JP4070473B2 - クレーン車のジブ格納装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クレーン車に用いられるジブの格納装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりクレーン車のジブ格納装置としては実公昭59−43358号公報に記載の技術が用いられている。図14に示されるように、先端ブーム2の先端一側部及び該先端ブーム2の先端部に着脱自在に装着されるラチス構造のジブ3の基端一側部にはそれぞれボス5、15が形成されている。そして、当該先端ブーム側ボス5とジブ基端側ボス15とが相互に同軸重合してそれらに共通の支点ピン7が嵌脱自在に嵌挿可能とされている。さらに前記支点ピン7を支軸としてジブ3を先端ブーム2の側方領域を回転移動することにより基端ブーム1の側面に沿って格納自在となっている。このような張出格納方式のジブを横振出しジブを呼んでいる。図15に示したA,Bは基端ブーム1側面と格納時のジブ3との間に介装されるジブ支持装置であり、当該ジブ支持装置A,Bによりジブ3の重量を基端ブーム1に担持する。
【0003】
一方、近年伸縮ブームを構成する各段ブームの断面形状がブームの軽量化あるいは溶接箇所を減らすこと等を目的として、角部に大きな円弧による面取りを施したり、あるいは折り曲げ箇所を増やして全体として多角形状にするなどしたR型多角形断面になる傾向にある。当該R型多角形断面を有する伸縮ブームは、先端ブームに伸縮ブーム中心軸回りのねじりトルクが作用すると、基端ブーム1に対する先端ブーム2のねじれにより、スライドプレート部分で回転方向のズレが発生しやすい。したがって、R型多角形断面を有する伸縮ブームにはなるべく先端ブームに大きなねじりトルクが作用しないようにすることが望ましい。
【0004】
ところが、上述した実公昭59−43358号公報に記載されたジブの格納装置は横振出しジブ方式であるため、その張出格納準備時にジブ3が先端ブーム2に対して直角方向を向いた時には、先端ブーム2にはジブ3の重量により大きなねじりトルクが作用するものであった。
【0005】
一方、ブームが全縮小した状態で上記先端ブーム2に作用するねじりトルクを基端ブーム1に伝達するよう先端ブーム2と基端ブーム1の間に介装されるブーム回転防止ストッパが開発されている。係るブーム回転防止ストッパはブームが全縮小していることがその機能を果たす条件である。上述した実公昭59−43358号公報の技術では、前記ジブ支持装置A,Bの係合離脱操作の際に先端ブーム2の伸縮動作が行われるため、前記支点ピン7を支軸として前記ジブ3を先端ブーム2の側方領域を回転移動する過程では伸縮ブームが僅かながら必ず伸長しており、上記ブーム回転防止ストッパが役立たないものであった。
【0006】
そこで本願出願人は、基端ブームと格納状態のジブとの間に介装されるジブ支持装置を、伸縮ブームの伸縮動作を用いず、先端ブーム2を全縮小状態として前記支点ピン7を支軸として前記ジブ3を回転させそのまま係合離脱できるように構成することにより、伸縮ブームを全縮小したままでジブを張出格納することができるジブ格納装置を開発した。
【0007】
すなわち、上述した実公昭59-43358号公報に記載されたジブ支持装置A、Bに該当するものとして 前記伸縮ブームの基端ブーム側面部に格納状態のジブと基端ブームとの間には基端ブーム基端側に配置された第1ジブ格納手段と、基端ブーム先端側に配置された第2ジブ格納手段と、張出格納補助手段とを介装するようにした。
【0008】
具体的には、前記第1ジブ格納手段は、前記基端ブーム側面に配置され基端ブーム側面から離間する方向へ下方に傾斜するサポートと、前記ジブに配置された転動可能なローラと、を備えており、前記ジブの係合離脱の際には前記ローラが前記サポートの傾斜面上をジブの重量を支持しながら転動するよう構成したものである。
【0009】
また、前記第2ジブ格納手段は、前記基端ブーム側面に配置された基端ブーム側固定ボスと、前記ジブ側面に配置されたジブ側固定ボスと、基端ブーム側面に沿って伸縮ブーム軸線に直交する方向に移動可能に支持された固定ピンと、当該固定ピンを駆動する固定ピン駆動油圧シリンダと、を備えており、前記基端ブーム側固定ボスとジブ側固定ボスとが相互に同軸重合し、それらに共通の前記固定ピンを嵌脱自在に嵌挿することにより、前記基端ブームに対し前記ジブを係合するよう構成したものである。
【0010】
さらに、前記張出格納補助手段は、その先端が基端ブーム側面に対し接近あるいは離間する方向に揺動可能なレバーと、当該レバーを駆動するレバー駆動油圧シリンダと、前記レバー先端に配置されレバー揺動面に直交する方向にその先端部を突出するようバネ付勢された自動ピンと、前記自動ピン先端部が係合可能な穴を有する前記ジブに配置された係合部材と、を備えており、前記自動ピンが係合部材に係合した状態で前記レバーが揺動すると、前記第1ジブ格納手段による前記ジブと基端ブームとの係合離脱が行われるよう構成したものである。
【0011】
横振出しジブのジブ格納装置をかかる構成とすることにより、ブーム回転防止ストッパが機能を発揮するブーム全縮小状態のままで前記支点ピンを支軸として前記ジブを伸縮ブーム側方領域を回転移動させても、前記ジブと基端ブームとの間に介装された前記第1ジブ格納手段と第2ジブ格納手段によるジブ格納を行うことができるのである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記張出格納補助手段のレバー駆動油圧シリンダを操作するにあたり、前記伸縮ブームが全縮小状態にあること、前記支点ピンが嵌挿状態にあること、および前記固定ピンが非嵌挿状態にあることが条件となる。すなわち、伸縮ブームが全縮小していないと前記基端ブームとジブとが所定の位置関係にないため、前記第1ジブ格納手段、第2ジブ格納手段およびジブ張出格納手段がその機能を発揮することができない。また、前記支点ピンが嵌挿状態にないと基端ブーム側面に格納されていたジブを落下させる恐れがある。さらに、前記固定ピンが嵌挿状態にあるままで前記レバー駆動油圧シリンダを操作するとジブあるいはジブ格納装置を損傷してしまうおそれがある。
【0013】
そこで、係る不具合を防止することができるクレーン車のジブ格納装置を提供しようとするものである。
【0014】
また、上述したジブ格納装置でのジブ張出格納準備中に誤って伸縮ブームを伸縮操作すると、やはり、ジブあるいはジブ格納装置を損傷してしまう恐れがある。
【0015】
そこで、ジブ張出格納準備中には伸縮ブームを伸縮操作することができないジブ格納装置をも提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に記載されたクレーン車のジブ格納装置は、伸縮ブームの先端ブーム一側部及び該先端ブームの先端に着脱自在に装着されるジブの基端部一側部にそれぞれボスを形成し、且つ該先端ブーム側ボスとジブ基端側ボスとが相互に同軸重合してそれらに共通の支点ピンを嵌脱自在に嵌挿する一方、前記伸縮ブームの全縮小状態のままで前記支点ピンを支軸として前記ジブを伸縮ブーム側方領域を回転移動することにより張出格納自在とするとともに、前記伸縮ブームの基端ブーム側面部に格納状態の前記ジブと基端ブームとの間には基端ブーム基端側に配置された第1ジブ格納手段と、基端ブーム先端側に配置された第2ジブ格納手段と、張出格納補助手段と、が介装されており、前記第1ジブ格納手段は、前記基端ブーム側面に配置され基端ブーム側面から離間する方向へ下方に傾斜するサポートと、前記ジブに配置された転動可能なローラと、を備えており、前記ジブの係合離脱の際には前記ローラが前記サポートの傾斜面上をジブの重量を支持しながら転動するよう構成され、前記第2ジブ格納手段は、前記基端ブーム側面に配置された基端ブーム側固定ボスと、前記ジブ側面に配置されたジブ側固定ボスと、基端ブーム側面に沿って伸縮ブーム軸線に直交する方向に移動可能に支持された固定ピンと、当該固定ピンを駆動する固定ピン駆動油圧シリンダと、を備えており、前記基端ブーム側固定ボスとジブ側固定ボスとが相互に同軸重合し、それらに共通の前記固定ピンを嵌脱自在に嵌挿することにより、前記基端ブームに対し前記ジブを係合するよう構成され、前記張出格納補助手段は、その先端が基端ブーム側面に対し接近あるいは離間する方向に揺動可能なレバーと、当該レバーを駆動するレバー駆動油圧シリンダと、前記レバー先端に配置されレバー揺動面に直交する方向にその先端部を突出するようバネ付勢された自動ピンと、前記自動ピン先端部が係合可能な穴を有する前記ジブに配置された係合部材と、を備えており、前記自動ピンが係合部材に係合した状態で前記レバーが揺動すると、前記第1ジブ格納手段による前記ジブと基端ブームとの係合離脱が行われるよう構成されたクレーン車のジブ格納装置であって、前記伸縮ブームの全縮小状態を検出する伸縮ブーム全縮小状態検出手段と、前記支点ピンの嵌挿状態を検出する支点ピン嵌挿状態検出手段と、前記第2ジブ格納手段における前記固定ピンの嵌挿状態を検出する固定ピン嵌挿状態検出手段と、を備え、前記伸縮ブーム全縮小状態検出手段が伸縮ブームの全縮小状態を検出し、前記支点ピン嵌挿状態検出手段が支点ピンの嵌挿状態を検出し、前記固定ピン嵌挿状態検出手段が固定ピンの非嵌挿状態を検出したときのみ前記張出格納補助手段のレバー駆動油圧シリンダを操作可能となるよう構成したことを特徴としている。
【0017】
以上のように、伸縮ブームが全縮小状態のまま横振出しジブを張出格納できるよう基端ブームと格納状態のジブとの間に第1ジブ格納手段と第2ジブ格納手段およびジブ張出格納補助手段を介装したクレーン車のジブ格納装置において、伸縮ブームが全縮小しており、支点ピンが嵌挿され、固定ピンが非嵌挿となっているときのみ前記張出格納補助手段のレバー駆動油圧シリンダを操作できるようにしたので、上記ジブ格納装置の所定の機能を発揮させるとともに、ジブの落下あるいはジブ等の損傷を防止することができるのである。
【0018】
さらに、本願の請求項2に記載されたクレーン車のジブ格納装置は、前記伸縮ブームに対して設けられたブーム長さ検出器、ブーム角度検出器、ブーム負荷検出器からの検出信号を受取り、当該検出信号とクレーン作業状態に応じて伸縮ブームの動作を規制する過負荷防止装置と、当該過負荷防止装置に対してクレーン作業状態の設定を行うクレーン作業状態設定手段と、を備え、当該クレーン作業状態設定手段が、ジブ張出格納準備状態に設定されているときには、前記過負荷防止装置は前記伸縮ブームの伸縮動作を規制することを特徴としている。
【0019】
以上のようにクレーン作業状態設定手段がジブ張出格納準備状態に設定されているときには、伸縮ブームを伸縮操作しても伸縮ブームが伸縮動作しないので、上述したジブ格納装置でのジブ張出格納準備中に誤って伸縮ブームを伸縮操作してもジブあるいはジブ格納装置を損傷することを防止できるのである。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の実施の形態に係るクレーン車のジブ格納装置を使用した伸縮ブーム30とジブ40を示す。
【0021】
R型多角形断面を有する伸縮ブーム30は図示しないクレーン車の走行可能な車輌部に旋回可能に搭載された旋回台に対し起伏可能に枢着される。伸縮ブーム30は基端ブーム31に伸縮可能に嵌挿された中間ブームと中間ブームに伸縮可能に嵌挿された先端ブーム32とから構成される。ジブ40は前記先端ブーム32の先端部に着脱自在に装着されるジブサポート41と、当該ジブサポート41にチルト自在に連結される基端ジブ42と、当該基端ジブの先端部にさらに連結される先端ジブ43とから構成される。実施の形態に係るジブ40は前記基端ジブ42先端部一側と先端ジブ基端部一側がジブ支点ピン46により回転自在に連結されており、図示するように基端ジブ42に対し先端ジブ43を内側に折畳んだ姿勢で前記基端ブーム31の側面に格納する点に特徴を有するもので、バイホールドジブと呼ばれるものである。49は基端ジブ42の先端部に設けられた吊荷用シーブであり、50は先端ジブ43の先端部に設けられた吊荷用シーブである。ジブ40による吊荷作業の際には、先端ジブ43を基端ブーム31に残し、基端ジブ42とジブサポート41のみを先端ブーム32の先端部に張出し、基端ジブ42先端から吊荷用ワイヤを吊下してジブ作業を行うことが可能である。また、基端ジブ42に先端ジブ43を折畳んだ姿勢のままでジブ40を先端ブーム32の先端部に張出し、さらに基端ジブ42の先端部に先端ジブ43を前記ジブ支点ピン48を中心に回転して張出し、先端ジブ43の先端から吊荷用ワイヤを吊下してジブ作業を行うことも可能である。51は先端ジブ43を基端ジブ42の先端に張出した際に基端ジブ先端部他端と先端ジブ基端部他端を連結するジブ連結ピンである。
【0022】
33は先端ブーム32の一側部に形成された先端ブーム側ボスであり、44はジブサポート41の基端部一側部に形成されたジブ基端側ボスである。図1には当該先端ブーム側ボス33とジブ基端側ボス44が同軸重合した状態が示されている。46は同軸重合した前記先端ブーム側ボス33とジブ基端側ボス44に共通に嵌脱自在に嵌挿する支点ピンである。当該支点ピン46を支軸としてジブ40を伸縮ブーム30の側方領域を回転移動することにより(いわゆる横振出しにより)基端ブーム側面の格納位置と先端ブーム32の先端部の張出位置とに張出格納自在となっている。34は前記先端ブーム32の他側部に形成された先端ブーム側ボスであり、45はジブサポート41の基端部他側部に形成されたジブ基端側ボスである。ジブ40が先端ブーム32先端部の張出位置に張出された際には、前記先端ブーム側ボス34とジブ基端側ボス45が同軸重合し、これらに共通の連結ピン47を嵌挿することにより両者が連結されるようになっている。
【0023】
なお、本願発明のジブ格納装置は上述したバイホールドジブ40のみならず、横振出し式の他の形式のジブにも適用できることは勿論である。
【0024】
60は前記伸縮ブーム30の基端ブーム側面部に格納状態の前記ジブ40と基端ブーム31との間に介装されるジブ格納手段のうち、基端ブーム基端側に配置された第1ジブ格納手段であり、70は基端ブーム先端側に配置された第2ジブ格納手段である。80は前記ジブ40と基端ブーム31との間に介装される張出格納補助手段である。
【0025】
52は前記ジブ支点ピン48を支軸として折畳んだ先端ジブ43を基端ジブ42に固定するジブ間固定手段であり、53は折畳んだ状態のジブ40を基端ブーム31の側面に固定するジブブーム間固定手段である。
【0026】
図2は図1のA矢視詳細図であって、図3は図2のD矢視図であり、共に前記第1ジブ格納手段60と張出格納補助手段80の詳細を図示するものである。なお、図3においては見やすくするため、前記第1ジブ格納手段60と張出格納補助手段80の上方に位置する前記基端ジブ42と先端ジブ43を二点鎖線で示している。
【0027】
61は基端ブーム側面35に設置された前記第1ジブ格納手段60を構成するサポートであって、基端ブーム上面36に平行な面62と当該面62の基端ブーム側面35とは離間する側の辺63で連続し前記基端ブーム側面35に離間する方向へ下方に傾斜する面64を有している。65と66は基端ジブ42に固着された部材67に配置された転動可能なローラである。図3に示されるようにローラ65はローラ66に対して基端ジブ42の軸方向にややずらして取り付けられており、ローラ65は前記基端ブーム上面36に平行な面62と傾斜面64とを転動し、ローラ66は平行な面62のみを転動するようになっている。
【0028】
81は前記サポート61に一体的に構成されたブラケット82の支軸83を中心としてその先端84が基端ブーム側面35に対して接近あるいは離間する方向に揺動可能なレバーである。85はそのロッド側端部86を前記レバー81に枢着し、シリンダ側端部87を前記ブラケット82に枢着した油圧シリンダである。当該油圧シリンダ85を伸縮させることにより、前記レバー81を前記支軸83を中心として揺動駆動することができるようになっている。88は前記レバー81の先端84に配置されレバー揺動面に直交する方向にその先端部89を突出するよう内臓するバネによりバネ付勢された自動ピンである。自動ピン88には操作環90が取付けられており、バネ付勢に逆らって先端部を引込めるようになっている。
【0029】
91は前記基端ジブ42に固着された部材67に配置された係合部材であって、前記レバー81の揺動面に平行な面92を有しており、当該面上には前記自動ピン88の先端部89が係合可能な長穴93が上下方向に明けられている。図3に示されるように係合部材91の面92はその両端に基端ブーム側面35に向かう方向及びその反対方向に傾斜面を有しており、前記ジブ40を支点ピン46回りに回転させた際には、前記自動ピン88の先端部89が前記傾斜する面に沿ってバネ付勢に逆らって押し込められた後、先端部89が前記長穴93に突出し、前記レバー81と係合部材91が自動的に係合するようになっている。
【0030】
図4は図1のB矢視詳細図であって、第2ジブ格納手段70における格納前の状態を示すものである。
【0031】
79は調整部材であって、基端ブーム31の側面下方に設けられた上下調整部材122に枢着され、側面上方に設けられた左右調整部材123によって左右方向を支持されており、全体として基端ブーム側面35とほぼ平行に配置されている。上下調整部材122のナットを回転させることにより、前記調整部材79を上下に調整できるようになっている。また、左右調整部材123の左右のボルトを回転することにより前記調整部材79の枢着軸124回りの角度調整ができるようになっている。これにより、調整部材79は基端ブーム側面35に対して上下位置と平行度を調整することができるようになっている。
【0032】
71は上側固定ピン、72は下側固定ピン、73は当該上側固定ピン71と下側固定ピン72の間に配置された固定ピン駆動油圧シリンダである。74は上側基端ブーム側固定ボス、75は下側基端ブーム側固定ボスであって、前記調整部材79に固着されている。そして、上側基端ブーム側固定ボス74に上側固定ピン71が嵌挿されて配置されており、下側基端ブーム側固定ボス75には下側固定ピン72が嵌挿されて配置されている。このように、固定ピン71、72および固定ピン駆動シリンダ73は基端ブーム31側に配置されている。
【0033】
76は基端ジブ42に固着された部材であって、当該部材76から基端ブーム側面35に向けて上側ジブ側固定ボス77と下側ジブ側固定ボス78が配置されている。当該上側ジブ側固定ボス77は前記上側基端ブーム側固定ボス74と相互に同軸重合可能な位置に配置され、かつ当該下側ジブ側固定ボス78は下側基端ブーム側固定ボス75と相互に同軸重合可能な位置に配置されている。125は固定ピン抜き規制手段であって、前記基端ジブ42に固着された部材76に取付られている。
【0034】
150は前記固定ピン駆動油圧シリンダ73のロッドカバー130にプレート151を介して取付られたリミットスイッチである。前記固定ピン駆動油圧シリンダ73が全縮小すると、リミットスイッチ150の検出部が前記下側固定ピン72に取付けられた検出プレート152により押されることによりリミットスイッチ150が検出操作されるようになっている。このように、リミットスイッチ150が検出操作されることによって、固定ピン71、72の非嵌挿状態が検出されるのである。なお、リミットスイッチ150は請求項に記載された固定ピン嵌挿状態検出手段に該当するものである。
【0035】
図5は図4の状態から基端ジブ42を基端ブーム側面35側に接近させることにより、前記上側ジブ側固定ボス77と上側基端ブーム側固定ボス74とを、および前記下側ジブ側固定ボス78と下側基端ブーム側固定ボス75とを相互に同軸重合させ、さらに前記固定ピン駆動油圧シリンダ73を伸長し、上側固定ボス74と77及び下側固定ボス75と78に対し前記固定ピン71、72を嵌挿した状態を示している。この状態にあっては、前記リミットスイッチ150の検出部と下側固定ピン72に取付られた検出プレート152は離れており、固定ピンの嵌挿状態を検出可能となっている。
【0036】
図6は図5のF矢視詳細図であって、前記固定ピン抜き規制手段125の詳細を示すものである。127は基端ジブ42側の部材76に固着された部材126に対し、支軸128により軸支された規制部材である。規制部材127は厚板で構成されており、前記固定ピン駆動油圧シリンダ73のロッド129に近接して位置することが可能になっている。図5に示されるように、ロッド129に沿って前記規制部材127は伸長時の前記固定ピン駆動油圧シリンダ73のロッドカバー130と下側固定ピン72間に入り込むことができるようになっている。したがって、伸長状態のロッド129近傍に前記規制部材127が位置することにより、固定ピン駆動油圧シリンダ73の縮小動作(固定ピンの抜き側への移動)が規制されることになる。
【0037】
132は前記基端ジブ42側の部材76に固着された部材131と前記規制部材127との間に介装されたバネである。このバネ132により、前記規制部材127は固定ピン駆動油圧シリンダ73のロッド129に近接して位置するように付勢されている。133はそのアウターケーシングを前記部材131に取付け、そのインナーケーブル134を前記規制部材127に接続したコントロールケーブルである。コントロールケーブル133内部のインナーケーブル134を引張ると前記バネ132の付勢力に逆らって、前記規制部材127を前記固定ピン駆動油圧シリンダ73のロッド129から遠ざかる方向へ移動させることができるようになっている。これにより、規制部材129による伸長状態の固定ピン駆動油圧シリンダ73の縮小動作の規制を解除することができる。言い換えると、固定ピン71、72の抜き側への移動規制が解除されるのである。
【0038】
上記コントロールケーブル133は、請求項2に記載された関連手段に該当するものである。なお、関連手段はコントロールケーブルに限られず、リンク機構、油圧機構その他の機構が使用可能であることは勿論である。
【0039】
図7は図1のE矢視詳細図であって、基端ジブ42の基端部分とジブサポート41を支点ピン46側から見た図である。図8は図7のG矢視断面図であって、前記支点ピン46の内部構造を説明するものである。支点ピンは上側支点ピン46aと下側支点ピン46bとがネジ棒135により連結されて構成されている。ネジ棒135の上端部136には左ネジが切られており、当該上端部136にはその内側の穴に左ネジが切られた上側支点ピン46aがネジ込まれている。また、ネジ棒135の下端部137には右ネジが切られており、当該下端部137にはその内側の穴に右ネジが切られた下側支点ピン46bがネジ込まれている。138はその断面が正方形とされ、前記ネジ棒下端部137からさらに下方に突出した回転具連結部である。回転具連結部138に組み合せ可能な連結部を有する図示しない回転具によりネジ棒135全体を回転操作することが可能である。
【0040】
上側支点ピン46aにはその軸方向に溝143が切られており、上側ジブ基端側ボス44aにねじこまれたボルト139の先端が当該溝143にはまり込んでいる。これにより、上側支点ピン46aは回転が規制されながらも、溝143に沿っての軸方向の移動が許容されるようになっている。下側支点ピン46bも同様の構造となっている。ネジ棒135を回転させると、ネジ棒135に対して上側支点ピン46aと下側支点ピン46bは反対方向にネジ送りされることになり、この動作により上側支点ピン46aと下側支点ピン46bを上下に同時に突出させたり、引き込んだりすることができる。この支点ピンの機構は昇降ピンと呼ばれている。なお、連結ピン47も同じ構造である。
【0041】
前記コントロールケーブル133は、そのアウターケーシングがジブサポート41に固着された部材140に取付けられ、インナーケーブル134が前記上側固定ピン46aと一体の上側パイプ材139aに固着された部材141に取り付けられている。図8に示した状態から前記ネジ棒135の回転具連結部138が図示しない回転具により回転させられ、上側固定ピン46aが上方に突出し、先端ブーム側ボス33に対し嵌挿位置となるとコントロールケーブル133のインナーケーブル134が所定量だけ引張られることになる。係る部分により請求項2に記載された支点ピン嵌挿検出手段142が構成されている。
【0042】
図7に示したように、上述した支点ピン嵌挿状態検出手段142は前記固定ピン抜き規制手段125と連動手段(コントロールケーブル133)を介して関連付けられている。すなわち、前記支点ピン46a、46bがジブ基端部ボス44a、44b内部に位置しているときには、前記固定ピン抜き規制手段125は固定ピン71、72の抜き側への移動を規制し、支点ピン支点ピン46a、46bが基端ブーム側ボス33に嵌挿状態にあると、前記固定ピン71、72の抜き側への移動規制が解除されるようになっている。
【0043】
図13はジブ格納装置に関する部分の油圧回路と電気回路である。実際の油圧回路には、油圧シリンダを保持するパイロットチェック弁、負荷に関わらず操作量に応じた流量を補償する圧力補償弁等が使用されるが、実施の形態に直接関係ないため記載を省略している。
【0044】
153は過負荷防止装置であって、ブーム長さ検出器154、ブーム角度検出器155、ブーム負荷検出器156の各検出信号を受取るようになっている。157はクレーン作業状態設定手段であって、ブーム作業状態、ジブ作業状態あるいはジブ張出格納準備状態を選択してその信号を前記過負荷防止装置153に入力できるようになっている。159はジブセットリレーであって、前記クレーン作業状態設定手段157がジブ張出格納準備状態を選択すると電源ライン158から過負荷防止装置153に向かって電気が流され、そのリレー作動するものである。ジブセットリレー159に電気が流れると、常時開のジブセット接点160が閉じるようになる。161はブーム全縮小状態検出スイッチであって、伸縮ブームに取付けられ伸縮ブームが全縮小すると常時開の接点が閉じるようになっている。なお、ブーム全縮小検出スイッチ161は請求項に記載された伸縮ブーム全縮小検出手段に該当するものである。162は固定ピン駆動油圧シリンダ73を操作するための固定ピン操作スイッチである。163は固定ピン駆動油圧シリンダ73への作動油を切換操作するソレノイド式切換弁である。前記クレーン作業状態切換手段157でジブ張出格納準備状態が選択されることにより前記ジブセット接点160が閉となり、伸縮ブーム30が全縮小し前記ブーム全縮小検出スイッチ161が閉となると、前記固定ピン操作スイッチ162によりソレノイド式切換弁163を操作し、油圧ポンプ164からの作動油を固定ピン駆動油圧シリンダ73に送ることが可能となるのである。
【0045】
150は図4と図5に図示し説明した固定ピン嵌挿状態検出手段としての役割を持つリミットスイッチであって、前記固定ピン71、72が非嵌挿状態になるとその接点が閉となるものである。165はレバー駆動油圧シリンダ85を操作するためのレバー操作スイッチである。166はレバー駆動油圧シリンダ85への作動油を切換操作するソレノイド式切換弁である。前記クレーン作業状態切換手段157でジブ張出格納準備状態が選択されることにより前記ジブセット接点160が閉となり、伸縮ブーム30が全縮小し前記ブーム全縮小検出スイッチ161が閉となり、さらに前記第2ジブ固定手段70の固定ピン71、72が非嵌挿状態にあってリミットスイッチ150が閉となると、前記レバー操作スイッチ165によりソレノイド式切換弁166を操作し、油圧ポンプ164からの作動油をレバー駆動油圧シリンダ85に送ることが可能となるのである。
【0046】
なお、固定ピン駆動油圧シリンダ73が縮小動作し、上述したリミットスイッチ150が閉となるためには、既に説明したように支点ピン46が嵌挿され支点ピン嵌挿検出手段142、関連手段133を介して固定ピン抜き規制手段125による固定ピンの抜き規制が解除されていることが要件とされるものである。したがって、レバー操作スイッチ165によりレバー駆動油圧シリンダ85が操作可能となるためには、伸縮ブーム30が全縮小状態にあり、支点ピン46が嵌挿状態にあり、固定ピン71、72が非嵌挿状態にあることが要件とされるのである。
【0047】
167は前記伸縮ブーム30に内挿される伸縮シリンダであり、168は当該伸縮シリンダ167と油圧ポンプ170の間の油路に介装され、パイロット操作弁169により切換操作されるパイロット式切換弁である。171は前記油圧ポンプ170の吐出油路に接続され、タンク173との間に介装されたリリーフ弁であって、油圧ポンプ170の最高油圧を決定するものである。当該リリーフ弁171のベント油路はベントソレノイド弁172を介してタンクに接続されている。ベント油路がタンクに接続されると、前記リリーフ弁171は油圧ポンプ170の吐出した作動油を全量タンク173に戻すアンロード状態になるようになっている。ベントソレノイド弁172は前記過負荷防止装置153からの操作信号により切換操作されるようになっている。前記クレーン作業状態設定手段157がジブ作業状態、ブーム作業状態に選択されているときには、過負荷防止装置153からベントソレノイド弁172には切換信号が出力され、前記リリーフ弁171のベント油路はタンクと遮断される。したがって、前記油圧ポンプ170のから吐出される作動油は所定の最高圧力まで昇圧可能であり、前記伸縮シリンダ167はパイロット操作弁169の操作により伸縮操作可能である。一方、クレーン作業状態設定手段157がジブ張出格納準備状態に設定されると、前記ベントソレノイド弁172への切換信号が送られなくなる。すると、前記リリーフ弁171のベント油路はタンクに接続され、油圧ポンプ170はアンロード運転状態となる。したがって、この場合は、パイロット操作弁169による伸縮シリンダ167の伸縮操作が規制されることとなる。
【0048】
以上、その構成を説明したジブ格納装置によるジブ40の格納と張出は以下の通りである。
(ジブ格納)
ジブ40格納にあたり、図13に示した前記作業状態設定手段157がジブ張出格納準備状態に選択される。すると、上述したように油圧ポンプ170はアンロード状態となり伸縮シリンダ167の操作は規制されるので、誤ってジブ格納中に伸縮ブーム30を伸縮操作することによるジブ40あるいはジブ格納手段60、70等を損傷することが防止される。
【0049】
伸縮ブーム30の先端ブーム32の先端に張出されたジブ40は、まずその先端ジブ43が基端ジブ42に対して折畳まれるようにして格納される。具体的には、前記先端ジブ43と基端ジブ42間の他側を連結していたジブ連結ピン51が抜かれる。そして、先端ジブ43と基端ジブ42間の一側を連結しているジブ支点ピン48を支軸として、先端ジブ43が前記基端ジブ42の側方領域を回転移動することにより基端ジブ42の側方位置に格納される。先端ジブ43を回転移動するには先端ジブを人力で引張ることにより行われる。この時、前記ジブ間固定手段52によって先端ジブ43と基端ジブ42が固定される。
【0050】
次に、折畳まれたジブ40はさらにそのジブ全体が伸縮ブーム30に対して折畳まれるようにして格納される。具体的には、前記ジブサポート41と先端ブーム32間の他側を連結していた連結ピン47が抜かれる。そして、前記ジブサポート41と先端ブーム32の一側を連結している支点ピン46を支軸として、ジブ40全体が前記伸縮ブーム30の側方領域を回転移動することにより基端ブーム31の側方位置に格納される。なお、ジブ40全体の回転移動もジブ40を人力で引張ることにより行われる。
【0051】
ジブ40全体を伸縮ブーム30の側方領域を回転移動する際には伸縮ブーム30は全縮小されている。従来技術で説明したように基端ブーム31と先端ブーム32間にはブーム回転防止ストッパが介装されており、伸縮ブーム30が全縮小した状態では当該ブーム回転防止ストッパを介して先端ブーム32に作用するねじりトルクが直接基端ブーム31に伝達されるので、ジブ40全体を伸縮ブーム30の側方領域を回転移動させることにより先端ブーム32に大きなねじりトルクを加えても何ら問題が起きない。
【0052】
図9はジブ40全体を支点ピン46を支軸として回転移動することにより、前記張出格納補助手段80のレバー81先端の自動ピン88の先端部89がジブ側の係合部材91の長穴93に係合した状態を示す図である。この時、図13に示したブーム全縮小検出スイッチ161は閉となっており、ジブセット接点160は閉となっており、固定ピン嵌挿検出のリミットスイッチ150も閉となっているため、前記レバー駆動油圧シリンダ85はレバー操作スイッチ165によって伸縮操作可能となっている。図9の状態からレバー駆動油圧シリンダ85を縮小操作するとレバー81はその先端部の自動ピン88が基端ブーム側面35に対して接近する方向に揺動駆動される。レバー81の揺動に伴ない、ジブ40も基端ブーム側面35に対し接近駆動される。その時、前記ローラ65が前記サポート61の傾斜した面64上をジブ40の重量を支持しながら転動する。したがって、ジブ40は前記斜面64に沿って引上げられることになる。
【0053】
図2と図2のD矢視図である図3は、ジブ格納補助手段のレバー81がその揺動ストローク一杯に基端ブーム側面35側に移動したときの状態である。この時、前記基端ジブ42に固着された部材67に取付られたローラ65は完全に前記サポート61の斜面64を登り切り、基端ブーム上面36に平行な面62上に位置している。なお、ジブ側のもう1つのローラ66もサポート61の基端ブーム上面36に平行な面62上に位置している。したがって、図2と図3の状態にあってはジブ40の重量は、ローラ65、66を介してサポート61により支持されるようになっている。
【0054】
図1は、第1ジブ格納手段60とジブ40が図2と図3に示した状態にある時の、伸縮ブーム30とジブ40の全体を上方から見た図である。この時は、前記ジブサポート41の一側部のジブ基端側ボス44と先端ブーム32の一側部の先端ブーム側ボス33は相互に同軸重合して、それらに共通の支点ピン44を嵌挿した状態のままである。この状態は、ジブ40を先端ブーム32にセットした状態という意味からジブセット状態と呼ばれる。
【0055】
上記ジブセット状態にあるときは、第2ジブ格納手段70では、ジブ側固定ボス77、78が基端ブーム側固定ボス74、75と同軸重合するようになっている。この時、図13に示したブーム全縮小検出スイッチ161は閉となっており、ジブセット接点160も閉となっているので、固定ピン操作スイッチ162によって前記固定ピン駆動シリンダ73を伸長させ、固定ピン71、72をジブ側固定ボス77、78に嵌挿することができる。これにより、第2ジブ格納手段70での基端ジブ42と基端ブーム31との係合が行われる。第2ジブ格納手段70により前記ジブ40が前記基端ブーム31に対し係合された状態を図5に示す。
【0056】
次に、図1に示した前記ジブサポート41の一側部のジブ基端側ボス44と先端ブーム32の一側部の先端ブーム側ボス33との支点ピン46による連結を解除する。具体的には図7と図8に示した支点ピン46の回転具連結部138を回転具を使って地上から人力で回転操作することにより、前記上側支点ピン46a、下側支点ピン46bがそれぞれ上側ジブ基端側ボス44a、下側ジブ基端側ボス44bに格納されるように操作する。これにより、支点ピン46によるジブ基端側ボス44と先端ブーム側ボス33との連結が解除される。
【0057】
次に、図2と図3に示したレバー81先端の自動ピン88の操作環90を引くことにより、自動ピン先端部89とジブ側の係合部材91との係合を解除する。これにより、人力によりジブ40全体を前記第2ジブ格納手段70の固定ピン71、72を支軸として揺動することが可能となる。この場合の揺動は、図1に示したジブサポート41の一側部のジブ基端側ボス44と先端ブーム32の一側部の先端ブーム側ボス33との同軸重合状態を解除することが目的であるため、揺動による移動量はわずかなものである。図10は図1に示したジブセット状態からさらにジブ40を基端ブーム側面35側に移動(揺動)した時の状態を示したものである。図10に示されたジブ40の状態は、ジブ40が基端ブーム側面35の格納位置に置かれた状態であるので、ジブ格納状態と呼ばれる。ジブセット状態からジブ格納状態へは、図2に示すようにジブ40全体の重量はローラ65、66によりサポート61の基端ブーム上面に平行な面62で支持されながらジブ40全体が基端ブーム側面35側へ移動するので、小さな力で動かすことが可能である。
【0058】
図11は図10のH矢視図であって、ジブ格納状態を示すものである。101は第1ジブ格納手段60のサポート61に取付られた自動ピンであって、既述したレバー81先端の自動ピン88と同じ構造のものである。102は先端ジブ43に取付られた係合部材であって、前記サポート61側の自動ピン101と自動的に係合するようになっている。105はサポート側ボス103と先端ジブ43側ボス104が同軸重合したときに嵌挿される格納ピンであり、108はサポート側ボス106と基端ジブ側ボス107が同軸重合したときに嵌挿される格納ピンである。上記格納ピン105、108の嵌挿により、ジブ40は第1ジブ格納手段60のサポート61にしっかりと固定されるのである。
【0059】
図12は図10のC矢視詳細図であって、ジブ格納状態におけるジブブーム間固定手段53を示すものである。111は基端ブーム側面35から先端ジブ43側に張出されたサポート110に取付けられた基端ブーム側ボスであり、112は先端ジブ43に取付けられた先端ジブ側ボスである。上記基端ブーム側ボス111と先端ジブ側ボス112が同軸重合した状態で、格納ピン113が嵌挿される。上記格納ピン113の嵌挿により、先端ジブ43の先端部が基端ブーム側面のサポート110にしっかりと固定されるのである。以上が、本発明の実施の形態に係るクレーン車のジブ格納装置によるジブ40の格納手順である。
(ジブ張出)
ジブ40の張出手順は基本的には上述したジブ格納手順を逆に行えばよいのである。そこで、以下にジブ張出における特徴点である、前記伸縮ブーム全縮小検出手段(ブーム全縮小検出スイッチ161)、支点ピン嵌挿状態検出手段142(固定ピン抜き規制手段125を含む)および固定ピン嵌挿状態検出手段(リミットスイッチ150)の検出結果に基く張出格納補助手段80のレバー駆動油圧シリンダ85の規制作用を中心に説明する。なお、ジブ張出にあたっても、図13に示した前記作業状態設定手段157がジブ張出格納準備状態に選択される。すると、上述したように油圧ポンプ170はアンロード状態となり伸縮シリンダ167の操作は規制されるので、誤ってジブ張出中に伸縮ブーム30を伸縮操作することによるジブ40あるいはジブ格納手段60、70等を損傷することが防止される。
【0060】
ジブ40張出に当たっては、図10に示したジブ格納状態から第2ジブ格納手段70の固定ピン71、72を支軸として、ジブ40全体を揺動させ前記先端ブーム側ボス33と基端ジブ側ボス44が同軸重合する図1に示すジブセット状態にする。このとき、まだ支点ピン46は前記先端ブーム側ボス33に嵌挿されていない。この状態で図5に示す前記第2ジブ格納手段70の固定ピン71、72を固定ピン駆動油圧シリンダ73により強制的に基端ジブ側ボス77、78から抜こうとしても、前記固定ピン抜き規制手段125の規制部材127が固定ピン駆動油圧シリンダ73のロッドカバー130と下側固定ピン72の間にはまり込んでいるので、固定ピン駆動油圧シリンダ73は縮小することができない。すなわち、張出手順を誤り、支点ピンよって先端ブーム32とジブサポート41とを連結する前に第2ジブ格納手段70の固定ピン71、72を抜こうとしても、固定ピン抜き規制手段125によって誤操作が防止される。
【0061】
次に、図7と図8に示した支点ピン46を図示しない回転具によって回転させ、支点ピン46をジブ基端側ボス44に対して同軸重合している先端ブーム側ボス33に嵌挿する。すると、上側支点ピン46aの嵌挿位置への移動が前記コントロールケーブル133によって固定ピン抜き規制125に伝えられる。図6に示した固定ピン抜き規制手段125では、コントロールケーブル133に引張られることにより、前記規制部材127の先端が固定ピン駆動油圧シリンダ73のロッド129から離れた位置に動かされる。(この時の規制部材127を二点鎖線で示している。)これにより、固定ピン71、72の抜き側への移動規制が解除されるのである。
【0062】
この時、図13の示したブーム全縮小検出スイッチ161は閉となっており、ジブセット接点160も閉となっているので、前記固定ピン操作スイッチ162によりソレノイド切換弁163を切換え、固定ピン駆動油圧シリンダ73を縮小させることが可能である。固定ピン71、72がジブ側固定ボス77、78から抜かれ非嵌挿状態となると、前記リミットスイッチ150が検出操作され接点が閉となる。
【0063】
この状態では図13に示したブーム全縮小検出スイッチ161は閉となっており、ジブセット接点160は閉となっており、固定ピン嵌挿検出のリミットスイッチ150も閉となっているため、前記レバー駆動油圧シリンダ85はレバー操作スイッチ165によって伸縮操作可能となっている。図2の状態からレバー駆動油圧シリンダ85を伸長操作するとレバー81はその先端部の自動ピン88が基端ブーム側面35に対して離間する方向に揺動駆動される。これにより、レバー81の揺動に伴ない、ジブ40も基端ブーム側面35に対し離間駆動されるのである。
【0064】
【発明の効果】
本願の請求項1に記載されたクレーン車のジブ格納装置では、伸縮ブームを全縮小状態のまま横振出しジブを張出格納できるよう伸縮ブームの基端ブームの側面部に格納状態のジブと基端ブームとの間に第1ジブ格納手段と第2ジブ格納手段およびジブ張出格納補助手段を介装したクレーン車のジブ格納装置において、伸縮ブームが全縮小しており、支点ピンが嵌挿され、固定ピンが非嵌挿となっているときのみ前記張出格納補助手段のレバー駆動油圧シリンダを操作できるようにしたので、上記ジブ格納装置の所定の機能を発揮させるとともに、ジブの落下あるいはジブ等の損傷を防止することができるのである。
【0065】
また、本願の請求項2に記載されたクレーン車のジブ格納装置では、クレーン作業状態設定手段がジブ張出格納準備状態に設定されているときには、伸縮ブームを伸縮操作しても伸縮ブームが伸縮動作しないので、上述したジブ格納装置でのジブ張出格納準備中に誤って伸縮ブームを伸縮操作してもジブあるいはジブ格納装置を損傷することを防止できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の発明の実施の形態に係るジブ格納装置を使用した伸縮ブームとジブである。
【図2】図1のA矢視詳細図である。
【図3】図2のD矢視図である。
【図4】図1のB矢視詳細図である。
【図5】ジブを基端ブームに固定したときの状態を図示するものである。
【図6】図5のF矢視詳細図である。
【図7】図1のE矢視詳細図である。
【図8】図7のG矢視断面図である。
【図9】張出格納補助手段のレバー先端の自動ピンとジブ側係合部材が係合した状態を示す図である。
【図10】ジブ格納状態の伸縮ブームとジブを示す図である。
【図11】図10のH矢視詳細図である。
【図12】図10のC矢視詳細図である。
【図13】ジブ格納装置に関する油圧回路と電気回路である。
【図14】実公昭59−43358公報記載のジブ格納装置である。
【図15】実公昭59−43358公報記載のジブ格納装置である。
【符号の説明】
Aはジブ支持装置、Bはジブ支持装置、1は基端ブーム、2は先端ブーム、3はジブ、5は先端ブーム側ボス、7は支点ピン、15はジブ基端側ボス、30は伸縮ブーム、31は基端ブーム、32は先端ブーム、33は先端ブーム一側部の先端ブーム側ボス、34は先端ブーム他側部の先端ブーム側ボス、40はジブ、41はジブサポート、42は基端ジブ、43は先端ジブ、44はジブサポート基端部一側部のジブ基端側ボス、45はジブサポート基端部他側部のジブ基端側ボス、46は支点ピン、47は連結ピン、48はジブ支点ピン、49は吊荷用シーブ、50は吊荷用シーブ、51はジブ連結ピン、52はジブ間固定手段、53はジブブーム間固定手段、60は第1ジブ格納手段、61はサポート、62は基端ブーム上面に平行な面、63は辺、64は下方に傾斜する面、65と66はローラ、70は第2ジブ格納手段、71と72は固定ピン、73は固定ピン駆動油圧シリンダ、74と75は基端ブーム側固定ボス、77と78はジブ側固定ボス、79は調整部材、80は張出格納補助手段、81はレバー、85はレバー駆動油圧シリンダ、88は自動ピン、89はピン先端部、91は係合部材、92はレバー揺動面に平行な面、93は長穴、125は固定ピン抜き規制手段、127は規制部材、133はコントロールケーブル(間連手段)、134はインナーケーブル、142は支点ピン嵌挿状態検出手段、150はリミットスイッチ(固定ピン嵌挿状態検出手段)、152は検出プレート、153は過負荷防止装置、154はブーム長さ検出器、155はブーム角度検出器、156はブーム負荷検出器、157は作業状態設定手段、159はジブセットリレー、160はジブセット接点、161はブーム全縮小検出スイッチ(伸縮ブーム全縮小検出手段)、162は固定ピン操作スイッチ、165はレバー操作スイッチ、167は伸縮シリンダ、169はパイロット操作弁、171はリリーフ弁、172はベントソレノイド弁

Claims (2)

  1. 伸縮ブームの先端ブーム一側部及び該先端ブームの先端に着脱自在に装着されるジブの基端部一側部にそれぞれボスを形成し、且つ該先端ブーム側ボスとジブ基端側ボスとが相互に同軸重合してそれらに共通の支点ピンを嵌脱自在に嵌挿する一方、前記伸縮ブームの全縮小状態のままで前記支点ピンを支軸として前記ジブを伸縮ブーム側方領域を回転移動することにより張出格納自在とするとともに、
    前記伸縮ブームの基端ブーム側面部に格納状態の前記ジブと基端ブームとの間には、基端ブーム基端側に配置された第1ジブ格納手段と、基端ブーム先端側に配置された第2ジブ格納手段と、張出格納補助手段と、が介装されており、
    前記第1ジブ格納手段は、前記基端ブーム側面に配置され基端ブーム側面から離間する方向へ下方に傾斜するサポートと、前記ジブに配置された転動可能なローラと、を備えており、前記ジブの係合離脱の際には前記ローラが前記サポートの傾斜面上をジブの重量を支持しながら転動するよう構成され、
    前記第2ジブ格納手段は、前記基端ブーム側面に配置された基端ブーム側固定ボスと、前記ジブ側面に配置されたジブ側固定ボスと、基端ブーム側面に沿って伸縮ブーム軸線に直交する方向に移動可能に支持された固定ピンと、当該固定ピンを駆動する固定ピン駆動油圧シリンダと、を備えており、前記基端ブーム側固定ボスとジブ側固定ボスとが相互に同軸重合し、それらに共通の前記固定ピンを嵌脱自在に嵌挿することにより、前記基端ブームに対し前記ジブを係合するよう構成され、
    前記張出格納補助手段は、その先端が基端ブーム側面に対し接近あるいは離間する方向に揺動可能なレバーと、当該レバーを駆動するレバー駆動油圧シリンダと、前記レバー先端に配置されレバー揺動面に直交する方向にその先端部を突出するようバネ付勢された自動ピンと、前記自動ピン先端部が係合可能な穴を有する前記ジブに配置された係合部材と、を備えており、前記自動ピンが係合部材に係合した状態で前記レバーが揺動すると、前記第1ジブ格納手段による前記ジブと基端ブームとの係合離脱が行われるよう構成されたクレーン車のジブ格納装置であって、
    前記伸縮ブームの全縮小状態を検出する伸縮ブーム全縮小状態検出手段と、
    前記支点ピンの嵌挿状態を検出する支点ピン嵌挿状態検出手段と、
    前記第2ジブ格納手段における前記固定ピンの嵌挿状態を検出する固定ピン嵌挿状態検出手段と、を備え、
    前記伸縮ブーム全縮小状態検出手段が伸縮ブームの全縮小状態を検出し、
    前記支点ピン嵌挿状態検出手段が支点ピンの嵌挿状態を検出し、
    前記固定ピン嵌挿状態検出手段が固定ピンの非嵌挿状態を検出したときのみ前記張出格納補助手段のレバー駆動油圧シリンダを操作可能となるよう構成したことを特徴とするクレーン車のジブ格納装置。
  2. 前記伸縮ブームに対して設けられたブーム長さ検出器、ブーム角度検出器、ブーム負荷検出器からの検出信号を受取り、当該検出信号とクレーン作業状態に応じて伸縮ブームの動作を規制する過負荷防止装置と、当該過負荷防止装置に対してクレーン作業状態の設定を行うクレーン作業状態設定手段と、を備え、
    当該クレーン作業状態設定手段が、ジブ張出格納準備状態に設定されているときには、前記過負荷防止装置は前記伸縮ブームの伸縮動作を規制することを特徴とする請求項1に記載されたクレーン車のジブ格納装置。
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