカッタロックあるいは静電気発生によるマスタ16の貼り付きジャム等であると判断する。
【0143】
そして、制御装置120は、版胴2を図1に示すホームポジションに戻して停止させた上で、ホルダ213による製版済みのマスタ16のカット動作を行わせ、その後、クランプミス・ジャムが発生したことをガイダンス部95A、補助表示部95Bおよびジャム発生表示ランプ96に表示させることとなる。すなわち、操作パネル90のジャム発生表示ランプ96が点灯点滅すると共に、クランプミス・ジャムの発生したことのメッセージおよびそれらの発生箇所が、液晶表示部95のガイダンス部95Aおよび補助表示部95Bにそれぞれ表示される(ステップS15参照)。これらの表示内容をユーザは視認して、始めてマスタクランプミス等に伴うジャム処理を行うこととなる。
【0144】
例えば、ジャム等の発生しにくいマスタや、マスタクランプミス等の発生しにくいマスタの厚みを増加したマスタを使用するような場合には、マスタクランプの設定リトライ回数Bを減らして製版スタートキー91を押してから上記一連の動作を経て最初の印刷物が排出されるまでの時間であるファースト・プリント・タイム(FPT)を短縮するために、ユーザによって変更設定することもできる(具体的な操作例は、操作パネル90の構成で説明したとおりである)。これとは逆に、例えば、ジャム等の発生し易いマスタや、マスタクランプミス等の発生し易いマスタの厚みを減少したマスタを使用するような場合には、マスタクランプのリトライ回数を増加するように変更設定すればよい。
【0145】
給版駆動手段は、本実施形態の給版モータ41に限らず、これに代えて、反転ローラ対40の上側の駆動ローラの軸とギヤ(図示せず)との間に回転駆動力断接手段としての電磁クラッチ(図示せず)を介装すると共に、ギヤやプーリ、ベルト等の回転伝達手段を介してマスタ搬送モータ24に連結し、かつ、上記プラテンローラ軸とプラテンローラプーリとの間に電磁クラッチ(共に図示せず)を介装させて、上記マスタ搬送手段と上記給送搬送手段とをそれぞれ独立して制御可能にしてもよい。
【0146】
本発明に係る印刷装置を適用する実施形態としては、本実施形態に限らず、例えば特開平10−181177号公報の図1等に示されているように、本発明におけるマスタ貯留手段と均等のマスタストック手段(31)における撓みボックス(32)のように、本実施形態の撓みボックス32と比較して、その撓みボックス(32)内部において製版済みのマスタ16の貯容量が短くて少ないような場合には、図8(a),(b)に示したような製版済みのマスタ16の盛り上がり等が発生しにくいため、マスタ吹き付けファン35は必ずしも必要な構成ではない。このような孔版印刷装置においては、マスタ吹き付けファン35を除去することにより、図12のステップS11およびステップS13における吹き付けファン35の吸引動作および送風動作を無くしたマスタクランプのリトライ動作であってもよい。
【0147】
この場合の制御装置120の制御機能は、図2および図10を借りて説明すると、上記した第1の制御機能を有する他、第1の制御機能において反転ローラ対40の上側の駆動ローラが所定量(所定の回転角度)逆転するように給版モータ41を制御する動作に連動して、吸引ファン34a,34bを所定の時間作動させる吸引制御手段としての制御機能を有するものである(請求項4参照)。
テンションローラ対26のニップ部、プラテンローラ23とサーマルヘッド22とで形成されるニップ部およびマスタセットローラ19とマスタセットガイド板20とで形成されるニップ部に対する製版済みのマスタ16の搬送停止時の抵抗(力)は、吸引ファン34a,34bの吸引作用によるマスタ搬送力よりも大きくなるように設定されている。
【0148】
本実施形態に限らず、例えば特開平8−132723号公報の図1に示されている感熱孔版印刷装置における製版給版部(90)のように、マスタ貯容手段を有していない製版給版装置を具備した印刷装置にも適用することが可能である。すなわち、本発明に係る印刷装置を構成する製版給版装置は、マスタを製版する製版手段と、この製版手段により作製された製版済みのマスタをマスタ搬送方向の下流側に搬送するマスタ搬送手段と、このマスタ搬送手段により搬送されてきた製版済みのマスタを版胴の保持手段に向けて給送する給版搬送手段とを少なくとも有するものであればよい(請求項1参照)。
【0149】
マスタ16は、ベースに和紙繊維を用いた上記したものに限らず、例えば厚さが0.5〜3μmの、実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタや、マスタ16のベースの厚さを薄くしたマスタや、例えば本願出願人が提案した特開平11−77949号公報に記載されているような合成繊維ベースマスタでもよいし、またフィルムに溶融した樹脂を塗布してフィルムに樹脂膜を一体的に形成したようなマスタを用いることができる。また、フィルム面内巻きのマスタロール16Aから繰り出し可能に設けられているマスタ16に限らず、例えばフィルム面外巻きマスタを巻かれて形成されたマスタロールを用いることもできる。 また、本発明に係る印刷装置は、上記した孔版印刷装置1に限らず、例えば特開平7−17013号公報に示されているような版胴の外側からインキを供給する構成の印刷装置であってもよく、また、特開平10−202996号公報記載の技術のように製版給版装置が製版部ユニットを構成していてその製版部ユニット全体を着脱可能な場合等にも有効に適用できる。
【0150】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来の問題点を解決して新規な印刷装置を提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば以下のとおりである。請求項1記載の発明によれば、制御手段は、マスタ有無検知手段によって製版済みのマスタが検知されないとき、版胴をして所定の回転位置まで再び回転させ、かつ、給版搬送手段をして所定量逆転させることにより製版済みのマスタの先端を所定の給送距離分だけ給版搬送手段側に戻した後で、再度、給版搬送手段をして正転させることで、保持手段による製版済みのマスタの先端部の保持を再試行(リトライ)させることにより、簡素な制御構成で、マスタクランプのリトライが自動的に行われるので、ユーザは煩わしいジャム処理を行わなくても済むと共に、マスタの無駄を無くすことができる。
【0151】
請求項2記載の発明によれば、制御手段による給版搬送手段の所定量逆転動作と連動して、送風制御手段が送風手段を逆転作動させることにより、製版済みのマスタの先端を所定の給送距離分だけ給版搬送手段側に戻す動作を助勢するので、製版済みのマスタの先端を給版搬送手段側に確実に戻すことができる。
【0152】
請求項3記載の発明によれば、送風制御手段により送風手段が逆転作動された後、給版搬送手段の所定量逆転動作と連動して、吸引制御手段が吸引手段を作動させることにより、給版搬送手段の所定量逆転動作によって所定の給送距離分だけ給版搬送手段側に戻された製版済みのマスタを撓みボックス内に再び確実に貯留することができる。
【0153】
請求項4記載の発明によれば、制御手段による給版搬送手段の所定量逆転動作と連動して、吸引制御手段が吸引手段を作動させることにより、給版搬送手段の所定量逆転動作によって所定の給送距離分だけ給版搬送手段側に戻された製版済みのマスタを撓みボックス内に再び確実に貯留することができる。
【0154】
請求項5記載の発明によれば、マスタ搬送手段を含む該マスタ搬送手段におけるマスタ搬送方向の上流側のマスタの搬送停止時の抵抗力は、送風手段の吸引によるマスタ搬送力または吸引手段の吸引によるマスタ搬送力よりも大きいことにより、請求項2,3または4記載の発明の効果に加えて、マスタ搬送手段を含む該マスタ搬送手段におけるマスタ搬送方向の上流側の搬送停止しているマスタの位置がずれることがなくなるので、製版画像のずれを未然に防止できる。
【0155】
請求項6記載の発明によれば、マスタ搬送手段および給版搬送手段は、少なくとも独立して制御可能であるので、請求項1ないし5の何れか一つに記載の発明の効果に加えて、給版搬送手段の所定量逆転時および正転時の動作とマスタ搬送手段の動作とを独立して確実に行うことができる。
【0156】
請求項7記載の発明によれば、給版搬送駆動手段は、マスタ搬送駆動手段に対して独立して駆動制御されるパルス入力で駆動されるモータであるので、請求項6記載の発明の効果に加えて、給版搬送駆動手段による給版搬送手段の所定量逆転および正転動作を簡単な制御で精度高く行うことができる。
【0157】
請求項8記載の発明によれば、再試行の回数を設定する再試行回数設定手段を具備するので、請求項1ないし7の何れか一つに記載の発明の効果に加えて、製版・給版条件を含む印刷条件等を考慮して、ユーザがマスタクランプのリトライ回数を自由に変更設定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す孔版印刷装置の概略的な正面図である。
【図2】図1における孔版印刷装置の製版給版装置周りの構成および動作を示す拡大正断面図である。
【図3】図2における製版給版装置周りの構成および動作を示す斜視図である。
【図4】(a)は、図2における製版給版装置のカッタユニットのホルダによるマスタの切断時の動作を、(b)は、同ホルダがホームポジションを占めている状態を示す斜視図である。
【図5】図2における製版給版装置のカッタユニット周りの拡大側面図である。
【図6】図2における製版給版装置のカッタユニット周りの拡大正面図である。
【図7】図2における製版給版装置のダクト案内板用駆動機構を示す斜視図である。
【図8】(a),(b),(c)は、図2における製版給版装置のカッタユニット周辺に発生するマスタ盛り上がり大中小の状態を示す要部の正面図である。
【図9】図1における孔版印刷装置の操作パネルの平面図である。
【図10】図1における孔版印刷装置の制御構成を示すブロック図である。
【図11】図10のブロック図における吹き付けファンおよび吸引ファンの正逆転制御内容を示すブロック図である。
【図12】図1の孔版印刷装置の給版動作後処理以降の要部の動作順序を示すフローチャートである。
【図13】図1の孔版印刷装置におけるマスタクランプのリトライ動作を示す拡大正断面図である。
【図14】図13に示したマスタクランプのリトライ動作の続きを示す拡大正断面図である。
【図15】従来の孔版印刷装置における給版・着版時の要部の動作を示す概略的な正面図である。
【図16】従来の孔版印刷装置における給版・着版時のマスタ有無検知動作を示す概略的な正面図である。
【図17】従来の孔版印刷装置における版胴マスタ有無センサによるマスタ有無検知動作を示す概略的な斜視図である。
【符号の説明】
1 印刷装置としての孔版印刷装置
2 版胴
4 保持手段としてのクランパ
9 押圧手段としての圧胴
15 製版給版装置
16 マスタ
16a フィルム面
16b ベース面側としての和紙繊維面
16C マスタの撓み
16D マスタの盛り上がり
19 搬送手段としてのマスタセットローラ
22 製版手段としてのサーマルヘッド
23 マスタ搬送手段としてのプラテンローラ
24 マスタ搬送駆動手段としてのマスタ搬送モータ
26 マスタ搬送手段としてのテンションローラ対
28 カッタユニット
29 マスタ検知手段としてのマスタ先端センサ
30 マスタ貯留手段
32 撓みボックス
32a 製版済みのマスタの入口としての開口
34a,34b 吸引ファン
35 送風手段としての吹き付けファン
40 給版搬送手段としての反転ローラ対
41 給版搬送駆動手段としての給版モータ
54 マスタ有無検知手段としての版胴マスタ有無センサ
60 給紙装置
90 操作パネル
94 再試行回数設定手段を構成するリトライ回数設定キー
120 制御手段、送風制御手段および吸引制御手段としての制御装置
213 切断手段、カッタ部材としてのホルダ
S 用紙
X マスタ搬送方向
XR マスタ搬送路
Y マスタ幅方向
Claims (8)
- 製版済みのマスタの先端部を保持する保持手段を備え該製版済みのマスタを巻装する版胴と、製版済みのマスタの先端部が上記保持手段により保持されたか否かを検知するマスタ有無検知手段と、マスタを製版する製版手段と、この製版手段により作製された製版済みのマスタをマスタ搬送方向の下流側に搬送するマスタ搬送手段と、このマスタ搬送手段により搬送されてきた製版済みのマスタを上記保持手段に向けて給送する給版搬送手段とを有し、
上記版胴が所定の回転位置を占めたとき、上記保持手段が上記給版搬送手段から給送されてきた製版済みのマスタの先端部を保持する印刷装置において、
上記給版搬送手段は、製版済みのマスタの先端を上記保持手段に向けて給送する正転方向と、製版済みのマスタの先端を上記保持手段側から該給版搬送手段側に戻す逆転方向とに正逆転可能に構成されており、
上記マスタ有無検知手段によって製版済みのマスタが検知されないとき、上記版胴をして上記所定の回転位置まで再び回転させ、かつ、上記給版搬送手段をして所定量逆転させることにより製版済みのマスタの先端を所定の給送距離分だけ上記給版搬送手段側に戻した後で、再度、上記給版搬送手段をして正転させることで、上記保持手段による製版済みのマスタの先端部の保持を再試行させる制御手段を具備することを特徴とする印刷装置。 - 請求項1記載の印刷装置において、
上記マスタ搬送手段と上記給版搬送手段との間に設けられ、製版済みのマスタに下方側に膨らんだ撓みを形成しながら貯留する撓みボックスおよびこの撓みボックスに設けられ製版済みのマスタに撓みを形成すべく上記撓みボックス内の空気を吸引する吸引手段を有する、上記マスタ搬送手段により搬送されてきた製版済みのマスタを貯留するマスタ貯留手段と、
製版済みのマスタを上記マスタ貯留手段へ導入する開口近傍上方に設けられ、上記給版搬送手段により搬送されていく製版済みのマスタ同士が上記撓みボックスの上記開口周辺や上記撓みボックス内で接触することで摩擦抵抗により上記撓みボックスの上記開口近傍に搬送される送り側の製版済みのマスタがせり上げられないように、上記開口を含むその近傍の製版済みのマスタの上方から送風して、送り込み側の製版済みのマスタと送り出し側の製版済みのマスタとが接触しないように、かつ、分かれるように、送風による力を作用させる正転方向と、上記制御手段による製版済みのマスタの先端部の保持の再試行時に、製版済みのマスタの先端を上記マスタ貯留手段側に戻すために吸引する逆転方向とに正逆転可能な送風手段と、
上記給版搬送手段の所定量逆転動作と連動して、上記送風手段を逆転作動させる送風制御手段と、
を具備することを特徴とする印刷装置。 - 請求項2記載の印刷装置において、
上記送風制御手段により上記送風手段が逆転作動された後、上記給版搬送手段の所定量逆転動作と連動して、上記吸引手段を作動させる吸引制御手段を具備することを特徴とする印刷装置。 - 請求項1記載の印刷装置において、
上記マスタ搬送手段と上記給版搬送手段との間に設けられ、製版済みのマスタに撓みを形成しながら貯留する撓みボックスおよびこの撓みボックスに設けられ製版済みのマスタに撓みを形成すべく上記撓みボックス内の空気を吸引する吸引手段を有する、上記マスタ搬送手段により搬送されてきた製版済みのマスタを貯留するマスタ貯留手段と、
上記給版搬送手段の所定量逆転動作と連動して、上記吸引手段を作動させる吸引制御手段と、
を具備することを特徴とする印刷装置。 - 請求項2,3または4記載の印刷装置において、
上記マスタ搬送手段を含む該マスタ搬送手段における上記マスタ搬送方向の上流側のマスタの搬送停止時の抵抗力は、上記送風手段の吸引によるマスタ搬送力または上記吸引手段の吸引によるマスタ搬送力よりも大きいことを特徴とする印刷装置。 - 請求項1ないし5の何れか一つに記載の印刷装置において、
上記マスタ搬送手段および上記給版搬送手段は、少なくとも独立して制御可能であることを特徴とする印刷装置。 - 請求項6記載の印刷装置において、
上記マスタ搬送手段を駆動するマスタ搬送駆動手段と、上記給版搬送手段を駆動する給版搬送駆動手段とを具備し、
上記給版搬送駆動手段は、上記マスタ搬送駆動手段に対して独立して駆動制御されるパルス入力で駆動されるモータであることを特徴とする印刷装置。 - 請求項1ないし7の何れか一つに記載の印刷装置において、
上記再試行の回数を設定する再試行回数設定手段を具備することを特徴とする印刷装置。
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