JP3420697B2 - エタノールアミン含有水の処理方法 - Google Patents

エタノールアミン含有水の処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エタノールアミン
含有水の処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明
は、エタノールアミン含有水中のCOD成分と全窒素
を、同時にかつ高除去率で分解除去することができるエ
タノールアミン含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】発電所において、エタノールアミンが防
食剤として使用され、蒸気生成ラインに加えられる場合
がある。エタノールアミンは、通常ライン中に設けられ
る復水処理用イオン交換装置で捕捉され、イオン交換装
置の再生の際に排水に含まれて排出される。排水中に混
入して排出されるエタノールアミンは、COD源や富栄
養化源となって河川や湖沼を汚染する。一般に、排水中
の有機窒素化合物の除去方法としては、活性炭吸着法や
生物処理法が代表的である。しかし、活性炭は有機窒素
化合物を吸着するもののその吸着量は小さく、活性炭吸
着により有機窒素化合物を処理するためには、大容量の
活性炭を必要とする。また、活性炭が吸着平衡に達した
のちに再生する必要があり、再生に伴って排出される再
生廃液の処理が必要になるという問題がある。また、生
物処理法による有機窒素化合物の分解は、反応速度が遅
いために、大容量の生物反応槽を必要とし、大量の汚泥
が発生するという問題がある。これらの問題を解決する
方法として、特公昭57−42391号公報には、CO
D成分やアンモニアを含む排水を金属担持触媒の存在下
に、酸化剤として空気を用いて湿式酸化する方法が提案
されている。しかし、この方法では、反応温度が200
℃以上であることが必要であり、操作圧力も20kg/cm
2以上が必要となるために、装置の材質が特殊なものと
なり、装置コストが高く、実用的ではない。また、特開
平9−239371号公報には、エタノールアミン含有
希塩酸廃液を簡便かつ安全に処理する方法として、pH5
〜7の微酸性で無隔膜電解処理する方法が提案されてい
る。しかし、この方法でTOC濃度を十分に低下させる
ためには、多量の電気を投入する必要があり、処理コス
トの増大につながるために実用化がむずかしい。さら
に、特開平9−234471号公報には、酸化剤を用い
ることなくエタノールアミンを酸化分解する方法とし
て、廃液を塩素イオンの存在下にpHを5〜9に制御しな
がら電気分解する方法が提案されている。しかし、この
方法では反応速度が遅く、廃液にクロム酸イオンを添加
して反応効率の向上が図られている。このために、エタ
ノールアミン含有水を効率的に処理して、低コストでC
OD成分と窒素成分を同時に除去することができる処理
方法が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸化剤や還
元剤を使用することなく、エタノールアミン含有水を常
温、常圧で処理して、水中のエタノールアミンを窒素ガ
スと二酸化炭素と水に分解し、水中のCOD成分と全窒
素を同時に高除去率で分解除去することができるエタノ
ールアミン含有水の処理方法を提供することを目的とし
てなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、エタノールアミ
ン含有水を電解処理したのち、金属過酸化物触媒と接触
させて残存するCOD成分を酸化分解し、さらに電解処
理工程で生成した水素ガスを導入して還元触媒と接触さ
せて窒素酸化物を窒素ガスに還元することにより、エタ
ノールアミン含有水中のCOD成分と全窒素を高除去率
で分解除去し得ることを見いだし、この知見に基づいて
本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、 (1)エタノールアミン含有水を、塩化物イオンの共存
下に電解処理したのち、流出水を金属過酸化物触媒と接
触させ、さらに電解処理工程で生成した水素ガスをその
流出水に導入して還元触媒と接触させることを特徴とす
るエタノールアミン含有水の処理方法、 (2)電解槽に通水するエタノールアミン含有水のpHを
9〜11.5に調整することを特徴とする第1項記載の
エタノールアミン含有水の処理方法、及び (3)金属過酸化物触媒と接触後の水を還元触媒塔にS
V=0.1〜10h-1で通水することを特徴とする第1
項〜第2項いずれか1項記載のエタノールアミン含有水
の処理方法、を提供するものである。さらに、本発明の
好ましい態様として、 (4)金属過酸化物触媒が、過酸化コバルト又は過酸化
ニッケルである第(1)項記載のエタノールアミン含有水
の処理方法、 (5)金属過酸化物触媒が、多孔質担体に担持されたも
のである第(1)項記載のエタノールアミン含有水の処理
方法、 (6)多孔質担体がX型、Y型若しくはA型の合成ゼオ
ライト、クリノプチロライト型若しくはモルデナイト型
の天然ゼオライト又はチタニアである第(5)項記載のエ
タノールアミン含有水の処理方法、 (7)還元触媒が、パラジウム、白金、銅又はロジウム
を含むものである第(1)項記載のエタノールアミン含有
水の処理方法、 (8)還元触媒が、多孔質担体に担持されたものである
第(1)項記載のエタノールアミン含有水の処理方法、 (9)多孔質担体が、アルミナ、合成ゼオライト、天然
ゼオライト、活性炭、ジルコニア又はチタニアである第
(8)項記載のエタノールアミン含有水の処理方法、及
び、 (10)電解処理工程で生成する水素ガスの全量又は一
部を分割して還元触媒反応塔に導入する第(1)項記載の
エタノールアミン含有水の処理方法、を挙げることがで
きる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明方法は、エタノールアミン
含有水の処理に適用することができる。エタノールアミ
ンは、中和剤や防食剤などとして使用されるので、使用
箇所からはエタノールアミン含有水が排水として発生す
る。例えば、蒸気生成ラインに防食剤として添加されエ
タノールアミンが、復水処理用イオン交換装置に捕捉さ
れ、イオン交換装置の再生の際に排出されてエタノール
アミンを含有する排水となる。本発明方法においては、
エタノールアミン含有水を、塩化物イオンの共存下に電
解処理する。この電解処理においては、電解反応槽の陽
極において、 2Cl- → Cl2 + 2e- …[1] 陰極において、 2H2O + 2e- → H2 + 2OH- …[2] で示される反応が起こり、さらに、塩素と水酸イオンが
反応し、 Cl2 + 2OH- → OCl- + Cl- + H2O …[3] によって次亜塩素酸イオンOCl-が生成する。次亜塩
素酸イオンは、下記の式に示される反応によって、水中
のエタノールアミンのほか、アンモニア性窒素、ヒドラ
ジンなどが含まれている場合も、これらの化合物を窒素
ガスと二酸化炭素と水に分解する。 2H2NCH2CH2OH + 13OCl- → N2 + 4CO2 + 7H2O + 13Cl- …[4] 2NH4 + + 3OCl- → N2 + 3H2O + 2H+ + 3Cl- …[5] N24 + 2OCl- → N2 + 2H2O + 2Cl- …[6] 式[4]、[5]及び[6]から、水中に含まれるエタ
ノールアミン、アンモニア性窒素及びヒドラジンを分解
するために必要な次亜塩素酸イオンの量を求めることが
できるので、さらに、式[1]、[2]及び[3]か
ら、必要な塩化物イオンの量と電気量を算出することが
できる。エタノールアミン含有水が、すでに必要量の塩
化物イオンを含有する場合は、そのまま電解処理し、エ
タノールアミン含有水中の塩化物イオンが不足する場合
は、塩化ナトリウムなどを添加して塩化物イオン濃度を
高めたのち電解処理することができる。投入する電気量
は、式より算出される電気量及び予測される電流効率に
基づいて定めることができる。
【0006】本発明方法においては、エタノールアミン
含有水のpHを9〜11.5に調整して電解処理すること
が好ましく、pHを10.5〜11.0に調整して電解処理
することがより好ましい。エタノールアミン含有水のpH
を9〜11.5に調整する方法には特に制限はなく、例
えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を添加することに
よりpHを調整することができる。エタノールアミン含有
水のpHを9〜11.5に調整して電解処理することによ
り、通常はCOD成分及び全窒素のそれぞれ約90%を
分解除去することができる。エタノールアミン含有水の
pHが9未満であると、COD成分と全窒素の除去が不十
分となり、処理水の水質が低下するとともに、電流効率
も低下するおそれがある。エタノールアミン含有水のpH
が11.5を超えると、次亜塩素酸イオンの濃度が低下
し、金属過酸化物触媒との接触工程において必要な次亜
塩素酸イオンが不足するとともに、窒素酸化物の発生量
が増して全窒素の除去率が低下するおそれがある。本発
明方法においては、エタノールアミン含有水を電解処理
したのち、金属過酸化物触媒と接触させる。金属過酸化
物触媒と接触させることにより、電解処理では完全に分
解しきれず、水中に残存するエタノールアミンを、式
[4]に示される反応により分解して、COD成分の除
去率を99%以上まで到達させることができる。また、
金属過酸化物触媒との接触により、水中に残存する過剰
の次亜塩素酸イオンも分解除去される。本発明方法に使
用する金属過酸化物触媒としては、例えば、過酸化コバ
ルト、過酸化ニッケル、過酸化銅、過酸化銀などを挙げ
ることができるが、これらの中で過酸化コバルト及び過
酸化ニッケルを特に好適に使用することができる。これ
らの金属過酸化物触媒は、多孔質担体に担持されたもの
であることが好ましい。金属過酸化物触媒を担持させる
多孔質担体としては、例えば、ゼオライト、チタニア、
γ−アルミナ、α−アルミナなどを挙げることができ
る。このような触媒の調製方法を、ゼオライトを担体と
する過酸化コバルト担持触媒を例として、以下に説明す
る。
【0007】ゼオライトは、分子と同程度の大きさの均
一な細孔を有する結晶性アルミノケイ酸塩で、ケイ素原
子とその一部をアルミニウム原子で置換した四面体が、
酸素原子を介して三次元網目構造をつくり、特有の空洞
や孔路を形成したものである。空洞や孔路の大きさは、
酸素環の大きさで決まる。ゼオライトは、通常カチオン
交換能を有している。本発明方法において、金属過酸化
物触媒の担体とするゼオライトとしては、クリノプチロ
ライト型、モルデナイト型などの天然ゼオライト、A
型、X型、Y型などの合成ゼオライトなどを好適に使用
することができる。これらのゼオライトは、1種を単独
で使用することができ、あるいは2種以上を混合して使
用することもできる。担体とするゼオライトの処理は、
コバルトの硫酸塩、硝酸塩、塩化物などの水溶液又はこ
れらの混合水溶液と接触させることにより行うことがで
きる。接触方法としては、ゼオライトの粒子を水溶液に
浸漬することができ、あるいは、ゼオライトの粒子をカ
ラムなどに充填し、水溶液を一過式又は循環式に接触す
ることもできる。コバルト塩の濃度や接触時間は、ゼオ
ライト上に必要量のコバルトが担持されるように設定す
る。コバルトの担持量は、通常担体の重量当たり0.0
1〜10重量%とすることが好ましい。コバルト塩の水
溶液で処理したゼオライトを、水溶液と分離したのち必
要に応じて水洗することが好ましい。水洗は、ゼオライ
トの活性点のみにコバルトイオンを残すためであり、こ
の操作により、少量のコバルトイオンで効果的な触媒を
得ることができる。洗浄の目安として、コバルトイオン
の色が洗浄水から消えるまで行うことが好ましい。次い
で、このようにして得られた活性点にコバルトイオンを
有するゼオライトを、塩素剤を含むアルカリ水溶液と接
触させることにより、本発明方法に用いる過酸化コバル
ト触媒を得ることができる。接触方法としては、ゼオラ
イトを塩素剤を含むアルカリ水溶液に浸漬することがで
き、あるいは、ゼオライトをカラムなどに充填し、塩素
剤を含むアルカリ水溶液を一過式又は循環式に接触する
こともできる。また、水洗後のゼオライトをあらかじめ
加熱してコバルトイオンを酸化物に変え、次いでアルカ
リ水溶液と接触させても同様な触媒を得ることができ
る。この接触の際に、微量のコバルトイオンがゼオライ
トから外れ、過酸化物の微細な沈殿物が生成する場合が
あるが、沈殿物は最後に水洗して除去することができ
る。塩素剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、
塩素ガス、電解により発生させた塩素など、遊離塩素を
発生する薬剤を用いることができる。塩素剤とともに用
いるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウムなどの水溶液を用いることができる。
【0008】本発明方法においては、エタノールアミン
含有水を、塩化物イオンの共存下に電解処理することに
よって発生した次亜塩素酸イオンにより、エタノールア
ミンの大部分を酸化分解し、さらに残余のエタノールア
ミンと次亜塩素酸イオンを含有する水を、上記のように
して調製した金属過酸化物触媒と接触させることによ
り、エタノールアミンをほぼ完全に分解する。触媒は、
直径0.5〜10mm程度の粒子をカラムに充填して、固
定層又は流動層として用いることができる。粒径が0.
5mm未満であると、固定層では圧力損失が大きくなり、
流動層では担体が破壊して処理水中に混入するおそれが
ある。通水方向は、上向流又は下向流のいずれともする
ことができるが、窒素ガスが発生するので、上向流とす
ることが好ましい。本発明方法において、金属過酸化物
触媒への通水速度は、残存するエタノールアミンの濃
度、接触方法や担体上の金属過酸化物触媒の担持量など
により適宜選択することができるが、通常はSVが0.
1〜60h-1であることが好ましく、SVが0.5〜2
0h-1であることがより好ましく、SVが1〜10h-1
であることがさらに好ましい。エタノールアミン及び次
亜塩素酸イオンを含有する水と、金属過酸化物触媒との
接触は、通常は20〜30℃の常温で行うことができる
が、40〜50℃まで加温すれば反応速度が大きくな
り、接触時間を短縮することができる。一般的には、水
中のエタノールアミン濃度が高い場合には、接触時間を
長くすることが好ましい。また、接触時間が短かすぎる
と、処理水中に次亜塩素酸イオンが残留するおそれがあ
る。
【0009】本発明方法においては、金属過酸化物触媒
と接触後の水に、電解処理工程で生成した水素ガスを導
入して還元触媒と接触させる。エタノールアミン含有水
は、電解処理工程において、通常は全窒素の5〜10%
程度が硝酸イオン、亜硝酸イオンなどの窒素酸化物とな
り、金属過酸化物触媒との接触によっても除去されるこ
となく水中に残存する。水中に残存する窒素酸化物は、
通常はほとんどが硝酸イオンであり、若干の亜硝酸イオ
ンが共存する場合もある。このような窒素酸化物を含む
水に、水素ガスを導入して還元触媒と接触させることに
より、硝酸イオンと亜硝酸イオンを水素ガスにより還元
し、窒素ガスに変換して除去することができる。金属過
酸化物触媒と接触後の水に、水素ガスを導入して還元触
媒と接触させることにより、水中に残存する窒素酸化物
を、式[7]又は[8]に示される反応により還元して
窒素ガスとし、全窒素の除去率を99%以上まで到達さ
せることができる。 2NO3 - + 5H2 → N2 + 4H2O + 2OH- …[7] 2NO2 - + 3H2 → N2 + 2H2O + 2OH- …[8] 本発明方法に使用する還元触媒としては、例えば、白
金、パラジウム、ロジウム、銅、ニッケルなどを挙げる
ことができるが、これらの中で、パラジウム、白金、銅
及びロジウムを特に好適に使用することができる。これ
らの還元触媒は、多孔質担体に担持されたものであるこ
とが好ましい。還元触媒を担持する多孔質担体として
は、例えば、アルミナ、合成ゼオライト、天然ゼオライ
ト、活性炭、ジルコニア、チタニアなどを挙げることが
できる。アルミナを担体とするパラジウム担持触媒は、
例えば、硫酸パラジウム水溶液を用いて、比表面積が1
10〜340g/m2の多孔質アルミナを浸漬し、10
0℃で一夜乾燥したのち、400℃あるいは900℃に
おいて焼成し、さらに100℃あるいは500℃におい
て水素を用いて還元することにより調製することができ
る。還元触媒の金属担持量に特に制限はないが、通常は
0.01〜20重量%であることが好ましく、0.3〜5
重量%であることがより好ましい。
【0010】本発明方法においては、金属過酸化物触媒
との接触後の窒素酸化物を含む水に、前段の電解処理に
おいて発生した水素ガスを導入する。電解処理において
は、陰極で水素ガスが発生する。電解槽によって、発生
ガスと電解処理後の水が分離して排出される型式や、発
生ガスと電解処理後の水が混合状態で排出される型式が
あるが、発生ガスが分離されている場合にはそのガス
を、また分離されていない場合は、気液分離室で発生ガ
スを分離して捕集し、還元触媒との接触に際して導入す
ることができる。金属過酸化物触媒と接触後の窒素酸化
物を含む水への水素ガスの導入量は、式[7]及び
[8]から算出される当量以上であることが好ましく、
当量の1〜5倍量であることがより好ましい。水素ガス
の必要量に応じて、電解処理工程で生成する水素ガスの
全量を導入することができ、あるいは、一部を分割して
導入することもできる。本発明方法において、金属過酸
化物触媒と接触させた水を、さらに還元触媒と接触させ
る方法には特に制限はないが、還元触媒を充填した還元
触媒塔を好適に使用することができる。還元触媒塔は、
固定層又は流動層のいずれの方式でも用いることができ
る。固定層の場合は、触媒の粒径が0.3〜10mmであ
ることが好ましく、0.5〜3mmであることがより好ま
しい。また、流動層の場合は、触媒の粒径は0.05〜
0.5mmであることが好ましく、0.1〜0.3mmである
ことがより好ましい。通水方向は、上向流又は下向流の
いずれともすることができるが、窒素ガスが発生するの
で、上向流とすることが好ましい。還元触媒を充填した
還元触媒塔は、1基のみとすることができ、あるいは、
複数基の還元触媒塔を直列に接続することもできる。複
数基の還元触媒塔を直列に接続した場合、最初の還元触
媒塔において水素ガスの全量を導入することができ、あ
るいは、複数基の還元触媒塔において、水素ガスを分割
して導入することもできる。本発明方法において、水素
ガスを導入し、還元触媒と接触させる水のpHは、5〜8
であることが好ましいが、多くの場合、金属過酸化物触
媒との接触後の水のpHはこの範囲にあり、必要に応じて
さらにpH調整を行うことができる。還元触媒への通水速
度は、発生した窒素酸化物の濃度、接触方法や担体上の
還元触媒の担持量などにより適宜選択することができる
が、通常はSVが0.1〜10h-1であることが好まし
く、SVが1〜5h-1であることがより好ましい。還元
触媒との接触させる際の温度は、常温〜100℃である
ことが好ましい。本発明方法においては、金属過酸化物
触媒との接触後の水に水素ガスを導入し、還元触媒と接
触させて処理するので、電解処理工程において発生し、
金属過酸化物触媒との接触によっても除去されなかった
窒素酸化物を還元して窒素ガスとして除去することがで
きる。その結果、全窒素の除去率が向上する。しかも、
水素ガスは電解処理工程で副生した水素ガスを利用する
ので、還元剤を別途に準備する必要がなく、薬剤の費用
の負担なく経済的に還元処理を行うことができる。
【0011】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例1 エタノールアミン4,500mg/リットル、アンモニア
性窒素1,040mg/リットル、ヒドラジン300mg/
リットル及び塩化物イオン24,000mg/リットルを
含有する排水の処理を行った。この排水のCODMn濃度
は2,040mg/リットルであり、全窒素濃度は2,39
0mg/リットルであった。このモノエタノールアミンを
含む排水のpHを11に調整し、240ml/hの流速で電
解反応槽入口に供給して電解処理を行った。電解反応槽
は、陽極に4cm×25cmのチタン板に白金メッキした電
極を用い、陰極に4cm×25cmのSUS316板を用
い、極間距離を3mmにセットしたものである。電解反応
槽に通電する電流は、12A/dm2とした。通水方向
は、電極の長さ25cmの辺に平行な方向である。電解反
応槽より流出する水のCODMn濃度は246mg/リット
ル、全窒素濃度は142mg/リットル、次亜塩素酸ナト
リウム濃度は1,330mg/リットル、pHは9.2であっ
た。電解反応槽出口より流出する水を気液分離したの
ち、粒径1〜2mmのY型ゼオライトに、過酸化コバルト
をCoとして2.0重量%担持させた粒状触媒150ml
を充填した酸化触媒塔に通水した。酸化触媒塔より流出
する水のCODMn濃度は3.8mg/リットル、全窒素濃
度は138mg/リットル、次亜塩素酸ナトリウムは検出
されず、pHは7.5であった。次に、酸化触媒反応塔よ
り流出する水に、電解反応槽で発生したガスの全量を吹
き込み、粒径2〜3mmのアルミナ粒子の表面にPdを2
重量%担持させた還元触媒150mlを充填した還元触媒
塔に通水した。還元触媒塔より流出する水のCODMn
度は3.7mg/リットル、全窒素濃度は11.2mg/リッ
トル、次亜塩素酸ナトリウムは検出されず、pHは8.2
であった。実施例1の原水及び各工程後の処理水の水質
を、第1表に示す。
【0012】
【表1】
【0013】第1表に見られるように、エタノールアミ
ン含有水を電解反応槽において電解処理することによ
り、COD成分の88%と全窒素の94%が除去されて
いる。この水を酸化触媒塔において過酸化コバルト触媒
と接触させることにより、COD成分が分解除去されて
原水のCOD成分に対する除去率が99.8%に達する
とともに、次亜塩素酸ナトリウムが検出下限値以下まで
減少している。これは、酸化触媒塔において、COD成
分が次亜塩素酸ナトリウムと反応して酸化分解されると
ともに、過剰の次亜塩素酸ナトリウムも分解除去された
ものと考えられる。また、酸化触媒塔流出水に水素ガス
を吹き込んで還元触媒塔においてパラジウム触媒と接触
させることにより、全窒素が除去されて原水の全窒素に
対する除去率が99.5%に達している。これは、電解
反応槽において生成した窒素酸化物が水素ガスによって
還元され、窒素ガスとなって除去されたものと考えられ
る。
【0014】
【発明の効果】本発明方法によれば、エタノールアミン
含有水を、塩化物イオンの共存下に電解処理することに
より次亜塩素酸イオンを発生させ、次亜塩素酸イオンの
酸化反応を利用して、エタノールアミンを窒素ガスと二
酸化炭素と水に分解するので、COD成分と全窒素を同
時に除去することができる。電解処理において残留した
COD成分は、電解処理で生成した次亜塩素酸イオンの
酸化力を利用して、酸化触媒と接触させることにより、
効率よく除去することができる。また、電解処理工程で
は全窒素の5〜10%が亜硝酸イオン又は硝酸イオンま
で酸化されるが、これらの窒素酸化物は、電解処理工程
で発生する水素ガスを還元剤として利用し、還元触媒と
接触させることにより窒素ガスに変換して除去すること
ができる。本発明方法においては、電解反応槽において
発生する次亜塩素酸イオン及び水素ガスをそれぞれ酸化
剤及び還元剤として利用するので、酸化剤と還元剤を別
途に薬剤として使用することなく、しかもエタノールア
ミン含有水中のCOD成分と全窒素を高い除去率で分解
除去することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大西 真一 香川県高松市丸の内2番5号 四国電力 株式会社内 (72)発明者 稲田 勇 香川県高松市丸の内2番5号 四国電力 株式会社内 (72)発明者 辻 真臣 香川県高松市丸の内2番5号 四国電力 株式会社内 (72)発明者 上甲 勲 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 栗 田工業株式会社内 (72)発明者 三輪 聡志 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 栗 田工業株式会社内 (72)発明者 中原 敏次 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 栗 田工業株式会社内 (72)発明者 秋山 弘行 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 栗 田工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−276881(JP,A) 特開 平9−239371(JP,A) 特開 平9−234471(JP,A) 特開 平7−100466(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/461 C02F 1/58 C02F 1/70 B01J 23/44 B01J 29/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エタノールアミン含有水を、塩化物イオン
    の共存下に電解処理したのち、流出水を金属過酸化物触
    媒と接触させ、さらに電解処理工程で生成した水素ガス
    その流出水に導入して還元触媒と接触させることを特
    徴とするエタノールアミン含有水の処理方法。
  2. 【請求項2】電解槽に通水するエタノールアミン含有水
    のpHを9〜11.5に調整することを特徴とする請求項
    1記載のエタノールアミン含有水の処理方法。
  3. 【請求項3】金属過酸化物触媒と接触後の水を還元触媒
    塔にSV=0.1〜10h -1 で通水することを特徴とす
    る請求項1〜2いずれか1項記載のエタノールアミン含
    有水の処理方法。
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