JP4013010B2 - 触媒の洗浄再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃水の湿式酸化処理において使用される触媒の洗浄再生方法に関する。本発明によれば、廃水の湿式酸化設備中の熱交換器、気液分離装置、冷却器、各種配管類などに付着した金属成分の洗浄除去も、同時に行うことができる。
【0002】
【従来の技術】
窒素酸化物、有機性物質、無機性物質(以下これらを総称して、「汚濁成分」ということがある)などの少なくとも1種を含む廃水の処理方法としては、種々の方法が提案されている。本発明者らもこの様な廃水の湿式接触酸化処理方法について長年研究を重ねた結果、廃水とその含有汚濁成分、触媒有効成分と担体の種類、湿式酸化に使用する酸素濃度および供給量、廃水の予備的pH調整、湿式酸化反応中のアルカリ物質供給などが、処理効率、使用する機器類の腐食、触媒の寿命などに大きく影響することを見出し、これらの知見に基づいて、すでに多数の特許出願を行っている(特開昭53-20663号、特開昭54-42851号、特開昭55-152591号、特開昭62-132589号、特開平3-777691号、特開平4-104898号など参照)。
【0003】
これらの廃水の湿式酸化方法においては、通常、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、銅、金およびタングステンならびにこれら金属の水不溶性乃至水難溶性化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種を、球状、粒状、円柱状、破砕片状、ハニカム状などの各種形状を有するシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属酸化物担体、これらの金属酸化物の少なくとも1種を含む複合金属酸化物担体、活性炭担体など担体に担持させた状態で使用する。この様な担持触媒(以下単に廃水酸化触媒という)は、廃水処理に際し大量に使用されるので、処理時間の経過とともに活性が低下した触媒を再生し、繰り返し使用することが必須となる。本発明者らは、先に廃水酸化触媒を酸水溶液による酸洗処理とアルカリ水溶液による液相還元処理または気相還元処理との二段階処理に供する場合には、触媒の活性が著しく回復することを見出した(特公平3-66018号公報参照;以下この方法を「先願方法」という)。
【0004】
この先願方法は、優れた触媒再生効果を奏することができるが、酸洗処理と還元処理との二段階処理を必須とするので、実用的には、より簡略な処理操作で同様の優れた効果を達成することが望まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、簡略な処理操作により、高度の触媒再生効果を奏し得る新たた廃水処理触媒の再生方法を提供することを主な目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の様な技術の現状に鑑みて、鋭意研究を重ねた結果、廃水酸化触媒の酸洗処理或いはアルカリ処理に際して空気吹き込みを行う場合には、すなわち、気液混相状態で廃水酸化触媒の洗浄を行う場合には、上記の目的を達成しうることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、廃水の湿式酸化処理において使用される触媒の洗浄再生方法を提供するものである:
1.鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、銅、金およびタングステンならびにこれら金属の水不溶性乃至水難溶性化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種を触媒活性成分とする廃水の湿式酸化用担持触媒の洗浄再生方法において、
洗浄液として硝酸水溶液又はアスコルビン酸水溶液を使用し、かつ洗浄液1m3/hrに対し、空気を10Nm3/hr以上の割合で送入しつつ、触媒と洗浄液とを常温以上の温度で接触させる工程
を備えたことを特徴とする触媒の洗浄再生方法。
【0008】
2.鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、銅、金およびタングステンならびにこれら金属の水不溶性乃至水難溶性化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種を触媒活性成分とする廃水の湿式酸化用担持触媒の洗浄再生方法において、
洗浄液としてアルカリ水溶液を使用し、洗浄液1m3/hrに対し、空気を10Nm3/hr以上の割合で送入しつつ、かつ触媒と洗浄液とを常温以上の温度で接触させる工程を備えたことを特徴とする触媒の洗浄再生方法。
【0009】
3.鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、銅、金およびタングステンならびにこれら金属の水不溶性乃至水難溶性化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種を触媒活性成分とする廃水の湿式酸化用担持触媒の洗浄再生方法において、
(1)洗浄液として酸水溶液を使用し、かつ洗浄液1m3/hrに対し、空気を10Nm3/hr以上の割合で送入しつつ、触媒と洗浄液とを常温以上の温度で接触させる工程、および
(2)洗浄液としてアルカリ水溶液を使用し、かつ洗浄液1m3/hrに対し、空気を10Nm3/hr以上の割合で送入しつつ、触媒と洗浄液とを常温以上の温度で接触させる工程
を備えたことを特徴とする触媒の洗浄再生方法。
【0010】
4.鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、銅、金およびタングステンならびにこれら金属の水不溶性乃至水難溶性化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種を触媒活性成分とする廃水の湿式酸化用担持触媒の洗浄再生方法において、
(1)洗浄液としてアルカリ水溶液を使用し、かつ洗浄液1m3/hrに対し、空気を10Nm3/hr以上の割合で送入しつつ、触媒と洗浄液とを常温以上の温度で接触させる工程、および
(2)洗浄液として酸水溶液を使用し、かつ洗浄液1m3/hrに対し、空気を10Nm3/hr以上の割合で送入しつつ、触媒と洗浄液とを常温以上の温度で接触させる工程
を備えたことを特徴とする触媒の洗浄再生方法。
【0011】
5.上記項1〜4の少なくとも1つの方法において発生した触媒洗浄廃液を廃水とともに湿式酸化処理に供する触媒の洗浄再生方法。
【0012】
6.触媒洗浄液を凝集沈殿処理に供して、液中の金属成分を除去した後、廃水とともに湿式酸化処理に供する上記項5に記載の触媒の洗浄再生方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
通常、100℃程度以上の高温条件下に行われる廃水の湿式酸化処理において触媒を使用すると、廃水中の汚濁成分およびその分解生成物の析出、沈着、分解生成物による触媒金属の化学的浸食のみならず、触媒金属表面のミクロ的な化学的および物理的性質の変化などによっても、触媒の活性は次第に低下する。特に、触媒金属表面の化学的および物理的性質の変化は、顕微鏡などにより容易に観察できる析出、沈着、浸食などの現象とは異なって、その把握が困難であり、また、どの様なものであるか、どの様にして触媒活性に悪影響を及ぼすのかなどは、現在においても解明されていない。しかも、この様な触媒表面の化学的および物理的性質の変化は、触媒表面の浸食現象などと同等或いはそれ以上の重大な触媒活性阻害要因であると推測されている。しかるに、本発明方法により、気液混相状態で洗浄処理された触媒は、先願方法により処理された触媒と同等或いはそれ以上にまでその活性が回復する。特に、処理した廃水の種類、触媒の組成などにもよるが、最適条件下に再生処理を行う場合には、新触媒にほぼ等しい程度にまで活性が回復する。
【0014】
本発明方法により洗浄再生される廃水酸化触媒は、触媒活性成分として、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、銅、金およびタングステン、ならびにこれら金属の水不溶性化合物および水難溶性化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種を含む。水に対して不溶性または難溶性の化合物としては、(i)三二酸化鉄、四三酸化鉄、一酸化コバルト、一酸化ニッケル、二酸化ルテニウム、三二酸化ロジウム、一酸化パラジウム、二酸化イリジウム、酸化第二銅、二酸化タングステンなどの酸化物、(ii)塩化ルテニウム、塩化白金などの塩化物、(iii)硫化ルテニウム、硫化ロジウムなどの硫化物などが例示される。
【0015】
本発明は、触媒再生用洗浄液の種類などにより複数の態様を含むので、以下にそれぞれの態様について詳細に説明する。
【0016】
I.本発明の第1の態様においては、触媒活性が低下した廃水酸化触媒を空気の導入下に酸水溶液を用いて、洗浄する。
【0017】
酸水溶液としては、好ましくは硝酸水溶液、アスコルビン酸水溶液などが使用される。酸水溶液の濃度は、廃水酸化触媒の活性低下度などにより異なるが、通常1重量%以上であり、より好ましくは5〜10重量%程度である。
【0018】
空気の導入量は、洗浄液1m3/hrに対し、10Nm3/hr以上、より好ましくは10〜100Nm3/hr程度である。
【0019】
気液混相状態で行う廃水酸化触媒の洗浄条件は、触媒活性低下の程度、触媒の種類、求められる触媒活性回復の程度、洗浄剤の種類と濃度などに対応して定めることができるので、特に限定されないが、通常常温=20℃以上(より好ましくは40〜90℃程度)の温度で15分間以上(より好ましくは30〜180分間程度)行う。洗浄時の圧力は、大気圧で良く、加圧する必要はないが、加圧下に行っても良い。
【0020】
廃水酸化触媒の洗浄処理は、廃水の湿式酸化を行う反応塔の稼働を停止した状態で、空気と洗浄液とを導入して行うことができる。特に、廃水の湿式酸化処理用の反応塔を2基以上使用する場合には、廃水処理を停止することなく、いずれかの反応塔内の廃水酸化触媒を交互に再生処理することができる。
【0021】
或いは、反応塔から触媒を取り出し、別個の処理槽に収容して行っても良い。
【0022】
洗浄を終えた触媒は、必要に応じて、水洗した後、再使用される。なお、1回の洗浄では触媒活性の回復が十分でない場合には、同様の洗浄再生処理を複数回行うことができる。
【0023】
II.本発明の第2の態様においては、触媒活性が低下した廃水酸化触媒を空気の導入下にアルカリ水溶液を用いて、洗浄する。
【0024】
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などが使用される。これらの中では、水酸化ナトリウム水溶液がより好ましい。水アルカリ水溶液の濃度は、廃水酸化触媒の活性低下度などにより異なるが、通常1重量%以上であり、より好ましくは5〜10重量%程度である。
【0025】
アルカリ水溶液による洗浄時の空気導入量、洗浄条件、洗浄方法、必要に応じて行う水洗、乾燥、洗浄の繰り返しなどは、酸水溶液による洗浄時と同様である。
【0026】
III.本発明の第3の態様においては、触媒活性が低下した廃水酸化触媒を空気の導入下に酸水溶液を用いて洗浄した後、空気の導入下にアルカリ水溶液を用いて洗浄する。この2段階洗浄法における酸水溶液洗浄時およびアルカリ水溶液洗浄時の空気導入量、洗浄条件、洗浄方法、必要に応じて行う水洗、乾燥、洗浄の繰り返しなどは、それぞれ上述の第1の実施態様および第2の実施態様におけると同様である。
【0027】
IV.本発明の第4の態様においては、触媒活性が低下した廃水酸化触媒を空気の導入下にアルカリ水溶液を用いて洗浄した後、空気の導入下に酸水溶液を用いて洗浄する。この2段階洗浄法におけるアルカリ水溶液洗浄時および酸水溶液洗浄時の空気導入量、洗浄条件、洗浄方法、必要に応じて行う水洗、乾燥、洗浄の繰り返しなどは、それぞれ上述の第2の実施態様および第1の実施態様におけると同様である。
【0028】
V.なお、上記第1〜4の実施態様において発生する洗浄廃液は、例えば、凝集沈殿処理により固液分離した後、その液相を廃水と併せて公知の湿式酸化処理(例えば、前述の本発明者らによる「廃水の湿式接触酸化処理方法」)に供することにより、処理することができる。この場合には、廃水に由来する液相に関する限り、クローズド処理が可能となる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の様な顕著な効果が達成される。
【0030】
(a)簡単な操作により、触媒活性低下要因が大幅に除去されるので、再使用可能な程度まで廃水酸化触媒の活性が回復する。
【0031】
(b)触媒に応じた最適な再生処理条件を選択することにより、再生後の触媒活性は新触媒のそれに匹敵する程度まで回復する。
【0032】
(c)触媒の使用と再生とを繰り返し行うことができるので、触媒の全寿命を著しく増大させることができる。
【0033】
(d)廃水処理に要する触媒費用が減少するので、廃水処理費も低減される。
【0034】
(e)特に、廃水の湿式酸化処理用の反応塔を2基以上使用する場合には、廃水処理を停止することなく、いずれかの反応塔内の劣化した廃水酸化触媒を交互に再生処理することができるので、触媒の取り出しと再充填などの労力が不要となる。
【0035】
(f)廃水の湿式酸化設備中の熱交換器、気液分離装置、冷却器、各種配管類などに付着した金属成分の洗浄除去も、同時に行うことができるので、これら機器における閉塞防止、伝熱係数の低下防止などの効果も達成される。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。
【0037】
実施例1〜8
(1)廃水の湿式酸化処理
まず、コークス炉において発生するガス液(COD6000ppm、全アンモニア量3000ppm、全窒素量4000ppm)を湿式酸化処理した。
【0038】
すなわち、ガス液に水酸化ナトリウム水溶液を加え、そのpHを約10に調整した後、空間速度1.0hr-1(空塔基準)として円筒型反応器下部に供給した。液の質量速度は、8.0m3/m2・hrであった。
【0039】
一方、空気を空間速度65hr-1(空塔基準、標準状態)として反応塔下部に供給した。
【0040】
反応塔には、下記表1に示す組成の球形の廃水酸化触媒(直径約5mm)を充填しておいた。表1において、1%Ir-TiO2とあるのは、チタニア担体にイリジウム1重量%を担持させた触媒を意味する。
【0041】
なお、使用したガス液は、当初から総計15ppmの鉄、カルシウムおよびマグネシウムを含有していたが、本発明の効果をより明確にするために、その総量が2500ppmとなる様にこれら元素を含む化合物をあらかじめ配合しておいた。
【0042】
ガス液の湿式酸化処理においては、反応塔内部を温度250℃、圧力70kg/m2・Gに保持し、湿式酸化後の処理液のpHが約7.5となる様に水酸化ナトリウム水溶液を供給しつつ、5000時間にわたり反応を持続させた。その結果、触媒の活性指数は、表1に示す通りに低下した。触媒表面の析出物を分析したところ、硫黄および灰分(シリカ、酸化鉄、酸化マグネシウム、その他)などの存在が確認されたが、カーボン、炭化水素類などは検出されなかった。
【0043】
(2)触媒の再生洗浄処理
次いで、活性の低下した廃水酸化触媒を以下の各手法で再生処理した。
【0044】
*手法-1:廃水酸化触媒を充填した状態の反応塔に10%硝酸水溶液(80℃)を大気圧で送入しつつ1時間洗浄した後、1時間にわたり水洗する。硝酸水溶液と水の送入条件は、廃水処理時の廃水送入条件と同じである。
【0045】
*手法-2:廃水酸化触媒を充填した状態の反応塔に空気と10%硝酸水溶液(80℃)とを大気圧で送入しつつ1時間洗浄した後、1時間にわたり水洗する。硝酸水溶液と空気の送入条件は、廃水処理時の廃水と空気の送入条件とそれぞれ同じである。すなわち、硝酸水溶液1m3/hrに対する送入空気量は、65Nm3/hrである。
【0046】
また、水洗時の水の送入条件は、廃水処理時の廃水の送入条件と同じである。
【0047】
*手法-3:廃水酸化触媒を充填した状態の反応塔に10%水酸化ナトリウム水溶液(80℃)を大気圧で送入しつつ1時間洗浄した後、1時間にわたり水洗する。水酸化ナトリウム水溶液と水の送入条件は、廃水処理時の廃水送入条件と同じである。
【0048】
*手法-4:廃水酸化触媒を充填した状態の反応塔に空気と10%水酸化ナトリウム水溶液(80℃)を大気圧で送入しつつ1時間洗浄した後、1時間にわたり水洗する。水酸化ナトリウム水溶液と空気および水の送入条件は、廃水処理時の廃水と空気の送入条件とそれぞれ同じである。すなわち、水酸化ナトリウム水溶液1m3/hrに対する送入空気量は、65Nm3/hrである。
【0049】
また、水洗時の水の送入条件は、廃水処理時の廃水の送入条件と同じである。
【0050】
【表1】
【0051】
表1において、「活性指数」とは、新触媒を使用して廃水を湿式酸化処理する場合のアンモニア除去率を100%としたとき、同一条件で再生触媒を使用して廃水を湿式酸化処理する場合のアンモニア除去率を意味する。再生触媒は、COD除去に関しても、アンモニア除去と同様に活性指数の向上を示すことが確認された。
【0052】
表1に示す結果から、空気吹込下に廃水酸化触媒の酸水溶液またはアルカリ水溶液による洗浄再生を行う本発明の優れた効果が明らかである。
【0053】
比較例1
実施例1と同様の触媒を使用して実施例1と同様の条件下にガス液の湿式酸化処理を行った。
【0054】
次いで、触媒の洗浄液として2規定の硫酸水溶液を使用して、実施例1における手法-1および手法-2による触媒の再生を行った。結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2に示す結果から明らかな様に、洗浄液として硫酸水溶液を使用する場合には、触媒の再生効果は、十分に達成されない。
【0057】
比較例2
実施例2と同様の触媒を使用して実施例2と同様の条件下にガス液の湿式酸化処理を行った。
【0058】
次いで、10%硝酸水溶液を使用して、実施例2における手法-1および手法-2による触媒の洗浄再生を行った。ただし、手法-2においては、洗浄液1m3/hrに対する空気送入量を5Nm3/hrとした。結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
表3に示す結果から明らかな様に、硝酸水溶液と空気とによる気液混相洗浄を行う場合にも、空気送入量が少なすぎると、触媒の再生効果は、十分に達成されない。
【0061】
実施例9
(1)廃水の湿式酸化処理
まず、表4に示す組成を有するシアン錯イオン含有廃液(pH10.6)を触媒を充填しない第一次反応塔と触媒を充填した第二次反応塔とを使用して、湿式酸化処理した。
【0062】
【表4】
【0063】
すなわち、廃液を空間速度1.0hr-1(空塔基準)および質量速度14.15m3/m2・hrで第一次反応塔の下部に供給しつつ、空気を空間速度3.4hr-1(空塔基準、標準状態)で第一次反応塔下部に供給した。空気供給量は、理論酸素量(82.5Nm3/kl)の0.0103倍量に相当する量であった。
【0064】
廃液の分解処理に際しては、廃液と空気とを熱交換器の入口側に導入するとともに、熱交換器の出口側での気液混合物の温度(=第一次反応塔の入口側での気液混合物の温度)が150℃となる様に、第二次反応塔から出てくる処理液の一部をポンプにより第一次反応塔からの処理液に循環混合して、温度調整を行った。また、第一次反応塔には、蒸気を供給することにより、塔内を温度220℃、圧力30kg/cm2に保持した。なお、第一次反応塔には、70cmの間隔で棚段塔を取り付けた。
【0065】
第一次反応塔からの処理済み液(pH10.6)中では、当初の廃液中の金属成分は、スラッジとなり、反応塔の下部と固液分離器(フィルタープレス)の下部から抜き出された。固液分離器において得られた第一次処理液の組成を表5に示す。
【0066】
【表5】
【0067】
次いで、第一次処理液中のアルカリ金属含有量(Na0.909mol/l+K0.322mol/l=1.231mol/l)の1/2量に相当する0.62mlの硫酸を硫酸貯槽から第一次処理液に加えた後、これを空間速度0.75/hr(空塔基準)および質量速度14.15m3/m2・hrで触媒を充填した第二次反応塔に供給しつつ、併せて空気を空間速度90.4/hr(空塔基準、標準状態)で供給した。空気供給量は、理論酸素量の1.1倍量に相当する量であった。なお、第二次反応塔内には、チタニア担体に担体重量の2%のルテニウムを担持させた球形触媒(直径4〜6mm)を充填しておいた。
【0068】
第二次反応塔において得られた処理液(pH3.1)の組成を表6に示す。
【0069】
【表6】
【0070】
(2)触媒の再生洗浄処理
次いで、第二次処理を16000時間行うことにより、活性の低下した廃水酸化触媒を以下の各手法で再生処理した。
【0071】
*手法-1:廃水酸化触媒を充填した状態の反応塔に10%アスコルビン酸水溶液(60℃)を大気圧で送入しつつ5時間洗浄した後、1時間にわたり水洗する。アスコルビン酸水溶液と水洗水の送入条件は、廃水処理時の廃水送入条件と同じである。
【0072】
*手法-2:廃水酸化触媒を充填した状態の反応塔に空気と10%アスコルビン酸水溶液(60℃)とを大気圧で送入しつつ5時間洗浄した後、1時間にわたり水洗する。アスコルビン酸水溶液と空気の送入条件は、廃水処理時の廃水と空気の送入条件とそれぞれ同じである。すなわち、アスコルビン酸水溶液1m3/hrに対する送入空気量は、120Nm3/hrである。
【0073】
また、水洗時の水の送入条件は、廃水処理時の廃水の送入条件と同じである。
【0074】
*手法-3:廃水酸化触媒を充填した状態の反応塔に10%硝酸水溶液(60℃)を大気圧で送入しつつ5時間洗浄した後、1時間にわたり水洗する。硝酸水溶液と水洗水の送入条件は、廃水処理時の廃水送入条件と同じである。
【0075】
*手法-4:廃水酸化触媒を充填した状態の反応塔に空気と10%硝酸水溶液(60℃)を大気圧で送入しつつ5時間洗浄した後、1時間にわたり水洗する。硝酸水溶液と空気の送入条件は、廃水処理時の廃水と空気の送入条件とそれぞれ同じである。すなわち、硝酸水溶液1m3/hrに対する送入空気量は、120Nm3/hrである。
【0076】
また、水洗時の水の送入条件は、廃水処理時の廃水の送入条件と同じである。
【0077】
*手法-5:廃水酸化触媒を充填した状態の反応塔に10%アスコルビン酸水溶液(60℃)を大気圧で送入しつつ5時間洗浄した。次いで、空気と10%硝酸水溶液とを大気圧で送入しつつ5時間洗浄した後、1時間にわたり水洗する。アスコルビン酸水溶液と硝酸水溶液の送入条件は、廃水処理時の廃水の送入条件と同じであり、空気の送入量は廃水処理時の1/2である。すなわち、硝酸水溶液1m3/hrに対する送入空気量は、60Nm3/hrである。
【0078】
また、水洗時の水の送入条件は、廃水処理時の廃水の送入条件と同じである。
【0079】
表7に各手法による触媒の再生状態を示す。
【0080】
【表7】
【0081】
表7に示す結果から、空気吹込下に廃水酸化触媒の酸水溶液による洗浄再生を行う本発明の優れた効果が明らかである。
【0082】
また、金属成分の付着により処理性能が低下した廃水湿式酸化設備中の熱交換器および配管を上記手法-5により処理した結果、初期状態に比して約80%低下していた熱交換器の総括伝熱係数が初期状態にまで回復するとともに、初期状態に比して約1.5kg/cm2増大していた管内圧力損失が初期状態にまで回復した。
Claims (6)
- 鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、銅、金およびタングステンならびにこれら金属の水不溶性乃至水難溶性化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種を触媒活性成分とする廃水の湿式酸化用担持触媒の洗浄再生方法において、洗浄液として硝酸水溶液又はアスコルビン酸水溶液を使用し、かつ洗浄液1m3/hrに対し、空気を10Nm3/hr以上の割合で送入しつつ、触媒と洗浄液とを常温以上の温度で接触させる工程を備えたことを特徴とする触媒の洗浄再生方法。
- 鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、銅、金およびタングステンならびにこれら金属の水不溶性乃至水難溶性化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種を触媒活性成分とする廃水の湿式酸化用担持触媒の洗浄再生方法において、洗浄液としてアルカリ水溶液を使用し、かつ洗浄液1m3/hrに対し、空気を10Nm3/hr以上の割合で送入しつつ、触媒と洗浄液とを常温以上の温度で接触させる工程を備えたことを特徴とする触媒の洗浄再生方法。
- 鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、銅、金およびタングステンならびにこれら金属の水不溶性乃至水難溶性化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種を触媒活性成分とする廃水の湿式酸化用担持触媒の洗浄再生方法において、(1)洗浄液として酸水溶液を使用し、洗浄液1m3/hrに対し、空気を10Nm3/hr以上の割合で送入しつつ、触媒と洗浄液とを常温以上の温度で接触させる工程、および(2)洗浄液としてアルカリ水溶液を使用し、洗浄液1m3/hrに対し、空気を10Nm3/hr以上の割合で送入しつつ、触媒と洗浄液とを常温以上の温度で接触させる工程を備えたことを特徴とする触媒の洗浄再生方法。
- 鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、銅、金およびタングステンならびにこれら金属の水不溶性乃至水難溶性化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種を触媒活性成分とする廃水の湿式酸化用担持触媒の洗浄再生方法において、(1)洗浄液としてアルカリ水溶液を使用し、洗浄液1m3/hrに対し、空気を10Nm3/hr以上の割合で送入しつつ、触媒と洗浄液とを常温以上の温度で接触させる工程、および(2)洗浄液として酸水溶液を使用し、洗浄液1m3/hrに対し、空気を10Nm3/hr以上の割合で送入しつつ、触媒と洗浄液とを常温以上の温度で接触させる工程を備えたことを特徴とする触媒の洗浄再生方法。
- 請求項1〜4の少なくとも1つの方法において発生した触媒洗浄廃液を廃水とともに湿式酸化処理に供する触媒の洗浄再生方法。
- 触媒洗浄液を凝集沈殿処理に供して、液中の金属成分を除去した後、廃水とともに湿式酸化処理に供する請求項5に記載の触媒の洗浄再生方法。
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