JP4135050B2 - 高圧放電ランプ、高圧放電ランプ点灯装置および照明装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透光性セラミックス放電容器を備えた高圧放電ランプ、これを用いた高圧放電ランプ点灯装置および照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ファイバー用光源やハロゲン電球代替光源として、ランプ電力が10〜30W程度の小形のメタルハライドランプおよびこれと小形の点灯回路手段とを一体に結合して口金を装着した小形の高圧放電ランプ装置すなわち電球形高圧放電ランプが本発明者らによって開発された。この電球形高圧放電ランプは、ランプ効率がハロゲン電球に比較して約3〜4倍であるとともに、電球形蛍光ランプに比べて著しく小さいので、点光源として扱える。
【0003】
しかし、高圧放電ランプであるから、始動時に比較的高いパルス電圧を発生するためのイグナイタを組み込んだ安定器すなわち点灯回路手段またはイグナイタを組み込んでいない点灯回路手段およびこれと別設のイグナイタを用いる必要がある。このような事情から、折角小形の高圧放電ランプを開発しても、光源、安定器すなわち点灯回路手段および照明器具をシステムとして捉えたときには、結局大きなものになってしまう。一方、コンパクトに形成された蛍光ランプと、その点灯回路手段とを一体化して口金を装着してなる電球形蛍光ランプが白熱電球代替の光源として従来から用いられている。この電球形蛍光ランプもまた放電ランプなので、点灯回路手段を必要とするが、高圧放電ランプ用の点灯回路手段に比較すると、電球形蛍光ランプのそれは、圧倒的に小さい。
【0004】
そこで、本発明者らは、この問題を回避するべく研究の結果、小形の高圧放電ランプの点灯回路手段として、電球形蛍光ランプに用いられているような小形の高周波インバータを主体とする点灯回路手段を使用することに成功した。このような点灯回路手段は、一般に回路構成が簡単で、しかも高周波で動作するために、小形であることに加えて軽量で、かつ安価なので、高圧放電ランプ点灯装置の小形化、軽量化およびコストダウンを図ることができる。
【0005】
しかし、高圧放電ランプの始動電圧をさらに低くすることができれば、点灯回路手段の一層の小形化、延いては軽量化およびコストダウンを図ることが可能になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、放電ランプの始動電圧は、電極および放電媒体などの条件が一定の場合、電極間距離と放電媒体の圧力との関数、すなわちパッシェンの法則にしたがう。
【0007】
したがって、始動電圧を低くするには、放電媒体の圧力を低下させ、電極間距離を短縮するのが一般的である。これにより、確かに始動電圧は低下するが、電極を構成しているタングステンのスパッタや蒸発が増大し、透光性セラミックス放電容器が黒化して、光束維持率が低下したり、発光効率が低下したりするなどの問題を生じる。
【0008】
一方、始動電圧を低下させる手段の一つに近接導体を配設することがある。この種の従来技術として、透光性セラミックス放電容器に備えられた一対の小径筒部のそれぞれに、包囲部との境界に近接した位置において、1本の導線の端部を2〜3ターン巻回し、導線の中間部を包囲部に近接して延在させた構成が知られている。なお、この導線は電極に対して導電的には接続していないで、浮いた状態になっている。
【0009】
また、他の従来技術として、透光性石英放電容器に備えられた一対の細長い棒状の封止部の一方において、その長手方向の中間部に導線の一端部を2〜3ターン巻回し、中間部を包囲部に間隔をおいて沿わせ、他端部を他方の封止部側の外部導入線に接続した構造である。
【0010】
ところが、近接導体を備えた上述の従来技術は、そのいずれも必ずしも効果が十分でないことが分かった。
【0011】
本発明は、低い始動電圧を示すとともに始動時の黒化を抑制した高圧放電ランプ、これを用いた高圧放電ランプ点灯装置および照明装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の高圧放電ランプは、放電空間を包囲する包囲部、包囲部の両端に連通して配置され包囲部より内径が小さい一対の小径筒部を有する透光性セラミックス放電容器、透光性セラミックス放電容器の小径筒部の内面との間にわずかな隙間を形成しながら小径筒部内に挿通されている細長い第1および第2の電極、ならびに透光性セラミックス放電容器内に封入された放電媒体を備えた発光管と;第1の電極が挿通している一方の小径筒部の外周に密接するように巻装された金属線からなり、この金属線の直径に対する隣接する一対のターンの中心間の距離の比率を巻きピッチとしたときに、巻きピッチが100〜500%であって、この金属線の一端が第2の電極と同電位になるように接続されている第1の金属製コイルと;第2の電極が挿通している他方の小径筒部の外周に密接するように巻装された金属線からなり、巻きピッチが100〜500%であって、この金属線の一端が第1の電極と同電位になるように接続されている第2の金属製コイルと;発光管、ならびに第1および第2の金属製コイルを気密に収納した外管と;第1および第2の電極に接続するとともに外管から外部へ気密に導出された一対の外部接続端子と;を具備していることを特徴とする。
【0013】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。以下、発光管についてその構成要素ごとに説明する。
【0014】
〔発光管について〕 発光管は、少なくとも透光性セラミックス放電容器、一対の電極および放電媒体を備えている。
【0015】
<透光性セラミックス放電容器について> 「透光性」とは、放電によって発生した光を透過して外部に導出できる程度に光透過性であることをいい、透明ばかりでなく、光拡散性であってもよい。透光性セラミックス放電容器が小径筒部を有している場合、少なくとも包囲部が利用しようとする放射に対して透光性を有していればよく、要すれば小径筒部など放電による放射を主としては導出しない部分は、遮光性であってもよい。
【0016】
したがって、「透光性セラミックス放電容器」とは、少なくとも包囲部が単結晶の金属酸化物たとえばサファイヤと、多結晶の金属酸化物たとえば半透明の気密性アルミニウム酸化物(アルミナセラミックス)、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、イットリウム酸化物(YOX)と、多結晶非酸化物たとえばアルミニウム窒化物(AlN)のような光透過性および耐熱性を備えた材料からなる放電容器を意味する。
【0017】
また、透光性セラミックス放電容器を製作するには、中央の包囲部と、包囲部の両端または一端の小径筒部とを最初から一体に形成することができる。しかし、たとえば包囲部を形成する中空の球形部と、この球形部の両端に接続して小径筒部を形成する小径筒体とを、それぞれ別に仮焼結してから所要に接合させて、全体を焼結することにより、一体の透光性セラミックス放電容器を形成することもできる。さらに、たとえば包囲部を形成する円筒と、円筒の両端面に嵌合して閉鎖する一対の端板と、端板の中心孔に嵌合して小径筒部を形成する小径筒体とを、それぞれ別に仮焼結して所要に嵌合させて、全体を焼結することにより、一体の放電容器を形成することもできる。
【0018】
さらに、本発明において、透光性セラミックス放電容器の内容積は制限されるものではないが、小形の高圧放電ランプを得るためには、透光性セラミックス放電容器を0.05cc以下、好適には0.04cc以下にするとよい。この場合、透光性セラミックス放電容器は、その全長が35mm以下、好適には10〜30mmである。
【0019】
<第1および第2の電極について> 第1および第2の電極は、透光性セラミックス放電容器に封装されていて、材料にタングステンまたはドープドタングステンを用いている。なお、電極は、透光性セラミックス放電容器の小径筒部内に挿通し、さらに先端が包囲部内に位置しているか、あるいは先端も小径筒部内に位置しているが、包囲部を望む位置にあって包囲部内に放電を形成するように配設されていてもよい。
【0020】
また、第1および第2の電極は、そのいずれも細長くて、しかもそれぞれ小径筒部内に挿通された状態で、小径筒部の内面との間にいわゆるキャピラリーと称されるわずかな隙間を形成している。この場合、電極の中間部は、透光性セラミックス放電容器の小径筒部の内面との間になるべく均一なわずかな隙間を形成するために、一定の太さであることが望ましい。
【0021】
さらに、第1および第2の電極の先端部は、表面積を大きくして放熱を良好にするために、必要に応じてタングステンのコイルを巻装することができる。
【0022】
さらにまた、第1および第2の電極の基端部は、透光性セラミックス放電容器に対して所要の位置に固定するとともに、外部から電流を導入するために機能する。
【0023】
さらにまた、第1および第2の電極の基端部は、溶接などによって給電導体の先端に固着されることで電気的および機械的に支持し得る。この場合、要すれば給電導体は、電極の基端部の固着に際して電極の基端との間に介在するモリブデン、サーメットなどの部材を耐火性部分として付設していることが許容される。
【0024】
<放電媒体について> 放電媒体は、少なくとも始動ガスおよび緩衝ガスとして希ガスを含むものとし、点灯中約1気圧以上の圧力を呈するように透光性セラミックス放電容器内に封入される。
【0025】
また、放電媒体は、発光物質またはその化合物たとえば金属ハロゲン化物やアマルガムなどを含む。
【0026】
さらに、放電媒体は、バッファ蒸気として水銀を含むことができる。
【0027】
一方、希ガスは、本質的に特定のガスに限定されないが、正規グロー放電から異常グロー放電に遷移する際のグロー電流を小さくしたり、放電開始電圧を低下させたりしたい場合などの所要時に、ネオンおよびアルゴンを混合して封入することができる。なお、この場合、アルゴンは、ネオンに対して分圧で0.1〜15%、好適には10%までの範囲で混合することができる。また、ネオンおよびアルゴンは、一般的に80〜500Torr、好適には100〜200Torrの封入圧で用いることができる。なお、封入圧が80Torr未満であると、グロー・アーク転移時間が長くなって、電極物質のタングステンのスパッタや蒸発による黒化が多くなる。一方、封入圧が500Torrを超えると、高圧放電ランプの始動電圧が高くなり、グロー電力が増加する。
【0028】
さらに、ネオンやアルゴンに加えて、必要に応じてその他の希ガスを封入することができる。
【0029】
高圧放電ランプがメタルハライドランプの場合において、放電媒体に発光金属の金属ハロゲン化物を用いるときに、金属ハロゲン化物を構成するハロゲンとしては、よう素、臭素、塩素またはフッ素のいずれか一種または複数種を用いることができる。
【0030】
発光金属の金属ハロゲン化物は、発光色、平均演色評価数Raおよび発光効率などについて所望の発光特性を備えた放射を得るため、さらには透光性セラミックス放電容器のサイズおよびランプ電力に応じて、既知の金属ハロゲン化物の中から任意所望に選択することができる。たとえば、ナトリウムNa、リチウムLi、スカンジウムScおよび希土類金属からなるグループの中から選択された一種または複数種のハロゲン化物を用いることができる。
【0031】
また、バッファ蒸気として適量の水銀に代えて蒸気圧が比較的高くて可視光領域における発光が少ないか、発光しない金属たとえばアルミニウムなどのハロゲン化物を封入することもできる。
【0032】
<発光管のその他の構成について>
1.給電導体について:電極を支持し、かつ電極に対して給電するとともに、透光性セラミックス放電容器を封止してするのに好適な構成は、以下に示す給電導体を用いることである。
【0033】
すなわち、給電導体は、電極を支持し、電極間に電圧を印加し、電極に放電電流を供給し、かつ透光性セラミックス放電容器を封止するために機能する導体で、先端が直接または後述する付設された耐火性部分を介して電極の基端部に接続し、基端が透光性放電容器の外部に導出されている。なお、「透光性放電容器の外部に導出されている」とは、透光性放電容器から外部へ突出していてもよいし、また突出していなくてもよいが、接続導体を介して外部から給電できる程度に外部に臨んでいることを意味する。
【0034】
また、給電導体は、これを支持することにより、高圧放電ランプ全体を支持するのに利用してもよい。
【0035】
さらに、給電導体は、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびバナジウムなどの封着性金属を用いることができる。透光性セラミックス放電容器の材料にアルミナセラミックスを用いる場合、ニオブおよびタンタルは、平均熱膨張係数がアルミナセラミックスとほぼ同一であるから、給電導体に好適である。また、イットリウム酸化物およびYAGの場合も差が少ない。窒化アルミニウムを透光性セラミックス放電容器に用いる場合には、給電導体にジルコニウムを用いるのがよい。
【0036】
さらにまた、給電導体は、上記金属の棒状体、パイプ状体やコイル状体などによって構成することができる。この場合、ニオブなどは酸化性金属なので、高圧放電ランプを大気に通じた状態で点灯する場合には、耐酸化性の外部リード線を給電導体にさらに接続するとともに、給電導体が大気に接触しないようにたとえばシールなどによって全体を被覆する必要がある。
【0037】
さらにまた、前述のように給電導体の先端に耐火性金属からなる耐火性部分を付加することができる。この耐火性部分には、モリブデン、タングステンまたはサーメットなどを用いることができる。しかし、要すれば、電極の基端を直接給電導体の封着性部分の先端に接続してもよい。このことは、給電導体に付加する耐火性部分の少なくとも先端部分をタングステンで構成すれば、耐火性部分を電極として用いることができることを意味する。また、反対に電極の基端部を耐火性部分として用いることができることにもなり、実質的に両者は同じである。
【0038】
2.ランプ電力について:高圧放電ランプのランプ電力は、特段制限されないが、50W以下までの小電力であれば、点灯回路手段の小形化が容易である。なお、「ランプ電力」とは、高圧放電ランプを点灯回路手段に接続した場合に、高圧放電ランプが安定に点灯している状態で高圧放電ランプの部分で消費される電力をいう。
【0039】
〔第1および第2の金属製コイルについて〕 第1の金属製コイルは、第1の電極が挿通している透光性セラミックス放電容器における一方の小径筒部の外周に巻装される。また、第1の金属製コイルは、その一端が第2の電極と同電位になるように接続されている。
【0040】
同様に第2の金属製コイルは、第2の電極が挿通している透光性セラミックス放電容器における他方の小径筒部の外周に巻装される。また、第2の金属製コイルは、その一端が第1の電極と同電位になるように接続されている。
【0041】
したがって、第1および第2の金属製コイルと、これに対向する第1および第2の電極との間に始動時に高い電圧がそれぞれ印加される。なお、第1および第2の金属製コイルの一端が第1および第2の電極と同電位になるように接続されているというのは、上記金属製コイルが小径筒部を介して対向している電極を一方の電極としたときに、他方の電極に接続している給電導体またはこれに接続している接続導体などに上記金属製コイルの一端が接続していることを意味する。
【0042】
また、第1および第2の金属製コイルは、それぞれが小径筒部の外面に密接するように巻回されている。
【0043】
さらに、第1および第2の金属製コイルは、モリブデン、ニオブなどの耐熱性の導電性金属を用いることができる。したがって、発光管に給電するために接続導体を用いる場合に、上記金属製コイルと接続導体とに同一の金属を用いることができるが、異種の金属であってもよい。
【0044】
〔外管について〕 外管は、その内部に発光管を気密に収納するための手段である。本発明の高圧放電ランプは、保温や大気との間の遮断のために、透光性セラミックス放電容器を外管内に気密に収納している。これを実現するために、外管内は、排気されて真空ないし低圧または不活性ガスたとえば希ガスや窒素を封入することができる。
【0045】
また、外管は、適当な透光性、気密性、耐熱性および加工性を備えた材料によって形成されているものとする。たとえば、硬質ガラス、半硬質ガラスまたは石英ガラスなどを用いるのが実際的であるが、要すれば透光性セラミックスや結晶性ガラスなどを用いることができる。
【0046】
さらに、外管は、片封止および両端封止のいずれの構造をも所望により採用することができる。しかし、外管が片封止構造であると、反射鏡を用いる場合に、その光軸に高圧放電ランプの軸を一致させるのに好適である。
【0047】
さらにまた、外管の封止には、ピンチシール、フレアシール、ビードシール、釦ステムシールなどの既知のシール構造を採用することができる。
【0048】
〔一対の外部接続端子について〕 一対の外部接続端子は、外管内に収納されている発光管の一対の電極に接続するとともに、外管から外部へ導出されて、外部の点灯回路手段から電気エネルギーを導入する際の接続手段として、また所要により高圧放電ランプを支持する手段として機能する。
【0049】
また、発光管に給電するために、接続導体を用いる場合、外部接続端子を接続導体と一体に形成することができる。しかし、これらは、互いに別体に形成したものを外管の封止部内で封着金属を介して溶接などの固着手段によって接続してもよい。
【0050】
さらに、一対の外部接続端子を外管の片側の封止部に集合して外側へ延在させることができる。これにより、点灯回路手段の高周波出力端への接続が容易になる。しかし、所要により外管の両端から一対の外部接続端子を分離して導出することができる。
【0051】
さらにまた、外部接続端子は、外管から外方へ突出していてもよいし、外管の周囲に添接していてもよい。外管から外方へ突出する態様においては、突出部がそのまま接続ピンを構成してもよいし、口金への接続線として機能する構成であってもよい。これに対して、外管の周囲に添接する態様においては、その添接する外管の部位をピンチシール部にすれば、いわゆる無口金構造になる。
【0052】
さらにまた、一対の外部接続端子は、点灯回路手段の高周波出力端との接続に適した構造および材質を備えていることができる。このため、外管の封止部を貫通する部分には少なくとも封着性金属を用いるにしても、点灯回路手段に接続する部分には接触抵抗が小さくて、機械的強度に問題のない黄銅、銅などからなる接触片を用いることができる。
【0053】
〔その他の構成について〕
1.接続導体について:発光管に始動電圧を印加するとともに、放電電流を供給するために、外管内において発光管の第1および第2の電極および外部接続端子の間に介在する接続導体を用いることができる。
【0054】
また、接続導体としてはモリブデン、ニオブなどの耐熱性にして導電性の金属を用いることができる。
【0055】
2.発光管の支持について:以下の態様のいずれかによって発光管を外管内の所定の位置に支持することができる。
(1)接続導体のみで発光管を支持する。
(2)発光管を支持する接続導体に外管の内壁に当接する支持枠を付設する。
(3)接続導体を湾曲させて外管の内壁に当接させる。
(4)外管のチップオフ部の内面に発光管に接続した接続導体を直接または他の部材を介して間接的に係止させる。
(5)接続導体に代えて、発光管の透光性セラミックス放電容器をたとえば弾性を備えた支持バンドなどによって直接支持する。
【0056】
3.受電手段について:高圧放電ランプを点灯回路手段に接続するために、外管に受電手段を配設することができる。受電手段としては、各種ランプに用いられている口金、天井照明器具への給電に用いられている引っ掛けシーリングローゼットのキャップ、点灯回路手段の高周波出力端を直接接続するための絶縁被覆電線などの手段を適宜選択して採用することができる。
【0057】
受電手段として口金を採用する場合、既知の各種口金を適宜選択して用いることができる。しかし、既存の白熱電球や電球形蛍光ランプとの代替性を重視するなら、これらと同一仕様の口金を用いるのがよい。
【0058】
口金は、ねじ口金、ピン口金、バヨネット口金など既存の口金形式のあらゆるものを任意所望に採用することができる。しかし、ランプ電力50W以下の小形の高圧放電ランプは、ハロゲン電球との代替可能に構成できるので、要すれば商用電源電圧用のハロゲン電球と同じE11形ねじ口金を採用することができる。
【0059】
そうして、外管の一端に口金を配設していることにより、ランプソケットに装着することによって、簡単、かつ容易に高圧放電ランプを装脱できる。したがって、ハロゲン電球との代替が可能になる。
【0060】
4.ゲッタについて:外管内の不純ガスを吸着するために、一般に行われるように、ゲッタを外管内に配設することができる。この場合、ゲッタを透光性セラミックス放電容器または接続導体などの適当な部材に支持させることができる。
【0061】
〔本発明の作用について〕 本発明の高圧放電ランプにおいては、一対の小径筒部の内部にわずかな隙間を介して第1および第2の電極が挿通しており、さらにわずかな隙間の内部には安定点灯時に放電媒体が液相で滞留し、その滞留している放電媒体の表面すなわち界面の温度が高圧放電ランプの最冷部温度になり、放電媒体の蒸気圧を決定する。
【0062】
これに対して、始動時のグロー放電においては、わずかな隙間内に滞留している放電媒体は、一時的に蒸発する。そして、始動時には放電媒体の蒸発が適切な時間内に行われることが望ましい。
【0063】
本発明においては、第1および第2の金属製コイルが透光性セラミックス放電容器の一方および他方の小径筒部の外周にそれぞれ巻装されているので、始動時には、第1および第2の電極とこれに対向する一対の小径筒部の外周に巻回されている第1および第2の金属製コイルとの間に始動時の相対的に高い電圧がそれぞれ印加されるので、それらの間に小径筒部のセラミックスを介して微小放電が生起して始動を補助する。その結果、始動電圧が著しく低下する。なお、さらに放電媒体の界面近傍に第1および第2の金属製コイルが対向していることで、始動時に放電媒体の蒸発が促進される。
【0064】
本発明は、金属製コイルの好適な巻きピッチを規定している。「巻きピッチ」とは、金属線の直径に対するコイルの隣接する一対のターンの中心間における距離の比率を%で表わした数値をいう。したがって、巻きピッチ100%の場合、コイルは密接巻きである。また、巻きピッチ500%の場合、ターン間にはコイルを形成する金属線の直径の4倍に等しい隙間が形成される。本発明においては、巻きピッチが500%を超えると、小径筒部の外面に対してなるべく隙間なく、しかも巻き戻りなくコイルを巻回するのが多少困難になる。また、巻きピッチが100%であって、隣接ターン間で接触しても、特に問題はない。そうして、本発明においては、金属製コイルの巻回が容易であるとともに、始動電圧の低下も効果的になる。以上の結果、本発明によれば、一方の電極にのみ対向して金属製コイルが巻装されている構成に比較して、始動電圧がさらに低下する。
【0065】
また、第1および第2の金属製コイルが配設されていることにより、微小放電による電気エネルギーのバイパスが生じるために、第1および第2の金属製コイルに対向している第1および第2の電極におけるグロー・アーク転移時間が、金属製コイルがないときに比較して、延伸される傾向にあり、そのためグロー・アーク転移時間を最適化することに対して効果的であり、これによって始動時の黒化を抑制することもできる。加えて、第1および第2の電極に対して、第1および第2の金属製コイルがそれぞれれの対応において装されていることにより、各電極のグロー・アーク転移時間をバランスよく最適化することに対して効果的である。このため、各電極のグロー・アーク転移時間が揃いやすくなり、始動時の黒化が一層抑制され得る。
【0066】
請求項2の発明の高圧放電ランプは、放電空間を包囲する包囲部、包囲部の両端に連通して配置され包囲部より内径が小さい一対の小径筒部を有する透光性セラミックス放電容器、透光性セラミックス放電容器の小径筒部の内面との間にわずかな隙間を形成しながら小径筒部内に挿通されている細長い一対の電極、ならびに透光性セラミックス放電容器内に封入された放電媒体を備えた発光管と;一方の電極が挿通している一方の小径筒部の外周に密接するように巻装された金属線からなり、この金属線の直径に対する隣接する一対のターンの中心間の距離の比率を巻きピッチとしたときに、巻きピッチが100〜500%であって、この金属線の一端が他方の電極と同電位になるように接続されている第1の金属製コイルと;他方の電極が挿通している他方の小径筒部の外周に密接するように巻装された第2の金属製コイルと;発光管、ならびに第1および第2の金属製コイルを気密に収納した外管と;一対の電極に接続するとともに外管から外部へ気密に導出された一対の外部接続端子と;を具備している。
【0067】
本発明は、一対の金属製コイルを巻装している点では請求項1と同様であるが、第2の金属製コイルが一方の電極に接続していない。したがって、第2の金属製コイルは、導電的に浮いた状態になっている。しかし、第2の金属製コイルは、静電容量的には、第2の電極と結合していることになる。
【0068】
そうして、本発明においては、他方の電極に接続している第1の金属製コイルは、請求項1における第1の金属製コイルによる作用と同様であるが、これに加えて第2の金属製コイルが巻装されていることにより、始動時に第2の電極のグロー・アーク転移時間がいくらか延伸する傾向を示す。これにより、始動時における第2の電極のグロー・アーク転移時間を所望の範囲に制御しやすくなる。すなわち、始動時の黒化抑制に対していくらか効果が認められる。
【0069】
請求項3の発明の高圧放電ランプは、請求項1または2記載の高圧放電ランプにおいて、金属製コイルは、4ターン以上巻回されていることを特徴としている。
【0070】
本発明は、金属製コイルの効果的なターン数を規定している。すなわち、金属製コイルの作用は、そのターン数によって影響される。ターン数が4ターン未満であると、始動電圧低下の十分な作用が得られない。その理由は必ずしも詳らかでないが、静電容量が関係していると推定される。その意味でも、金属製コイルは、なるべく小径筒部の表面に隙間が少なくなるように巻回するのが望ましい。
【0071】
一方、金属製コイルのターン数の上限は、透光性セラミックス放電容器の軸方向のサイズによって決定される。
【0072】
したがって、金属製コイルの適切なターン数は、小径筒部の外周に巻回可能な範囲内で所望の始動電圧が得られるように設定することができる。また、始動時のグロー・アーク転移時間を所望の範囲に入るように調整することを主な狙いとする場合にも、本発明は有効である。
【0073】
請求項4の発明の高圧放電ランプは、請求項1ないし3のいずれか一記載の高圧放電ランプにおいて、金属製コイルは、一端が透光性セラミックス放電容器の包囲部との境界近傍に位置していることを特徴としている。
【0074】
本発明は、金属製コイルの好適な配設位置を規定している。すなわち、金属製コイルの一端が包囲部との境界近傍に位置していることにより、金属製コイルの位置決めが容易になるとともに、金属製コイルを定置しやすくなる。また、放電媒体の界面が金属製コイルに対向するように高圧放電ランプを設計することも可能である。
【0075】
請求項5の発明の高圧放電ランプは、請求項1ないし4のいずれか一記載の高圧放電ランプにおいて、金属製コイルは、巻きピッチが100%であることを特徴としている。
【0076】
本発明は、金属製コイルの好適な巻きピッチを100%に規定している。巻きピッチ100%の場合、コイルは密接巻きである。
【0077】
本発明においては、巻きピッチが100%であって、隣接ターン間で接触している。
【0078】
そうして、本発明においては、金属製コイルの巻回が容易であるとともに、始動電圧の低下も効果的になる。
【0079】
請求項6の発明の高圧放電ランプは、請求項1ないし5のいずれか一記載の高圧放電ランプにおいて、金属製コイルは、その長さをL1とし、透光性セラミックス放電容器の小径筒部の長さをL2としたときに、L1/L2が0.3〜1.0であることを特徴としている。
【0080】
本発明は、小径筒部の長手方向の長さL2に対する金属製コイルの軸方向の好適な長さL1を規定している。すなわち、金属製コイルは、小径筒部の全長にわたって巻回することができる。また、最短の場合、小径筒部の0.3倍の長さであればよい。
【0081】
請求項7の発明の高圧放電ランプは、請求項1ないし6のいずれか一記載の高圧放電ランプにおいて、金属製コイルは、透光性セラミックス放電容器の包囲部とは反対側に位置する端部が反対側の電極と同電位になるように接続されていることを特徴としている。
【0082】
本発明は、金属製コイルの電極に接続する方の端部の好適な選択を規定している。すなわち、包囲部とは反対側に位置する端部を電極に接続することにより、金属製コイルの接続部分が高圧放電ランプの配光に与える影響を少なくすることができる。また、金属製コイルを電極に接続する際に、透光性セラミックス放電容器の包囲部が邪魔になりにくいので、接続の作業性が良好である。
【0083】
請求項8の発明の高圧放電ランプは、請求項1ないし7のいずれか一記載の高圧放電ランプにおいて、一対の外部接続端子間の静電容量が1.2〜4pFであることを特徴としている。
【0084】
本発明は、始動電圧が低下するのに好適な一対の外部接続端子間の静電容量を規定している。一対の外部接続端子間の静電容量は、高圧放電ランプが外管および金属製コイルを備えるとともに、口金などを除去した態様において、周波数40kHzにおいて測定するものとする。なお、外管の内部は10−4 Torr程度の低真空状態であることを許容する。
【0085】
そうして、本発明においては、金属製コイルを備えていることで、一対の外部接続端子間の静電容量が増加することにより、始動時に小径筒部のセラミックスを介して電極とこれに対向する金属製コイルとの間に微小放電が生じて始動が促進される。これによって始動電圧が著しく低下する。
【0086】
また、始動時に静電容量を通じて電気エネルギーがバイパスされ、その分電極に投入されなくなるため、グロー・アーク転移時間を適度に延伸させて所要範囲内に入れることができ、これによって始動時の黒化を有効に抑制することができる。
【0087】
さらに、金属製コイルが他方の電極に接続していない場合であっても、外部接続端子間の静電容量は増加する。
【0088】
請求項9の発明の高圧放電ランプは、請求項1ないし8のいずれか一記載の高圧放電ランプにおいて、電極は、少なくとも一部が金属製コイルに対向している位置においてその軸部に巻装された金属コイル体を具備していることを特徴としている。
【0089】
金属コイル体は、透光性セラミックス放電容器の小径筒部の内部に配設し得ることを前提として、線径、ターン数および巻きピッチが制限されない。また、金属コイル体から小径筒部の端部にかけて形成されるわずかな隙間に対して、放電媒体は、金属コイル体と小径筒部との間に形成される隙間を通じて出入し、点灯中にはわずかな隙間内に液相で滞留する。
【0090】
そうして、本発明においては、金属コイル体を電極の軸部に配設することにより、始動電圧がさらに低下する。
【0091】
また、グロー・アーク転移時間を所望に制御たとえば長くすることもできる。上記のような効果を奏する理由は詳らかでないが、小径筒部の外側に位置する金属製コイルとの間の対向面積が増加するとともに、両者間の空隙長が短縮するので、両者間の静電容量が増大するからであると推定される。
【0092】
さらに、本発明は、電極の軸部の直径が小径筒部の内径に対して小さくて、わずかな隙間が大きい場合に効果的である。
【0093】
請求項10の発明の高圧放電ランプ点灯装置は、請求項1ないし9のいずれか一記載の高圧放電ランプと;インバータを主体として構成されて高圧放電ランプを高周波点灯する点灯回路手段と;を具備していることを特徴としている。
【0094】
〔高圧放電ランプと点灯回路手段の配置について〕 本発明において、高圧放電ランプと点灯回路手段とは、電気回路の上で接続されればよく、したがって両者は空間的に離間して配置されていてもよいし、互いに機械的に結合した状態で点灯されるように配置されていてもよい。たとえば、前者の配置の例は、高圧放電ランプは照明器具に装着されるが、点灯回路手段は天井裏など照明器具から離間して配置される態様である。また、後者の配置の例は、後述する電球形高圧放電ランプを構成している態様である。
【0095】
〔点灯回路手段について〕 本発明において、「高周波」とは、周波数5kHz以上をいう。点灯回路手段を小形化するために、蛍光ランプ用の点灯回路手段を用いることができる。蛍光ランプ用の点灯回路手段は、2次開放電圧から2次短絡電流まで連続的な負荷特性を有している。
【0096】
本発明においては、蛍光ランプ用に製造された点灯回路手段を流用することができる。しかし、高圧放電ランプ用として上記のような負荷特性を満足するように設計され、製造された点灯回路手段を用いることができるのはいうまでもない。
【0097】
また、本発明においては、点灯回路手段の2次開放電圧V20を比較的自由度が大きい範囲で設定することができる。すなわち、一般的には高圧放電ランプの放電開始電圧Vsに対する点灯回路手段の2次開放電圧V20の比率V20/Vs(%)を以下の範囲で設定することができる。
【0098】
110≦V20/Vs≦300
なお、高圧放電ランプの放電開始電圧Vsは、統計的にばらつきがあるので、その特定については、十分に留意する必要がある。
【0099】
ところで、点灯回路手段の基本的回路構成は、上述のような負荷特性を備えていれば、どのようなものであってもよい。
【0100】
点灯回路手段の動作周波数を5〜200kHzの範囲にすることができる。
【0101】
LC共振回路を備えた高周波インバータを主体とする点灯回路手段を用いることができる。
【0102】
以上の各条件を満足するインバータとしては、ハーフブリッジ形インバータ、一石式インバータたとえばブロッキング発振形インバータ、並列インバータなどを用いて構成することができる。また、インバータの発振制御は、自励および他励のいずれでもよい。また、インバータの発振周波数は、一定でもよいし、可変であってもよい。
【0103】
LC共振回路の共振周波数に対するインバータの動作周波数を状況に応じて変化させる態様の場合、インバータの動作周波数を変化させることによって、点灯回路手段の出力電圧を制御することができる。すなわち、始動時には動作周波数をLC共振回路の共振周波数に接近させれば、出力電圧が高くなって、2次開放電圧を高圧放電ランプの放電開始電圧に接近させることができる。そして、点灯後には反対に動作周波数を共振周波数から離せば、出力電圧が低下する。したがって、点灯回路手段の負荷特性を、2次開放電圧が高圧放電ランプの放電開始電圧に接近していて、2次開放電圧から2次短絡電流まで連続的にすることができる。
【0104】
また、動作周波数が一定の態様の場合、LC共振回路の共振周波数が状況に応じて変化するように構成することによって、点灯回路手段の出力電圧を制御することができる。すなわち、無負荷時にLC共振回路のインダクタLが飽和してそのインダクタンスが小さくなり、共振周波数が高くなって動作周波数に接近するために、点灯回路手段の出力電圧が高くなる。また、負荷時には、ランプ電流に応じてLC共振回のインダクタの飽和がなくなって、共振周波数が動作周波数から離れていき、これに伴って出力電圧が低減する。
【0105】
そうして、LC共振回路を備えたインバータを用いることにより、点灯回路手段の回路構成が簡単になり、一層小形で、安価な高圧放電ランプ点灯装置を得ることができる。また、点灯回路手段がLC共振回路を備えていることにより、出力電圧の波形を正弦波にすることができる。
【0106】
〔グロー・アーク転移時間について〕 高圧放電ランプのグロー・アーク転移時間が0.5〜3.0秒、好適には1.0〜2.5秒の範囲に入るように構成することによって、小形の点灯回路手段を用いて点灯する際に、始動時の黒化を著しく低減することができる。
【0107】
グロー・アーク転移時間は、オシロスコープによりランプ電圧波形の降下点を測定し、測定回数5回の平均値により求めるものとする。なお、ランプ電圧波形の降下点は、両方の電極がグロー・アーク転移するときの降下点でなければならない。したがって、一対の電極が同時にグロー・アーク転移するばかりでなく、時間的にずれがあるときには、後にグロー・アーク転移する電極についての降下点である。
【0108】
ところで、グロー・アーク転移時間が0.5秒未満であると、グロー・アーク転移電力が短時間で多く投入されることになって、電極の過大な加熱が行われ、このために電極の蒸発が過剰に行われ、このため黒化が促進されて光束維持率が低下しすぎるので、不可である。
【0109】
また、グロー・アーク転移時間が3.0秒を超えると、グロー・アーク転移時間が長くなることにより、かえって電極のスパッタリングが顕著になり、始動時の黒化の黒化を促進して、光束維持率が低下するので、不可である。
【0110】
そうして、グロー・アーク転移時間が0.5〜3.0秒の範囲内にあれば、点灯3000時間で80%以上の光束維持率を確保することが可能になる。なお、上記点灯時間は、高圧放電ランプを165分間点灯、15分間消灯の点滅サイクル試験を実施した時間である。
【0111】
さらに、グロー・アーク転移時間は、高圧放電ランプの仕様およびまたは点灯回路手段とのマッチングを適宜設定することによって、上記範囲内になるように構成することができる。
【0112】
請求項11の発明の照明装置は、照明装置本体と;照明装置本体に配設される請求項10記載の高圧放電ランプ点灯装置と;を具備していることを特徴としている。
【0113】
本発明において、照明装置は、高圧放電ランプの発光を何らかの目的で用いるあらゆる装置を含む広い概念である。たとえば、電球形高圧放電ランプ、照明器具、移動体用前照灯、光ファイバー用光源装置、画像投射装置、光化学装置、指紋判別装置などに適用することができる。
【0114】
「照明装置本体」とは、上記照明装置から高圧放電ランプを除いた残余の部分をいう。また、「電球形高圧放電ランプ」とは、高圧放電ランプと、その点灯回路手段とを一体化し、さらに受電用の口金を付設してなり、口金に適応するランプソケットに装着することにより、白熱電球を点灯するような感覚で使用することができるように構成した照明装置を意味する。さらに、高圧放電ランプ点灯装置の点灯回路手段は、照明装置本体に配置してもよいし、これとは離間した位置たとえば天井裏などに配置してもよい。
【0115】
次に、電球形高圧放電ランプを構成する場合、高圧放電ランプの発光を所望の配光特性が得られるように、集光するための反射鏡を備えることができる。また、高圧放電ランプの高い輝度を低減するために、反射鏡に代えて、またはこれに加えて適度の光拡散作用を有するグローブまたはカバーを備えることができる。さらに、口金は、所望の仕様のものを用いることができる。したがって、在来の光源ランプとの代替を図る目的の場合には、在来の光源ランプの口金と同じ口金を採用すればよい。
【0116】
ところで、照明装置が照明器具である場合においては、その照明装置本体に点灯回路手段およびランプソケットを備えていて、そのランプソケットに高圧放電ランプを装着するようにした構成にすることができる。しかし、点灯回路手段を備えてなくて、電球形高圧放電ランプを光源としてランプソケットに装着するようにした構成であってもよい。
【0117】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0118】
図2は、本発明の高圧放電ランプにおける第1の実施形態を示す一部断面正面図である。
【0119】
図2は、同じく拡大要部断面正面図である。
【0120】
図3は、同じく口金を装着する前のワイヤバルブ状態を示す一部断面正面図である。各図において、高圧放電ランプは、発光管IB、第1の接続導体CC1、第2の接続導体CC2、第1および第2の金属製コイルCO1、CO2、外管OB、一対の外部接続端子OCT1、OCT2、ゲッタGTおよび口金Bからなる。
【0121】
<発光管IBについて> 発光管IBは、透光性セラミックス放電容器1、第1および第2の電極2A、2B、導入導体3、シール4および滞留状態の放電媒体5を備えており、上下対称構造である。
【0122】
透光性セラミックス放電容器1は、包囲部1aおよび一対の径筒部1b、1bを備えている。包囲部1aは、両端が連続的な曲面によって絞られていて、ほぼ球状をなしている。小径筒部1bは、包囲部1aと連続した曲面によってつながり一体成形によって透光性セラミックス放電容器1を形成している。
【0123】
第1および第2の電極2A、2Bは、そのいずれもドープドタングステンからなり、棒状をなしている軸部2aおよびコイル部2bを備えている。軸部2aは、先端が包囲部1a内に突出して小径筒部1b内に挿通され、小径筒部1bと、第1および第2の電極2A、2Bとの間にわずかな隙間gが、それぞれ形成されている。コイル部2bは、軸部2aの先端に装着されている。
【0124】
導入導体3は、ニオブからなり、棒状をなしていて、先端が電極2A、2Bの基端部に突合せて放電溶接され、基端が透光性セラミックス放電容器1の外部に突出している。
【0125】
シール4は、図2に示すように、セラミックス封止用コンパウンドを溶融し、固化することにより、透光性セラミックス放電容器1の小径筒部1bと、導入導体3の先端部および各電極2A、2Bの軸部2aの基端部との間に介在して透光性セラミックス放電容器1を気密に封止するとともに、導入導体3が透光性セラミックス放電容器1の内部に露出しないように被覆している。また、この封止により、電極2A、2Bを所定の位置に固定している。
【0126】
シール4を形成するには、透光性セラミックス放電容器1を縦位置にセットしてセラミックス封止用コンパウンドを小径筒部1bの端面において、導入導体3の外部に突出している部分の周りに施与し、加熱溶融させて導入導体3と小径筒部1bの内面との間の隙間に進入させて、小径筒部1b内に挿入されている導入導体3の全体を被覆するとともに、さらに電極2の基端部をも被覆し、冷却により固化させる。
【0127】
放電媒体は、ネオンおよびアルゴンを含む始動ガスおよびバッファガス、発光金属としての金属ハロゲン化物、ならびにバッファ蒸気としての水銀からなり、透光性セラミックス放電容器1内に封入されている。また、金属ハロゲン化物および水銀は蒸発する分より過剰に封入されているので、図2に示すように、その一部5が安定点灯時にわずかな隙間g内に液相状態で滞留している。そして、放電媒体5の界面は、最冷部を形成している。
【0128】
<第1および第2の接続導体CC1、CC2について> 第1の接続導体CC1は、モリブデン線からなり、その先端が電極2A側の給電導体3に接続し、中間が透光性セラミックス放電容器1の軸方向に対してほぼ平行に、かつ離間して延在している。
【0129】
第2の接続導体CC2は、図3に示すように、モリブデンからなり、その先端が電極2B側の給電導体3に接続している。
【0130】
<第1および第2の金属製コイルCO1、CO2について> 第1の金属製コイルCO1は、第1の電極2Aが内部に挿通している方の小径筒部1bの外周に巻装されているとともに、給電導体3側のコイル終端が透光性セラミックス放電容器1の軸方向に離間して延在して、第2の電極2B側の給電導体3に接続している。
【0131】
第2の金属製コイルCO2は、第2の電極2Bが内部に挿通している方の小径筒部1bの外周に巻装されているとともに、給電導体3側の終端が第1の接続導体CC1に接続している。
【0132】
<外管OBについて> 外管OBは、硬質ガラス製のT形バルブからなり、基端にピンチシール部psが、先端に排気チップオフ部tが、それぞれ形成され、内部が排気されて10−4 Torr程度の低真空状態になっている。ピンチシール部psは、T形バルブの開口端を加熱して軟化状態のときにピンチして形成する。排気チップオフ部tは、外管OBを封止した後に外管OBの内部を排気して排気管(図示しない。)を封じ切った跡である。
【0133】
<一対の外部接続端子OCT1、OCT2について> 一対の外部接続端子OCT1、OCT2は、図3に示すように、第1および第2の接続導体CC1、CC2を延長してこれらと一体に形成され、受電手段である口金Bを装着する以前は外管OBから外方へそのまま突出している。
【0134】
<ゲッタGTについて> ゲッタGTは、ZrAl合金からなり、第1の接続導体CC1に溶接により支持されている。
【0135】
<口金Bについて> 口金bは、E11形ねじ口金からなり、一対の外部接続端子OCT1、OCT2を所要に接続して、外管OBのピンチシール部psに無機質接着剤(図示しない。)によって固着されている。
【実施例】
図1ないし図3に示す高圧放電ランプであって、以下の仕様である。
【0136】
<発光管>
透光性セラミックス放電容器:透光性アルミナセラミックス製で、全長23mm、包囲部1aの外径が6mm、内径5mm(肉厚0.5mm)、小径筒部1bが外径1.7mm、内径0.7mm(肉厚0.5mm)、長さL2が8mm
電極:軸部およびコイル部が直径0.2mmのタングステン
導入導体:ニオブ、直径0.64mm
わずかな隙間g:0.25mm
放電媒体:始動ガスおよびバッファガスとしてNe3%+Arが200Torr、他に適量の水銀および発光金属のハロゲン化物(発光金属のハロゲン化物は、点灯中にその全てが蒸発しないで、余剰分がわずかな隙間内に滞留する程度の量封入している。)
第1および第2の金属製コイル:直径0.3mmのモリブデン線を巻きピッチ200%で7ターン、包囲部に隣接する位置から小径筒部の外周に密接して巻装していて、全長L1は約5mm、(L1/L2)≒0.63
一対の外部接続端子間の静電容量:2.3pF
始動電圧:0.7kVp-p(なお、第1および第2の金属製コイルを備えていない他は、本実施例と同一仕様の比較例の場合、始動電圧は3.0kVp-pであった。)
グロー・アーク転移時間:第1の電極が1.4秒、第2の電極が1.6秒
図4は、本発明の高圧放電ランプにおける第2の実施形態を示す一部断面正面図である。図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。本実施形態は、第1の金属製コイルCO1が第2の電極2Bに接続されていない点で異なる。すなわち、第1の金属製コイルCO1は、導電的に浮いた状態になっている。
【0137】
そうして、始動電圧は、1.0kVp-pであった。また、第1の電極2Aのグロー・アーク転移時間は0.7秒、第2の電極2Bのグロー・アーク転移時間は1.5秒であった。さらに、外部接続端子OCT1、OCT2間の静電容量は、概ね1.8〜2.0pF程度になる。
【0138】
図5は、本発明の高圧放電ランプの第3の実施形態を示す一部断面正面図である。図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。本実施形態は、第2の金属製コイルCO2のみが巻装されている点で異なる。
【0139】
そうして、始動電圧は1.1kVp-pであった。また、第1の電極2Aのグロー・アーク転移時間は0.6秒、第2の電極のグロー・アーク転移時間は1.4秒であった。
【0140】
さらに、外部接続端子OCT1、OCT2間の静電容量は、概ね1.3〜1.8pF程度になる。
【0141】
図6は、本発明の高圧放電ランプにおける第4の実施形態を示す拡大要部断面正面図である。図において、図2と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。本実施形態は、電極2A、2Bの軸部2aの金属製コイルCO1、CO2に対向する部分においてすなわち、金属コイル体MC1、MC2は、直径0.2mmのタングステン線を軸部2aに8ターン巻装することによって形成している。したがって、金属コイル体CO1、CO2と小径筒部1bの内面との間に0.05mmの隙間が形成されているとともに、金属コイル体CO1、CO2のターン間にスパイラルな隙間も形成されている。
【0142】
図7は、本発明の高圧放電ランプ点灯装置における一実施形態の点灯回路手段を示す回路図である。図において、ASは低周波交流電源、fは過電流ヒューズ、NFはノイズフィルタ、RDは整流化直流電源、Q1は第1のスイッチング手段、Q2は第2のスイッチング手段、GDはゲートドライブ回路、STは始動回路、GPはゲート保護回路、LCは負荷回路であり、c、dは高圧放電ランプ11を接続する受金14bの挿入位置を示す。
【0143】
低周波交流電源ASは、100V商用電源である。
【0144】
過電流ヒューズfは、配線基板に一体に形成したパターンヒューズであり、過電流が流れた際に溶断して回路が焼損しないように保護する。
【0145】
ノイズフィルタNFは、インダクタL1およびコンデンサC1からなり、高周波インバータの動作に伴って発生する高周波を電源側に流出しないように除去する。
【0146】
整流化直流電源RDは、ブリッジ形整流回路BRおよび平滑コンデンサC2からなり、ブリッジ形整流回路BRの交流入力端がノイズフィルタNFおよび過電流ヒューズfを介して低周波交流電源ASに接続し、また直流出力端が平滑コンデンサC2の両端に接続していて、平滑化直流を供給する。
【0147】
第1のスイッチング手段Q1は、Nチャンネル形MOSFETからなり、そのドレインが平滑コンデンサC2のプラス側に接続している。
【0148】
第2のスイッチング手段Q2は、Pチャンネル形MOSFETからなり、そのソースが第1のスイッチング手段Q1のソースに接続し、ドレインが平滑コンデンサC2のマイナス側に接続している。したがって、第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2は、順方向に直列接続されて、その両端が整流化直流電源RDの出力端間に接続していることになる。
【0149】
ゲートドライブ回路GDは、帰還回路FBC、直列共振回路SOCおよびゲート電圧出力回路GOからなる。帰還手段FBCは、後述する限流インダクタL2に磁気結合している補助巻線からなる。直列共振回路SOCは、インダクタL3およびコンデンサC3の直列回路からなり、その両端は帰還手段FBCに接続している。ゲート電圧出力手段GOは、直列共振回路SOCのコンデンサC3の両端に現れる共振電圧がコンデンサC4を介して取り出されるように構成されている。そして、コンデンサC4の一端はコンデンサC3とインダクタL3との接続点に接続し、コンデンサC4の他端は第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2のそれぞれのゲートに接続している。さらに、コンデンサC3の他端が第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2のソースに接続している。その結果、コンデンサC3の両端に現れた共振電圧は、ゲート電圧出力回路GOを介して第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2のゲート・ソース間に印加される。
【0150】
始動回路STは、抵抗器R1、R2、R3からなる。抵抗器R1は、その一端が平滑コンデンサC2のプラス側に接続し、他端が第1のスイッチング手段Q1のゲートに接続しているとともに、抵抗器R2の一端およびゲートドライブ回路GDにおけるゲート電圧出力回路GOのゲート側の出力端すなわちコンデンサC4の他端に接続している。抵抗器R2の他端は、直列共振回路SOCのインダクタL3および帰還回路FBCの接続点に接続している。抵抗器R3は、その一端が第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2の接続点すなわちそれぞれのソースおよびゲート電圧出力回路GOのソース側に接続し、他端が平滑コンデンサC2のマイナス側に接続している。
【0151】
ゲート保護回路GPは、一対のツェナーダイオードを逆直列接続してなり、ゲート電圧出力回路GOおよび直列共振回路SOCのコンデンサC3の直列部分に並列接続している。
【0152】
負荷回路LCは、高圧放電ランプHPL、限流インダクタL2および直流カットコンデンサC5の直列回路と、高圧放電ランプHPLに並列接続した共振コンデンサC6とからなり、一端が高周波出力端cに、他端が高周波出力端dに、それぞれ接続している。高周波出力端c、dには、図示していないランプソケットが介挿され、これを介して高圧放電ランプHLPが点灯回路手段に接続される。
【0153】
高圧放電ランプHPLは、図1ないし図3に示す構成を備えている。
【0154】
限流インダクタL2と共振コンデンサC6とは、直列共振回路を形成する。なお、直流カットコンデンサC5は、容量が大きいので、直列共振に大きくは影響しない。
【0155】
第2のスイッチング手段Q2のドレイン・ソース間に接続されたコンデンサC7は、第2のスイッチング手段Q2のスイッチング中における負荷を軽減する。
【0156】
次に、回路動作について説明する。交流電源ASを投入すると、整流化直流電源RDにより平滑化された直流電圧が平滑コンデンサC2の両端に現れる。そして、直列接続された第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2の両ドレイン間に直流電圧が印加される。しかし、両スイッチング手段Q1、Q2は、ゲート電圧が印加されてないので、オフしている。
【0157】
上記直流電圧は、同時に始動回路STにも印加されるので、抵抗器R2の両端には主として抵抗器R1、R2、R3の抵抗値の案分比に応じた電圧が現れる。そして、抵抗器R2の端子電圧は、第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2のゲート・ソース間に正極性の電圧として印加される。
【0158】
その結果、第1のスイッチング手段Q1は、スレッシュホールド電圧を超えるように設定されているため、オンする。これに対して、第2のスイッチング手段Q2のゲート・ソース間に印加される電圧は、所要のゲート電圧とは逆極性であるため、オフ状態のままである。
【0159】
第1のスイッチング手段Q1がオンすると、整流化直流電源RDから第1のスイッチング手段Q1を介して負荷回路LCに電流が流れる。これにより限流インダクタL2および共振コンデンサC6の直列共振回路が共振して共振コンデンサC6の端子間に高い共振電圧が現れ、高圧放電ランプHPLに印加される。
【0160】
一方、限流インダクタL2に電流が流れたことにより、磁気結合している帰還回路FBCに電圧が誘起される。これにより直列共振回路SOCが直列共振して、コンデンサC3には昇圧された負電圧が発生するので、ゲート保護回路GPにより一定電圧にクリップされ、ゲート電圧出力回路GOを介して第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2のゲート・ソース間に印加される。これにより、第2のスイッチング手段Q2はスレッシュホールド電圧を超えるため、オンする。これに対して、今までオンしていた第1のスイッチング手段Q1は、ゲート電圧が逆極性になるので、オフする。
【0161】
第2のスイッチング手段Q2がオンすると、負荷回路LCの限流インダクタL2に蓄積されている電磁エネルギーおよびコンデンサC6の電荷が放出されて、限流インダクタL2から第2のスイッチング手段Q2を介して負荷回路LC内を逆方向に電流が流れ、コンデンサC6の両端には極性が反転した共振による高い電圧が現れ、高圧放電ランプHPLに印加される。以後、以上説明した動作を繰り返す。
【0162】
ところで、高圧放電ランプHPLが始動する以前は、発振周波数が限流インダクタL2およびコンデンサC6が形成する直列共振回路の共振周波数に相対的に接近した周波数でハーフブリッジ形高周波インバータが作動するため、その2次開放電圧は約500V(実効値)すなわち約1.0kVp-pで、高圧放電ランプHPLの始動電圧より高い値に設定されている。また、2次短絡電流は約550mAである。
【0163】
したがって、パルス電圧を発生するイグナイタを用いなくても、やがて高圧放電ランプHPLは、始動し、約1.4秒間でグロー・アーク転移が行われ、負荷特性曲線上の定格ランプ電流値の位置が動作点となって安定に点灯する。なお、高圧放電ランプは、上記グロー・アーク転移時間内に転移が行われることにより、始動時に黒化は殆ど生じない。なお、点灯時の動作周波数は47kHZである。
【0164】
図8は、本発明の照明装置における第1の実施形態としてのスポットライトを示す一部中央断面側面図である。図において、11はスポットライト本体、12は高圧放電ランプである。
【0165】
スポットライト本体11は、主として天井取付部11a、アーム11b、本体ケース11c、ランプソケット11d、反射鏡11e、遮光筒11fおよび前面ガラス11gを備えている。天井取付部11aは、天井に取り付けられてスポットライトを吊持するとともに、天井裏に配設される点灯回路手段(図示しない。)に接続して、ここから受電する。アーム11bは、基端が天井取付部11aに固定されている。本体ケース11cは、前面が開口した容器状をなし、アーム11bの先端に垂直面内において俯仰自在に枢着されている。なお、図中の2点鎖線は、本体ケース11cを基準にしたときのアーム11bの俯仰調節可能な範囲を説明している。ランプソケット11dは、E11形口金用に適合するもので、本体ケース11c内に配設されている。反射鏡11eは、ランプソケット11dの前方に位置して本体ケース11cに配設されている。遮光筒11fは、反射鏡11eの開口端の中央部に配設されている。前面ガラス11gは、本体ケース11cの開口端に配設されている。
【0166】
高圧放電ランプ12は、図1ないし図3に示すのと同一仕様であり、これらの図面と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。そして、高圧放電ランプ12は、その口金Bをランプソケット11dに装着することにより、スポットライト本体11に取り付けられている。また、高圧放電ランプ12が取り付けられている状態で遮光筒11fが外管OB先端からの光を遮光して、グレアを防止する。
【0167】
図9は、本発明の照明装置における第2の実施形態としての電球形高圧放電ランプを示す要部断面正面図である。図において、電球形高圧放電ランプは、高圧放電ランプ12、台座13、反射鏡14、点灯回路手段15、基体16および口金17を備えている。以下、構成要素別に説明する。
【0168】
〔高圧放電ランプ12について〕 高圧放電ランプ12は、口金部分を除いて図5に示すのと同一仕様であり、外部接続端子OCT1、OCT2が外管OBのピンチシール部psから図において上方へ突出している。なお、図5と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0169】
〔台座13について〕 台座13は、耐熱性合成樹脂を成形して形成され、中心部に装着孔13a、図において上部外周縁に取付部13b、また下部外周縁に中空の図において倒立コップ状のスカート部13cを備えている。装着孔13aは、高圧放電ランプ12および反射鏡14を装着するためのもので、そこに挿入された高圧放電ランプ12のピンチシール部psおよび後述する反射鏡14の縁部14aを同心にして無機質接着剤BCを介して固定している。取付部13bは、後述する基体16の開口端に固着される。スカート部13cは、反射鏡14の周囲を包囲して保護するとともに、外観を整えている。
【0170】
〔反射鏡14について〕 反射鏡14は、高圧放電ランプ12の周囲に配設されているとともに、高圧放電ランプ12の少なくとも発光部すなわち包囲部1aを包囲している。そして、反射鏡14は、台座13に固定されている。本実施形態においては、前記したように、高圧放電ランプ12と一緒に固定されている。また、反射鏡14は、ガラス成形により臥せ椀状に成形され、同時に頂部の円筒状の縁部14aを一体に形成しているとともに、内面にアルミニウム蒸着膜からなる反射面14bを形成している。なお、この縁部14aは、台座13の装着孔13aに挿入され、無機接着剤BCで台座13に固定されている。さらに、反射鏡14の開口部には、前面ガラス14cが配設されている。すなわち、前面ガラス14cは、透明ガラスを成形して製作され、低融点フリットガラス18で反射鏡14の開口部に気密に封着されている。さらにまた、反射鏡14および前面ガラス14bにより形成されている内部空間には、不活性ガスとして窒素が封入されている。
【0171】
〔点灯回路手段15について〕 点灯回路手段15は、配線基板15aの図において主として上側に実装され、また配線基板15aの下面から高圧放電ランプ12の外部接続端子OCT1、OCT2を受け入れて、配線基板15aと所要に接続している。また、点灯回路手段15は、図5と同一の回路構成である。
【0172】
〔基体16について〕 基体16は、図において倒立杯状をなしていて、その基部に後述する口金17が装着され、また開口縁に周段部16aが形成されている。また、基体16の内部には、点灯回路手段15が収納されている。さらに、開口縁の周段部16aに台座13の周段部13cを嵌合して、接着剤によって固着している。なお、基体16の適所または台座との嵌合部に空気抜きや放熱のための孔隙を必要に応じて形成する。
【0173】
〔口金17について〕
口金17は、E26形の口金からなり、基体16の基部に装着されている。
【0174】
【発明の効果】
請求項1ないし9の各発明によれば、透光性セラミックス放電容器、第1および第2の電極および放電媒体を備えた発光管と、透光性セラミックス放電容器の一対の小径筒部の外周に密接するように巻装され、かつ一端を反対側の電極と同電位になるように接続されている巻きピッチが100〜500%の第1および第2の金属製コイルと、これらを気密に収納する外管と、発光管の電極などに接続するとともに外管から外部へ気密に導出された一対の外部接続端子とを具備していることにより、始動電圧がより一層十分に低くなって点灯回路手段の小形化が可能であるとともに、グロー・アーク転移時間の延伸により始動時の黒化を抑制した高圧放電ランプを提供することができる。
【0175】
請求項2の発明によれば、加えて第1の金属製コイルが導電的に浮いていて、第2の金属製コイルが他方の電極と同電位になるように接続されていることにより、始動電圧が十分に低くなって点灯回路手段の小形化が可能であるとともに、グロー・アーク転移時間の延伸にもいくらか効果がある高圧放電ランプを提供することができる。
【0176】
請求項3の発明によれば、加えて金属製コイルが4ターン以上巻回されていることにより、始動電圧の低下に好適な高圧放電ランプを提供することができる。
【0177】
請求項4の発明によれば、加えて金属製コイルの一端が透光性セラミックス放電容器の包囲部との境界近傍に位置していることにより、金属製コイルの位置決めが容易であるとともに、定置しやすい高圧放電ランプを提供することができる。
【0178】
請求項5の発明によれば、加えて金属製コイルの巻きピッチが100%であることにより、巻回が容易であるとともに、始動電圧の低下に対しても効果的な高圧放電ランプを提供することができる。
【0179】
請求項6の発明によれば、加えて小径筒部の長さL2に対する金属製コイルの全長L1の比L1/L2が0.3〜1.0であることにより、金属製コイルが好適な長さを備えている高圧放電ランプを提供することができる。
【0180】
請求項7の発明によれば、加えて金属製コイルの包囲部とは反対側の端部が他方の電極側に接続していることにより、配光の乱れが少なくて、しかも金属製コイルの接続が容易な高圧放電ランプを提供することができる。
【0181】
請求項8の発明によれば、加えて一対の外部接続端子間の静電容量が1.2〜4.0pFであることにより、始動電圧が低下するとともに、グロー・アーク転移時間の延伸に効果的な高圧放電ランプを提供することができる。
【0182】
請求項9の発明によれば、加えて少なくとも一部が金属製コイルに対向している位置においてその軸部に巻装された金属コイル体を電極が具備していることにより、始動電圧が低下するとともに、グロー・アーク転移時間を制御可能な高圧放電ランプを提供することができる。
【0183】
請求項10の発明によれば、請求項1ないし9の効果を有する高圧放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0184】
請求項11の発明によれば、請求項1ない9の効果を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高圧放電ランプにおける第1の実施形態を示す一部断面正面図
【図2】 同じく拡大要部断面正面図
【図3】 同じく口金を装着する前のワイヤバルブ状態を示す一部断面正面図
【図4】 本発明の高圧放電ランプにおける第2の実施形態を示す一部断面正面図
【図5】 本発明の高圧放電ランプにおける第3の実施形態を示す一部断面正面図
【図6】 本発明の高圧放電ランプにおける第4の実施形態を示す拡大要部断面正面図
【図7】 本発明の高圧放電ランプ装置における一実施形態の点灯回路手段を示す回路図
【図8】 本発明の照明装置における第1の実施形態としてのスポットライトを示す一部中央断面側面図
【図9】 本発明の照明装置における第2の実施形態としての電球形高圧放電ランプを示す要部断面正面図
【符号の説明】
IB…発光管
1…透光性セラミックス放電容器
1a…包囲部
1b…小径筒部
3…給電導体
4…シール
CO2…第1の金属製コイル
CO1…第2の金属製コイル
OB…外管
ps…ピンチシール部
t…排気チップオフ部
CC1…第1の接続導体
GT…ゲッタ
B…口金
Claims (11)
- 放電空間を包囲する包囲部、包囲部の両端に連通して配置され包囲部より内径が小さい一対の小径筒部を有する透光性セラミックス放電容器、透光性セラミックス放電容器の小径筒部の内面との間にわずかな隙間を形成しながら小径筒部内に挿通されている細長い第1および第2の電極、ならびに透光性セラミックス放電容器内に封入された放電媒体を備えた発光管と;
第1の電極が挿通している一方の小径筒部の外周に密接するように巻装された金属線からなり、この金属線の直径に対する隣接する一対のターンの中心間の距離の比率を巻きピッチとしたときに、巻きピッチが100〜500%であって、この金属線の一端が第2の電極と同電位になるように接続されている第1の金属製コイルと;
第2の電極が挿通している他方の小径筒部の外周に密接するように巻装された金属線からなり、巻きピッチが100〜500%であって、この金属線の一端が第1の電極と同電位になるように接続されている第2の金属製コイルと;
発光管、ならびに第1および第2の金属製コイルを気密に収納した外管と;
第1および第2の電極に接続するとともに外管から外部へ気密に導出された一対の外部接続端子と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ。 - 放電空間を包囲する包囲部、包囲部の両端に連通して配置され包囲部より内径が小さい一対の小径筒部を有する透光性セラミックス放電容器、透光性セラミックス放電容器の小径筒部の内面との間にわずかな隙間を形成しながら小径筒部内に挿通されている細長い一対の電極、ならびに透光性セラミックス放電容器内に封入された放電媒体を備えた発光管と;
一方の電極が挿通している一方の小径筒部の外周に密接するように巻装された金属線からなり、この金属線の直径に対する隣接する一対のターンの中心間の距離の比率を巻きピッチとしたときに、巻きピッチが100〜500%であって、この金属線の一端が他方の電極と同電位になるように接続されている第1の金属製コイルと;
他方の電極が挿通している他方の小径筒部の外周に密接するように巻装された第2の金属製コイルと;
発光管、ならびに第1および第2の金属製コイルを気密に収納した外管と;
一対の電極に接続するとともに外管から外部へ気密に導出された一対の外部接続端子と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ。 - 金属製コイルは、4ターン以上巻回されていることを特徴とする請求項1または2記載の高圧放電ランプ。
- 金属製コイルは、一端が透光性セラミックス放電容器の包囲部との境界近傍に位置していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の高圧放電ランプ。
- 金属製コイルは、巻きピッチが100%であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の高圧放電ランプ。
- 金属製コイルは、その長さをL1とし、透光性セラミックス放電容器の小径筒部の長さをL2としたときに、L1/L2が0.3〜1.0であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の高圧放電ランプ。
- 金属製コイルは、透光性セラミックス放電容器の包囲部とは反対側に位置する端部が反対側の電極と同電位になるように接続されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載の高圧放電ランプ。
- 一対の外部接続端子間の静電容量が1.2〜4pFであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一記載の高圧放電ランプ。
- 電極は、少なくとも一部が金属製コイルに対向している位置においてその軸部に巻装された金属コイル体を具備していることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一記載の高圧放電ランプ。
- 請求項1ないし9のいずれか一記載の高圧放電ランプと;
インバータを主体として構成されて高圧放電ランプを高周波点灯する点灯回路手段と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。 - 照明装置本体と;
照明装置本体に配設される請求項10記載の高圧放電ランプ点灯装置と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
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