JP4977592B2 - よう素含有廃液からのよう素回収方法およびよう素回収装置 - Google Patents

よう素含有廃液からのよう素回収方法およびよう素回収装置 Download PDF

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Description

本発明は、よう素含有廃液からのよう素回収方法、およびよう素回収装置に関する。
よう素は、レントゲン造影剤、医薬品、光学フィルム、写真用原料等、多くの分野で、原料、中間体、触媒等に利用されている。そして、よう素は、製造工程から排出される廃液に、様々な形態で含有されている。よう素含有廃液から、よう素を回収することは、経済的、自然環境保護的、少資源回収的見地から非常に重要なことである。
従来、灌水からのよう素回収方法が多く検討され、その回収技術が各種よう素含有廃液からのよう素回収に応用されている。特に、イオン交換樹脂を用いた回収方法として、よう素を含有する廃液を酸化または還元し、遊離よう素分子とし、酸性下でよう素イオンを吸着させた強塩基性アニオン樹脂で吸着分離する技術が知られている(例えば、特許文献1、2)。本方法によれば強塩基性アニオン樹脂へのよう素吸着量が多いため、一度に多くのよう素が回収できる。
特開平6−157008号公報 特許第2569125号公報
しかしながら、前述の特許文献1または2に記載の技術では、前処理でよう素を酸化して遊離よう素とするために、次亜塩素酸ナトリウムや塩素ガス等の酸化剤を使用しなければならない。このため、高濃度のよう素溶液に対して、多量の酸化剤が必要であり、取扱上の問題があった。また、廃液中に含有される、よう素の多くは、中性塩のよう化カリウム(KI)として存在していることが多い。このため、廃液中のよう素の回収には、強塩基性アニオン樹脂が使用される。強塩基性アニオン樹脂はよう素への選択性が高い一方で、再生には、例えば10%NaOHという高濃度の塩基性水溶液を溶離液として使用しないと、充分な溶離ができない。このように、従来の技術では、高濃度のよう素廃液から、よう素を回収するにあたっては、酸化剤や高濃度の塩基性水溶液を使用するため、処理が煩雑であり、作業の簡易化が図りにくいという問題があった。
本発明は、酸化剤を使用せず、かつ溶離液の濃度を低減させて、よう素を含有する廃液から、よう素を経済的かつ簡易に回収することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、よう素を含有する廃液を強酸性カチオン交換樹脂に接触させることで、廃液中のカチオン成分が吸着され、廃液中のKI等の中性塩は、酸性下において、よう化水素(HI)の形態をとり、弱塩基性アニオン交換樹脂であっても、よう素を分離・吸着できるとの知見を得た。以上の知見を基に、以下の発明に至った。
すなわち本発明のよう素含有廃液からのよう素回収方法は、よう素を含有する廃液をアニオン交換樹脂に接触させて、よう素を吸着させる吸着工程と、前記アニオン交換樹脂に溶離液を接触させて、よう素を溶離させる溶離工程と、溶離したよう素を含有する回収液を回収する回収工程とを有する、廃液中のよう素回収方法であって、前記廃液を + 強酸性カチオン交換樹脂に接触させた後、アニオン交換樹脂に接触させて吸着工程を行うことを特徴とし、前記アニオン交換樹脂は、弱塩基性アニオン交換樹脂であることが好ましい。また、前記廃液を前記アニオン交換樹脂に接触させた後に、pHおよび/または導電率を測定し、該pHおよび/または導電率に応じて、吸着工程での前記廃液の通液量を制御することが好ましく、前記回収液のpHおよび/または導電率を測定し、該pHおよび/または導電率に応じて、回収液のよう素濃度を管理することが好ましく、前記廃液は、よう素系色素を用いた液晶用偏光板製造工程から排出される廃液であっても良い。
前記吸着工程は、前記アニオン交換樹脂への通液を上昇流で行うことが好ましく、前記溶離工程は、前記アニオン交換樹脂への通液を下降流で行うことが好ましく、前記吸着工程と前記溶離工程との間に、前記 + 強酸性カチオン交換樹脂と前記アニオン交換樹脂とを20〜60℃の純水で洗浄する洗浄工程を設けることが好ましい。
本発明のよう素含有廃液からのよう素回収装置は、よう素を含有する廃液をアニオン交換樹脂に接触させて行う吸着手段と、前記アニオン交換樹脂に溶離液を接触させる溶離手段と、溶離したよう素を含有する回収液を回収する回収手段とを有する、廃液中のよう素回収装置であって、前記廃液を + 強酸性カチオン交換樹脂に接触させた後、アニオン交換樹脂に接触させる手段を有することを特徴とし、前記アニオン交換樹脂は、弱塩基性アニオン交換樹脂であることが好ましい。
本発明のよう素回収装置は、前記アニオン交換樹脂に接触させた後の廃液の、pHまたは導電率を測定する手段を有し、該pHおよび/または導電率に応じて、前記廃液の通液量を制御する手段を有することが好ましく、または該pHおよび/または導電率に応じて回収液のよう素濃度を管理することが好ましい。
本発明のよう素回収装置は、よう素系色素を用いた液晶用偏光板製造工程から排出される廃液が接触されても良く、前記アニオン交換樹脂を保温する設備を有することが好ましい。
本発明のよう素回収方法、ならびに本発明のよう素回収装置によれば、酸化剤を使用せず、かつ溶離液の濃度を低減させて、よう素を含有する廃液から、よう素を経済的かつ簡易に回収することができる。
本発明の実施形態の一例について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態における、よう素回収装置10の模式図である。なお、本発明は、以下の実施形態に限られるものではない。
図1に示すとおり、よう素回収装置10は、原水槽12と、強酸性カチオン樹脂塔16と、アニオン樹脂塔18と、洗浄水槽30と、再生液槽40と、溶離液槽50と、低濃度よう素回収槽20と、高濃度よう素回収槽22とを有している。強酸性カチオン樹脂塔16には、強酸性カチオン交換樹脂が充填され、アニオン樹脂塔18には、アニオン交換樹脂が充填されている。
よう素を含有する廃液を貯留する原水槽12には、配管100が接続されている。配管100は、ポンプ14、バルブ15を経由し、分岐101で配管102、134、138と接続されている。配管102は、強酸性カチオン交換塔16の上部と接続され、強酸性カチオン交換塔16の底部には配管104が接続されている。配管104は、分岐105、バルブ17、バルブ19を経由して、分岐107で配管106と配管152に接続されている。配管106は、アニオン樹脂塔18の底部に接続されている。また、配管152は、バルブ21を経由して、分岐111で配管108と接続されている。アニオン樹脂塔18の上部には、配管108が接続され、配管108は、分岐109、バルブ23、分岐139、分岐111を経由して、分岐113で、配管110、112と接続されている。また、配管108の分岐111と113との間には、導電率計26とpH計28とが設置されている。配管110は、バルブ25を経由して、低濃度よう素回収槽20と接続されている。配管112は、分岐115で配管114と116に分岐している。配管114はバルブ27を経由して、高濃度よう素回収槽22と接続されている。一方、配管116は、バルブ29を経由して、排水処理装置24と接続されている。
洗浄水槽30には、配管130が接続されている。配管130は、ポンプ32、分岐133を経由して、分岐135で、配管134、136と接続されている。また、配管130は、分岐133で配管132に分岐され、配管132は、バルブ33を経由して、分岐151で配管150に接続されている。配管134は、バルブ35を経由して、分岐101で配管100、102、138と接続されている。配管138は、バルブ39を経由して、分岐139で配管108と接続されている。配管136は、バルブ37を経由して分岐143で、配管140と接続されている。また、洗浄水槽30は、図示されない加温装置と接続されている。
再生液槽40には、配管140が接続されている。配管140は、ポンプ42、分岐143、バルブ43を経由して、分岐105で配管104と接続されている。
溶離液槽50には、配管150が接続されている。配管150は、ポンプ52、分岐151、バルブ53を経由して、分岐109で配管108と接続されている。
本発明における吸着手段とは、ポンプ14と、アニオン樹脂塔18、配管100、104、106、108と、バルブ15、17、19、23とで構成されている。溶離手段とは、溶離液槽50と、ポンプ52と、配管106、108、150、152と、バルブ21、53とで構成されている。また、回収手段とは、配管106、108、110、112、114、116、152と、バルブ21、25、27、29と、低濃度よう素回収槽20と、高濃度よう素回収槽22とで構成されている。
回収液のよう素濃度を管理する手段とは、前記回収手段と、導電率計26と、pH計28とを有する手段である。また、廃液の通液量を制御する手段とは、前記吸着手段と、導電率計26と、pH計28とで構成されている。
原水槽12は、よう素を含有する廃液を一時的に貯留することができれば、特に限定されることはない。また、低濃度よう素回収槽20および高濃度よう素回収槽22は、よう素および溶離液の成分を含有する水性液を貯留できることができれば、特に限定されることはない。
強酸性カチオン樹脂塔16に充填される強酸性カチオン交換樹脂は、中性塩を分解・吸着することができれば特に限定されず、廃液の水質等を勘案して、重合度、形状を選択することができる。従って、樹脂の形状は、ゲル型であっても、ポーラス型であっても良い。
アニオン樹脂塔18に充填されるアニオン交換樹脂は、よう素を吸着できるものであれば特に限定されず、強塩基性アニオン交換樹脂、弱塩基性アニオン交換樹脂のいずれであっても良い。よう素を溶離する際の、塩基性水溶液濃度を低くし、塩基性水溶液の使用量を少なくする観点から、弱塩基性アニオン交換樹脂を用いることが好ましい。また、重合度、形状は特に限定されず、樹脂の形状は、ゲル型であっても、ポーラス型であっても良い。
また、アニオン樹脂塔18の構造は特に限定されないが、アニオン樹脂塔18内を保温できるものであることが好ましい。例えば、アニオン樹脂塔18を合成ゴム等でライニングしたものや、断熱材で外周を覆ったもの、外周部に熱媒体を流通させるためのジャケットを備えたもの等を挙げることができる。この内、特段の付属設備を有しない、アニオン樹脂塔18を合成ゴム等でライニングしたものや、断熱材で外周を覆ったものが好ましい。
導電率計26は、配管108中の水性液を連続的に測定できるものであれば、特に限定されることはない。
pH計28は、配管108中の水性液を連続的に測定できるものであれば、特に限定されることはない。
本発明における廃液の通液量を制御する手段とは、導電率計26、pH計28での測定値を基に、ポンプ14の起動・停止と、バルブ15、17、19、23の開閉を行う制御手段であれば特に限定されない。例えば、導電率計26とpH計28とが、制御装置と電気的に接続され、導電率および/またはpHの値に応じて、前記制御装置からの信号によって、ポンプ14の起動・停止を行ったり、バルブ15、17、19、23の開閉を行うものが挙げられる。
本発明における回収液のよう素濃度を管理する手段とは、導電率計26、pH計28の測定値を基に、ポンプ52の起動・停止と、バルブ25、27、29、それぞれの開閉とを連動させることができるものであれば特に限定されることはない。例えば、次のような制御手段が挙げられる。導電率計26とpH計28とが、制御装置と電気的に接続され、導電率および/またはpHの測定値を制御装置に送られる。次いで、前記制御装置にて、導電率およびpHの値の組み合わせから、ポンプ52の起動・停止と、バルブ25、27、29の開閉とを組み合わせを決定する。そして、前記制御装置からの信号により、ポンプ52の起動・停止と、バルブ25、27、29の開閉が行われ、回収液をよう素含有濃度に応じて、低濃度よう素回収槽20または高濃度よう素回収槽22へ貯留させる手段が挙げられる。また、導電率および/またはpHの測定値に応じて、手動でポンプ14の起動・停止と、各バルブの開閉とを行う手段であっても良い。
アニオン樹脂塔18から、低濃度よう素回収槽20、および高濃度よう素回収槽22に至る、配管106、108、110、112、114、152は、保温できる構造であることが好ましい。前記保温できる構造とは、特に限定されることはなく、例えば、配管外周を断熱材で覆ったものや、配管外周に電熱線を巻いて加熱できる構造を挙げることができる。
本発明における、よう素を含有する廃液からの、よう素回収方法について、図1を用いて説明する。
まず、全てのポンプを停止、全てのバルブを閉とした状態で、よう素を含有する廃液(以下、原水ということがある)を原水槽12に貯留する。次いで、バルブ15、17、19、23、29を開として、ポンプ14を起動し、原水を配管100に流し、バルブ15、配管102を経由して、強酸性カチオン樹脂塔16の上部から強酸性カチオン樹脂塔16内に流入させる。流入した原水は、強酸性カチオン樹脂塔16内の強酸性カチオン交換樹脂内を拡散しながら流通し、強酸性カチオン樹脂塔16の底部から流出する。この間、強酸性カチオン交換樹脂に、原水中のカチオン成分が吸着されると同時に、強酸性カチオン交換樹脂からHが放出されることで、原水は酸性に傾く。そして、例えば、原水中のKI(よう化カリウム)は、HI(よう化水素)の形態となる。
続いて、強酸性カチオン樹脂塔16から流出した原水は、配管104を流通し、バルブ17、19を経由して分岐107に至り、分岐107から配管106を流通し、アニオン樹脂塔18の底部からアニオン樹脂塔18内に流入する。流入した原水は、アニオン樹脂塔18内のアニオン交換樹脂内を、拡散しながら上昇流で流通し、アニオン樹脂塔18の上部から流出する。この間、原水中のHIは強酸であるために、容易に分離されて、よう素がアニオン交換樹脂に吸着される。次いで、アニオン樹脂塔18の上部から流出した原水は、配管108を流通し、バルブ23、配管112、116を経由して廃水処理装置24へ排出される。また、あるいは、導電率計26、pH計28の測定値に応じて、バルブ25を開、バルブ29を閉として、低濃度よう素回収層20に回収することもできる(吸着工程)。
吸着工程終了後、ポンプ14を停止、バルブ15、17、19、23、29を閉として、バルブ17、19、23、25、35を開として、ポンプ32を起動し、洗浄水を配管130に流す。配管130に流された洗浄水は、分岐135から配管134、バルブ35を経由して分岐101に至り、分岐101から配管102を流通し、強酸性カチオン樹脂塔16に流入する。流入した洗浄水は、強酸性カチオン交換樹脂内を拡散して流通し、強酸性カチオン樹脂塔16の底部から流出する。続いて、流出した洗浄水は、配管104から配管106を流通し、アニオン樹脂塔18の底部からアニオン樹脂塔18に流入する。流入した洗浄水は、アニオン交換樹脂内を拡散しながら上昇流で流通し、アニオン樹脂塔18の上部から流出する。そして、アニオン樹脂塔18の上部から流出した洗浄水は、配管108を流通し、バルブ23、分岐111を経由して分岐113に至り、分岐113から配管110によりバルブ25を経由して、低濃度よう素回収槽20に貯留される(洗浄工程)。
洗浄工程終了後、ポンプ32を停止、バルブ17、19、23、29、35を閉として、バルブ29、39、43を開として、ポンプ42を起動し、再生液を配管140に流す。配管140に流された再生液は、バルブ43を経由して分岐105に至り、分岐105から配管104を流通して、強酸性カチオン樹脂塔16の底部から、強酸性カチオン樹脂塔16に流入する。流入した再生液は、強酸性カチオン樹脂塔16内の強酸性カチオン交換樹脂内を拡散しながら流通し、強酸性カチオン樹脂塔16の上部から流出する。流出した再生液は、配管102内を流通して分岐101に至り、分岐101から配管138を流通し、バルブ39を経由して分岐139に至り、配管108を流通し、バルブ23、29、配管112、116を経由して廃水処理装置24へ排出される(再生工程)。
再生工程終了後、ポンプ42を停止し、バルブ43、39、29を閉として、バルブ53、21、25を開として、ポンプ52を起動し、溶離液を配管150に流す。配管150に流された溶離液は、バルブ53を経由して分岐109に至り、分岐109から配管108により、アニオン樹脂塔18の上部から流入する。流入した溶離液は、アニオン樹脂塔18内のアニオン交換樹脂内を拡散しながら下降流で流通し、アニオン樹脂塔18の底部より流出する。この間、アニオン交換樹脂に吸着されているよう素は、溶離液中のアニオン成分と置換されることで溶離され、よう化物イオンあるいはよう素化合物イオンとなって、溶離液中に取り込まれ、回収液となる(溶離工程)。
回収液は、配管106を流通して分岐107に至り、分岐107から配管152内を流通し、バルブ21を経由して分岐111に至り、さらに、分岐111から配管108を流通し、分岐113に至る。この間、回収液は、導電率計26により導電率を、pH計28によりpHを測定されながら流通する。そして、回収液の導電率およびpHの測定値を基に、回収液の濃度が目的とする濃度以下と判断できる場合には、分岐113から配管110を流通し、バルブ25を経由して、回収液を低濃度よう素回収槽20に貯留する。一方、回収液の導電率およびpHの測定値を基に、回収液のよう素濃度が目的とする濃度に達したと判断された場合には、バルブ25を閉、バルブ27を開として、回収液を高濃度よう素回収槽22に貯留する(回収工程)。
本発明におけるよう素を含有する廃液は、特に限定されず、光学フィルム製造や医薬品製造等の工程から排出される廃液等を挙げることができ、特に光学フィルム製造工程から排出される廃液、中でも、よう素系色素を用いた液晶用偏光板製造工程(以下、単に液晶用偏光板製造工程ということがある)の廃液から、よう素を回収するのに好適である。
液晶ディスプレイ(LCD)は、偏光板と液晶とで、外光またはバックライト光を通過/非通過制御することで画面表示を可能としている。この偏光板は、偏光子と保護材とで構成されている。偏光子の製造は、大別して2つの方法があり、ポリビニルアルコールフィルムによう素を吸着させて、その後、ほう酸水溶液中で延伸する方法と、よう素の代わりに染料を用いるタイプである。従って、偏光子によう素を使用する液晶用偏光板製造工程では、よう素を含有する廃液が排出される。また、これらの廃液中には、多量のほう酸が含まれていることが多い。液晶用偏光板製造工程とは、液晶用偏光板製造のみならず、その中間品の製造あるいは液晶用偏光板を加工する工程をも含むものとする。
前記廃液に含有されるよう素とは、特に限定されることはなく、遊離のよう素、よう化カリウム、よう素酸等の、よう素化合物の全てを含むものとする。
本発明の吸着工程における原水の通液量は特に限定されず、アニオン樹脂塔18に充填したアニオン交換樹脂の量と、イオン交換容量に応じて決定することができるが、原水中のよう素イオンが破過したと判断された時点で終了することが好ましい。
吸着工程の終了について、図2を用いて詳細に説明する。図2は、後述する実施例1における、アニオン樹脂塔流通後の原水の導電率、pHと、よう化物イオン(I)濃度、ほう酸濃度との関係を表すグラフである。縦軸は、導電率、よう化物イオン濃度、ほう酸濃度、pHを示し、横軸は原水のベッドボリウム(B.V:アニオン交換樹脂体積量に対する通液量)を示す。また、凡例は、(a)は導電率、(b)はよう化物イオン濃度、(c)はほう酸濃度、(d)はpHを示す。ここで、不純物を全く含んでいない水の場合、25℃の水における導電率の理論値は0.055μS/cmである。従って、導電率の値が0.055μS/cmに近づき、かつ低ければ低いほど、清浄な水質であると言える。
図2に示すとおり、原水の通液開始からB.V=4までは、pH(d)は徐々に下がる一方、導電率(a)、よう化物イオン濃度(b)には、変化が見られない。さらに、B.V=6まで通液を継続しても、導電率(a)、よう化物イオン濃度(b)には変化が見られないことに加え、pH(d)も殆ど変化しない。そして、さらに通液を続けると、B.V=6を超えたところで、pH(d)は急激に下がり、導電率(a)、よう化物イオン濃度(b)は急激に上昇する。このように、原水中のよう化物イオン濃度(b)と、pH(d)および導電率(a)とは、相関すると言える。そこで、導電率とpHとの測定値から、アニオン交換樹脂へのよう化物イオンの吸着が飽和し、一定以上のよう化物イオンの漏洩が見られた時点(破過点)を判断し、吸着工程の終了時点を設定することができる。
例えば、図2の測定値を基に例を挙げると、導電率が120mS/cmまで上昇、またはpH2まで低下した時点を原水中のよう化物イオンが破過したと判断して、吸着工程を終了しても良いし、導電率が120mS/cmまで上昇、かつpH2まで低下した時点で、吸着工程を終了しても良い。
このような制御は、アニオン樹脂塔流通後の原水の導電率とpHとを目視で確認しながら、原水の通液を停止しても良いし、導電率計26とpH計28とを別途制御機器を介して、ポンプ12と電気的に接続し、自動制御しても良い。また、吸着工程終了の判断は、洗浄液の導電率計26およびpH計28の測定値を基に判断しても良いし、いずれか一方の測定値のみで判断しても良い。加えて、吸着工程を終了する際の導電率、pHは任意に設定することができる。
本発明における洗浄水は純水であれば特に限定されることはなく、イオン交換膜やRO膜、蒸留等、いずれの方法によって得られたものであっても良い。
洗浄水として用いる純水の温度は、特に限定されることはないが、好ましくは20〜60℃、より好ましくは30〜50℃の温水である。液晶用偏光板製造工程から排出される廃液は、ほう酸を含有している場合が多く、ほう酸は、よう素回収装置10内、例えば、強酸性カチオン樹脂塔16や、アニオン樹脂塔18、および各配管中に析出することがある。ほう酸の析出は、強酸性カチオン樹脂塔16や、アニオン樹脂塔18、各配管を閉塞する原因となる。そこで、温水による洗浄を行うことでほう酸の溶解度を上げ、よう素回収装置10内のほう酸を短時間で除去することができる。洗浄水の温度が20℃未満であると、ほう酸の洗浄水への溶解度が不充分であり、洗浄が短時間で行えないおそれがある。また、洗浄水の温度が60℃を超えると、一度溶解したほう酸が、その後の工程で冷却された場合に、再度析出する可能性があるためである。加えて、60℃を超える温水を使用することは、よう素回収装置10の運転管理上の問題があり、好ましくないためである。
なお、純水の加温方法は特に限定されず、既知の方法にて行うことができる。例えば、洗浄水槽30からポンプ32で送液した洗浄水を、水蒸気を熱媒体とした熱交換器で加温しても良いし、洗浄水槽30を直接加温しても良い。
洗浄水の通液量は、特に限定されることはなく、強酸性カチオン樹脂塔16やアニオン樹脂塔18の規模等を勘案して決定することができ、例えば、強酸性カチオン交換樹脂体積およびアニオン交換樹脂体積に対してB.V=2〜3であることが好ましい。また、洗浄水の通液速度は、空間速度(SV)で表され、SVの単位はイオン交換樹脂の単位体積(L−R)に対して1時間に流通させる流量(L)であるL/L−R・h−1で表す(以降において同じ)。本実施形態ではSV=2〜3L/L−R・h−1が好ましい。
洗浄工程では、アニオン樹脂塔18が、20〜60℃に保温されていることが好ましく、30〜50℃に保温されていることがより好ましい。アニオン樹脂塔18の一次側で、洗浄水に溶解したほう酸が、アニオン樹脂塔18内で冷却されて、再度析出することを防ぐためである。
なお、洗浄工程開始前には、強酸性カチオン樹脂塔16およびアニオン樹脂塔18内に残存している原水を抜き出してから、洗浄水を通液させることが好ましい。洗浄効率の向上と、回収率向上とを図るためである。
本発明における再生液は、強酸性カチオン樹脂塔16内の強酸性カチオン交換樹脂を再生できる酸水溶液であれば特に限定されず、塩酸水溶液や硫酸水溶液等を挙げることができる。
また、再生液の濃度は特に限定されず、強酸性カチオン交換樹脂の種類と、原水の水質、再生に要する時間等を勘案して決定することができ、例えば、1〜2N(規定)の範囲で決定することが好ましい。
再生液の通液量は特に限定されることはなく、強酸性カチオン樹脂塔16の規模、原水の水質を勘案して決定することができ、例えば、強酸性カチオン交換樹脂体積に対して、B.V=2〜4であることが好ましい。また、再生液の通液速度は特に限定されないが、SV=2〜4L/L−R・h−1が好ましい。
本発明における溶離液は、アニオン交換樹脂に吸着したよう素を溶離できる塩基性水溶液であれば特に限定されることはないが、中でも、取り扱いの容易性から、水酸化ナトリウム水溶液を用いることが好ましい。溶離液の濃度は特に限定されないが、0.5〜2Nの範囲で設定することが好ましく、0.5〜1.5Nの範囲であることがより好ましく、0.8〜1.2Nの範囲であることがさらに好ましい。0.5N未満であると、溶離が充分に行えないおそれがあり、2Nを超えると溶離効果が飽和するため、さらに溶離液の濃度を上げることは、経済面での不都合がある。
溶離液の温度は特に限定されることはないが、10〜50℃であることが好ましい。前記洗浄水で除去し切れなかったほう酸を、精度高く除去するためである。溶離液の通液量は特に限定されず、アニオン交換樹脂体積に対して、B.V=2〜4であることが好ましく。溶離液の通液速度は特に限定されないが、SV=2〜4L/L−R・h−1が好ましい。
ここで、溶離されたよう素を含有する回収液の回収には、回収液のよう素の含量に応じて、低濃度よう素回収槽20、または高濃度よう素回収槽22に分けて回収することが好ましい。
具体的なよう素回収工程について、図3の測定値を用いて詳細に説明する。図3は、後述する実施例1における、回収液の導電率、pHと、回収液のよう化物イオン濃度、ほう酸濃度との関係を示したグラフである。また、図3中の凡例は、(a)は導電率、(b)はよう化物イオン濃度、(c)はほう酸濃度、(d)はpHを示す。図3に示すとおり、溶離工程開始からB.V=1の通液までは、回収液のよう化物イオン濃度(b)は低い。しかし、B.V=1を超えると、急激に回収液のよう化物イオン濃度(b)が上昇し、かつ導電率(a)も急激に上昇する。その一方で、pH(d)に大幅な変動は見られない。そのまま、溶離液の通液を継続し、B.V=2.5を超えたところで、回収液のよう化物イオン濃度(b)は、急激に低下する。その一方で、導電率(a)は、B.V=2.5を超えたところで、pH(d)はB.V=2〜2.5の間に、急激に上昇する。
このように、回収液のよう化物イオン濃度と、導電率ならびにpHとは、相関すると言える。そこで、溶離液通液開始から、回収液の導電率とpHとを測定し、導電率が特定の値となった時点で、よう素回収装置10のバルブ25を閉、バルブ27を開として、よう化物イオンを一定濃度以上に含有する回収液を高濃度よう素回収槽22に貯留することができる。さらに溶離液の通液を続け、pHと導電率とが、特定の値となった時点で、よう素回収装置10のバルブ27を閉、バルブ25を開として、よう素濃度が一定濃度以下である回収液を低濃度よう素回収槽20に貯留することができる。
具体的に、図3の測定値を例にして説明すると、回収液の導電率が100mS/cm未満であれば、バルブ25を開、バルブ27を閉として、低濃度回収槽20に回収液を貯留し、導電率が100mS/m以上であれば、バルブ27を開、バルブ25を閉として、高濃度よう素回収槽22に回収液を貯留する。続いて、回収液の導電率が120mS/mとなった時点で、バルブ27を閉、バルブ25を開として、回収液を低濃度よう素回収槽22へ貯留する。さらに回収液が導電率150mS/cm、かつpH14まで上昇した時点で、ポンプ52を停止し、溶離工程を終了する方法が例示できる。
なお、バルブ25、27を切り替えるに当たって、基準となる導電率、pHは、目的とする回収液のよう化物イオン濃度に応じて、任意に設定することができる。なお、上述の回収液のよう素濃度の管理は、洗浄液の導電率計26およびpH計28の測定値を基に、低濃度よう素回収槽20または高濃度よう素回収槽22へ分ける制御を行っても良いし、いずれか一方の測定値のみで制御しても良い。
アニオン樹脂塔18の二次側で、低濃度よう素回収槽20または高濃度よう素回収槽22に至る、配管106、108、110、112、114、152は、20〜60℃に保温することが好ましく、30〜50℃に保温することがさらに好ましい。洗浄水等が冷却されることによる、洗浄水等に溶解したほう酸の再析出を防止するためである。
溶離工程終了後、再度吸着工程を開始する前には、アニオン樹脂塔18内の溶離液ならびに配管中の回収液を洗浄水で押し出し、そして洗浄することが好ましい。溶離液と原水が混在することによる、回収率の低下を防ぐためである。
洗浄水での押し出し、および洗浄の条件は特に限定されないが、例えば、アニオン交換樹脂体積に対し、B.V=1〜1.5の洗浄水を、溶離工程と同条件で通液した後、さらにアニオン交換樹脂に対し、B.V=2〜3の洗浄水をSV=2〜3L/L−R・h−1で、通液することが好ましい。なお、この際に通液する洗浄水は、加温する必要はない。既によう素回収装置10内のほう酸濃度が低いため、ほう酸析出の可能性が低いためである。
本発明のよう素回収方法によれば、原水を強酸性カチオン樹脂塔に通液することで酸性とし、酸化剤を用いることなく、よう素をアニオン交換樹脂に吸着させることができるため、経済的かつ簡易によう素を回収することができる。
さらに、アニオン交換樹脂は、弱塩基性アニオン交換樹脂を使用しても、弱塩基性アニオン交換樹脂によっても、容易によう素イオンを吸着することができる。弱塩基性アニオン交換樹脂は、強塩基性アニオン交換樹脂に比べて、よう素イオンの吸着力が弱い。このため、強塩基性アニオン交換樹脂の溶離液よりも、低い濃度の塩基性水溶液であっても溶離することができ、工程管理が容易であり、かつ経済的な利点が得られる。
また、吸着工程での通液量を導電率、pHと連動させて制御できることから、原水中のよう素を効率的に吸着させ、回収することができる。さらに、回収液のよう素濃度を管理できることから、回収液を目的の濃度別に貯留することができ、それぞれに適切な用途を選択することで、有効利用することができる。
液晶用偏光板製造工程から排出される廃液は、よう素と共にほう酸を含有していることが多い。本発明のよう素回収方法では、原水を上昇流でアニオン樹脂塔18に流通させることで、アニオン交換樹脂への選択性が高いよう素イオンの吸着を確保する一方で、アニオン交換樹脂への選択性が低いほう酸の吸着を最小限に抑えることができる。さらに、洗浄水を温水とすることで、よう素回収装置10内、特にアニオン樹脂塔18内に析出したほう酸を、短時間で除去し、アニオン樹脂塔18の閉塞による回収効率の低下を防止することができる。加えて、アニオン樹脂塔18、ならびにアニオン樹脂塔18の二次側で、低濃度よう素回収槽20、または高濃度よう素回収槽22に至る配管を保温することで、洗浄液に溶解したほう酸が再度析出することを防ぎ、回収効率の低下を防ぐことができる。
上述の実施形態では、強酸性カチオン樹脂塔、およびアニオン樹脂塔への原水の通液を上昇流で行っているが、下降流で行っても良い。ただし、原水にほう酸が含まれる場合には、カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂内でほう酸が析出し、閉塞することを防ぐために、上昇流で通液することが好ましい。
上述の実施形態では、アニオン樹脂塔への溶離液の通液を下降流で行っているが、上昇流で行っても良い。ただし、溶離液を、アニオン交換樹脂内に充分拡散させ、吸着したよう素イオンの回収率を高める観点からは、下降流で行うことが好ましい。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。
(測定方法)
<導電率測定>
導電率は、導電率計YOKOGAWA MODEL SC82(横河電気株式会社製)により、測定を行った。
<pH測定>
pH測定は、pH METER HM−21P(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定した。
<よう化物イオン濃度の測定>
よう化物イオン濃度の測定は、「JIS−K0102 36.2」のよう素滴定法に準じて測定を行った。
<ほう酸濃度の測定>
ほう酸濃度の測定は、「JIS−K0102 47.2」のアゾメチンH吸光光度法に準じて測定を行った。
(実施例1)
よう化カリウム5.9質量%、ほう酸4.3質量%を純水に溶解し、廃液Aを調製した。強酸性カチオン交換樹脂(アンバーライト120B、H形、ローム・アンド・ハース社製)300mLをアクリル製カラム(内径25.4mmφ)に充填し、強酸性カチオン樹脂塔を作成した。また、弱塩基性アニオン交換樹脂(アンバーライトIRA96SB)300mLをジャケット付きアクリル製カラム(内径25.4mmφ)に充填し、アニオン樹脂塔を作成した。廃液Aを充填した原水槽から、強酸性カチオン樹脂塔の上部へ配管で接続し、強酸性カチオン樹脂塔の下部からアニオン樹脂塔の下部へ配管で接続し、アニオン樹脂塔上部からサンプリング可能なノズルへ配管で接続した。また、アニオン樹脂塔に使用したカラムのジャケットには、恒温水槽からの温水を通水できるように、配管を接続した。
<吸着工程>
22℃の廃液AをSV=2L/L−R・h−1で、強酸性カチオン樹脂塔、アニオン樹脂塔の順番に204分間通液し、アニオン樹脂塔から流出する廃液を、適宜採取した。採取した廃液について、導電率、pH、ほう酸濃度、よう化物イオン濃度を測定した。測定結果を図2に示す。図2は、縦軸に、導電率、よう化物イオン濃度、ほう酸濃度、pHを示し、横軸には原水の通液量B.Vを示す。また、図2中、凡例は、(a)は導電率、(b)はよう化物イオン濃度、(c)はほう酸濃度、(d)はpHを示す。
<洗浄工程>
SV=2L/L−R・h−1で、50℃に加温した純水(導電率:0.65μS/cm)を1時間通液し(B.V=2)、アニオン樹脂塔から流出した洗浄水を適宜採取した。採取した洗浄水について、導電率、pH、ほう酸濃度、よう化物イオン濃度を測定した。
<溶離工程>
次いで、アニオン樹脂塔の上部と下部の配管をはずし、上部より50℃に加温した1N水酸化ナトリウム水溶液を通液し、アニオン樹脂塔出口より、6分〜12分毎にサンプルを採取して導電率、pH、ほう酸濃度、よう化物イオン濃度を測定した。通水流量はSV=2L/L−R・h−1、またカラムのジャケットに50℃温水を通して、アニオン樹脂塔を50℃に保温した。
所定量の通した後、アニオン樹脂塔上部より、純水(0.65μS/cm)をSV=L/L−R・h−1で30分間通液し、さらに純水(0.65μS/cm)をSV=3 にて1時間通液した。結果を図3に示す。図3中、凡例は、(a)は導電率、(b)はよう化物イオン濃度、(c)はほう酸濃度、(d)はpHを示す。
<再生工程>
強酸性カチオン樹脂塔の下部より、1N塩酸水溶液をSV=2L/L−R・h−1で1時間通液し、次いで純水(0.65μS/cm)をSV=2L/L−R・h−1で30分間通液し、さらに純水(0.65μS/cm)をSV=3L/L−R・h−1で90分間通液した。
<よう素回収の評価>
[添加よう化物イオン量]
調製した廃液中のよう化物イオン濃度を測定し、通液した廃液量から、通液した廃液に含まれるよう化物イオン量を質量として算出した。
[溶離工程での回収量]
溶離工程での回収液を全量回収し、よう化物イオン濃度を測定した。得られたよう化物イオン濃度から、溶離工程でのよう化物イオン回収量を質量として算出した。
[洗浄工程での回収量]
洗浄工程におけるアニオン樹脂塔通液後の洗浄液を全量回収して、よう化物イオン濃度を測定した。得られたよう化物イオン濃度から、洗浄工程でのよう化物イオン回収量を質量として算出した。その結果を表1に示す。
[回収率]
次式により、廃液中のよう素の回収率を算出した。
回収率%=(溶離工程での回収量+洗浄工程での回収量)÷(添加よう化物イオン量)×100%・・・(1)
(実施例2)
よう化物カリウム1.3質量%、ほう酸2.3質量%を純水に溶解し、廃液Bを調製した。廃液Aを廃液Bに変更し、廃液Bを480分間通液した以外は、実施例1と同様にして行った。
吸着工程でのアニオン樹脂塔出口の導電率とpHの測定結果を図4に示す。図4は、縦軸に、導電率、よう化物イオン濃度、ほう酸濃度、pHを示し、横軸には原水の通液量B.Vを示す。また、図4中、凡例は、(a)は導電率、(b)はよう化物イオン濃度、(c)はほう酸濃度、(d)はpHを示す。
溶離工程でのよう化物イオン濃度、ほう酸濃度、pH、導電率を図5に示す。図5は、縦軸に、導電率、よう化物イオン濃度、ほう酸濃度、pHを示し、横軸には溶離液の通液量B.Vを示す。また、図5中、凡例は、(a)は導電率、(b)はよう化物イオン濃度、(c)はほう酸濃度、(d)はpHを示す。
溶離工程での回収液、および洗浄工程でのアニオン樹脂塔通液後の洗浄液中に含まれるよう化物イオン濃度を測定し、回収したよう化物イオン量を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例3)
洗浄工程の洗浄水を15℃の純水とした以外は、実施例1と同様にして行った。溶離工程でのよう化物イオン濃度、ほう酸濃度、pH、導電率を図6に示す。図6は、縦軸に、導電率、よう化物イオン濃度、ほう酸濃度、pHを示し、横軸には原水の通液量B.Vを示す。図6中、凡例は、(a)は導電率、(b)はよう化物イオン濃度、(c)はほう酸濃度、(d)はpHを示す。
溶離工程での回収液、および洗浄工程でのアニオン樹脂塔通液後の洗浄液中に含まれるよう化物イオン濃度を測定し、回収したよう化物イオン量を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例4)
廃液Aの通液時間を150分間、洗浄工程の洗浄水の温度を15℃、洗浄水の通液時間を5時間(B.V=10)とした以外は、実施例3と同様にして行った。溶離工程でのよう化物イオン濃度、ほう酸濃度、pH、導電率を図7に示す。図7は、縦軸に、導電率、よう化物イオン濃度、ほう酸濃度、pHを示し、横軸には原水の通液量B.Vを示す。図7中、凡例は、(a)は導電率、(b)はよう化物イオン濃度、(c)はほう酸濃度、(d)はpHを示す。
溶離工程での回収液、および洗浄工程でのアニオン樹脂塔通液後の洗浄液中に含まれるよう化物イオン濃度を測定し、回収したよう化物イオン量を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0004977592
図2の結果から、吸着工程での、アニオン交換塔二次側における導電率(a)およびpH(d)の変動は、よう化物イオン濃度(b)と相関しており、導電率およびpH測定をすることで、アニオン樹脂塔の破過点を判断することができることが判った。また、図4の結果から、廃液中のよう化物イオン濃度、ほう酸濃度が低くても、導電率(a)、pH(d)、よう化物イオン濃度(b)は実施例1と同様の挙動を示すことが判った。
図3の結果から、溶離工程において、導電率(a)、pH(d)と、よう化物イオン濃度(b)とは、相関関係にあることが判った。同様に、図5の結果から、廃液中のほう酸濃度が低くても、導電率(a)、pH(d)、よう化物イオン濃度(b)は実施例1と同様の挙動を示すことが判った。さらに、図6、7の結果から、洗浄水の温度を15℃しても、導電率、pH、よう化物イオン濃度は、実施例1と同様の挙動を示すことが判った。
表1の結果から、実施例1〜4において、よう化物イオン換算で、よう素回収率が60%以上であった。特に、実施例1、2、4では90%を超える、高い回収率であった。実施例3について、図6、7を基に検討すると、実施例3の回収液のほう酸濃度は実施例4の回収液のほう酸濃度に比べて、著しく高濃度である。これは、洗浄水の水温が15℃であったため、B.V=2程度の通液量では、アニオン樹脂塔内のほう酸を充分に洗い流すことができず、実施例3の回収液に、ほう酸が高濃度に含まれていたためである。すなわち、実施例3では、洗浄工程で残存したほう酸により、溶離工程において溶離液が充分に拡散できず、よう素の溶離量が少なかったと考えられる。このことは、洗浄水の水温を15℃とした実施例4において、B.V=10とすることで、アニオン樹脂塔内のほう酸を除去し、良好な回収率を得られたことから推測できる。
本発明のよう素回収装置の一例を示す模式図である。 実施例1の吸着工程における、導電率、pH、よう化物イオン濃度、ほう酸濃度を示すグラフである。 実施例1の溶離工程における、導電率、pH、よう化物イオン濃度、ほう酸濃度を示すグラフである。 実施例2の吸着工程における、導電率、pH、よう化物イオン濃度、ほう酸濃度を示すグラフである。 実施例2の溶離工程における、導電率、pH、よう化物イオン濃度、ほう酸濃度を示すグラフである。 実施例3の溶離工程における、導電率、pH、よう化物イオン濃度、ほう酸濃度を示すグラフである。 実施例4の溶離工程における、導電率、pH、よう化物イオン濃度、ほう酸濃度を示すグラフである。
符号の説明
10 よう素回収装置
16 強酸性カチオン樹脂塔
18 アニオン樹脂塔

Claims (14)

  1. よう素を含有する廃液をアニオン交換樹脂に接触させて、よう素を吸着させる吸着工程と、前記アニオン交換樹脂に溶離液を接触させて、よう素を溶離させる溶離工程と、溶離したよう素を含有する回収液を回収する回収工程とを有する、廃液中のよう素回収方法であって、
    前記廃液を + 強酸性カチオン交換樹脂に接触させた後、アニオン交換樹脂に接触させて吸着工程を行うことを特徴とする、よう素含有廃液からのよう素回収方法。
  2. 前記アニオン交換樹脂は、弱塩基性アニオン交換樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載のよう素回収方法。
  3. 前記廃液を前記アニオン交換樹脂に接触させた後に、pHおよび/または導電率を測定し、該pHおよび/または導電率に応じて、吸着工程での前記廃液の通液量を制御することを特徴とする、請求項1または2に記載のよう素回収方法。
  4. 前記回収液のpHおよび/または導電率を測定し、該pHおよび/または導電率に応じて、回収液のよう素濃度を管理することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のよう素回収方法。
  5. 前記廃液は、よう素系色素を用いた液晶用偏光板製造工程から排出される廃液であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のよう素回収方法。
  6. 前記吸着工程は、前記アニオン交換樹脂への通液を上昇流で行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のよう素回収方法。
  7. 前記溶離工程は、前記アニオン交換樹脂への通液を下降流で行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のよう素回収方法。
  8. 前記吸着工程と前記溶離工程との間に、前記 + 強酸性カチオン交換樹脂と前記アニオン交換樹脂とを20〜60℃の純水で洗浄する洗浄工程を設けたことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のよう素回収方法。
  9. よう素を含有する廃液をアニオン交換樹脂に接触させる吸着手段と、前記アニオン交換樹脂に溶離液を接触させる溶離手段と、溶離したよう素を含有する回収液を回収する回収手段とを有する、廃液中のよう素回収装置であって、
    前記廃液を + 強酸性カチオン交換樹脂に接触させた後に、アニオン交換樹脂に接触させる手段を有することを特徴とする、よう素含有廃液からのよう素回収装置。
  10. 前記アニオン交換樹脂は、弱塩基性アニオン交換樹脂であることを特徴とする、請求項9に記載のよう素回収装置。
  11. 前記アニオン交換樹脂に接触させた後の廃液の、pHまたは導電率を測定する手段を有し、該pHおよび/または導電率に応じて、前記廃液の通液量を制御する手段を有することを特徴とする、請求項9または10に記載のよう素回収装置。
  12. 前記回収液のpHおよび/または導電率を測定する手段を有し、該pHおよび/または導電率に応じて回収液のよう素濃度を管理する手段とを有することを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載のよう素回収装置。
  13. 前記吸着手段には、よう素系色素を用いた液晶用偏光板製造工程から排出される廃液が接触されることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載のよう素回収装置。
  14. 前記アニオン交換樹脂を保温する設備を有することを特徴とする、請求項9〜13のいずれか1項に記載のよう素回収装置。
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