JP4227748B2 - クレーン車のジブ格納装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クレーン車に用いられるジブの格納装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりクレーン車のジブ格納装置としては実公昭59−43358号公報に記載の技術が用いられている。以下図10〜12に基いて同公報記載のジブ格納装置を説明する。
【0003】
図10に示されるように、先端ブーム2の先端一側部及び該先端ブーム2の先端部に着脱自在に装着されるラチス構造のジブ3の基端一側部にはそれぞれボス5、15が形成されている。そして、当該先端ブーム側ボス5とジブ基端側ボス15とが相互に同軸重合してそれらに共通の支点ピン7が嵌脱自在に嵌挿可能とされている。さらに前記支点ピン7を支軸としてジブ3を先端ブーム2の側方領域を回転移動することにより基端ブーム1の側面に沿って格納自在となっている。このような張出格納方式のジブを横振出しジブと呼んでいる。
【0004】
図11に示したA,Bは基端ブーム1側面と格納時のジブ3との間に介装されるジブ支持装置であり、当該ジブ支持装置A,Bによりジブ3の重量を基端ブーム1に担持する。ジブ支持装置Aはジブ3の側面に取付けられたツノ部材22と基端ブーム1側面に取付けられ当該ツノ部材22と係合可能な穴を有するツノ受金25とから構成され、ジブ支持装置Bはジブ3の先端部に取付けられた先ツノ21と基端ブーム1側面に取付けられ当該先ツノ21と係合可能な穴を有するツノ受金24とから構成されている。前記ジブ3側のツノ部材22と先ツノ21はジブ3を基端ブーム1に沿って基端ブーム1の基端方向に移動させると前記基端ブーム1側のツノ受金25とツノ受金24の穴に係合するようになっている。したがって、ジブ3を前記ジブ支持部材A,Bによって基端ブーム1側面で格納するには、先端ブーム一側部とジブ基端部一側部を前記支点ピン7で連結し、ジブ3の先端が基端ブーム1の基端方向を向いた連結状態で、先端ブーム2を縮小動作させることが必要となる。
【0005】
なお、ジブ3を支点ピン7のみで先端ブーム2に連結し、支持した状態ではジブ3の自重によりジブ3の先端は下方に変位している。そのため、前記ジブ支持装置A,Bの係合を行うにはその変位を解消する高さ分だけ引き上げる必要があり、その引上げには大きな力を要するものであった。その意味からも、伸縮ブームの伸縮力を利用して係合離脱する前記ジブ支持装置は有効なものであった。
【0006】
図12は、前記ジブ支持装置A、Bによってジブ3を基端ブーム1側面に支持したのち、前記支点ピン7による先端ブーム側ボス5とジブ基端側ボス15の連結を解除し、前記ジブ支持装置Aを中心としてジブ3先端部が基端ブーム1に接近するように図12に示された平面内でジブ3を揺動させた状態を表している。これにより、先端ブーム側ボス5とジブ基端側ボス15との同軸重合を解除することが可能である。以上がラチス構造のジブ3に用いられる実公昭59−43358号公報記載のジブ格納装置によるジブ格納技術である。
【0007】
上述したジブ格納装置が使用されてきた一方、近年伸縮ブームを構成する各段ブームの断面形状がブームの軽量化あるいは溶接箇所を減らすこと等を目的として、従来多用された長方形から角部に大きな円弧による面取りを施したり、あるいは折り曲げ箇所を増やして全体として多角形状にするなど全体としてR型多角形断面になる傾向にある。各段ブーム間の荷重伝達は、ブーム間に介装されたスライドプレートによって行われるのであるが、係るR型多角形断面は伸縮ブーム中心軸回りのねじりトルクを先端ブームから基端ブームに伝えるには不利な形状である。すなわち、先端ブームに伸縮ブーム中心軸回りのねじりトルクが作用すると、基端ブーム1に対する先端ブーム2のねじれにより、スライドプレート部分で回転方向のズレが発生しやすく、伸縮ブーム全体として回転変位が大きくなる。したがって、R型多角形断面を有する伸縮ブームにはなるべく先端ブームに大きなねじりトルクが作用しないようにすることが望ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した実公昭59−43358号公報に記載されたジブの格納装置におけるジブ張出格納においては前記支点ピン7を支軸として前記ジブ3を先端ブーム2の側方領域を回転移動するものであるため、ジブ3が先端ブーム2に対して直角方向を向いた時には、先端ブーム2にはジブ3の重量により大きなねじりトルクが作用するものであった。
【0009】
一方、ブームが全縮小した状態で上記先端ブーム2に作用するねじりトルクを基端ブーム1に伝達するよう先端ブーム2と基端ブーム1の間に介装されるブーム回転防止ストッパが開発されている。当該ブーム回転防止ストッパは、具体的には先端ブーム2先端部に設けられた突起部と基端ブーム1先端部に設けられた受け部とから構成され、先端ブーム2を基端ブーム1に対し全縮小することにより、前記突起部と受け部が係合するようになっている。したがって、係るブーム回転防止ストッパはブームが全縮小していることがその機能を果たす条件である。上述した実公昭59−43358号公報の技術では、前記ジブ支持装置A,Bの係合離脱操作の際に先端ブーム2の伸縮動作が行われるため、前記支点ピン7を支軸として前記ジブ3を先端ブーム2の側方領域を回転移動する過程では伸縮ブームが僅かながら必ず伸長しており、上記ブーム回転防止ストッパが役立たないものであった。
【0010】
もちろん、上記補助ジブ支持装置A,Bでの係合離脱操作の前後で伸縮ブームを全縮小する動作を加え、ジブ3を支点ピン7を中心として回動する時には伸縮ブームを全縮小するようにすれば、前記ブーム回転防止ストッパの機能を発揮する事も可能であるが、ジブの張出格納作業はその迅速性が求められており係る余分な伸縮動作を加えることは現実的な解決方法ではなかった。
【0011】
そこで本発明は、上述したジブ支持装置を伸縮ブームの伸縮動作を用いず、先端ブーム2を全縮小状態として前記支点ピン7を支軸として前記ジブ3を回転させそのまま係合離脱できるように構成することにより、伸縮ブームを全縮小したままでジブを張出格納することができるジブ格納装置を提供しようとするものである。また、ジブ3は自重が大きいため前記支点ピン7を支軸として回転する際にはジブ先端が下方に変位しており、人力でジブ3を基端ブーム1側面にジブ支持装置により格納する際の引上げ作業は、作業者の疲労を伴なうのみならず、作業能率も悪いものである。そこで本発明は、さらにジブ支持装置へのジブの係合離脱操作のための張出格納補助手段をジブ格納装置に付加しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に記載されたクレーン車のジブ格納装置は、伸縮ブームの先端ブーム一側部及び該先端ブームの先端に着脱自在に装着されるジブの基端部一側部にそれぞれボスを形成し、且つ該先端ブーム側ボスとジブ基端側ボスとが相互に同軸重合してそれらに共通の支点ピンを嵌脱自在に嵌挿可能とする一方、前記伸縮ブームの全縮小状態のままで前記支点ピンを支軸として前記ジブを伸縮ブーム側方領域を回転移動することにより張出格納自在とするとともに、前記伸縮ブームの基端ブーム側面部に格納状態の前記ジブと基端ブームとの間には、基端ブーム基端側に配置された第1ジブ格納手段と、基端ブーム先端側に配置された第2ジブ格納手段と、前記ジブを張出格納する張出格納補助手段と、が介装されており、前記張出格納補助手段は、前記ジブが前記支点ピンに軸支された状態で、前記ジブを基端ブーム側面に対し接近あるいは離間駆動させることにより前記ジブと基端ブームとの間の前記第1ジブ格納手段による係合離脱を行うクレーン車のジブ格納装置であって、前記張出格納補助手段は、その先端が基端ブーム側面に対し接近あるいは離間する方向に揺動可能なレバーと、当該レバーを揺動駆動する油圧シリンダと、前記レバー先端に配置されレバー揺動面に直交する方向にその先端部を突出するようバネ付勢された自動ピンと、前記自動ピン先端部が係合可能な穴を有する前記ジブに配置された係合部材と、を備えており、前記自動ピンが係合部材に係合した状態で前記レバーが揺動することにより前記ジブと基端ブームとの間の前記第1ジブ格納手段による係合離脱を行うことを特徴としている。
【0013】
この構成により、前記ジブが前記支点ピンに軸支された状態で、前記張出格納補助手段により前記ジブを基端ブーム側面に対し接近あるいは離間駆動させ、前記ジブと基端ブームとの間の前記第1ジブ格納手段による係合離脱を行うようにしたので、前記伸縮ブームの全縮小状態のままで前記支点ピンを支軸として前記ジブを伸縮ブーム側方領域を回転移動することにより張出格納することができるのである。
【0014】
【0015】
さらに、この構成により、前記第1ジブ格納手段による係合離脱を行うに必要な前記張出格納補助手段の駆動ストロークを、揺動可能なレバーとその駆動油圧シリンダとの組み合せにより得ることができるのである。また、前記レバーの駆動を油圧シリンダで行っているので自重の大きなジブであっても前記第1ジブ格納手段により係合できるよう引き上げることができるのである。
【0016】
本願の請求項2に記載されたクレーン車のジブ格納装置は、前記係合部材は、前記レバー揺動面に平行な面を有し、当該面上に設けられた前記係合可能な穴は上下方向に明けられた長穴であることを特徴としている。
【0017】
この構成により、ジブ先端部の下方への変位と前記レバー先端の自動ピンのレバーの揺動に基く上下の変位とを前記長穴により吸収することができるのである。
【0018】
本願の請求項3に記載されたクレーン車のジブ格納装置は、前記第1ジブ格納手段は、前記基端ブーム側面に配置され基端ブーム側面から離間する方向へ下方に傾斜する面を有するサポートと、前記ジブに配置された転動可能なローラと、を備えており、前記ジブとの係合離脱の際には前記ローラが前記サポートの傾斜面上を前記ジブの重量を支持しながら転動することを特徴とする。
【0019】
この構成により、前記ローラがサポートの斜面を転動しながら前記ジブを所定の位置に引き上げるので、前記ジブと基端ブームとの間の第1ジブ格納手段による係合離脱をスムーズに行うことができるのである。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の実施の形態に係るクレーン車のジブ格納装置を使用した伸縮ブーム30とジブ40を示す。
【0021】
R型多角形断面を有する伸縮ブーム30は図示しないクレーン車の走行可能な車輌部に旋回可能に搭載された旋回台に対し起伏可能に枢着される。伸縮ブーム30は基端ブーム31に伸縮可能に嵌挿された中間ブームと中間ブームに伸縮可能に嵌挿された先端ブーム32とから構成される。ジブ40は前記先端ブーム32の先端部に着脱自在に装着されるジブサポート41と、当該ジブサポート41にチルト自在に連結される基端ジブ42と、当該基端ジブの先端部にさらに連結される先端ジブ43とから構成される。実施の形態に係るジブ40は前記基端ジブ42先端部一側と先端ジブ基端部一側がジブ支点ピン48により回転自在に連結されており、図示するように基端ジブ42に対し先端ジブ43を内側に折畳んだ姿勢で前記基端ブーム31の側面に格納する点に特徴を有するもので、バイホールドジブと呼ばれるものである。49は基端ジブ42の先端部に設けられた吊荷用シーブであり、50は先端ジブ43の先端部に設けられた吊荷用シーブである。ジブ40を先端ブーム32の先端部に張出た際に、図示した基端ジブ42に先端ジブ43を折畳んだ姿勢のままで基端ジブ先端から吊荷用ワイヤを吊下してジブ作業を行うことが可能であるとともに、さらに基端ジブ42の先端部に先端ジブ43を前記ジブ支点ピン48を中心に回転して張出し、先端ジブ43の先端から吊荷用ワイヤを吊下してジブ作業を行うことも可能である。51は先端ジブ43を基端ジブ42の先端に張出した際に基端ジブ先端部他端と先端ジブ基端部他端を連結するジブ連結ピンである。
【0022】
33は先端ブーム32の一側部に形成された先端ブーム側ボスであり、44はジブサポート41の基端部一側部に形成されたジブ基端側ボスである。図1には当該先端ブーム側ボス33とジブ基端側ボス44が同軸重合した状態が示されている。46は同軸重合した前記先端ブーム側ボス33とジブ基端側ボス44に共通に嵌脱自在に嵌挿可能な支点ピンである。当該支点ピン46を支軸としてジブ40を伸縮ブーム30の側方領域を回転移動することにより図示された基端ブーム側面の格納側位置と先端ブーム32の先端部の張出側に張出格納自在となっている。34は前記先端ブーム32の他側部に形成された先端ブーム側ボスであり、45はジブサポート41の基端部他側部に形成されたジブ基端側ボスである。ジブ40が先端ブーム32先端部の張出側に張出された際には、前記先端ブーム側ボス34とジブ基端側ボス45が同軸重合し、これらに共通の連結ピン47により連結されるようになっている。
【0023】
なお、本願発明のジブ格納装置は上述したバイホールドジブ40のみならず、前記支点ピンを支軸として伸縮ブームの側方領域を回転移動することにより張出格納されるジブであれば、他の形式のジブにも適用できることは勿論である。
【0024】
60は前記伸縮ブーム30の基端ブーム側面部に格納状態の前記ジブ40と基端ブーム31との間に介装されるジブ格納手段のうち、基端ブーム基端側に配置された第1ジブ格納手段であり、70は基端ブーム先端側に配置された第2ジブ格納手段である。80は前記ジブ40と基端ブーム31との間に介装される張出格納補助手段である。
【0025】
52は前記ジブ支点ピン48を支軸として折畳んだ基端ジブ42と先端ジブ43を固定するジブ間固定手段であり、53は折畳んだ状態のジブ40を基端ブーム31の側面に固定するジブブーム間固定手段である。
【0026】
図2は図1のA矢視詳細図であって、図3は図2のD矢視図であり、共に前記第1ジブ格納手段60と張出格納補助手段80の詳細を図示するものである。なお、図3においては見やすくするため、前記第1ジブ格納手段60と張出格納補助手段80の上方に位置する前記基端ジブ42と先端ジブ43を二点鎖線で示している。
【0027】
61は基端ブーム側面35に設置された前記第1ジブ格納手段60を構成するサポートであって、基端ブーム上面36に平行な面62と当該面62の基端ブーム側面35とは離間する側の辺63で連続し前記基端ブーム側面35に離間する方向へ下方に傾斜する面64を有している。65と66は基端ジブ42に固着された部材67に配置された転動可能なローラである。図3に示されるようにローラ65はローラ66に対して基端ジブ42の軸方向にややずらして取り付けられており、ローラ65は前記基端ブーム上面36に平行な面62と傾斜面64とを転動し、ローラ66は平行な面62のみを転動するようになっている。
【0028】
81は前記サポート61に一体的に構成されたブラケット82の支軸83を中心としてその先端84が基端ブーム側面35に対して接近あるいは離間する方向に揺動可能なレバーである。85はそのロッド側端部86を前記レバー81に枢着し、シリンダ側端部87を前記ブラケット82に枢着した油圧シリンダである。当該油圧シリンダ85を伸縮させることにより、前記レバー81を前記支軸83を中心として揺動駆動することができるようになっている。88は前記レバー81の先端84に配置されレバー揺動面に直交する方向にその先端部89を突出するよう内臓するバネによりバネ付勢された自動ピンである。自動ピン88には操作環90が取付けられており、バネ付勢に逆らって先端部を引込めるようになっている。
【0029】
91は前記基端ジブ42に固着された部材67に配置された係合部材であって、前記レバー81の揺動面に平行な面92を有しており、当該面上には前記自動ピン88の先端部89が係合可能な長穴93が上下方向に明けられている。図3に示されるように係合部材91の面92はその基端ブーム側面35に向かう方向と反対方向に傾斜する面を有しており、前記ジブ40を支点ピン46回りに回転させた際には、前記自動ピン88の先端部89が前記傾斜する面に沿ってバネ付勢に逆らって押し込められた後、先端部89が前記長穴93に突出し、前記レバー81と係合部材91が自動的に係合するようになっている。
【0030】
図4は図1のB矢視詳細図であって、第2ジブ格納手段70を示すものである。
【0031】
71は上側固定ピン、72は下側固定ピン、73は上側固定ピン71と下側固定ピン72の間に配置された固定ピン駆動油圧シリンダである。74は上側基端ブーム側固定ボス、75は下側基端ブーム側固定ボスである。79は基端ブーム側面35に対して上下位置と平行度と調整可能とされた調整部材であり、調整部材79には前記上側基端ブーム側固定ボス74と下側基端ブーム側固定ボス75が固着されている。そして、上側基端ブーム側固定ボス74に上側固定ピン71が嵌脱自在に配置されており、下側基端ブーム側固定ボス75には下側固定ピン72が嵌脱自在に配置されている。76は基端ジブ42に固着された部材であって、当該部材76から基端ブーム側面35に向けて上側ジブ側固定ボス77と下側ジブ側固定ボス78が配置されている。
【0032】
図4は上述した上側基端ブーム側固定ボス74と上側ジブ側固定ボス77が相互に同軸重合し、下側基端ブーム側固定ボス75と下側ジブ側固定ボス78が相互に同軸重合した状態を示している。この状態で固定ピン駆動油圧シリンダ73を駆動すると、同軸重合した上側固定ボス74と77及び下側固定ボス75と78を前記固定ピン71、72により嵌挿することが可能である。
【0033】
上述したクレーン車のジブ格納装置によるジブの格納手順は以下の通りである。伸縮ブーム30の先端ブーム32の先端に張出されたジブ40は、まずその先端ジブ43が基端ジブ42に対して折畳まれるようにして格納される。具体的には、前記先端ジブ43と基端ジブ42間の他側を連結していたジブ連結ピン51が抜かれる。そして、先端ジブ43と基端ジブ42間の一側を連結しているジブ支点ピン48を支軸として、先端ジブ43が前記基端ジブ42の側方領域を回転移動することにより基端ジブ42の側方位置に格納される。先端ジブ43を回転移動するには先端ジブを人力で引張ることにより行われる。この時、前記ジブ間固定手段52によって先端ジブ43と基端ジブ42が固定される。
【0034】
次に、折畳まれたジブ40はさらにそのジブ全体が伸縮ブーム30に対して折畳まれるようにして格納される。具体的には、前記ジブサポート41と先端ブーム32間の他側を連結していた連結ピン47が抜かれる。そして、前記ジブサポート41と先端ブーム32の一側を連結している支点ピン46を支軸として、ジブ40全体が前記伸縮ブーム30の側方領域を回転移動することにより基端ブーム31の側方位置に格納される。なお、ジブ40全体の回転移動もジブ40を人力で引張ることにより行われる。
【0035】
ジブ40全体を伸縮ブーム30の側方領域を回転移動する際には伸縮ブーム30は全縮小されている。従来技術で説明したように伸縮ブーム30に基端ブーム31と先端ブーム32間にはブーム回転防止ストッパが介装されており、伸縮ブーム30が全縮小した状態では当該ブーム回転防止ストッパを介して先端ブーム32に作用するねじりトルクが直接基端ブーム31に伝達されるので、ジブ40全体を伸縮ブーム30の側方領域を回転移動させることにより先端ブーム32に大きなねじりトルクを加えても何ら問題が起きない。
【0036】
図5は、ジブ40を前記第1ジブ格納手段60の近くまで回転移動させた状態で図1のA矢視と同じ方向から見た図である。
【0037】
ジブ40の自重によりジブの先端が下方に変位するため、基端ジブ42に固着された部材67に配置された前記ローラ65、66は基端ブーム側面35に設置されたサポート61の基端ブーム上面36に平行な面62よりも少し下方に位置している。
【0038】
図6はさらにジブ40全体を支点ピン46を支軸として回転移動することにより、前記張出格納補助手段80のレバー81先端の自動ピン88の先端部89がジブ側の係合部材91の長穴93に係合した状態を示す図である。前記油圧シリンダ85は図示しない操作装置によって伸縮操作可能となっており、図6の状態からは油圧シリンダ85を縮小操作する。するとレバー81はその先端部の自動ピン88が基端ブーム側面35に対して接近する方向に揺動駆動される。レバー81の揺動に伴ない、ジブ40も基端ブーム側面35に対し接近駆動される。その時、前記ローラ65が前記サポート61の傾斜した面64上をジブ40の重量を支持しながら転動する。したがって、ジブ40は前記斜面64に沿って引上げられることになる。すなわち、大きな重量であるため、人力では引き上げることが困難なジブ40全体を、油圧シリンダ85を使用する張出格納補助手段80により容易にサポート61の所定の位置まで引き上げることができるのである。
【0039】
また、自動ピン先端部89が係合部材91の上下の長穴内部を移動可能に構成されているので、このときのジブ40の上方への移動とレバー81の揺動に伴なう自動ピン88の上下の移動は、問題なく吸収することができる。
【0040】
図2と図2のD矢視図である図3は、ジブ格納補助手段のレバー81がその揺動ストローク一杯に基端ブーム側面35側に移動したときの状態である。この時、前記基端ジブ42に固着された部材67に取付られたローラ65は完全に前記サポート61の斜面64を登り切り、基端ブーム上面36に平行な面62上に位置している。なお、ジブ側のもう1つのローラ66もサポート61の基端ブーム上面36に平行な面62上に位置している。したがって、図2と図3の状態にあってはジブ40の重量は、ローラ65、66を介してサポート61により支持されるようになっている。
【0041】
図1は、第1ジブ格納手段60とジブ40が図2と図3に示した状態にある時の、伸縮ブーム30とジブ40の全体を上方から見た図である。この時は、前記ジブサポート41の一側部のジブ基端側ボス44と先端ブーム32の一側部の先端ブーム側ボス33は相互に同軸重合して、それらに共通の支点ピン44を嵌挿した状態のままである。この状態は、ジブ40を先端ブーム32にセットした状態という意味からジブセット状態と呼ばれる。
【0042】
上記ジブセット状態にあるときは、図4に示した第2ジブ格納手段70では、ジブ側固定ボス77、78が基端ブーム側固定ボス74、75と同軸重合するようになっている。図示しない操作装置によって前記固定ピン駆動シリンダ73を伸長させ、固定ピン71、72をジブ側固定ボス77、78と基端ブーム側固定ボス74、75に嵌挿する。これにより、第2ジブ格納手段70での基端ジブ42と基端ブーム31との係合が行われる。
【0043】
次に、図1に示した前記ジブサポート41の一側部のジブ基端側ボス44と先端ブーム32の一側部の先端ブーム側ボス33との支点ピン46による連結を解除する。支点ピン46の詳細は図示しないが、地上からのハンドルを使った回転操作によりピンの昇降が可能な公知のピン駆動機構などが使用される。
【0044】
次に、図2と図3に示したレバー81先端の自動ピン88の操作環90を引くことにより、自動ピン先端部89とジブ側の係合部材91との係合を解除する。すると、人力によりジブ40全体を前記第2ジブ格納手段70の固定ピン71、72を支軸として回転することが可能となる。この場合の回転移動は、図1に示したジブサポート41の一側部のジブ基端側ボス44と先端ブーム32の一側部の先端ブーム側ボス33との同軸重合を解除することが目的であるため、回転移動量はわずかなものである。図7は図3に示したジブセット状態からさらにジブ40を基端ブーム側面35側に移動した時の状態を示したものである。基端ジブ42に取付けられた係合部材91が前記自動ピン88の先端部89との係合が解除され、基端ブーム側面35側に移動したことが示されている。図7に示されたジブ40の状態は、ジブ40が基端ブーム側面35の格納位置に置かれた状態であるので、ジブ格納状態と呼ばれる。ジブセット状態からジブ格納状態へは、図2に示すようにジブ40全体の重量はローラ65、66によりサポート61の基端ブーム上面に平行な面62で支持されながらジブ40全体が基端ブーム側面35側へ移動するので、小さな力で動かすことが可能である。したがって、この移動は人力によるものであっても問題無いものである。
【0045】
図8は図7のE矢視図であって、ジブ格納状態を示すものである。101は第1ジブ格納手段60のサポート61に取付られた自動ピンであって、既述したレバー81先端の自動ピン88と同じ構造のものである。102は先端ジブ43に取付られた係合部材であって、前記サポート61側の自動ピン101と自動的に係合するようになっている。105はサポート側ボス103と先端ジブ43側ボス104が同軸重合したときに嵌挿される格納ピンであり、108はサポート側ボス106と基端ジブ側ボス107が同軸重合したときに嵌挿される格納ピンである。上記格納ピン105、108の嵌挿により、ジブ40は第1ジブ格納手段60のサポート61にしっかりと固定されるのである。
【0046】
図9は図1のC矢視詳細図であって、ジブ格納状態におけるジブブーム間固定手段53を示すものである。111は基端ブーム側面35から先端ジブ43側に張出されたサポート110に取付けられた基端ブーム側ボスであり、112は先端ジブ43に取付けられた先端ジブ側ボスである。上記基端ブーム側ボス111と先端ジブ側ボス112が同軸重合した状態で、格納ピン113が嵌挿される。上記格納ピン113の嵌挿により、先端ジブ43の先端部が基端ブーム側面のサポート110にしっかりと固定されるのである。
【0047】
以上が、本発明の実施の形態に係るクレーン車のジブ格納装置によるジブ40の格納手順である。ジブ40の張出手順は、上述した格納手順を逆に行えばよいのである。
【0048】
【発明の効果】
以上の如く構成し作用するものであるから、本願の請求項1に記載されたクレーン車のジブ格納装置では、前記張出格納補助手段により前記ジブを基端ブーム側面に対し接近あるいは離間駆動させ、前記ジブと基端ブームとの間の前記第1ジブ格納手段による係合離脱を行うようにしたので、前記伸縮ブームの全縮小状態のままで前記支点ピンを支軸として前記ジブを伸縮ブーム側方領域を回転移動することにより張出格納することができるのである。すなわち、伸縮ブームを全縮小したままであるので、ブーム回転防止ストッパによりジブ張出格納により先端ブームに加えられる大きなねじりトルクが基端ブームに直接伝達することができるのである。したがって、支点ピンを支軸として前記ジブを伸縮ブーム側方領域を回転移動することによる張出格納を用いるジブに対し、近年多用されるR型多角形断面を有する伸縮ブームであっても、ねじりトルクによる回転変位を生じるといった悪影響を与えることが無いのである。
【0049】
さらに、請求項1に記載されたクレーン車のジブ格納装置では、前記ジブと基端ブームとの間の前記第1ジブ格納手段による係合離脱を行うに必要な前記張出格納補助手段の駆動ストロークを、揺動可能なレバーとその駆動油圧シリンダとの組み合せにより得ることができるのである。また、前記レバーの駆動を油圧シリンダで行っているので自重の大きなジブであっても前記第1ジブ格納手段により係合できるよう引き上げることができるのである。
【0050】
請求項2に記載されたクレーン車のジブ格納装置では、ジブ先端部の下方への変位と前記レバー先端の自動ピンのレバーの揺動に基く上下の変位とを前記係合部材の面上に設けられた長穴により吸収することができるのである。
【0051】
請求項3に記載されたクレーン車のジブ格納装置では、ジブに配置された転動可能なローラが基端ブーム側面に配置されたサポートの斜面を転動しながら前記ジブを所定の位置に引き上げるので、前記ジブと基端ブームとの間の第1ジブ格納手段による係合離脱をスムーズに行うことができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願の発明の実施の形態に係るジブ格納装置を使用した伸縮ブームとジブである。
【図2】 図1のA矢視詳細図である。
【図3】 図2のD矢視図である。
【図4】 図1のB矢視詳細図である。
【図5】 ジブを第1ジブ格納手段の近くまで回転移動させた状態のA矢視図である。
【図6】 レバー先端の自動ピンがジブ側の係合部材の長穴93に係合した状態である。
【図7】 ジブセット状態からさらにジブを基端ブーム側面側に移動した状態を示す図である。
【図8】 図7のE矢視図であって、ジブ格納状態を示すものである。
【図9】 図1のC矢視詳細図であって、ジブ格納状態におけるジブブーム間固定手段53を示すものである。
【図10】 実公昭59−43358号公報のジブ格納装置である。
【図11】 実公昭59−43358号公報のジブ格納装置である。
【図12】 実公昭59−43358号公報のジブ格納装置である。
【符号の説明】
Aはジブ支持装置、Bはジブ支持装置、1は基端ブーム、2は先端ブーム、3はジブ、5は先端ブーム側ボス、7は支点ピン、15はジブ基端側ボス、21は先ツノ、22はツノ部材、24はツノ受金、25はツノ受金、30は伸縮ブーム、31は基端ブーム、32は先端ブーム、33は先端ブーム一側部の先端ブーム側ボス、34は先端ブーム他側部の先端ブーム側ボス、40はジブ、41はジブサポート、42は基端ジブ、43は先端ジブ、44はジブサポート基端部一側部のジブ基端側ボス、45はジブサポート基端部他側部のジブ基端側ボス、46は支点ピン、47は連結ピン、48はジブ支点ピン、49は吊荷用シーブ、50は吊荷用シーブ、51はジブ連結ピン、52はジブ間固定手段、53はジブブーム間固定手段、60は第1ジブ格納手段、61はサポート、62は基端ブーム上面に平行な面、63は辺、64は下方に傾斜する面、65と66はローラ、70は第2ジブ格納手段、71と72は固定ピン、73は固定ピン駆動油圧シリンダ、74と75は基端ブーム側固定ボス、77と78はジブ側固定ボス、79は調整部材、80は張出格納補助手段、81はレバー、85は油圧シリンダ、88は自動ピン、89はピン先端部、91は係合部材、92はレバー揺動面に平行な面、93は長穴
Claims (3)
- 伸縮ブームの先端ブーム一側部及び該先端ブームの先端に着脱自在に装着されるジブの基端部一側部にそれぞれボスを形成し、且つ該先端ブーム側ボスとジブ基端側ボスとが相互に同軸重合してそれらに共通の支点ピンを嵌脱自在に嵌挿可能とする一方、前記伸縮ブームの全縮小状態のままで前記支点ピンを支軸として前記ジブを伸縮ブーム側方領域を回転移動することにより張出格納自在とするとともに、
前記伸縮ブームの基端ブーム側面部に格納状態の前記ジブと基端ブームとの間には、基端ブーム基端側に配置された第1ジブ格納手段と、基端ブーム先端側に配置された第2ジブ格納手段と、前記ジブを張出格納する張出格納補助手段と、が介装されており、
前記張出格納補助手段は、前記ジブが前記支点ピンに軸支された状態で、前記ジブを基端ブーム側面に対し接近あるいは離間駆動させることにより前記ジブと基端ブームとの間の前記第1ジブ格納手段による係合離脱を行うクレーン車のジブ格納装置であって、
前記張出格納補助手段は、その先端が基端ブーム側面に対し接近あるいは離間する方向に揺動可能なレバーと、当該レバーを揺動駆動する油圧シリンダと、前記レバー先端に配置されレバー揺動面に直交する方向にその先端部を突出するようバネ付勢された自動ピンと、前記自動ピン先端部が係合可能な穴を有する前記ジブに配置された係合部材と、を備えており、前記自動ピンが係合部材に係合した状態で前記レバーが揺動することにより前記ジブと基端ブームとの間の前記第1ジブ格納手段による係合離脱を行うことを特徴とするクレーン車のジブ格納装置。 - 前記係合部材は、前記レバー揺動面に平行な面を有し、当該面上に設けられた前記係合可能な穴は上下方向に明けられた長穴であることを特徴とする請求項1に記載されたクレーン車のジブ格納装置。
- 前記第1ジブ格納手段は、前記基端ブーム側面に配置され基端ブーム側面から離間する方向へ下方に傾斜する面を有するサポートと、前記ジブに配置された転動可能なローラと、を備えており、前記ジブとの係合離脱の際には前記ローラが前記サポートの傾斜面上を前記ジブの重量を支持しながら転動することを特徴とする請求項1に記載されたクレーン車のジブ格納装置。
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