JP4077653B2 - アレルゲン低減化不織布 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不織布にダニや花粉等のアレルゲンを低減化する機能を付与したアレルゲン低減化不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎など多くのアレルギー疾患が問題となってきている。その主な原因は、住居内性ダニ類、特に室内塵中に多いチリダニのアレルゲン(Der1,Der2)や、おもに春季に猛威を振るうスギ花粉アレルゲン(Crij1 ,Crij2 )等の多くのアレルゲンが生活空間内に増えてきているためである。
【0003】
特にチリダニのアレルゲンはその原因となるチリダニを駆除しても、その死虫が更にアレルゲン性の高い物質を生活空間に供給することになり、アレルゲンが原因となるアレルギー疾患の根本的な解決には至らない。よって、アレルギー疾患の症状軽減あるいは新たな感作を防ぐためには、生活空間から完全にアレルゲンを取り除くか、アレルゲンを変性させるなどして不活性化させることが必要となる。
【0004】
上記のようなアレルゲンは蛋白質であるため熱や強酸/強アルカリ等で変成しアレルゲン性を失うと考えられるが、非常に安定性が高く、家庭で安全に使用できる程度の酸化剤や還元剤、熱、アルカリや酸では容易に分解されない(TheJournal of Immunology Vol.144:1353−1360)。このような方法で無理にアレルゲンを変成させようとすると、アレルゲンの汚染場所等が条件によって破損してしまう等の問題点があった。
【0005】
ここで、生活空間におけるアレルゲンの存在が問題となるアレルゲンの汚染場所や生活用品としては、例えば、畳、絨毯、床(フローリング)、家具(ソファー、布ばり椅子、テーブル)、寝具(ベッド、布団、シーツ)、車内用品(シート、チャイルドシート)、キッチン用品、赤ちゃん用品、カーテン、壁紙、タオル、衣類、ぬいぐるみ、繊維製品、空気清浄機・空気洗浄機(本体及びフィルター)等が挙げられる。
【0006】
上記問題のため、アレルゲンの分子表面を比較的温和な条件で化学的に変成する方法が考えられてきた。例えば、生皮などのなめし(タンニング) などに用いられているタンニン酸(特公平2−16731号公報)、茶抽出物など(特開平6−279273号公報)、ヒドロキシ安息香酸系化合物又はその塩(特開平11−292714号公報)をそれぞれ用いて、アレルゲンを低減化する方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、従来のアレルゲン低減化剤は、アレルゲンにより汚染された場所に、低減化成分をスプレー等で噴霧するなどの処理をしなければならず、手間が掛かるだけでなく均一な処理を施すのは難しかった。さらに、処理をするまではアレルゲンに汚染された場所が、常に人体に悪影響を及ぼす等の問題点もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、改めてアレルゲン低減化処理を施すことなく、付着したアレルゲンを自動的に低減化できる処理が施されたアレルゲン低減化不織布を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のアレルゲン低減化不織布は、不織布の少なくとも片面に、アレルゲン低減化成分を含有するインキが印刷により固定されていることを特徴とする。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるアレルゲン低減化成分は、アレルゲンを不活性化し、抗原抗体反応を抑制できる成分である。
本発明では、このアレルゲン低減化成分を疎水性の不織布表面に印刷するためインキに混ぜて使用する。使用するインキも疎水性であるため、エタノールやイソプロパノールのような溶剤に溶解する成分が好ましい。
【0011】
上記アレルゲン低減化成分の中でも、最終製品であるマスクやシートへの着色性、口に直接接触する場合の経口急性毒性や肌への刺激性等を考慮すると、後述するアレルゲン低減化成分を用いることが好ましい。
【0012】
このようなアレルゲン低減化成分としては、芳香族ヒドロキシ化合物を用いることが好ましい。芳香族ヒドロキシ化合物としては、最終製品への着色の心配が少ないという点から、線状高分子の側鎖に下記一般式(1)〜(6)で示される少なくとも一つの官能基を有する化合物が好ましい。
【0013】
【化2】
Figure 0004077653
【0014】
上記一般式(1)〜(6)において、Rは水素又は水酸基を示し、nは0又は1〜5の整数を示す。
【0015】
上記一般式(1)〜(6)において、nが5を超えると線状高分子を使用する効果がなくなることがある。
また、一般式(1)〜(6)において、Rが全て水素である場合は、アレルゲン低減化効果を十分に発揮できないことがあり、水酸基が多すぎても着色性が強くなることがあるため、Rのうち一つが水酸基であることが好ましい。
さらに、水酸基は立体障害が最も少ない箇所に結合していることが好ましく、例えば一般式(1)ではパラ位にあるのが好ましい。
【0016】
上記線状高分子としては、例えば、合成高分子ではビニル重合体、ポリエステル、ポリアミド等が用いられる。
また、上記一般式(1)〜(6)で示される官能基と線状高分子との化学結合については、特に限定されず、炭素−炭素結合、エステル結合、エーテル結合、アミド結合等が挙げられる。
【0017】
上記一般式(1)〜(6)で示される官能基を線状高分子の側鎖に有する化合物としては、安全性や入手し易さから、例えば、ポリ3,4,5−ヒドロキシ安息香酸ビニル、ポリビニルフェノール、ポリチロシン、ポリ(1−ビニル−5−ヒドロキシナフタレン) 、ポリ(1−ビニル−6−ヒドロキシナフタレン) 、ポリ(1−ビニル−5−ヒドロキシアントラセン) 等が好適に用いられる。
【0018】
また、上記芳香族ヒドロキシ化合物としては、上記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つの官能基を有する単量体及び/又は一価のフェノール基を有する単量体を重合又は共重合して得られる化合物を用いることができる。
【0019】
上記1価のフェノール基を一個以上有する単量体としては、ベンゼン環に一個の水酸基を有する単量体が一個以上結合している化合物であれば特に限定されず、例えば、ビニルフェノール、チロシン、下記一般式(7)で示される1,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)エテン等が挙げられる。
単量体が1価のフェノール基を有すると、多価フェノールに比べて変色しにくいといった利点がある。
【0020】
【化3】
Figure 0004077653
【0021】
上記1価のフェノール基を一個以上有する単量体に共重合される他の単量体としては、例えば、エチレン、アクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、スチレン等が挙げられる。
【0022】
上記単量体を重合又は共重合して得られる化合物の分子量は、特に限定されないが、例えば、上記1価のフェノール基を有する単量体等が、最低2個以上重合したものが好ましく、より好ましくは5個以上重合したものである。
【0023】
また、上記芳香族ヒドロキシ化合物として、芳香族複素環式ヒドロキシ化合物を使用することができる。
上記芳香族複素環式ヒドロキシ化合物としては、特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシフラン、2−ヒドロキシチオフェン、ヒドロキシベンゾフラン、3−ヒドロキシピリジン等が挙げられる。また、線状高分子の側鎖に芳香族複素環式ヒドロキシ基を有する化合物、芳香族複素環式ヒドロキシ基を有する単量体を重合又は共重合して得られる化合物などであってもよい。
【0024】
上記芳香族複素環式ヒドロキシ基としては、例えば、下記一般式(8)又は(9)で示されるチオフェンやフラン等の複素環骨格にヒドロキシ基が結合したものや、下記一般式(10)で示される複素環と芳香族環とを持つ骨格にヒドロキシ基が結合したもの、複素環骨格にヒドロキシ基とアルキル基(炭素数5以下)とを有するもの、複素環と芳香族とを持つ骨格にヒドロキシ基とアルキル基(炭素数5以下)とを有するものなどが挙げられる。
【0025】
【化4】
Figure 0004077653
【0026】
上記芳香族ヒドロキシ化合物が、本発明のアレルゲン低減化不織布に配合される量としては、不織布の使用形態にもよるため、特に限定されない。
例えば、ダニの生息する布団や絨毯の中間部材となる不織布として使用する場合、又は、ディスポーザブルの不織布製布団カバーなどに使用する場合には、通常1m2 当たり上記化合物1mg程度以上固定されるように配合を調節することが好ましい。それ以上の量を固定しても効果が落ちることはないが、1m2 当たり10g程度以上を固定した場合、化合物の析出により処理後の清掃などが必要となることがある。
【0027】
なお、本発明では、アレルゲン低減化成分の少なくとも1つが使用されていればよく、2つ以上を組み合わせて使用することも可能である。
また、本発明のアレルゲン低減化不織布中において、上記化合物が複数種配合されている場合の配合量としては、使用形態にもよるため、特に限定されない。
上記アレルゲン低減化成分を、総量として不織布1m2 当たり10g程度以上固定した場合、該成分の析出により処理後の清掃などが必要となることや、不織布本来の手触りに違和感を生じる可能性があるため、過剰の使用は避けるべきである。
【0028】
本発明において、上記アレルゲン低減化成分は、水分がなければアレルゲンと相互作用することができないため、空気中の湿度が低い状態でも効果を発現させるために吸湿性成分を同時に固定することが好ましい。
吸湿性成分としては、エタノールやイソプロパノールに溶解する物であれば使用が可能であり、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシメチレン等のポリエーテル;ポリビニルアルコール等のポリアルコール;ポリアクリル酸ナトリウム塩等のポリマー塩;ポリアクリル酸等のポリマー酸などが挙げられる。
【0029】
上記アレルゲン低減化成分および吸湿性成分は、上記化合物の有効成分を適当な溶媒に溶解あるいは分散して液状成分として用いることが好ましい。
上記溶媒としては、例えば、水、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等)、炭化水素類(トルエン、キシレン、メチルナフタレン、ケロセン、シクロヘキサン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド等)などが挙げられる。
【0030】
本発明のアレルゲン低減化不織布には、アレルゲン低減化効果の有効性を阻害しない範囲において、分散剤、乳化剤、湿潤剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤等の製剤用補助剤が配合されていてもよく、また、殺ダニ剤、殺菌剤、防黴剤、消臭剤等が配合されていてもよい。
【0031】
本発明のアレルゲン低減化不織布が対象とするアレルゲンとしては、動物性アレルゲン、花粉などの植物性アレルゲンが挙げられる。
本発明で用いられるアレルゲン低減化成分は、これらのアレルゲンの特異抗体との反応を抑えることにより、使用した場所のアレルゲンを低減化する。
特に効果のある動物アレルゲンとしては、ダニ類のアレルゲン(ダニ類、節足動物一蛛形綱−ダニ目の生物で、主に7つの亜目に分かれている。アシナガダニに代表される背気門類、カタダニに代表される四気門類、ヤマトマダニ、ツバメヒメダニに代表される後気門類、イエダニ、スズメサシダニ代表される中気門類、クワガタツメダニ、ナミホコリダニに代表される前気門、ケナガコナダニ、コナヒョウヒダニに代表される無気門類、イエササラダニ、カザリヒワダニに代表される隠気門類等)のいずれの種類でも対象となり得るが、室内塵中、特に寝具類に多く、アレルギー疾患の原因となるチリダニ科、ヒョウヒダニ類に特に効果がある。
【0032】
本発明に係わるアレルゲン低減化剤が使用される対象、場所としては、生活空間においてアレルゲンの温床となる生活用品等が挙げられる。
上記生活用品としては、例えば、畳、絨毯、家具(ソファー、布ばり椅子、テーブル)、寝具(ベッド、布団、シーツ)、車内用品(シート、チャイルドシート)、赤ちゃん用品(ベビーバギー)、壁紙、衣類、ぬいぐるみ等への使用が挙げられ、各々表面に該不織布表面を露出して製品とする他、例えば布団ワタ等を包む袋として内部に該不織布を使用する方法も考えられる。
【0033】
本発明で使用する不織布は様々な方法で作られた既製の不織布が挙げられる。
不織布の製造方法は様々であるが、大別して、水を使う湿式製法と水を使用しない乾式製法とに分けられ、さらに具体的には次のような製造プロセスがある。
1)湿式不織布
パルプなどの原料を粉砕ビーターで粉砕し、混合ビーターで大量の水、繊維、バインダー樹脂、分散剤と共に撹拌する。次いで、抄紙機に流し込み、水分を取り除いた後にフェルトにのせて繊維をドライヤーに転移させて乾燥する。
【0034】
2)乾式不織布
カード機で原料をオルゴールの針がついた胴版を回転させ、少量ずつ引っかけてウエップ(綿状シート)を作製する。これに霧吹き・浸漬などによりバインダーを塗布した後、プレス、乾燥して不織布を得る。
2−1)サーマルボンド不織布
上記乾式法の際に低融点の原料を混入させることにより、熱プレス工程で低温原料を溶解して繊維間を固定する。
2−2)ケミカルボンド不織布
上記乾式法の際に接着剤を散布させることにより原料を固定する。
【0035】
3)スパンボンド不織布
樹脂を溶融して直接紡口より繊維として噴出し、熱ロールでエンボス加工を施しシート状にする。
4)メルトブロー式不織布
ポリマーを高圧で押出すと共に熱風で吹き飛ばすことにより極細繊維のシートとする。
5)フラッシュ紡糸不織布
ポリマーを溶剤で溶解し、高圧で紡糸する。
【0036】
上記不織布はどのような素材であっても使用が可能であるが、用途としては疎水性が高い素材を使用する場合が多い。例えば、ポリプロピレン100%の不織布は、パルプ、ナイロン、ポリエチステル、レーヨンやアクリルを原料とする素材に比べて疎水性が高くなり良好に使用することができる。
なお、疎水性を高めるためには、本来疎水性がない素材の表面に撥水加工を施した素材なども使用可能である。また、本発明で使用される不織布の目付量は、特に限定されるものではない。
【0037】
本発明において、アレルゲン低減化成分を固定する方法は、特に限定されないが、表面にムラなく均一に塗布するには各種印刷機を用いることが好ましい。
例えば通常、紙や不織布に印刷を行う際に使用されるオフセット印刷機、グラビア印刷機、スクリーン印刷機などが使用可能である。中でも、グラビア印刷機は表面が平らであれば高速印刷が可能となる利点がある。
【0038】
本発明で使用するインクは水分を含まないものであれば、特に限定されない。
インク中に水分を含むと、アレルゲン低減化成分である芳香族ヒドロキシ化合物が凝集を起こすため使用することができない。使用可能なインキとしては、例えば、UVを照射して硬化させるUVインキ、溶剤を蒸発乾燥させて固定する溶剤型インキが挙げられる。
なお、インキの色は特に限定されるものではないが、アレルゲン低減成分の中には元来、褐色を呈しているものがあるため、これらと淡い色のインキを用いた場合、要望する色調が発揮されない場合がある。
【0039】
本発明で使用するインキとアレルゲン低減成分の混合は、以下の手順によって行うことが望ましい。
まず、アレルゲン低減成分である芳香族ヒドロキシ化合物をエタノールやイソプロパノールなどの溶剤を用いて溶解する。
アレルゲン低減成分の量は成分や用いる溶剤によって異なるが、例えば、重量平均分子量(Mw)8000のポリ―4―ビニルフェノール(アルドリッチ社製)をアレルゲン低減成分に、エチルアルコール(和光純薬社製;試薬特級)を溶媒にそれぞれ用いた場合は、重量比1:1まで溶解が可能である。
【0040】
次に、インキに上記芳香族ヒドロキシ化合物のエタノール溶液を添加する。
この時の芳香族ヒドロキシ化合物のエタノール溶液における配合割合は1重量%以上が好ましく、より好ましくは30〜95重量%の範囲である。
芳香族ヒドロキシ化合物の濃度が低くなるとアレルゲン低減化効果が十分に発揮されない可能性がある。
逆に、芳香族ヒドロキシ化合物の濃度が高くなりすぎてインキの量が少なくなると、不織布表面に印刷を行った後十分に固定されず、衝撃が加わることにより簡単に脱落してしまう可能性がある。
【0041】
印刷を行う場合のインキの膜厚は、インキの種類や印刷方法にもよるが、10〜100μmの範囲に設定することが望ましい。
膜厚があまり薄くなると、アレルゲン低減化効果が十分に発揮されない可能性があり、逆にあまり厚くなると肌触りに支障が起こったり、衝撃によりインキと共に脱落してしまう可能性がある。
また、印刷は不織布の片面のみに施しても良いが、両面に施すことにより、さらに高いアレルゲン低減効果を発揮することができる。
【0042】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0043】
(実施例1〜3)
アレルゲン低減化成分として、Mw8000のポリ―4―ビニルフェノール(アルドリッチ社製)、Mw20000のポリ―4―ビニルフェノール(アルドリッチ社製)又はMw15000〜36000のポリ―L―チロシン(ICNバイオメディカル社製)を用い、溶媒としてエチルアルコール(和光純薬社製;試薬特級)を用い、芳香族ヒドロキシ化合物の配合量が50重量%のエタノール溶液を調製した。これを溶剤型インキ(十条ケミカル社製「NPS7075グリーン」)に1:1の割合で溶解してアレルゲン低減化成分を含有するインキを調製した。このインキをポリプロピレン製不織布(出光石油化学社製「ストラテックRW2070」)の片面に、270メッシュのスクリーンを介して均一な膜厚となるように塗布した。不織布1m2 の面積に約20gのインキを塗布し、膜厚約20μm(乾燥前)の塗膜を形成した。
この塗膜を1晩室温に放置して乾燥し、アレルゲン低減化成分を固定して、アレルゲン低減化不織布を得た。尚、乾燥後の膜厚は約8μmであった。
【0044】
(比較例1)
上記アレルゲン低減化成分を全く配合しなかったこと以外は、実施例1と同様に印刷してアレルゲン不織布サンプルを作成した。尚、乾燥後の膜厚は約6μmであった。
【0045】
[アレルゲン低減化効果の評価]
実施例1〜3にて得られたアレルゲン低減化不織布、及び、比較例1の不織布をカットして、不織布サンプル(33×30cm)を作製した。
この不織布サンプルに、エチルアルコール50重量部と精製水50重量部の混合液に塵ゴミ(アレルゲン2mg/g)5重量部を分散させた調整アレルゲンを1ml振りまいて、評価用試料を得た。
【0046】
[評価方法]
上記評価用試料を室温で8時間放置後、アレルゲン測定キット(アサヒビール薬品社製「ダニスキャン」)を用いてアレルゲン性を測定した。
判定は「ダニスキャン」の使用説明書に従って行い、その結果を表1に示した。
ダニスキャンの判定基準は以下の通り。
1・・ダニアレルゲンの汚染はない (T=0)
2・・ややダニアレルゲンに汚染されている(T<C)
3・・ダニアレルゲンに汚染されている (T=C)
4・・非常に汚染されている (T>C)
ここで、Tはテストラインを示し、Cはコントロールラインを示す。
【0047】
【表1】
Figure 0004077653
【0048】
【発明の効果】
本発明のアレルゲン低減化不織布は、アレルゲン低減化成分が不織布の表面にインクと共に固定されているため、この不織布及びこの不織布を用いて製造した製品は、改めてアレルゲン低減化処理を施すことなく、優れたアレルゲン低減化効果を発現する。

Claims (5)

  1. 不織布の少なくとも片面に、アレルゲン低減化成分を含有するインキが印刷により固定されているアレルゲン低減化不織布であって、上記アレルゲン低減化成分が、芳香族ヒドロキシ化合物であり、上記芳香族ヒドロキシ化合物が、線状高分子の側鎖に下記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つの官能基が結合した化合物であることを特徴とするアレルゲン低減化不織布。
    Figure 0004077653
    (式中、Rは水素又は水酸基を示し、Rのうち少なくとも一つは水酸基であり、nは0又は1〜5の整数を示す)
  2. 不織布の少なくとも片面に、アレルゲン低減化成分を含有するインキが印刷により固定されているアレルゲン低減化不織布であって、上記アレルゲン低減化成分が、芳香族ヒドロキシ化合物であり、上記芳香族ヒドロキシ化合物が、下記一般式(1)〜(6)で示される少なくとも一つの官能基を有する単量体及び/又は一価のフェノール基を有する単量体を重合又は共重合して得られる化合物であることを特徴とするアレルゲン低減化不織布。
    Figure 0004077653
    (式中、Rは水素又は水酸基を示し、Rのうち少なくとも一つは水酸基であり、nは0又は1〜5の整数を示す)
  3. 不織布の少なくとも片面に、アレルゲン低減化成分を含有するインキが印刷により固定されているアレルゲン低減化不織布であって、上記アレルゲン低減化成分が、芳香族ヒドロキシ化合物であり、上記芳香族ヒドロキシ化合物が、2−ヒドロキシフラン、2−ヒドロキシチオフェン、ヒドロキシベンゾフラン、3−ヒドロキシピリジン、線状高分子の側鎖に下記一般式(8)或いは(9)で示される基を有する化合物、又は線状高分子の側鎖に下記一般式(10)で示される基を有する化合物であることを特徴とするアレルゲン低減化不織布。
    Figure 0004077653
  4. インキに、アレルゲン低減化成分と吸湿性成分とが混合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアレルゲン低減化不織布。
  5. アレルゲンがダニに由来するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアレルゲン低減化不織布。
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