JP4436183B2 - ヨウ素イオン除去プロセス及び電解プロセス - Google Patents
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BE674,937号公報、特開59−162285号公報、特開平7−237919号公報はいずれも、予めヨウイオンをヨウ素錯イオンに酸化した後、塩基性イオン交換樹脂で塩水からヨウ素イオンを除去する方法を提供しているが、ヨウ素イオンをヨウ素錯イオンへ確実に酸化することは困難である。すなわち、ヨウ素イオンを酸化した際、酸化生成物として一部ヨウ素酸イオンが生成する。このヨウ素酸は塩基性イオン交換樹脂では吸着除去できないため、精製後の塩水中にヨウ素酸が混入し、いわゆるイオン交換電解膜法で要求されるヨウ素濃度0.2mg/リットル以下の低濃度までヨウ素を除去することは難しい。
a) ヨウ素イオンを含有した塩水を、塩基性イオン交換樹脂に流通し、塩水中のヨウ素イオンを樹脂に吸着させ、ヨウ素イオンが除去された塩水を得る吸着工程、
b) I-をIO3 - に酸化する酸化性化合物を含む水溶液を前記樹脂に流通し、樹脂からヨウ素イオンを脱着する脱着工程、
c) 上記b)で樹脂に残った酸化性化合物を洗浄・除去する洗浄・除去工程、
の工程からなるヨウ素イオン除去プロセス。
(3) ヨウ素イオンを含有していない塩水として、a)の吸着工程で得られたヨウ素イオンが除去された塩水を用いる上記(2)に記載のヨウ素イオン除去プロセス。
(4) ヨウ素イオンを含有していない塩水が、NaClを含有している上記(2)又は(3)に記載のヨウ素イオン除去プロセス。
y) 上記x)を経て得られる塩水を隔膜法電解槽にて電気分解して淡塩水を得る電解工程、
z) 上記y)で得られた淡塩水を、次亜塩素酸分解処理し、次亜塩素酸を含有しない塩水を得る次亜塩素酸分解工程
を有し、上記z)で得られた次亜塩素酸を含まない塩水を、塩水精製工程x)にリサイクルする電解プロセスにおいて、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のa)の吸着工程で得られた「ヨウ素イオンが除去された塩水」を、電解工程y)の原料塩水として用いる電解プロセス。
(7) c)の洗浄・除去工程から得られた次亜塩素酸含有液を、次亜塩素酸分解工程z)の前に戻す蒸気(5)又は(6)に記載の電解プロセス。
本発明のヨウ素イオン除去プロセスは、ヨウ素イオンを含有した塩水からヨウ素イオンを除去する方法において、
a) ヨウ素イオンを含有した塩水を、塩基性イオン交換樹脂に流通し、塩水中のヨウ素イオンを樹脂に吸着させ、ヨウ素イオンが除去された塩水を得る吸着工程、
b) I-をIO3 - に酸化する酸化性化合物を含む水溶液を前記樹脂に流通し、樹脂から
ヨウ素イオンを脱着する脱着工程、
c) 上記b)で樹脂に残った酸化性化合物を洗浄・除去する洗浄・除去工程、
の工程からなることを特徴とする。
x) 塩を溶解し、原塩中の不純物を除去する塩水精製工程、
y) 上記x)を経て得られる塩水を隔膜法電解槽にて電気分解して淡塩水を得る電解工程、
z) 上記y)で得られた淡塩水を、次亜塩素酸分解処理し、次亜塩素酸を含有しない塩水を得る次亜塩素酸分解工程
を有し、上記z)で得られた次亜塩素酸を含まない塩水を、塩水精製工程x)にリサイクルする電解プロセスにおいて、前記のa)の吸着工程で得られた「ヨウ素イオンが除去された塩水」を、電解工程y)の原料塩水として用いる電解プロセスが挙げられる。
本発明に適用される塩基性イオン交換樹脂は、ヨウ素イオンを吸着可能なものであればよく、例えば、固定された陽イオン部位およびハロゲンアニオンでイオン交換可能な陰イオン部からなる塩基性樹脂が挙げられる。固定化された陽イオン部位としては、スチレンとジビニルベンゼンのコポリマーに結合した4級アンモニウム塩が挙げられ、ハロゲンアニオンでイオン交換可能な陰イオン部としては、通常塩素イオンとして入手できる。このタイプの樹脂は市販されている汎用の強塩基性イオン交換樹脂、弱塩基性イオン交換樹脂を用いることができる。好ましくは強塩基性イオン交換樹脂であり、4級アンモニウム塩部位がトリメチルアンモニウム塩、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩などの汎用な構造である。また表面の状態により分類されるゲル型とマクロポーラス型のいずれでも良く両方とも使用できる。例えば、三菱化学製のダイヤイオンSA10シリーズ、SA20シリーズ、PA300シリーズ、PA400シリーズを用いることができる。本発明にはポーラスタイプの樹脂が好ましく、PA300シリーズ、PA400シリーズが好適である。本発明に適用するイオン交換樹脂担体の架橋度は高い方が、樹脂の劣化が小さく好ましい。
酸化性化合物」を使用するため、b)の脱着工程後に塩基性イオン交換樹脂中に「I-をIO3 - に酸化する酸化性化合物」が残存する問題がある。ヨウ素イオンの吸着脱着を繰り返し操作する場合、「I-をIO3 - に酸化する酸化性化合物」が残存すると、吸着工程でのヨウ素イオンが酸化を受け精製塩水中へのリークを生ずる。またそれ自身がプロセスへ混入してしまう問題がある。特に「I-をIO3 - に酸化する酸化性化合物」として過ヨウ素酸を用いた場合、新たなヨウ素イオンが混入するため、吸着工程を再開する前に「I-をIO3 - に酸化する酸化性化合物」のより入念な洗浄が必要となる。
上記c)工程における洗浄液の流量は、空間速度よりも、全流量で樹脂体積に対し何倍通液したかが重要である。通常、3倍以上の「ヨウ素を含有しない塩水」を流通させればよい。ゆえに洗浄時間やポンプ流量の制約から任意に流速は決定できる。例えば、空間速度SVで、通常0.1h-1以上好ましくは0.2h-1以上、通常100h-1以下、好ましくは30h-1以下である。操作温度は、低温でも高温でも操作できる。ただし、高すぎる温度では樹脂の劣化が起こるため問題である。よって操作温度は、通常0℃以上、好ましくは10℃以上であり、通常80℃以下、好ましくは60℃以下である。
本発明のヨウ素イオンのイオン交換樹脂への吸脱着操作は、単独プロセスとしても成り立つが、電解プラントに併設することにより、運転の効率を一層向上させることが可能である。隔膜法の電解プロセスに用いられている工業塩中ヨウ素イオン濃度は飽和塩水中に0.01ppm未満の極微量しか存在していない。一方、ヨウ素を含有した副生塩を原料として用いる場合、ヨウ素イオンはアニオンであるため、カチオン成分除去を目的とした既存の電解プロセスの塩水精製設備では除去できない。そこで本発明を電解プロセスに適用することで、電解原料塩としてヨウ素を含有した副生塩の使用が可能となる。
x) 塩を溶解し、原塩中の不純物を除去する塩水精製工程、
y) 上記x)を経て得られる塩水を隔膜法電解槽にて電気分解して淡塩水を得る電解工程、
z) 上記y)で得られた淡塩水を、塩素酸分解処理し、塩素酸を含有しない塩水を得る塩素酸分解工程を有し、上記z)で得られた塩素酸を含まない塩水を、塩水精製工程x)にリサイクルする各工程からなる電解プロセスである。ここで塩素酸とは、次亜塩素酸及び過塩素酸を指す。
原塩を溶解する溶液としては、塩濃度が不飽和な水溶液であればよいが、電解プロセスに存在しない新たな不純物を含有しない水溶液が好ましく、具体的には、脱イオンされた純水、あるいは電解プロセスから得られる淡塩水などである。
本発明において塩水を電解する手段としては、公知のイオン交換膜法が採用できる。本発明におけるイオン交換膜としては、多孔質層を表面に有する陽イオン交換膜が使用でき、多孔層は金属又は金属の酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物あるいはそれらの混合物、さらには親水性を施したポリマーにより構成される。例えば、黒鉛又はチタン母材に白金金属または白金金属の酸化物を被覆した耐腐食性電極を用いることができる。また電解槽も単極槽または複極槽などいずれの方式も採用できる。このイオン交換膜を挟んで陽極、陰極を配した隔膜式電解槽で、塩化アルカリ水溶液を電気分解し、陽極から塩素、陰極から苛性ソーダを得る場合、電解電圧および電流密度は、それぞれ2.3−5.5V、5−100A/dm3が採用できる。例えば、3規定以上の濃度の塩化ナトリウム水溶液を原料にして、10−120℃、好ましくは70−95℃、10−60/dm3の電流密度で電解することにより、20−45%好ましくは25−40%の高濃度の水酸化ナトリウムが低電解電圧でかつ高電流効率で膜の大きな劣化を起こすことなく長期に渡って製造できる。
ヨウ素を含有した副生塩を電解の原料塩に用いる場合、前記した電解プロセスに本発明のヨウ素イオン除去プロセスを併設することより以下の利点を有する。
a)工程で得られた「ヨウ素イオンを除去した塩水」を連続的に電解工程v)の電解原料塩水として供給することできる。b)工程で用いられる「I-をIO3 - に酸化する酸化性化合物を含む水溶液」として、y)の電解工程で得られる「塩素酸塩を含有した淡塩水」の電解槽出口のストリームを利用できる。また、b)工程で発生する塩素酸塩などが含有した排水はプロセス系外に出す前に亜硫酸ナトリム、チオ硫酸ナトリウムなどを用いた公知の方法で分解処理する必要があるが、通常電解プラントにはこうした設備を具備している。c)工程でヨウ素イオンを含有しない塩水で「I-をIO3 - に酸化する酸化性化合物」を洗浄した際の廃水は、ヨウ素を含んでおらず塩素酸を含有した塩水であるため電解プロセスの塩素酸分解工程の前流にリサイクルすることができ、廃水ロスを少なくすることができる。
三菱化学製塩基性イオン交換樹脂PA318を、ジャケットを有した内径1.9cmのガラス製カラムに50mL充填した充填槽を用いて実験を行った。原料塩水は試薬の塩化ナトリウムを純水に25℃で飽和まで溶解し、試薬のヨウ化カリウムをヨウ素として3重量ppmに調製した。この原料塩水を所定の温度で、ヨウ素の破過濃度を0.1重量ppmと定めてその濃度まで充填槽の下部から定量ポンプで通液した。カラム出口の液を所定の時間間隔でサンプリングし、サンプルはUV検出器を有したイオンクロマトによる分析をヨウ素イオンの分析を行った。ヨウ素イオンの分析は、イオンクロマトで行い、ヨウ素酸の分析をする場合、前処理として硫酸酸性下、亜硫酸ナトリウムで還元処理し、全ヨウ素イオンを元々のヨウ素濃度を差し引いて求めた。
イオン交換樹脂をPA318からキレート樹脂であるの三菱化学製ダイヤイオンCRB02(メチルジヒドロキシヘキシルアミノ基を有す)に変えた以外は、実施例1の方法に従った。
三菱化学製塩基性イオン交換樹脂PA318を、ジャケットを有した内径1.9cmのガラス製カラムに50mL充填した充填槽を用いて実験を行った。試薬のヨウ化カリウムを純水に溶解し、ヨウ素として20重量ppmになるように調製した。この溶液をSVを3h−1で300mLを充填槽の下部から定量ポンプで通液した。この間カラムの出口でヨウ素は検出されておらず、全量が吸着されているので、ヨウ素が6mg吸着した樹脂を得ることができた。ついで、試薬の塩化ナトリウムを純水に溶解させ所定濃度(カウンターカチオンは除く分量換算、例えば、次亜塩素ナトリウムなら、ClO)に調製した。更にこの塩水に種々の酸化剤を所定の濃度になるように調製した。この調製した酸化剤溶液を、先にヨウ素を吸着させた樹脂にダウンフローで流通させた。カラム出口液を所定の時間でサンプリングし、サンプルはUV検出器を有したイオンクロマトでヨウ素イオンの分析を行った。ヨウ素イオンの分析は、イオンクロマトで行い、ヨウ素酸の分析をする場合、前処理としてサンプルを硫酸酸性下、亜硫酸ナトリウムで還元処理し、全ヨウ素イオンを元々のヨウ素濃度を差し引いて求めた。再生率は、流出液中のヨウ素量を求め、初期の吸着量に対する回収率として求めた。
酸化剤を用いない以外は実施例5に記載の方法に従った。
Claims (6)
- ヨウ素イオンを含有した塩水からヨウ素イオンを除去する方法において、
a) ヨウ素イオンを含有した塩水を、塩基性イオン交換樹脂に流通し、塩水中のヨウ素イオンを樹脂に吸着させ、ヨウ素イオンが除去された塩水を得る吸着工程、
b) I-をIO3 -に酸化する酸化性化合物を含む水溶液を前記樹脂に流通してヨウ素イオンをヨウ素酸イオンに酸化し、樹脂からヨウ素イオンを脱着する脱着工程、
c) 上記b)で樹脂に残った酸化性化合物を洗浄・除去する洗浄・除去工程、
の工程からなるヨウ素イオン除去方法。 - c)の洗浄・除去工程における洗浄液が、ヨウ素イオンを含有していない塩水である請求項1に記載のヨウ素イオン除去方法。
- ヨウ素イオンを含有していない塩水として、a)の吸着工程で得られたヨウ素イオンが除去された塩水を用いる請求項2に記載のヨウ素イオン除去方法。
- ヨウ素イオンを含有していない塩水が、NaClを含有している請求項2又は3に記載のヨウ素イオン除去方法。
- I-をIO3 -に酸化する酸化性化合物が、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、及び過塩素酸塩からなる群から選ばれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のヨウ素イオン除去方法。
- x) 塩を溶解し、原塩中の不純物を除去する塩水精製工程、
y) 上記x)を経て得られる塩水を隔膜法電解槽にて電気分解して淡塩水を得る電解工程、
z) 上記y)で得られた淡塩水を、次亜塩素酸分解処理し、次亜塩素酸を含有しない塩水を得る次亜塩素酸分解工程
を有し、上記z)で得られた次亜塩素酸を含まない塩水を、塩水精製工程x)にリサイクルする電解方法におけるy)の電解工程で得られた淡塩水を、前記b)の脱着工程における「I-をIO3 -に酸化する酸化性化合物を含む水溶液」として用いる請求項1〜5のいずれか一項に記載のヨウ素イオン除去方法。
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