JP4084554B2 - アレルゲン低減化繊維 - Google Patents
アレルゲン低減化繊維 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4084554B2 JP4084554B2 JP2001303258A JP2001303258A JP4084554B2 JP 4084554 B2 JP4084554 B2 JP 4084554B2 JP 2001303258 A JP2001303258 A JP 2001303258A JP 2001303258 A JP2001303258 A JP 2001303258A JP 4084554 B2 JP4084554 B2 JP 4084554B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- allergen
- fiber
- reducing component
- reducing
- compound
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
- XLAIWHIOIFKLEO-UPHRSURJSA-N Oc1ccc(/C=C\c(cc2)ccc2O)cc1 Chemical compound Oc1ccc(/C=C\c(cc2)ccc2O)cc1 XLAIWHIOIFKLEO-UPHRSURJSA-N 0.000 description 1
Landscapes
- Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダニや花粉等のアレルゲンを低減化する機能を有するアレルゲン低減化繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎など多くのアレルギー疾患が問題となってきている。その主な原因は、住居内性ダニ類、特に室内塵中に多いチリダニのアレルゲン(Der1、Der2)や、おもに春季に猛威を振るうスギ花粉アレルゲン(Crij1,Crij2)等の多くのアレルゲンが生活空間内に増えてきているためである。
特にチリダニのアレルゲンはその原因となるチリダニを駆除しても、その死虫が更にアレルゲン性の高い物質を生活空間に供給することになり、アレルゲンが原因となるアレルギー疾患の根本的な解決には至らない。また、スギ花粉アレルゲンであるCrij1は分子量約40kDaの糖タンパク質、Crij2は分子量約37kDaの糖タンパク質であり、鼻粘膜等に付着すると生体外異物として認識され炎症反応を引き起こす。
よって、アレルギー疾患の症状軽減あるいは新たな感作を防ぐためには、生活空間から完全にアレルゲンを取り除くか、アレルゲンを変性させるなどして不活性化させることが必要となる。
【0003】
上記のようなアレルゲンは蛋白質であるため熱や強酸/強アルカリ等で変成しアレルゲン性を失うと考えられるが、非常に安定性が高く、家庭で安全に使用できる程度の酸化剤や還元剤、熱、アルカリや酸では容易に分解されない(TheJournal of Immunology Vol.144:1353−1360)。このような方法で無理にアレルゲンを変成させようとすると、アレルゲンの汚染場所等が条件によっては破損してしまう等の問題点があった。
ここで、生活空間におけるアレルゲンの存在が問題となるアレルゲンの汚染場所や生活用品としては、例えば、畳、絨毯、床(フローリング)、家具(ソファー、布ばり椅子、テーブル)、寝具(ベッド、布団、シーツ)、車内用品(シート、チャイルドシート)、キッチン用品、赤ちゃん用品、カーテン、壁紙、タオル、衣類、ぬいぐるみ、繊維製品、空気清浄機・空気洗浄機(本体及びフィルター)等が挙げられる。
【0004】
上記問題のため、アレルゲンの分子表面を比較的温和な条件で化学的に変成する方法が考えられてきた。例えば、生皮などのなめし(タンニング)などに用いられているタンニン酸を用いて(特公平2−16731号公報)、茶抽出物などを用いて(特開平6−279273号公報)、ヒドロキシ安息香酸系化合物、またはその塩を用いて(特開平11−292714号公報)それぞれアレルゲンを低減化する方法等が開示されている。
しかしながら、従来のアレルゲン低減化剤は、アレルゲンにより汚染された場所に、低減化成分をスプレー等で噴霧するなどの処理をしなければならず、手間が掛かるだけでなく均一な処理を施すのは難しかった。さらに、処理をするまではアレルゲンに汚染された場所は常に人体に悪影響を及ぼす等の問題点もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、改めてアレルゲン低減化処理を施すことなく繊維に付着したアレルゲンを自動的に低減化し、さらに簡便な操作によりアレルゲン低減化機能が回復することができるアレルゲン低減化繊維を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1〜5記載の本発明は、アレルゲン低減化成分を有する重合性単量体が共重合されてなる繊維原料を紡糸されてなるアレルゲン低減化繊維を提供する。
また、請求項6〜10記載の本発明は、アレルゲン低減化成分と繊維原料とを紡糸されてなるアレルゲン低減化繊維を提供する。
また、請求項1〜5、6〜10記載の本発明は、アレルゲン低減化成分が、芳香族ヒドロキシ化合物であることを特徴とするアレルゲン低減化繊維を提供する。
また、請求項1、6記載の本発明は、芳香族ヒドロキシ化合物が、線状高分子の側鎖に上記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つを有する化合物であることを特徴とするアレルゲン低減化繊維を提供する。
また、請求項2、7記載の本発明は、芳香族ヒドロキシ化合物が、上記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つを含む単量体及び/又は一価のフェノール基を有する単量体を重合又は共重合してなるアレルゲン低減化繊維を提供する。
また、請求項3〜5、8〜10記載の本発明は、芳香族ヒドロキシ化合物が、芳香族複素環式ヒドロキシ化合物であることを特徴とするアレルゲン低減化繊維。
また、請求項11記載の本発明は、アレルゲンがチリダニ由来であることを特徴とする請求項1〜10項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊維。
また、請求項12記載の本発明は、液体で洗浄することにより、アレルゲン低減化機能が回復することを特徴とする請求項1〜11項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊維。
また、請求項13記載の本発明は、加熱により、アレルゲン低減化機能が回復することを特徴とする請求項1〜11項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊維。
また、請求項14記載の本発明は、掃除機で吸引することにより、アレルゲン低減化機能が回復することを特徴とする請求項1〜11項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊維。
【0007】
本発明で用いられるアレルゲン低減化成分(以下、単に低減化成分と記す場合がある。)は、アレルゲンを変性させるなどして不活性化し、抗原抗体反応を抑制できる成分である。
【0008】
上記アレルゲン低減化成分としては、芳香族ヒドロキシ化合物であることが好ましい。
【0009】
上記芳香族ヒドロキシ化合物としては、特に限定されず、中でも、繊維等への着色の心配が少ないという点から、線状高分子の側鎖に下記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つを有する化合物であることが好ましい。
【0010】
【化2】
(Rは水素又は水酸基で、少なくとも1つは水酸基を示し、nは0〜5を示す)
【0011】
上記一般式(1)〜(6)で示される官能基を線状高分子の側鎖に有する化合物において、nの数は0〜5である。5を越えると、線状高分子を使用する効果がなくなることがある。また、Rの少なくとも1つは水酸基であり、水酸基がないと、アレルゲン低減化効果を十分発揮できないことがある。水酸基が多すぎると着色性が強くなることがあるため、水酸基は一つが好ましい。また、水酸基の位置は、立体障害が最も少ない箇所に結合していることが好ましく、例えば一般式(1)ではパラ位にあるのが好ましい。
【0012】
上記線状高分子とは、例えば、合成高分子ではビニル重合体、ポリエステル、ポリアミドなどのことをいう。
また、上記一般式(1)〜(6)で示される官能基と線状高分子との化学結合については、特に限定されず、炭素−炭素結合、エステル結合、エーテル結合、アミド結合等が挙げられる。
上記一般式(1)〜(6)で示される官能基を線状高分子の側鎖に有する化合物としては、安全性や入手しやすさから、例えば、ポリ3,4,5−ヒドロキシ安息香酸ビニル、ポリビニルフェノール、ポリチロシン、ポリ(1−ビニル−5−ヒドロキシナフタレン)、ポリ(1−ビニル−6−ヒドロキシナフタレン)、ポリ(1−ビニル−5−ヒドロキシアントラセン)が好ましい。
【0013】
また、上記芳香族ヒドロキシ化合物としては、上記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つを含む単量体及び/又は一価のフェノール基を有する単量体を重合又は共重合してなるものが好ましい。
【0014】
上記1価のフェノール基を一個以上有する単量体としては、ベンゼン環に一個の水酸基を有する単量体が一個以上結合している化合物であれば特に限定されず、例えば、ビニルフェノール、チロシン、下記一般式7に示される1,2−ジ(4-ヒドロキシフェニル)エテン等が挙げられる。有効成分が、1価のフェノール基を有すると多価フェノールに比べて変色しにくいといった効果がある。
【化3】
【0015】
上記1価のフェノール基を一個以上有する単量体に共重合される他の単量体としては、エチレン、アクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、スチレン等が挙げられる。
【0016】
また、上記芳香族ヒドロキシ化合物としては、芳香族複素環式ヒドロキシ化合物であることが好ましい。
【0017】
上記芳香族複素環式ヒドロキシ化合物は、特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシフラン、2−ヒドロキシチオフェン、ヒドロキシベンゾフラン、3−ヒドロキシピリジン等が挙げられる。また、線状高分子の側鎖に芳香族複素環式ヒドロキシ基を含有する化合物、芳香族複素環式ヒドロキシ基を有する単量体を重合又は共重合してなる化合物等であってもよい。
【0018】
上記芳香族複素環式ヒドロキシ基としては、例えば、下記一般式8、9に示されるチオフェンやフラン等の複素環骨格にヒドロキシ基が結合したものや、下記一般式10に示される複素環と芳香族環とを持つ骨格にヒドロキシ基が結合したもの、複素環骨格にヒドロキシ基とアルキル基(炭素数5以下)とを有するもの、複素環と芳香族とを持つ骨格にヒドロキシ基とアルキル基(炭素数5以下)とを有するもの等が挙げられる。
【化4】
【0026】
なお、本発明のアレルゲン低減化繊維には、上記化合物が少なくとも1つが有効成分として含まれていればよく、2つ以上を組み合わせることも可能である。
【0027】
アレルゲン低減化成分が、本発明のアレルゲン低減化繊維に含有される量としては、繊維に対して0.1〜300重量%で含有されることが好ましい。さらに好ましくは、0.2〜100重量%、特に好ましくは0.5〜50重量%である。
0.1重量%未満であれば、アレルゲン低減化効果が得られない場合があり、300重量%を超えると、表面層が固く脆くなって、物性上の低下を招いたり、繊維からの脱落等が容易となり、予想される効果が期待できなかったり、脱落物による周辺の汚損が見られ清掃の必要性が出てくる場合がある。
【0028】
請求項1〜5記載の繊維原料とは、アレルゲン低減化成分を有する重合性単量体と一般の繊維原料となる重合性単量体が共重合されたものである。
前記アレルゲン低減化成分を有する重合性単量体とは、上記アレルゲン低減化成分に重合性を付加した単量体であれば特に限定されない。
【0029】
上記請求項6〜10で用いる繊維原料とは、請求項1〜5にて得られたアレルゲン低減化成分を有する繊維原料、及び/又は一般の繊維原料が用いられる。
上記一般の繊維原料とは、通常繊維として加工・使用されているものであれば、特に限定されず、例えば、ポリアミド系繊維(ナイロン等)、アクリル系繊維、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリウレタン等の合成繊維原料、アセテート等の半合成繊維原料、キュプラ、レーヨン等の再生繊維原料、天然繊維等が使用できる。
【0030】
尚、さらに、上記アレルゲン低減化成分を含有する繊維原料と一般の繊維原料を混紡または交撚し紡糸することによって得る方法を用いてもよい。
【0031】
上記アレルゲン低減化成分と繊維原料となる重合性単量体とを共重合する方法としては、いかなる方法を用いてもよく、例えば、ビニル重合、環化重合、開環重合等の付加反応、転移重合、異性化重合等の水素移動重合、酸化重合、脱窒素重合、脱炭酸重合、重縮合、付加縮合等の縮合反応等が挙げられる。
【0032】
上記共重合反応に用いられるアレルゲン低減化成分は、上記した如くアレルゲン低減化成分に重合性を付加した単量体であれば特に限定されず、使用することができる。中でも、線状高分子の側鎖に上記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つを有する化合物、上記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つを含む単量体及び/又は一価のフェノール基を有する単量体を重合又は共重合してなる化合物を形成しうるモノマーあるいはオリゴマーが好ましく用いられる。
【0033】
また、上記一般式(1)〜(6)で示される官能基と線状高分子の化学結合については、特に限定されず、例えば、炭素−炭素結合、エステル結合、エーテル結合、アミド結合など種々の形態をとることができる。
【0034】
アレルゲン低減化成分と繊維原料(一般の繊維原料、低減化成分含有繊維原料)とを紡糸する方法としては、特に限定されず、以下の方法が挙げられる。
1)溶融紡糸法:例えば、溶融する繊維原料においては、繊維原料の加熱溶融後、分解点がその繊維原料の加熱溶融点以上のアレルゲン低減化成分を練り込み、溶融混合液とし、これを所望の細孔をもつ紡糸口金を通じて、不活性冷却媒体(例えば空気、窒素、水など)中に押し出し、冷却固化させて繊維とする方法。2)湿式紡糸法:例えば、繊維原料を溶剤に溶解して溶液とし、アレルゲン低減化成分を分散混合あるいは溶解し(紡糸原液)、これを紡糸口金を通じ高分子を再生凝固させる液体中に押し出して、紡糸原液中に溶けている高分子を繊維状に固化させる方法。
3)乾式紡糸法:例えば、繊維原料を揮発性の溶剤に溶解して、アレルゲン低減化成分を分散混合あるいは溶解して紡糸原液とし、これを口金を通じて加熱気体中に押し出し紡糸原液中の溶剤を蒸発させて、繊維状に固化させる方法。
上記3つの方法は、工業的に広く使われており、目的とするアレルゲン低減化繊維により使い分けることができる。
【0035】
さらに、上記以外の方法として、4)エマルジョン紡糸法:繊維原料のエマルジョン(サスペンジョン、スラリ)を作り、アレルゲン低減化成分を分散混合あるいは溶解して紡糸原液とし、これを湿式紡糸法あるいは乾式紡糸法に準じて紡糸する方法、5)コンジュゲート紡糸法:別々に溶融した2成分以上の繊維原料溶融体中にアレルゲン低減化成分を分散混合あるいは溶解し、または、アレルゲン低減化成分自体を溶融体とし、それら溶融体を紡糸口金の直前で複合して同時に紡出する方法、6)紡糸口金を用いずに高分子物質を繊維状にする方法:例えば、アレルゲン低減化成分を含んだ薄膜を延伸した後、縦に細く切り、更に延伸、熱固定する方法、棒状のアレルゲン低減化成分を含んだ高分子物質を高度に延伸する方法、界面重合による方法等を用いてもよい。
【0036】
本発明におけるアレルゲン低減化繊維は、種々の方法によりアレルゲン低減化機能を回復させることができる。アレルゲン低減化機能の回復とは、繊維中に含有されたアレルゲン低減化成分が、度重なるアレルゲンとの接触によりその低減化機能を失った場合、再びアレルゲン低減化機能を発揮できるようにすることをいう。
アレルゲンの不活性化は、使用する低減化成分の種類により、アレルゲンと低減化成分との反応により低減化成分が消費される場合と、低減化成分が触媒的に作用しアレルゲンを不活性化する場合があると考えられる。このため、低減化成分の機能回復(低減化成分を繊維表面に出す)させるためには、繊維内部に存在する低減化成分を表面にブリードアウトさせる、或いは、低減化繊維の表面に堆積した不活性化アレルゲンを除去する方法等が挙げられる。
【0037】
本発明における上記回復方法としては、例えば、繊維を液体で洗浄する方法、繊維を加熱する方法、繊維を掃除機で吸引する方法等が挙げられる。
上記繊維の洗浄に使用されうる液体としては、繊維自体に損傷を与えるものでなければ、特に限定されず、例えば水、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等)、炭化水素類(トルエン、キシレン、メチルナフタレン、ケロセン、シクロヘキサン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド等)等が挙げられる。中でも簡便に、また過程でも手軽に処理できると言う点から、水、アルコールが好ましく用いられる。
【0038】
上記繊維を加熱する温度は、繊維自体に損傷を与えるものでなければ、特に限定されず、また、上記加熱方法としては、いかなる方法も使用でき、例えば、繊維自体を加熱する方法、上記溶剤を加熱し洗浄する方法、太陽光で加熱する方法等が挙げられる。
【0039】
さらに、本発明では、低減化成分がアレルゲンに対して円滑に作用し低減化効果を高めるために、繊維に親水性成分を含有していることが好ましい。
上記方法としては、低減化成分として線状高分子の側鎖に上記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つを有する化合物、上記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つを含む単量体及び/又は一価のフェノール基を有する単量体を重合又は共重合してなる化合物を形成しうるモノマーあるいはオリゴマー等の重合性成分を用いる場合には、例えば、重合する際に親水性モノマーを共重合する方法等を用いる方法が挙げられる。このような親水性モノマーは、特に限定されず、例えば、酢酸ビニル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)等が挙げられる。
また、アレルゲン低減化成分と繊維原料とを紡糸する場合には、紡糸する際に親水性物質を添加して使用する方法が挙げられる。このような親水性物質としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
また、繊維に吸湿性・吸水性の高い繊維を使用する方法等も挙げられる。
【0040】
本発明のアレルゲン低減化繊維には、アレルゲン低減化効果の有効性を阻害しない範囲において、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の製剤用補助剤が配合されていてもよく、また、殺ダニ剤、殺菌剤、防黴剤、消臭剤等が含有されていてもよい。
【0041】
本発明のアレルゲン低減化繊維が対象とするアレルゲンとしては、動物性アレルゲン、花粉等の植物性アレルゲンが挙げられる。本発明のアレルゲン低減化成分は、これらのアレルゲンの特異抗体との反応を抑えることにより、本剤を使用した場所のアレルゲンを低減化する。特に効果のある動物性アレルゲンとしては、ダニ類のアレルゲン(ダニ類、節足動物一蛛形綱−ダニ目の生物で、主に7つの亜目に分かれている。アシナガダニに代表される背気門、カタダニに代表される四気門、ヤマトマダニ、ツバメヒメダニに代表される後気門、イエダニ、スズメサシダニ代表される中気門、クワガタツメダニ、ナミホコリダニに代表される前気門、ケナガコナダニ、コナヒョウヒダニに代表される無気門、イエササラダニ、カザリヒワダニに代表される隠気門等)のいずれの種類でも対象となり得るが、室内塵中、特に寝具類に多く、アレルギー疾患の原因となるチリダニ科、ヒョウヒダニ類に特に効果がある。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート(以下PET)(極限粘度〔η〕=0.65)100重量部と、ポリパラビニルフェノール「マルカリンカーM」(丸善石油化学社製)(重量平均分子量Mw=5500)100重量部とを加圧ニーダーを用い260℃で20分の条件で混練した。混練後、スクリュー型1軸押出器で押出し、ペレット状に成型した。該ペレットを溶融紡糸法にて紡糸し(紡糸でのパックのフィルターは270メッシュ)、延伸し、水洗し、乾燥してアレルゲン低減化繊維を得た。
【0044】
(比較例1)
ポリエチレンテレフタレート(以下PET)(極限粘度〔η〕=0.65)をスクリュー型1軸押出器で押出し、ペレット状に成型した。該ペレットを実施例1と同様に紡糸し(紡糸でのパックのフィルターは270メッシュ)、延伸し、水洗し、乾燥してアレルゲン低減化繊維を得た。
【0045】
[アレルゲン低減化評価]
実施例1、比較例1にて得られた繊維各10gを使用し以下の評価を行った。評価試料に、エチルアルコール50重量部、精製水50重量部に、塵ゴミ(アレルゲン2mg/g)5重量部を分散させた調製アレルゲンを1ml振り撒いて評価試料を調整した。
[評価方法(1)]
室温で8時間放置後、上記評価試料をアレルゲン判定キット「ダニスキャン」(アサヒビール薬品社製)を用いてアレルゲン性を測定した。判定は「ダニスキャン」の使用説明書に従った。結果を表1に示す。
ダニスキャンの判定基準は以下の通り、
1・・・ダニアレルゲンの汚染はない(テストラインT=0)
2・・・ややダニアレルゲンで汚染されている(T<Cコントロールライン)
3・・・ダニアレルゲンで汚染されている(T=C)
4・・・非常に汚染されている(T>C)
【0046】
[評価方法(2)]
室温で2時間後、上記評価試料を「マイティーチェッカー」(シントーファイン社製)のキットに従って、アレルゲン成分を抽出し、アレルゲン量を測定した。
結果を表1に示す。
マイティーチェッカーの判定基準は以下のとおり、
++・・・ダニアレルゲンレベル>35μg/m2
+ ・・・ダニアレルゲンレベル 10μg/m2
± ・・・ダニアレルゲンレベル 5μg/m2
− ・・・ダニアレルゲンレべル <1μg/m2
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】
本発明のアレルゲン低減化繊維は、アレルゲン低減化成分と繊維原料となる重合性単量体とが共重合されてなる、或いはアレルゲン低減化成分と繊維原料とを紡糸されてなるため、この繊維を用いた糸、織布、不織布、更にこれを用いて製造された製品は、全てに良好なアレルゲン低減化効果を示す。このように繊維自体にアレルゲン低減化処理が施されているため、従来のようにアレルゲンにより汚染された繊維に低減化成分を後処理する等の手間をかけることもない。
さらに、アレルゲン低減化機能が低下した場合であっても、簡便な操作により低減化機能が回復することから、半永久的にアレルゲン低減化機能を発揮することができる。
Claims (14)
- アレルゲン低減化成分を有する重合性単量体が共重合されてなる繊維原料を紡糸してなるアレルゲン低減化繊維であって、アレルゲン低減化成分が、芳香族ヒドロキシ化合物であり、かつ、芳香族ヒドロキシ化合物が、上記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つを含む単量体及び/又は一価のフェノール基を有する単量体を重合又は共重合してなることを特徴とするアレルゲン低減化繊維。
- アレルゲン低減化成分を有する重合性単量体が共重合されてなる繊維原料を紡糸してなるアレルゲン低減化繊維であって、アレルゲン低減化成分が、芳香族ヒドロキシ化合物であり、かつ、芳香族ヒドロキシ化合物が、2−ヒドロキシフラン、2−ヒドロキシチオフェン、ヒドロキシベンゾフラン及び3−ヒドロキシピリジンから選ばれる芳香族複素環式ヒドロキシ化合物であることを特徴とするアレルゲン低減化繊維。
- アレルゲン低減化成分を有する重合性単量体が共重合されてなる繊維原料を紡糸してなるアレルゲン低減化繊維であって、アレルゲン低減化成分が、芳香族ヒドロキシ化合物であり、かつ、芳香族ヒドロキシ化合物が、線状高分子の側鎖に芳香族複素環式ヒドロキシ基を含有する芳香族複素環式ヒドロキシ化合物であることを特徴とするアレルゲン低減化繊維。
- アレルゲン低減化成分を有する重合性単量体が共重合されてなる繊維原料を紡糸してなるアレルゲン低減化繊維であって、アレルゲン低減化成分が、芳香族ヒドロキシ化合物であり、かつ、芳香族ヒドロキシ化合物が、芳香族複素環式ヒドロキシ基を有する単量体を重合又は共重合してなる芳香族複素環式ヒドロキシ化合物であることを特徴とするアレルゲン低減化繊維。
- アレルゲン低減化成分と繊維原料とを紡糸してなるアレルゲン低減化繊維であって、アレルゲン低減化成分が、芳香族ヒドロキシ化合物であり、かつ、芳香族ヒドロキシ化合物が、線状高分子の側鎖に上記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つを有する化合物であることを特徴とするアレルゲン低減化繊維。
- アレルゲン低減化成分と繊維原料とを紡糸してなるアレルゲン低減化繊維であって、アレルゲン低減化成分が、芳香族ヒドロキシ化合物であり、かつ、芳香族ヒドロキシ化合物が、上記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つを含む単量体及び/又は一価のフェノール基を有する単量体を重合又は共重合してなることを特徴とするアレルゲン低減化繊維。
- アレルゲン低減化成分と繊維原料とを紡糸してなるアレルゲン低減化繊維であって、アレルゲン低減化成分が、芳香族ヒドロキシ化合物であり、かつ、芳香族ヒドロキシ化合物が、2−ヒドロキシフラン、2−ヒドロキシチオフェン、ヒドロキシベンゾフラン及び3−ヒドロキシピリジンから選ばれる芳香族複素環式ヒドロキシ化合物であることを特徴とするアレルゲン低減化繊維。
- アレルゲン低減化成分と繊維原料とを紡糸してなるアレルゲン低減化繊維であって、アレルゲン低減化成分が、芳香族ヒドロキシ化合物であり、かつ、芳香族ヒドロキシ化合物が、線状高分子の側鎖に芳香族複素環式ヒドロキシ基を含有する芳香族複素環式ヒドロキシ化合物であることを特徴とするアレルゲン低減化繊維。
- アレルゲン低減化成分と繊維原料とを紡糸してなるアレルゲン低減化繊維であって、アレルゲン低減化成分が、芳香族ヒドロキシ化合物であり、かつ、芳香族ヒドロキシ化合物が、芳香族複素環式ヒドロキシ基を有する単量体を重合又は共重合してなる芳香族複素環式ヒドロキシ化合物であることを特徴とするアレルゲン低減化繊維。
- アレルゲンがチリダニ由来であることを特徴とする請求項1〜10項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊維。
- 液体で洗浄することにより、アレルゲン低減化機能が回復することを特徴とする請求項1〜11項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊維。
- 加熱により、アレルゲン低減化機能が回復することを特徴とする請求項1〜11項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊維。
- 掃除機で吸引することにより、アレルゲン低減化機能が回復することを特徴とする請求項1〜11項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊維。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001303258A JP4084554B2 (ja) | 2000-12-22 | 2001-09-28 | アレルゲン低減化繊維 |
Applications Claiming Priority (9)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000-390500 | 2000-12-22 | ||
JP2000390500 | 2000-12-22 | ||
JP2001-37257 | 2001-02-14 | ||
JP2001037257 | 2001-02-14 | ||
JP2001-128114 | 2001-04-25 | ||
JP2001128114 | 2001-04-25 | ||
JP2001215364 | 2001-07-16 | ||
JP2001-215364 | 2001-07-16 | ||
JP2001303258A JP4084554B2 (ja) | 2000-12-22 | 2001-09-28 | アレルゲン低減化繊維 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003096615A JP2003096615A (ja) | 2003-04-03 |
JP4084554B2 true JP4084554B2 (ja) | 2008-04-30 |
Family
ID=27531753
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001303258A Expired - Fee Related JP4084554B2 (ja) | 2000-12-22 | 2001-09-28 | アレルゲン低減化繊維 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4084554B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ES2581881T3 (es) * | 2003-06-06 | 2016-09-08 | Protair-X Health Solutions Inc. | Filtro de aire microbicida |
JP4590832B2 (ja) * | 2003-06-20 | 2010-12-01 | パナソニック株式会社 | 処理液と機能性フィルターおよびその製造方法と装置 |
JP4608201B2 (ja) * | 2003-11-20 | 2011-01-12 | 積水化学工業株式会社 | アレルゲン抑制剤 |
CN101525782B (zh) * | 2008-03-04 | 2012-08-08 | 东丽纤维研究所(中国)有限公司 | 一种聚对苯二甲酸乙二醇酯短纤维及生产方法 |
CN115613154B (zh) * | 2022-11-15 | 2024-06-07 | 浙江恒百华化纤有限公司 | 一种三维超亮光dty纤维及其生产工艺 |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB8610867D0 (en) * | 1986-05-02 | 1986-06-11 | Smith Kline French Lab | 3-hydroxypyridines |
JPH0751209B2 (ja) * | 1991-06-06 | 1995-06-05 | ベステクス株式会社 | フィルタ材の製造方法 |
JPH06158494A (ja) * | 1992-09-24 | 1994-06-07 | Kuraray Co Ltd | 花粉捕捉用繊維構造物 |
JPH06279273A (ja) * | 1993-03-30 | 1994-10-04 | Earth Chem Corp Ltd | 環境からアレルゲンを除去する方法および抗ア レルゲン組成物 |
JPH09209000A (ja) * | 1996-01-30 | 1997-08-12 | Lion Corp | 分包型洗剤の製造方法 |
JPH11292714A (ja) * | 1998-04-10 | 1999-10-26 | Sumitomo Chem Co Ltd | アレルゲン除去剤 |
JP2000109425A (ja) * | 1998-10-02 | 2000-04-18 | Lion Corp | 花粉破裂防止剤、花粉破裂防止方法及び粘膜用洗浄剤 |
JP2000119107A (ja) * | 1998-10-16 | 2000-04-25 | Sekisui Chem Co Ltd | 殺ダニ剤 |
JP4339436B2 (ja) * | 1999-03-25 | 2009-10-07 | 積水化学工業株式会社 | 殺ダニ剤及び殺ダニスプレー |
JP2001008963A (ja) * | 1999-06-25 | 2001-01-16 | Hiroshi Naoe | 鼻アレルギー用治療器 |
JP2001247467A (ja) * | 2000-03-08 | 2001-09-11 | Shinto Fine Co Ltd | 抗アレルゲン組成物及びアレルゲン不活化方法 |
-
2001
- 2001-09-28 JP JP2001303258A patent/JP4084554B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003096615A (ja) | 2003-04-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4157692B2 (ja) | アレルゲン低減化剤 | |
US20120213996A1 (en) | Allergen-inhibiting fibers | |
US8436119B1 (en) | Allergen suppressor, allergen-suppression processed fiber and method of producing the same | |
JP4084554B2 (ja) | アレルゲン低減化繊維 | |
WO2006103960A1 (ja) | アレルゲン失活剤 | |
JP4084553B2 (ja) | アレルゲン低減化繊維 | |
JP4169958B2 (ja) | 清拭シート | |
JP4087145B2 (ja) | アレルゲン低減化繊維 | |
US6528162B1 (en) | Acrylic synthetic fiber, use thereof, and process for producing acrylic synthetic fiber | |
JP4359152B2 (ja) | アレルゲン抑制剤、並びに、アレルゲン抑制処理繊維及びその製造方法 | |
JP3838899B2 (ja) | マスク及びマスク用アレルゲン低減化シート | |
JP4032223B2 (ja) | アレルゲン低減化寝具 | |
JP2005089947A (ja) | アレルゲン低減化繊維製品およびその製造方法 | |
JP4077645B2 (ja) | 洗濯用処理剤及びそれを用いた繊維製品の洗濯方法 | |
JP2005053820A (ja) | 水系アレルゲン低減化剤およびその製造方法 | |
JP2011001638A (ja) | 抗アレルゲン性セルロース繊維及びその製造方法 | |
JP4359126B2 (ja) | 水系アレルゲン抑制剤 | |
JPH08157306A (ja) | ポリマー組成物に配合される消毒剤 | |
JP4077653B2 (ja) | アレルゲン低減化不織布 | |
JP4516286B2 (ja) | アレルゲン低減化剤 | |
JP2001247781A (ja) | 機能性成形物および機能性複合成形物 | |
JP3984520B2 (ja) | アレルゲン低減化剤 | |
JP4825070B2 (ja) | アレルゲン低減化剤 | |
WO2002099181A1 (de) | Antimikrobielle vliesstoffe | |
JPH08154882A (ja) | モップ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060106 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070516 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070717 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071003 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071106 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080123 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080215 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4084554 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110222 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120222 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130222 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140222 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |