JP6721040B2 - アレルゲン活性低減化剤組成物 - Google Patents
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Description
これらのアレルギー疾患の症状軽減あるいは新たな感作を防ぐためには、生活空間から完全にアレルゲンを取り除くか、アレルゲンを変性させるなどして不活性化させることが必要となる。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
〔1〕芳香族ヒドロキシ化合物0.04〜0.2重量%、および
タンニン0.005〜0.02重量%を含有し、
前記芳香族ヒドロキシ化合物が重量平均分子量300〜40000のポリビニルフェノールであり、
前記タンニンが加水分解性タンニンであり、
pHが2〜6であるアレルゲン活性低減化剤組成物。
〔3〕溶媒として水系溶媒を含む前記〔1〕または〔2〕に記載のアレルゲン活性低減化剤組成物。
〔4〕さらに分散剤を0.1重量%以下含有する前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のアレルゲン活性低減化剤組成物。
中でも、アレルゲン活性低減効果の観点から、前記芳香族ヒドロキシ化合物が重量平均分子量300〜40000のポリビニルフェノールであることがより好ましい。
加水分解性タンニンとは酸、アルカリ、酵素で多価フェノール酸と多価アルコール(糖など)に加水分解されるもので、分布は双子葉離弁花植物に局在する。多価フェノールとしては主に没食子酸およびその二量体(遊離状態では脱水環化して4環性のエラグ酸となる)の二つのタイプがあり、それぞれをガロタンニン、エラジタンニンと総称する。ガロタンニンとは、ポリフェノールモノマーの没食子酸がエステル化し、グルコースのようなポリオール炭水化物の水酸基と結合したものであり、キナ酸骨格を有するものと、グルコース骨格を有するものなどが挙げられる。ガロタンニンの例としてウコギ科ヌルデの葉にヌルデノミミフシアブラムシが寄生してできる虫こぶ(五倍子と称する)に含まれるタンニン酸がある。また、エラジタンニンとは、酸分解でエラグ酸を生じるものであり、その例としてフウロソウ科ゲンノショウコに含まれるゲラニインが挙げられる。
一方、縮合型タンニンは複数分子のカテキンが炭素−炭素結合で縮合したもので、双子葉植物のみならずシダ植物、単子葉植物に広く分布する。縮合型タンニンとしては、エピガロカテキン、プロシアニジン、シンナムタンニンなどが挙げられる。
中でも、前記タンニンとしては、取扱い性および水への溶解性がよく、アレルゲン活性低減効果に優れるという観点から、ガロタンニンまたはエラジタンニンなどの加水分解性タンニンが好ましい。
なお、前記芳香族ヒドロキシ化合物の含有量が前記範囲よりも低いと、アレルゲン活性低減化作用が得られなくなり、また、前記範囲よりも多いと、芳香族ヒドロキシ化合物を併用するために分散剤の含有量を多くする必要があり、その結果、製造時の発泡を抑えることが難しくなる。また、前記タンニンの含有量が前記範囲よりも低いと、アレルゲン活性低減化作用が得られなくなり、また、前記範囲よりも多いと、着色が発生し易くなる。
80〜99.9重量%が好ましい。
なお、本発明のアレルゲン活性低減化剤組成物中における前記分散剤の含有量としては、0.1重量%以下であることが好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
中でも、本発明のアレルゲン活性低減化剤組成物は、発泡しにくいものであるため、例えば、ポンプスプレー、エアゾール、投込式超音波霧化装置、オリフィス式超音波霧化装置、加圧液噴霧スプレー、加圧空気霧化装置、スチームなどを用いても液垂れなどなく好適に使用することができる。
アレルゲンであるDer1、Der2をそれぞれ20ng/mlになるように含むダニ培地抽出液(ITEA社製)をPBSで調製する。
このダニ培地抽出液と試料(アレルゲン活性低減化剤)を4:1(容量比)で混合し、撹拌後、得られた試料混合液を一晩室温で静置する。前記試料のかわりに水を用いたものをブランクとする。
次いで、得られた試料混合液およびブランク中Der1濃度およびDer2濃度から、アレルゲン不活性化率を以下の式を用いて算出する。
Der1アレルゲン不活性化率=
((Der1濃度blank)−(Der1濃度sample))/(Der1濃度blank)×100
Der2アレルゲン不活性化率=
((Der2濃度blank)−(Der2濃度sample))/(Der2濃度blank)×100
アレルゲン不活性化率が80%以上のものを合格品(「○」)とし、80%未満を不合格品(「×」)と評価する。
白色綿布(試験用添付白布 綿、カナキン3号)45cm×45cmの全面にわたって、市販トリガースプレー(スプレー1回あたり0.3ccを噴霧可能)で試料を100回噴霧し、室温で乾燥後、オープンフレームカーボンアーク灯式耐候性試験機(SWOM)にて48時間照射する。また、何も噴霧しないものをブランクとし、SWOMにて48時間照射する。
そして、試料を散布したものおよびブランクの色差(光沢変化)を色差計(日本電色工業社製;ハンディ型色彩計「NR−11A」)で測定する。
色差が4以下のものを合格品(「○」)、色差が4を超えるものを不合格品(「×」)と評価する。
30ml容のガラス瓶に、試料10mlを入れ、ボルテックスミキサーにて10秒振とうさせた後、静置して、ガラス瓶に付着した泡の高さを判定する。
泡の高さが10mm以下のものを合格品(「○」)、泡の高さが10mmを超えるものを不合格品(「×」)と評価する。
表1に示す組成となるように、ポリビニルフェノール、タンニンおよび分散剤を水に添加・混合し、pHを調整するのにリン酸および水酸化カリウムを適宜用いてアレルゲン活性低減化剤組成物を調製した。
なお、使用したポリビニルフェノールの重量平均分子量は、約500であった。
また、使用したタンニンは、以下のとおり。
「ALSOK01」:Ajinomoto OmniChem社製、五倍子由来、グルコース骨格
「ALSOK02」:Ajinomoto OmniChem社製、Aleppo nuts由来、グルコース骨格
「ALSOK04」:Ajinomoto OmniChem社製、Tara Pods由来、キナ酸骨格
表2に示す組成となるように、水にポリビニルフェノール、タンニン、分散剤などを適宜添加・混合し、pHを調整するのにリン酸および水酸化カリウムを用いてアレルゲン活性低減化剤組成物を調製した。
比較例1〜15で得られたアレルゲン活性低減化剤組成物について、アレルゲン不活性化率、着色、泡立ちをそれぞれ評価した。その結果を表2に示す。
一方、比較例1〜15で得られたアレルゲン活性低減化剤組成物は、いずれも総合評価が「×」となった。
特に、ポリビニルフェノールを単独で使用している比較例1〜3では、いずれもDer1に対する不活性化作用はあったものの、Der2に対するアレルゲン不活性化作用はなく、ポリビニルフェノールを増量した比較例4では、泡立ちが生じた。
また、タンニンを単独で使用している比較例5、6、8、9、11、12では、Der1、Der2に対するアレルゲン不活性化作用は見られず、タンニンを増量した比較例7、10、13ではいずれもDer1などに対する効果は見られたものの、着色が生じた。
また、pHが7に調整された比較例14、15では、いずれも着色が生じた。
Claims (4)
- 芳香族ヒドロキシ化合物0.04〜0.2重量%、および
タンニン0.005〜0.02重量%を含有し、
前記芳香族ヒドロキシ化合物が重量平均分子量300〜40000のポリビニルフェノールであり、
前記タンニンが加水分解性タンニンであり、
pHが2〜6であるアレルゲン活性低減化剤組成物。 - 前記加水分解性タンニンが、ガロタンニンまたはエラジタンニンである請求項1に記載のアレルゲン活性低減化剤組成物。
- 溶媒として水系溶媒を含む請求項1または2に記載のアレルゲン活性低減化剤組成物。
- さらに分散剤を0.1重量%以下含有する請求項1〜3のいずれかに記載のアレルゲン活性低減化剤組成物。
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